(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】換気装置及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20250611BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20250611BHJP
【FI】
F24F7/013 101F
F24F13/068 A
(21)【出願番号】P 2024194975
(22)【出願日】2024-11-07
(62)【分割の表示】P 2023160047の分割
【原出願日】2023-09-25
【審査請求日】2024-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 洋次郎
(72)【発明者】
【氏名】高島 伸成
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 淳
(72)【発明者】
【氏名】丸山 慎吾
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-148382(JP,A)
【文献】特開2019-082274(JP,A)
【文献】特開2019-109002(JP,A)
【文献】特開平11-223370(JP,A)
【文献】特開2002-266565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/013
F24F 13/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における第1空間と第2空間とを仕切る壁
の上方に設けられ
、空気調和装置によって空調される前記第1空間から前記第2空間に空気を送る換気装置であって、
前記壁の前記第1空間側に設けられた吸込み口と、前記壁の前記第2空間側に設けられた吹出し口と、前記第1空間から前記吸込み口を通して吸い込んだ空気を前記第2空間に前記吹出し口を通して送る送風ファンと、を有する本体部と、
前記吸込み口を覆う吸込みルーバ部材と、
前記吹出し口を覆う吹出しルーバ部材と、を備え、
前記吸込みルーバ部材と前記吹出しルーバ部材は、前記本体部の上端に隣り合って配置され、
前記本体部が前記壁の内部に配置された状態で、前記壁の前記第1空間側の第1壁面に直交する方向から見たときに前記吸込みルーバ部材の外周で囲まれた当該吸込みルーバ部材の面積である第1面積よりも、前記壁の前記第2空間側の第2壁面に直交する方向から見たときに前記吹出しルーバ部材の外周で囲まれた当該吹出しルーバ部材の面積である第2面積が小さい、換気装置。
【請求項2】
前記第1壁面に直交する方向から見たときに前記本体部は、前記第1面積に収まって配置されている、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記第2面積は、前記第1面積の半分よりも小さい、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記第2面積は、前記第2壁面に直交する方向から見たときの前記本体部の外周で囲まれた当該本体部の面積である第3面積の半分よりも小さい、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項5】
前記吹出し口は、前記本体部の上端に沿って形成されている、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項6】
前記本体部が前記壁の内部に配置された状態で、前記本体部における前記吹出し口の下方は、前記第2壁面を形成するボード部材によって覆われている、
請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記吸込み口は、前記本体部の下端に沿って形成され、
前記送風ファンは、前記本体部の上部に配置されたクロスフローファンである、
請求項5に記載の換気装置。
【請求項8】
前記本体部が前記壁の内部に配置された状態で、前記吹出しルーバ部材は、前記第2壁面を形成するボード部材に設けられた、前記吹出し口と通じる通気口の周縁に被さるように前記本体部に固定されている、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項9】
前記本体部は、前記吸込み口と前記吹出し口とをつなぐ流路が前記壁の一部によって形成されるように、前記吸込み口の下方が開口している、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項10】
前記本体部の左右方向における両端をそれぞれ支持して前記壁に配置されるブラケット部材を更に備え、
前記本体部は、前記ブラケット部材に固定されている、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項11】
前記吸込みルーバ部材は、前記吸込み口を覆うルーバ部と、前記本体部における前記吸込み口以外の部分を前記第1壁面に沿って覆うカバー部と、を有する、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の換気装置と、
前記第1空間を空調する空気調和装置と、を備える、空気調和システム。
【請求項13】
建物における第1空間と第2空間とを仕切る壁に設けられる換気装置であって、
前記壁の前記第1空間側に設けられた吸込み口と、前記壁の前記第2空間側に設けられた吹出し口と、前記第1空間から前記吸込み口を通して吸い込んだ空気を前記第2空間に前記吹出し口を通して送る送風ファンと、を有する本体部と、
前記吸込み口を覆う吸込みルーバ部材と、
前記吹出し口を覆う吹出しルーバ部材と、を備え、
前記本体部が前記壁の内部に配置された状態で、前記壁の前記第1空間側の第1壁面に直交する方向から見たときに前記吸込みルーバ部材の外周で囲まれた当該吸込みルーバ部材の面積である第1面積よりも、前記壁の前記第2空間側の第2壁面に直交する方向から見たときに前記吹出しルーバ部材の外周で囲まれた当該吹出しルーバ部材の面積である第2面積が小さく、
