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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】ホスホ抗原プロドラッグ化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/44 20060101AFI20250612BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20250612BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20250612BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250612BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250612BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20250612BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
C07F9/44 CSP
A61K31/664
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P19/10
A61P43/00 111
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020573466
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 GB2019051880
(87)【国際公開番号】W WO2020008189
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】1810965.2
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125275
【氏名又は名称】ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520512546
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・バーミンガム
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】メヘロー,ユーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,ベンジャミン
【審査官】一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-535701(JP,A)
【文献】国際公開第2016/022827(WO,A1)
【文献】国際公開第02/008235(WO,A1)
【文献】米国特許第03149144(US,A)
【文献】国際公開第2010/049438(WO,A2)
【文献】Maxime Bessieres, Vincent Hervin, Vincent Roy, Agnes Chartier, Robert Snoeck, Graciela Andrei, Jean-Francois Lohier, Luigi A. Agrofoglio,Highly convergent synthesis and antiviral activity of (E)-but-2-enyl nucleoside phosphonoamidates,European Journal of Medicinal Chemistry,NL,ELSEVIER,2018年01月31日,146,678-686
【文献】Hyeyeon Yang, Young-Taek Hong, and Sunggak Kim,Catalytic Enantioselective Friedel-Crafts Alkylations of Indoles with α'-Phosphoric Enones,ORGANIC LETTERS,米国,American Chemical Society,2007年11月05日,9(12),2281-2284
【文献】Burckhardt Helferich and Ludwig Schroder,Uber Phostamsauren, II,Justus Liebigs Annalen Der Chemie,1963年12月01日,670(1),48-57
【文献】Rebekah R. Shippy, Xiaochen Lin, Sherry S. Agabiti, Jin Li, Brendan M. Zangari, Benjamin J. Foust, Michael M. Poe, Chia-Hung Christine Hsiao, Olga Vinogradova, David F. Wiemer, and Andrew J. Wiemer,Phosphinophosphonates and Their Tris-pivaloyloxymethyl Prodrugs Reveal a Negatively Cooperative Butyrophilin Activation Mechanism,Journal of Medicinal Chemistry,米国,American Chemical Society,2017年02月20日,60(6),2373-2382
【文献】Chia-Hung Christine Hsiao, Xiaochen Lin, Rocky J. Barney, Rebekah R. Shippy, Jin Li, Olga Vinogradova, David F. Wiemer, and Andrew J. Wiemer,Synthesis of a Phosphoantigen Prodrug that Potently Activates Vγ9Vδ2 T-Lymphocytes,Chemistry & Biology,NL,Elsevier,2014年07月24日,21(8),945-954
【文献】Maria V. Ivanova, Alexandre Bayle, Tatiana Besset, Xavier Pannecoucke, and Thomas Poisson,Copper-Mediated Introduction of the CF2PO(OEt)2 Motif: Scope and Limitations,Chemistry A European Journal,ドイツ,Wiley-VCH,2017年11月14日,23(68),17318-17338
【文献】RN 1349346-47-9 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2011年12月06日,検索日: 28 APR 2023,L-Alanine, N-[[3-[[4-[[(4R,5S,6S,7R)-3-[(3-cyano-4-methoxyphenyl)methyl]hexahydro-5,6-dihydroxy-2-oxo-4,7-bis(phenylmethyl)-1H-1,3-diazepin-1-yl]methyl]benzoyl]amino]propyl]phenoxyphosphinyl]-, ethyl ester
【文献】RN 1347887-21-1 REGISTRY,DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2011年12月04日,検索日:28 APR 2023,L-Alanine, N-[[3-[[4-[[(4R,5S,6S,7R)-3-[(3-amino-1H-indazol-5-yl)methyl]hexahydro-5,6-dihydroxy-2-oxo-4,7-bis(phenylmethyl)-1H-1,3-diazepin-1-yl]methyl]benzoyl]amino]propyl]phenoxyphosphinyl]-, ethyl ester
【文献】Nicholas A. Lentini, Benjamin J. Foust, Chia-Hung Christine Hsiao, Andrew J. Wiemer and David F. Wiemer,Phosphonamidate Prodrugs of a Butyrophilin Ligand Display Plasma Stability and Potent Vγ9 Vδ2 T Cell Stimulation,Journal of Medicinal Chemistry,米国,American Chemical Society,2018年09月10日,61(19),8658-8669
【文献】Hachemi Kadri, Taher E. Taher, Qin Xu, Richard T. Bryan, Benjamin E. Willcox, Youcef Mehellou,Aryloxy Triester Phosphonamidates of Phosphoantigens Exhibit Favorable Stability and Potent Activation of Vγ9/Vδ2 T-Cells,ChemRxiv,2018年07月07日,1-15,DOI: 10.26434/Chemrxiv.6755033.v1
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2018年02月19日,61(5),2111-2117,DOI: 10.1021/acs.jmedchem.7b01824
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の群から選択される、化合物及びそれらの互変異性体。
【請求項2】
以下の群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の化合物と、薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む、医薬組成物。
【請求項6】
免疫療法に使用するための、請求項1~4のいずれか1に記載の化合物、または請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
感染症、増殖性疾患または骨粗鬆症の治療に使用するための、請求項6に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項8】
前記増殖性疾患が癌である、請求項7に記載の使用のための化合物または医薬組成物。
【請求項9】
患者においてγδT細胞免疫反応を活性化する薬剤の調製における、請求項1~4のいずれか1に記載の化合物または請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
患者における感染、増殖性疾患または骨粗鬆症の治療のための薬剤の調製における、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記増殖性疾患が癌である、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い血清安定性およびγδT細胞免疫応答の強力な活性化を示すホスホアンチゲン(PAg)プロドラッグ化合物および医薬組成物に関する。化合物および組成物は、免疫療法、特に感染症、癌、骨粗鬆症および他の増殖性疾患の治療に使用するためのものである。また、γδT細胞免疫反応を活性化するために、本発明の化合物または組成物を使用することを含む免疫療法も提供される。
【背景技術】
【0002】
現在、成人末梢血におけるヒトγδT細胞の出生から優勢なサブタイプまで、Vγ9/Vδ2T細胞は現在、結核、らい、腸チフス、マラリア、およびトキソプラズマ(非特許文献1)などの多くの疾患との闘いに関与するγδT細胞の重要なサブセットとして確立されている。霊長類モデルにおける研究はまた、Mycobacterium tuberculosis(非特許文献2)に対する免疫におけるVγ9/Vδ2T細胞に関与している。これらの細胞はまた、インビトロで多様なガン細胞を標的化し、溶解することができることを示している(非特許文献1)。合わせて、これらの観察は、Vγ9/Vδ2サブセットを、γδT細胞の治療的利用において主要な焦点とした(非特許文献3)。
【0003】
現在までに、Vγ9/Vδ2T細胞の多数の小分子アクチベーターが報告されている。これらの中には、天然に存在するPAg(E)-4-ヒドロキシ-3-メチルブト-2-エニルピロリン酸(HMBPP)およびイソペンテニルピロリン酸(IPP)、ならびに2つの合成分子、リセドロネートおよびゾレドロネート(図1)があり、これらは現在、骨粗鬆症およびいくつかの型の癌(非特許文献4~6)を処置するために臨床において使用されている。
【0004】
今日までに報告された最も強力なVγ9/Vδ2T細胞活性化因子はHMBPP、EC50 = 0.00051μMであり、これは、1型膜貫通蛋白質ブチロフィリン3A1を結合することによってこれらのT細胞を活性化する。これらのPAgの結合部位はこの膜貫通タンパク質の細胞外ドメインまたは細胞内ドメインと結合するかどうかに関して相反する報告がある中で不明のままであったが、現在ではHMBPPがブチロフィリン3A1の細胞内B30.2ドメインと結合するという概念を支持する説得力のある証拠がある。
【0005】
Vγ9/Vδ2T細胞の活性化におけるHMBPPの効力によって促進されて、アリールオキシトリエステルホスホラミデートプロドラッグテクノロジーは、近年、その薬物様特性を改善するための手段として、HMBPPのモノホスフェート誘導体、すなわちHMBPに適用された(非特許文献6)。このプロドラッグアプローチでは、モノホスフェート基はアリール基および/またはアミノ酸エステルによってマスクされ(図2)、これらは両方とも細胞内で酵素的に切断されてモノホスフェートまたはモノホスホネート種を放出する。そのような化合物はPAgのプロドラッグであるので、それらは、ヌクレオチドのプロドラッグであるProTidesからそれらを区別するためにProPAgensと呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Morita, C. T.; Jin, C.; Sarikonda, G.; Wang, H. Nonpeptide antigens, presentation mechanisms, and immunological memory of human Vgamma2Vdelta2 T cells: discriminating friend from foe through the recognition of prenyl pyrophosphate antigens. Immunol Rev 2007, 215, 59-76.
【文献】Shen, Y.; Zhou, D.; Qiu, L.; Lai, X.; Simon, M.; Shen, L.; Kou, Z.; Wang, Q.; Jiang, L.; Estep, J.; Hunt, R.; Clagett, M.; Sehgal, P. K.; Li, Y.; Zeng, X.; Morita, C. T.; Brenner, M. B.; Letvin, N. L.; Chen, Z. W. Adaptive immune response of Vgamma2Vdelta2+ T cells during mycobacterial infections. Science (New York, N.Y.) 2002, 295, 2255-8.
【文献】Fisher, J. P.; Heuijerjans, J.; Yan, M.; Gustafsson, K.; Anderson, J. gammadelta T cells for cancer immunotherapy: A systematic review of clinical trials. Oncoimmunology 2014, 3, e27572
【文献】Maraka, S.; Kennel, K. A. Bisphosphonates for the prevention and treatment of osteoporosis. BMJ (Clinical research ed.) 2015, 351, h3783.
