(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】検証支援装置、検証支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20250611BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20250611BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06F40/56
(21)【出願番号】P 2025003519
(22)【出願日】2025-01-09
【審査請求日】2025-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178216
【氏名又は名称】浜野 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 那孟
(72)【発明者】
【氏名】松浦 麻美子
(72)【発明者】
【氏名】森 祐輔
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2025-000836(JP,A)
【文献】特許第7193890(JP,B2)
【文献】特開2021-043955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 40/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける受付手段と、
前記入力文から前記請求項に
含まれる用語を抽出する
第1指示と
、抽出された用語の
前記明細書における定義の有無に関する説明文を生成する
第2指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、
前記第1指示
と前記第2指示とに基づ
き生成された生成文を取得する取得手段と、
前記生成文に基づ
き抽出された用語のそれぞれ
の定義の有無に
関する説明文を出力する出力手段と、を備
え、
前記入力手段は、前記生成文の取得に応じて、抽出された用語のうち前記明細書において定義されていない用語を特定する第3指示と、特定された用語の定義を説明する候補文を生成する第4指示と、を入力し、
前記取得手段は、前記候補文を含む生成文を取得し、
前記出力手段は、前記候補文を含む生成文に基づき、特定された用語それぞれの前記候補文を出力する、
検証支援装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記入力文
を入力し、
前記第1指示を含む第1プロンプ
トを入力し、
前記取得手段は、前記第1プロンプトに基づき生成された第1生成文を取得し、
前記入力手段は、
前記第2指示を含むプロンプトであって、前記第1生成文に含まれる抽出された用語のそれぞれについて、用語の定義に関連する前記明細書中の文章を含む、定義の有無に
関する説明文を生成する指示を含む第2プロンプトを入力し、
前記取得手段は、前記第2プロンプトに基づき生成された第2生成文を取得し、
前記出力手段は、前記第1生成文及び前記第2生成文に基づいて、抽出された用語ごとに、用語の定義に関連する前記明細書中の文章と、定義の有無の検証結果に関する説明文と、を出力する、
請求項1に記載の検証支援装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記候補文と類似する文章を、前記明細書から特定する指示と、特定された文章に基づき、前記候補文を挿入するべき前記明細書中の箇所を明示する指示と、を入力し、
前記取得手段は、前記候補文を挿入するべき箇所を含む生成文を取得する、
請求項
1または2に記載の検証支援装置。
【請求項4】
前記第2生成文には、抽出された用語ごとの、用語の定義に関連する前記明細書中の文章を含む段落の段落番号が含まれ、
前記入力手段は、前記明細書及び前記第2生成文に基づき、前記請求項の構成要素の解釈を説明する文章を生成する指示を含むプロンプトを入力し、
前記取得手段は、前記プロンプトに基づき生成された生成文を取得し、
前記出力手段は、前記プロンプトに基づき生成された生成文に基づいて、前記請求項の構成要素の解釈を説明する文章を出力する、
請求項2に記載の検証支援装置。
【請求項5】
前記入力手段は、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、抽出された用語について、明細書中における、意味が類似する用語である類似用語の有無を検証する指示と、を前記大規模言語モデルに入力し、
前記取得手段は、入力された指示に基づいて生成された、抽出された用語のそれぞれに関する、前記類似用語の有無に関する説明文を含む生成文を取得し、
前記出力手段は、前記類似用語の有無に関する生成文に基づいて、抽出された用語ごとに、前記類似用語の有無に関する説明文を出力する、
請求項1に記載の検証支援装置。
【請求項6】
前記入力手段は、出願された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、前記所定の請求項及び前記所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習した学習済みモデルに、前記入力文を入力し、
前記取得手段は、前記学習済みモデルによって出力された、前記入力文における明細書に対する、記載要件を満たすための修正点の有無を含む修正点情報を取得し、
前記出力手段は、前記修正点情報を出力する、
請求項1に記載の検証支援装置。
【請求項7】
前記入力手段は、前記入力文における明細書に前記修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書と、前記入力文における請求項と、を前記学習済みモデルに入力し、
前記取得手段は、修正後明細書に対する修正点情報を取得する、
請求項
6に記載の検証支援装置。
【請求項8】
前記入力手段は、前記箇所に基づき前記候補文を挿入する指示を入力し、
前記取得手段は、前記箇所に基づき前記候補文が挿入された明細書を含む生成文を取得する、
請求項3に記載の検証支援装置。
【請求項9】
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付け、
前記入力文から前記請求項に
含まれる用語を抽出する
第1指示と
、抽出された用語の
前記明細書における定義の有無に関する説明文を生成する
第2指示と、を大規模言語モデルに入力し、
前記第1指示
と前記第2指示とに基づ
き生成された生成文を取得し、
前記生成文に基づ
き抽出された用語のそれぞれ
の定義の有無に
関する説明文を出力
し、
前記生成文の取得に応じて、抽出された用語のうち前記明細書において定義されていない用語を特定する第3指示と、特定された用語の定義を説明する候補文を生成する第4指示と、を入力し、
前記候補文を含む生成文を取得し、
前記候補文を含む生成文に基づき、特定された用語それぞれの前記候補文を出力する、
検証支援方法。
【請求項10】
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける処理と、
前記入力文から前記請求項に
含まれる用語を抽出する
第1指示と
、抽出された用語の
前記明細書における定義の有無に関する説明文を生成する
第2指示と、を大規模言語モデルに入力する処理と、
前記第1指示
と前記第2指示とに基づ
き生成された生成文を取得する処理と、
前記生成文に基づ
き抽出された用語のそれぞれ
の定義の有無に
関する説明文を出力する処理と、
前記生成文の取得に応じて、抽出された用語のうち前記明細書において定義されていない用語を特定する第3指示と、特定された用語の定義を説明する候補文を生成する第4指示と、を入力する処理と、
前記候補文を含む生成文を取得する処理と、
前記候補文を含む生成文に基づき、特定された用語それぞれの前記候補文を出力する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検証支援装置、検証支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)を用いた特許出願に係る明細書等の作成を支援する技術が開示される。例えば、特許文献1には、特許出願の前に、特許明細書と特許請求の範囲の記載内容を自動的にチェックするシステムが開示されている。具体的には、特許文献1では、特許明細書と特許請求の範囲の文章を入力とし、入力された文章を解析し、解析結果に基づいて、明細書と請求項の整合性や適切性を評価することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許出願に係る明細書、及び特許請求の範囲は、記載要件にしたがって作成される必要がある。例えば、特許請求の範囲における請求項に係る発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであってはならない。請求項に係る発明が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである場合、当該特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反となる。また、例えば、特許請求の範囲は、特許を受けようとする発明が明確に把握できるように記載されなければならない。特許を受けようとする発明が明確に記載されていない場合、当該特許請求の範囲の記載は、明確性違反となる。
【0005】
特許出願の前には、明細書及び特許請求の範囲の記載が、このような記載要件を満たすか否か検証を行うことが重要である。
【0006】
特許文献1には、特許明細書と特許請求の範囲の記載内容を自動的にチェックするシステムと記載はあるものの、記載要件を満たすか否か検証を行うことについての開示はない。また、チェックすることに関する具体的な処理の記載もない。
【0007】
本開示の目的の一つは、上記課題を鑑みてなされたものであり、特許出願書類における記載要件の適否の検証を支援することが可能な検証支援装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる検証支援装置は、請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける受付手段と、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する取得手段と、前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本開示の一態様にかかる検証支援方法は、請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付け、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力し、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得し、前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する。
【0010】
本開示の一態様にかかるプログラムは、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける処理と、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する処理と、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する処理と、前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、特許出願書類における記載要件の適否の検証を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の検証支援装置の機能構成の一例を示す第1のブロック図である。
【
図2】本開示の検証支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図3】本開示の検証支援装置を含む構成の一例を模式的に示した図である。
【
図4】本開示の検証支援装置の機能構成の一例を含む第1のブロック図である。
【
図5】本開示の検証支援装置の動作の一例を説明する第1のシーケンス図である。
【
図6】本開示の入力インタフェースの一例を示す第1の図である。
【
