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特許7694652データ収集装置、データ収集方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】データ収集装置、データ収集方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20250611BHJP
   G01M 17/08 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
G01M17/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023518570
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2021017460
(87)【国際公開番号】W WO2022234637
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 玲史
(72)【発明者】
【氏名】美島 咲子
(72)【発明者】
【氏名】荒井 友督
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-172861(JP,A)
【文献】特開2002-340869(JP,A)
【文献】特開2009-025015(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101430(WO,A1)
【文献】特開2007-145270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 17/00
G01M 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの継ぎ目である対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出手段と、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定手段と、
前記分析範囲において、異常を検出し、前記分析範囲が基づく前記対象データ点のデータが得られた前記レールの前記継ぎ目を特定する異常検出手段と、
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類する分類手段と、
前記異常が検出された前記分析範囲において前記異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出する分類信頼度算出手段と、
目視によって異常が存在することが確認された前記継ぎ目の、前記異常が検出された割合を表す対象信頼度を算出し、目視によって異常が存在しないことが確認された前記継ぎ目の前記対象信頼度をゼロに設定する対象信頼度算出手段と、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報であって、前記分析範囲の前記音響データが得られた前記継ぎ目の前記対象信頼度が付与された前記分析範囲の情報と、前記継ぎ目ごとの前記対象信頼度と、前記分類ごとの前記分類信頼度とを出力する出力手段と、
を備えるデータ収集装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記分析範囲よりも短く、前記対象データ点を含む除外範囲を、前記分析範囲から除外する
請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記異常が検出された場合、前記分析範囲の情報を、異常データベースに格納する
請求項1又は2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記対象の観測の環境情報を受け付ける環境情報受付手段
をさらに備え、
前記分類手段は、前記環境情報に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記対象の属性を受け付ける属性受付手段
をさらに備え、
前記分類手段は、前記属性に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
レールの継ぎ目である対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出し、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定し、
前記分析範囲において、異常を検出し、前記分析範囲が基づく前記対象データ点のデータが得られた前記レールの前記継ぎ目を特定し、
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類し、
前記異常が検出された前記分析範囲において前記異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出し、
目視によって異常が存在することが確認された前記継ぎ目の、前記異常が検出された割合を表す対象信頼度を算出し、目視によって異常が存在しないことが確認された前記継ぎ目の前記対象信頼度をゼロに設定し、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報であって、前記分析範囲の前記音響データが得られた前記継ぎ目の前記対象信頼度が付与された前記分析範囲の情報と、前記継ぎ目ごとの前記対象信頼度と、前記分類ごとの前記分類信頼度とを出力する、
データ収集方法。
【請求項7】
レールの継ぎ目である対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出処理と、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定処理と、
前記分析範囲において、異常を検出し、前記分析範囲が基づく前記対象データ点のデータが得られた前記レールの前記継ぎ目を特定する異常検出処理と、
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類する分類処理と、
前記異常が検出された前記分析範囲において前記異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出する分類信頼度算出処理と、
目視によって異常が存在することが確認された前記継ぎ目の、前記異常が検出された割合を表す対象信頼度を算出し、目視によって異常が存在しないことが確認された前記継ぎ目の前記対象信頼度をゼロに設定する対象信頼度算出処理と、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報であって、前記分析範囲の前記音響データが得られた前記継ぎ目の前記対象信頼度が付与された前記分析範囲の情報と、前記継ぎ目ごとの前記対象信頼度と、前記分類ごとの前記分類信頼度とを出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道設備の定期検査は、国土交通省によって義務付けられており、鉄道会社は保有する鉄道の種類や設備の種類に応じて、巡視を行っている。また、先進技術を利用して運行中の異常を監視する技術の開発を進めている。中でもレールの継目のボルト緩みや橋梁のフックボルトの緩みは、緩んだボルトが切れるまで発見されないことがあり、巡視や定期検査の補助になる異常識別システムが求められている。
【0003】
レールの継ぎ目の状態を推定する技術の例が以下の文献によって開示されている。
【0004】
特許文献1及び引用文献4には、車両の軸箱にかかる軸箱加速度及び車両の走行地点におけるレールの高低狂いと、接着絶縁レールの継目板にかかる応力との関係に基づいて、測定された自軸箱加速度及び高低狂いから継目板にかかる応力を推定する方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ゲージを使用してレールの継ぎ目部に形成された遊間の大きさを測定する装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、軌道上を走行する車両において取得された音響信号をフーリエ変換し、その所定時間ごとのピーク値に基づいて、起動の状態を検出する方法が開示されている。
【0007】
特許文献5には、軌道に沿って走行する対象物の基準点と軌道との距離が所定の範囲にある場合、対象物の振動データを用いて対象物の車軸軸受の異常を判定する装置が開示されている。
【0008】
特許文献6には、異常検出対象の音響信号に関する信号パターン特徴を算出し、信号パターン特徴に基づいて、異常検出を行うための異常スコアを算出する異常検出装置が開示されている。異常検出対象の音響信号に関する信号パターン特徴は、第1の時間幅の音響信号と、第1の時間幅よりも長い第2の時間幅の音響信号から算出された長時間特徴量とに基づいて学習された信号パターンモデルに基づいて算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5128870号公報
【文献】実開平6-074912号公報
【文献】特開2007-145270号公報
