(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】抗IL-33抗体を含有する安定化製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20250612BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250612BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250612BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250612BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250612BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250612BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20250612BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20250612BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20250612BHJP
A61K 47/22 20060101ALN20250612BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61P43/00
A61M5/28
A61M5/32 510K
C07K16/24
A61K47/22
(21)【出願番号】P 2021556435
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 US2020023795
(87)【国際公開番号】W WO2020191270
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】チンヤン・フー
(72)【発明者】
【氏名】ディンヂィァン・リウ
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/102597(WO,A1)
【文献】特表2013-543505(JP,A)
【文献】国際公開第2018/169348(WO,A1)
【文献】特表2015-528465(JP,A)
【文献】特表2009-523039(JP,A)
【文献】免疫学イラストレイテッド 第5版, 株式会社南江堂, 2000, pp.71-82
【文献】日本畜産学会報, 1990, Vol.61, No.7, pp.655-660
【文献】Pharm. Res., 2012.10, Vol.30, pp.641-654
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
C07K 1/00-19/00
A61M 3/00-9/00
A61M 31/00
A61M 39/00-39/28
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定な液体医薬製剤であって:
(i)ヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、
前記抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含み、前
記抗体はアイソタイプヒトIgG4の重鎖定常領域を含み、ここで該抗体は1mg/ml~200mg/mlの濃度である;
(ii)5mM~15mMの酢酸塩;
(iii)60mM~80mMのアルギニン塩酸塩;
(iv)3%w/v~7%w/vの濃度のスクロース;ならびに
(v)0.06%w/v~0.1%w/vの濃度のポリソルベート20またはポリソルベート80、
を含み、
前記製剤のpHは約5~約5.6である、前記安定な液体医薬製剤。
【請求項2】
前記抗体が、15mg/ml~150mg/mlの濃度で存在する、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項
1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項4】
(i)約15mg/ml~約150mg/mLの前記抗体、(ii)約5mM~約15mMの酢酸塩、(iii)約60mM~約80mMのアルギニン塩酸塩、(iv)約3%w/v~約7%w/vのスクロース、および(v)約0.06%w/v~約0.1%w/vのポリソルベート80を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項5】
(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの前記抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩、(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソ
ルベート80を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項6】
(i)約75mg/ml±5mg/mlの前記抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項7】
(i)約150mg/ml±15mg/mlの前記抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(v)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項8】
前記製剤の前記pHが、5.2~5.4である、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項9】
前記製剤の前記pHが、約5.3である、請求項
8に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項10】
(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、
前記抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含み、ここで前記抗体はアイソタイプヒトIgG4の重鎖定常領域を含み、
(ii)10mM±2mMの酢酸塩と、
(iii)70mM±14mMのアルギニン塩酸塩と、
(iv)5%w/v±1%w/vのスクロースと、
(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80とを含む、安定な液体医薬製剤であって、
5.1~5.5のpHを有する、前記安定な液体医薬製剤。
【請求項11】
前記抗体が75mg/ml±5mg/mlの濃度で存在する、請求項10に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項12】
前記抗体が150mg/ml±15mg/mlの濃度で存在する、請求項10に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項
10に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項14】
(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、前記ヒト抗体と、
(ii)10mM±2mMの酢酸塩と、
(iii)70mM±14mMのアルギニン塩酸塩と、
(iv)5%w/v±1%w/vのスクロースと、
(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80とを含む、安定な液体医薬製剤であって、
5.1~5.5のpHを有する、前記安定な液体医薬製剤。
【請求項15】
前記抗体のネイティブ形態の少なくとも90%が、サイズ排除-超高速液体クロマトグ
ラフィー(SE-UPLC)によって決定される場合、5℃で2か月の保存後に回収される、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項16】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に回収される、請求項
14に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項17】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも99%が、SE-UPLCによって決定さ
れる場合、5℃で2か月の保存後に回収される、請求項
16に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項18】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に回収される、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項19】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも97.5%が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に回収される、請求項
18に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項20】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも99%が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に回収される、請求項
19に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項21】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に回収される、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項22】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも97.5%が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に回収される、請求項
21に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項23】
前記抗体
のネイティブ形態の少なくとも99%が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に回収される、請求項
22に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に2%以下の高分子量(HMW)種を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に1%以下のHMW種を含む、請求項
24に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項26】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に0.6%以下のHMW種を含む、請求項
25に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項27】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に2%以下のHMW種を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項28】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む、請求項
27に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項29】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に0.5%以下のHMW種を含む、請求項
28に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項30】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に2%以下のHMW種を含む、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む、請求項
30に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項32】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に0.7%以下のHMW種を含む、請求項
31に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項33】
前記製剤が、約15cポアズ未満の粘度を示す、請求項1に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項34】
ガラスバイアルに含まれる、請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項35】
シリンジに含まれる、請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項36】
前記シリンジが、フルオロカーボンコーティングされたプランジャを含む、請求項
35に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項37】
前記シリンジが、低タングステンシリンジである、請求項
35に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項38】
事前充填されたシリンジである、請求項
35に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項39】
事前充填された固定針(staked needle)シリンジである、請求項
35に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項40】
大容量装置またはボーラス注射器に含まれる、請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項41】
ペン送達装置に含まれる、請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項42】
自動注射器送達装置に含まれる、請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤。
【請求項43】
請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤を含む、ペンまたは自動注射器送達装置。
