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特許7695732短繊維用処理剤、短繊維、及び不織布の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】短繊維用処理剤、短繊維、及び不織布の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/405 20060101AFI20250612BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20250612BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20250612BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20250612BHJP
   D06M 13/262 20060101ALI20250612BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
D06M13/405
D06M13/17
D06M13/224
D06M13/256
D06M13/262
D06M13/292
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024082015
(22)【出願日】2024-05-20
【審査請求日】2024-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】井手 菜摘
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-057965(JP,A)
【文献】特開2022-113652(JP,A)
【文献】特開2000-170075(JP,A)
【文献】特開平10-053958(JP,A)
【文献】特開2007-107131(JP,A)
【文献】特開平09-049166(JP,A)
【文献】特許第7319748(JP,B1)
【文献】特開平10-331072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のノニオン界面活性剤(A)、下記のノニオン界面活性剤(B)、及び下記のアニオン界面活性剤(C)を含有することを特徴とする不織布に用いられる短繊維用処理剤。
ノニオン界面活性剤(A):1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物、及び1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
ノニオン界面活性剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、及びアルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
アニオン界面活性剤(C):炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、及び脂肪酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つ。
【請求項2】
前記ノニオン界面活性剤(A)が、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物である請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤(C)が、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤である請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項4】
前記ノニオン界面活性剤(B)が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項5】
前記短繊維用処理剤の不揮発分における前記ノニオン界面活性剤(A)の含有割合が1質量%以上50質量%以下である請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項6】
前記ノニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記アニオン界面活性剤(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ノニオン界面活性剤(A)を1質量%以上50質量%以下、前記ノニオン界面活性剤(B)を30質量%以上80質量%以下、及び前記アニオン界面活性剤(C)を15質量%以上60質量%以下の割合で含有する請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項7】
更に、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)(前記ノニオン界面活性剤(A)に該当するものを除く)を含有する請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項8】
更に、炭素数10以下のカルボキシル基を有する有機酸(E)を含有する請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項9】
前記ノニオン界面活性剤(B)を含有する短繊維用第2処理剤と、前記ノニオン界面活性剤(A)を含有する短繊維用第1処理剤と、を含むセットで構成され
前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、前記アニオン界面活性剤(C)を含有し、
前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、任意選択でポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)(前記ノニオン界面活性剤(A)に該当するものを除く)、及び炭素数10以下のカルボキシル基を有する有機酸(E)から選ばれる少なくとも一つを含有し、使用時に前記短繊維用第1処理剤と前記短繊維用第2処理剤とが混合され請求項1に記載の短繊維用処理剤。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の短繊維用処理剤が付着した不織布に用いられる短繊維。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の短繊維用処理剤を短繊維に対し付着させる工程、及び熱融着処理を施して不織布を得る工程を経ることを特徴とする不織布の製造方法。
【請求項12】
前記短繊維が、ポリオレフィン系合成繊維である請求項11に記載の不織布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短繊維用処理剤、それが付着した短繊維、及びそれを用いた不織布の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不織布の原料繊維として合成繊維が用いられている。例えば、不織布は、合成繊維の短繊維であるステープルを作製した後、ステープルをカード機に通してウェブを作製する。また、合成繊維に短繊維用処理剤を塗布することによって、撥水性等の機能が付与される。撥水性等の機能が付与された合成繊維から作製された不織布は、衛材分野、医療分野、土木分野等、幅広い分野で活用されている。
【0003】
例えば、従来、特許文献1~4に開示の合成繊維用処理剤が知られている。特許文献1は、所定のポリオキシアルキレン誘導体及び直鎖状炭化水素化合物を含有して成るポリオレフィン系合成繊維処理剤について開示する。特許文献2は、(ポリ)アルキルポリアルキレンポリアミンアミド成分及びトリアルキルグリシン誘導体成分からなる繊維製品用透水性付与剤について開示する。特許文献3は、液膜開裂剤としてポリオキシエチレン変性シリコーン等、所定のノニオン界面活性剤等を含有する塗布液で処理された不織布について開示する。特許文献4は、所定のポリオキシアルキレン付加物、アルキルスルホネ-ト塩等のアニオン界面活性剤等を含有する処理剤で処理された耐久親水性繊維について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-189990号公報
【文献】特開平10-53958号公報
【文献】特開2019-2122号公報
【文献】特開平9-49166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、短繊維用処理剤には、該短繊維用処理剤が付与された繊維について、濡れ戻り防止性、耐久親水性、及び初期親水性の各機能の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定のノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを含む短繊維用処理剤がまさしく好適であることを見出した。
上記課題を解決する各態様を記載する。
【0007】
態様1の不織布に用いられる短繊維用処理剤は、下記のノニオン界面活性剤(A)、下記のノニオン界面活性剤(B)、及び下記のアニオン界面活性剤(C)を含有することを特徴とする。
【0008】
ノニオン界面活性剤(A):1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物、及び1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0009】
ノニオン界面活性剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、及びアルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0010】
アニオン界面活性剤(C):炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、及び脂肪酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つ。
