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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】磁性異物除去装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/28 20060101AFI20250612BHJP
   B03C 1/26 20060101ALI20250612BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
B03C1/28 105
B03C1/26
B03C1/00 B
B03C1/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024016435
(22)【出願日】2024-02-06
【審査請求日】2025-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524034165
【氏名又は名称】日本永磁株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅人
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-347685(JP,A)
【文献】特開2023-133191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、
前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、
該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、
前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、
前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、
前記磁性部材は、前記磁石ケースの前記壁部が周方向に切れ目のない環状をなし、且つ、外寸の異なる相似形状のものを複数有しており、前記ケーシングの内側に多重環状となるように配置されることを特徴とする磁性異物除去装置。
【請求項2】
磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、
前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、
該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、
前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、
前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、
前記ケーシングは、前記導入口側の内周寸法に対して前記排出口側の内周寸法が小さくなるように形成されており、
前記磁石ケースの前記壁部は、前記軸線に沿って螺旋状をなすように連続して巻回された螺旋形状をなしており、前記ケーシングの内周面に沿うように且つ前記ケーシングの内周面から離間した状態で配置されることを特徴とする磁性異物除去装置。
【請求項3】
磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、
前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、
該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、
前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、
前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、
前記磁石ケースの前記壁部は、前記ケーシングの前記軸線から前記ケーシングの内周面に向けて渦巻き状をなすように連続して巻回された渦巻き形状をなしていることを特徴とする磁性異物除去装置。
【請求項4】
前記磁石ケースは、角部を有する形状をなしており、
前記磁石ケースの前記角部に位置する前記磁石と、当該磁石に隣接する他の磁石との間に位置する前記ヨークは、伸縮可能なばね状をなしている請求項1~3のいずれか1つに記載の磁性異物除去装置。
【請求項5】
前記磁性部材は、保持部材を介して、前記ケーシングの内周面から離間した状態で保持される請求項1又は2記載の磁性異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性異物を含む粉粒体や流体から磁性異物を磁場によって吸着除去するための、磁性異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、小麦粉等の食品原料となる粉粒体や流体には、異物の混入は厳密に排除されなければならない。このような粉粒体から磁性異物を除去する装置として、例えば、粉粒体が投入されるケーシングと、その内部に配置されるマグネットとを有するものが知られている。そして、ケーシングの上方開口から粉粒体を投入すると、マグネットによって磁性異物が吸着されるので、粉粒体から磁性異物を除去することができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、食品が投入される投入口が形成されたホッパーと、投入口よりも下方に配置される複数の管体と、各管体内に挿脱される複数のマグネットバーとを有する磁性粉体除去装置が記載されている。また、複数の管体は、ホッパー内に所定間隔を空けて配置されている。
【0004】
そして、ホッパー内に配置された複数の管体間を、食品が通過することで、食品中の磁性異物が、マグネットバーからの磁場によって吸着除去されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-172232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の磁性粉体除去装置では、マグネットバーが挿入された複数の管体が、ホッパー内に複数配置されているが、管体どうしの隙間が比較的大きいため、前記隙間を通過する食品から、磁性異物を吸着しきれず、吸着漏れが生じるおそれがある。
【0007】
特に、ホッパーの側壁内面に、マグネットバーを近づけて配置することは、難しい場合が多い。そのため、ホッパーの側壁内面が、マグネットバーの磁場が届きにくいデッドスペースとなりやすく、磁性異物の吸着漏れが生じやすかった。
【0008】
