(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20250611BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20250611BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20250611BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250611BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L23/12 K
H01L25/04 Z
(21)【出願番号】P 2025508983
(86)(22)【出願日】2024-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2024041866
【審査請求日】2025-02-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大仲 崇之
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 駿
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-294275(JP,A)
【文献】国際公開第2022/070384(WO,A1)
【文献】特開2015-041748(JP,A)
【文献】国際公開第2007/116544(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/132612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 23/12
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板と、
前記金属板の上面に配置され、前記金属板の上面の一部を露出する開口部と、配線パターンとを有するプリント基板と、
前記開口部の中において前記金属板の上面に実装され、前記配線パターンに接続された半導体チップと、
前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合された信号端子と、
前記プリント基板、前記半導体チップ、前記信号端子を封止する封止材とを備え、
前記信号端子の上端部が前記封止材の上面から露出し、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有
し、
前記ばね構造は2箇所以上で折り曲げられた金属薄板であり、
前記金属薄板が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、
前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、
前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、
前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、
前記信号端子は、前記上板の上面に設けられた突起を有し、
前記上板は前記封止材から露出せず、前記突起が前記封止材の上面から露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
金属板と、
前記金属板の上面に配置され、前記金属板の上面の一部を露出する開口部と、配線パターンとを有するプリント基板と、
前記開口部の中において前記金属板の上面に実装され、前記配線パターンに接続された半導体チップと、
前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合された信号端子と、
前記プリント基板、前記半導体チップ、前記信号端子を封止する封止材とを備え、
前記信号端子の上端部が前記封止材の上面から露出し、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有し、
前記ばね構造は2箇所以上で折り曲げられた金属薄板であり、
前記金属薄板が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、
前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、
前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、
前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、
前記上板の先端部が下方に折り曲げられていることを特徴とす
る半導体装置。
【請求項3】
前記封止材は、前記信号端子が埋め込まれた樹脂ブロックと、前記プリント基板、前記半導体チップ及び前記樹脂ブロックをモールド封止する封止樹脂とを有し、
前記樹脂ブロックと前記封止樹脂は異なる材料からなることを特徴とする請求項1
又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記樹脂ブロックは前記封止樹脂よりも柔らかいことを特徴とする請求項
3に記載の半導体装置。
【請求項5】
開口部と配線パターンを有するデバイス領域を複数有するプリント基板を金属板の上に配置する工程と、
各デバイス領域において、前記開口部で露出した前記金属板の上面に半導体チップを実装し、前記半導体チップと前記配線パターンを接続する工程と、
各デバイス領域において、信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合する工程と、
