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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】安全性が向上したパウチ型電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20250611BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20250611BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/105
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023522888
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 KR2022014968
(87)【国際公開番号】W WO2023075190
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0148144
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ナ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・キョン・ユ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0000014(KR,A)
【文献】特開2015-049971(JP,A)
【文献】特開2010-186786(JP,A)
【文献】特開2019-133778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0129702(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0233722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/342
H01M 50/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極、分離膜、及び正極を含む電極組立体と、
前記電極組立体を収納することができるように空間部を形成するための下部ケース及び上部ケースから構成されたセルケースと、を含み、
前記セルケースの空間部には、セルケースの内圧増加の際、セルケースの破裂を誘導するための破裂誘導部が備えられており、
前記破裂誘導部は、所定の体積を有する立体形状を有し、
前記破裂誘導部は、前記負極、分離膜、及び正極の積層方向において、電極組立体と下部ケースの内側面との間及び電極組立体と上部ケースの内側面との間に一つ以上備えられ、
下部ケースの内側面と上部ケースの内側面とに備えられる前記破裂誘導部の配置構造が互いに異なり、
前記下部ケース及び上部ケースの前記破裂誘導部が配置された所は膨らむように突出した状態である、パウチ型電池セル。
【請求項2】
前記破裂誘導部は、コア部及び前記コア部を取り囲むコーティング部を含み、
前記コア部は金属材質からなり、前記コーティング部は非導電性材質の樹脂からなる、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項3】
前記破裂誘導部は、非導電性材質の樹脂からなる、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項4】
前記電極組立体が、最外殻から内側方向に向かって分離膜、負極、分離膜、及び正極の順に構成される場合、前記破裂誘導部は電極組立体の最外郭に位置する分離膜とセルケースの内面との間に位置する、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項5】
前記破裂誘導部は、前記最外郭に位置する分離膜及び/またはセルケースの内面に固定された状態である、請求項に記載のパウチ型電池セル。
【請求項6】
前記電極組立体が、最外殻から内側方向に向かって分離膜、負極、分離膜、及び正極の順に構成される場合、前記破裂誘導部は、電極組立体の最外郭に位置する分離膜と前記最外郭に位置する分離膜に隣接して位置する負極との間に位置する、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項7】
前記電極組立体が、最外殻から内側方向に向かって補助分離膜、分離膜、負極、分離膜、及び正極の順に構成される場合、前記破裂誘導部は、電極組立体の補助分離膜と前記補助分離膜に隣接して位置する分離膜との間に位置する、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のパウチ型電池セルを含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年11月1日付の韓国特許出願第2021-0148144号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は安全性が向上したパウチ型電池セルに関するものであり、より詳しくはケースの内部に破裂誘導部を備えることで、スウェリングの際の圧力を用いてケースの破裂を誘導し、さらに電池セルの前面及び後面を容易に識別することができる安全性が向上したパウチ型電池セルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、ノートブック型PC、デジタルカメラなどのモバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するのに伴い、充放電の可能な二次電池に関する技術が活発に研究されている。また、二次電池は大気汚染物質を発生させる化石燃料の代替エネルギー源であり、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)、及びエネルギー貯蔵デバイス(ESS)などに適用されている。
