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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】消火水貯留タンク付きバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250611BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250611BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20250611BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20250611BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20250611BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20250611BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250611BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M10/613
H01M10/627
H01M10/6567
H01M50/251
H01M50/289 101
H01M50/291
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023580831
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 KR2022019983
(87)【国際公開番号】W WO2023128382
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189424
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-キ・イ
(72)【発明者】
【氏名】キ-ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-キュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ギ-ドン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-キュ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ウォン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ジュ・イ
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第214762991(CN,U)
【文献】国際公開第2021/177761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に消火液が供給可能な注水穴を備えると共に、下端部に消火液が排出可能な少なくとも1本の排水口を備えるバッテリーモジュールと、
消火液を保持し、前記バッテリーモジュールの上部に配置され、前記注水穴を介して前記バッテリーモジュールに消火液を供給できるように構成された消火タンクユニットと、
前記バッテリーモジュールの下方に配置され、前記バッテリーモジュールが地面から一定の高さに位置できるように前記バッテリーモジュールを支持するモジュールサポーターユニットと、
を含み、
前記モジュールサポーターユニットは、前記排水口を介して前記バッテリーモジュールから落下する消火液を収容する汚染水貯蔵容器を備え
前記バッテリーモジュールは、
前記注水穴をそれぞれ備える第1のバッテリーサブモジュールと第2のバッテリーサブモジュールとを含み、
前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールとは、それぞれの前記注水穴を介して前記消火タンクユニットからそれぞれ別々に消火液が供給できるように構成され、
前記バッテリーモジュールは、
前記第1のバッテリーサブモジュールの下部及び前記第2のバッテリーサブモジュールの下部を一体に覆うモジュールコネクトボトムカバーを含み、
前記排水口は、
前記第1のバッテリーサブモジュールの底面に設けられる第1の排水口と、
前記第2のバッテリーサブモジュールの底面に設けられる第2の排水口と、
前記モジュールコネクトボトムカバーの底面に設けられる第3の排水口と、
を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記第3の排水口は、前記モジュールコネクトボトムカバーの底面において、
前記第1のバッテリーサブモジュールの底面と対応する位置に配備される第3_1の排水口と、前記第2のバッテリーサブモジュールの底面と対応する位置に配備される第3_2の排水口と、を含み、
前記モジュールコネクトボトムカバーは、
前記第1の排水口から落下した消火液は前記第3_2の排水口に移動しないように、かつ、前記第2の排水口から落下した消火液は前記第3_1の排水口に移動しないように、前記モジュールコネクトボトムカバーの底面において前記消火液の移動経路を制限する遮断壁を含む、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記第1の排水口及び前記第2の排水口は、メッシュフィルターを含む、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
上端部に消火液が供給可能な注水穴を備えると共に、下端部に消火液が排出可能な少なくとも1本の排水口を備えるバッテリーモジュールと、
消火液を保持し、前記バッテリーモジュールの上部に配置され、前記注水穴を介して前記バッテリーモジュールに消火液を供給できるように構成された消火タンクユニットと、
前記バッテリーモジュールの下方に配置され、前記バッテリーモジュールが地面から一定の高さに位置できるように前記バッテリーモジュールを支持するモジュールサポーターユニットと、
を含み、
前記モジュールサポーターユニットは、前記排水口を介して前記バッテリーモジュールから落下する消火液を収容する汚染水貯蔵容器を備え、
前記モジュールサポーターユニットは、
前記排水口と連通する1本以上の通孔を備え、前記バッテリーモジュールが天面に載置可能に設けられる棚部と、前記棚部を地面から離れるように支持するレッグ部を備えるスタンドブラケットと、を含み、
前記汚染水貯蔵容器は、前記棚部の下部に配置されて前記通孔を介して落下する消火液が収容可能であり、前記スタンドブラケットに着脱可能に設けられる、バッテリーパック。
【請求項5】
前記棚部は、格子状の(grating)構造からなる、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記棚部は、
前記通孔から上方向に突出したモジュール接続ポートを備え、