前記第1壁面に直交する方向から見たときに前記本体部は、前記第1面積に収まって配置されている、換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物において、例えば、廊下等の第1空間と居室等の第2空間とを仕切る壁に設けられて、第1空間から吸い込んだ空気を第2空間に送る換気装置が知られている。この種の換気装置は、第1空間内の空調された空気を利用して第2空間内の空調を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した換気装置は、吹出し口を覆う吹出しルーバ部材を備えており、例えば、居室の壁面に対して吹出しルーバ部材が占める面積が大きいことで、居室内から換気装置を見たときの美観を損なう問題がある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、第2空間内から見た美観の向上を図ることができる換気装置及び空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する換気装置の一態様は、建物における第1空間と第2空間とを仕切る壁の上方に設けられ、空気調和装置によって空調される前記第1空間から前記第2空間に空気を送る換気装置であって、壁の第1空間側に設けられた吸込み口と、壁の第2空間側に設けられた吹出し口と、第1空間から吸込み口を通して吸い込んだ空気を第2空間に吹出し口を通して送る送風ファンと、を有する本体部と、吸込み口を覆う吸込みルーバ部材と、吹出し口を覆う吹出しルーバ部材と、を備え、吸込みルーバ部材と吹出しルーバ部材は、本体部の上端に隣り合って配置され、本体部が壁の内部に配置された状態で、壁の第1空間側の第1壁面に直交する方向から見たときに吸込みルーバ部材の外周で囲まれた吸込みルーバ部材の面積である第1面積よりも、壁の第2空間側の第2壁面に直交する方向から見たときに吹出しルーバ部材の外周で囲まれた吹出しルーバ部材の面積である第2面積が小さい。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する換気装置の一態様によれば、第2空間内から見た美観の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の空気調和システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施例の換気装置を第1空間側から示す外観図である。
【
図3】
図3は、実施例の換気装置を第2空間側から示す外観図である。
【
図4】
図4は、実施例の換気装置が壁に設けられた状態を模式的に示す横断面図である。
【
図5】
図5は、実施例の換気装置が壁に設けられた状態を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、実施例の換気装置の吸込みルーバ部材及び吹出しルーバ部材を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、実施例の換気装置の吸込みルーバ部材を第1空間側から示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施例の換気装置の吹出しルーバ部材を第2空間側から示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、実施例の換気装置を第1空間側から示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施例の換気装置を第2空間側から示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、実施例の換気装置の要部を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、実施例の換気装置の各ケーブルの配線状態を説明するための斜視図である。
【
図13】
図13は、実施例の換気装置を支持するブラケット部材を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施例の換気装置が壁に取り付けられる状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施例における吸込みルーバ部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する換気装置及び空気調和システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する換気装置及び空気調和システムが限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
(空気調和システム)
図1は、実施例の空気調和システムを示す模式図である。
図1に示すように、実施例の空気調和システム1は、廊下等の第1空間S1と、居室等の第2空間S2と、を有する建物5に適用される。空気調和システム1は、第1空間S1を空調する空気調和装置2と、第1空間S1にて空気調和装置2によって空調された空気を第2空間S2に送る換気装置3と、を備える。
【0011】
実施例の空気調和システム1において、空気調和装置2は、建物5の屋外と屋内の第1空間S1とを区画する壁8に設けられている。換気装置3は、建物5における第1空間S1と第2空間S2とを仕切る壁7に設けられ、例えば、壁7に設けられたドア15の上方に配置される。
【0012】
実施例では一例として換気装置3が、第1空間S1としての廊下や広間から、第2空間S2としての居室に送風するために用いられるが、第1空間S1及び第2空間S2が限定されるものではない。換気装置3は、例えば、居室から居室に送風する場合や、廊下から廊下に送風する場合や、居室から廊下に送風する場合等に用いられてもよい。空気調和装置2は、第1空間S1内のどこに設けられていてもよい。また、換気装置3は、第1空間S1に設けられた空気調和装置2が使用されない状況や、第1空間S1に空気調和装置2が設けられない場合に適用されてもよい。