【0004】
現在広く使われる二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。
【0005】
このような二次電池は電極組立体及び電解液などが電池ケース内に収容されて形成されることが一般的であり、電池ケースの種類によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのセルケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類することができる。
【0006】
一方、二次電池は反復的充放電過程を伴う。この際、不可避に熱が発生し、場合によっては、短絡、熱衝撃、絶縁破壊などによって熱暴走(Thermal runaway)が起こって火災や爆発などの大きな事故につながることもある。
【0007】
すなわち、充放電過程において、正極から脱離したリチウムイオンが挿入することができる負極内部の空間が足りなくなり、リチウムイオンが負極の表面でリチウム金属として析出するか、電池製造過程で混入した金属成分不純物が再結晶化しながら分離膜を通して正極に接触するからである。
【0008】
特に、パウチ型電池セルは、円筒型電池や角型電池とは違い、電極組立体を取り囲むケースの厚さが薄く柔軟であるので、より注意を傾けなければならない。しかし、パウチ型電池セルは電極組立体を単純に密封する構造であるので、安全性を保障することができる確実な安全手段がない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許出願第2003-0097964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、パウチ型電池セルで熱暴走が発生するのに先立ち、ケースを破裂させることで、火災や爆発などの2次災害を防止することができる安全性が向上したパウチ型電池セルを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、電池モジュールや電池パックの製造の際、電池セルの前面及び後面を容易に識別して製造の迅速性及び正確性を高めることができる安全性が向上したパウチ型電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するための本発明によるパウチ型電池セルは、負極(110)、分離膜(120)、及び正極(130)を含む電極組立体(100)と、前記電極組立体(100)を収納することができるように空間部(S)を形成するための下部ケース(210)及び上部ケース(220)から構成されたセルケース(200)とを含み、前記セルケース(200)の空間部(S)には、セルケース(200)の内圧増加の際、セルケース(200)の破裂を誘導するための破裂誘導部(300)が備えられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)は、所定の体積を有する立体形状を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)は、コア部(311)及び前記コア部(311)を取り囲むコーティング部(312)を含み、前記コア部(311)は金属材質からなり、前記コーティング部(312)は非導電性材質の樹脂からなことを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)は、非導電性材質の樹脂からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)は、電極組立体(100)と下部ケース(210)の内側面との間及び/または電極組立体(100)と上部ケース(220)の内側面との間に一つ以上備えられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)が、電極組立体(100)と下部ケース(210)の内側面との間及び電極組立体(100)と上部ケース(220)の内側面との間に複数備えられる場合、下部ケース(210)の内側面と上部ケース(220)の内側面とに備えられる前記破裂誘導部300の配置構造が互いに異なることを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記下部ケース(210)及び/または上部ケース(220)の前記破裂誘導部(300)が配置された所は膨らむように突出した状態であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記電極組立体(100)が最外殻から内側方向に向かって分離膜(120)、負極(110)、分離膜(120)、及び正極(130)の順に構成される場合、前記破裂誘導部(300)は、電極組立体(100)の最外郭に位置する分離膜(120)とセルケース(200)の内面との間に位置することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記破裂誘導部(300)は、前記最外郭に位置する分離膜(120)及び/またはセルケース(200)の内面に固定された状態であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記電極組立体(100)が最外殻から内側方向に向かって分離膜(120)、負極(110)、分離膜(120)、及び正極(130)の順に構成される場合、前記破裂誘導部(300)は、電極組立体(100)の最外郭に位置する分離膜(120)と前記最外郭に位置する分離膜(120)に隣