(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-10
(45)【発行日】2025-06-18
(54)【発明の名称】治療物質のための送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20250611BHJP
【FI】
A61M5/142
(21)【出願番号】P 2022562747
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021026988
(87)【国際公開番号】W WO2021211518
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2024-04-01
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521361176
【氏名又は名称】ブルーロック セラピューティクス エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ガードナー・マーハー
(72)【発明者】
【氏名】アンヘル・レオナルド・ゲレロ・パラシオ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・マルシャン
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-000144(JP,A)
【文献】特開2019-080927(JP,A)
【文献】米国特許第05817058(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療物質を送達するための送達デバイスであって、
ニードルルーメンを有するニードルと、
前記ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーと
を備え、
デバイスアクチュエータの作動が、前記ニードルが後退方向に移動することを引き起こし、かつ同時に、前記プランジャーが前記ニードルルーメンを通って展開方向に移動することを引き起こし、前記後退方向は、前記展開方向の反対である、送達デバイス。
【請求項2】
前記送達デバイスは、シャフトルーメンを有する外側シャフトをさらに備え、前記ニードルは、前記シャフトルーメンを通って移動するように構成されている、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項3】
前記デバイスアクチュエータの作動は、前記ニードルが前記外側シャフトに対して第1の距離を移動することを引き起こし、前記プランジャーが前記外側シャフトに対して第2の距離を移動することを引き起こし、前記第1の距離は、前記第2の距離とは異なる、請求項2に記載の送達デバイス。
【請求項4】
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも小さい、請求項3に記載の送達デバイス。
【請求項5】
前記送達デバイスは、
第1のネジ山付き通路と、
第2のネジ山付き通路と、
前記ニードルに取り付けられており、前記第1のネジ山付き通路の中に位置決めされている第1の並進スクリューと、
前記プランジャーに取り付けられており、前記第2のネジ山付き通路の中に位置決めされている第2の並進スクリューと
をさらに備え、
前記デバイスアクチュエータの作動は、前記第1のネジ山付き通路の回転および前記第2のネジ山付き通路の回転を引き起こし、それらは、前記第1の並進スクリューが前記第1のネジ山付き通路を通って並進することを引き起こし、前記第2の並進スクリューが前記第2のネジ山付き通路を通って並進することを引き起こす、請求項1~4のいずれか1項に記載の送達デバイス。
【請求項6】
前記第1のネジ山付き通路の前記回転は、第1の回転方向において起こり、前記第2のネジ山付き通路の前記回転は、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向において起こる、請求項5に記載の送達デバイス。
【請求項7】
前記第1のネジ山付き通路は、第1のネジ山数を有する第1のネジ山を有しており、前記第2のネジ山付き通路は、第2のネジ山数を有する第2のネジ山を有しており、前記第1のネジ山数と前記第2のネジ山数とは異なる、請求項6に記載の送達デバイス。
【請求項8】
前記第1のネジ山付き通路は、第1のネジ山の向きを有する第1のネジ山を有しており、前記第2のネジ山付き通路は、第2のネジ山の向きを有する第2のネジ山を有しており、前記第1のネジ山の向きと前記第2のネジ山の向きとは、互いに反対である、請求項5に記載の送達デバイス。
【請求項9】
前記デバイスアクチュエータを前記第1のネジ山付き通路に、及び任意選択で前記第2のネジ山付き通路に結合するギアシステムをさらに備える、請求項5に記載の送達デバイス。
【請求項10】
前記ギアシステムは、太陽ギアおよび複数の遊星ギアを含む遊星ギアシステムを含み、前記遊星ギアは、キャリアの上に回転可能に装着されており、
前記太陽ギアは、前記デバイスアクチュエータおよび前記第2のネジ山付き通路に結合されており、前記キャリアは、前記第1のネジ山付き通路に結合されている、請求項9に記載の送達デバイス。
【請求項11】
前記デバイスアクチュエータを前記プランジャーおよび前記ニードルに接続するギアシステムをさらに備える、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項12】
前記ギアシステムは、太陽ギアおよび複数の遊星ギアを有する遊星ギアシステムを含み、前記遊星ギアは、キャリアに回転可能に装着されており、
前記太陽ギアは、前記デバイスアクチュエータに取り付けられており、前記プランジャーに結合されており、前記キャリアは、前記ニードルに結合されている、請求項11に記載の送達デバイス。
【請求項13】
前記ニードルルーメンは、その長さの全体にわたり一定の直径を有している、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項14】
前記デバイスアクチュエータはデバイスハウジングに対して回転可能に装着されており、前記デバイスアクチュエータの回転は、前記プランジャーが前記ニードルルーメンを通って移動することを引き起こす、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項15】
前記デバイスアクチュエータは、前記プランジャーの延在方向と平行である回転軸線を有している、請求項14に記載の送達デバイス。
【請求項16】
前記デバイスアクチュエータの複数の完全な回転が、最大送達体積を実現するために必要とされる、請求項14に記載の送達デバイス。
【請求項17】
前記太陽ギアおよび前記デバイスアクチュエータは、単一の部品として一体的に形成されている、請求項10に記載の送達デバイス。
【請求項18】
前記ニードルは、送達端部およびシャフトを有し、前記ニードルルーメンは前記シャフトを通って延在し、前記プランジャーは前記ニードルルーメンを通って移動するように構成されており、
前記ニードルは、前記シャフトの中にベントをさらに含み、前記ベントは、前記送達端部から離間されている、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項19】
前記プランジャーは、前記ベントを通じた流体連通が開いている第1の位置を有しており、前記プランジャーは、前記ベントを通じた流体連通が閉じられている第2の位置を有している、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項20】
前記デバイスアクチュエータの作動は、前記プランジャーを展開方向に移動させ、前記ベントを通じた流体連通を閉じる、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項21】
前記ベントは、前記シャフトの壁部を通って延在する貫通孔である、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項22】
フラッシングポートと、
前記ニードルを取り囲む外側シャフトであって、前記外側シャフトは、開口部を有している、外側シャフトと、
前記フラッシングポートと前記外側シャフトの前記開口部との間の流体連通を制御するバルブと
をさらに備える、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項23】
前記送達デバイスの中へロードされる治療物質をさらに備え、前記治療物質は、前記ニードルルーメンの中に完全に含有されている、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項24】
送達される投与量を示す指標を有するインジケータであって、前記インジケータは、前記デバイスアクチュエータに機械的に結合されており、それにより、前記デバイスアクチュエータの作動が、前記インジケータの前記指標が電気の入力なしに物理的に移動することを引き起こす、インジケータをさらにを備える、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項25】
前記インジケータを前記デバイスアクチュエータに機械的に結合するギアシステムをさらに備える、請求項24記載の送達デバイス。
【請求項26】
送達デバイスの中へ治療物質をロードする方法であって、
前記送達デバイスは、ニードルルーメンを有するニードルと、前記ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーと、を備え、第1の方向へのデバイスアクチュエータの作動が、前記ニードルが後退方向に移動することを引き起こし、かつ同時に、前記プランジャーが前記ニードルルーメンを通って、前記後退方向とは反対である展開方向に移動することを引き起こし、
前記方法は、
前記ニードルの送達端部を通じて
前記ニードルルーメンの中へ前記治療物質を移動させるステップと、
前記治療物質が前記ニードルルーメンの中へ移動されるときに、前記ニードルの中のベントを通じて前記ニードルルーメンから外へ空気をベントするステップと、
前記治療物質が前記ニードルルーメンの中へ移動された後に、前記ベントを通じた流体連通を閉じるステップと
を含む、方法。
【請求項27】
前記ニードルルーメンの中へ前記治療物質を移動させるためにポンプを起動するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記治療物質を保持するホルダーに前記ニードルの前記送達端部を接続するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ベントを通じた流体連通を閉じる前記ステップは、前記ニードルルーメンの中のプランジャーを移動させて、前記ベントをカバーするステップであって、前記ベントは、前記ニードルの壁部に開口部を含む、ステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ニードルを取り囲む外側シャフトをフラッシング流体によってフラッシングすることによって、前記送達デバイスをプライミングするステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月14日に出願された米国仮出願第63/009,572号の利益を主張する。米国仮出願第63/009,572号の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
開示されている実施形態は、送達デバイスおよび関連する使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
治療物質は、さまざまな方法を通じて患者に投与される。経口ルート、吸入ルート、局所ルート、血管内ルート、筋肉内ルート、皮下ルート、腹腔内ルート、直腸/膣ルート、経腔的ルート、および、より組織特有のルート(たとえば、髄腔内ルート、脳室内ルート、および関節内ルート)を含む、さまざまな投与のルートが可能である。
【0004】
細胞ベースの治療薬は、一般に、従来の送達デバイス、たとえば、ニードルおよびシリンジ、またはバルーン拡張カテーテルなどを使用して投与される。皮膚または粘膜を通した細胞ベースの治療薬の注入は、身体の防御バリアのうちの一部をバイパスすることを助けることが可能であり、特定の部位への細胞ベースの治療薬の送達を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスアクチュエータと、ニードルルーメンを有するニードルと、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーとを含むことが可能である。デバイスアクチュエータの作動は、ニードルがシャフトルーメンを通って後退方向に移動することを引き起こすことが可能であり、プランジャーがニードルルーメンを通って展開方向に移動することを引き起こすことが可能であり、後退方向は、展開方向の反対である。
【0006】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスアクチュエータと、シャフトルーメンを有する外側シャフトと、ニードルルーメンを有するニードルとを含むことが可能である。ニードルは、外側シャフトルーメンを通って移動するように構成され得る。また、送達デバイスは、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーを含むことが可能である。デバイスアクチュエータの作動は、ニードルが外側シャフトに対して第1の距離を移動することを引き起こすことが可能であり、プランジャーが外側シャフトに対して第2の距離を移動することを引き起こすことが可能であり、第1の距離は、第2の距離とは異なる。
