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特許7694703状態判定装置、状態判定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】状態判定装置、状態判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20250611BHJP
   G01B 21/32 20060101ALI20250611BHJP
   E01C 23/01 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
G01B21/00 T
G01B21/32
E01C23/01
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023564356
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044221
(87)【国際公開番号】W WO2023100309
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】菅原 千里
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】横手 俊倫
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/016034(WO,A1)
【文献】特開2010-049442(JP,A)
【文献】特開2020-008996(JP,A)
【文献】特開2019-179316(JP,A)
【文献】特開2018-021375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01D 21/00
E01C 23/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得する地表情報取得手段と、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定する領域設定手段と、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理するセンサ情報処理手段と、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定する状態判定手段と、
前記判定した前記構造物の状態を出力する出力手段と、
を備える状態判定装置。
【請求項2】
前記センサ情報を取得する処理は、前記センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理、前記センサ情報取得装置から取得したセンサ情報を前記状態判定装置へアップロードする処理、又は前記状態判定手段により前記構造物を状態判定する処理の少なくとも一つの処理である
請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項3】
前記領域設定手段は、前記センサ情報の処理量として、前記センサ情報を処理する頻度を前記領域毎に設定する
請求項1又は請求項2に記載の状態判定装置。
【請求項4】
前記センサ情報が、動画像であり、
前記領域設定手段は、前記センサ情報の処理量として、前記動画像のフレームレートを前記領域毎に設定する
請求項1~3のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【請求項5】
前記センサ情報が、前記センサ情報取得装置を搭載する移動体が走行する構造物に関連する前記センサ情報である
請求項1~4のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【請求項6】
前記センサ情報処理手段は、前記センサ情報として、前記構造物を撮像した撮像画像を取得し、
前記出力手段は、前記撮像画像と共に、前記構造物の劣化の程度を示す情報を表示する
請求項1~のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【請求項7】
前記出力手段は、地図上に、前記構造物の劣化の程度を示す情報を表示する
請求項1~のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【請求項8】
前記領域設定手段により、前記センサ情報の処理量が所定の閾値より高く設定された領域を走行する経路を算出する経路算出手段を更に備え、
前記出力手段は、前記判定した構造物の状態に加えて、算出した経路情報を出力する
請求項1~のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【請求項9】
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理し、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定し、
前記判定した前記構造物の状態を出力する
状況判定方法。
【請求項10】
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理し、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定し、
前記判定した前記構造物の状態を出力すること