【文献】Roelofs, A. J.; Jauhiainen, M.; Monkkonen, H.; Rogers, M. J.; Monkkonen, J.; Thompson, K. Peripheral blood monocytes are responsible for gammadelta T cell activation induced by zoledronic acid through accumulation of IPP/DMAPP. British journal of haematology 2009, 144, 245-50.
【文献】Davey, M. S.; Malde, R.; Mykura, R. C.; Baker, A. T.; Taher, T. E.; Le Duff, C. S.; Willcox, B. E.; Mehellou, Y. Synthesis and Biological Evaluation of ( E)-4-Hydroxy-3-methylbut-2-enyl Phosphate (HMBP) Aryloxy Triester Phosphoramidate Prodrugs as Activators of Vgamma9/Vdelta2 T-Cell Immune Responses. J Med Chem 2018, 61, 2111-2117.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのHMBP ProPAgensはVγ9/Vδ2T細胞(EC50 = 0.45~11 nM)の強力な活性化を示したが、主にこれらの活性化合物の‐P‐O結合の切断のために、それらの血清安定性はかなり低かった(非特許文献6)。従って、本発明の目的は以前に報告されたHMBP ProPAgens活性化合物の貧弱な血清安定性に対処しながら、Vγ9/Vδ2T細胞の強力な活性化を保持する代替のProPAgensを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、その全ての互変異性体を含む一般式(I)の化合物またはその塩が提供される。
【0009】

式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、一般式(II)のアミノ酸エステル基または一般式(III)のアリールオキシ基を表し、


式中、R6は、H、または、飽和もしくは不飽和の、任意に置換されていてもよい炭化水素鎖を表し;R7は、飽和または不飽和の、任意に置換されていてもよい炭化水素鎖を表し;R8は、任意に置換されていてもよいC5-25アリールまたは5~25員のヘテロアリール基を表し;
R3は、任意に置換されていてもよいC2-20 アルキル基、C4-20アルケニル基またはC2-20アルコール基を表し;R4およびR5の各々は、独立してHまたはハロゲン原子を表す。
【0010】
上述した従来のリン酸基含有プロPAgenとは対照的に、一般式(I)の化合物はアリール基および/またはアミノ酸エステル基によってマスクされるホスホネート基を含み、これは、活性ホスホネート化合物を放出するために細胞内部で酵素的に切断される。不安定な-O-P結合を-C-C結合で置換すると、活性ホスホネート化合物の安定性が有意に改善されることが示されており、これはVγ9/Vδ2 T細胞の強力な活性化因子であることが示された。さらに、この活性はin vitroで膀胱癌細胞の強力な溶解に翻訳された。
一般式(I)の化合物は高い特異性でVγ9/Vδ2T細胞を活性化することが示されているので、それらは免疫療法剤としての開発のための理想的な候補である。特に、一般式(I)の化合物は、感染症、癌などの増殖性疾患、および/または骨粗鬆症の治療に有用である。
【0011】
Vγ9/Vδ2T細胞活性化免疫療法による治療に適した感染症には、細菌、ウイルスおよび真菌感染がある。特に適切な感染は、細菌感染、特にMycobacterium属および/またはSalmonella enterica種の細菌感染である。したがって、一般式(I)の化合物は、結核、ハンセン病および腸チフスの1つ以上の治療に特に有用である。
【0012】
あるいは、感染は寄生虫感染である可能性がある。特に好適な寄生虫感染は、Plasmodium属および/またはToxoplasma属のものである。したがって、一般式(I)の化合物は、マラリアおよびトキソプラズマ症の一方または両方の治療に特に有用である。
【0013】
一般式(I)の化合物は、癌、特に膀胱癌、前立腺癌、肺癌、頸癌、皮膚癌および乳癌ならびに中皮腫の治療に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、報告されている小分子Vγ9/Vδ2T細胞活性化因子の化学構造である。
図2図2は、アリールオキシトリエステルホスホラミデートプロドラッグ技術のHMBPP(HMBP)のモノホスフェート誘導体への適用である。
図3図3は、リン酸基および異なるホスホン酸基のpKA値である。
図4図4Aは、HMBPメチルホスホネート(4a~d)のアリールオキシホスファラミデートプロPAgen;および、図4Bは、HMBPジフルオロメチルホスホネート(9a~d)の合成である。
図5図5は、ヒト血清中のHMBPホスホネートProPAgen 4dの安定性(37℃、12時間)を31 P NMRでモニターしたスペクトルである。
図6図6は、ヒト血清中のHMBPホスホン酸プロPAgen 9aの37℃で12時間の安定性を、31 P NMRでモニターしたスペクトルである。
図7図7は、HMBPホスホネートProPAgens 4dおよび9dによるヒトVγ9/Vδ2+ T細胞の活性化。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 4d(左)および9d(右)と共に18時間インキュベートした結果である。
図8図8は、ヒトVγ9/Vδ2+ T細胞がHMBPホスホネートProPAgen 4dによって用量依存的に活性化されることを示すFACSデータである。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 4dと共に18時間(図8A)または20時間(図8Bおよび8C)インキュベートした結果。
図9図9は、ヒトVγ9/Vδ2+ T細胞がHMBPホスホネートProPAgen 9dによって用量依存的に活性化されることを示すFACSデータ。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 9dと共に18時間(図9A)または20時間(図9Bおよび9C)インキュベートした結果。
図10図10は、HMBPPによるヒトVγ9/Vδ2+T細胞の活性化を用量依存的に示した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のHMBPPと共に20時間インキュベートした結果である。データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図10Aに示すドナー(1)の結果、図10Bに示すドナー(2)の結果。
図11図11は、HMBPホスホネートProPAgen 4dによるヒトCD8+ T細胞の活性化の欠如を示すFACSデータである。データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図11Aに示すドナー(1)の結果、図11Bに示すドナー(2)の結果。
図12図12は、HMBPホスホネートProPAgen 9dによるヒトCD8+ T細胞の活性化の欠如を示すFACSデータである。データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図12Aに示すドナー(1)の結果、図12Bに示すドナー(2)の結果。
図13図13は、HMBPホスホネートProPAgen 4dとのインキュベーション後に膀胱癌細胞の強力な溶解を示す細胞傷害性アッセイの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、より適切には、フルオロまたはクロロ、および、最も適切には、フルオロを意味する。
【0016】
本明細書で使用される「C2-20 アルキル」という語は、2~20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖を指す。例としては、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチルおよびn-デシルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される「C4-20アルケニル」という語は、4~20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素鎖を指す。例としては、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される「C2-20アルコール」という語は2~20個の炭素原子を含み、1つ以上の水酸基(OH)官能基を含む、直鎖または分枝鎖および飽和または不飽和炭化水素鎖を指す。
【0019】
本明細書で使用される「飽和または不飽和炭化水素鎖」という用語は、前記鎖内に1つ以上の二重結合または三重結合を含んでも含まなくてもよい脂肪族または芳香族炭化水素基を指す。したがって、この用語は、アルキル、アルケニルアルキニルまたはアリール基をカプセル化する。
【0020】
本明細書で使用される「C5-25アリール」という語は5~25個の炭素原子を含み、1つ以上の炭素環式芳香族環を含む任意の炭化水素基を指す。より適切には、アリール基はC6-14であり、好ましくはC6-10アリール基である。
【0021】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は前記環の一部として1つ以上のヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を含む1つ以上の芳香族環を含む任意の炭化水素基を指す。ヘテロアリール基の特に適切な例は、ピリジン、フラン、チオフェンおよびインドール基である。5~25員ヘテロアリール基とは、環形成原子(炭素およびヘテロ原子)の総数が5~25である基をいう。
【0022】
他のアルキル基、アルケニル基、アリール基および/またはアルコール基は定義される通りであるが、異なる数の炭素原子を有する。例えば、C1-4アルキルは、1~4個の炭素原子を有する。
【0023】
炭化水素鎖および/またはアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニルまたはアルコール基は、任意に、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、S、またはN)含有官能基で置換されていてもよい。適切なヘテロ原子含有基の例としてはニトロ、ニトロン、ハロ、アミノ、アミド、シアノ、カルボキシル、スルホニル、ヒドロキシル、アルコキシ、ケトン、アルデヒド、チオール、チオエーテル、および非芳香族複素環基が挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素鎖は飽和または不飽和環状環を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本明細書中で使用される場合、炭化水素鎖、アルキル、アルケニル、アリールまたはアルコールラジカルの任意の炭素数は、置換基中に存在する任意の炭素原子を含む。好ましい実施形態では炭化水素鎖および/またはアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニルまたはアルコール基はチオール、チオエーテル、アルコキシおよびアミノ(第一級または第二級アミノ基であってもよい)から選択される1つ以上のヘテロ原子含有官能基で任意に置換される。
