(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】在庫管理システム、在庫管理方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20250611BHJP
【FI】
G06Q10/087
(21)【出願番号】P 2022551949
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034294
(87)【国際公開番号】W WO2022065226
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-08-13
(31)【優先権主張番号】P 2020159484
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和樹
(72)【発明者】
【氏名】崔 昭晶
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-268305(JP,A)
【文献】特開2009-242061(JP,A)
【文献】特開2005-339238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信機能を有する無線端末と、
近距離無線通信機能を有し、在庫としての商品が梱包された梱包箱の表面に取り付けられ、前記在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、
前記梱包箱内における前記商品の在庫数に関する在庫数情報と、前記梱包箱に取り付けられた前記無線タグを識別するタグID情報と、が対応付けられた、前記商品に関する在庫情報を格納するデータベースと、
前記商品に対応付けられた前記タグID情報により特定される前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記在庫数情報に基づいた在庫状況に対応する出力態様を出力させる出力指示を作成する出力指示作成部と、を備え、
前記無線端末は、前記出力指示に基づいて、前記出力指示が示す前記無線タグを特定し、その無線タグの前記在庫情報出力部に前記出力態様を出力させる出力実行指示を発信し、
前記無線タグの前記在庫情報出力部は、前記出力実行指示に従った前記出力態様を出力する、
ことを特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】
前記データベースは、前記商品がバックルームから持ち出された履歴に関する持ち出し履歴情報、前記商品が販売された履歴に関する販売履歴情報、及び前記商品が検索された履歴に関する検索履歴情報を含み、
前記出力指示作成部は、前記在庫数情報に加えて、前記商品の前記持ち出し履歴情報、前記販売履歴情報、及び前記検索履歴情報のうち少なくとも一つによって特定された前記在庫状況に対応する前記出力態様を出力させる前記出力指示を作成する、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記データベースにアクセス可能であり、前記無線端末とデータ通信可能なサーバ装置を更に含み、
前記サーバ装置は前記出力指示作成部を備え、前記出力指示を前記無線端末へ送信する、請求項1又は2に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記無線端末は、前記梱包箱に記録されたコードを読み取り可能であり、
前記無線タグは、前記無線タグ自身を識別するタグID情報を保持し、
前記無線端末は、前記コードから前記梱包箱内の商品に関する情報を取得して、前記サーバ装置へ送信し、かつ、前記梱包箱に対応する前記無線タグから前記タグID情報を取得して、前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、前記タグID情報と前記商品に関する情報とが対応付けられるように、前記在庫情報を更新する、請求項3に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記出力態様は、少なくとも一つの発光素子で構成される発光手段による出力態様である、請求項1~4のいずれか一項に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記在庫情報は、前記商品に対応する前記梱包箱が複数の部屋に保管されていることを示す場所情報を含み、
前記出力指示作成部は、前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記在庫状況に対応する前記出力態様に加えて、前記場所情報に対応する出力態様での出力をさせるように前記出力指示を作成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
近距離無線通信機能を有する無線端末と、
近距離無線通信機能を有し、在庫としての商品が梱包された梱包箱の表面に取り付けられ、前記在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、
前記梱包箱内における前記商品の在庫数に関する在庫数情報と、前記梱包箱に取り付けられた前記無線タグを識別するタグID情報と、が対応付けられた、前記商品に関する在庫情報を格納するデータベースと、
を備えた在庫監視システムにおける在庫管理方法であって、
前記商品に対応付けられた前記タグID情報により特定される前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記在庫数情報に基づいた在庫状況に対応する出力態様を出力させる出力指示を作成し、
前記無線端末は、前記出力指示に基づいて、前記出力指示が示す前記無線タグを特定し、その無線タグの前記在庫情報出力部に前記出力態様を出力させる出力実行指示を発信し、
前記無線タグの前記在庫情報出力部は、前記出力実行指示に従った前記出力態様を出力する、ことを特徴とする在庫管理方法。
【請求項8】
近距離無線通信機能を有する無線端末と、
近距離無線通信機能を有し、在庫としての商品が梱包された梱包箱の表面に取り付けられ、前記在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、
前記梱包箱内における前記商品の在庫数に関する在庫数情報と、前記梱包箱に取り付けられた前記無線タグを識別するタグID情報と、が対応付けられた、前記商品に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備えた在庫管理システムに含まれるコンピュータが、
前記商品に対応付けられた前記タグID情報により特定される前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記在庫数情報に基づいた在庫状況に対応する出力態様を出力させる出力指示を作成し、