また、マグネットバーの軸方向の両端部における磁場は、軸方向の中央部に比べて弱いため、マグネットバーの両端部での吸着漏れが多い。このようなマグネットバーが複数本配置されていると、ホッパー内における吸着漏れが生じる箇所が、より多くなる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、磁性異物を含む粉粒体又は流体から、磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる、磁性異物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、前記磁性部材は、前記磁石ケースの前記壁部が周方向に切れ目のない環状をなし、且つ、外寸の異なる相似形状のものを複数有しており、前記ケーシングの内側に多重環状となるように配置されることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、磁性部材の磁石ケースの壁部が、ケーシングの軸線からケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されているので、ケーシング内の広い範囲に亘って、磁性部材の磁石ケースの壁部を、粉粒体又は流体が通過可能な程度に、密に配置することができると共に、ケーシングの内周面に磁石ケースの壁部を近づけて配置しやすくなり、ケーシング内周のデッドスペースを生じにくくさせることができる。
【0012】
また、磁石ケースは、ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しているので、磁性部材において、磁場が弱い端部のない構造とすることができるか(例えば、磁性部材の磁石ケースを環状とする構造)、或いは、磁性部材の端部が存在するとしても、当該端部をケーシングの内周面になるべく近づけて配置することができる。そして、前者の場合は、吸着漏れが生じる箇所を少なくすることができ、後者の場合は、例えば、磁性部材が直線状構造と比べて、磁性部材の端部において吸着漏れを生じにくくすることができる。
【0013】
したがって、この磁性異物除去装置は、粉粒体又は流体からの磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる。
【0015】
また、磁性部材の磁石ケースの壁部が上記構造をなしているので、磁性部材が製造しやすくなり装置全体のコスト低減を図ることができ、また、磁性部材の形状や配置個数を適宜調整することで、ケーシングの内部空間の大きさや形状等の変化に柔軟に対応することが可能となり、汎用性を高めることができる。
【0016】
また、磁性部材は、磁石ケースの壁部が周方向に切れ目のない環状をなしているので、特許文献1に記載の直線状のマグネットバーのような磁場の弱い軸方向の両端部が存在しない。すなわち、磁場が弱まる箇所のない構造とすることができるので、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れをより少なくすることができる。
【0017】
本発明の磁性異物除去装置のもう一つは、磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、前記ケーシングは、前記導入口側の内周寸法に対して前記排出口側の内周寸法が小さくなるように形成されており、前記磁石ケースの前記壁部は、前記軸線に沿って螺旋状をなすように連続して巻回された螺旋形状をなしており、前記ケーシングの内周面に沿うように且つ前記ケーシングの内周面から離間した状態で配置されることを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、磁石ケースの壁部が連続して巻回された螺旋形状をなしているので、ケーシング内側に磁性部材を配置する際の作業性を向上させることができると共に、ケーシング内側から磁性部材を取外す際の作業性も向上させることができる。また、ケーシングが、上方が拡開し下方に向けて窄まるような構造(ホッパー構造)をなしている場合に、ケーシング内周面のデッドスペースを、より生じにくくさせることができる。
【0019】
本発明の磁性異物除去装置の更にもう一つは、磁性異物を含む粉粒体又は流体から、前記磁性異物を磁場によって吸着除去する、磁性異物除去装置であって、前記粉粒体又は流体を導入する導入口、及び、前記粉粒体又は流体を排出する排出口を有するケーシングと、該ケーシングの内側に配置されて、前記磁性異物を吸着除去する磁性部材と、を有しており、前記磁性部材は、磁石ケースと、該磁石ケース内にヨークを介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石とを有しており、前記磁石ケースは、前記ケーシングの周方向に連続して延びる壁部を有しており、該壁部が、前記ケーシングの前記導入口から前記排出口に向かい且つ前記排出口の中心を通る軸線から、前記ケーシングの内周面に向けて、所定間隔を空けて複数配置されるように構成されており、前記磁石ケースの前記壁部は、前記ケーシングの前記軸線から前記ケーシングの内周面に向けて渦巻き状をなすように連続して巻回された渦巻き形状をなしていることを特徴とする。
【0020】
上記発明によれば、磁石ケースの壁部が連続して巻回された渦巻き形状をなしているので、ケーシング内側に磁性部材を配置する際の作業性を向上させることができると共に、ケーシング内側から磁性部材を取外す際の作業性も向上させることができる。また、ケーシングが移送管のような構造をなしている場合に、対応しやすくなる。
【0021】
本発明の磁性異物除去装置においては、前記磁石ケースは、角部を有する形状をなしており、前記磁石ケースの前記角部に位置する前記磁石と、当該磁石に隣接する他の磁石との間に位置する前記ヨークは、伸縮可能なばね状をなしていることが好ましい。
【0022】
上記態様によれば、磁石ケースの角部に位置する磁石と、他の磁石との間に位置するヨークが、伸縮可能なばね状をなしているので、磁石ケースの角部に、ヨークを動くおそれを少なくして配置することができ、ヨークからの吸着力を安定して発揮させることができる。
【0023】
本発明の磁性異物除去装置においては、前記磁性部材は、保持部材を介して、前記ケーシングの内周面から離間した状態で保持されることが好ましい。
【0024】
上記態様によれば、磁性部材は、保持部材を介して、ケーシングの内周面から離間した状態で保持されるので、ケーシング内周面と磁性部材外周との間に粉粒体等の堆積が生じることを防止して、ケーシング内周面と磁性部材外周面との隙間から、粉粒体等をスムーズに通過させることができ、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れをより少なくすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ケーシング内の広い範囲に亘って、磁性部材の磁石ケースの壁部を、粉粒体又は流体が通過可能な程度に、密に配置することができると共に、ケーシングの内周面に磁石ケースの壁部を近づけて配置しやすくして、ケーシング内周のデッドスペースを生じにくくさせることができるので、粉粒体又は流体からの磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る磁性異物除去装置の第1実施形態を示しており、その概略構成図である。