図7】本開示の表示される説明文の一例を示す第1の図である。
【
図8】本開示の検証支援装置の動作の一例を説明する第2のシーケンス図である。
【
図9】本開示の表示される説明文の一例を示す第2の図である。
【
図10】本開示の表示される説明文の一例を示す第3の図である。
【
図11】本開示の入力インタフェースの一例を示す第2の図である。
【
図12】本開示の検証支援装置の機能構成の一例を含む第2のブロック図である。
【
図13】本開示の検証支援装置の機能構成の一例を含む第3のブロック図である。
【
図14】本開示の検証支援装置の動作の一例を説明する第3のシーケンス図である。
【
図15】本開示の検証支援装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の検証支援装置の概要について説明する。
【0015】
本開示の検証支援装置は、大規模言語モデルを利用して、明細書及び特許請求の範囲の記載に関する検証の支援を行う。大規模言語モデルは、大量のデータセットとディープラーニング等の技術を用いて構築される言語モデルである。例えば、大規模言語モデルによって、入力文に応じた文章が生成される。大規模言語モデルは、検証支援装置と通信可能なサーバ等が有するものであってよいし、検証支援装置が有するものであってよい。大規模言語モデルは、テキスト生成、質問応答、要約などの複雑な言語タスクを実行する能力を備えるものであってもよい。
【0016】
検証支援装置は、大規模言語モデルに所定の指示の入力を行う。また、検証支援装置は、所定の指示に応じて大規模言語モデルによって生成された文章を取得する。そして、検証支援装置は、生成された文章を含む情報を端末装置に出力する。端末装置は、ユーザによって利用される、入出力装置を含む装置である。ユーザは、例えば、明細書等の作成に携わる人物である。検証支援装置は、端末装置と通信可能に接続されてよい。
【0017】
図1は、検証支援装置の機能構成の一例を示す第1のブロック図である。
図1に示すように、検証支援装置100は、受付部110と入力部120と取得部130と出力部140とを備える。
【0018】
受付部110は、入力文を受け付ける。入力文は、大規模言語モデルに入力する情報である。入力文は、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書との内容を含む文章データであってよい。例えば、受付部110は、端末装置において入力された請求項の記載と明細書の記載とを入力文として受け付ける。このとき明細書は、請求項に係る発明が記載された明細書である。すなわち、当該明細書は、請求項に対応する明細書であってよい。
【0019】
なお、本開示において、「請求項」とは、特許出願における特許請求の範囲に記載される個々の請求項を指す。請求項は、発明の技術的範囲を定義し、保護を求める発明の内容を示す文章である。本開示において、「明細書」とは、特許出願書類の一部であり、発明の詳細な説明を含む文書を指す。明細書は、当業者が発明を実施できるように、発明の構成、作用、効果等が詳細に記載されたものである。
【0020】
このように、受付部110は、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける。受付部110は、受付手段の一例である。
【0021】
入力部120は、所定の指示を大規模言語モデルに入力する。具体的には、入力部120は、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示を入力する。また、入力部120は、用語を抽出する指示によって抽出された用語について、更なる指示を入力する。例えば、入力部120は、明細書における、抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示を入力する。具体的には、入力部120は、抽出された用語の定義に関連する明細書中の文章を抽出する指示、及び抽出された用語の定義が記載されているか否か判定する指示等を入力してよい。なお、具体的な指示はこの例に限られない。なお、「用語」とは、請求項や明細書中で使用される特定の単語または句を指すものであってよい。用語は、発明の技術的特徴や構成要素を表現するために使用されるものであってもよい。
【0022】
このように、入力部120は、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示と、明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する。入力部120は、入力手段の一例である。
【0023】
取得部130は、指示に応じて、大規模言語モデルによって生成された情報を取得する。例えば、指示が大規模言語モデルに入力されると、大規模言語モデルによって、指示に応じた新たな生成文が生成される。取得部130は、生成された生成文を取得する。
【0024】
このように、取得部130は、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する。取得部130は、取得手段の一例である。
【0025】
出力部140は、各種情報を出力する。例えば、出力部140は、生成文に含まれる、抽出された用語の一覧を出力する。また、出力部140は、生成文に含まれる、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力してよい。また、出力部140は、抽出された用語を並び替え、並び替えられた用語ごとに、定義の有無に関連する説明文を出力してよい。あるいは、出力部140は、取得された生成文をそのまま出力してよい。例えば、出力部140によって、情報が端末装置に出力されることにより、端末装置が有するディスプレイに当該情報が表示されるものであってよい。
【0026】
このように、出力部140は、生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する。出力部140は、出力手段の一例である。
【0027】
次に、検証支援装置100の動作の一例を、
図2を用いて説明する。なお本開示において、フローチャートの各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0028】
図2は、検証支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0029】
受付部110は、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける(S1)。
【0030】
入力部120は、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示と、明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する(S2)。
【0031】
取得部130は、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する(S3)。
【0032】
出力部140は、生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する(S4)。
【0033】
このように、検証支援装置100は、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける。また、検証支援装置100は、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示と、明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する。さらに、検証支援装置100は、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する。そして、検証支援装置100は、生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する。
【0034】
請求項に使用されている用語の定義が明細書に記載されていない場合、当該請求項を含む特許請求の範囲の記載が、記載要件を満たさないことがある。そのため、特許出願を行う前に、作成した明細書等について、記載要件に関する検証が行われることがある。このとき、明細書作成者及び発明者等のユーザは、例えば、検証支援装置100によって出力された情報を利用して、請求項に使用されている用語の定義の有無の確認をする等、用語の定義に関する検討を行うことができる。すなわち、検証支援装置100は、特許出願書類における記載要件の適否の検証を支援することができる。さらに、用語の定義に関する検討を支援することで、後に請求項を解釈した場合に出願人の意図しない権利範囲となることを防ぐこともできる。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の検証支援装置について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した検証支援装置に関する更なる例を説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0036】
図3は、検証支援装置を含む構成の一例を模式的に示した図である。
図3に示すように、検証支援装置100は、サーバ装置200及び端末装置300と、有線または無線のネットワークを介して通信可能に接続される。サーバ装置200は、大規模言語モデルを有する装置である。サーバ装置200は、大規模言語モデルを管理する。端末装置300は、ユーザが利用する装置である。ユーザは、例えば、明細書作成に携わる人物である。ユーザは、発明者、弁理士、特許技術者、及び明細書作成に関する事務従事者等であってよい。
【0037】
図3の例において、検証支援装置100は、サーバ装置であってよい。検証支援装置100は、クラウドサーバにおいて実現されてもよい。一方で、検証支援装置100を含む構成は、この例に限られない。例えば、検証支援装置100は、端末装置300に含まれてよい。すなわち、端末装置300において、検証支援装置100が構築されてもよい。また、検証支援装置100は、大規模言語モデルを管理してよい。すなわち、検証支援装置100は、大規模言語モデルを有していてよい。
【0038】
図4は、検証支援装置の機能構成の一例を含む第1のブロック図である。サーバ装置200は、モデル管理部210を備える。モデル管理部210には、大規模言語モデル、及びそれに関連するプログラム等が記憶される。モデル管理部210は、プロンプトが入力されると、プロンプトに対応する回答を示す文章を生成する。そして、モデル管理部210は、生成した文章を出力する。このとき、モデル管理部210において生成された文章を生成文と称する。なお、大規模言語モデルは、例えば、GPT-2、GPT-3、GPT-3.5、GPT-4またはGPT-4oであってよい。また、大規模言語モデルは、Claude3、Claude3.5、T5、BERT、RoBERTa、または、ELECTRA等であってよい。大規模言語モデルは、この例に限られない。
【0039】
端末装置300は、キーボード及びタッチパネル等の入力装置310を有する。また、端末装置300は、ディスプレイ及びスピーカ等の出力装置320を有する。端末装置300は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、及びタブレット端末等であるがこの例に限られない。端末装置300は、請求項及び明細書の入力を行うことが可能な入力装置310、及び、検証支援装置100によって出力される情報を出力可能な出力装置320を有していればよい。
【0040】
検証支援装置100は、受付部110、入力部120、取得部130、出力部140、及びプロンプト記憶部150を備える。
【0041】
受付部110は、入力文を受け付ける。例えば、ユーザが、端末装置300の入力装置310を用いて、請求項と明細書とを入力する。端末装置300において入力された情報は、受付部110によって受け付けられる。このとき、受付部110は、端末装置300において入力された請求項と明細書とを、入力文として受け付ける。入力文として受け付けられる請求項は、1項であってもよいし、2項以上であってもよい。
【0042】
なお、請求項及び明細書の入力は、ユーザがテキストデータを入力することにより行われてよい。また、請求項及び明細書の入力は、ユーザが対象のデータファイルを指定することにより行われてもよい。この場合、ユーザは、請求項の記載を含むデータファイル及び明細書の記載を含むデータファイルを指定する。受付部110は、指定されたファイルを読み込む。そして、受付部110は、読み込まれたファイルに含まれる請求項及び明細書を入力文として受け付けてよい。