前記金属板、前記プリント基板、前記半導体チップ及び前記信号端子を上金型と下金型で挟んでキャビティ内に収容して封止材によりモールド封止する工程と、
モールド封止した前記プリント基板及び前記金属板をダイシングにより前記デバイス領域ごとに切り分ける工程とを備え、
モールド封止の際に前記信号端子の上端部が前記上金型に押し当てられ、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有
し、
隣接する前記デバイス領域の前記配線パターンに接合する前記信号端子が金属連結部で互いに連結され、
前記ダイシングの際に前記金属連結部を切断して隣接する前記デバイス領域の前記信号端子を互いに分離し、
前記信号端子が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、
前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、
前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、
前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、
隣接する前記デバイス領域の前記信号端子の前記下板が前記金属連結部で互いに連結され、隣接する前記デバイス領域の前記信号端子の前記上板は互いに分離し、
前記上板の先端部が下方に折り曲げられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
開口部と配線パターンを有するデバイス領域を複数有するプリント基板を金属板の上に配置する工程と、
各デバイス領域において、前記開口部で露出した前記金属板の上面に半導体チップを実装し、前記半導体チップと前記配線パターンを接続する工程と、
各デバイス領域において、信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合する工程と、
前記金属板、前記プリント基板、前記半導体チップ及び前記信号端子を上金型と下金型で挟んでキャビティ内に収容して封止材によりモールド封止する工程と、
モールド封止した前記プリント基板及び前記金属板をダイシングにより前記デバイス領域ごとに切り分ける工程とを備え、
モールド封止の際に前記信号端子の上端部が前記上金型に押し当てられ、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有し、
隣接する前記デバイス領域の前記配線パターンに接合する前記信号端子が金属連結部で互いに連結され、
前記ダイシングの際に前記金属連結部を切断して隣接する前記デバイス領域の前記信号端子を互いに分離し、
前記信号端子が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、
前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、
前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、
前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、
隣接する前記デバイス領域の前記信号端子の前記上板が前記金属連結部で互いに連結され、隣接する前記デバイス領域の前記信号端子の前記下板は互いに分離してい
る半導体装置の製造方法。
【請求項7】
開口部と配線パターンを有するデバイス領域を複数有するプリント基板を金属板の上に配置する工程と、
各デバイス領域において、前記開口部で露出した前記金属板の上面に半導体チップを実装し、前記半導体チップと前記配線パターンを接続する工程と、
各デバイス領域において、信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合する工程と、
前記金属板、前記プリント基板、前記半導体チップ及び前記信号端子を上金型と下金型で挟んでキャビティ内に収容して封止材によりモールド封止する工程と、
モールド封止した前記プリント基板及び前記金属板をダイシングにより前記デバイス領域ごとに切り分ける工程とを備え、
モールド封止の際に前記信号端子の上端部が前記上金型に押し当てられ、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有し、
隣接する前記デバイス領域の前記配線パターンに接合する前記信号端子が金属連結部で互いに連結され、
前記ダイシングの際に前記金属連結部を切断して隣接する前記デバイス領域の前記信号端子を互いに分離し、
前記信号端子が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、
前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、
前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、
前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、
前記信号端子は、前記上板の上面に設けられた突起を有し、
モールド封止の際に前記突起が前記上金型に押し当てられることを特徴とす
る半導体装置の製造方法。
【請求項8】
各デバイス領域において複数の前記配線パターンが設けられ、
各デバイス領域において複数の前記信号端子が複数の前記配線パターンにそれぞれ接合され、前記金属連結部で互いに連結され、
前記ダイシングの際に前記金属連結部を切断して各デバイス領域の複数の前記信号端子を互いに分離することを特徴とする請求項
5~
7の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記封止材は異なる材料からなる樹脂ブロックと封止樹脂を有し、
前記樹脂ブロックに前記信号端子を埋め込み、