【請求項44】
使い捨てペン送達装置である、請求項
43に記載の送達装置。
【請求項45】
再利用可能なペン送達装置である、請求項
43に記載の送達装置。
【請求項46】
請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤を含む、容器。
【請求項47】
(i)請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤を含む容器、および(ii)前記安定な液体医薬製剤の使用のためのラベリングを含む、キット。
【請求項48】
前記ラベリングが、前記安定な液体医薬製剤の皮下投与を列挙する、請求項
47に記載
のキット。
【請求項49】
前記ラベリングが、前記安定な液体医薬製剤の静脈内投与を列挙する、請求項
47に記載のキット。
【請求項50】
請求項
6に記載の安定な液体医薬製剤を含む、単位剤形であって、前記抗IL-33抗体が約150mgの量で存在する、前記単位剤形。
【請求項51】
請求項
7に記載の安定な液体医薬製剤を含む、単位剤形であって、前記抗IL-33抗体が約300mgの量で存在する、前記単位剤形。
【請求項52】
前記安定な液体医薬製剤が、シリンジに含まれる、請求項
50または
51に記載の単位剤形。
【請求項53】
前記シリンジが、事前充填されたシリンジである、請求項
52に記載の単位剤形。
【請求項54】
請求項1~
33のいずれか一項に記載の安定な液体医薬製剤を含む、安全システム送達装置。
【請求項55】
手動操作によって伸長するように構成された安全スリーブを含む、請求項
54に記載の安全システム送達装置。
【請求項56】
前記安定な液体医薬製剤の注射後に自動的に伸長するように構成された安全スリーブを含む、請求項
54に記載の安全システム送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、2020年2月20日に作成され、13,659バイトを含むファイル10516WO01-Sequence.txtとしてコンピュータ可読形式で提出された配列表を参照により組み入れる。
【0002】
本発明は、治療用抗体製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヒトインターロイキン-33に特異的に結合するヒト抗体を含む医薬製剤の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-33(IL-33)は、IL-1RAcPであるアクセサリータンパク質、IL-1RAcPと会合するtoll様/インターロイキン-1受容体スーパーファミリーメンバーであるST2に対するリガンドである(総説については、例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、特許文献1、特許文献2を参照されたい)。IL-33によるST2/IL-1RAcPの活性化の際に、シグナル伝達カスケードが、MyD88(骨髄分化因子88)およびTRAF6(TNF受容体関連因子6)などの下流の分子を通じて引き起こされ、特に、NFκB(核因子-κB)の活性化をもたらす。IL-33シグナル伝達は、多様な疾患および障害における因子として関与している。(非特許文献3)。
【0004】
治療用高分子(例えば、抗体)は、分子を患者への投与に適したものにするだけでなく、保存中のそれらの安定性を維持する様式で製剤化されなければならない。例えば、溶液中の治療用抗体は、溶液が適切に製剤化されない限り、分解、凝集、および/または望ましくない化学修飾を起こしやすい。液体製剤中の抗体の安定性は、製剤で使用される賦形剤の種類だけでなく、互いに対する賦形剤の量および比率にも依存する。さらに、液体抗体製剤を調製する際に、安定性以外の他の考慮事項を考慮に入れなければならない。そのような追加の考慮事項の例は、溶液の粘度および所与の製剤によって収容され得る抗体の濃度を含む。したがって、治療用抗体を製剤化する際に、安定性を維持し、適切な濃度の抗体を含有し、製剤が患者に便利に投与されることを可能にする他の特性と同様に好適な粘度を保持する製剤に到達するために、細心の注意を払わなければならない。
【0005】
ヒトインターロイキン-33(hIL-33)に対する抗体は、適切な製剤を必要とする治療関連高分子の一例である。
【0006】
抗hIL-33抗体は当技術分野で既知である(例えば、特許文献3を参照されたい)が、十分に安定であり、患者への投与に好適である抗hIL-33抗体を含む医薬製剤に対する必要性が、残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US2010/0260770
【文献】US2009/0041718
【文献】WO2014/164959
【非特許文献】
【0008】
【文献】Kakkar and Lee,Nature Reviews-Drug Discovery 7(10):827-840(2008)
【文献】Schmitz et al.,Immunity 23:479-490(2005)
【文献】Liew et al.,Nature Reviews-Immunology 10:103-110(2010)
【発明の概要】
【0009】
抗IL-33抗体および1つ以上の賦形剤を含む安定な液体医薬製剤、同様にそのような製剤およびそれらの使用を含むキットが、提供される。
【0010】
一態様では、(i)ヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体、(ii)緩衝液、(iii)アミノ酸、(iv)熱安定剤、および(v)有機共溶媒を含む、安定な液体医薬製剤が、提供される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、1mM~40mMの濃度での酢酸塩またはヒスチジンである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、1mM~20mMの濃度での酢酸塩またはヒスチジンである。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、30mM~110mMの濃度でのアルギニンまたはグルタミン酸である。いくつかの実施形態では、熱安定剤は、1%w/v~20%w/vの濃度でのスクロースである。場合によっては、熱安定剤は、1%w/v~10%w/vの濃度でのスクロースである。場合によっては、有機共溶媒は、0.01%w/v~0.15%w/vの濃度での界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、抗体は、1mg/ml~200mg/mlの濃度で存在する。場合によっては、抗体は、15mg/ml~150mg/mlの濃度で存在する。
【0011】
製剤の様々な実施形態では、抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(HCDR1-HCDR2-HCDR3)、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(LCDR1-LCDR2-LCDR3)を含む。場合によっては、抗体は、それぞれ、配列番号4-6-8のアミノ酸配列を含むHCDR1-HCDR2-HCDR3領域、およびそれぞれ、配列番号12-14-16のアミノ酸配列を含むLCDR1-LCDR2-LCDR3領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG重鎖定常領域を有する。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG1のものである。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG4のものである。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)hIL-33に特異的に結合する約15mg/ml~約150mg/mLのヒト抗体、(ii)約5mM~約15mMの酢酸塩、(iii)約60mM~約80mMのアルギニン塩酸塩、(iv)約3%w/v~約7%w/vのスクロース、および(v)約0.06%w/v~約0.1%w/vのポリソルベート80を含む。場合によっては、製剤は、約5~約5.6のpHを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±5mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの抗体、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±0.5%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±5mg/mlの抗体、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±0.5%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの抗体、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±0.5%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80を含む。場合によっては、製剤のpHは、5.2~5.4である。いくつかの実施形態では、製剤のpHは、約5.3である。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.04%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±8mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.04%w/vのポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの抗体、(ii)約10mM±2mMの酢酸塩、(iii)約70mM±14mMのアルギニン塩酸塩(iv)約5%w/v±1%w/vのスクロース、および(iv)約0.08%±0.04%w/vのポリソルベート80を含む。場合によっては、製剤のpHは、5.2~5.4である。いくつかの実施形態では、製剤のpHは、約5.3である。
【0014】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、抗体が、それぞれ、配列番号4、6、および8のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2、およびHCDR3領域を含むHCVR、ならびにそれぞれ、配列番号12、14、および16のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、およびLCDR3領域を含む、ヒト抗体と、(ii)10mM±2mMの酢酸塩と、(iii)70mM±14mMのアルギニン塩酸塩と、(iv)5%w/v±1%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.1~5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、抗体が、それぞれ、配列番号4、6、および8のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2、およびHCDR3領域を含むHCVR、ならびにそれぞれ、配列番号12、14、および16のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、およびLCDR3領域を含む、ヒト抗体と、(ii)10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と、(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.1~5.5のpHを有する。場合によっては、抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG重鎖定常領域を有する。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG1のものである。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG4のものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、抗体が、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)10mM±2mMの酢酸塩と、(iii)70mM±14mMのアルギニン塩酸塩と、(iv)5%w/v±1%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.016%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.1~5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、(i)15±1.5mg/ml~150±15mg/mlの濃度でヒトインターロイキン-33(hIL-33)に特異的に結合するヒト抗体であって、抗体が、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と、(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.1~5.5のpHを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、サイズ排除-超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって決定される場合、5℃で2か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも90%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。
【0017】
場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。
【0018】
