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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】プラント操業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20250611BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024517708
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2022019117
(87)【国際公開番号】W WO2023209879
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆史
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/043744(WO,A1)
【文献】特開平02-284853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに設置され操業に用いられるセンサーと、
少なくとも1つのプロセッサとメモリと、
情報を表示するヒューマンマシンインターフェースと、を備え、
前記メモリは、
前記センサーが故障している状態で前記プラントの操業を継続するためにオペレータが実施すべき仮処置方法をガイダンスする仮処置情報であって、前記仮処置方法が前記プラントを制御する制御プラグラムの変更及び回路の組み換えの少なくとも一方を含む仮処置情報を格納し、
前記プロセッサは、
前記センサーが故障している状態において、前記仮処置方法に従って前記プラントに仮処置を施して操業を継続する場合の仮処置後生産量が、故障した前記センサーを正常なセンサーに取り替える作業後に操業を再開する場合の取替後生産量以上である場合に、前記仮処置方法を表示させる信号を前記ヒューマンマシンインターフェースに出力すること、
を特徴とするプラント操業支援システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記センサーが故障している状態において、前記仮処置後生産量が前記取替後生産量未満である場合に、前記センサーの取り替え作業を指示する取替情報を表示させる信号を出力すること、
を特徴とする請求項1に記載のプラント操業支援システム。
【請求項3】
前記メモリは、
故障した前記センサーに応じた仮処置後の操業における仮処置生産率と、
故障した前記センサーを前記正常なセンサーに取り替える作業に要する取替時間と、を格納し、
前記仮処置後生産量は、前記仮処置生産率に現在から定期修理時刻までの残操業時間を乗じた値であり、
前記取替後生産量は、前記正常なセンサーを用いた通常操業の生産率に前記残操業時間から前記取替時間を引いた時間を乗じた値であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のプラント操業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント操業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、プラントに異常が発生した場合にその異常ケースに対応すべき操作処置を画面に表示する操業支援システムが知られている。従来の操業支援システムでは、操業安定性の観点で、機器故障等の異常な状態になった際に、プラントの操業状態に応じた危険の回避操作方法や、処置方法をオペレータに知らせることで、安定的な操業を支援する。オペレータは、さらに判断情報を集めて操業を継続するか否かを判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-140742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操業安定性の観点に基づく従来の操業支援システムは、生産性の観点で、定量的に最適な処置方法、操業方法を判断し自動的に知らせるものではなかった。そのため、直接的に生産量の落ち込みを最小限に抑える仕組みではなかった。
【0005】
また、操業安定性の観点に基づく従来の操業支援システムは、機器故障発生時の操業処置方法の一つである仮処置による操業継続については、ソフトウェア上での仮処置を安全上の観点から自動的に処置実施することをさけていた。そのため、対象機器に応じた仮処置方法が予め確立されておらず、処置するまでに時間を要し、操業再開までに時間を要するなどの問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、機器故障発生時に、取り得る操業処置ごとの生産量の落ち込み量を比較して、生産性の観点から最適な操業処置をガイダンス表示により支援し、生産量の落ち込み量を最小限に抑えることができるプラント操業支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、プラント操業支援システムに関連する。