【0011】
態様2は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(A)が、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物である。
態様3は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記アニオン界面活性剤(C)が、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤である。
【0012】
態様4は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(B)が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
態様5は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記短繊維用処理剤の不揮発分における前記ノニオン界面活性剤(A)の含有割合が1質量%以上50質量%以下である。
【0013】
態様6は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記アニオン界面活性剤(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ノニオン界面活性剤(A)を1質量%以上50質量%以下、前記ノニオン界面活性剤(B)を30質量%以上80質量%以下、及び前記アニオン界面活性剤(C)を15質量%以上60質量%以下の割合で含有する。
【0014】
態様7は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、更に、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)(前記ノニオン界面活性剤(A)に該当するものを除く)を含有する。
態様8は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、更に、炭素数10以下のカルボキシル基を有する有機酸(E)を含有する。
【0015】
態様9は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(B)を含有する短繊維用第2処理剤と、前記ノニオン界面活性剤(A)を含有する短繊維用第1処理剤と、を含むセットで構成され、前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、前記アニオン界面活性剤(C)を含有し、前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、任意選択でポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)(前記ノニオン界面活性剤(A)に該当するものを除く)、及び炭素数10以下のカルボキシル基を有する有機酸(E)から選ばれる少なくとも一つを含有し、使用時に前記短繊維用第1処理剤と前記短繊維用第2処理剤とが混合される。
【0016】
態様10の不織布に用いられる短繊維は、態様1~のいずれか一態様に記載の短繊維用処理剤が付着している。
態様11の不織布の製造方法は、態様1~のいずれか一態様に記載の短繊維用処理剤を短繊維に対し付着させる工程、及び熱融着処理を施して不織布を得る工程を経ることを特徴とする。
【0017】
態様12は、態様11に記載の不織布の製造方法において、前記短繊維が、ポリオレフィン系合成繊維である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、短繊維用処理剤が付与された繊維について、濡れ戻り防止性、耐久親水性、及び初期親水性の各機能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の短繊維用処理剤(以下、単に処理剤ともいう)を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の不織布に用いられる処理剤は、後述するノニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びアニオン界面活性剤(C)を含有する。処理剤は、さらにポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)(前記ノニオン界面活性剤(A)に該当するものを除く)及び炭素数10以下のカルボキシル基を有する化合物である有機酸(E)を含有してもよい。
【0020】
(ノニオン界面活性剤(A))
本実施形態において供されるノニオン界面活性剤(A)としては、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物、及び1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つである。
【0021】
(ポリ)アルキレンポリアミンの具体例としては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミン等が挙げられる。
【0022】
酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。カルボン酸は、モノカルボン酸であっても、多価カルボン酸であってもよく、また、ヒドロキシ基を有するオキシカルボン酸であってもよい。脂肪族カルボン酸の場合、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、また直鎖状であっても、分岐鎖を有してもよい。
【0023】
飽和脂肪酸の具体例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、オクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸等が挙げられる。
【0024】
不飽和脂肪酸の具体例としては、例えばクロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エイコセン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
【0025】
多価カルボン酸(多塩基酸)の具体例としては、例えば(1)コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸、(2)アコニット酸等の三塩基酸、(3)テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、(4)トリメリット酸等の芳香族トリカルボン酸、(5)ピロメリット酸等の芳香族テトラカルボン酸等が挙げられる。
【0026】
オキシカルボン酸の具体例としては、例えばクエン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、リシノール酸等が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、適宜設定されるが、1モル以上100モル以下、好ましくは2モル以上50モル以下である。上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中における付加対象化合物1モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。アルキレンオキサイドは、一種類のアルキレンオキサイドを単独で使用してもよいし、又は二種以上のアルキレンオキサイドを適宜組み合わせて使用してもよい。アルキレンオキサイドが二種類以上適用される場合、それらの付加形態は、ブロック付加、ランダム付加、及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
【0027】
ノニオン界面活性剤(A)の具体例としては、例えばエチレンジアミンジステアリン酸アミド、ジエチレントリアミンジステアリン酸アミド、ジエチレントリアミンジベヘン酸アミド、ジエチレントリアミントリオレイン酸アミド、トリエチレンテトラアミンテトラステアリン酸アミド、ジエチレントリアミンジベヘン酸アミド1モルに対してアルキレンオキサイドを付加させた化合物、ジエチレントリアミンジステアリン酸アミド1モルに対してアルキレンオキサイドを付加させた化合物、N”N-ビス(3-メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミド等が挙げられる。
【0028】
これらのノニオン界面活性剤(A)は、一種類を単独で使用してもよいし、又は二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらの中で、処理剤が付与された繊維について、濡れ戻り防止効果に優れる観点から、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物であることが好ましい。
【0029】
処理剤の不揮発分中のノニオン界面活性剤(A)の含有割合の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。かかる含有割合が0.3質量%以上の場合、処理剤が付与された繊維について、濡れ戻り防止効果をより向上できる。かかるノニオン界面活性剤(A)の含有割合の上限は、適宜設定されるが、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。かかる含有割合が70質量%以下の場合、処理剤が付与された繊維について、初期親水性をより向上できる。なお、上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。
【0030】
また、不揮発分とは、処理剤を105℃で2時間熱処理して揮発性成分を十分に除去したものをいう。以下、不揮発分の定義は、同じ条件を採用するものとする。
(ノニオン界面活性剤(B))