【0013】
(換気装置)
図2は、実施例の換気装置3を第1空間S1側(廊下側)から示す外観図である。
図3は、実施例の換気装置3を第2空間S2側(居室側)から示す外観図である。
図4は、実施例の換気装置3が壁7に設けられた状態を模式的に示す横断面図である。
図5は、実施例の換気装置3が壁7に設けられた状態を模式的に示す縦断面図である。
【0014】
図2、
図3、
図4及び
図5に示すように、実施例の換気装置3が設けられる建物5は、2本の間柱12の間に渡された上側梁部材11(いわゆる、まぐさ)と、2本の間柱12と、壁7を形成する複数のボード部材13と、2本の間柱12の間の壁7に設けられたドア枠部材14と、ドア15と、2本の間柱12の間に渡された下側梁部材16(いわゆる、まぐさ)と、を有する。ボード部材13は、間柱12、ドア枠部材14、上側梁部材11及び下側梁部材16を、ボード部材13の間に挟んで覆うように設けられており、壁7の第1空間S1側の第1壁面W1と、壁7の第2空間S2側の第2壁面W2と、を形成している。ボード部材13は、例えば、石膏ボードと、石膏ボードに貼り付けられる壁紙等の内装材によって形成されている。
【0015】
実施例の換気装置3は、建物5における第1空間S1と第2空間S2とを仕切る壁7に設けられた下側梁部材16の上に載置されて取り付けられる。壁7の上下方向において、上側梁部材11と下側梁部材16は、
図5に示すように、ドア枠部材14の上枠部と天井18との間に設けられている。図面では、壁7に取り付けられた換気装置3において、左右方向(幅方向)をX、奥行方向(壁7の厚さ方向)をY、高さ方向をZとして示す。本実施例における上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)は、
図2及び
図3に示すように、換気装置3が壁7に取り付けられる状態での各方向を指している。
【0016】
換気装置3は、
図2、
図3、
図4及び
図5に示すように、壁7の第1空間S1側に設けられた吸込み口21と、壁7の第2空間S2側に設けられた吹出し口22と、第1空間S1から吸込み口21を通して吸い込んだ空気を第2空間S2に吹出し口22を通して送る送風ファン23と、送風ファン23を回転させるモータ24と、を有する本体部20を備える。また、換気装置3は、吸込み口21を覆う吸込みルーバ部材26と、吹出し口22を覆う吹出しルーバ部材27と、を備える。
【0017】
本体部20は、送風ファン23及びモータ24を支持する略箱状の支持構造体25を有する(
図7、
図8、
図9及び
図10参照)。吸込み口21は、支持構造体25における第1空間S1側に形成されている(
図7及び
図9参照)。吹出し口22は、支持構造体25における第2空間S2側に形成されている(
図8及び
図10参照)。
【0018】
吸込み口21は、
図5に示すように、本体部20のZ方向における下端部20Lに、送風ファン23の回転軸(図示せず)に沿う軸方向(X方向)に沿って形成されている(
図7参照)。吸込み口21の開口面積は、吸込みルーバ部材26の後述する第1面積A1(
図11参照)の下半分の部分に相当する大きさ程度に形成されている。壁7の第1空間S1側の第1壁面W1を形成するボード部材13には、本体部20の吸込み口21と通じる通気口7aが形成されている。吸込みルーバ部材26は、吸込み口21に被さる位置に配置されて、本体部20にネジ止めによって固定されている。その際、吸込みルーバ部材26は、
図2に示すように第1壁面W1を形成するボード部材13の通気口7aの周縁にも被さるように本体部20に固定される。このように吸込みルーバ部材26が本体部20に固定されることで、吸込みルーバ部材26をボード部材13に固定する場合と比べて壁7のX方向またはZ方向の内部寸法等のバラツキの影響を受けることなく、吸込みルーバ部材26を第1壁面W1に容易かつ確実に固定できる。
【0019】
吹出し口22は、
図5に示すように、本体部20のZ方向における上端部20Uに、送風ファン23の軸方向(X方向)に沿って形成されており、第2空間S2における天井18に近づけられている(
図8参照)。吹出し口22は、吹出しルーバ部材27の外縁に沿った形状に形成されており、吹出し口22の開口面積が、吹出しルーバ部材27の後述する第2面積A2(
図11参照)と同程度の大きさに形成されている。壁7の第2空間S2側の第2壁面W2を形成するボード部材13には、本体部20の吹出し口22と通じる通気口7bが形成されている。吹出しルーバ部材27は、吹出し口22に被さる位置に配置されて、壁7の通気口7bを通して本体部20にネジ止めによって固定されている。その際、吹出しルーバ部材27は、
図3に示すように第2壁面W2を形成するボード部材13の通気口7bの周縁にも被さるように本体部20に固定される。このように吹出しルーバ部材27が通気口7bを通して本体部20に固定されることで、壁7の内部寸法等のバラツキの影響を受けることなく、吹出しルーバ部材27を第2壁面W2に容易かつ確実に固定できる。加えて、第2壁面W2でのドア15に対して吹出しルーバ部材27が傾くなどの取付け位置のバラツキが抑制されるので、第2空間S2内の美観を更に高められる。
【0020】
また、
図3に示すように、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、本体部20の上端部20Uに沿って形成された吹出し口22の下方である本体部20の一部は、第2壁面W2を形成するボード部材13によって覆われている(
図8参照)。これにより、吹出し口22を除く本体部20の第2空間S2側の側面がボード部材13によって壁7の内部に隠されるので、第2壁面W2には、吹出しルーバ部材27だけが配置されることになる。このため、第2空間S2側から第2壁面W2及び換気装置3を見たときに換気装置3における見える部分が少ないので更に美観を高められる。
【0021】