図2】同磁性異物除去装置の平面説明図である。
図3】同磁性異物除去装置に用いられる磁性部材の一態様を示しており、その斜視図である。
図4図3のA-A矢視線における断面図である。
図5図4のB-B矢視線における断面図である。
図6】本発明に係る磁性異物除去装置の第1実施形態の、第1変形例を示しており、その概略構成図である。
図7】本発明に係る磁性異物除去装置の第1実施形態の、第2変形例を示しており、その平面説明図である。
図8図7における磁性部材の断面図である。
図9】本発明に係る磁性異物除去装置の第1実施形態の、第3変形例を示しており、その平面説明図である。
図10】同第2変形例において、ケーシングに複数の磁性部材を配置した状態を示す説明図である。
図11】同第2変形例において、図10とは異なるレイアウトで、ケーシングに複数の磁性部材を配置した状態を示す説明図である。
図12】本発明に係る磁性異物除去装置の第2実施形態を示しており、その概略構成図である。
図13】同磁性異物除去装置に用いられる磁性部材の一態様を示しており、一部断面平面図である。
図14】同磁性異物除去装置に用いられる磁性部材の一態様を示しており、その斜視図である。
図15】本発明に係る磁性異物除去装置の第2実施形態の変形例を示す平面説明図である。
図16】本発明に係る磁性異物除去装置の第3実施形態を示しており、その概略構成図である。
図17】同磁性異物除去装置に用いられる磁性部材の一態様を示しており、その斜視図である。
図18】本発明に係る磁性異物除去装置の第3実施形態の第1変形例を示す平面説明図である。
図19図18における磁性部材の断面説明図である。
図20】本発明に係る磁性異物除去装置の第3実施形態の第2変形例を示す平面説明図である。
図21図20における磁性部材の断面説明図である。
図22】本発明に係る磁性異物除去装置の第3実施形態の第3変形例を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(磁性異物除去装置の一実施形態)
以下、図1~9を参照して、本発明に係る磁性異物除去装置の第1実施形態(磁性部材が多重環状に配置される構造)について説明する。
【0028】
図1に示すように、この実施形態における磁性異物除去装置10(以下、単に「除去装置10」ともいう)は、磁性異物を含む粉粒体又は流体から、磁性異物を磁場によって吸着除去するものであって、粉粒体又は流体を導入する導入口25、及び、粉粒体又は流体を排出する図示しない排出口を有するケーシング20と、該ケーシング20の内側に配置されて、磁性異物を吸着除去する複数の磁性部材30,31,32,33,34とを有している。
【0029】
また、この除去装置10は、ケーシング20の内側において、複数の磁性部材30,31,32,33,34を、その形状や構造、互いの配置関係、レイアウト、相関関係等を維持しながらも、ケーシング20から離間した状態で保持するための、保持部材70を更に有している。
【0030】
前記ケーシング20は、導入口25側の内周寸法に対して図示しない排出口側の内周寸法が小さくなるように形成されている。
【0031】
より具体的には、この実施形態におけるケーシング20は、一定径で上下方向に延びる略円筒状をなした本体部21と、該本体部21の延出方向下端部から下方に向けて次第に縮径するように延びる略円錐筒状(略漏斗形状)をなした傾斜部23と、該傾斜部23の延出方向先端から一定径で延びる延出部24とを有している。また、本体部21の上方開口部に導入口25が設けられており、延出部24の下方には図示しない排出口が設けられている。
【0032】
すなわち、この実施形態のケーシング20は、粉粒体や流体を重力で自然落下させるべく、導入口が上方に配置され排出口が下方に配置されてなる、いわゆるホッパーとなっている。
【0033】
更に、導入口25及び図示しない排出口は共に略円形孔状をなしていると共に、導入口25及び排出口は同心状に配置されている。なお、ケーシング20の導入口25から排出口に向かい且つ排出口の中心を通る線を、軸線Cとする。
【0034】
上記保持部材70は、円環状をなした基部フレーム71と、該基部フレーム71の内周縁部から周方向に均等な間隔を空けて、ケーシング20の排出口側に向けて斜め下方に延出して延びる複数の斜めフレーム72とを有しており、保持部材70全体として上方が拡径し下方に向けて次第に縮径した構造となっている。ここでは、4本の斜めフレーム72を有している。
【0035】
また、基部フレーム71は、複数の磁性部材30,31,32,33,34のうち、最大外径であって、且つ、ケーシング20の最上方に配置される磁性部材34の外径よりも大きな外径を有しており、この基部フレーム71が磁性部材34の天井面側に配置されて、同磁性部材34を固定する部分となっている。
【0036】
更に、基部フレーム71の外周部分が、ケーシング20の本体部21の下端部と傾斜部23の上端部との境界部分に支持される(図1参照)。その結果、基部フレーム71を介して、保持部材70がケーシング20の内側に配置される。
【0037】
一方、各斜めフレーム72は、磁性部材34,33,32,31,30の内周に、溶着等によって連結されており、各磁性部材34,33,32,31,30の位置やレイアウトが維持されるようなっている。
【0038】
また、複数の磁性部材30,31,32,33,34が、保持部材70を介して互いに連結されて、全体として1個の組立体(磁性部材アッセンブリー)が構成される。
【0039】
そして、上記構成をなした保持部材70によって、複数の磁性部材34,33,32,31,30が、ケーシング20の軸方向において多重環状をなすようなレイアウトを維持しながら、ケーシング20の内周面20a(本体部21、傾斜部23、延出部24の各内周面)に対して離間した状態で保持されるようになっている。
【0040】
なお、複数の磁性部材34,33,32,31,30は、保持部材70によって、ケーシング20の内側に吊り下げられた状態で保持される、とも言える。
【0041】
また、各磁性部材30,31,32,33,34は、磁石ケース50と、該磁石ケース50内にヨーク65を介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石60とを有している。
【0042】
更に、各磁性部材30,31,32,33,34は、磁石ケース50の壁部51が周方向に切れ目のない環状をなし、且つ、外寸の異なる相似形状のものを複数有しており、ケーシング20の内側に多重環状となるように配置されるようになっている。
【0043】
図3には、所定の1個の磁性部材が示されているが、同図に示すように、各磁性部材30,31,32,33,34の磁石ケース50は、その壁部51が全体として円環状(円形リング状)をなすように構成されている。また、本発明における「環状」とは、周方向に切れ目のない形状、すなわち、周方向に分断されたり切断されたりした箇所がなく、周方向に連続して延びる形状を意味する。
【0044】
