(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】プレス機
(51)【国際特許分類】
B30B 15/34 20060101AFI20250611BHJP
B21D 43/02 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
B30B15/34 A
B21D43/02 Z
(21)【出願番号】P 2021127233
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2024-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮阪 洋一
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04789328(US,A)
【文献】特開2010-052036(JP,A)
【文献】特開2007-125619(JP,A)
【文献】特開平07-108554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00-15/34
B21D 37/08
B21D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に搬送されるプレス対象物を加熱及び加圧するプレス機であって、
第1のヒーターを有する第1型と、
第2のヒーターを有し、前記第1型に対して上方に配置される第2型と、
前記第1型、及び前記第2型を支持する支持部材と、
前記支持部材を、第1位置から、前記第1位置に対して前記第1の方向と交差する第2
の方向の第2位置に移動させる移動機構と、を備え、
前記第1位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物を加熱及び加圧する位
置であり、
前記第2位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物と対向しない位置であ
り、
前記第2の方向は、鉛直方向と直交する方向であり、
前記移動機構は、前記支持部材に、前記第2の方向に移動させる力を付与する弾性部材
と、前記支持部材を前記第2の方向と逆方向に移動させる移動部材と、を有する、プレス
機。
【請求項2】
第1の方向に搬送されるプレス対象物を加熱及び加圧するプレス機であって、
第1のヒーターを有する第1型と、
第2のヒーターを有し、前記第1型に対して上方に配置される第2型と、
前記第1型、及び前記第2型を支持する支持部材と、
前記支持部材を、第1位置から、前記第1位置に対して前記第1の方向と交差する第2
の方向の第2位置に移動させる移動機構と、を備え、
前記第1位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物を加熱及び加圧する位
置であり、
前記第2位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物と対向しない位置であ
り、
前記第2の方向は、前記プレス対象物の斜め下方に向かう方向であり、
前記支持部材は、前記第2の方向に傾斜する傾斜面上に載置され、
前記移動機構は、前記第2の方向、及び前記第2の方向と逆方向に移動させる移動部材
と、を有する
、プレス機。
【請求項3】
前記支持部材が前記第2の方向に移動するとき、前記プレス対象物を支持可能な支持機
構を有する、
請求項
2に記載のプレス機。
【請求項4】
前記支持機構は巻き取りばねである請求項
3に記載のプレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス対象物を上型及び下型で加熱及び加圧する平板状プレスが知られている。特許文献1に示されるプレス機は、下型の下方に下側シリンダーを配置している。プレス機は、下側シリンダーを動作させることによって、下型を下降させる。プレス機は、緊急停止時等に下型を下降させて、プレス対象物への加熱を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下型の下方に下側シリンダーが配置された場合、上型と下型によるプレス対象物への加圧位置は、高くなる。加圧位置が高くなると、作業者の作業性が低下する。