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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250611BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/04 C
G08G1/09 C
G08G1/09 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023567418
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046447
(87)【国際公開番号】W WO2023112239
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】高澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
【審査官】菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206624(JP,A)
【文献】特開2010-103945(JP,A)
【文献】特開2012-15900(JP,A)
【文献】特開2003-179969(JP,A)
【文献】特開2005-204218(JP,A)
【文献】特開2011-45032(JP,A)
【文献】特開2019-29963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と通信する通信手段と、
前記車両の速度に応じた速度情報を検出する検出手段と、を備え、
前記通信手段は、前記速度情報に基づいて、
前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて前記車両と通信し、
前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、前記車両と通信する、
通信システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記車両に対する指示を出す信号器から、前記指示に応じた前記速度情報を取得する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記車両を撮像する撮像手段を更に備え、
前記検出手段は、前記撮像手段により撮像された前記車両の映像に基づいて、前記速度情報を取得する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得手段を更に備え、
前記検出手段は、前記位置情報取得手段により取得された前記車両の前記位置情報に基づいて、前記速度情報を取得する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
車両の速度に応じた速度情報を検出し、
前記速度情報に基づく前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて前記車両と通信し、
前記速度情報に基づく前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、前記車両と通信する、
通信方法。
【請求項6】
車両の速度に応じた速度情報を検出する処理、
前記速度情報に基づく前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて前記車両と通信する処理、
前記速度情報に基づく前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、前記車両と通信する処理、
を情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の速度が速い場合であっても安定した通信を実行することが可能な通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路付近に設けられた路側装置と、道路を走行する車両との間で通信を行う路車間通信が知られている。路車間通信では、例えば、車は自車情報を路側装置に送信し、路側装置は周辺状況を把握して周囲を走る別の車に情報を送信することで、運転者に注意喚起して衝突事故を防ぐことができる。また、車両間で通信する車車間通信が知られている。車車間通信では、例えば、見通しの悪い交差点において、車同士が互いの位置や速度といった自車情報を無線で送受信し合うことで、運転者に警告して衝突事故を防ぐことができる。また、一般的な路車間通信や車車間通信において、車両は、周囲の交通状況や広告等の情報を受信し、車両の乗員に対して提供することができる。
【0003】
例えば参考技術として特許文献1には、車速が落ちるに連れて優先順位の低い周波数を選択することが開示されている。また、特許文献2には、交差点事故防止サービスの路車間通信を実現するために、交差点内部までカバーする無線ゾーンを形成することが開示されている。また、特許文献3には、車両の車速情報に応じて無線チャンネルを切り替えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-203292号公報
【文献】特開2002-163766号公報
