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特許7695937プレート式熱交換器、及び、プレート式熱交換器の液化天然ガス蒸発器としての使用
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  • 特許-プレート式熱交換器、及び、プレート式熱交換器の液化天然ガス蒸発器としての使用 図1
  • 特許-プレート式熱交換器、及び、プレート式熱交換器の液化天然ガス蒸発器としての使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器、及び、プレート式熱交換器の液化天然ガス蒸発器としての使用
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/00 20060101AFI20250612BHJP
   F28F 27/02 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F27/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022535789
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 FI2020050830
(87)【国際公開番号】W WO2021116534
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】20196074
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】521116129
【氏名又は名称】ヴァハテルス オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴィスト、ヴァルッテリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハタロ、カッレ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0159807(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0174978(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0223565(US,A1)
【文献】特開平4-309766(JP,A)
【文献】特表2012-512377(JP,A)
【文献】特開2000-171177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0356597(US,A1)
【文献】特開昭62-242791(JP,A)
【文献】特開平06-257983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0116305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00
F28F 27/02
F28F 3/08
F28F 7/00
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの開口部を有し互いに重ねて配置された熱交換プレート(8,8′、8″)で形成されたプレートパック(2)であって、前記プレートパックは前記プレートパックの長さ方向において第一端と第二端とを有し、前記プレートパックは前記プレートパックの前記第一端に配置された第一支持端板(7a)と、前記プレートパックの前記第二端に配置された第二支持端板(7b)と、互いに重ねて配置された前記熱交換プレート(8,8′、8″)の開口部から構成された前記プレートパック内部の第一熱交換媒体用の流路(9a,9b)と、を有するプレートパックと、
第1エンドプレート(3a)と、第2エンドプレート(3b)と、前記第1および第2エンドプレートを接続するシェル(4)とを有し、前記プレートパックを取り囲む外側ケーシングと、
前記外側ケーシングのエンドプレート(3a,3b)を介して配置され且つ前記プレートパックの流路(9a,9b)に接続して配置されている、第一熱交換媒体用の入口接続管(5a)及び出口接続管(5b)と、
前記外側ケーシングの内部、前記プレートパックの外部に接続して配置され、前記外側ケーシングを貫通して配置される第二熱交換媒体用の入口接続管(6a)及び出口接続管(6b)と、
を備えた、プレート式熱交換器であって、
前記第一熱交換媒体の前記入口接続管(5a)は前記外側ケーシングの前記第1エンドプレート(3a)を介して前記プレートパックの前記第一支持端板(7a)に接続されて配置され、
前記プレート式熱交換器はさらに、
第一熱交換媒体の入口接続管(5a)の内側に配置され、前記プレートパックの前記流路(9a)の内側に少なくとも一部伸長した内管(11)、