【0007】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスハウジングと、デバイスハウジングに対して回転可能に装着されているデバイスアクチュエータと、ニードルルーメンを有するニードルと、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーとを含むことが可能である。デバイスアクチュエータの回転は、プランジャーがニードルルーメンを通って移動することを引き起こすことが可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、送達デバイスを通じて物質を送達する方法が提供される。方法は、少なくとも10回の完全な回転だけデバイスアクチュエータを回転させ、ニードルの出口部を通したある体積の物質の送達を結果として生じさせるステップであって、体積は、1マイクロリットル以上、50マイクロリットル以下である、ステップを含むことが可能である。
【0009】
いくつかの実施形態において、送達デバイスの中へ細胞をロードする方法が提供される。方法は、ニードルの送達端部を通じてニードルルーメンの中へ細胞を移動させるステップと、細胞がニードルルーメンの中へ移動されるときに、ニードルの中のベントを通じてニードルルーメンから外へ空気をベントするステップと、細胞がニードルルーメンの中へ移動された後に、ベントを通じた流体連通を閉じるステップとを含むことが可能である。
【0010】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスハウジングと、ニードルとを含むことが可能である。ニードルは、送達端部と、シャフトと、シャフトを通って延在するニードルルーメンとを含むことが可能である。また、送達デバイスは、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーを含むことが可能である。また、ニードルは、シャフトの中のベントを含むことが可能であり、ベントは、送達端部から離間されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスアクチュエータと、シャフトルーメンを有する外側シャフトと、ニードルルーメンを有するニードルとを含むことが可能である。ニードルルーメンは、0.1mmから0.7mmの間(0.1mmおよび0.7mmを含む)の直径を有することが可能であり、ニードルは、シャフトルーメンを通って移動するように構成され得る。また、送達デバイスは、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーであって、プランジャーは、外側シャフトに対して少なくとも100mmの進行距離を有している、プランジャーを含むことが可能である。
【0012】
いくつかの実施形態において、送達デバイスを通じて細胞を送達する方法が提供される。方法は、送達デバイスのニードルをターゲット部位に移動させ、ターゲット部位におけるある体積の空間をニードルによって占有するステップを含むことが可能である。また、方法は、デバイスアクチュエータを作動させ、ニードルが上記体積の空間から後退することを引き起こし、プランジャーがニードルのニードルルーメンを通って上記体積の空間に向けて移動することを引き起こすステップと、ニードルが上記体積の空間から後退するときに、上記体積の空間の中へ細胞を同時に送達するステップとを含むことが可能である。
【0013】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスアクチュエータと、ニードルルーメンを有するニードルと、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーと、送達される投与量を示す指標を有するインジケータとを含むことが可能である。インジケータは、デバイスアクチュエータに機械的に結合され得、それによりデバイスアクチュエータの作動が、インジケータの指標が電気の入力なしに物理的に移動することを引き起こす。
【0014】
いくつかの実施形態において、送達デバイスが提供される。送達デバイスは、デバイスハウジングと、ニードルルーメンを有するニードルとを含むことが可能である。ニードルルーメンは、その長さの全体にわたり一定の直径を有することが可能である。また、送達デバイスは、ニードルルーメンを通って移動するように構成されているプランジャーと、ニードルルーメンの中に完全に含有されている治療物質とを含むことが可能である。
【0015】
本開示はこの点に関して限定されないので、先述の概念、および、下記に議論されている追加的な概念は、任意の適切な組み合わせで配置され得ることが認識されるべきである。さらに、本開示の他の利点および新規な特徴は、添付の図とともに考えられるときに、さまざまな非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
添付の図面は、縮尺通りに描かれるように意図されていない。図面において、さまざまな図に図示されているそれぞれの同一のまたはほぼ同一のコンポーネントは、同様の数字によって表され得る。明確にする目的のために、すべてのコンポーネントが、すべての図面においてラベル付けされているとは限らない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】治療物質の注入の間に治療物質の逆流を生成させる送達デバイスの概略図である。
【
図2】
図1の送達デバイスによって経験される潜在的な逆流問題が低減され得る、本明細書で説明されている態様による送達デバイスの1つの実施形態の概略図である。
【
図3A】送達デバイスの1つの実施形態の斜視図である。
【
図3B】送達デバイスのカニューレ部分の詳細図を伴う、
図3Aの送達デバイスの1つの実施形態の部分的な切り欠き図である。
【
図4A】送達デバイスのプランジャーを示すためにニードルが幻影線で示された状態の、送達デバイスのニードルの斜視図である。
【
図4B】プランジャーシールを有する、
図4Aのプランジャーの概略図である。
【
図4C】送達デバイスのカニューレ部分の内側に後退可能に配置されている、送達デバイスの別の実施形態のニードルの斜視図である。
【
図5】ニードルに接続されている送達デバイスの1つの実施形態のニードル並進スクリューの部分的な切り欠き図である。
【
図6】プランジャーに接続されている送達デバイスの1つの実施形態のプランジャー並進スクリューの部分的な切り欠き図である。
【
図7A】送達前構成にある、
図3Aの送達デバイスの部分的な切り欠き図である。
【
図7B】送達後構成における、
図7Aの送達デバイスを示す図である。
【
図8】送達デバイスの1つの実施形態の遊星ギアシステムの斜視図である。
【
図9】いくつかのコンポーネントが視界から隠された状態の、
図8の遊星ギアシステムの別の斜視図である。
【
図10A】1つの実施形態による、ローディングプロセスを経験している送達デバイスの断面図である。
【
図10B】1つの実施形態による、フラッシングプロセスを経験している、
図10Aの送達デバイスの断面図である。
【
図10C】ロードおよびプライミングされた状態にある、
図10Bの送達デバイスの断面図である。
【
図11】1つの実施形態によるインジケータアッセンブリの斜視図である。
【
図12】1つの実施形態による、送達デバイスとともに使用するための定位フレームを示す図である。
【
図13】1つの実施形態による、使用のために送達デバイスを準備およびプライミングするための方法のフローチャートである。
【
図14】1つの実施形態による、送達デバイスを使用するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの従来の送達デバイスでは、送達デバイスが、組織の中へ挿入され、ターゲット部位に到達し、治療物質が、送達デバイスから外にターゲット部位の中へ吐出され、次いで、送達デバイスが、ターゲット部位から引き抜かれる。より詳細に下記に議論されているように、これらの従来の送達デバイスのうちのいくつかは、治療物質がターゲット部位の中へ注入されるときに、ターゲット部位から外への治療物質の望まれない逆流を経験することを本発明者らは認識した。また、いくつかの従来の細胞送達デバイスでは、デバイスの中に保持されている流体溶液の中に提供されている細胞が、「細胞沈降」効果を経験し、「細胞沈降」効果では、細胞が、たとえば、重力に起因して、デバイスの中で凝集する可能性があることを本発明者らは認識した。細胞沈降は、不均一な濃度の細胞の送達を結果として生じさせる可能性があり、そして、それは、細胞播種密度(cell seeding density)の変動を引き起こす可能性がある。また、いくつかの従来の送達デバイスは、ユーザーが治療物質を迅速に吐出することを制限しないことを本発明者らは認識した。速い吐出レートは、治療物質に対して有害な影響を有する可能性があることを本発明者らは認識した。たとえば、細胞送達では、速い吐出レートは、たとえば、剪断応力を通した細胞への損傷に起因して、細胞生存率を減少させる可能性がある。また、速い吐出レートは、不必要な組織外傷を引き起こす可能性があることを本発明者らは認識した。いくつかの従来の送達デバイスでは、治療物質が、デバイスの中へバックロードされる。また、バックローディングは、治療物質が、デバイスの送達端部に到達する前に、デバイスを通る長い経路を横断することを必要とする可能性があることを本発明者らは認識した。長い進行距離に起因して、治療物質のうちのいくつかは、送達される代わりに、送達デバイスの経路の中に捕捉されたままである可能性があり、治療物質の浪費を結果として生じさせる可能性がある。そのうえ、いくつかの従来のデバイスでは、経路は、直径の変化を含むことが可能であり、および/または、滑らかでない移行を含む可能性があり、そのいずれもが、治療物質を有害な影響にさらす可能性がある。
【0019】
本発明者らは、従来の送達デバイスの上記に説明された問題のうちのいくつかまたはすべてに対処する送達デバイスに対する必要性を認識した。
【0020】
本明細書で説明されているいくつかの実施形態は、容積移送式構成を介して治療物質を送達する送達デバイスを含み、容積移送式構成では、プランジャーが、ニードルルーメンを通って移動し、ニードルから外へ治療物質を吐出する。いくつかの実施形態において、送達されることとなる治療物質は、細胞、または、特定の直径を有する他の粒子である。しかし、治療物質は、細胞または粒子に限定されないことが認識されるべきである。以降で議論されている場所ではどこでも、「細胞」は、適宜、任意の他の治療物質と置換され得る。
【0021】
1つの態様によれば、送達デバイスは、ターゲット部位の中への治療物質の注入の間に、ターゲット部位から外への治療物質の逆流を低減させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ニードルは、プランジャーが前進している間に後退するように配置され得る。ニードルは、治療物質のために組織の中にキャビティーを生成させることが可能である。治療物質がニードルから吐出されるときに、ニードルが後退され、それによって、治療物質が存在するためのある体積の空間を、生成されたキャビティーの中に提供する。
【0022】
図1は、外側カニューレ410およびニードル500を有する送達デバイス400を介したこの逆流概念を図示している。送達デバイスの外側カニューレ410およびニードル500が、組織210の中へ挿入されており、ニードル500が、組織210の中にキャビティー211を形成している。治療物質180が、ターゲット部位215に送達されている。ターゲット部位215はニードル500によって占有されているので、治療物質180は、(ターゲット部位215を占有する代わりに)組織キャビティー211と送達デバイス400との間を上向き183に押し上げられ得る。
【0023】
それとは対照的に、
図2は、本明細書で説明されている態様による送達デバイスの1つの実施形態の概略図であり、そこでは、上記に説明されている潜在的な逆流問題が低減され得る。送達デバイスは、外側シャフト40と、外側シャフト40の中を移動可能なニードル50と、ニードル50の中を移動可能なプランジャー60とを含む。プランジャー60が遠位方向に前進201し、ニードル50から外へターゲット部位215に向けて治療物質180を排出させるとき、ニードル50は、キャビティー211から外へ近位方向に同時に後退202することが可能である。理論によって拘束されることを望まないが、ニードルから治療物質を排出させる間のニードルの引き抜きは、治療物質が占有するためのある体積の空間を生成させることが可能であり、ターゲット部位215から外への治療物質の逆流を低減させることを助けることが可能である。
【0024】
1つの態様によれば、送達デバイスは、ニードルルーメンの中の細胞沈降または粒子沈降を低減させることを助けるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ニードルルーメンの直径は、1mm未満である。いくつかの実施形態において、ニードルルーメン直径と細胞または粒子の直径との比は、100:1未満である。
【0025】
1つの態様によれば、送達デバイスは、ユーザーが治療物質の吐出レートを制御するのを助けるように構成され得る。いくつかの治療物質(たとえば、特定のタイプの細胞など)では、より遅い吐出レートは、細胞に対する剪断または他の有害な影響を低減させることを助けることが可能であり、それは、送達される細胞のより高い生存率を結果として生じさせることが可能である。また、より遅い吐出レートは、脳組織外傷のリスクを低減させることが可能である。いくつかの実施形態において、デバイスアクチュエータは、ロータリーアクチュエータである。いくつかの実施形態において、ロータリーアクチュエータの複数の完全なターンが、合計ターゲット体積を送達するために必要とされる。