場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも95%を含有する。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも97.5%を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に抗体のネイティブ形態の少なくとも99%を含有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に2%以下の高分子量(HMW)種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、5℃で2か月の保存後に0.6%以下のHMW種を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で9か月の保存後に0.5%以下のHMW種を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で12か月の保存後に0.5%以下のHMW種を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、-20℃で18か月の保存後に0.5%以下のHMW種を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で9か月の保存後に0.7%以下のHMW種を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で12か月の保存後に0.7%以下のHMW種を含む。いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に2%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合、2~8℃で18か月の保存後に0.7%以下のHMW種を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、20℃で測定される際に、約15cポアズ未満、約12cポアズ未満、または約10cポアズ未満の粘度を示す。
【0023】
いくつかの実施形態では、安定な液体医薬製剤は、ガラスバイアル、シリンジ、または大容量装置もしくはボーラス注射器に含まれる。いくつかの実施形態では、シリンジは、フルオロカーボンコーティングされたプランジャを含む。いくつかの実施形態では、シリンジは、低タングステンシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、最大2500ppbのタングステンを含む。いくつかの実施形態では、シリンジは、約250~750ppbのタングステンを含む。いくつかの実施形態では、シリンジは、事前充填されたシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、事前充填された固定針(staked needle)シリンジである。
【0024】
別の態様では、上または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、安定な液体医薬製剤を含むペンまたは自動注射器送達装置が、提供される。場合によっては、送達装置は、使い捨てペン送達装置である。場合によっては、送達装置は、再利用可能なペン送達装置である。
【0025】
別の態様では、上または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、安定な液体医薬製剤を含む容器が、提供される。
【0026】
別の態様では、上または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、安定な液体医薬製剤を含む安全システム送達装置が、提供される。いくつかの実施形態では、安全システム送達装置は、手動操作によって伸長するように構成された安全スリーブを含む。いくつかの実施形態では、安全システム送達装置は、安定な液体医薬製剤の注射後に自動的に伸長するように構成された安全スリーブを含む。
【0027】
別の態様では、(i)上または本明細書で考察される安定な液体医薬製剤を含む容器、および(ii)医薬製剤の使用のためのラベリングを含む、キットが、提供される。いくつかの実施形態では、ラベリングは、医薬製剤の皮下投与を列挙する。いくつかの実施形態では、ラベリングは、医薬製剤の静脈内投与を列挙する。
【0028】
別の態様では、本発明は、上または本明細書で考察される安定な液体医薬製剤を含む単位剤形を提供し、抗IL-33抗体は、1mg~500mgの量で存在する。場合によっては、抗IL-33抗体は、約150mgの量で存在する。場合によっては、抗IL-33抗体は、約300mgの量で存在する。単位剤形のいくつかの実施形態では、製剤は、シリンジに含まれる。場合によっては、シリンジは、事前充填されたシリンジである。
【0029】
様々な実施形態では、上または本明細書で考察される実施形態の特徴または構成要素のうちのいずれかは組み合わせられ得、そのような組み合わせは本開示の範囲内に包含される。上または本明細書で考察される任意の具体的な値は、上または本明細書で考察される別の関連値と組み合わせられて、範囲の上限および下限を表す値で範囲を列挙する場合があり、そのような範囲は、本開示の範囲内に包含される。上または本明細書で考察される値のうちの各々は、1%、5%、10%または20%の変動で表され得る。例えば、10mMの濃度は、10mM±0.1mM(1%変動)、10mM±0.5mM(5%変動)、10mM±1mM(10%変動)、または10mM±2mMとして表され得る(20%変動)。
【0030】
他の実施形態は、発明を実施するための形態の精査から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】150mg/mLの抗IL-33抗体(mAb1)のpH依存的粘度を示す。
【
図2】異なる濃度の粘度調整剤での150mg/mLの抗IL-33抗体(mAb1)の粘度を示す。
【
図3】37℃で34日間インキュベートされた抗IL-33抗体(mAb1)の安定性に対する様々な粘度調整剤の効果を示す。わかりやすくするために、
図3の右端の点は、上から下に、F13、F4、F12、F3、F2、F7、F1、F5、F8、F6、およびF9の順に並べられている。
【
図4A】抗IL-33抗体(mAb1)の粘度に対する製剤パラメータの影響を示す。
【
図4B】抗IL-33抗体(mAb1)の高分子量(HMW)バリアントの形成に対する製剤パラメータの影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明が記載される前に、記載される特定の方法および実験条件が異なり得るため、本発明がかかる方法および条件に限定されないことを、理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的ためであり、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するようには意図されていないことも、理解されたい。
【0033】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の列挙された数値に関して使用される際に、値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99および101ならびにそれらの間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0034】
本明細書に記載されるものと類似または等価の任意の方法および材料は、本発明の実践または試験に使用され得るが、次に、例示的な方法および材料が、記載される。本明細書において言及される全ての特許、出願および非特許刊行物は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
医薬製剤
本明細書で使用される場合、「医薬製剤」という表現は、少なくとも1つの活性成分(例えば、ヒトまたは非ヒト動物において生物学的効果を発揮することができる抗IL-33抗体など)と、活性成分または1つ以上の追加の不活性成分と組み合わされた際にヒトまたは非ヒト動物への治療的投与に好適である、少なくとも1つの不活性成分との組み合わせを意味する。本明細書で使用される場合、「製剤」という用語は、別段具体的に示されない限り「医薬製剤」を意味する。本発明は、少なくとも1つの治療用ポリペプチドを含む医薬製剤を提供する。本発明のある特定の実施形態によれば、治療用ポリペプチドは、ヒトインターロイキン-33(hIL-33)またはその抗原結合フラグメントに特異的に結合する抗体である。より具体的には、本発明は、(i)hIL-33に特異的に結合するヒト抗体、(ii)緩衝液、(iii)熱安定剤、(iv)界面活性剤(有機共溶媒または界面安定剤でもある)、および(v)粘度調整剤を含む、製剤を含む。追加の構成要素は、そのような構成要素が製剤の粘度および安定性に著しく干渉しない場合、本発明の製剤に含まれ得る。本発明に含まれる具体的な例示的な構成要素および製剤は、以下に詳細に記載される。
【0036】
本発明の医薬製剤は、ある特定の実施形態では、流体製剤であり得る。本明細書で使用される場合、「流体製剤」という表現は、約2℃~約45℃で主に流体状態で存在する少なくとも2つの構成要素の混合物を意味する。流体製剤は、とりわけ、液体製剤を含む。流体製剤は、それらの特定の構成成分に応じて、低、中、または高粘度のものであり得る。
【0037】
ヒトIL-33に特異的に結合する抗体
本発明の医薬製剤は、hIL-33に特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。本明細書で使用される場合、「hIL-33」という用語は、ヒトIL-33タンパク質を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、一般に、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重鎖(H)鎖および2つの軽(L)鎖である4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子、同様にそれらの多量体(例えば、IgM)を指すように意図されるが、重鎖のみからなる(すなわち、軽鎖を欠く)免疫グロブリン分子もまた、「抗体」という用語の定義に包含される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が点在する相補的決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、以下、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順にアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0039】
本発明のある特定の実施形態では、本発明の抗IL-33抗体は、ヒト抗体である。本発明で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことように意図される。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特にCDR3における、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によるか、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)によってコードされないアミノ酸残基を含み得る。ただし、本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列へと移植されている抗体を含むように意図されない。様々な実施形態では、抗IL-33抗体は、ヒトIgG抗体である。様々な実施形態では、抗IL-33抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4、または混合アイソタイプのヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、ヒトIgG1抗体である。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、ヒトIgG4抗体である。上または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、抗IL-33抗体は、ヒトカッパ軽鎖を含み得る。上または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、抗IL-33抗体は、ヒトラムダ軽鎖を含み得る。
【0040】
本発明の抗体は、いくつかの実施形態では、組換えヒト抗体であり得る。本明細書で使用される場合、「組み換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作成、もしくは単離される全てのヒト抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成、もしくは単離された抗体を含むように意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される際の、インビボ体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来しそれらに関連しているが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0041】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」または「抗体フラグメント」という用語は、hIL-33に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(例えば、hIL-33に特異的に結合する単離された抗体は、hIL-33以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。
【0043】
「特異的に結合する」または同様の用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以上の解離定数によって特徴付けられ得る。2つの分子が特異的に結合するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。しかしながら、hIL-33に特異的に結合する単離された抗体は、他の種(オルソログ)からのIL-33分子などの他の抗原に対する交差反応性を有し得る。本発明の文脈において、hIL-33に結合する多重特異性(例えば、二重特異性)抗体、同様に1つ以上の追加の抗原は、hIL-33に「特異的に結合する」と見なされる。さらに、単離された抗体は、他の細胞性材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0044】
本発明の医薬製剤に含まれ得る例示的な抗hIL-33抗体は、WO2014/164959に定められ、その開示は、その全体の参照により組み込まれる。
【0045】
本発明のある特定の実施形態によれば、抗hIL-33抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ、配列番号4-6-8のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域HCDR1-HCDR2-HCDR3を含む。本発明のある特定の実施形態によれば、抗hIL-33抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ、配列番号12-14-16のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域LCDR1-LCDR2-LCDR3を含む。
【0046】