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態判定装置、状況判定方法、及び、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar(以下「SAR」と記載する)が取得した画像から、地上における所定の領域の状態を把握する技術がある。例えば、特許文献1には、SAR等のレーダー装置により取得した地表面の状態が時間の経過とともに変化した領域を抽出する技術が開示されている。
【0003】
一方で、車両に搭載されたドライブレコーダーが取得した画像を用いて、道路や滑走路の状態を判定する技術がある。例えば、特許文献2には、自車両に備えられたカメラ等が撮影した画像に対して画像認識処理を行い、例えば、道路の陥没、その他の災害の発生等の道路の異常状態を検出する車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2008/016034号
【文献】特開2010-049442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、SARを用いた判定は、道路表面等の詳細な状態までは判定できない。一方、ドライブレコーダーを用いた判定は、道路表面等構造物の詳細な状態を把握できるものの、ドライブレコーダーを用いた分析はデータの処理量が多い。また、調査範囲には、詳細に調査すべき領域と、ある程度荒く調査しても構わない領域がある。しかし、ドライブレコーダーを用いた調査では、事前に詳細に調査すべき領域を把握できない。
【0006】
本開示の目的の一例は、データの処理量を削減しながら、構造物の適切な状態判定を可能にする状態判定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態における状態判定装置は、地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得する地表情報取得手段と、地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定する領域設定手段と、設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報を処理するセンサ情報処理手段と、処理されたセンサ情報を用いて構造物の状態を判定する状態判定手段と、判定した構造物の状態を出力する出力手段とを備える。
【0008】
本発明の一形態における状況判定方法は、地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報を処理し、処理されたセンサ情報を用いて構造物の状態を判定し、判定した構造物の状態を出力する。
【0009】
本発明の一形態における記録媒体は、地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報を処理し、処理されたセンサ情報を用いて構造物の状態を判定し、判定した構造物の状態を出力することをコンピュータに実行させるプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0010】
本開示による効果の一例は、データの処理量を削減しながら、構造物の適切な状態判定を可能にすることができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態にかかる状態判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかる状態判定装置とその周辺の構成の一例を示す概念図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかるセンサ情報処理部によるセンサ情報の取得の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態にかかる出力部の出力の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態にかかる出力部の出力の他の例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態にかかる出力部の出力の他の例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態にかかる状態判定装置の動作の一例を示すフロー図である。
図8図8は、第1の実施形態にかかる状態判定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、第2の実施形態にかかる状態判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、第2の実施形態にかかる経路情報の一例を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態にかかる状態判定装置の動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
図面を参照して、本発明における第1の実施形態を説明する。
【0013】
[構成の説明]
図1は、第1の実施形態にかかる状態判定装置10の構成の一例を示すブロック図である。状態判定装置10は、地表情報取得部101と、領域設定部102と、センサ情報処理部103と、状態判定部104と、出力部105とを備える。なお、各構成は、図示しない記憶部に、各構成が特定した情報、取得した情報、及び、判定した情報の少なくとも一部を保存してもよい。この場合、各構成は、記憶部から必要な情報を取得してもよい。状態判定装置10は、センサ情報取得装置から取得したセンサ情報に基づいて、構造物の劣化等の状態を判定するための装置である。構造物としては、例えば、道路、橋梁、のり枠、堤防、桟橋、護岸、又は、滑走路等の土木構造物が挙げられる。
【0014】