【0026】
1つの態様によれば、送達デバイスは、投与量保証を改善するように構成され得る。いくつかの実施形態において、治療物質は、ニードルルーメンの中に含有されており、ニードルルーメンは、比較的に小さく、一定の直径を有している。細胞のケースでは、そのような配置は、細胞がその流体溶液と連動して移動することを助けることが可能であり、それは、細胞のより大きい部分の送達を保証することを助けることが可能である。いくつかの実施形態において、そのような配置は、細胞沈降を低減させることを助けることが可能である。
【0027】
1つの態様によれば、送達デバイスは、送達デバイスの中へ物質をロードする間に生じる可能性のある治療物質の廃棄物を低減させることを助けるように構成され得る。物質がその中にバックロードされるいくつかの送達デバイスでは、デバイスのローディング端部からデバイスの吐出端部へ必要とされる長い進行距離に起因して、物質の一部分が失われる可能性があることを本発明者らは認識した。その代わりに送達デバイスをフロントロードすることが、治療物質の廃棄物を低減させることを助けることが可能であることを本発明者らは認識した。したがって、いくつかの実施形態において、送達デバイスは、治療物質によってフロントロードされるように構成されている。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、フロントローディングを可能にするためのエアベント構成を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、ターゲット部位の中への空気の注入を防止するために、使用の前に送達デバイスから空気を除去するために、治療物質がロードされた後にシステムをプライミングするための配置を含むことが可能である。
【0028】
1つの態様によれば、送達デバイスは、機械的なコンポーネントのみを含むインジケータを含むことが可能である。そのような配置は、電気コンポーネントの欠如に起因して、送達デバイスがよりポータブルになることおよびより滅菌しやすくなることを可能にすることができる。
【0029】
1つの態様によれば、送達デバイスは、(たとえば、神経外科用途のための)定位フレームとともに使用される。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、既存の定位フレームと適合するようにサイズ決めおよび形状決めされ得る。
【0030】
図の中の例示目的の実施形態を見てみると、
図3Aは、送達デバイス1の1つの実施形態の斜視図であり、送達デバイスの内部コンポーネントを備えた部分的な切り欠き図が、
図3Bに示されている。送達デバイスは、カニューレ部分9(物質がそれを通じて吐出される)と、ハウジング10と、ハンドル20と、デバイスアクチュエータ30とを有している。
図3Bの詳細図において見られるように、カニューレ部分9は、互いの中に収められている複数のコンポーネントを含むことが可能である。カニューレ部分9の最も外側のコンポーネントから最も内側のコンポーネントへ移動すると、カニューレ部分9は、外側シャフト40と、外側シャフト40の中のニードル50と、ニードル50の中のプランジャー60とを含むことが可能である。
【0031】
外側シャフト40は、シャフトルーメン41を有しており、ニードル50が、シャフトルーメン41を通って移動可能である。ニードル50は、ニードルルーメン51を有しており、プランジャー60が、ニードルルーメン51を通って移動可能である。デバイスアクチュエータ30の作動は、プランジャー60がシャフトルーメン41を通って遠位方向8に移動することを引き起こすことが可能である。治療物質がニードルルーメン51の中にロードされるときに、遠位方向8へのニードルルーメン51を通るプランジャー60の移動は、ニードルルーメン51から外へ治療物質を積極的に変位させ、したがって、治療物質を送達する。
【0032】
図3Aにおいて見られるように、外側シャフト40は、デバイスの長手方向軸線4に沿ってシーケンシャルに配置されているステップ状の外径を有する複数のセグメントを含むことが可能である。複数のセグメントのステップ状の外径は、デバイスの長手方向軸線4に沿って、外側シャフト40の遠位端部から外側シャフト40の近位端部に向けて増加している。1つの実施形態では、複数のセグメントのうちの1つは、第1の外径または第1の範囲の外径を有することが可能である。さらに、複数のセグメントのうちの1つに隣接しており、その近位に配置されている、複数のセグメントのうちの別のものは、第2の外径または第2の範囲の外径を有することが可能であり、第2の外径は、第1の外径よりも大きく、第2の範囲の外径は、第1の範囲の外径よりも大きく、第1の範囲の外径と重なっていない。さらに、外側シャフト40は、複数のセグメントのうちの1つと複数のセグメントのうちの別のものとの間にステップを画定する端面を含むことが可能である。端面は、デバイスの長手方向軸線4から半径方向外向きに突き出ることが可能である。代替的に、端面は、デバイスの近位方向にデバイスの長手方向軸線4から90度未満の角度で突き出る面取りされた表面として形成され得る。
【0033】
外側シャフト40は、ステンレス鋼などのような材料から形成され得る。他の材料が、外側シャフト40を形成するために使用され得る。たとえば、外側シャフト40は、MRI適合性の材料(たとえば、セラミック、ガラス、またはリジッドポリマーなど)から形成され得る。また、外側シャフト40は、デバイスの使用の間にそのような適合性が必要とされない場合には、および/または、コストおよび再使用可能性などのような他の要因が優先される場合には、MRI適合性でない材料からも形成され得る。
【0034】
図4Aにおいて見られるように(
図4Aは、ニードル50およびプランジャー60の遠位部分を示している)、ニードル50は、ニードル開口部58を画定するニードル先端部55を含み、治療物質が、ニードル開口部58を通じて排出される。ニードル先端部55は、ニードル開口部58を含む平面と、デバイスの長手方向軸線4に沿ってニードル先端部55の近位にあるニードル50の一部分とを接続する、面取りされた外側表面を有するように形成され得る。ニードル50は、ステンレス鋼、ガラス、セラミック、またはリジッドポリマーなどのような材料から形成され得る。
【0035】
図4Cは、別の実施形態によるニードル50の斜視図である。
図4Dは、ニードル50の切り欠き図である。ニードル50のニードル先端部55は、ニードル開口部58を画定する平坦な端面を有するように形成され得る。平坦な端面は、デバイスの長手方向軸線4と直交する平面の上に配置され得る。
図4Cおよび
図4Dには示されていないが、端面は、デバイスの長手方向軸線4と直交しない角度を形成する平面の上に配置されてもよい。代替的に、ニードル先端部55は、
図4Aに示されているように、面取りされた外側表面を有するように形成され得る。
【0036】
図4Dにおいて見られるように、ニードル50は、ニードルルーメン51を画定するニードルチューブ53を含むことが可能である。ニードルチューブ53は、ステンレス鋼、ガラス、セラミック、またはリジッドポリマーなどのような材料から形成され得る。より具体的には、ニードルチューブ53は、ポリイミドコーティングされたガラスなどのような材料から形成され得る。ニードル50は、ニードルチューブ53の一部分に取り付けられているフェルール54をさらに含むことが可能である。フェルール54は、接着剤または他の手段によってニードルチューブ53の一部分に取り付けられ得る。フェルール54は、フェルール54が取り付けられているニードルチューブ53の部分を強化するように選択された材料から形成され得る。例として、フェルール54は、ステンレス鋼などのような材料から形成され得る。
図4Dは、ニードルチューブ53の最も遠位の端部からニードルチューブ53の近位部まで長手方向軸線4に沿って延在するニードルチューブ53の一部分に、フェルール54が取り付けられていることを示している。また、フェルール54は、ニードルチューブ53の遠位端部の近位にあるニードルチューブ53の第1のパートから、第1のパートの近位にあるニードルチューブ53の第2のパートまで長手方向軸線4に沿って延在する、ニードルチューブ53の一部分に取り付けられ得る。長手方向軸線4に沿ったフェルール54の長さは、シャフトルーメン41から外へ外側シャフト40の開口部を越えて長手方向軸線4に沿って遠位に延在され得るニードルチューブ53の一部分の最大長さよりも長くなるように選択され、ニードルチューブ53のその部分を強化することが可能である。
【0037】
図4Aおよび
図4Bにおいて見られるように、プランジャー60は、プランジャーシール68を含み、プランジャーシール68は、ニードルルーメン51を通るプランジャー60の移動を可能にしながら、ニードルルーメン51に対するシールを提供する。いくつかの実施形態において、プランジャーシール68は、プランジャー本体部61の残りの部分の外径よりも大きい外径を有している。ニードル開口部58とプランジャーシール68の遠位端部との間のニードルルーメン51の一部分の中にロードされた治療物質が、プランジャーシール68の近位にあるニードルルーメン51の別の部分の中へプランジャーシール68を越えて近位に進行しないことを保証するように、プランジャーシール68の長さが選択され得る。さらに、プランジャー60がニードルルーメン51の中のその最も遠位の位置まで前進されるときに、プランジャーシール68が、ニードル50の壁部57の中に提供されているベント59を閉じるように作用するように、プランジャーシール68の長さが選択され得る。プランジャー60の遠位端部がベント59を越えて前進されるときに、ベント59がプランジャーシール68によって閉じられたままであり、液体がベント59を通ってニードルルーメン51に進入すること、および、プランジャーシール68の遠位にあるニードルルーメン51の一部分の中へプランジャーシール68を越えて進行することを防止し、ならびに、プランジャーシール68の遠位にあるニードルルーメン51の一部分の中の液体がプランジャーシール68を越えて進行すること、および、プランジャーシール68の近位にあるニードルルーメン51の一部分に進入することを防止することを保証するように、プランジャーシール68のそのような長さが選択される。
【0038】
いくつかの実施形態において、プランジャー本体部61の遠位部分は、プランジャーシール68の中に収められ得る。プランジャーシール68は、プランジャー本体部61の上の熱収縮シールとして形成され得る。また、プランジャーシール68は、堆積またはコーティング技法を通したポリマーのコーティングとして形成され得る。他の実施形態において、プランジャー本体部61は、プランジャーシール68の中に収められているのではなく、2つのコンポーネントは一緒に接続されている。さらなる他の実施形態において、プランジャー本体部61およびプランジャーシール68は、単体として形成され得る。
【0039】
1つの態様によれば、ニードルは、治療物質がニードルから吐出されている間に、後退するように配置され得る。いくつかの実施形態において、使用の間に、ニードルは、組織の中へ挿入され、所望のターゲット場所に到達する。ニードルの挿入は、組織の中にキャビティーを生成させることが可能である。治療物質がニードルから吐出されるときに、ニードルが同時に後退され、それによって、治療物質が存在するためのある体積の空間を提供する。そのような配置は、送達デバイスによって組織の中に形成されたチャネルを通って戻るターゲット部位からの治療物質の逆流を低減させることを助けることが可能であることを本発明者らは認識した。
【0040】
送達デバイスが容積移送式送達構成(たとえば、ニードルから治療物質を排出させるためにニードルルーメンを通って遠位に移動するプランジャー)を使用する実施形態では、デバイスアクチュエータの作動に応答して、ニードルおよびプランジャーは、反対方向に同時に移動することが可能である。すなわち、デバイスアクチュエータの作動は、プランジャーが遠位方向に前進している間に、ニードルが近位方向に後退することを引き起こすことが可能である。
【0041】
本明細書で使用されているように、送達デバイスの遠位端部は、治療物質がそれを通じて送達される端部である。送達デバイスの近位端部は、遠位端部の反対側にあるデバイスの端部である。例示目的の例として、
図3Aは、送達デバイス1の近位端部2および遠位端部3を示している。
【0042】
本明細書で使用されているように、近位方向は、送達デバイスの遠位端部から近位端部に向けて指し示す方向である。遠位方向は、送達デバイスの近位端部から遠位端部に向けて指し示す方向である。例示目的の例として、
図3Aは、近位方向6および遠位方向8を示している。
【0043】
いくつかの実施形態において、デバイスアクチュエータ30の作動は、プランジャー60が遠位方向8に前進すること、および、ニードル50が同時に近位方向6に後退することを引き起こす。いくつかの実施形態において、反対方向へのプランジャーおよびニードルの同時運動は、反対側の向きのネジ山を有するネジ山付き通路の中に装着された並進スクリューの配置を介して実現される。
【0044】