環状の磁石ケース50は、例えば、筒状に延びる1個の壁部構成体の延出方向の一端部と他端部とを互いに接合したり、或いは、略円弧状をなす壁部構成体を複数個用意して、各壁部構成体を環状に並べたうえで周方向に隣接する端部どうしを互いに接合したりすることで構成される。
【0045】
なお、図4は、図3のA-A矢視線における断面(磁性部材の環状部分の開口方向に直交する断面)となっており、図5には、図1のB-B矢視線における断面(磁性部材30の環状部分の延出方向に直交する断面)が示されている。
【0046】
上記の図5に示すように、磁石ケース50の壁部51は、一定厚さとされた円筒状断面となっている。すなわち、磁石ケース50の壁部51は、内周の全範囲(内周全周)及び外周の全範囲(外周全周)が共に円形状をなしている。
【0047】
また、図2に示すように、磁石ケース50の外径は、磁性部材30,31,32,33,34の順に大きくなっている(拡径している)。なお、磁性部材の外寸とは、この実施形態のように磁性部材が円環状の場合は、その外径を意味し、磁性部材が角形環状等の場合は、最も大きな外側寸法(最大外側寸法)を意味する。
【0048】
そして、図2に示す範囲Aに示すように、ケーシング20の軸線Cからケーシング20の内周面20aに向けて、磁性部材30の磁石ケース50の壁部51、磁性部材31の磁石ケース50の壁部51、磁性部材32の磁石ケース50の壁部51、磁性部材33の磁石ケース50の壁部51、磁性部材34の磁石ケース50の壁部51の順に、所定間隔Sを空けて配置されている。
【0049】
すなわち、磁石ケース50は、ケーシング20の周方向に連続して延びる壁部51が、ケーシング20の軸線Cから内周面20aに向けて、所定間隔Sを空けて複数配置されるように構成されている。
【0050】
また、ケーシング20の下方から上方に向けて、磁性部材30,31,32,33,34が高さを変えて同心状に、すなわち、磁性部材30,31,32,33,34の径方向中心がケーシング20の軸線Cと一致するように配置されている。
【0051】
具体的には図1に示すように、磁性部材30が、ケーシング20の傾斜部23の延出方向先端部の近傍に配置される。また、磁性部材31,32,33,34が、ケーシング20の内周面20aに沿うように配置される。その結果、ケーシング20の内側に、磁性部材30,31,32,33,34が下方から上方に向けて順番に配置される。
【0052】
なお、磁性部材30,31,32,33,34の、磁石ケース50の壁部51の外周は、いずれもケーシング20の内周面20aには当接せず、離間するようになっている。
【0053】
そして、上記のように、ケーシング20の内側に保持部材70を介して複数の磁性部材30,31,32,33,34が配置された結果、図2に示すように、除去装置10をケーシング20の軸線Cの方向から見たときに(平面方向から見たときに)、磁性部材30,31,32,33,34が、多重円環状をなすように配置される構成となっている。
【0054】
また、この実施形態の場合、図2に示すように、ケーシング20を軸方向から見たときに、隣接する磁性部材どうしの間に隙間(所定間隔S)が生じるように、複数の磁性部材が配置されている。
【0055】
ただし、複数の磁性部材としては、ケーシングを軸方向から見たときに、隣接する磁性部材どうしの間に隙間が生じないように配置することが好ましい。粉粒体等が、磁性部材に接触せずに通過してしまうことを抑制するためである。
【0056】
また、磁性部材30,31,32,33,34の磁石ケース50は、例えば、SUS304やSUS316等のステンレス(オーステナイト系ステンレス)や、アルミニウム合金、チタン合金、合成樹脂、シリコーン等の非磁性材料から形成されている。
【0057】
また、磁性部材を構成する磁石60は複数であって、これらの複数の磁石60が、磁石ケース50内にヨーク65を介して同極どうしを対向した状態で収納されて、複数の磁石60が環状をなすように配置されている。
【0058】
より具体的には、この実施形態における各磁石60は、一定外径で且つ所定長さで延びた円柱状(中実の丸棒状)をなした永久磁石となっている。磁石60の延出方向の一端部がN極61をなし、延出方向の他端部がS極62をなしている。また、この実施形態におけるヨーク65は、例えば、純鉄や低炭素鋼等の金属からなる板状体となっている。なお、ヨークの材質としては、ゴム特性を有する金属材料や、いわゆる金属パテ、磁性シリコーン等であってもよい。
【0059】
なお、複数の磁石の連結方向にそれぞれ連結孔を形成し、これらの連結孔に線状体を挿通して、この線状体によって、ヨークを介して複数の磁石を数珠繋ぎ状に連結するようにしてもよい。また、複数のヨークの連結方向にそれぞれ連結孔を形成し、これらの連結孔に線状体を挿通して、この線状体によって、磁石を介して複数のヨークを数珠繋ぎ状に連結するようにしてもよい。
【0060】
上記のような構成とした場合、ケース内において、磁石とヨークとの密着性を高めることでき、隣接する磁石とヨークとの間に隙間が発生することを抑制することができる。
【0061】
そして、図4に示すように、隣接する磁石60,60のN極61,61どうしを対向配置すると共に、N極61,61の間にヨーク65を介在させるか、又は、隣接する磁石60,60のS極62,62どうしを対向して配置すると共に、S極62,62の間にヨーク65を介在させた状態で、磁石ケース50内に複数の磁石60が収納配置される。その結果、磁石ケース50内に、複数の磁石60が環状をなすように配置されるようになっている。
【0062】
また、隣接する磁石60,60の同極どうしの間にヨーク65が配置されることで、磁石60の磁力がヨーク65に作用することになり、ヨーク65が磁性異物の吸着部分となる。
【0063】
(磁性異物除去装置の変形例)
本発明における磁性異物除去装置の構造や形状、磁性異物除去装置を構成するケーシングや磁性部材の形状や構造等は、上記態様に限定されるものではない。
【0064】
ケーシングを構成する本体部は、例えば、略角筒状や略楕円筒状をなしていてもよい。また、ケーシングを構成する傾斜部は、例えば、上方が拡開し下方に向けて窄まる略角錐筒状をなしていたり、更に、排出口が導入口に対して偏心するように延びる筒状をなしていたりしてもよい。
【0065】
また、この実施形態の場合、ケーシング20内には、5個の磁性部材が配置されているが、ケーシング内側への磁性部材の配置個数は、1個や、2個、3個、4個、6個以上でもよく、特に限定されない。
【0066】
更に、この実施形態のケーシング20は、上述したように所謂ホッパーとなっているが、ケーシングとしては、空気や、ガス、振動、コンベア等で、粉粒体や流体を移送する、移送管(搬送管、移送ケース、搬送ケースとも言える)としてもよい。この場合、導入口や排出口が、水平方向に沿った向きや、又は、水平方向に対して所定角度で傾斜した向きとなるが、この際には、磁性部材の開口方向を、粉粒体や流体の搬送方向に向けることが好ましい。
【0067】