【文献】特開2009-042054号公報
【文献】特開2018-081003号公報
【文献】国際公開第2019/220620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
レール継目のボルト緩みなどの異常は、列車が通過時に音として現れることがある。これは、運転手などの経験上知られている事象である。音を使用して精度よく異常を検出するモデルを学習するためには、ボルト緩みなどの異常が生じているレール継目を列車が通過する際の音を収集する必要がある。
【0011】
特許文献1乃至6には、異常を検出するための技術が記載されている。特許文献1乃至6の技術では、異常が生じている対象から得られた音響データの収集を効率化することはできない。
【0012】
本開示の目的の1つは、異常が生じている対象から得られた音響データの収集を効率化できるデータ収集装置などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様に係るデータ収集装置は、対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出手段と、前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定手段と、前記分析範囲において、異常を検出する異常検出手段と、前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する出力手段と、を備える。
【0014】
本開示の一態様に係るデータ収集方法は、対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出し、前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定し、前記分析範囲において、異常を検出し、前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する。
【0015】
本開示の一態様に係るプログラムは、対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出処理と、前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定処理と、前記分析範囲において、異常を検出する異常検出処理と、前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。本開示の一態様は、上述のプログラムを記憶する記憶媒体によっても実現される。
【発明の効果】
【0016】
本開示には、異常が生じている対象から得られた音響データの収集を効率化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係るデータ収集装置の構成の例を表すブロック図である。
図2図2は、本開示の第1の実施形態に係るデータ収集装置100の動作の例を表すフローチャートである。
図3図3は、本開示の第2の実施形態に係るデータ収集装置101の構成の例を表すブロック図である。
図4図4は、本開示の第2の実施形態のデータ収集装置101の動作の例を表すフローチャートである。
図5図5は、第2の実施形態の第1の変形例に係るデータ収集装置101Aの構成の例を表すブロック図である。
図6図6は、第2の実施形態の第2の変形例に係るデータ収集装置101Bの構成の例を表すブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態の第3の変形例に係るデータ収集装置101Cの構成の例を表すブロック図である。
図8図8は、本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの構成の例を表すブロック図である。
図9図9は、本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの、対象信頼度を付与する動作の例を表すフローチャートである。
図10図10は、本開示の第2の実施形態の第7の変形例に係るデータ収集装置101Eの構成の例を表すブロック図である。
図11図11は、本開示の第7の実施形態に係るデータ収集装置101Eの動作の例を表すフローチャートである。
図12図12は、本開示の第2の実施形態の第8の変形例に係るデータ収集装置101Fの構成の例を表すブロック図である。
図13図13は、本開示の実施形態に係るデータ収集装置の各々を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本開示の実施形態について図面を使用して詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。
【0020】
<構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係るデータ収集装置の構成の例を表すブロック図である。
【0021】
<データ収集装置100>
図1に示す例では、データ収集装置100は、対象検出部120と、決定部130と、異常検出部140と、出力部170と、を備える。対象検出部120は、対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する。決定部130は、前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する。決定部130は、前記分析範囲において、異常を検出する。出力部170は、前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する。以下では、観測によって得られるデータは振動データであるとして説明するが、観測によって得られるデータは、音響データではなく、振動のデータであってもよい。
【0022】
<対象検出部120>
音響データは、例えば、線路を走行する車両等に取り付けられたセンサによって観測されたデータを、周波数領域のデータに変換することによって得られる、音響の推移を表す時系列データである。センサは、例えば、マイクロフォン等の音響センサ、又は、振動センサなどの、車両がレールの継ぎ目を通過する時に発する音響又は振動を観測できるセンサである。以下では、センサは音響センサであるとして説明する。センサが取り付けられる位置は、例えば、車両の台車又はレール付近等の車両の下方の部分であってもよい。センサが取り付けられる位置は、台車に載せられている車両の部分であってもよい。センサが取り付けられる位置は、台車又は車両の表面であってもよい。センサが取り付けられる位置は、台車又は車両の内部であってもよい。音響データが含む個々の時点のデータを、以下では、要素データと表記する。変換の方法は、既存の様々な方法のいずれかであってよい。対象は、例えば、レールの継ぎ目である。対象データ点は、例えば、センサからの距離が最も短い車輪がレールの継ぎ目を通過した時点で観測されたデータである。対象検出部120は、例えば、音響データにおける、音圧が閾値以上の大きさの極大値を取る点を、対象データ点として検出する。
【0023】
音響データは、観測の時刻と関連付けられていてもよい。例えば、音響データの個々の要素データの時間間隔と、音響データの観測の開始時刻とが与えられる。音響データの要素データの各々に、観測の時刻が関連付けられていてもよい。さらに、観測時の車両の走行の速度と、レールの長さとが得られていてもよい。対象検出部120は、例えば、音響データにおける、音圧が閾値以上の大きさの極大値を取る点を、対象データ点として検出してもよい。この場合、対象検出部120は、さらに、検出された対象データ点が観測された時刻と、車両の走行の速度と、レールの長さとに基づいて、次の対象データ点が得られる時刻を算出してもよい。そして、対象検出部120は、算出した時刻に観測されたデータを対象データ点として検出してもよい。対象検出部120は、算出した時刻を含む所定時間幅の間に観測されたデータから、音圧が閾値以上の大きさの極大値を取る点を、対象データ点として検出してもよい。
【0024】
さらに、例えばGPS(Global Positioning System)等を利用して得られた観測の場所が、観測の時刻と関連付けられていてよい。対象検出部120は、観測の場所と観測の時刻との関係を使用して、観測データが得られた期間における、レールの継ぎ目を通過した時刻を推定してよい。対象検出部120は、推定された時刻に観測されたデータを、対象データ点として検出してもよい。対象検出部120は、推定した時刻を含む所定時間幅の間に観測されたデータから、音圧が閾値以上の大きさの極大値を取る点を、対象データ点として検出してもよい。
【0025】
<決定部130>
決定部130は、例えば、対象データ点が観測された時刻から所定時間(第1所定時間と表記)前の時刻から、対象データ点が観測された時刻から所定時間(第2所定時間)後の時刻までの期間に得られたデータを、分析範囲に決定してもよい。第1所定時間と第2所定時間は、同じであってもよい。第1所定時間及び第2所定時間は、固定されていてもよい。第1所定時間及び第2所定時間は、対象データ点が観測された時刻における車両の走行の速度に基づいて定められていてもよい。具体的には、第1所定時間及び第2所定時間は、車両の走行の速度が大きいほど短くなるように定められていてもよい。以下の説明では、対象データ点が観測された時刻から第1所定時間前の時刻から、対象データ点が観測された時刻から第2所定時間後の時刻までの間の観測データの範囲を、影響範囲と表記する。影響範囲の開始時刻を、影響開始時刻と表記する。影響範囲の終了時刻を、影響終了時刻と表記する。言い換えると、影響範囲は、影響開始時刻から影響終了時刻までの間に観測された音響データの一部分である。決定部130は、影響範囲を、分析範囲に決定してもよい。