図3Bに示されているように、送達デバイス1は、ニードル50に取り付けられているニードル並進スクリュー52と、プランジャー60に取り付けられているプランジャー並進スクリュー62とを含むことが可能である。ニードル並進スクリュー52は、第1のネジ山付き通路56の中に装着されており、プランジャー並進スクリュー62は、第2のネジ山付き通路66の中に装着されている。第1のネジ山付き通路56のネジ山は、第2のネジ山付き通路66のネジ山の向きとは反対の向きに方向付けられている。たとえば、第1のネジ山付き通路56は、右ネジを有することが可能であり、一方では、第2のネジ山付き通路66は、左ネジを有することが可能であり、または、その逆もまた同様である。デバイスアクチュエータ30の作動は、第1のネジ山付き通路56および第2のネジ山付き通路66のそれぞれに対して、回転を付与することが可能である。
【0045】
図3Bに示されているように、ニードル並進スクリュー52およびプランジャー並進スクリュー62は、ガイドレール151、153に装着され得る。ガイドレールは、デバイスの長手方向軸線4に平行の方向に送達デバイス1を通って延在することが可能であり、ハウジング10に対して固定され得る。
図5に示されているように、ニードル並進スクリュー52は、ガイドレールルーメン152を含むことが可能であり、ガイドレール151、153が、ガイドレールルーメン152を通過する。ニードル並進スクリュー52は、ガイドレール151、153に沿って自由に線形に並進することが可能である。
図6に示されているように、プランジャー並進スクリュー62は、ガイドレールルーメン162を含むことが可能であり、ガイドレール151、153が、ガイドレールルーメン162を通過する。プランジャー並進スクリュー62は、ガイドレール151、153に沿って自由に線形に並進することが可能である。
【0046】
ガイドレール151、153は、第1のネジ山付き通路が回転するときに、ニードル並進スクリュー52が第1のネジ山付き通路56とともに回転することを防止する。結果として、第1のネジ山付き通路56の中のネジ山の方向に起因して、および、ニードル並進スクリュー52を通過するガイドレールの存在に起因して、第1のネジ山付き通路56の回転は、ニードル並進スクリュー52が第1のネジ山付き通路56を通って並進することを引き起こす。
図3Bの例示目的の実施形態では、ニードル並進スクリュー52は、デバイスアクチュエータ30が作動されるときに、近位方向6に移動する。ニードル50がニードル並進スクリュー52に取り付けられている状態で、ニードル並進スクリュー52の近位移動は、近位方向6にニードル50を移動させ、したがって、ニードルが後退することを引き起こす。
【0047】
同様に、ガイドレール151、153は、第2のネジ山付き通路が回転するときに、プランジャー並進スクリュー62が第2のネジ山付き通路66とともに回転することを防止する。結果として、第2のネジ山付き通路66の中のネジ山の方向に起因して、および、プランジャー並進スクリュー62を通過するガイドレールの存在に起因して、第2のネジ山付き通路66の回転は、プランジャー並進スクリュー62が第2のネジ山付き通路66を通って並進することを引き起こす。
図3Bの例示目的の実施形態では、プランジャー並進スクリュー62は、デバイスアクチュエータ30が作動されるときに、遠位方向8に移動する。プランジャー60がプランジャー並進スクリュー62に取り付けられている状態で、プランジャー並進スクリュー62の遠位移動は、遠位方向8にプランジャーを動作させ、それによって、ニードル開口部から外へ治療物質を排出させる。
【0048】
図5により詳細に示されているように、ニードル50は、ニードル並進スクリュー52に接続されている。ニードル50は、スクリュールーメン53の中へ少なくとも部分的に延在することが可能である。ニードル50は、任意の適切な配置(たとえば、接着剤(たとえば、エポキシもしくはUV接着剤)、機械的なインターロック、締まり嵌め、コンポーネントを一緒に溶接することなどなど)を介してニードル並進スクリュー52に取り付けられ得、または、ニードル50およびニードル並進スクリュー52は、互いに一体的に形成され得る。
【0049】
本明細書で使用されているように、互いに「一体的に形成されている」部品は、部品が1つのコンポーネントとして形成され、それにより、それらが単一のモノリシックのコンポーネントから形成される(たとえば、ダイカストもしくは射出成形などのように、単一のピースとして同時に鋳造されるか、または、スタンピングもしくはダイカットなどのように、単一の材料からカットされる)ことを意味している。
【0050】
図6により詳細に示されているように、プランジャー60は、プランジャー並進スクリュー62に接続されている。プランジャー60は、スクリュールーメン63の中へ少なくとも部分的に延在することが可能である。プランジャー60は、ニードル50およびニードル並進スクリュー52に関して上記に議論されているような任意の適切な配置を介して、プランジャー並進スクリュー62に取り付けられ得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、ニードル50、および、ニードル50に取り付けられているニードル並進スクリュー52、ならびに/または、プランジャー60、および、プランジャー60に取り付けられているプランジャー並進スクリュー62は、ハウジング10から除去され、別のニードル、および、別のニードルに取り付けられている別のニードル並進スクリュー、ならびに/または、別のプランジャー、および、別のプランジャーに取り付けられている別のプランジャー並進スクリューによって交換され得る。別のニードルおよび別のニードル並進スクリューは、第1のネジ山付き通路56を通って並進されるようにハウジング10の中に配置され得、別のプランジャーおよび別のプランジャー並進スクリューは、第2のネジ山付き通路66を通って並進されるようにハウジング10の中に配置され得る。別のニードルは、ニードル50の交換品であることが可能であり、ニードル50と同様の物理的な寸法(たとえば、同じサイズのニードルルーメン)および同様の機能(たとえば、同じ量の進行が許容される)を有している。代替的に、別のニードルは、ニードル50と異なる物理的な寸法(たとえば、異なるサイズのニードルルーメン)および異なる機能(たとえば、異なる量の進行が許容される)を有することが可能である。
【0052】
図7Aは、送達前構成における送達デバイスを示しており、
図7Bは、送達後構成における送達デバイスを示している。送達の終わりに、ニードル並進スクリュー52は、第1のネジ山付き通路56を通って近位方向6に並進しており、それによって、ニードルを後退させており、プランジャー並進スクリュー62は、第2のネジ山付き通路66を通って遠位方向8に並進しており、それによって、展開方向にプランジャーを前進させる。
【0053】
いくつかの実施形態において、ニードルによって生成される組織の中の空間の体積の中への送達の後に、治療物質は、空間の体積の一部分を占有する。いくつかの実施形態において、治療物質は、空間の体積の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、または60%以内である治療物質体積を占有する。いくつかの実施形態において、治療物質は、空間の体積の約70%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%以下であるかまたはそれに等しい治療物質体積を占有する。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。いくつかの実施形態において、治療物質は、空間の体積の約5%から約60%、約5%から約50%、約5%から約40%、約5%から約30%、または、約5%から約25%の中である治療物質体積を占有する。
【0054】
1つの態様によれば、ニードルルーメンの直径は、治療物質の特性との適合性のために寸法決めされている。いくつかの実施形態において、治療物質は、特定の直径を有する細胞または他の粒子を含む。1つの態様によれば、ニードルルーメンの直径は、サイズ的に治療物質の細胞または粒子の直径に近い。たとえば、いくつかの実施形態において、ニードルルーメン直径と細胞または粒子の直径との比は、100:1未満である。いくつかの実施形態において、そのような配置は、ニードルルーメンの中の細胞沈降または粒子沈降を低減させることを助けることが可能である。いくつかの実施形態において、そのような配置は、細胞がその流体溶液と連動して移動することを助けることが可能であり、それは、細胞のより大きい部分の送達を保証することを助けることが可能である。そのような配置は、投与量保証を改善することを助けることが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、神経細胞である細胞を送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、細胞は、ドーパミン作動性ニューロン細胞であり、また、いくつかの実施形態では、iPSC由来のドーパミン作動性ニューロン細胞であることが可能である。しかし、送達デバイスは、他のタイプの細胞(たとえば、間葉系幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞、赤血球、血小板、軟骨細胞、皮膚細胞、免疫細胞(たとえば、腫瘍浸潤リンパ球、ウィルス再構成T細胞、樹状細胞、制御性T細胞、マイクロファージ)、神経堤幹細胞、ニューロン、グリア、平滑筋、心臓組織、軟骨細胞、骨細胞、グリア制限前駆細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、神経芽細胞、巨核芽球、巨核球、単芽球、単球、マイクロファージ、骨髄性樹状細胞、前赤芽球、赤芽球、正常芽球、網状赤血球、血小板、骨髄芽球、前顆粒球、好中球性骨髄球、好中球性帯状核細胞、好中球、好酸球性骨髄球、好酸球性帯状核細胞、好酸球、好塩基性骨髄球、好塩基性帯状核細胞、好塩基球、コミッティドリンパ系前駆細胞(committed lymphoid projenitor)、pre-NK細胞、NKリンパ芽球、NK細胞、胸腺細胞、T-リンパ芽球、T-細胞、形質細胞様樹状細胞、pre-B細胞、B-リンパ芽球、B細胞、形質細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、筋管、線維芽細胞、脂肪細胞、中胚葉、外胚葉、始原生殖細胞、精子、卵、胚体内胚葉、または、任意の他の適切なタイプの細胞など)を送達するために使用され得ることが認識されるべきである。
【0056】
いくつかの実施形態において、治療物質は、少なくとも約50,000細胞/μL、少なくとも約100,000細胞/μL、少なくとも約200,000細胞/μL、少なくとも約300,000細胞/μL、少なくとも約400,000細胞/μL、または少なくとも約500,000細胞/μLの細胞濃度を含有する。いくつかの実施形態において、治療物質は、約500,000細胞/μL以下の、約400,000細胞/μL以下の、約300,000細胞/μL以下の、約200,000細胞/μL以下の、約100,000細胞/μL以下の、または約50,000細胞/μL以下の細胞濃度を含有する。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、治療物質は、約50,000細胞/μLから約500,000細胞/μLの、または、約100,000細胞/μLから約400,000細胞/μLの、約200,000細胞/μLから約300,000細胞/μLの細胞濃度を含有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、ニードルルーメンは、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、少なくとも約0.45mm、または少なくとも約0.5mmの直径を有することが可能である。いくつかの実施形態において、ニードルルーメンは、約1mm以下の、約0.95mm以下の、約0.9mm以下の、約0.85mm以下の、約0.8mm以下の、約0.75mm以下の、約0.7mm以下の、約0.65mm以下の、約0.6mm以下の、約0.55mm以下の、約0.5mm以下の、約0.45mm以下の、約0.4mm以下の、約0.35mm以下の、約0.3mm以下の、約0.25mm以下の、約0.2mm以下の、約0.15mm以下の、または約0.1mm以下の直径を有することが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、ニードルルーメンは、約0.1mmから約1mmの、または、約0.15mmから約0.9mmの、または、約0.2mmから約0.8mmの、または、約0.2mmから約0.7mmの、または、約0.2mmから約0.6mmの、または、約0.2mmから約0.5mmの、または、約0.2mmから約0.4mmの、または、約0.25mmから約0.3mmの直径を有することが可能である。
【0058】
