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特許7694654条件設定装置、計測装置、データ処理装置、条件設定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】条件設定装置、計測装置、データ処理装置、条件設定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250611BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/11 230
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023525301
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021320
(87)【国際公開番号】W WO2022254680
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 浩司
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0344178(US,A1)
【文献】特開2019-005340(JP,A)
【文献】特開2020-151470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0339524(US,A1)
【文献】特開2002-360549(JP,A)
【文献】特開2021-063770(JP,A)
【文献】特開2008-054977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する取得手段と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する計測条件設定手段と、を備え
前記取得手段は、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数を含む前記計測成否情報を取得し、
前記計測条件設定手段は、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する前記関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間を変更する条件設定装置。
【請求項2】
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する取得手段と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する計測条件設定手段と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおける計測の成功確率を計算する計算手段と、を備え、
前記計測条件設定手段は、
前記成功確率が閾値を超えた前記待機時間を、前記対象計測時間帯に関連する前記関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間に設定する条件設定装置。
【請求項3】
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する取得手段と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する計測条件設定手段と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおける計測の成功確率を計算する計算手段と、を備え、
前記計測条件設定手段は、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する前記関連計測時間帯に含まれる複数の計測チャンスにおける待機時間を互いに異なる時間に設定し、
前記関連計測時間帯に含まれる少なくとも一回の前記計測チャンスにおける計測の前記成功確率が極大になる前記待機時間を、前記関連計測時間帯に関連する計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間に設定する条件設定装置。
【請求項4】
前記計測条件設定手段は、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に後続する同じ時間帯の前記関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間を設定する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の条件設定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の条件設定装置と、
空間加速度および空間角速度を計測するセンサと、
前記条件設定装置によって設定された計測条件に基づいて、計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおいて起動し、前記センサによって計測された前記空間加速度および前記空間角速度に基づくセンサデータを生成する制御手段と、を備える計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の条件設定装置と、
ユーザの操作に応じて入力された入力情報を受け付ける操作受付手段と、
前記ユーザの足部に設置された計測装置によって計測された足の動きに関するセンサデータを受信する送受信手段と、
前記送受信手段によって受信された前記センサデータの時系列データである歩行波形を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記歩行波形から歩行イベントを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記歩行イベントを用いたデータ処理を実行するデータ処理手段と、を備え、
前記送受信手段は、
前記操作受付手段に入力された前記入力情報と、前記条件設定装置によって設定された計測条件とを、前記ユーザの足部に設置された前記計測装置に送信するデータ処理装置。
【請求項7】
前記条件設定装置は、
前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置の前記計測条件に含まれる待機時間が規定値を超えてずれた場合、前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置のうち少なくとも一方の前記待機時間を変更し、前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置の前記待機時間のずれを小さくする請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する取得手段と、前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する計測条件設定手段と、を有する条件設定装置と、
ユーザの操作に応じて入力された入力情報を受け付ける操作受付手段と、
前記ユーザの足部に設置された計測装置によって計測された足の動きに関するセンサデータを受信する送受信手段と、
前記送受信手段によって受信された前記センサデータの時系列データである歩行波形を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記歩行波形から歩行イベントを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記歩行イベントを用いたデータ処理を実行するデータ処理手段と、を備え、
前記送受信手段は、
前記操作受付手段に入力された前記入力情報と、前記条件設定装置によって設定された計測条件とを、前記ユーザの足部に設置された前記計測装置に送信し、
前記条件設定装置は、
前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置の前記計測条件に含まれる待機時間が規定値を超えてずれた場合、前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置のうち少なくとも一方の前記待機時間を変更し、前記ユーザの左右の足に設置された前記計測装置の前記待機時間のずれを小さくするデータ処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得し、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定し、
前記取得において、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数を含む前記計測成否情報を取得し、
前記設定において、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する前記関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間を変更する条件設定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する処理と、
前記対象計測時間帯における前記計測成否情報に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する処理と、
前記取得する処理において、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数を含む前記計測成否情報を取得する処理と、
前記設定する処理において、
前記対象計測時間帯に含まれる前記計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数に基づいて、前記対象計測時間帯に関連する前記関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける前記待機時間を変更する処理と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩容計測における計測条件を設定する条件設定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
体調管理を行うヘルスケアへの関心の高まりから、歩行パターンに含まれる特徴(歩容とも呼ぶ)を計測し、歩容に応じた情報をユーザに提供するサービスが注目されている。例えば、圧力計測装置や慣性計測装置を靴等の履物に実装し、ユーザの歩容を解析する装置が開発されている。そのような計測装置を用いた歩容計測においては、電池容量に制約があるため、消費電力を低減するために計測時間帯が制限される。計測時間帯には何回かの計測チャンスが含まれるが、全ての計測チャンスにおいて計測が失敗すると、その計測時間帯の計測が失敗してしまう。そのため、計測装置の消費電力を軽減するために、計測装置による計測のタイミングを効率的に設定することが求められる。
【0003】
特許文献1には、靴の中に挿入された圧力センサの動作を制御するセンサ制御装置について開示されている。特許文献1の装置は、モーションセンサが出力するセンサデータに基づいて、遊脚期の開始と終了を検出する。特許文献1の装置は、遊脚期の開始が検出されたタイミングで圧力センサの動作を停止させ、遊脚期の終了が検出されたタイミングで圧力センサの動作を開始させることによって、遊脚期のおける電力消費を抑制する。
【0004】
特許文献2には、洗浄水用温水器や暖房便座の通電制御装置について開示されている。特許文献2の装置は、計時手段と人体検知手段の出力に基づいて、使用者の未使用時間帯を予測する。特許文献2の装置は、予測された未使用時間帯については、非通電とする通電制御を行う。特許文献2の装置は、1日を所定の時間単位で分割した時間帯の夫々について、使用頻度レベルを設定する。特許文献2の装置は、人体検知手段の出力がある時間帯を含む前後複数個の時間帯の使用頻度レベルを大にセットし、人体検知手段の出力がない時間帯の使用頻度レベルを徐々に減じて使用頻度レベルが最小の時間帯を未使用時間帯に設定する。
【0005】