接して位置する負極(110)との間に位置することを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記電極組立体(100)が最外殻から内側方向に向かって補助分離膜(120’)、分離膜(120)、負極(110)、分離膜(120)、及び正極(130)の順に構成される場合、前記破裂誘導部(300)は、電極組立体(100)の補助分離膜(120’)と前記補助分離膜(120’)に隣接して位置する分離膜(120)との間に位置することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前述したパウチ型電池セルを含む電池パックを提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の安全性が向上したパウチ型電池セルによれば、セルケースの内部に破裂誘導部を備えることで、ケースの内部でスウェリング現象が発生するとき、ケースの迅速な破裂を誘導して火災や爆発などを予め防止することができるという利点がある。
【0025】
また、本発明の安全性が向上したパウチ型電池セルによれば、上部ケース及び下部ケースの内部に備えられる破裂誘導部の配置構造を異にすることで、電池セルの前面及び後面の識別が容易になり、電池モジュールや電池パックの組立の際、製造工程の迅速性及び正確性を向上させるのに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施例によるパウチ型電池セルの分解斜視図である。
図2図1に示すパウチ型電池セルの平面図である。
図3図1に示すパウチ型電池セルの一部をA-A’線に沿って切断した断面図である。
図4】本発明の第1実施例による破裂誘導部を例示する斜視図である。
図5】本発明の第1実施例による破裂誘導部の断面図である。
図6】本発明の第2実施例による二次電池の一部を切断した断面図である。
図7】本発明の第3実施例による二次電池の一部を切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願で、「含む」、「有する」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0028】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
以下、本発明による安全性が向上したパウチ型電池セルについて添付図面を参照して説明する。
【0030】
図1は本発明の第1実施例によるパウチ型電池セルの分解斜視図であり、図2図1に示すパウチ型電池セルの平面図であり、図3図1に示すパウチ型電池セルの一部をA-A’線に沿って切断した断面図である。
【0031】
本発明による安全性が向上したパウチ型電池セルは、電極組立体100、電極組立体100を収納するセルケース200、及び破裂誘導部300を含む。
【0032】
まず、セルケース200に収納される電極組立体100は、長いシート状の負極110と正極130との間に分離膜120を介在させてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型電極組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を間に介在した状態で積層される構造の単位セルから構成されるスタック型電極組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタック-フォルディング型電極組立体、または単位セルが分離膜を間に介在した状態で積層されて互いに付着されるラミネーション-スタック型電極組立体などからなることができるが、これらに限定されない。
【0033】
具体的には、負極110は、負極集電体に負極活物質及びバインダーが混合されたスラリーを塗布することで製造する。
【0034】
ここで、負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料;Si、SiO、SiOの単独またはこれらの混合物であるSi系材料などを使うことができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0035】
正極130は、正極集電体に正極活物質及びバインダーが混合されたスラリーを塗布することで製造する。
【0036】
ここで、正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物または1種またはそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0037】
一方、負極集電体及び正極集電体には、活物質が混合されたスラリーが塗布された部分とスラリーが塗布されていない無地部とから構成され、無地部を裁断して形成するかまたは無地部に別途の導電部材を超音波溶接などで連結して電極タブを形成する。
【0038】
このような電極タブには電極リード140がスポット(Spot)溶接などによって連結され、電極リード140の周囲には絶縁フィルム150が位置する。
【0039】
ここで、絶縁フィルム150は下部ケース210と上部ケース220とが熱融着するシーリング部に位置し、電極リード140をセルケース200に固定させる。
【0040】
したがって、電極組立体100で生成される電気が電極リード140を介してセルケース200に流れることを防止し、セルケース200のシーリングを維持する。一方、このような絶縁フィルム150は電気がよく通らない非導電性材質からなることが好ましく、一般的に電極リード140に付着しやすく厚さが比較的小さい絶縁テープを多く使っているが、これに限定されない。
【0041】
次に、セルケース200について説明する。
【0042】