いくつかの実施形態において、治療物質の細胞または粒子は、少なくとも約400nm、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約4ミクロン、少なくとも約6ミクロン、少なくとも約8ミクロン、少なくとも約9ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約11ミクロン、少なくとも約12ミクロン、少なくとも約13ミクロン、少なくとも約14ミクロン、少なくとも約15ミクロン、少なくとも約16ミクロン、少なくとも約17ミクロン、少なくとも約18ミクロン、少なくとも約19ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約25ミクロン、少なくとも約30ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約70ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロン、または少なくとも約500ミクロンの直径を有することが可能である。いくつかの実施形態において、細胞または粒子は、約500ミクロン以下の、約300ミクロン以下の、約200ミクロン以下の、約150ミクロン以下の、約100ミクロン以下の、約90ミクロン以下の、約80ミクロン以下の、約70ミクロン以下の、約60ミクロン以下の、約50ミクロン以下の、約40ミクロン以下の、約30ミクロン以下の、約20ミクロン以下の、約19ミクロン以下の、約18ミクロン以下の、約17ミクロン以下の、約16ミクロン以下の、約15ミクロン以下の、約14ミクロン以下の、約13ミクロン以下の、約12ミクロン以下の、約11ミクロン以下の、約10ミクロン以下の、約9ミクロン以下の、約8ミクロン以下の、約7ミクロン以下の、約6ミクロン以下の、約5ミクロン以下の、約4ミクロン以下の、約2ミクロン以下の、または、約1ミクロン以下の直径を有することが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、細胞または粒子は、約400nmから約500ミクロンの、または、約1ミクロンから約200ミクロンの、または、約5ミクロンから約150ミクロンの、または、約8ミクロンから約120ミクロンの、または、約8ミクロンから約100ミクロンの、または、約8ミクロンから約50ミクロンの、または、約8ミクロンから約40ミクロンの、または、約8ミクロンから約30ミクロンの、または、約8ミクロンから約20ミクロンの、または、約10ミクロンから約15ミクロンの直径を有することが可能である。
【0059】
いくつかの実施形態において、ニードルルーメン直径と細胞または粒子の直径との比は、少なくとも約10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1、150:1、200:1、300:1、400:1、または500:1である。いくつかの実施形態において、ニードルルーメン直径と細胞または粒子の直径との比は、約500:1、400:1、300:1、200:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、または10:1以下である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、ニードルルーメン直径と細胞または粒子の直径との比は、約10:1から約500:1、または、約50:1から約300:1、または、約60:1から約200:1、または、約70:1から約150:1、または、約80:1から約120:1、または、約90:1から約110:1である。
【0060】
いくつかの実施形態において、送達デバイスの中へロードされる治療物質の体積全体は、送達デバイスのニードルルーメンの中にのみ含有される。いくつかの実施形態において、ニードルルーメンは、ニードルの長さ全体に沿って一定の直径を有している。細胞のケースでは、そのような配置は、細胞がその流体溶液と連動して移動することを助けることが可能であり、それは、細胞のより大きい部分の送達を保証することを助けることが可能である。そのような配置は、投与量保証を改善することを助けることが可能である。いくつかの実施形態において、そのような配置は、細胞沈降を低減させることを助けることが可能である。
【0061】
いくつかの実施形態において、細胞および/または粒子がその中に提供される流体溶液の密度は、細胞および/または粒子に働かされる浮力を増加させるように選択される。たとえば、流体溶液の密度は、送達されることになる細胞および/または粒子の既知の密度を考慮して、既知の密度に接近するように選択され、細胞および/または粒子に働かされる浮力を増加させ、中立浮力を実現するかまたはそれに接近することが可能である。さらに、流体溶液の密度は、送達されることになる細胞および/または粒子の既知の密度を考慮して、既知の密度に接近するように選択され、それによって、細胞および/または粒子に働かされる浮力を増加させることが可能であり、それにより、送達デバイスによって吐出される流体溶液の細胞および/または粒子の濃度が、所定の濃度に接近する。他の実施形態において、流体溶液の粘度は、細胞沈降を低減させるように選択され得、それにより、送達デバイスによって吐出される流体溶液の細胞および/または粒子の濃度が、所定の濃度に接近する。さらに他の実施形態において、流体溶液の密度および流体溶液の粘度は、両方とも上記に説明された様式で選択され得る。そのような配置は、細胞沈降を低減させることをさらに助けることが可能である。
【0062】
1つの態様によれば、デバイス作動に応答してプランジャーが通って移動する空間の体積(および/または、送達デバイスによって吐出される治療物質の体積)は、ニードルの後退の間にニードルが通って移動する空間の体積に近いかまたは実質的に同じである。いくつかの実施形態において、プランジャーが通って移動する空間の体積(および/または、送達デバイスによって吐出される治療物質の体積)は、ニードルが通って移動する空間の体積の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、または50パーセント以内である。いくつかの実施形態において、プランジャーが通って移動する空間の体積(および/または、送達デバイスによって吐出される治療物質の体積)は、ニードルが通って移動する空間の体積の50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1パーセント以下の中である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。いくつかの実施形態において、プランジャーが通って移動する空間の体積(および/または、送達デバイスによって吐出される治療物質の体積)は、ニードルが通って移動する空間の体積の1パーセントから50パーセント、1パーセントから40パーセント、1パーセントから30パーセント、1パーセントから25パーセント、1パーセントから20パーセント、1パーセントから15パーセント、1パーセントから10パーセント、または、1パーセントから5パーセントの中である。
【0063】
容積移送式構成では、プランジャー進行距離が送達体積を決定することが可能であることを本発明者らは認識した。しかし、プランジャーが前進するときにニードルが後退する実施形態では、ニードル進行距離は、すべての実施形態においてプランジャー進行距離と必ずしもマッチしない可能性があることを本発明者らは認識した。いくつかの実施形態において、ニードル進行距離は、ターゲット部位の解剖学的構造によって決定され得る。
【0064】
1つの態様によれば、ニードルおよびプランジャーは、送達の間に異なる進行距離を経験することが可能である。そのような配置は、プランジャーが特定の距離を進行して所望の体積の治療物質を送達することを可能にすることができ、一方では、ターゲット解剖学的構造に適当なニードルの進行距離を可能にする。
【0065】
いくつかの実施形態において、プランジャーおよびニードルの異なる進行距離は、並進スクリューに関連付けられるネジ山付き通路のネジ山数(たとえば、1インチ当たりのネジ山)の差を介して、もしくは、ギアシステムを介して、または、いくつかの実施形態では、その両方の組み合わせを介して達成される。
【0066】
図3Bに示されている例示目的の実施形態では、第1のネジ山付き通路56(それは、ニードル並進スクリュー52がそれに沿って並進する通路である)は、第1のネジ山数を有している。第2のネジ山付き通路66(それは、プランジャー並進スクリュー62がそれに沿って並進する通路である)は、第1のネジ山数とは異なる第2のネジ山数を有している。
図3Bに示されている実施形態などのようないくつかの実施形態において、ニードル進行距離は、プランジャー進行距離よりも短い。進行距離のこの差を実現するために、第1のネジ山付き通路56は、第2のネジ山付き通路66のネジ山数よりも大きいネジ山数(たとえば、1インチ当たりのより高い数のネジ山)を有している。したがって、デバイスアクチュエータ30の作動によって、プランジャー並進スクリュー62は、ニードル並進スクリューよりも大きな距離を並進する。結果として、プランジャーは、ニードルよりも大きな距離を移動する。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1のネジ山数と第2のネジ山数との比は、少なくとも約1.5:1、少なくとも約1.6:1、少なくとも約1.7:1、少なくとも約1.8:1、少なくとも約1.9:1、少なくとも約2:1、少なくとも約2.1:1、少なくとも約2.2:1、少なくとも約2.3:1、少なくとも約2.4:1、少なくとも約2.5:1、少なくとも約2.6:1、少なくとも約2.7:1、少なくとも約2.8:1、少なくとも約2.9:1、少なくとも約3:1、少なくとも約3.1:1、少なくとも約3.2:1、少なくとも約3.3:1、少なくとも約3.4:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約3.6:1、少なくとも約3.7:1、少なくとも約3.8:1、少なくとも約3.9:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.2:1、少なくとも約4.4:1、少なくとも約4.6:1、少なくとも約4.8:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1、少なくとも約10:1、少なくとも約11:1、少なくとも約12:1、少なくとも約13:1、少なくとも約14:1、少なくとも約15:1、少なくとも約16:1、少なくとも約18:1、または少なくとも約20:1とすることが可能である。いくつかの実施形態において、第1のネジ山数と第2のネジ山数との比は、約20:1以下、約18:1以下、約16:1以下、約14:1以下、約12:1以下、約10:1以下、約9:1以下、約8:1以下、約7:1以下、約6:1以下、約5:1以下、約4.5:1以下、約4:1以下、約3.9:1以下、約3.8:1以下、約3.7:1以下、約3.6:1以下、約3.5:1以下、約3.4:1以下、約3.3:1以下、約3.2:1以下、約3.1:1以下、約3:1以下、約2.9:1以下、約2.8:1以下、約2.7:1以下、約2.6:1以下、約2.5:1以下、約2.4:1以下、約2.3:1以下、約2.2:1以下、約2.1:1以下、約2:1以下、約1.9:1以下、約1.8:1以下、約1.7:1以下、約1.6:1以下、または約1.5:1以下とすることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、第1のネジ山数と第2のネジ山数との比は、約1.5:1から約20:1、または、約1.6:1から約14:1、または、約1.7:1から約10:1、または、約1.8:1から約9:1、または、約1.9:1から約8:1、または、約2:1から約7:1、または、約2.1:1から約6:1、または、約2.2:1から約5:1、または、約2.3:1から約4:1、または、約2.4:1から約3:1または、約2.5:1から約2.7:1とすることが可能である。
【0068】
図3Bの例示目的の実施形態では、プランジャーの進行距離に対するニードルの進行距離をさらに低減させるために、ギアシステムが、追加的に用いられている。
図8および
図9に示されているように、ギアシステムは、遊星ギアシステム100である(エピサイクリックギアシステムとしても知られる)。遊星ギアシステム100は、太陽ギア160、遊星ギア114、およびリングギア110を含む。
【0069】
太陽ギア160は、デバイスアクチュエータ30および第2のネジ山付き通路66(それは、プランジャー並進スクリューに関連付けられている)に接続されている。
図3Bに示されているように、太陽ギア160、デバイスアクチュエータ30、および、第2のネジ山付き通路66は、単一のコンポーネントとして一緒に一体的に形成されている。また、デバイスアクチュエータ30の1回の完全な回転は、太陽ギア160の1回の完全な回転、および、第2のネジ山付き通路66の1回の完全な回転を結果として生じさせる。遊星ギア114は、太陽ギア160の周りを回転し、リングギア110の中で回転する。
図9に示されているように、遊星ギア114は、キャリア150に回転可能に装着されており、キャリア150は、第1のネジ山付き通路56(それは、ニードル並進スクリューに関連付けられている)に接続されている。キャリア150の1回の完全な回転は、第1のネジ山付き通路の1回の完全な回転を結果として生じさせる。太陽ギア160と遊星ギア114との間の関係は、ギア比を生成させ、ここで、キャリアの単一の完全な回転を実現するために、太陽ギアの複数の回転が必要とされる。結果として、デバイスアクチュエータ30の作動は、第1のネジ山付き通路56よりも多い第2のネジ山付き通路66の回転を結果として生じさせ、そして、それは、ニードル並進スクリュー52およびニードル50の進行距離よりも大きいプランジャー並進スクリュー62およびプランジャー60の進行距離を結果として生じさせる。
【0070】