また、本体部20の支持構造体25には、吸込み口21と吹出し口22とをつなぐ流路29の一部を形成するように送風ファン23を覆うファンカバー部材31が設けられている(
図12及び
図14参照)。ファンカバー部材31は、送風ファン23における上側の周面に沿って設けられている。
【0022】
また、本体部20は、吸込み口21と吹出し口22とをつなぐ流路29の下側部分が、壁7の一部である下側梁部材16の上端面16Uによって形成されるように、支持構造体25における吸込み口21の下方が開口している(
図9及び
図14参照)。このため、本体部20における下部には、開口部32が形成されており、本体部20が下側梁部材16上に載せられたときに開口部32が下側梁部材16によって塞がれることで流路29の一部が下側梁部材16の上端面16Uによって形成される。このように支持構造体25に開口部32を設けることで、支持構造体25の底面部を形成する材料を不要とし、支持構造体25の製造コストを削減すると共に、本体部20の軽量化を図ることで本体部20の取付け時の作業性を高められる。
【0023】
本体部20は、
図4及び
図5に示すように、壁7を形成するボード部材13の間に挟まれて壁7の内部に配置される。送風ファン23は、クロスフローファン(貫流ファン)であり、
図5に示すように、本体部20の支持構造体25の内部における上部に、吹出し口22に面して配置されている。本体部20において、送風ファン23の下方には、吸込み口21が配置されている。したがって、本体部20における下部に位置する吸込み口21から吸い込まれた第1空間S1の空気を、送風ファン23によって本体部20内において下から上に向かって送り、本体部20における上部に位置する吹出し口22から第2空間S2に吹出すことができる。このように本体部20内において下から上に向かって空気が送られることで、風の流れをそのまま送風方向に利用することができるので吹出しルーバ部材27の後述する羽板27aによって天井18に向かって送られる空気の送風性を高められる。
【0024】
モータ24は、
図4に示すように、送風ファン23の軸方向(X方向)における本体部20の一端部に配置されている。本体部20におけるモータ24の近傍には、モータ24を制御する制御回路部34が設けられており、電源ケーブル35と、リモートコントローラ(図示せず)の接続ケーブル36とが、制御回路部34に接続されている(
図9及び
図12参照)。各ケーブル35、36の配線状態については後述する。なお、リモートコントローラが無線方式である場合、接続ケーブル36は用いられない。
【0025】
図6は、実施例の換気装置3の吸込みルーバ部材26及び吹出しルーバ部材27を示す縦断面図である。
図7は、実施例の換気装置3の吸込みルーバ部材26を第1空間S1側から示す分解斜視図である。
図6及び
図7に示すように、吸込みルーバ部材26は、送風ファン23の軸方向(X方向)に沿って配置された複数の羽板26aと、ボード部材13の第1壁面W1に被せられる枠部26bと、を有する。吸込みルーバ部材26が本体部20に固定された状態で、第1空間S1から吸込みルーバ部材26を通過する空気が、本体部20の上方から、本体部20の下方の吸込み口21に向かって流れるように、各羽板26aが上下方向に対して傾斜している(
図6及び
図9参照)。
【0026】
図6に示すように、各羽板26aにおける第1空間S1側の上端26dは、第1壁面W1に直交する方向(Y方向)において、枠部26bよりも第1空間S1側に向かって突出するように延びている。また、各羽板26aにおける本体部20側の下端26eは、第1壁面W1に直交する方向(Y方向)において、枠部26bよりも本体部20側に向かって突出するように延びている。
【0027】
このように各羽板26aは、上下方向に対して傾斜し、かつ、各羽板26aが枠部26bに対して第1空間S1側と本体部20側に延びて形成されている。これにより、第1空間S1側から吸込みルーバ部材26を見たときに各羽板26aによって壁7の内部が遮られる範囲が増えるので壁7の内部(本体部20等)を目隠しする機能が高められ、吸込みルーバ部材26の羽板26aの枚数を少なくすることができる。そのため通風抵抗が抑えられ、第1空間S1側から換気装置3を見たときの美観が高められる。
【0028】
図8は、実施例の換気装置3の吹出しルーバ部材27を第2空間S2側から示す分解斜視図である。
図6及び
図8に示すように、吹出しルーバ部材27は、送風ファン23の軸方向(X方向)に沿って配置された羽板27aと、ボード部材13の第2壁面W2に被せられる枠部27bと、を有する。吹出しルーバ部材27が本体部20に固定されたときに、吹出し口22から送られた空気を、本体部20の上方に向かって吹出すように、羽板27aが上下方向(Z方向)に対して傾斜されている(
図6及び
図10参照)。これにより、吹出しルーバ部材27を通過した空気は、第2空間S2の天井18に向かって吹出されることにより、天井18に沿って空気が流れるコアンダ効果が適正に確保される。
【0029】
図6に示すように、羽板27aにおける第2空間S2側の上端27dは、第2壁面W2に直交する方向(Y方向)において、枠部27bよりも第2空間S2側に向かって突出するように延びている。また、羽板27aにおける本体部20側の下端27eは、第2壁面W2に直交する方向(Y方向)において、枠部27bよりも本体部20側に向かって突出するように延びている。
【0030】
このように羽板27aは、上下方向に対して傾斜し、かつ、羽板27aが枠部27bに対して第2空間S2側と本体部20側に延びて形成されている。これにより、第2空間S2側から吹出しルーバ部材27を見たときに、羽板27aによって壁7の内部が遮られる範囲が増えるので、壁7の内部(本体部20等)を目隠しする機能が高められ、第2空間S2側から換気装置3を見たときの美観が高められる。さらに、羽板27aが枠部27bに対して第2空間S2側と本体部20側に延びて形成されることにより、吹出しルーバ部材27を通して吹出される空気の風向きを羽板27aによって変える機能が高められる。すなわち、吹出しルーバ部材27は、羽板27aによって、目隠しする機能と風向きを変える機能とを両立している。