仮に床全体を持ち上げて作業者の作業高さを高くする対策を取ったとしても、全体のコスト増を招くので好ましくはない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のプレス機は、第1の方向に搬送されるプレス対象物を加熱及び加圧するプレス機であって、第1のヒーターを有する第1型と、第2のヒーターを有し、前記第1型に対して上方に配置される第2型と、前記第1型、及び前記第2型を支持する支持部材と、前記支持部材を、第1位置から、前記第1位置に対して前記第1の方向と交差する第2の方向の第2位置に移動させる移動機構と、を備え、前記第1位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物を加熱及び加圧する位置であり、前記第2位置は、前記第1型及び前記第2型が前記プレス対象物と対向しない位置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】基台が動作位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【
図3】基台が退避位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【
図4】基台が動作位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【
図5】基台が退避位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【
図6】基台が動作位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【
図7】基台が退避位置に位置するプレス機の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、プレス機10の概略構成を示している。プレス機10は、供給ローラー12から引き出された材料Mを加熱及び加圧する装置である。プレス機10で加熱及び加圧された材料Mは、巻き取りローラー14に巻き取られる。プレス機10は、下型20、下型ヒーター22、上型30、上型ヒーター32、上型用エアシリンダー35、吊架ばね38、及び基台40を備えている。
【0008】
図1を含む各図は、XYZ座標系を示している。X軸、Y軸、Z軸は、互いに直交している。X軸は、プレス機10の設置面に対して平行であり、プレス機10の幅に対応する。Y軸は、プレス機10の設置面に対して平行であり、プレス機10の奥行きに対応する。Z軸は、プレス機10の設置面に対して垂直であり、プレス機10の高さに対応する。
【0009】
以降、XYZ座標系を示す場合、X軸に平行な+X方向は、供給ローラー12から巻き取りローラー14へ材料Mが移動する方向を示す。
図1の場合、+X方向は、図の中央から右に向かう方向を示す。X軸に平行な-X方向は、巻き取りローラー14から供給ローラー12へ向かう方向を示す。
図1の場合、X軸の-X方向は、図の中央から左に向かう方向を示す。Y軸に平行な+Y方向は、基台40に対して供給ローラー12を左に配置したときの、プレス機10の奥から手前に向かう方向を示す。
図1の場合、Y軸に平行な+Y方向は、図の手前に向かう方向を示す。Y軸に平行な-Y方向は、基台40に対して供給ローラー12を左に配置したときの、プレス機10の手前から奥に向かう方向を示す。
図1の場合、Y軸に平行な-Y方向は、図の奥に向かう方向を示す。Z軸に平行な+Z方向は、プレス機10の設置面から上方に向かう方向を示す。
図1の場合、Z軸に平行な+Z方向は、図の中央から上に向かう方向を示す。Z軸に平行な-Z方向は、プレス機10の上方から設置面に向かう方向を示す。
図1の場合、Z軸に平行な-Z方向は、図の中央から下に向かう方向を示す。-Z方向は、鉛直方向に対応する。+X方向は、第1の方向の一例に対応する。
【0010】
下型20は、供給ローラー12から引き出された材料Mの-Z方向の位置に配置される。下型20は、材料Mと対向する下型プレス面で、材料Mと接触する。下型プレス面は、矩形状をなしている。下型20は、下型プレス面と接触した材料Mを加熱する。下型20は、第1型の一例に対応する。
【0011】
下型ヒーター22は、下型20を加熱する。下型ヒーター22は、抵抗加熱装置でもよいし、誘導加熱装置でもよい。下型ヒーター22は、下型20の下型プレス面とは異なる面に配置されてもよいし、下型20の内部に配置されてもよい。下型ヒーター22は、図示しないコントローラーによって、加熱温度を制御される。下型ヒーター22は、第1のヒーターの一例に対応する。
【0012】