ある特定の実施形態では、抗hIL-33抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を含む。ある特定の実施形態では、抗hIL-33抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む。ある特定の実施形態では、抗hIL-33抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2/10のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、それぞれ、配列番号2/10のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVR、およびヒトIgG1重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、それぞれ、配列番号2/10のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVR、およびヒトIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、それぞれ、配列番号2/10のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVR、およびヒトIgG重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、それぞれ、配列番号2/10のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVR、およびヒトIgG1またはIgG4重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを有する抗IL-33抗体は、本明細書でmAb1と称される。この抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を有する。
【0047】
本発明の医薬製剤内に含有される抗体またはその抗原結合フラグメントの量は、製剤の所望の具体的特性、同様に製剤が使用されるように意図される特定の状況および目的に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、約1mg/mL~約500mg/mLの抗体、約5mg/mL~約400mg/mLの抗体、約5mg/mL~約200mg/mLの抗体、約15mg/mL~約150mg/mL、約25mg/mL~約180mg/mLの抗体、約25mg/mL~約150mg/mLの抗体、約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、または約140mg/mL~約160mg/mLの抗体を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、hIL-33に特異的に結合する、約1mg/mL、約2mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約100mg/mL、約105mg/mL、約110mg/mL、約115mg/mL、約120mg/mL、約125mg/mL、約130mg/mL、約131mg/mL、約132mg/mL、約133mg/mL、約134mg/mL、約135mg/mL、約140mg/mL、約145mg/mL、約150mg/mL、約155mg/mL、約160mg/mL、約165mg/mL、約170mg/mL、約175mg/mL、約180mg/mL、約185mg/mL、約190mg/mL、約195mg/mL、または約200mg/mLの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む液体製剤であり得る。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、5±0.75mg/mL~150±22.5mg/mLの抗体、7.5±1.125mg/mL~140±21mg/mLの抗体、10±1.5mg/mL~130±19.5mg/mLの抗体、12.5±1.875mg/mL~120±18mg/mLの抗体、15±2.25mg/mL~110±16.5mg/mLの抗体、17.5±2.625mg/mL~100±15mg/mLの抗体、20±3mg/mL~90±13.5mg/mLの抗体、22.5±3.375mg/mL~80±12mg/mLの抗体、25±3.75mg/mL~70±10.5mg/mLの抗体、27.5±4.125mg/mL~60±9mg/mLの抗体、30±4.5mg/mL~50±7.5mg/mLの抗体、25±3.75mg/mLの抗体、または50±7.5mg/mlを含有し得る液体製剤である。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、15±0.15mg/ml~150±1.5mg/mlの抗IL-33抗体を含有する。場合によっては、医薬製剤は、75mg/mL±3.75mg/mLの抗IL-33抗体を含有する。場合によっては、医薬製剤は、150mg/mL±7.5mg/mLの抗IL-33抗体を含有する。
【0048】
生物学的等価物
本発明は、本明細書に開示される例示的な分子のものとは異なるが、hIL-33に結合する能力を保持するアミノ酸配列を有する抗体を包含する。そのようなバリアント分子は、親配列と比較される際に、アミノ酸の1つ以上の付加、欠失、または置換を含み得るが、本明細書で考察される抗体のものと本質的に等価である生物学的活性を示し得る。
【0049】
本発明は、本明細書に定められる例示的な抗体のうちのいずれかと生物学的に等価である抗原結合分子を含む。例えば、単回用量または複数回用量のいずれかである類似の実験条件下の同じモル用量で投与される際に、それらが、吸収の速度および程度が著しい差異を示さない医薬等価物または医薬代替物である場合、2つの抗体は、生物学的等価とみなされる。いくつかの抗体は、それらの吸収の程度において等価であるが吸収のそれらの速度において等価ではない場合、等価物または医薬代替物とみなされることになるが、吸収の速度におけるそのような差異は、意図的でありラベリングに反映され、例えば、慢性的使用時の有効な身体薬物濃度の達成に必須ではなく、研究された特定の薬品にとって医学的に重要でないとみなされるため、生物学的等価とみなされ得る。
【0050】
一実施形態では、2つの抗体は、それらの安全性、純度、および効力において臨床的に意味のある差異がない場合、生物学的等価である。
【0051】
一実施形態では、2つの抗体は、そのような切り替えを伴わない持続療法と比較して、免疫原性の臨床的に著しい変化、または有効性の減衰を含む有害作用のリスクの期待される増加を伴わずに参照生成物と生物学的生成物との間で患者が1回以上切り替えられることができる場合、生物学的等価である。
【0052】
生物学的等価性は、インビボおよびインビトロの方法によって実証され得る。生物学的等価性測定は、例えば、(a)抗体またはその代謝産物の濃度が血液、血漿、血清または他の生物学的流体中で時間の関数として測定される、ヒトまたは他の哺乳動物におけるインビボ試験、(b)ヒトインビボ生物学的利用能データと相関しており、かつそれらを合理的に予測しているインビトロ試験、(c)抗体(またはその標的)の適切な急性薬理学的効果が時間の関数として測定される、ヒトまたは他の哺乳動物におけるインビボ試験、および(d)抗原結合タンパク質の安全性、効能、または生物学的利用能もしくは生物学的等価性を確立する、十分に管理された臨床試験、を含む。
【0053】
製剤賦形剤およびpH
本発明の医薬製剤は、1つ以上の賦形剤を含む。本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、所望の粘稠度、粘度または安定化効果を提供するために製剤に添加される任意の非治療剤を意味する。
【0054】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、少なくとも1つのアミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジンまたはグルタミン酸)を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アルギニンである。いくつかの実施形態では、アルギニンは、アルギニン塩酸塩の形態で提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アルギニンとグルタミン酸との組み合わせである。場合によっては、アミノ酸(例えば、アルギニン)は、抗IL-33抗体製剤に対する粘度調整剤として機能する。
【0055】
本発明の医薬製剤内に含有されるアミノ酸の量は、製剤の所望の具体的特性、同様に製剤が使用されるように意図される特定の状況および目的に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、製剤は、1mM~約200mMのアミノ酸、約5mM~約150mM、約25mM~約125mMのアミノ酸、約50mM~約100mMのアミノ酸、約50mM~約90mMのアミノ酸、約60mM~約80mMのアミノ酸、または約65mM~約75mMのアミノ酸を含み得る。例えば、本発明の医薬製剤は、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、または約125mMのアミノ酸(例えば、アルギニン)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約70mMのアミノ酸(例えば、アルギニン)を含有する。
【0056】
本発明の医薬製剤はまた、1つ以上の炭水化物、例えば、1つ以上の糖を含み得る。糖は、還元糖または非還元糖であり得る。「還元糖」は、例えば、ケトンまたはアルデヒド基を有する糖を含み、糖が還元剤として機能することを可能にする反応性ヘミアセタール基を含む。還元糖の具体例は、フルクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マンノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトースおよびマルトースを含む。非還元糖は、アセタールであり、メイラード反応を開始するためにアミノ酸またはポリペプチドと実質的に反応しないアノマー炭素を含むことができる。非還元糖の具体例は、スクロース、トレハロース、ソルボース、スクラロース、メレジトースおよびラフィノースを含む。糖酸は、例えば、サッカリン酸、グルコン酸塩および他のポリヒドロキシ糖ならびにそれらの塩を含む。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。場合によっては、糖(例えば、スクロース)は、抗IL-33抗体に対する熱安定剤として機能する。
【0057】
本発明の医薬製剤内に含有される糖(例えば、スクロース)の量は、製剤が使用される具体的状況および意図された目的に応じて変動するであろう。ある特定の実施形態では、製剤は、0.1%~約20%の糖、約0.5%~約20%の糖、約1%~約20%の糖、約2%~約15%の糖、約3%~約10%の糖、約3%~約7%の糖、または約4%~約6%の糖を含有し得る。例えば、本発明の医薬製剤は、約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、約10.0%、約15%、または約20%の糖(例えば、スクロース)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約5%の糖(例えば、スクロース)を含有する。
【0058】
本発明の医薬製剤はまた、乱暴な取り扱いまたは例えば、軌道振とう(orbital shaking)などの撹拌の条件下で抗IL-33抗体を安定化する種類および量で1つ以上の有機共溶媒(または界面安定剤)を含み得る。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、界面活性剤である。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、溶解する流体の表面張力を低下させ、かつ/または油と水との間の界面張力を低下させる物質を意味する。界面活性剤は、イオン性または非イオン性であり得る。本発明の製剤に含まれ得る例示的な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルポリグルコシド(例えば、オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド)、セチルアルコールおよびオレイルアルコールなどの脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ならびにコカミドTEAを含む。本発明の製剤に含まれ得る具体的な非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、およびポリソルベート85などのポリソルベート、ポロキサマー188(プルロニックF68としても知られる)、ポロキサマー407などのポロキサマー、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。ポリソルベート20は、TWEEN 20、ソルビタンモノラウレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートとしても知られている。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0059】
本発明の医薬製剤内に含有される界面活性剤の量は、製剤の所望の具体的特性、同様に製剤が使用されるように意図される特定の状況および目的に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、製剤は、0.05%~約5%の界面活性剤、約0.05%~約0.15%の界面活性剤、約0.04%~約0.12%、約0.05%~約0.11%の界面活性剤、約0.06%~約0.1%の界面活性剤、または約0.07%~約0.09%の界面活性剤を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.10%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%、約0.20%、約0.21%、約0.22%、約0.23%、約0.24%、約0.25%、約0.26%、約0.27%、約0.28%、約0.29%、または約0.30%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.08%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含有する。上記のパーセンテージの各々は、重量/体積(w/v)パーセントに対応する。
【0060】
