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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】浄水カートリッジおよび水栓装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20250611BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20250611BHJP
【FI】
C02F1/28 S
C02F1/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024170858
(22)【出願日】2024-09-30
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】村田 健介
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-108259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00、1/28、1/68
E03C1/00-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水機能を有する浄水部と、
前記浄水部の前端部に配置され、水栓装置に接続される接続部と
を備え、
前記接続部は、
前記水栓装置との接続端面に形成され、前記浄水部から前記水栓装置の吐出流路への浄水が流れる浄水通水孔と、
前記水栓装置の外郭と水密に接続されるパッキンと、
外周面に形成され、前記水栓装置に設けられた水栓側ねじ部と係合するねじ部と
を備え
前記ねじ部は、
浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓側ねじ部と軸方向に並ぶように配置され、
前記接続部の前記接続端面から前記パッキンまでの距離は、前記ねじ部の長さと前記水栓側ねじ部の長さとを加算した値よりも長い、
水カートリッジ。
【請求項2】
前記パッキンは、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも上流側に設けられる、
請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項3】
前記パッキンは、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも下流側に設けられる、
請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項4】
前記接続部は、
前記外周面から外方へ向けて突出する段差部
を備え、
前記段差部は、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓装置に形成された当接部位と当接する、
請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一つに記載の浄水カートリッジを備える、水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、浄水カートリッジおよび水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば水道水などの水をろ過して浄水を生成し、生成した浄水を吐水する水栓装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる水栓装置にあっては、浄水機能を有する浄水カートリッジが交換可能に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-000768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係る水栓装置にあっては、ろ過された浄水と、ろ過されない水(原水)とが混合してしまうおそれがあった。すなわち、従来技術において、浄水カートリッジと水栓装置とは、Oリングを介して水密に接続され、このOリングにより、浄水が流れる流路と原水が流れる流路とが分けられている。しかしながら、例えば浄水カートリッジの水栓装置に対する取り付けが緩かったり、水圧によって浄水カートリッジが動いたりするような場合、Oリングがシール材として十分に機能せず、結果として浄水と原水とが混合してしまうおそれがあった。
【0005】
実施形態の一態様は、浄水と原水とが混合することを抑制することができる浄水カートリッジおよび水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る浄水カートリッジは、浄水機能を有する浄水部と、前記浄水部の前端部に配置され、水栓装置に接続される接続部とを備える。前記接続部は、前記水栓装置との接続端面に形成され、前記浄水部から前記水栓装置の吐出流路への浄水が流れる浄水通水孔と、前記水栓装置の外郭と水密に接続されるパッキンと、外周面に形成され、前記水栓装置に設けられた水栓側ねじ部と係合するねじ部とを備える。