前記無線端末のコンピュータが、前記出力指示に基づいて、前記出力指示が示す前記無線
タグを特定し、その無線タグの前記在庫情報出力部に前記出力態様を出力させる出力実行指示を発信するように構成されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗の在庫を管理する在庫管理システム、在庫管理方法及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用したものが知られている。例えば、特許文献1には、製品にRFIDタグを取り付けて、保管エリアと販売エリアとの間を行き来する製品の動きを追跡して在庫管理に適用するシステムが開示されている。また、特許文献2には、RFID技術を利用したタグとして、自己が選択されると発光するように構成された発光タグが開示されている。特許文献3には、目的の商品が陣列されている商品陳列棚に取り付けられた電子棚札を発光させるシステムも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-517148号公報
【文献】特開2007-171088号公報
【文献】特開2008-77131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の発光タグの場合、自己が選択されたことを感知して発光するだけであり、選択されたこと以上の情報を発光により知らせることはできない。このため、例えば、特許文献1のシステムにこの発光タグを採用しても、在庫管理の上で必要な情報を、発光タグによってユーザに認識させることは難しい。また、特許文献3におけるシステムでは、サーバの指示によって電子棚札が発光されるだけで、利用者の選択に応じて電子棚札は発光しない。従って、在庫管理の上で必要な情報をユーザに認識させてバックルームでの在庫管理の煩雑な作業を容易化することができないという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、上述した技術的問題に鑑みなされたものであり、在庫管理の上で必要な情報をユーザに認識させてバックルームにおける煩雑な在庫管理作業を容易にする在庫管理システム、在庫管理方法及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る在庫管理システムの一の態様は、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能と、梱包箱内の商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、前記商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備え、前記無線タグの前記在庫情報出力部は、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力する。
【0007】
本発明に係る在庫管理方法の一の態様は、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能を有する無線タグと、梱包箱内の商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備えた在庫監視システムにおける在庫管理方法であって、前記無線タグに、前記商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備え、前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力させる、在庫管理方法である。
【0008】
本発明に係る記録媒体の一の態様は、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能と、梱包箱内の商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、前記商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備えた在庫管理システムに含まれるコンピュータを、前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力させるように構成されたコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
【0009】
上述した在庫管理システム、在庫管理方法及び記録媒体が提供するそれぞれの態様によれば、在庫管理の上で必要な情報をユーザに認識させてバックルームにおける煩雑な在庫管理作業を容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る在庫管理システムの全体構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2A】実施形態に係る無線タグのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2B】実施形態に係る無線端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4A】実施形態に係る在庫情報の一例を示す図である。
【
図4B】実施形態に係る販売履歴情報の一例を示す図である。
【
図5A】実施形態に係る検索履歴情報の一例を示す図である。
【
図5B】実施形態に係る持ち出し履歴情報の一例を示す図である。
【
図5C】実施形態に係る出力態様情報の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る紐付け処理に関して行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】実施形態に係る検索対象商品に関して行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】実施形態に係る商品がバックルームから持ち出される際に行われる処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】実施形態に係る梱包箱がバックルームから持ち出される際に行われる処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図10A】実施形態に係る在庫情報の他の例を示す図である。
【
図10B】複数部屋出力態様情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本形態に係る在庫管理システム1の全体構成について説明する。
図1は、在庫管理システム1の一例である。在庫管理システム1は、バックルームにおいて、梱包箱としての段ボール10に梱包されて保管されている商品(即ち、バックルーム内の在庫)の管理を容易にするように構成されている。なお、本形態では、商品の一例として衣類を採用して説明するが、在庫管理システム1の商品は衣類に限らない。
