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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】電動機の製造方法及び電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20250611BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
H02K3/18 P
H02K3/46 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024053898
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏昌
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-29379(JP,A)
【文献】特開2014-23299(JP,A)
【文献】特開2007-135360(JP,A)
【文献】特開2006-158174(JP,A)
【文献】特開2006-67778(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063877(WO,A1)
【文献】特開2020-127255(JP,A)
【文献】特開2018-85870(JP,A)
【文献】特開2007-215364(JP,A)
【文献】特開2002-27694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
H02K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のヨーク部と、前記ヨーク部から前記ヨーク部の径方向に延びるティース部と、を有するステータコアと、
前記ティース部に取り付けられる巻胴部を有するインシュレータと、
前記巻胴部を介して前記ティース部に導線が巻回された巻線により複数の層が形成された巻回部と、を備える電動機の製造方法であって、
前記径方向に並んで巻回される前記導線の巻回ピッチをP、前記導線の外径をBとしたとき、
前記径方向において、前記巻回部の1層目にP>Bを満たすように前記導線を巻回し、前記巻回部の2層目以降の少なくとも1つの層にP≦Bを満たすように前記導線を巻回する、電動機の製造方法。
【請求項2】
前記1層目にP>1.02Bを満たすように前記導線を巻回する、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項3】
前記1層目に2B>Pを満たすように前記導線を巻回する、
請求項1または2に記載の電動機の製造方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの層に0.82B≦P≦Bを満たすように前記導線を巻回する、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項5】
前記巻回部の2層目以降にP≦Bを満たすように前記導線を巻回する、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項6】
前記導線の外径Bは、当該外径の寸法公差の上限値である、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項7】
前記導線を供給するノズルを有する巻線機を用いて前記導線を巻回する、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項8】
環状のヨーク部と、前記ヨーク部から前記ヨーク部の径方向に延びるティース部と、を有するステータコアと、
前記ステータコアの軸方向の端部に設けられ、前記ティース部に配置される巻胴部を有するインシュレータと、
前記巻胴部を介して前記ティース部に導線が巻回された巻線により複数の層が形成された巻回部と、を備える電動機であって、
前記巻回部は、前記径方向に並んで巻回される前記導線の巻回ピッチをP、前記導線の外径をBとしたとき、
前記径方向において、前記巻回部の1層目に巻回された前記巻回ピッチがP>Bを満たし、
前記巻回部の2層目以降の少なくとも1つの層に巻回された前記巻回ピッチがP≦Bを満たす、電動機。
【請求項9】
前記径方向に沿う前記巻胴部の断面で見たとき、前記導線が巻回される前記巻胴部の表面は、前記径方向に沿って延びる平坦面を有し、
前記平坦面の前記径方向の長さをM、前記1層目において前記平坦面に巻回された前記巻線の巻き数をTとしたとき、(B×T)<Mを満たす、
請求項8に記載の電動機。
【請求項10】
前記1層目に巻回された前記巻線は、P>1.02Bを満たす、
請求項8に記載の電動機。
【請求項11】
前記1層目に巻回された前記巻線は、2B>Pを満たす、
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項12】
前記少なくとも1つの層に巻回された前記巻線は、0.82B≦P≦Bを満たす、
請求項8に記載の電動機。
【請求項13】
前記巻回部の2層目以降に巻回された前記巻線は、P≦Bを満たす、
請求項8に記載の電動機。
【請求項14】
前記導線の外径Bは、当該外径の寸法公差の上限値である、
請求項8に記載の電動機。
【請求項15】
前記導線は、引張強度が460[N/mm]未満である、
請求項8に記載の電動機。
【請求項16】
前記インシュレータは、前記ステータコアに取り付けられる環状の外周壁部を有し、前記導線が前記巻回部から前記外周壁部まで延ばされて渡り線が形成され、
前記1層目に巻回された前記巻線の長さ方向に直交する第1断面積をA1、前記渡り線の長さ方向に直交する第2断面積をA2としたとき、
(A1/A2)>0.85を満たす、
請求項8に記載の電動機。
【請求項17】
前記導線は、導体と、前記導体を被覆する絶縁膜と、を有し、
前記絶縁膜の静止摩擦係数が0.12以下である、
請求項8に記載の電動機。
【請求項18】
前記インシュレータには、ガラス繊維が15重量%以上、45重量%以下、添加されている、
請求項8に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の製造方法及び電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機としては、ステータコアと、ステータコアの端部に設けられるインシュレータと、を備えており、ステータコアのティース部及びインシュレータの巻胴部に、導線が集中巻きで巻回された巻線によって、複数の層を有する巻回部が形成された電動機が知られている。この種の電動機では、巻回部における導線の占積率を高めることで小型化、高効率化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/063877号
【文献】特開2020-127255号公報