図2は、第1の実施形態にかかる状態判定装置10とその周辺の構成の一例を示す概念図である。図2に示すように、状態判定装置10は、コンピュータ510、センサ情報取得装置の一例としてドライブレコーダー520、SAR530、表示装置の一例として端末装置540、及び、移動体の一例として車両550を含むシステムとして利用される。ネットワーク580は、各装置及びシステムを相互に接続する通信路である。なお、状態判定装置10(コンピュータ510)とドライブレコーダー520とは、直接的に接続する場合もあるが、クラウド等を介して接続する場合もある。
【0015】
ドライブレコーダー520は、状態判定装置10に、センサ情報を出力する。ドライブレコーダー520は、例えば、移動体に搭載されて、センサ情報を取得する。移動体としては、車両やドローン等が挙げられる。また、ドライブレコーダー520ではなく、移動体に取り付けられた全天カメラ又は車載内蔵カメラ等の固定カメラ又は人等が移動体に持ち込んだスマートフォンやタブレットに搭載されたカメラを用いてセンサ情報を取得してもよい。
【0016】
SAR530とは、人工衛星や航空機等の飛翔体が移動しながら電波を送信及び受信して、大きな開口を持ったアンテナの場合と等価な画像を得るレーダーシステムである。SAR530は、状態判定装置10に、測定画像(SAR画像)又は地表変位を出力する。
【0017】
端末装置540は、状態判定装置10が出力する構造物の状態に関する情報を表示する。端末装置540は、構造物の状態に関する情報を表示できれば、任意の装置でよい。端末装置540は、自治体等の道路管理者の端末装置であってもよい。
【0018】
図2に含まれる構成の数は、一例である。例えば、ドライブレコーダー520は、単数でも複数でも構わない。あるいは、少なくとも一部のドライブレコーダー520は、車両550に搭載されていなくてもよい。なお、図2は、理解を容易にするため、ドライブレコーダー520を、車両550の外に表示している。ただし、ドライブレコーダー520は、車両550の内部に搭載されてもよい。
【0019】
図1に戻って、地表情報取得部101は、地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得する。地表情報取得部101は、具体的には、SAR530からSAR画像を取得し、取得したSAR画像を分析して地表変位を取得する。あるいは、地表情報取得部101は、SAR530から地表変位を直接取得してもよい。地表情報取得部101は、地表変位として、地図上に等間隔の格子線を引いて区画を分けたグリット単位における地表変位の最大値又は平均値を取得しても構わない。あるいは、地表情報取得部101は、地図上の路面領域のみの地表変位を取得しても構わない。なお、地表情報取得部101は、SAR530からマルチスペクトルを用いた観測結果を取得してもよい。この場合、地表情報取得部101は、取得した観測結果を用いて、地表変位に加え、地表の種類を分析してもよい。地表情報取得部101は、取得した地表変位を領域設定部102に出力する。また、地表情報取得部101は、ドライブレコーダー520が接続されたクラウドコンピューティングを用いて構成されたクラウドシステムに保存されたSAR画像を用いて地表変位を取得しても構わない。
【0020】
領域設定部102は、地表情報取得部101が取得した地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定領域毎に設定する。本開示において、所定領域とは、地表変位の大きさに応じて特定された領域である。領域設定部102は、例えば、地表情報取得部101が取得した地表変位に基づき、地表変位が大きい領域を特定する。領域設定部102は、例えば、SAR画像を取得した領域について、地盤沈下等の地表変位が所定の閾値より大きい領域を特定する。あるいは、誤差を考慮して、領域設定部102は、地表変位が閾値より大きい領域と、その周辺の所定の範囲(例えば、周囲数十mの範囲)を特定してもよい。地表変位の大きさは、例えば、地表変位速度や累積地表変位量により表現される。地表変位速度とは、地表変位(沈下又は隆起)の時間に対する変化の程度(例えば、mm/年)である。領域設定部102は、地表変位が閾値より大きい領域ではなくても、地表が急激に変位しており、地表変位が非線形な動きをしている領域を特定してもよい。
【0021】
次いで、領域設定部102は、特定した領域とそれ以外の領域について、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を設定する。なお、領域設定部102は、一つではなく、複数の領域を特定してもよい。また、領域設定部102は、地表変位の大きさに応じて、数種類の領域を特定しても構わない。この場合、領域設定部102は、地表変位の大きさに応じて、センサ情報の処理量をそれぞれ設定する。領域設定部102は、具体的には、地表変位の大きさが大きい領域ほど、センサ情報の処理量が大きくなるように、センサ情報の処理量を設定する。領域設定部102は、特定した領域を設定したセンサ情報の処理量と共に、センサ情報処理部103に出力する。
【0022】
ここで、センサ情報の処理量について説明する。センサ情報の処理量とは、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量である。センサ情報を取得する処理とは、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理(単に「取得処理」ともいう。)、センサ情報取得装置から取得したセンサ情報を状態判定装置にアップロードする処理(単に「アップロード処理」ともいう。)、又は状態判定部104による構造物の状態判定処理(単に「状態判定処理」ともいう。)の少なくとも一つの処理である。これらのセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量は、例えば、センサ情報を処理する頻度又は一度の処理で用いるセンサ情報の単位時間の処理量(例えばビットレート)により設定できる。