【0012】
また、商品を識別する情報(以下「商品識別情報」)として、物理的に個々の商品に与えられる識別情報を「商品ID」といい、商品をSKU(Stock Keeping Unit)単位で識別するための識別情報を「SKU商品ID」という。SKU単位とは、例えば、同じ型の商品を色、柄、サイズ等の複数の属性により細分化して当該複数の属性について同じ商品を、一つの商品とする概念である。例えば、同じ型のシャツが5色4サイズで展開される場合、その型のシャツに関するSKU商品IDは20(5×4)存在し、即ち、20種の商品として分類される。商品IDには、SKUを特定するための各属性を識別可能な情報も含まれていてよい。また、SKU商品IDで商品を識別する単位は、型、色、柄、サイズ等の複数の属性のうち少なくとも一つの属性でもよく、商品に応じて適宜設定されてよい。
【0013】
在庫管理システム1には、クラウド側の構成として、サーバ装置20と、サーバ装置20がアクセス可能なデータベース群30とが含まれ、エッジ側の構成として、バックルームに保管されている段ボール10に対応付けられた無線タグ40と、携帯型の無線端末50とが含まれる。また、在庫管理システム1には、エッジ側の構成として、携帯型の操作端末60(「他の無線端末」の一例)と、段ボール10がバックルームから持ち出される際に通過する入出庫ゲート80(以下「ゲート80」という。)に設けられたゲートセンサ90とが含まれていてもよい。但し、在庫管理システム1には、エッジ側の構成として、操作端末60及びゲートセンサ90の少なくとも一方が含まれていなくてもよい。データベース群30に含まれる情報は在庫管理システム1以外のシステムからもアクセス可能である。
図1においては一つの段ボール10が示されているが、バックルームには複数の段ボール10が保管されてよい。この場合、複数の段ボール10のそれぞれに一つの無線タグ40が対応付けられている。無線タグ40と無線端末50との間では、非接触で両者のアンテナ間で電波又は磁界に乗せた情報を交信する近距離無線通信が可能である。本形態では、近距離無線通信として、例えば、RFID技術が利用されてよい。
【0014】
無線タグ40は、例えば、段ボール10の表面に着脱可能に取り付け可能である。当該取り付けの態様は物理的であってもよいし化学的であってもよい。本形態においては、無線タグ40は、段ボール10の表面に着脱可能に貼り付け可能な裏面を有する板状の無線タグである。無線タグ40が段ボール10に対して着脱可能とすることにより、対応する段ボール10が処分された後でも無線タグ40の再利用が可能となる。更に、無線タグ40の裏面には、例えば、無線タグ40を識別する識別情報(以下「タグID」という。)が記録された2Dコード等が設けられていてもよい。
【0015】
無線タグ40のハードウェア構成は、例えば、
図2Aに示すように、メモリ部41、タグ通信部42、状況出力部43、及びタグ制御部44を有している。メモリ部41は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)の他、ユーザメモリ41aを含む。ユーザメモリ41aは、読み書き可能な不揮発性メモリ(例えば、EE-PROM:Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。ユーザメモリ41aには、例えば、対応する段ボール10に梱包されている商品に関する商品情報が記録される。商品情報には、例えば、商品識別情報(本形態では、例えば商品ID)が含まれる。ユーザメモリ41aには、更に、商品情報に対応する無線タグ40のタグIDが含まれる。以下、ユーザメモリ41aに記録されている商品情報及びタグIDをタグ情報という。
【0016】
タグ通信部42は、無線端末50との間で交信される電波(上述したように本形態ではRFID技術に則った電波)を送受信するアンテナを含み、電波の変調が可能なように構成されている。状況出力部43は、在庫情報出力部の一例であり、本形態では光を出力可能な発光素子(例えば、発光ダイオードや有機EL(Electro Luminescence)等)で構成される発光部として設けられ、無線端末50からの出力実行の指示により、その指示が示す出力態様(即ち、発光態様)で発光するように構成されている。この発光部を構成する発光素子の数は一つであっても複数であってもよい。タグ制御部44は、無線タグ40が有する各構成41~43の動作を制御するように構成され、例えば、当該制御が可能なようにロジックが組まれた回路である。
【0017】
無線端末50は、例えば、
図2Bに示すように、読取り書込み通信部51、サーバインターフェース52、表示部53、操作入力部54、及び無線端末制御部55を有している。読取り書込み通信部51は、無線タグ40との間で交信される電波(上述したように本形態ではRFID技術に則った電波)を送受信するアンテナを含み、ユーザメモリ41aから情報の読み出し、ユーザメモリ41aへの情報の書き込み、及び無線タグ40への各種コマンド(指示)の送信を可能にするように構成されている。サーバインターフェース52は、サーバ装置20とのデータ通信を可能にするように構成されている。このデータ通信は、例えば、閉じられた所定のLAN(Local Area Network)経由であってもよいし、インターネットを介したネットワーク通信であってもよい。また、有線/無線を問わないがサーバ装置20がバックルーム内にない場合は無線通信であることが好ましい。
【0018】
表示部53は、例えばディスプレイであり、ユーザに必要な情報を適宜表示するように構成されている。操作入力部54は、例えば入力キーや入力ボタンを含み、ユーザの入力操作を適宜受け付けるように構成されている。更に、操作入力部54は、バーコードや2Dコード等の各種コードに記録された情報を読み取り可能なコード読取り機能も有している。
【0019】
無線端末制御部55は、CPU(Central Processing Unit)とその動作に必要なRAM、ROM等の内部メモリその他の装置を含むコンピュータとして構成されている。無線端末制御部55は、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、無線端末50の各構成51~54の動作を制御し、例えば、後述の特定タグ指示部55aとして機能する。
【0020】
サーバ装置20は、例えば、
図3に示すように、サーバ通信部21とサーバ制御部22とを有している。サーバ通信部21は、エッジ側の各構成50、60、90及びデータベース群30の各情報31~35との間でデータ通信可能なように構成されている。サーバ制御部22は、CPUとその動作に必要なRAM、ROM等の内部メモリその他の装置を含むコンピュータとして構成されている。サーバ制御部22は、ROMに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、サーバ装置20の各構成(例えば、サーバ通信部21)の動作を制御し、例えば、後述の、出力態様特定部22a、タグ特定部22b、及び出力指示作成部22cとして機能する。