【文献】特開2018-85870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動機は、インシュレータの巻胴部の表面がステータコアの径方向に沿って平坦に形成されている。また、巻回部は、ステータコアの径方向における一端側(外径側)から他端側(内径側)に向かって導線が巻胴部の表面に沿って巻回されることで形成された1層目と、1層目の上に重なるように積層されてステータコアの径方向における他端側(内径側)から一端側(外径側)に向かって導線が巻回されることで形成された2層目と、を含んでいる。
【0005】
このような電動機において、巻回部の占積率を高めるために、ステータコアの径方向に向かって並んで巻回される1層目の導線の巻回ピッチ(巻線機を用いた巻線工程におけるノズルの1ターン当たりの移動量)を小さくした場合、巻回部の1層目を形成する際、先に巻回された巻線に、後から巻回された巻線の一部が乗り上げることがある。このとき、後から巻回された巻線が、先に巻回された巻線よりも他端側(内径側)に並ばずに、先に巻回された巻線よりも一端側(外径側)に入り込んでしまい、導線の絶縁膜の表面が滑りやすいために、先に巻回された巻線がステータコアの他端側(内径側)へ押し出されてしまう現象、(以後、「巻き乱れ」ともいう)が発生するおそれがあることを、本発明の発明者らは発見した。巻き乱れが発生すると、内径側の端まで押し出されるように引っ張られた巻線をなす導線に破断が発生したり、引っ張られた導線の断面積が小さくなって電気抵抗が大きくなり、導線の発熱量が増えたりするおそれがある。すなわち、巻回部の1層目に巻回される導線の信頼性が低下するおそれがある。なおこの現象は、巻回部の1層目を巻回する方向がステータコアの径方向における外径側から内径側に向かって導線が巻回される場合に限らず、巻回部の1層目を巻回する方向がステータコアの径方向における内径側から外径側に向かって導線が巻回される場合でも同様に起こり得る。
【0006】
一方、巻回部の1層目に巻回される導線の滑り止めとして、インシュレータの巻胴部に溝等が設けられる構造がある(特許文献2、特許文献3)。しかし、この構造は、導線の外径に合わせた溝等を巻胴部に設けるため、導線の外径に応じてインシュレータを変更する必要があり、電動機の製造コストが増大する問題がある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電動機の製造コストの増大を避けると共に、巻回部の1層目に巻回される導線の信頼性を高めることができる電動機の製造方法及び電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する電動機の製造方法の一態様は、環状のヨーク部と、ヨーク部からヨーク部の径方向に延びるティース部と、を有するステータコアと、ティース部に取り付けられる巻胴部を有するインシュレータと、巻胴部及びティース部に導線が巻回された巻線により複数の層が形成された巻回部と、を備える電動機の製造方法であって、径方向に並んで巻回される導線の巻回ピッチをP、導線の外径をBとしたとき、径方向において、巻回部の1層目にP>Bを満たすように導線を巻回し、巻回部の2層目以降の少なくとも1つの層にP≦Bを満たすように導線を巻回する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する電動機の製造方法の一態様によれば、電動機の製造コストの増大を避けると共に、巻回部の1層目に巻回される導線の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例の電動機を備える圧縮機を示す縦断面図である。
図2図2は、実施例におけるステータコアを示す下面図である。
図3図3は、実施例におけるインシュレータを模式的に示す斜視図である。
図4図4は、実施例におけるステータを示す下面図である。
図5図5は、実施例の電動機における巻回部を模式的に示す断面図である。
図6図6は、比較例の電動機における巻回部を模式的に示す断面図である。
図7図7は、比較例の巻回工程において1層目の巻線が正常に巻回される場合を説明するための断面図である。
図8図8は、比較例の巻回工程において1層目の巻線の巻回位置がずれる場合を説明するための断面図である。
図9図9は、比較例の巻回工程において1層目の巻線の巻回位置がずれる場合を説明するための側面図である。
図10図10は、実施例の電動機の製造方法における巻回工程を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、実施例の巻回工程において1層目の巻線が正常に巻回される場合を説明するための断面図である。
図12図12は、実施例の巻回工程において1層目の巻線の巻回位置がずれる場合を説明するための断面図である。
図13図13は、変形例1の巻回工程における巻線の巻回状態を示す断面図である。
図14図14は、変形例2の巻回工程における巻線の巻回状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する電動機の製造方法及び電動機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する電動機の製造方法及び電動機が限定されるものではない。
【実施例
【0012】
(圧縮機)
図1は、実施例の電動機を備える圧縮機を示す縦断面図である。図1に示すように、圧縮機1は、いわゆるロータリ圧縮機であり、容器2と、シャフト3と、圧縮部5と、電動機6と、を備える。容器2は、金属材料によって形成されており、密閉された内部空間7を形成している。内部空間7は、概ね円柱状に形成されている。容器2は、水平面上に縦置きされたときに、内部空間7の中心軸が鉛直方向と平行になるように形成されている。容器2には、内部空間7の下部に油溜め8が形成されている。油溜め8には、圧縮部5を潤滑させる潤滑油が貯留される。容器2には、冷媒を吸入するための吸入管11と、圧縮された冷媒を吐出する吐出管12と、が接続されている。シャフト3は、鉛直方向に沿って設けられており、一端が油溜め8に浸されるように、容器2の内部空間7に配置されている。シャフト3は、内部空間7の中心軸回りに回転可能に容器2に支持されている。シャフト3は、回転することにより、油溜め8に貯留された潤滑油を圧縮部5に供給する。
【0013】
圧縮部5は、内部空間7における下部に配置され、油溜め8の上方に配置されている。圧縮機1は、さらに、上マフラーカバー14と、下マフラーカバー15と、を備える。上マフラーカバー14は、内部空間7における圧縮部5の上部に配置されている。上マフラーカバー14は、その内部に上マフラー室16を形成している。下マフラーカバー15は、内部空間7における圧縮部5の下部に設けられており、油溜め8の上部に配置されている。下マフラーカバー15の内部には、下マフラー室17が形成されている。下マフラー室17は、圧縮部5に形成されている連通路(図示せず)を介して上マフラー室16に連通している。上マフラーカバー14とシャフト3との間には、圧縮冷媒を吐出する吐出孔18が形成されており、上マフラー室16は、吐出孔18を介して内部空間7に連通している。
【0014】