前記モジュール接続ポートが前記バッテリーモジュールの前記排水口に締まり嵌めにより結合されている、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記消火タンクユニットは、
前記注水穴を介して噴出される高温のガス又は火炎に反応して、熱的事象が生じた前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールとのうちの少なくともどちらか一方に消火液を選択的に供給するように構成されている、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記消火タンクユニットは、前記消火液を収容できるように設けられたタンク本体と、一方の側は前記タンク本体の内部と連通するように結合され、他方の側は前記タンク本体の下部に突出した複数の吐出部材と、を含み、
前記吐出部材は、前記第1のバッテリーサブモジュールの前記注水穴及び前記第2のバッテリーサブモジュールの前記注水穴それぞれに少なくとも一部分が挿し込まれるように配置され、高温ないし衝撃により破損されて前記タンク本体の前記消火液が吐き出されるように構成されている、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記吐出部材は、ガラスバルブ、プラスチック、又はビニール材質を含む、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
上端部に消火液が供給可能な注水穴を備えると共に、下端部に消火液が排出可能な少なくとも1本の排水口を備えるバッテリーモジュールと、
消火液を保持し、前記バッテリーモジュールの上部に配置され、前記注水穴を介して前記バッテリーモジュールに消火液を供給できるように構成された消火タンクユニットと、
前記バッテリーモジュールの下方に配置され、前記バッテリーモジュールが地面から一定の高さに位置できるように前記バッテリーモジュールを支持するモジュールサポーターユニットと、
を含み、
前記モジュールサポーターユニットは、前記排水口を介して前記バッテリーモジュールから落下する消火液を収容する汚染水貯蔵容器を備え、
前記バッテリーモジュールは、
前記注水穴をそれぞれ備える第1のバッテリーサブモジュールと第2のバッテリーサブモジュールとを含み、
前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールとは、それぞれの前記注水穴を介して前記消火タンクユニットからそれぞれ別々に消火液が供給できるように構成され、
前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールとは、それぞれ、
バッテリーセルを収容可能な内部空間を有するように中空構造に設けられたミドルケースと、
前記注水穴を備え、前記ミドルケースの上端部に結合されるトッププレートと、
前記排水口を備え、前記ミドルケースの下端部に結合されるボトムプレートと、
を含む、バッテリーパック。
【請求項11】
前記消火タンクユニットの上部に配置され、前記バッテリーモジュールに含まれているバッテリーセルへの充放電を制御する制御モジュールを含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーに関し、より詳細には、熱的事象が生じた場合に消火水を投入して火事が鎮圧可能であり、火事の鎮圧後に汚れた消火水の外部への流出を防止できるように構成されたバッテリーパックに関する。
【0002】
本出願は、2021年12月28日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0189424号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化されている二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられるが、そのうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板が、セパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体が電解液とともに封入された外装材、例えば電池ケースと、を備える。
【0005】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分類される。
【0006】
このような二次電池は、携帯型電子機器などの小型装置のみならず、電気自動車やエネルギー貯蔵システム(Energy Starge System;ESS)などの中大型装置にも広く用いられており、その利用の度合いが急激に伸びている。さらに、近頃には、電力を貯蔵するための用途として、住宅用のバッテリーパックを利用する傾向がどんどん高まりつつある。
【0007】
住宅用のバッテリーパックをはじめとする様々なバッテリーパックには、容量及び/又は出力の増大のために、複数のバッテリーセル(二次電池)が含まれる。特に、バッテリーパックのエネルギー密度を高めるために、複数のバッテリーセルは、非常に狭い空間に密集した状態で配置される場合が多い。
【0008】
このようなバッテリーパックの構成において、代表的に重要な問題の一つは安全性である。特に、バッテリーパックに含まれている複数のバッテリーセルのうちのいずれか一つのバッテリーセルにおいて熱的事象が生じる場合、熱的事象が他のバッテリーセルに容易に伝搬(propagation)されないように抑える必要がある。例えば、熱暴走(thermal runaway)などが生じたバッテリーセルからは高温のベントガスが噴出される虞があり、このようなベントガスは他のバッテリーセルに影響を与えて、熱的伝搬(thermal propagation)が増幅される虞がある。仮に、これらのバッテリーセル同士の間の熱的伝搬が正常に抑えられなければ、バッテリーパックの発火や爆発など大きな問題が引き起こされてしまうことが懸念される。さらに、バッテリーパックにおいて生じた発火や爆発は、周りの人命や財産上の甚大な被害を被らせてしまう虞がある。特に、住宅用のバッテリーパックの場合、火事や爆発が生じてしまうと、住宅に住んでいる人々の安全を損なう虞があり、火事が隣の住宅にまで燃え広がったり燃え移ったりしてさらに甚大な被害を被らせてしまう虞がある。
【0009】
このような問題を解決するための一環として、最近、バッテリーパックの内部に冷却水を投入して火事を鎮圧する、いわゆる注水タイプ(Type)の消火システムをバッテリーパックに適用するための取り組みが進んでいる。
【0010】