【0021】
なお、サーバ装置20はクラウド上に構築される概念的装置であり、一つ以上の物理的なコンピュータ装置としてのサーバユニットによって一つの理論的なサーバ装置として構築されてよい。
【0022】
図1に戻って、操作端末60は、サーバ装置20における処理に必要な情報をユーザ(例えば、バックヤードを有する店舗における店員、従業員等)に入力させ、その入力情報をサーバ装置20へ送信可能なように構成されている。操作端末60は、例えば、ユーザが携帯可能なスマートフォンや携帯型タブレットであることが好ましい。入力情報は、入力された情報そのものだけでなく、例えば、入力日時等、入力に関する情報が含まれてよい。
【0023】
ゲートセンサ90は、上述したように、ゲート80に設けられている。ゲートセンサ90は、ゲート80を通過する段ボール10に貼り付けられた無線タグ40から、タグIDを読み取り、そのタグIDに基づいた持ち出し情報をサーバ装置20へ送信するように構成されている。
【0024】
データベース群30は、各種情報を含み、例えば、在庫情報31、販売履歴情報32、検索履歴情報33、持ち出し履歴情報34、及び出力態様情報35を有している。但し、データベース群30は、在庫情報31、販売履歴情報32、検索履歴情報33、持ち出し履歴情報34、及び出力態様情報35の少なくとも一つを有していなくてもよい。
【0025】
在庫情報31は、商品の在庫に関する情報であり、例えば、
図4Aに示すように、SKU商品IDに関して、例えば、在庫数情報、在庫商品ID情報、タグID情報が対応付けられている。在庫数情報は、SKU商品IDが示す商品のバックルームにおける現在の在庫数に関する情報である。在庫商品ID情報は、バックルーム内で在庫として段ボール10に保管されている各商品の商品IDに関する情報である。タグID情報は、SKU商品IDが示す商品が保管されている段ボール10に対応する無線タグ40に関する情報である。タグID情報は、例えば、各商品IDに対応付けられていてもよい。
【0026】
販売履歴情報32は、SKU商品IDが示す商品の販売履歴に関する情報であり、例えば、
図4Bに示すように、SKU商品IDに対して販売履歴が対応付けられている。販売履歴には、例えば、商品が販売された数量、日時、販売場所等が含まれる。
【0027】
検索履歴情報33は、SKU商品IDが示す商品の検索履歴に関する情報であり、例えば、
図5Aに示すように、SKU商品IDに検索履歴が対応付けられている。検索履歴には、例えば、商品が検索された日時、検索回数等が含まれる。販売履歴情報32及び検索履歴情報33は、例えば、通信販売システムやPOS(Point Of Sale)システム等の販売に関するシステムからもアクセスされ適宜更新される。なお、検索履歴情報33には、操作端末60における後述する検索範囲特定処理で検索された商品の検索履歴も含まれてよい。
【0028】
持ち出し履歴情報34は、SKU商品IDが示す商品のバックルームからの持ち出しに関する情報であり、例えば、
図5Bに示すように、SKU商品IDに持ち出し履歴が対応付けられている。持ち出し履歴には、例えば、商品が持ち出された日時、数量等が含まれる。
【0029】
出力態様情報35は、無線タグ40の状況出力部43の出力態様に関する情報であり、例えば、
図5Cに示すように、在庫状況(「在庫に関する情報」の一例)に応じた出力態様が設定されている。在庫状況には、例えば、複数段階のレベルが設けられている。各レベルは、例えば、在庫数の逼迫度、発注の必要度に応じて設定される。各レベルの判断基準として、例えば、在庫状況を特定するための複数のパラメータ(例えば、現在の在庫数)のそれぞれの数値範囲が対応付けられたテーブルが設けられていてもよい。或いは、各レベルに対して、当該複数のパラメータの値が所定の式に入力されて得られる算出値の範囲が対応付けられていてもよい。
【0030】
ここで、出力態様として、状況出力部43が発光部の場合は、例えば、点滅の態様(点灯及び消灯のそれぞれの長さ、点灯及び消灯のリズムや速さ等)、光の色、光の強度、発光方向、発光方向の動き(円状の動き、直線状の動き等)、及びこれら組み合わせが考えられる。例えば、在庫逼迫度が低い場合は、低い発光強度で発光させる態様、在庫逼迫度が中程度の場合は、発光強度は中程度で点滅状態にする態様、在庫逼迫度が高い場合は、逼迫度が高いことをユーザに認識させるために発光の強度を中程度よりも高くし、かつ、点滅速度も中程度より速くする態様等が考えられる。
【0031】
在庫管理システム1において実行される処理について説明する。以下の説明において、サーバ装置20における処理はサーバ制御部22が制御し、無線タグ40における処理はタグ制御部44が制御し、無線端末50における処理は無線端末制御部55が制御する。
【0032】
商品が梱包された段ボール10がバックルームに入庫する際に行われる処理の一例について、
図6を参照して説明する。例えば、段ボール10の入庫の際に、まず、段ボール10に貼り付けられる前の無線タグ40と段ボール10との紐付けが行われる。当該紐付けのため、無線端末50にて紐付け処理が行われる(ステップS100)。
【0033】
紐付け処理では、段ボール10から段ボール10内の商品の商品情報を取得し、かつ、その段ボール10に貼り付ける無線タグ40からタグIDを取得して、取得した商品情報とタグIDとを対応付ける。商品情報には、上述したように、例えば、商品識別情報(例えば、商品ID)が含まれる。商品情報は、例えば、段ボール10に予め記録されたバーコードから読み取ってもよいし、段ボール10の外側から段ボール10内の各商品の商品タグから読み取ってもよい。タグIDは、例えば、無線タグ40の裏面に設けられた2Dコードから読み取ってもよいし、或いは、ユーザの操作に応じて入力されてもよい。無線タグ40は、紐付け処理後に対応する段ボール10の表面に貼り付けられる。
【0034】
なお、無線タグ40の裏面を利用しないでタグIDが入力される場合(例えば、ユーザの操作に応じてタグIDが入力される場合)、無線タグ40が段ボール10に貼り付けられた状態で
図6の処理が行われてもよい。
【0035】
無線端末50で紐付け処理が行われた後、新在庫情報がサーバ装置20へ送信される。新在庫情報には、段ボール10から取得した商品情報とタグIDとが対応付けられた情報が含まれる。サーバ装置20では、受信した商品情報に基づいて在庫情報31に対して情報更新処理が行われる(ステップS101)。例えば、商品情報の商品識別情報からSKUを特定し、対応するSKU商品IDの在庫情報31の在庫数情報を更新し、新在庫情報に含まれるSKU商品ID、商品ID及びタグIDが互いに対応付けられるように、在庫商品ID情報及びタグID情報を更新する。