本実施形態において供されるノニオン界面活性剤(B)としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、及びアルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つである。
【0031】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸と、ポリグリセリンのエステルであることが好ましい。脂肪酸の具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。これらの中で脂肪酸としては、炭素数が12以上18以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましい。炭素数が12以上18以下である脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸等が挙げられる。
【0032】
エステル1分子中の脂肪族モノカルボン酸のモル数は、1以上6以下であることが好ましい。
ポリグリセリンの具体例としては、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、デカグリセリン、ドデカグリセリン等が挙げられる。グリセリン縮合数としては、特に限定されないが、3以上12以下が好ましい。
【0033】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えばテトラグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンジラウリン酸エステル、ドデカグリセリンヘキサステアリン酸エステル、トリグリセリンモノステアリン酸エステル等が挙げられる。
【0034】
炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成する脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、(1)ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール等の直鎖アルキルアルコール、(2)イソヘキサノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール等の分岐アルキルアルコール、(3)ヘキセノール、デセノール、ドデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、(4)イソデセノール、イソドデセノール等の分岐アルケニルアルコール等が挙げられる。
【0035】
炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成するアルキレンオキサイドの具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。
【0036】
炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物の具体例としては、例えばラウリルアルコール1モルに対し、アルキレンオキサイドを付加させた化合物等が挙げられる。
【0037】
炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成する脂肪酸としては、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、また直鎖状であっても、分岐鎖を有してもよい。また、脂肪酸は、モノカルボン酸であっても、多価カルボン酸であってもよく、また、ヒドロキシ基を有するオキシカルボン酸であってもよい。
【0038】
飽和脂肪酸の具体例としては、例えばオクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸(モンタン酸)、トリアコンタン酸等が挙げられる。
【0039】
不飽和脂肪酸の具体例としては、例えばミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エイコセン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
【0040】
多価カルボン酸(多塩基酸)の具体例としては、例えばセバシン酸等の二塩基酸等が挙げられる。
オキシカルボン酸の具体例としては、例えばリシノール酸等が挙げられる。
【0041】
炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成するアルキレンオキサイドの具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。
【0042】
炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物の具体例としては、例えばベヘン酸1モルに対し、アルキレンオキサイドを付加させた化合物、モンタン酸1モルに対し、アルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。
【0043】
アルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成するアルコールの具体例としては、例えば、(1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール等の直鎖アルキルアルコール、(2)イソプロパノール、イソブタノール、イソヘキサノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソペンタデカノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソヘンエイコサノール、イソドコサノール、イソトリコサノール、イソテトラコサノール、イソペンタコサノール、イソヘキサコサノール、イソヘプタコサノール、イソオクタコサノール、イソノナコサノール、イソトリアコンタノール等の分岐アルキルアルコール、(3)テトラデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、(4)イソヘキサデセノール、イソオクタデセノール等の分岐アルケニルアルコール、(5)シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状アルキルアルコール、(6)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール、(7)ベンジルアルコール等の芳香族アルコール、(8)フェノール、ノニルフェノール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール、ビスフェノールA等のフェノール類等が挙げられる。
【0044】
アルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成する脂肪酸の具体例としては、例えば、(1)オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸等の直鎖アルキルカルボン酸、(2)2-エチルヘキサン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸等の分岐アルキルカルボン酸、(3)オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸等の直鎖アルケニルカルボン酸、(4)安息香酸等の芳香族系カルボン酸、(5)乳酸、クエン酸、リシノール酸等のヒドロキシカルボン酸、(6)アジピン酸、セバシン酸、トリカルバリル等の多価カルボン酸等が挙げられる。
【0045】
アルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物を構成するアルキレンオキサイドの具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。
【0046】
アルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物の具体例としては、例えばソルビタンモノステアラート1モルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物、ソルビタンモノオレアート1モルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。
【0047】
これらのノニオン界面活性剤(B)は、一種類を単独で使用してもよいし、又は二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらの中で、処理剤が付与された繊維について、耐久親水性に優れる観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0048】
処理剤の不揮発分中のノニオン界面活性剤(B)の含有割合の下限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。かかる含有割合が10質量%以上の場合、処理剤が付与された繊維について、耐久親水性をより向上できる。かかるノニオン界面活性剤(B)の含有割合の上限は、適宜設定されるが、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。かかる含有割合が85質量%以下の場合、処理剤が付与された繊維について、初期親水性をより向上できる。なお、上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。
【0049】
(アニオン界面活性剤(C))
アニオン界面活性剤(C)は、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、及び脂肪酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つである。
【0050】
リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルケニルリン酸エステル塩、(ポリ)アルキレンオキサイド鎖を付加したアルキルリン酸エステル塩又はアルケニルリン酸エステル塩等が挙げられる。アルキルリン酸エステル塩を構成するアルキル基又はアルケニル基は、特に制限はなく、例えば、直鎖状であっても、分岐鎖構造を有するものでもよい。
【0051】
アルキル基の炭素数は、炭素数6以上14以下、好ましくは炭素数8以上12以下である。アルキル基の具体例としては、例えばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基等が挙げられる。
【0052】
アルケニル基の具体例としては、例えばヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル基、イソウンデセニル基、イソドデセニル基、イソトリデセニル基、イソテトラデセニル基等が挙げられる。
【0053】
(ポリ)オキシアルキレン構造を形成する原料として用いられるアルキレンオキサイドとしては、炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。
【0054】
有機リン酸エステル化合物を構成するリン酸は、特に制限はなく、オルトリン酸であってもよいし、二リン酸等のポリリン酸であってもよい。
リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤の具体例としては、例えばオクチルリン酸エステル塩、デシルリン酸エステル塩、ラウリルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンラウリルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0055】
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルスルホン酸塩、アルキル(C14~16)スルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、二級アルカンスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩等が挙げられる。
【0056】
硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(3)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(4)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0057】
脂肪酸塩型アニオン界面活性剤の具体例としては、例えばオクタン酸塩、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩としては、例えばアミン塩、金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0058】
金属塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属の具体例としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、第2族元素に該当する金属、例えばカルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0059】
アミン塩を構成するアミンは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのいずれであってもよい。アミン塩を構成するアミンの具体例としては、例えば、(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N-N-ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、(2)アニリン、N-メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、(3)モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、(4)N-メチルベンジルアミン等のアリールアミン、(5)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、(6)アンモニア等が挙げられる。
【0060】
これらのアニオン界面活性剤(C)は、一種類を単独で使用してもよいし、又は二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらのアニオン界面活性剤(C)の中で、処理剤が付与された繊維について、初期親水性をより向上できる観点から、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤が好ましい。さらには、(ポリ)アルキレンオキサイド鎖のないリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤がより好ましい。
【0061】
処理剤の不揮発分中のアニオン界面活性剤(C)の含有割合の下限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。かかる含有割合が5質量%以上の場合、処理剤が付与された繊維について、初期親水性をより向上できる。かかるアニオン界面活性剤(C)の含有割合の上限は、適宜設定されるが、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。かかる含有割合が70質量%以下の場合、処理剤が付与された繊維について、耐久親水性をより向上できる。なお、上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。
【0062】
処理剤中において、前記ノニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記アニオン界面活性剤(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ノニオン界面活性剤(A)を1質量%以上50質量%以下、前記ノニオン界面活性剤(B)を30質量%以上80質量%以下、及び前記アニオン界面活性剤(C)を15質量%以上60質量%以下の割合で含有することが好ましい。かかる範囲に規定することにより、本発明の効果をより向上できる。
【0063】
(ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D))
本実施形態において供されるポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)を構成する脂肪酸アミド化合物は、脂肪酸と有機アミンとの縮合反応させることによって得られる。縮合反応は、公知の方法により行うことができる。また、縮合反応時において、必要により酸又はアルカリ等の触媒を使用してもよく、反応が促進する温度まで加熱してもよい。
【0064】
脂肪酸アミド化合物の具体例としては、例えばラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ジエチレントリアミンのモノラウリン酸アミド、ジエチレントリアミンのジラウリン酸アミド、ジエチレントリアミンのジパルミチン酸アミド、ジエチレントリアミンのモノステアリン酸アミド、ジエチレントリアミンのジステアリン酸アミド、ジエチレントリアミンのジオレイン酸アミド、ジエチレントリアミンのジベヘニン酸アミド等が挙げられる。
【0065】
ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)のポリオキシアルキレン構造を形成する原料として用いられるアルキレンオキサイドの具体例としては、ノニオン界面活性剤(A)欄で挙げたものが適用できる。
【0066】
ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)の具体例としては、例えばラウリン酸アミド1モルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物、オレイン酸アミド1モルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物、ステアリン酸アミド1モルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。
【0067】
これらのポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)は、一種類を単独で使用してもよいし、又は二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
処理剤の不揮発分中のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)の含有割合の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。かかる含有割合が0.5質量%以上の場合、処理剤の乳化性をより向上できる。かかるポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)の含有割合の上限は、適宜設定されるが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。かかる含有割合が15質量%以下の場合、処理剤の乳化性をより向上できる。なお、上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。
【0068】
(有機酸(E))
本実施形態において供される有機酸(E)としては、炭素数10以下のカルボキシル基を有する化合物等が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物としては、例えば1価の脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、多価カルボン酸(多塩基酸)等が挙げられる。