一方、注水タイプの消火システムは、冷却水が消火の過程において有害物質と混ざって汚染水となり、このような汚染水がバッテリーパックの外に排出されることにより、環境汚染など新たな問題が派生される虞がある。例えば、住宅用のバッテリーパックの場合、バッテリーパックの火事の鎮圧に用いられた冷却水がバッテリーパックの内部において有害物質と混ざり、これがバッテリーパックの外部に排出された後、そのまま住宅の下水道に入り込んでしまう虞がある。したがって、バッテリーパックから流れ出た汚染水が、例えば、住宅の可水道などに流れ込んでしまうことを防ぐための方案も必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであって、バッテリーパックの内部において生じた熱的事象を速やかに制御できるように消火タンクが適用されたバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、熱的事象が生じたときにバッテリーパックの消火のために注水された消火液が、バッテリーパックの外部に流出されて周りの環境を汚染させないように、注水後に汚れた消火液を自体的に一時的に保管できるように構成されたバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0013】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、上端部に消火液が供給可能な注水穴と下端部に消火液が排出可能な少なくとも1本の排水口とを備えるバッテリーモジュールと、消火液を保持し、前記バッテリーモジュールの上部に配置され、前記注水穴を介して前記バッテリーモジュールに消火液を供給できるように構成された消火タンクユニットと、前記バッテリーモジュールの下方に配置され、前記バッテリーモジュールが地面から一定の高さに位置できるように前記バッテリーモジュールを支持するモジュールサポーターユニットと、を含み、前記モジュールサポーターユニットは、前記排水口を介して前記バッテリーモジュールから落下する消火液を収容する汚染水貯蔵容器を備えるバッテリーパックが提供され得る。
【0015】
前記バッテリーモジュールは、それぞれ前記注水穴を備える第1のバッテリーサブモジュールと第2のバッテリーサブモジュールとを含み、前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールは、それぞれの前記注水穴を介して前記消火タンクユニットからそれぞれ別々に消火液が供給できるように構成され得る。
【0016】
前記バッテリーモジュールは、前記第1のバッテリーサブモジュールの下部及び前記第2のバッテリーサブモジュールの下部を一体に覆うモジュールコネクトボトムカバーを含み得る。
【0017】
前記排水口は、前記第1のバッテリーサブモジュールの底面に設けられる第1の排水口と、前記第2のバッテリーサブモジュールの底面に設けられる第2の排水口と、前記モジュールコネクトボトムカバーの底面に設けられる第3の排水口と、を含み得る。
【0018】
前記第3の排水口は、前記モジュールコネクトボトムカバーの底面において、前記第1のバッテリーサブモジュールの底面と対応する位置に配備される第3_1の排水口と、前記第2のバッテリーサブモジュールの底面と対応する位置に配備される第3_2の排水口と、を含み得る。
【0019】
前記モジュールコネクトボトムカバーは、前記第1の排水口から落下した消火液は前記第3_2の排水口に移動しないように、かつ、前記第2の排水口から落下した消火液は前記第3_1の排水口に移動しないように、前記モジュールコネクトボトムカバーの底面において前記消火液の移動経路を制限する遮断壁を含み得る。
【0020】
前記第1の排水口及び前記第2の排水口は、メッシュフィルターを含み得る。
【0021】
前記モジュールサポーターユニットは、前記排水口と連通する1本以上の通孔を備え、前記バッテリーモジュールが天面に載置可能に設けられる棚部と、前記棚部を地面から離れるように支持するレッグ部を備えるスタンドブラケットと、を含み、前記汚染水貯蔵容器は、前記棚部の下部に配置されて前記通孔を介して落下する消火液が収容可能であり、前記スタンドブラケットに着脱可能に設けられ得る。
【0022】
前記棚部は、格子状の(grating)構造からなり得る。
【0023】
前記棚部は、前記通孔から上方向に突出したモジュール接続ポートを備え、前記モジュール接続ポートが前記バッテリーモジュールの前記排水口に締まり嵌めにより結合され得る。
【0024】
前記消火タンクユニットは、前記注水穴を介して噴出される高温のガス又は火炎に反応して熱的事象が生じた前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールのうちの少なくともどちらか一方に消火液が選択的に供給されるように構成され得る。
【0025】
前記消火タンクユニットは、前記消火液を収容できるように設けられたタンク本体と、一方の側は前記タンク本体の内部と連通するように結合され、他方の側は前記タンク本体の下部に突出した複数の吐出部材と、を含み得る。
【0026】
前記吐出部材は、1つずつ前記第1のバッテリーサブモジュールの注水穴及び前記第2のバッテリーサブモジュールの注水穴に少なくとも一部分が挿し込まれるように配置され、高温ないし衝撃により破損されて前記タンク本体の消火液が吐き出されるように構成され得る。
【0027】
前記吐出部材は、ガラスバルブ、プラスチック、又はビニール材質を含み得る。
【0028】
前記第1のバッテリーサブモジュールと前記第2のバッテリーサブモジュールは、それぞれ、バッテリーセルを収容可能な内部空間を有するように中空構造に設けられたミドルケースと、前記注水穴を備え、前記ミドルケースの上端部に結合されるトッププレートと、前記排水口を備え、前記ミドルケースの下端部に結合されるボトムプレートと、を含み得る。
【0029】
前記バッテリーパックは、前記消火タンクユニットの上部に配置され、前記バッテリーモジュールに含まれているバッテリーセルへの充放電を制御する制御モジュールを含み得る。
【0030】
本発明の他の態様によれば、上述したバッテリーパックを含むエネルギー貯蔵システムが提供され得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、安全性が向上したバッテリーパックが提供されることが可能になる。
【0032】
特に、本発明の一実施形態によれば、バッテリーパックの内部において熱的事象が生じるとしても、このような熱的事象が速やかに制御されることが可能になる。
【0033】
また、本発明によれば、熱的事象が生じたときに注水されて汚れた消火液を汚染水貯蔵容器に溜めておくことができて、汚染水が下水道などに流れ込んでしまうことを防ぐことができる。
【0034】
さらに、バッテリーパックに含まれている複数のバッテリーセルのうちの一部のバッテリーセルにおいてベントガスなどが生じた場合、消火液を注入することで、当該バッテリーセルの温度が速やかに下がるようにすることができる。
【0035】
したがって、本発明のこのような側面によれば、熱やベントガスによって他のバッテリーセルに熱暴走状況などが伝搬されたり火事が起きたりすることを効果的に防ぐことができる。
【0036】
また、本発明の一側面によれば、熱的事象の生じたバッテリーサブモジュールから熱的事象の生じていないバッテリーサブモジュールへとベントガスが転移されることを防ぐことができ、熱的事象の生じた側に対応する(消火タンクの)ガラスバルブのみが割れて消火液が熱的事象の生じたバッテリーサブモジュールにのみ供給されるようにすることができる。
【0037】