【0026】
決定部130は、影響範囲のうち、対象データ点を含み、影響範囲の長さよりも短い長さの範囲(除外範囲と表記)を除く範囲を、分析範囲に決定してもよい。以下の説明では、除外範囲の開始時刻を、除外開始時刻と表記する。除外範囲の終了時刻を、除外終了時刻と表記する。除外開始時刻は、影響開始時刻よりも遅い時刻になるように決定される。除外終了時刻は、影響終了時刻よりも早い時刻になるように決定される。除外開始時刻から、対象データ点が観測された時刻までの時間を、第3所定時間と表記する。対象データ点が観測された時刻から除外終了時刻までの時間を、第4所定時間と表記する。第3所定時間及び第4所定時間は、固定されていてもよい。第3所定時間及び第4所定時間は、対象データ点が観測された時刻における車両の走行の速度に基づいて定められていてよい。具体的には、第3所定時間及び第4所定時間は、車両の走行の速度が大きいほど短くなるように定められていてもよい。言い換えると、決定部130は、影響範囲から除外範囲を除いた範囲を、分析範囲に決定する。さらに言い換えると、決定部130は、影響開始時刻から除外開始時刻までの間に観測された音響データの範囲、及び、除外終了時刻から影響終了時刻までの間に観測された音響データの範囲を、分析範囲に決定する。
【0027】
<異常検出部140>
異常検出部140は、分析範囲において、異常を検出する。具体的には、異常検出部140は、例えば、分析範囲において、レールの継ぎ目に異常が存在する場合に生じる異常パターンを検出する。異常パターンは、例えば、10~20Hzの間に存在する、強さのピークであってもよい。異常パターンは、10~20Hzの間に存在し、所定時間以上の間毛帰属する、強さのピークであってもよい。異常パターンは、例えば、あらかじめ学習によって得られているパターンであってもよい。
【0028】
異常検出部140は、分析範囲において異常パターンが検出された場合、レールの継ぎ目に異常が検出されたと判定する。分析範囲において異常パターンが検出された場合、異常検出部140は、検出された異常パターンの特徴を抽出してもよい。異常パターンの特徴は、例えば、分析範囲における、10~20Hzの間に存在する、強さのピークの継続時間であってもよい。異常パターンの特徴は、例えば、分析範囲における、対象データ点が観測された時刻よりも前の、10~20Hzの間の、強さのピークの継続時間、及び、対象データ点が観測された時刻よりも後の、10~20Hzの間の、強さのピークの継続時間であってもよい。異常パターンの特徴は、これらの例に限られない。
【0029】
異常検出部140は、例えば、あらかじめ学習によって得られた、レールの継ぎ目の異常を検出する検出器によって、レールの継ぎ目の異常を検出してもよい。
【0030】
<出力部170>
出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報を出力する。異常が検出された分析範囲の情報は、例えば、分析範囲における音響データである。異常が検出された分析範囲の情報は、例えば、分析範囲における音響データと、検出された異常の特徴とである。
【0031】
出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報を、データ収集装置100のディスプレイに出力してもよい。出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報を、記憶装置に格納してもよい。この記憶装置は、データ収集装置100に接続されている、外部の記憶装置やサーバ等であってもよい。この記憶装置は、データ収集装置100の内部に取り付けられている記憶装置であってもよい。この記憶装置は、データ収集装置100が読み書きできる記憶媒体であってもよい。
【0032】
<動作>
次に、本開示の第1の実施形態のデータ収集装置100の動作について、図面を使用して詳細に説明する。
【0033】
図2は、本開示の第1の実施形態に係るデータ収集装置100の動作の例を表すフローチャートである。
【0034】
図2に示す例では、まず、対象検出部120が、音響データにおいて、対象データ点を検出する(ステップS101)。対象検出部120は、音響データに存在する1つ以上の対象データ点を検出してよい。対象検出部120は、音響データに存在する全ての対象データ点を検出してよい。
【0035】
次に、決定部130が、音響データにおいて、対象データ点に基づいて分析範囲を決定する(ステップS102)。決定部130は、ステップS101において検出された対象データ点の各々について、分析範囲を決定してよい。
【0036】
次に、異常検出部140が、決定された分析範囲において、異常を検出する(ステップS103)。異常検出部140は、ステップS102において決定された分析範囲の各々において、異常を検出してよい。
【0037】
異常が検出されなかった場合(ステップS104においてNO)、データ収集装置100は、図2に示す動作を終了する。この場合、データ収集装置100は、図2に示す動作を終了する前に、出力部170は、音響データにおいて異常が検出されなかったことを示す情報を出力してもよい。
【0038】
異常が検出された場合(ステップS104においてYES)、出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報を出力する。出力部170は、異常が検出された分析範囲の各々について、異常が検出された分析範囲の情報を出力してよい。
【0039】
<効果>
本開示には、異常が生じている対象から得られた音響データの収集を効率化できるという効果がある。その理由は、対象検出部120が対象データ点を検出し、決定部130が対象データ点に基づく分析範囲を決定し、異常検出部140が決定された分析範囲において異常を検出するからである。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0041】
<構成>
図3は、本開示の第2の実施形態に係るデータ収集装置101の構成の例を表すブロック図である。
【0042】
図3に示す例では、データ収集装置101は、データ受付部110と、対象検出部120と、決定部130と、異常検出部140と、分類部150と、出力部170とを含む。データ収集装置101は、さらに、データ蓄積部160を含んでいてもよい。データ収集装置101は、さらに、環境情報受付部210を含んでいてもよい。データ収集装置101は、さらに、属性受付部220を含んでいてもよい。
【0043】
<データ受付部110>
データ受付部110は、例えば車両の台車に取り付けられたセンサ(例えばマイクロフォン)によって観測された音響を表す音響データを受け付ける。データ受付部110は、センサから直接音響データを受け付けてもよい。データ受付部110は、サーバ等に蓄積された音響データを、そのサーバなどから受け付けてもよい。
【0044】
データ受付部110が受け付ける音響データは、周波数領域のデータであってもよい。データ受付部110が受け付ける音響データは、時間領域のデータであってもよい。その場合、データ受付部110は、受け付けた音響データを、時間領域のデータに変換する。
【0045】
データ受付部110は、音響データを対象検出部120に送出する。
【0046】
<対象検出部120>
対象検出部120は、データ受付部110から音響データを受け取る。対象検出部120は、第1の実施形態の対象検出部120と同様に、音響データにおいて、対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する。対象検出部120は、検出した対象データ点を表す情報を、決定部130に送出する。
【0047】
対象データ点を表す情報は、音響データにおいて対象データ点を特定する情報である。対象データ点を表す情報は、対象データ点のデータが観測された時刻であってもよい。対象データ点を表す情報は、時系列の情報である音響データにおける、対象データ点のデータの順番を示す番号であってもよい。対象データ点を表す情報は、時系列の情報である音響データにおいて、対象データ点のデータに付与される番号等の識別情報であってもよい。音響データにおいて、ある時刻に観測されたデータを特定する情報を、以下の説明では、特定情報と表記する。
【0048】
<決定部130>
決定部130は、対象検出部120から、対象データ点を表す情報を受け取る。決定部130は、第1の実施形態の決定部130と同様に、対象データ点に基づいて、音響データにおける分析範囲を決定する。決定部130は、決定した分析範囲を表す情報を、異常検出部140に送出する。
【0049】
