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特許7694693設計システム、情報処理装置、プログラム、出力装置、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】設計システム、情報処理装置、プログラム、出力装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/10 20180101AFI20250611BHJP
【FI】
G06F8/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023559349
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2021041753
(87)【国際公開番号】W WO2023084741
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-05-02
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 総務省研究開発委託「先進的仮想化ネットワークの基盤技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】田辺 和輝
(72)【発明者】
【氏名】黒田 貴之
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-114437(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061229(WO,A1)
【文献】特開2014-164385(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244446(WO,A1)
【文献】黒田 貴之ほか,ICTシステムの設計に関する知識の機械学習による獲得,電子情報通信学会論文誌B [online],2021年03月01日,Vol. J104-B, No. 3,pp. 140-151,[retrieved on 2021-01-22], Retrieved from the Internet: <URL: https://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j104-b_3_140>,<DOI: 10.14923/transcomj.2020AII0001>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00-8/77
G06F 11/07-11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムであって、
1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶する記憶部と、
前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定する判定部と、
前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得する類似情報取得部と、
前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、
前記設計対象の定義情報と前記新たな構成情報を含む組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる情報管理部と、
を備える設計システム。
【請求項2】
前記類似要件情報が表す部品をユーザが編集可能なユーザ・インタフェースを提供し、該ユーザ・インタフェースを介して入力された編集内容を前記類似要件情報に反映することで、新たな要件情報を生成する要件生成部を備え、
前記構成設計部は、前記新たな要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成し、
前記情報管理部は、前記設計対象の定義情報、前記新たな要件情報、及び前記新たな構成情報の組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる
請求項1に記載の設計システム。
【請求項3】
前記類似情報取得部は、前記設計対象の定義情報の要件要素と、前記関連情報の定義情報の要件要素と、が一致する数に基づいて、前記類似定義情報を選択する
請求項1又は請求項2に記載の設計システム。
【請求項4】
前記部品群のうち少なくとも一部の部品は、ノード又はエッジを表すグラフ要素であり、
ユーザから前記要件要素の入力を受け付ける入力フォームと、
前記入力フォームに入力された要件要素からなる定義情報に対して、当該定義情報に関連する構成情報について前記グラフ要素の画像を含むグラフ構造と、
を表示させる出力制御部
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の設計システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、
表示される前記グラフ構造が、前記第1処理により出力された情報であるか、又は、前記第2処理により生成された情報であるか、をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提示する
請求項4に記載の設計システム。
【請求項6】
前記関連情報には、前記構成生成処理において前記変換規則の適用する変換過程と各変換過程での部品群を表す情報が含まれ、
前記構成設計部は、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に含まれる部品群と、前記類似定義情報に関連付けられた構成情報である類似構成情報の各変換過程の部品群と、に基づいて、前記構成生成処理を行う変換過程を決定する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の設計システム。
【請求項7】
前記類似構成情報の変換過程には、第1部品或いは第1部品群を第2部品或いは第2部品群に変換する過程が含まれ、
前記構成設計部は、前記変換規則の適用を行う第3部品或いは第3部品群のうち、前記第1部品或いは前記第1部品群が含まれない第4部品或いは第4部品群に対して、前記構成生成処理を行う
請求項6に記載の設計システム。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記新たな構成情報と、前記類似定義情報に関連付けられた構成情報である類似構成情報において、同一のグラフ要素と異なるグラフ要素をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提示する
請求項4に記載の設計システム。
【請求項9】
要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置であって、
前記設計対象の定義情報が入力された場合に、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得する類似情報取得部と、
前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、
を備える情報処理装置。
【請求項10】
要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置に用いられる学習済みモデルであって、
部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報の組に基づいて、機械学習を行うことで生成され、
1又は複数の要件要素からなる定義情報、前記要件情報、及び、前記構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報において、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則が、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して適用された後に、前記構成生成処理が行われることで、新たな構成情報が追加された学習済みモデル
の機能を発揮するプログラム。
【請求項11】
要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって生成された当該設計対象の構成情報を表示する出力装置であって、
ユーザから要件要素の入力を受け付ける入力フォームと、
1又は複数の前記要件要素からなる定義情報、ノード又はエッジを表すグラフ要素の第1群で表された前記要件を示す要件情報、及び、前記グラフ要素の第2群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を参照し、前記入力フォームに入力された要件要素からなる定義情報に対して、当該定義情報に関連する構成情報について前記グラフ要素の画像を含むグラフ構造と、
をディスプレイに表示する出力制御部
を備える出力装置。
【請求項12】
要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムにおける方法であって、
記憶媒体が、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶し、
情報処理装置が、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定し、
情報処理装置が、前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得し、
情報処理装置が、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設計システム、情報処理装置、プログラム、出力装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のビジネス分野では、要件等から具体的な構成を設計することで、設計に基づくサービスや製品が提供されている。
このような設計を自動化する技術として、例えばICT(情報通信技術)システムの分野において、特許文献1には、システムの構成要件に含まれている抽象構成情報を記憶されている具体化規則を用いて具体化することによって、前記構成要件を基に前記未確定な部分が含まれていないシステムの構成を示す情報であるシステム構成情報を生成することが記載されている。特許文献2には、各プロジェクトのシステム要件類似度、手作業工数、プロジェクトで使用した環境構築指示書を表示することが記載されている。特許文献3には、開発担当者はシステム開発に際し基本的な要求及び機能を予め基本要件及び基本機能としてデータベースに登録しておき、それぞれのより詳細かつ具体的な内容を子要件、システム対応、ソフトウェア仕様という異なった内容及びレベル(粒度)を備えた複数種のオブジェクトに分けて登録することが記載されている。
非特許文献1には、ICTシステムを構成する製品の性能評価に必要となる技術であって、網羅的な評価環境を自動的に生成する技術について記載されている。非特許文献2には、AI(人工知能)と機械学習を活用することで,設計に必要な知識を自律的に獲得する手法について記載されている。非特許文献3には、抽象的な顧客の要求とサービスが展開される環境に基づいて、具体的なサービスの構成を生成することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/216082号
【文献】特開2013-114437号公報
【文献】特開2005-352869号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】田辺和輝他、“探索型システム設計方式を用いたICTシステムの製品評価環境自動構築技術”、「信学技報IEICE Technical Report」、電子情報通信学会、2021年3月、vol.120、no.433、ICM2020-60、 7-12頁
【文献】黒田貴之他、“ICT システムの設計に関する知識の機械学習による獲得”、「電子情報通信学会論文誌」、電子情報通信学会、2021年3月1日、Vol.J104-B、No.3、140-151頁
【文献】Takayuki Kuroda et al.、“A Novel Configuration Designer for IT/NW Services in Heterogeneous Environments”、2019 IEEE Global Communications Conference (GLOBECOM)、2019年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設計の自動化(半自動化を含む)については、処理に時間を要する場合もあり、処理速度の向上が望まれる。
【0006】
本開示の目的の1つは、上記課題を解決する設計システム、情報処理装置、プログラム、出力装置、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示は、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムであって、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶する記憶部と、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定する判定部と、前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた構成情報である類似構成情報を取得する類似情報取得部と、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、前記設計対象の定義情報と前記新たな構成情報を含む組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる情報管理部と、を備える設計システムである。