したがって、本発明のこのような側面によれば、複数のバッテリーモジュールのうち、熱的事象の生じたバッテリーサブモジュールに対して集中的かつ効果的な火事の鎮圧を行うことが可能になる。
【0038】
さらに、本発明のこのような側面によれば、事象が生じていないバッテリーサブモジュールは使用し続けることが可能であることから、効率的である。
【0039】
これらに加えて、本発明の色々な実施形態によって色々な他のさらなる効果をなし遂げることができる。このような本発明の色々な効果については各実施形態の欄において説明したり、当業者が容易に理解可能な効果については当該説明を省略したりする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1のバッテリーパックの主部の分解斜視図である。
図3図2のバッテリーモジュールの主部の分解斜視図である。
図4図2のバッテリーモジュールからモジュールコネクトボトムカバーを取り外して第1及び第2のバッテリーサブモジュールの下部を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの下端部に関する一部切欠斜視図である。
図6】本発明の一実施形態によるモジュールサポーターユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図7図6のスタンドブラケットとそこに載置されたバッテリーモジュールの一部分を示す図である。
図8図1のバッテリーパックの一部切欠斜視図である。
図9図8のA領域の拡大図である。
図10図6と対応する図であって、モジュールサポーターユニットの変形例を示す図である。
図11図9と対応する図であって、図10のモジュールサポーターユニットとバッテリーモジュールの一部を切り欠いて示す図である。
図12】本発明の一実施形態による消火タンクユニットの下部を概略的に示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態による消火タンクユニットにより第1及び第2のバッテリーサブモジュールに消火液が投入可能な構成を概略的に示す部分切欠図である。
図14図2の制御モジュールの概略的な下部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0042】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1のバッテリーパックの主部の分解斜視図であり、図3は、図2のバッテリーモジュールの主部の分解斜視図である。
【0044】
図1から図2を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、バッテリーモジュール100と、消火タンクユニット200と、制御モジュール300及びモジュールサポーターユニット400を含む。
【0045】
前記バッテリーモジュール100は、バッテリーセルを備え得る。ここで、バッテリーセルは、二次電池を意味することがある。二次電池は、電極組立体、電解質及び電池ケースを備え得る。前記二次電池は、外形的に、パウチ型二次電池、円筒型二次電池又は角型電池の形状に作製されたものであり得る。
【0046】
また、前記バッテリーモジュール100は、バッテリーセルと前記バッテリーセルを収容するためのモジュールケースを備え得る。特に、モジュールケースは、内部に空いた空間(空きスペース)を備えて、前記空いた空間に複数のバッテリーセルを収容できるように設けられ得る。ここで、前記モジュールケースは、その上端部の少なくとも一部が開かれた形状に設けられた注水穴G1、G2を備え得る。また、前記モジュールケースは、前記注水穴G1、G2からバッテリーセルが位置している内部空間まで消火液が流れ込み可能なように構成され得る。
【0047】
特に、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2を含む。
【0048】
前記第1のバッテリーサブモジュールM1と前記第2のバッテリーサブモジュールM2は、それぞれ内部にバッテリーセルを収容していて、それぞれエネルギー貯蔵装置として機能することができる。
【0049】
例えば、第1及び第2のバッテリーサブモジュールM1、M2のうちのどちらか一方が作動不能の状態になるとしても、残りの他方は作動が可能であることから、効率よい運用を行うことができる。また、上記のようにバッテリーモジュール100を構成する場合、作動不能の状態であるバッテリーサブモジュールを取り替えたり、一部のみを取り外して修理したりすればよいという利点がある。のみならず、バッテリーセルが第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2とにそれぞれ分けられて収容されることにより、例えば、第1のバッテリーサブモジュールM1に収容されたバッテリーセルに熱的事象が生じた場合、第2のバッテリーサブモジュールM2に収容されたバッテリーセルに熱エネルギーが伝搬されることを抑えることができる。さらに、詳しくは後述するが、上記のような状況下で消火液が前記第1のバッテリーサブモジュールM1に供給され、前記第2のバッテリーサブモジュールM2には供給されないようにすることにより、熱的事象が生じていない第2のバッテリーサブモジュールM2を使用し続けることができるという長所がある。
【0050】
一方、この実施形態のバッテリーモジュール100は、2つのバッテリーサブモジュールM1、M2を含んでいるが、この実施形態とは異なり、バッテリーモジュール100は、3つ又は4つ以上のバッテリーサブモジュールを含むように構成されることも可能である。
【0051】
前記第1のバッテリーサブモジュールM1と前記第2のバッテリーサブモジュールM2は、それぞれ、モジュールケースを備える。前記モジュールケースは、図3に示すように、ミドルケース111と、トッププレート112及びボトムプレート113を含み得る。
【0052】
前記ミドルケース111は、バッテリーセルを収容可能な内部空間を有するように中空構造に設けられ得る。例えば、前記ミドルケース111は、一方の側面部が開かれた形状のケース本体111aと、前記ケース本体111aの開放部を覆うが、前記ケース本体にボルト締めされた部分又はスナップフィット結合された部分を結合解除して前記ケース本体から取り外し可能な蓋体板111bと、を含み得る。このようなミドルケース111は、ケース本体111aから蓋体板111bを取り外すことができて、例えば、バッテリーセルやその他の電装部品を収容し易いというメリットがある。
【0053】
トッププレート112は、前記ミドルケース111の上端の開放部に結合される構成要素であって、各バッテリーサブモジュールの上端部を形成する。前記トッププレート112は、注水穴G1、G2を含む。前記注水穴G1、G2は、熱的事象が生じたとき、消火タンクユニット200の消火液をモジュールケースの内部に供給するために設けられた構成要素である。この実施形態は、トッププレート112に2本の注水穴G1、G2が設けられているが、前記注水穴G1、G2は、1本であってもよいし、3本以上設けられてもよい。
【0054】