【0007】
このように、浄水カートリッジの接続部において、パッキンが水栓装置の外郭と水密に接続されるとともに、外周面に形成されたねじ部が水栓装置の水栓側ねじ部と係合するようにした。このねじ部による係合により、浄水カートリッジを水栓装置に確実に接続することができる。言い換えると、浄水カートリッジと水栓装置との締結力を向上させることができる。そのため、浄水カートリッジにあっては、例えば水栓装置に対する取り付けが緩くなったり、水圧によって動いたりしにくくなる。これにより、パッキンは、浄水カートリッジと水栓装置の外郭と水密に接続するシール材として確実に機能させることができ、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0008】
また、前記パッキンは、前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも上流側に設けられる。
【0009】
これにより、ねじ部による係合によって浄水カートリッジと水栓装置との締結力を向上させつつ、浄水カートリッジと水栓装置とをパッキンを用いて軸シールすることが可能になる。そのため、例えばねじ部の締結時にパッキンが過度に潰されてシール材としての機能が低下することを抑制でき、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0010】
また、前記ねじ部は、前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓側ねじ部と軸方向に並ぶように配置される。前記接続部の前記接続端面から前記パッキンまでの距離は、前記ねじ部の長さと前記水栓側ねじ部の長さとを加算した値よりも長い。
【0011】
これにより、浄水カートリッジが水栓装置に取り付けられた状態において、ねじ部は、水栓側ねじ部と噛合せずに空転した状態となる。そのため、例えばねじ部が締め付け方向に過度に回転させられても、空転することとなり、よって浄水カートリッジが過度に締め付けられることを防止できる。
【0012】
また、前記パッキンは、前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも下流側に設けられる。
【0013】
これにより、ねじ部による係合によって浄水カートリッジと水栓装置との締結力を向上させつつ、浄水カートリッジと水栓装置とをパッキンを用いて面シールすることが可能になり、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0014】
また、前記接続部は、前記外周面から外方へ向けて突出する段差部を備える。前記段差部は、前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓装置に形成された当接部位と当接する。
【0015】
このように、接続部の段差部は、水栓装置の当接部位と当接することで、ストッパとして機能する。これにより、浄水カートリッジを水栓装置に対して所期の位置に容易に取り付けることが可能になる。
【0016】
また、パッキンがねじ部よりも下流側に設けられて面シールするような場合、浄水カートリッジが所期の位置に取り付けられることで、例えばねじ部の締結時にパッキンが過度に潰されてシール材としての機能が低下しないようにすることができる。これにより、浄水と原水とが混合することを効果的に抑制することができる。
【0017】
また、水栓装置は、上記した浄水カートリッジを備える。
【0018】
これにより、浄水カートリッジが接続された水栓装置において、浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
実施形態の一態様によれば、浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態に係る水栓装置の側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る水栓装置の分解側面図である。
図3図3は、水栓装置の一部を拡大した縦断面図である。
図4図4は、取付部の拡大斜視図である。
図5図5は、接続部の拡大斜視図である。
図6図6は、取付部および接続部を拡大した拡大断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る接続部の拡大斜視図である。
図8図8は、第2実施形態に係る取付部および接続部を拡大した拡大断面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る接続部の拡大斜視図である。