上型30は、下型20、及び供給ローラー12から引き出された材料Mの+Z方向の位置に配置される。上型30は、下型20の上方に配置され、下型20と対向する。上型30は、下型20の下型プレス面と対向する上型プレス面で、材料Mと接触する。上型プレス面は、矩形状をなしている。上型30と下型20は、材料Mを挟んで、材料Mを加熱及び加圧する。上型30は、第2型の一例に対応する。
【0013】
上型ヒーター32は、上型30を加熱する。上型ヒーター32は、抵抗加熱装置でもよいし、誘導加熱装置でもよい。上型ヒーター32は、上型30の上型プレス面とは異なる面に配置されてもよいし、上型30の内部に配置されてもよい。上型ヒーター32は、図示しないコントローラーによって、加熱温度を制御される。上型ヒーター32は、第2のヒーターの一例に対応する。
【0014】
上型用エアシリンダー35は、後述する基台40に配置される。上型用エアシリンダー35は、上型用エアシリンダーロッド36を有している。上型用エアシリンダー35は、圧縮空気を用いて上型用エアシリンダーロッド36を直線移動させるアクチュエーターである。上型用エアシリンダーロッド36は、上型30を支持している。上型用エアシリンダー35は、上型用エアシリンダーロッド36に支持された上型30を-Z方向に移動させる。上型用エアシリンダー35に圧縮空気が入れられると、上型用エアシリンダーロッド36は、上型30を-Z方向に移動させる。
【0015】
上型用エアシリンダー35が、上型30を-Z方向に移動させたとき、上型30と下型20は、材料Mを挟み、材料Mを加熱及び加圧する。上型30と下型20が、材料Mを加熱及び加圧した後、上型用エアシリンダー35に入れられた圧縮空気が抜かれる。圧縮空気が上型用エアシリンダー35から抜かれると、上型30は、+Z方向に移動する。上型30が+Z方向に移動することによって、上型30は、材料Mとは非接触状態となる。
【0016】
吊架ばね38は、後述する基台40に配置される。吊架ばね38は、上型30と接続し、上型30を支持する。上型用エアシリンダー35に入れられた圧縮空気が抜かれると、吊架ばね38は、弾性力によって、上型30を+Z方向に移動させる。上型用エアシリンダー35に圧縮空気が入れられると、上型用エアシリンダーロッド36は、吊架ばね38の弾性力に抗して、-Z方向に上型30を移動させる。
図1に示すプレス機10は、2本の吊架ばね38を備えているが、これに限定されない。吊架ばね38は、1本でもよいし、3本以上でもよい。吊架ばね38は上型30を支持できる構成であればよい。
【0017】
基台40は、下型20、上型30を支持する。基台40は、上型用エアシリンダーロッド36、及び吊架ばね38を介して、上型30を支持する。基台40は、後述するスライド機構70によって移動する。基台40は、支持部材の一例に対応する。
【0018】
材料Mは、プレス機10によって成型される。材料Mは、例えば、音を吸収する吸音材、外部からの衝撃を吸収する緩衝材、及びインクを吸収するインク吸収体等に成型される繊維材料である。繊維材料は、繊維を含有する繊維原料を解繊した解繊物と溶融材料とを堆積させた繊維状ウェブである。材料Mは、プレス対象物の一例に対応する。
【0019】
第1実施形態
図2は、基台40が動作位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図3は、基台40が退避位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図2、及び
図3は、プレス機10を+X方向から見た図である。
図2、及び
図3は、第1実施形態のプレス機10の構成を示している。動作位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向する位置である。動作位置で、下型20及び上型30は、材料Mに加熱及び加圧することが可能である。動作位置は、第1位置の一例に対応する。退避位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向しない位置である。基台40が退避位置に移動したとき、材料Mは、下型20からの放射熱及び上型30からの放射熱を受け難くなる。退避位置は、第2位置の一例に対応する。
【0020】
図2、及び
図3は、下型20、上型30、上型用エアシリンダー35、上型用エアシリンダーロッド36、基台40、及び材料Mを示している。また、
図2、及び
図3は、下部フレーム60、スライド機構70、及び第1サイドフレーム100を示している。