【文献】特開2002-026799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的な路車間通信や車車間通信、特許文献1-3に記載の技術において、通信に用いられる信号は、走行中の車両に向けて送信される。そのため、車両の走行速度が速いほど、通信は不安定になる。また、信号の帯域は広帯域であるほどSNR(Signal-to-Noise ratio)が低下しやすい。そのため、安定した通信を行うためには、車両の速度に応じた帯域で信号を送信する必要がある。しかし、上述の技術において、車両の速度に応じた帯域で信号を送信していないため、安定した通信を行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を鑑み、例えば車両の速度が速い場合であっても安定した通信を実行することが可能な通信システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通信システムであって、
車両と通信する通信手段と、
前記車両の速度に応じた速度情報を検出する検出手段と、を備え、
前記通信手段は、前記速度情報に基づいて、
前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域を用いて前記車両と通信し、
前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域よりも狭い第2の帯域を用いて、前記車両と通信する。
【0008】
また、本発明は、通信方法であって、
車両の速度に応じた速度情報を検出し、
前記速度情報に基づく前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域を用いて前記車両と通信し、
前記速度情報に基づく前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域よりも狭い第2の帯域を用いて、前記車両と通信する、
通信方法。
【0009】
また、本発明は、記憶媒体であって、
車両の速度に応じた速度情報を検出する処理、
前記速度情報に基づく前記速度が第1の速度である場合、第1の帯域を用いて前記車両と通信する処理、
前記速度情報に基づく前記速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度である場合、前記第1の帯域よりも狭い第2の帯域を用いて、前記車両と通信する処理、
を情報処理装置に実行させるプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば車両の速度が速い場合であっても安定した通信を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における通信システムの詳細を説明するための図である。
図3】本発明の第1の実施形態における通信システムの動作例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態における通信システムの構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態における通信システムの動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1、第2の実施形態における通信システム等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態における通信システム1について、図1図2及び図3に基づき説明する。図1は、通信システム1の構成例を示すブロック図である。図2は、通信システム1の詳細を説明するための図である。図3は、通信システム1の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【0013】
通信システム1は、車両10A,10B及び通信装置20を備える。以下の説明において、車両10A,10Bの各々を区別する必要がない場合、以下の説明において、車両10A,10Bの各々を車両10と称する。
【0014】
車両10は、走行可能な車両であり、無線通信が可能な車載装置を備える。車両10は、車両10内に備えられた車載装置により、通信装置20との通信を行う。すなわち、車両10は、通信装置20と通信可能に接続されている。通信には、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、C-V2X(Cellular-V2X(Vehicle-to-Everything))、NR-V2X(NewRadio-V2X(Vehicle-to-Everything))のような車車間通信又は路車通信技術や、LTE(Long Term Evolution)、5G(Gneration)のようなセルラ通信技術、WiFi(登録商標)のような無線通信技術が用いられる。通信が5Gで行われる場合、車両10は、Sub6やミリ波と呼ばれる周波数帯を用いることができる。
【0015】
通信装置20は、通信手段21、検出手段22、撮像手段23、位置情報取得手段24を備える。通信装置20は、例えば、車両10が走行する道路の側に設けられた路側装置である。また、通信装置20は、他の車両に設けられた車載装置であっても良いし、付近を歩行する歩行者が所持するスマートフォン等であっても良い。
【0016】
なお、通信手段21、検出手段22、撮像手段23及び位置情報取得手段24は、それぞれが別の装置に設けられていても良い。また、図1では通信システム1は車両10A及び車両10Bを含むように記載されているが、車両10A及び車両10Bは通信システム1の必須の構成ではない。すなわち、通信システム1は、通信手段21、検出手段22、撮像手段23、位置情報取得手段24のみから構成されても良い。
【0017】
通信手段21、検出手段22、撮像手段23、位置情報取得手段24は、互いに通信可能に接続されている。また、通信手段21は、車両10と通信可能に接続されている。
【0018】