プラント操業支援システムは、プラントに設置され操業に用いられるセンサーと、少なくとも1つのプロセッサとメモリと、情報を表示するヒューマンマシンインターフェースとを備える。
前記メモリは、前記センサーが故障している状態で前記プラントの操業を継続するためにオペレータが実施すべき仮処置方法をガイダンスする仮処置情報を格納する。前記仮処置方法は、前記プラントを制御する制御プラグラムの変更及び回路の組み換えの少なくとも一方を含む。
前記プロセッサは、前記センサーが故障している状態において、前記仮処置方法に従って前記プラントに仮処置を施して操業を継続する場合の仮処置後生産量が、故障した前記センサーを正常なセンサーに取り替える作業後に操業を再開する場合の取替後生産量以上である場合に、前記仮処置方法を表示させる信号を前記ヒューマンマシンインターフェースに出力する。

【0008】
これによれば、プラント操業支援システムは、操業に影響するセンサーが故障した場合に、仮処置とセンサー取り替えによる生産量の落ち込み量を比較して、最適な処置を自動的に判断し、仮処置を実施すべき場合には登録されている仮処置情報を表示する。これにより、オペレータを支援し、生産量の落ち込み量を最小限に抑えることができる。
【0009】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記プロセッサは、前記センサーが故障している状態において、前記仮処置後生産量が前記取替後生産量未満である場合に、前記センサーの取り替え作業を指示する取替情報を表示させる信号を出力する。
【0010】
第3の観点は、第1又は2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記メモリは、故障した前記センサーに応じた仮処置後の操業における仮処置生産率と、故障した前記センサーを前記正常なセンサーに取り替える作業に要する取替時間と、を格納する。
前記仮処置後生産量は、前記仮処置生産率に現在から定期修理時刻までの残操業時間を乗じた値である。
前記取替後生産量は、前記正常なセンサーを用いた通常操業の生産率に前記残操業時間から前記取替時間を引いた時間を乗じた値である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機器故障発生時に、取り得る操業処置ごとの生産量の落ち込み量を比較して、生産性の観点から最適な操業処置をガイダンス表示により支援し、生産量の落ち込み量を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るプラントの全体構成例を説明するための図である。
図2】本発明の実施の形態に係る機器故障発生時の操業復帰処理フローについて説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態に係る操業処置判断アルゴリズムについて説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態に係る各種テーブルの具体例を説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態に係るプラント操業支援システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
実施の形態.
1.全体構成
図1は、実施の形態に係るプラントの全体構成を説明するための図である。図1に示すプラント1は、図示しない構成をさらに備えているが、説明を簡単にするために他の構成については説明を省略する。
【0015】
プラント1は、製品を生産する産業プラントである。産業プラントは、例えば、鉄鋼プラント、製紙プラント、石油化学プラント、食品プラント、発電プラントなどである。図1に示すプラント1は、フィールド機器2、プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLC)3、サーバー10、ヒューマンマシンインタフェース(以下、HMI)20を備える。
【0016】
PLC3とサーバー10は、データをインタフェースする専用制御LAN4で接続している。PLC3とサーバー10とHMI20は、データをインタフェースする汎用制御LAN5で接続している。
【0017】
フィールド機器2は、プラント1の操業を監視・制御するためのセンサーおよびアクチュエータである。アクチュエータはPLC3からの制御信号に応じて動作する。センサーは対象の状態を検出する。アクチュエータおよびセンサーの機器状態信号はI/Oカードを介してPLC3へ取り込まれる。
【0018】
PLC3は、プラント制御用コントローラである。PLC3は、フィールド機器2へ制御信号を送信する。PLC3は、フィールド機器2から受信した機器状態信号を専用制御LAN4へ出力する。また、PLC3は、HMI20に設けられたPLCソフトウェアエンジニアリングツールからPLC設定信号を受信し、制御プログラムの変更や回路の組み換えを実施できる。
【0019】