【0069】
脂肪酸としては、公知のものを適宜採用でき、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であってもよい。また、直鎖状のものであっても、分岐鎖構造を有するものであってもよい。
【0070】
飽和脂肪酸の具体例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、オクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)等が挙げられる。不飽和脂肪酸の具体例としては、例えばクロトン酸等が挙げられる。
【0071】
多価カルボン酸(多塩基酸)の具体例としては、例えば(1)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸、(2)アコニット酸等の三塩基酸、(3)安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、(4)トリメリット酸等の芳香族トリカルボン酸、(5)ピロメリット酸等の芳香族テトラカルボン酸等が挙げられる。
【0072】
ヒドロキシ脂肪酸の具体例として、例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸等が挙げられる。
これらの有機酸(E)は、一種類を単独で使用してもよいし、又は二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0073】
これらの中で炭素数6以下のカルボキシル基を有する化合物であることが好ましい。
処理剤の不揮発分中の有機酸(E)の含有割合の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。かかる含有割合が0.5質量%以上の場合、処理剤の乳化性をより向上できる。かかる有機酸(E)の含有割合の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。かかる含有割合が10質量%以下の場合、処理剤の乳化性をより向上できる。なお、上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。
【0074】
(保存形態)
処理剤は、上述したノニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、アニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)を含む1剤型として構成されてもよいし、製剤安定性を向上させる観点から、以下に示されるような2剤型の処理剤として構成されてもよい。
【0075】
2剤型の処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)を含有する短繊維用第1処理剤(以下、「第1処理剤」という)と、ノニオン界面活性剤(B)を含有する短繊維用第2処理剤(以下、「第2処理剤」という)と、を含むセットとして構成される。アニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)は、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に含有されてもよい。第1処理剤及び第2処理剤の安定性の観点から、アニオン界面活性剤(C)は、第2処理剤の方に含有されることが好ましく、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)は、第1処理剤の方に含まれることが好ましい。
【0076】
2剤型の処理剤は、保存時又は流通時等において第1処理剤と、該第1処理剤とは別剤として構成される第2処理剤とから構成されている。2剤型処理剤は、使用時に第1処理剤と第2処理剤とが混合された混合物が調製される。
【0077】
(溶媒)
本実施形態の処理剤は、必要により溶媒と混合することにより短繊維用処理剤含有組成物又は短繊維用処理剤含有希釈液(以下、「処理剤含有組成物等」という)が調製され、処理剤含有組成物等の形態で、保存又は流通させてもよい。
【0078】
溶媒は、一気圧における沸点が105℃以下である溶媒である。溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール等、ヘキサン等の低極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用してもよいし、又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これらの中で、各成分の分散性又は溶解性に優れる観点から水、低級アルコール等の極性溶媒が好ましく、ハンドリング性に優れる観点から水がより好ましい。
【0079】
(本実施形態の効果)
第1実施形態の処理剤の効果について説明する。
(1-1)上記第1実施形態の処理剤では、上述したノニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びアニオン界面活性剤(C)を含有する。したがって、処理剤が付与された繊維の濡れ戻り防止性、耐久親水性、及び初期親水性の各機能の向上を図ることができる。それにより、処理剤が付与された繊維の品質を向上できる。また、処理剤の乳化性を向上できる。
【0080】
(1-2)さらに、処理剤がポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)又は有機酸(E)を含む場合、処理剤の乳化性をより向上できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第1処理剤を具体化した第2実施形態を説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
本実施形態の不織布に用いられる第1処理剤では、上述したノニオン界面活性剤(A)、並びに任意選択でアニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)を含有する。第1処理剤は、使用時に上述したノニオン界面活性剤(B)を含有する不織布に用いられる第2処理剤と併用され、使用時以外は第2処理剤と別剤として構成される。アニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)は、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に含有されてもよい。使用時に第1処理剤と第2処理剤とが混合された処理剤としての混合物が調製される。なお、第1処理剤及び第2処理剤に含有されるノニオン界面活性剤(A)等の各成分は、第1実施形態において説明した各成分と同一である。
【0082】
(溶媒)
本実施形態の第1処理剤は、必要により溶媒と混合することにより短繊維用第1処理剤含有組成物又は短繊維用第1処理剤含有希釈液(以下、「第1処理剤含有組成物等」という)が調製され、第1処理剤含有組成物等の形態で、保存又は流通させてもよい。かかる構成により、使用時に溶媒で希釈する際又は第2処理剤と混合する際、混合性を向上させるとともに、組成物の安定性を向上させる。溶媒は、第1実施形態で例示したものを採用できる。
【0083】
(本実施形態の効果)
上記第2実施形態の第1処理剤の効果について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0084】
(2-1)第2実施形態の第1処理剤では、上述したノニオン界面活性剤(A)、並びに任意選択でアニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)を含有する。使用時以外は上述したノニオン界面活性剤(B)を含有する第2処理剤と別剤として構成される。第1処理剤は、使用時に第2処理剤と併用され、第1処理剤と第2処理剤とが混合された処理剤としての混合物が調製される。したがって、保存時又は流通時等において、第1処理剤の製剤安定性、特に保存安定性をより向上できる。また、第2処理剤との混合比率を調整することにより、得られる処理剤の成分を調整できる。また、第1処理剤のみを第2処理剤とは別剤として流通させることができる。
【0085】
<第3実施形態>
次に、本発明の第2処理剤を具体化した第3実施形態を説明する。以下、第1,2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0086】
本実施形態の不織布に用いられる第2処理剤では、上述したノニオン界面活性剤(B)、並びに任意選択でアニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)を含有する。第2処理剤は、使用時にノニオン界面活性剤(A)等を含有する不織布に用いられる第1処理剤と併用され、使用時以外は第1処理剤と別剤として構成される。アニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)は、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に含有されてもよい。使用時に第1処理剤と第2処理剤とが混合された処理剤としての混合物が調製される。第1処理剤及び第2処理剤に含有されるノニオン界面活性剤(A)等の各成分は、第1実施形態において説明した各成分と同一である。
【0087】
(溶媒)
本実施形態の第2処理剤は、必要により溶媒と混合することにより短繊維用第2処理剤含有組成物又は短繊維用第2処理剤含有希釈液(以下、「第2処理剤含有組成物等」という)が調製され、第2処理剤含有組成物等の形態で、保存又は流通させてもよい。かかる構成により、使用時に溶媒で希釈する際又は第1処理剤と混合する際、混合性を向上させるとともに、組成物の安定性を向上させる。溶媒は、第1実施形態で例示したものを採用できる。
【0088】
(本実施形態の効果)
上記第3実施形態の第2処理剤の効果について説明する。第3実施形態では、第1,2実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0089】