【0036】
更に、無線端末50は、紐付け情報を無線タグ40のユーザメモリ41aに書き込む(ステップS102)。紐付け情報には、段ボール10から取得した商品情報とその商品情報に紐付けられたタグIDが含まれる。これにより、ユーザメモリ41aに、紐付けられた商品情報と自己のタグIDとが、タグ情報として記録される。
【0037】
次に、操作端末60で検索対象として設定された商品を、バックルームで検索する処理について、
図7を参照して説明する。まず、操作端末60において、検索範囲特定処理が行われる(ステップS200)。検索範囲特定処理においては、例えば、検索可能な商品リストが画面に一覧され、ユーザに検索したい商品を選択させる。商品リストには、商品名の他、例えば、SKUを決定するための各属性を示す文字情報、商品のカラー写真等が表示され、ユーザに各属性を選択させる。この選択操作により、検索対象としての商品(以下「検索対象商品」という。)の範囲、即ち検索範囲(即ち、SKU)が特定される。検索範囲が特定されると、検索範囲情報がサーバ装置20へ送信される。検索範囲情報には、例えば、検索範囲に対応するSKU商品IDに関する情報、及び検索された日時を示す検索時間情報が含まれている。
【0038】
サーバ装置20では、検索範囲情報に基づいて検索商品処理が行われる(ステップS201)。検索商品処理では、検索範囲情報に含まれる検索対象商品に関する出力指示を作成するための処理が行われる。例えば、サーバ制御部22は、在庫情報31において、検索対象商品に対応するSKU商品IDに対応付けられた在庫数情報を参照して、この在庫数情報に基づいて在庫状況(例えば、上述のレベル)を特定する。そして、サーバ制御部22は、出力態様情報35を参照して、特定された在庫状況に対応する出力態様を特定する。これにより、サーバ制御部22は出力態様特定部22aとして機能する。
【0039】
また、サーバ制御部22は、在庫情報31において、検索対象商品に対応するSKU商品IDに対応付けられたタグIDを、検索対象商品を保管する段ボール10に対応するタグとして特定する。これにより、サーバ制御部22はタグ特定部22bとして機能する。出力態様及びタグIDが特定されると、サーバ制御部22は、特定されたタグIDに対応する無線タグ40の状況出力部43の出力態様が、サーバ制御部22で特定された出力態様となるように出力指示を作成し、これを無線端末50へ送信する。これにより、サーバ制御部22は出力指示作成部22cとして機能する。
【0040】
更に、検索商品処理では、サーバ装置20は、検索範囲情報に基づいて検索履歴情報33を更新する。例えば、サーバ装置20は、検索範囲情報に含まれる検索時間情報を、検索対象商品の検索履歴に追加し、検索回数を更新する。
【0041】
なお、サーバ制御部22は、在庫状況を特定する際には、在庫情報31の在庫数情報に加えて、例えば、検索対象商品に関して、販売履歴情報32の販売履歴、検索履歴情報33の検索履歴、及び持ち出し履歴情報34の持ち出し履歴のうち少なくとも一つを参照して、これら履歴も考慮して在庫状況を特定してよい。例えば、これら履歴に基づいて、検索対象商品が人気商品と判断された場合(例えば、販売数、検索回数、持ち出し回数が右肩上がりの場合)、所定範囲の在庫数に対応するレベル(在庫逼迫レベル)が、通常の場合よりも高く特定されてよい。或いは、例えば、季節に応じて販売数が変化する等の販売傾向がある場合、現在の季節の販売傾向を考慮して在庫状況(在庫逼迫レベル)が特定されてもよい。
【0042】
無線端末50では、出力指示に基づいて検索実行処理が行われる(ステップS202)。検索実行処理では、無線端末制御部55は、出力指示が示すタグID(即ち、サーバ装置20で特定されたタグID)に対応する無線タグ40を特定する電波を発信し、特定された無線タグ40に対して、出力指示が示す出力態様で状況出力部43を出力させるコマンドを含む出力実行指示を発信する。これにより、無線端末制御部55は、特定タグ指示部55aとして機能する。ユーザは状況出力部43の発光により、対応する段ボール10に検索対象商品が保管されていること、及びその商品の在庫状況を認識することができる。なお、検索対象商品の在庫がバックルームにない場合は、例えば、サーバ装置20は、在庫がないことを示す情報を含む出力指示を作成し、無線端末50は表示部53において検索対象商品がないことを表示してもよい。
【0043】
無線タグ40においては、出力実行指示に含まれるコマンドに従って検索結果処理が行われる(ステップS203)。これにより、無線タグ40は、サーバ装置20が特定した出力態様となるように状況出力部43(発光部)を出力(発光)させる。
【0044】
在庫管理システム1では、バックルームから商品が持ち出されて在庫数が変化した場合、在庫情報31が適宜更新される。在庫情報31が更新される処理について、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図8及び
図9におけるサーバ装置20の処理は、サーバ制御部22の入出庫検出部によって行われてよい。
【0045】
バックルームにおいて段ボール10から商品(例えば商品A)を持ち出す場合の処理の一例について、
図8を用いて説明する。まず、無線端末50では持ち出し商品情報取得処理が行われる(ステップS300)。持ち出し商品情報取得処理では、例えば、無線端末50を用いて、持ち出す商品Aの商品タグから商品IDをユーザによって読み取らせる。無線端末50は、商品IDを読み取った日時を持ち出し時間情報として特定し、読み取った商品ID、持ち出し数量及び持ち出し時間情報を含む持ち出し情報をサーバ装置20へ送信する。持ち出し数量は、例えば、ユーザの入力操作に応じて無線端末50が取得してもよい。
【0046】
サーバ装置20は、持ち出し情報を取得すると、商品Aがバックルームから持ち出されたと判断し、持ち出し情報に基づいて情報更新処理を行う(ステップS301)。ステップS301の情報更新処理では、サーバ装置20は、例えば、在庫情報31及び持ち出し履歴情報34を更新する。在庫情報31に関しては、サーバ装置20は、例えば、持ち出し情報が示す持ち出し数量に基づいて、在庫数情報を更新し、また、持ち出し情報が示す商品ID(即ち、在庫商品ID)に持ち出されたことを示す情報を対応付ける、或いは当該商品IDを削除してもよい。持ち出し履歴情報34に関しては、サーバ装置20は、例えば、持ち出し情報に含まれる持ち出し数量及び持ち出し時間情報を、持ち出し情報が示す商品IDに対応するSKU商品IDの持ち出し履歴に追加する。
【0047】
一方、無線タグ40ではタグ情報更新処理が行われる(ステップS302)。タグ情報更新処理では、例えば、持ち出された商品の商品IDを無線タグ40のユーザメモリ41aに書き込む操作が、ユーザによって行われることにより、ユーザメモリ41aが保持するタグ情報が更新される。例えば、持ち出された商品の商品IDに持ち出されたことを示す情報が対応付けられてもよいし、当該商品IDが削除されてもよい。