【0031】
また、本体部20の上端部20Uに沿って配置された吹出し口22及び吹出しルーバ部材27は、第2空間S2における天井18に近づけられているので、吹出しルーバ部材27を通過した空気が天井18に沿って流れるコアンダ効果が得られやすくなる。このため、換気装置3は、第1空間S1で空調されて換気装置3から送られた空気を、天井18に沿って流れるコアンダ効果によって第2空間S2内に広く行きわたらせることができる。その結果、換気装置3は、第1空間S1内の空調された空気を利用して第2空間S2内を適切に空調できる。
【0032】
図9は、実施例の換気装置3を第1空間S1側から示す分解斜視図である。
図10は、実施例の換気装置3を第2空間S2側から示す分解斜視図である。また、換気装置3は、
図9及び
図10に示すように、吸込み口21と吸込みルーバ部材26との間に配置される吸込みガード部材41と、吹出し口22と吹出しルーバ部材27との間に配置される吹出しガード部材42と、を備える。
【0033】
吸込みガード部材41は、格子状に形成されており、複数のスリット状の通気孔41aを有する。同様に、吹出しガード部材42は、格子状に形成されており、複数のスリット状の通気孔42aを有する。吸込みガード部材41の大きさは、吸込み口21の開口面積と同程度の大きさに形成されており、換気装置3の外側から吸込みルーバ部材26を通して利用者の指先等が本体部20内に進入することを防いでいる。同様に、吹出しガード部材42の大きさは、吹出し口22及び吹出しルーバ部材27と同程度に形成されており、換気装置3の外側から吹出しルーバ部材27を通して利用者の指先等が本体部20内に進入することを防いでいる。
【0034】
(換気装置の要部)
次に、実施例の換気装置3の特徴である要部について説明する。換気装置3の特徴には、吹出しルーバ部材27の大きさが含まれる。
図11は、実施例の換気装置3の要部を説明するための模式図であり、吹出しルーバ部材27と、吸込みルーバ部材26と、本体部20を換気装置3の構造に合わせて便宜的に並べ、各大きさを比較して示す図である。
【0035】
図11に示すように、実施例の換気装置3は、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、壁7の第1空間S1側の第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに吸込みルーバ部材26の枠部26bの外周26cで囲まれた吸込みルーバ部材26の面積を第1面積A1とし、壁7の第2空間S2側の第2壁面W2に直交する方向(Y方向)から見たときに吹出しルーバ部材27の外周27cで囲まれた吹出しルーバ部材27の面積を第2面積A2とする。このとき、吸込みルーバ部材26の第1面積A1よりも、吹出しルーバ部材27の第2面積A2が小さい。これにより、第2壁面W2において吹出しルーバ部材27が占める第2面積A2を小さく抑えられる。このため、第2空間S2内から第2壁面W2及び換気装置3を見たときの美観が吹出しルーバ部材27によって損なわれることを抑えて、美観の向上を図ることができ、第2空間S2全体(例えば、居室全体)としての美観を高められる。
【0036】
また、実施例では、吹出しルーバ部材27の第2面積A2は、吸込みルーバ部材26の第1面積A1の半分よりも小さくされており、第2空間S2側から換気装置3や第2壁面W2を見たときの美観を高められる。
【0037】
言い換えると、本実施例では、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、第2壁面W2に直交する方向(Y方向)から見たときの本体部20の外周20cで囲まれた本体部20の面積を第3面積A3としたとき、吹出しルーバ部材27の第2面積A2が、本体部20の第3面積A3の半分よりも小さい。これにより、第2空間S2側から換気装置3や第2壁面W2を見たときの美観を高められる。
【0038】
また、壁7の第2壁面W2に直交する方向(Y方向)から見たとき、吹出し口22の開口面積は、吹出しルーバ部材27の第2面積A2と同程度であり、第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときの吸込み口21の開口面積よりも小さくされている。これにより、吹出し口22から送られる空気の風速が高められ、吹出しルーバ部材27を通って第2空間S2に送られる空気の風速が高められる。
【0039】
第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに本体部20は、吸込みルーバ部材26の第1面積A1に収まって配置されている。言い換えると、換気装置3は、(吸込みルーバ部材26の第1面積A1)≧(本体部20の第3面積A3)の関係を満す。
【0040】
本実施例では、吸込みルーバ部材26の第1面積A1が、第3面積A3よりも大きくされており、本体部20が壁7の内部に配置された状態で第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに本体部20が、第1面積A1の内側に配置されている。これにより、壁7から吸込みルーバ部材26を取り外すことにより、第1面積A1の内側において本体部20を壁7から第1壁面W1に直交する方向(Y方向)に沿って容易に取り外すことが可能になる。
【0041】
また、吸込みルーバ部材26の第1面積A1と本体部20の第3面積A3とを等しくてもよく、本体部20が壁7の内部に配置された状態で第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに、第1面積A1の全体と第3面積A3の全体とが重なって一致するように配置されてもよい。このような第1面積A1を吸込みルーバ部材26が有する場合も同様に、壁7から吸込みルーバ部材26を取り外すことにより、第1面積A1内で壁7から本体部20を容易に取り外すことが可能になる。
【0042】