いくつかの実施形態において、太陽ギア160とキャリア150とのギア比は、少なくとも約2対1、少なくとも約2.5対1、少なくとも約3対1、少なくとも約3.2対1、少なくとも約3.4対1、少なくとも約3.6対1、少なくとも約3.8対1、少なくとも約4対1、少なくとも約4.1対1、少なくとも約4.2対1、少なくとも約4.3対1、少なくとも約4.4対1、少なくとも約4.5対1、少なくとも約4.6対1、少なくとも約4.7対1、少なくとも約4.8対1、少なくとも約4.9対1、少なくとも約5対1、少なくとも約6対1、少なくとも約7対1、少なくとも約8対1、少なくとも約9対1、または少なくとも約10対1であることが可能である。いくつかの実施形態において、太陽ギアとキャリアとのギア比は、約10対1以下、約9対1以下、約8対1以下、約7対1以下、約6対1以下、約5対1以下、約4.9対1以下、約4.8対1以下、約4.7対1以下、約4.6対1以下、約4.5対1以下、約4.4対1以下、約4.3対1以下、約4.2対1以下、約4.1対1以下、約4対1以下、約3.8対1以下、約3.6対1以下、約3.4対1以下、約3.2対1以下、約3対1以下、約2.5対1以下、約2対1以下であることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、太陽ギアとキャリアとの比は、約2対1から約10対1、または、約2.5対1から約9対1、または、約3対1から約8対1、または、約3.2対1から約7対1、または、約3.4対1から約6対1、または、約3.6対1から約5対1、または、約3.8対1から約4.8対1、または、約3.9対1から約4.6対1、または、約4対1から約4.5対1、または、約4.1対1から約4.4対1、または、約4.2対1から約4.3対1であることが可能である。
【0071】
図に示されている送達デバイスでは、遊星ギアが使用されているが、この態様はそのように限定されないので、平歯車、はすば歯車、ラックおよびピニオン、傘歯車、マイタ歯車、ウォーム歯車、スクリュー歯車、螺旋歯車、ハイポイドギア、山歯歯車、内歯歯車、鋸歯歯車、クロックおよびピンギア、ミューティレイティドギア(mutilated gear)、ハイポサイクロイドギアシステム、ジュネーブ(Geneva)ギア、または、任意の他の適切なギアシステムなどのような、他のタイプのギアシステムも使用され得ることが認識されるべきである。
【0072】
図3Bの例示目的の実施形態では、送達デバイス1は、ギアシステムと異なるネジ山数を有する1対のネジ山付き通路との組み合わせを利用し、デバイスアクチュエータ30の作動に応答してプランジャーおよびニードルが異なる進行距離を経験することを可能にする。組み合わせられた配置は、プランジャーとニードルとの間の進行距離比を生じさせる。他の実施形態において、送達デバイスは、2つを組み合わせることなく、1対のネジ山付き通路(または、ギアシステム)を利用することが可能である。
【0073】
いくつかの実施形態において、プランジャーとニードルとの間の進行距離比は、少なくとも約2対1、少なくとも約2.5対1、少なくとも約3対1、少なくとも約3.5対1、少なくとも約4対1、少なくとも約4.5対1、少なくとも約5対1、少なくとも約5.5対1、少なくとも約6対1、少なくとも約6.5対1、少なくとも約7対1、少なくとも約7.5対1、少なくとも約8対1、少なくとも約8.5対1、少なくとも約8.7対1、少なくとも約9対1、少なくとも約9.2対1、少なくとも約9.4対1、少なくとも約9.6対1、少なくとも約9.8対1、少なくとも約10対1、少なくとも約11対1、少なくとも約12対1、少なくとも約13対1、少なくとも約14対1、少なくとも約15対1、少なくとも約16対1、少なくとも約17対1、少なくとも約18対1、少なくとも約19対1または少なくとも約20対1であることが可能である。いくつかの実施形態において、プランジャーとニードルとの間の進行距離比は、約20対1以下、約18対1以下、約16対1以下、約14対1以下、約12対1以下、約11.8対1以下、約11.6対1以下、約11.4対1以下、約11.2対1以下、約11対1以下、約10.9対1以下、約10.8対1以下、約10.7対1以下、約10.6対1以下、約10.5対1以下、約10.4対1以下、約10.3対1以下、約10.2対1、10.1対1以下、約10対1以下、約9.9対1以下、約9.8対1以下、約9.7対1以下、約9.6対1以下、約9.5対1以下、約9.4対1以下、約9.3対1以下、約9.2対1以下、約9.1対1以下、約9対1以下、約8.7対1以下、約8対1以下、約7対1以下、約6対1以下、約5対1以下、約4対1以下、約3対1以下、または、約2対1以下であることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、プランジャーとニードルとの間の進行距離比は、約2対1から約20対1、または、約3対1から約18対1、または、約4対1から約16対1、または、約5対1から約14対1、または、約6対1から約13対1、または、約7対1から約12対1、または、約8対1から約11対1、または、約9対1から約10対1、または、約9.1対1から約10.9対1、または、約9.2対1から約10.8対1、または、約9.3対1から約10.7対1、または、約9.4対1から約10.6対1、または、約9.5対1から約10.5対1、または、約9.6対1から約10.4対1、または、約9.7対1から約10.3対1、または、約9.8対1から約10.2対1、または、約9.9対1から約10.1対1、または、約10対1から約10.1対1、または、約7対1から約10対1、または、約8対1から約9対1とすることが可能である。
【0074】
いくつかの実施形態において、プランジャーの進行距離は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、180、200、250、または300mmであることが可能である。いくつかの実施形態において、プランジャーの進行距離は、約300、250、200、180、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、または10mm以下であることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、プランジャーの進行距離は、約10mmから300mm、20mmから250mm、30mmから200mm、40mmから180mm、50mmから160mm、60mmから140mm、70mmから140mm、100mmから140mm、または、120mmから140mmとすることが可能である。
【0075】
1つの態様によれば、送達デバイスのデバイスアクチュエータは、回転可能なアクチュエータであることが可能である。いくつかの実施形態において、回転可能なデバイスアクチュエータは、治療物質の吐出レートを遅くすることを助けることが可能である。
【0076】
いくつかの実施形態において、
図3Aにおいて見られるように、デバイスアクチュエータ30は、ハウジング10に対して回転可能に装着されている。
図3Aの例示目的の実施形態などのようないくつかの実施形態において、デバイスアクチュエータの回転軸線は、送達デバイス1の長手方向軸線4に平行である。しかし、他の実施形態において、デバイスアクチュエータの回転軸線は、送達デバイスの長手方向軸線に対して垂直とすることが可能である。いくつかの実施形態において、送達デバイスの長手方向軸線は、カニューレ部分の外側シャフト、ニードル、および/またはプランジャーと平行である。
【0077】
いくつかの実施形態において、デバイスアクチュエータの複数の完全なターンが、合計ターゲット体積を送達するために必要とされる。たとえば、ニードルを通って移動するプランジャーを有する容積移送式構成を利用する送達デバイスの実施形態では、送達されることになる最大体積のために、プランジャーをその送達前位置からその送達後位置へ移動させるために、デバイスアクチュエータの複数の完全なターンが必要とされ得る。いくつかの実施形態において、最大体積を送達するために、プランジャー60の遠位端部65(
図3Bを参照)の送達後位置は、ニードル開口部58(
図4Aを参照)にあるかまたはその近くにある。
【0078】
図3Bに示されている例示目的の実施形態では、第2のネジ山付き通路66のネジ山数は、プランジャー並進スクリュー62(ひいては、プランジャー60)がデバイスアクチュエータ30のそれぞれの回転に伴ってどれくらい遠くまで移動するかことを決定することが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態において、第2のネジ山付き通路のネジ山数は、1インチあたり少なくとも約1つのネジ山(TPI: thread per inch)、少なくとも約4TPI、少なくとも約4.4TPI、少なくとも約4.6TPI、少なくとも約4.8TPI、少なくとも約5TPI、少なくとも約5.1TPI、少なくとも約5.2TPI、少なくとも約5.3TPI、少なくとも約5.4TPI、少なくとも約5.5TPI、少なくとも約5.6TPI、少なくとも約5.7TPI、少なくとも約5.8TPI、少なくとも約5.9TPI、少なくとも約6TPI、少なくとも約6.1TPI、少なくとも約6.2TPI、少なくとも約6.3TPI、少なくとも約6.4TPI、少なくとも約6.5TPI、少なくとも約7TPI、少なくとも約8TPI、少なくとも約9TPI、少なくとも約10TPI、少なくとも約12TPI、少なくとも約14TPI、少なくとも約20TPI、少なくとも約40TPI、少なくとも約60TPI、または少なくとも約80TPIであることが可能である。いくつかの実施形態において、第2のネジ山付き通路のネジ山数は、約80TPI以下、約60TPI以下、約40TPI以下、約20TPI以下、約14TPI以下、約12TPI以下、約10TPI以下、約8TPI以下、約7TPI以下、約6.9TPI以下、約6.8TPI以下、約6.7TPI以下、約6.6TPI以下、約6.5TPI以下、約6.4TPI以下、約6.3TPI以下、約6.2TPI以下、約6.1TPI以下、約6TPI以下、約5.9TPI以下、約5.8TPI以下、約5.7TPI以下、約5.6TPI以下、約5.5TPI以下、約5.4TPI以下、約5.3TPI以下、約5.2TPI以下、約5.1TPI以下、約5TPI以下、または、約4TPI以下であることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、第2のネジ山付き通路のネジ山数は、約1TPIから約80TPI、または、約4TPIから約14TPI、または、約4.2TPIから約12TPI、または、約4.4TPIから約10TPI、または、約4.6TPIから約9TPI、または、約4.8TPIから約8.6TPI、または、約5TPIから約7TPI、または、約5.2TPIから約6.8TPI、または、約5.4TPIから約6.6TPI、または、約5.6TPIから約6.4TPI、または、約5.8TPIから約6.2TPI、または、約5.9TPIから約6.1TPI、または、約6TPIから約6.1TPIとすることが可能である。
【0080】
いくつかの実施形態において、最大送達体積を実現するために、デバイスアクチュエータは、少なくとも5、10、12、14、16、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、42、44、46、48、50、55、または60の全回転だけ回される。いくつかの実施形態において、最大体積を送達するために、デバイスアクチュエータは、60、50、48、46、44、42、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、22.5、21、20、18、16、14、12、10、または5以下の全回転だけ回される。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、最大体積を送達するために、デバイスアクチュエータは、5から60、または、10から50、または、20から40、または、22から38、または、24から36、または、25から35、または、26から34、または、27から33、または、28から32、または、29から31、または、30から31、または、15から30の全回転だけ回される。
【0081】
他の実施形態において、デバイスアクチュエータは、最大送達体積を送達するために、1つの全回転だけ、または、1つの全回転よりも少なく回され得る。いくつかの実施形態において、最大送達体積を送達するために、デバイスアクチュエータは、少なくとも約120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、または360度だけ回される。いくつかの実施形態において、最大送達体積を実現するために、デバイスアクチュエータは、約360、340、320、300、280、260、240、220、200、180、160、140、120、または100度以下だけ回される。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、最大送達体積を送達するために、デバイスアクチュエータは、約100度から約360度、または、約120度から約340度、または、約160度から約300度、または、約200度から約260度だけ回される。
【0082】