【0008】
(2)本開示は、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置であって、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得する類似情報取得部と、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、を備える情報処理装置である。
【0009】
(3)本開示は、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置に用いられる学習済みモデルであって、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報の組に基づいて、機械学習を行うことで生成され、1又は複数の要件要素からなる定義情報、前記要件情報、及び、前記構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報において、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則が、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して適用された後に、前記構成生成処理が行われることで、新たな構成情報が追加された学習済みモデルを記憶する記憶媒体である。
【0010】
(4)本開示は、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって生成された当該設計対象の構成情報を表示する出力装置であって、ユーザから前記要件要素の入力を受け付ける入力フォームと、1又は複数の要件要素からなる定義情報、ノード又はエッジを表すグラフ要素の第1群で表された前記要件を示す要件情報、及び、前記グラフ要素の第2群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を参照し、前記入力フォームに入力された要件要素からなる定義情報に対して、当該定義情報に関連する構成情報について前記グラフ要素の画像を含むグラフ構造と、を表示させる出力制御部を備える出力装置である。
【0011】
(5)本開示は、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムにおける方法であって、記憶媒体が、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶し、情報処理装置が、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定し、情報処理装置が、前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得し、情報処理装置が、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成し、前記設計対象の定義情報と前記新たな構成情報を含む組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、設計の処理速度の向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る設計装置の外観を示す図である。
図2】本実施形態に係る画面表示の一例を表す図である。
図3】本実施形態に係る要件から構成を導く手法例を説明する説明図である。
図4】本実施形態に係るシステム要件の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る変換規則を適用する前のシステム要件の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る変換規則を適用した後のシステム要件の一例を示す図である
図7】本実施形態に係る設計装置の概略を説明する説明図である。
図8】本実施形態に係る設計装置の構成を示す概略ブロック図である。
図9】本実施形態に係る類似設計選択処理の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る要件生成処理を示す図である。
図11】本実施形態に係る構成設計処理の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る設計装置の処理を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る設計処理を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る構成設計部の構成を示す概略ブロック図である。
図15】本実施形態に係る履歴情報の例を示す図である
図16】本実施形態に係る統合データにおける関連関係を例示する図である。
図17】本実施形態に係る構成生成処理の一例を示すフローチャートである。
図18】本実施形態に係る具体化設計処理の一例を示すフローチャートである。
図19】本実施形態に係るノード評価処理の一例を示すフローチャートである。
図20】本実施形態に係る学習データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図21】本実施形態に係る要件評価処理の一例を示すフローチャートである。
図22】本実施形態に係る処理の履歴の比較例を示す説明図である。
図23】本実施形態に係る処理の履歴の別の比較例を示す説明図である。
図24】本実施形態に係る履歴情報の別の一例を示す図である。
図25】第2実施形態に係る設計システムの構成を示す概略ブロック図である。
図26】上記実施形態の変形例に係る設計装置の構成を示す概略ブロック図である。
図27】上記実施形態の変形例に係る表示装置の構成を示す概略ブロック図である。
図28】上記実施形態の変形例に係る設計システムの処理を示すフローチャートである。
図29】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る設計装置1の外観を例示する図である。
設計装置1は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)であり、本体10、キーボード131、マウス132等の入力機器13、及びディスプレイ14を含んで構成される。
設計装置1は、設計を自動的(半自動的を含む)に行う。具体的には、設計装置1は、入力機器13から入力された定義に対して、要件を生成する。設計装置1は、生成した要件から構成を設計して、ディスプレイ14に表示する設計システムである。ここで、定義とは、要件を構成する要素(「要件要素」とも称する)の組である。また要件及び構成は、グラフ構造で記述される。要件は、構成よりも抽象的に記述され、要件のグラフ構造の部品(後述するノード及びエッジ)は、構成のグラフ構造の部品に変換される。
【0016】
本実施形態では、設計装置1は、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)システムの設計を行う。以下、ICTシステムの場合、設計、定義、要件、構成を、それぞれ、「システム設計」、「システム定義」、「システム要件」、「システム構成」とも称する。
ただし、設計装置1が対象とする設計は、特定の分野に限定されない。例えば、設計装置1は、サービスや製品等の定義から、その構成の設計を行うものに適用できる。その場合、実施形態のシステム設計、システム定義、システム要件及びシステム構成という用語は、サービス設計、サービス定義、サービス要件及びサービス構成、又は、製品設計、製品定義、製品要件及び製品構成に置き換えられてもよい。
【0017】
なお、設計装置1は、設計システムの一例である。設計装置1の機能の一部は、1又は複数の装置に備えられ、設計システムは、複数の装置を具備してもよい。例えば、設計装置1は、ワークステーション(Workstation)等のコンピュータを用いて構成されていてもよいし、SIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いて構成される等、設計装置1専用のハードウェアを用いて構成されていてもよい。また、設計システムは、クラウドコンピューティングシステム等、複数装置に機能が分散されて構成されてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態に係る画面表示の一例を表す図である。この画面表示G1は、設計装置1によって、ユーザに対して表示されるユーザ・インタフェース(Graphical User Interface:GUI)。ユーザは、例えばシステム設計を行う設計者である。
画面表示G1において、入力フォームG11には、ユーザにより、システム定義が入力される。この入力フォームG11では、システム定義として、システム種別、帯域幅、可用性、又は、バックアップの要否の各要件要素の一部或いは全部について、値が入力される。ここで、システム種別とは、システムの種別を表し、例えば、顔認証、ERP(基幹系情報システム)、Web等である。帯域幅は、通信帯域幅を示し、単位は例えばbps(ビット/秒)が用いられる。可用性は、システムを停止させることなく稼働し続ける指標を示し、稼働率で表現される。なお、入力フォームG11のシステム定義は、要件要素を追加することも、削除することも可能である。例えば、スループット、ファイアウォールの有無、DMZ(DeMilitarized Zone)の有無、認証機能の有無、メール機能の有無等が予め記憶され、ユーザが要件要素を選択することで、システム定義の要件要素を追加することができる。
【0019】
例えばプルダウンメニュー形式で表示される選択肢からのユーザによる選択操作に応じて入力フォームG11の各項目が入力された後、ボタンG12が押下された場合、係る入力された各項目に応じたシステム構成G13(「システム構成G13と称する」)が表示される。
システム構成G13は、グラフ理論に基づくグラフ構造で表される。ノード及びエッジは、いずれもグラフ構造を記述する要素(「グラフ要素」とも称する)である。本開示では、グラフ要素を「部品」とも称する。グラフ構造は、部品の集合である「部品群」で表される。ノードは、節点、頂点等の点であり、システム構成G13では、円で表されている。エッジは、枝、辺等の線であり、有向グラフのシステム構成G13では、方向のある矢印で表されている。なお、システム構成G13のグラフ構造は、無向グラフであってもよい。
ノード及びエッジのそれぞれには、属性情報が付加されている。システム構成G13では、あるノード(node_1)がユーザに選択され、そのノードの属性ウィンドウ(Property)が表示されている。この属性ウィンドウには、属性名、種別、属性情報が含まれている。
【0020】
図3は、本実施形態に係る要件から構成を導く手法例を説明する説明図である。
手法例として、探索木が用いられる例について説明する。図3に例示する探索木は、設計装置1の機械学習により生成又は更新される学習済みモデルであり、統合データとして、設計装置1に予め記憶される。設計装置1は、システム定義からシステム要件を生成し、生成したシステム要件を入力として、探索木上で関連するシステム構成に変換する。設計装置1は、変換したシステム構成を出力する(図2参照)。
【0021】
探索木において、ノードはシステム要件を示し、エッジは変換規則を示す。エッジは、変換規則を適用する前のノードから、変換規則を適用した後のノードへの向きに張られる。1つのノードを始点とする複数のエッジは、同一のシステム要件に適用可能な複数の変換規則を示す。
図3に例示する探索木において、ノードN301は、根(Root)である。ノードN302は、葉(Leaf)の1つである。例えばノードN301からノードN302までの経路のように、根から葉までの1つの経路は、1つのシステム設計の過程を示す。
システム要件に変換規則を適用することを、変換と称する。また、システム要件に変換規則を複数回適用してもよいことを明示する場合、変換系列と称する。したがって、変換系列は、1つ以上の変換の直列接続で示される。
【0022】
なお、システム設計開始時のノードは、根に限定されない。例えば、具体化されたシステム要件が設計装置1に入力される場合、根以外のノードがシステム設計開始時のノードになり得る。具体化されたシステム要件とは、例えば、探索木の根以外のノードと一致するシステム要件である。
また、システム設計終了時のノードは、葉に限定されない。例えば、変換規則の1つとして、具体化された部品を具体化された別の部品に置き換える規則が含まれている場合、葉以外のノードでシステム要件が配備可能なレベルにまで具体化された結果、システム設計が終了となることが考えられる。
【0023】
葉のノードは、システム構成を示す。ただし、葉以外のシステム設計終了時のノード(例えば葉以外のノードでシステム要件が配備可能なレベルにまで具体化されたノード)を、システム構成としてもよい。
【0024】
なお、統合データは、システム設計に用いられる変換規則に応じて、木に限定されずいろいろな有効グラフで表され得る。例えば、第一のシステム要件に対して、異なる変換系列の何れを適用しても同じ第二のシステム要件を得られる場合、統計データでは、第一ノードから第二ノードへの経路が複数存在することになる。この場合、統合データがラティス(Lattice)で示されていてもよい。
また、統合データが互いに独立した2つ以上の部分グラフを含んでいてもよい。ここでいう、2つの部分グラフが互いに独立していることは、2つの部分グラフのうち第一の部分グラフから第二の部分グラフに至る経路が無く、かつ、第二の部分グラフから第一の部分グラフに至る経路も無いことである。例えば、統合データが森(Forest)で示されていてもよい。
また、統合データは、探索木或いは木構造以外の学習済みモデル、テーブル、又は関数のいずれか或いはこれらの組み合わせであってもよく、複数の変換過程が含まれるものであってもよい。