圧縮部5は、電動機6によって駆動されたシャフト3が回転することにより、吸入管11から供給される冷媒を圧縮し、その圧縮された冷媒を上マフラー室16と下マフラー室17とに供給する。冷媒は、潤滑油と相溶性を有している。
【0015】
(電動機)
電動機6は、内部空間7のうちの圧縮部5の上部に配置されている。電動機6は、3相電動機であり、ロータ21と、ステータ22と、を備える。ロータ21は、シャフト3に固定されている。ステータ22は、概ね円筒形に形成され、ロータ21の外周側にロータ21を囲むように配置され、容器2に固定されている。ステータ22は、ステータコア23と、第1インシュレータとしての下インシュレータ25Bと、第2インシュレータとしての上インシュレータ25Aと、複数の巻線46と、を備える。
【0016】
上インシュレータ25Aは、シャフト3の軸方向におけるステータコア23の上端部に取り付けられている。下インシュレータ25Bは、シャフト3の軸方向におけるステータコア23の下端部に取り付けられている。上インシュレータ25Aと下インシュレータ25Bとは、ステータコア23と巻線46とを絶縁する絶縁部の一例である。本実施例における上インシュレータ25Aと下インシュレータ25Bとは、同一形状に形成されており、ステータコア23の上端部に設けられる場合に上インシュレータ25Aとして用いられ、ステータコア23の下端部に設けられる場合に下インシュレータ25Bとして用いられる。以下、実施例では、上インシュレータ25A及び下インシュレータ25Bを含めてインシュレータ25と称する。なお、本実施例では上インシュレータ25Aと下インシュレータ25Bとが同一形状である場合を例示するが、上インシュレータ25Aと下インシュレータ25Bとは互いに異なる形状に形成されていてもよい。
【0017】
図2は、実施例におけるステータコア23を示す下面図である。図2に示すように、ステータコア23は、例えば、ケイ素鋼板(電磁鋼板)に例示される軟磁性体で形成された複数の金属板が積層されて形成され、ヨーク部31と、複数のステータコアティース部32(32-1~32-9)と、を備える。ヨーク部31は、概ね環状(円筒形)に形成されている。複数のステータコアティース部32-1~32-9のうちの第1ステータコアティース部32-1は、ステータコア23の径方向に延びる概ね柱体状に形成されている。第1ステータコアティース部32-1は、一端がヨーク部31の内周面に連結して形成され、すなわち、ヨーク部31の内周面からヨーク部31の径方向の内側に延びている。複数のステータコアティース部32-1~32-9のうちの第1ステータコアティース部32-1と異なるステータコアティース部32-2~32-9も、第1ステータコアティース部32-1と同様に、概ね柱体状に形成されており、ヨーク部31の内周面からヨーク部31の径方向の内側に延びている。複数のステータコアティース部32-1~32-9は、9スロットのステータ22の場合、ヨーク部31の内周面に、ヨーク部31の周方向に対して40°ごとの等間隔に配置されるように形成されている。
【0018】
図3は、実施例におけるインシュレータ25を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、インシュレータ25(上インシュレータ25A及び下インシュレータ25B)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)に例示される絶縁体によって環状に形成されている。インシュレータ25は、図3に示すように、外周壁部41と、導線(巻線46)が巻回される巻胴部である複数のインシュレータティース部42(42-1~42-9)と、複数の鍔部43(43-1~43-9)と、を有している。外周壁部41は、概ね円筒形に形成されている。外周壁部41には、外周壁部41の中心軸に沿う方向(シャフト3の軸方向)における一端から外周壁部41の中心軸に沿って延びる複数のスリット44が、外周壁部41の周方向に間隔をあけて形成されている。また、外周壁部41は、外周壁部41の中心軸に沿う方向における他端が、ステータコア23に接する。言い換えると、複数のスリット44は、外周壁部41におけるステータコア23とは反対側の一端から、ステータコア23側に向かって延びて形成されている。後述する巻回部45から引き出された巻線46(導線)が各スリット44を通されることで、外周壁部41の内周側から外周側へ引き出された巻線46は、外周壁部41の外周面に沿って掛け渡された渡り線49を形成する。なお、図3に示すインシュレータ25では、外周壁部41の各スリット44の形状や配置を模式的に示しており、各スリット44の形状や配置の詳細については後述する。
【0019】
複数のインシュレータティース部42-1~42-9のうちの第1インシュレータティース部42-1は、断面が概ね半円である直柱体状に形成されている。第1インシュレータティース部42-1は、一端が外周壁部41の内周面に連結して形成され、すなわち、外周壁部41の内周面から外周壁部41の径方向の内側に延びている。複数のインシュレータティース部42-1~42-9のうちの第1インシュレータティース部42-1と異なるインシュレータティース部42-2~42-9も、第1インシュレータティース部42-1と同様に、断面が概ね半円である直柱体状に形成され、外周壁部41の内周面から外周壁部41の径方向の内側に延びている。複数のインシュレータティース部42-1~42-9は、外周壁部41の内周面に、外周壁部41の周方向に対して40度ごとの等間隔に配置されて形成されている。なお、実施例におけるインシュレータティース部42は、断面が概ね半円である直柱体状である形状に限定されず、たとえば断面が概ね多角形である直柱体状に形成されてもよい。
【0020】
複数の鍔部43-1~43-9は、複数のインシュレータティース部42-1~42-9に対応し、それぞれ、概ね半円形の板状に形成されている。複数の鍔部43-1~43-9のうちの第1インシュレータティース部42-1に対応する第1鍔部43-1は、第1インシュレータティース部42-1の他端に連続して第1インシュレータティース部42-1と一体に形成されている。複数の鍔部43-1~43-9のうちの第1鍔部43-1と異なる鍔部43も、第1鍔部43-1と同様に、複数のインシュレータティース部42-1~42-9の他端に連続してインシュレータティース部42-1~42-9のそれぞれと一体に形成されている。
【0021】
図4は、実施例におけるステータ22を示す下面図であり、ステータ22を下インシュレータ25B側から見た図である。図4に示すように、ステータコア23の複数のステータコアティース部32-1~32-9のそれぞれには、複数の巻線46(後述するU相巻線46-U1~46-U3、V相巻線46-V1~46-V3、W相巻線46-W1~46-W3)のそれぞれが巻回されている。各ステータコアティース部32-1~32-9には、図4に示すように、各相の巻線46によって巻回部45がそれぞれ形成されている。各巻回部45には、インシュレータティース部42を介してステータコアティース部32に導線が巻回された巻線46により複数の層、例えば、6層~8層程度が形成されている。9個のスロットをなす各巻回部45には、図4中の時計回りの順番に1~9の符号を付けて示す。9個の巻回部45は、ステータコア23の周方向に沿って、3相が同じ順序を繰り返すように配列されている。すなわち、図4の時計回りの順にU相、V相、W相を繰り返すように配列されている。