本発明の医薬製剤はまた、安定したpHを維持し、抗IL-33抗体を安定化するのを助けるのに役立つ緩衝液または緩衝液系を含み得る。いくつかの実施形態では、緩衝液または緩衝液系は、pH4.9~5.7の範囲に完全にまたは部分的に重複する緩衝範囲を有する少なくとも1つの緩衝液を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン緩衝液を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液は、酢酸塩緩衝液である。ある特定の実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩)は、約1mM~約40mM、約1mM~約30mM、約1mM~約20mM、約3mM~約18mM、約5mM~約15mM、または約8mM~約12mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝液(例えば、酢酸塩)は、5.3mM±0.3mM、5.3mM±0.2mM、または5.3mM±0.1mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約4.6mM、約4.7mM、約4.8mM、約4.9mM、約5.0mM、約5.1mM、約5.2mM、約5.3mM、約5.4mM、約5.5mM、約5.6mM、約5.7mM、約5.8mM、約5.9mM、または約6.0mMの濃度で存在する。
【0061】
例示的な製剤
本発明の一態様によれば、医薬製剤は、(i)hIL-33に特異的に結合するヒト抗体(例えば、mAb1)、(ii)緩衝液(例えば、酢酸塩)、(iii)アミノ酸(例えば、アルギニン)、(iv)熱安定剤(例えば、スクロース)、および(v)有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)を含む。
【0062】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約1mg/ml~約200mg/mlの濃度でhIL-33(例えば、mAb1)に特異的に結合するヒト抗体、(ii)約1mM~約20mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)、(iii)約30mM~約110mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)、(iv)約1%w/v~約10%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)、および(v)約0.01%w/v~約0.15%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)を含む。
【0063】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度でhIL-33(例えば、mAb1)に特異的に結合するヒト抗体、(ii)約5mM~約15mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)、および(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)を含む。
【0064】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)と、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)とを含む。
【0065】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)と、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)とを含む。
【0066】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)と、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)とを含む。
【0067】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での緩衝液(例えば、酢酸塩)と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアミノ酸(例えば、アルギニン)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度での熱安定剤(例えば、スクロース)と、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度での有機共溶媒(例えば、ポリソルベート80)とを含む。
【0068】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0069】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0070】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0071】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約50mM~約90mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約3%w/v~約7%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.05%w/v~約0.11%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0072】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約65mM~約75mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約4%w/v~約6%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.07%w/v~約0.09%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0073】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約65mM~約75mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約4%w/v~約6%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.07%w/v~約0.09%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0074】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体、(ii)約8mM~約12mMの濃度での酢酸塩、(iii)約65mM~約75mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)、(iv)約4%w/v~約6%w/vの濃度でのスクロース、および(v)約0.07%w/v~約0.09%w/vの濃度でのポリソルベート80を含む。
【0075】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約65mM~約75mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約4%w/v~約6%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.07%w/v~約0.09%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0076】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約10mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約70mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約5%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.08%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0077】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約10mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約70mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約5%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.08%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0078】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する、ヒト抗体と、(ii)約10mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約70mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約5%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.08%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0079】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mMの濃度での酢酸塩と、(iii)約70mMの濃度でのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)と、(iv)約5%w/vの濃度でのスクロースと、(v)約0.08%w/vの濃度でのポリソルベート80とを含む。
【0080】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0081】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0082】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0083】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0084】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVR、配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRおよびヒトIgG4重鎖定常領域を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と、(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0085】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVR、配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRおよびヒトIgG4重鎖定常領域を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0086】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVR、配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRおよびヒトIgG4重鎖定常領域を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0087】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVR、配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVRおよびヒトIgG4重鎖定常領域を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0088】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml~約150mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0089】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約15mg/ml±1.5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0090】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約75mg/ml±5mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0091】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)約150mg/ml±15mg/mlの濃度で、hIL-33に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒト抗体と、(ii)約10mM±1mMの酢酸塩と、(iii)約70mM±7mMのアルギニン塩酸塩と(iv)5%w/v±0.5%w/vのスクロースと、(iv)約0.08%±0.008%w/vのポリソルベート80とを含み、製剤は、5.3±0.1のpHを有する。
【0092】
本発明によって包含される医薬製剤の追加の非限定的な例は、以下に提示される実施例を含む、本明細書の他の場所に定められる。
【0093】
医薬製剤の安定性および粘度
本発明の医薬製剤は、高レベルの安定性を示す。医薬製剤に関して本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、医薬製剤内の抗体が、定義された時間量の間の保存後、許容可能な程度の構造および/または機能および/または生物学的活性を保持することを意味する。製剤は、その中に含有される抗体が、定義された時間量の間の保存後、その構造および/または機能および/または生物学的活性の100%を維持しなくても、安定であり得る。ある特定の状況下で、定義された時間量の間の保存後の抗体の構造および/または機能および/または生物学的活性の約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の維持は、「安定な」とみなされ得る。
【0094】