【0025】
図4は、本実施形態に係るシステム要件の一例を示す図である。このシステム要件は、図3の探索木のノードの一例であり、不審者を検知する不審者検知システムのシステム要件を表している。
図4のシステム要件は、有向グラフのグラフ構造で表され、ノード及びエッジのそれぞれに、属性情報が付加されている。システム要件は、システム構成G13と同様に、部品(グラフ要素)の集合である「部品群」で表される。なお、システム要件も、無向グラフであってもよい。
【0026】
例えば、ノードには、そのノードが示す機能又は機器等の名称又は識別情報が属性情報として付加されていてもよい。図4の例の場合、ノードN101は、カメラ機能(撮影機能)を示す。ノードN102及びN109は、何れもネットワークスイッチを示す。ノードN103及びN110は、何れもルータを示す。ノードN104は、顔認証機能を示す。ノードN105は、クラウド基盤を示す。ノードN106は、WAN(Wide Area Network、広域通信網)を示す。ノードN107は、モニタ機能(画像表示機能)を示す。ノードN108は、サーバ装置を示す。
【0027】
また、ノードには、そのノードの抽象度も属性情報として付加されていてもよい。図4の例の場合、ノードN101、N104、N105、及び、N107は、抽象的なノードである。一方、ノードN102、N103、N106、N108、N109、及び、N110は、具体的なノードである。ここで、抽象的なノードとは、予め定められた変換規則を少なくとも1回参照することにより、現在よりも具体的な構成を表すノードに変換できるノードである。一方、具体的なノード(即ち、配備可能なレベルに具体化されたノード)は、当該変換規則を参照しても、これ以上は具体的な構成を表すノードには変換することができないノードである。
【0028】
設計装置1は、抽象的なノードを具体化するように、システム要件に当該変換規則を適用する。例えば、設計装置1は、図4に例示されるシステム要件に、カメラ機能を示すノードN101を、カメラ(撮像装置)のノードと、カメラを制御する制御装置のノードとを含む部分グラフ(Subgraph)に変換する変換規則を適用してもよい。
【0029】
また、図4の例では、エッジE101、E105、及び、E109のそれぞれの属性情報「join」と、エッジE103及びE107のそれぞれの属性情報「http」が示されている。「join」は、所属関係を示す。例えば、ノードN101が示すカメラ機能は、ノードN102が示すネットワークスイッチが形成するLAN(Local Area Network)に含まれる。ノードN104が示す顔認証機能は、ノードN105が示すクラウド基盤上に設けられる。ノードN107が示すモニタ機能は、ノードN108が示すサーバ装置を用いて制御される。
【0030】
「http」は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を用いた通信を示す。例えば、エッジE103は、ノードN101が示すカメラ機能からノードN105が示す顔認証機能へ、HTTPでデータを送信することを示している。エッジE107は、ノードN105が示す顔認証機能からノードN107が示すモニタ機能へ、HTTPでデータを送信することを示している。
【0031】
また、エッジにも、そのエッジの抽象度も属性情報として付加されていてもよい。図4の例の場合、エッジE101、E103、E105、E107及びE109は、抽象的なエッジである。一方、エッジE102、E104、E106、E108、E110及びE111は、具体的なエッジである。ここで、抽象的なエッジとは、予め定められた変換規則を少なくとも1回参照することにより、現在よりも具体的な構成を表すエッジに変換できるエッジである。一方、具体的なエッジは、当該変換規則を参照しても、これ以上は具体的な構成を表すエッジには変換することができないエッジ(即ち、配備可能なレベルに具体化されたエッジ)である。
【0032】
設計装置1が用いる変換規則には、エッジを具体化する変換規則が含まれていてもよい。
図5は、本実施形態に係る変換規則を適用する前のシステム要件の一例を示す図である。図5に示されるシステム要件では、ノードN201が示すカメラ機能が、ノードN202が示すワークステーションに接続される。また、ノードN203が示す顔認証機能が、ノードN204が示すワークステーション上で実行される。エッジE201は、ノードN201が示すカメラ機能から、ノードN203が示す顔認証機能へ、HTTPでデータを送信することを示していることとする。
【0033】
図6は、本実施形態に係る変換規則を適用した後のシステム要件の一例を示す図である。図6は、図5に示されるシステム要件に変換規則を適用した例を示している。
図6では、図5のエッジE201に代えて、エッジE211が設けられている。エッジE211は、ノードN202が示すワークステーションから、ノードN204が示すワークステーションへTCP(Transmission Control Protocol)を用いてデータを送信することを示していることとする。即ち、図6は、図5のシステム要件に対する変換規則の適用により、HTTPを用いた通信が、TCPを用いた通信に具体化する変換が行われたことが表されている。
【0034】
ただし、設計装置1が対象とするシステムは、部品を含むいろいろなシステムとすることができる。設計装置1が対象とするシステムの表現方法は、部品の種類を特定して変換規則を適用可能ないろいろな表現方法とすることができる。
【0035】
予め定められた複数の変換規則のうち、設計装置1がシステム要件にどの変換規則を適用するかによって、さらには、設計装置1がシステム要件に複数の変換規則を適用する順番によって、変換後のシステム要件が表す内容(構成)が異なるという事象が生じる。特に、システム要件に適用する変換規則によって、さらには、システム要件に複数の変換規則を適用する順番によって、設計装置1がシステム設計に成功する場合と、失敗する場合とに分かれる。換言すると、設計装置1の目的は、システムを配備(Deployment)可能なレベルにまでシステム要件を具体化することである。
【0036】
なお、本開示において、「部品」は、成果物として求めたいシステムの構成に応じて、それ以上は具体的な構成に変換できない程度まで最大限具体化された構成を表す場合や、所望の程度まで具体化された構成(例えばある機能を実現する機能モジュール)を表す場合等が想定される。このため個々の部品の具体化の度合いは、一義的に定まるものではない。また、「部品」は、例えば「サーバ」等の単位で定義されてもよいし、より細かく、例えば「CPU」、「メモリ」、「ハードディスク」等の単位で定義されてもよいし、より粗く、例えば「顔認識を行うシステム」等の単位で定義されてもよい。このため個々の部品が定義される単位は、一義的に定まるものではない。
【0037】
設計装置1は、図3に示した探索木を用いて、システム設計することも可能である。この場合、設計装置1は、設計対象のシステム要件を取得する。システム要件は、ICTシステムが備えるべき構成を記述した情報である。設計装置1に入力されるシステム要件では、設計対象の構成要素を抽象的に記述することが可能である。設計装置1は、取得したシステム要件に対して、予め定められた変換規則を繰り返し適用することで、システムを配備(Deployment)可能なレベルにまでシステム要件を具体化する。
具体的には、設計対象のシステム要件は、1つ以上の部品を含んで構成される。設計装置1は、システム要件に含まれる部品の何れか1つを選択し、選択した部品を具体化する変換規則を適用する。設計装置1は、部品の選択及び変換規則の適用を繰り返すことでシステム設計を行う。このシステム設計では、部品に対して変換規則が適用され、設計対象システムが部品単位で具体化される。
【0038】
設計装置1は、常にこのシステム設計を用いる場合には、システム要件の1件1件に対して、一定の計算時間を要する設計案の生成と絞込みを行う必要があり、柔軟性・省力性を維持しつつ、計算時間短縮による設計のさらなる高速化が求められる場合がある。
設計装置1は、以下の構成により、設計のさらなる高速化を実現できる。
【0039】
<設計装置1について>
図7は、本実施形態に係る設計装置1の概略を説明する説明図である。
設計装置1には、例えば、システムの設計に先立って、複数のシステム定義を入力できる。システム定義は、例えば図7内の左側の「要件要素」に示す種別と、その種別に関係する機能要件あるいは非機能要件とによって構成される組によって構成される。ユーザは、予め定義された各要件要素の値を選択することで、システム要件を構成する要件要素の組である、複数のシステム定義の中から、入力したい所望のシステム定義を選択できる。また、システム定義のパターンごとに、システム要件、及びシステム構成が予め関連付けられている。ここで、システム構成は、探索木を用いて、システム要件から変換系列が適用されることにより、導出されるシステム構成である。これらのシステム定義、システム要件、及びシステム構成の組を、「事前設計情報」とも称する。事前設計情報において、システム定義に予め関連付けられたシステム要件を「事前要件」、システム構成を「事前構成」とも称する。
【0040】
設計装置1は、事前設計情報を蓄積する。設計装置1は、設計対象のシステム定義が入力された場合に、予め蓄積した事前設計情報の中から、当該入力されたシステム定義に対応するシステム構成を出力(選択)する。これにより、設計装置1は、柔軟性・省力性を維持しつつ、計算時間短縮による設計のさらなる高速化を行うことができる。
【0041】
また後述するように、設計装置1は、上記の如く予め蓄積した事前設計情報の中に設計対象のシステム定義を含む事前設計情報が存在しない場合、係る予め蓄積した事前設計情報のシステム定義の中から、当該設計対象のシステム定義と類似するシステム定義(「類似システム定義」とも称する)を特定する。設計装置1は、特定した類似システム定義に対応するシステム構成(類似システム構成)を用いて、新たなシステム構成を生成する。この場合、設計装置1は、設計対象のシステム定義に対して、新たなシステム構成を出力する。設計装置1は、類似システム構成を用いて新たなシステム構成を生成するので、設計対象のシステム定義が新しい場合でも、類似システム構成を用いない場合と比較して、計算時間短縮による設計のさらなる高速化を行うことができる。また、設計装置1は、より精度の高い設計を行うことができる場合もある。
【0042】
図8は、本実施形態に係る設計装置の構成を示す概略ブロック図である。
設計装置1は、通信部11、記憶部12、操作入力部13、制御部C、及び表示部14を含んで構成される。
【0043】
通信部11は、他の装置と通信を行う。例えば通信部11が、設計対象となるシステム要件を他の装置から受信するようにしてもよい。
記憶部12は、各種データを記憶する。例えば記憶部12は、要件要素情報、要件テンプレート、事前設計情報、統合データ、変換規則、及び部品評価モデルを記憶する。
【0044】
要件要素情報は、要件要素のリストである。統合データは、上述のように、システム要件とシステム構成とが関連付けられた情報である。
要件テンプレートは、システム定義の要件要素の組及び値のパターンの各々について、システム要件が予め関連付けられた情報である。
統合データには、システム要件からシステム構成への複数の変換過程、各変換過程の前後のシステム要件が含まれる。例えば統合データは、予め機械学習が行われた学習済みモデル(図3参照)であり、変換規則の適用順序が機械学習の結果に応じて変わる構成であってもよい。
部品評価モデルは、システム要件とシステム要件の各部品の評価値とが予め関連付けられた情報である。例えば部品評価モデルは、システム要件が入力された場合に、当該システム要件に関連付けされている各部品の評価値を出力する学習済みモデルである。
記憶部12は、設計装置1が備える記憶デバイスを用いて構成される。ただし、記憶部12は、設計装置1に外付けされる記憶デバイスであってもよいし、通信部11を介して接続される他の装置の記憶デバイスであってもよい。
【0045】
操作入力部13は、例えばキーボード及びマウス等の入力機器であり、ユーザ操作を受け付ける。例えば操作入力部13が、システム定義の入力や、システム設計を開始するよう指示するユーザ操作を受け付ける。
制御部Cは、設計装置1の各部を制御して各種処理を行う。制御部Cの機能は、設計装置1が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が記憶部12からプログラムを読み出して実行することで実行される。
表示部14は、ディスプレイ(図1のディスプレイ14)であり、制御部Cの処理に基づいて、各種画像を表示する。例えば、表示部14は、図2の画面表示を表示する。
なお、図1の本体10は、通信部11、記憶部12、及び制御部Cを含んで構成される。その他、設計装置1及び本体10は、音を入力するマイク、音を出力するスピーカ、画像を撮像するカメラ等を備えてもよい。
【0046】
制御部Cは、情報管理部C11、参照判定部C12、類似設計取得部C13、要件生成部C14、構成設計部C15、及び出力制御部C16を含んで構成される。
【0047】
情報管理部C11は、要件要素情報、事前設計情報、統合データ、変換規則、及び部品評価モデルを取得して、記憶部12に予め記憶させる。なお、情報管理部C11は、それらの情報の一部或いは全部を、設計装置1内の各部から取得してもよいし、設計装置1以外の装置から取得してもよい。
【0048】
参照判定部C12は、入力された設計対象のシステム定義(「入力システム定義」とも称する)と事前設計情報のシステム定義(事前定義)に基づいて、設計対象のシステム構成として、どのシステム構成を出力するかを判定する。具体的には、参照判定部C12は、事前定義に対応する事前構成を出力するか、新たなシステム構成を生成して出力するかを判定する。事前構成を出力すると判定した場合、参照判定部C12は、事前定義に対応する事前構成を、設計対象のシステム定義のシステム構成として、表示部14に表示させる。