図2、及び
図3は、スライド機構70に含まれる基台用エアシリンダー71、及び基台用ばね73を示している。
図2、及び
図3は、下型ヒーター22、上型ヒーター32、吊架ばね38を省略している。
上型用エアシリンダー35はプレスを可能とする構成であれば、例えば、油圧シリンダーやメカ駆動機構,モーター等が用いられてもよい。この際には、バネによる上方向への回避位置までの移動時に、ブレーキなどを一時的に解除する別機構を有した構成でも可能である。
【0021】
下部フレーム60は、基台40、及び基台用エアシリンダー71を支持する。下部フレーム60は、基台40を、Y軸と平行な軸に沿って移動可能に支持する。下部フレーム60の基台40を載置する載置面60Sは、図示しない基台40をガイドするガイド部材が設けられてもよい。
【0022】
スライド機構70は、基台用エアシリンダー71、及び基台用ばね73を有している。スライド機構70は、材料Mが搬送される方向と交差する方向の位置であり、動作位置に位置する下型20の下方とは異なる位置に設けられる。
図2、及び
図3では、スライド機構70は、-Y方向の位置に設けられる。スライド機構70は、基台用エアシリンダー71、及び基台用ばね73を用いて、基台40を-Y方向、及び+Y方向に移動させる。スライド機構70が、基台40を-Y方向に移動させたとき、基台40は、退避位置に位置する。スライド機構70が、基台40を+Y方向に移動させたとき、基台40は、動作位置に位置する。スライド機構70は、移動機構の一例に対応する。-Y方向は、-Z方向に対して直交する方向であり、第2の方向の一例に対応する。+Y方向は、第2の方向と逆方向の一例に対応する。
【0023】
基台用エアシリンダー71は、下部フレーム60に配置される。基台用エアシリンダー71は、基台用エアシリンダーロッド72を有している。基台用エアシリンダー71は、圧縮空気を用いて基台用エアシリンダーロッド72を直線移動させるアクチュエーターである。基台用エアシリンダーロッド72は、基台40と接続する。基台用エアシリンダー71は、基台用エアシリンダーロッド72と接続する基台40を+Y方向に移動させる。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられると、基台用エアシリンダーロッド72は、+Y方向に基台40を移動させる。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられることによって、基台40は、退避位置から動作位置に移動する。基台用エアシリンダー71は、移動部材の一例に対応する。基台40を退避位置から動作位置に移動させる部材は、エアシリンダーに限定されない。基台40を移動させる構成であれば、例えば、油圧シリンダーやメカ駆動機構、モーター等が用いられてもよい。
【0024】
基台用ばね73は、基台40、及び第1サイドフレーム100と接続する。基台用エアシリンダー71に入れられた圧縮空気が抜けると、基台用ばね73は、弾性力によって、基台40を-Y方向に移動させる。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられると、基台用エアシリンダーロッド72は、基台用ばね73の弾性力に抗して、+Y方向に基台40を移動させる。
図2、及び
図3に示すプレス機10は、1本の基台用ばね73を備えているが、これに限定されない。基台用ばね73は、2本以上でもよい。基台用ばね73の代わりの部材が、基台40を-Y方向に移動させる構成として用いられてもよい。基台用ばね73の代わりの部材は、基台40を-Y方向に移動させる力を付与できる構成であればよい。基台用ばね73は、弾性部材の一例に対応する。
【0025】
図2、及び
図3に示すように、下型20、及び上型30を支持する基台40が、動作位置、及び退避位置に移動する。基台用ばね73が、基台40を-Y方向に移動させる弾性力を付与する。基台40を-Y方向に移動させる弾性力は、第2の方向に移動させる力の一例に対応する。基台用エアシリンダー71は、+Y方向に基台40を移動させる。
【0026】
図2に示すように、基台40が動作位置に位置するとき、下型20、及び上型30が、材料Mと対向する。基台40が動作位置に位置するとき、上型用エアシリンダー35が、上型30を-Z方向に移動させることによって、下型20、及び上型30が、材料Mを加熱及び加圧する。下型20、及び上型30は、熱と圧力によって、材料Mを成型する。