安定性は、とりわけ、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中に残っているネイティブ抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得る。ネイティブ抗体のパーセンテージは、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体のネイティブ形態の少なくとも90%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出され得ることを意味する。ある特定の実施形態では、抗体のネイティブ形態の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%は、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出され得る。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、約35℃、約37℃、または約45℃での保存であり得る。例えば、5℃で3か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、または97%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤は、安定であると見なされ得る。5℃で6か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、または97%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。5℃で9か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。25℃で3か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。25℃で6か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。25℃で9か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。
【0095】
例えば、熱安定性を決定するための示差走査熱量測定(DSC)、機械的安定性を決定するための制御された撹拌、および溶液濁度を決定するための約350nmまたは約405nmでの吸光度などの他の方法は、本発明の製剤の安定性を評価するために使用され得る。例えば、約5℃~約25℃での6か月以上の保存後、製剤のOD405の変化が、t=0での製剤のOD405から約0.05未満(例えば、0.04、0.03、0.02、0.01、またはそれ未満)である場合、本発明の製剤は、安定であると見なされ得る。
【0096】
標的に対する抗体の結合親和性を測定することもまた、安定性を評価するために使用され得る。例えば、本発明の製剤は、例えば、-80℃、-30℃、-20℃、5℃、25℃、37℃、45℃などでの定義された時間量(例えば、14日~9か月)の間の保存後、製剤内に含有された抗IL-33抗体は、該保存前の抗体の結合親和性の少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上である親和性でhIL-33に結合する。結合親和性は、例えば、ELISAまたはプラズモン共鳴などの任意の方法によって決定され得る。生物学的活性は、IL-33を発現する細胞を抗IL-33抗体を含む製剤と接触させることによるなどの、IL-33活性アッセイによって決定され得る。そのような細胞への抗体の結合は、FACS分析を介するなど、直接測定され得る。代替的には、IL-33システムの下流の活性は、抗体の存在下で測定され得、抗体の非存在下でのIL-33システムの活性と比較され得る。
【0097】
安定性は、とりわけ、定義された温度で定義された時間量の間の保存後、製剤内で凝集体を形成する抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得、安定性は、形成される凝集体パーセントに反比例する。凝集した抗体のパーセンテージは、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC]またはサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー[SE-UPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体の最大6%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出される凝集形態にあることを意味する。ある特定の実施形態では、許容可能な程度の安定性は、抗体の最大約6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中の凝集体中で検出され得ることを意味する。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも2週間、少なくとも28日、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、約35℃、約37℃または約45℃での保存であり得る。例えば、5℃で9か月の保存後に抗体の約2%、1.75%、1.5%、1.25%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤は、安定であると見なされ得る。25℃で6か月の保存後に抗体の約2%、1.75%、1.5%、1.25%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。45℃で28日の保存後に抗体の約4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。-20℃、-30℃、または-80℃で3か月の保存後に抗体の約2%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1%、0.5%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされ得る。
【0098】
安定性は、とりわけ、抗体の主要画分(「主電荷形態」)よりもイオン交換中の酸性の画分(「酸性形態」)中で移動する抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得、安定性は、酸性形態における抗体の画分に反比例する。理論に拘束されることを望まないが、抗体の脱アミド化は、抗体をより負に荷電させ得、したがって、脱アミド化されていない抗体に対してより酸性にさせ得る(例えば、Robinson,N.,Protein Deamidation,PNAS,April 16,2002,99(8):5283-5288)。「酸性化」抗体のパーセンテージは、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換高速液体クロマトグラフィー[CEX-HPLC]または陽イオン交換超高速液体クロマトグラフィー[CEX-UPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体の最大52%が、定義された温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出されるより酸性の形態にあることを意味する。ある特定の実施形態では、許容可能な程度の安定性は、抗体の最大約52%、50%、45%、40%、35%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中に酸性形態で検出され得ることを意味する。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも2週間、少なくとも28日、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、または約45℃での保存であり得る。例えば、-80℃、-30℃、または-20℃で3か月の保存後に抗体の約29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤は、安定であると見なされる。5℃で9か月の保存後に抗体の約28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされる。25℃で28日の保存後に抗体の約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされる。37℃で28日の保存後に抗体の約37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされる。45℃で28日の保存後に抗体の約52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態で検出され得る場合、医薬製剤はまた、安定であると見なされる。
【0099】
ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、-80℃、-30℃または-20℃で24か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、2%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、または1.5%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、-80℃、-30℃または-20℃で9か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、または0.5%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、5℃で2か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、または0.6%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、25℃および60%相対湿度で2か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、2%以下、1.8%以下、1.6%以下、1.4%以下、1.2%以下、または1.0%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、40℃および75%相対湿度で2か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、6%以下、5.5%以下、5.4%以下、5.3%以下、5.2%以下、または5.1%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で9か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、または0.7%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で24か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、3%以下、2.8%以下、2.6%以下、2.4%以下、2.2%以下、または2.0%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、25℃および60%相対湿度で6か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、2%以下、1.8%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、または1.3%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で6か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、または0.7%以下のHMW種を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で3か月の保存後にSE-UPLCによって測定される場合、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、または0.5%以下のHMW種を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、-80℃、-30℃または-20℃で24か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、または少なくとも97.9%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、-80℃、-30℃または-20℃で9か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、5℃で2か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、25℃および60%相対湿度で2か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、または少なくとも98.8%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、40℃および75%相対湿度で2か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、または少なくとも94.1%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で9か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で24か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、または少なくとも97.6%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、25℃および60%相対湿度で6か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも98.4%のネイティブ形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明の「安定な」医薬組成物または医薬製剤は、2~8℃で3か月後または6か月の保存後にサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される場合、抗体の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のネイティブ形態を含む。
【0101】
具体的な期間の「後」の医薬製剤の安定性への言及は、安定性パラメータ(例えば、ネイティブ形態%、HMW種%、または酸性形態%)の測定が、具体的な期間の最後またはその前後に行われ、医薬製剤がその後測定されたパラメータに対して必ずしも同じ程度の安定性を維持することを意味するように意図されないことを、意味するように意図される。例えば、9か月後の特定の安定性への言及は、安定性の測定が研究の開始時または約9か月後に行われたことを意味する。製剤中の抗体の安定性を評価するための追加の方法は、以下に提示される実施例において実証される。