図10図10は、第3実施形態に係る取付部および接続部を拡大した拡大断面図である。
図11図11は、第3実施形態に係る取付部および接続部を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する浄水カートリッジおよび水栓装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る浄水カートリッジを備える水栓装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る水栓装置1の側面図である。図2は、第1実施形態に係る水栓装置1の分解側面図であり、浄水カートリッジ20の水栓装置1への取り付け、あるいは、水栓装置1からの取り外しを説明するための図である。なお、図1,2および図3以降は、いずれも模式図である。
【0023】
図2に示すように、浄水カートリッジ20は長尺状に形成され、また、円筒状に形成される。本明細書では、浄水カートリッジ20の長手方向を「軸方向」と記載し、浄水カートリッジ20の径方向を「径方向」と記載する場合がある。また、本明細書では、水栓装置1内の水の流れに応じて「上流側」、「下流側」と記載する場合がある。また、浄水カートリッジ20においては、浄水カートリッジ20の後端側(図2の右方)を「上流側」、浄水カートリッジ20の前端側(図2の左方)を「下流側」と記載する場合がある。
【0024】
図1および図2に示すように、水栓装置1は、本体部10と、ハンドルレバー11と、導水部12と、吐水ヘッド部13と、切替ハンドル14と、浄水カートリッジ20(図1で見えず)とを備える。すなわち、水栓装置1は、浄水機能を有するシングルレバー水栓である。
【0025】
本体部10の内部には、図示しない流路が設けられる。本体部10の流路は、水道管などの給水源に止水弁等を介して接続され、水道管からの水を流すことができる。また、本体部10の流路は、給湯器に接続され、給湯器で加温された湯を流すことができる。なお、以下では、加温された湯を含めて「水」と記載する場合がある。また、本体部10の流路は、給湯器に接続されない構成であってもよい。
【0026】
ハンドルレバー11は、本体部10に対して上下動可能に接続されるとともに、本体部10に対して左右方向に回動可能に接続される。ハンドルレバー11は、使用者によって操作される。ハンドルレバー11に対する上下動操作に応じて、本体部10に内蔵される弁機構(図示せず)が作動し、本体部10の流路を流れる水の量が調整される。また、ハンドルレバー11の左右方向の回動操作に応じて、本体部10に内蔵される弁機構(図示せず)が作動し、流路を流れる水の温度が調整される。
【0027】
導水部12は、本体部10と吐水ヘッド部13との間に設けられ、本体部10の流路からの水を吐水ヘッド部13へ導く。ここで、図3も参照しつつ、導水部12を説明する。図3は、図1に示す水栓装置1の一部を拡大した縦断面図である。
【0028】
図3に示すように、導水部12は、中空状に形成され、内部に流路12aが設けられる。別言すれば、導水部12は、内部に流路12aを有する円筒状に形成される。流路12aは、本体部10の流路に接続され、本体部10の流路から供給された水を流すことができる。なお、導水部12の流路12aにおける水の流れについては、後述する。
【0029】
吐水ヘッド部13は、導水部12の下流側に設けられる。吐水ヘッド部13は、導水部12に対して着脱可能に接続される。吐水ヘッド部13は、後述する浄水カートリッジ20の交換の際に導水部12から取り外される(図2参照)。吐水ヘッド部13は、中空状に形成され、内部に吐出流路13aが設けられる。別言すれば、吐水ヘッド部13は、内部に吐出流路13aを有する円筒状に形成される。吐出流路13aの下流側には、吐出流路13aを流れる水を吐水する吐水口13bが設けられる。
【0030】
吐水ヘッド部13の内部にはさらに、切替部15と、取付部50とが設けられる。切替部15は、吐出流路13aに接続される。切替部15は、吐出流路13aへ流れる水を、浄水カートリッジ20でろ過された浄水と、ろ過されない水(原水)との間で切り替える。なお、図3では、図示の簡略化のため、切替部15をブロックで模式的に示している。
【0031】
具体的に説明すると、切替部15は、切替ハンドル14に接続される。切替ハンドル14は、吐水ヘッド部13に対して周方向に回動可能に接続される。切替ハンドル14は、使用者によって操作される。切替部15は、切替ハンドル14に対する回動操作に応じて作動する。詳しくは、切替部15は、浄水用の弁と、原水用の弁(いずれも図示せず)とを備える。切替ハンドル14が浄水を流す方向へ回動操作された場合、切替部15は、浄水用の弁が開弁する一方、原水用の弁が閉弁するように作動し、吐出流路13aへ浄水を流すように構成される。切替ハンドル14が原水を流す方向へ回動操作された場合、切替部15は、原水用の弁が開弁する一方、浄水用の弁が閉弁するように作動し、吐出流路13aへ原水を流すように構成される。なお、上記した切替部15の構成は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0032】