【0048】
次に、段ボール10がバックルームから持ち出されてゲート80を通過する場合の処理の一例について
図9を用いて説明する。まず、ゲートセンサ90が無線タグ40(例えば、タグID)を検出すると、タグ検出処理が行われる(ステップS400)。タグ検出処理では、例えば、ゲートセンサ90は、無線タグ40を検出した日時を持ち出し時間情報として特定し、検出したタグIDと持ち出し時間情報とを含むゲート持ち出し情報(「出庫時間情報」の一例)をサーバ装置20へ送信する。ゲート持ち出し情報を受信したサーバ装置20は、段ボール10(即ち、商品)がバックルームから持ち出されたと判断し、ゲート持ち出し情報に基づいて情報更新処理を行う(ステップS401)。ステップS401の情報更新処理では、在庫情報31から、ゲート持ち出し情報に含まれるタグIDに基づいて持ち出された段ボール10内の商品のSKU商品ID及び在庫商品IDが特定される。SKU商品ID等の特定後の在庫情報31及び持ち出し履歴情報34の更新に関する処理はステップS301にて実行される情報更新処理と同様でよい。
【0049】
ステップS301(
図8)の情報更新処理、及びステップS401(
図9)の情報更新処理において、在庫情報31及び持ち出し履歴情報34が更新されるタイミングは、商品又は段ボール10がバックルームから持ち出される度に行われなくてもよい。例えば、在庫情報31及び持ち出し履歴情報34の少なくとも一方は、持ち出された商品を所定期間ごとに集計して更新されてもよいし、或いは、商品の持ち出し数が所定数に達した場合に更新されてもよい。なお、ゲートセンサ90は、バックルームに入庫される段ボール10や商品もタグIDや商品IDを用いて検出可能であってもよい。入庫か出庫かの判断は、公知の移動方向判定方法を採用すればよく、例えば、移動方向を、ゲートセンサ90に含まれ、商品や段ボール10がゲート80を通過する方向に並ぶ2つ以上のセンサの検出タイミングの時間差に基づいて判断してもよい。
【0050】
在庫管理システム1は、上記形態における処理に加えて、複数の段ボール10が複数のバックルームに分散して保管される場合、検索対象商品が他のバックルームにも存在することを示すように無線タグ40の状況出力部43を出力させるように構成することも可能である。以下、上記形態と異なる処理及び追加される処理について説明する。
【0051】
例えば、在庫情報31に代えて、
図10Aに示すように、在庫情報31に部屋情報(「場所情報」の一例)が追加された在庫情報31aがデータベース群30に含まれる。部屋情報には、対応するSKU商品IDの商品が保管されているバックルームの識別情報(以下「部屋ID」)を含む部屋に関する情報が記憶されている。
【0052】
図6の紐付け処理の際に、例えば、処理対象の段ボール10が保管されるバックルームの部屋IDを新在庫情報及び紐付け情報に含ませる。部屋IDは、ユーザに無線端末50に直接入力させてもよいし、或いは、ユーザが入力した情報(例えば、部屋名)に基づいて対応する部屋IDが特定されてもよい。ステップS101の情報更新処理では、新在庫情報に基づいて在庫情報31aが更新される。情報更新処理では、部屋IDを対応するSKU商品IDの部屋情報として記憶する他は、上述の形態と同様の処理が行われる。また、書込み処理(ステップS102)では、ユーザメモリ41aに、紐付け情報として商品情報、タグID及び部屋IDが記録される。
【0053】
図7のステップS201の検索商品処理においては、例えば、在庫情報31の部屋情報に複数の部屋IDが設定されている場合、サーバ装置20の出力指示作成部22cは、在庫状況に応じて特定された出力態様に加えて、検索対象商品が複数のバックルームで保管されていることを示す所定の出力態様(部屋出力態様)で、状況出力部43が出力するように出力指示を作成し、これを無線端末50へ送信する。無線端末50の特定タグ指示部55aは、ステップS202の検索実行処理において、例えば、在庫状況に応じた出力態様に加えて所定の部屋出力態様で状況出力部43の出力が実行されるように、タグIDに対応する無線タグ40に対して、出力実行を指示する。所定の部屋出力態様としては、例えば、本形態のように、状況出力部43が光を出力する場合、発光が所定の動きをすることが考えられる。
【0054】
更に、2つ以上のバックルームが存在する場合、各部屋に対して色を決めておき、検索対象商品が存在する他のバックルームに対応する色で状況出力部43が発光するように構成してもよい。この場合、例えば、次のような処理が考えられる。データベース群30には、各部屋IDに対応する状況出力部43の出力態様に関する情報が記憶され、例えば、
図10Bに示すように、部屋IDに複数部屋別出力態様が対応付けられた複数部屋出力態様情報36が更に含まれる。複数部屋出力態様には、状況出力部43の出力により、各バックルームが識別可能なように、各バックルーム(即ち、部屋ID)に対して異なる出力態様が設定されている。例えば、出力が光の場合、部屋ごとに異なる色を設定することが考えられる。
【0055】
図7のステップS201の検索商品処理において、例えば、サーバ装置20は、参照した在庫情報31aの部屋情報の複数の部屋IDに対応する複数の色(複数部屋出力態様)を、複数部屋出力態様情報36を参照することにより特定し、出力指示作成部22cは、在庫状況に応じて特定された出力態様に加えて、特定された複数の色で状況出力部43が出力するように出力指示を作成し、これを無線端末50へ送信する。無線端末50は、ステップS202の検索実行処理において、例えば、在庫状況に応じて特定された出力態様に加えて、出力指示が示す複数の色を発光するように出力指示を無線タグ40へ送信する。複数の色を発光する態様としては、例えば、複数の色を短時間で切り替えるように構成してもよいし、或いは、複数の発光素子が存在する場合は複数の発光素子で発光する色を分担するように構成してもよい。なお、「部屋出力態様」及び「複数部屋出力態様」は「場所情報に対応する出力態様」の一例である。また、部屋出力態様は及び複数部屋出力態様は、例えば、文字出力や音声出力によるものでもよい。無線タグ40の状況出力部43の出力とは別の出力部(例えば、音声出力部又は文字出力部)から出力されてもよい。更に、部屋情報に対応する出力態様で出力を行う出力部を無線端末50に設けてもよい。
【0056】
本形態では、状況出力部43は光を出力する発光部としたが、発光部に代えて又は加えて、音発生部として機能してもよい。この場合、在庫状況に応じて、発光に代えて/又は加えてメロディ、効果音、音声等が所定の態様で出力されてよい。また、段ボール10やタグ情報に記録されている商品識別情報は、SKU商品IDであってもよい。本形態に係るシステムは、在庫状況に応じた出力態様で注意喚起されたユーザが不足した或いは不足しそうな商品の発注等をかけるように構築されているが、該発注に係る処理の少なくとも一部がサーバ装置20側で実行されるように構築されてもよい。即ち、発注等に係る処理の少なくとも一部が、サーバ装置20側で適切なタイミングで行われていることの確認作業を状況出力部43からの出力によりユーザが行えるように構築されてもよい。更には、無線端末50の処理能力に応じてサーバ装置20による上述した処理の少なくとも一部を、無線端末50で行うように構成してもよい。