分析範囲が、上述の影響範囲である場合、分析範囲を表す情報は、影響開始時刻と影響終了時刻とであってもよい。この場合、分析範囲を表す情報は、影響開始時刻に観測されたデータを特定する番号又は識別子等の情報(すなわち特定情報)と、影響終了時刻に観測されたデータを特定する番号又は識別子等の情報(すなわち特定情報)と、であってもよい。
【0050】
分析範囲が、影響範囲から除外範囲を除いた範囲である場合、分析範囲を表す情報は、影響開始時刻と除外開始時刻と除外終了時刻と影響終了時刻とであってもよい。分析範囲を表す情報は、影響開始時刻に観測されたデータの特定情報と、除外開始時刻に観測されたデータの特定情報と、除外終了時刻に観測されたデータの特定情報と、影響終了時刻に観測されたデータの特定情報とであってもよい。
【0051】
<異常検出部140>
異常検出部140は、決定部130から、決定した分析範囲を表す情報を受け取る。異常検出部140は、第1の実施形態の異常検出部140と同様に、分析範囲において、異常を検出する。異常検出部140は、検出した異常の情報と、異常が検出された分析範囲の情報とを、分類部150に送出する。
【0052】
異常検出部140は、分析範囲において、複数の種類の異常を検出してもよい。異常検出部140は、分析範囲において異常パターンを検出し、異常パターンが検出された場合、異常が検出されたと判定してもよい。異常パターンは、例えば、ピークが含まれる、1つ以上の周波数帯の組み合わせによって表されていてもよい。異常パターンは、例えば、ピークが含まれる1つ以上の周波数帯と、それぞれの周波数帯におけるピークの強さの比との組み合わせによって表されていてもよい。異常パターンは、以上の例と異なっていてもよい。異常検出部140は、複数の異常パターンのうち、分析範囲における音響データに最もよくマッチする異常パターンを特定してもよい。異常検出部140は、分析範囲における音響データと、複数の異常パターンの各々との間のマッチの程度を表すスコアを算出してもよい。スコアは、マッチの程度を表すように適宜定義されていてよい。
【0053】
異常の種類は、例えば、レールの継ぎ目のボルト破断、レールの継ぎ目のボルト緩み等であってもよい。この場合、複数の異常パターンは、レールの継ぎ目においてボルト緩みが発生した場合の異常パターンと、レールの継ぎ目においてボルト破断が発生した場合の異常パターンとを含む。異常検出部140は、天候、気温、車両の種類、車両の重量等によって異なる複数の異常パターンを使用して、異常を検出してもよい。この場合、異常検出部140は、複数の異常パターンのうち少なくともいずれかが分析範囲において検出された場合、検出された異常パターンに応じた種類の異常が検出されたと判定してよい。これらの複数の異常パターンは、例えば、学習によってあらかじめ得ておいた異常パターンである。
【0054】
異常検出部140は、上述の検出器を使用して異常を検出してもよい。異常検出部140は、天候、気温、車両の種類、車両の重量等によって異なる複数の検出器を使用して、異常を検出してもよい。この場合、異常検出部140は、いずれかの検出器によって異常が検出された場合、分析範囲において、異常を検出した検出器に応じた種類の異常が検出されたと判定してよい。これらの複数の検出器は、例えば、学習によってあらかじめ得ておいた検出器である。
【0055】
異常検出部140は、異常の情報(例えば、検出した異常の種類を特定する情報と、検出した異常の特徴とを含む情報)と、異常が検出された分析範囲の音響データを特定する情報と、を、分類部150に送出してよい。なお、本開示の説明では、異常が検出された分析範囲を、異常が検出された分析範囲とも表記する。
【0056】
<分類部150>
分類部150は、異常検出部140から、検出した異常の情報と、異常が検出された分析範囲の情報とを受け取る。異常の情報は、例えば、検出した異常を表す情報(例えば、観測データのうち分析範囲に含まれるデータ)と、検出した異常の特徴(例えば、検出された異常の種類を特定する情報)とを含んでいてよい。
【0057】
分類部150は、異常が検出された分析範囲を、例えば複数の分類の少なくともいずれかに分類する。分類は、それぞれ、複数の異常の種類の少なくともいずれか1つ以上に関連付けられていてよい。分類は、異常の種類であってもよい。異常の種類は、以上の例に限られない。分類部150は、異常が検出された分析範囲のデータを、検出された異常の種類に関連付けられている分類に分類してもよい。分類部150は、異常パターンが検出された分析範囲を、分析範囲に最もマッチする異常パターンに関連付けられる分類に分類してよい。分類は、他の情報に基づいて定められていてもよい。他の情報に基づく分類については、後で変形例として説明する。
【0058】
分類部150は、異常が検出された分析範囲の情報と、その分析範囲が分類された分類の情報とを、データ蓄積部160に格納する。
【0059】
分類部150は、分類に応じた緊急度を、異常が検出された分析範囲の情報に付与してもよい。分類部150は、例えば、ボルト破断に分類された、異常が検出された分析範囲の情報に、ボルト緩みに分類された、異常が検出された分析範囲の情報に付与される緊急度よりも、緊急性が高いことを示す緊急度を付与する。
【0060】
<動作>
次に、本開示の第2の実施形態のデータ収集装置101の動作について、図面を使用して詳細に説明する。
【0061】
図4は、本開示の第2の実施形態のデータ収集装置101の動作の例を表すフローチャートである。
【0062】
図4に示す例では、データ受付部110が、観測データを受け付ける(ステップS101)。次に、対象検出部120が、観測データにおいて、対象データ点を検出する(ステップS102)。次に、決定部130が、対象データ点に基づいて、分析範囲を決定する(ステップS103)。異常検出部140は、分析範囲において、異常を検出する(ステップS104)。異常が検出されなかった場合(ステップS105においてNO)、データ収集装置101は、図4に示す動作を終了する。
【0063】
異常が検出された場合(ステップS105においてYES)、分類部150が、異常が検出された分析範囲のデータを分類する(ステップS206)。ステップS206の後、分類部150は、異常が検出された分析範囲の情報である異常データと、その異常データの分類とを、データ蓄積部160に格納してもよい。ステップS206の後、分類部150は、異常が検出された分析範囲の情報である異常データと、その異常データの分類とを、出力部170に送出してもよい。そして、出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報である異常データと、その異常データの分類とを出力する(ステップS207)。
【0064】
<効果>
本実施形態には、第1の実施形態の効果と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0065】
<第2の実施形態の第1の変形例>
図5は、第2の実施形態の第1の変形例に係るデータ収集装置101Aの構成の例を表すブロック図である。以下では、本変形例のデータ収集装置101Aの、第2の実施形態のデータ収集装置101に対する相違点について説明する。以下で説明する相違点を除いて、本変形例のデータ収集装置101Aは、第2の実施形態のデータ収集装置101と同じ機能を備え、同様に動作する。図5に示す例では、本変形例のデータ収集装置101Aは、第2の実施形態のデータ収集装置101のすべての構成要素に加えて、環境情報受付部210を含む。
【0066】
<環境情報受付部210>
環境情報受付部210は、観測時の情報を記憶する例えばサーバなどの他の装置から、環境情報を受け付ける。環境情報は、例えば、観測時の、日時、観測の場所における気温、天候などである。環境情報は、これらの例に限られない。環境情報は、これらの一部または全部を含んでいなくてもよい。
【0067】
環境情報受付部210は、受け付けた環境情報を分類部150に送出する。
【0068】
<分類部150>
本実施形態の分類部150は、環境情報受付部210から環境情報を受け取る。分類部150は、異常が検出された分析範囲を、環境情報に基づく分類のいずれかに分類する。環境情報に基づく分類は、例えば、観測時の、月、季節、気温、天候の少なくともいずれかに基づいて定められる分類である。
【0069】
<第2の実施形態の第2の変形例>
図6は、第2の実施形態の第2の変形例に係るデータ収集装置101Bの構成の例を表すブロック図である。以下では、本変形例のデータ収集装置101Bの、第2の実施形態のデータ収集装置101に対する相違点について説明する。以下で説明する相違点を除いて、本変形例のデータ収集装置101Bは、第2の実施形態のデータ収集装置101と同じ機能を備え、同様に動作する。図6に示す例では、本変形例のデータ収集装置101Bは、第2の実施形態のデータ収集装置101のすべての構成要素に加えて、属性受付部220を含む。
【0070】
<属性受付部220>
属性受付部220は、観測時の情報を記憶する例えばサーバなどの他の装置から、属性情報を受け付ける。属性情報は、車両の種別、車両の重量、軌道情報(例えば、レールの劣化の程度、レールが敷設されてから経過した時間等)などである。レールの劣化の程度は、車両がレールを通過する頻度に応じた、区分であってもよい。レールの劣化の程度は、目視によって判定された劣化の程度であってもよい。属性情報は、これらの例に限られない。属性情報は、これらの一部または全部を含んでいなくてもよい。