セルケース200は下部ケース210と上部ケース220とから構成され、電極組立体100を収納することができるように、ポケット形状の空間部Sを備える。
【0043】
このようなセルケース200は、外部被覆層、金属層及び内部被覆層からなるラミネートシートを使い、電極組立体100を収容することができる空間部を形成する。
【0044】
内部被覆層は電極組立体100と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有していなければならず、また、外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち内部層同士熱接着されるシーリング部位は優れた熱接着強度を有していなければならない。
【0045】
このような内部被覆層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性が良いポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンアクリル酸、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これらに限定されず、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが一番好ましい。
【0046】
内部被覆層と接する金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0047】
そして、金属層の他側面には外部被覆層が備えられる。このような外部被覆層としては、電極組立体を保護するとともに耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートルを使うことができるが、これに限定されない。
【0048】
図面では下部ケース210と上部ケース220とが完全に分離された形状を取っているが、下部ケース210と上部ケース220とが一側縁部で連結された状態であることができ、また下部ケース210及び上部ケース220のうちのいずれか一方のケースは別途の空間部を有しないプレート状の平板構造を有することができる。
【0049】
次に、セルケース200の空間部Sに収納されている破裂誘導部300について説明する。
【0050】
破裂誘導部300は、スウェリングなどによってセルケース200の内圧が増加するとき、セルケース200がもっと脹れるように誘導してセルケース200を破裂させ、これにより、熱暴走が起きるのに先立ち、当該リードとの連結を遮断することで、火災や爆発などの2次被害を最小化するための構成である。
【0051】
図4は本発明の第1実施例による破裂誘導部を例示する斜視図である。図1図4を一緒に参照しながら説明すると、破裂誘導部300は所定の体積を有する立体形状を有することができる。
【0052】
例えば、丸い球形の球状、4個以上の平面からなる立体形状を成す多角柱状、円錐状、円錐台状、角錐台状、平面及び曲面からなる形状など、それ自体が体積を有するものであれば形状は特に限定されない。
【0053】
ここで、大きさは特に限定されないが、電極組立体100とセルケース200の内側面との間に位置しなければならないので、最大内径は6mm以下であることが良い。
【0054】
前記のような破裂誘導部300は、電極組立体100と下部ケース210の内側面との間、電極組立体100と上部ケース220の内側面との間、または電極組立体100と下部ケース210の内側面との間及び電極組立体100と上部ケース220の内側面との間の両方に備えられることが好ましく、複数で備えられることがより好ましい。
【0055】
特に、電極組立体100と下部ケース210の内側面との間及び電極組立体100と上部ケース220の内側面との間の両方に備えられ、かつ複数で備えられる場合には、下部ケース210の内側面と電極組立体100との間に位置する第1破裂誘導部310と、上部ケース220の内側面と電極組立体100との間に位置する第2破裂誘導部320との配置構造は互いに異なることがより好ましい。
【0056】
一般的に、電池モジュールは多数の電池セルを積層することで得られる。ここで、電池セルは所定の方向に沿って順次積層されなければならない。しかし、上部ケース及び下部ケースの両方に空間部が備えられたパウチ型電池セルの場合には、上部ケースの外形と下部ケースの外形とが似ているので、容易に確認することができない。
【0057】
しかし、上部ケース220の内側面及び下部ケース210の内側面に破裂誘導部300を備える場合、破裂誘導部300のそれ自体の体積によって下部ケース210及び上部ケース220の外側面は少し膨らむように突出することができる。さらに、各ケースの内側面に備えられる破裂誘導部300の配置構造が互いに異なるので、上部ケース220と下部ケース210とを肉眼で容易に確認することができ、積層工程が容易であるだけでなく、工程の正確性を高めることができる。
【0058】
図1及び図2において、一方では下部ケース210の内側面に所定の間隔で離隔した状態で横方向に2個及び縦方向に3個の計6個(2×3)の第1破裂誘導部310が備えられ、他方では上部ケース220の内側面に横方向に3個及び縦方向に2個の計6個(3×2)の第2破裂誘導部320が備えられたものを示しているが、これは一つの例示に過ぎず、破裂誘導部の個数及び配置構造は多様に変更することができるというのは明らかである。
【0059】
一方、図3は最外殻から内側方向に向かって分離膜120、負極110、分離膜120、及び正極130の順に構成された電極組立体100が収納された場合である。ここで、破裂誘導部300は電極組立体100の最外郭に位置する分離膜120とセルケース200の内面との間に位置することができる。
【0060】