(3-1)第3実施形態の第2処理剤では、上述しノニオン界面活性剤(B)、並びに任意選択でアニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)を含有する。使用時以外は上述したノニオン界面活性剤(A)等を含有する第1処理剤と別剤として構成される。第2処理剤は、使用時に第1処理剤と併用され、第1処理剤と第2処理剤とが混合された処理剤としての混合物が調製される。したがって、保存時又は流通時等において、第2処理剤の製剤安定性、特に保存安定性をより向上できる。また、第1処理剤との混合比率を調整することにより、得られる処理剤の成分を調整できる。また、第2処理剤のみを第1処理剤とは別剤として流通させることができる。
【0090】
<第4実施形態>
本発明に係る短繊維を具体化した第4実施形態について説明する。本実施形態の不織布に用いられる短繊維は、第1実施形態の処理剤が表面に付着している処理済み短繊維である。処理剤が短繊維の表面に付着することにより改質短繊維が得られる。
【0091】
(繊維の用途)
処理剤が付着している繊維の用途は、短繊維が挙げられる。短繊維は、一般にステープルと呼ばれるものが該当し、一般にフィラメントと呼ばれる長繊維を含まないものとする。また、短繊維の長さは、本技術分野において短繊維に該当するものであれば特に限定されないが、例えば100mm以下、好ましくは30mm以上70mm以下である。短繊維は、以下の合成繊維より構成される。
【0092】
(合成繊維)
合成繊維の具体例としては、(1)ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維等のポリオレフィン系繊維、(2)ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンテレフタラート・イソフタラート、ポリエーテルポリエステル等のポリエステル系繊維、(3)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、(4)複合繊維のうち、芯鞘構造の複合繊維であって芯、鞘部のいずれか又は両者がポリオレフィン系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維、若しくはサイドバイサイド構造を有するポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維等のポリオレフィン系繊維、芯鞘構造の複合繊維であって芯、鞘部のいずれか又は両者がポリオレフィン系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維、若しくはサイドバイサイド構造を有するポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維等のポリオレフィン系合成繊維であることが好ましい。ここで、ポリオレフィン系合成繊維とは、オレフィンやアルケンをモノマーとして合成された合成繊維を意味するものとする。
【0093】
(処理剤の付着処理)
第1実施形態の処理剤を合成繊維に付着させる割合に特に制限はないが、溶媒を含まない処理剤として合成繊維に対し0.1質量%以上2質量%以下となるように付着させることが好ましく、0.2質量%以上1.2質量%以下となるように付着させることがより好ましい。
【0094】
処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、例えば、第1実施形態の処理剤、及び水を含有する処理剤含有組成物又はさらに溶媒で希釈した希釈液を用いて、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法、計量ポンプを用いたガイド給油法等によって付着させる方法を適用できる。
【0095】
なお、処理剤含有組成物又は希釈液の調製には、ホモミキサーやホモジナイザー等を用いた公知の機械的乳化方法が適用できる。
(不織布の製造方法)
本実施形態の短繊維を用いて、更に以下の方法によって不織布が製造されてもよい。
【0096】
処理剤を上述した複合繊維として構成される短繊維に対し付着させる工程、及び熱融着処理を施して不織布を得る工程を経ることにより得られる。より具体的には、以下の工程を経ることにより得られる。
【0097】
工程1:第1実施形態の処理剤を、短繊維に対し付着させる工程。
工程2:前記工程1で処理剤を付着させた短繊維を、カード機に通過させてウェブを得る工程。
【0098】
工程3:前記工程2で得られたウェブに熱融着処理を施して不織布を得る工程。
以上の工程を経ることにより、不織布を製造できる。不織布は、繊維同士を熱融着させていることから、サーマルボンド不織布と言い換えることができる。
【0099】
短繊維から不織布が製造される場合、製造性及び使用特性に優れる観点から合成繊維としてポリオレフィン系合成繊維が適用されることが好ましい。
熱融着処理の温度は、合成繊維の種類、処理時間等に応じて適宜設定されるが、例えば100℃以上180℃以下、好ましくは120℃以上160℃以下が採用される。熱融着処理の時間は、合成繊維の種類、処理温度等に応じて適宜設定されるが、例えば1秒以上60秒以下、好ましくは5秒以上20秒以下が採用される。
【0100】
(本実施形態の効果)
第4実施形態の短繊維の効果について説明する。第4実施形態では、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0101】
(4-1)第4実施形態の短繊維では、第1実施形態の処理剤が付着している。したがって、濡れ戻り防止性、耐久親水性、及び初期親水性の各機能が向上した短繊維が得られる。よって、それらの機能向上が求められる衛材分野、医療分野等の用途に好適に適用することができる。
【0102】
(4-2)また、多剤型の場合、使用直前に第1処理剤及び第2処理剤が溶媒に添加されて調製されるため、乳化安定性が良好な状態で処理剤を繊維に付与することができる。したがって、各成分による短繊維に対する効能を有効に発揮できる。
【0103】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0104】
・上記実施形態の各処理剤、組成物、又は希釈液には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、各処理剤等の品質保持のため、その他の成分として、その他の溶媒、安定化剤、制電剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、高級アルコール等の通常処理剤等に用いられる成分がさらに配合されてもよい。なお、溶媒以外の通常処理剤等に用いられるその他の成分は、本発明の効能を効率的に発揮する観点から各処理剤中において10質量%以下が好ましい。また、その他の成分を上述した各処理剤とは別剤として保存してもよい。
【実施例
【0105】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0106】
試験区分1(処理剤の調製)
(実施例1-1)
866.7gの水を80℃に加温し、撹拌しながら、ノニオン界面活性剤(A)としてエチレンジアミンジステアリン酸アミド(A1-1)11.0g、ノニオン界面活性剤(B)としてポリグリセリン脂肪酸エステル(B1-1)30.0g、アニオン界面活性剤(C)としてオクチルリン酸エステルカリウム塩(C1-1)の60%水溶液を83.3g、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)としてラウリン酸アミド1モルに対してエチレンオキサイド(以下「EO」という)8モルを付加させた化合物(D-1)5.0g、有機酸(E)として酢酸(E-1)2.0g、その他成分としてエチレンジアミン(F-6)2.0gを添加、混合して実施例1の処理剤の10.0%水性液を得た。なお、ノニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)は、常温で固状の物は加温融解させた後、添加した。
【0107】
(実施例1-2~1-37、比較例1~12)
実施例1-2~1-37及び比較例1~12の各処理剤は、表1,2に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
【0108】
各例の処理剤中におけるノニオン界面活性剤(A)の種類と含有量、ノニオン界面活性剤(B)の種類と含有量、アニオン界面活性剤(C)の種類と含有量、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)の種類と含有量、有機酸(E)の種類と含有量、及びその他成分の種類と含有量は、表1,2の「ノニオン界面活性剤(A)」欄、「ノニオン界面活性剤(B)」欄、「アニオン界面活性剤(C)」欄、「ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)」欄、「有機酸(E)」欄、及び「その他成分」欄にそれぞれ示すとおりである。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
表1,2に記載するノニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、アニオン界面活性剤(C)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、有機酸(E)、及びその他成分の詳細は以下のとおりである。
【0112】
<ノニオン界面活性剤(A)>
((ポリ)アルキレンポリアミンと酸との縮合物)
A1-1:エチレンジアミンジステアリン酸アミド
A1-2:ジエチレントリアミンジステアリン酸アミド
A1-3:ジエチレントリアミンジベヘン酸アミド
A1-4:ジエチレントリアミントリオレイン酸アミド
A1-5:トリエチレンテトラアミンテトラステアリン酸アミド
A1-6:N”N-ビス(3-メトキシプロピル)イソドコ酸ジアミド
((ポリ)アルキレンポリアミンと酸との縮合物に対し、アルキレンオキサイドを付加させた化合物)
A2-1:ジエチレントリアミンジベヘン酸アミド1モルに対し、EO10モルを付加させた化合物