【0023】
取得処理におけるセンサ情報の処理量は、例えば、センサ情報が画像(動画像及び静止画像を含む)である場合、ドライブレコーダー520から取得する画像の解像度、ドライブレコーダー520が撮影する走行距離当たりの撮影数又はドライブレコーダー520を搭載した移動体の走行間隔等で規定される。領域設定部102は、ドライブレコーダー520から取得する画像の解像度として、例えば、1920×1080、1024×768又は720×480等の解像度を領域毎に設定できる。また、領域設定部102は、ドライブレコーダー520が撮影する走行距離当たりの撮影数として、例えば、走行距離10m毎に1枚、走行距離100m毎に1枚又は所定区間は画像を取得しない等のセンサ情報を取得する頻度を領域毎に設定できる。領域設定部102は、走行距離当りの撮影数について、例えば、夜間や天候が悪い日は構造物の状態を明瞭に撮影することが難しいため、撮影枚数を減らす又は撮影しない等と設定する。領域設定部102は、移動体の走行間隔として、毎日、毎週、毎月又は一定期間走行取得しない等を設定できる。領域設定部102は、走行間隔について、例えば、春先の雪解け時期の地表変位が大きい季節に関しては、走行間隔を増やすように設定する。また、領域設定部102は、センサ情報が動画像である場合、取得処理におけるセンサ情報の処理量として、取得する動画像のフレームレートを領域毎に設定することができる。
【0024】
アップロード処理におけるセンサ情報の処理量とは、例えば、ドライブレコーダー520から取得したセンサ情報のアップロードの頻度で規定される。領域設定部102は、例えば、センサ情報が画像である場合、ドライブレコーダー520が取得した画像の全画像を状態判定装置10にアップロードする、ドライブレコーダー520が取得した画像のうち一部(例えば、10枚に1枚)をアップロードする又は、所定区間の画像はアップロードしない等のアップロードする画像の頻度を領域毎に設定できる。また、画像のアップロードの頻度に関して、毎日アップロード、週に1枚アップロード、月に1枚アップロード又は所定の期間はアップロードしないといった設定もできる。領域設定部102は、センサ情報が動画像である場合、アップロード処理におけるセンサ情報の処理量として、状態判定装置10にアップロードする動画像のフレームレートを領域毎に設定することができる。
【0025】
状態判定処理におけるセンサ情報の処理量とは、例えば、状態判定装置10にアップロードされたセンサ情報を状態判定に用いる頻度で規定される。領域設定部102は、例えば、センサ情報が画像である場合、状態判定装置10にアップロードされた全画像を状態判定に利用する、アップロードされた画像のうちの一部(例えば10枚に1枚)を状態判定に用いる、又は所定区間の画像は状態判定に用いないといった、状態判定に用いる頻度を領域毎に設定できる。また、画像の状態判定に用いる頻度に関して、毎日1枚用いる、週に1枚用いる、月に1枚用いる又は所定の期間は用いないといった設定もできる。領域設定部102は、センサ情報が動画像である場合、状態判定処理におけるセンサ情報の処理量として、状態判定部104が構造物の状態判定に用いる動画像のフレームレートを領域毎に設定することができる。
【0026】
領域設定部102は、上述した、所定の領域毎に設定されるセンサ情報の処理量について、固定値を設定してもよく、利用者が入力装置(図示せず)から設定した値を受付けしてもよい。また、ドライブレコーダー520が状態判定装置10にアップロードするセンサ情報の処理量と、取得処理におけるセンサ情報の処理量は、異なってもよい。
【0027】
図面を参照して、この場合の例を説明する。図3は、第1の実施形態にかかるセンサ情報処理部103によるセンサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理の取得の一例を説明するための図である。図3において、線は、道路である。楕円は、領域設定部102が設定した地表変位が大きい領域である。領域設定部102は、楕円部分の領域とそれ以外の領域について、センサ情報の処理量を設定する。領域設定部102は、例えば、ドライブレコーダー520に搭載されているセンサ情報取得装置が取得するセンサ情報のフレームレート(処理量)を設定する。領域設定部102は、例えば、楕円部分の範囲の含まれる道路を走行するときは、センサ情報のフレームレートを大きく(例えば、30fps)する。一方、楕円部分の範囲に含まれる道路以外を走行するときは、センサ情報のフレームレートを小さく(例えば、1fps)する。センサ情報処理部103は、センサ情報の取得頻度を、例えば0(センサ情報を取得しない)~60fpsの範囲で設定することができる。また、センサ情報処理部103は、センサ情報のアップロード処理又は状態判定処理におけるフレームレートも同様に設定することができる。例えば、センサ情報処理部103は、所定領域について、取得処理では30fps、アップロード処理では15fps、状態判定処理では10fpsとフレームレートを設定することができる。この場合、センサ情報処理部103は、センサ情報取得装置から取得したセンサ情報について、フレームレートを下げて状態判定装置10にアップロードする。また、センサ情報処理部103は、アップロードされたセンサ情報について、フレームレートを更に下げて状態判定部104に出力(すなわち、状態判定部104での状態判定)する。
【0028】