【0027】
図3に示すように、基台40が退避位置に位置するとき、下型20、及び上型30は、材料Mと対向しない。下型20は、材料Mの-Z方向の位置とは異なる位置に位置する。上型30は、材料Mの+Z方向の位置とは異なる位置に位置する。下型20、及び上型30が材料Mと対向しない位置に位置することによって、下型20、及び上型30からの放射熱が、材料Mに影響を与え難くなる。例えば、プレス機10が停止している時に、基台40が退避位置に移動することによって、プレス機10の停止中に材料Mに伝わる熱が減少する。材料Mが熱によって変質し易い材料のときには、プレス機10が停止しているときの、材料Mの変質が低減する。また、基台40が退避位置に位置することによって、下型ヒーター22、及び上型ヒーター32が停止中に加熱を維持できる。プレス機10は、待機位置から動作位置に移動したときに、成型を短時間で再開できる。
【0028】
第1実施形態で示したように、スライド機構70は、基台40を-Y方向に移動させる。スライド機構70は、基台40に、-Y方向に移動させる弾性力を付与する基台用ばね73と、基台40を+Y方向に移動させる基台用エアシリンダー71と、を有する。
プレス機10は、基台40を-Y方向に移動させることにより、スライド機構70を動作位置の下方に設ける必要がない。
【0029】
第2実施形態
図4は、基台40が動作位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図5は、基台40が退避位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図4、及び
図5は、プレス機10を+X方向から見た図である。
図4、及び
図5は、第2実施形態のプレス機10の構成を示している。動作位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向する位置である。動作位置で、下型20及び上型30は、材料Mに加熱及び加圧することが可能である。動作位置は、第1位置の一例に対応する。退避位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向しない位置である。基台40が退避位置に移動したとき、材料Mは、下型20からの放射熱及び上型30からの放射熱を受け難くなる。退避位置は、第2位置の一例に対応する。
【0030】
図4、及び
図5は、下型20、上型30、上型用エアシリンダー35、上型用エアシリンダーロッド36、基台40、及び材料Mを示している。また、
図4、及び
図5は、下部フレーム60、及びスライド機構70を示している。
図4、及び
図5は、スライド機構70に含まれる基台用エアシリンダー71を示している。
図4、及び
図5は、下型ヒーター22、上型ヒーター32、吊架ばね38を省略している。
【0031】
第2実施形態のプレス機10は、
図2、及び
図3に示す基台用ばね73を有していない。第2実施形態では、下部フレーム60の載置面60Sは傾斜している。傾斜している載置面60Sは、傾斜面の一例に対応する。
【0032】
第2実施形態の下部フレーム60は、基台40を支持する。基台用エアシリンダー71は、下部フレーム60で支持されてもよいし、図示しないフレーム等で支持されてもよい。下部フレーム60は、基台40を載置する載置面60Sを有している。載置面60Sは、-Y方向に向かって、-Z方向に傾斜している。基台40は、載置面60S上を、動作位置から退避位置に向けて斜め下方に移動可能になっている。載置面60Sは、図示しない基台40をガイドするガイド部材が設けられてもよい。
【0033】
スライド機構70は、基台用エアシリンダー71を有している。スライド機構70は、材料Mが搬送される方向と交差する方向の位置であり、動作位置に位置する下型20の下方とは異なる位置に設けられる。
図4、及び
図5では、スライド機構70は、-Y方向の位置に設けられる。スライド機構70は、基台用エアシリンダー71を用いて、基台40を-Y方向に向かって斜め下方、及び+Y方向に向かって斜め上方に移動させる。スライド機構70が、基台40を斜め下方に移動させたとき、基台40は、退避位置に位置する。スライド機構70が、基台40を斜め上方に移動させたとき、基台40は、動作位置に位置する。スライド機構70は、移動機構の一例に対応する。-Y方向に向かって斜め下方は、第2の方向の一例に対応する。+Y方向に向かって斜め上方は、第2の方向と逆方向の一例に対応する。
【0034】