前記樹脂ブロックに埋め込んだ前記信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合し、前記封止樹脂によりモールド封止することを特徴とする請求項
5~
7の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
開口部と配線パターンを有するデバイス領域を複数有するプリント基板を金属板の上に配置する工程と、
各デバイス領域において、前記開口部で露出した前記金属板の上面に半導体チップを実装し、前記半導体チップと前記配線パターンを接続する工程と、
各デバイス領域において、信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合する工程と、
前記金属板、前記プリント基板、前記半導体チップ及び前記信号端子を上金型と下金型で挟んでキャビティ内に収容して封止材によりモールド封止する工程と、
モールド封止した前記プリント基板及び前記金属板をダイシングにより前記デバイス領域ごとに切り分ける工程とを備え、
モールド封止の際に前記信号端子の上端部が前記上金型に押し当てられ、
前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有し、
隣接する前記デバイス領域の前記配線パターンに接合する前記信号端子が金属連結部で互いに連結され、
前記ダイシングの際に前記金属連結部を切断して隣接する前記デバイス領域の前記信号端子を互いに分離し、
前記封止材は異なる材料からなる樹脂ブロックと封止樹脂を有し、
前記樹脂ブロックに前記信号端子を埋め込み、
前記樹脂ブロックに埋め込んだ前記信号端子を前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合し、前記封止樹脂によりモールド封止し、
前記樹脂ブロックは前記封止材よりも柔らかいことを特徴とす
る半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板の上にプリント基板を配置し、プリント基板の開口から露出した金属板の上に半導体チップを実装し、これらを封止材でモールド封止した半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来の半導体装置では下面から放熱しつつ信号の入出力も下面から行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置上面から信号の入出力を行う要望があり、そのためにはプリント基板の上面で配線パターンに接合した信号端子を封止材の上面から引き出す必要がある。しかし、金属板、プリント基板及び信号端子の部材サイズのバラつきにより金属板の下面から信号端子の上端までの高さがバラつく。モールド封止の際にこれらの部材を収容する金型のキャビティの高さは決まっているため、部材の高さバラつきはモールド封止の妨げとなる。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的はモールド封止の際の部材の高さバラつきを吸収することができる半導体装置及びその製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、金属板と、前記金属板の上面に配置され、前記金属板の上面の一部を露出する開口部と、配線パターンとを有するプリント基板と、前記開口部の中において前記金属板の上面に実装され、前記配線パターンに接続された半導体チップと、前記プリント基板の上面で前記配線パターンに接合された信号端子と、前記プリント基板、前記半導体チップ、前記信号端子を封止する封止材とを備え、前記信号端子の一部が前記封止材の上面から露出し、前記信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有し、前記ばね構造は2箇所以上で折り曲げられた金属薄板であり、前記金属薄板が折り曲げられて下板と傾斜板と上板が構成され、前記下板は、前記プリント基板の上面に沿って延在し、前記配線パターンに接合され、前記傾斜板の下端に連結され、前記傾斜板は前記プリント基板の上面に対して斜め上方に延在し、前記上板は、前記封止材の上面に沿って延在し、前記傾斜板の上端に連結され、前記信号端子は、前記上板の上面に設けられた突起を有し、前記上板は前記封止材から露出せず、前記突起が前記封止材の上面から露出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、信号端子は上下方向に弾性を持つばね構造を有する。このため、モールド封止の際の部材の高さバラつきを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の内部を示す上面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係るシステムを示す断面図である。
【
図7】実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図8】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図9】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【
図10】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図11】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図12】実施の形態2に係る信号端子を示す上面図である。
【
図13】実施の形態2に係る信号端子を示す側面図である。
【