特許文献3には、温水器ヒータや便座ヒータなどの節電対象回路部への給電を制御する衛生洗浄装置について開示されている。特許文献3の装置は、1日を複数に分割して設けられた各時間帯におけるトイレの使用状況を示す使用履歴情報を記憶し、トイレ使用に応じて対応する時間帯でトイレが使用されたことを示す使用履歴情報を逐次記憶する。特許文献3の装置は、通常動作時において、節電対象回路部に対して常時給電する。特許文献3の装置は、所定操作に応じて自動節電動作へ切り替えられた場合には、各時間帯での節電動作の要否について、記憶されている同一時間帯の使用履歴情報に基づき判断する。節電不要の時間帯の場合、特許文献3の装置は、節電対象回路部への給電を行う。節電要の時間帯の場合、特許文献3の装置は、節電対象回路部への給電を停止して自動的に節電動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-058688号公報
【文献】特開2000-303536号公報
【文献】特開平11-93243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の手法では、圧力センサによる計測が行われない遊脚期に、圧力センサの動作を停止させることによって、電池の消費電力を低減する。特許文献1の手法では、遊脚期においてセンサデータを計測できないため、遊脚期における歩容を計測することができなかった。
【0008】
特許文献2の手法では、計時手段と人体検知手段の出力に基づいて使用者の未使用時間帯を予測することによって、洗浄水用温水器や暖房便座による消費電力を低減する。特許文献2の手法では、未使用時間帯を予測する際に、人体検知手段による出力を用いる。人体検知手段の一例である焦電型赤外線センサは、洗浄水用温水器や暖房便座と比べれば消費電力が小さいが、待機電力が発生する。そのため、特許文献2の手法は、トイレのように常時給電が可能な環境には適用しやすいが、歩行時のように常に給電し続けることが難しい環境には適用しづらかった。
【0009】
特許文献3の手法では、節電要の時間帯において、使用履歴情報に基づいて節電要否を判断することによって節電する。特許文献3の手法では、着座検出部による着座の検出に応じて、トイレの使用を検出する。そのため、特許文献3の手法では、節電要の時間帯において着座が検出された際に、温水器ヒータや便座ヒータが適切な温度に調整されていない場合があった。また、特許文献3の手法では、複数の人が使用するトイレに関しては、節電不要の時間帯を効率的に減らすことができず、必ずしも効率的に電力を節約することができなかった。
【0010】
本開示の目的は、消費電力を低減しながら、適切なタイミングで歩容計測を行うための計測条件を設定できる条件設定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様の条件設定装置は、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する取得部と、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する計測条件設定部と、を備える。
【0012】
本開示の一態様の条件設定方法においては、コンピュータが、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得し、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する。
【0013】
本開示の一態様のプログラムは、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する処理と、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、消費電力を低減しながら、適切なタイミングで歩容計測を行うための計測条件を設定できる条件設定装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る歩容計測システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置を履物の中に配置する一例を示す概念図である。
図3】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に設定されるローカル座標系と世界座標系の関係について説明するための概念図である。
図4】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に設定される計測時間帯について説明するための概念図である。
図5】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に設定される計測時間帯に含まれる計測チャンスについて説明するための概念図である。
図6】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に設定される計測時間帯に含まれる計測チャンスに関するタイミングチャートの一例を示す概念図である。
図7】人体面について説明するための概念図である。
図8】歩行イベントについて説明するための概念図である。
図9】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれる条件設定部の構成の一例を示すブロック図である。
図11】第1の実施形態に係る歩容計測システムのデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれる制御部の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図13】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれる制御部による計測処理の一例について説明するためのフローチャートである。
図14】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれる制御部によるセンサデータ計測処理の一例について説明するためのフローチャートである。
図15】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれる計測条件設定部の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図16】第1の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置に含まれるデータ処理装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図17】第2の実施形態に係る歩容計測システムの構成の一例について説明するためのブロック図である。
図18】第2の実施形態に係る歩容計測システムの計測装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。
図19】第2の実施形態に係る歩容計測システムのデータ処理装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。
図20】第3の実施形態に係る条件設定装置の構成の一例について説明するためのフローチャートである。
図21】各実施形態に係る制御や処理を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る歩容計測システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容計測システムは、ユーザの履く履物に設置された計測装置によって、足の動きに関する物理量(センサデータ)を計測する。例えば、足の動きに関する物理量は、加速度センサによって計測される3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)や、角速度センサによって計測される3軸周りの角速度(空間角速度とも呼ぶ)を含む。本実施形態の歩容計測システムは、計測されたセンサデータに基づいて、ユーザの歩容を計測する。
【0018】
(構成)
図1は、本実施形態の歩容計測システム1の構成を示すブロック図である。歩容計測システム1は、計測装置11およびデータ処理装置12を備える。計測装置11とデータ処理装置12は、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。また、計測装置11とデータ処理装置12は、単一の装置で構成されてもよい。
【0019】
計測装置11は、足部に設置される。例えば、計測装置11は、靴等の履物に設置される。本実施形態では、足弓の裏側の位置に計測装置11を配置する例について説明する。計測装置11は、例えば、加速度センサと角速度センサを含む慣性計測装置を有する。慣性計測装置の一例として、IMU(Inertial Measurement Unit)があげられる。IMUは、3軸方向の加速度を計測する加速度センサと、3軸周りの角速度を計測する角速度センサを含む。また、計測装置11は、VG(Vertical Gyro)やAHRS(Attitude Heading)などの慣性計測装置によって実現されてもよい。計測装置11は、GPS/INS(Global Positioning System/Inertial Navigation System)によって実現されてもよい。また、計測装置11は、計測装置11の制御処理や演算処理を行うマイクロコンピュータやマイクロコントローラ、時刻を刻むリアルタイムクロック(以下、クロックとも呼ぶ)を有する。マイクロコンピュータやマイクロコントローラは、制御部(コントローラ)とも呼ばれる。
【0020】
図2は、計測装置11を靴100の中に配置する一例を示す概念図である。図2の例では、計測装置11は、足弓の裏側に当たる配置に設置される。例えば、計測装置11は、靴100の中に挿入されるインソールに配置される。例えば、計測装置11は、靴100の底面に配置される。例えば、計測装置11は、靴100の本体に埋設される。計測装置11は、靴100から着脱できてもよいし、靴100から着脱できなくてもよい。なお、計測装置11は、足の動きに関するセンサデータを取得できさえすれば、足弓の裏側ではない位置に設置されてもよい。また、計測装置11は、ユーザが履いている靴下や、ユーザが装着しているアンクレット等の装飾品に設置されてもよい。また、計測装置11は、足に直に貼り付けられたり、足に埋め込まれたりしてもよい。図2においては、右足側の靴100に計測装置11を設置する例を示すが、左右両足の靴100に計測装置11を設置してもよい。左右両足の靴100に計測装置11を設置すれば、左右両足の足の動きに基づいて歩容を計測できる。
【0021】
計測装置11は、加速度センサおよび角速度センサを含む。計測装置11は、履物を履くユーザの足の動きに関する物理量として、加速度センサによって計測される3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)や、角速度センサによって計測される3軸周りの角速度(空間角速度とも呼ぶ)などの物理量を計測する。計測装置11が計測する足の動きに関する物理量には、加速度や角速度を積分することによって計算される3軸方向の速度や位置(軌跡)、3軸周りの角度も含まれる。計測装置11は、計測されたアナログデータ(物理量)をデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)に変換する。
【0022】
図3は、計測装置11を足弓の裏側に設置する場合に、計測装置11に設定されるローカル座標系(x軸、y軸、z軸)と、地面に対して設定される世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)について説明するための概念図である。世界座標系(X軸、Y軸、Z軸)では、ユーザが直立した状態で、ユーザの横方向がX軸方向(右向きが正)、ユーザの正面の方向(進行方向)がY軸方向(前向きが正)、重力方向がZ軸方向(鉛直上向きが正)に設定される。本実施形態においては、計測装置11を基準とするx方向、y方向、およびz方向からなるローカル座標系を設定する。
【0023】
計測装置11は、変換後のセンサデータをデータ処理装置12に送信する。例えば、計測装置11は、ユーザが携帯する携帯端末(図示しない)を介して、データ処理装置12に接続される。計測装置11と携帯端末との通信が成功し、計測装置11から携帯端末にセンサデータが送信された場合、その計測時間帯における計測は終了である。計測装置11と携帯端末との通信が成功した場合、計測装置11のクロックの時刻を、携帯端末の時刻と同期させる。例えば、計測装置11と携帯端末との通信が失敗し、計測装置11から携帯端末にセンサデータが送信されなかった場合、その計測時間帯におけるセンサデータは、次回以降の計測時間帯に再送信されればよい。例えば、計測装置11と携帯端末との通信が失敗した場合、通信が成功するまで、その計測時間帯におけるセンサデータの送信が繰り返されてもよい。例えば、計測装置11と携帯端末との通信が失敗した場合、その計測時間帯におけるセンサデータの送信が所定時間内で繰り返されてもよい。送信が失敗した計測時間帯のセンサデータは、次回の送信タイミングまで、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの記憶装置(図示しない)に記憶しておけばよい。