【0043】
入力部120は、指示を、サーバ装置200のモデル管理部210に対して入力することにより、大規模言語モデルに指示を入力する。具体的には、入力部120は、指示を含むプロンプトをモデル管理部210に対して入力する。
【0044】
このとき、入力部120は、予め定められたプロンプトを基に、指示を含むプロンプトを入力してよい。具体的には、プロンプト記憶部150が、プロンプトを記憶する。記憶されたプロンプトには、予め所定の指示が含まれる。また、記憶されたプロンプトには、参照すべき情報に関する指示も含まれてよい。入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されたプロンプトに基づくプロンプトを、モデル管理部210に対して入力する。例えば、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示を含むプロンプトである第1プロンプトが記憶されているとする。このとき第1プロンプトには、入力文を参照する指示も含まれる。入力部120は、第1プロンプトをモデル管理部210に入力する際に、参照すべき情報である入力文とともに、第1プロンプトをモデル管理部210に入力してよい。
【0045】
また、入力部120は、モデル管理部210において生成された生成文を利用して、さらなるプロンプトをモデル管理部210に入力してよい。例えば、第1プロンプトが入力されると、モデル管理部210によって、第1プロンプトに基づいて生成された生成文が出力される。この場合、生成文には、入力文から抽出された、請求項において使用されている用語が含まれる。ここで、プロンプト記憶部150において、明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示を含む第2プロンプトが記憶されているとする。第2プロンプトには、抽出された用語を参照する指示も含まれる。そこで、入力部120は、第2プロンプトをモデル管理部210に入力する際に、参照すべき情報である抽出された用語を指定して、第2プロンプトを入力してよい。
【0046】
なお、入力部120が入力するプロンプトの順番は、予め定まっていてよい。例えば、入力部120が、入力文が受け付けられた後、第1プロンプトを入力し、第1プロンプトに基づく生成文が出力されたら、第2プロンプトを入力する、といった順番が定められてよい。プロンプトを入力する順番を示す情報は、プロンプト記憶部150に記憶されていてよい。
【0047】
取得部130は、モデル管理部210から出力された生成文を取得する。すなわち、取得部130は、入力されたプロンプトに基づき生成された生成文を取得する。
【0048】
出力部140は、取得された生成文に基づく情報を端末装置300に出力する。このとき、端末装置300の出力装置320において、生成文に基づく情報が出力される。
【0049】
また、出力部140は、入力を促すインタフェースを端末装置300に出力してもよい。このとき、端末装置300の出力装置320において、入力を促すインタフェースが出力される。
【0050】
次に、検証支援装置100の動作の具体例を
図5のシーケンス図を利用して説明する。
図5は、検証支援装置の動作の一例を説明する第1のシーケンス図である。
【0051】
まず、端末装置300において、ユーザによって、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とが入力される(S101)。このとき、例えば、
図6のようなインタフェースが端末装置300の出力装置320において出力されてよい。
図6は、入力インタフェースの一例を示す第1の図である。
図6の例では、明細書と請求項とを入力可能な入力フォームが示されている。例えば、ユーザは、請求項の入力フォームに請求項のテキストを入力する。また、ユーザは、明細書の入力フォームに明細書のテキストを入力する。入力された情報は、検証支援装置100に送信される。このとき、
図6の例における「開始」ボタンが選択されることにより、検証支援装置100に入力された情報が送信されてよい。なお、
図6の例のようなインタフェースは、例えば、出力部140が端末装置300にインタフェースを出力することにより、出力装置320に表示されてよい。
【0052】
検証支援装置100の受付部110は、端末装置300において入力された請求項及び明細書を入力文として受け付ける(S102)。
【0053】
入力部120は、入力文が受け付けられたことに応じて、第1プロンプトをサーバ装置200のモデル管理部210に対して入力する(S103)。具体的には、入力文が受け付けられると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第1プロンプトを読み出す。第1プロンプトは、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示が含まれる。例えば、第1プロンプトには、「”入力文”の請求項に記載された用語をすべて抽出してください。」といった文章が含まれる。このとき「”入力文”」は、入力文を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、参照すべき情報である入力文と、第1プロンプトと、をモデル管理部210に入力する。このとき、第1プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第1プロンプトには、「用語には、各種の品詞ごとの語句、修飾語を含むひとまとまりの語句、及び造語等が含まれます。」のように、抽出する用語の説明がさらに含まれてよい。また、第1プロンプトには、「『前記』、『手段』、『部』、及び『ステップ』の語は無視してください。」のように、例外を指定する文章がさらに含まれてよい。
【0054】
サーバ装置200のモデル管理部210は、入力された第1プロンプトに基づく第1生成文を生成する(S104)。この場合、モデル管理部210において、第1プロンプトに含まれる指示に応じた第1生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、入力文から請求項において使用されている用語が抽出される。そして、モデル管理部210において、抽出された用語を含む第1生成文が生成される。モデル管理部210は、第1生成文を検証支援装置100に送信する。
【0055】
取得部130は、第1生成文を取得する(S105)。そして、入力部120は、第1生成文が取得されたことに応じて、第2プロンプトをモデル管理部210に入力する(S106)。具体的には、第1生成文が取得されると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第2プロンプトを読み出す。第2プロンプトは、第1生成文に含まれる抽出された用語ごとに、用語の定義に関連する明細書中の文章を含む、定義の有無に関連する説明文を生成する指示が含まれる。つまり、第2プロンプトは、第1生成文と、予め定められたプロンプトに基づき得られるものであるともいえる。例えば、第2プロンプトには、「”抽出された用語”について”入力文”の明細書において用語が定義されているか否かを判断してください。定義がある場合は、該当の文章を引用してください。」といった文章が含まれる。このとき、「”抽出された用語”」は、第1生成文に含まれる、抽出された用語を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、第1生成文を参照すべき指示を含む第2プロンプトをモデル管理部210に入力する。このとき、第2プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第2プロンプトには、「該当の文章を含む段落の段落番号も出力してください。」のように、出力する情報の詳細を指定する文章が含まれてよい。また、第2プロンプトには、「冒頭に、対象とする用語を示し、用語ごとの回答の最後に区切り線を出力してください。」という、出力の形態を指定する文章が含まれてよい。
【0056】
モデル管理部210は、入力された第2プロンプトに基づく第2生成文を生成する(S107)。この場合、モデル管理部210において、第2プロンプトに含まれる指示に応じた第2生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、抽出された用語ごとに、明細書において用語が定義されているか否かが判断される。また、用語が定義されている場合、該当の文章が抽出される。そして、モデル管理部210において、抽出された用語の定義に関連する明細書中の文章を含む、定義の有無に関連する説明文が含まれる第2生成文が生成される。モデル管理部210は、第2生成文を検証支援装置100に送信する。
【0057】
取得部130は、第2生成文を取得する(S108)。出力部140は、検証結果に関する説明文を出力する(S109)。具体的には、出力部140は、第2生成文に基づく文章を端末装置300に出力する。このとき、出力部140は、第2生成文をそのまま出力してもよいし、第2生成文を利用して生成した文章を出力してもよい。例えば、第2生成文に、用語のそれぞれについての、定義の有無に関連する説明文が含まれているとする。このとき、出力部140は、抽出された用語と、それに対応する説明文と、を配列に格納し、順番を並び替えて出力してもよい。また、出力部140は、請求項ごとに、請求項に出現する、抽出された用語と、それに対応する説明文とを出力してもよい。この場合、出力部140は、例えば、請求項ごとに、請求項に含まれる用語の、定義に関連する明細書中の文章を含む段落の段落番号も出力してもよい。また、出力部140は、抽出された用語のうち、定義が無いと判断された用語に関する説明文を強調して表示してもよい。
【0058】
そして、端末装置300の出力装置320は、検証結果に関する説明文を表示する(S110)。
図7は、表示される説明文の一例を示す第1の図である。
図7の例は、第2生成文が出力された例である。
図7の例では、「通行者」、「顔認証」及び「ゲート端末」という用語について、定義の有無に関する検証結果の説明文が示されている。例えば「通行者」という用語は、明細書中に「定義あり」と判断されている。そして、定義に関連する明細書中の文章が示されている。この例の場合、段落番号も示されている。このように、第2生成文には、抽出された用語ごとの、用語の定義に関連する明細書中の文章を含む段落の段落番号が含まれてよい。
【0059】
また、「ゲート端末」という用語は、明細書中に「定義なし」と判断されている。そして、定義の有無に関連する説明文として「ゲート端末という用語は複数回出現していますが、明確な定義は見当たりません。」という文章が示されている。このように、定義の有無に関連する説明文には、単に定義の有無や、明細書中の文章だけでなく、定義がある場合または定義が無い場合の補足説明の文章が含まれてよい。
【0060】
検証支援装置100の動作例はこの例に限られない。例えば、
図5の例では、S110の処理において情報が出力されているが、情報が出力されるタイミングはこの例に限られない。例えば、出力部140は、生成文を取得したごとに、取得した生成文に基づく文章を、端末装置300に出力してもよい。
【0061】
また、S107及びS108の処理は、抽出された用語ごとに行われてよい。例えば、抽出された用語が二つ存在するとする。このとき、S107の処理において、抽出された用語のうちの一番目の用語について、抽出された用語の定義に関連する明細書中の文章を含む、定義の有無に関連する説明文が含まれる第2生成文が生成される。S108の処理において、当該一番目用語について生成された第2生成文が取得される。次に、抽出された用語のうちの二番目の用語について、再度S107及びS108の処理が行われる。つまり、S107及びS108の処理は、抽出された用語の数だけ反復して行われてよい。この場合、抽出された用語の数だけ第2生成文が取得される。そして、S109の処理において、取得された第2生成文を統合した説明文が出力されてよい。
【0062】
また、
図5の例では、生成文が取得されたことに応じて、次のプロンプトが入力されている。この例に限られず、例えば、入力部120は、入力文が受け付けられると、第1プロンプトにおける指示と、第2プロンプトにおける指示と、の両方を含むプロンプトを入力してもよい。