【0071】
属性受付部220は、受け付けた環境情報を分類部150に送出する。
【0072】
<分類部150>
本実施形態の分類部150は、属性受付部220から属性情報を受け取る。分類部150は、異常が検出された分析範囲を、属性情報に基づく分類のいずれかに分類する。属性情報に基づく分類は、例えば、観測時の、車両の種別、車両の重量が含まれる重量の区分、軌道情報が含まれる軌道状態の区分の少なくともいずれかに基づいて定められる分類である。重量の区分は、あらかじめ定められた、車両の重量の範囲である。軌道状態の区分は、例えば、あらかじめ定められた、レールが敷設されてから経過した時間の範囲である。軌道状態の区分は、レールの劣化の程度であってもよい。
【0073】
<第2の実施形態の第3の変形例>
図7は、第2の実施形態の第3の変形例に係るデータ収集装置101Cの構成の例を表すブロック図である。以下では、本変形例のデータ収集装置101Cの、第2の実施形態のデータ収集装置101に対する相違点について説明する。以下で説明する相違点を除いて、本変形例のデータ収集装置101Cは、第2の実施形態のデータ収集装置101と同じ機能を備え、同様に動作する。図7に示す例では、本変形例のデータ収集装置101Bは、第2の実施形態のデータ収集装置101のすべての構成要素に加えて、環境情報受付部210と、属性受付部220とを含む。本変形例の環境情報受付部210は、第2の実施形態の第1の変形例の環境情報受付部210と同じである。本変形例の属性受付部220は、第2の実施形態の第2の変形例の属性受付部220と同じである。
【0074】
<分類部150>
本実施形態の分類部150は、環境情報受付部210から環境情報を受け取る。本実施形態の分類部150は、さらに、属性受付部220から属性情報を受け取る。分類部150は、異常が検出された分析範囲を、環境情報及び属性情報の少なくともいずれかに基づく分類のいずれかに分類する。
【0075】
<第2の実施形態の第4の変形例>
第2の実施形態の第4の変形例は、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態と同じである。
【0076】
データ収集装置101は、分類部150を含んでいなくてもよい。その場合、分類部150は、異常が検出された分析範囲の情報と、その分析範囲が分類された分類の情報とを、出力部170に送出する。出力部170は、異常が検出された分析範囲の情報と、その分析範囲が分類された分類の情報とを、分類部150から受け取る。本変形例のデータ収集装置101は、他の点において、第2の実施形態のデータ収集装置101と同じである。
【0077】
本変形例を、第2の実施形態の第1の変形例から第3の変形例の各々に適用することも可能である。
【0078】
<第2の実施形態の第5の変形例>
<構成>
図8は、本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの構成の例を表すブロック図である。図8に示す例では、本変形例のデータ収集装置101Dは、第2の実施形態のデータ収集装置101の構成要素の全てに加えて、対象信頼度算出部230を含む。本変形例のデータ収集装置101Dは、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態のデータ収集装置101の機能と同じ機能を備え、第2の実施形態のデータ収集装置101が動作するのと同様に動作する。なお、本変形例のデータ収集装置101Dは、分類部150を含んでいなくてもよい。また、本変形例を、第1から第3の変形例に適用することもできる。
【0079】
本変形例では、レールの継ぎ目の各々に識別子(以下、継ぎ目識別子)が付与されている。また、本変形例では、同一の線路に対する複数回の観測によって得られた、複数セットの音響データが、データ収集装置101Dに入力される。
【0080】
<データ受付部110>
データ受付部110は、音響データに加えて、対象データ点とレールの継ぎ目とを関連付けるデータを受け付ける。対象データ点とレールの継ぎ目とを関連付けるデータは、例えば、観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータである。観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータは、例えば、継ぎ目識別子とその継ぎ目識別子が示す継ぎ目を車両が通過した時刻との組み合わせであってもよい。観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータは、観測の際の、車両の位置と、車両がその位置に存在した時刻と、の組み合わせを複数含むデータであってもよい。この場合、例えばデータ受付部110が、車両の位置と車両がその位置に存在した時刻と、の複数の組み合わせから、車両が線路において隣接する2つの位置の間を一定の速度で走行したという仮定の下で、レールの継ぎ目の位置を通過した時刻を算出してもよい。
【0081】
<異常検出部140>
異常検出部140は、さらに、レールの継ぎ目ごとに(すなわち、検出された対象データ点ごとに)、レールの継ぎ目を特定する情報と異常が検出されたか否かを表す情報との組み合わせを生成する。具体的には、異常検出部140は、音響データにおいて検出された分析範囲ごとに、異常を検出するのに加えて、分析範囲が基づく対象データ点のデータが得られたレールの継ぎ目を特定する。異常検出部140は、例えば、分析範囲が基づく対象データ点のデータが観測された時刻に最も近い時刻に車両が通過した、レールの継ぎ目を、分析範囲が基づく対象データ点のデータが得られたレールの継ぎ目として特定する。異常検出部140は、他の方法によって、分析範囲が基づく対象データ点のデータが得られたレールの継ぎ目として特定してもよい。
【0082】
異常検出部140は、異常が検出された分析範囲の情報に加えて、異常検出部140は、対象データ点ごとに、レールの継ぎ目を特定する情報と異常が検出されたか否かを表す情報とを、データ蓄積部160に格納する。上述のように、異常が検出された分析範囲の情報は、異常データとも表記される。
【0083】
<データ蓄積部160>
データ蓄積部160は、異常が検出された分析範囲の情報(すなわち、異常データ)と、対象データ点ごとの、レールの継ぎ目を特定する情報及び分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報の組み合わせ(以下、分析範囲における異常の検出の結果とも表記)と、を記憶する。本説明では、分析範囲における異常の検出の結果は、単に、異常の検出の結果とも表記される。上述のように、本変形例では、同一の線路に対する複数回の観測によって得られた、複数セットの音響データが、データ収集装置101Dに入力される。その結果、データ蓄積部160は、複数セットの音響データから得られた、異常が検出された分析範囲の情報と、レールの継ぎ目ごとの、異常が検出されたか否かを表す情報とを記憶する。そして、データ蓄積部160には、複数セットの音響データの各々について、同一のレールの継ぎ目の分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報が格納されている。そして、データ蓄積部160には、分析範囲において異常が検出された場合、異常が検出された分析範囲の情報が格納されている。
【0084】
<対象信頼度算出部230>
対象信頼度算出部230は、データ蓄積部160に格納されている、対象データ点ごとの、レールの継ぎ目を特定する情報と分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報とを読み出す。
【0085】
対象信頼度算出部230は、レールの継ぎ目を特定する情報と分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報との組み合わせから、分析範囲において少なくとも1回異常が検出された継ぎ目ごとに、分析範囲において異常が検出された割合を算出する。そして、対象信頼度算出部230は、継ぎ目ごとに、異常が検出された割合に基づく対象信頼度を算出する。対象信頼度は、例えば、異常が検出された分析範囲のデータが、異常が発生した継ぎ目において観測されたデータとしてどの程度信頼できるかを表す値である。この例では、継ぎ目において異常が発生している可能性が高いほど、その継ぎ目における分析範囲のデータにおいて異常が検出される確率が高いとみなしている。対象信頼度算出部230は、異常が検出された割合を対象信頼度としてもよい。対象信頼度算出部230は、異常が検出された割合と対象信頼度との関係を表す式に従って、対象信頼度を算出してもよい。
【0086】
対象信頼度算出部230は、データ蓄積部160に格納されている異常データに、その異常データが観測された継ぎ目に対して算出された対象信頼度を付与する。言い換えると、対象信頼度算出部230は、継ぎ目ごとの対象信頼度をデータ蓄積部160に格納し、データ蓄積部160に格納されている異常データに、その異常データが観測された継ぎ目に対して算出された対象信頼度を関連付ける。
【0087】
対象信頼度算出部230は、継ぎ目ごとの対象信頼度を、出力部170に送出してもよい。
【0088】
<出力部170>