通信手段21は、車両10との通信を行う。例えば、通信手段21は、車両10との通信により、車両10内の車載装置との通信セッションの確立や、近傍の信号器の灯色状態や、救急車などの緊急車両の接近、近くの店舗からの広告、運転支援メッセージ、アラート等を示す情報の送受信を行う。
【0019】
第1に、検出手段22は、車両10の速度に応じた速度情報を検出する。例えば、検出手段22は、通信手段21を介して、LTEなどの無線通信により車両10と通信する。これにより、検出手段22は、車両10が走行する速度を速度情報として取得する。なお、速度情報は、車両10が走行する速度以外にも、「高速」「低速」「停止」などの速度に応じた車両10の状態を示すものであってもよい。
【0020】
また第2に、検出手段22は、車両10に対する指示を出す信号器から、当該指示に応じた速度情報を取得してもよい。一般的に信号器は、灯色を変化させることにより、車両に対して指示を出す。例えば、検出手段22は、通信手段21を介して車両10と通信し、車両10の位置情報及び進行方向を取得する。検出手段22は、信号機毎に、信号機の位置情報及び信号器の指示の対象となる範囲を予め記憶してき、車両10の位置情報及び進行方向に基づいて、車両10に対して指示を出している信号器を特定する。例えば、検出手段22は、車両10の位置情報を指示の対象となる範囲に含むものであって、車両10が近づく方向に位置する信号器を、車両10に指示を出す信号器として特定する。なお、検出手段22は、信号機の位置情報及び信号器の指示の対象となる範囲を予め記憶しているのではなく、外部のサーバなどから取得しても良い。
【0021】
検出手段22は、特定した信号器が車両10に出している指示の内容を取得し、当該指示に応じた速度情報を取得する。具体的には、信号器が車両10に対して停止するよう指示している場合、検出手段22は、車両10の速度がゼロであることを示す速度情報や、車両10が停止していることを示す速度情報を取得する。また、信号器が車両10に対して通過するよう指示している場合、検出手段22は、信号器が設けられた道路の法定速度を示す速度情報や、法定速度に応じた車両10の状態(例えば、「高速」や「低速」などの分類)を示す速度情報を取得する。この例において、信号器は、自身が設けられた道路の法定速度を予め記憶しているものとする。
【0022】
第3に、検出手段22は、更に撮像手段23により撮像された車両10の映像に基づいて、速度情報を取得してもよい。撮像手段23は、車両10を撮像する機能を有する。撮像手段23は、例えばカメラ等であり、通信装置20内に設けられている。なお、撮像手段23は、通信装置20とは別の装置に設けられていても良い。この場合、撮像手段23は、通信手段21を介して、検出手段22に撮像した映像を送信する。
【0023】
検出手段22は、車両10の映像に基づいて速度情報を取得する。具体的には、検出手段22は、映像中の車両10の移動量を解析し、車両10の速度を求める。検出手段22は、求めた速度を速度情報として取得する。なお、映像の解析には既知の技術を用いるものとする。
【0024】
第4に、検出手段22は、位置情報取得手段24により取得された車両10の位置情報に基づいて、速度情報を取得する。この例において、車両10は、例えばGPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)により、車両の位置情報を取得しているものとする。検出手段22は、LTE等の無線通信により、車両10と通信することにより、車両10の位置情報を取得する。
【0025】
検出手段22は、車両10の位置情報に基づいて速度情報を取得する。具体的には、検出手段22は、予め、位置情報と速度情報との対応関係を予め記憶しているものとする。例えば、位置情報が示す位置に存在する道路の法定速度が、速度情報として位置情報に対応付けられているものとする。検出手段22は、車両10の位置情報を取得し、当該位置情報に対応する速度情報を車両10の速度情報として取得する。
【0026】
通信手段21は、検出手段22が検出した速度情報に基づいて、車両10との通信に用いる帯域幅を決定する。例えば、通信手段21は、速度情報が第1の速度(例えば時速50km)に対応する場合、第1の帯域幅(例えば400MHzのミリ波)を用いて車両10と通信する。また、通信手段21は、速度情報が第1の速度よりも速い第2の速度(例えば時速80km)に対応する場合、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅(例えば100MHz帯のSub6)を用いて車両10と通信する。上記の「速度情報が第1の速度に対応する」とは、具体的には、速度情報が第1の速度を示すことを指す。または、上記の記載は、速度情報が第1の速度に応じた車両10の状態(例えば、「高速」「低速」「停止」などの速度に応じた車両10の状態)を示すことを指す。
【0027】
次に、図2を用いて通信システム1の詳細を説明する。図2は、通信装置20及び車両10の間で第1の帯域幅で通信する場合及び第2の帯域幅で通信する場合の詳細を説明するためのブロック図である。
【0028】
図2には、通信装置20、車両10A及び車両10Bが示される。この例において、車両10Aは第1の速度で走行し、車両10Bは第1の速度よりも速い第2の速度で走行しているものとする。この場合、通信装置20は、前述の通り、車両10Aに対しては第1の帯域幅で通信し、車両10Bに対しては第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅で通信する。
【0029】
一般的に無線通信においては、帯域幅が広い信号よりも、帯域幅が狭い信号の方が、よりSNRの劣化が抑制される。そのため、通信システム1においては、速度の速い車両は、狭い帯域幅の信号を用いて安定した通信することができる。