また、図2に示されるように、前記注水穴G1、G2は、第1のバッテリーサブモジュールM1及び第2のバッテリーサブモジュールM2にそれぞれ設けられる。したがって、前記第1のバッテリーサブモジュールM1と前記第2のバッテリーサブモジュールM2には、それぞれの前記注水穴G1、G2を介して消火タンクユニット200からそれぞれ別々に消火液が供給されることが可能になる。詳しくは後述するが、上記の構成によれば、例えば、第1及び第2のバッテリーサブモジュールM2のうちの第1のバッテリーサブモジュールM1にのみ熱的事象が生じる場合、前記第1のバッテリーサブモジュールM1に対して集中的かつ効果的な火事の鎮圧を行うことができる。また、事象が生じていない第2のバッテリーサブモジュールM2は使用し続けることができるというメリットがある。
【0055】
前記トッププレート112は、図3に示されるように、その周縁に沿って連なったシール部材140を備え得る。前記シール部材140は、例えば、シリコンや耐熱性に優れた素材から作製され得る。前記シール部材140は、トッププレート112の表面から上方に突出した形状に構成され得る。トッププレート112の上部に消火タンクユニット200が載置されたとき、前記シール部材140は、消火タンクユニット200の下面と接触してトッププレート112の上部が密封されることが可能になる。例えば、バッテリーセルにおいてベントガスが生じたとき、前記ベントガスが注水穴G1、G2を介してトッププレート112の上部に流れ出るとしても、トッププレート112の周縁が上述したように密封されていることから、トッププレート112の周縁の外側に漏れ出ないことができる。
【0056】
特に、第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2は、それぞれのトッププレート112に前記シール部材140を備える。したがって、第1のバッテリーサブモジュールM1の注水穴G1を介してトッププレート112の上に上がってきたベントガスは、周縁に沿って連なっているシール部材140に遮られて第2のバッテリーサブモジュールM2の注水穴G2への移動が遮断されることが可能になる。
【0057】
ボトムプレート113は、図3に示されるように、前記ミドルケース111の下端部に結合される構成要素であって、各バッテリーサブモジュールの底面を形成する。また、前記ボトムプレート113は、図4に示されるように、排水口130を含む。ここで、前記ボトムプレート113に配備される排水口130は、バッテリーモジュール100に配備される複数本の排水口130のうちの一部である。
【0058】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、複数本の排水口130を含み得る。例えば、図4に示されるように、前記排水口130は、前記第1のバッテリーサブモジュールM1の底面に設けられる第1の排水口131と、前記第2のバッテリーサブモジュールM2の底面に設けられる第2の排水口132と、を含む。
【0059】
また、前記第1の排水口131及び前記第2の排水口132は、1本以上が設けられ得、好ましくは、メッシュフィルターにより覆われ得る。前記メッシュフィルターは、火炎やパーティクル(バッテリーセルの発火に際して脱離された電極板又は活物質の破片など)の外部への流出を抑える役割を果たすことができる。また、前記メッシュフィルターは、僅かな水密性を有して消火液の外部への流出を遅らせてモジュールケースの内部に消火液が一定の時間の間に滞留可能に構成され得る。
【0060】
上記のように、バッテリーモジュール100は、排水口130を備えることにより、第1及び第2のバッテリーサブモジュールM2の内部に消火液が注水される場合、消火液が火事の鎮圧に用いられた後、前記第1の排水口131又は前記第2の排水口132を介してモジュールケースの下部に抜け出ることができる。のみならず、バッテリーセルにおいてベントガスが生じる場合、ベントガスが前記第1の排水口131又は前記第2の排水口132を介してバッテリーモジュール100の下部の方向に排出されることが可能になる。したがって、熱的事象が生じたとき、バッテリーモジュール100の内部の圧力が急激に上昇しないようにすることができる。そのため、上記の実施構成によれば、熱的事象が生じたときに圧力の上昇に伴うバッテリーモジュール100の崩壊ないし爆発が抑えられることが可能になる。
【0061】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、図2から図4に示すように、モジュールコネクトボトムカバー120をさらに含み得る。
【0062】
図3に示されるように、バッテリーモジュール100は、第1のバッテリーサブモジュールM1と、第2のバッテリーサブモジュールM2及びモジュールコネクトボトムカバー120からなる3つの構成品を含み得、前記3つの構成品を組み立てて図2に示すような形状に構成され得る。たとえば、バッテリーモジュール100は、第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2を相互間の側面部同士が対面するように密着させ、これらの下部にモジュールコネクトボトムカバー120を結合して前記第1及び第2のバッテリーサブモジュールM2が一気に固定できるように構成され得る。ここで、前記モジュールコネクトボトムカバー120は、前記第1のバッテリーサブモジュールM1の下部及び前記第2のバッテリーサブモジュールM2の下部を一体に覆うような形状に設けられ得る。
【0063】
このようなモジュールコネクトボトムカバー120によれば、第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2とが互いに匹離れずに安定して支持されることができ、モジュールサポーターユニット400の上部への載置が容易に行われる。
【0064】
また、前記モジュールコネクトボトムカバー120は、排水口130を含む。換言すれば、図4に示すような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100の排水口130は、モジュールコネクトボトムカバー120の底面120Bに設けられる第3の排水口133をさらに含む。
【0065】
特に、前記第3の排水口133は、前記モジュールコネクトボトムカバー120の底面120Bにおいて、前記第1のバッテリーサブモジュールM1の底面と対応する位置に配備される第3_1の排水口133a及び前記第2のバッテリーサブモジュールM2の底面と対応する位置に配備される第3_2の排水口133bを含み得る。
【0066】
このような前記第3の排水口133の構成によれば、第1のバッテリーサブモジュールM1の底面に設けられた第1の排水口131から落下した消火液は、前記第3_1の排水口133aを介してモジュールコネクトボトムカバー120の下に円滑に排出されることができ、第2のバッテリーサブモジュールM2の底面に設けられた第2の排水口132から落下した消火液は、前記第3_2の排水口133bを介してモジュールコネクトボトムカバー120の下に円滑に排出されることができる。
【0067】