サーバー10は、機器故障監視用データ収集サーバーである。サーバー10は、専用制御LAN4に流れているセンサーやアクチュエータの機器状態信号を監視する。サーバー10は、機器状態信号の1つであるセンサーの機器故障状態を検知すると、後述する図2の操業復帰処理フローを実行する。なお、アクチュエータの機器故障状態を検知した場合は、機器取替後に操業を復帰するものとする。
【0020】
サーバー10は、各種設定テーブル12を含むデータベース11を備える。各種設定テーブル12は、後述する図4に示すセンサー種別テーブルA41、仮処置生産率テーブルB42、在庫テーブルC43、取替所要時間テーブルD44を含む。また、各種設定テーブル12は、センサーが故障している状態でプラントの操業を継続するための仮処置情報を含む。仮処置情報には、センサー毎にPLCソフトウェアによる仮処置方法が予め登録されている。
【0021】
HMI20は、HMI&PLCソフトウェアエンジニアリングツールである。HMI20は、サーバー10から受信した表示信号(仮処置情報を含む)に応じて仮処置ガイダンス画面21を表示する機能を備える(図1には仮処置ガイダンス画面21のテーブル表示例が描かれている)。加えて、HMI20は、オペレータの操作によりPLC3の設定を編集可能なPLCソフトウェアエディタ22を有するエンジニアリングツールとしての機能とを備える(図1にはPLCソフトウェアエディタ22の表示例が描かれている)。HMI20は、PLCソフトウェアエンジニアリングツールによるPLC設定信号を、汎用制御LAN5を介してPLC3へ送信する。
【0022】
2.プラント操業支援システム
次に、図1図4を参照して、サーバー10およびHMI20を含むプラント操業支援システムについて説明する。
【0023】
図2は、実施の形態に係るプラント操業支援システムにおける機器故障発生時の操業復帰処理フローについて説明するための図である。図2に示す操業復帰処理フローは、図1のサーバー10内ソフトウェアとして実装されている。
【0024】
2-1.操業復帰処理フローの概要
サーバー10は、機器故障状態を検知すると、図2に示す操業復帰処理フローを実行する。ここで機器故障はセンサー故障であるとする。
【0025】
最初にステップS100において、現状のプラント操業状態が操業中であるか定期修理中であるかが判定される。操業中と判定された場合、ステップS110の処理が実行される。定期修理中と判定された場合、後述するステップS140の処理が実行される。
【0026】
ステップS110において、後述する図3の操業処置判断アルゴリズムが実行され、判断結果に応じてステップS120~ステップS140のいずれか1つの処理が実行される。
【0027】
ステップS120が選択された場合、プラントは通常操業を継続する。ステップS120が選択されるのは、生産量に影響を及ぼさない機器が故障した場合であり、例えば監視専用センサーが故障した場合である。
【0028】
ステップS130が選択された場合、オペレータが仮処置ガイダンス画面21(図1)に従ってPLC3に仮処置を施した状態で、プラントは操業される。ステップS130が選択されるのは、自動操業から手動操業となり、生産量は落ちるが、機器改修する時間を考慮すると仮処置にて操業継続したほうが、生産量への影響を抑えられる場合である。仮処置を実施した場合、次回定期修理時に本処置(機器交換など)が実施される。
【0029】
図1を参照して具体例を説明する。仮処置後の操業(ステップS130)が最適な操業として選択された場合、プラント内機器故障時のソフトウェア仮処置方法があらかじめ登録されたデータベース11が検索され、対象故障機器のソフトウェア仮処置方法が、図1のHMI20の仮処置ガイダンス画面21に表示される。オペレータは、仮処置ガイダンス画面21に従って、HMI20のPLCソフトウェアエディタ22で仮処置を実施する。PLCソフトウェアエディタ22で実施された仮処置は、PLC3内のPLCソフトウェアに反映される。図1に示す例では、仮処置ガイダンス画面21に、現在センサーAが故障しているため、MS10にある接点Aをジャンパーすることがガイダンスされている。オペレータは、ガイダンスに従って、PLCソフトウェアエディタ22でセンサー信号接点Aをジャンパーする仮処置を実施する。
【0030】
ステップS140が選択された場合、故障機器を正常な機器に改修後に、プラントは操業を再開する。ステップS140が選択されるのは、故障機器を改修しないと操業ができない場合である。操業を停止して故障機器を改修(交換)したほうが、仮処置にて操業継続するよりも生産量への影響を抑えられる場合である。
【0031】
2-2.操業処置判断アルゴリズム
図3を参照して、図2のステップS100で実行される操業処置判断アルゴリズムの詳細について説明する。
【0032】