【0063】
次に、検証支援装置100の動作の更なる例を、
図8のシーケンス図を利用して説明する。本動作例は、抽出された用語に、定義の記載が無かった場合の検証支援装置100の動作例である。本動作例は、例えば、
図5の動作の後に行われる。
【0064】
図8は、検証支援装置の動作の一例を説明する第2のシーケンス図である。入力部120は、第3プロンプトをサーバ装置200のモデル管理部210に対して入力する(S201)。具体的には、抽出された用語について定義の有無が判断されると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第3プロンプトを読み出す。第3プロンプトは、抽出された用語のうち、明細書において定義されていない用語を特定する指示が含まれる。つまり、第3プロンプトは、第2生成文と、予め定められたプロンプトに基づき得られるものであるともいえる。例えば、第3プロンプトには、「”抽出された用語”のうち、明細書に定義されていないと”第2生成文”において判断された用語を特定してください。」といった文章が含まれる。このとき「”第2生成文”」は、第2生成文を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、第2生成文を参照すべき指示を含む第3プロンプトをモデル管理部210に入力する。このとき、第3プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第3プロンプトには、「用語のうち、『部』及び『手段』等の違いは無視し、同一の用語とみなしてください。」といった指示の詳細を指定する文章が含まれてよい。
【0065】
なお、S108の処理において、抽出された用語の数だけ第2生成文が取得されている場合、S201の処理においては、取得された第2生成文を統合した説明文、または、第2生成文のそれぞれが格納された配列を参照する指示が示されてもよい。
【0066】
サーバ装置200のモデル管理部210は、入力された第3プロンプトに基づく第3生成文を生成する(S202)。この場合、モデル管理部210において、第3プロンプトに含まれる指示に応じた第3生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、明細書に定義されていないと判断された用語が特定される。そして、モデル管理部210において、明細書に定義されていないと判断された用語を含む第3生成文が生成される。モデル管理部210は、第3生成文を検証支援装置100に送信する。
【0067】
取得部130は、第3生成文を取得する(S203)。また、入力部120は、第3生成文が取得されたことに応じて、第4プロンプトをモデル管理部210に入力する(S204)。具体的には、第3生成文が取得されると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第4プロンプトを読み出す。第4プロンプトは、特定された用語ごとに、用語を説明する文章を生成する指示が含まれる。つまり、第4プロンプトは、第3生成文と、予め定められたプロンプトに基づき得られるものであるともいえる。用語を説明する文章は、用語の定義を説明する役割となり得る文章である。すなわち、第4プロンプトは、大規模言語モデルに用語の定義を説明する役割となり得る文章の候補を生成する指示を含むものであるともいえる。以降、用語を説明する文章を、候補文とも称する。
【0068】
例えば、第4プロンプトには、「”入力文”の明細書において、”特定された用語”の定義を説明する段落を生成してください。」といった文章が含まれる「”入力文”」は、入力文を参照する指示を示す。また、「”特定された用語”」を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、入力文の明細書を参照すべき指示、及び特定された用語を参照すべき指示を含む第4プロンプトをモデル管理部210に入力する。ここで、入力部120は、処理を繰り返す指示を入力してもよい。例えば、入力部120は、特定された用語のすべてについて、定義を説明する段落が生成されるまで、処理を繰り返す指示を行ってよい。また、第4プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第4プロンプトには、所定の用語と、所定の用語の定義を説明する段落と、を示す例文が含まれてよい。そして、第4プロンプトには、例文を参考にして、段落を生成する指示が含まれてよい。
【0069】
モデル管理部210は、入力された第4プロンプトに基づく第4生成文を生成する(S205)。この場合、モデル管理部210において、第4プロンプトに含まれる指示に応じた第4生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、特定された用語のそれぞれについて、候補文を含む段落が生成される。そして、モデル管理部210において、当該候補文を含む第4生成文が生成される。モデル管理部210は、第4生成文を検証支援装置100に送信する。
【0070】
取得部130は、第4生成文を取得する(S206)。そして、入力部120は、第4生成文が取得されたことに応じて、第5プロンプトをモデル管理部210に入力する(S207)。具体的には、第4生成文が取得されると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第5プロンプトを読み出す。第5プロンプトは、候補文と類似する文章を、明細書から特定する指示と、特定された文章に基づき、候補文を挿入するべき明細書中の箇所を明示する指示と、を含む。つまり、第5プロンプトは、第4生成文と、予め定められたプロンプトに基づき得られるものであるともいえる。例えば、第5プロンプトには、「”用語を説明する文章”を”入力文”の明細書のどこに挿入すべきか検討してください。まず、”用語を説明する文章”と類似する文章を特定してください。そして、特定された文章に基づいて、挿入するべき明細書中の箇所を明示してください。」といった文章が含まれる。このとき、「”用語を説明する文章”」は、第4生成文に含まれる、候補文を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、入力文の明細書を参照すべき指示、用語を説明する文章を参照すべき指示を含む第5プロンプトをモデル管理部210に入力する。ここで、入力部120は、処理を繰り返す指示を入力してもよい。例えば、入力部120は、特定された用語のすべてについて、用語を説明する文章を挿入する箇所が検討されるまで、処理を繰り返す指示を行ってよい。また、第5プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第5プロンプトには、挿入箇所の段落番号を示す指示が含まれてよい。また、第5プロンプトには、出力の形態を指定する文章が含まれてよい。
【0071】
モデル管理部210は、入力された第5プロンプトに基づく第5生成文を生成する(S208)。この場合、モデル管理部210において、第5プロンプトに含まれる指示に応じた第5生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、特定された用語ごとに、候補文と類似する文章を明細書から特定し、特定された文章に基づき、候補文を挿入するべき明細書中の箇所が検討される。そして、モデル管理部210において、候補文を挿入するべき明細書中の箇所を含む第5生成文が生成される。モデル管理部210は、第5生成文を検証支援装置100に送信する。なお、候補文を挿入するべき明細書中の箇所とは、特定された文章の前後であってもよいし、特定された文章が含まれる章の末尾であってもよく、これに限定されない。
【0072】
取得部130は、第5生成文を取得する(S209)。出力部140は、候補文に関する説明文を出力する(S210)。具体的には、出力部140は、第5生成文に基づく文章を端末装置300に出力する。このとき、出力部140は、第5生成文をそのまま出力してもよいし、第5生成文を利用して生成した文章を出力してもよい。
【0073】
そして、端末装置300の出力装置320は、候補文に関する説明文を表示する(S211)。
図9は、表示される説明文の一例を示す第2の図である。
図9の例は、第5生成文が出力された例である。
図9の例では、明細書中に定義されていないと判断された「ゲート端末」という用語について、候補文と候補文を挿入するべき箇所とが示されている。また、候補文を挿入するべき箇所が、段落番号を用いて明示されている。さらに、候補文を挿入するべき箇所の理由を説明する文章も示されている。
【0074】
検証支援装置100の動作例はこの例に限られない。例えば、
図8の例では、S110の処理において情報が出力されているが、情報が出力されるタイミングはこの例に限られない。例えば、出力部140は、生成文を取得したごとに、取得した生成文に基づく文章を、端末装置300に出力してもよい。
【0075】
また、S205及びS206の処理は、特定された用語ごとに行われてよい。例えば、特定された用語が二つ存在するとする。このとき、S205の処理において、特定された用語のうちの一番目の用語について、候補文を含む第4生成文が生成される。S206の処理において、当該一番目の用語について生成された第4生成文が取得される。次に、特定された用語のうちの二番目の用語について、再度S205及びS206の処理が行われる。つまり、S205及びS206の処理は、特定された用語の数だけ反復して行われてよい。この場合、特定された用語の数だけ第4生成文が取得される。そして、S207の処理において、取得された第4生成文を統合した説明文、または、第4生成文のそれぞれが格納された配列を参照すべき指示を含む第5プロンプトをモデル管理部210に入力してよい。
【0076】
また、同様に、S208及びS209の処理は、候補文ごとに行われてよい。例えば、候補文が二つ存在するとする。このとき、S208の処理において、候補文のうちの一番目の候補文について、候補文を挿入するべき明細書中の箇所を含む第5生成文が生成される。S209の処理において、当該一番目の候補文について生成された第5生成文が取得される。次に、候補文のうちの二番目の候補文について、再度S208及びS209の処理が行われる。つまり、S208及びS209の処理は、候補文の数だけ反復して行われてよい。この場合、候補文の数だけ第5生成文が取得される。そして、S210の処理において、取得された第5生成文を統合した説明文が出力されてよい。
【0077】
また、
図8の例では、生成文が取得されたことに応じて、次のプロンプトが入力されている。この例に限られず、例えば、入力部120は、S201の処理において、第3プロンプトにおける指示と、第4プロンプトにおける指示と、第5プロンプトにおける指示と、を含むプロンプトを入力してもよい。
【0078】
以上のように、第2の実施形態の検証支援装置100は、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける。また、検証支援装置100は、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示と、明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する。さらに、検証支援装置100は、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する。そして、検証支援装置100は、生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する。
【0079】
請求項に使用されている用語の定義が明細書に記載されていない場合、当該請求項を含む特許請求の範囲の記載が、記載要件を満たさないことがある。そのため、特許出願を行う前に、作成した明細書等について、記載要件に関する検証が行われることがある。このとき、明細書作成者等のユーザは、例えば、検証支援装置100によって出力された情報を利用して、請求項に使用されている用語の定義の有無の確認をする等、用語の定義に関する検討を行うことができる。そのため、検証支援装置100は、人手による検証作業が削減されるため、効率的な記載要件の検証が可能となる。すなわち、検証支援装置100は、特許出願書類における記載要件の適否の検証を支援することができる。
【0080】