【0024】
左右両足に計測装置11が実装されている場合、それらの計測装置11のクロックの時刻と携帯端末の時刻を同期させれば、両足に実装された計測装置11の時刻を同期できる。両足に実装された計測装置11は、同一のタイミングで計測を行ってもよいし、異なるタイミングで計測を行ってもよい。例えば、両足の計測時間や計測の失敗回数に基づいて、両足に実装された計測装置11による計測タイミングが大幅にずれた場合には、計測タイミングのずれが小さくなる補正を行ってもよい。計測タイミングの補正は、両足のセンサデータを検証できるデータ処理装置12や、より上位のシステムにおいて行われればよい。
【0025】
計測装置11に接続される携帯端末(図示しない)は、ユーザによって携帯可能な通信機器によって実現される。例えば、携帯端末は、スマートフォンやスマートウォッチ、携帯電話等の通信機能を有する携帯型の通信機器である。携帯端末は、ユーザの足の動きに関するセンサデータを計測装置11から受信する。携帯端末は、受信されたセンサデータを、データ処理装置12が実装されたサーバ等に送信する。なお、データ処理装置12の機能は、携帯端末にインストールされたアプリケーションソフトウェア等(アプリとも呼ぶ)によって実現されていてもよい。その場合、携帯端末は、受信されたセンサデータを、自身にインストールされたアプリによって処理する。
【0026】
例えば、本実施形態の歩容計測システム1の使用を開始する際に、歩容計測システム1に関するアプリをユーザの携帯端末にダウンロードしてユーザ情報を登録する。その際に、計測装置11の装置識別子や計測時間帯を、ユーザの携帯端末のアプリにおいて登録する。例えば、アプリに登録された計測時間帯は、計測装置11に送信され、その計測装置11に設定される。例えば、計測装置11に計測時間帯を設定する際に、携帯端末の時刻と計測装置11のクロックの時刻を同期させれば、計測装置11の固有の時刻を、ユニバーサルな時刻に合わせて設定できる。
【0027】
計測装置11は、予め設定された計測時間帯に起動する。計測時間帯は、ユーザごとに設定される。計測時間帯は、計測が開始される時刻(計測時間帯開始時刻とも呼ぶ)と、計測が継続される時間とを含む。計測時間帯は、計測が終了される時刻(計測時間帯終了時刻とも呼ぶ)を含んでもよい。また、計測時間帯は、計測時間帯開始時刻と計測時間帯終了時刻によって規定されてもよい。
【0028】
図4は、計測時間帯について説明するための概念図である。図4の例では、0時から24時(1日)の間に、3回の計測時間帯TMが設定される。計測時間帯TMは、計測時間帯開始時刻tSと計測時間帯終了時刻tEの間の時間帯である。例えば、3回の計測時間帯TMの各々は、同じ時間幅に設定される。例えば、3回の計測時間帯TMの各々は、3時間に設定される。例えば、3回の計測時間帯TMの各々は、互いに異なる時間幅に設定されてもよい。例えば、計測時間帯TMは、ユーザの朝夕の通学時間帯や通勤時間帯に合わせて設定される。例えば、計測時間帯TMは、ユーザの昼の休憩時間帯に合わせて設定される。例えば、計測時間帯TMは、ユーザの散歩の時間帯に合わせて設定される。ここであげた例は、一例であって、計測時間帯開始時刻tSや、計測時間帯終了時刻tE、計測時間帯TMの時間幅は、任意に設定することができる。例えば、計測時間帯開始時刻tSや、計測時間帯終了時刻tE、計測時間帯TMの時間幅は、工場出荷時に予め設定されてもよいし、ユーザが使用を開始する際に設定されてもよいし、ユーザによって任意のタイミングで設定されてもよい。
【0029】
計測装置11は、計測時間帯の到来に応じて起動すると、スリープモードから振動検知モードに移行する。スリープモードでは、クロック以外は停止している。例えば、スリープモードにおいては、クロックが動作するために、数マイクロアンペア(μA)の電流が流れる。振動検知モードに移行すると、センサおよび制御部が低消費電力で起動する。振動検知モードにおいて、センサおよび制御部は、ユーザの歩き出しの振動を検出できる最低限の電流値に制御される。例えば、振動検知モードにおけるセンサの電流値は、10数μAに設定される。
【0030】
計測装置11は、振動検知モードにおいて歩行の開始を検知すると、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて加速度や角速度が予め設定された閾値を超えると、計測装置11は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて進行方向の加速度が3.5Gを超えると、計測装置11は、計測モードに移行する。計測モードに移行すると、センサの電流値の制限が解除される。例えば、計測モードに移行すると、センサの電流値は、最大でmAのオーダーに達する。また、計測モードに移行すると、制御部の電流値の制限が解除される。例えば、制御部の電流値の制限が解除されると、数ミリアンペア(mA)の電流が流れる。
【0031】
計測モードに移行してから所定の時間(待機時間とも呼ぶ)が経過すると、センサデータの計測が開始される。待機時間は、計測装置11によって設定される。計測モードに移行してから待機時間が経過した際に訪れる計測のタイミングを計測チャンスと呼ぶ。例えば、一回の計測時間帯において、数回の計測チャンスが設定される。
【0032】
図5は、計測時間帯TMに設定される計測チャンスについて説明するための概念図である。図5の例では、計測時間帯開始時刻tSと計測時間帯終了時刻tEの間の計測時間帯TMに、複数の計測チャンス(MC1~n)が設定される(nは自然数)。複数の計測チャンス(MC1~n)は、規則的に設定されてもよいし、ランダムに設定されてもよい。
【0033】
図5のパターン1は、複数の計測チャンス(MC1~n)が規則的に設定される例である。例えば、パターン1において、複数の計測チャンス(MC1~n)は、計測時間帯TMの期間内において等間隔に設定される。例えば、パターン1において、複数の計測チャンス(MC1~n)は、予め設定された規則に基づいた間隔に設定される。
【0034】
図5のパターン2は、複数の計測チャンス(MC1~n)がランダムに設定される例である。例えば、パターン2において、複数の計測チャンス(MC1~n)は、計測時間帯TMの期間内においてランダムに設定される。例えば、パターン2において、複数の計測チャンス(MC1~n)は、予め定められたランダムな間隔に設定されてもよいし、計測時間帯の到来に応じてランダムに設定されてもよい。
【0035】
計測開始時刻からの待機時間は、歩行検知から安定歩行がなされるまでの時間に合わせて設定されることが好ましい。例えば、通勤時間帯を想定すると、ユーザの歩行は、住まいにおけるエレベータに乗降する時間、自宅からバス停や駅まで歩く時間、コンビニエンスストアに寄るか否かなど千差万別である。例えば、複数の計測チャンス(MC1~n)が規則的に到来すると、安定歩行の期間から同様にずれ続け、計測の失敗が継続される可能性がある。それに対し、複数の計測チャンス(MC1~n)がランダムに設定されていれば、特定の規則性からはずれたタイミングで計測が行われるため、計測のタイミングが安定歩行の期間に合致して計測確率が向上する可能性がある。
【0036】
計測モードに移行すると、計測装置11で使用される電流値の桁が、μAのオーダーからmAのオーダーへと増大する。そのため、計測モードは、できる限り短い時間に設定されることが好ましい。すなわち、一回の計測時間帯のうち、計測チャンスをどのタイミングに設定するかが、電力消費を削減するための鍵になる。計測時間帯において、一回でも計測が成功すればよい。例えば、計測時間帯において、一回計測できれば、その計測時間帯における計測を終了とする。一方、計測時間帯に含まれる全ての計測チャンスで計測が失敗した場合は、その計測時間帯における計測は失敗である。例えば、計測時間帯において何回か計測し、その計測時間帯における計測値を平均化してもよいが、何回か計測を繰り返すよりも、1回の成功で計測を終了させた方が、消費電力を低減できる。
【0037】
図6は、計測装置11に含まれるクロック、センサ、および制御部の動作タイミングの一例について説明するためのタイミングチャートである。図6のタイミングチャートは、動作の有無や、動作中の消費電力の大小を概略的に示すが、正確に表すものではない。クロックは、計測装置11の使用中は、常時動作する。図6においては、クロックが時刻を刻む状況は省略する。クロックの時刻が計測チャンスの時刻(計測開始時刻TMC)になると、センサおよび制御部が起動し、スリープモードから振動検知モードに移行する。振動検知モードにおいて、センサおよび制御部は、歩行検知可能な低消費電力で動作する。センサによって歩行が検知されると、計測モードに移行する。計測モードに移行すると、通常の消費電力で制御部が動作する。通常の消費電力において、制御部は、電流値の制限が解除される。なお、計測モードに移行した段階で、制御部が起動するように構成されてもよい。
【0038】
図6において、歩行検知から待機時間Twが経過すると、制御部によるセンサデータの計測が開始される。計測チャンスにおける計測が成功すると、その計測時間帯における計測は完了である。計測チャンスにおける計測が失敗した場合は、次の計測チャンスまで待機する。計測時間帯における全ての計測チャンスが終了すると、その計測時間帯における計測は終了である。本実施形態においては、無駄な消費電力が発生することを抑制するために、計測時間帯における全ての計測チャンスが終了した段階で、計測の正否にかかわらず、その計測時間帯における計測を完了させる。例えば、ある計測時間帯で計測が失敗した場合、その計測時間帯が終了してから所定期間の間、成功するまで計測を継続させてもよい。
【0039】
例えば、それぞれの計測チャンスにおける計測時間は、10秒程度に設定される。10秒程度の歩行であれば、約3歩行分のセンサデータが計測される。計測装置11は、計測時間帯において計測されたセンサデータをデータ処理装置12に送信する。例えば、計測装置11は、数歩行分のセンサデータをそのままデータ処理装置12に送信してもよいし、数歩行分のセンサデータを平均化してからデータ処理装置12に送信してもよい。例えば、計測装置11は、数歩行分のセンサデータから一歩行分のセンサデータを抽出し、抽出された一歩行分のセンサデータをデータ処理装置12に送信してもよい。数歩行分のセンサデータを平均化したり、一歩行分のセンサデータを抽出したりすれば、送信するデータ容量を低減できる。例えば、ある計測時間帯に計測されたセンサデータの送信に失敗した場合は、送信に失敗したセンサデータを記憶部(図示しない)に一次保存しておく。そして、次の計測時間帯におけるセンサデータの送信のタイミングにおいて、複数回分のセンサデータをまとめて送信すればよい。
【0040】
計測装置11は、計測時間帯における計測の正否に関する情報(計測成否情報とも呼ぶ)を記録する。例えば、計測成否情報は、計測時刻や、起動条件、何回目の計測チャンスで計測が成功したかを示す情報(試行回数情報とも呼ぶ)、計測の失敗が発生したタイミングなどの情報を含む。例えば、計測成否情報は、計測の失敗が発生した時間帯や日時、曜日、季節などの情報を含んでもよい。例えば、計測成否情報は、計測の成否を示すフラグを含んでもよい。例えば、計測成否情報は、センサデータを含んでもよい。計測装置11は、ある計測時間帯(対照計測時間帯とも呼ぶ)における計測成否情報に応じて、その計測時間帯に関連する計測時間帯(関連計測時間帯とも呼ぶ)における待機時間を設定する。計測装置11による待機時間の設定の詳細については、後述する。
【0041】
データ処理装置12は、計測装置11からセンサデータを取得する。データ処理装置12は、取得されたセンサデータの時系列データに基づく波形(歩行波形とも呼ぶ)を生成する。例えば、データ処理装置12は、人体に対して設定される面(人体面とも呼ぶ)における加速度や角速度、速度、角度、位置(軌跡)に関する歩行波形を生成する。
【0042】