出力部170は、対象信頼度算出部230から、継ぎ目ごとの対象信頼度を受け取ってもよい。出力部170は、対象信頼度算出部230からから受け取った、継ぎ目ごとの対象信頼度を出力してもよい。
【0089】
出力部170は、データ蓄積部160から、対象信頼度が付与された異常データを読み出し、読み出した異常データを出力してもよい。
【0090】
<動作>
図9は、本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの、対象信頼度を付与する動作の例を表すフローチャートである。図9に示す動作の開始時において、複数セットの音響データから検出された対象データ点に基づく分析範囲における、異常の検出の結果が、データ蓄積部160に格納されている。
【0091】
図9に示す例では、まず、対象信頼度算出部230は、分析範囲における異常の検出の結果を読み出す(ステップS301)。上述のように、分析範囲における異常の検出の結果は、対象データ点ごとの、レールの継ぎ目を特定する情報及び分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報の組み合わせである。対象信頼度算出部230は、読み出された、分析範囲における異常の検出の結果から、継ぎ目ごとの、分析範囲の異常の検出の結果を抽出する(ステップS302)。ステップS302において、対象信頼度算出部230は、継ぎ目ごとの分析範囲の異常の検出の結果として、例えば、継ぎ目ごとに、対象データ点が検出された回数と、対象データ点に基づく分析範囲において異常が検出された回数を抽出する。
【0092】
対象信頼度算出部230は、次に、継ぎ目ごとに、分析範囲において異常が検出された割合(すなわち、異常が検出された割合)を算出する(ステップS303)。対象信頼度算出部230は、レールの継ぎ目ごとに、算出した割合に基づいて、対象信頼度を算出する(ステップS304)。対象信頼度算出部230は、対象信頼度を、データ蓄積部160に格納されている異常データに付与する(ステップS305)。具体的には、対象信頼度算出部230は、データ蓄積部160に格納されている異常データに、その異常データである、異常が検出された分析範囲のデータが得られた継ぎ目の対象信頼度を付与する。
【0093】
そして、データ収集装置101Dは、図9に示す動作を終了する。
【0094】
<第2の実施形態の第6の変形例>
本開示の第2の実施形態の第6の変形例に係るデータ収集装置101Dの構成は、本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの構成と同じである。本変形例のデータ収集装置101Dは、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dの機能と同じ機能を備え、第2の実施形態の第5の変形例に係るデータ収集装置101Dが動作するのと同様に動作する。また、本変形例を、第1から第3の変形例に適用することもできる。
【0095】
本変形例では、第5の変形例と同様に、レールの継ぎ目の各々に識別子(以下、継ぎ目識別子)が付与されている。また、本変形例では、同一の線路に対する複数回の観測によって得られた、複数セットの音響データが、データ収集装置101Dに入力される。
【0096】
<データ受付部110>
データ受付部110は、さらに、レールの継ぎ目ごとに、例えば目視によって確認された、異常が存在するか否かを表す情報(以下、異常実測情報と表記)を受け取る。データ受付部110は、例えば、対象検出部120、決定部130、異常検出部140を介して、異常実測情報を分類部150に送出する。分類部150は、異常実測情報を受け取り、受け取った異常実測情報をデータ蓄積部160に格納する。データ受付部110は、受け付けた異常実測情報を、直接、データ蓄積部160に格納してもよい。データ受付部110は、受け付けた異常実測情報を、対象信頼度算出部230に送出してもよい。なお、図8では、図の簡単化のために、データ受付部110とデータ蓄積部160とをつなぐ線、及び、データ受付部110と対象信頼度算出部230とをつなぐ線は省略されている。
【0097】
<対象信頼度算出部230>
対象信頼度算出部230は、異常実測情報をデータ蓄積部160から読み出す。対象信頼度算出部230は、異常実測データを、データ受付部110から受け取ってもよい。
【0098】
対象信頼度算出部230は、異常実測情報において異常が存在する継ぎ目の対象信頼度を、第2の実施形態の第5の変形例の対象信頼度算出部230が対象信頼度を算出するのと同様に算出する。対象信頼度算出部230は、異常実測情報において、異常が存在しない継ぎ目の対象信頼度を、ゼロに設定する。
【0099】
<第2の実施形態の第7の変形例>
図10は、本開示の第2の実施形態の第7の変形例に係るデータ収集装置101Eの構成の例を表すブロック図である。図10に示す例では、データ収集装置101Eは、第2の実施形態に係るデータ収集装置101の全ての構成要素に加えて、環境情報受付部210と、属性受付部220と、分類信頼度算出部240とを含む。なお、データ収集装置101Eは、環境情報受付部210、及び、属性受付部220の一方を含んでいなくてもよい。また、本変形例を、第5、及び、第6の変形例に適用することもできる。
【0100】
<データ受付部110>
本変形例のデータ受付部110は、第5の変形例のデータ受付部110と同じ機能を備え、第5の変形例のデータ受付部110の動作と同じ動作を行う。すなわち、データ受付部110は、音響データに加えて、対象データ点とレールの継ぎ目とを関連付けるデータを受け付ける。対象データ点とレールの継ぎ目とを関連付けるデータは、例えば、観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータである。観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータは、例えば、継ぎ目識別子とその継ぎ目識別子が示す継ぎ目を車両が通過した時刻との組み合わせであってもよい。観測の際に車両が継ぎ目を通過した時刻を特定するデータは、観測の際の、車両の位置と、車両がその位置に存在した時刻と、の組み合わせを複数含むデータであってもよい。この場合、例えばデータ受付部110が、車両の位置と車両がその位置に存在した時刻と、の複数の組み合わせから、車両が線路において隣接する2つの位置の間を一定の速度で走行したという仮定の下で、レールの継ぎ目の位置を通過した時刻を算出してもよい。
【0101】
データ受付部110は、第6の変形例のデータ受付部110と同様に、さらに、レールの継ぎ目ごとに、例えば目視によって確認された、異常が存在するか否かを表す情報(すなわち、異常実測情報)を受け取る。データ受付部110は、例えば、対象検出部120、決定部130、異常検出部140を介して、異常実測情報を分類部150に送出する。分類部150は、異常実測情報を受け取り、受け取った異常実測情報をデータ蓄積部160に格納する。データ受付部110は、受け付けた異常実測情報を、直接、データ蓄積部160に格納してもよい。データ受付部110は、受け付けた異常実測情報を、分類信頼度算出部240に送出してもよい。なお、図10では、図の簡単化のために、データ受付部110とデータ蓄積部160とをつなぐ線、及び、データ受付部110と分類信頼度算出部240とをつなぐ線は省略されている。
【0102】
<異常検出部140>
本変形例の異常検出部140は、第5の変形例の異常検出部140と同じ機能を備え、第5の変形例の異常検出部140の動作と同じ動作を行う。
【0103】
<データ蓄積部160>
本変形例のデータ蓄積部160は、第5の変形例のデータ蓄積部160と同じである。データ蓄積部160は、異常が検出された分析範囲の情報(すなわち、異常データ)と、対象データ点ごとの、レールの継ぎ目を特定する情報及び分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報の組み合わせと、を記憶する。上述のように、分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報の組み合わせは、分析範囲における異常の検出の結果、及び、異常の検出の結果とも表記される。また、本変形例では、同一の線路に対する複数回の観測によって得られた、複数セットの音響データが、データ収集装置101Dに入力される。その結果、データ蓄積部160は、複数セットの音響データから得られた、異常が検出された分析範囲の情報と、レールの継ぎ目ごとの、異常が検出されたか否かを表す情報とを記憶する。そして、データ蓄積部160には、複数セットの音響データの各々について、同一のレールの継ぎ目の分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報が格納されている。そして、データ蓄積部160には、分析範囲において異常が検出された場合、異常が検出された分析範囲の情報が格納されている。
【0104】
<環境情報受付部210>
本変形例の環境情報受付部210は、第1の変形例の環境情報受付部210と同じである。言い換えると、本変形例の環境情報受付部210は、第1の変形例の環境情報受付部210の機能と同じ機能を備え、第1の変形例の環境情報受付部210の動作と同じ動作を行う。
【0105】