【0024】
一般式(I)の化合物の塩は、適切には薬学的または獣医学的に許容される塩である。R1~R8の種類に応じて、これらは、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩および他の金属塩、ならびにコリン塩、ジエタノールアミン塩、エタノールアミン塩、エチルジアミン塩、メグルミン塩、およびPaulekuhnら(2007)J.Med.Chem.50: 6665-6672に要約されているような他の周知の塩基性付加塩および/または当業者に公知である塩基性付加塩であってもよい。あるいは、一般式(I)の化合物がアミノ基を含む場合、これを4級化してハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などの対イオンを有する塩を形成することができる。
【0025】
一般式(I)による化合物の好ましいサブセットにおいて、ホスホネート基は、アミノ酸エステルおよびアリール基によってマスクされる。このような化合物は一般式(IV)のものであり、式中、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、上記で定義した通りである:


一般式(I)または一般式(IV)のいくつかの化合物において、R3は、C4-16であり、好ましくはC4-8、アルキル、アルケニルまたはアルコール基である。より好ましくは、R3は上記定義のアルコール基である。
【0026】
特に好ましい化合物において、R3は、式(V)、式(VI)または式(VII)による基であり、式中、R9はOH、OR10、SH、SR10、NH2またはNHR10から選択され、好ましくはOHであり、R10は、C1-4 アルキルを表す:


これらのR3置換基は、天然に存在するPAgsIPP(式(V))、HMBPP(式(VI))およびIPP異性体ジメチルアリルジホスフェートDMAPP(式(VII)に見出されるものに類似している。
【0027】
特に好ましい態様において、R3は、式(VI)の基である。
【0028】
上記のように、一般式(I)または一般式(IV)の化合物は、-C(R4)(R5)-Pbondを含むマスクされたホスホネート基を含み、これは、従来のProPAgensの-O-Pbondよりも安定であることが示されている。好ましい実施形態では、R3およびR5の少なくとも1つ、より好ましくは両方がハロを表す。
【0029】
-O-P結合から-CH2 -P結合への変化により、活性物質の安定性が向上することが示されているが、ホスホネート基の2回目の脱プロトネーション(pKa=7.49)のpKa値はリン酸基のもの(pKa=6.31)と大きく異なっている(図3)。この結果、生理的pH(<7.4)下での活性化合物の完全なイオン化、したがって標的タンパク質に対する結合親和性に影響を及ぼし、これは、ブチロフィリン3A1細胞内ドメイン上の正に荷電したポケット(アルギニンリッチ)に結合するためにリン酸基の完全なイオン化を必要とする。
【0030】
しかしながら、ジフルオロメチルホスホネート(-CF2-P-)結合を提供することにより、活性化合物は、生理学的環境での優れた安定性と、天然のリン酸化合物自身の2回目の脱プロトン化に非常に近い2回目の脱プロトン化のpKa(6.7)とを結合させることが分かった(図3)。したがって、一般式(I)または(IV)の化合物のモノおよび/またはジハロメチルホスホネート誘導体は、優れた安定性をVγ9/Vδ2T細胞の強力な活性化と組み合わせる。
【0031】
一般式(I)または(IV)の化合物は、モノホスホネート基がアリール基および/またはアミノ酸エステルによってマスクされているプロドラッグであり、これらは両方とも細胞内で酵素的に切断されて活性モノホスホネート種を放出する。
【0032】
適切なアミノ酸エステルマスキング基には、多種多様なアミノ酸側鎖(R6)基が含まれる。典型的には、R6は、タンパク質産生アミノ酸の側鎖、好ましくは非極性側鎖である。特に好ましいR6基は、C1-4アルキル鎖を含む。このようなR6群の事例としては、-CH3 (アラニン)、-CH(CH32(バリン)、-CH2 CH(CH32(ロイシン)、-CH(CH3)CH2 CH3(アイソルーチン)および-CH2 CH2 SCH3(メソニン)がある。R6がメチル(CH3)を表す化合物が特に好適である。
【0033】
R7は、飽和または不飽和であり、任意に置換されていてもよい炭化水素鎖であり、脂肪族または芳香族であってもよい。好ましくは、R7は、C1-6のアルキルまたはC6-14のアリールグループである。特に好ましい実施形態では、R7は、C6-10アリール基であり、最も好ましくはベンジル基である。ベンジルエステルを含む一般式(I)または(IV)の化合物は、脂肪族エステル系化合物と比較して、より高い分解速度および改善された親油性(したがって、改善された細胞取り込み)を有する。
【0034】
特に好適な一般式(IV)の化合物には、以下の化合物が含まれる:



本発明の第1の態様の化合物は一般に、医薬組成物の一部として投与されることが理解されるのであろう。したがって、本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の化合物および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬が提供される。
【0035】
適切な医薬賦形剤は、当業者に周知である。医薬組成物は任意の適切な経路、例えば、経口、直腸、経鼻、気管支(吸入)、局所(点眼剤、口腔および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与によって投与するために製剤化することができ、薬学分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0036】
組成物は、本発明の第1の態様の化合物を担体と混合させることによって調製することができる。一般に、製剤は、前記化合物を液体担体または微細に分割された固体担体またはその両方と均一かつ緊密に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0037】
本発明における経口投与のための製剤は、それぞれ所定量の化合物を含有するカプセル、小袋または錠剤などの別個の単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体中の化合物の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして;またはボーラスなどとして提供され得る。
【0038】
経口投与用の組成物(例えば、錠剤およびカプセル剤)については、用語「許容される担体」は一般的な賦形剤などのビヒクルを含み、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースおよびデンプン;充填剤および担体、例えば、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸;ならびに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよび他の金属ステアリン酸塩、グリセロールステアリン酸、ステアリン酸、シリコーン流体、タルクワックス、油およびコロイダルシリカを含む。ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバーなどのフレーバー剤を使用することもできる。投薬形態を容易に同定可能にするために着色剤を添加することが望ましい場合がある。錠剤はまた、当該分野で周知の方法によってコーティングされ得る。
【0039】
錠剤は任意選択で1つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で、化合物を粉末または顆粒のような自由流動形態で、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合して圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、必要に応じて、コーティングされ得るか、または刻み目が付けられ得、そして活性薬剤の徐放または制御放出を提供するように処方され得る。
【0040】
経口投与に適した他の製剤には、活性剤を風味付けされた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガント中に含むロゼンジ;活性剤を不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア中に含むパステル;および活性剤を適当な液状担体中に含むマウスウォッシュが含まれる。
【0041】
経口製剤は、一般に無菌である。
【0042】
皮膚への局所適用のために、組成物は、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などに調製され得る。薬物に使用することができるクリームまたは軟膏製剤は例えば、英国薬局方などの薬学の標準的教科書に記載されているような、当技術分野で周知の従来の製剤である。
【0043】
本発明のこの局面の好ましい実施形態において、組成物は、経口送達のために処方される。
【0044】
治療的に有効である本明細書に定義される組成物の正確な量、およびそのような化合物が最良に投与される経路は、当業者によって容易に決定される。そのような量は、もちろん、治療される特定の状態、状態の重症度、年齢、身体状態、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメータ、治療の持続時間、同時治療の性質(もしあれば)、特定の投与経路、および医療従事者の知識および専門知識内の同様の因子に依存する。これらの因子は当業者に周知であり、日常的な実験のみで対処することができる。一般に、個々の成分またはそれらの組み合わせの最大用量、すなわち、健全な医学的判断による最高安全用量が使用されることが好ましい。しかし、患者は医学的理由、心理学的理由、または実質的に任意の他の理由のために、より低い用量または許容用量を主張し得ることが、当業者によって理解される。
【0045】
患者に投与される本発明の化合物または組成物の用量は、異なるパラメータに従って、特に使用される投与様式および被験体の状態に従って選択され得る。他の因子には、所望の治療期間が含まれる。患者における応答が適用される最初の用量で不十分である場合、より高い用量(または異なる、より局所化された送達経路による、事実上より高い用量)が患者の寛容が許容する程度まで使用され得る。
【0046】
上述のように、本発明の第1の局面の化合物は、Vγ9/Vδ2T細胞の高度に安定な強力なアクチベーターのプロドラッグを表す。したがって、本発明の第3の態様によれば、免疫療法に使用するための、第1の態様の化合物または第2の態様の医薬組成物が提供される。特に、すでに上記に示したように、化合物または組成物は感染、増殖性疾患(例えば、癌および/または骨粗鬆症)の処置における使用のためのものである。
【0047】
第4の態様によれば、本発明は免疫療法の方法に及ぶものであり、この方法はγδT細胞免疫反応を活性化するために、第1の態様による化合物または第2の態様による医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0048】
好ましい方法において、本発明の化合物または医薬組成物は、任意の適切な手段によって、そのような処置を必要とする患者に投与される。理解されるように、このようにしてγδT細胞免疫反応の活性化が生体内で起こり、免疫反応をもたらす。
【0049】