取付部50は、浄水カートリッジ20が取り付けられる(接続される)部材である。取付部50は、吐水ヘッド部13の内部に固定される。なお、取付部50の詳細な構成については、図4および図6等を参照して後述する。
【0033】
浄水カートリッジ20は、水をろ過して浄水を生成する部品である。浄水カートリッジ20は、水栓装置1に内蔵される。詳しくは、浄水カートリッジ20は、図3に示すように、水栓装置1の導水部12および吐水ヘッド部13の内部に収容される。また、浄水カートリッジ20は、水栓装置1に対して着脱可能に構成される。具体的には、浄水カートリッジ20は、例えば浄水の生成や経年等によって浄水性能が低下した場合、浄水性能が低下した浄水カートリッジ20を取り外して新しい浄水カートリッジ20に交換可能に構成される。
【0034】
詳しくは、浄水カートリッジ20は、浄水部30と、接続部40とを備える。図3に示すように、浄水部30は、ケース31と、ろ材32とを備え、浄水機能を有する。ケース31は、長尺状に形成される。また、ケース31は、中空状に形成され、内部にろ材32が収容(充填)される。別言すれば、ケース31は、軸方向に延在するろ材32を内部に有する円筒状に形成される。
【0035】
ケース31は、流入孔31aと、流出孔31bとを備える。流入孔31aは、例えばケース31において上流側である後端部31cに形成される。流入孔31aは、ろ過される前の水をケース31内部へ流入させる孔である。なお、流入孔31aの数は、任意に設定可能であり、1個であってもよいし、複数個であってもよい。また、流入孔31aが形成される位置は、上記に限定されるものではなく、任意の位置、例えば側面などにも設定可能である。また、ろ材32の強度が確保できる場合は、ケース31を短尺とし、ろ材32の表面を露出させ直接流入するようになしてもよい。
【0036】
流出孔31bは、例えばケース31において下流側である前端部31dに形成される。流出孔31bは、ろ過された後の水、すなわち浄水をケース31外部へ流出させる開口(孔)である。なお、ケース31は、樹脂製であるが、これに限定されるものではない。また、ケース31の前端部31dは、浄水部30の前端部31dでもある。
【0037】
ろ材32は、通過する水をろ過して水中の物質を取り除く部材である。ろ材32としては、例えば活性炭、中空糸膜などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、ろ材32は、1種類のろ材であってもよいし、複数種のろ材を組み合わせて構成されてもよい。
【0038】
上記のように構成される浄水部30にあっては、図3に矢印Aで示すように、導水部12の流路12aを流れる水が、流入孔31aからケース31内部に流入し、ケース31内部のろ材32で浄水が生成される。そして、生成された浄水は、流出孔31bからケース31外部へ流出することとなる。
【0039】
ここで、ろ過されない水(すなわち原水)の水栓装置1内における流路について説明する。図3に示すように、水栓装置1の導水部12および吐水ヘッド部13と、浄水カートリッジ20との間には、空隙16が形成される。原水にあっては、この空隙16が流路となる。詳しくは、図3に矢印Bで示すように、導水部12の流路12aを流れる原水は、空隙16を通って切替部15に流入する。切替部15に流入した原水は、上記したように原水用の弁が開弁する場合に、切替部15から吐出流路13aへ流れ、吐水口13bから吐水される。なお、以下では、空隙16を「原水用流路16」と記載する場合がある。
【0040】
浄水カートリッジ20の接続部40は、浄水カートリッジ20を水栓装置1に接続するための部材である。具体的には、接続部40は、浄水部30の前端部31dに配置される。言い換えると、接続部40は、浄水部30の下流側に配置される。なお、接続部40の詳細な構成については、図5および図6等を参照して後述する。
【0041】
次に、上記した水栓装置1の取付部50、および、浄水カートリッジ20の接続部40について詳しく説明する。図4は取付部50の拡大斜視図であり、図5は接続部40の拡大斜視図である。図6は、図3に示す取付部50および接続部40を拡大した拡大断面図である。
【0042】
先ず、水栓装置1の取付部50について詳説する。図4および図6に示すように、取付部50は、壁部51と、側壁部52と、水栓側浄水通水孔53とを備える。なお、取付部50は、樹脂製であるが、これに限定されるものではない。
【0043】