【0049】
類似設計取得部C13は、入力システム定義と一致する事前定義が存在しない場合に、事前設計情報から、入力システム定義に類似する事前定義(類似システム定義)を選択する。類似設計取得部C13は、選択した類似システム定義を含む事前設計情報(「類似設計情報」と称する)を取得する。
類似設計取得部C1が行う処理を、類似設計選択処理ともいう。
【0050】
要件生成部C14は、入力システム定義と要件テンプレートに基づいて、システム要件を抽出する。要件生成部C14は、抽出したシステム要件を、編集用のシステム要件として表示部14に表示させ、ユーザによる部品の編集を受け付ける。部品の編集とは、例えばノード、エッジ、又はこれらの属性情報の追加・削除・変更である。要件生成部C14は、編集結果に基づいて、新たなシステム要件を生成する。要件生成部C14が行う処理を要件生成処理ともいう。
なお、要件生成部C14は、類似設計情報に含まれる事前要件(「類似システム要件」と称する)を編集用のシステム要件として表示させて、ユーザに編集させてもよい。また、要件生成部C14は、編集用のシステム要件は表示せずに、最初から(部品がない状態から)システム要件を編集させてもよい。また、入力システム定義は、ユーザが要件要素の組と値を選択したものであってもよい。
【0051】
構成設計部C15は、要件生成部C14で編集された、新たなシステム要件(「入力システム要件」とも称する)を入力として、類似設計情報、統合データ、変換規則、及び部品評価モデルに基づいて、新たなシステム構成を生成する。構成設計部C15は、生成した新たなシステム構成を、設計対象のシステム定義に対応するシステム構成として、表示部14に表示させる。構成設計部C15が行う処理を構成設計処理ともいう。
【0052】
出力制御部C16は、制御部Cの各部の処理に基づいて、表示部14に各種画像を表示させる。例えば、出力制御部C16は、システム定義或いはシステム構成(図2参照)の画面表示、又は、システム要件の編集のための画面表示のデータを生成して、表示部14に表示させる。なお、出力制御部C16は、表示画像のデータ(例えば、HTML)を生成し、他の装置へ出力してもよい。この場合、他の装置がディスプレイに表示画像を表示させてもよいし、印刷等の出力を行ってもよい。
以下、類似設計選択処理、要件生成処理、及び構成設計処理(これらの処理を「設計処理」とも称する)について説明する。
【0053】
<類似設計選択処理>
図9は、本実施形態に係る類似設計選択処理の一例を示す図である。
設計装置1は、システム定義を比較することで、設計(システム要件又はシステム構成)が同一又は類似するか否かを判定する。類似設計取得部C13は、入力システム定義のシステム種別を参照し、同一のシステム種別を含む事前定義を抽出する。類似設計取得部C13は、抽出した事前定義と入力システム定義について、要件要素と値のハミング距離を算出する。類似設計取得部C13は、算出したハミング距離が最小の事前定義を、類似システム定義として選択する。
なお、類似設計取得部C13は、システム種別が異なる場合、システム要件が大きく異なる場合があるので、システム種別が異なる事前定義は、比較対象外としている。このように、類似設計選択処理では、類似設計取得部C13は、一部の要件要素の値が一致することを必須としてもよい。
【0054】
<要件生成処理>
図10は、本実施形態に係る要件生成処理を示す図である。
要件テンプレートには、システム定義の要件要素の組及び値のパターンの各々について、システム要件が関連付けられている。要件生成部C14は、要件テンプレートから、入力システム定義の要件要素の組及び値と一致するシステム要件を抽出する。抽出されたシステム要件は、編集用のシステム要件として表示され、このシステム要件が表す部品を、ユーザが編集することができる。
この図の例では、ユーザは、ノードに対して属性情報の追加、及び、部品の追加する編集を行っている。具体的には、ユーザは、顔認証を示すノードについて、「最小帯域を100Mbps」という属性情報を追加している。また、ユーザは、ファイアウォールを示すノードを追加し、顔認証を示すノードを始点としたエッジ(矢印)を追加している。これらの編集の結果、システム要件には、ファイアウォールを示すノードN301、このノードを終点とするエッジE302、顔認証を示すノードの属性情報が追加されている。
【0055】
<構成設計処理>
図11は、本実施形態に係る構成設計処理の一例を示す図である。
設計装置1は、入力システム要件に対して、類似システム構成の変換系列の一部(「再適用変換系列」とも称する)を再適用し、システム構成を生成する処理を削減することで、処理速度を向上する。
構成設計部C15は、類似システム構成の統合データを参照して、類似システム構成から類似システム構成に至るまで変換系列について、変換前後のシステム要件(図3のノード)、変換規則、及び評価値(これらの情報を「具体化パターン」とも称する。評価値については後述する)を、抽出する。構成設計部C15は、入力システム要件に対して、類似システム構成の具体化パターンを適用できるシステム要件を、特定する。具体的には、構成設計部C15は、類似システム構成の変換系列の順序に従って、変換規則が適用された対象部品があるか否かを判定する。構成設計部C15は、対象部品がなくなったシステム要件を「新設計始点」とし、その前のシステム要件を「再適用終点」として特定する。
ここで、対象部品は、例えばノード、エッジ、又は属性のいずれか或いはこれらの組み合わせであり、統合データに予め記憶されている。組み合わせの例として、2つのノードとこれらを始点、終点とするエッジが対象部品である。
【0056】
図11の例は、構成設計部C15は、入力システム要件N402について、類似システム構成N401の再適用変換系列P101が再適用できると判定し、新設計始点N403を特定したことを示す。設計装置1は、新設計始点N403のシステム要件に対して、構成生成処理を行うことで、システム構成を生成する。
このように、設計装置1は、類似システム構成の具体化パターン(変換系列)を再適用して、適用できないシステム要件からシステム構成を生成(設計)する。これにより、設計装置1は、入力システム要件からシステム構成を生成する場合と比較して、システム構成を生成する処理を削減でき、さらに処理速度を向上できる。
【0057】
<処理フロー>
以下、設計装置1の処理フローについて説明する。
図12は、本実施形態に係る設計装置1の処理を示すフローチャートである。
設計装置1に、設計対象のシステム定義(入力システム定義)が入力される(S11)。参照判定部C12は、S11で入力された入力システム定義が、記憶部12に記憶された事前設計情報に存在するか否か、つまり、事前定義と一致するか否かを、判定する(S12)。事前設計情報に存在する場合(ステップS12:YES)、表示部14は、その事前設計情報の事前構成を出力する(ステップS13)。一方、事前設計情報に存在しない場合(ステップS12:NO)、設計装置1は、設計処理を行う(ステップS2)。
【0058】
図13は、本実施形態に係る設計処理を示すフローチャートである。設計処理は、図12のステップS2の処理である。
類似設計取得部C13は、事前設計情報から、入力システム定義に類似する類似システム定義を選択する。類似設計取得部C13は、選択した類似システム定義を含む類似設計情報、つまり、類似システム定義に対応する類似システム要件及び類似システム構成を取得する(ステップS21)。
要件生成部C14は、入力システム定義に対して、要件テンプレートで対応するシステム要件を抽出し、ユーザによる部品の編集を受け付ける。要件生成部C14は、編集結果に基づいて、新たなシステム要件を生成する(ステップS22)。
【0059】
構成設計部C15には、ステップS22で生成された新たなシステム要件(入力システム要件)が入力される(ステップS23)。
構成設計部C15は、入力システム要件に対して、類似システム構成の変換系列の一部を再適用できるか否か、つまり、類似システム構成の変換系列の順序に従って変換規則が適用された対象部品があるか否かを判定する(ステップS24)。
【0060】
類似システム構成の変換系列の一部を再適用できる場合(ステップS24:YES)、構成設計部C15は、再適用終点まで、類似システム構成の変換系列の変換規則を適用する。その後、構成設計部C15は、新設計始点から構成生成処理を行い、その結果、新たな構成を生成して出力する(ステップS25)。一方、 類似システム構成の変換系列の一部を再適用できない場合(ステップS24:NO)、構成設計部C15は、入力システム要件から構成生成処理を行い、その結果、新たな構成を生成して出力する(ステップS26)。ステップS25及びステップS26の出力とは、例えば、構成設計部C15は、生成した新たなシステム構成を、設計対象のシステム定義に対応するシステム構成として、表示部14に表示させることをいう。
情報管理部C11は、S11(図12)の入力システム定義、S24の入力システム要件、及び、ステップS25又はステップS26で生成された新たなシステム構成を、事前設計情報として、記憶部12に追加して記憶する。
【0061】
<構成設計部の処理>
図14は、本実施形態に係る構成設計部C15の構成を示す概略ブロック図である。構成設計部C15は、再適用判定部C151、変換規則適用部C152、設計評価部C153、規則適用評価部C154、学習データ生成部C155、及び学習部C156を含んで構成される。
【0062】
再適用判定部C151は、システム要件に対して、類似システム構成の変換系列の一部を再適用できるか否かを判定する。再適用できると判定した場合、構成設計部C15は、入力システム要件に対して、再適用終点まで、類似システム構成の変換系列の変換規則を適用する。その後、構成設計部C15は、再適用終点までの具体化パターンと新設計始点のシステム要件を、変換規則適用部C152へ出力する。一方、再適用できないと判定した場合、入力システム要件を、変換規則適用部C152へ出力する。
【0063】
変換規則適用部C152は、入力されたシステム要件が表す部品に対して、変換規則の適用を繰り返すことによるシステム設計を、そのシステム設計の設計結果が得られるまで行う。
システム設計の成功(システム設計に成功すること)には、システムを配備可能なレベルで具体化されたシステム要件を得られることが含まれる。システム設計の失敗(システム設計に失敗すること)には、システムを配備可能なレベルで具体化されたシステム要件を得られないことが確定することが含まれる。例えば、システム要件が、システムを配備可能なレベルまで具体化されておらず、かつ、そのシステム要件に適用可能な変換規則がない場合、変換規則適用部C152は、システム設計に失敗したと判定する。
【0064】
また、変換規則によっては、システム要件に対する変換規則の適用がループに陥ることが考えられる。システム要件に適用可能な変換規則がある場合でも、ループを形成しない変換系列(1回以上の変換規則の適用)が無い場合、変換規則適用部C152は、システム設計に失敗したと判定する。
【0065】
変換規則適用部C152が、システム設計における変換規則の適用を所定回数繰り返してもシステム設計に成功していない場合についても、システム設計に失敗したと判定するようにしてもよい。すなわち、システム設計の失敗に、システム設計における変換規則の適用を所定回数繰り返してもシステム設計に成功しないことが含まれていてもよい。
【0066】
変換規則適用部C152は、システム設計を行う際、システム設計の履歴情報を生成する。変換規則適用部C152が生成する履歴情報は、システム要件の評価値、及び、システム要件に含まれる部品の評価値を決定し、学習データを生成するために用いられる。
【0067】
図15は、本実施形態に係る履歴情報の例を示す図である。図15の例で、変換規則適用部C152は、システム設計の履歴情報として構成パスと部品パスとを生成している。
【0068】
構成パスは、初期のシステム要件から最終のシステム要件まで、変換規則が適用されるごとのシステム要件を時系列に示す。ここでいう初期のシステム要件は、入力システム要件である。
ここでいう最終のシステム要件は、システム設計の設計結果が得られたときのシステム要件であり、システム構成である。ここでいうシステム設計の設計結果は、システム設計について評価可能な何らかの結果とすることができる。以下では、設計結果として、システム設計の成功又は失敗の結果が得られた場合を例に説明するが、これに限定されない。
【0069】
図15の例では、初期のシステム要件から最終のシステム要件を得られるまでの変換規則の適用回数をN回としている。Nは正の整数である。
図15の例では、構成パスは、N+1個のシステム要件の時系列データとして構成されている。部品パスは、N個の部品の時系列データとして構成されている。
部品パスに示される、i回目の変換対象の部品は、構成パス中で時系列順にi個目のシステム要件に含まれる。ここでは、iは、1≦i≦Nの整数である。
【0070】
最終のシステム要件は、変換規則をN回適用した後のシステム要件に該当する。最終のシステム要件では、システム設計の成功又は失敗の結果が得られるので、設計評価部C153が、1回のシステム設計に対する評価値を決定することができる。例えば、設計評価部C153が、システム設計の結果が成功の場合は、1回のシステム設計の評価値を1にし、システム設計の結果が失敗の場合は、1回のシステム設計の評価値を0にするようにしてもよい。
【0071】
初期のシステム要件から最終のシステム要件に至るまでの一連の、部品選択と変換規則適用との繰り返しを、1回のシステム設計、又は単にシステム設計と称する。
変換規則適用部C152が、システム設計の履歴情報として、システム要件の履歴及び変換規則の適用対象の部品の履歴に加えて、適用された変換規則の履歴を示す履歴情報を生成するようにしてもよい。
【0072】