あるいは、治療を必要とする個体から取得したサンプルに前記化合物または組成物を生体外(ex vivo)で投与し、当該サンプルが体内に戻される前にγδT細胞の増殖を誘導することを含むことができる、ex vivo方法が提供される。例えば、前記サンプルは個体由来の血液サンプル由来の末梢血単核細胞(PBMC)のサンプルを含み(これに限定されるものではないが)、ここで、化合物または組成物の投与は前記個体の体内に戻る前にγδT細胞の増殖および活性化がもたらされる。
【0050】
免疫療法の方法は、感染症、増殖性疾患または骨粗鬆症を治療するために実施され得る。特に、本方法は癌、特に膀胱癌の治療、および/または以下の感染症:結核、らい、チフス、マラリア、およびトキソプラズマ症のいずれかの治療に使用され得る。
【0051】
また、被験体における感染、癌もしくは他の増殖性疾患または骨粗鬆症の治療のための薬剤の調製における、第1の局面に従う化合物または第2の局面に従う医薬組成物の使用が提供される。
【0052】
本発明のこの局面の好ましい実施形態において、前記患者は哺乳動物である。理想的には、前記哺乳動物はヒトである。
【0053】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、用語「含む」および「含む」、ならびに用語の変形、例えば「含む」および「含む」は「含むがこれに限定されない」を意味し、他の部分、添加剤、成分、整数またはステップを排除しない。本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、単数形はその状況が他のことを要求していない限り、複数形を含む。特に、不定冠詞が使用される場合は本明細書がその状況が他のことを要求していない限り、単数だけでなく複数も意図していると理解されたい。
【0054】
本明細書に引用された、任意の特許または特許出願を含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる参考文献も先行技術を構成することは許可されない。さらに、先行技術のいずれも、当該技術分野における一般的な知識の一部を構成することを認めるものではない。
【0055】
本発明の各局面の好ましい特徴は、他の局面のいずれかに関連して記載されるとおりであり得る。
【0056】
本発明の他の特徴は、以下の実施例から明らかになるであろう。一般的に言えば、本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせに及ぶ。したがって、本発明の特定の態様、実施形態または例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物または化学部分は、本明細書に記載される任意の他の態様、実施形態または例に適合しない限り適用可能であると理解されるべきである。
【0057】
さらに、特に断らない限り、本明細書に開示される任意の特徴は、同じまたは同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。
【実施例
【0058】
本発明は、以下の実施例および以下の図面を参照して、あくまで例示として記載される:
図1:報告されている小分子Vγ9/Vδ2T細胞活性化因子の化学構造:
天然に存在するPAgs(E)‐4‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐2‐エニルピロリン酸(HMBPP)およびイソペンテニルピロリン酸(IPP);合成分子リセドロネートおよびゾレドロネート。
【0059】
図2:アリールオキシトリエステルホスホラミデートプロドラッグ技術のHMBPP(HMBP)のモノホスフェート誘導体への適用:
モノホスフェート基はアリール基およびアミノ酸エステルによってマスクされ、これらは両方とも細胞内で酵素的に切断されて活性モノホスフェート種を放出する。不安定性は、これらの化合物の-P-Obondの切断に起因して観察された(陰影)。
図3:リン酸基および異なるホスホン酸基のpKA値。
【0060】
図4:(A)HMBPメチルホスホネート(4a~d)のアリールオキシホスファラミデートプロPAgen;および(B)HMBPジフルオロメチルホスホネート(9a~d)の合成:
試薬および条件下:(i)TMSBr、DCM、rt、2時間、次いで(COCl)2、DMFカタログ、DCM、rt、18時間; ii) a.フェノール、Et3 N、DCM、-78℃、30分間、次いでrt、3時間;b.置換L-アラニンエステル塩酸塩、Et3 N、DCM、rt、12時間、収率:38~61%;(ii)2-メチル-2-プロペノール、1,4-ベンゾキノン、ホベイダ-グラブス触媒2生成、DCM、rt、収率:57~64%;(iv)ジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネート、DMF、亜鉛粉末、rt、N2、3時間、次いでCuBr、臭化アリル、rt、40時間;(v)(i)TMSBr、DCM、rt、2時間、次いで(COCl)2、DMFネコ、DCM、rt、18時間; ii)a.フェノール、Et3 N、DCM、-78℃、30分、rt、3時間;b.置換L-アラニンエステル塩酸塩、Et3 N、DCM、rt、12時間収率:24~46%;(iii)2-メチル-2-プロペノール、1,4-ベンゾキノン、Hoveyda-Grubbs触媒第2世代、DCM、rt、収率:58~69%。
図5:ヒト血清中のHMBPホスホネートProPAgen 4dの安定性(37℃、12時間)を31 P NMRでモニターした:
プロドラッグ4d(5.0mg)をDMSO-d6(0.10mL)およびD2 O(0.15mL)に溶解した。全ての31 P NMRスペクトルを37℃で記録した。最初に、DMSO-d6(0.10mL)およびD2 O(0.15mL)中のプロドラッグ4d(5.0mg)の31 P NMR走査を記録した(化合物4d単独として図示)。これに続いて、予め解凍したヒト血清(0.30mL)をNMRチューブに添加し、直ちにスペクトルを測定した。スペクトルは、添加後30分で、次いで12時間にわたる均等な時間隔で記録した。
【0061】
図6:ヒト血清中のHMBPホスホン酸プロPAgen 9aの37℃で12時間の安定性を、31 P NMRでモニターした:
上記化合物4dと同じである。プロドラッグ9aの31 P NMRは、フッ素-リン間の結合のために6つのリンピークを示す。実際、これらは、予測されるような8つのピークであり、これらのピークにズームして、このような化合物の予測される8つのリンピークを作ると、2つの余分なピークが見られる。
【0062】
図7.HMBPホスホネートProPAgens 4dおよび9dによるヒトVγ9/Vδ2+ T細胞の活性化:
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 4d(左)および9d(右)と共に18時間インキュベートした。次いで、Vγ9/Vδ2+ T細胞の活性化の読み出しとして、TCR Vγ9/Vδ2+ T細胞を、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。両ProPAgensのEC50は約8 pM(ピコモル)である。
【0063】
図8.ヒトVγ9/Vδ2+ T細胞がHMBPホスホネートProPAgen 4dによって用量依存的に活性化されることを示すFACSデータ:
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 4dと共に18時間(図8A)または20時間(図8Bおよび8C)インキュベートした。20時間のインキュベーションの間、データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図8Bに示すドナー(1)の結果、図8Cに示すドナー(2)の結果。次いで、Vγ9/Vδ2+ T細胞の活性化の読み出しとして、TCR Vγ9/Vδ2+ T細胞を、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。これの定量化を図7に示す。
【0064】
図9.ヒトVγ9/Vδ2+ T細胞がHMBPホスホネートProPAgen 9dによって用量依存的に活性化されることを示すFACSデーター:
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のProPAgens 9dと共に18時間(図9A)または20時間(図9Bおよび9C)インキュベートした。20時間のインキュベーションの間、データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図9Bに示すドナー(1)の結果、図9Cに示すドナー(2)の結果。次いで、Vγ9/Vδ2+ T細胞の活性化の読み出しとして、TCR Vγ9/Vδ2+ T細胞を、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。これの定量化を図7に示す。
【0065】
図10.HMBPPによるヒトVγ9/Vδ2+T細胞の活性化を用量依存的に示した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、示された濃度のHMBPPと共に20時間インキュベートした:
データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図10Aに示すドナー(1)の結果、図10Bに示すドナー(2)の結果。次いで、Vγ9/Vδ2+ T細胞の活性化の読み出しとして、TCR Vγ9/Vδ2+ T細胞を、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。
【0066】
図11.HMBPホスホネートProPAgen 4dによるヒトCD8+ T細胞の活性化の欠如を示すFACSデータ:
ヒトPBMCを、示された濃度のProPAgen 4dと共に20時間インキュベートした。次いで、TCR CD8+ T細胞を、CD8+ T細胞の活性化の読み出しとして、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図11Aに示すドナー(1)の結果、図11Bに示すドナー(2)の結果。
【0067】
図12.HMBPホスホネートProPAgen 9dによるヒトCD8+ T細胞の活性化の欠如を示すFACSデータ:
ヒトPBMCを、示された濃度のProPAgen 9dと共に20時間インキュベートした。次いで、TCR CD8+ T細胞を、CD8+ T細胞の活性化の読み出しとして、細胞表面マーカー、CD69およびCD25のアップレギュレーションについて評価した。データを収集し、2つの別々のドナーから個別に分析した:図12Aに示すドナー(1)の結果、図12Bに示すドナー(2)の結果。
【0068】
図13.HMBPホスホネートProPAgen 4dとのインキュベーション後に膀胱癌細胞の強力な溶解を示す細胞傷害性アッセイ
ProPAgen 4dはVγ9/Vδ2 T細胞によるT24膀胱癌細胞の特異的溶解を媒介する。ヒトT24膀胱癌細胞株(標的)を、10μMのゾレドロネート、100 pMのHMBPPまたは100 pMのProPAgen 4dと共に4時間インキュベートした後、培地中で5回洗浄し、予め増殖させたVγ9Vδ2 T細胞と10:1のエフェクター標的比で18時間共培養した。
【0069】
材料及び方法:
全ての試薬および溶媒は汎用または分析グレードのものであり、Sigma-Aldrich Ltd、Fisher Scientific、FluorochemまたはAcrosから購入した。31 P、1 Hおよび13 C NMRデータを、202、500および125MHzで作動するブルーカーアバンスDPX500分光計に記録した。化学シフト(δ)はppmで示され、J値はHzで示される。スペクトルデータを報告する際に、以下の略語を使用した: s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、dd(二重項の二重項)、td(二重項の三重項)、およびm(多重項)。全ての反応を窒素雰囲気下で実施し、プレコートシリカプレート(キーゼルゲル60 F254、BDH)上の分析薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターした。化合物は紫外線(254ナノメートル)で照射することにより、またはKMnOOOA染色を使用し、続いて加熱することにより可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、シリカゲル60(230-400網)(メルク)を用いて行った。質量スペクトル(HRMS)は、Cardiff UniversityのSchool of Chemistryによってサービスとして決定された。