【0057】
<付記>
以上説明した実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
【0058】
(付記1)
付記1に記載の在庫管理システムは、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能と、梱包箱内の商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、前記商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備え、前記無線タグの前記在庫情報出力部は、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力する、ことを特徴とする在庫管理システムである。
【0059】
付記1に記載の在庫管理システムによれば、無線タグに備えられた在庫情報出力部は、無線端末で特定された商品について、梱包箱内の商品の在庫情報に対応した出力態様で在庫に関する情報を出力する。例えば、バックルームにおいて無線端末が使用されることにより、目的の商品についての在庫に関する情報を在庫情報出力部の出力態様によりユーザに認識させることができる。これにより、例えば、商品の発注の必要性をバックルームにおいてユーザに容易に判断させることができる。このように、近距離無線通信で交信可能な無線端末と無線タグとを利用して、バックルームにおける在庫管理作業を容易にすることが可能となる。
【0060】
在庫情報出力部によって行われる出力は、ユーザの視覚や聴覚を用いて感知可能な出力であればよく、例えば、光、メロディ、効果音、音声等が考えられる。「近距離無線通信」は、通信距離が比較的短い(例えば、数十m以内)距離を、電波や磁界に情報を乗せて送受信する通信方式であれば、その種類は問わない。なお、在庫情報に対応する出力態様の特定は、在庫管理システム内のいずれかの構成により行われればよく、例えば、無線端末で行われてもよいし、サーバ装置で行われてもよい。
【0061】
(付記2)
付記2に記載の在庫管理システムは、前記データベースは、前記商品がバックルームから持ち出された履歴に関する持ち出し履歴情報、前記商品が販売された履歴に関する販売履歴情報、及び前記商品が検索された履歴に関する検索履歴情報を含み、前記在庫情報出力部は、前記在庫情報に加えて、前記商品の前記持ち出し履歴情報、前記販売履歴情報、及び前記検索履歴情報のうち少なくとも一つに対応する出力態様を出力する、付記1に記載の在庫管理システムである。
【0062】
付記2に記載された在庫管理システムによれば、商品の在庫情報だけでなく、販売履歴情報、検索履歴情報、及び/又は持ち出し履歴情報も考慮された出力態様が出力される。従って、これら履歴情報から、例えば、商品の人気度、販売傾向等の付加情報を把握して、これら付加情報を考慮した在庫管理が可能となる。
【0063】
(付記3)
付記3に記載の在庫管理システムは、前記無線端末とデータ通信可能なサーバ装置を更に含み、前記サーバ装置は、前記商品の前記在庫情報に基づいて前記出力態様を特定する出力態様特定部を備え、前記無線タグの前記在庫情報出力部は、前記出力態様特定部において特定された前記出力態様で前記在庫に関する情報を出力する、付記1又は2に記載の在庫管理システムである。
【0064】
付記3に記載された在庫管理システムによれば、サーバ装置によりデータベースの在庫情報に基づいた在庫情報出力部の出力態様を特定することが可能となる。これにより、処理能力に制御のある無線端末であっても、本発明に係る在庫管理システムに適用可能となる。「データ通信」は、閉じられたLANによる通信、或いはインターネット等の広域ネットワークを介した通信等、クライアント・サーバシステムで通常使用される通信方式、或いはPeer to Peer方式であってもよい。また、無線/有線を問わない。なお、無線端末と無線タグとサーバ装置とを含む在庫管理システムの場合、例えば、次のように構成することが可能である。近距離無線通信機能を有する無線端末と、バックルームにおける複数の梱包箱のそれぞれに対応付けられ、各前記梱包箱内の商品の在庫状況を前記無線端末からの出力実行の指示に従ってユーザの感知可能な出力態様で出力する状況出力部を備えた近距離無線通信機能を有する無線タグと、前記無線端末とデータ通信可能なサーバ装置と、各前記無線タグに対応する前記梱包箱内の各商品の在庫状況に関する在庫情報を格納するデータベースと、を含み、前記サーバ装置は、前記在庫情報に基づいて、一の商品の在庫状況を特定し、特定した前記一の商品の在庫状況に応じて、前記一の商品に対応する前記無線タグが備える前記状況出力部の出力態様を特定する出力態様特定部と、前記商品に対応する前記無線タグを特定するタグ特定部と、特定された前記無線タグにおける前記状況出力部が、特定された前記出力態様で前記在庫状況を出力するように、前記無線端末に対する出力指示を作成する出力指示作成部と、を備え、前記無線端末は、前記出力指示が示す前記特定された無線タグに、前記状況出力部が前記特定された出力態様で前記在庫状況を出力するように前記出力実行を指示する特定タグ指示部を備える、在庫管理システム。これにより、無線タグの動作を制御するコマンドコードを送信する機能を有する無線端末であれば本発明を適用することが可能となる。
【0065】
(付記4)
付記4に記載の在庫管理システムは、前記無線端末は、前記梱包箱に記録されたコードを読み取り可能であり、前記無線タグは、前記無線タグ自身を識別するタグ識別情報を保持し、前記無線端末は、前記コードから前記梱包箱内の商品に関する情報を取得して、前記サーバ装置へ送信し、かつ、前記梱包箱に対応する前記無線タグから前記タグ識別情報を取得して、前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記タグ識別情報と前記商品に関する情報とが対応付けられるように、前記在庫情報を更新する、付記2に記載の在庫管理システムである。
【0066】
付記4に記載された在庫管理システムによれば、無線端末によって、無線タグと梱包箱内の商品とを対応付けることができ、この対応付けに基づいて在庫情報を更新することが可能となる。例えば、梱包箱が新しくバックルームに入庫した際に、在庫情報を容易にかつ迅速に更新することが可能となる。
【0067】
(付記5)
付記5に記載の在庫管理システムは、前記出力態様は、少なくとも一つの発光素子で構成される発光手段による出力態様である、付記1~付記4のいずれか一項に記載の在庫管理システムである。