図7は、人体面について説明するための概念図である。本実施形態では、身体を左右に分ける矢状面、身体を前後に分ける冠状面、身体を水平に分ける水平面が定義される。なお、図7のような直立した状態では、世界座標系とローカル座標系が一致する。本実施形態においては、x軸を回転軸とする矢状面内の回転をロール、y軸を回転軸とする冠状面内の回転をピッチ、z軸を回転軸とする水平面内の回転をヨーと定義する。また、x軸を回転軸とする矢状面内の回転角をロール角、y軸を回転軸とする冠状面内の回転角をピッチ角、z軸を回転軸とする水平面内の回転角をヨー角と定義する。
【0043】
データ処理装置12は、生成された歩行波形を用いて、歩容計測に関するデータ処理を実行する。例えば、データ処理装置12は、歩行波形を用いて、歩行イベントを検出する。例えば、データ処理装置12は、検出された歩行イベントに基づいて、ユーザの身体的特徴や身体状態を推定する。データ処理装置12によるデータ処理は、歩容に関するデータ処理であれば、特に限定を加えない。
【0044】
図8は、右足を基準とする一歩行周期について説明するための概念図である。図8の横軸は、右足の踵が地面に着地した時点を起点とし、次に右足の踵が地面に着地した時点を終点とする右足の一歩行周期を100%として正規化された歩行周期である。片足の一歩行周期は、足の裏側の少なくとも一部が地面に接している立脚相と、足の裏側が地面から離れている遊脚相とに大別される。本実施形態においては、立脚相が60%を占め、遊脚相が40%を占めるように正規化する。立脚相は、さらに、立脚初期T1、立脚中期T2、立脚終期T3、遊脚前期T4に細分される。遊脚相は、さらに、遊脚初期T5、遊脚中期T6、遊脚終期T7に細分される。なお、一歩行周期分の歩行波形は、踵が地面に着地した時点を起点としなくてもよい。
【0045】
図8(a)は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表す(HS:Heel Strike)。図8(b)は、右足の足裏の接地面が接地した状態で、左足の爪先が地面から離れる事象(反対足爪先離地)を表す(OTO:Opposite Toe Off)。図8(c)は、右足の足裏の接地面が接地した状態で、右足の踵が持ち上がる事象(踵持ち上がり)を表す(HR:Heel Rise)。図8(d)は、左足の踵が接地した事象(反対足踵接地)である(OHS:Opposite Heel Strike)。図8(e)は、左足の足裏の接地面が接地した状態で、右足の爪先が地面から離れる事象(爪先離地)を表す(TO:Toe Off)。図8(f)は、左足の足裏の接地面が接地した状態で、左足と右足が交差する事象(足交差)を表す(FA:Foot Adjacent)。図8(g)は、左足の足裏が接地した状態で、右足の脛骨が地面に対してほぼ垂直になる事象(脛骨垂直)を表す(TV:Tibia Vertical)。図8(h)は、右足の踵が接地する事象(踵接地)を表す(HS:Heel Strike)。図8(h)は、図8(a)から始まる歩行周期の終点に相当するとともに、次の歩行周期の起点に相当する。
【0046】
例えば、データ処理装置12は、図示しないサーバ等に実装される。例えば、データ処理装置12は、アプリケーションサーバによって実現されてもよい。例えば、データ処理装置12は、携帯端末(図示しない)にインストールされたアプリによって実現されてもよい。例えば、データ処理装置12によるデータ処理の結果は、表示装置(図示しない)の画面に表示される。例えば、データ処理装置12によるデータ処理の結果は、その結果を利用するシステムに出力される。データ処理装置12によるデータ処理の結果の用途には、特に限定を加えない。
【0047】
〔計測装置〕
次に、計測装置11の詳細構成について図面を参照しながら説明する。図9は、計測装置11の詳細構成の一例を示すブロック図である。計測装置11は、クロック110、加速度センサ111、角速度センサ112、制御部113、条件設定部115、送受信部116、および電池117を有する。条件設定部115は、単一の装置(条件設定装置)として構成されてもよい。
【0048】
クロック110は、所定の周期で時刻を刻むリアルタイムクロックである。例えば、クロック110は、水晶振動子を含む。クロック110の刻む時刻は、計測装置11とデータ処理装置12が接続されるタイミングにおいて、データ処理装置12が実装された携帯端末(図示しない)などに含まれる時計の時刻と同期される。クロック110は、スリープモード、振動検知モード、および計測モードのいずれのモードにおいても動作を継続する。クロック110によって刻まれる時刻は、制御部113による制御や、モードの切り替えの際に参照される。
【0049】
加速度センサ111は、3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。加速度センサ111は、クロック110によって刻まれる時刻が計測開始時刻になると起動し、振動検知モードに移行する。振動検知モードにおいて、加速度センサ111は、歩行検知が可能な低消費電力モードで動作する。例えば、振動検知モードにおける加速度センサ111の電流値は、10数μAに設定される。振動検知モードにおいて歩行の開始が検知されると、加速度センサ111は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて加速度が予め設定された閾値を超えると、加速度センサ111は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて進行方向の加速度が3.5Gを超えると、計測装置11は、計測モードに移行する。なお、角速度センサ112によって計測される角速度に基づいて歩行検知する場合は、計測モードに移行するタイミングで加速度センサ111が起動するように構成されてもよい。計測モードに移行すると、加速度センサ111の電流値の制限が解除される。例えば、計測モードに移行すると、加速度センサ111の電流値は、最大でmAのオーダーに達する。計測モードにおいて、加速度センサ111は、空間加速度を計測する。加速度センサ111は、計測した加速度を制御部113に出力する。
【0050】
例えば、加速度センサ111には、圧電型や、ピエゾ抵抗型、静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。なお、加速度センサ111に用いられるセンサは、加速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
【0051】
角速度センサ112は、3軸方向の角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。角速度センサ112は、クロック110によって刻まれる時刻が計測開始時刻になると起動し、振動検知モードに移行する。振動検知モードにおいて、角速度センサ112は、歩行検知が可能な低消費電力モードで動作する。例えば、振動検知モードにおける角速度センサ112の電流値は、10数μAに設定される。振動検知モードにおいて歩行の開始が検知されると、角速度センサ112は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて加速度が予め設定された閾値を超えると、角速度センサ112は、計測モードに移行する。なお、加速度センサ111によって計測される加速度に基づいて歩行検知する場合は、計測モードに移行するタイミングで角速度センサ112が起動するように構成されてもよい。計測モードに移行すると、角速度センサ112の電流値の制限が解除される。例えば、計測モードに移行すると、加速度センサ111の電流値は、最大でmAのオーダーに達する。計測モードにおいて、角速度センサ112は、空間角速度を計測する。角速度センサ112は、計測した角速度を制御部113に出力する。
【0052】
例えば、角速度センサ112には、振動型や静電容量型等の方式のセンサを用いることができる。なお、角速度センサ112に用いられるセンサは、角速度を計測できれば、その計測方式に限定を加えない。
【0053】
制御部113は、振動検知モードに移行すると起動する。振動検知モードにおいて、制御部113は、加速度センサ111や角速度センサ112によって計測される計測値に基づいて、歩行検知が可能な低消費電力モードで動作する。振動検知モードにおいて、歩行の開始が検知されると、制御部113は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて、加速度センサ111によって計測される加速度が予め設定された閾値を超えると、制御部113は、計測モードに移行する。例えば、振動検知モードにおいて、加速度センサ111によって計測される進行方向の加速度が3.5Gを超えると、制御部113は、計測モードに移行する。なお、計測モードに移行した段階で、制御部113が起動するように構成されてもよい。
【0054】
計測モードにおいて、制御部113は、設定された計測条件に基づいて、通常の動作条件でセンサデータを計測する。例えば、制御部113は、計測モードに移行すると、低消費電力の動作条件から、通常の動作条件に切り替えて動作する。例えば、制御部の通常動作時には、数ミリアンペア(mA)の電流が流れる。例えば、制御部113は、計測モードの開始時刻から待機時間が経過したタイミングにおいて、通常の動作条件に切り替える。制御部113は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々から、3軸方向の加速度と3軸周りの角速度を取得する。
【0055】
制御部113は、取得した加速度および角速度をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)を送受信部116に出力する。センサデータには、デジタルデータに変換された加速度データと、デジタルデータに変換された角速度データとが少なくとも含まれる。また、センサデータは、加速度や角速度の計測時刻を含む。加速度データは、3軸方向の加速度ベクトルを含む。角速度データは、3軸周りの角速度ベクトルを含む。なお、加速度データおよび角速度データには、それらのデータの取得時間が紐付けられる。また、制御部113は、取得した加速度データおよび角速度データに対して、実装誤差や温度補正、直線性補正などの補正を加えたセンサデータを出力するように構成してもよい。また、制御部113は、取得した加速度データおよび角速度データを用いて、3軸周りの角度データを生成してもよい。
【0056】
また、制御部113は、計測されたセンサデータの計測成否情報を計測条件設定部156に出力する。計測条件設定部156に出力された計測成否情報は、計測モードにおける待機時間の生成に用いられる。
【0057】
例えば、制御部113は、計測装置11の全体制御やデータ処理を行うマイクロコンピュータまたはマイクロコントローラである。例えば、制御部113は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を有する。制御部113は、加速度センサ111および角速度センサ112を制御して角速度や加速度を計測する。例えば、制御部113は、計測された角速度および加速度等の物理量(アナログデータ)をAD変換(Analog-to-Digital Conversion)し、変換後のデジタルデータをフラッシュメモリに記憶させる。なお、加速度センサ111および角速度センサ112によって計測された物理量(アナログデータ)は、加速度センサ111および角速度センサ112の各々においてデジタルデータに変換されてもよい。フラッシュメモリに記憶されたデジタルデータは、所定のタイミングで送受信部116に出力される。
【0058】
条件設定部115は、計測時間帯における計測成否情報を制御部113から取得する。条件設定部115は、取得した計測成否情報を記録する。計測成否情報は、計測時刻や、起動条件、何回目の計測チャンスで計測が成功したかを示す試行回数情報などの情報を含む。計測成否情報は、センサデータを含んでもよい。計測成否情報は、計測時間帯において計測が成功した場合のフラグ(成功フラグとも呼ぶ)や、計測時間帯において計測が失敗した場合のフラグ(失敗フラグとも呼ぶ)を含んでもよい。成功フラグが付された計測成否情報を成功情報、失敗フラグが付された計測成否情報を失敗情報とも呼ぶ。条件設定部115は、計測が実行されたものの、計測完了に至らなかった場合の計測時間帯の日時や、その計測時間帯における失敗回数を含む失敗情報を記憶部(図示しない)に登録する。
【0059】
条件設定部115は、計測時間帯ごとの計測成否情報に応じて、計測時間帯に関連する計測時間帯における待機時間を設定する。ある計測時間帯の計測成否情報に基づいて設定された待機時間は、その計測時間帯の直後の計測時間帯において反映されてもよいし、翌日以降の計測時間帯において反映されてもよい。ユーザの習慣に合わせて待機時間を設定するためには、翌日以降の同一の計測時間帯において待機時間が反映されることが好ましい。