【0070】
実施例1:HMBPメチルホスホネートのアリールオキシホスファラミデートProPAgensの合成
R4およびR5がそれぞれHを表す一般式(VI)の化合物を、グラブスオレフィンメタセシス(非特許文献7)を用いた合成法によって調製した。図4(A)に概略的に要約されているProPAgens4A~dの合成は、市販のジエチル3-ブテニルホスホネート(1)をブロモトリメチルシラン(TMSBr)で室温で処理してエトキシ基を除去することによって達成された(非特許文献8)。これに続いて、触媒量のDMFの存在下で塩化オキサリルを用いて塩素化反応を行った。次に、この反応の生成物2を、トリエチルアミンの存在下で、次いで適切なアミノ酸エステルでフェノール処理して、中程度の収率(38~61%)でホスホンアミデート3a~dを得た。その後、これらの化合物は、1,4‐ベンゾキノンの存在下でHoveyda‐Grubbs第二世代触媒を用いて2‐メチル‐2‐プロペノールによるGrubbsオレフィンメタセシスを受けた。これにより、ProPAgens 4a~dは良好な収率(57~64%)のを得た(非特許文献9)。
【0071】
ProPAgens 4a-dの合成において選択されるアミノ酸としてL-アラニンを使用したが、これは歴史的に最適な生物学的活性を示したためであり、一方、フェノールモチーフは2つのFDA認可薬物、ソホスブビルおよびテノホビルアラフェナミドの発見において首尾よく使用されたため、アリールオキシマスキング基について選択された。4つの異なったエステルモチーフをProPAgens‐4a:メチル(Me);4b:イソプロピル(iPr);4c: tert‐ブチル(tBu);および4d:ベンジル(Bn)の合成において選択したが、それはこれらが最低活性(tBu)から最高活性(Bn)まで変化する様々な生物学的活性を示すからである(非特許文献6)。
【0072】
上記の合成のさらなる詳細は、付録(Appendix)に見出すことができる。
【0073】
実施例2:HMBPジフルオロメチルホスホネートのアリールオキシホスファラミデートプロパンの合成
R4およびR5がそれぞれFを表す一般式(VI)の化合物も、Grubbsオレフィンメタセシス7を用いた合成法を用いて調製した。図4(B)に概略的に要約されているProPAgens 9a-dの合成は最初に、既報に従いDMF中の亜鉛および臭化銅の存在下で、市販のジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネート(5)を臭化アリルと反応させることによって達成された(非特許文献10)。生成した化合物6を続いて塩素化し、次いでフェノールおよび適切なアミノ酸エステルで処理して、化合物3a~dの合成について記載したように、ホスホラミデート8a~dを良好な収率(24~46%)で得た。続いて、これらのホスホンアミデートを1,4‐ベンゾキノンおよびHoveyda‐Grubbs第二世代触媒の存在下で2‐メチル‐2‐プロペノールで処理した(非特許文献9)。最終ProPAgens 9a-dは良好な収率(58-69%)で生成した。L-アラニンは歴史的に最適な生物学的活性を示したので、これらのプロドラッグの合成において選択されるアミノ酸として使用され、一方、フェノールモチーフは2つのFDA認可薬物、ソホスブビルおよびテノホビルアラフェナミドの発見において首尾よく使用されたので選択された。
【0074】
ProPAgens 4a-dに関しては、ProPAgens 9a-dの合成において選択されるアミノ酸としてL-アラニンを使用し、アリールオキシマスキング基についてフェノールモチーフを選択した。再び、4つの異なるエステルモチーフを、ProPAgens-9aの合成において選択した:メチル(Me);9b:イソプロピル(iPr);9c: tert-ブチル(tBu);および4d:ベンジル(Bn)。
【0075】
上記の合成のさらなる詳細は、付録(Appendix)に見出すことができる。
【0076】
実施例3:HMBPメチルホスホネートおよびHMBPジフルオロメチルホスホネートの安定性試験
HMBPリン酸プロパジェンスの安定性試験で以前に見られた不安定さ(非特許文献6)に対処するための主要な目的であったため、例1および例2における新規化合物の合成が完了した時点で実施した。
【0077】
37℃で12時間、ヒト血清を用いてProPAgen 4dを行い、事前に報告されたように、31P-NMRによって試料をモニターした。図5に示すように、ProPAgen 4dは、これらのプロドラッグに典型的なキラルリン中心から生じる2つのジアステレオ異性体に対応する31P-NMR上で、dP = 33.60および34.05ppmに2つの一重項を有していた。ヒト血清を加え、試料を31P-NMRでモニターした後、試験した時間(12時間)の間、新たなリンピークは検出されなかったので、分解は観察されなかった。
【0078】
ジフルオロメチルホスホネートProPAgen 9aについても同様の安定性プロフィールが観察された(図6)。まとめると、これらのデータは、著者らが以前に.開示したHMBPリン酸プロPAゲン(非特許文献6)に比べて、これらのプロドラッグの優れた安定性を示すものである。
【0079】
実施例4:ProPAgens 4a-dおよび9a-dによるヒトVγ9/Vδ2+ T細胞の活性化
実施例1および2のProPAgenがVγ9/Vδ2T細胞の強力な活性化を保持したことを実証するために、健康なドナーに由来するVγ9/Vδ2T細胞を含有する末梢血単核細胞(PBMC)を、漸増する濃度のProPAgen4dおよび9dと共にインキュベートした(図7、8および9)。
【0080】
末梢血γδ T細胞は定常状態条件下ではかなりのレベルの表面CD69またはCD25を欠いているが、T細胞受容体(TCR)刺激により、72時間以内に両T細胞活性化マーカーがアップレギュレートされる。次いで、PAg応答性Vγ9/Vδ2T細胞を、TCR Vγ9およびVδ2発現によって識別し、アップレギュレーションCD69およびCD25について評価した。
【0081】
図7、8および9に示されるように、HMBPホスホネートプロPAgens4dおよび9dは、これらのクラスのプロドラッグの代表として、HMBPホスフェートプロPAgensOOBについて報告されたものよりはるかに優れた強力なVγ9/Vδ2 T細胞活性化を示した。
【0082】
実施例5(比較):HMBPPによるヒトVγ9/Vδ2+T細胞の活性化
実施例1および2のProPAgenの増強されたVγ9/Vδ2T細胞活性化効力を実証するために、健康なドナーに由来するVγ9/Vδ2T細胞を含有する末梢血単核細胞(PBMC)を、比較目的のために、増加する濃度のHMBPPと共にインキュベートした(図10)。
【0083】
図8および図9図10との比較で明らかなように、HMBPPのT細胞活性化能は、ProPAgens 4dおよび9dの活性化能よりも劣っている。
【0084】
実施例6:ProPAgen4a-dおよび9a-dによるヒトCD8+ T細胞の活性化の欠如
実施例1および2のプロジェンがVγ9/Vδ2T細胞特異的活性化因子であることを実証するために、ドナー由来のCD8+ T細胞を含むPBMCを、プロジェン4dおよび9dの濃度を増加させてインキュベートした(図11および12)。
【0085】
末梢血γδ T細胞と同様に、末梢血CD8+ T細胞は定常状態条件下ではかなりのレベルの表面CD69またはCD25を欠いているが、T細胞受容体(TCR)刺激により、72時間以内に両T細胞活性化マーカーがアップレギュレートされる。次いで、PAg応答性CD8 T細胞をTCR CD8発現によって区別し、アップレギュレーションCD69およびCD25について評価した。
【0086】
図11および12に示すように、HMBPホスホネートPropAgens 4dおよび9dはこれらのクラスのプロドラッグの代表として、1μM、すなわち、両方のProPAgensについて計算されたVγ9/Vδ2 T細胞活性化EC50値より約100,000倍大きい濃度でインキュベートした場合でさえ、CD8+ T細胞の活性化を示さなかった。
【0087】
実施例7:Vγ9/Vδ2 T-細胞によるT24膀胱癌細胞の溶解はProPAgen 4a-dおよび9a-dによって媒介され、増強される
上記原理のさらなる証拠として、そして上記に示される実施例1および2のProPAgenの優れたVγ9/Vδ2+ T細胞活性化効力が有益な治療効果に翻訳されることを実証するために、ヒトT24膀胱癌細胞株を10μMゾレドロネート、100 pMのHMBPPまたは100 pMのProPAgen 4dと4時間インキュベートした後、Vγ9/Vδ2T細胞による癌細胞の特異的溶解を比較した。
【0088】
このin vitro細胞毒性アッセイのさらなる詳細は、付録(Appendix)に見出すことができる。
【0089】
図13に示すように、HMBPホスホネートPropAgen 4dとのインキュベーションはゾレドロネートとのインキュベーションで観察されたものと比較して、また驚くべきことに、HMBPPとのインキュベーションで観察されたものと比較して、T24膀胱癌溶解の有意な増強をもたらした。
【0090】
まとめ:
新規メチルおよびジフルオロメチルホスホネートProPAgensの合成について報告する。これらのProPAgensは、これまで報告されていたリン酸ProPAgens誘導体(非特許文献6)に比べて優れた血清安定性を示した。これらのプロドラッグは、Vγ9/Vδ2 T細胞の特異的アクチベーターであるだけでなく、過去に報告されたHMBPリン酸プロPAgensよりもはるかに強力なVγ9/Vδ2 T細胞のアクチベーターであることが示された。このVγ9/Vδ2 T細胞活性化効果の増加は、in vitroでの癌細胞の非常に強力な溶解に翻訳されることも示された。
【0091】
これらの新しいホスホネートProgenの高い、特異性、血清安定性および効力プロフィールの組合せは、癌、骨粗鬆症および/または結核、らい、チフス、マラリア、およびトキソプラズマ症などの種々の感染症などの増殖性疾患を含む種々の状態を治療するための新しい免疫療法薬としての開発に適している。
【0092】
付録(Appendix):ProPAgen化合物4a-dおよび9a-dの合成および評価
But-3-en-1-イルホスホン酸二塩化物(2)
臭化トリメチルシリル(13.72mL、104.06mmol、10当量)を、窒素下、室温で、CH2Cl2(50mL)中のジエチルbut-3-en-1-イルホスホネート1(2g、10.40mmol、1当量)に30分間かけてゆっくりと添加した。混合物を2時間撹拌し、次いで減圧下で揮発性物質を除去し、黄色液δPNMR(202MHz、CDCl3):24.70を得た。次いで、これを50mlのCH2 Cl2に溶解し、2滴の乾燥DMFを添加し、混合物を0℃に冷却した。次に、塩化オキサリル(2.68mL、31.20mmol、3当量)を滴下して加え、反応混合物を室温まで温め、18時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、追加のCH2 Cl2(10mL)をさらに3回蒸発させて、粗生成物(1.79g、100%)を茶色の液として得、これをさらに精製することなく次工程で使用した。δP NMR(202 MHz、CDCl3): 49.66.