壁部51は、平面視において円形状に形成される。側壁部52は、壁部51の外周端51aから浄水カートリッジ20側(上流側)へ向けて突出するように形成される(立設される)。すなわち、取付部50は、壁部51および側壁部52により、有底円筒状に形成される。これにより、取付部50にあっては、壁部51と側壁部52とによって、内部に内部空間54が形成される。この内部空間54に、接続部40が配置されて浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられる。なお、壁部51および側壁部52は、水栓装置1の外郭の一例である。
【0044】
水栓側浄水通水孔53は、壁部51に設けられる。水栓側浄水通水孔53は、壁部51を軸方向に貫通するように形成される孔である。水栓側浄水通水孔53には、浄水が流れる。詳しくは、水栓側浄水通水孔53は、上流側が接続部40の浄水通水孔42(後述)と連通される。水栓側浄水通水孔53は、下流側が流路17(図3,6参照)。流路17は、取付部50と切替部15と接続するとともに、浄水が流れる流路である。
【0045】
取付部50は、さらに水栓側ねじ部55を備える。水栓側ねじ部55は、側壁部52の内周面52aに設けられる(形成される)。水栓側ねじ部55は、例えば雌ねじである。なお、取付部50は、水栓装置1の吐水ヘッド部13に固定されていることから、上記した水栓側ねじ部55は、水栓装置1に設けられているといえる。
【0046】
次いで、浄水カートリッジ20の接続部40について詳説する。接続部40は、水栓装置1の取付部50に接続される。具体的には、接続部40は、図5および図6に示すように、側壁部41と、浄水通水孔42(図6で見えず)と、段差部43とを備える。なお、接続部40は、樹脂製であるが、これに限定されるものではない。
【0047】
側壁部41は、円筒状に形成される、言い換えると、環状に形成される。側壁部41は、接続部40の外郭の一例である。また、接続部40にあっては、側壁部41を含む下流側の端面が水栓装置1との接続端面40aとなる。
【0048】
浄水通水孔42は、図5に示すように、接続端面40aに形成される。浄水通水孔42は、軸方向に貫通する孔である。浄水通水孔42は、上流側が浄水部30の流出孔31bに連通される。浄水通水孔42は、下流側が取付部50の水栓側浄水通水孔53に連通される。従って、浄水部30で生成された浄水は、図3の矢印Aおよび図6の矢印Cに示すように、接続部40の浄水通水孔42を介して取付部50の水栓側浄水通水孔53、流路17に流れ、切替部15に流入する。切替部15に流入した浄水は、上記したように浄水用の弁が開弁する場合に、切替部15から吐出流路13aへ流れ、吐水口13bから吐水される。このように、浄水通水孔42には、浄水部30から水栓装置1の吐出流路13aへの浄水が流れる。
【0049】
また、図6等に示す例では、浄水通水孔42にろ材32が設けられるようにしたが、これに限定されるものではなく、浄水通水孔42の一部にろ材32が設けられてもよいし、浄水通水孔42にろ材32が設けられない構成であってもよい。
【0050】
接続部40は、さらにパッキン44と、ねじ部45とを備える。パッキン44は、側壁部41に設けられる。詳しくは、パッキン44は、接続部40の側壁部41の外周面41aに沿って周状に設けられる。より詳しくは、側壁部41の外周面41aには、溝部41bが周状に形成される。パッキン44は、かかる溝部41bに係止されることで、側壁部41の外周面41aに設けられる。パッキン44は、シール部材である。パッキン44としては、ゴムなど弾性を有する材料から製作されたOリングを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
パッキン44は、接続部40と取付部50の側壁部52とを水密に接続する部材である。具体的には、接続部40に設けられたパッキン44が、水栓装置1の外郭の一例である取付部50の側壁部52と当接し、接続部40と側壁部52とが水密に接続される。このように、接続部40と側壁部52とが水密に接続されることで、原水用流路16の原水が、接続部40と側壁部52との間を通って浄水の流路(例えば水栓側浄水通水孔53や流路17)に流入することを防止できる。言い換えると、パッキン44により、浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0052】
ねじ部45は、接続部40の側壁部41の外周面41aに設けられる(形成される)。ねじ部45は、例えば雄ねじである。ねじ部45は、水栓装置1の水栓側ねじ部55と係合する。詳しくは、ねじ部45は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、水栓装置1の水栓側ねじ部55と噛合する。
【0053】
また、パッキン44は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45よりも上流側に設けられる。なお、浄水カートリッジ20は、水栓装置1に取り付けられる際、接続部40を先頭にして水栓装置1に取り付けられる。そのため、浄水カートリッジ20の取り付け時、ねじ部45が、パッキン44よりも先に水栓装置1に当接して、水栓側ねじ部55と係合することとなる。