また、記載要件の適否の検証は、専門性が高い。そのため、特許出願に関して熟練した作業者でなければ検証が困難な場合がある。これに対して検証支援装置100は、記載要件の適否に関連する情報を出力することができるので、経験の浅い作業者に対しても、効率的な記載要件の適否の検証を促すことができる。
【0081】
さらに、検証支援装置100は、以下のような処理を行ってよい。すなわち、検証支援装置100は、入力文と、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示を含む第1プロンプトと、を入力する。さらに、検証支援装置100は、第1プロンプトに基づき生成された第1生成文を取得し、第1生成文に含まれる抽出された用語のそれぞれについて、用語の定義に関連する前記明細書中の文章を含む、定義の有無に関連する説明文を生成する指示を含む第2プロンプトを入力する。検証支援装置100は、第2プロンプトに基づき生成された第2生成文を取得する。そして、検証支援装置100は、第1生成文及び第2生成文に基づいて、抽出された用語ごとに、用語の定義に関連する明細書中の文章と、定義の有無の検証結果に関する説明文と、を出力する。
【0082】
これにより、検証支援装置100は、用語とその定義の有無に関する情報とを、ユーザに把握させることができるため、サポート要件及び明確性要件等の記載要件の検証を効果的に行わせることができる。また、検証支援装置100は、請求項に用いられる各用語について、関連する明細書中の文章を特定できるので、ユーザに、記載要件の包括的な検証を行わせることが可能となる。そのため、検証支援装置100は、記載要件の検証における見落としのリスクの低減及び検証の精度の向上に貢献することができる。さらに、検証支援装置100は、ユーザに、特許出願にかかる請求項及び明細書の矛盾点や不足点を迅速に把握させることが可能となり、書類の品質を向上させることができる。
【0083】
また、検証支援装置100は、抽出された用語のうち、明細書において定義されていない用語を特定する指示と、特定された用語ごとに、用語を説明する文章である候補文を生成する指示と、を入力し、特定された用語ごとの候補文を含む生成文を取得してよい。これにより、検証支援装置100は、用語の説明を適切に補完することができるので、サポート要件及び明確性要件等を満たすような明細書の作成に貢献することができる。すなわち、検証支援装置100は、明細書の品質を向上させることに貢献することができる。
【0084】
また、検証支援装置100は、候補文と類似する文章を、明細書から特定する指示と、特定された文章に基づき、候補文を挿入するべき明細書中の箇所を明示する指示と、を入力し、候補文を挿入するべき箇所を含む生成文を取得してよい。これにより、検証支援装置100は、候補文の適切な挿入箇所を示すことができるので、明細書の構造を維持しつつ、用語の説明の補完を支援することができる。
【0085】
上述のように、検証支援装置100は、用語の一覧、用語の定義の有無、及び候補文等を構造化して出力することができる。そのため、検証支援装置100は、記載要件の検証を効率的に行うことができる。ユーザは必要な情報を容易に参照でき、検証作業の生産性が向上する。
【0086】
なお、大規模言語モデルにおいては、トークン数等の単位で、一度に処理できるテキストの量に上限が設けられることがある。第1プロンプトから第5プロンプトまでのように複数のプロンプトを段階的に用いた場合、各プロンプトに基づく1ペアの入出力に対して、テキストの量の上限まで処理を実行することが期待される。これにより、本開示のように処理量が多い場合であってもテキスト量の上限によるエラーを防止しやすくなるという効果が得られる。さらに、本開示のように処理に精度が求められる場合であっても、精度の低下を防ぐことができる。
【0087】
[変形例1]
検証支援装置100は、用語の定義に関連する文章を利用して、当該用語を含む請求項の解釈を説明する指示を、大規模言語モデルに入力してもよい。
【0088】
具体的には、第2プロンプトによって、第2生成文に、抽出された用語と、抽出された用語の定義に関連する文章と、当該文章を含む段落の段落番号と、が含まれるよう指示が行われたとする。この場合、入力部120は、第2生成文に基づいて、請求項の構成要素の解釈を説明する指示を含む第6プロンプトを、モデル管理部210に入力する。つまり、第6プロンプトは、第2生成文と、予め定められたプロンプトに基づき得られるものであるともいえる。例えば、第6プロンプトには、「”入力文”の請求項及び明細書と、”第2生成文”に含まれる段落と、を用いて、請求項の構成要素のそれぞれが、どのように解釈されるべきか説明してください。この際、抽出された用語の定義を参酌してください。」といった文章が含まれる。
【0089】
取得部130は、第6プロンプトに基づき生成された第6生成文を取得する。第6生成文には、請求項の構成要素のそれぞれについて、解釈を説明する文章が含まれる。そして、出力部140は、第6生成文に基づいて、請求項の構成要素の解釈を説明する文章を出力する。
【0090】
このように、第2生成文には、抽出された用語ごとの、用語の定義に関連する明細書中の文章を含む段落の段落番号が含まれる。このとき、検証支援装置100は、明細書及び第2生成文に基づき、請求項の構成要素の解釈を説明する文章を生成する指示を含むプロンプトを入力してよい。そして、検証支援装置100は、当該プロンプトに基づき生成された生成文を取得し、当該プロンプトに基づき生成された生成文に基づいて、請求項の構成要素の解釈を説明する文章を出力してよい。
【0091】
これにより、検証支援装置100は、現状の明細書の記載から考えられる、請求項の構成要素の解釈をユーザに示すことができる。
【0092】
なお、請求項の解釈は、上述のような構成要素の解釈に限られない。例えば、請求項の解釈には、個々の用語の解釈、及び構成要素間の関係性の解釈が含まれてよい。請求項の解釈のために、参照情報が参照される。参照情報の範囲は、明細書全体であってもよいし、「発明の詳細な説明」等の明細書の特定のセクションであってもよいし、明細書及び図面の組み合わせであってもよい。
【0093】
また、解釈は、技術分野の一般的な知識を考慮して行われてもよいし、明細書の記載のみに基づいて行われてもよいし、関連する先行技術文献を考慮して行われてもよい。解釈の形式としては、自然言語で行われてもよいし、JSON(JavaScript Object Notation)形式のように構造化されたデータとして行われてもよいし、UML(Unified Modeling Language)図のように図式化された表現で行われてもよい。
【0094】
[変形例2]
上述の例では、検証支援装置100が、用語の定義の有無に関連する検証を行う例について説明した。この例に限らず、検証支援装置100は、各種の検証を行うことが可能である。
【0095】
例えば、検証支援装置100は、請求項において使用されている用語が、明細書中に別表現で使用されているか否かの検証を行ってもよい。
【0096】
この場合、まず、端末装置300において、ユーザによって、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とが入力される。受付部110は、端末装置300において入力された請求項及び明細書を入力文として受け付ける。入力部120は、入力文が受け付けられたことに応じて、第1プロンプトを入力する。第1プロンプトには、入力文から請求項において使用されている用語を抽出する指示が含まれる。取得部130は、第1プロンプトに基づく第1生成文を取得する。
【0097】
そして、入力部120は、第1生成文が取得されたことに応じて、第7プロンプトをモデル管理部210に入力する。第7プロンプトには、抽出された用語について、明細書中における、意味が類似する用語である類似用語の有無を検証する指示が含まれる。例えば、第7プロンプトには、「”抽出された用語”について”入力文”の明細書中に、意味が類似する用語である類似用語があるか否か確認してください。」といった文章が含まれる。このとき、「”抽出された用語”」は、第1生成文に含まれる、抽出された用語を参照する指示を示す。「”入力文”」は、入力文を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、第1生成文を参照すべき指示と、入力文の明細書を参照すべき指示と、を含む第7プロンプトをモデル管理部210に入力する。
【0098】
このとき、第7プロンプトには、更なる文章が含まれてよい。例えば、第7プロンプトには、類似用語の明細書における使い方を確認し、請求項の用語へ統一すべきか否かを検証する指示が含まれてよい。また、第7プロンプトには、出力形式を指定する指示が含まれてよい。出力形式を指定する指示の一例としては、「抽出された用語ごとに、請求項にのみ登場する用語であるか、類似用語が存在するか、また、類似用語が存在する場合、類似用語が何であり、どこに登場するか、さらに、請求項の用語に統一すべきか、の観点で出力してください。」等の指示である。
【0099】
モデル管理部210は、入力された第7プロンプトに基づく第7生成文を生成する。この場合、モデル管理部210において、抽出された用語について、明細書中における、類似用語の有無が検証される。そして、モデル管理部210において、抽出された用語について、明細書中における、類似用語の有無に関する説明文を含む第7生成文が生成される。モデル管理部210は、第7生成文を検証支援装置100に送信する。
【0100】
取得部130は、第7生成文を取得する。そして、出力部140は、第7生成文に基づく文章を端末装置300に出力する。端末装置300の出力装置320は、第7生成文に基づく、抽出された用語の類似用語の有無に関する説明文を表示する。
図10は、表示される説明文の一例を示す第3の図である。
図10の例は、第7生成文が出力された例である。
図10の例では、「通行者」及び「顔データ」という用語について、類似用語の有無に関する説明文が示されている。
【0101】
例えば、「通行者」という用語は、請求項のみに登場する用語ではなく、類似用語が存在する用語である。そして、「通行者」の類似用語として、「来場者」及び「会員」という用語が示されている。さらに、類似用語を請求項で使用されている「通行者」に統一すべきではないことも示されている。このように、出力部140は、抽出された用語のそれぞれについて、類似用語の有無に関する説明文を出力してよい。
【0102】
なお、上述の類似用語とは、請求項に記載された用語と意味や機能が類似または同等であり、明細書中で使用される別の表現を指す。これらの類似用語は、発明の理解を助けるために使用されることがあるが、請求項の解釈において混乱を招く可能性があるため、適切に用いられることが好ましい。例えば、「送信部」と「送信手段」、「制御装置」と「コントローラ」などが類似用語の例として挙げられる。
【0103】
なお、検証支援装置100は、入力文の入力を受け付ける際に、機能選択が可能なインタフェースを出力してもよい。
図11は、入力インタフェースの一例を示す第2の図である。
図11の例では、明細書と請求項とを入力可能な入力フォームが示されている。さらに、この例では、機能選択が可能な入力フォームも示されている。例えば、プルダウンによって、用語の定義の有無を検証する機能と、用語の別表現を検証する機能と、が選択可能であってよい。ユーザは、例えば、入力文の入力とともに、プルダウンによって表示された機能の選択を行う。検証支援装置100は、選択された機能に応じて、行う処理を変えてよい。
【0104】
本変形例を、請求項において使用されている用語が、明細書中に別表現で使用されているか否かの検証を例に説明したが、検証の例はこれに限られない。例えば、明細書の文脈を解析し、明細書中の文章の矛盾点の検証が行われてもよい。
【0105】
[変形例3]
上述の例では、検証支援装置100のプロンプト記憶部150においてプロンプトが予め記憶されている例について説明した。この例に限られず、プロンプトは、端末装置300において記憶されてもよい。例えば、検証支援装置100は、端末装置300からプロンプトが送信されることに応じて、当該プロンプトのモデル管理部210への入力をおこなってもよい。
【0106】
[変形例4]