【0022】
実施例における電動機6は、6極9スロットの集中巻型の電動機である。複数の巻線(導線)46には、U相の巻回部45を形成する複数のU相巻線46-U1~46-U3と、V相の巻回部45を形成する複数のV相巻線46-V1~46-V3と、W相の巻回部45を形成する複数のW相巻線46-W1~46-W3と、が含まれる。
【0023】
なお、実施例の電動機6は、9スロットに構成されたが、スロットの個数、すなわち巻回部45の個数(またはステータコアティース部32の個数)が限定されるものではない。
【0024】
また、実施例におけるステータコア23は、環状のヨーク部31が一体に形成されたが、複数の円弧状のヨーク部品(図示せず)が連結されて環状に組み立てられることでヨーク部が形成されてもよい。また、実施例におけるステータコア23のステータコアティース部32が、ヨーク部31の内周面からヨーク部31の径方向の内側に延ばされたが、ヨーク部31の外周面からヨーク部31の径方向の外側に延ばされてもよい。これと同様に、インシュレータ25のインシュレータティース部42についても、外周壁部41の内周面から外周壁部41の径方向の内側に延ばされる形状に限定されず、外周壁部41の外周面から外周壁部41の径方向の外側に延ばされてもよい。また、実施例におけるインシュレータティース部42は、断面が概ね半円である直柱体状である形状に限定されず、例えば、断面が概ね多角形である直柱体状に形成されてもよい。
【0025】
(電動機の特徴的な構造)
次に、本実施例の電動機6の特徴的な構造について説明する。本実施例の特徴には、巻回部45の1層目1Lの巻線46の巻回状態が含まれる。
【0026】
図5は、実施例の電動機6における巻回部(コイル)45を模式的に示す断面図である。図5では、巻回部45の各層の巻線46(導線)に付けた「1~8」の数字が1層目1L~8層目8Lを示している。
【0027】
図5に示すように、実施例における巻回部45は、ヨーク部31の径方向Y(外周壁部41の径方向Yにも相当。以下、単に径方向Yとも呼ぶ。)に並ぶように、巻回部45の各層毎に所定の巻回ピッチP(1ターン当たりのノズルNの径方向Yへの移動量)で巻回される。巻回部45の1層目1Lとして巻回された巻線46は、インシュレータティース部42において導線が巻回される表面(以下、インシュレータティース部42の表面と呼ぶ。)に接するように巻回される。巻回部45の1つの層における導線(巻線46)の巻回ピッチをP、導線の外径をBとしたとき、径方向Yにおいて、1層目1Lとして巻回される巻線46(導線)の巻回ピッチPが、P>Bを満たす。また、巻回部45は、2層目2L以降の少なくとも1つの層として巻回される巻線46(導線)の巻回ピッチPが、P≦Bを満たす。このような巻回ピッチPで巻線46が巻回されたことにより、1層目1Lの巻線46に巻き乱れが生じることなく、巻回部45の占積率が高められる。この詳細については後述する(電動機の製造方法の説明を参照)。
【0028】
ここでの巻回ピッチPは、インシュレータティース部42及びステータコアティース部32に対して径方向Yまわりに巻回される導線(巻線46)の1ターン(1まわり)当たりの、径方向Yに対するノズルNの移動量を指しており、径方向Yに隣り合う巻線46間のピッチ寸法とは異なる。便宜的に図面では巻回ピッチPをピッチ寸法のようにも示すが、以下の説明において巻回ピッチPはノズルNの移動量を指す。なお、ノズルNの移動量とは、ノズルNとインシュレータティース部42との相対位置の変化量のことを指す。すなわち、インシュレータティース部42に対するノズルNの相対位置を変化させる際に、インシュレータティース部42側が固定されてノズルN側が移動してもよく、ノズルN側が固定されてインシュレータティース部42側が移動してもよく、インシュレータティース部42側とノズルN側の両方が移動してもよい。
【0029】
実施例では、一例として、導線の外径Bと、1層目1L及び2層目2Lの巻回ピッチPとが、P>Bを満たしており、3層目3Lから8層目8Lまでの巻回ピッチPが、P≦Bを満たす。言い換えると、巻回部45の1層目1L、2層目2Lにおいて、径方向Yに隣り合う巻線46同士の間に隙間Gが生じるように巻回されており、3層目3L以降において、径方向Yに隣り合う巻線46同士が密接するように巻回されている。
【0030】
(電動機の製造方法)
実施例の電動機の製造方法は、インシュレータティース部42を介してステータコアティース部32に導線を巻回して巻回部(コイル)45を形成する巻回工程を有する。図5に示すように、実施例の巻回工程では、導線を供給するノズルNを有する巻線機(図示せず)を用いて導線を巻回する。本実施例の電動機の製造方法の特徴には、巻回工程において、巻回部45の1層目1Lに巻回される導線を供給するノズルNの移動量(巻回ピッチP)を、巻線機の制御部Cによって制御することが含まれる。
【0031】
巻回工程では、ステータコア23の径方向Yに移動するノズルNから導線を供給し、ステータコア23のステータコアティース部32と、ステータコアティース部32に重ねて取り付けられたインシュレータ25のインシュレータティース部42上に巻線46を巻回し、巻回部45から引き出された渡り線49をインシュレータ25の外周壁部41に沿って巻き付ける。実施例では、巻線機を用いて3相の各巻回部45を形成するとき、例えば、3つのノズルNを用いて1相毎に巻回部45を形成し、各相の巻回部45を順番に形成することで、3相の巻回部45を形成する、いわゆる3ノズル巻き方式が適用される。
【0032】
(比較例)
まず、実施例の電動機の製造方法における巻回工程と比較するため、比較例の電動機の製造方法における巻回工程について説明する。比較における巻回工程では、巻回部の占積率を高めるために、巻回される前の状態における導線の外径をB、巻回部の1層目1Lの巻線の巻回ピッチ(1ターン当たりのノズルNの径方向Yへの移動量)をPとしたとき、P<B(例えば、P=0.8B)を満たすようにして導線が巻回される。なお、導線の外径Bは、インシュレータティース部42を介してステータコアティース部32に導線が巻回される際に加わる張力によって導線が長手方向に伸びることにより、巻回部に巻回された巻線における外径が僅かに小さくなる傾向にある。
【0033】
図6は、比較例の電動機における巻回部145を模式的に示す断面図である。図6では、巻回部145の各層の巻線46に付けた「1~8」の数字が1層目1L~8層目8Lを示している。図6に示すように、比較例の巻回部145は、例えば、巻線46が8層をなしており、1層目1Lから8層目8Lまでの全ての層の巻回ピッチPが、P<Bを満たすように導線が巻回されている。このため、巻回部145の1層目1Lから8層目8Lは、径方向Yにおいて隣り合う巻線46同士が密接するように巻回されている。