なお、領域設定部102は、上述したように、地表変位が閾値より大きい領域ではなくても、盛土された領域又は沈下予測よりも地表変位が大きい領域等の構造物の劣化度が大きいと推認される領域を特定してもよい。領域設定部102は、例えば、工事と相関がある地表変位に関しては、工事に関連する情報に基づいて予測された地表変位よりも大きい領域を特定する。また、領域設定部102は、建造物が存在する領域に関しては、建造物ごとの傾斜が、地層や降水量に用いて機械学習により予測された地表変位よりも大きい領域を特定する。一方、地表の種類によっては地表変位が気候や気温との相関がない領域がある。領域設定部102は、このような領域に関しては、地表変位が予測どおりのため特定しなくても構わない。
【0029】
センサ情報処理部103は、領域設定部102により設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報を処理する。センサ情報の処理とは、例えば、センサ情報の取得、センサ情報の状態判定装置へのアップロード又は状態判定部104への出力である。センサ情報処理部103は、走行中の位置情報を含む領域に対応するセンサ情報の処理量(データ取得量)に応じてセンサ情報を取得する。位置の情報は、例えば、マップ上の位置、緯度と経度、GNSS(Global Navigation Satellite System)、又は、GPS(Global Positioning System)による位置情報を含む。また、センサ情報処理部103は、センサ情報を取得する場合は、センサ情報と共にセンサ情報が取得された日時及び撮影された位置の情報を取得する。
【0030】
センサ情報処理部103は、センサ情報が取得された位置情報を含む領域に対応するセンサ情報の処理量に応じて、センサ情報のアップロード又は状態判定部104への入力を行う。センサ情報処理部103は、このようにセンサ情報の処理しながら状態判定部104に出力する。
【0031】
状態判定部104は、センサ情報処理部103により入力されたセンサ情報を用いて構造物の状態を判定する。状態判定部104は、例えば、センサ情報として構造物を撮像した画像や加速度等のセンサ情報を教師データとして学習させたモデルを用いて構造物の劣化状態を判定する。本実施形態では、構造物として道路劣化の状態の判定方法について説明する。
【0032】
道路劣化とは、車両の走行や降雨等の要因によって、舗装された道路に生じる劣化である。道路劣化には複数の種類がある。道路劣化は、例えば、ひび割れ、ポットホール、わだち掘れ、及び、道路の平坦性異常を含む複数の種類に分類される。ひび割れは、形状によって、直線ひび、及び、亀甲ひびの異なる種類に分類されてもよい。直線ひびとは、単独の線状のひびである。亀甲ひびとは、例えば、縦横の直線ひびが繋がった場合等に生じる亀甲状のひびである。道路のひび割れは、一般的に、直線ひび、亀甲ひび、ポットホールへと進行する傾向がある。
【0033】
道路劣化の程度を表す指標として、様々な指標が用いられている。本開示において、道路劣化の程度は、劣化度により表される。劣化度は、ひび割れ度、ポットホールの数、ポットホールの大きさ、わだち掘れ量、又は、平坦性を含む指標のいずれかであってもよい。また、劣化度は、道路劣化の程度を表す複数の指標の組み合わせに基づいて定められてもよい。
【0034】
ひび割れ度は、ひび割れの形状、長さ、面積、本数のいずれか、又は、これらの組み合わせによって表される。ひび割れ率はひび割れ度の一例である。ひび割れ率は、例えば、100×(ひび割れの面積/道路区間の面積)によって表される。この場合、劣化度の値は、0%から100%の範囲となる。ひび割れの面積は任意の方法で算出される。なおひび割れ率の算出方法は特に限定されず、上記の他に既知の算出方法を適用可能である。
【0035】
ポットホールの大きさは、例えば、ポットホールの面積、幅、長さ、深さのいずれか、又は、これらの組み合わせによって表される。わだち掘れ量とは、車両の荷重やタイヤとの摩擦により、車両の走行軌跡が他の路面よりも低くなったわだち掘れの深さである。
【0036】
ひび割れ度、ポットホールの数と大きさ、及び、わだち掘れ量は、センサで道路表面を測定した測定データに基づいて算出されてもよい。あるいは、これらの指標は、道路を撮像した画像から道路劣化を認識した認識結果に基づいて算出されてもよい。
【0037】
平坦性は、国際ラフネス指数(International Roughness Index(IRI))によって表されてもよい。IRIとは、路面と運転手の乗り心地を関連付けた指数であり、凸凹の程度を数値として表現したものである。IRIは、センサで道路表面を測定した測定データに基づいて算出されてもよい。あるいは、IRIは、車両に取り付けられた走行中の加速度センサの値に基づいて算出されてもよい。具体的には、例えば、IRIは、検出位置において取得された加速度に含まれる上下方向の加速度の値に基づいて算出される。なおIRIの算出方法は、上記に限られず、既知の算出方法を採用することが可能である。
【0038】
劣化度は、上述の指標に限られず、例えば、MCI(Maintenance Control Index:維持管理指数)を含む道路劣化を表す任意の指標が用いられてもよい。MCIの値は、ひび割れ率、わだち掘れ量、及び平坦性を用いる4つの定義式を計算した結果の最小値である。道路の劣化に伴いMCIは低下する。
【0039】
出力部105は、所定の通知先に、状態判定部104により判定された構造物の状態を出力する。例えば、出力部105は、状態判定部104が道路の劣化状態を判定すると、所定の通知先に、状態判定部104の判定した道路の位置と劣化度を示す情報を通知する。出力部105は、通知先を選択してもよい。出力部105は、例えば、自治体等の道路管理者の端末装置540に出力してもよい。