を備え、
前記内管(11)は、
前記内管の周囲に配置されたガスケット又は弾性構造体(12)によって、前記プレートパックの前記流路(9a)内の前記プレートパック(2)に取り付けられ、
前記第一熱交換媒体の前記入口接続管(5a)の入口側から見て、1以上5以下の前記熱交換プレートの開口で構成される前記プレートパック内部の前記流路が、前記ガスケット又は弾性構造体(12)によって閉塞され、
前記プレートパック内部の前記流路への流路を形成する開口部(13、13’、13’’)が形成されている、
ことを特徴とする、
プレート式熱交換器(1)。
【請求項2】
前記内管(11)の端部は、前記第一熱交換媒体の前記入口接続管(5a)に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記プレート式熱交換器は、液化天然ガス(LNG)気化器である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
液化天然ガス(LNG)気化器としての請求項1~3のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート式熱交換器、及び、その液化天然ガス気化器としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス(NG)はクリーンな燃料であることから、世界的な要求は絶えず高まっている。天然ガスパイプラインが実現可能でないか、または存在しない場合、液化天然ガスは、天然ガスを生産地域から消費地に移動させる方法である。典型的には、それは非加圧貯蔵または輸送の容易さおよび安全性のために、液体形態(約-162℃)に冷却される。消費地では、液化天然ガス(LNG)を常温まで暖めることでガス化し、再ガス化して燃料として利用している。
【0003】
LNGを常温まで加熱するために、異なる種類のLNG気化装置が使用されている。プレート式とシェル式の熱交換器は熱交換器の一つで、LNGを温めてガスに戻すのに利用できる。プレートおよびシェル熱交換器は、プレートパックおよびプレートパックを囲む外部ケーシングを備える溶接熱交換器である。外側ケーシングは、第1の端板と、第2の端板と、前記端板を接続するシェルとを備える。プレートパックの内部を流れる熱交換媒体用の入口及び出口接続管は、外装ケースの端板を介して配置されている。典型的にはプレートパックの入口接続管及び外側ケーシングの端板及びプレートパックの支持端板がプレート及びシェル型熱交換器において互いにしっかりと取り付けられており、従って、熱移動は材料に応力を生じさせることなく、必ずしも全ての方向に可能であるとは限らない。前記熱交換器構造物がLNG気化器として使用される場合、大きな温度差が材料及びその接合部にストレスを生じ、最終的にはストレスが熱交換器の構造物を破損させる可能性がある。特に気化器にLNGを供給する入口接続管の点の流体間の温度差は200度に近い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術に現れる上述の問題を低減するか、または除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、温度差によって生じる熱応力、例えば液化天然ガスの加熱に存在する巨大な温度差に耐える能力を向上させた板状熱交換器構造体を提供することである。
【0006】
特に、本発明の目的は例えば、液化天然ガスの加熱で使用する場合に、温度差によって生じる熱応力に耐える能力を改善したプレート-シェル型熱交換器の端部のための新規な構造を提示することである。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、独立請求項の特徴部分に記載されていることを特徴とする。
【0008】
本明細書で言及される実施形態および利点は適用可能な場合、プレート式熱交換器および本発明による使用の両方に関連するが、必ずしも特に言及されるわけではない。
【0009】
本発明に係る典型的なプレート式熱交換器は、
少なくとも2つの開口部を有し互いに重ねて配置された熱交換プレートで形成されたプレートパックであって、前記プレートパックは前記プレートパックの長さ方向において第一端と第二端とを有し、前記プレートパックは前記プレートパックの前記第一端に配置された第一支持端板と、前記プレートパックの前記第二端に配置された第二支持端板(7b)と、互いに重ねて配置された前記熱交換プレートの開口部から構成された前記プレートパック内部の第一熱交換媒体用の流路と、を有するプレートパックと、
第1エンドプレートと、第2エンドプレートと、前記第1および第2エンドプレートを接続するシェルとを有し、前記プレートパックを取り囲む外側ケーシングと、