エネルギー密度を高める目的で電極組立体100とセルケース200の内面との間には離隔空間がほとんどないので、別途の固定手段なしにも破裂誘導部300が固定された状態を維持することができる。しかし、所望の位置に確実に固定することができるように、公知の非導電性材質からなる接着剤を使って固定しても問題ない。もちろん、セルケース200のフォーミング工程の際、破裂誘導部300を一緒に形成することができるというのは明らかである。
【0061】
ここで、破裂誘導部300は電極組立体100と直接的に接触しなければならないので、電解液と化学的反応がないとともに非導電性材質であるポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリイミド樹脂からなることが好ましい。
【0062】
図5は本発明の第1実施例による破裂誘導部の断面図である。
【0063】
セルケース200の内圧によって破裂誘導部300がセルケース200の内側面と強く密着するとき、体積が減少することを最小化することができるように、第1破裂誘導部310は、コア部311とこれを取り囲むコーティング部312とから構成されることができる。
【0064】
ここで、コア部311はアルミニウムまたは金属材質からなることができ、コア部311と電極組立体100とが通電することができないように、コーティング部312は、非導電性材質であるポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリイミド樹脂からなることが好ましい。
【0065】
もちろん、第2破裂誘導部320も、第1破裂誘導部310と同様に、コア部とコーティング部とから構成されることができるというのは明らかである。
【0066】
図6は本発明の第2実施例による二次電池の一部を切断した断面図である。
【0067】
破裂誘導部300の位置のみ異なるだけで、残りの構成は図1図5を参照しながら説明した第1実施例と同様であるので、以下では異なる構成のみについて説明する。
【0068】
第2実施例は、最外郭から内側方向に向かって分離膜120、負極110、分離膜120、及び正極130の順に構成された電極組立体100が収納された場合である。ここで、第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320は、電極組立体100の最外郭に位置する分離膜120と最外郭に位置する分離膜120に隣接して位置する負極110との間に位置することができる。
【0069】
このような第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320は電極組立体100の製造過程中に挿入された状態であり、この場合、別途の固定手段なしに一緒に固定することができる。
【0070】
図6では第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320の付近が空隙を有しているものとして示しているが、これはこれらの破裂誘導部が位置する場所をより詳細に説明するためのものであり、負極110と分離膜120とは密着した状態を維持する。
【0071】
図7は本発明の第3実施例による二次電池の一部を切断した断面図である。
【0072】
破裂誘導部300の位置のみ異なるだけで、残りの構成は図1図5を参照しながら説明した第1実施例と同様であるので、以下では異なる構成のみについて説明する。
【0073】
第3実施例は、最外殻から内側方向に向かって補助分離膜120’、分離膜120、負極110、分離膜120、及び正極130の順に構成された電極組立体100が収納された場合である。ここで、第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320は電極組立体100の補助分離膜120’と補助分離膜120’に隣接して位置する分離膜120との間に位置することができる。
【0074】
補助分離膜120’は絶縁性を向上させる目的で最外郭に位置する分離膜120をもう一度取り囲むためのものであり、第2実施例と同様に、第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320は電極組立体100の製造過程中に挿入させることができ、別途の固定手段なしに一緒に固定することができる。
【0075】
また、図7でも第1破裂誘導部310及び第2破裂誘導部320の付近が空隙を有しているものとして示しているが、これはこれらの破裂誘導部が位置する場所をより詳細に説明するためのものであり、分離膜120と補助分離膜120’とは密着した状態である。
【0076】
このようなパウチ型電池セルは、複数が積層されて単一のバッテリーモジュールやバッテリーパックを成すことができ、またこれらは、電気自動車、エネルギー貯蔵装置などの各種のデバイスの電力供給源として使うことができる。
【0077】
上記で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にとってこのような具体的技術は好適な実施様態にすぎず、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者にとって明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求の範囲に含まれるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
100 電極組立体
110 負極
120 分離膜
120’ 補助分離膜
130 正極
140 電極リード
150 絶縁フィルム
200 セルケース
210 下部ケース
220 上部ケース
300 破裂誘導部
310 第1破裂誘導部
311 コア部
312 コーティング部
320 第2破裂誘導部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7