基台用エアシリンダー71は、基台用エアシリンダーロッド72を有している。基台用エアシリンダー71は、圧縮空気を用いて基台用エアシリンダーロッド72を直線移動させるアクチュエーターである。基台用エアシリンダーロッド72は、基台40と接続する。
【0035】
図5に示すように、基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられていない状態で、基台40は、退避位置に位置する。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられると、基台用エアシリンダーロッド72は、+Y方向に向かって斜め上方に基台40を移動させる。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられることによって、基台40は、退避位置から動作位置に移動する。基台用エアシリンダー71に圧縮空気が入れられた状態で、基台40は、
図4に示すように、動作位置に位置する。
【0036】
基台用エアシリンダー71に入れられていた圧縮空気が抜かれると、基台用エアシリンダーロッド72によって基台40に掛ける押圧力が減少する。押圧力が減少すると、基台40は、自重によって載置面60Sの傾斜に沿って、-Y方向に向かって斜め下方に移動する。基台40は、基台用エアシリンダー71が基台40に掛ける押圧力によって、-Y方向に向かって斜め下方、及び+Y方向に向かって斜め上方へ移動する。基台用エアシリンダー71は、移動部材の一例に対応する。
【0037】
スライド機構70は、基台40を斜め下方に移動させるとき、基台40の自重を用いることができる。基台用エアシリンダー71は、電源が切れると圧縮空気が抜ける構成のため、電源オフ等の非常時には、基台40は、動作位置から退避位置に移動する。プレス機10の電源が切れたとき、材料Mが余分な加熱を受ける可能性は低減する。
【0038】
第2実施形態で示したように、基台40が移動する方向は、材料Mの斜め下方に向かう方向である。基台40は、-Y方向に向かって斜め下方に傾斜する載置面60Sに載置される。スライド機構70は、-Y方向に向かって斜め下方、及び+Y方向に向かって斜め上方に移動させる基台用エアシリンダー71を有する。
スライド機構70は、基台40を斜め下方に移動させることにより、下型20、及び上型30を含む基台40の自重を基台40の移動に用いることができる。
【0039】
第3実施形態
図6は、基台40が動作位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図7は、基台40が退避位置に位置するプレス機10の概略構成を示している。
図6、及び
図7は、プレス機10を+X方向から見た図である。
図6、及び
図7は、第3実施形態のプレス機10の構成を示している。動作位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向する位置である。動作位置で、下型20、及び上型30は、材料Mに加熱及び加圧することが可能である。動作位置は、第1位置の一例に対応する。退避位置は、基台40に支持された下型20及び上型30が、材料Mと対向しない位置である。基台40が退避位置に移動したとき、材料Mは、下型20からの放射熱及び上型30からの放射熱を受け難くなる。退避位置は、第2位置の一例に対応する。
【0040】
図6、及び
図7は、下型20、上型30、上型用エアシリンダー35、上型用エアシリンダーロッド36、基台40、及び材料Mを示している。また、
図6、及び
図7は、下部フレーム60、及び基台用エアシリンダー71を含むスライド機構70、巻き取りばね80、及び第2サイドフレーム110を示している。
図6、及び
図7は、下型ヒーター22、上型ヒーター32、吊架ばね38を省略している。
【0041】
第3実施形態のプレス機10は、巻き取りばね80を有している。第3実施形態のプレス機10は、基台用エアシリンダー71、及び巻き取りばね80を除き、第2実施形態のプレス機10と同じ構造である。
【0042】
第3実施形態の基台用エアシリンダー71は、下部フレーム60の載置面60Sの-Y方向の位置で支持される。基台用エアシリンダー71は、載置面60Sの傾斜に沿って配置される。基台用エアシリンダーロッド72は、載置面60Sの傾斜に沿って直線移動する。基台用エアシリンダー71は、基台40の移動方向に沿って、押圧力を掛けることが可能となる。
【0043】