【0030】
次に図3を用いて、通信システム1の動作を説明する。図3は、通信システム1の動作を示すフローチャートである。
【0031】
通信手段21は、所定の範囲の車両に向けて応答要求信号を送信する(S101)。なお、通信手段21は、前述の第1の帯域幅及び第2の帯域幅よりも狭い帯域幅(例えば18MHzのLTEバンド)で、応答要求信号を送信しているものとする。
【0032】
車両10は、応答要求信号を受信したことに応じて、応答信号を通信手段21に送信する(S102)。この際、車両10は、車両10の速度を示す情報を含む応答信号を、通信手段21に送信する。
【0033】
通信手段21は、応答信号に含まれる速度を示す情報を、検出手段22に出力する(S103)。検出手段22は、通信手段21から取得した情報に基づいて、速度情報を検出する(S104)。検出手段22は、車両10の速度を速度情報として検出してもよいし、速度に応じた車両10の状態(例えば、「高速」、「低速」又は「停止」などの分類)を速度情報として検出しても良い。
【0034】
検出手段22は、検出した速度情報を通信手段21に出力する(S105)。通信手段21は、速度情報に基づいて、車両10との通信に用いる帯域幅を決定する(S106)。具体的には、通信手段21は、速度情報が第1の速度に対応する場合、第1の帯域幅を用いることを決定する。また、通信手段21は、速度情報が第1の速度よりも速い第2の速度に対応する場合、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いることを決定する。
【0035】
例えば通信手段21は、速度情報が示す速度が閾値以下である場合、28GHz帯のミリ波を用いることを決定する。また、通信手段21は、速度情報が示す速度が閾値を上回る場合、3.7GHz帯又は4.5GHz帯のSub6を用いることを決定する。
【0036】
また例えば、通信手段21は、速度情報が示す状態が「低速」又は「停止」である場合、28GHz帯のミリ波を用いることを決定する。また、通信手段21は、速度情報が示す状態が「高速」である場合、3.7GHz帯又は4.5GHz帯のSub6を用いることを決定する。
【0037】
通信手段21は、決定した帯域幅を用いて車両10との通信を行う(S107)。通信手段21は、車両10との通信により、車両10内の車載装置との5Gを用いた通信セッションの確立や、近傍の信号器の灯色状態や、救急車などの緊急車両の接近、近くの店舗からの広告、運転支援メッセージ、アラート等を示す情報の送受信を行う。
【0038】
なお、上記の動作の説明において、検出手段22は、応答信号に含まれる情報に基づいて、速度情報を検出するとした。一方で、検出手段22は、前述したように、車両10に対する指示を出す信号器から、当該指示に応じた速度情報を取得してもよい。また、検出手段22は、撮像手段23により撮像された車両10の映像に基づいて、速度情報を取得してもよい。また、検出手段22は、位置情報取得手段24により取得された車両10の位置情報に基づいて、速度情報を取得してもよい。
【0039】
以上のように、通信システム1において、通信手段21は、速度情報に基づいて、車両10の速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて車両10と通信する。また、通信手段21は、車両10の速度が第1の速度よりも速い第2の速度である場合、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、車両10と通信する。
【0040】
前述したように、安定した通信を行うために、車両は、速度に応じた帯域幅を利用して通信を行うことが好ましい。しかし、関連技術では、そのための手段がなかった。しかし、通信システム1において、速度の速い車両10は、より狭い帯域幅の無線信号を用いて通信することができる。そのため、通信システム1は、車両10は、速い速度で移動している場合に、よりSNRが劣化しにくい狭帯域な信号を用いることができるため、安定した通信を行うことができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る通信システム2について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、通信システム2の構成例を示すブロック図である。図5は、通信システム2の動作例を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示されるように、通信システム2は、通信手段21及び検出手段22を備える。なお、通信システム2の通信手段21及び検出手段22は、通信システム1の通信手段21及び検出手段22と同様の機能や接続関係を有していても良い。
【0042】
通信手段21は、不図示の車両と通信する。検出手段22は、車両の速度に応じた速度情報を検出する。通信手段21は、速度情報に基づいて、車両の速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて車両と通信する。また、通信手段21は、車両の速度が第1の速度よりも速い第2の速度である場合、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、車両と通信する。
【0043】
なお、検出手段22は、例えば、車両と通信することにより、車両の速度に応じた速度情報を検出する。また、検出手段22は、車両に対する指示を出す信号器から、当該指示に応じた速度情報を取得してもよい。また、検出手段22は、外部にもうけられた撮像手段により撮像された車両の映像に基づいて、速度情報を取得してもよい。また、検出手段22は、GPSやGNSSにより取得された車両10の位置情報に基づいて、速度情報を取得してもよい。