【0060】
条件設定部115は、計測時間帯ごとに、計測の成功確率または失敗確率を計算する。以下においては、計測の成功確率に基づいて待機時間が設定される例について説明する。条件設定部115は、成功確率の低い計測時間帯を抽出する。成功確率の低い計測時間帯は、待機時間を変更する対象の時間帯(対象時間帯とも呼ぶ)である。条件設定部115は、何週間に亘って蓄積された失敗情報から、抽出された対象時間帯における失敗時間帯を抽出する。例えば、条件設定部115は、同じ曜日の同じ時間帯における失敗情報を抽出する。条件設定部115は、抽出された失敗情報に基づいて、対象時間帯の待機時間を変更する。例えば、条件設定部115は、±5~10秒などの所定の時間範囲で、対象時間帯における待機時間を変更する。待機時間は、規則的に変更されてもよいし、ランダムに変更されてもよい。
【0061】
条件設定部115は、待機時間が変更された対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率を計算する。対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率が基準を満たす場合、条件設定部115は、その対象時間帯における待機時間をそのまま設定させておく。例えば、対象時間帯における計測の成功確率が所定の閾値を超えた場合や、対象時間帯における計測の失敗確率が所定の閾値を下回った場合、条件設定部115は、その対象時間帯の待機時間をそれ以上変更しない。
【0062】
対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率が基準を満たさない場合、条件設定部115は、その対象時間帯における待機時間を再度変更する。例えば、待機時間を長くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の増大や失敗確率の低下が不十分な場合、条件設定部115は、待機時間をさらに長くする。例えば、待機時間を短くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の増大や失敗確率の低下が不十分な場合、条件設定部115は、待機時間をさらに短くする。例えば、待機時間を長くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の低下や失敗確率の増大が発生した場合、条件設定部115は、待機時間を短くする。例えば、待機時間を短くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の低下や失敗確率の増大が発生した場合、条件設定部115は、待機時間を長くする。
【0063】
例えば、ある計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて計測の失敗が発生した場合、その計測時間帯の次の計測チャンスの待機時間を変更してもよい。そのようにすれば、ユーザの安定歩行がなされている期間と計測チャンスが一致して計測が成功する可能性がある。計測が成功した場合、その場合における待機時間を翌日の同一の計測時間帯の待機時間に設定すれば、翌日の同一の計測時間帯における計測が成功する可能性が高い。待機時間を何回ずらしても計測が成功しない場合は、計測時間帯を1時間程度ずらしてもよい。計測時間帯ごとの待機時間は、計測の成功確率が高い時間で固定される。
【0064】
送受信部116は、制御部113からセンサデータを取得する。送受信部116は、取得したセンサデータをデータ処理装置12に送信する。送受信部116は、ケーブルなどの有線を介してセンサデータをデータ処理装置12に送信してもよいし、無線通信を介してセンサデータをデータ処理装置12に送信してもよい。例えば、送受信部116は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、センサデータをデータ処理装置12に送信するように構成される。なお、送受信部116の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。
【0065】
電池117は、計測装置11に含まれる構成要素の電源である。電池117の電力は、クロック110や加速度センサ111、角速度センサ112、制御部113、条件設定部115、送受信部116の動作において消費される。例えば、電池117は、一次電池によって実現される。例えば、電池117は、リチウム電池や、ニッケル系電池や、マンガン系電池、アルカリ電池、ニッケルマンガン電池、酸化銀電池、水銀電池、空気亜鉛電池などの一次電池によって実現される。例えば、電池117は、二次電池によって実現されてもよい。例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池によって実現されてもよい。本実施形態のように、履物の内部に挿入されるインソールに計測装置11が実装される場合、電池117は、ボタン型電池のように薄型の構造であることが好ましい。例えば、電池117は、フッ化黒鉛リチウム電池や、二酸化マンガンリチウム電池、酸化銅リチウム電池、アルカリ電池、水銀電池、空気亜鉛電池、酸化銀電池、ニッケル水素電池などのボタン型電池によって実現されてもよい。電池117は、歩容計測に用いることができれば、種類や形態に限定を加えない。
【0066】
〔条件設定部〕
次に、計測装置11に含まれる条件設定部115の詳細構成について図面を参照しながら説明する。図10は、条件設定部115の構成の一例を示すブロック図である。条件設定部115は、取得部151、記憶部153、計測条件設定部156、計算部155、および出力部157を有する。条件設定部115は、単一の装置として構成されてもよい。
【0067】
取得部151は、計測時間帯における計測成否情報を制御部113から取得する。取得部151は、取得した計測成否情報を記憶部153に記憶させる。例えば、計測成否情報は、計測時刻や、起動条件、何回目の計測チャンスで計測が成功したかを示す情報(試行回数情報とも呼ぶ)、計測の失敗が発生したタイミングなどの情報を含む。例えば、計測成否情報は、計測の失敗が発生した時間帯や日時、曜日、季節などの情報を含んでもよい。計測成否情報のうち、計測の失敗に関する要因を失敗要因とも呼ぶ。また、計測成否情報は、計測時間帯において計測が成功した場合の成功フラグや、計測時間帯において計測が失敗した場合の失敗フラグを含んでもよい。成功フラグが付された計測成否情報を成功情報、失敗フラグが付された計測成否情報を失敗情報とも呼ぶ。計測成否情報は、センサデータを含んでもよい。計測装置11は、計測が実行されたものの、計測完了に至らなかった場合の計測時間帯の日時や、その計測時間帯における失敗回数を含む失敗情報を記憶部153に記憶させる。取得部151は、出力部157と同一の通信インターフェースとして構成されてもよい。
【0068】
記憶部153は、取得部151によって取得された計測成否情報を記憶する。計測成否情報は、計測時刻や、起動条件、試行回数情報などの情報を含む。計測成否情報は、センサデータを含んでもよい。計測成否情報は、計測時間帯において計測が成功した場合の成功フラグや、計測時間帯において計測が失敗した場合の失敗フラグを含んでもよい。成功フラグが付された計測成否情報を成功情報、失敗フラグが付された計測成否情報を失敗情報とも呼ぶ。例えば、記憶部153は、計測が実行されたものの、計測完了に至らなかった場合の計測時間帯の日時や、その計測時間帯における失敗回数を含む失敗情報を記憶する。
【0069】
計算部155は、記憶部153に記憶された計測成否情報に基づいて、計測時間帯ごとに計測の成功確率や失敗確率を計算する。また、計算部155は、待機時間が変更された対象時間帯における計測の成功確率や失敗確率を計算する。計算部155によって算出された計測の成功確率や失敗確率は、計測条件設定部156による待機時間の設定において参照される。計測条件設定部156による待機時間の設定において、計測の成功確率や失敗確率を参照しない場合は、計算部155を省略してもよい。
【0070】
計測条件設定部156は、計算部155による計算結果に基づいて、成功確率の低い計測時間帯または失敗確率の高い計測時間帯を抽出する。成功確率の低い計測時間帯または失敗確率の高い計測時間帯は、待機時間を変更する対象の時間帯(対象時間帯とも呼ぶ)である。すなわち、計測条件設定部156は、対象時間帯において抽出された失敗情報に基づいて、その対象時間帯に関連する計測時間帯における待機時間を設定する。例えば、計測条件設定部156は、±5~10秒などの所定の時間範囲で、対象時間帯における待機時間を変更する。待機時間は、規則的に変更されてもよいし、ランダムに変更されてもよい。計測条件設定部156は、設定された待機時間を含む計測条件を設定する。計測条件設定部156は、設定した計測条件を出力部157に出力する。
【0071】
例えば、計測条件設定部156は、計算部155による計算結果に基づいて、成功確率の低い計測時間帯または失敗確率の高い計測時間帯を抽出する。例えば、計測条件設定部156は、何週間に亘って蓄積された失敗情報から、抽出された対象時間帯における失敗時間帯を抽出する。例えば、計測条件設定部156は、同じ曜日の同じ時間帯における失敗情報を抽出する。例えば、同じ曜日の同じ時間帯において、ユーザは同様の行動をとる可能性が高い。そのため、同じ曜日の同じ時間帯における失敗情報に基づいて待機時間を設定すれば、計測の失敗が発生しにくくなる。
【0072】
対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率が基準を満たす場合、計測条件設定部156は、その対象時間帯における待機時間を変更しない。例えば、対象時間帯における計測の成功確率が所定の閾値を超えた場合や、対象時間帯における計測の失敗確率が所定の閾値を下回った場合、計測条件設定部156は、その対象時間帯の待機時間をそれ以上変更しない。
【0073】
対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率が基準を満たさない場合、計測条件設定部156は、その対象時間帯における待機時間を再度変更する。例えば、待機時間を長くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の増大や失敗確率の低下が不十分な場合、計測条件設定部156は、待機時間をさらに長くする。例えば、待機時間を短くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の増大や失敗確率の低下が不十分な場合、計測条件設定部156は、待機時間をさらに短くする。例えば、待機時間を長くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の低下や失敗確率の増大が発生した場合、計測条件設定部156は、待機時間を短くする。例えば、待機時間を短くした結果、対象時間帯における計測の成功確率の低下や失敗確率の増大が発生した場合、計測条件設定部156は、待機時間を長くする。
【0074】
例えば、計測条件設定部156は、計測が失敗した回数や、失敗が発生したタイミングなどの失敗要因に基づいて、待機時間を設定する。例えば、計測条件設定部156は、複数回に亘って対象時間帯の待機時間を変更し、計測の成功確率が極大となる待機時間を選択する。例えば、計測条件設定部156は、計測の成功確率が閾値を満たすまで、待機時間の更新を繰り返す。例えば、計測条件設定部156は、同一の計測時間帯に含まれる複数の計測チャンスの各々において待機時間をランダムに設定し、成功確率の高い待機時間を設定してもよい。例えば、計測条件設定部156は、ある計測時間帯で計測の成功確率が高い待機時間を、別の計測時間帯の待機時間に設定してもよい。
【0075】
例えば、計測条件設定部156は、月や週、時刻、回数などで重みづけを付けて計測の失敗要因を判定して、月や週、時刻、回数に応じて待機時間を設定してもよい。例えば、計測条件設定部156は、曜日や時刻ごとに最適な待機時間を記録しておき、曜日や時刻に応じて待機時間を設定してもよい。例えば、計測条件設定部156は、季節の移り変わりに合わせて、待機時間を設定しなおしてもよい。
【0076】
出力部157は、計測条件設定部156から計測条件を取得する。出力部157は、計測条件設定部156によって設定された計測条件を制御部113に出力する。出力部157は、取得部151と同一の通信インターフェースとして構成されてもよい。
【0077】
〔データ処理装置〕