【0093】
一般手順1:アリルホスホノアミデート3a-dの合成
粗生成物であるが-3-エン-1-イルホスホンジクロリド(2)を5mLのCH2 Cl2に溶解し、フェノール(1当量)、乾燥Et3 N(2当量)およびCH2 Cl2(10mL)の水溶液に-78℃で滴下した。-78℃で30分間撹拌した後、反応混合物を室温に温め、撹拌をさらに3時間続けた。31P NMR[δP NMR(202MHz、CDCl3):~39.93]により示されるように反応が完了したら、混合物を濾過し、揮発性物質を減圧下で除去し、Et2 Oで2回洗浄し、続いて減圧下で除去して、粗油状物を得た。次に、この生成物をCH2 Cl2(10mL)に溶解し、L-アラニンエステル塩化水素(1当量)と乾燥Et3 N(2当量)の乾燥CH2 Cl2(10mL)中の攪拌混合物に-78℃で15分かけて滴下した。-78℃で30分間撹拌した後、反応物を室温に温め、一晩撹拌したままにした。溶媒を減圧下で除去し、濾過し、Et2 Oで洗浄した後、減圧下で除去し、粗油状物を得た。次いで、最終生成物をカラムクロマトグラフィー(6:4 Hex/ EtOAc)により無色油として精製した。
【0094】
メチル(but-3-エン-1-イル(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(3a)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンメチルエステル塩化水素(0.373g、2.23mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物3a(0.248g、38%)を無色油として得た。
【0095】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.88、31.22.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.30 (m、2H、Ar)、7.10 (m、3H、Ar),5.82 (m、1H、CH2 =CH)、5.00 (m、2H、CH2 =CH)、4.11-3.86 (m、1H,CH-NH)、3.60 (d、J = 6.6 Hz、3H、OCH3)、3.18 (m、1H,NH)、2.48-2.27 (m、2H,=CH-CH2)、1.92 (m、2H、CH2 -P)、1.21 (2d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 174.68 (d、J = 6.3 Hz、C=O)、174.38 (d、J = 5.1 Hz、C=O)、150.72 (d、J = 9.1 Hz)、150.51 (d、J = 9.4 Hz)、129.78、124.78 (d、J = 5.5 Hz、CH=CH2)、120.86 (d、J = 4.6 Hz、C-Ar)、120.71 (d、J = 4.7 Hz)、115.56、52.52 (d、J = 3.1 Hz、CH3 -O)、49.58 (d、J = 14.7 Hz、CH-NH)、27.88 (d、J = 130.9 Hz、CH2 -P) 27.60 (d、J = 131.6 Hz、CH2 -P)、26.59 (d、J = 4.1 Hz、CH2 -CH2 -P)、21.68 (2d、J = 4.3 Hz、CHCH3).
【0096】
イソプロピル(but-3-エン-1-イル(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(3b)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンイソプロピルエステル塩化水素(0.373g、2.23mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物3b(0.348g、48%)を無色油として得た。
【0097】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.93、31.24.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.30 (m、2H、Ar)、7.21 (m、3H、Ar)、5.81 (m、1H、CH2 =CH)、5.11 (m、2H、CH2 =CH)、4.96 (m、1H、CH-iPr,)、4.04- 3.94 (m、1H、CH-NH)、3.21 (m、1H、NH)、2.45 (m、2H、=CH-CH2)、2.02-1.88 (m、2H、CH2 -P)、1.29-1.18 (m、9H、CH3 -CH-NH、CH-iPr).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.67 (d、J = 6.3 Hz、C=O)、150.74 (d、J = 9.1 Hz)、129.76 (d、J = 6.7 Hz)、124.73 (d、J = 5.0 Hz)、120.86 (d、J = 4.6 Hz)、120.69 (d、J = 4.6 Hz)、115.50、69.23 (d、J = 5.6 Hz、CHiPr)、49.75 (d、J = 9.5 Hz、CH-NH)、27.89 (d、J = 130.9 Hz、CH2 -P)、27.54 (d、J = 131.4 Hz、CH2 -P)、26.74 (d、J = 4.3 Hz、CH2 -CH2 -P)、26.57 (d、J = 4.0 Hz 、CH2 -CH2 -P)、21.58 (2d、J = 4.4 Hz、CHCH3).
【0098】
tert-ブチル(but-3-エン-1-イル(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(3c)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンtert-ブチルエステル塩化水素(0.405g、2.23mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物3c(0.461g、61%)を無色油として得た。
【0099】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.95、31.21.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.32 (m、2H、Ar)、7.20 (m、3H、Ar)、5.87 (m、1H、CH2 =CH)、5.12(m、2H、CH2 =CH)、4.00-3.86 (m、1H、CH-NH)、3.26 (m、1H、NH)、2.45 (m、2H,=CH-CH2)、2.04-1.85 (m、2H、P-CH2)、1.42 (s、9H、tBu-H)、1.22 (2d、J = 7.2 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.13 (d、J = 5.5 Hz、C=O)、150.77 (d、J = 9.2 Hz)、137.43 (d、J = 7.1 Hz)、137.32 (d、J = 7.6 Hz)、129.76 (d、J = 6.2 Hz)、124.71 (d、J = 4.0 Hz)、120.88 (d、J = 4.6 Hz)、120.72 (d、J = 4.7 Hz)、115.47、81.99 (d、J = 8.2 Hz)、60.54、50.18 (d、J = 4.0 Hz、CH-NH)、28.05、27.91 (d、J = 131.6 Hz、CH2 -P)、27.20 (d、J = 130.2 Hz、CH2 -P)、21.82 (2d、J = 4.2 Hz、CHCH3).
【0100】
ベンジル(but-3-エン-1-イル(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(3d)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンベンジルエステル塩化水素(0.405g、2.23mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物3d(0.461g、55%)を無色油として得た。
【0101】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.85、31.21.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.38-7.27 (m、7H、Ar)、7.21-7.18 (m、2H、Ar)、7.16-7.09 (m、1H、Ar)、5.85 (m、1H、CH2 =CH)、5.04 (m、4H、CH2 =CH、-OCH2)、4.28-4.03 (m、1H、CH-NH)、3.24 (m、1H、NH)、2.56-2.34 (m、2H、,=CH-CH2)、2.08-1.82 (m、2H、P-CH2)、1.24 (2d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.74 (d、J = 5.2 Hz、C=O)、150.70 (d、J = 9.1 Hz)、137.35、135.40 (d、J = 6.7 Hz)、129.79 (d、J = 6.1 Hz)、128.79 (d、J = 2.8 Hz)、128.64 (d、J = 6.4 Hz)、128.33、120.86 (d、J = 4.6 Hz)、120.68 (d、J = 4.7 Hz)、115.55、67.31 (d、J = 3.0 Hz、CH2 -O)、49.72 (d、J = 11.1 Hz、CH-NH)、27.88 (d、J = 130.7 Hz、CH2 -P)、27.57(d、J = 131.3 Hz 、CH2 -P)、26.74 (d、J = 4.3 Hz、CH2 -CH2 -P)、26.57 (d、J = 4.1 Hz、CH2 -CH2 -P)、21.70 (2d、J = 4.4 Hz、CHCH3).
【0102】
一般手順2:Hoveyda-Grubbs交差複分解によるホスホノアミデート4a-dの合成
アリルホスホノアミデート3a-d(1当量)および2-メチル-2プロペン-1-オール(85μL、1mmol、2当量)、1,4-ベンゾキノン(5.40mg、10mol%)の乾燥DCM(10mL)溶液に、Hoveyda-Grubbs触媒第2世代(23.5mg、0.038mmol、7.5mol%)を加えた。触媒を、2.5mol%(7.8mg、0.013mmol)の3等量ずつ、t = 0、2および4時間、反応の過程にわたって添加した。次いで、この溶液を、窒素雰囲気下、45℃で18時間加熱還流した。室温に冷却した後、活性炭のスクープを添加し、混合物をさらに2時間撹拌し、次いでセライトパッドを通して濾過した。揮発性物質を蒸発させ、残渣を広範なシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、7:3~0:10)によって精製して、4a~dを無色の油として得た。
【0103】
メチル(((E)-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸塩(4a)
3a(150mg、0.5mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、4a(91mg、57%)を無色油状物として得た。
【0104】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.89、31.31.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.31 (m、2H、Ar)、7.18 (m、3H、Ar)、5.48 (m,1H、=CH)、4.24 - 3.98 (m、3H、CH2 OH、CH-NH)、3.68 (d、J = 7.9 Hz、3H、OCH3)、3.39-3.18 (m、1H、NH)、2.55-2.41 (m、2H、=CH-CH2)、2.12-1.87 (m、2H、CH2 -P)、1.71 (d、J = 6.6 Hz、3H、CH3 (CH2)C=)、1.27 (2x d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 176.71 (d、J = 5.9 Hz、C=O)、150.72、129.81 (d、J = 6.9 Hz)、124.81 (d、J = 8.6 Hz、CH=CH2)、124.17、124.04、120.94、120.69 (d、J = 4.6 Hz)、68.56 (d、J = 9.1 Hz、CH2 -OH)、52.64 (d、J = 3.5 Hz、CH3 -O)、49.51 (d、J = 4.1 Hz、CH-NH)、28.33 (d、J = 129.6 Hz CH2 -P)、28.06 (d、J = 130.2 Hz、CH2 -P)、21.86 (2d、J = 4.9 Hz、CHCH3)、21.00 (d、J = 4 .8 Hz、CH2 -CH2 -P)、20.89 (d、J = 4.4 Hz、CH2 -CH2 -P),13.87.