一方、磁性部材は、円環状でなくとも、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等の、多角形の多角環状をなしていたり、楕円形の環状をなしていたり、長方形の長手方向両端が円弧状を呈する環状をなしていたり、曲面形状と角形状との組み合わせからなる異形環状をなしていたりしてもよく、特に限定はされない。
【0068】
図6には、第1実施形態の第1変形例が示されている。
【0069】
図6に示すように、この第1変形例は、保持部材70Aの形状が、図1の構造と異なっている。すなわち、この保持部材70Aは、基部フレーム71の外周部分に、磁性部材34の外周よりも大きく張り出した、張り出し部71aを有している。そして、この張り出し部71aが、ケーシング20の本体部21の上端部21aに載置される。
【0070】
その結果、保持部材70Aによって、複数の磁性部材34,33,32,31,30が、多重環状をなすレイアウトを維持しながら、ケーシング20の内周面20aから離間した状態で保持される。
【0071】
なお、この第1変形例では、図1の構造に比べて、複数の磁性部材34,33,32,31,30を、ケーシング20の内周面20aに対して、より大きな間隙を空けて離間させることが可能となっている。
【0072】
ところで、図1図6に示す保持部材70においては、複数の斜めフレーム72の外周に、環状の磁性部材30,31,32,33,34が連結されているが、保持部材70による複数の磁性部材の保持構造は、これに限定されるものではない。
【0073】
例えば、保持部材を構成する斜めフレーム又は磁性部材の一方に、斜めフレーム及び磁性部材の両者を着脱可能に係合する係合手段を設け、該係合手段を介して、斜めフレームに磁性部材を係合させて保持するようにしてもよい。
【0074】
一例としては、複数の斜めフレーム72の内周であって同一高さ位置に、曲面状をなした凹部を複数形成し、これらの凹部に磁性部材を嵌め込んで係合させることで保持する構造を採用できる。
【0075】
より具体的には、各斜めフレーム72の内周に、斜めフレーム下方から順番に、第1凹部、第2凹部、第3凹部、第4凹部、第5凹部をそれぞれ形成しておき、各凹部に対応する磁性部材を嵌め込んで係合させることで、複数の磁性部材30,31,32,33,34がケーシングの軸方向に多重環状をなすレイアウトを維持しながら保持可能となる。この構造の場合、各凹部が上記「係合手段」をなしている。
【0076】
図7及び図8には、第1実施形態の第2変形例が示されている。
【0077】
図7に示すように、この第1変形例は、角形環状をなした複数の磁性部材30A,31A,32A,33A,34Aが、除去装置10を平面方向から見たときに、多重環状をなすようにケーシング20内に配置された構造となっている。この場合、ケーシング20の傾斜部23は略角錐筒状をなしていることが好ましい。
【0078】
また、磁性部材30A,31A,32A,33A,34Aの磁石ケース50は、角部54を有する角形環状(角形リング状)をなすように構成されている。具体的には、この磁石ケース50は、4つの角部54を有する四角形の環状をなしており、また、各角部54はやや丸みを帯びた形状となっている。
【0079】
そして、磁性部材を構成する磁石60は複数であって、これらの複数の磁石60が、磁石ケース50内の直線状部分において、ヨーク65を介して同極どうしを対向した状態で収納されて、複数の磁石60が環状をなすように配置されている。
【0080】
更に図8に示すように、磁石ケース50の角部54に位置する磁石60と、当該磁石60に隣接する他の磁石60(直線状部分の端部に位置する磁石)との間に位置するヨーク65Aは、伸縮可能なばね状をなしている。具体的には、ヨーク65Aは、所定の金属板材を複数に蛇腹状に折り曲げてなる、ばね状となっている。なお、ヨークとしては、所定の金属線材を巻回してなるコイルばね状としてもよい。
【0081】
また、角部に位置する磁石と直線状部分の端部に位置する磁石との連結に際しては、ばね状をなしたヨーク65Aを用いる代わりに、線状体によって磁石どうしを数珠繋ぎ状に連結する構成としてもよい。
【0082】
更に、図1図6に示す態様では、円環状をなした磁性部材30,31,32,33,34が高さを変えて同心状に配置されているが、相似形状をなした複数の磁性部材を、同一高さ位置で同心状に配置してもよい。
【0083】
例えば、図9及び図10に示す第1実施形態の第3変形例では、円環状をなした複数の磁性部材30,31,32,33,34が同一高さ位置で同心状に配置されている(複数の磁性部材30,31,32,33,34が、同一高さ位置で且つ同心状の多重環状をなすように配置されている)。
【0084】
また、保持部材70Bは、最大外径の磁性部材34の外径よりも大きな円環状をなした基部フレーム71と、同基部フレーム71の内周に略十字状をなすように配置された支持フレーム73とを有している。そして、各磁性部材31,31,32,33,34の、開口方向側の一端部の所定箇所が、基部フレーム71及び支持フレーム73に支持固定されている。
【0085】
その結果、複数の磁性部材30,31,32,33,34が、保持部材70Bを介して互いに連結されて、全体として1個の組立体(磁性部材アッセンブリー)が構成されるようになっている。
【0086】
なお、上記支持フレームとしては、例えば、格子状をなしていたりしてもよく、複数の磁性部材を支持可能であればよい。
【0087】
そして、図10に示すように、ケーシング20の本体部21の下端部と傾斜部23の上端部との境界部分に、粉粒体や流体を通過可能な金網等からなる支持部材75を支持させ、更に、この支持部材75上に、保持部材70Bを介して、複数の磁性部材30,31,32,33,34を載置する。
【0088】
その結果、保持部材70Bによって、複数の磁性部材34,33,32,31,30が、同一高さ位置での同心状の多重環状をなすようなレイアウトを維持しながら、ケーシング20の内周面20aに対して離間した状態で保持されるようになっている。
【0089】
また、上記のような保持部材70Bにより保持された複数の磁性部材34,33,32,31,30は、図11に示すように、支持部材75の外周部分を、ケーシング20の本体部21の上端部21aに載置することによってケーシング20に配置してもよい。
【0090】
この場合も、保持部材70Bによって、複数の磁性部材34,33,32,31,30が、多重環状をなすレイアウトを維持しながら、ケーシング20の内周面20aから離間した状態に保持可能となる。
【0091】
更に、この実施形態における磁石60は円柱状をなしているが、磁石としては、例えば、断面が角形の棒状であったり、断面が楕円形の棒状であったり、断面がかまぼこ状の棒状であったり、また、断面が中実でなくても、円筒状(ドーナツ状、リング状)や角筒状等をなしていてもよい。
【0092】
(磁性異物除去装置の作用効果)
次に、上記構造からなる除去装置10の使用方法及び作用効果について説明する。
【0093】