次に、歩容計測システム1が備えるデータ処理装置12の詳細構成について図面を参照しながら説明する。図11は、データ処理装置12の構成の一例を示すブロック図である。データ処理装置12は、操作受付部120、送受信部121、生成部122、検出部123、およびデータ処理部127を有する。
【0078】
操作受付部120は、ユーザによって入力された情報(入力情報とも呼ぶ)を受け付ける。例えば、入力情報は、データ処理装置12に接続された端末装置(図示しない)や、データ処理装置がインストールされた携帯端末(図示しない)を介して入力される。例えば、入力情報は、キーボードによるキー入力や、タッチパネルにおける入力操作、マウスの操作に応じて入力される。例えば、ユーザが歩容計測システム1の使用を開始する際に、計測装置11の装置識別子や計測時間帯などの入力情報が操作受付部120に入力される。操作受付部120は、送受信部121に入力情報を出力する。
【0079】
送受信部121は、計測装置11からセンサデータを受信する。送受信部121は、受信されたセンサデータを生成部122に出力する。例えば、送受信部121は、無線通信を介して、計測装置11からセンサデータを受信する。例えば、送受信部121は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に則した無線通信機能(図示しない)を介して、計測装置11からセンサデータを受信するように構成される。なお、送受信部121の通信機能は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)以外の規格に則していてもよい。例えば、送受信部121は、ケーブルなどの有線を介して、計測装置11からセンサデータを受信してもよい。
【0080】
また、送受信部121は、ユーザによる操作に応じた入力情報を操作受付部120から取得する。送受信部121は、計測装置11に入力情報を送信する。例えば、ユーザによって入力された計測時間帯は、計測装置11に設定される。例えば、送受信部121は、計測装置11に計測時間帯を設定するタイミングで、携帯端末の時刻を計測装置11に送信して、携帯端末の時刻と計測装置11のクロックの時刻を同期させる。携帯端末の時刻と計測装置11のクロックの時刻を同期させれば、固有の時間軸が設定される計測装置11の時刻を、ユニバーサルな携帯端末の時刻に合わせて設定できる。
【0081】
生成部122は、送受信部121からセンサデータを取得する。生成部122は、取得したセンサデータの座標系を、ローカル座標系から世界座標系に変換する。生成部122は、世界座標系に変換後のセンサデータの時系列データ(歩行波形とも呼ぶ)を生成する。生成部122は、生成された歩行波形を検出部123に出力する。
【0082】
例えば、生成部122は、空間加速度や空間角速度などの歩行波形を生成する。また、生成部122は、空間加速度や空間角速度を積分し、空間速度や空間角度(足底角)などの歩行波形を生成する。また、生成部122は、空間加速度を二階積分し、空間軌跡の歩行波形を生成する。生成部122は、一般的な歩行周期や、ユーザに固有の歩行周期に合わせて設定された所定のタイミングや時間間隔で歩行波形を生成する。生成部122が歩行波形を生成するタイミングは、任意に設定できる。例えば、生成部122は、ユーザの歩行が継続されている期間、歩行波形を生成し続けるように構成される。また、生成部122は、特定の時刻において、歩行波形を生成するように構成されてもよい。
【0083】
検出部123は、生成部122から歩行波形を取得する。検出部123は、歩行波形から歩行イベントを検出する。例えば、検出部123は、踵接地や爪先離地、足交差、脛骨垂直などの歩行イベントを検出する。検出部123は、検出された歩行イベントのタイミングや、歩行イベントのタイミングを起点とする所定期間におけるセンサデータの値などの歩容計測に用いられるデータをデータ処理部127に出力する。
【0084】
データ処理部127は、歩容計測に用いられるデータを検出部123から取得する。データ処理部127は、取得したデータを用いて歩容計測を行う。例えば、データ処理部127は、検出された歩行イベントに基づいて、ユーザの身体的特徴や身体状態を推定する。データ処理部127によるデータ処理は、歩容に関するデータ処理であれば、特に限定を加えない。例えば、データ処理部127による歩容計測の結果は、図示しない表示装置に表示される。例えば、データ処理部127による歩容計測の結果は、その結果を用いるシステムに出力される。データ処理部127による歩容計測の結果の使用方法については、特に限定を加えない。
【0085】
(動作)
次に、歩容計測システム1の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、歩容計測システム1に含まれる計測装置11とデータ処理装置12の動作について個別に説明する。
【0086】
〔制御部〕
図12は、計測装置11に含まれる制御部113の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図12のフローチャートに沿った説明においては、制御部113を動作主体として説明する。
【0087】
図12において、まず、計測条件を取得すると(ステップS11においてYes)、制御部113は、計測条件を更新する(ステップS12)。計測条件を取得していない場合(ステップS11においてNo)、ステップS13に進む。
【0088】
ステップS12の次、またはステップS11でNoの場合、計測時間帯になると(ステップS13でYes)、制御部113は、計測処理を実行する(ステップS14)。計測処理の詳細については、後述する(図13図14)。計測時間帯になっていない場合(ステップS13でNo)、ステップS16に進む。
【0089】
ステップS14の次に、制御部113は、計測処理で計測されたセンサデータをデータ処理装置12に送信する(ステップS15)。
【0090】
ステップS15の次、またはステップS13でNoの場合、処理を継続するのであれば(ステップS16でNo)、ステップS11に戻る。処理を終了する場合は(ステップS16でYes)、図12のフローチャートに沿った処理は終了である。図12のフローチャートに沿った処理を終了させるタイミングは、任意に設定できる。例えば、図12のフローチャートに沿った処理を終了させるタイミングは、予め設定されればよい。例えば、歩容計測システム1を使用するユーザによって入力された指示に応じて、処理を終了させてもよい。
【0091】
〔計測処理〕
図13は、計測装置11に含まれる制御部113の計測処理(図12のステップS14)の一例について説明するためのフローチャートである。図13のフローチャートに沿った説明においては、制御部113を動作主体として説明する。
【0092】
図13において、まず、計測チャンスが到来すると(ステップS111でYes)、制御部113は、振動検知モードに移行する(ステップS112)。振動検知モードに移行すると、加速度センサ111、角速度センサ112、および制御部113が起動する。振動検知モードにおいて、制御部113は、低省電力で動作し、加速度や角速度などの値に応じて歩行を検出する。計測チャンスが到来していない場合(ステップS111でNo)、制御部113は、計測チャンスが到来するまで待機する。例えば、計測チャンスの設定やカウントのエラーに備えて、計測時間帯に計測チャンスが到来しなかった場合、その計測時間帯における計測を中止するように構成されてもよい(図12のステップS16に進む)。
【0093】
ステップS112で振動検知モードに移行した後に歩行が検出されると(ステップS113でYes)、制御部113は、計測モードに移行する(ステップS114)。歩行が検出されていない場合(ステップS113でNo)、制御部113は、歩行が検知されるまで待機する。例えば、計測モードに移行してから歩行が検知されない状況がありうる。そのような状況に備えて、計測モードに移行してから一定時間経過した段階で、その計測チャンスにおける計測を強制的に開始したり、その計測チャンスにおける計測を中止したりするように構成されてもよい。
【0094】
ステップS114の次に、待機時間が経過すると(ステップS115でYes)、制御部113は、センサデータ計測処理を実行する(ステップS116)。ステップS116のセンサデータ計測処理については後述する。待機時間が経過していない場合(ステップS115でNo)、制御部113は、待機時間が経過するまで待機する。
【0095】
ステップS116の次に、残りの計測チャンスがある場合(ステップS117でYes)、ステップS111に戻る。一方、残りの計測チャンスがない場合(ステップS117でNo)、図13のフローチャートに沿った処理は終了である(図12のステップS16に進む)。
【0096】
〔センサデータ計測処理〕
図14は、計測装置11に含まれる制御部113のセンサデータ計測処理(図13のステップS116)の一例について説明するためのフローチャートである。図14のフローチャートに沿った説明においては、制御部113を動作主体として説明する。
【0097】
図14において、まず、制御部113は、計測モードに移行してから待機時間が経過したタイミングに合わせて、センサデータを計測する(ステップS121)。制御部113は、加速度センサ111および角速度センサによって計測されたセンサ値に基づいてセンサデータを計測する。
【0098】
計測が成功すると(ステップS122でYes)、制御部113は、計測されたセンサデータを記憶部(図示しない)に記憶させる(ステップS123)。計測に失敗した場合(ステップS122でNo)、ステップS125に進む。
【0099】
ステップS123の次に、制御部113は、計測されたセンサデータを送受信部116に出力する(ステップS124)。送受信部116に出力されたセンサデータは、データ処理装置12に送信される。
【0100】
ステップS124の次、またはステップS122でNoの場合、制御部113は、計測成否情報を条件設定部115に出力する(ステップS125)。条件設定部115に出力された計測成否情報は、待機時間の変更などを含む計測条件の設定に用いられる。
【0101】
〔条件設定部〕
図15は、計測装置11に含まれる条件設定部115による計測条件生成処理の一例について説明するためのフローチャートである。図15のフローチャートに沿った説明においては、条件設定部115を動作主体として説明する。
【0102】
図15において、まず、条件設定部115は、制御部113から計測成否情報を取得する(ステップS131)。
【0103】
次に、条件設定部115は、取得した計測成否情報を記憶する(ステップS132)。
【0104】
次に、条件設定部115は、記憶された計測成否情報を用いて、計測時間帯ごとに計測の成功確率を計算する(ステップS133)。ステップS133においては、成功確率の代わりに、失敗確率が計算されてもよい。
【0105】
ここで、成功確率が閾値を超えなかった場合(ステップS134においてNo)、条件設定部115は、予め設定された条件に基づいて、対象時間帯における待機時間を変更する(ステップS135)。成功確率が閾値を超えた場合(ステップS134においてYes)、図15のフローチャートに沿った処理は終了である。
【0106】
ステップS135の次に、条件設定部115は、待機時間を含む計測条件を制御部113に出力する(ステップS136)。
【0107】
〔データ処理装置〕
図16は、データ処理装置12の動作の一例について説明するためのフローチャートである。図16のフローチャートに沿った説明においては、データ処理装置12を動作主体として説明する。
【0108】
図16において、まず、データ処理装置12は、計測装置11からセンサデータを取得する(ステップS151)。
【0109】
次に、データ処理装置12は、センサデータの座標系を、ローカル座標系から世界座標系に変換する(ステップS152)。
【0110】
次に、データ処理装置12は、世界座標系に変換されたセンサデータを用いて時系列データを生成する(ステップS153)。例えば、データ処理装置12は、3軸方向の加速度や速度、位置(軌跡)の時系列データ、3軸周りの角速度や角度の時系列データを生成する。
【0111】
次に、データ処理装置12は、生成された時系列データから歩行波形を抽出する(ステップS154)。
【0112】
次に、データ処理装置12は、抽出された歩行波形から歩行イベントを検出する(ステップS155)。
【0113】
次に、データ処理装置12は、検出された歩行イベントに基づいて、歩容に関するデータ処理を実行する(ステップS156)。例えば、データ処理装置12は、検出された歩行イベントに基づいて、ユーザの身体的特徴や身体状態を推定する。