さらに、図5に示すように、この実施形態によるモジュールコネクトボトムカバー120は、第1の排水口131から落下した消火液が第3_2の排水口133bに移動しないで第3_1の排水口133aに流れ、前記第2の排水口132から落下した消火液は、前記第3_1の排水口133aに移動しないで第3_2の排水口133bに流れるように、前記モジュールコネクトボトムカバー120の底面において前記消火液の移動経路を制限する遮断壁122を含み得る。
【0068】
より具体的には、第1及び第2のバッテリーサブモジュールM1、M2の底面とモジュールコネクトボトムカバー120の底面120Bとの間には、一定の量の消火液が溜められるバッファー空間が設けられ得る。前記バッファー空間は、図5において、前記遮断壁122を挟んでT1にて示された第1のバッファー空間とT2にて示された第2のバッファー空間とを含み得る。前記第1の排水口131と前記第3_1の排水口133aは、前記第1のバッファー空間の上部側及び下部側に位置し得、前記第2の排水口132と前記第3_2の排水口133bは、前記第2のバッファー空間の上部側及び下部側に位置し得る。
【0069】
このような実施構成において、例えば、消火液が第1のバッテリーサブモジュールM1の注水穴G1に注入される場合、前記消火液は、図5の矢印のように、第1のバッテリーサブモジュールM1の第1の排水口131を介してモジュールコネクトボトムカバー120に落下され得る。このとき、バッファー空間においては、消火液が前記遮断壁122により移動が制限されて第1の排水口131から落下した消火液(図5においてFWにて示される)は、第1のバッファー空間に溜まっていて、第3_1の排水口133aを介してモジュールコネクトボトムカバー120の下に抜け出ることになる。すなわち、熱的事象の生じた第1のバッテリーサブモジュールM1に注水されて汚れた消火液は、図5においてP1にて示されるように、第3_1の排水口133aを介してモジュールコネクトボトムカバー120の下に直ちに抜け出て第2のバッテリーサブモジュールM2側に汚れないことが可能になる。このように、モジュールコネクトボトムカバー120の下に排出された消火液は、最終的にモジュールサポーターユニット400の汚染水貯蔵容器420に落下することが可能になる。
【0070】
前記モジュールサポーターユニット400は、図1に示すように、バッテリーモジュール100の下方に配置され、前記バッテリーモジュール100が地面から一定の高さに位置できるように前記バッテリーモジュール100を支持する構成要素である。
【0071】
特に、前記モジュールサポーターユニット400は、バッテリーモジュール100を地面に対して離れるように支持する役割を果たすとともに、バッテリーモジュール100から落下する消火液を収容できるように構成され得る。
【0072】
具体的には、図6及び図7を参照すると、この実施形態によるモジュールサポーターユニット400は、バッテリーモジュール100の排水口130と連通する1本以上の通孔412を備え、前記バッテリーモジュール100が天面に載置可能に設けられる棚部411及び前記棚部411を地面から離れるように支持するレッグ部415を備えるスタンドブラケット410を含み得る。
【0073】
また、前記モジュールサポーターユニット400は、前記棚部411の下部に配置されて前記通孔412を介して落下する消火液を収容可能な汚染水貯蔵容器420を含み得る。前記汚染水貯蔵容器420は、好ましくは、前記スタンドブラケット410に着脱可能に設けられ得る。この場合、汚染水貯蔵容器420に汚れた消火液を溜めておき、安全な場所において廃棄処理を行うことが容易になる。
【0074】
棚部411は、排水可能でありながらも、バッテリーモジュール100の下部を安定的に支持可能な構成要素であって、例えば、格子状の構造(複数のスリット状の通孔412が並列配置された構造)に設けられ得る。レッグ部415は、棚部411を地面から離れるように支持可能な構造であれば、いかなる構造であっても構わない。そして、前記スタンドブラケット410は、バッテリーモジュール100の荷重に十分に耐え得る剛性の高い金属素材から作製され得る。
【0075】
汚染水貯蔵容器420は、概ね上部が開かれたボックスの形状に設けられ、バッテリーモジュール100から落下する消火液を受液できるように前記棚部411の下部に配置され得る。また、汚染水貯蔵容器420は、両側面部に係止金具421を備え、前記スタンドブラケット410は、内側に前記係止金具421と係合及び係脱可能な係止爪(図示せず)を備え得る。このような構成により、汚染水貯蔵容器420をスタンドブラケット410の内側に吊り下げて汚染水貯蔵容器420が棚部411の下部に位置するようにすることができる。
【0076】
図8は、図1のバッテリーパックの一部切欠斜視図であり、図9は、図8のA領域の拡大図である。
【0077】
次いで、図8及び図9を主として参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに注水された消火液の排水構造について簡略に説明する。
【0078】
図8にFWにて示されるように、消火タンクユニット200は、内部に消火液を保持することができる。前記消火液は、バッテリーモジュール100においてベントガスや火炎などの熱的事象が生じたとき、バッテリーモジュール100の内部に投入され得る。
【0079】
例えば、第1のバッテリーサブモジュールM1に熱的事象が生じた状況を想定すれば、消火タンクユニット200から消火液が吐き出され、このとき、前記消火液が前記第1のバッテリーサブモジュールM1の上端部に配備された注水穴G1を介して第1のバッテリーサブモジュールM1のモジュールケースの内部に投入され得る。この場合、熱やベントガスによってバッテリーセルの熱暴走状況などが伝搬されたり火事が起きたりすることを防ぐことができる。
【0080】
第1のバッテリーサブモジュールM1に投入された消火液は、例えば、図8において矢印にて示されたような経路に沿って落下してモジュールケースのボトムプレート113に辿り着き、第1の排水口131を通過して第1のバッテリーサブモジュールM1の下に再び落下することになる。
【0081】
その後、図9に矢印にて示されるように、モジュールコネクトボトムカバー120の底面120Bに消火液が溜まっていて、再びモジュールコネクトボトムカバー120の第3の排水口133のうちの第3_1の排水口133aを介してバッテリーモジュール100の下部に排出される。その後、バッテリーモジュール100の下部に排出された消火液は、棚部411の通孔412を通過して汚染水貯蔵容器420に落下して最終的に汚染水貯蔵容器420に貯留される。そのため、汚れた消火液がバッテリーパックの外部にむやみに流出されないことから、周りの環境が汚れてしまうことを防ぐことができる。
【0082】
図10は、図6と対応する図であって、モジュールサポーターユニット400の変形例を示す図であり、図11は、図9と対応する図であって、図10のモジュールサポーターユニット400とバッテリーモジュール100の一部分を切り欠いて示す図である。
【0083】
次いで、図10図11を参照して、本発明の一実施形態によるモジュールサポーターユニット400の変形例について簡略に説明する。