設計評価部C153は、システム設計の設計結果に基づいて、システム設計に対する評価値を決定する。上記のように、変換規則適用部C152がシステム設計に成功した場合、設計評価部C153が、システム設計の評価値を1に決定するようにしてもよい。変換規則適用部C152がシステム設計に失敗した場合、設計評価部C153が、システム設計の評価値を0に決定するようにしてもよい。
【0073】
設計評価部C153が、システム設計の成功又は失敗の結果に加えて、変換規則適用部C152がシステム設計に成功した場合、得られたシステムの評価指標値に基づいて、システム設計に対する評価値を決定するようにしてもよい。ここでのシステムの評価指標値としていろいろな種類の評価指標値を用いることができる。例えば、設計評価部C153が、システムの処理速度の評価指標値、信頼性の評価指標値、構築コストの評価指標値、運用コストの評価指標値、又はこれらの組み合わせを用いるようにしてもよいが、これらに限定されない。
【0074】
設計評価部C153が、システムに用いられる部品に基づいてシステムの評価指標値を算出する計算式を予め記憶しておくようにしてもよい。あるいは、設計評価部C153が、システム要件の入力に対してシステムの評価指標値を出力するモデルを学習にて予め取得しておくようにしてもよい。
【0075】
規則適用評価部C154は、システム設計に対する評価値に基づいて、システム設計における個々の部品の変換に関する評価値を決定する。具体的には、規則適用評価部C154は、システム設計の複数の履歴を同一の部品について統合したデータに基づいて、部品の変換に関する評価値を部品ごとに決定する。システム設計の複数の履歴を同一の部品について統合したデータが統合データ(図3参照)である。
なお、変換規則適用部C152に、具体化パターンが入力された場合、統合データには、その具体化パターンも含まれる。
【0076】
図16は、本実施形態に係る統合データにおける関連関係を例示する図である。この図は、図3のシステム要件と、変換規則が1回適用された後のシステム要件と、の関係を示している。この図では、図3と同様に、システム要件がノードに相当する。
図16の例では、変換規則を適用する前のシステム要件が3つの部品P11、P12及びP13を備えている。部品P11には、3つの変換規則R11、R12及びR13を適用可能である。部品P12には、1つの変換規則R14を適用可能である。部品P13には、2つの変換規則R15及びR16を適用可能である。
【0077】
上述したように、統合データのエッジは変換規則を示す有向エッジである。この有向エッジの始端(始点側の端部)は、変換前のシステム要件を示すノードに接続され、終端(終点側の端部)は、変換後のシステム要件を示すノードに接続される。
また、1つのノードから出るエッジは、図16に例示されるように、そのノードが示すシステム要件に含まれる部品ごとにグルーピングされる。このグルーピングが統合データに示されていてもよい。例えば、図16のように、統合データのノードに構成要件の部品が示され、エッジの始点が何れかの部品に接続されることで、グルーピングが示されていてもよい。
【0078】
システム要件が備える部品の個数、1つの部品に適用可能な変換規則の個数は、何れも特定の個数に限定されない。システム要件が備える部品の個数は、変換規則の適用前と適用後とで異なっていてもよい。部品に適用可能な変換規則の個数は、部品ごとに異なっていてもよい。
【0079】
また、図16の例では、構成設計部C15が、システム要件の評価値、及び、システム要件における部品ごとの評価値を算出することを示している。
システム要件の評価値は、統合データにおけるノードに書き込まれる。
一方、システム要件における部品ごとの評価値は、学習データの生成時に算出され、学習データに組み込まれる。
統合データのノードには、システム要件における部品の評価値の格納領域を設ける必要はない。
【0080】
学習データ生成部C155は、部品評価モデルの学習のための学習データを生成する。特に、学習データ生成部C155は、部品の変換に関する評価値を含む学習データを生成する。具体的には、学習データ生成部C155は、システム要件と、そのシステム要件に含まれる部品のうち何れかの部品と、そのシステム要件におけるその部品の評価値と、を含む学習データを生成する。
【0081】
学習部C156は、学習データ生成部C155が生成する、部品の変換に関する評価値を含む学習データに基づいて、変換規則の適用対象となる部品の選択について学習する。具体的には、学習部C156は、部品評価モデルの学習を行う。
学習部C156は、学習手段の例に該当する。
【0082】
あるいは、構成設計部C15が行うシステム設計に共通して変換規則が予め定められている場合、学習部C156が、システム要件に適用する変換規則の選択について学習するようにしてもよい。すなわち、学習部C156が、システム要件に含まれる部品の選択からさらに細分化された、その部品に適用可能な変換規則の選択について学習するようにしてもよい。具体的には、学習部C156が、システム要件の入力を受けてそのシステム要件に適用可能な変換規則のそれぞれの評価値を出力する変換規則評価モデルの学習を行うようにしてもよい。
【0083】
図17は、実施形態に係る構成生成処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、構成生成処理の手順を示し、構成設計部C15が学習データを生成して学習を行う処理手順を示す。
図17の処理で、構成設計部C15は、学習対象のシステム要件を取得する(ステップSa11)。構成設計部C15が、設計対象のシステム要件として与えられるシステム要件を、学習対象のシステム要件としても用いるようにしてもよい。あるいは、構成設計部C15が、設計対象のシステム要件とは別に、学習対象のシステム要件を取得するようにしてもよい。
【0084】
次に、制御部Cは、学習の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップSa12)。学習の終了条件は、学習時間、学習回数(ステップSa12からS24のループを繰り返した回数)、学習誤差の大きさ等に基づくものであってもよいが、これらに限定されない。
【0085】
終了条件が成立していると制御部Cが判定した場合(ステップSa12:YES)、構成設計部C15は、図17の処理を終了する。
一方、終了条件が成立していないと制御部Cが判定した場合(ステップSa12:NO)、変換規則適用部C152は、学習対象のシステム要件に対するシステム設計を行う(ステップSa21)。具体的には、変換規則適用部C152は、学習対象のシステム要件に対して、システム設計成功又は失敗の結果を得られるまで変換規則の適用を繰り返す。システム設計の際、変換規則適用部C152は、構成パス及び部品パスを生成する。また、システム設計で出現したシステム要件を示す統合データのノードが無い場合、変換規則適用部C152は、システム設計で出現したシステム要件を示すノードを統合データに追加する。
ステップSa21の処理を、「具体化設計処理」とも称する。
【0086】
図17では、構成設計部C15が、ステップSa11でシステム要件を複数取得し、ステップSa21で、個々のシステム要件に対する設計を行う場合の例を示している。あるいは、構成設計部C15が、ステップSa11でシステム要件を取得することに代えて、ステップSa21を実行するごとにシステム要件を1つ取得し、取得したシステム要件に対してシステム設計を行うようにしてもよい。
【0087】
また、構成設計部C15が、ステップSa21の処理を行うごとに異なるシステム要件に対してシステム設計を行うようにしてもよい。あるいは、構成設計部C15が、以前のステップSa21の処理でシステム設計を行ったシステム要件と同じシステム要件に対して、以前のステップSa21での設計における変換系列とは異なる変換系列によるシステム設計を行うことがあってもよい。
【0088】
次に、設計評価部C153は、変換規則適用部C152が行ったシステム設計に対する評価値を決定する(ステップSa22)。
例えば、設計評価部C153は、変換規則適用部C152がシステム設計に成功したか失敗したかに基づいて、システム設計に成功した場合は、システム設計に対する評価値を1に設定し、システム設計に失敗した場合は、システム設計に対する評価値を0に設定する。あるいは、変換規則適用部C152がシステム設計に成功した場合、設計評価部C153が、得られたシステムの評価値に基づいて、システム設計に対する評価値を決定するようにしてもよい。
【0089】
次に、規則適用評価部C154が、ステップSa22で決定されたシステム設計の評価値に基づいて、統合データのノードの評価値を更新する(ステップSa23)。例えば、規則適用評価部C154は、統合データのノードの評価値を、そのノードの子のノードの評価値のうち最も大きい評価値(評価が最も高い評価値)に決定する。このステップSa23の処理を、「ノード評価処理」とも称する。
【0090】
次に、規則適用評価部C154が、システム要件に含まれる部品の評価値を決定し、部品パス中の各部品の評価値を決定し、学習データ生成部C155が学習データを生成して保存する(ステップSa24)。このステップSa24の処理を、「学習データ生成処理」とも称する。
そして、学習部C156は、学習データ生成部C155が生成した学習データを用いて、部品評価モデルの学習を行う(ステップSa25)。上述したように、部品評価モデルは、システム要件の入力に対して、そのシステム要件に示される部品ごとの評価を出力するモデルである。
ステップSa25の後、処理がステップSa12へ戻る。
【0091】
図18は、本実施形態に係る具体化設計処理の一例を示すフローチャートである。
構成設計部C15は、図17のステップSa21で図18の処理を行う。図17のステップSa21について上述したように、構成設計部C15は、システム設計の際に構成パス及び部品パスを生成し、また、統合データのノードを設定する。
図18の処理では、システム要件を値にとる変数として、「現在の構成」変数及び「次の構成」変数を用いる。「現在の構成」変数の値として示されるシステム要件を、「現在の構成」と表記する。「次の構成」変数の値として示されるシステム要件を、「次の構成」と表記する。
【0092】
図18の処理で、変換規則適用部C152は、図17のステップSa11で受け取ったシステム要件を「現在の構成」変数に格納する(ステップSa101)。すなわち、変換規則適用部C152は、「現在の構成」変数の初期値として、図17のステップSa11で受け取ったシステム要件を設定する。
次に、変換規則適用部C152は、「現在の構成」が統合データにおけるノードとして登録されているか否かを判定する(ステップSa102)。例えば、変換規則適用部C152は、統合データにおける各ノードに示されるシステム要件と、「現在の構成」とを比較する。
【0093】
「現在の構成」が統合データにおけるノードとして登録されていないと判定した場合(ステップSa102:NO)、変換規則適用部C152は、「現在の構成」を統合データにおけるノードとして登録する(ステップSa103)。システム要件を統合データにおけるノードとして登録するとは、そのシステム要件を示すノードを新たに設けることである。次に、変換規則適用部C152は、システム設計の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップSa104)。例えば、変換規則適用部C152が、「現在の構成」に適用できる具体化規則が一つもない場合、あるいは、「現在の構成」が配備可能なレベルまで具体化されている場合に、システム設計の終了条件が成立していると判定するようにしてもよい。
【0094】
終了条件が成立していないと判定した場合(ステップSa104:NO)、変換規則適用部C152は、「現在の構成」から具体化する部品を一つ選択して変換規則を適用する(ステップSa111)。変換規則の適用により、変換規則適用部C152は、部品を具体化する。
変換規則適用部C152は、ステップSa111での変換規則適用後のシステム要件を「次の構成」変数に格納する(ステップSa112)。
【0095】
次に、変換規則適用部C152は、「次の構成」が統合データにおけるノードとして登録されているか否かを判定する(ステップSa113)。例えば、変換規則適用部C152は、統合データにおける各ノードに示されるシステム要件と、「次の構成」とを比較する。「次の構成」が統合データにおけるノードとして登録されていないと判定した場合(ステップSa113:NO)、変換規則適用部C152は、「次の構成」を統合データにおけるノードとして登録する(ステップSa121)。具体的には、変換規則適用部C152は、「次の構成」を示すノードを統合データに設ける。そして、変換規則適用部C152は、統合データ上で「現在の構成」を示すノードを親ノードとし、「次の構成」を示すノードを子ノードとするエッジをノード間に張る。このエッジは、ステップSa111での変換規則の適用を示す。
【0096】
そして、変換規則適用部C152は、「次の構成」を、「現在の構成」変数に格納する(ステップSa122)。
ステップSa122の後、処理がステップSa104へ遷移する。
一方、ステップSa113で、「次の構成」が統合データにおけるノードとして登録されていると変換規則適用部C152が判定した場合(ステップSa113:YES)、処理がステップSa122に遷移する。したがって、この場合、変換規則適用部C152は、ステップSa121における統合データのノードを設定する処理は行わない。
【0097】
一方、ステップSa104で、終了条件が成立していると判定した場合(ステップSa104:YES)、変換規則適用部C152は、今回の図18の処理で出現したシステム要件を時系列順に並べたものを構成パスとする(ステップSa131)。さらに、変換規則適用部C152は、構成パス中のシステム要件に含まれる部品のうち、ステップSa111で変換規則の適用対象として選択した部品を時系列順に並べたものを部品パスとする(ステップSa132)。
ステップSa132の後、構成設計部C15は、図18の処理を終了する。