【0114】
以上のように、本実施形態の歩容計測システムは、計測装置とデータ処理装置を備える。本実施形態の歩容計測システムは、条件設定装置が計測装置に含まれる点に特徴がある。
【0115】
計測装置は、条件設定部(条件設定装置)、センサ、制御部、およびデータ送受信部を有する。条件設定部は、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する。条件設定部は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する。センサは、空間加速度および空間角速度を計測する。制御部は、条件設定装置によって設定された計測条件に基づいて、計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおいて起動する。制御部は、センサによって計測された空間加速度および空間角速度に基づくセンサデータを生成する。データ送受信部は、センサデータをデータ処理装置に送信する。また、データ送受信部は、ユーザによって入力された入力情報をデータ処理装置から受信する。
【0116】
データ処理装置は、操作受付部、送受信部、生成部、検出部、およびデータ処理部を有する。操作受付部は、ユーザの操作に応じて入力された入力情報を受け付ける。送受信部は、ユーザの足部に設置された計測装置によって計測された足の動きに関するセンサデータを受信する。生成部は、送受信部によって受信されたセンサデータの時系列データである歩行波形を生成する。検出部は、生成部によって生成された歩行波形から歩行イベントを検出する。データ処理部は、検出部によって検出された歩行イベントを用いたデータ処理を実行する。
【0117】
本実施形態では、計測装置が、ユーザの歩行検知から計測開始までの待機時間を含む計測条件を、そのユーザの生活習慣に合わせて変動させて設定する。そのため、本実施形態によれば、ユーザの生活習慣に合わせた適切な待機時間を設定することによって、消費電力を低減しながら、適切なタイミングで歩容計測を行うための計測条件を設定できる。計測装置の消費電力が低減されれば、電池寿命が延びる。また、電池寿命は延びないものの、低減される消費電力を他のデータ処理に割り振って、サービス内容を充実させもよい。
【0118】
一般的な歩容計測においては、安定歩行が検出された任意のタイミングで歩容計測が行われるため、計測装置に内蔵される電池の消耗が激しかった。頻繁な電池交換や充電が可能な使用環境であれば、計測装置を長期的に使用することができる。しかしながら、ユーザビリティを向上させるためには、頻繁な電池交換や充電は好ましくない。そのため、電池交換不要でありながら、長期間安定した歩容計測が可能になることが求められる。電池交換せずに、歩容計測を長期的に安定して行うためには、ユーザの生活習慣に合わせて歩容の計測時間帯を制限すればよい。ところが、歩容の計測時間帯をユーザの生活習慣に合わせても、個々の計測時間帯におけるユーザの歩行が一定であるとは限らないため、歩容計測に失敗することがあった。例えば、ユーザが安定歩行を開始して計測を開始した直後に、階段の昇降や、エレベータの利用、スーパーなどの店舗内における商品の選定や勘定、子供の送迎などの場面においては、歩行状態の変化が起こる。計測時間帯に含まれる計測チャンスのたびに、歩行状態が変化すると、計測の失敗が頻繁に発生してしまう。本実施形態の手法によれば、ユーザの生活習慣に合わせて設定された計測時間帯において、安定歩行が検知されてから計測を開始するまでの待機時間をユーザの歩行特性に応じて設定できるため、計測の失敗が発生しにくくなる。
【0119】
本実施形態の一態様において、取得部は、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数を含む計測成否情報を取得する。計測条件設定部は、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける計測の失敗が発生した時刻および回数に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける待機時間を変更する。本態様では、対象計測時間帯の計測時間帯における計測の失敗が発生した時刻および回数に基づいて、関連計測時間帯に含まれる計測チャンスの待機時間を変更する。そのため、本態様によれば、計測の失敗が発生しやすい計測時間帯における計測において、失敗が発生しにくい計測条件を設定できる。
【0120】
本実施形態の一態様において、計測条件設定部は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に後続する同じ時間帯の関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける待機時間を設定する。ユーザの生活習慣は、同じ時間帯であれば、同様のパターンで行動する傾向がある。本態様では、対象計測時間帯に後続する同じ時間帯の関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける待機時間を設定することにより、ユーザの生活習慣に合わせて待機時間を設定する。そのため、本態様によれば、ユーザの生活習慣に合わせて待機時間を設定することにより、ユーザの生活にカスタマイズされた歩容計測を実現できる。
【0121】
本実施形態の一態様の条件設定装置は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおける計測の成功確率を計算する計算部を備える。計測条件設定部は、成功確率が閾値を超えた待機時間を、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける待機時間に設定する。本態様によれば、計測の成功確率に応じて待機時間を設定することによって、歩容計測の確度が向上する。
【0122】
本実施形態の一態様の条件設定装置は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおける計測の成功確率を計算する計算部を備える。計測条件設定部は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる複数の計測チャンスにおける待機時間を互いに異なる時間に設定する。計測条件設定部は、関連計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおける計測の成功確率が極大になる待機時間を、関連計測時間帯に関連する計測時間帯に含まれる計測チャンスにおける待機時間に設定する。本態様によれば、計測の成功確率が極大となる待機時間を設定することによって、歩容計測の確度がより向上する。
【0123】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る歩容計測システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容計測システムは、計測装置ではなく、データ処理装置が条件設定部を含む点において、第1の実施形態とは異なる。

【0124】
(構成)
図17は、本実施形態の歩容計測システム2の構成を示すブロック図である。歩容計測システム2は、計測装置21およびデータ処理装置22を備える。計測装置21とデータ処理装置22は、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。また、計測装置21とデータ処理装置22は、単一の装置で構成されてもよい。以下においては、計測装置21とデータ処理装置22について個別に説明する。
【0125】
〔計測装置〕
図18は、計測装置21の詳細構成の一例を示すブロック図である。計測装置21は、クロック210、加速度センサ211、角速度センサ212、制御部213、送受信部216、および電池217を有する。計測装置21は、第1の実施形態の計測装置11から計測条件設定部156が除かれた構成である。
【0126】
クロック210は、時刻を刻むリアルタイムクロックである。クロック210は、第1の実施形態のクロック110と同様の構成である。
【0127】
加速度センサ211は、3軸方向の加速度(空間加速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。加速度センサ211は、第1の実施形態の加速度センサ111と同様の構成である。加速度センサ211は、設定された計測条件に応じて、3軸方向の加速度を計測する。加速度センサ211は、計測した加速度を制御部213に出力する。
【0128】
角速度センサ212は、3軸方向の角速度(空間角速度とも呼ぶ)を計測するセンサである。角速度センサ212は、第1の実施形態の角速度センサ112と同様の構成である。角速度センサ212は、設定された計測条件に応じて、3軸方向の角速度を計測する。角速度センサ212は、計測した角速度を制御部213に出力する。
【0129】
制御部213は、第1の実施形態の制御部113と同様の構成である。制御部213は、設定された計測条件に応じて、加速度センサ211および角速度センサ212の各々から、3軸方向の加速度と3軸周りの角速度を取得する。制御部213は、取得した加速度および角速度をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータ(センサデータとも呼ぶ)を送受信部216に出力する。センサデータは、加速度や角速度の計測時刻を含む。また、制御部213は、計測されたセンサデータの計測成否情報を送受信部216に出力する。
【0130】
送受信部216は、第1の実施形態の送受信部116と同様の構成である。送受信部216は、制御部213からセンサデータを取得する。また、送受信部216は、制御部213からセンサデータの計測成否情報を取得する。計測が成功した場合、送受信部216は、センサデータおよび計測成否情報をデータ処理装置22に送信する。計測が成功した場合、送受信部216は、センサデータのみをデータ処理装置22に送信してもよい。計測が失敗した場合、送受信部216は、計測成否情報をデータ処理装置22に送信する。計測が失敗した場合であっても、センサデータが計測されていれば、送受信部216は、センサデータをデータ処理装置22に送信してもよい。
【0131】
送受信部216は、データ処理装置22から計測条件を受信する。送受信部216によって受信される計測条件は、計測装置21による計測における条件として設定される。計測条件には、計測時間帯における待機時間が含まれる。設定された待機時間は、受信直後の計測時間帯において反映されてもよいし、翌日以降の計測時間帯において反映されてもよい。ユーザの習慣に合わせて待機時間を設定するためには、翌日以降の同一の計測時間帯において待機時間が反映されることが好ましい。
【0132】
電池217は、計測装置21に含まれる構成要素の電源である。電池217は、第1の実施形態の電池117と同様の構成である。電池217の電力は、クロック210や加速度センサ211、角速度センサ212、制御部213、送受信部216の動作において消費される。
【0133】
〔データ処理装置〕
図19は、データ処理装置22の構成の一例を示すブロック図である。データ処理装置22は、操作受付部220、送受信部221、生成部222、検出部223、条件設定部225、およびデータ処理部227を有する。データ処理装置22は、第1の実施形態のデータ処理装置12に、第1の実施形態の条件設定部115を追加した構成である。条件設定部225は、単一の装置(条件設定装置)として構成されてもよい。
【0134】
操作受付部220は、ユーザによって入力された情報(入力情報とも呼ぶ)を受け付ける。操作受付部220は、第1の実施形態の操作受付部120と同様の構成である。例えば、操作受付部220は、ユーザによって設定された待機時間を入力情報として受け付けてもよい。操作受付部220は、送受信部221に入力情報を出力する。
【0135】
送受信部221は、計測装置21からセンサデータおよび計測成否情報を受信する。送受信部221は、第1の実施形態の送受信部121と同様の構成である。送受信部221は、受信されたセンサデータを生成部222に出力する。送受信部221は、受信された計測成否情報を条件設定部225に出力する。また、送受信部221は、条件設定部225から計測条件を取得する。送受信部221は、取得された計測条件を計測装置21に送信する。さらに、送受信部221は、ユーザによる操作に応じた入力情報を操作受付部220から取得する。送受信部221は、条件設定部225や計測装置21に入力情報を送信する。