【0102】
流体形態では、本発明の医薬製剤は、ある特定の実施形態では、低レベルから中程度のレベルの粘度を示し得る。本明細書で使用される場合、「粘度」は、「動粘度」または「絶対粘度」であり得る。「動粘度」は、重力の影響下にある流体の抵抗流の尺度である。等しい体積の2つの流体が、同一のキャピラリー粘度計に配置され、重力によって流れることができる際に、粘度がある流体は、より粘度がない流体よりもキャピラリーを流れるのにより長い時間がかかる。例えば、ある流体がその流れを完了するのに200秒かかり、別の流体が400秒かかる場合、第2の流体は、動粘度スケールで第1のものの2倍の粘度がある。「絶対粘度」は、動的または単純粘度と呼ばれることもあり、動粘度と流体密度との積である(絶対粘度=動粘度×密度)。動粘度の次元はL2/Tであり、式中、Lは長さであり、Tは時間である。一般的に、動粘度は、センチストークス(cSt)で表される。動粘度のSI単位は、mm2/sであり、1cStである。絶対粘度は、センチポアズ(cP)の単位で表される。絶対粘度のSI単位は、ミリパスカル秒(mPa-s)であり、1cP=1mPa-sである。
【0103】
本明細書で使用される場合、本発明の流体製剤に関して、低レベルの粘度は、20℃で約20cポアズ(cP)未満の絶対粘度を示すであろう。例えば、標準的な粘度測定技法を使用して測定される際に、製剤が約19cP、約18cP、約17cP、約16cP、約15cP、約14cP、約13cP、約12cP、約11cP、約10cP、約9cP、約8cP、約7cP、約6cP、約5cP、約4cP、またはそれ未満の絶対粘度を示す場合、本発明の流体製剤は、「低粘度」を有すると見なされるであろう。本明細書で使用される場合、本発明の流体製剤に関して、中程度のレベルの粘度は、約30cP~約20cPの絶対粘度を示すであろう。例えば、標準的な粘度測定技法を使用して測定される際に、製剤が約30cP、約29cP、約28cP、約27cP、約26cP、約25cP、約24cP、約23cP、約22cP、約21cP、または約20cPの絶対粘度を示す場合、本発明の流体製剤は、「中程度の粘度」を有すると見なされるであろう。これらの値の各々は、20℃で行われた測定を参照する。
【0104】
以下の実施例に示されるように、本発明は、部分的に、請求された賦形剤の抗IL-33抗体との組み合わせが、安定であり望ましい粘度を有する製剤を生成するという発見に基づいている。
【0105】
容器および投与の方法
本発明の医薬製剤は、医薬品および他の治療用組成物の保存に好適な任意の容器内に含まれ得る。例えば、医薬製剤は、バイアル、アンプル、シリンジ、カートリッジ、ボトルまたはIVバッグなどの、定義された体積を有する密封および滅菌されたプラスチックまたはガラス容器内に含まれ得る。例えば、透明および不透明(例えば、こはく色)のガラスまたはプラスチックバイアルを含む、異なる種類のバイアルが、本発明の製剤を含むために使用され得る。同様に、任意の種類のシリンジが、本発明の医薬製剤を含み、かつ/または投与するために使用され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、事前充填されたシリンジに含まれる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、事前充填された固定針シリンジに含まれる。
【0106】
本発明の医薬製剤は、「通常のタングステン」シリンジまたは「低タングステン」シリンジ内に含まれ得る。当業者によって理解されるであろうように、ガラスシリンジを作製するプロセスは、一般に、ガラスに穴を開け、それによって液体がシリンジから引き出され排出され得る穴を作成するように機能する、高温タングステン棒の使用を含む。このプロセスは、シリンジの内部表面に微量のタングステンの堆積をもたらす。その後の洗浄およびその他の処理ステップは、シリンジ中のタングステンの量を低下させるために使用され得る。本明細書で使用される場合、「通常のタングステン」という用語は、シリンジが500十億分率(ppb)超のタングステンを含むことを意味する。「低タングステン」という用語は、シリンジが500ppb未満のタングステンを含むことを意味する。例えば、本発明による低タングステンシリンジは、約490、480、470、460、450、440、430、420、410、390、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10未満、またはそれよりも少ないppbのタングステンを含むことができる。
【0107】
シリンジにおいて使用されるゴム製プランジャ、およびバイアルの開口部を閉じるために使用されるゴム製ストッパは、シリンジまたはバイアルの医薬内容物の汚染を防ぐため、かつ/またはそれらの安定性を維持するためにコーティングされ得る。したがって、本発明の医薬製剤は、ある特定の実施形態によれば、コーティングされたプランジャを含むシリンジ内、またはコーティングされたゴム製ストッパで密封されたバイアル内に含まれ得る。例えば、プランジャまたはストッパは、フルオロカーボン膜でコーティングされ得る。本開示の医薬製剤を含むバイアルおよびシリンジとの使用に好適なコーティングされたストッパおよび/またはプランジャの例は、例えば、米国特許第4,997,423号、同第5,908,686号、同第6,286,699号、同第6,645,635号、および同第7,226,554号において言及され、その内容は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。本発明のぶんみゃくにおいて使用され得る特定の例示的なコーティングされたゴム製ストッパおよびプランジャは、West Pharmaceutical Services,Inc.(Lionville,PA)から入手可能な商品名「FluroTec(登録商標)」の下で市販されている。本発明のある特定の実施形態によれば、医薬製剤は、フルオロカーボンコーティングされたプランジャを含む低タングステンシリンジ内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、容器は、Ompi EZ-Fill(商標)シリンジまたはBD Neopak(商標)シリンジなどのシリンジである。場合によっては、シリンジは、1mLのiWestピストン、27G薄壁針およびFM30針シールドまたはBD260針シールドを有する1mL長ガラスシリンジである。場合によっては、シリンジは、West NovaPure(商標)1~3mLピストン、27G薄壁針およびFM30針シールドまたはBD260針シールドを有する2.25mLのガラスシリンジである。様々な実施形態では、シリンジは、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1.0mL、1.1mL、1.2mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.8mL、1.9mL、2.0mL、2.1mL、2.2mL、2.3mL、2.4mL、2.5mL、2.6mL、2.7mL、2.8mL、2.9mL、3.0mL、3.5mL、4.0mL、4.5mL、5.0mL、5.5mL、6.0mL、6.5mL、7.0mL、7.5mL、8.0mL、8.5mL、9.0mL、9.5mL、または10mLのシリンジ(例えば、ガラスシリンジ)である。
【0108】
医薬製剤は、注射(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内など)、または経皮、粘膜、鼻、肺および/もしくは経口投与などの経口経路によって対象に投与され得る。多数の再利用可能なペンおよび/または自動注射器送達装置が、本発明の医薬製剤を皮下送達するために使用され得る。例は、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.,Woodstock,UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems,Bergdorf,Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.,Indianapolis,IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk,Copenhagen,Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk,Copenhagen,Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(sanofi-aventis,Frankfurt,Germany)を含むが、これらに限定されず、ほんの数種類しか挙げていない。本発明の医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペンおよび/または自動注射器送達装置の例は、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi-aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自動注射器(Amgen,Thousand Oaks,CA)、PENLET(商標)(Haselmeier,Stuttgart,Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs,Abbott Park,IL)を含むが、これらに限定されず、ほんの数種類しか挙げていない。場合によっては、医薬製剤は、自動注射器での使用に特異的に適合したシリンジに含まれる。皮下注射は、20~30ゲージの針または25~30ゲージの針を使用して投与され得る。場合によっては、皮下注射は、25ゲージの針を使用して投与され得る。場合によっては、皮下注射は、27ゲージの針を使用して投与され得る。場合によっては、皮下注射は、29ゲージの針を使用して投与され得る。
【0109】
別の種類の送達装置は、安全システムを含むことができる。そのような装置は、比較的安価であり、注射が完了すると、手動または自動で安全スリーブを針の上に伸長するように動作する。安全システムの例は、West PharmaceuticalによるERIS装置、またはBecton DickinsonによるUltraSafe装置を含むことができる。加えて、本発明の医薬製剤を送達するための大容量装置(「LVD」)またはボーラス注射器の使用もまた、本明細書で企図される。場合によっては、LVDまたはボーラス注射器は、薬剤を患者に注射するように構成され得る。例えば、LVDまたはボーラス注射器は、「大容量」薬剤(典型的には、約2ml~約10ml)を送達するように構成され得る。
【0110】
本発明の医薬製剤はまた、単位剤形に含まれ得る。本明細書で使用される場合、「単位剤形」という用語は、治療される患者に対する単位投薬量として好適な物理的不連続単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体、希釈剤、または賦形剤に関連して所望の治療効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を含む。様々な実施形態では、単位剤形は、本明細書で考察されるように、容器内に含まれる。本発明の製剤中の活性成分(例えば、抗IL-33抗体)の実際の投薬量レベルは、患者に対する有害作用を伴わずに特定の患者、組成物、および投与の様式について所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように、変動し得る。選択される投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与の経路、投与の時間、用いられている特定の化合物の排泄の速度、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される治療、他の薬物、化合物および/もしくは材料の持続期間、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態および以前の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の因子を含む、多様な薬物動態学的因子に依存するであろう。本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、本明細書に記載される例示的もしくは適切な濃度を変更または達成するのに適した溶液を指す。
【0111】
様々な実施形態では、単位剤形は、単回使用を意図された量の活性成分(例えば、抗IL-33抗体)を含む。様々な実施形態では、単位剤形中の活性成分の量は、約0.1mg~約5000mg、約100mg~約1000mg、および約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約250mg~約350mg、約125mg~約175mg、約275mg~約325mg、またはそれらの範囲もしくは区間である。上に列挙された量の中間の範囲、例えば、約135mg~約165mgまたは285mg~315mgもまた、本発明の一部であるように意図される。例えば、上に列挙された値(または上に列挙された範囲内に含まれる値)のうちのいずれかの組み合わせを上限および/または下限として使用する値の範囲は、含まれるように意図される。特定の実施形態では、製剤は、しばしば、単位剤形の液体として供給される。いくつかの実施形態では、単位剤形は、約150mgを含む。いくつかの実施形態では、単位剤形は、約300mgを含む。いくつかの実施形態では、本発明による単位剤形は、患者への皮下投与に好適である。
【0112】
本発明はまた、単位剤形を調製する方法を含む。例示的な実施形態では、医薬単位剤形を調製するための方法は、好適な容器(例えば、本明細書で考察されるそれらの容器)内で前述の実施形態のうちのいずれかの製剤を組み合わせることを含む。
【0113】
医薬製剤の治療的使用
本発明の医薬製剤は、とりわけ、IL-33活性に関連する任意の疾患もしくは障害の治療、予防および/または改善に有用である。特に、本発明の医薬製剤は、IL-33発現、シグナル伝達、または活性に関連するか、あるいはそれによって媒介されるか、あるいはIL-33とIL-33リガンド(例えばST2)との間の相互作用を遮断するか、またはそうでなければIL-33活性および/もしくはシグナル伝達を阻害することによって治療可能な、任意の疾患あるいは障害の治療、予防、および/あるいは改善に有用である。
【0114】