【0098】
一方、ステップSa102で、「現在の構成」が統合データのノードとして既に登録されていると変換規則適用部C152が判定した場合、処理がステップSa104に遷移する。したがって、この場合、変換規則適用部C152は、ステップSa103における統合データのノードを設定する処理は行わない。
【0099】
図19は、本実施形態に係るノード評価処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、構成設計部C15が統合データのノードに示される評価値を更新する処理手順の例を示す。構成設計部C15は、図17のステップSa23で図19の処理を行う。
図19の処理では、システム要件の評価値を値にとる変数として「更新候補の評価値」変数を用いる。また、図19の処理では、構成パスに含まれるシステム要件の何れか1つを指すポインタを値にとる変数として「更新対象の構成」変数を用いる。「更新候補の評価値」変数の値として示される評価値を、「更新候補の評価値」と表記する。「更新対象の構成」変数の値が指すシステム要件を「更新対象の構成」と表記する。
【0100】
図19の処理で、規則適用評価部C154は、構成パスの最後のノードが示すシステム要件を、「更新対象の構成」とする(ステップSa201)。すなわち、規則適用評価部C154は、「更新対象の構成」変数の値が構成パスの最後のノードを指すように、「更新対象の構成」変数の値を設定する。構成パスのノードは、構成パスに含まれる個々のシステム要件である。
また、規則適用評価部C154は、「更新候補の評価値」変数の初期値を、図17のステップSa22で決定したシステム設計の評価値に設定する(ステップSa202)。
【0101】
次に、規則適用評価部C154は、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値を決定する(ステップSa203)。統合データのノードの評価値は、そのノードが示すシステム要件の評価値である。
具体的には、規則適用評価部C154は、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値と、「更新候補の評価値」とを比較する。「更新候補の評価値」のほうが大きい場合、規則適用評価部C154は、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値を、「更新候補の評価値」に更新する。一方、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値のほうが大きい場合、規則適用評価部C154は、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値をそのままの値とする。
なお、ノードの評価値が未設定の場合、規則適用評価部C154は、そのノードの評価値として0が設定されているものと見做して処理を行う。
【0102】
次に、規則適用評価部C154は、「更新候補の評価値」の値を更新する(ステップSa204)。具体的には、規則適用評価部C154は、「更新候補の評価値」に、ステップSa203で、統合データで「更新対象の構成」を表すノードの評価値に決定した値を設定する。
次に、規則適用評価部C154は、「更新対象の構成」が構成パスの最初のシステム要件か否かを判定する(ステップSa205)。
【0103】
「更新対象の構成」が構成パスの最初のシステム要件であると規則適用評価部C154が判定した場合(ステップSa205:YES)、構成設計部C15は、図19の処理を終了する。
一方、「更新対象の構成」が構成パスの最初のシステム要件ではないと判定した場合(ステップSa205:NO)、規則適用評価部C154は、構成パス上で「更新対象の構成」の一つ前のシステム要件を「更新対象の構成」とする(ステップSa211)。
ステップSa211の後、処理がステップSa203に戻る。
【0104】
図20は、本実施形態に係る学習データ生成処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、構成設計部C15が学習データを生成する処理手順の例を示す。構成設計部C15は、図17のステップSa24で図20の処理を行う。
図20では、構成パスにおける何れかのシステム要件を指すポインタを値にとる変数として「対象構成」変数を用いる。また、図20の処理では、部品パスにおける何れかの部品を指すポインタを値にとる変数として「対象部品」変数を用いる。「対象構成」変数の値として示されるシステム要件を、「対象構成」と表記する。「対象部品」変数の値として示される部品を、「対象部品」と表記する。
【0105】
図20の処理で、学習データ生成部C155は、構成パスの最初のシステム要件を「対象構成」とする(ステップSa301)。すなわち、学習データ生成部C155は、「対象構成」変数の値が構成パスの最初のシステム要件を指すように、「対象構成」変数の値を設定する。
次に、学習データ生成部C155は、部品パスの最初の部品を「対象部品」とする(ステップSa302)。すなわち、学習データ生成部C155は、「対象部品」変数の値が部品パスの最初の部品を指すように、「対象部品」変数の値を設定する。
そして、学習データ生成部C155は、統合データで「対象構成」を表すノードを始点とする有向エッジのうち、「対象部品」にグルーピングされている有向エッジを全て列挙する(ステップSa303)。
【0106】
学習データ生成部C155は、ステップSa303で列挙した各有向エッジの終点ノードに記録されている評価値のうち、最大の値のものを、「対象部品」の評価値とする(ステップSa304)。
また、学習データ生成部C155は、「対象構成」と、「対象部品」と、ステップSa304で決定した「対象部品」の評価値との組を学習データとして生成し、生成した学習データを記憶部12に記憶させる(ステップSa305)。
【0107】
また、学習データ生成部C155は、「対象部品」が部品パスの最後の部品か否かを判定する(ステップSa306)。すなわち、学習データ生成部C155は、「対象部品」変数の値が部品パスの最後の部品を指すか否かを判定する。
「対象部品」が部品パスの最後の部品ではないと判定した場合(ステップSa306:NO)、学習データ生成部C155は、部品パス上で「対象部品」の一つ後の部品を「対象部品」とする(ステップSa311)。すなわち、学習データ生成部C155は、「対象部品」変数の値を、部品パス上で一つ後の部品を指すように更新する。
また、学習データ生成部C155は、構成パス上で「対象構成」の一つ後のシステム要件を「対象構成」とする(ステップSa312)。すなわち、学習データ生成部C155は、「対象構成」変数の値を、構成パス上で一つ後のシステム要件を指すように更新する。
ステップSa312の後、処理がステップSa303へ遷移する。
【0108】
一方、ステップSa306で、「対象部品」が部品パスの最後の部品であると判定した場合(ステップSa306:NO)、構成設計部C15は、図20の処理を終了する。この場合、処理が図17のステップSa25に遷移する。
なお、図17のステップSa24の開始時点で部品パスが空である場合、構成設計部C15は、ステップSa24の処理を省略する。この場合、構成設計部C15は、図20の処理を行わない。
【0109】
図17のステップSa25で、学習部C156は、学習データ生成部C155が生成した学習データのそれぞれを用いて、部品評価モデルの学習を行う。
この学習で、学習部C156は、学習データに示されるシステム要件が部品評価モデルに入力された場合に、学習データに示される部品について部品評価モデルが出力する評価値が、学習データに示される部品の評価値に近づくように、部品評価モデルのパラメータ値を更新する。
【0110】
図21は、本実施形態に係る要件評価処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、システム要件の評価値を算出する処理手順の例を示す。
【0111】
図21の処理で、規則適用評価部C154は、評価対象のシステム要件を取得する(ステップSa401)。
そして、規則適用評価部C154は、図17のステップSa25で学習済みの部品評価モデルを用いて、評価対象のシステムに含まれる各部品の評価値を算出する(ステップSa402)。
具体的には、規則適用評価部C154は、評価対象のシステム要件を部品評価モデルに入力し、部品評価モデルが出力する各部品の評価値を取得する。
【0112】
そして、規則適用評価部C154は、各部品の評価値を統合して、システム要件全体の評価値を算出する(ステップSa403)。規則適用評価部C154が、各部品の評価値を統合する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、規則適用評価部C154が、各部品の評価値を統合した値として、各部品の評価値の最大値、最小値、又は平均値の何れかを算出するようにしてもよいが、これらに限定されない。
ステップSa403の後、構成設計部C15は、図21の処理を終了する。
【0113】
以上のように、変換規則適用部C152は、システム要件を示される設計対象システムに対して、その設計対象システムの部品への変換規則の適用を繰り返すことによるシステム設計を、そのシステム設計の設計結果が得られるまで行う。設計評価部C153は、設計結果に基づいて、システム設計に対する評価値を決定する。規則適用評価部C154は、システム設計に対する評価値に基づいて、システム設計における個々の部品の変換に関する評価値を決定する。学習部C156は、部品の変換に関する評価値を含む学習データに基づいて、変換規則の適用対象となる部品の選択について学習する。
【0114】
ここで、システム要件の入力に対して、適用する一連の変換規則を出力するシステム設計モデルを学習する方法では、一般的にシステムの規模及び構成はさまざまであることに起因して、システム設計時に対象となるシステム構成が学習時に対象となるシステム構成と異なることが考えられる。これにより、システム設計時に与えられるシステム要件が、学習データとして与えられるシステム要件と異なり、適用すべき一連の変換規則を適切に決定できないことが考えられる。このように、システム要件の入力に対して、適用する一連の変換規則を出力するシステム設計モデルを学習する方法では、有効な学習を行えないことが考えられる。
【0115】
一方、設計装置1が対象とする分野で用いられるシステムの構成がシステムごとに異なっていても、共通の部品、あるいは、類似する部品が用いられることが期待される。設計装置1が、部品単位で変換に関する学習を行うことで、システム設計時に対象となるシステムに用いられる部品と同一の部品又は類似の部品が、学習時に対象となるシステムにも用いられていることが期待される。この点で、設計装置1が、部品単位で変換に関する学習を行うことで、システム設計時に対象となるシステム構成が学習時に対象となるシステム構成と異なる場合でも有効な学習を行うことができる。
【0116】
<処理の比較>
設計装置1は、図12のステップS13、図13のステップS25、及びステップS26で、システム構成を出力する。
ステップS26でシステム構成を出力する場合、設計装置1は、図15の履歴情報が示す処理を行う。つまり、設計装置1は、入力システム要件に対して、N回の変換に対応する構成生成処理を行う。
これに対して、ステップS13でシステム構成を出力する場合、つまり、入力システム定義が事前設計情報に含まれる場合、設計装置1は、図22が示す処理を行う。
【0117】
図22は、本実施形態に係る処理の履歴の比較例を示す説明図である。
この図は、初期のシステム要件から、最終のシステム要件が得られている。構成生成処理も行われず、変換規則の適用回数も0回である。このように、設計装置1は、入力システム要件に対して、構成生成処理を行わずに、事前構成を出力する。これにより、設計装置1は、処理速度を向上できる。
【0118】
また、ステップS25でシステム構成を出力する場合、つまり、入力システム定義に対して再適用変換系列を再適用する場合、設計装置1は、図22が示す処理を行う。
【0119】
図23は、本実施形態に係る処理の履歴の別の比較例を示す説明図である。
この図において、部品パスには、構成生成処理で適用された部品を表す。つまり、部品パスには、再適用変換系列が再適用される部品は記載されていない。
この図は、初期のシステム要件に対して再適用変換系列が再適用されることで、構成生成処理を行わずに、M-1回の変換規則が適用された場合のシステム要件が得られている。その後、得られたM-1回のシステム要件に対して、変換規則が適用されて、最終のシステム要件が得られている。つまり、設計装置1は、入力システム要件に対して、(N-M+1)回の変換に対応する構成生成処理を行う。これにより、設計装置1は、M-1回の変換に対応する構成生成処理を軽減できる。
なお、この場合、履歴情報は、図24のようになる。
【0120】
図24は、本実施形態に係る履歴情報の別の一例を示す図である。この履歴情報は、再適用変換系列が再適用された場合のものである。この履歴情報は、再適用終点がM-1回目のシステム要件N501であり、新設計始点がM回目のシステム要件N502の場合のものである。
【0121】
この図の履歴情報のうち、システム要件N501は、入力システム要件である。部品Ch101~Ch103が再適用変換系列の対象部品である。システム要件N502~N504は、再適用変換系列で順に変換されたシステム要件である。部品Ch101~Ch103は、再適用変換系列の対象部品であり、変換規則を含めて、予め決まっている。これにより、設計装置1は、構成生成処理を行う場合と比較して、処理を少なくでき、処理速度を向上できる。
一方、部品Ch111~Ch113は、構成生成処理で変換対象となった部品である。システム要件N511~N513は、構成生成処理で順に変換されたシステム要件である。ここで、システム要件N513が、システム構成である。
【0122】