第2サイドフレーム110は、下部フレーム60の+Y方向の位置に配置される。第2サイドフレーム110は、下部フレーム60と一体に構成されてもよい。第2サイドフレーム110は、巻き取りばね80を支持している。
【0044】
巻き取りばね80は、下型20の+Y方向に配置される。巻き取りばね80は、ばね部材80Aを有している。ばね部材80Aは、例えば、板バネである。ばね部材80Aは、ワイヤーでもよい。ばね部材80Aは、弾性を有している。ばね部材80Aの一端は、下型20と接続する。下型20は、+Y方向の上端部で、ばね部材80Aと接続する。
【0045】
図6に示すように、基台40が動作位置に位置するとき、巻き取りばね80は、ばね部材80Aを所定の長さに巻き取っている。巻き取りばね80は、ばね部材80A自身の弾性力によって、ばね部材80Aを巻き取る。巻き取りばね80は、テンションを掛けて、下型20を+Y方向に引っ張っている。巻き取りばね80は、基台40が動作位置に位置するとき、基台用エアシリンダー71が掛ける押圧力を補助する引張り力を掛けている。
【0046】
図7は、基台40が予期しないタイミングで動作位置から退避位置に移動したときの状態を示している。プレス機10は、材料Mを加熱及び加圧している途中で基台40を退避位置に移動させる指示を受けたとき、基台40を動作位置から退避位置に移動させる。材料Mの強度は、その材質によって、加熱及び加圧途中に低下する場合がある。
図7に示すように、材料Mは、強度の低下に伴って、自重によって変形する場合がある。ばね部材80Aは、基台40の移動によってテンションが掛けられた状態になる。ばね部材80Aは、材料Mの下方を延伸している。基台40が、動作位置から退避位置に移動するとき、ばね部材80Aは、変形した材料Mを支持することができる。巻き取りばね80は、支持機構の一例に対応する。
【0047】
基台40が、退避位置から動作位置に移動するとき、ばね部材80Aは、変形した材料Mを支持している。基台40が、退避位置から動作位置に移動するとき、ばね部材80Aは、変形した材料Mが下型20に接触する可能性を低減させることができる。基台40が退避位置から動作位置に移動するときに、材料Mが破損する可能性が低減する。
【0048】
基台40が、退避位置から動作位置まで移動するとき、ばね部材80Aは、テンションが付与される。巻き取りばね80は、基台40の移動中、+Y方向に向かって斜め上方に引っ張り力を掛ける。巻き取りばね80は、基台40を移動させるときに、基台用エアシリンダー71を補助することができる。
【0049】
第3実施形態で示すように、プレス機10は、基台40が-Y方向に移動するとき、材料Mを支持可能な支持機構として巻き取りばね80を有する。
材料Mは、加熱及び加圧することで撓む場合がある。プレス機10は、基台40が-Y方向に移動するときに、巻き取りばね80が材料Mを支持するので、下型20と材料Mが接触する可能性が低減できる。なお、支持機構の好適な実施例として巻き取りばね80を用いる形態を説明したが、同様の機能を有する機構であれば本発明に適用可能である。
【0050】
以上のように、プレス機10は、+X方向に搬送される材料Mを加熱及び加圧する。プレス機10は、下型ヒーター22を有する下型20と、上型ヒーター32を有し、下型20に対して上方に配置される上型30と、下型20、及び上型30を支持する基台40と、基台40を、動作位置から、動作位置に対して+X方向と交差する-Y方向の退避位置に移動させるスライド機構70と、を備える。動作位置は、下型20、及び上型30が材料Mを加熱及び加圧する位置である。退避位置は、下型20及び上型30が材料Mと対向しない位置である。
下型20、及び上型30を支持する基台40を-Y方向の退避位置に移動させることによって、プレス機10は、動作位置に位置する下型20の下方に移動機構を設ける必要がない。プレス機10は、移動機構を設けるためにプレス位置を高くする必要がないため、作業者の作業性は、低下しない。
【符号の説明】
【0051】
10…プレス機、12…供給ローラー、14…巻き取りローラー、20…下型、22…下型ヒーター、30…上型、32…上型ヒーター、35…上型用エアシリンダー、36…上型用エアシリンダーロッド、38…吊架ばね、40…基台、60…下部フレーム、60S…載置面、70…スライド機構、71…基台用エアシリンダー、72…基台用エアシリンダーロッド、73…基台用ばね、80…巻き取りばね、80A…ばね部材、100…第1サイドフレーム、110…第2サイドフレーム、M…材料。