前記外側ケーシングのエンドプレートを介して配置され且つ前記プレートパックの流路に接続して配置されている、第一熱交換媒体用の入口接続管及び出口接続管と、前記外側ケーシングの内部、前記プレートパックの外部に接続して配置され、前記外側ケーシングを貫通して配置される第二熱交換媒体用の入口接続管及び出口接続管と、
を備え、
前記第一熱交換媒体の前記入口接続管は前記外側ケーシングの第1エンドプレートを介して前記プレートパックの前記第一支持端板に接続されて配置され、
前記プレート式熱交換器はさらに、
前記プレートパックの前記第一支持端板と前記外側ケーシングの前記第1エンドプレートとの間に配置されたフレキシブル構造、
前記プレートパックの前記第一支持端板と前記外側ケーシングの第1エンドプレートとの間で、前記第一熱交換媒体の前記入口接続管の周りの少なくとも一部に配置された加熱流路、
第一熱交換媒体の入口接続管の内側に配置され、前記プレートパックの前記流路の内側に少なくとも一部伸長した内管、
の少なくとも1つを備えることを特徴とする。
【0010】
典型的には、本発明によるプレート式熱交換器が液化天然ガス(LNG)気化器として使用される。
【0011】
本発明に係るプレート式熱交換器の構造は、第一及び第二熱交換媒体間の温度差に起因して構造体に向けられる熱移動の影響を減少させることに基づいている。本発明によれば、熱交換器構造は、プレート式熱交換器に以下の少なくとも1つの構造を配置することにより改善される。
【0012】
プレートパックの第1支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間のフレキシブル構造、
【0013】
プレートパックの第1支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間に配置され、および/または、第一熱交換媒体の入口接続管の周りの少なくとも一部に配置される加熱流路、
【0014】
第一熱交換媒体用の入口接続管の内側の内管であって、少なくとも部分的にプレートパックの流路の内側に伸びているもの。
【0015】
本発明に係るプレート式熱交換器は、プレート式熱交換器の端部に配置された、本発明の1つ、2つ、または3つすべての構造を備えることができ、プレート式熱交換器を通って、第一熱交換媒体のための入口接続管が配置される。提示した改良構造は、プレート式熱交換器のエンドプレート構造に容易で簡単な修正を提供する。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1プレート式シェル熱交換器の構造の例示的な実施形態を示すものである。
図2図2は本発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器の端部の構造を示し、プレートパックの支持端板と外側ケーシングのエンドプレートとの間にフレキシブル構造を備えたものである。
図3図3は本発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器の端部の構造を示し、プレートパックの支持端板と外側ケーシングのエンドプレートとの間に加熱流路を備えたものである。
図4図4は本発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器の端部の構造を示し、第一熱交換媒体用の入口接続管の内側に配置され、プレートパックの流路の少なくとも一部内側に伸長する、内管を備えたものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
プレート-シェル型プレート式熱交換器は、熱交換プレートで形成されたプレートパックと、プレートパックを取り囲む外側ケーシングとを備える。外側ケーシングは、第1エンドプレートと、第2エンドプレートと、前記エンドプレートを接続するシェルとを備える。プレートパックは、典型的には圧力容器として機能する円筒形シェルの内側に取り付けられる。プレート-シェル型の熱交換器は、通常、完全に溶接された熱交換器である。
【0019】
本発明に係るプレート-シェル型熱交換器において、前記プレートパックは互いに重ねて配置された熱交換プレートから形成され、前記プレートパックは前記プレートパックの長さ方向の第一端と第二端とを備えることを特徴とする。プレートパックの長さ方向とは、重ね合わされたプレート、熱交換プレートの積み重ね方向をいう。本発明による典型的な実施形態では、プレートパックがプレートパックの第一端に配置された第一支持端板と、プレートパックの第二端に配置された第二支持端板とをさらに備える。例えば、溶接されたプレートパックは、円形の熱交換プレートで構成されている。プレートパックは、複数の熱交換プレートのプレート対で構成されている。各プレート対は、取り付けられた2つの熱交換プレートで形成され、少なくともそれらの外周を一緒に溶接するのが好ましい。各熱交換プレートは、第一熱交換媒体の流れに対して少なくとも2つの開口部を有する。