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C1624 NO5 NaP: 364.1290; 検出: 364.1293
【0105】
イソプロピル(((E)-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(4b)
化合物3b(0.150g、0.46mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物4b(97mg、59%)を無色油として得た。
【0106】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 31.11、31.49.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.28 (m、2H、Ar)、7.20 (m、3H、Ar)、5.46 (m、1H、=CH)、4.95 (m、1H、CH-iPr)、4.08 - 3.79 (m、3H、CH2 OH、CH-NH)、3.47-3.25 (m、1H、NH)、2.51-2.35 (m、2H,=CH-CH2)、2.02-1.85 (m、2H、CH2 -P)、1.73-1.56 (d、J = 6.0 Hz、3H、CH3 (CH2)C=)、1.35-1.08 (m、9H、CH3 -CH-NH、CH-iPr).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.62 (d、J = 5.8 Hz、C=O)、150.74 (d、J = 9.0 Hz),136.76、124.75、123.95 (d、J = 5.4 Hz)、123.84 (d、J = 6.9 Hz)、120.90 (d、J = 4.5 Hz)、120.67 (d、J = 4.6 Hz),119.83、115.58、69.41 (d、J = 4.7 Hz、CHiPr) 68.39 (d、J = 7.0 Hz、CH2 -OH)、49.65、28.36 (d、J = 129.7 Hz、CH2 -P)、27.92 (d、J = 131.1 Hz、CH2 -P)、21.83 (2d、J = 6.2 Hz、CHCH3)、20。90 (d、J = 4.4 Hz、CH2 -CH2 -P)、20.84 (d、J = 4.4 Hz、CH2 -CH2 -P),13.84.
HRMS (ES+、m/z)計算値:(M+Na)+ C1828 NO5 NaP: 392.1603; 検出: 392.1613
【0107】
tert-ブチル(((E)-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(4c)
化合物3c(0.150g、0.44mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物4c(108mg、64%)を無色油として得た。
【0108】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 31.05、31.42.
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.30 (m、2H、Ar)、7.17 (m、3H,Ar)、5.46 (m、1H、=CH)、4.17-3.78 (m、3H、CH2 OH、CH-NH)、3.41-3.18 (m、1H、NH)、2.60-2.30 (m、2H、=CH-CH2)、2.01-1.87 (m、2H、CH2 -P)、1.69 (d、J = 6.8 Hz、3H、CH3 (CH2)C=)、1.42 (s、9H、tBu)、1.27 (2d、J = 7.9 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.34 (d、J = 6.0 Hz、C=O)、150.79 (d、J = 9.0 Hz)、136.81 (d、J = 9.6 Hz)、115.59、82.22 (d、J = 5.6 Hz)、68.45 (d、J = 10.4 Hz、CH2 -OH)、50.07 (d、J = 4.5 Hz、CH-NH)、28.01 (d、J = 129.7 Hz、CH2 -P)、27.26 (d、J = 130.4 Hz、CH2 -P)、21.98 (d、J = 3.8 Hz、CHCH3)、20.97 (d、J = 4.7 Hz、CH2 -CH2 -P)、20.88 (d、J = 4.4 Hz、CH2 -CH2 -P)、13.86(CH3).
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C1930 NO5 NaP: 406.1759; 検出: 406.1762
【0109】
ベンジル(((E)-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(4d)
一般手順2に従って、3日間(0.150g、0.4mmol、1当量)を用いて合成し、生成物4日間(100mg、59%)を無色油状物として得た。
【0110】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 30.90、31.32
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.39-7.28 (m、7H、Ar)、7.22-7.17 (m、2H,Ar)、7.12 (m、1H、Ar)、5.44 (m、1H、=CH)、5.09 (m、2H、OCH2)、4.22-3.86 (m、3H、m、3H、CH2 OH、CH-NH)、3.49-3.17 (m、1H、NH)、2.64 -2.36 (m、2H、=CH-CH2)、2.04-1.80 (m、2H、CH2 -P)、1.69 (d、J = 6.8 Hz、3H、CH3 (CH2)C=)、1.33 (2d、J = 7.0 Hz、3H、CH-CH3
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 176.76、129.81 (d、J = 7.4 Hz)、128.75 (d、J = 14.9 Hz)、128.39、124.77、124.15 (d、J = 15.0 Hz)、120.93-120.84、120.67 (d、J = 4.7 Hz)、68.57 (d、J = 9.6 Hz)、67.42 (d、J = 2.9 Hz)、49.65、28.05 (d、J = 129.9 Hz)、21.77 (d、J = 4.1 Hz)、20.87 (d、J = 4.4 Hz)、13.87.
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C2228 NO5 NaP: 440.1603; 検出: 440.1609
【0111】
ジエチル(1,1-ジフルオロブト-3-エン-1-イル)ホスホネート(6)(非特許文献10)
活性亜鉛粉末(2.50g、38.23ミリモル、1当量)を含む250mL丸底フラスコに、無水DMF(20mL)を窒素下で加えた。これに続いて、ジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネート(6.80mL、38.23mmol、1当量)をゆっくりと滴下し、混合物を室温で3時間撹拌した。CuBr (5.48g、38.23mmol、1当量)を添加し、続いて発熱反応を防ぐために臭化アリル(3.96mL、45.87mmol、1.2当量)をゆっくりと滴下した。40時間攪拌した後、濾過し、次いで、DCMと10%NH4Cl水溶液との間で分配した。水相をDCMで3回抽出した。合わせた有機相を無水MgSOOOAで乾燥させ、減圧濃縮し、得られた残渣を、ヘキサン中20% EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、6(5.41g、62%)を淡黄色油状物として得た。
【0112】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 6.93 (t、J = 107.4 Hz).
δHNMR(500MHz、CDCl 3): 5.84 (m、1H、=CH)、5.26 (m、2H、CH2 =)、4.32-4.21 (m、4H、2x OCH2 CH3)、2.82 (m、2H、=CH-CH2)、1.37 (t、J = 7.1Hz、6H、2 X OCH2 CH3
【0113】
(1,1-ジフルオロブト-3-エン-1-イル)ホスホン酸二塩化物(7)
化合物6(2.5g、10.95mmol、1当量)を使用して2について記載したように合成して、粗生成物7(2.28g、100%)を褐色液体として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0114】
δP NMR(202 MHz、CDCl3): 31.56 (t、J = 138.8 Hz).
【0115】
メチル((1,1-ジフルオロブト-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(8a)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンメチルエステル塩化水素(0.261g、1.87mmol、1当量)を用いて一般手順1に従って合成し、製品8a(0.150g、24%)を無色油として得た。
【0116】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.05 (dd、J = 101.1、49.9)、8.41 (dd、J = 100.0、51.1Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.35 (m、2H、Ar)、7.21 (m、3H、Ar)、5.89 (m、1H、CH2 =CH)、5.29 (m、CH2=CH)、4.14 (m、1H、CH-NH)、3.69 (d、J = 6.6 Hz、3H、OCH3),3.64 (m、1H、NH)、3.13-2.84 (m、2H、=CH-CH2)、1.38 (2x d、7.1 Hz、3H、CH-CH)
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.76 (d、J = 4.1 Hz、C=O)、130.02 (d、J = 4.1 Hz)、127.40-127.07 (m)、125.64、121.54 (d、J = 9.3 Hz)、120.54 (t、J = 4.8 Hz)、52.69、50.09 (d、J = 6.6 Hz)、39.39-37.22 (m)、21.74(2d、J = 3.5 Hz、CH3).
【0117】
イソプロピル((1,1-ジフルオロブト-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(8b)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンイソプロピルエステル塩化水素(0.314g、1.87mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物8b(0.165g、25%)を無色油として得た。
【0118】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.17 (dd、J = 101.1、30.3Hz)、8.46 (dd、J = 99.9、38.0Hz)
δHNMR(500MHz、CDCl3)。7.34 (m、2H、Ar)、7.20(m、3H、Ar)、5.89 (m、1H、CH2 =CH)、5.29 (m、2H、CH2 =CH)、4.99 (m、1H、CH-iPr)、4.14-3.99 (m、1H、CH-NH)、3.68 (m、1H、NH)、3.00-2.89 (m、2H、=CH-CH2)、1.35-1.17 (m、9H、CH3-CH-NH、CH-iPr).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 172.68 (d、J = 5.9 Hz、C=O)、149.46、129.88 (d、J = 4.2 Hz)、127.11 (d、J = 5.4 Hz)、125.46、121.36 (d、J = 8.9 Hz)、120.40 (t、J = 4.9 Hz)、69.39 (d、J = 2.8 Hz、CHiPr)、50.15、38.63-37.99 (m)、21.58 (d、J = 1.6 Hz)、21.44 (2d、J = 3.2 Hz、CHCH3).
【0119】
tert‐Butyl((1,1‐ジフルオロバスト‐3‐en‐1‐yl)(フェノキシ)ホスホリル)‐L‐アラニン酸(8c)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンtertブチルエステル塩化水素(0.340g、1.87mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物8c(0.320g、46%)を無色油として得た。
【0120】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.23 (dd、J = 101.0、34.4Hz)、8.52 (dd、J = 99.6、36.0Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.34 (m、2H、Ar),7.21 (m、3H、Ar)、5.89 (m、1H、CH2 =CH)、5.28 (m、2H、CH2 =CH)、4.08 - 3.98 (m、1H、CH-NH)、3.67 (m、1H、NH)、3.01-2.84 (m、2H、=CH-CH2)、1.42 (d、J = 5.2 Hz,9H、tBu)、1.30 (d、J = 7.2 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 172.48 (d、J = 4.5 Hz、C=O)、149.72、129.99 (d、J = 2.1 Hz)、128.59-126.95 (m)、125.54、121.46 (d、J = 9.2 Hz)、120.54 (t、J = 4.8 Hz)、82.32 (d、J = 5.8 Hz)、50.69 (d、J = 2.8 Hz、CH-NH)、38.80-38.12 (m)、27.99、21.85 (2d、J = 3.1 Hz、CHCH3).