すなわち、除去装置10の、ケーシング20の導入口25を通して、磁性異物を含む粉粒体又は流体(以下、単に「粉粒体等」ともいう)を、ケーシング20の本体部21内に導入する。すると、本体部21内に導入された粉粒体等は、重力により自然落下する等して、傾斜部23内に入り込む。
【0094】
その後、複数の磁性部材30,31,32,33,34の磁場によって、粉粒体等から磁性異物が吸着されて除去される。すなわち、磁石ケース50内にて隣接配置された磁石60,60の磁力がヨーク65に作用して、ヨーク65が吸着部分となり、磁石ケース50の、ヨーク65が位置する部分が吸着面となって、当該吸着面によって磁性異物を吸着することが可能となる。
【0095】
そして、本発明においては、磁性部材30,31,32,33,34を構成する各磁石ケース50の壁部51が、ケーシング20の軸線Cから内周面20aに向けて、所定間隔Sを空けて複数配置されるように構成されている(図2参照)。
【0096】
そのため、ケーシング20内の広い範囲に亘って、磁性部材30,31,32,33,34の、各磁石ケース50の壁部51を、粉粒体等が通過可能な程度に、密に配置することができると共に、ケーシング20の内周面20aに、磁石ケース50の壁部51を近づけて配置しやすくなり、ケーシング内周のデッドスペースを生じにくくさせることができる。その結果、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる。
【0097】
また、磁石ケース50は、ケーシング20の周方向に連続して延びる壁部51を有しているので、磁性部材30,31,32,33,34において、磁場が弱い端部のない構造とすることができるか(例えば、磁性部材の磁石ケースを環状とする構造)、或いは、磁性部材の端部が存在するとしても、当該端部をケーシングの内周面になるべく近づけて配置することができる。
【0098】
そして、前者の場合は、吸着漏れが生じる箇所を少なくすることができ、後者の場合は、例えば、磁性部材が直線状構造と比べて、磁性部材の端部において吸着漏れを生じにくくすることができる。
【0099】
したがって、この除去装置10は、粉粒体又は流体からの磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる。
【0100】
また、上述したように、磁性部材を、磁場が弱い端部のない構造とすることができるか、或いは、磁性部材の端部が存在するとしても、当該端部をケーシングの内周面になるべく近づけて配置することができるので、吸着漏れの少ない除去装置を比較的簡素な構造で実現することが可能となる。その結果、除去装置の製造コストを低減できると共に、除去装置の管理やメンテナンス等も容易となる。
【0101】
また、この実施形態においては、磁性部材30,31,32,33,34は、各磁石ケース50の壁部51が周方向に切れ目のない環状をなし、且つ、外寸の異なる相似形状のものを複数有しており、ケーシング20の内側に多重環状となるように配置される(図2参照)。
【0102】
上記態様によれば、磁性部材30,31,32,33,34の、各磁石ケース50の壁部51が上記構造をなしているので、磁性部材が製造しやすくなり除去装置全体のコスト低減を図ることができる。また、磁性部材の形状や配置個数を適宜調整することで、ケーシングの内部空間の大きさや形状等の変化に柔軟に対応することが可能となり、汎用性を高めることができる。
【0103】
また、磁性部材30,31,32,33,34は、各磁石ケース50の壁部51が周方向に切れ目のない環状をなしているので、特許文献1に記載の直線状のマグネットバーのように磁場の弱い軸方向の両端部が存在しない。すなわち、各磁性部材30,31,32,33,34を、磁場が弱まる箇所のない構造とすることができるので、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れをより少なくすることができる。
【0104】
また、この実施形態においては、ケーシング20は、導入口25側の内周寸法に対して図示しない排出口側の内周寸法が小さくなるように形成されており、一つの磁性部材30が、ケーシング20の排出口寄りの内側部分において、ケーシング20の内周面20aから離間した状態で配置されており(ここでは磁性部材30がケーシング20の傾斜部23の延出方向先端部の近傍に配置される)、当該磁性部材30よりも外寸の大きな、磁性部材31,32,33,34が、ケーシング20の内周面20aに沿うように且つケーシング20の内周面20aから離間した状態で配置される。
【0105】
上記態様によれば、複数の磁性部材30,31,32,33,34が、ケーシング20に対して、上記のようなレイアウトで配置されているので、ケーシング20の内周に、磁場が届かないデッドスペースをより生じさせにくくすることができ、ケーシング20の導入口25から導入され図示しない排出口から排出される粉粒体等からの、磁性異物の吸着漏れをより少なくすることができる。
【0106】
更に図7及び図8に示す第2変形例のように、角形環状をなした複数の磁性部材30A,31A,32A,33A,34Aが、除去装置10を平面方向から見たときに、多重環状をなすようにケーシング20内に配置されており、磁石ケース50の角部54に位置する磁石60と、当該磁石60に隣接する他の磁石60との間に位置するヨーク65Aが、伸縮可能なばね状をなしている場合は、以下の効果を奏する。
【0107】
すなわち、磁石ケース50が角形環状の場合、その角部54に配置される磁石60と隣接する磁石60との間には、隙間が生じやすく、その間に配置されるヨークが僅かに動いてしまうおそれがあり、ヨークからの吸着力が安定して発揮されないことがある。
【0108】
これに対して上記態様によれば、多角環状の磁石ケース50の角部54に位置する磁石60と、他の磁石60との間に位置するヨーク65Aが、伸縮可能なばね状をなしているので、磁石ケース50の角部54に、ヨーク65Aを動くおそれを少なくして配置することができ、ヨーク65Aからの吸着力を安定して発揮させることができる。
【0109】
また、図9及び図10に示す第3変形例のように、複数の磁性部材30,31,32,33,34が、保持部材70を介して互いに連結されている場合は、以下の効果を奏する。
【0110】
すなわち、複数の磁性部材30,31,32,33,34が、保持部材70を介して互いに連結されて、全体として1個の組立体が構成されるので、ケーシング20の内側に複数の磁性部材30,31,32,33,34を一度に配置することができると共に、ケーシング20の内側から複数の磁性部材30,31,32,33,34を一度に取外すこともできる。
【0111】
その結果、ケーシング内側への磁性部材の配置作業性、及び、ケーシング内側からの磁性部材の取外し作業性を向上させる。また、保持部材70によって、各磁性部材30,31,32,33,34が支持されることで、組立体全体の補強を図ることができる。
【0112】
なお、図1図6図11に示す態様においても、上記と同様の効果(配置作業性や取外し作業性の向上、組立体全体の補強)を得ることができる。