【0040】
ここで、出力部105によって出力される構造物の状態の例を示す。図4は、第1の実施形態にかかる出力部の出力の一例を示す図である。図4に示すように、出力部105は利用者が指定した地点の道路画像と共に、道路劣化の程度を表す指標を表示取得してもよい。図4は、車が走る道路を撮影した画像であり、例えば、左側の車線を走る車両の前方に搭載されたカメラによって撮影される。図4の道路には、道路の左端にひび割れがあり、ひび割れがその大きさに応じて、異なる太さの点線で囲まれている。また、図4の例では、表示する道路劣化の程度を表す指標を選択でき、図4の例では、ひび割れ率のみが表示されている。ひび割れ率は、劣化度が悪化した場合に、その値が大きくなる。なお、劣化度の表し方はこれに限定されるものではなく、例えば、劣化度の値は、悪化した場合にその値が小さくなるようにしてもよい。
【0041】
図5は、第1の実施形態にかかる出力部の出力の他の例を示す図である。図5の出力例では、道路の路面を所定の区間で区切ったユニットごとにひび割れ率が3段階の濃淡で示された矢印で表され、濃淡が濃いほど、ひび割れ率が高くなっている。ユニットごとのひび割れ率は、ユニットにおいて算出された複数個所のひび割れ率の平均値でも、最大値でもよく、その他の統計処理で算出した値でもよい。なお、図5の出力例では、下り方向と上り方向とに合わせて、矢印の向きが異なっている
【0042】
また、図5の表示例において、出力部105は、ひび割れ幅を、所定の記号である逆三角形の濃淡で表示する。例えば、ひび割れ幅は、5mm未満、5~10mm未満、10mm以上、という3段階に区分され、濃淡が濃いほど、ひび割れ幅が太いことを意味するように表示される。ひび割れ幅を表すために、出力部105は、ひび割れを検出した位置に、それぞれ逆三角形の所定の記号を表示してもよい。
【0043】
図6は、第1の実施形態にかかる出力部による出力の他の例を示す図である。図6に示すように、出力部105は、状態判定部104の判定した道路の位置と劣化度(例えば、ひび割れ率)を、道路マップ上に表示してもよい。図6の例では、劣化度が、「大」「中」「小」の3段階で記号により示されている。
【0044】
[動作の説明]
図7は、第1の実施形態にかかる状態判定装置10の動作の一例を示すフロー図である。地表情報取得部101は、特定された領域における地表変位を取得する(ステップS101)。領域設定部102は、地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定する(ステップS102)。次いで、センサ情報処理部103は、領域設定部102により設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報のデータ量を処理する(ステップS103)。状態判定部104は、センサ情報を用いて構造物の状態を判定する(ステップS104)。次いで、出力部105は、状態判定部104により判定した構造物の状態を出力する(ステップS105)。
【0045】
状態判定装置10は、センサ情報処理部103が、領域設定部102により設定された領域に対応するセンサ情報の処理量に基づいて、センサ情報のデータ量を処理する。これにより、地表測定装置(例えば、SAR530)から取得した地表変位の大きさに基づいて、構造物の状態判定までの処理に用いるセンサ情報のデータ量を調整することができる。例えば、状態判定装置10は、地表変位が大きい領域における構造物の状態判定に用いるセンサ情報のデータ量を増やし、地表変位が小さい領域における構造物の状態判定に用いるセンサ情報のデータ量を減らす等することが可能になる。よって、状態判定装置10によれば、センサ情報の処理量を削減しながら、構造物の適切な状態判定が可能となる。
また、状態判定装置10は、状態判定部104により判定された構造物の状態を出力する。これにより、利用者等に、センサ情報の処理量を削減しながら、地表変位が大きい領域における構造物の詳細情報を提供できる。
【0046】
[ハードウェア構成]
次に、状態判定装置10のハードウェア構成について説明する。状態判定装置10の各構成部は、ハードウェア回路で構成されてもよい。あるいは、状態判定装置10において、各構成部は、ネットワークを介して接続した複数の装置を用いて、構成されてもよい。例えば、状態判定装置10は、クラウドコンピューティングを利用して構成されてもよい。あるいは、状態判定装置10において、複数の構成部は、1つのハードウェアで構成されてもよい。あるいは、状態判定装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含むコンピュータ装置として実現されてもよい。状態判定装置10は、上記構成に加え、さらに、ネットワークインターフェース回路(NIC:Network Interface Circuit)を含むコンピュータ装置として実現されてもよい。
【0047】
図8は、状態判定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。状態判定装置10は、CPU610と、ROM620と、RAM630と、記憶装置640と、NIC650とを含み、コンピュータ装置を構成している。CPU610は、ROM620及び/又は記憶装置640からプログラムを読み込む。そして、CPU610は、読み込んだプログラムに基づいて、RAM630と、記憶装置640と、NIC650とを制御する。そして、CPU610を含むコンピュータは、これらの構成を制御し、図1に示されている、地表情報取得部101と、領域設定部102と、センサ情報処理部103と、状態判定部104と、出力部105としての各機能を実現する。