【0068】
付記5に記載された在庫管理システムによれば、発光によって在庫に関する情報をユーザに知らせることができる。例えば、在庫情報出力部の出力が聴覚的な出力である場合と比較すると、静音性を要求される環境に適している。また、一度に複数の異なる商品が検索される場合でも出力が互いに干渉する可能性が低くなる。
【0069】
(付記6)
付記6に記載の在庫管理システムは、前記在庫情報は、前記商品に対応する前記梱包箱が保管されている場所情報を含み、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記無線タグ又は前記無線端末に、前記場所情報に対応する出力態様での出力をさせる、付記1~5のいずれか一項に記載の在庫管理システムである。
【0070】
付記6に記載された在庫管理システムによれば、例えば、商品が梱包されている梱包箱が複数のバックルームに存在することを、ユーザに容易にかつ迅速に知らせることが可能となる。場所情報に基づく出力は、例えば、文字出力、効果音出力、或いは音声出力であってもよい。また、無線タグにおいては、場所情報に基づく出力は在庫情報出力部から出力されてもよい。
【0071】
(付記7)
付記7に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、前記在庫情報は、前記商品の在庫数に関する在庫数情報を含み、前記在庫情報出力部は、前記在庫数情報に基づいて前記商品の在庫情報に対応する前記出力態様を出力してもよい。
【0072】
付記7に記載された在庫管理システムによれば、商品の在庫状況を現在の在庫数に基づいて特定することが可能となる。
【0073】
(付記8)
付記8に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、前記梱包箱内の商品が前記バックルームへ入出庫されているか否かを判断する入出庫検出部を有し、前記入出庫検出部は、検出した前記商品に関し、前記商品が出庫した時間に関する出庫時間情報を取得し、更に、前記出庫時間情報を用いて、前記在庫情報、及び前記持ち出し履歴情報を更新してもよい。
【0074】
付記8に記載された在庫管理システムによれば、バックルームから出庫される商品を、入出庫検出部によって検出し、在庫情報及び持ち出し履歴情報を更新することができる。
【0075】
(付記9)
付記9に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、いずれかの商品を指定する他の無線端末を更に含み、指定された前記商品に関して、前記データベースの前記検索履歴情報を更新してもよい。
【0076】
付記9に記載された在庫管理システムによれば、商品をユーザが指定することができる例えば、ユーザは、バックルームで検索したい商品を指定することにより、検索したい商品だけでなくその商品の在庫に関する情報も感知することができる。特に、この指定操作は無線端末であるため、ユーザはバックルームにいる必要はなく、どこにいても希望する商品を指定することが可能となる。
【0077】
(付記10)
付記10に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、前記商品は、商品の型、色、柄、サイズの少なくとも一つ以上の単位で識別されてもよい。
【0078】
付記10に記載された在庫管理システムによれば、梱包箱内の商品を、型、色、柄、サイズの少なくとも一つ以上の単位(いわゆるSKU単位)で管理することができる。
【0079】
(付記11)
付記11に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、前記無線タグは、対応する前記梱包箱の表面に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0080】
付記11に記載された在庫管理システムによれば、無線タグと対応付けられた梱包箱との対応関係をユーザに容易に認識させることが可能となり、かつ、無線タグは梱包箱に対して着脱可能であることから、梱包箱が処分された後でも再利用可能である。
【0081】
(付記12)
付記12に記載の在庫管理システムは、上記在庫管理システムにおいて、前記近距離無線通信は、RFID技術を利用した通信であってもよい。
【0082】
付記12に記載された在庫管理システムによれば、無線端末は無線タグからある程度距離(例えば、UHF波を使用する場合数m)があっても無線通信が可能である。また、複数の無線タグから情報を一括読み込みすることも可能であり、在庫管理を効率化することが可能となる。
【0083】
(付記13)
付記13に記載の在庫管理方法は、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能を有する無線タグと、梱包箱内の商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備えた在庫監視システムにおける在庫管理方法であって、前記無線タグに、前記商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備え、前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力させる、ことを特徴とする在庫管理方法である。
【0084】
付記13に記載された在庫管理方法によれば、付記1に記載された在庫管理システムを実現可能となる。
【0085】
(付記14)
付記14に記載のコンピュータプログラムは、近距離無線通信機能を有する無線端末と、近距離無線通信機能と、梱包箱内の商品の在庫に関する情報を出力する在庫情報出力部を備えた無線タグと、前記商品の在庫に関する在庫情報を格納するデータベースと、を備えた在庫管理システムに含まれるコンピュータを、前記無線タグの前記在庫情報出力部に、前記無線端末により特定された前記商品に関し、前記在庫情報に対応する出力態様を出力させるように構成されたコンピュータプログラムである。
【0086】
付記14に記載されたコンピュータプログラムによれば、付記1に記載された在庫管理システムを実現可能となる。
【0087】
(付記15)
付記15に記載の記録媒体は、付記14に記載のコンピュータプログラムが記録されている記録媒体である。
【0088】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う在庫管理システム、在庫管理方法及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。
【0089】
この出願は、2020年9月24日に出願された日本出願特願2020-159484を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。