隣接するプレート対は、2つの隣接するプレート対の開口部を互いに取り付けることによって互いに取り付けられる。従って、プレートパックは熱交換プレートで形成され、熱交換プレートはプレートの開口部及びプレートの周囲で互いに交互に取り付けられる。前記プレートパックにおいて、前記第一熱交換媒体は前記熱交換器の前記プレートパックの内部の開口部を介して一のプレート対から他のプレート対に流通可能であり、前記熱交換プレートの開口部が互いに重ね合わされて形成された流通路があることを特徴とする。第一熱交換媒体用の入口及び出口接続管は、プレートパックの流路と接続されており、すなわち、プレート対の内側部分と接続して配置される。このように、プレート式熱交換器の一次回路は、第一熱交換媒体の入口及び出口接続管の間に形成される。
【0020】
本発明に係るプレート-シェル型熱交換器では、第二熱交換媒体がプレート対間の空間においてシェル内部を流動するように配置されている。第二熱交換媒体用の入口及び出口接続管は、外側ケーシングを介して、シェルの内側、すなわちプレートパックのプレート対の外側と接続して配置される。つまり、プレート式熱交換器の二次回路は、第二熱交換媒体の入口接続管と出口接続管との間、シェル内部、プレート対間の空間に形成される。典型的には一次回路と二次回路は互いに分離されている。すなわち、プレートパックの内側部分を流れる第一熱交換媒体は、シェル内、すなわちプレートパックの外側を流れる第二熱交換媒体と混合することはない。これにより、第1の一次側の熱交換媒体は、1つおきのプレート空間を流れ、第2の二次側の熱交換媒体はプレート式熱交換器の他のすべてのプレート空間を流れる。
【0021】
本発明によれば、長手方向、すなわちプレートパックの長さ方向は、シェルの長手方向とほぼ同じである。本発明の好ましい実施によれば、前記プレートパックは主に円形のシリンダであり、シェルは円筒シェルであり、互いに重ね合わせて配置された熱交換プレートにより形成された円筒プレートパックが、前記プレートパックの長手方向が前記円筒シェルの長手方向と同じになるように、前記円筒シェルの機能部分の内側に配置されている。
【0022】
本発明の一実施の形態によれば、プレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間にフレキシブル構造を配置することによって、熱移動によって生じる応力が防止および/または排除される。第1エンドプレートとは、ここでは第一熱交換媒体の入口接続管が配置された外側ケーシングを指し、プレートパックの第一支持端板とは、第一熱交換媒体の入口接続管にも接続して配置されたプレートパックの支持板を指す。フレキシブル構造は、プレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間に配置される任意の適切な可逆的なフレキシブル構造とすることができ、これは、熱運動を補償する能力を有する。本発明の一実施形態によれば、フレキシブル構造は、破壊することなく曲げられ、かつ/または、移動することができる、ばね構造、および/または、フレキシブル構造を備える。本発明の実施の形態では、プレートパックの第一支持端板と、第一熱交換媒体の入口接続管が配置される外側ケーシングの第一端板との間に、フレキシブル構造が配置され、その大きさは、プレートパックの第一支持端板の大きさと略同一、すなわち、プレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間の全域に配置されている。
【0023】
また、本発明に係るプレート式熱交換器の構造では、呈示された付加的なフレキシブル構造と、溶接部の位置とを組み合わせて、熱応力に対する構造を改良することができる。本発明の一実施形態によれば、フレキシブル構造は、フレキシブル構造の移動を可能にするために、第一熱交換媒体の入口接続管および/または外側ケーシングのエンドプレートに堅く取り付けられていない。フレキシブル構造と第一熱交換媒体の入口接続管および/または外側ケーシングのエンドプレートとの間に溶接接合部を設けることができるが、それはフレキシブル構造の可逆的移動が依然として許容されるいくつかの部分においてのみ溶接される。また、本発明に係る熱交換器は、追加のフレキシブル構造を有すると共に完全に溶接された構造体である。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、プレート式熱交換器の端部構造における熱運動によって引き起こされる応力を抑制、および/または、排除するために、第一熱交換媒体の入口管接続部の周囲が加熱される。少なくとも部分的に入口管の周囲に、および/またはプレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間に加熱流路を配置することによって、入口接続管とプレートパック構造との接続点における大きな温度差を低減、および/または、防止することができる。