いくつかの実施形態において、最大送達体積は、少なくとも約1マイクロリットル、少なくとも約2マイクロリットル、少なくとも約3マイクロリットル、少なくとも約4マイクロリットル、少なくとも約5マイクロリットル、少なくとも約6マイクロリットル、少なくとも約7マイクロリットル、少なくとも約7.2マイクロリットル、少なくとも約7.4マイクロリットル、少なくとも約7.6マイクロリットル、少なくとも約7.8マイクロリットル、少なくとも約8マイクロリットル、少なくとも約8.1マイクロリットル、少なくとも約8.2マイクロリットル、少なくとも約8.3マイクロリットル、少なくとも約8.4マイクロリットル、少なくとも約8.5マイクロリットル、少なくとも約8.6マイクロリットル、少なくとも約8.7マイクロリットル、少なくとも約8.8マイクロリットル、少なくとも約8.9マイクロリットル、少なくとも約9マイクロリットル、少なくとも約9.5マイクロリットル、少なくとも約10マイクロリットル、少なくとも約11マイクロリットル、少なくとも約12マイクロリットル、少なくとも約13マイクロリットル、少なくとも約14マイクロリットル、少なくとも約15マイクロリットル、少なくとも約20マイクロリットル、少なくとも約30マイクロリットル、少なくとも約100マイクロリットル、少なくとも約1mL、少なくとも約10mL、少なくとも約100mL、少なくとも約500mL、または少なくとも約800mLであることが可能である。いくつかの実施形態において、最大送達体積は、約1000mL以下、約800mL以下、約500mL以下、約100mL以下、約10mL以下、約1mL以下、約100マイクロリットル以下、または約100マイクロリットル以下、または約90マイクロリットル以下、または約80マイクロリットル以下、または約70マイクロリットル以下、または約60マイクロリットル以下、または約50マイクロリットル以下、または約40マイクロリットル以下、または約30マイクロリットル以下、または約20マイクロリットル以下、または約15マイクロリットル以下、または約12マイクロリットル以下、または約10マイクロリットル以下、または約9.9マイクロリットル以下、または約9.8マイクロリットル以下、または約9.7マイクロリットル以下、または約9.6マイクロリットル以下、または約9.5マイクロリットル以下、または約9.4マイクロリットル以下、または約9.3マイクロリットル以下、または約9.2マイクロリットル以下、または約9.1マイクロリットル以下、または約9マイクロリットル以下、または約8.8マイクロリットル以下、または約8.2マイクロリットル以下、または約8マイクロリットル以下、または約7マイクロリットル以下、または約6マイクロリットル以下、または約5マイクロリットル以下であることが可能である。上記に参照された範囲の組み合わせも可能である。たとえば、いくつかの実施形態において、最大送達体積は、1mLから約1000mL、または、約10mLから約800mL、または、約100mLから約500mL、または、約1マイクロリットルから約100マイクロリットル、または、約2マイクロリットルから約60マイクロリットル、または、約3マイクロリットルから約30マイクロリットル、または、約4マイクロリットルから約20マイクロリットル、または、約5マイクロリットルから約18マイクロリットル、または、約6マイクロリットルから約16マイクロリットル、または、約7マイクロリットルから約14マイクロリットル、または、約8マイクロリットルから約10マイクロリットル、または、約8.5マイクロリットルから約9.5マイクロリットル、または、約8.9マイクロリットルから約9.1マイクロリットル、または、約9マイクロリットルから約9.1マイクロリットルとすることが可能である。
【0083】
本明細書で議論されている例示目的の実施形態のうちの少なくともいくつかは、純粋に機械的であることが可能であるが、他の実施形態において、送達デバイスは電動化され得ることが認識されるべきである。たとえば、いくつかの実施形態において、送達デバイスは、モーターを含むことが可能であり、モーターは、ユーザーによって作動され、プランジャーを前進させること、および/または、ニードルを後退させることが可能である。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、ワイヤレス通信を使用して遠隔から制御され得る。送達デバイスは、ポータブル電源を有することが可能であり、および/または、電気コンセントから電力を受け取るように適合され得る。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、フレキシブルトルクケーブルを介してデバイスの外部のモーターに接続され得る。
【0084】
1つの態様によれば、治療物質は、デバイスのディスペンシング端部を通じて送達デバイスの中へフロントロードされる。そのような配置は、(たとえば、複数のコンポーネントを通した物質の移送を回避することによって)治療物質の廃棄または損失を低減させることを助けることが可能である。
【0085】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、フロントローディングを可能にするために、エアベント構成を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、送達デバイスのローディングの間に、ニードルルーメンの中へ治療物質を引き込むことは、ニードルルーメンから空気を変位させる。いくつかの実施形態において、ベントは、変位された空気がニードルルーメンから外へベントされることを可能にするように提供される。いくつかの実施形態において、このベント構成は、治療物質および/またはニードルルーメンの加圧を回避するかまたは低下させることを助けることが可能である。いくつかの実施形態において、このベント構成は、空気および治療物質が体積空間を求めて競合することを回避することを助けることが可能である。いくつかの実施形態において、このベント構成は、治療物質の中への気泡の導入を減少させることを助けることが可能である。
【0086】
図3Bに示されている例示目的の実施形態では、ニードル50は、ニードル50の壁部57を通って延在する貫通孔開口部の形態のベント59を含む。ベント59は、プランジャー60の位置に基づいて開放または閉鎖される。
図3Bに示されているように、プランジャー60の遠位端部65がベント59の遠位にあるときには、ベント59は閉鎖されている。プランジャー60の遠位端部65がベント59の近位にあるときには、ベント59は開放している。
【0087】
いくつかの実施形態によるフロントローディングシーケンスが、
図10A~
図10Cに示されている。
図10Aに示されているように、ベント59が開放状態にある状態で、治療物質180が、近位ローディング方向181にニードル開口部58を通じてニードルルーメン51の中へ移動される。治療物質180がニードルルーメン51の中へ移動されるとき、ニードルルーメン51を以前に占有していた空気が、開放したベント59を通じてシャフトルーメン41の中へベントされる。
【0088】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、治療物質をパッシブにロードされ、たとえば、送達デバイス自身は、ローディングの間に作動されない。アクティブローディングデバイス(たとえば、ポンプなど)が、ニードルルーメンの中へ治療物質を移動させるために使用され得る。ポンプは、シリンジポンプまたは任意の他の適切なポンプであることが可能である。いくつかの実施形態において、治療物質は、ホルダーからニードルルーメンの中へ移送される。
【0089】
次に、
図10Bに示されているように、ベント59が閉鎖される。いくつかの実施形態において、ユーザーは、プランジャーの遠位端部65がベント59の遠位になるまで、プランジャー60を遠位に前進させるようにデバイスアクチュエータ30を作動させることによって、ベント59を閉鎖する。
【0090】
いくつかの実施形態において、フラッシングステップが、外側シャフトとニードルとの間の空間において、外側ルーメンから空気を除去するために実施される。
図10Bに示されているように、送達デバイスは、フラッシングポート90を含む。フラッシング流体184(たとえば、移植媒体など)が、フラッシングポート90を通じてフラッシング方向185に注入され、また、バルブ92、チャネル93、および、外側シャフト40の中の開口部49を通じて注入され得る。移植媒体は、矢印182によって示されているように、外側シャフト40とニードル50との間の空間を通って進行することが可能である。ユーザーは、外側シャフト40の遠位端部45から退出するフラッシング流体を観察することが可能であり、それは、デバイスがプライミングされて組織の中への送達のための準備ができたことをユーザーに示している。
図10Cは、治療物質180がニードルルーメンの中へロードされており、プランジャー60がベント59をカバーしており、空気がカニューレ部分9から外へフラッシングされた状態の、送達の準備ができているプライミングされたデバイスを示している。
【0091】
ニードルの引き抜きによって生成されたターゲット部位215における空間の体積の中へ、治療物質がニードルから排出された後に、カニューレ部分9が組織(カニューレ部分9が組織の中に挿入されている)から引き抜かれるときに、吸引効果が生成されることを本発明者らは認識した。吸引効果は、治療物質の一部分をターゲット部位215から外へ引っ張り出し、それによって、ターゲット部位215に送達される治療物質の投与量を低減させることが可能である。
【0092】
送達デバイスは、組織からのカニューレ部分9の引き抜きの間に経験される吸引効果を緩和するように構成され得る。たとえば、フラッシングポート90のバルブ92は、開位置に設定されるように構成され、カニューレ部分9の内側、および、特に、外側シャフト40とニードル50との間の空間を大気圧力に露出させ、カニューレ部分9が組織から引き抜かれるときに、フラッシング流体184を組織の中へドレン排出することが可能である。バルブ92は、たとえば、デバイス(たとえば、オープンニードルなど)を受け入れるように構成され、外側シャフト40とニードル50との間の空間を大気圧力に露出させ、カニューレ部分9が組織から引き抜かれるときに、フラッシング流体184を組織の中へドレン排出することが可能である。ターゲット部位215に向けてフラッシング流体184をドレン排出することは、吸引効果に対抗し、それによって、カニューレ部分9が組織から引き抜かれるときに、ターゲット部位215に送達される治療物質の投与量の低減を緩和することが可能である。
【0093】
1つの態様によれば、送達デバイスは、機械的なコンポーネントのみを含むインジケータを含むことが可能である。そのような配置は、電気コンポーネントの欠如に起因して、送達デバイスがよりポータブルになることおよび/またはより滅菌しやすくなることを可能にすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、ギアリングシステムは、送達された体積を反映する指標、および/または、デバイスの状態(たとえば、治療物質をロードされる準備ができている)を反映する指標を有するコンポーネントの移動に、デバイスアクチュエータに付与される作動力を伝達するために使用され得る。機械的なインジケータの1つの例示目的の実施形態が、
図11に示されている。
図11のインジケータ構成は、ジュネーブギアシステム200を使用している。ジュネーブギアシステム200は、第1の駆動ホイール230を含み、第1の駆動ホイール230は、デバイスアクチュエータ30と1:1の比で回ることが可能である。第1の駆動ホイール230は、ギアアッセンブリ240の被駆動ホイール部分242と相互作用し、それを駆動する。また、ギアアッセンブリ240は、駆動ホイール部分244を含み、駆動ホイール部分244は、インジケータギア250の被駆動ホイール部分252と相互作用し、それを駆動する。また、インジケータギア250は、指標部分254を含む。
図3Aおよび
図3Bに示されているように、指標部分254の指標は、送達デバイスのインジケータウィンドウ255を通して見ることができる。デバイスアクチュエータ30が作動されるときに、指標部分254が回り、送達された体積を反映する。
【0095】
デバイスアクチュエータ30を指標部分254にリンク接続するために、
図11の例示目的の実施形態では、ジュネーブギアシステムが使用されているが、任意の他の適切なギアシステムまたは力伝達システムが使用され得ることが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、デジタルディスプレイを使用し、送達体積を示し、および/または、任意の他の適切な情報を伝える。
【0096】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている送達デバイスのうちの任意の1つが、(たとえば、神経外科用途のための)定位フレームとともに使用され得る。定位フレームの例示目的の例が、
図12に示されている。定位フレーム300は、送達デバイスを受け入れるためのアーム302を含む。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、定位フレームと物理的に適合するようにサイズ決めされ得る。
図3Aに示されている例示目的の実施形態では、送達デバイス1は、シーティングコネクター80を含み、シーティングコネクター80は、定位フレームのアームとフィットするようにサイズ決めされている。送達デバイスのシーティングコネクターは、定位フレームによって保持され得る。いくつかの実施形態において、送達デバイスは、LEKSELLからの定位フレームと適合する。しかし、この態様はそのように限定されないので、送達デバイスは、他の定位フレームと適合することも可能であることが認識されるべきである。
【0097】