【0121】
ベンジル((1,1-ジフルオロブト-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(8d)
フェノール(0.210g、2.23mmol、1当量)およびL-アラニンベンジルエステル塩化水素(0.403g、1.87mmol、1当量)を使用して一般手順1に従って合成し、生成物8d(0.350g、45 %収率)を無色油として得た。
【0122】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.08 (dd、J = 101.2、45.4Hz)、8.39 (dd、J = 100.1、46.5Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.41-7.29 (m、7H、Ar)、7.25-7.17 (m、3H、Ar)、5.87 (m、1H、CH2 =CH)、5.27 (m、2H、CH2 =CH)、5.11 (m、2H、-OCH2)、4.334.09 (m、1H、CH-NH)、3.68 (m、1H、NH)、2.93 (m、2H、P-CH2)、1.36 (d、J = 7.2 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.15 (d、J = 3.2 Hz、C=O)、149.68、135.26 (d、J = 6.4 Hz)、130.01 (d、J = 4.1 Hz)、128.87-128.52 (m)、128.35 (d、J = 1.1 Hz)、127.38-127.03 (m)、125.62、122.24-120.38 (m)、120.51、67.49、50.20、38.74-38.07 (m)、21.96 (2d、J = 3.5 Hz、CHCH3).
【0123】
メチル(((E)-1,1-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸塩(9a)
化合物8a(0.150g、0.45mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物9a(97mg、58%)を無色油として得た。
【0124】
δPNMR(202MHz、CDCl 3) δ9.27 (dd、J = 112.1、18.4Hz)、8.44 (dd、J = 126.4、20.2Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.35 (m、2H、Ar)、7.21 (m、3H、Ar)、5.56 (m、1H、=CH)、4.18 (m、1H、CH-NH)、4.07 (m、2H、=CH-CH2)、3.75-3.46 (m、4H、NH、OCH3)、3.10-2.79 (m、2H、=CH-CH2)、1.83 (m,1H、OH)、1.76 (s、3H、CH3 (CH2)C=CH),1.37 (2x d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 176.76、141.38 (d、J = 7.6 Hz)、130.04 (d、J = 3.2 Hz)、125.65 (d、J = 4.0 Hz)、120.56 (d、J = 4.6 Hz)、120.47 (d、J = 4.7 Hz)、68.25 (d、J = 1.9 Hz)、52.80 (CH3 -O)、50.09 (d、J = 4.1 Hz、CH-NH)、32.82、21.82 (2d、J = 2.6 Hz、CHCH3)、14.15 (CH3).
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C16222 NO5 NaP: 400.1101; 検出: 400.1109
【0125】
イソプロピル(((E)-1,1-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(9b)
化合物8b(0.150g、0.41mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物9b(117mg、69%)を無色油として得た。
【0126】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.30 (dd、J = 109.1、34.4Hz)、8.42 (dd、J = 111.1、38.4Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.35 (m、2H、Ar)、7.21 (m、3H、Ar)、5.56 (m、1H、=CH)、5.00(m、1H、CH-iPr)、4.17-3.91 (m、3H、CH-NH、=CH-CH2)、3.67 (m、1H、NH)、3.08-2.75 (m、2H、=CH-CH2)、1.86 (m、1H、OH)、1.70 (s、3H、CH3 (CH2)C=CH)、1.34-1.19 (m、9H、CH3 -CH-NH、CH-iPr).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 173.09 (d、J = 6.8 Hz、C=O)、141.37 (d、J = 7.9 Hz)、130.03 (d、J = 2.6 Hz)、125.60 (d、J = 4.4 Hz)、120.50 (dd、J = 10.6、4.7 Hz)、113.79 - 113.43 (m)、69.71 (d、J = 4.5 Hz)、68.25、50.29 (d、J = 9.6 Hz)、30.88-28.72 (m)、21.73 (d、J = 8.2 Hz)、21.84 (2d、J = 4.1 Hz、CHCH3)、14.18 (CH3).
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C18262 NO5 NaP: 428.1414; 検出: 428.1414
【0127】
tert-ブチル(((E)-1,1-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(9c)
化合物8c(0.150g、0.39mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物9c(105mg、63%)を無色油状物として得た。
【0128】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.36 (dd、J = 109.1、34.4Hz)、8.48 (dd、J = 111.1、36.4Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.36 (m、2H、Ar)、7.22 (m、3H、Ar)、5.56 (m、1H、=CH)、4.16-3.93 (m、3H、CH-NH、=CH-CH2)、3.63 (m、1H、NH)、3.08-2.77 (m、2H、=CH-CH2)、1.90 (m、1H、OH)、1.71 (s、3H、CH3 (CH2)C=CH)、1.43 (d、J = 5.2 Hz,9H、t Bu)、1.30 (2x d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC NMR(126 MHz、CDCl3): 172.79 (d、J = 6.8 Hz、C=O)、130.02、125.56 (d、J = 5.8 Hz)、120.55 (d、J = 4.6 Hz)、120.47 (d、J = 4.4 Hz)、82.59、68.26、50.72 (d、J = 7.4 Hz、CH-NH)、32.97-32.80 (m)、28.02 (d、J = 1.1 Hz、3x CH3)、21.98 (2d、J = 3.8 Hz、CHCH3)、14.16.
HRMS (ES+、m/z)計算:(M+Na)+ C19282 NO5 NaP: 442.1571; 検出: 442.1578
【0129】
ベンジル(((E)-1,1-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-4-メチルペント-3-エン-1-イル)(フェノキシ)ホスホリル)-L-アラニン酸(9d)
化合物8d(0.150g、0.36mmol、1当量)を用いて一般手順2に従って合成し、生成物9d(101mg、61%)を無色油状物として得た。
【0130】
δP NMR(202MHz、CDCl 3): 9.21 (dd、J = 113.2、22.3Hz)、8.37 (dd、J = 111.1、24.3Hz)
δH NMR(500 MHz、CDCl3): 7.39-7.28 (m、7H、Ar)、7.24-7.16 (m、3H、Ar)、5.55 (m,1H、=CH)、5.13 (m、2H、OCH2)、4.27-4.14 (m、1H、CH-NH)、4.06 (m、2H、=CH-CH2)、3.68 (m、1H、NH)、3.05 -2.73 (m、2H、=CH-CH2)、1.80 (m、1H、OH)、1.69 (s、3H、CH3 (CH2)C=CH)、1.35 (2x d、J = 7.1 Hz、3H、CH-CH3).
δC (126 MHz、CDCl3): 173.38 (d、J = 7.9 Hz、C=O)、149.71、141.37 (d、J = 8.3 Hz)、130.04 (d、J = 3.1 Hz)、128.76 (d、J = 12.8 Hz)、128.35 (s)、125.63 (d、J = 5.5 Hz)、120.49 (dd、J = 13.7、4.6 Hz)、113.75-113.34 (m)、68.25 (d、J = 2.4 Hz)、67.61、50.22 (d、J = 8.0 Hz)、34.32-31.18 (m)、21.84 (d、J = 3.8 Hz、CHCH3)、14.15 (CH3).
HRMS (ES+, m/z)計算:(M+Na)+ C22262 NO5 NaP: 476.1414; 検出: 476.1421
【0131】
細胞単離
血液を、抗凝固剤としてのヘパリンおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の混合物(2U/mlヘパリン、1.5mM EDTA)の存在下で、同意された健康なドナー(NRES Committee West Midlands倫理委員会によって承認された; REC参考文献14/WM/1254)から得た。次いで、血液を密度勾配培地上に重層し、リンホプレップ(Stem Cell Technologies)および末梢血単核細胞(PBMC)を勾配遠心分離によって精製した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、次いで、2mM L-グルタミン、25mM HEPES、1%ピルビン酸ナトリウム、50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)および10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI-1640培地に再懸濁した。
【0132】
フローサイトメトリー解析
未処理および処理PBMCをZombie aqua生存染料(Biolegend)で標識し、続いてBV421結合抗CD3(UCHT1、Biolegend)、BV650結合抗CD8(SK1; BD Bioscience)、FITC結合抗CD25(M-A25、Biolegend)、PE結合抗CD69(TP1.55.3; Beckman Coulter)およびPE Cy5結合抗Vγ9 TCR(IMMU360、Beckman Coulter)およびAPC結合抗Vδ2 TCR(123R3、Miltenyi Biotech)抗体の混合物で染色した。CD8+ T細胞サブセットまたはVγ9Vδ2 T細胞集団内のCD69+ CD25+のパーセンテージを、フローサイトメーターを使用して測定した。データは、FlowJo V10ソフトウェアを用いて分析した。
【0133】
細胞毒性アッセイ
Vγ9Vδ2T細胞を、5μMゾレドロネートの存在下でPBMCから14日間増殖させ、100 U/mlのIL-2(Peprotech)を2~3日毎に培地に添加し、約85%のVγ9Vδ2T細胞を得た。膀胱癌細胞株T24(ATCC HTB4)を0.1μMのCFSEで標識し、10μMのゾレドロネート、100 pMのHMBPPまたは100 pMの示されたプロドラッグと共に4時間インキュベートした後、培地中で5回洗浄し、予め増殖させたVγ9Vδ2 T細胞と10:1のエフェクター標的比で18時間共培養した。次いで、全ての細胞をeFluor780生存色素で標識し、CFSE+ eFluor780生存色素+細胞をフローサイトメトリーを用いて測定した。データは、FlowJo V10を用いて分析した。
【0134】
参考文献(非特許文献)
1. Morita, C. T.; Jin, C.; Sarikonda, G.; Wang, H. Nonpeptide antigens, presentation mechanisms, and immunological memory of human Vgamma2Vdelta2 T cells: discriminating friend from foe through the recognition of prenyl pyrophosphate antigens. Immunol Rev 2007, 215, 59-76.

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図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13