【0034】
(比較例の巻回工程)
図7は、比較例の巻回工程において、1層目1Lの巻線が正常に巻回される場合の巻回部を説明するための断面図である。図7に示すように、比較例では、1層目1Lにおいて、2ターン目2Tの巻線46が1ターン目1Tの巻線46の外周面を径方向Yの他端側(径方向Yの内側である内径側)に滑り落ちることで、1ターン目1Tの巻線46に続いて、2ターン目2Tの巻線46、3ターン目3Tの巻線46が順番に隣り合って接するように導線が巻回される。4ターン目4T以降も、巻回ピッチPがP<Bを満たすことにより、径方向Yに対して隣り合う巻線46同士が接するように整列して導線が巻回される。すなわち、1層目1Lを形成する各巻線46(導線)が正常に巻回された場合は、1層目1Lの各巻線46同士が隙間なく密に巻かれることになる。
【0035】
図8は、比較例の巻回工程において1層目1Lの巻線46の巻回位置がずれる場合を説明するための断面図である。図9は、比較例の巻回工程において巻線46の巻回位置がずれる場合を説明するための側面図である。
【0036】
図8に示すように、比較例の巻回工程では、インシュレータティース部42上に巻回される1層目1Lにおいて、例えば、1ターン目1Tの巻線46に続いて巻かれた2ターン目2Tの巻線46が、1ターン目1Tの巻線46に隣り合って接する位置から径方向Yの他端側(径方向Yの内側である内径側)に滑り、2ターン目2Tの巻線46の巻回位置が1ターン目1Tの巻線46から大きく離れる場合がある。
【0037】
このとき、比較例では、巻回ピッチ(1ターン当たりのノズルNの径方向Yへの移動量)PがP<B(P=0.8B)であることにより、本来であれば2ターン目2Tの巻線46が正常に巻回される巻回位置から、3ターン目3Tの巻線46が0.8Bだけ送られることになる。このため、3ターン目3Tの巻線46は、2ターン目2Tの巻線46を径方向Yの他端側(径方向Yの内側である内径側)に向かって乗り越えることができずに、2ターン目2Tの巻線46の位置よりも1ターン目1Tの巻線46側(径方向Yの一端側である外径側)に巻回されることになる。その結果、3ターン目3Tの巻線46は、1ターン目1Tの巻線46と2ターン目2Tの巻線46との間に入り込むことで、3ターン目3Tの巻線46の一部が2ターン目2Tの巻線46の上に乗り上げて巻回され、巻き乱れが生じる。
【0038】
続いて、本来であれば3ターン目3Tの巻線46が正常に巻回される巻回位置に位置する2ターン目2Tの巻線46の巻回位置から、4ターン目4Tの巻線46が、巻回される前の状態における導線の外径Bよりも小さい、0.8Bだけ送られることになる。その結果、4ターン目4Tの巻線46は、径方向Yにおいて、2ターン目2Tの巻線46に対して、3ターン目3Tの巻線46側とは反対側に隣り合って巻回される。
【0039】
また、図9に示すように、例えば、1ターン目1Tの巻線46と2ターン目2Tの巻線46の間に、3ターン目3T及び4ターン目4Tの各巻線46が入り込んだ場合には、2ターン目2Tの巻線46が、径方向Yにおいて1ターン目1Tの巻線46から離れる方向(鍔部43に近づく方向)に位置ずれを続けることで、巻き乱れと共に、特に2ターン目2Tの巻線46が径方向Yの他端側(径方向Yの内側である内径側)に引っ張られて断面積が減少し、電気抵抗が大きくなり、巻線46の発熱量が増える問題が起きる。また、1層目1Lに巻き乱れが生じた場合には、2層目2Lに巻回される導線が、巻き乱れを起こした巻線46の上に乗り上げることにより、巻回部45が積層方向(巻径方向、例えば、シャフト3の軸方向)に大きく膨らみ、巻回部45が歪んで大きくなる問題がある。
【0040】
上述のように、巻回部145の占積率を高めるために、1層目1Lに巻回される巻線46(導線)の巻回ピッチPが、P<Bを満たすように導線を巻回した場合、1層目1Lに巻回された巻線46に巻き乱れが発生しやすい問題がある。なお、ここでは一例として1層目1Lにおける2ターン目2Tの巻線46がインシュレータティース部42上を滑ることによって巻き乱れが始まる場合を示したが、インシュレータティース部42の表面に接して巻線46が巻回される1層目1Lには、径方向Yにおけるいずれの位置であっても同様の巻き乱れが生じるおそれがある。
【0041】
(実施例の巻回工程)
図10は、実施例の電動機の製造方法における巻回工程を説明するためのフローチャートである。上述した比較例の巻回工程では、巻回部45の1層目1Lにおける巻回ピッチPがP<B(P=0.8B)であるのに対し、実施例の巻回工程では、図10に示すように、巻回部45の1層目1Lにおける巻回ピッチPがP>Bを満たすように導線を巻回する(ステップS1)。1層目1Lに導線を巻回するとき、ノズルNは、径方向Yに沿って、インシュレータティース部42の径方向Yにおける一端側としての外周壁部41側から、径方向Yにおける他端側としての鍔部43側に向かって移動する。ノズルNの移動量である巻回ピッチPは、巻線機が有する制御部Cによって制御される。
【0042】
続いて、実施例の巻回工程では、巻回部45の2層目L2に巻回ピッチPがP>Bを満たすように導線を巻回する(ステップS2)。2層目2Lに導線を巻回するとき、ノズルNは、径方向Yに沿って、インシュレータティース部42の径方向Yにおける他端側としての鍔部43側から、径方向Yにおける一端側としての外周壁部41側に向かって移動する。
【0043】
つぎに、実施例の巻回工程では、巻回部45の3層目L3に巻回ピッチPがP≦Bを満たすように導線を巻回する(ステップS3)。3層目3Lに導線を巻回するとき、ノズルNは、径方向Yに沿って、インシュレータティース部42の外周壁部41側(径方向Yにおける一端側)から鍔部43側(径方向Yにおける他端側)に向かって移動する。実施例の巻回工程では、巻回部45の4層目4L以降も巻回ピッチPがP≦Bを満たすように導線を巻回する(ステップS4)。
【0044】
上述のようにノズルNは、径方向Yに往復移動しながら導線を巻回する。つまり、ノズルNは、往復移動の往路で1層目1Lに導線を巻回し、往復移動の復路で2層目2Lに導線を巻回し、3層目3L以降、往復移動を所定回数繰り返しながら巻回する。また、実施例の巻回工程では、ノズルNの移動に合わせてステータコア23及びインシュレータ25が径方向Yまわりに回転されることで、インシュレータティース部42を介してステータコアティース部32に導線が巻回される。なお、1層目1Lにおいて巻線46が径方向Yに対して巻回されていく向き、すなわち、1層目1LにおけるノズルNの移動方向は、外周壁部41側から鍔部43側に向かう方向に限定されず、鍔部43側から外周壁部41側に向かう方向であってもよい。
【0045】
図11は、実施例の巻回工程において1層目1Lの巻線46が正常に巻回される場合を説明するための断面図である。図11に示すように、実施例の巻回工程では、1層目1Lにおいて、1ターン目1Tの巻線46に続いて、2ターン目2Tの巻線46、3ターン目3Tの巻線46が順番に、互いに隙間Gをあけるように、導線が巻回される。4ターン目4T以降も巻回ピッチPが、P>Bを満たすように導線を巻回することにより、径方向Yに対して隣り合う巻線46の間に隙間Gをあけながら整列して巻回される。