<属性受付部220>
本変形例の属性受付部220は、第2の変形例の属性受付部220と同じである。言い換えると、本変形例の属性受付部220は、第2の変形例の属性受付部220の機能と同じ機能を備え、第1の変形例の属性受付部220の動作と同じ動作を行う。
【0106】
<分類部150>
データ収集装置101Fが、環境情報受付部210を含む場合、分類部150は、第1の変形例の分類部150の機能と同じ機能を備え、第1の変形例の分類部150の動作と同じ動作を行うように構成される。データ収集装置101Fが、属性受付部220を含む場合、分類部150は、第2の変形例の分類部150の機能と同じ機能を備え、第2の変形例の分類部150の動作と同じ動作を行うように構成される。
【0107】
本変形例の分類は、環境情報及び属性情報の少なくともいずれかに基づく分類である。なお、データ収集装置101Fが、環境情報受付部210を含まない場合、本変形例の分類は、属性情報に基づく分類であってよい。データ収集装置101Fが、属性受付部220を含まない場合、本変形例の分類は、環境情報に基づく分類であってよい。
【0108】
本変形例では、分類部150は、検出された対象データ点の各々を、いずれかの分類に分類する。分類部150は、対象データ点ごとの、対象データ点が分類された分類を表す情報(以下、分類結果と表記)を、データ蓄積部160に格納する。
【0109】
<データ蓄積部160>
本変形例のデータ蓄積部160は、第5の変形例のデータ蓄積部160と同様に機能する。本変形例のデータ蓄積部160は、さらに、分類結果を記憶する。
【0110】
<分類信頼度算出部240>
分類信頼度算出部240は、データ蓄積部160に格納されている、異常実測情報を読み出す。分類信頼度算出部240は、データ受付部110から異常実測情報を受け取ってもよい。
【0111】
分類信頼度算出部240は、データ蓄積部160に格納されている、対象データ点ごとの、レールの継ぎ目を特定する情報と分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報とを読み出す。分類信頼度算出部240は、さらに、データ蓄積部160から、分類結果を読み出す。
【0112】
分類信頼度算出部240は、レールの継ぎ目を特定する情報と分析範囲において異常が検出されたか否かを表す情報との組み合わせから、異常実測情報において異常の存在する継ぎ目ごとに、分析範囲において異常が検出された割合を算出する。そして、分類信頼度算出部240は、異常実測情報において異常の存在する継ぎ目が分類された分類ごとに、異常が検出された割合に基づく分類信頼度を算出する。分類信頼度は、例えば、継ぎ目に異常が発生している場合に、分類に応じた状況において、異常が検出される可能性の高さの程度を表す値である。分類信頼度算出部240は、例えば、異常が発生している継ぎ目において観測された分析範囲から異常が検出される可能性が高いほど、高い分類信頼度を設定してもよい。分類信頼度算出部240は、分類ごとの異常が検出された割合を分類信頼度としてもよい。分類信頼度算出部240は、異常が検出された割合と分類信頼度との関係を表す式に従って、分類信頼度を算出してもよい。
【0113】
分類信頼度算出部240は、データ蓄積部160に格納されている異常データに、その異常データが観測された際の環境情報及び属性の少なくともいずれかに基づく分類に対して算出された分類信頼度を付与する。言い換えると、分類信頼度算出部240は、分類ごとの分類信頼度をデータ蓄積部160に格納する。そして、分類信頼度算出部240は、データ蓄積部160に格納されている異常データに、その異常データが観測された際の環境情報及び属性の少なくともいずれかに基づく分類に対して算出された対象信頼度を関連付ける。
【0114】
分類信頼度算出部240は、分類ごとの分類信頼度を、出力部170に送出してもよい。
【0115】
<出力部170>
出力部170は、分類信頼度算出部240から、分類ごとの対象信頼度を受け取ってもよい。出力部170は、分類信頼度算出部240からから受け取った、分類ごとの対象信頼度を出力してもよい。
【0116】
出力部170は、データ蓄積部160から、分類信頼度が付与された異常データを読み出し、読み出した異常データを出力してもよい。
【0117】
<動作>
次に、本開示の第7の実施形態に係るデータ収集装置101Eの動作について、図面を使用して詳細に説明する。
【0118】
図11は、本開示の第7の実施形態に係るデータ収集装置101Eの動作の例を表すフローチャートである。図11に示す動作の開始の時点において、データ蓄積部160に分類情報が格納されている。また、複数セットの音響データから検出された対象データ点に基づく分析範囲における、異常の検出の結果が、データ蓄積部160に格納されている。さらに、異常実測情報が、データ蓄積部160に格納されている。
【0119】
図11に示す例では、分類信頼度算出部240は、データ蓄積部160から、異常の検出の結果と、分類情報と、異常実測情報とを読み出す(ステップS401)。ステップS401の動作が終わった時点において、分類は選択されていない。
【0120】
未選択の分類が存在する場合(ステップS402においてYES)、分類信頼度算出部240は、未選択の分類から、1つの分類を選択する(ステップS403)。分類信頼度算出部240は、選択された分類に分類された異常データが検出された対象(すなわち、レールの継ぎ目)の分析範囲における異常の検出の結果を抽出する(ステップS404)。分類信頼度算出部240は、選択された分類に分類された異常データが検出された対象(すなわち、レールの継ぎ目)の分析範囲において異常が検出された割合を算出する(ステップS405)。分類信頼度算出部240は、分類ごとに、算出した割合に基づいて、分類信頼度を算出する(ステップS406)。データ収集装置101Eの動作は、ステップS406の後、ステップS402に戻る。
【0121】
未選択の分類が存在しない場合(ステップS402においてNO)、出力部170は、各分類の分類信頼度を出力する(ステップS407)。ステップS407において、出力部170は、分類信頼度が付与された、異常データを出力してもよい。
【0122】
<第2の実施形態の第8の変形例>
図12は、本開示の第2の実施形態の第8の変形例に係るデータ収集装置101Fの構成の例を表すブロック図である。図12に示す例では、本変形例のデータ収集装置101Fは、第7の変形例に係るデータ収集装置101Fの構成要素の全てに加えて、対象信頼度算出部230を含む。本変形例のデータ収集装置101Fは、第7の変形例のデータ収集装置101Eの機能に加えて、第5又は第6の変形例のデータ収集装置101Dの機能と同じ機能を備える。本変形例のデータ収集装置101Fは、第7の変形例のデータ収集装置101Eの動作に加えて、第5又は第6の変形例のデータ収集装置101Dの動作と同じ動作を行う。
【0123】
<他の実施形態>
本開示の実施形態に係るデータ収集装置の各々は、メモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサを含むコンピュータによって実現できる。本開示の実施形態に係るデータ収集装置の各々は、専用のハードウェアによって実現することもできる。本開示の実施形態に係るデータ収集装置の各々は、上述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによっても実現できる。
【0124】
図13は、本開示の実施形態に係るデータ収集装置の各々を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。図13に示す例では、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、サーバなどの他の装置にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係るデータ収集装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0125】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係るデータ収集装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、本開示の実施形態に係るデータ収集装置として動作する。
【0126】
データ受付部110、対象検出部120、決定部130、異常検出部140、分類部150、出力部170は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。環境情報受付部210、属性受付部220、対象信頼度算出部230、分類信頼度算出部240は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。データ蓄積部160は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003により実現することができる。データ受付部110、対象検出部120、決定部130、異常検出部140、分類部150、データ蓄積部160、出力部170の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。環境情報受付部210、属性受付部220、対象信頼度算出部230、分類信頼度算出部240の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0127】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0128】