A2-2:ジエチレントリアミンジベヘン酸アミド1モルに対し、EO21モルを付加させた化合物
A2-3:ジエチレントリアミンジステアリン酸アミド1モルに対し、EO5モル、プロピレンオキサイド(以下「PO」という)1モルを付加させた化合物
(その他のアミド系化合物)
a1-1:オレイン酸アミド
a1-2:ジメチルアミノエチルアミンステアリン酸アミド
a1-3:ステアリン酸ジエタノールアミド
<ノニオン界面活性剤(B)>
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、下記表3に示されるB1-1~B1-4を使用した。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンのグリセリン縮合数、脂肪酸の種類、エステル基数を、表3中の「グリセリン縮合数」欄、「脂肪酸」欄、「エステル基数」欄にそれぞれ示す。
【0113】
【表3】
【0114】
(脂肪族アルコールに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物)
B2-1:ラウリルアルコール1モルに対し、EO5モルを付加させた化合物
B2-2:ラウリルアルコール1モルに対し、EO9モルを付加させた化合物
(脂肪酸に対してアルキレンオキサイドを付加した化合物)
B2-3:ベヘン酸1モルに対し、EO48モルを付加させた化合物
B2-4:モンタン酸1モルに対し、EO48モルを付加させた化合物
(アルコール脂肪酸エステルに対してアルキレンオキサイドを付加した化合物)
B2-5:ソルビタンモノステアラート1モルに対し、EO20モルを付加させた化合物
B2-6:ソルビタンモノオレアート1モルに対し、EO20を付加させた化合物
(その他のノニオン界面活性剤)
b1-1:テトラデシルアルコール1モルに対し、EO3モルを付加させた化合物
b1-2:トリアコンチルアルコール1モルに対し、EO10を付加させた化合物
b1-3:トリアコンチルアルコール1モルに対し、EO5モル、PO5モルを付加させた化合物
b1-4:ソルビタンモノオレアート
<アニオン界面活性剤(C)>
(リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤)
リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤は、下記表4に示されるC1-1~C1-6を使用した。リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤の酸価、P核NMR積分比率を表4中の「酸価」欄、「構造(P核NMR積分比率)」欄にそれぞれ示す。
【0115】
【表4】
【0116】
(その他のアニオン界面活性剤)
C2-1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(酸価0.5KOH-mg/g)
C2-2:ドデシル硫酸ナトリウム(酸価0.2KOH-mg/g)
C2-3:オクタン酸カリウム(酸価1.0KOH-mg/g)
C2-4:炭素数14~16のアルキルスルホン酸ナトリウム
c1-1:ブチルリン酸エステルカリウム塩
c1-2:ステアリルリン酸エステルカリウム塩
(ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D))
D-1:ラウリン酸アミド1モルに対し、EO8モルを付加させた化合物
D-2:オレイン酸アミド1モルに対し、EO17モルを付加させた化合物
D-3:ステアリン酸アミド1モルに対し、EO40モルを付加させた化合物
(有機酸(E))
E-1:酢酸
E-2:乳酸
E-3:クエン酸
(その他成分)
F-1:炭素数30のポリエチレン
F-2:ヘプタデシルイミダゾリウムヒドロキシエチルグリシンヒドロキサイドの分子内塩
F-3:β-ヒドロキシオルタデシルジメチルグリシンヒドロキサイドの分子内塩
F-4:ジメチルオクタデシルグリシンヒドロキサイドの分子内塩
F-5:ポリオキシエチレン変性ジメチルシリコーン
F-6:エチレンジアミン
F-7:ジエチレントリアミン
F-8:ラウリン酸
F-9:ステアリン酸
F-10:オクチルアルコール
F-11:ラウリルアルコール
F-12:リン酸
F-13:リン酸一カリウム
試験区分2(短繊維処理綿の調製)
短繊維として、鞘部がポリエチレンであり、芯部がポリエステルであり、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリオレフィン系複合繊維を使用した。調製した各例の処理剤の水性液を、ポリオレフィン系複合繊維に、付着量(溶媒を除く)が0.35%となるようスプレー給油法で付着させた。次に80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して、処理済み短繊維処理綿を得た。
【0117】
試験区分3(不織布の作製)
処理済み短繊維処理綿100gを、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した後、ローラーカード(カード機)に供して、目付け20g/mのカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、評価試料とした。
【0118】
試験区分4(濡れ戻り防止性)
前記の評価試料を10cm×10cmの小片に裁断し、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した。市販されている紙おむつの最外部の不織布素材から10cm×10cmの不織布片を切除し、その切除部に前記の調湿された10cm×10cmの小片を取り付けて、濡れ戻り防止性の評価試料とした。取り付けた小片が上向きになるように濡れ戻り防止性の評価試料を水平に置き、該小片の中央に両端が開放された内径6cmの円筒を垂直に立てた。この円筒に水80mLを注入し、5分間静置して、紙おむつ内部に水を吸収させた。次に取り付けた小片上に10cm×10cmの濾紙を15枚重ねて載せ、更にその上に10cm×10cmで5.0kgの錘板を載せて、2分間荷重した後、15枚重ねた濾紙の総質量を測量し、その質量の増加率を算出して、下記の評価基準で評価した。結果を表1,2の「濡れ戻り防止性」欄に示す。
【0119】
・濡れ戻り防止性の評価基準
4(優れる):質量増加率が1%未満
3(良好):質量増加率が1%以上且つ1.5%未満
2(可):質量増加率が1.5%以上且つ2%未満
1(不可):質量増加率が2%以上
試験区分5(耐久親水性)
前記の評価試料を10cm×10cmの小片に裁断し、20℃で60%RHの恒温室内にて24時間調湿した。重ねた5枚の濾紙の上に調湿された不織布を置き、さらにその上の中央に両端が開放された内径1cmの円筒を垂直に立て、この円筒に0.9%生理食塩水10mLを注入し、不織布に食塩水が完全に吸収されるまでの時間を測定した。その後、不織布を取り出し、40℃で90分間送風乾燥した。同様の操作を合計3回繰り返し、3回目の時間から下記の評価基準で評価した。結果を表1,2の「耐久親水性」欄に示す。
【0120】
・耐久親水性の評価基準
4(優れる):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒未満
3(良好):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒以上且つ8秒未満
2(可):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が8秒以上且つ10秒未満
1(不可):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が10秒以上
試験区分6(初期親水性)
前記の評価試料を、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した後、水平板上に置き、ビューレットを用いて10mmの高さから0.5mLの水滴を滴下させ、その水滴が完全に試料中に吸収されてしまうまでに要する時間(透水までに要する時間)を測定し、下記の評価基準で評価した。結果を表1,2の「初期親水性」欄に示す。
【0121】
・初期親水性の評価基準
4(優れる):透水までに要する時間が0.5秒未満
3(良好):透水までに要する時間が0.5秒以上且つ1秒未満
2(可):透水までに要する時間が1秒以上且つ2秒未満
1(不可):透水までに要する時間が2秒以上
試験区分7(乳化性)
調製した各例の処理剤の水性液を1質量%に希釈し、試験管に10mL取り分け、25℃にて24時間静置、目視観察して、24時間静置後の安定性を以下の基準で判定した。結果を表1,2の「乳化性」欄に示す。
【0122】
・乳化性の評価基準
4(優れる):沈殿物が全く認められない場合
3(良好):調製直後には沈殿物はないが、24時間後には沈殿物がわずかに認められる場合
2(可):調製直後には沈殿物はないが、24時間後には沈殿物が多く認められる場合
1(不可):調製直後から沈殿物が多く認められる場合
試験区分8(2剤型処理剤の第1処理剤希釈液の調製)
(第1処理剤希釈液(I-1))
溶媒として950.0gの水を80℃に加温し、撹拌しながら、ノニオン界面活性剤(A)としてエチレンジアミンジステアリン酸アミド(A1-1)27.5g、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)としてラウリン酸アミド1モルに対してEO8モルを付加させた化合物(D-1)12.5g、有機酸(E)として酢酸(E-1)5.0g、その他成分としてエチレンジアミン(F-6)5.0gを添加、混合して第1処理剤希釈液(Iー1)を調製した。なお、ノニオン界面活性剤(A)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)に関して、常温で固状の物は加温融解させた後、添加した。
【0123】
(第1処理剤希釈液(I-2)~(I-14))
第1処理剤(I-1)と同様にして各成分を使用し、第1処理剤希釈液(I-2)~(I-14)を表5に示した割合で含むように調製した。
【0124】