以上のとおり、本実施形態では、設計システムは、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象のシステム構成(構成情報の一例)を生成する構成生成処理を行う。
記憶部12は、1又は複数の要件要素からなるシステム定義(定義情報の一例)、部品(例えばノード又はエッジ)群で表された要件を示すシステム要件(要件情報の一例)、及び、部品群で表された構成を示すシステム構成、の組が予め関連付けられた事前設計情報(関連情報の一例)を記憶する。参照判定部C12(判定部の一例)は、設計対象のシステム定義が入力された場合に、事前設計情報に基づいて事前設計情報のシステム構成を出力する第1処理(図12のステップS13)を行うか、又は、再適用変換系列が再適用された後の構成生成処理によって生成されるシステム構成を出力する第2処理(図13のステップS25)を行うか、を判定する。
【0123】
類似情報取得部C13は、第2処理を行う場合に、事前設計情報に基づいて、設計対象のシステム定義に類似するシステム定義である類似システム定義(類似定義情報の一例)を選択し、類似システム定義に関連付けられたシステム構成である類似システム構成(類似構成情報の一例)を取得する。
構成設計部C15は、要件生成部C14で編集された入力システム要件(設計対象のシステム定義に基づくシステム要件の一例)に対して、類似システム要件(類似要件の一例)が表す部品群の一部に適用された再適用変換系列(変換規則の一例)を再適用した後に、構成生成処理を行うことで、新たなシステム構成を生成する。情報管理部C11は、設計対象のシステム定義と新たなシステム構成を含む組を、事前設計情報として記憶部12に記憶させる。
このように、設計装置1は、設計対象のシステム要件に対して、再適用変換系列を再適用するので、再適用変換系列による変換に対応する構成生成処理を軽減できる。例えば、設計装置1は、具体化設計処理、ノード評価処理、要件評価処理、学習データ生成処理、及び学習処理について、再適用変換系列による変換に対応する分の処理回数を削減できる。これにより、設計装置1は、処理速度を向上できる。
【0124】
また例えば、設計装置1は、抽象的な要素から構成される未設計のシステムに対するシステム要件(例えば、編集されたシステム要件等、事前設計情報に存在しない新しいシステム要件)のグラフ構造も入力として受け付け、具体的なシステム構成を生成できる。さらにシステム構成を生成する際に、設計装置1は、再適用変換系列を再適用する、つまり、一部に事前設計情報を再利用するので、新たなシステム要件からも、効率的にシステム構成を生成できる。
【0125】
なお、構成設計部C15は、編集された入力システム要件に限らず、新規に作成された入力システム要件(設計対象のシステム定義に基づくシステム要件の一例)に対して、類似システム構成が表す部品群の一部に適用された再適用変換系列を再適用した後に、構成生成処理を行うことで、新たなシステム構成を生成してもよい。
【0126】
また、本実施形態では、要件生成部C14は、類似システム要件が表す部品をユーザが編集可能なユーザ・インタフェースを提供し、該ユーザ・インタフェースを介して入力された編集内容を前記類似要件情報に反映することで、新たなシステム要件を生成する。構成設計部C15は、生成された新たなシステム要件に対して、再適用変換系列を再適用した後に、構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する。情報管理部C11は、設計対象のシステム定義、新たなシステム要件、及び新たなシステム構成の組を、事前設計情報として記憶部12に記憶させる。
これにより、ユーザは、システム定義が類似する類似システム要件を用いて、新たなシステム要件を設計できるので、最初からシステム要件を作成する場合と比較して、容易にシステム要件の設計ができる。また、ユーザは、過去のシステム要件を参考にでき、高い品質の新たなシステム要件を設計できる場合もある。また、設計装置1は、新たなシステム要件に対して、類似システム構成の再適用変換系列を再適用するので、新たなシステム要件であってもより多くの変換規則を、再適用変換系列の変換規則から適用できる。このように、設計装置1は、構成生成処理をより軽減できる。これにより、設計装置1は、処理速度を向上できる。
【0127】
類似情報取得部C13は、設計対象のシステム定義の要件要素と、事前設計情報の事前定義の要件要素と、が一致する数に基づいて、類似システム定義を選択する。
このように、設計装置1は、グラフ要素で表されるシステム要件であって構成生成処理に入力されるシステム要件に対して、その要件要素を用いて類似システム定義を選択する。つまり、設計装置1は、要件要素を用いて、システム要件の類似性を判定し、類似するシステム要件に基づいて構成生成処理を行う。例えば、システム要件のグラフ要素を用いて類似性を判定する場合、主要な要件要素以外との類似性が低く評価されてしまうことがあり、所望のシステム構成が得られない場合もある。設計装置1は、要件要素を用いて類似性を評価するので、適切にシステム要件の類似性を評価でき、その後、類似システム構成に基づく構成生成処理の結果、所望のシステム構成を得ることができる。
【0128】
なお、類似情報取得部C13は、入力システム定義とシステム種別の値が一致し、入力システム定義を構成する要件要素のうち、値が一致するものの数が予め定められた閾値以上であり、かつ保存時刻が最も新しいシステム定義又は予め定めた優先順位が最も高いシステム定義を類似システム定義としてもよい。このように、類似情報取得部C13は、保存時刻や優先順位に基づいて、類似システム定義を選択してもよい。なお、優先順位は、例えば、システム構成についてユーザ評価が高い順、設計に従って実装されたシステムの信頼性等の評価が高い順、システム構成が採用された回数が多い順、グラフ構造に基づく順である。グラフ構造に基づく順とは、グラフ要素が少ない順又は多い順、重み付けされたグラフ要素についてグラフ構造中のグラフ要素の重みに基づいて算出された値(例えば合計)の順、ノード或いはエッジが少ない順又は多い順、変換規則の適用回数が少ない順又は多い順等である。
【0129】
また、本実施形態では、部品の少なくとも一部は、ノード又はエッジを表すグラフ要素である。出力制御部C16は、ユーザから要件要素の入力を受け付ける入力フォームG11と、入力フォームG11に入力された要件要素からなるシステム定義に対して、当該システム定義に対応するシステム構成についてグラフ要素の画像を含むグラフ構造G13と、を表示させる。表示部14は、出力制御部C16からの制御又は画面表示のデータに基づいて、入力フォームG11とグラフ構造G13を表示する。
これにより、設計装置1は、ユーザが要件要素を入力した場合に、グラフ要素で表されたシステム構成を、設計案として、ユーザに参照させることができる。
【0130】
なお、出力制御部C16は、表示されるグラフ構造G13が、事前設計情報に基づいて事前設計情報のシステム構成を出力する処理により出力されたものであるか、又は、再適用変換系列が再適用された後の構成生成処理によって生成されるシステム構成を出力する処理により生成されたものであるか、をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提供してもよい。
これにより、設計装置1は、表示されたシステム構成が、事前に設計された事前設計情報のものであるのか、再適用変換系列が再適用されて新たに生成されたものであるかを、ユーザに識別させることができる。
【0131】
なお、出力制御部C16は、第1処理、第2処理、及び、入力システム要件に対して構成生成処理によって生成されるシステム構成を出力する第3処理(図12のステップS26)を、ユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提供してもよい。
これにより、設計装置1は、さらに、表示されたシステム構成が、事前設計情報に類似するものがないものであるか、又は、再適用変換系列が再適用できなかったものであるかを、ユーザに識別させることができる。つまり、ユーザは、過去に例のない設計を行っていることを認識でき、表示されたシステム構成のより詳細を確認する等の対応を行うことができる。
【0132】
また、本実施形態では、事前設計情報には、構成生成処理において変換規則の適用する変換過程と各変換過程での部品群を表す情報が含まれる。構成設計部C15(例えば再適用判定部C151)は、設計対象のシステム定義に基づくシステム要件に含まれる部品群と、類似システム構成の各変換過程の部品群と、に基づいて、構成生成処理を行う変換過程を決定する。ここで、設計対象のシステム定義に基づくシステム要件とは、要件テンプレートのシステム要件、編集されたシステム要件、又は、変換規則が適用されたシステム要件である。
例えば、設計装置1は、類似システム構成の変換系列の一部を再適用できるか否かを判定することで、再適用終点又は新設計始点を決定する。この決定により、設計装置1は、入力システム要件に対して、再適用終点までは再適用変換系列を再適用し、新設計始点から構成生成処理を行うことができる。
「設計対象のシステム定義に基づくシステム要件」とは、要件生成部C14等で編集されていないシステム要件、つまり、システム定義がグラフ構造で記述されたシステム要件であってもよい。
【0133】
また、本実施形態では、類似システム構成の変換過程には、第1部品或いは第1部品群を第2部品或いは第2部品群に変換する過程が含まれる(図15参照)。構成設計部C15は、変換規則の適用を行う第3部品或いは第3部品群のうち、第1部品或いは第1部品群が含まれない第4部品(例えば、図24の部品Ch111~Ch113)或いは第4部品群に対して、構成生成処理を行う。なお、構成設計部C15は、第3部品或いは第3部品群のうち、第1部品或いは第1部品群が含まれる第5部品(例えば、図24の部品Ch101~Ch103)或いは第5部品群に対して、再適用変換系列の変換規則を再適用した変換を行う。
このように、設計装置1は、システム要件が表す部品群に対して、類似システム構成の変換過程で変換の対象になった対象部品が含まれる場合には、その部品に再適用変換系列を再適用し、対象部品が含まれない場合には、その部品に構成生成処理を行う。これにより、設計装置1は、入力システム要件が表す部品群に対して、一部に再適用変換系列を再適用し、他部に構成生成処理を行うことができる。
【0134】
なお、出力制御部C16は、新たなシステム構成と類似システム構成において、同一のグラフ要素と異なるグラフ要素をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提供してもよい。ここで、新たなシステム構成は、入力システム要件の一部に、類似システム構成の再適用変換系列が再適用されたシステム構成である。
これにより、設計装置1は、ユーザに対して、新たなシステム構成の各グラフ要素について、再適用変換系列が再適用されたものであるか、構成生成処理が行われたものであるか、を識別できる。例えば、ユーザは、システム構成のうち、新たな構成(グラフ要素)を知ることができ、新たな構成の準備を行うことができる。より具体的には、ユーザは、新たな構成について、物品の調達、ソフトウェアやデータの評価を、既存の構成(類似システム構成の構成)よりも、慎重に検討又は実施することができる。
【0135】
また、本実施形態では、学習済みモデル(例えば、図3の探索木)は、記憶部12(記憶媒体の一例)に記憶される。その学習済みモデルは、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象のシステム構成を生成する構成生成処理を行う設計装置1に用いられる学習済みモデルである。その学習済みモデルは、部品群で表された要件を示すシステム要件、及び、部品群で表された構成を示すシステム構成の組に基づいて、機械学習を行うことで生成される。
その学習済みモデルは、1又は複数の要件要素からなるシステム定義、システム要件、及び、システム構成、の組が予め関連付けられた事前設計情報において、設計対象のシステム定義に類似する類似システム定義に関連付けられた類似システム構成が表す部品群の一部に適用された再適用変換系列が、設計対象のシステム定義に基づくシステム要件に対して再適用された後に、構成生成処理が行われることで、新たなシステム構成が追加された学習済みモデルである。
【0136】
<第2実施形態>
図25は、第2実施形態に係る設計システム1aの構成を示す概略ブロック図である。なお、第1実施形態のように1台の設計装置1で構成されたシステムも、複数の装置で構成されたシステムも、「設計システム」という。
【0137】
設計システム1aは、端末10a、設計装置11a、及び、学習装置12aを具備する。このように、第1実施形態の設計装置1は、その構成の一部又は全部を、複数の装置に備えてもよいし、複数の装置は設計装置1の構成以外の構成を備えてもよい。
【0138】
例えば、端末10aは、設計装置11aの出力制御部C16が生成した画面表示情報を受信し、ブラウザ又はアプリケーションを用いて、端末10aのディスプレイに図2の画面表示を表示する。
設計装置11aは、図8の通信部11、記憶部12、操作入力部13、並びに、情報管理部C11、参照判定部C12、類似設計取得部C13、及び要件生成部C14、及び出力制御部C16を含んで構成される。
学習装置12aは、図8の通信部11、記憶部12、操作入力部13、並びに、構成設計部C15を含んで構成される。
【0139】
図26は、上記実施形態の変形例に係る設計装置1bの構成を示す概略ブロック図である。設計装置1bは、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象のシステム構成を生成する構成生成処理を行う。設計装置1b(情報処理装置の一例)は、類似情報取得部C13及び構成設計部C15を含んで構成される。
【0140】