【0048】
CPU610は、各機能を実現する際に、RAM630又は記憶装置640を、プログラム及びデータの一時的な記憶媒体として使用してもよい。あるいは、CPU610は、コンピュータで読み取り可能にプログラムを記憶した記録媒体690が含むプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。あるいは、CPU610は、NIC650を介して、図示しない外部の装置からプログラムを受け取り、RAM630又は記憶装置640に保存して、保存したプログラムを基に動作してもよい。
【0049】
ROM620は、CPU610が実行するプログラム及び固定的なデータを記憶する。ROM620は、例えば、P-ROM(Programmable-ROM)又はフラッシュROMである。RAM630は、CPU610が実行するプログラム及びデータを一時的に記憶する。RAM630は、例えば、D-RAM(Dynamic-RAM)である。記憶装置640は、状態判定装置10が長期的に保存するデータ及びプログラムを記憶する。また、記憶装置640は、CPU610の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置640は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)又はディスクアレイ装置である。ROM620と記憶装置640とは、不揮発性(non-transitory)の記録媒体である。一方、RAM630は、揮発性(transitory)の記録媒体である。そして、CPU610は、ROM620、記憶装置640、又は、RAM630に記憶されているプログラムを基に動作可能である。つまり、CPU610は、不揮発性記録媒体又は揮発性記録媒体を用いて動作可能である。
【0050】
NIC650は、ネットワークを介した外部の装置(ドライブレコーダー520、SAR530、及び、端末装置540等)とのデータのやり取りを中継する。NIC650は、例えば、LAN(Local Area Network)カードである。さらに、NIC650は、有線に限らず、無線を用いてもよい。このように構成された状態判定装置10は、図1の状態判定装置10と同様の効果を得ることができる。その理由は、状態判定装置10のCPU610が、プログラムに基づいて、図1の状態判定装置10と同様の機能を実現できるためである。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0052】
図9は、第2の実施形態にかかる状態判定装置11の構成の一例を示すブロック図である。状態判定装置11は、地表情報取得部111と、領域設定部112と、センサ情報処理部113と、状態判定部114と、経路算出部115及び出力部116とを含む。第2の実施形態は、第1の実施形態とは経路算出部115を備えている点で異なる。経路算出部115及び出力部116以外の構成は、第1の実施形態のそれぞれ対応する構成と同様のため、説明を割愛する。
【0053】
経路算出部115は、領域設定部112によりセンサ情報の処理量が閾値より高く設定された領域を走行する経路を算出する。センサ情報の処理量が閾値より高く設定された領域とは、地表変位が所定の閾値より大きい領域である。経路算出部115は、設定された領域を経路に含み、指定された出発地から目的地までの経路を探索する。設定された領域を走行とは、例えば、設定された領域内又は設定された領域の周辺を走行することである。センサ情報処理部230は、移動体が算出された経路に沿って走行すると、経路上のセンサ情報を領域設定部112により設定された処理量で取得する。例えば、経路算出部250は、ドライブレコーダー520から、センサ情報として例えば、道路の画像を取得する。経路算出部250は、ドライブレコーダー520からセンサ情報を取得してもよいし、ドライブレコーダー520が取得したセンサ情報を保存している装置からセンサ情報を取得してよい。
【0054】
経路の出発地及び目的地は、特に限定されない。経路算出部115は、利用者等から、経路を探索する道路、出発地、経由地、目的地の少なくとも一つを取得してもよい。この場合、移動体が利用者の指定する経路を走行しながら、設定された領域の構造物の状態判定することができる。
【0055】
出力部116は、所定の通知先に、状態判定部114により判定された構造物の状態に加えて経路算出部115が算出した経路情報を出力する。これらの通知先の装置は、移動体に搭載された装置であれば、任意の装置でよい。
【0056】
図10は、第2の実施形態にかかる経路情報の一例を示す図である。図10に示すように、設定された領域を走行し、指定された出発地から目的地までを走行する2種類の経路RouteAとRouteBが存在する。設定された領域内のセンサ情報を取得していない場合は、経路RouteAとRouteBの両方を提示しても構わない。また、どちらか一方の経路情報(例えば、経路RouteA)上のセンサ情報を既に取得している場合は、他方の経路情報(経路RouteB)のみを表示しても構わない。この場合、地表変位の大きい領域内における異なる地点のセンサ情報を効率的に取得することができる。
【0057】
なお、経路情報は、道路とは異なる構造物を含んでもよい。例えば、経路情報には、人が通行可能な階段、歩道橋、土手の上部若しくは堤防の天端の歩道、公園内の道、遊歩道、農道、又は、桟橋を通行できるか否かに関連する情報を含んでもよい。また、経路情報は、複数の構造物に関連する情報を用いて生成されてもよい。
【0058】
[動作の説明]