【0113】
また、図1図6図10図11に示す態様のように、保持部材70,70A,70Bによって、複数の磁性部材34,33,32,31,30が、所定レイアウトを維持しながら、ケーシング20の内周面20aに対して離間した状態で保持されるようになっている。
【0114】
これにより以下の効果が得られる。すなわち、磁性部材がケーシング内周面に接触していると、当該接触部分において粉粒体等の堆積が生じるおそれがあり、粉粒体等の磁性部材通過に支障をきたす可能性がある。
【0115】
しかし、本実施形態の場合、上述したように、磁性部材30,31,32,33,34は、保持部材70,70A,70Bを介して、ケーシング20の内周面20aから離間した状態で保持されるので、ケーシング20の内周面20aと磁性部材外周との間に、粉粒体等の堆積が生じることを防止して、ケーシング20の内周面20aと磁性部材外周面との隙間から、粉粒体等をスムーズに通過させることができ、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れをより少なくすることができる。
【0116】
(磁性異物除去装置の第2実施形態)
図12~14には、本発明に係る磁性異物除去装置の第2実施形態(磁性部材が螺旋形状をなす構造)が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0117】
図12図13に示すように、この実施形態における磁性異物除去装置10A(以下、単に「除去装置10A」ともいう)は、以下の構成となっている。
【0118】
すなわち、この除去装置10Aにおけるケーシング20は、導入口25側の内周寸法に対して図示しない排出口側の内周寸法が小さくなるように形成されており、磁性部材36の磁石ケース50の壁部51は、ケーシング20の軸線Cに沿って螺旋状をなすように連続して巻回された螺旋形状をなしており、ケーシング20の内周面20aに沿うように配置される構成となっている。
【0119】
なお、上記の磁性部材36は、保持部材70によって、螺旋形状を維持しながら、ケーシング20の内周面20aに対して離間した状態で保持されるようになっている。
【0120】
また、図12図14に示すように、磁石ケース50の壁部51は、ケーシング20の導入口25側に配置される一端部52側が拡径した形状をなすと共に、ケーシング20の図示しない排出口側に配置される他端部53側へ向けて次第に縮径しながら、ケーシング20の軸線Cに沿って螺旋状をなすように連続して巻回された形状を呈している。
【0121】
更に、螺旋状をなした磁石ケース50の壁部51は、一端部52及び他端部53の高さが、ケーシング20の軸線Cに沿った方向において位置ずれしている、すなわち、壁部51は、一端部52と他端部53とが巻回軸心方向において高さが一致しておらず、異なる高さとなっている。
【0122】
また、磁石ケース50の壁部51は、一端部52から他端部53に至るまで分断されたり切断されたりした箇所がなく連続して延びながら、螺旋形状をなすように巻回されており、除去装置10Aをケーシング20の軸線Cの方向から見たときに(磁性部材自体の巻回軸方向から見たとき、又は、除去装置10Aの平面方向から見たときとも言える)、外周及び内周が円形状をなした円形螺旋状を呈している(図13参照)。
【0123】
すなわち、螺旋状をなした磁石ケース50の壁部51は、その外周面及び内周面が、略円弧状の曲面を描きながら巻回された形状となっている。
【0124】
また、図12に示すように、磁石ケース50の壁部51の一端部52側及び他端部53側は、ケーシング20の軸線Cに対して直交するように巻回された平坦形状をなしている。
【0125】
そして、図12に示す範囲Bに示すように、ケーシング20の軸線Cからケーシング20の内周面20aに向けて、磁石ケース50の壁部51を構成する第1巻回部分55a(他端部53側の巻回部分)、第2巻回部分55b、第3巻回部分55c、第4巻回部分55d、第5巻回部分55e、第6巻回部分55f、第7巻回部分55g、第8巻回部分55h(一端部52側の巻回部分)の順に、所定間隔Sを空けて配置されている。
【0126】
すなわち、磁石ケース50は、ケーシング20の周方向に連続して延びる壁部51が、ケーシング20の軸線Cから内周面20aに向けて、所定間隔Sを空けて複数配置されるように構成されている。
【0127】
また、図12に示すように、磁性部材36の磁石ケース50の他端部53が、ケーシング20の傾斜部23の延出方向先端部の近傍において、ケーシング20の内周面20aから離間した状態で配置されると共に、磁石ケース50の他端部53側から一端部52側の外周部分が、ケーシング20の内周面20aに沿うように且つ内周面20aから離間した状態で配置される。すなわち、磁性部材36は、縮径した他端部53側から拡径した一端部52側の外周に至る範囲の外周部分が、ケーシング20の内周面20aに沿って離間状態で配置される。
【0128】
上述した磁性部材36の磁石ケース50の壁部51は、その外周や内周が円弧状曲面を描きつつ螺旋状に巻回されているが、図15に示す態様としてもよい。
【0129】
すなわち、図15に示す第2実施形態の変形例の磁性部材37は、巻回軸心方向から見たときに(平面方向から見たときに)、角部54を介して屈曲形成された複数の直線部分からなる角形状をなした、角形螺旋状を呈している。具体的には、磁性部材37を構成する磁石ケース50は、4つの角部54を有する略四角形の螺旋形状をなしていると共に、各角部54はやや丸みを帯びた形状となっている。
【0130】
そして、上記第2実施形態においては、磁石ケース50の壁部51が連続して巻回された螺旋形状をなしているので、ケーシング20の内側に磁性部材36を配置する際の作業性を向上させることができると共に、ケーシング20の内側から磁性部材36を取外す際の作業性も向上させることができる。
【0131】
また、ケーシング20が、上方が拡開し下方に向けて窄まるような構造(ホッパー構造)をなしている場合に、ケーシング内周面のデッドスペースを、より生じにくくさせることができる。
【0132】
更に、磁石ケース50の一端部52側及び他端部53側は、ケーシング20の軸線Cに対して直交するように巻回された平坦形状をなしているので、磁性部材36を、保持部材70に保持させやすくすることができる(平坦形状を利用して、保持部材70の基部フレーム71等に支持固定させやすい)。その結果、保持部材70を介して、磁性部材36を、ケーシング20の内側に安定した姿勢で設置することができる。
【0133】
(磁性異物除去装置の第3実施形態)
図16~22には、本発明に係る磁性異物除去装置の第3実施形態(磁性部材が渦巻き形状をなす構造)が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0134】
図16に示すように、この実施形態における磁性異物除去装置10B(以下、単に「除去装置10B」ともいう)は、以下の構成となっている。すなわち、この除去装置10Bにおける磁性部材38の磁石ケース50の壁部51は、ケーシング20の軸線Cからケーシング20の内周面20aに向けて渦巻き状をなすように連続して巻回された渦巻き形状をなしている。