【0054】
段差部43は、接続部40の側壁部41の外周面41aから外方(径方向における外方)へ向けて突出するように形成される。具体的には、段差部43の外径は、側壁部41の外周面41aの外径よりも大きくなるように設定される。そして、段差部43は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、水栓装置1に形成された当接部位52bと当接する。当接部位52bは、取付部50の側壁部52の後端側(上流側)の端部である。従って、段差部43は、浄水カートリッジ20が接続部40を先頭にして水栓装置1に取り付けられる際に、当接部位52bに当接し、浄水カートリッジ20のそれ以上の移動を規制するストッパとして機能する。
【0055】
上記のように構成される浄水カートリッジ20にあっては、カートリッジ外径F(図2参照)は、30mm未満となるように設定され、より好ましくは27mm以下となるように設定される。これにより、例えば浄水カートリッジ20が配送される場合に、浄水カートリッジ20を配送先のポストに入れることが可能になる。すなわち、ポストの開け口は30mm以上であることが一般的なため、カートリッジ外径Fを30mm未満とすることで、浄水カートリッジ20を配送先のポストに入れることが可能になる。なお、上記では、カートリッジ外径Fについて具体的な数値を挙げたが、この数値は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0056】
上述してきたように、第1実施形態に係る浄水カートリッジ20は、浄水機能を有する浄水部30と、浄水部30の前端部31dに配置され、水栓装置1に接続される接続部40とを備える。接続部40は、水栓装置1との接続端面40aに形成され、浄水部30から水栓装置1の吐出流路13aへの浄水が流れる浄水通水孔42と、水栓装置1の側壁部52と水密に接続されるパッキン44と、外周面41aに形成され、水栓装置1に設けられた水栓側ねじ部55と係合するねじ部45とを備える。
【0057】
このように、浄水カートリッジ20の接続部40において、パッキン44が水栓装置1の側壁部52と水密に接続されるとともに、外周面41aに形成されたねじ部45が水栓装置1の水栓側ねじ部55と係合するようにした。このねじ部45による係合により、浄水カートリッジ20を水栓装置1に確実に接続することができる。言い換えると、浄水カートリッジ20と水栓装置1との締結力を向上させることができる。そのため、浄水カートリッジ20にあっては、例えば水栓装置1に対する取り付けが緩くなったり、水圧によって動いたりしにくくなる。これにより、パッキン44は、浄水カートリッジ20と水栓装置1の側壁部52と水密に接続するシール材として確実に機能させることができ、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0058】
また、浄水カートリッジ20にあっては、上記したパッキン44およびねじ部45を備えることで、水栓装置1に取り付けられた状態において、がたつきや脱落を防止することもできる。
【0059】
また、パッキン44は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45よりも上流側に設けられる。
【0060】
これにより、ねじ部45による係合によって浄水カートリッジ20と水栓装置1との締結力を向上させつつ、浄水カートリッジ20と水栓装置1とをパッキン44を用いて軸シールすることが可能になる。そのため、例えばねじ部45の締結時にパッキン44が過度に潰されてシール材としての機能が低下することを抑制でき、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0061】
また、接続部40は、外周面41aから外方へ向けて突出する段差部43を備える。段差部43は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、水栓装置1に形成された当接部位52bと当接する。
【0062】
このように、接続部40の段差部43は、水栓装置1の当接部位52bと当接することで、ストッパとして機能する。これにより、浄水カートリッジ20を水栓装置1に対して所期の位置に容易に取り付けることが可能になる。
【0063】
また、水栓装置1は、上記した浄水カートリッジ20を備える。
【0064】
これにより、浄水カートリッジ20が接続された水栓装置1において、浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る浄水カートリッジ20を備える水栓装置1について、図7および図8を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る接続部40の拡大斜視図である。図8は、第2実施形態に係る取付部50および接続部40を拡大した拡大断面図である。なお、以下においては、第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0066】