図11は、第2の実施形態にかかる状態判定装置11の動作の一例を示すフロー図である。本実施形態におけるステップS201~ステップS204は、第1の実施形態におけるステップS101~ステップS104と同様のため、説明を省略する。経路算出部115は、領域設定部112によりセンサ情報の処理量が閾値より高く設定された領域を走行する経路を算出する(ステップS205)。最後に、出力部116は、状態判定部114により判定した構造物の状態に加えて、経路算出部115により算出された経路情報を出力する(ステップS206)。
【0059】
第2の実施形態にかかる状態判定装置11は、経路算出部115が、領域設定部112によりセンサ情報の処理量が閾値より高く設定された領域を走行する経路を算出する。これにより、移動体が算出された経路に沿って走行することで、地表変位の大きい領域のセンサ情報を優先的に取得することができる。よって、構造物の劣化の可能性がある領域の状態を迅速に判定することができる。特に、状態判定装置11によれば、出力部116が構造物の状態の判定結果を出力しながら、次に状態を判定する構造物のセンサ情報を取得するための経路情報を出力することが可能である。従って、効率的に構造物の状態判定を実施することができる。
【0060】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0061】
(付記1)
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得する地表情報取得手段と、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定する領域設定手段と、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理するセンサ情報処理手段と、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定する状態判定手段と、
前記判定した前記構造物の状態を出力する出力手段と、
を備える状態判定装置。
【0062】
(付記2)
前記センサ情報を取得する処理は、前記センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理、前記センサ情報取得装置から取得したセンサ情報を前記状態判定装置へアップロードする処理、又は前記状態判定手段により前記構造物を状態判定する処理の少なくとも一つの処理である
付記1に記載の状態判定装置。
【0063】
(付記3)
前記領域設定手段は、前記センサ情報を処理する頻度を前記領域毎に設定する
付記1又は付記2に記載の状態判定装置。
【0064】
(付記4)
前記センサ情報が、動画像であり、
前記領域設定手段は、前記動画像のフレームレートを前記領域毎に設定する
付記1~3のいずれかに記載の状態判定装置。
【0065】
(付記5)
前記センサ情報が、前記センサ情報取得装置を搭載する移動体が走行する構造物に関連する前記センサ情報である
付記1~4のいずれかに記載の状態判定装置。
【0066】
(付記6)
前記構造物が道路であり、
前記移動体が、道路を走行する車両である
付記5に記載の状態判定装置。
【0067】
(付記7)
前記センサ情報処理手段は、前記センサ情報として、前記構造物を撮像した撮像画像を取得し、
前記出力手段は、前記撮像画像上に、前記構造物の状態を示す情報を表示する
付記1~6のいずれかに記載の状態判定装置。
【0068】
(付記8)
前記出力手段は、地図上に、前記構造物の劣化の程度を示す情報を表示する
付記1~6のいずれか一項に記載の状態判定装置。
【0069】
(付記9)
前記出力手段は、前記構造物の劣化の程度を示す情報として、道路のひび割れ、ポットホール、わだち掘れ、及び、平坦性異常の少なくともいずれかの道路劣化の程度を表す指標を表示する
付記7又は付記8に記載の状態判定装置。
【0070】
(付記10)
前記領域設定手段により、前記センサ情報の処理量が所定の閾値より高く設定された領域を走行する経路を算出する経路算出手段を更に備え、
前記出力手段は、前記判定した構造物の状態に加えて、算出した経路情報を出力する
付記1~9のいずれかに記載の状態判定装置。
【0071】
(付記11)
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理し、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定し、
前記判定した前記構造物の状態を出力する
状況判定方法。
【0072】
(付記12)
地表測定装置から取得した測定画像を用いて地表変位を取得し、
前記地表変位に基づいて、センサ情報取得装置からセンサ情報を取得する処理で用いるセンサ情報の処理量を所定の領域毎に設定し、
前記設定された領域に対応する前記センサ情報の処理量に基づいて、前記センサ情報を処理し、
前記処理された前記センサ情報を用いて構造物の状態を判定し、
前記判定した前記構造物の状態を出力すること
をコンピュータに実行させるプログラムを記録する記録媒体。
【0073】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0074】
10、11 状態判定装置
101、111 地表情報取得部
102、112 領域設定部
103、113 センサ情報処理部
104、114 状態判定部
105、116 出力部
115 経路算出部
510 コンピュータ
520 ドライブレコーダー
530 SAR
540 端末装置
550 車両
580 ネットワーク
610 CPU
620 ROM
630 RAM
640 記憶装置
650 NIC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11