図14】実施の形態2に係る信号端子を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態3に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図16】実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図17】実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【
図18】実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図19】実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図20】実施の形態3に係る信号端子を示す上面図である。
【
図21】実施の形態3に係る信号端子を示す側面図である。
【
図22】実施の形態3に係る信号端子を示す斜視図である。
【
図23】実施の形態4に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図24】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図25】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【
図26】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図27】実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図28】実施の形態5に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図29】実施の形態5に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係る半導体装置を示す断面図である。
図2は、実施の形態1に係る半導体装置の内部を示す上面図である。金属板1は例えば厚銅部材である。金属板1の上面にプリント基板2が配置されている。プリント基板2は、金属板1の上面の一部を露出する開口部3と、配線パターン4,5,6とを有する。配線パターン5,6はビア7を介して基板内部の内部配線8に接続されている。
【0011】
半導体チップ9が開口部3の中において金属板1の上面に実装されている。半導体チップ9は高周波信号を処理するトランジスタなどである。半導体チップ9の裏面にメッキで裏面電極が形成されている。裏面電極はソース電極などのGND電極であり、金属板1にはんだ接合され、裏面電極から排熱もできる。半導体チップ9の上面の信号電極が金属ワイヤ10により配線パターン4に接続されている。電子部品11がプリント基板2の上に実装され、配線パターン4,5に接続されている。電子部品11はチップコンデンサ、抵抗又はバイアス制御用のICチップなどである。
【0012】
信号端子12がプリント基板2の上面で配線パターン6に接合されている。封止材である封止樹脂13がプリント基板2、半導体チップ9、信号端子12をモールド封止する。配線パターン4,5,6、ビア7、内部配線8、電子部品11、信号端子12を介して装置外部から半導体チップ9にバイアスが供給され又は信号が入力出力される。
【0013】
信号端子12は、2箇所以上で折り曲げられた金属薄板である。具体的には、金属薄板が折り曲げられて下板12aと傾斜板12bと上板12cが構成されている。下板12aは、プリント基板2の上面に沿って延在し、配線パターン6にはんだ接合され、傾斜板12bの下端に連結される。傾斜板12bはプリント基板2の上面に対して斜め上方に延在する。上板12cは、封止樹脂13の上面に沿って延在し、傾斜板12bの上端に連結されている。この信号端子12のZ型の金属薄板は、上下方向に弾性を持つばね構造となる。信号端子12の上端部である上板12cの上面が封止樹脂13の上面から露出している。ただし、上板12cの先端部が下方に折り曲げられている。この先端部が封止樹脂13の内部に食い込むことで信号端子12が封止樹脂13から抜けるのを防ぐことができる。
【0014】
図3,4は、実施の形態1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。まず、
図3に示すようにプリント基板2を金属板1の上に配置する。開口部3で露出した金属板1の上面に半導体チップ9を実装し、半導体チップ9と配線パターン4をワイヤ接続する。信号端子12をプリント基板2の上面で配線パターン6にはんだ接合する。
【0015】
次に、
図4に示すように、金属板1、プリント基板2、半導体チップ9及び信号端子12を上金型14と下金型15で上下から挟んでキャビティ16内に収容する。上金型14と下金型15の内面には離型フィルム17が設けられている。信号端子12の上端部が離型フィルム17を介して上金型14に押し当てられる。この状態でキャビティ16に封止樹脂13を注入して、封止樹脂13によりモールド封止する。
【0016】
ここで、金属板1の下面から信号端子12の上端部までの高さは、金属板1、プリント基板2、配線パターン6及び信号端子12の部材サイズのばらつきに影響する。しかし、本実施の形態では、信号端子12は上下方向に弾性を持つばね構造を有する。このばね構造によりモールド封止の際の部材の高さバラつきを吸収することができる。また、信号端子12が金属薄板であるため、モールド封止時に封止樹脂13の流れ込みが良い。
【0017】
信号端子12の上端部が離型フィルム17にめり込むことで、モールド封止後に信号端子12の上端部は封止樹脂13の上面から露出する。離型フィルム17が無い場合、上金型14と信号端子12の間の僅かな隙間に封止樹脂13が入り込み、信号端子12が露出しなくなる恐れがある。離型フィルム17の厚みは50μm程度であり、モールド封止後に信号端子12は封止樹脂13の上面から数μm~十数μm飛び出る。