第1エンドプレートとは、ここでは第一熱交換媒体の入口接続管が配置された外側ケーシングのエンドプレートを指し、プレートパックの第一支持端板とは、第一熱交換媒体の入口接続管にも接続して配置されたプレートパックの支持板を指す。本発明の一実施形態によれば、プレート式熱交換器は、第一支持端板、および/または、外側ケーシングのエンドプレートに形成された加熱流路を備え、この加熱流路を介して、第一熱交換媒体の入口接続管が配置される。本発明の一実施形態によれば、加熱流路が、プレートパックの第一支持端板内、および/または、外側ケーシングのエンドプレート内に機械加工され、加熱流体が流動され、入口接続管の周囲を加熱することができる。加熱流路は、プレートパックの第一支持端板内、および/または、外側ケーシングのエンドプレート内に機械加工され、加熱流体が流れるルートを提供する溝又は対応する構造とすることができる。加熱流路の構造および寸法は様々なものとし得る。
【0025】
本発明の一実施形態では、加熱流路は、また、第一熱交換媒体の入口接続管の周りに少なくとも部分的に形成される。本発明の実施形態において、加熱流路は、少なくとも一部が入口接続管を循環させるように配置され、加熱流体は、プレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1エンドプレートとの間に配置された加熱流路の内側を、エンドプレートの他の縁から流入し、入口接続管を少なくとも部分的に循環させ、加熱流路を通ってエンドプレートの他の縁から流出することができる。本発明の一実施の形態によれば、入口管の周囲の加熱流路は、単に、外側ケーシングの端板において、少なくとも開口部の長さ方向の一部でより大きな開口部を機械加工することによって作ることができる。入口接続管の周囲の加熱流路の高さおよび幅は様々なものとし得る。本発明の一実施形態によれば、加熱流路は、入口接続管の全長にわたって入口接続管の周りに配置される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、加熱流路は、シェルの内側に接続されるように配置され、加熱流路内を流れる加熱流体または媒体は、シェルの内側を流れるのと同じ流体または媒体である。これにより、加熱流路内での加熱流体又は媒体の案内を簡単に行うことができる。また、上記のようにプレート式熱交換器の標準部品を加工することにより、加熱流路を容易に作ることができる。本発明による加熱流路構造は、熱応力によって生じる損傷を防止するための容易な実施形態を提供する。
【0027】
プレート式熱交換器の端部構造における熱移動によって生じる応力を抑制、および/または、排除するための、本発明のさらに別の実施形態によれば、プレートパックの内部で加熱される第一熱交換媒体はプレートパックの中に、第一熱交換媒体の流れをプレートパックの中により深く分配する内管とともに搬送される。本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器は、第一熱交換媒体の入口接続管の内側に配置され、プレートパックの流路の内側の少なくとも一部を細長くした内管を備える。したがって、第1の熱交換媒体用の入口接続管は少なくとも部分的に二重壁であり、構造間のガスが絶縁体として作用するので、元の単一入口接続管の温度を上昇させ、したがって、構造が熱応力および移動に耐えるのを助ける。本発明による好ましい実施形態では、第一熱交換媒体のための入口接続管が入口接続管の実質的に全長にわたって二重壁である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、内管の端部は、第一熱交換媒体の入口接続管に取り付けられる。典型的には内管が内管の一端からのみ第一熱交換媒体の入口接続管に取り付けられ、この入口接続管はプレート式熱交換器のエンドプレートから外側に伸びている。本発明の一実施形態によれば、内管がプレートパックの流路内に配置されると、第1プレート対が塞がれ、第1プレート対内への第一熱交換媒体の流入が阻止される。そこで、本発明の一実施の形態によれば、プレートパックの流路内部のプレートパックに、ガスケット又は内管の周囲に配置された弾性構造体によって内管が取り付けられ、これにより、内管がプレートパックへの流れを遮断すると同時に、プレートパックに内管が取り付けられる。このように、本発明に係る内管構造は、大きな温度差によって生じる熱移動に耐える柔軟な構造である。本発明の一実施形態において、例えば、プレートパック内部の第一の流路の1~5は、第一熱交換媒体用の入口管の方向から見て、内管の周囲に配置されたガスケットまたは対応する構造によって閉じられている。ガスケットまたは対応する構造は内管をその位置に保持するが、熱移動にも耐える。これはまた、第1プレート対が第一熱交換媒体に対して開口しておらず、プレート式熱交換器の端部構造に向かって断熱層として機能するため、大きな温度差によって生じる損傷を抑制する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、内管は、プレートパック内部の流路への流路を形成する開口部を備える。したがって、内管は、流路の内側で伸長し、プレートパックの正常な動作を提供することができる。