図7および図8に示すように、第2実施形態に係る接続部40は、パッキン44aを備える。パッキン44aは、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45よりも下流側に設けられる。具体的には、パッキン44aは、ねじ部45の下流端に設けられる。別言すれば、パッキン44aは、側壁部41の下流端に設けられる。詳しくは、パッキン44aは、接続部40の接続端面40a(図8参照)と当接するように配置される。また、パッキン44aは、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、取付部50の壁部51の内面51bと当接するように配置される。従って、パッキン44aは、接続部40の接続端面40aと、水栓装置1の外郭の一例である取付部50の壁部51とに当接することで、接続部40と壁部51とを水密に接続する(面シールする)。
【0067】
また、パッキン44aは、内部に開口44a1を有するリング状のシール部材である。かかる開口44a1は、浄水が流れる流路となる(図8の矢印C1参照)。なお、パッキン44aとしては、ゴムなど弾性を有する材料から製作された平パッキンを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0068】
また、第2実施形態において、接続部40の段差部43は、パッキン44aを過度に潰さない(圧縮しない)ように設定される。具体的には、段差部43の接続端面40aまでの長さD1は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、接続端面40aがパッキン44aを過度に潰さないような値に設定される。
【0069】
このように、第2実施形態に係るパッキン44aは、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45よりも下流側に設けられる。
【0070】
これにより、ねじ部45による係合によって浄水カートリッジ20と水栓装置1との締結力を向上させつつ、浄水カートリッジ20と水栓装置1とをパッキン44aを用いて面シールすることが可能になり、よって浄水と原水とが混合することを抑制することができる。
【0071】
また、パッキン44aがねじ部45よりも下流側に設けられて面シールするような場合、段差部43の接続端面40aまでの長さD1が上記のように設定されることで、浄水カートリッジを所期の位置に取り付けることができる。これにより、例えばねじ部45の締結時にパッキン44aが過度に潰されてシール材としての機能が低下しないようにすることができる。これにより、浄水と原水とが混合することを効果的に抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る浄水カートリッジ20を備える水栓装置1について、図9図11を参照して説明する。図9は、第3実施形態に係る接続部40の拡大斜視図である。図10および図11は、第3実施形態に係る取付部50および接続部40を拡大した拡大断面図である。図10は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられる途中の状態を示し、図11は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態を示している。
【0073】
第3実施形態にあっては、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45が水栓側ねじ部55と噛合せずに空転するように構成した。
【0074】
具体的に説明すると、図9図11に示すように、第3実施形態に係る接続部40は、非ネジ部46を備える。非ネジ部46は、側壁部41の外周面41aにおいて、ねじが形成されていない部位である。非ネジ部46は、ねじ部45よりも上流側に設けられる。非ネジ部46は、パッキン44aよりも下流側に設けられる。
【0075】
また、図10および図11に示すように、取付部50は、水栓側非ネジ部56を備える。水栓側非ネジ部56は、取付部50の側壁部52の内周面52aにおいて、ねじが形成されていない部位である。水栓側非ネジ部56は、水栓側ねじ部55よりも下流側に設けられる。非ネジ部46は、パッキン44aよりも下流側に設けられる。
【0076】
また、第3実施形態に係るねじ部45は、図11に示すように、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、水栓側ねじ部55と軸方向に並ぶように配置される。また、ねじ部45は、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、水栓側ねじ部55よりも下流側に配置される。