まず、ステップS200において、サーバー10は、センサー種別テーブルA41を用いて、センサー種別判定を実行する。センサーは3種類に分類される。種別1は、センサー故障時に操業継続に全く影響しないセンサーである。種別2は、センサー故障時に操業に影響するが仮処置にて操業継続可能なセンサーである。種別3は、センサー故障時に操業に影響があり、かつ仮処置による操業継続が不可能なセンサーである。図4に示すセンサー種別テーブルA41の一例では、センサーAは種別2、センサーBは種別1、センサーCは種別2、センサーDは種別3と定められている。
【0033】
ステップS200では、故障したセンサーが種別1であるか否かが判定される。故障したセンサーが種別1であると判定される場合、故障したセンサーは、生産量に影響を及ぼさない機器、例えば監視専用センサーである。そのため、プラントは通常操業を継続する(ステップS210)。ステップS210は、図2のステップS120に対応する。その後、操業継続するか否かはオペレータの判断に委ねる。
【0034】
一方、ステップS200において、故障したセンサーが種別1ではないと判定された場合、ステップS220の処理が実行される。
【0035】
ステップS220において、サーバー10は、センサー種別テーブルA41を用いて、故障したセンサーが種別2であるか種別3であるかを判定する。種別2と判定された場合、仮処置操業(仮処置による手動操業)の可否を判断するためステップS230以降の処理が実行される。一方、種別3と判定された場合、仮処置操業が不可能であるためステップS270以降の処理が実行される。
【0036】
ステップS230において、サーバー10は、在庫テーブルC43を用いて予備品在庫の有無を判定する。図4に示す在庫テーブルC43には、センサー毎の在庫有無状況が定められている。センサー(種別2)の予備品がある場合は、ステップS240の処理が実行される。センサー(種別2)の予備品がない場合は、ステップS250の処理が実行される。
【0037】
ステップS240において、サーバー10は、仮処置生産率テーブルB42と取替所要時間テーブルD44を用いて、仮処置操業による生産低下量と故障センサー(種別2)改修による生産低下量とを比較する。
【0038】
サーバー10は、仮処置情報に従ってプラントに仮処置を施して操業を継続する場合の仮処置後生産量が、故障したセンサーを正常なセンサーに取り替える作業後に操業を再開する場合の取替後生産量以上であるか否かを判定する。詳細には、仮処置後生産量は、仮処置生産率に現在から定期修理時刻までの残操業時間を乗じた値である。取替後生産量は、正常なセンサーを用いた通常操業の生産率に、残操業時間から取替時間(故障したセンサーを正常なセンサーに取り替える作業に要する時間)を引いた時間を乗じた値である。
【0039】
具体例を説明する。図4に示す仮処置生産率テーブルB42は、対象センサー正常時の自動操業による生産率(100%)に対する、仮処置後の手動操業による生産率を定めている。図4に示す例では、センサーAは仮処置生産率70%、センサーCは仮処置生産率40%と定められている。また、図4に示す取替所要時間テーブルD44の一例では、センサーAは取替所要時間8時間、センサーCは取替所要時間4時間と定められている。
【0040】
第1の例として、故障したセンサーがセンサーAであり、次の定期修理までの時間が10時間である場合について説明する。
仮処置操業をする場合の生産量は、生産率100%で1時間操業した場合の生産量を100とすると、これに仮処置生産率70%と次の定期修理までの残操業時間(10時間)を乗じて計算され、700である。
一方、故障したセンサーAを取り替える場合には、取替作業に8時間を要し(取替所要時間テーブルD44)その間の生産率は0%である。残り2時間を生産率100%で通常操業をしても生産量は200である。
すなわち、第1の例では、仮処置操業を実施したほうが生産量の低下が少ない。ステップS240において、(a)仮処置操業を実施したほうが生産量の低下が少ないと判定された場合は、後述するステップS250の処理が実行される。
【0041】
第2の例として、故障したセンサーがセンサーCであり、次の定期修理までの時間が10時間である場合について説明する。
仮処置操業をする場合の生産量は、生産率100%で1時間操業した場合の生産量を100とすると、これに仮処置生産率40%と次の定期修理までの残作業時間(10時間)を乗じて計算され、400である。
一方、故障したセンサーCを取り替える場合には、取替作業に4時間を要し(取替所要時間テーブルD44)その間の生産率は0%である。残り6時間を生産率100%で通常操業すると生産量は600である。
すなわち、第2の例では、センサー取替後に通常操業に復帰したほうが生産量の低下が少ない。ステップS240において、(b)センサー取替後に通常操業に復帰したほうが生産量の低下が少ないと判定された場合は、後述するステップS290の処理が実行される。
【0042】
上述したステップS240において、(a)仮処置操業を実施したほうが生産量の低下が少ないと判定された場合、または、ステップS230において予備品在庫が無いと判定された場合は、ステップS250の処理が実行される。
【0043】