類似情報取得部C13は、設計対象のシステム定義が入力された場合に、1又は複数の要件要素からなるシステム定義、部品群で表された要件を示すシステム要件、及び、部品群で表された構成を示すシステム構成情報、の組が予め関連付けられた事前設計情報に基づいて、設計対象のシステム定義に類似する類似システム定義に関連付けられた構成情報である類似システム構成を取得する。
構成設計部C15は、設計対象のシステム定義に基づくシステム要件に対して、類似システム構成が表す部品群の一部に適用された再適用変換系列を再適用した後に、構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する。
このように、設計装置1は、設計対象のシステム要件に対して、再適用変換系列を再適用するので、再適用変換系列による変換に対応する構成生成処理を軽減できる。これにより、設計装置1は、処理速度を向上できる。
【0141】
図27は、上記実施形態の変形例に係る表示装置1cの構成を示す概略ブロック図である。表示装置1cは、要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって生成された当該設計対象のシステム構成を表示する。表示装置1c(出力装置の一例)は、出力制御部C16を含んで構成される。
【0142】
出力制御部C16は、ユーザから要件要素の入力を受け付ける入力フォームG11と、入力フォームG11に入力された要件要素からなるシステム定義に対して、当該システム定義に対応するシステム構成についてグラフ要素の画像を含むグラフ構造G13と、を表示させる。表示部14は、出力制御部C16からの制御又は画面表示のデータに基づいて、入力フォームG11とグラフ構造G13を表示する。
これにより、設計装置1は、ユーザが要件要素を入力した場合に、グラフ要素で表されたシステム構成を、設計案として、ユーザに参照させることができる。
【0143】
図28は、上記実施形態の変形例に係る設計システムの処理を示すフローチャートである。なお、設計システムは、設計装置1の構成の一部を含む、1又は複数の装置から構成される。
設計装置1に、設計対象のシステム定義(入力システム定義)が入力される(S11)。類似設計取得部C13は、事前設計情報から、入力システム定義に類似する類似システム定義を選択する。類似設計取得部C13は、選択した類似システム定義を含む類似設計情報、つまり、類似システム定義に対応する類似システム構成及び類似システム構成を取得する(ステップS21)。構成設計部C15は、再適用終点まで、類似システム構成の変換系列の変換規則を適用する。その後、構成設計部C15は、新設計始点から構成生成処理を行い、その結果、新たな構成を生成して出力する(ステップS25)。
【0144】
図29は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。のうち何れか1つ以上が、コンピュータH1に実装されてもよい。
例えば、上記の設計装置1、端末10a、設計装置11a、学習装置12a、設計装置1b、又は表示装置1cのうち何れか1つ以上が、コンピュータH1に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置H13に記憶されている。CPU(中央演算装置)H11は、プログラムを補助記憶装置H13から読み出して主記憶装置H12に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU H11は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置H12に確保する。
【0145】
設計装置1がコンピュータH1に実装される場合、制御部C及びその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置H13に記憶されている。CPU H11は、プログラムを補助記憶装置H13から読み出して主記憶装置H12に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU H11は、プログラムに従って、記憶部12に対応する記憶領域を主記憶装置H12に確保する。
通信部11による通信は、インタフェースH14が通信機能を有し、CPU H11の制御に従って通信を行うことで実行される。
表示部14による表示は、インタフェースH14が表示画面を備え、CPU H11の制御に従って各種画像を表示することで実行される。操作入力部13によるユーザ操作の受け付けは、インタフェースH14が入力デバイスを備えてユーザ操作を受け付け、受け付けたユーザ操作を示す信号をCPU H11に出力することで実行される。
【0146】
上述した実施形態における設計装置1、設計システム1a、端末10a、設計装置11a、学習装置12a、設計装置1b、又は表示装置1cの機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(operating system)や周辺機器等のハードウェアを含む。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(compact disc read-only memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0147】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
また、設計装置1、設計システム1a、端末10a、設計装置11a、学習装置12a、設計装置1b、又は表示装置1cの各構成は、複数の装置で実現されてもよい。複数の装置は、通信を行って各構成を実現してもよい。複数の装置には、ユーザ端末が含まれてもよい。
【0148】
[付記]
(1)要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムであって、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶する記憶部と、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定する判定部と、前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得する類似情報取得部と、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、前記設計対象の定義情報と前記新たな構成情報を含む組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる情報管理部と、を備える設計システム。
【0149】
(2) 前記類似要件情報が表す部品をユーザが編集可能なユーザ・インタフェースを提供し、該ユーザ・インタフェースを介して入力された編集内容を前記類似要件情報に反映することで、新たな要件情報を生成する要件生成部を備え、前記構成設計部は、前記新たな要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成し、前記情報管理部は、前記設計対象の定義情報、前記新たな要件情報、及び前記新たな構成情報の組を、前記関連情報として記憶部に記憶させる(1)に記載の設計システム。
【0150】
(3)前記類似情報取得部は、前記設計対象の定義情報の要件要素と、前記関連情報の定義情報の要件要素と、が一致する数に基づいて、前記類似定義情報を選択する(1)又は(2)に記載の設計システム。
【0151】
(4)前記部品群のうち部品の少なくとも一部の部品は、ノード又はエッジを表すグラフ要素であり、ユーザから前記要件要素の入力を受け付ける入力フォームと、前記入力フォームに入力された要件要素からなる定義情報に対して、当該定義情報に関連する構成情報について前記グラフ要素の画像を含むグラフ構造と、を表示させる出力制御部を備える(1)から(3)のいずれかに記載の設計システム。
【0152】
(5)前記出力制御部は、表示される前記グラフ構造が、前記第1処理により出力された情報であるか、又は、前記第2処理により生成された情報であるか、をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提供する(4)に記載の設計システム。
【0153】
(6)前記関連情報には、前記構成生成処理において前記変換規則の適用する変換過程と各変換過程での部品群を表す情報が含まれ、前記構成設計部は、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に含まれる部品群と、前記類似定義情報に関連付けられた構成情報である類似構成情報の各変換過程の部品群と、に基づいて、前記構成生成処理を行う変換過程を決定する(1)から(3)のいずれかに記載の設計システム。
【0154】
(7)前記類似構成情報の変換過程には、第1部品或いは第1部品群を第2部品或いは第2部品群に変換する過程が含まれ、前記構成設計部は、前記変換規則の適用を行う第3部品或いは第3部品群のうち、前記第1部品或いは前記第1部品群が含まれない第4部品或いは第4部品群に対して、前記構成生成処理を行う(6)に記載の設計システム。
【0155】
(8)前記出力制御部は、前記新たな構成情報と、前記類似定義情報に関連付けられた構成情報である類似構成情報において、同一のグラフ要素と異なるグラフ要素をユーザが識別可能なユーザ・インタフェースを提示する(4)に記載の設計システム。
【0156】
(9)要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置であって、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得する類似情報取得部と、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する構成設計部と、を備える情報処理装置。
【0157】
(10)要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う構成設計装置に用いられる学習済みモデルであって、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報の組に基づいて、機械学習を行うことで生成され、1又は複数の要件要素からなる定義情報、前記要件情報、及び、前記構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報において、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報に関連付けられた類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則が、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して適用された後に、前記構成生成処理が行われることで、新たな構成情報が追加された学習済みモデルを記憶する記憶媒体。
【0158】
(11)要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって生成された当該設計対象の構成情報を表示する出力装置であって、ユーザから要件要素の入力を受け付ける入力フォームと、1又は複数の前記要件要素からなる定義情報、ノード又はエッジを表すグラフ要素の第1群で表された前記要件を示す要件情報、及び、前記グラフ要素の第2群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を参照し、前記入力フォームに入力された要件要素からなる定義情報に対して、当該定義情報に関連する構成情報について前記グラフ要素の画像を含むグラフ構造と、をディスプレイに表示する出力制御部を備える出力装置。
【0159】
(12) 要件を示される設計対象に対して、当該設計対象の構成部品への変換規則の適用を繰り返すことによって当該設計対象の構成情報を生成する構成生成処理を行う設計システムにおける方法であって、1又は複数の要件要素からなる定義情報、部品群で表された前記要件を示す要件情報、及び、部品群で表された構成を示す構成情報、の組が予め関連付けられた関連情報を記憶し、前記設計対象の定義情報が入力された場合に、前記関連情報に基づいて、前記関連情報の構成情報を出力する第1処理を行うか、又は、前記構成生成処理によって生成される構成情報を出力する第2処理を行うか、を判定し、前記第2処理を行う場合に、前記関連情報に基づいて、前記設計対象の定義情報に類似する定義情報である類似定義情報を選択し、前記類似定義情報に関連付けられた要件情報である類似要件情報を取得し、前記設計対象の定義情報に基づく要件情報に対して、前記類似要件情報が表す部品群の一部に適用された変換規則を適用した後に、前記構成生成処理を行うことで、新たな構成情報を生成する方法。
【0160】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本開示は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン等のコンピュータにおいて、例えば製品設計装置、サービス設計装置(例えばシステム設計装置)等の設計装置、又はこれらに搭載される集積回路(例えば、CPU(Central Processing Unit)や通信チップ)或いはこれらで実行されるプログラム等において、利用することができる。
【符号の説明】
【0162】
1、11a、1b 設計装置
11 通信部
12 記憶部
13 操作入力部
14 表示部
C 制御部
C11 情報管理部
C12 参照判定部
C13 類似設計取得部
C14 要件生成部
C15 構成設計部
C151 再適用判定部
C152 変換規則適用部
C153 設計評価部
C154 規則適用評価部
C155 学習データ生成部
C156 学習部
C16 出力制御部
1a 設計システム
10a 端末
12a 学習装置
1c 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29