検証支援装置100は、請求項ごとに、記載要件を満たす確率を出力する指示をモデル管理部210に入力してよい。すなわち、検証支援装置100は、抽出された用語の定義の有無の検証結果を踏まえて、各請求項について、記載要件を満たす確率を算出する指示を含むプロンプトを、モデル管理部210に入力してよい。そして、検証支援装置100は、当該プロンプトに応じて生成された生成文に基づく文章を、端末装置300に出力する。このとき生成文には、各請求項の記載要件を満たす確率が含まれる。なお、当該プロンプトは、例えば、各請求項について、第2生成文に基づき記載要件を満たす確率を算出する指示を含んでもよい。このとき、当該プロンプトは第2生成文とともにモデル管理部210に入力されてもよい。あるいは、当該プロンプトは、例えば、各請求項について、第7生成文に基づき記載要件を満たす確率を算出する指示を含んでもよい。このとき、当該プロンプトは第7生成文とともにモデル管理部210に入力されてもよい。当該プロンプトの例はこれに限定されない。なお、確率は「○」「△」「×」等の多段階での表示であってもよいし、「0%」~「100%」等の数値で示されてもよい。その他定量的な数値で示されてもよい。
【0107】
これにより、検証支援装置100は、ユーザに、現状の請求項が記載要件を満たすか否かの判断材料を提供することができる。
【0108】
[変形例5]
検証支援装置100が、大規模言語モデルを有していてもよい。
図12は、検証支援装置の機能構成の一例を含む第2のブロック図である。この例のように、検証支援装置100がモデル管理部210を有していてもよい。この場合、検証支援装置100は、上述した動作例と同様の動作を行ってよい。
[変形例6]
上述の実施形態では、請求項において使用されている用語の抽出の指示を含むプロンプトを、大規模言語モデルに入力することにより、用語の抽出を行う例を説明した。用語の抽出手法は、この例に限られない。例えば、用語の抽出は、統計ベース、グラフベース、または機械学習ベースの手法で行われてよい。また、用語の抽出は、特定の語句を含むデータセットを用いて、当該データセットに含まれる語句を抽出する手法で行われてもよい。
[変形例7]
【0109】
入力部120による、モデル管理部210に対するプロンプトの入力は、例えば、API(Application Programming Interface)を通じたデータ送信により実現される。
【0110】
この例に限らず、プロンプトの入力は、プロンプトが記録されたデータベースを通じた入力により実現されてもよい。また、ローカル環境で大規模言語モデルが動作する場合(モデル管理部210が検証支援装置100に備えられる場合)、プロンプトの入力は、ローカル環境で構築された大規模言語モデルへの入力として行われてよい。これにより、ネットワークがオフラインであったとしても処理の実行が可能となる。また、処理速度の向上を図ることができる。
【0111】
[変形例8]
上述の例では、第5生成文に基づく文章を端末装置300に出力することについて説明した。このとき、候補文が反映された明細書が出力されてもよい。すなわち、検証支援装置100は、候補文を挿入するべき明細書中の箇所に、候補文が挿入された明細書を出力してもよい。
【0112】
例えば、S209の処理において第5生成文が取得された後、入力部120は、第5生成文が取得されたことに応じて、第8プロンプトをモデル管理部210に入力する。具体的には、第5生成文が取得されると、入力部120は、プロンプト記憶部150に記憶されるプロンプトのうち、読み出されるべきプロンプトとして設定された、第8プロンプトを読み出す。第8プロンプトは、候補文が挿入された明細書を生成する指示を含む。例えば、第8プロンプトには、「”候補文”を”候補文を挿入するべき明細書中の箇所”に挿入してください。そして、挿入された明細書を出力してください。」といった文章が含まれる。このとき、”候補文”は、第4生成文または第5生成文に含まれる、候補文を参照する指示を示す。また、”候補文を挿入するべき明細書中の箇所”は、第5生成文に含まれる、候補文を挿入するべき明細書中の箇所を参照する指示を示す。そのため、入力部120は、入力文の明細書を参照すべき指示、候補文を参照すべき指示、及び候補文を挿入するべき明細書中の箇所を参照すべき指示を含む第8プロンプトをモデル管理部210に入力する。
【0113】
モデル管理部210は、入力された第8プロンプトに基づく第8生成文を生成する。この場合、モデル管理部210において、第8プロンプトに含まれる指示に応じた第8生成文が生成される。具体的には、モデル管理部210において、候補文を挿入するべき明細書中の箇所に、候補文が挿入された明細書を生成される。そして、モデル管理部210は、第8生成文を検証支援装置100に送信する。
【0114】
取得部130は、第8生成文を取得する。出力部140は、生成された明細書を含む説明文を出力する。具体的には、出力部140は、第8生成文に基づく文章を端末装置300に出力する。このとき、出力部140は、第8生成文をそのまま出力してもよいし、第8生成文を利用して生成した文章を出力してもよい。
【0115】
このように、検証支援装置100は、候補文が反映された明細書を出力してよい。これにより、検証支援装置100は、候補文が挿入された明細書をユーザに提供することができるので、人手による記載要件の検証作業が削減され、効率的な、明細書作成及び記載要件の検証が可能となる。
【0116】
[変形例9]
本開示において、入力文として受け付けられる請求項及び明細書は、人手により作成されたものであってもよいし、大規模言語モデルによって生成されたものであってもよい。
【0117】
例えば、検証支援装置における、特許出願書類における記載要件の適否の検証の支援の一例として、大規模言語モデルにより生成された特許出願書類の品質の検証の支援が行われてよい。言い換えると、大規模言語モデルにより生成された特許出願書類の品質の検証を支援することを目的として、本開示における検証支援装置が用いられてよい。
【0118】
まず、大規模言語モデルにおいて請求項及び明細書が生成される。このとき生成された請求項及び明細書は、自然文である。例えば、端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置は、請求項及び明細書を生成することを指示するプロンプトをモデル管理部210に入力する。入力に応じて、モデル管理部210の大規模言語モデルにおいて請求項及び明細書が生成される。モデル管理部210は生成された請求項及び明細書を端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置に出力する。上記は一例であり、大規模言語モデルにおいて請求項及び明細書が生成される例は、これに限定されない。
【0119】
大規模言語モデルにより生成された請求項及び明細書は、例えば、端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置に格納される。そして、ユーザが、端末装置300の入力装置310を用いて、大規模言語モデルにより生成された請求項と明細書とを入力する。このとき、請求項及び明細書の入力は、ユーザがテキストデータを入力することにより行われてよい。また、請求項及び明細書の入力は、ユーザが対象のデータファイルを指定することにより行われてもよい。受付部110は、端末装置300において入力された請求項と明細書とを、入力文として受け付ける。
【0120】
なお、請求項及び明細書は、モデル管理部210により生成されたものであってもよいし、モデル管理部210とは異なる大規模言語モデルにおいて生成されたものであってよい。
【0121】
請求項及び明細書が、モデル管理部210により生成された場合、生成された請求項及び明細書は、サーバ装置200または検証支援装置100に格納されてよい。この場合、受付部110は、サーバ装置200または検証支援装置100において格納される請求項及び明細書を読み出し、読み出した請求項及び明細書を入力文として受け付けてよい。
【0122】
このように、検証支援装置100は、大規模言語モデルによって生成された請求項及び明細書を入力文として受け付けてよい。これにより、検証支援装置100は、大規模言語モデルによって作成された特許出願書類の品質を向上させることに貢献することができる。また、検証支援装置100は、大規模言語モデルによる特許出願書類の作成段階から関与するユーザ等に対して、特許出願書類の品質を容易に確認することを補助したり、品質改善の示唆を与えたりすることができる。
【0123】
なお、入力文として受け付けられる請求項及び明細書のうち、いずれか一方が大規模言語モデルにより生成された自然文であってもよい。この場合であっても、上述の効果と同様の効果が奏する。
【0124】
なお、ユーザの入力に代えて、端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置が所定または任意のタイミングで処理を実行することで、大規模言語モデルにより生成された請求項及び明細書が検証支援装置101の受付部110に入力されてもよい。所定のタイミングとは、端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置に大規模言語モデルにより生成された請求項及び明細書が格納された時点、大規模言語モデルにより請求項及び明細書が生成された時点、端末装置300または端末装置300と通信可能な他の装置が、生成された請求項及び明細書を大規模言語モデルから受信した時点であってもよいし、これらの時点に基づき決定された時点であってもよい。この場合、上述と同様の効果を奏する。さらに、特許出願書類の生成と検証を一本化でき、より効率的にユーザを補助することができる。
【0125】
[変形例10]
本開示において、複数のプロンプトに含まれた文章を一つのプロンプトに記載してもよい。例えば、第3プロンプトには、「”抽出された用語”のうち、明細書に定義されていないと”第2生成文”において判断された用語を特定してください。」との文章が含まれ、第4プロンプトには「”入力文”の明細書において、”特定された用語”の定義を説明する段落を生成してください。」といった文章が含まれる場合を想定する。この場合、第3プロンプトに「”抽出された用語”のうち、明細書に定義されていないと”第2生成文”において判断された用語を特定してください。そして明細書において、特定された用語の定義を説明する段落を生成してください。」と記載し、第3プロンプトに第4プロンプトの文章を含めてもよい。この場合、第3プロンプトが第4プロンプトの役割を備える。これにより、一度のプロンプトの入力により複数の処理結果を含んだ生成文が得られるため、処理フローを簡略化することができる。また、大規模言語モデルにおいて一度に処理できるテキストの量に上限が設けられる場合、複数の指示を含むプロンプトを一度に入力することで、生成文を得るために要する時間を短縮することができる。なお、第3プロンプトと第4プロンプトの例を上述したが、複数のプロンプトに含まれた文章を一つのプロンプトに記載する例はこれに限定されない。例えば、第1プロンプトと第2プロンプトであってもよいし、第2プロンプトと第3プロンプトであってもよい。
【0126】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の検証支援装置について説明する。第3の実施形態では、所定の情報を学習させたモデルを利用して、記載要件に関する検証を行う例について説明する。なお、第1及び第2の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0127】
図13は、検証支援装置の機能構成の一例を含む第2のブロック図である。
図13に示すように、検証支援装置101は、サーバ装置201及び端末装置300と、有線または無線のネットワークを介して通信可能に接続される。サーバ装置201は、学習済みモデルを有する装置である。サーバ装置201は、学習済みモデルを管理する。学習済みモデルは、大規模言語モデルであってもよいし、その他の種々の手法で生成されたモデルであってもよい。
【0128】
サーバ装置201は、モデル管理部211を備える。大規模言語モデル等の学習済みモデル、及びそれに関連するプログラム等が記憶される。モデル管理部211は、入力された情報に対して、所定の出力を返す。
【0129】
検証支援装置101は、受付部110、入力部121、取得部131、出力部141、プロンプト記憶部150、及びモデル生成部160を備える。
【0130】