【0044】
次に、図5を用いて通信システム2の動作例を説明する。
【0045】
検出手段22は、車両の速度に応じた速度情報を検出する(S201)。通信手段21は、車両と通信する。(S202)。S202の処理において、通信手段21は、速度情報に対応する速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて車両と通信する。また、速度情報に対応する速度が第1の速度よりも速い第2の速度である場合、通信手段21は、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、車両と通信する。なお、S202の処理において車両との通信に用いられる帯域幅は、通信手段21、検出手段22又は不図示の構成により決定される。なお、第2の実施形態は、S201及びS202の処理を含む通信方法を示すものでもある。また、第2の実施形態は、S201及びS202の処理を情報処理装置に実行させるプログラムを記憶する記憶媒体を示すものでもある。
【0046】
以上のように、通信システム2において、通信手段21は、速度情報に基づいて、車両の速度が第1の速度である場合、第1の帯域幅を用いて車両と通信する。また、通信手段21は、車両の速度が第1の速度よりも速い第2の速度である場合、第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅を用いて、車両と通信する。
【0047】
前述したように、安定した通信を行うために、車両は、ある程度の時間、通信装置からの信号が届く範囲(セル)内を走行することが好ましい。しかし、関連技術では、車両の速度が速い場合には車両が短時間の間に複数のセルを移動するため、ハンドオーバする必要が生じ、車両は安定した通信を行うことができない。
【0048】
しかし、通信システム2において、速度の速い車両は、広いセルを伝搬する低周波の無線信号を用いて通信することができる。そのため、通信システム2は、車両がセル間を移動する頻度を減少させることができるため、車両は安定した通信を行うことができる。
【0049】
また、各装置又はシステムの各構成要素の一部又は全部は、例えば図6に示すような情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。図6は、通信システム1,2等を実現する情報処理装置の一例を示す図である。情報処理装置2000は、一例として、以下のような構成を含む。
【0050】
・CPU(Central Processing Unit)2001
・ROM(Read Only Memory)2002
・RAM(Random Access Memory)2003
・RAM2003にロードされるプログラム2004
・プログラム2004を格納する記憶装置2005
・記録媒体2006の読み書きを行うドライブ装置2007
・通信ネットワーク2009と接続する通信インターフェース2008
・データの入出力を行う入出力インターフェース2010
・各構成要素を接続するバス2011
各実施形態における各装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム2004をCPU2001が取得して実行することによって、実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム2004は、例えば、予め記憶装置2005やRAM2003に格納されており、必要に応じてCPU2001が読み出す。なお、プログラム2004は、通信ネットワーク2009を介してCPU2001に供給されてもよいし、予め記録媒体2006に格納されており、ドライブ装置2007が当該プログラムを読み出してCPU2001に供給してもよい。
【0051】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置2000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0052】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路 (circuitry)や、これらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップ によって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップ によって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0053】
各装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等の各々は、通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。なお、通信ネットワークとしては、例えば、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等が挙げられる。
【符号の説明】
【0054】
1、2 通信システム
10、10A,10B 車両
20 通信装置
21 通信手段
22 検出手段
23 撮像手段
24 位置情報取得手段
2001 CPU
2002 ROM
2003 RAM
2004 プログラム
2005 記憶装置
2007 ドライブ装置
2008 通信インターフェース
2009 通信ネットワーク
2010 入出力インターフェース
2011 各構成要素を接続するバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6