また、第1壁面W1を形成するボード部材13は、通気口7aの開口面積が、吸込みルーバ部材26の第1面積A1と同程度に形成されており、通気口7aを通して本体部20を着脱可能にされている(
図14参照)。このため、例えば、壁7に取り付けられた換気装置3の修理や交換を行う場合等に、壁7の通気口7aから吸込みルーバ部材26を取り外すことで、壁7を壊すことなく通気口7aを通して壁7の内部から本体部20を容易に取り出すことができる。このため、吹出しルーバ部材27を小さくすることに伴って本体部20が壁7から取り出し難くなる問題を避けられる。
【0043】
上述のように実施例の換気装置3は、吹出しルーバ部材27を小さくすることで第2空間S2側からの美観を向上することと、吸込みルーバ部材26を本体部20よりも大きくすることで壁7に対する換気装置3の着脱性を確保することとを両立できる。
【0044】
また、第2壁面W2における通気口7bの開口面積は、吹出しルーバ部材27の第2面積A2と同程度に形成されている。一例として、吹出しルーバ部材27の外周縁は、通気口7bの開口縁よりも僅かに大きく形成されており、この外周縁によって通気口7bの開口縁が外部に露出しないように覆われる。これにより、吹出しルーバ部材27は、通気口7bの開口縁に生じる隙間や、通気口7b内に引き込まれて貼り付けられる内装材の端部を第2空間S2側から見えないように隠せるので、第2空間S2側から第2壁面W2を見たときの美観を更に高められる。
【0045】
また、このような吹出しルーバ部材27と同様に、吸込みルーバ部材26の外周縁も、通気口7aの開口縁よりも僅かに大きく形成されており、この外周縁によって通気口7aの開口縁が外部に露出しないように覆われる。これにより、吸込みルーバ部材26は、吹出しルーバ部材27と同様に、通気口7aの開口縁を外部から見えないように隠せるので、第1空間S1側から見たときの美観を高められる。
【0046】
(換気装置の送風量)
本実施例の換気装置3は、第1空間S1(例えば、廊下等)の空気を第2空間S2(例えば、居室等)に送るときの1分間当たりの送風量は、第2空間S2の容積の10%以上、50%以下の範囲内となることが望ましい。
【0047】
この送風量は、換気装置3から送られる空気によって第2空間S2である室内の人の快適性が損なわれる場合を考慮している。例えば、単位時間当たりの換気装置3の送風量が大きい場合には、第2空間S2内の人が一定の気流に曝され続ける状態となり、不快感、いわゆるドラフト感を与える問題がある。
【0048】
このため、換気装置3の1分間当たりの送風量の上限値が第2空間S2の容積の50%以下にされることで、第2空間S2内の人にドラフト感を与えることを抑制できる。また、換気装置3は、1分間当たりの送風量の下限値が第2空間S2の容積の10%以上にされることで、第1空間S1から送られる空調された空気を利用して第2空間S2内の空調(温度調節)を適切に行い、第2空間S2内の温度を目標温度にすることができる。
【0049】
したがって、換気装置3は、上述した第2空間S2の容積の50%程度の送風量を得ると共に、送風ファン23の回転数が大きくなるのを避けるために、送風ファン23の軸方向の長さに関連する本体部20の左右方向(X方向)の幅寸法A(
図9及び
図10参照)が、700[mm]以上に形成されることが望ましい。実施例では、本体部20の幅寸法Aが700[mm]程度~730[mm]程度に形成されている。なお、本体部20の幅寸法Aが700[mm]程度よりも小さい場合であっても、送風ファン23の回転数を高めることで所望の送風量が得られるが、モータ24の回転数の上昇に伴って騒音が大きくなる問題があるので好ましくない。また、実施例における本体部20は、上述した幅寸法Aに設定されることで、Y方向における本体部20の奥行寸法が105[mm]程度以下、Z方向における本体部20の高さ寸法が170[mm]程度~250[mm]程度に設定されている。
【0050】
図12は、実施例の換気装置3の各ケーブル35、36の配線状態を説明するための斜視図である。
図12に示すように、本体部20が有する制御回路部34には、電源ケーブル35が接続される接続端子群34a及び接続ケーブル36が接続される接続端子34bが、本体部20の下部に配置されている。これにより、上側梁部材11側から引き込まれた各ケーブル35、36を制御回路部34に接続する際に、本体部20における上部から下部まで延びる各ケーブル35、36の長さが確保されるので、各ケーブル35、36の取り回しの自由度が高められ、配線作業を容易に行うことができる。制御回路部34から延ばされた接続ケーブル36は、上側梁部材11の上に延ばされると共に壁7の内部を通って下方に延ばされており、壁7に取り付けられたリモートコントローラ(図示せず)に接続される。また、本体部20には、配線カバー部材37がネジ止めによって取り付けられており、各ケーブル35、36及びモータ24が配線カバー部材37によって覆われている。なお、一部の図面(
図9等)では、配線カバー部材37の図示を省略する。
【0051】
(ブラケット部材)
図13は、実施例の換気装置を支持するブラケット部材を示す斜視図である。
図13に示すように、換気装置3は、本体部20が壁7に取り付けられる状態における本体部20の左右方向(X方向、すなわち送風ファン23の軸方向)の両端をそれぞれ支持する一組のブラケット部材43を備える。本体部20は、ブラケット部材43にネジ止めによって固定されている。これにより、本体部20を壁7に直接ネジ止めすることが避けられるので壁7に対する本体部20の着脱性を高められる。
【0052】
ブラケット部材43は、本体部20の上端部20U及び下端部20Lをそれぞれ保持する一対の保持片43aと、本体部20の吸込み口21側及び吹出し口22側をそれぞれ支持する一対の支持片43bと、を有する。一対の支持片43bは、ボード部材13に接するように設けられている。一組のブラケット部材43は、共通形状で同一寸法に形成されており、本体部20の左右方向(X方向)のいずれの端部にも使用可能にされている。これにより、一組のブラケット部材43の取り扱う際の作業性を高められる。