モデル生成部160は、学習済みモデルを生成する。具体的には、モデル生成部160は、出願済みの特許出願書類の情報と、当該特許出願書類に対応する審査データと、を訓練データとして学習させることにより、学習済みモデルを生成する。出願済みの特許出願書類は、出願された所定の請求項及び当該所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書を含む。また、審査データは、当該所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す。より具体的には、審査データは、所定の明細書の記載に基づく、所定の請求項が記載要件を満たしていないことの説明を示す。例えば、審査データには、所定の請求項がサポート要件を満たしていないことの説明、及び所定の明細書の記載に基づく、サポート要件を満たしていないことの説明が含まれる。
【0131】
例えば、各国の特許庁における審査は複数回実施された場合には、各国の審査毎に、審査データは、審査対象の請求項に対する記載要件に関する指摘を含む審査結果を含む。
【0132】
すなわち、モデル生成部160は、出願された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、所定の請求項及び所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習させることにより、学習済みモデルを生成する。このような学習によって生成された学習済みモデルは、請求項と請求項に対応する明細書とを入力することにより、当該請求項及び明細書が、記載要件を満たすための修正点の有無に関する情報を出力するモデルであってよい。以降、修正点の有無に関する情報を修正点情報とも称する。
【0133】
例えば、モデル生成部160は、審査された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、所定の請求項及び所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習させることにより、学習済みモデルを生成してもよい。
【0134】
修正点情報は、記載要件を満たすために修正が必要か否かを示す情報であってもよいし、記載要件を満たすための修正案を示す情報であってもよい。例えば、学習済みモデルは、入力された請求項及び明細書が、サポート要件を満たすように、明細書の記載の修正案を出力するモデルであってよい。学習の手法は、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、及びランダムフォレスト等、種々の既知の手法であってよい。あるいは、当該学習は、大規模言語モデルに対するファインチューニングとして行われてもよい。
【0135】
なお、審査データは、拒絶理由通知及び拒絶査定等の特許庁によって起案された審査書類のデータであってよい。また、審査データは、弁理士及び特許技術者等による、出願済みの特許出願書類に対する見解であってもよい。また、出願済みの特許出願書類及び審査データは、端末装置300から取得されるものであってもよいし、図示しないデータベースから取得されるものであってよい。また、審査データは、当該特許出願書類の請求項に記載された発明を実施していると考えられる製品に関する情報であってもよい。具体的には、製品の名称、型番、仕様書、取扱説明書、製品カタログ、製品の外観や内部構造を示す画像、動作説明動画などが含まれる。さらに、当該製品が特許発明をどのように実施しているかを説明する資料や、特許請求項と製品の対応関係を示す資料なども含まれる。また、標準必須特許を考慮し、審査データは、関連する技術分野の標準規格に関する情報であってもよい。
【0136】
生成された学習済みモデルは、モデル管理部211に存在する。なお、第1及び第2の実施形態において説明したように、モデル管理部211は、検証支援装置101が有していてもよい。また、モデルを生成する処理は、検証支援装置101と通信可能に接続される他の装置によって行われてもよい。
【0137】
入力部121は、受付部110によって受け付けられた入力文を、モデル管理部211に入力する。すなわち、入力部121は、出願された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、所定の請求項及び所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習した学習済みモデルに、入力文を入力する。
【0138】
学習済みモデルが大規模言語モデルである場合、入力部121は、例えば、入力文と、入力文における請求項及び明細書が、記載要件を満たすか否かを検証する指示と、記載要件を満たさない場合、明細書の修正案を出力する指示と、を含むプロンプトを入力する。
【0139】
取得部131は、修正点情報を取得する。具体的には、入力部121による入力により、モデル管理部211において修正点情報が出力される。取得部131は、モデル管理部211から修正点情報を取得する。すなわち、取得部131は、学習済みモデルによって出力された、入力文における明細書に対する、記載要件を満たすための修正点の有無を含む修正点情報を取得する。
【0140】
出力部141は、修正点情報を出力する。具体的には、出力部141は、端末装置300に修正点情報を出力する。端末装置300の出力装置320は、修正点情報を表示する。例えば、出力部141は、現状の入力文における請求項がサポート要件を満たしているか否か、及びサポート要件を満たしていない場合、明細書のいずれの段落にどのような修正を行うべきか、を含む修正点情報を出力する。修正点情報は、特許出願における明細書及び請求項に対する修正点を具体的に示す情報を指すものであってもよい。例えば、修正点情報は、学習済みモデルによって出力された、入力文として受け付けられた明細書に対する、記載要件を満たすための修正点の有無を含む情報であってもよい。修正点情報には、修正が必要か否かの判断結果に加え、修正が必要な場合には具体的な修正箇所や修正内容の提案が含まれてよい。
【0141】
なお、入力部121は、出力された修正点情報に基づく修正が行われた明細書をさらにモデル管理部211に入力してよい。すなわち、入力部121は、入力文における明細書に修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書と、入力文における請求項と、を学習済みモデルに入力してよい。なお、修正後明細書は、入力文として受け付けられた元の明細書に対して、学習済みモデルによって出力された修正点情報に基づく修正が反映された明細書を指すものであってもよい。修正後明細書は、記載要件等を満たすために必要な変更または追加が反映された状態の明細書であってもよい。修正後明細書は、更なる検証のために、再度学習済みモデルに入力されてもよい。
【0142】
このとき、修正後明細書は、修正点情報に基づいて、入力部121によって生成されたものであってよい。あるいは、修正後明細書は、ユーザによって入力されたものであってよい。この場合、修正後明細書は、端末装置300から検証支援装置101に送信される。
【0143】
モデル管理部211によって、修正後明細書に対する修正点情報が出力される。取得部131は、修正後明細書に対する修正点情報を取得する。そして、出力部141は、修正後明細書に対する修正点情報を出力してよい。このとき、出力部141は、修正前の明細書に対する修正点情報と、修正後明細書に対する修正点情報と、を出力してよい。
【0144】
次に、検証支援装置101の動作を
図14のシーケンス図を利用して説明する。
図14は、検証支援装置の動作の一例を説明する第3のシーケンス図である。本動作例では、学習済みモデルが予め生成されている場合の記載要件に関する検証を行う例を説明する。
【0145】
まず、端末装置300において、ユーザによって、請求項と当該請求項に係る発明が記載された明細書とが入力される(S301)。受付部110は、端末装置300において入力された請求項及び明細書を入力文として受け付ける(S302)。
【0146】
入力部121は、入力文が受け付けられたことに応じて、入力文をサーバ装置201のモデル管理部211に対して入力する(S303)。このとき、学習済みモデルが大規模言語モデルである場合、入力部121は、例えば、入力文と、入力文における請求項及び明細書が、記載要件を満たすか否かを検証する指示と、記載要件を満たさない場合、明細書の修正案を出力する指示と、を含むプロンプトを入力する。
【0147】
モデル管理部210は、入力部121からの入力に応じて、修正点情報を出力する(S304)。取得部131は、修正点情報を取得する(S305)。
【0148】
出力部141は、修正点情報を端末装置300に出力する(S306)。このとき、出力部141は、修正点情報をそのまま出力してもよいし、修正点情報を利用して生成した文章を出力してもよい。そして、端末装置300の出力装置320は、修正点情報に関する文章を表示する(S307)。
【0149】
検証支援装置101の動作例はこの例に限られない。例えば、S307の処理の後に、入力部121が、修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書と、入力文における請求項と、をモデル管理部211に入力してよい。
【0150】
また、例えば、S305の処理の後に、入力部121が、修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書を生成し、修正後明細書と、入力文における請求項と、をモデル管理部211に入力してよい。取得部131は、修正後明細書に対する修正点情報を取得する。そして、出力部141は、修正後明細書に対する修正点情報を出力する。このとき、出力部141は、修正後明細書に対する修正点情報と、修正前の明細書に対する修正点情報と、を出力してもよい。
【0151】
以上のように、第3の実施形態の検証支援装置101は、出願された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、所定の請求項及び所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習した学習済みモデルに、入力文を入力する。また、検証支援装置101は、学習済みモデルによって出力された、入力文における明細書に対する、記載要件を満たすための修正点の有無を含む修正点情報を取得する。そして、検証支援装置101は、修正点情報を出力する。
【0152】
これにより、検証支援装置101は、記載要件を満たすための修正内容を迅速に出力することができる。そのため、検証支援装置101は、特許出願書類を作成する担当者の負担を軽減したり、特許出願書類の質を向上させたりすることができる。
【0153】
また、検証支援装置101は、入力文における明細書に修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書と、入力文における請求項と、を学習済みモデルに入力してよい。そして、検証支援装置101は、修正後明細書に対する修正点情報を取得してよい。
【0154】
これにより、検証支援装置101は、修正点情報に基づく修正の有効性を評価することができる。
【0155】
具体的な例として、学習済みモデルは以下のような記載を修正点情報に加えることができる。例えば、明細書に「センサの測定値Aが閾値Tを超える場合に制御動作Cを実行する」と記載されている場合、学習済みモデルは「センサの測定値Aが閾値T以上の場合にも制御動作Cを実行する」という記載を追加することを提案する可能性がある。これは、過去の審査データにおいて、「超える」という表現が「以上」を含まないとして指摘された事例を学習した結果である。
【0156】
別の例として、明細書に「デバイスの動作モードをモードXからモードYに切り替える」と記載されている場合、学習済みモデルは修正点情報として「デバイスの動作モードをモードXからモードYに切り替える際の具体的な手順や条件」を追記することを提案する可能性がある。これは、過去の審査データにおいて、モード切替の具体的な実現手段の記載が不十分として指摘された事例を学習した結果である。
【0157】
さらに、数値範囲に関する例として、明細書に「部材Pの厚さは1mm~5mmである」と記載されている場合、学習済みモデルは「部材Pの厚さが1mm未満または5mmを超える場合の影響や、1mm~5mmの範囲が最適である理由」を追記することを提案する可能性がある。これは、過去の審査データにおいて、数値限定の臨界的意義の説明が求められた事例を学習した結果である。
【0158】
このように、学習済みモデルは、審査された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、所定の請求項及び所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習に基づいて、明細書の記載を充実させるための具体的な提案を行うことができる。これにより、記載要件を満たすだけでなく、より強固な権利範囲を確保するための明細書の作成を支援することが可能となる。