第1処理剤希釈液中におけるノニオン界面活性剤(A)の種類と含有量、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)の種類と含有量、有機酸(E)の種類と含有量、その他成分の種類と含有量、水の含有量は、表5の「ノニオン界面活性剤(A)」欄、「ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)」欄、「有機酸(E)」欄、「その他成分」欄、「溶媒」欄にそれぞれ示すとおりである。
【0125】
【表5】
【0126】
試験区分9(2剤型処理剤の第2処理剤希釈液の調製)
(第2処理剤希釈液(II-1))
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B1-1)187.5g、オクチルリン酸エステルカリウム塩(C1-1)の60%水溶液520.8gを80℃で混合し、80℃水291.7gを加え、80℃にて撹拌して第2処理剤希釈液(II-1)を調製した。なお、ノニオン界面活性剤(B)に関して、常温で固状の物は加温融解させた後、添加した。
【0127】
(第2処理剤希釈液(II-2)~(II-14))
第2処理剤希釈液(II-1)と同様にして、ノニオン界面活性剤(B)、ノニオン界面活性剤(C)、水を表6に示した割合で含むように調製した。
【0128】
各例の処理剤中におけるノニオン界面活性剤(B)の種類と含有量、アニオン界面活性剤(C)の種類と含有量、水の含有量は、表6の「ノニオン界面活性剤(B)」欄、「アニオン界面活性剤(C)」欄、「溶媒」欄にそれぞれ示すとおりである。
【0129】
【表6】
【0130】
試験区分10(第1処理剤希釈液と第2処理剤希釈液から処理剤希釈液の調製)
(実施例2-1)
表7に示される前記の第1処理剤希釈液(I-1)400.0gと第2処理剤希釈液(II-1)160.0gを混合し、処理剤希釈液(実施例2-1)を得た。更に、440.0gの水を加え、50℃にて撹拌して、実施例2-1の処理剤希釈液の10.0%水性液を得た。
【0131】
(実施例(2-2,6,7,10,13,15~17,20,28,30,34,35))
実施例2-1と同様にして、表7に示される第1処理剤希釈液と第2処理剤希釈液とを混合して各例の処理剤希釈液を調製した。
【0132】
第1処理剤希釈液の種類と質量比、第2処理剤希釈液の種類と質量比を、表7の「第1処理剤希釈液(I)」欄、「第2処理剤希釈液(II)」欄にそれぞれ示す。
【0133】
【表7】
【0134】
試験区分11(第1処理剤希釈液及び第2処理剤希釈液の製剤安定性の評価)
調製した各例の第1処理剤希釈液及び第2処理剤希釈液をそれぞれ試験管に10mL取り分け、目視観察して安定性を以下の基準で判定した。
【0135】
・製剤安定性の評価基準
2(可):調製直後に分離や沈殿物がない場合
1(不可):調製直後から分離や沈殿物が認められる場合
試験区分12(2剤型の処理剤希釈液の評価)
得られた実施例2-1等の各例の処理剤希釈液を用いて、実施例1-1の処理剤と同様の方法にて濡れ戻り防止性、耐久親水性、初期親水性、及び乳化性について評価した。結果を表7の「濡れ戻り防止性」欄、「耐久親水性」欄、「初期親水性」欄、「乳化性」欄にそれぞれ示す。
【0136】
上記表の結果から、本発明によれば、処理剤が付与された繊維の濡れ戻り防止性、耐久親水性、初期親水性をそれぞれ向上できる。また、処理剤希釈液の乳化性を向上できる。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0137】
態様1の短繊維用処理剤は、下記のノニオン界面活性剤(A)、下記のノニオン界面活性剤(B)、及び下記のアニオン界面活性剤(C)を含有することを特徴とする。
ノニオン界面活性剤(A):1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物、及び1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0138】
ノニオン界面活性剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、及びアルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0139】
アニオン界面活性剤(C):炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、及び脂肪酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つ。
【0140】
態様2は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(A)が、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物である。
態様3は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記アニオン界面活性剤(C)が、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤である。
【0141】
態様4は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(B)が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
態様5は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記短繊維用処理剤の不揮発分における前記ノニオン界面活性剤(A)の含有割合が1質量%以上50質量%以下である。
【0142】
態様6は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、前記ノニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記アニオン界面活性剤(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ノニオン界面活性剤(A)を1質量%以上50質量%以下、前記ノニオン界面活性剤(B)を30質量%以上80質量%以下、及び前記アニオン界面活性剤(C)を15質量%以上60質量%以下の割合で含有する。
【0143】
態様7は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、更に、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)を含有する。
態様8は、態様1に記載の短繊維用処理剤において、更に、有機酸(E)を含有する。
【0144】
態様9の短繊維用第1処理剤は、下記のノニオン界面活性剤(B)を含有する短繊維用第2処理剤と併用され、下記のノニオン界面活性剤(A)を含有する短繊維用第1処理剤であって、前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、下記のアニオン界面活性剤(C)を含有し、前記短繊維用第1処理剤、及び前記短繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に、任意選択でポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(D)、及び有機酸(E)から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする。
【0145】
ノニオン界面活性剤(A):1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物、及び1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0146】
ノニオン界面活性剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数6以上13以下の脂肪族アルコール1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、炭素数8以上30以下の脂肪酸1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物、及びアルコール脂肪酸エステル1モルに対し、1モル以上100モル以下のアルキレンオキサイドを付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つ。
【0147】
アニオン界面活性剤(C):炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、及び脂肪酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つ。
【0148】
態様10の短繊維は、態様1~8のいずれか一態様に記載の短繊維用処理剤が付着している。
態様11の不織布の製造方法は、態様1~8のいずれか一態様に記載の短繊維用処理剤を短繊維に対し付着させる工程、及び熱融着処理を施して不織布を得る工程を経ることを特徴とする。
【0149】
態様12は、態様11に記載の不織布の製造方法において、前記短繊維が、ポリオレフィン系合成繊維である。
【要約】
【課題】短繊維用処理剤が付与された繊維について、濡れ戻り防止性、耐久親水性、及び初期親水性の各機能を向上できる短繊維用処理剤、短繊維用第1処理剤、短繊維、及び不織布の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の短繊維用処理剤は、下記のノニオン界面活性剤(A)、下記のノニオン界面活性剤(B)、及び下記のアニオン界面活性剤(C)を含有することを特徴とする。
ノニオン界面活性剤(A)は、1モルの(ポリ)アルキレンポリアミンと2モル以上の酸との縮合物等である。ノニオン界面活性剤(B)は、ポリグリセリン脂肪酸エステル等である。アニオン界面活性剤(C)は、炭素数6以上14以下のアルキル基を有するリン酸エステル塩型アニオン界面活性剤等である。
【選択図】なし