【0053】
一対の支持片43bの間隔は、壁7の厚さ方向におけるボード部材13の間の寸法程度に形成されている。各ブラケット部材43は、下側梁部材16における左右方向(X方向)の両側に、本体部20の左右方向(X方向)の幅寸法Aと一致する所定の間隔をあけて設けられ、ネジ止めによって固定される。
【0054】
また、ブラケット部材43の外周部の四隅である各保持片43aの両端及び各支持片43bの両端には、切り欠き部43cがそれぞれ形成されている。例えば、切り欠き部43cが形成されずにブラケット部材43が角部を有する場合、壁7の内部寸法のばらつきによってはブラケット部材43を取り付けにくかったり、取り付け位置のズレが大きくなったりする。本実施例では、ブラケット部材43が切り欠き部43cを有することにより、壁7の内部の各寸法のバラツキによって保持片43a及び支持片43bの各位置が変動することが抑制され、本体部20の左右方向(X方向)の幅寸法Aに対応するブラケット部材43間の寸法の精度を適切に確保できる。このため、本体部20を一組のブラケット部材43の間に取付けるときの作業性を高められる。
【0055】
(換気装置の取付け方法)
以上のように構成された換気装置3を壁7に取り付ける取付け方法について説明する。
図14は、実施例の換気装置3が壁7に取り付けられる状態を示す斜視図である。
図14に示すように、一組のブラケット部材43は、下側梁部材16の上方における所定位置にネジ止めによって固定される。次に、吸込みガード部材41及び吹出しガード部材42が取り付けられた本体部20は、第1空間S1側から壁7の通気口7aを通して壁7の内部に挿入されると共に、各ブラケット部材43に取り付けられてネジ止めによって固定される。なお、本体部20は、左右方向(X方向)の中心位置を基準として下側梁部材16の左右方向(X方向)に対して位置決めされて取り付けられる。これにより、本体部20は、建物毎の壁7の内部寸法にかかわらずに下側梁部材16の左右方向(X方向)に対して片寄らないように容易に配置できる。
【0056】
続いて、
図6及び
図7に示すように、吸込みルーバ部材26が壁7の通気口7aに取り付けられて本体部20にネジ止めによって固定されることで、
図2に示すように、吸込みルーバ部材26によって吸込み口21が覆われる。このため、吸込みルーバ部材26は、
図4及び
図5に示すように、第1壁面W1を形成するボード部材13の通気口7aの周縁に被さるように本体部20に固定される。
【0057】
吸込みルーバ部材26と同様に、
図6及び
図8に示すように、吹出しルーバ部材27が壁7の通気口7bに取り付けられて本体部20にネジ止めによって固定されることで、
図3に示すように、吹出しルーバ部材27によって吹出し口22が覆われる。このため、吹出しルーバ部材27は、
図4及び
図5に示すように、第2壁面W2を形成するボード部材13の通気口7bの周縁に被さるように本体部20に固定される。
【0058】
したがって、
図2に示すように、第2空間S2側において、第2壁面W2には、吸込みルーバ部材26及び本体部20の大きさと比べて小さい吹出しルーバ部材27だけが配置されており、第2空間S2全体(例えば、居室全体)での外観を向上することができる。
【0059】
(実施例の効果)
上述したように実施例の換気装置3は、第1空間S1から吸込み口21を通して吸い込んだ空気を第2空間S2に吹出し口22を通して送る送風ファン23を有する本体部20と、吸込み口21を覆う吸込みルーバ部材26と、吹出し口22を覆う吹出しルーバ部材27と、を備える。換気装置3は、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、壁7の第1空間S1側の第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに吸込みルーバ部材26の枠部26bの外周26cで囲まれた第1面積A1よりも、壁7の第2空間S2側の第2壁面W2に直交する方向(Y方向)から見たときに吹出しルーバ部材27の外周27cで囲まれた第2面積A2が小さい。これにより、第2壁面W2において吹出しルーバ部材27が占める第2面積A2を小さく抑えられる。このため、第2空間S2内から第2壁面W2及び換気装置3を見たときの美観が吹出しルーバ部材27によって損なわれることを抑えて美観の向上を図ることができる。したがって、換気装置3によれば、第2空間S2全体(例えば、居室全体)としての美観を高められる。
【0060】
また、実施例の換気装置3において、第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに本体部20は、第1面積A1に収まって配置されている。これにより、壁7から吸込みルーバ部材26を取り外すことにより、本体部20を壁7から第1壁面W1に直交する方向(Y方向)に沿って容易に取り外すことが可能になる。このため、吹出しルーバ部材27を小さくすることに伴って本体部20が壁7から取り出し難くなる問題を避けられる。例えば、壁7に取り付けられた換気装置3の修理や交換を行う場合等に、壁7の通気口7aから吸込みルーバ部材26を取り外すことで、壁7を壊すことなく通気口7aを通して壁7の内部から本体部20を容易に取り出すことができる。したがって、換気装置3は、吹出しルーバ部材27を小さくすることで第2空間S2側からの美観を向上することと、吸込みルーバ部材26を本体部20よりも大きくすることで壁7に対する換気装置3の着脱性を確保することとを両立できる。
【0061】
また、実施例の換気装置3では、吹出しルーバ部材27の第2面積A2が、吸込みルーバ部材26の第1面積A1の半分よりも小さい。これにより、第2空間S2側から換気装置3や第2壁面W2を見たときの美観を高められる。
【0062】
また、実施例の換気装置3では、吹出しルーバ部材27の第2面積A2が、第2壁面W2に直交する方向(Y方向)から見たときの本体部20の第3面積A3の半分よりも小さい。これにより、第2空間S2側から換気装置3や第2壁面W2を見たときの美観を高められる。
【0063】