【0159】
<検証支援装置のハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、及び第3の実施形態の検証支援装置を構成するハードウェアについて説明する。
図15は、各実施形態における検証支援装置を構成するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、検証支援装置、及び検証支援方法が実現される。例えば、各実施形態及び各変形例で説明した検証支援装置等が、
図15に示すハードウェア構成を有していてよい。
【0160】
図15に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、検証支援装置等は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0161】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本検証支援装置のプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、
図2、
図5、
図8及び
図14等に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本検証支援装置の各構成の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記録媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0162】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成を接続する。
【0163】
なお、検証支援装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、検証支援装置に含まれる各構成は、それぞれ専用の装置として実現することができる。また、検証支援装置は、それぞれ複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0164】
各実施形態の機能における各構成を実現するためのプログラムを記録媒体に記録させ、当該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0165】
当該記録媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限られない。また該記録媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0166】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0167】
また、上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることが可能である。また、本開示における実施形態1乃至3の機能及び各変形例の機能を、矛盾の無い範囲ですべて同時に行うことができる。あるいは、実施形態1乃至3の機能及び各変形例の機能のうち、任意の機能について、矛盾の無い範囲で同時に行うこともできる。その際、実施形態1乃至3及び各変形例において、共通した入力について処理を行ってよい。例えば、入力文として受け付けられた所定の請求項及び明細書について、順次、実施形態1乃至3及び各変形例で説明した処理が行われてよい。あるいは各実施形態及び各変形例のうち、任意の機能を順番に処理してもよい。その場合、前の処理により得られた生成文等の処理結果を後の処理におけるプロンプトとともに大規模言語モデルに入力してもよいし、後の処理におけるプロンプトの一部としてもよい。
【0168】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0169】
[付記1]
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける受付手段と、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する取得手段と、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する出力手段と、を備える、
検証支援装置。
【0170】
[付記2]
前記入力手段は、前記入力文と、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示を含む第1プロンプトと、を入力し、
前記取得手段は、前記第1プロンプトに基づき生成された第1生成文を取得し、
前記入力手段は、前記第1生成文に含まれる抽出された用語のそれぞれについて、用語の定義に関連する前記明細書中の文章を含む、定義の有無に関連する説明文を生成する指示を含む第2プロンプトを入力し、
前記取得手段は、前記第2プロンプトに基づき生成された第2生成文を取得し、
前記出力手段は、前記第1生成文及び前記第2生成文に基づいて、抽出された用語ごとに、用語の定義に関連する前記明細書中の文章と、定義の有無の検証結果に関する説明文と、を出力する、
付記1に記載の検証支援装置。
【0171】
[付記3]
前記入力手段は、抽出された用語のうち、前記明細書において定義されていない用語を特定する指示と、特定された用語ごとに、用語を説明する文章である候補文を生成する指示と、を入力し、
前記取得手段は、特定された用語ごとの前記候補文を含む生成文を取得する、
付記1または2に記載の検証支援装置。
【0172】
[付記4]
前記入力手段は、前記候補文と類似する文章を、前記明細書から特定する指示と、特定された文章に基づき、前記候補文を挿入するべき前記明細書中の箇所を明示する指示と、を入力し、
前記取得手段は、前記候補文を挿入するべき箇所を含む生成文を取得する、
付記3に記載の検証支援装置。
【0173】
[付記5]
前記第2生成文には、抽出された用語ごとの、用語の定義に関連する前記明細書中の文章を含む段落の段落番号が含まれ、
前記入力手段は、前記明細書及び前記第2生成文に基づき、前記請求項の構成要素の解釈を説明する文章を生成する指示を含むプロンプトを入力し、
前記取得手段は、前記プロンプトに基づき生成された生成文を取得し、
前記出力手段は、前記プロンプトに基づき生成された生成文に基づいて、前記請求項の構成要素の解釈を説明する文章を出力する、
付記2に記載の検証支援装置。
【0174】
[付記6]
前記入力手段は、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、抽出された用語について、明細書中における、意味が類似する用語である類似用語の有無を検証する指示と、を前記大規模言語モデルに入力し、
前記取得手段は、入力された指示に基づいて生成された、抽出された用語のそれぞれに関する、類似用語の有無に関する説明文を含む生成文を取得し、
前記出力手段は、前記類似用語の有無に関する生成文に基づいて、抽出された用語ごとに、類似用語の有無に関する説明文を出力する、
付記1に記載の検証支援装置。
【0175】
[付記7]
前記入力手段は、出願された所定の請求項に対する、記載要件に関する指摘を含む審査結果を示す審査データと、前記所定の請求項及び前記所定の請求項に係る発明が記載された所定の明細書と、の関係を学習した学習済みモデルに、前記入力文を入力し、
前記取得手段は、前記学習済みモデルによって出力された、前記入力文における明細書に対する、記載要件を満たすための修正点の有無を含む修正点情報を取得し、
前記出力手段は、前記修正点情報を出力する、
付記1に記載の検証支援装置。
【0176】
[付記8]
前記入力手段は、前記入力文における明細書に前記修正点情報に基づく修正が反映された修正後明細書と、前記入力文における請求項と、を前記学習済みモデルに入力し、
前記取得手段は、修正後明細書に対する修正点情報を取得する、
付記7に記載の検証支援装置。
【0177】
[付記9]
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付け、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力し、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得し、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する、
検証支援方法。
【0178】
[付記10]
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける処理と、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する処理と、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する処理と、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【0179】
[付記11]
大規模言語モデルにより生成された請求項及び前記請求項に係る発明が記載された明細書を入力文として受け付ける受付手段と、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する取得手段と、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する出力手段と、を備える、
検証支援装置。
【0180】
[付記12]
大規模言語モデルにより生成された請求項及び前記請求項に係る発明が記載された明細書を入力文として受け付け、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力し、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得し、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する、
検証支援方法。
【0181】
[付記13]
大規模言語モデルにより生成された請求項及び前記請求項に係る発明が記載された明細書を入力文として受け付ける処理と、
前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する処理と、
入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する処理と、
前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【0182】
また、上述した付記1に従属する付記2乃至付記8に記載した構成の一部または全ては、付記9乃至付記13に対しても付記2乃至付記8と同様の従属関係により従属し得る。さらには、上述した各実施の形態から逸脱しない範囲において、様々なハードウェア、ソフトウェア、ソフトウェアを記録するための種々の記録手段、またはシステムに対しても同様に、付記として記載した構成の一部または全てを従属させ得る。
【符号の説明】
【0183】
100、101 検証支援装置
110 受付部
120、121 入力部
130、131 取得部
140、141 出力部
150 プロンプト記憶部
200、201 サーバ装置
210、211 モデル管理部
300 端末装置
310 入力装置
320 出力装置
【要約】
【課題】特許出願書類における記載要件の適否の検証を支援することが可能な検証支援装置等を提供する。
【解決手段】本開示の一態様にかかる検証支援装置は、請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける受付手段と、前記入力文から前記請求項において使用されている用語を抽出する指示と、前記明細書における抽出された用語の定義の有無に関する説明文を生成する指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、入力された指示に基づいて生成された生成文を取得する取得手段と、前記生成文に基づいて、抽出された用語と、抽出された用語のそれぞれの、定義の有無に関連する説明文を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】
図1