いくつかの実施形態において、送達デバイスは、フレームレス定位システムと適合する。例として、被検者の頭部(ターゲットにされた組織を含む)は、クランプ(たとえば、標準的なMayfieldクランプなど)によって固定され得る。さらに、送達デバイスは、送達デバイスの位置および角度をトラッキングするためのトラッキングシステムの一部分を含むことが可能である。トラッキングシステムは、光学ベースのトラッキングシステムおよび電磁トラッキングシステムのうちの1つまたは複数を含むことが可能である。光学ベースのトラッキングシステムは、1つまたは複数の光学カメラを含むことが可能であり、1つまたは複数の光学カメラは、送達デバイスに組み込まれているかもしくは提供されている1つもしくは複数の認識可能な構造体をトラッキングするように、または、送達デバイスに組み込まれているかもしくは提供されているエミッターから放出される1つもしくは複数の固有の光学波長をトラッキングするように構成されている。光学ベースのトラッキングシステムは、視差の原理を使用する距離測定、物体認識、および、他のイメージ処理技法などのような技法を利用し、被検者の頭部に対する送達デバイスの位置および角度を計算することが可能である。電磁トラッキングシステムは、1つまたは複数の電磁場エミッターおよび1つまたは複数の電磁場検出器を含むことが可能である。1つまたは複数の電磁場エミッターおよび1つまたは複数の電磁場検出器のうちの一方は、送達デバイスに組み込まれているかまたは提供され得、一方では、1つまたは複数の電磁場エミッターおよび1つまたは複数の電磁場検出器のうちの他方は、送達デバイスの付近に配置され得る。電磁トラッキングシステムは、1つまたは複数の電磁場エミッターによって放出される電磁場、および、1つまたは複数の電磁場検出器によって検出される電磁場の既知の値に基づいて、被検者の頭部に対する送達デバイスの位置および角度を計算することが可能である。トラッキングシステムによって計算される送達デバイスの位置および角度は、送達デバイスの挿入をガイドするための視覚的ガイドとして出力され得る。また、トラッキングシステムによって計算される送達デバイスの位置および角度は、ロボットシステムに出力され得、ロボットシステムは、送達デバイスの挿入をガイドするために1つまたは複数のアクチュエータを制御する。また、トラッキングシステムによって計算される送達デバイスの位置および角度は、送達デバイスの挿入を補助するために、イメージングシステム(たとえば、コンピューター断層撮影法、磁気共鳴イメージング、およびポジトロン放出断層撮影など)を通じて獲得されるイメージの上に重畳され得る。この態様はそのように限定されないので、送達デバイスは、他のフレームレス定位システムと適合することが可能であることが認識されるべきである。
【0098】
使用時に、いくつかの実施形態において、ニードルは、送達デバイス全体を遠位に前進させることによって組織の中へ展開される。送達デバイスが定位フレームに取り付けられている場合には、フレームは、送達デバイスの遠位移動をガイドすることを支援することが可能である。次いで、治療物質を送達するために、オペレーターは、デバイスアクチュエータを作動させることが可能である。
【0099】
いくつかの実施形態において、ニードルは、外側シャフトに対して、および/または、送達デバイスのハウジングに対して、展開方向に移動するように作動され得ることが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、ニードルを展開方向に移動させることおよび治療物質を吐出することの両方のために、単一のデバイスアクチュエータが使用され得る。他の実施形態において、第1のアクチュエータが、ニードルを展開方向に移動させるために使用され、第2のアクチュエータが、治療物質を吐出するために使用される。
【0100】
次に、使用のために送達デバイスを準備およびプライミングするための方法が、
図13を参照して説明されることになる。方法は、ステップS1302を含むことが可能である。ステップS1302は、ニードル50、ニードル50に取り付けられているニードル並進スクリュー52、プランジャー60、および、プランジャー60に取り付けられているプランジャー並進スクリュー62のうちの1つまたは複数を、送達デバイスのハウジング10および外側シャフト40の中に配置するステップを含むことが可能である。たとえば、ニードル並進スクリュー52が、第1のネジ山付き通路56に係合するように配置され得、プランジャー並進スクリュー62が、ハウジング10の中の第2のネジ山付き通路66に係合するように配置され得る。さらに、プランジャー60が、ニードル50のニードルルーメン51の中に配置され得、ニードル50(その中に配置されているプランジャー60を有する)が、外側シャフト40のシャフトルーメン41の中に配置され得る。ステップS1302は、ニードル50およびプランジャー60が同じタイプのニードルおよびプランジャーと交換されることを可能にすることができる。さらに、ステップS1302は、異なるタイプのニードル50(たとえば、異なる体積を有するニードルルーメン51を有するニードル50)および対応するプランジャー60が送達デバイスのハウジング10の中に選択および配置されることを可能にすることができる。
【0101】
ステップS1302の後に、ステップS1304が実施され得る。ステップS1304は、デバイスアクチュエータ30を動作させ、ニードル50およびプランジャー60の相対的な移動を引き起こし、
図10Aに図示されているように、長手方向軸線4に外側シャフト40の開口部45の遠位にニードル開口部58を配置し、ニードル50のベント59の近位にプランジャー60の遠位端部65を配置するステップを含むことが可能である。
【0102】
ステップS1304の後に、ステップS1306が実施され得る。ステップS1306は、
図10Aに図示されているように、ニードル50のニードルルーメン51の中へ治療物質180をパッシブにフロントロードするステップを含むことが可能である。たとえば、ニードル開口部58を通って近位ローディング方向181にニードルルーメン51の中へ治療物質180を移動させるために、アクティブローディングデバイス(たとえば、ポンプなど)が使用され得る。ステップS1304においてプランジャー60の遠位端部65がニードル50のベント59の近位に移動されるので、治療物質180がニードルルーメン51の中へ移動されるときに、ニードルルーメン51を以前に占有していた空気が、開放したベント59を通じてシャフトルーメン41の中へベントされる。
【0103】
ステップS1306の後に、ステップS1308が実施され得る。ステップS1308は、デバイスアクチュエータ30を動作させ、
図10Bに図示されているように、プランジャー60の遠位端部をベント59の遠位の位置まで前進させ、ニードル50のベント59を閉鎖するステップを含むことが可能である。また、ステップS1308は、デバイスアクチュエータ30を動作させ、ニードル50およびプランジャー60のうちの1つまたは複数を移動させ、治療物質180の(ターゲット体積の)全投与量がニードルルーメン51の中にロードされていることを指標が反映する位置まで、インジケータ構成を同時に駆動するステップを含むことが可能である。
【0104】
ステップS1308の後に、ステップS1310が実施され得る。ステップS1310は、
図10Bに図示されているように、送達デバイスのフラッシングポート90を通じて、および、外側シャフト40の開口部49を通じて、フラッシング方向185に、外側シャフト40とニードル50との間の空間の中へフラッシング流体184を注入し、外側シャフト40とニードル50との間の空間から空気を除去するステップを含むことが可能である。フラッシング流体184の注入は、フラッシング流体184が外側シャフト40の遠位端部45から退出することを観察されるまで実施され得る。この時点において、送達デバイスは、
図10Cに図示されているように、プライミングされた状態にあると考えられ得る。
【0105】
送達デバイスを準備およびプライミングするための方法は、上記に説明されたステップのうちの1つまたは複数を省略しながら、上記に説明されたステップの一部分を含むことが可能であることが留意される。送達デバイスが単回使用を意図されている状況では、ニードル50、ニードル並進スクリュー52、プランジャー60、およびプランジャー並進スクリュー62をハウジング10の中に配置するステップS1302は、省略され得る。代替的に、ハウジング10が異なるタイプのニードルおよびプランジャーを収容するように構成されている状況では、ステップS1302は、本方法の中に含まれ得る。
【0106】
次に、送達デバイスを使用するための方法が、
図14を参照して説明されることになる。本方法は、ステップS1402を含むことが可能である。ステップ1402は、ニードル50および外側シャフト40を組織の中へ展開するステップを含むことが可能である。ニードル50および外側シャフト40を組織の中へ展開するステップは、送達デバイス全体を遠位に前進させ、ニードル先端部55をターゲット部位215に配置するステップを含むことが可能である。送達デバイス全体を前進させるステップは、手動で実施され得る。代替的に、送達デバイス全体を前進させるステップは、送達デバイスをガイドするための定位フレームまたはフレームレス定位システムによって送達デバイスをガイドし、ニードル先端部55をターゲット部位215に位置決めするステップを含むことが可能である。
【0107】
ステップS1402の後に、ステップ1404が実施され得る。ステップS1404は、デバイスアクチュエータ30を動作させ、治療物質180をターゲット部位215に吐出するステップを含むことが可能である。治療物質180を吐出するステップは、プランジャー60およびニードル50のうちの一方または両方を移動させることによって、ニードル50に対してプランジャー60を移動させ、治療物質180を吐出するステップを含むことが可能である。具体的には、治療物質180を吐出するステップは、ニードル50を後退させ、送達デバイスから吐出された治療物質180が存在するためのある体積の空間を生成させ、それによって、ターゲット部位215から外への治療物質180の逆流を低減させるステップを含むことが可能である。
【0108】
ステップS1404の後に、ステップS1406が実施され得る。ステップS1406は、外側シャフト40とニードル50との間の空間を占有するフラッシング流体184をターゲット部位215に向けてドレン排出するステップを含むことが可能である。フラッシング流体184をドレン排出するステップは、フラッシングポート90のバルブ92を開位置に設定し、外側シャフト40とニードル50との間の空間を大気圧力に露出させ、フラッシング流体184を組織の中へドレン排出するステップを含むことが可能である。たとえば、デバイス(たとえば、オープンニードルなど)が、バルブ92の中へ挿入され、バルブ92を開位置に設定することが可能である。
【0109】
ステップS1406の後に、ステップS1408が実施され得る。また、ステップ1408は、ステップS1406とともに実施され得る。ステップS1408は、ニードル50および外側シャフト40を組織から引き抜くステップを含むことが可能である。ニードル50および外側シャフト40を組織から引き抜くステップは、送達デバイス全体を近位に後退させ、ニードル先端部55および外側シャフト40を組織から分離するステップを含むことが可能である。送達デバイス全体を後退させるステップは、手動で実施され得る。代替的に、送達デバイス全体を後退させるステップは、定位フレームまたはフレームレス定位システムによって送達デバイスをガイドし、ニードル先端部55および外側シャフト40を組織から分離するステップを含むことが可能である。
【0110】
送達デバイスを使用するための方法は、上記に説明されたステップのうちの1つまたは複数を省略しながら、上記に説明されたステップの一部分を含むことが可能であることが留意される。たとえば、ニードル50を組織から引き抜くことによって引き起こされる吸引効果のリスクが小さいと考えられる場合には、フラッシング流体184をドレン排出するステップS1406は省略され得る。
【0111】
本教示は、さまざまな実施形態および例に関連して説明されてきたが、本教示がそのような実施形態または例に限定されることは意図されていない。そうではなく、本教示は、当業者によって認識されるであろうように、さまざまな代替例、修正例、および均等物を包含する。したがって、先述の説明および図面は、単なる例としてのものに過ぎない。
【符号の説明】
【0112】
1 送達デバイス
2 近位端部
3 遠位端部
4 長手方向軸線
6 近位方向
8 遠位方向
9 カニューレ部分
10 ハウジング
20 ハンドル
30 デバイスアクチュエータ
40 外側シャフト
41 シャフトルーメン
45 開口部
49 開口部
50 ニードル
51 ニードルルーメン
52 ニードル並進スクリュー
53 ニードルチューブ
54 フェルール
55 ニードル先端部
56 第1のネジ山付き通路
57 壁部
58 ニードル開口部
59 ベント
60 プランジャー
61 プランジャー本体部
62 プランジャー並進スクリュー
63 スクリュールーメン
65 遠位端部
66 第2のネジ山付き通路
68 プランジャーシール
80 シーティングコネクター
90 フラッシングポート
92 バルブ
93 チャネル
100 遊星ギアシステム
110 リングギア
114 遊星ギア
150 キャリア
151 ガイドレール
152 ガイドレールルーメン
153 ガイドレール
160 太陽ギア
162 ガイドレールルーメン
180 治療物質
181 近位ローディング方向
182 矢印
183 上向き
184 フラッシング流体
185 フラッシング方向
200 ジュネーブギアシステム
201 前進
202 後退
210 組織
211 組織キャビティー
215 ターゲット部位
230 第1の駆動ホイール
240 ギアアッセンブリ
242 被駆動ホイール部分
244 駆動ホイール部分
250 インジケータギア
252 被駆動ホイール部分
254 指標部分
255 インジケータウィンドウ
300 定位フレーム
302 アーム
400 送達デバイス
410 外側カニューレ
500 ニードル