【0046】
図12は、実施例の巻回工程において1層目1Lの巻線46の巻回位置がずれる場合を説明するための断面図である。図12に示すように、実施例の巻回工程においても、上述した比較例の巻回工程(図8参照)と同様に、1層目1Lにおいて、例えば、1ターン目1Tの巻線46に続いて巻かれた2ターン目2Tの巻線46が、本来であれば2ターン目2Tの巻線46が正常に巻回される巻回位置からインシュレータティース部42上を径方向Yに滑り、2ターン目2Tの巻線46の巻回位置が1ターン目1Tの巻線46から離れる場合がある。
【0047】
このような場合であっても、実施例の巻回工程では、1層目1Lの巻回ピッチPがP>Bを満たすように導線を巻回することにより、ノズルNの移動量が適正に確保されているので、次の3ターン目3Tの巻線46が、巻回位置がずれた2ターン目2Tの巻線46をスムーズに乗り越えることができる。3ターン目3Tの巻線46は、例えば、2ターン目2Tの巻線46の外周面の鍔部43側に接しながらインシュレータティース部42の表面に巻回される。このため、3ターン目3Tの巻線46は、上述の比較例のように1ターン目1Tの巻線46と2ターン目2Tの巻線46との間に入り込むことなく、2ターン目2Tの巻線46に対して、1ターン目1Tの巻線46側とは反対側に適切に巻回される。
【0048】
言い換えると、1層目1Lの巻回ピッチP(ノズルNの移動量)は、1層目1Lで想定する巻線46の巻線位置の位置ずれ量の最大値、すなわち、巻線46の滑り量の最大値に応じた所定値を、導線の外径B(寸法公差の上限値)に加えた値に設定されることが好ましい。なお、1層目1Lの巻回ピッチPは、巻回位置がずれた巻線46の外周面(外周面における鍔部43側)に接するように次の巻線46が巻回される値以上に設定されればよい。これにより、実施例の巻回工程では、巻回位置がずれた巻線46を、次の巻線46が乗り越えることが可能になる。このため、実施例の巻回工程では、1層目1Lに巻回される各ターン目の巻線46の順番が乱れることなく、各ターン目の巻線46の順番が正しく巻回されるので、1層目1Lに巻き乱れが生じることを防げる。
【0049】
4ターン目4T以降の巻線46においても上述と同様に、先に巻回された巻線46の巻回位置がずれた場合であっても、先に巻回された巻線46を、次の巻線46がスムーズに乗り越えながら巻回されるので、1層目1Lに巻き乱れが生じることを防げる。
【0050】
上述のように、実施例の巻回工程は、1層目1Lの巻回ピッチPが、P>Bを満たすように導線を巻回することにより、1層目1Lの巻線46に巻き乱れが生じることを防ぐと共に、2層目2L以降の少なくとも1つの層の巻回ピッチPが、P≦Bを満たすように導線を巻回することにより、巻回部45の占積率が高められる。実施例では、巻回される前の状態の導線の外径Bと、巻回部45の3層目3L以降の巻回ピッチPとが、P≦Bを満たしている。なお、2層目2L以降の全ての層の巻回ピッチPが、P≦Bを満たすことが好ましく、1層目L1の巻き乱れを防ぐことと、巻回部45の占積率を最大限に高めこととを両立できる。なお、巻回される前の状態の導線の外径Bは、後述するように、巻回部45から外周壁部41まで延ばされた渡り線49における導線の外径に近似できる。よって本実施例では、巻回部45から外周壁部41まで延ばされた渡り線49における導線の外径を、巻回される前の状態の導線の外径Bとして扱う。
【0051】
なお、本実施例は、2層目2L以降の全ての層の巻回ピッチPが、P≦Bを満たすことに限定されず、2層目2L以降において、巻回ピッチPがP>Bを満たす層が含まれてもよい。また、2層目2L以降の全ての層の巻回ピッチPがP≦Bを満たす場合において、2層目2L以降の各層の巻回ピッチPを異ならせてもよい。例えば、2層目2L以降において、各層の巻回ピッチPを増減させたり、任意の層だけ巻回ピッチPを異ならせたりしてもよい。
【0052】
また、実施例の巻回工程は、巻回部45の1層目1Lにおいて、導線の外径Bと巻回ピッチPとが、P>1.02Bを満たすように導線を巻回することが好ましい。言い換えれば、巻回部45の1層目1Lに巻回された巻線46は、巻回される前の状態の導線の外径Bと巻回ピッチPとが、P>1.02Bを満たすことが好ましい。これにより、実施例の巻回工程は、1層目1Lに導線を巻回するときに、先に巻回された巻線46を、次に巻回される導線が確実に乗り越えるように径方向Yに適切に送ることができる。その結果、巻回工程において、1層目1Lに巻き乱れが生じることを更に防げる。
【0053】
実施例の巻線工程は、巻回部45の1層目1lにおいて、導線の外径Bと巻回ピッチPとが、2B>Pを満たすように導線を巻回することが好ましい。言い換えれば、巻回部45の1層目1Lに巻回された巻線46は、巻回される前の状態の導線の外径Bと巻回ピッチPとが、2B>Pを満たすことが好ましい。これにより、1層目1Lにおいて、巻き乱れを防ぐと共に、巻回ピッチPの増大に伴う巻線46のターン数(巻回数)の減少を避けられる。1層目1Lの巻線46の巻回ピッチPを2B以上にした場合、1層目1Lのターン数の減少を補って適正な占積率を確保するためには2層目2L以降(実施例では3層目3L以降)の巻線46のターン数を大きく増やすことになる。この場合、2層目2L以降において、巻線46の積層方向(巻径方向)に膨らみが生じやすくなったり、巻回部45を形成する層が増えたりすることで、巻線46の整列性が低下するおそれがある。また、巻回部45の1層目1Lにおいて先に巻回された巻線46の巻回位置がずれた場合であっても、ずれの量が導線の外径Bを超えることは殆どない。このため、実施例の巻回工程は、上述のように2B>Pを満たすように導線を巻回することで、巻線46の巻回状態の信頼性を確保すると共に、巻回部45における巻線46の整列性の低下を抑えることができる。
【0054】
実施例の巻回工程は、2層目2L以降の少なくとも1つの層(実施例では3層目3L以降)において、巻回される前の状態の導線の外径Bと、巻回ピッチPとが、0.82B≦P≦Bを満たすように導線を巻回することが好ましい。言い換えれば、巻回部45において、2層目2L以降の少なくとも1つの層(実施例では3層目3L以降)に巻回された巻線46は、巻回される前の状態の導線の外径Bと、巻回ピッチPとが、0.82B≦P≦Bを満たすことが好ましい。インシュレータティース部42の表面に接する1層目1Lの巻線46と異なり、2層目2L以降に巻回された巻線46は、その直下の層に巻回された巻線46の上に巻回されることで移動が規制されて滑りにくいので、巻き乱れが抑えられる。このため、2層目2L以降では、巻回ピッチPが、0.82B≦P≦Bを満たすこと、例えば、導線における導体46a(図5参照)の外径と同程度に小さくすることで、巻回部45の占積率を高められる。一方、巻回ピッチPが、0.82Bよりも小さくなると、先に巻回された巻線46を次に巻回する巻線46が乗り越えられなくなるおそれがあり、その結果2層目2L以降の層を適正に形成できなくなるおそれがあるので好ましくない。