【0135】
図16及び図17に示すように、磁性部材38の磁石ケース50は、その壁部51の一端部52及び他端部53の高さが、ケーシング20の軸線Cに沿った方向において位置ずれしておらず、同一高さに位置するものとなっている。
【0136】
また、渦巻き形状をなした磁性部材38は、図9図10に示す態様と同様の、保持部材70Bによって保持されると共に、当該図示しない保持部材によって、渦巻き形状が維持された状態で、ケーシング内周面に対して離間した状態で保持されるようになっている。なお、図18,19に示す第1変形例、図20,21に示す第2変形例、図22に示す第3変形例も同様に、保持部材によって渦巻き形状が維持された状態で、ケーシング内周面に対して離間状態で保持される。
【0137】
また、磁石ケース50の壁部51は、その一端部52が径方向外側に位置しており、この一端部52から径方向中央部分に向けて、分断されたり切断されたりした箇所がなく連続して延びながら、一定隙間を空けつつ渦を巻くように巻回されて、他端部53が径方向中央部分に配置されるようになっている。
【0138】
すなわち、磁石ケース50の壁部51は、除去装置10Bをケーシング20の軸線Cの方向から見たときに(磁性部材自体の巻回軸方向から見たとき、又は、除去装置10Bの平面方向から見たときとも言える)、その外周面及び内周面が略円弧状の曲面を描きながら巻回されてなる円形渦巻状を呈している。
【0139】
そして、図16に示す範囲Dに示すように、ケーシング20の軸線Cからケーシング20の内周面20aに向けて、磁石ケース50の壁部51を構成する第1巻回部分56a(他端部53側の巻回部分)、第2巻回部分56b、第3巻回部分56c、第4巻回部分56d、第5巻回部分56e(一端部52側の巻回部分)の順に、所定間隔Sを空けて配置されている。
【0140】
すなわち、磁石ケース50は、ケーシング20の周方向に連続して延びる壁部51が、ケーシング20の軸線Cから内周面20aに向けて、所定間隔Sを空けて複数配置されるように構成されている。
【0141】
図18及び図19には、第3実施形態の第1変形例が示されている。
【0142】
この第1変形例の磁性部材39は、基本的には図16及び図17に示す磁性部材38と同様に周面が円弧曲面をなした渦巻状となっているが、更に磁石ケース50の一端部52と他端部53とに亘って、略逆U字形の枠状をなした(門型枠状とも言える)が、取手57が架設された構造となっている。
【0143】
すなわち、取手57は、所定長さで延びる把持部57aと、該把持部57aの長手方向両端から互いに平行に垂下した一対の連結部57b,57bとを有しており、一方の連結部57bが磁石ケース50の一端部52に溶接等により接合され、他方の連結部57bが磁石ケース50の他端部53により接合されることで、磁石ケース50に取手57が架設される(取付けられる)ようになっている。
【0144】
図20及び図21には、第3実施形態の第2変形例が示されている。
【0145】
この第2変形例の磁性部材40は、図16~19に示す磁性部材38,39と同様に渦巻状となっており、更に磁石ケース50の径方向中央部分に位置する他端部53に、マグネット58が固設された構造となっている。また、マグネット58は、円柱状をなした基部58aと、該基部58aの一端部に連設された、円錐状をなした先端部58bとを有している。
【0146】
図22には、第3実施形態の第3変形例が示されている。
【0147】
この第3変形例の磁性部材41は、磁石ケース50の一端部52が、磁石ケース50の径方向に隣接する部分に、溶接等により接合された構造となっている。
【0148】
なお、図16~22に示す磁性部材では、磁石ケースが円形渦巻状をなしているが、図15に示す第2実施形態の変形例と同様に、略四角形状の角形渦巻状をなしていてもよい。
【0149】
そして、上記第3実施形態においては、磁石ケース50の壁部51が連続して巻回された渦巻き形状をなしているので、ケーシング20の内側に磁性部材36を配置する際の作業性を向上させることができると共に、ケーシング20の内側から磁性部材36を取外す際の作業性も向上させることができる。また、ケーシングが移送管のような構造をなしている場合に、対応しやすくなる。
【0150】
また、図18及び図19に示す第1変形例の磁性部材39のように、磁石ケース50に取手57が取付けられている場合には、作業者が取手57を把持して磁性部材39を取り扱うことができ、ハンドリング性を向上させることができる。その結果、ケーシング20の内側に磁性部材39をより配置しやすくなると共に、ケーシング20の内側から磁性部材39を取外しやすくなる。
【0151】
更に図20及び図21に示す第2変形例の磁性部材40のように、磁石ケース50の径方向中央部分に位置する他端部53に、マグネット58が固設されている場合には、磁性部材40の径方向中央部分を通過しようとする磁性異物を捕捉しやすくなる。その結果、粉粒体等からの磁性異物の吸着漏れを更に少なくすることができる。
【0152】
また、図22に示す第3変形例の磁性部材41のように、磁石ケース50の一端部52が、磁石ケース50の径方向に隣接する部分に、溶接等により接合されている場合には、磁性部材41の渦巻形状を維持しやすくなり、磁性部材41の保形性を向上させることができる。
【0153】
その結果、ケーシング20の内側に磁性部材41を配置する際に、磁性部材41の形状修正を行う必要がないか又は形状修正作業が簡単となるので、ケーシング内側に対する磁性部材41の配置作業性を高めることができる。
【0154】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
10,10A,10B 磁性異物除去装置(除去装置)
20 ケーシング
20a 内周面
25 導入口
30,30A,31,31A,32,32A,33,33A,34,34A,35,36,37,38,39,40,41 磁性部材
50 磁石ケース
51 壁部
52 一端部
53 他端部
60 磁石
61 N極
62 S極
65,65A ヨーク
70,70A,70B 保持部材
【要約】
【課題】磁性異物の吸着漏れを少なくすることができる、磁性異物除去装置を提供する。
【解決手段】この磁性異物除去装置10は、導入口25及び排出口27を有するケーシング20と、磁性部材30とを有しており、磁性部材30は、磁石ケース50と、磁石ケース50内にヨーク65を介して同極どうしを対向した状態で収納される複数の磁石60とを有し、磁石ケース50は、ケーシング20の周方向に連続して延びる壁部51を有し、該壁部51が、ケーシング20の導入口25から排出口に向かい且つ排出口の中心を通る軸線Cから、ケーシング20の内周面20aに向けて、所定間隔Sを空けて複数配置されるように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22