【0018】
図5は、実施の形態1に係るシステムを示す断面図である。半導体装置18は上記の本実施の形態に係る半導体装置である。放熱板19が半導体装置18の下面の金属板1に接合されている。半導体装置18の上面側に配線基板20が配置され、アンテナ21が配線基板20の上方に配置されている。半導体装置18の上面の信号端子12とアンテナ21が配線基板20の配線22により接続されている。
【0019】
続いて、本実施の形態のシステムの効果を比較例と比較して説明する。
図6は、比較例に係るシステムを示す断面図である。比較例の半導体装置23は、下面から放熱しつつ信号の入出力も行う。このため、半導体装置23の下面側に配置した配線基板24で信号の入出力を行う。このため、配線基板24に金属板25を埋め込む必要がある。また、半導体装置23の上面側に配置されたアンテナ21と半導体装置23との間に電磁シールド26を設ける必要もある。
【0020】
これに対して、本実施の形態の半導体装置18は下面から排熱しつつ、上面から信号の入出力を行う。半導体装置18の上面側に配置した配線基板20で信号の入出力を行うため、配線基板20に金属板25を埋め込む必要が無い。また、放熱板19がシールドの機能も兼ねるので電磁シールド26を設ける必要が無い。この結果、本実施の形態のシステムは比較例に比べて小型化が可能である。
【0021】
実施の形態2
図7は、実施の形態2に係る半導体装置を示す断面図である。信号端子12は、上板12cの上面に設けられた突起12dを有する。上板12cは封止樹脂13から露出せず、突起12dが封止樹脂13の上面から露出する。このように突起12dを露出させてコンタクトを確保しつつ、上板12cを封止樹脂13の内部に埋め込むことで信号端子12が封止樹脂13から抜けるのを防ぐことができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0022】
図8,10,11は、実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9は、実施の形態2に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。まず、
図8,9に示すように、プリント基板2を金属板1の上に配置する。プリント基板2は複数のデバイス領域27を有する。各デバイス領域27の構成は実施の形態1のプリント基板2の構成に相当する。各デバイス領域27において、開口部3で露出した金属板1の上面に半導体チップ9を実装し、半導体チップ9と配線パターン4を接続する。各デバイス領域27において、信号端子12をプリント基板2の上面で配線パターン6に接合する。
【0023】
隣接するデバイス領域27の信号端子12の下板12aが金属連結部12eで互いに連結されている。隣接するデバイス領域27の信号端子12の上板12cは互いに分離している。各デバイス領域27において、複数の信号端子12が、一列に並んで設けられた複数の配線パターン6にそれぞれ接合され、金属連結部12eで互いに連結されている。
【0024】
図12は、実施の形態2に係る信号端子を示す上面図である。
図13は、実施の形態2に係る信号端子を示す側面図である。
図14は、実施の形態2に係る信号端子を示す斜視図である。左右対称の信号端子12のペアが金属連結部12eで互いに連結され、それらのペアが一定間隔で複数並んで配置されて金属連結部12eで互いに連結されている。
【0025】
次に、
図10に示すように、金属板1、プリント基板2、半導体チップ9及び信号端子12を上金型14と下金型15で上下から挟んでキャビティ16内に収容する。この際に信号端子12の上端部である突起12dが上金型14に押し当てられる。信号端子12は上下方向に弾性を持つばね構造を有するため、部材の高さバラつきを吸収することができる。
【0026】
次に、
図11に示すように、封止樹脂13によりモールド封止する。モールド封止したプリント基板2及び金属板1をダイシングによりデバイス領域27ごとに切り分ける。この際に金属連結部12eを切断して、隣接するデバイス領域27の信号端子12を互いに分離し、かつ各デバイス領域27の複数の信号端子12を互いに分離する。
【0027】
本実施の形態では、複数の信号端子12が金属連結部12eで互いに連結されている。このような複数の信号端子12の集合体はサイズが大きくなるため、搬送メカのサイズも大きくできる。この複数の信号端子12の集合体が自立することでハンドリング性が向上する。また、隣接する複数の信号端子12の上板12cが互いに分離しているため、信号端子12が曲がって弾性を発揮しやすい。
【0028】
実施の形態3
図15は、実施の形態3に係る半導体装置を示す断面図である。信号端子12のZ型の金属薄板の向きが実施の形態2とは逆である。その他の構成及び効果は実施の形態2と同様である。
【0029】
図16,18,19は、実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17は、実施の形態3に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。
【0030】
まず、
図16,17に示すように、プリント基板2を金属板1の上に配置する。プリント基板2は複数のデバイス領域27を有する。各デバイス領域27において、開口部3で露出した金属板1の上面に半導体チップ9を実装し、半導体チップ9と配線パターン4を接続する。各デバイス領域27において、信号端子12をプリント基板2の上面で配線パターン6に接合する。
【0031】
隣接するデバイス領域27の信号端子12の上板12cが金属連結部12eで互いに連結されている。隣接するデバイス領域27の信号端子12の下板12aは互いに分離している。各デバイス領域において、複数の信号端子12が、一列に並んで設けられた複数の配線パターン6にそれぞれはんだ接合されている。