【0084】
前述した実施形態と同一の部材番号は同一の部材を示し、同一の部材についての重複する説明を省略し、以下、前述した実施形態との相違点に重点をおいて述べる。
【0085】
図10の実施構成によるモジュールサポーターユニット400は、図6の実施構成と比較したとき、棚部411にモジュール接続ポート413を含み、格子状の(graiting)構造が省略されたところに特徴があるといえる。
【0086】
前記モジュール接続ポート413は、棚部411を上下に貫通する通孔412から上方向に突出した形状に設けられ得る。また、前記モジュール接続ポート413は、図11に示すように、モジュールコネクトボトムカバー120の第3の排水口133に締まり嵌めにより結合されるように設けられ得る。すなわち、前記モジュール接続ポート413は、その位置に上下に対応する第3_1の排水口133a又は第3_2の排水口133bに締まり嵌めにより結合され得る。
【0087】
また、前記モジュール接続ポート413は、図11に示されるように、上狭下広(上部よりも下部の直径が大きい)の構造のヘッド部を備えて第3の排水口133に挿し込み易いものの、逆に抜き外し難いように設けられ得る。このようなモジュール接続ポート413のヘッド部には、ゴム材質などの弾性を有する素材が好適に使用可能である。
【0088】
このように、図10及び図11に示す実施構成によれば、汚れた消火液がバッテリーモジュール100の内部からモジュールサポーターユニット400の汚染水貯蔵容器420まで全く漏れることなく辿り着くことができる。また、前記モジュール接続ポート413がモジュールコネクトボトムカバー120の第3の排水口133に締まり嵌めにより結合されるようにすることで、モジュールサポーターユニット400の棚部411とバッテリーモジュール100とが互いに機構的に連結されることが可能になる。したがって、バッテリーモジュール100がより一層安定してモジュールサポーターユニット400に据え置かれることが可能になる。
【0089】
一方、本発明による消火タンクユニット200は、注水穴G1、G2を介して噴出される高温のガス又は火炎に反応して熱的事象の生じた前記第1のバッテリーサブモジュールM1と前記第2のバッテリーサブモジュールM2のうちの少なくともどちらか一方に消火液が選択的に供給されるように構成され得る。
【0090】
図12は、本発明の一実施形態による消火タンクユニット200の下部を概略的に示す斜視図であり、図13は、本発明の一実施形態による消火タンクユニット200により第1及び第2のバッテリーサブモジュールM2に消火液が投入可能な構成を概略的に示す部分切欠図である。
【0091】
図12及び図13を参照すると、消火タンクユニット200は、タンク本体210と、複数の吐出部材220及び前記タンク本体210を外部から保護し、バッテリーモジュール100の上部にタンク本体210をより一層安定して結合するためのタンクケースを含み得る。以下では、消火タンクユニット200の主な構成要素であるといえるタンク本体210と吐出部材220について詳しく説明する。
【0092】
前記タンク本体210は、消火液を収容可能な貯留空間を備え、特に、液体状態の消火液、すなわち、消火液がバッテリーモジュール100側に投入されないように一定のレベル以上の気密性を有するボックスの形状に設けられ得る。例えば、前記タンク本体210は、IP等級55以上の機密性能を有するように設けられ得る。また、前記タンク本体210は、消火液を補充できるように消火液注入口を備え得る。ここで、前記消火液注入口は、タンク本体210の天面部及び/又は側面部に配備され得る。
【0093】
前記複数の吐出部材220は、前記タンク本体210の消火液をバッテリーモジュール100に向かって噴射するための手段であって、一方の側は前記タンク本体210の内部と連通するように結合され、他方の側は前記タンク本体210の下部に突出するように設けられ得る。
【0094】
例えば、図12においてK2にて示された部分のように、タンク本体210の下部に接続ポートを含み得る。前記接続ポートは、外周縁にねじ山を備え得る。吐出部材220は、このような接続ポートに螺着及び螺脱可能に設けられ得る。
【0095】
また、前記吐出部材220は、吐出口221を備え、例えば、普段は前記吐出口221が閉塞されていて、熱や圧力により破損されることにより、吐出口221が開口されるように設けられ得る。たとえば、図12に示されるように、前記ガラスバルブ222は、高温ないし衝撃により破損されるように構成され得る。例えば、前記ガラスバルブ222は、バッテリーモジュール100から排出されたベントガスと接触する場合、ベントガスの熱と圧力により破損され得る。すると、吐出部材220の吐出口221が開口されてタンク本体210の内部の消火液がタンク本体210の外部に流出されることが可能になる。前記ガラスバルブ222の代案として、高温により溶融可能なプラスチックやビニール材質などが適用されることも可能である。
【0096】
前記消火タンクユニット200がバッテリーモジュール100の上部に配置されたとき、前記吐出部材220がバッテリーモジュール100の注水穴G1、G2に少なくとも1つずつ挿し込み可能なように構成され得る。すなわち、前記吐出部材220は、1つずつ前記第1のバッテリーサブモジュールM1の注水穴G1及び前記第2のバッテリーサブモジュールM2の注水穴G2に少なくとも一部分が挿し込まれて配置されるように構成され得る。
【0097】
より具体的には、図13を参照すると、第1のバッテリーサブモジュールM1と第2のバッテリーサブモジュールM2が前後方向(+/-Y方向)に配置された場合、その上部に位置している消火タンクユニット200にも第1の吐出部材B1と第1の吐出部材B2を備え得る。ここで、第1の吐出部材B1は、第1のバッテリーサブモジュールM1に対応するように第1のバッテリーサブモジュールM1の上部に配置され、第1の吐出部材B2は、第2のバッテリーサブモジュールM2に対応するように第2のバッテリーサブモジュールM2の上部に配置され得る。
【0098】
このような実施構成において、第1のバッテリーサブモジュールM1において熱的事象が生じた場合、ベントガスなどにより、第1の吐出部材B1が破損され得る。すると、第1の吐出部材B1から、タンク本体210の内部の消火液が排出されることが可能である。したがって、図13において矢印C1にて示されるように、第1の吐出部材B1を介して第1のバッテリーサブモジュールM1にのみ消火液が投入され、第2のバッテリーサブモジュールM2には消火液が投入されないことができる。
【0099】
逆に、第2のバッテリーサブモジュールM2において熱的事象が生じた場合、ベントガスなどにより、第1の吐出部材B2が破損され得る。すると、第1の吐出部材B2から、タンク本体210の内部の消火液が排出されることが可能である。したがって、図13において矢印C2にて示されるように、第1の吐出部材B2を介して第2のバッテリーモジュール100にのみ消火液が投入され、第1のバッテリーサブモジュールM1には消火液が投入されないことができる。
【0100】