【0077】
また、第3実施形態においては、図11に示すように、接続部40の接続端面40aからパッキン44までの距離Eは、ねじ部45の長さF1と水栓側ねじ部55の長さF2とを加算した値よりも長くなるように設定される。なお、距離Eは軸方向の距離であり、長さF1,F2は軸方向の長さである。
【0078】
次に、上記のように構成された浄水カートリッジ20の水栓装置1への取り付けについて説明する。図10に示すように、浄水カートリッジ20は、接続部40を先頭にして取付部50の内部空間54に挿入される。浄水カートリッジ20が内部空間54に挿入されると、ねじ部45が水栓側ねじ部55と係合する。次いで、ねじ部45が締め付け方向にさらに回転されると、浄水カートリッジ20は、矢印Gで示すように、内部空間54の下流側へ押し込まれる。浄水カートリッジ20がさらに押し込まれて水栓装置1に取り付けられた状態になると、図11に示すように、ねじ部45が水栓側非ネジ部56と対応する位置となり、非ネジ部46が水栓側ねじ部55と対応する位置となる。すなわち、浄水カートリッジ20が水栓装置1に取り付けられた状態において、ねじ部45は、水栓側ねじ部55と噛合せずに空転した状態となる。
【0079】
これにより、第3実施形態にあっては、ねじ部45が締め付け方向に過度に回転させられても、空転することとなり、よって浄水カートリッジ20が過度に締め付けられることを防止できる。なお、ねじ部45は、空転した状態であっても、水栓側ねじ部55に引っ掛かった状態となっており、またパッキン44も取付部50に当接しているため、浄水カートリッジ20が脱落することはない。
【0080】
なお、上記した各実施形態では、水栓装置1がハンドルレバー11を手動操作する装置である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、水栓装置1は、例えば使用者の手などの対象物の検知に応じて、吐水と吐水停止(止水)とを自動で行う自動水栓装置などその他の種類の水栓装置であってもよい。
【0081】
<付記>
(1)
浄水機能を有する浄水部と、
前記浄水部の前端部に配置され、水栓装置に接続される接続部と
を備え、
前記接続部は、
前記水栓装置との接続端面に形成され、前記浄水部から前記水栓装置の吐出流路への浄水が流れる浄水通水孔と、
前記水栓装置の外郭と水密に接続されるパッキンと、
外周面に形成され、前記水栓装置に設けられた水栓側ねじ部と係合するねじ部と
を備える、浄水カートリッジ。
(2)
前記パッキンは、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも上流側に設けられる、
(1)に記載の浄水カートリッジ。
(3)
前記ねじ部は、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓側ねじ部と軸方向に並ぶように配置され、
前記接続部の前記接続端面から前記パッキンまでの距離は、前記ねじ部の長さと前記水栓側ねじ部の長さとを加算した値よりも長い、
(1)または(2)に記載の浄水カートリッジ。
(4)
前記パッキンは、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記ねじ部よりも下流側に設けられる、
(1)に記載の浄水カートリッジ。
(5)
前記接続部は、
前記外周面から外方へ向けて突出する段差部
を備え、
前記段差部は、
前記浄水カートリッジが前記水栓装置に取り付けられた状態において、前記水栓装置に形成された当接部位と当接する、
(1)~(4)のいずれか一つに記載の浄水カートリッジ。
(6)
(1)~(5)のいずれか一つに記載の浄水カートリッジを備える、水栓装置。
【0082】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 水栓装置
20 浄水カートリッジ
30 浄水部
40 接続部
42 浄水通水孔
44 パッキン
45 ねじ部
55 水栓側ねじ部
【要約】
【課題】浄水と原水とが混合することを抑制することができる浄水カートリッジおよび水栓装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る浄水カートリッジは、浄水機能を有する浄水部と、浄水部の前端部に配置され、水栓装置に接続される接続部とを備える。接続部は、水栓装置との接続端面に形成され、浄水部から水栓装置の吐出流路への浄水が流れる浄水通水孔と、水栓装置の外郭と水密に接続されるパッキンと、外周面に形成され、水栓装置に設けられた水栓側ねじ部と係合するねじ部とを備える。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11