本発明の治療方法は、本明細書に開示されるような抗hIL-33抗体を含む任意の製剤を対象に投与することを含む。医薬製剤が投与される対象は、例えば、そのような治療、予防および/もしくは改善を必要とする、またはそうでなければIL-33および/もしくはIL-33媒介性活性の阻害もしくは減衰から利益を得るであろう、任意のヒトまたは非ヒト動物であり得る。例えば、対象は、前述の疾患もしくは障害のうちのいずれかと診断されたか、またはそれに罹患するリスクがあるとみなされる個人であり得る。本発明は、上記の例示的な疾患、障害および状態のうちのいずれかを含む、IL-33活性に関連する任意の疾患もしくは障害の治療、予防ならびに/または改善のための医薬品の製造における本明細書に開示される医薬製剤のうちのいずれかの使用をさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で考察されるような医薬製剤(例えば、製剤または単位剤形を有する容器)、および上で考察されるような疾患もしくは障害の治療のために医薬製剤を使用するための説明書を有する包装またはラベリング(例えば、添付文書)を含むキットを提供する。場合によっては、説明書は、本明細書で考察されるように、疾患または障害の治療のための単位剤形の使用を提供する。
【0116】
本明細書で考察され、添付の配列表に示される配列は、以下の実施例を通じて使用される、IgG4重鎖定常領域を有する完全ヒト抗体であるmAb1に対応する。配列番号が、以下に示される。
【表1】
【0117】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのように作製および使用するかに関する完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、本発明者らが本発明とみなすことの範囲を限定することを企図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力はしてきたが、いくつかの実験上の誤差および偏差が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
【0118】
実施例1:抗IL-33抗体の安定性に対する緩衝液およびpHの効果
mAb1の熱安定性に対する緩衝液およびpHの効果を、変動するpH範囲で一連の緩衝液系において5mg/mLのmAb1を45℃で28日間インキュベートすることによって、液体製剤中で調べた。以下、酢酸塩(pH4.5~5.5)、L-ヒスチジン(pH5.5~6.5)、およびリン酸塩(pH6.0~7.0)のpHおよび緩衝液系を、研究した。SE-UPLC分析からの結果に基づいて、mAb1がL-ヒスチジン緩衝液中でpH6.0~pH6.5で製剤化された際に、最大のタンパク質安定性が観察された。CEX-UPLC分析からの結果に基づいて、mAb1がL-ヒスチジンまたは酢酸塩緩衝液中でpH5.0~pH6.0で製剤化された際に、最大のタンパク質安定性が観察された。これらの分析はまた、HMW種および電荷バリアントの形成が主要な分解経路であることを明らかにした。結果が、表1に示される。
【0119】
【0120】
mAb1の熱安定性に対するpHおよび緩衝液の効果を、熱安定剤としての5%スクロースの存在下で、pH4.5、5.0、および6.0の範囲の一連のL-ヒスチジンおよび酢酸塩緩衝液中で、150mg/mLのmAb1を37℃で28日間インキュベートすることによって、液体製剤中で調べた。分子量種についてのSE-UPLC分析および電荷バリアントについてのCEX-UPLC分析の結果に基づいて、凝集(すなわち、HMW種の形成)および電荷バリアントの形成が、主要な分解経路であった。L-ヒスチジン緩衝液中でのpH5.0および6.0、ならびに酢酸塩緩衝液でのpH5.0におけるmAb1安定性は、表2に示されるように、同等である。
【0121】
【0122】
実施例2:抗IL-33抗体の安定性に対する界面活性剤および熱安定剤の効果
2つの界面活性剤、0.1%のポリソルベート20および0.1%のポリソルベート80の、5mg/mLのmAb1の熱安定性に対する効果を、材料の研究ロットを使用して液体製剤中でまず調べた。熱安定性研究の結果が、表3に要約される。45℃でインキュベートされた際、ポリソルベート20またはポリソルベート80のいずれかの添加は、任意の界面活性剤を欠く対照製剤に対するmAb1の熱安定性に有害作用を及ぼした。高分子量種および電荷バリアントの増加が観察された。0.1%のポリソルベート80の添加は、0.1の%ポリソルベート20の添加と比較して、HMW種の相対的な増加および電荷バリアント形態の形成をより引き起こさなかった。
【0123】
50mg/mLのmAb1濃度での材料の代表的な研究ロットを使用してポリソルベート80濃度を調査するための追加の研究を、実施した。研究に含まれるポリソルベート80濃度は、0%、0.01%、0.02%、0.04%、0.06%、0.08%、および0.1%であった。結果が、表4および5に要約される。60分間撹拌された際、ポリソルベート80を含有しない試料について、HMWの相対パーセンテージの0.8%の増加が、観察された(表4)。SE-UPLCクロマトグラムの検査は、この増加が、出発材料には存在しなかった高次の凝集ピークの形成によるものであることを示した。0.02%以上のポリソルベート80の添加は、60分間の撹拌後のこの凝集種の形成を防いだ。45℃で28日間インキュベートされた際、mAb1の熱安定性は、研究されたポリソルベート濃度によって影響されなかった(表5)。
【0124】
液体製剤中の5mg/mLのmAb1は、表3に示されるように、5%スクロースと共に製剤化され、加速条件下でインキュベートされた際に改善された安定性を示した。45℃で28日間のインキュベーション後、HMW種の相対量は、スクロースを有しない対照製剤の1.2%の増加と比較して、5%のスクロースを含有する製剤中で0.7%増加した。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
実施例3:抗IL-33抗体の安定性に対する粘度調整剤の効果
mAb1は、事前充填されたシリンジ(PFS)に含まれ、自動注射器などの送達装置を通じて送達される。粘度は、事前充填されたシリンジ(PFS)を通じた注射の容易さと相関する。適度に低い粘度を維持することは、自動注射器などの送達装置の開発に有利である。
【0129】
10mMのL-ヒスチジン緩衝液中の150mg/mLのmAb1の粘度に対するpHの効果を、調べた。
図1に示されるように、mAb1粘度は、4.8~6.7のpH範囲でpHに大きく依存する。pHが低いほど、mAb1粘度は低くなる。製剤粘度に対する賦形剤の効果も、以下の潜在的な粘度調整剤、酢酸ナトリウム、L-アルギニン塩酸塩、L-グルタミン酸ナトリウム、および最大200mMの塩化マグネシウムを有するmAb1液体製剤中で調べた。基本製剤は、150mg/mLのmAb1、27mMの酢酸塩、およびpH5.3での5%スクロースを含有した。結果が、
図2に示される。25~150mMでのこれらの添加剤の全ては、pH5.3で150mg/mLのmAb1の粘度を2~5cP低下させた。
【0130】
150mg/mLのmAb1の安定性に対する粘度調整剤の効果も、製剤を37℃で34日間インキュベートすることによって調べた。HMW種の形成は主な分解経路であり、結果が
図3に示される。いずれの粘度調整剤も含有しない対照製剤と比較して、塩化マグネシウムまたは酢酸ナトリウムの添加は、37℃のインキュベーション後にHMWの形成を促進した。一方、L-アルギニン塩酸塩およびL-グルタミン酸ナトリウムは、mAb1安定性に有害作用を及ぼさなかった。代わりに、75mMのL-アルギニン塩酸塩は、HMW形成に対するmAb1安定性を改善した。
【0131】
粘度低下効果および熱安定性に対する影響に基づいて、L-アルギニン塩酸塩を、mAb1製剤に対する粘度調整剤として選択した。
【0132】
実施例4:粘度および安定性に対する製剤パラメータの影響
カスタム実験計画を適用して、pHと同様に各製剤構成要素の効果、ならびにmAb1の安定性および粘度に対するパラメータの相互作用を理解した。本研究における製剤パラメータは、タンパク質濃度(135-165mg/mL)、スクロース濃度(5~9%)、L-アルギニン塩酸塩濃度(0~75mM)、およびpHを含む。本研究における全ての製剤について、界面活性剤は0.1%で一定のままである。
【0133】
製剤の粘度は、40℃/75%RHで28日間のインキュベーションの前後で不変のままであった。
【0134】
主要な製剤パラメータに対する粘度を、標準的な最小二乗パーソナリティおよび効果レバレッジ強調(effect leverage emphasis)を用いるJMP12を使用した適合モデルによって分析した。製剤粘度に影響を与える主な因子は、
図4Aに示されるように、mAb1濃度、pHおよびL-アルギニン塩酸塩濃度である。
【0135】
40℃/75%RHでの28日の培養後の製剤の安定性も、調べた。色および外観、濁度、pHの変化、タンパク質回収または電荷バリアントの変化における意味のある差異は、28日間の40℃/75%RHのインキュベーション後の14の製剤について観察されなかった。属性を示す主な安定性は、HMW種の形成であった。
【0136】
主要な製剤パラメータに対するHMW形成速度を、標準的な最小二乗パーソナリティおよび効果レバレッジ強調を用いるJMP12を使用した適合モデルによって分析した。HMW形成に影響を与える主な因子は、
図4Bに示されるように、pH、L-アルギニン塩酸塩濃度、およびスクロース濃度であった。
【0137】
製剤組成の選択は、JMP12望ましさ関数(desirability function)を使用して製剤粘度およびHMW形成速度を最小化することに基づいていた。マルチパラメトリック分析を使用して、5%スクロース、および150mg/mlの抗体(mAb1)濃度でpH5.3で70mMのL-アルギニン塩酸塩を含有する組成物を生成した。この製剤は、HMW形成と同様に製剤粘度を最小化した。一方、それは、賦形剤組成物の変動に対する粘度および安定性の変動の感度を低下させた。
【0138】
実施例5:抗IL-33抗体の安定性に対する界面活性剤濃度の効果
ポリソルベート80を、上の実施例2において考察された研究における安定化界面活性剤として同定した。本研究のための基本製剤は、150mg/mLのmAb1、10mMの酢酸塩緩衝液、5%(w/v)のスクロース、および70mMのL-アルギニン塩酸塩であった。初期評価におけるポリソルベート80濃度は、0.01%、0.02%、0.04%、0.05%、0.06%、0.08%、および0.1%であった。結果が、表6に要約される。250rpmで48時間の軌道振とう後、HMWの相対パーセンテージの増加が、低レベルのポリソルベート80を含有する試料について観察された。0.055%以上のポリソルベート80は、48時間の軌道振とう後のこの凝集種の形成を防いだ。
【0139】
【0140】
150mg/mLのmAb1製剤中のポリソルベート80の許容範囲を、熱安定性と同様に撹拌安定性を研究することによってさらに調べた。同じ基本製剤を用いると、この範囲に及ぶ研究におけるポリソルベート80濃度は、0.02%、0.05%、0.08%、および0.12%であった。製剤を、250rpmでの48時間の軌道振とう、および1か月間の40℃/75%RHでの熱ストレスに供した。軌道振とうの結果は、0.05%以上のポリソルベート80が、48時間の軌道振とう後にこの凝集種の形成を防いだことを確かめた(表7を参照されたい)。mAb1の熱安定性は、研究されたポリソルベート濃度によって影響されなかった(表7を参照されたい)。これらの結果は、ポリソルベート80の0.05~0.12%が、製剤の安定性に有害作用を及ぼすことなく、撹拌ストレス下での凝集体の形成を防ぐのに十分な安定化を提供することを示した。これらの結果に基づいて、ポリソルベート80の0.08%の標的濃度を、150mg/mLのmAb1製剤について選択した。
【0141】
【0142】
実施例6:液体製剤化抗IL-33抗体原薬の安定性
mAb1の製剤について、-80℃、-30℃、および-20℃で36か月間の保存を通じた安定性を評価するために、継続的な長期保存安定性研究が、実施されている。表9~10に示されるように、150mg/mlのmAb1を含有する組成物は、-80℃、-30℃、および-20℃で24か月間保存された際に、物理的および化学的に安定であった。監視された属性のうちのいずれにおいても、物理的または化学的安定性における認識可能な変化は検出されなかった。さらに、150mg/mlのmAb1を含有する組成物は、-80℃、-30℃、および-20℃で少なくとも9か月間保存された際に、安定であることが示されている(表11~13を参照されたい)。最後に、15mg/mlのmAb1を含有する組成物は、-80℃、-30℃、および-20℃で少なくとも9か月間保存された際に、安定であることが示されている(表16~18を参照されたい)。これまでに収集された全ての結果が、以下の表8~20に示される。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
実施例7:液体製剤化抗IL-33抗体薬品の安定性
ガラスバイアル中のmAb1の15mg/mLおよび150mg/mLの薬品について、9か月の研究安定性データが、これまでに利用可能である。両方の抗体濃度は、2~8℃で9か月間保存された際に、物理的および化学的に安定であった(表21および22を参照されたい)。150mg/mlのmAb1薬品の追加の安定性研究は、2~8℃で24か月間保存された際に、物理的および化学的安定であると観察された(表23を参照されたい)。物理的または化学的安定性の認識可能な変化は、監視された属性のうちのいずれにおいても検出されなかった。
【0157】
加速およびストレス条件下でのインキュベーション後の、15mg/mLおよび150mg/mLでのmAb1薬品製剤の分析からの結果が、それぞれ、表24および25に提供される。mAb1薬品は、48時間撹拌された際に(周囲温度で250rpmでの軌道振とう)、物理的および化学的に安定であった。物理的または化学的安定性の認識可能な変化は、監視された属性のうちののいずれにおいても検出されなかった。15mg/mLおよび150mg/mLの薬品製剤の両方について、25℃で1か月間インキュベートされた際、HMWおよびLMW種の認識可能な変化は、観察されず、mAb1薬品製剤が短時間室温でさらされ得ることを示す。2か月間40℃/75%RHでのインキュベート後、HMW種および電荷バリアントの認識可能な形成(酸性種の相対的な割合の増加)が検出された。この加速状態からの結果は、HMW種の増加および電荷バリアントの形成が薬品製剤のための主要な分解経路であることを実証した。
【0158】
追加的に、事前充填されたシリンジ(PFS)における150mg/mLの薬品製剤についての6か月の研究安定性データが、これまでに利用可能である。安定性は、5つのPFSにおいて試験されている。安定性データが、表26~34に提供される。ガラスバイアル中の75mg/mLの薬品製剤についての3か月間の研究安定性データが、利用可能である(表36を参照されたい)。
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
長期保存、加速、およびストレス安定性の研究からの結果は、mAb1製剤が、製造中(製剤、充填/仕上げ、およびラベリング操作)で安定であり、物理的または化学的安定性を損なうことなく室温への短時間の曝露に耐えることができることを示す。
【0176】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて本発明の様々な変更が前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【配列表】