本発明のこのような実施構成によれば、バッテリーサブモジュールごとに消火液が投入可能であることから、消火液による冷却や火事の鎮圧、熱の伝搬の防止などがより一層効果的に行われることが可能になる。
【0101】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、図1及び図2に示すように、消火タンクユニット200の上部に配置される制御モジュール300をさらに含み得る。
【0102】
前記制御モジュール300は、バッテリーパックの全般的な動作を制御することができる。特に、前記制御モジュール300は、バッテリーモジュール100と電気的に接続され得、バッテリーモジュール100の充電動作ないし放電動作を制御するように構成され得る。また、制御モジュール300は、バッテリーモジュール100やそこに含まれているバッテリーセル、又はその周辺環境に対して、各種の電気的、物理的、化学的な特性などを測定、演算、受信ないし制御するように構成され得る。例えば、制御モジュール300は、バッテリーセルやバッテリーモジュール100の電圧、電流、温度、充電状態(SOC:State Of Charge)、健全度や劣化状態(SOH:State Of Health)、内部抵抗などを測定ないし演算したり制御したりすることができる。
【0103】
前記制御モジュール300には、バッテリーモジュール100の管理のために、バッテリーモジュール100から動作電源が供給されることが可能である。また、制御モジュール300は、バッテリーモジュール100又は外部の他の装置と有線又は無線の通信網を介して各種のデータをやりとりすることができる。
【0104】
前記制御モジュール300は、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)、リレー、電流センサーなど多種多様な電装部品を備え得る。また、制御モジュール300は、このような電装部品を収容するための制御ハウジングを備え得る。
【0105】
また、前記制御モジュール300は、パック端子を備え得る。このようなパック端子は、バッテリーパックと外部の充電装置ないし放電装置と接続されるように構成され得る。例えば、パック端子は、商用電源又は負荷と接続されるためのコンセントやプラグ、コネクターなどを備え得る。また、制御モジュール300は、バッテリーモジュール100と充電電源及び放電電源を送受するための電源経路を備え得る。このような電源経路は、パック端子とバッテリーモジュール100との間において充放電電源を送受する経路として機能し得る。
【0106】
このために、バッテリーモジュール100は、図2においてE1にて示された部分のように、電気的な接続のためのモジュールコネクターE1が上部に設けられ得、制御モジュール300は、図14においてE2にて示された部分のように、電気的な接続のための制御コネクターE2が下部に設けられ得る。そして、消火タンクユニット200は、接続部材を備え得る。ここで、接続部材は、バッテリーモジュール100と制御モジュール300とを電気的に接続する構成要素である。前記接続部材は、バッテリーモジュール100に設けられたモジュールコネクターE1と制御モジュール300に設けられた制御コネクターとの間に介在して、これらを接続するように構成され得る。
【0107】
具体例として、前記接続部材は、電源ないし電気的な信号が移動できるように、一方向に長尺状に延びたケーブルの形状に消火タンクユニット200に内蔵され得る。前記接続部材は、ケーブルと前記ケーブルの両端に設けられるタンクコネクターを含み得る。例えば、接続部材は、図2において、消火タンクユニット200の上端に配置される第1のタンクコネクターE32を備え、前記第1のタンクコネクターE32は、制御コネクターE2とプラグイン方式により接続できるように構成され得る。また、接続部材は、消火タンクユニット200の下端に配置される第2のタンクコネクター(図示せず)を備え、前記第2のタンクコネクターは、モジュールコネクターE1とプラグイン方式により接続できるように構成され得る。
【0108】
上記のような実施構成によれば、制御モジュール300は、消火タンクユニット200の上部に載置されるだけでバッテリーモジュール100と電気的な接続が行われることが可能になる。
【0109】
また、バッテリーモジュール100と制御モジュール300との間から消火タンクユニット200を取り外し易くなる。したがって、消火タンクユニット200の取り替え、メンテナンスを行うことが必要となるとき、当該作業を行い易い。さらに、前記消火タンクユニット200を取り外し、バッテリーモジュール100の上部に制御モジュール300を配置してこれらを電気的に直接的に接続して用いることも可能である。
【0110】
一方、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、上述した本発明によるバッテリーパックを一つ以上含む。また、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、このようなバッテリーパックの他に、エネルギー貯蔵システムに含まれる通常の構成要素をさらに含み得る。特に、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、住宅やビルなどにおいてエネルギーを貯蔵するために用いられる住宅用の(建物用の)エネルギー貯蔵システムであり得る。
【0111】
以上、本発明については、たとえ限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明の技術的な思想はこれらにより何ら限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的な思想と下記に記載されるべき特許請求の範囲の均等な範囲内において様々な修正及び変形を加えて実施することが可能であるということはいうまでもない。
【0112】
一方、本明細書においては、上、下、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0113】
100 バッテリーモジュール
111 ミドルケース
111a ケース本体
111b 蓋体板
112 トッププレート
113 ボトムプレート
120 モジュールコネクトボトムカバー
120B 底面
122 遮断壁
130 排水口
131 第1の排水口
132 第2の排水口
133 第3の排水口
133a 排水口
133b 排水口
140 シール部材
200 消火タンクユニット
210 タンク本体
220 吐出部材
221 吐出口
222 ガラスバルブ
300 制御モジュール
400 モジュールサポーターユニット
410 スタンドブラケット
411 棚部
412 通孔
413 モジュール接続ポート
415 レッグ部
420 汚染水貯蔵容器
421 係止金具
B1 第1の吐出部材
B2 第1の吐出部材
C1 矢印
C2 矢印
E1 モジュールコネクター
E2 制御コネクター
E32 第1のタンクコネクター
G1 注水穴
G2 注水穴
M1 第1のバッテリーサブモジュール
M2 第2のバッテリーサブモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14