【0055】
なお、導線の外径Bに関する関係式(例えば、「1層目1Lの巻回ピッチPが、P>Bを満たす」)は、この外径Bを導線の外径の寸法公差の上限値(最大仕上がり外径)としたときでも成り立っていることが好ましく、巻回ピッチPを最適に設定できるので、1層目1Lに巻回された巻線46の巻き乱れを防ぐ作用を最も適切に得られる。
【0056】
導線(巻線46)は、図5に示すように、導体46aと、導体46aを被覆する絶縁膜46bと、を有しており、導線の外径Bは絶縁膜46bの厚さを含む寸法である。実施例における導線は、例えば、導体46aの外径が0.8mm、絶縁膜46bで被覆された導線の外径Bの寸法公差の上限値が0.88mmに設定されている。
【0057】
絶縁膜46bは、例えば、ポリアミドイミドを含んでおり、絶縁膜46bの静止摩擦係数が0.12以下である。実施例における絶縁膜46bは、高い潤滑性を有しており、静止摩擦係数が0.05程度である。このように絶縁膜46bの表面の静止摩擦係数が小さい導線(巻線46)は、巻回工程での導線の引っ掛かりを抑制できるが、インシュレータティース部42の表面に接する1層目1Lにおいて滑りやすく、巻線46の巻回位置がずれやすくなる。このため、上述のように絶縁膜46bの静止摩擦係数が小さい導線を用いる場合には、実施例のように1層目1Lの巻回ピッチPがP>Bを満たすことで、1層目1Lの巻き乱れを防ぐ効果が高い。
【0058】
また、インシュレータ25には、ガラス繊維が15重量%以上、45重量%以下、添加されており、インシュレータティース部42の表面の動摩擦係数が高められている。添加量が15重量%未満の場合には、ガラス繊維を含む樹脂材の成形収縮率が上昇し、インシュレータ25の成形性が低下するので好ましくない。添加量が45重量%を超えた場合には、動摩擦係数を高める作用の増加が乏しく、製造コストが増大するだけなので好ましくない。このようにガラス繊維が添加されることにより、インシュレータ25は、インシュレータティース部42の表面に巻回された巻線46が滑ることが抑えられるので、1層目1LLの巻き乱れを防ぐ効果、1層目1Lに巻回される導線の信頼性を高めることができる。
【0059】
また、導線(巻線46)は、引張強度が460[N/mm]未満であり、例えば、軟銅線が用いられる。このように引張強度が低い導線は、巻回される際に加わる張力によって導線が伸びやすく、導線の信頼性が低下する(例えば、導線が伸びて導線の断面積が減少した場合は、発熱量が増加する。また、仮に導線が伸びて最終的に破断してしまった場合は、巻線に電流が流れず電動機が動作しなくなる)恐れがある。そのため、実施例のように引張強度が低い導線を用いたときに、1層目1Lの巻回ピッチPが、P>Bを満たすことで、1層目1Lの巻き乱れを防ぎ、導線の信頼性が低下することを防ぐ効果が特に高い。
【0060】
また、実施例の電動機6は、1層目1Lに巻回された巻線46の長さ方向に直交する第1断面積をA1、巻回部45から外周壁部41まで延ばされた渡り線49の長さ方向に直交する第2断面積をA2としたとき(図5参照)、(A1/A2)>0.85を満たす。(A1/A2)>0.85を満たすことで、1層目1Lに巻回された巻線46の伸び率(導線が元の長さから伸びる割合)が15%以下に抑えられる。第1断面積A1及び第2断面積A2には、絶縁膜46bの断面積が含まれる。巻回部45から引き出される渡り線49の外径は、巻線46のように張力による伸びが生じにくくなっているので、巻線46を形成している部分の導線の外径よりも大きく、巻回される前の状態における導線の外径Bに近い。このように(A1/A2)>0.85を満たすことで、巻回部45の1層目1Lの巻線46は、発熱量の増加が顕著になる程度や、破断のおそれがある程度まで伸びることが抑えられて巻回されていることになる。
【0061】
上述のように、巻回部45から引き出される渡り線49は、巻線46のように張力による延びが生じにくくなっているので、巻線46を形成している部分の導線の外径よりも大きく、巻回される前の状態における導線の外径Bに近い。そのため、巻回される前の状態の導線の外径Bは、巻回部45から外周壁部41まで延ばされた渡り線49としての導線の外径に近似できる。よって本実施例では、巻回部45から外周壁部41まで延ばされた渡り線49における導線の外径を、巻回される前の状態の導線の外径Bとして扱う。
【0062】
実施例におけるインシュレータティース部42は、径方向Yに沿うインシュレータティース部42の断面で見たとき、導線が巻回されるインシュレータティース部42の表面が、径方向Yに沿って延びる平坦面42aと、平坦面42aに対して傾斜する傾斜面としての円弧状の曲面42bと、を有する。平坦面42aは、外周壁部41の内周面から延びている。曲面42bは、外周壁部41に対向する鍔部43の側面から平坦面42aまで連続して形成されている。
【0063】
巻回部45は、平坦面42aの径方向Yに対する長さをM、1層目1Lにおいて平坦面42aに巻回された巻線46ターン数(巻回数)をTとしたとき、(B×T)<Mを満たす。すなわち、平坦面42aに巻回された巻線46同士の間に隙間Gが生じるように巻回されている。
【0064】
また、実施例の巻回工程は、ノズルNを有する巻線機を用いて導線を巻回することにより、巻線機の制御部CがノズルNの移動量(巻回ピッチP)を制御することで、所望の巻回ピッチPで巻き乱れのない巻回部45を容易に形成できる。
【0065】
(変形例1、2)
上述した実施例の巻回工程では、1層目1L及び2層目2Lの巻回ピッチPがP>Bを満たすように導線を巻回したが、2層目2L以降の巻回ピッチPが、P≦Bを満たすように導線を巻回してもよい。
【0066】
図13は、変形例1の巻回工程における巻線46の巻回状態を示す断面図である。図14は、変形例2の巻回工程における巻線46の巻回状態を示す断面図である。図13及び図14では、巻回部55、56の各層の巻線46に付けた「1~8」の数字が1層目1L~8層目8Lを示している。図14では、1層目1Lと2層目2Lのみを示している。
【0067】
変形例1、2の巻回工程において、巻回する際に加わる張力によって導線が伸びることにより、巻回された後の状態の導線である巻線46の外径は、巻回される前の状態での導線の外径の約0.95倍になっている。そのため、巻回された後の状態の導線である巻線46の断面積は、巻回される前の状態での導線の断面積の0.9倍程になっている。本実施例及び変形例では、巻回される前の状態での導線の外径をBとしている。変形例1の巻回工程では、巻回部55の1層目1L及び2層目2Lの巻回ピッチPが1.1B、2層目2L以降の巻回ピッチPが0.95Bに設定されている。変形例2の巻回工程では、巻回部56の1層目1Lの巻回ピッチPが1.4B、3層目3L以降の巻回ピッチPが0.95Bに設定されている。
【0068】