また、実施例の換気装置3において、吹出し口22は、本体部20の上端部20Uに沿って形成されている。これにより、吹出し口22や吹出しルーバ部材27を第2空間S2における天井18に近づけられるので、吹出しルーバ部材27を通過した空気が天井18に沿って流れるコアンダ効果が得られやすくなる。このため、換気装置3は、第1空間S1で空調されて換気装置3から送られた空気を、天井18に沿って流れるコアンダ効果によって第2空間S2内に広く行きわたらせることができる。その結果、換気装置3は、第1空間S1内の空調された空気を利用して第2空間S2内を適切に空調できる。
【0064】
また、実施例の換気装置3は、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、本体部20における吹出し口22の下方が、第2壁面W2を形成するボード部材13によって覆われている。これにより、吹出し口22を除く本体部20の第2空間S2側の側面がボード部材13によって壁7の内部に隠されるので、第2壁面W2には、吹出しルーバ部材27だけが配置されることになる。このため、第2空間S2側から第2壁面W2及び換気装置3を見たときの美観が吹出しルーバ部材27によって損なわれることを更に抑えて美観を高められる。
【0065】
また、実施例の換気装置3は、吸込み口21が、本体部20の下端部20Lに沿って形成されており、送風ファン23が、本体部20の上部に配置されたクロスフローファンである。これにより、本体部20における下部に位置する吸込み口21から吸い込まれた第1空間S1の空気を、送風ファン23によって本体部20内における下側から上側に向かって送られて、本体部20における上部に位置する吹出し口22から第2空間S2に吹出すことができる。このように本体部20内において下から上に向かって空気が送られることで、吹出しルーバ部材27を通過して天井18に向かって送られる空気の送風性が高められる。その結果、換気装置3から送られた空気が天井18に沿って流れるコアンダ効果を適正に得られる。
【0066】
また、実施例の換気装置3は、本体部20が壁7の内部に配置された状態で、吹出しルーバ部材27が、第2壁面W2を形成するボード部材13の通気口7bの周縁に被さるように本体部20に固定されている。これにより、吸込みルーバ部材26をボード部材13に固定する場合と比べて壁7の内部寸法等のバラツキの影響を受けることなく、吸込みルーバ部材26を第1壁面W1に容易かつ確実に固定できる。加えて、第2壁面W2での吹出しルーバ部材27の取付け位置のバラツキが抑制されるので、第2空間S2内の美観を更に高められる。
【0067】
また、実施例の換気装置3において、本体部20は、吸込み口21と吹出し口22とをつなぐ流路29が壁7の一部としての下側梁部材16で形成されるように、吸込み口21の下方が開口している。これにより、本体部20の開口部32が壁7の一部によって塞がれることで流路29の一部を形成できる。このため、本体部20を形成する材料を減らし、本体部20の製造コストを削減すると共に、本体部20の軽量化を図ることで本体部20の取付け時の作業性を高められる。
【0068】
また、実施例の換気装置3は、本体部20の左右方向(X方向)における両端をそれぞれ支持して壁7に配置されるブラケット部材43を備えており、本体部20が、ブラケット部材43に固定されている。これにより、本体部20を壁7に直接ネジ止めすることが避けられるので、壁7に対する本体部20の着脱性を高められる。
【0069】
(吸込みルーバ部材の変形例)
図15は、実施例における変形例の吸込みルーバ部材を示す斜視図である。
図15に示すように、変形例の吸込みルーバ部材46は、本体部20の吸込み口21を覆うルーバ部47と、本体部20における吸込み口21以外の部分を第1壁面W1に沿って覆うカバー部48と、を有する。
【0070】
ルーバ部47は、吸込み口21に面する位置のみに形成されており、送風ファン23の軸方向(X方向)に沿って配置された複数の羽板47aを有する。ルーバ部47の各羽板47aは、吸込みルーバ部材46が本体部20に固定された状態で、第1空間S1からルーバ部47を通過する空気が、本体部20の上方から、本体部20の下方の吸込み口21に向かって流れるように上下方向に対して傾斜している。各羽板47aは、上述した実施例における吸込みルーバ部材26の羽板26aと同様に、上下方向に対して傾斜し、かつ、各羽板47aが、ルーバ部47の枠部47bに対して第1空間S1側と本体部20側に延びて形成されている。これにより、壁7の内部(本体部20等)を目隠しする機能が高められ、ルーバ部47の羽板47aの枚数を少なくすることができる。カバー部48は、本体部20における吸込み口21以外の部分である吸込み口21の上方を覆う平板状に形成されている。
【0071】
また、吸込みルーバ部材46は、上述した吸込みルーバ部材26と同様に、壁7の第1空間S1側の第1壁面W1に直交する方向(Y方向)から見たときに、本体部20が吸込みルーバ部材46の第1面積A1に収まって配置されるように形成されている。これにより、換気装置3が吸込みルーバ部材46を備える場合にも、壁7に対する本体部20の着脱性を確保できる。
【0072】
変形例の吸込みルーバ部材46によれば、吸込みルーバ部材26と比べて、羽板47aを有する部分(ルーバ部47)を小さくしてカバー部48を有することで、吸込みルーバ部材46の機械的強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 空気調和システム
2 空気調和装置
3 換気装置
5 建物
7 壁
13 ボード部材
16 下側梁部材
20 本体部
20L 下端部
20U 上端部
21 吸込み口
22 吹出し口
23 送風ファン
26 吸込みルーバ部材
27 吹出しルーバ部材
29 流路
32 開口部
41 吸込みガード部材
42 吹出しガード部材
43 ブラケット部材
46 吸込みルーバ部材
47 ルーバ部
48 カバー部
A1 第1面積
A2 第2面積
A3 第3面積
S1 第1空間
S2 第2空間
W1 第1壁面
W2 第2壁面