【0136】
生成部222は、第1の実施形態の生成部122と同様の構成である。生成部222は、送受信部221からセンサデータを取得する。生成部222は、取得したセンサデータの座標系を、ローカル座標系から世界座標系に変換する。生成部222は、世界座標系に変換後のセンサデータの時系列データ(歩行波形とも呼ぶ)を生成する。生成部222は、生成された歩行波形を検出部223に出力する。
【0137】
検出部223は、第1の実施形態の検出部123と同様の構成である。検出部223は、生成部222から歩行波形を取得する。検出部223は、歩行波形から歩行イベントを検出する。検出部223は、検出された歩行イベントのタイミングや、歩行イベントのタイミングを起点とする所定期間におけるセンサデータの値などの歩容計測に用いられるデータをデータ処理部227に出力する。
【0138】
条件設定部225は、計測時間帯における計測成否情報を送受信部221から取得する。条件設定部225は、第1の実施形態の条件設定部115と同様の構成である。条件設定部225は、取得した計測成否情報を記録する。計測成否情報は、計測時刻や、起動条件、何回目の計測チャンスで計測が成功したかを示す試行回数情報などの情報を含む。計測成否情報は、センサデータを含んでもよい。計測成否情報は、計測時間帯において計測が成功した場合の成功フラグや、計測時間帯において計測が失敗した場合の失敗フラグを含んでもよい。成功フラグが付された計測成否情報を成功情報、失敗フラグが付された計測成否情報を失敗情報とも呼ぶ。条件設定部225は、計測が実行されたものの、計測完了に至らなかった場合の計測時間帯の日時や、その計測時間帯における失敗回数を含む失敗情報を記憶部(図示しない)に登録する。
【0139】
条件設定部225は、計測時間帯ごとの計測成否情報に応じて、その計測時間帯に後続する計測時間帯における待機時間を設定する。例えば、条件設定部225は、待機時間を変更する対象の時間帯(対象時間帯とも呼ぶ)における失敗情報に基づいて、対象時間帯の待機時間を変更する。例えば、条件設定部225は、待機時間が変更された対象時間帯における計測の成功確率または失敗確率に応じて、対象時間帯における待機時間を変更する。
【0140】
例えば、条件設定部225は、計測が失敗した回数や、失敗が発生したタイミングなどの失敗要因に基づいて、待機時間を設定する。例えば、条件設定部225は、複数回に亘って対象時間帯の待機時間を変更し、計測の成功確率が極大となる待機時間を選択する。例えば、条件設定部225は、計測の成功確率が閾値を超えるまで、待機時間の更新を繰り返す。例えば、条件設定部225は、同一の計測時間帯に含まれる複数の計測チャンスの各々において待機時間をランダムに設定し、成功確率の高い待機時間を設定してもよい。例えば、条件設定部225は、ある計測時間帯で計測の成功確率が高い待機時間を、別の計測時間帯の待機時間に設定してもよい。
【0141】
例えば、条件設定部225は、月や週、時刻、回数などで重みづけを付けて計測の失敗要因を判定して、月や週、時刻、回数に応じて待機時間を設定してもよい。例えば、条件設定部225は、曜日や時刻ごとに最適な待機時間を記録しておき、曜日や時刻に応じて待機時間を設定してもよい。例えば、条件設定部225は、季節の移り変わりのタイミングにおいて待機時間を設定しなおしてもよい。例えば、データ処理装置22が携帯端末にインストールされたアプリによって実現される場合、条件設定部225は、携帯端末のGPS(Global Positioning System)によって取得される位置情報を用いて、待機時間を設定してもよい。例えば、位置情報によってユーザの歩行箇所を特定できれば、安定歩行が行われる可能性が高いか否かを判定することができる。
【0142】
計測装置21が左右両足の履物に実装されている場合、計測装置21の個体差や、ユーザの利き足などの都合によって、左右の足に設定される計測時間帯や待機時間が大きくずれる可能性がある。例えば、停止した状態から歩行を開始する際に、左足から踏み出すユーザに関しては、左足の方が安定歩行に移行するタイミングが早くなる。例えば、ユーザが歩行する道にカーブが多い場合、カーブで歩行するタイミングに合わせて待機時間が設定されると、左右の待機時間のずれが大きくなる可能性がある。左右の待機時間のずれが大きくなると、平常時の歩行に関しては、一方の足に関しては待機時間が長くなり、電力消費の低減の効果が低減する可能性ある。そのため、待機時間は、左右の足で大きくずれないことが好ましい。例えば、左右両足の履物に実装された計測装置21の待機時間が規定値を超えてずれた場合、それらの計測装置21の待機時間のずれを小さくするアルゴリズムが、条件設定部225による計測条件の設定に追加されればよい。
【0143】
データ処理部227は、第1の実施形態のデータ処理部227と同様の構成である。データ処理部227は、歩容計測に用いられるデータを検出部223から取得する。データ処理部227は、取得したデータを用いて歩容計測を行う。例えば、データ処理部227による歩容計測の結果は、図示しない表示装置に表示される。例えば、データ処理部227による歩容計測の結果は、その結果を用いるシステムに出力される。データ処理部227による歩容計測の結果の使用方法については、特に限定を加えない。
【0144】
以上のように、本実施形態の歩容計測システムは、計測装置とデータ処理装置を備える。本実施形態の歩容計測システムは、条件設定装置がデータ処理装置に含まれる点に特徴がある。
【0145】
計測装置は、センサ、制御部、およびデータ送受信部を有する。センサは、空間加速度および空間角速度を計測する。制御部は、条件設定装置によって設定された計測条件に基づいて、計測時間帯に含まれる少なくとも一回の計測チャンスにおいて起動する。制御部は、センサによって計測された空間加速度および空間角速度に基づくセンサデータを生成する。データ送受信部は、センサデータをデータ処理装置に送信する。また、データ送受信部は、ユーザによって入力された入力情報や、データ処理装置によって設定された計測条件をデータ処理装置から受信する。
【0146】
データ処理装置は、条件設定部(条件設定装置)、操作受付部、送受信部、生成部、検出部、およびデータ処理部を有する。条件設定部は対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する。条件設定部は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する。操作受付部は、ユーザの操作に応じて入力された入力情報を受け付ける。送受信部は、ユーザの足部に設置された計測装置によって計測された足の動きに関するセンサデータを受信する。また、送受信部は、ユーザによって入力された入力情報や、条件設定装置によって設定された計測条件を計測装置に送信する。生成部は、送受信部によって受信されたセンサデータの時系列データである歩行波形を生成する。検出部は、生成部によって生成された歩行波形から歩行イベントを検出する。データ処理部は、検出部によって検出された歩行イベントを用いたデータ処理を実行する。
【0147】
本実施形態では、データ処理装置が、ユーザの歩行検知から計測開始までの待機時間を含む計測条件を、そのユーザの生活習慣に合わせて変動させて設定する。そのため、本実施形態によれば、ユーザの生活習慣に合わせて適切な待機時間を設定することによって、消費電力を低減しながら、適切なタイミングで歩容計測を行うための計測条件を設定できる。また、本実施形態によれば、計測装置が計測条件を設定することによって、第1の実施形態と比べて、計測装置の消費電力が低減される。
【0148】
本実施形態の一態様において、条件設定装置は、ユーザの左右の足に設置された計測装置の計測条件に含まれる待機時間が規定値を超えてずれた場合、ユーザの左右の足に設置された計測装置のうち少なくとも一方の待機時間を変更する。条件設定装置は、ユーザの左右の足に設置された計測装置の待機時間のずれを小さくする。本態様によれば、左右の足に設置された計測装置の計測条件に含まれる待機時間のずれを緩和することによって、歩容計測の精度をより向上できる。
【0149】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る条件設定装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の歩容計測システムは、各実施形態の条件設定部(条件設定装置)を簡略化した構成である。
【0150】
図20は、本実施形態の条件設定装置350の構成の一例を示すブロック図である。条件設定装置350は、取得部351および計測条件設定部356を備える。取得部351は、対象計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて、ユーザの足部に設置された計測装置によって実行された、足の動きに関する物理量の計測の成否を示す計測成否情報を取得する。計測条件設定部356は、対象計測時間帯における計測成否情報に基づいて、対象計測時間帯に関連する関連計測時間帯に含まれる計測チャンスにおいて歩行が検出されてから計測が開始されるまでの待機時間を含む計測条件を設定する。
【0151】
本実施形態では、ユーザの歩行検知から計測開始までの待機時間を含む計測条件を、そのユーザの生活習慣に合わせて変動させて設定する。そのため、本実施形態によれば、ユーザの生活習慣に合わせた適切な待機時間を設定することによって、消費電力を低減しながら、適切なタイミングで歩容計測を行うための計測条件を設定できる。
【0152】
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図21の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、図21の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0153】
図21のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図21においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0154】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0155】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0156】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0157】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0158】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0159】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0160】
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0161】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図21のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御や処理に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0162】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0163】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0164】
1、2 歩容計測システム
11、21 計測装置
12、22 データ処理装置
110、210 クロック
111、211 加速度センサ
112、212 角速度センサ
113、213 制御部
115、225 条件設定部
116、216 送受信部
117、217 電池
120、220 操作受付部
121、221 送受信部
122、222 生成部
123、223 検出部
127、227 データ処理部
151 取得部
153 記憶部
155 計算部
156 計測条件設定部
157 出力部
350 条件設定装置
351 取得部
356 計測条件設定部
図1
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