ステップS250において、サーバー10は、仮処置後生産量が取替後生産量以上である場合に、仮処置情報を表示させる信号を出力する。信号を受信したHMI20は、仮処置情報に応じた仮処置ガイダンス画面21を表示する。オペレータは、仮処置ガイダンス画面21に示された仮処置方法に従って、HMI20のPLCソフトウェアエディタ22でPLCソフトウェアの仮処置を実施する。プラントは仮処置後に操業される(ステップS260)。ステップS250およびステップS260は、上述したステップS130に対応する。
【0044】
一方、上述したステップS220において、故障したセンサーが種別3であると判定された場合、故障機器を改修しないと操業ができないため、次にステップS270の処理が実行される。
【0045】
ステップS270において、サーバー10は、在庫テーブルC43を用いて予備品在庫の有無を判定する。センサー(種別3)の予備品がある場合は、ステップS290の処理が実行される。センサー(種別3)の予備品がない場合は、ステップS280においてセンサーが調達された後、ステップS290の処理が実行される。
【0046】
ステップS290の処理は、ステップS280の処理後のほか、ステップS270において予備品在庫がないと判定された場合、または、ステップS240において仮処置後生産量が取替後生産量未満であると判定された場合に、実行される。ステップS290において、サーバー10は、センサーの取り替え作業を指示する取替情報を表示させる信号を出力する。HMI20は、取替情報を画面に表示する。オペレータは、故障センサーを予備品と取り替える等の処置を実施する。その後に、ステップS300においてプラントは通常操業を再開する。ステップS290およびステップS300は、上述したステップS140に対応する。
【0047】
3.効果
以上説明したように、図2および図3に示すルーチンによれば、プラントの操業中に発生したセンサー故障時に、通常操業継続と、仮処置後の操業再開と、故障機器改修後の操業再開とのうち、生産性の観点から生産量の落ち込みを最小限に抑える操業方法を、自動的に選択できる。加えて、操業処置方法の一つであるソフトウェアの仮処置による操業については、対象機器ごとに仮処置方法をあらかじめ登録し、機器故障発生時に仮処置内容をガイダンス表示する。そのため、最短時間での操業再開を支援でき、生産性の向上を図ることができる。
【0048】
4.変形例
ところで、上述した実施の形態のプラント操業支援システムは、サーバー10とHMI20とを別々に備えることとしているが、サーバー10とHMI20の両方の機能を備えた単一の装置を備えることとしてもよい。また、3つ以上の装置を備えることとしてもよい。
【0049】
5.ハードウェア構成例
図5は、サーバー10およびHMI20のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0050】
上述したサーバー10の各処理は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ10aと、メモリ10bと、ネットワークインタフェース10cとが接続して構成されている。プロセッサ10aは、メモリ10bに記憶された各種プログラムを実行することにより、サーバー10の各機能を実現する。メモリ10bは、主記憶装置および補助記憶装置を含む。メモリ10bは、上述した仮処置情報、各種設定テーブル12を予め記憶している。ネットワークインタフェース10cは、コンピュータネットワークを介してPLC3およびHMI20と接続し、信号を送受信可能なデバイスである。
【0051】
上述したHMI20の各処理は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ20aと、メモリ20bと、ネットワークインタフェース20cと、入力インタフェース20dと、少なくとも一つのモニタ20eとが接続して構成されている。プロセッサ20aは、メモリ20bに記憶された各種プログラムを実行することにより、HMI20の各機能を実現する。メモリ10bは、主記憶装置および補助記憶装置を含む。ネットワークインタフェース20cは、コンピュータネットワークを介してサーバー10に接続し、信号を送受信可能なデバイスである。入力インタフェース20dは、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスである。モニタ20eは複数台設けられてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 プラント
2 フィールド機器
3 PLC
4 専用制御LAN
5 汎用制御LAN
10 サーバー
10a プロセッサ
10b メモリ
10c ネットワークインタフェース
11 データベース
12 各種設定テーブル
20 HMI
20a プロセッサ
20b メモリ
20c ネットワークインタフェース
20d 入力インタフェース
20e モニタ
21 仮処置ガイダンス画面
A41 センサー種別テーブル
B42 仮処置生産率テーブル
C43 在庫テーブル
D44 取替所要時間テーブル
図1
図2
図3
図4
図5