図13に示すように、変形例1の巻回工程では、巻回部55の1層目1Lにおいて隣り合う巻線46同士の間に微小な隙間Gが生じる程度で整列して巻回され、1層目1Lとして巻回されるときには巻線46に巻き乱れが生じることなく導線が巻回される。一方、1層目1Lの上から重なるように2層目2Lに巻線46を巻回する際、1層目1Lとして形成された巻線46の一部が2層目2Lとして巻回される導線によって押しのけられることで、1層目1Lとして形成された巻線46の一部が径方向Yのいずれか一方側にずれて、1層目1Lを形成する巻線46同士の間に、比較的大きな隙間ができる箇所が生じる。その結果、2層目2Lに巻回された巻線46の一部は、1層目1Lの上に重ねられたとき、1層目1Lにおける巻線46の間の比較的大きな隙間に入り込み、1層目1Lの端部において2層目2Lの巻線46と2層目2Lの巻線46とが並んで配置される。このように1層目1Lの鍔部43側の端部で2層目2Lの巻線46が1層目1Lに入り込んだ結果、3層目3Lに巻回された巻線46の一部は、鍔部43側の端部において、2層目2Lや1層目1Lに入り込む。同様に、巻回部55の鍔部43側では、4層目4L~8層目8Lの各巻線46の一部も順繰りに、下の層に入り込むように巻回される。このようなときであっても、1層目1Lの巻回ピッチPがP>Bを満たすことで、1層目1Lにおいて巻回位置がずれた巻線46を次の巻線46がスムーズに乗り越えて適切に巻回されるので、1層目1Lの巻線46を巻回する際には巻き乱れが生じることが抑えられる。また2層目2L以降の少なくとも1つの層の巻回ピッチPが1層目1Lの巻回ピッチPよりも小さいことで、巻回部45の占積率の低下を抑えられている。
【0069】
なお、このような巻線46の巻回状態において本開示では、1層目1Lの巻線46が、1層目1Lとして巻回された巻線46だけを指しており、2層目2Lに重ねられずに1層目1Lに入り込んだ巻線46は、2層目2Lの巻線46に含まれる。3層目3L以降の巻線46についても同様である。
【0070】
図14に示すように、変形例2の巻回工程では、巻回部56の1層目1Lに巻回された巻線46間に隙間Gが生じるように整列して巻回され、1層目1Lに巻き乱れが生じることなく巻線46が巻回される。このため、2層目2Lに巻回された巻線46の一部は、1層目1Lに巻回された巻線46間の隙間Gに入り込み、1層目1Lにおいて2層目2Lの巻線46と、1層目1Lの巻線46とが並んで配置される。このように2層目2Lの巻線46が1層目1Lに入り込んだ結果、2層目2Lに巻回された巻線46間に隙間Gが生じ、3層目3L以降に巻回された巻線46が、2層目2Lに入り込んで巻回される。
【0071】
(実施例の効果)
上述したように実施例の電動機の製造方法は、ステータコア23のヨーク部31の径方向Yに並んで巻回される導線の巻回ピッチをP、導線の外径をBとしたとき、径方向Yにおいて、巻回部45の1層目1LにP>Bを満たすように導線を巻回し、2層目2L以降の少なくとも1つの層にP≦Bを満たすように導線を巻回する。これにより、1層目1Lに巻回された巻線46がインシュレータティース部42の表面で滑った場合であっても、1層目1Lの巻回ピッチPがP>Bを満たすことで、巻回位置がずれた巻線46を、次の巻線46がスムーズに乗り越えて適切に巻回されるので、1層目1Lに巻き乱れが生じることを防げる。また、実施例では、2層目2L以降の少なくとも1つの層の巻回ピッチPを1層目1Lの巻回ピッチPよりも小さくすることで、巻回部45の占積率の低下を抑えられる。このため、実施例によれば、例えば、巻線の滑り止めの溝を有するインシュレータを導線の外径に応じて変更する必要がなく、電動機6の製造コストの増大を避けられる。また、実施例によれば、巻回部45の1層目1Lの巻線46が、巻き乱れに伴って伸びることが防げるので、巻線46の抵抗値、発熱量の増加が抑えられ、1層目1Lに巻回される導線の信頼性を高められる。
【0072】
また、実施例の電動機の製法方法は、1層目1LにP>1.02Bを満たすように導線を巻回する。これにより、1層目1Lに導線を巻回するときに、先に巻回された巻線46を、次に巻回される導線が乗り越えるように径方向Yに適切に送ることができるので、1層目1Lに巻き乱れが生じることを更に防げる。
【0073】
また、実施例の電動機の製法方法は、1層目1Lに2B>Pを満たすように導線を巻回する。これにより、1層目1Lにおいて、巻き乱れを防ぐと共に、巻回ピッチPの増大に伴う巻線46のターン数(巻回数)の減少を避けられる。加えて、実施例によれば、巻線46の巻回状態の信頼性を確保すると共に、1層目1Lのターン数の減少を補うために2層目2L以降のターン数を増やして巻回部45における巻線46の整列性が低下することを抑えられる。
【0074】
また、実施例の電動機の製法方法は、2層目2L以降の少なくとも1つの層に0.82B≦P≦Bを満たすように導線を巻回する。2層目2L以降に巻回された巻線46は、その直下の層に巻回された巻線46の上に巻回されることで移動が規制されて滑りにくいので、巻き乱れが抑えられる。このため、例えば、導線における導体46aの外径と同程度に小さくすることで、巻回部45の占積率を高められる。
【0075】
また、実施例の電動機の製法方法は、2層目2L以降の全ての層にP<Bを満たすように導線を巻回する。これにより、1層目L1の巻き乱れを防ぐことと、巻回部45の占積率を最大限に高めこととを両立できる。
【0076】
また、実施例の電動機の製法方法において巻回される導線の外径Bは、この外径の寸法公差の上限値である。これにより、1層目1Lの巻線46の巻き乱れを防ぐ作用を最も適切に得られる。
【0077】
また、実施例の電動機の製法方法は、導線を供給するノズルNを有する巻線機を用いて導線を巻回する。これにより、巻線機の制御部CがノズルNの移動量(巻回ピッチP)を制御することで、所望の巻回ピッチPで巻き乱れのない巻回部45を容易に形成できる。
【符号の説明】
【0078】
6 電動機
23 ステータコア
25(25A、25B) インシュレータ
31 ヨーク部
32(32-1~32-9) ステータコアティース部(ティース部)
41 外周壁部
42(42-1~42-9) インシュレータティース部(巻胴部)
42a 平坦面
45、55、56 巻回部
46 巻線
46a 導体
46b 絶縁膜
49 渡り線
A1 第1断面積
A2 第2断面積
B 導線の外径
P 巻回ピッチ
1L 1層目
2L~8L 2層目~8層目(2層目以降の少なくとも1つの層)
M 長さ
N ノズル
1T~4T 1ターン目~4ターン目
Y 径方向
【要約】
【課題】電動機の製造コストの増大を避けると共に、巻回部の1層目に巻回される導線の信頼性を高める。
【解決手段】電動機の製造方法は、環状のヨーク部と、ヨーク部からヨーク部の径方向に延びるティース部と、を有するステータコアと、ティース部に取り付けられる巻胴部を有するインシュレータと、巻胴部及びティース部に導線が巻回された巻線により複数の層が形成された巻回部と、を備える電動機の製造方法であって、ヨーク部の径方向に並んで巻回される導線の巻回ピッチをP、導線の外径をBとしたとき、径方向において、巻回部の1層目にP≧Bを満たすように導線を巻回し、巻回部の2層目以降の少なくとも1つの層にP<Bを満たすように導線を巻回する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14