(付記1)
対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出手段と、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定手段と、
前記分析範囲において、異常を検出する異常検出手段と、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する出力手段と、
を備えるデータ収集装置。
【0129】
(付記2)
前記決定手段は、前記分析範囲よりも短く、前記対象データ点を含む除外範囲を、前記分析範囲から除外する
付記1に記載のデータ収集装置。
【0130】
(付記3)
前記出力手段は、前記異常が検出された場合、前記分析範囲の情報を、異常データベースに格納する
付記1又は2に記載のデータ収集装置。
【0131】
(付記4)
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類する分類手段
をさらに備える付記3に記載のデータ収集装置。
【0132】
(付記5)
前記対象の観測の環境情報を受け付ける環境情報受付手段
をさらに備え、
前記分類手段は、前記環境情報に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記4に記載のデータ収集装置。
【0133】
(付記6)
前記対象の属性を受け付ける属性受付手段
をさらに備え、
前記分類手段は、前記属性に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記4又は5に記載のデータ収集装置。
【0134】
(付記7)
前記異常が検出された前記対象において異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出する分類信頼度算出手段
をさらに備える付記4乃至6のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【0135】
(付記8)
前記異常が検出された前記対象における複数の測定において、前記異常が検出された割合に基づいて、前記対象の前記異常の情報の対象信頼度を算出する対象信頼度算出手段
をさらに備える付記1乃至7のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【0136】
(付記9)
前記異常検出手段は、検出された前記異常の種類に基づいて、前記対象に生じた異常の緊急度を判定する
付記1乃至8のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【0137】
(付記10)
前記対象は、レールの継ぎ目である
付記1乃至9のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【0138】
(付記11)
対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出し、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定し、
前記分析範囲において、異常を検出し、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する、
データ収集方法。
【0139】
(付記12)
前記分析範囲よりも短く、前記対象データ点を含む除外範囲を、前記分析範囲から除外する
付記11に記載のデータ収集方法。
【0140】
(付記13)
前記異常が検出された場合、前記分析範囲の情報を、異常データベースに格納する
付記11又は12に記載のデータ収集方法。
【0141】
(付記14)
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記13に記載のデータ収集方法。
【0142】
(付記15)
前記対象の観測の環境情報を受け付け、
前記環境情報に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記14に記載のデータ収集方法。
【0143】
(付記16)
前記対象の属性を受け付け、
前記属性に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記14又は15に記載のデータ収集方法。
【0144】
(付記17)
前記異常が検出された前記対象において異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出する
付記14乃至16のいずれか1項に記載のデータ収集方法。
【0145】
(付記18)
前記異常が検出された前記対象における複数の測定において、前記異常が検出された割合に基づいて、前記対象の前記異常の情報の対象信頼度を算出する
付記11乃至17のいずれか1項に記載のデータ収集方法。
【0146】
(付記19)
検出された前記異常の種類に基づいて、前記対象に生じた異常の緊急度を判定する
付記11乃至18のいずれか1項に記載のデータ収集方法。
【0147】
(付記20)
前記対象は、レールの継ぎ目である
付記11乃至19のいずれか1項に記載のデータ収集方法。
【0148】
(付記21)
対象の観測によって得られた音響データにおいて、前記対象が観測されたデータ点である対象データ点を検出する対象検出処理と、
前記対象データ点に基づいて、前記音響データにおける分析範囲を決定する決定処理と、
前記分析範囲において、異常を検出する異常検出処理と、
前記異常が検出された前記分析範囲の情報を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記憶媒体。
【0149】
(付記22)
前記決定処理は、前記分析範囲よりも短く、前記対象データ点を含む除外範囲を、前記分析範囲から除外する
付記21に記載の記憶媒体。
【0150】
(付記23)
前記出力処理は、前記異常が検出された場合、前記分析範囲の情報を、異常データベースに格納する
付記21又は22に記載の記憶媒体。
【0151】
(付記24)
前記プログラムは、
検出された前記異常の種類に基づいて前記分析範囲の情報を分類する分類処理
をさらにコンピュータに実行させる付記23に記載の記憶媒体。
【0152】
(付記25)
前記プログラムは、
前記対象の観測の環境情報を受け付ける環境情報受付処理
をさらにコンピュータに実行させ、
前記分類処理は、前記環境情報に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記24に記載の記憶媒体。
【0153】
(付記26)
前記プログラムは、
前記対象の属性を受け付ける属性受付処理
をさらにコンピュータに実行させ、
前記分類処理は、前記属性に基づいて前記分析範囲の情報を分類する
付記24又は25に記載の記憶媒体。
【0154】
(付記27)
前記プログラムは、
前記異常が検出された前記対象において異常が検出された割合に基づいて、前記分析範囲の情報が分類される分類ごとに分類信頼度を算出する分類信頼度算出処理
をさらにコンピュータに実行させる付記24乃至26のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0155】
(付記28)
前記プログラムは、
前記異常が検出された前記対象における複数の測定において、前記異常が検出された割合に基づいて、前記対象の前記異常の情報の対象信頼度を算出する対象信頼度算出処理
をさらにコンピュータに実行させる付記21乃至27のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0156】
(付記29)
前記異常検出処理は、検出された前記異常の種類に基づいて、前記対象に生じた異常の緊急度を判定する
付記21乃至28のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0157】
(付記30)
前記対象は、レールの継ぎ目である
付記21乃至29のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0158】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0159】
100 データ収集装置
101 データ収集装置
101A データ収集装置
101B データ収集装置
101C データ収集装置
101D データ収集装置
101E データ収集装置
101F データ収集装置
110 データ受付部
120 対象検出部
130 決定部
140 異常検出部
150 分類部
160 データ蓄積部
170 出力部
210 環境情報受付部
220 属性受付部
230 対象信頼度算出部
240 分類信頼度算出部
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13