【0032】
図20は、実施の形態3に係る信号端子を示す上面図である。
図21は、実施の形態3に係る信号端子を示す側面図である。
図22は、実施の形態3に係る信号端子を示す斜視図である。左右対称の信号端子12のペアが金属連結部12eで互いに連結され、それらのペアが一定間隔で複数並んで配置されて金属連結部12eで互いに連結されている。
【0033】
次に、
図18に示すように、金属板1、プリント基板2、半導体チップ9及び信号端子12を上金型14と下金型15で上下から挟んでキャビティ16内に収容する。この際に信号端子12の上端部が上金型14に押し当てられる。信号端子12が上下方向に弾性を持つばね構造を有するため、部材の高さバラつきを吸収することができる。
【0034】
次に、
図19に示すように、封止樹脂13によりモールド封止する。モールド封止したプリント基板2及び金属板1をダイシングによりデバイス領域27ごとに切り分ける。この際に金属連結部12eを切断して、隣接するデバイス領域27の信号端子12を互いに分離し、かつ各デバイス領域27の複数の信号端子12を互いに分離する。
【0035】
本実施の形態では、複数の信号端子12が金属連結部12eで互いに連結されている。このような複数の信号端子12の集合体はサイズが大きいため、搬送メカのサイズも大きくできる。この複数の信号端子12の集合体が自立することでハンドリング性が向上する。また、隣接するデバイス領域27の信号端子12の上板12cが金属連結部12eで互いに連結されているため、ダイシング時に金属連結部12eを切断できたかどうかを上方から確認しやすい。
【0036】
実施の形態4
図23は、実施の形態4に係る半導体装置を示す断面図である。信号端子12は樹脂ブロック28に埋め込まれている。封止樹脂13は、プリント基板2、半導体チップ9及び樹脂ブロック28をモールド封止する。封止樹脂13は、誘電率4のエポキシ樹脂からなる。樹脂ブロック28は、誘電率3.5のLCP(液晶ポリマー)、誘電率3.7のPPS(ポリフェニレンサルファイド)、又は誘電率3.2のPEE(ポリフェニレンエーテル)からなる。樹脂ブロック28と封止樹脂13は異なる材料からなるため、樹脂ブロック28の材質により信号端子12の周囲の誘電率を調整することができる。その他の構成及び効果は実施の形態2と同様である。
【0037】
図24,26,27は、実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図25は、実施の形態4に係る半導体装置の製造工程を示す上面図である。まず、
図24,25に示すように、樹脂ブロック28に信号端子12を埋め込む。樹脂ブロック28に埋め込んだ信号端子12をプリント基板2の上面で配線パターン6にはんだ接合する。
【0038】
次に、
図26に示すように、金属板1、プリント基板2、半導体チップ9、信号端子12及び樹脂ブロック28を上金型14と下金型15で挟んでキャビティ16内に収容する。この際に信号端子12の上端部が上金型14に押し当てられる。
【0039】
次に、
図27に示すように、封止樹脂13によりモールド封止する。モールド封止したプリント基板2及び金属板1をダイシングによりデバイス領域27ごとに切り分ける。この際に金属連結部12eを切断して、隣接するデバイス領域27の信号端子12を互いに分離し、かつ各デバイス領域27の複数の信号端子12を互いに分離する。
【0040】
本実施の形態では、樹脂ブロック28に信号端子12を埋め込む。信号端子12が埋め込まれた樹脂ブロック28は、信号端子12単体に比べてハンドリングできる面積が増えてハンドリングが容易であり、吸着での搬送なども可能である。
【0041】
また、樹脂ブロック28は封止樹脂13よりも柔らかいため、信号端子12が埋め込まれた樹脂ブロック28も上下方向に弾性を持つ。従って、上金型14と下金型15で挟んだ際に信号端子12と共に樹脂ブロック28も縮んで部材の高さバラつきを吸収することができる。
【0042】
実施の形態5
図28は、実施の形態5に係る半導体装置を示す断面図である。信号端子12のZ型の金属薄板の向きが実施の形態4とは逆である。その他の構成及び効果は実施の形態4と同様である。
【0043】
図29は、実施の形態5に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。実施の形態4と同様に、樹脂ブロック28に埋め込んだ信号端子12をプリント基板2の上面で配線パターン6にはんだ接合する。次に、金属板1、プリント基板2、半導体チップ9、信号端子12及び樹脂ブロック28を上金型14と下金型15で挟んでキャビティ16内に収容する。その後、封止樹脂13によりモールド封止する。その他の工程及び効果は実施の形態4と同様である。
【符号の説明】
【0044】
1 金属板、2 プリント基板、3 開口部、4,5,6 配線パターン、9 半導体チップ、12 信号端子、12a 下板、12b 傾斜板、12c 上板、12d 突起、12e 金属連結部、13 封止樹脂(封止材)、14 上金型、15 下金型、16 キャビティ、27 デバイス領域、28 樹脂ブロック(封止材)
【要約】
金属板(1)の上面にプリント基板(2)が配置されている。プリント基板(2)は、金属板(1)の上面の一部を露出する開口部(3)と、配線パターン(4,5,6)とを有する。半導体チップ(9)が開口部(3)の中において金属板(1)の上面に実装され、配線パターン(4,5,6)に接続されている。信号端子(12)がプリント基板(2)の上面で配線パターン(6)に接合されている。封止樹脂(13)がプリント基板(2)、半導体チップ(9)、信号端子(12)を封止する。信号端子(12)の上端部が封止樹脂(13)の上面から露出する。信号端子(12)は上下方向に弾性を持つばね構造を有する。