【0030】
本発明による好ましい実施形態によれば、プレート式熱交換器は、液化天然ガス(LNG)気化器または蒸発器として使用される。本発明によるLNG気化器では第一熱交換媒体が加熱されるLNGを含み、第二熱交換媒体は水、および/または、グリコールまたは任意の他の適切な加熱流体を含むことができる。プレートパック内部で搬送されるLNGとプレート式熱交換器の外側ケーシング内部の加熱流体との温度差は200度に近くてもよく、本発明に係るプレート式熱交換器の溶液は、この大きな温度差に起因する熱応力を低減する上で貴重である。
【0031】
本発明によるプレート式熱交換器において液化天然ガス(LNG)を気化させる典型的な方法は、
第二熱交換媒体用の入口接続管と出口接続管との間にシェル内部を流動する熱媒体を配置し、
プレートパック内部へ液化天然ガスを第一熱交換媒体用の入口接続管から流入させ、
加熱された天然ガスを、プレートパックから第一熱交換媒体用の出口接続管を通して流出させる。
【0032】
本発明の一実施の形態によれば、シェル内を流れる熱媒体の一部は、プレートパックの第一支持端板と外側ケーシングの第1端板との間に形成された加熱流路に流入するようにされ、少なくとも一部がLNG用の入口接続管を循環するように配置されている。加熱流路は、シェルの内側に連通して設けられる。本発明による典型的な方法では、加熱媒体が加熱流体(第二熱交換媒体)のための入口接続部の側から加熱流路に導かれ、加熱流体のための出口接続部の側から流出する。
【0033】
図面の詳細な説明
【0034】
図1は、本発明による改良された端部構造を適合させることができるプレート式シェル熱交換器の構造の例示的な実施形態を示す。プレート式熱交換器1はプレートパック2と、プレートパックを取り囲む外側ケーシングとを備え、外側ケーシングは第1エンドプレート3aと第2エンドプレート3bと、第1及び第2エンドプレートを接続するシェル4とを備える。プレートパック2は、図2-4に示すように、熱交換器プレート8、8’、8’’で形成されており、熱交換プレートは少なくとも2つの開口部を有し、互いに重ねて配置されており、プレートパックはプレートパックの長さ/高さ方向の第一端と第二端とを備え、プレートパックはプレートパックの第一端に配置された第一支持端板7aと、プレートパックの第二端に配置された第二支持端板7bとを備えている。また、プレートパック2の内部に、第一熱交換媒体用の流路9a、9bが、互いに重ねて配置された熱交換プレートの開口部で形成されている。プレート式熱交換器はさらに、第一熱交換媒体用の入口接続管5a及び出口接続管5bを備え、これらは、外側ケーシングのエンドプレートを介して配置され、プレートパックの流路9a,9bと接続して配置されている。第二の熱交換媒体用の入口接続管6a及び出口接続管6bは、外側ケーシングを介して配置され、外側ケーシングの内側、すなわちプレートパックの外側と接続して配置されている。
【0035】
図2は本発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器の端部の構造を示すものであり、プレートパックの第一支持端板7aと外側ケーシングの第1エンドプレート3aとの間にフレキシブル構造9を備える。
【0036】
図3は、加熱流路10を含む、本発明の一実施形態によるプレート式熱交換器の端部の構造を示す。この加熱流路10は、プレートパックの第一支持端板7aと外側ケーシングの第1エンドプレート3aとの間に配置されている。また、加熱流路10は、入口接続管5aを循環させるように配置されている。加熱流路10は、シェルの内側に接続するように配置することができ、加熱流路内を流れる加熱流体または媒体は、シェル内を流れる流体または媒体と同じである。
【0037】
図4は本発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器の端部の構造を示すものであり、第一熱交換媒体用の入口接続管5aの内側に配置された内管11を備える。内管11は、少なくとも部分的にプレートパックの流路9aの内側で伸長している。本発明による典型的な実施形態では、内管11の端部が入口接続管5aに取り付けられる。プレートパックの流路内部には、内管11の周囲に配置されたガスケットや弾性構造体12によって、内管11がプレートパックに取り付けられている。ガスケットまたは弾性構造体12は、典型的には、プレートパックのプレート対の間の第1流路も閉じるように、内管の周りの構造体に配置される。図4に示す実施形態によれば、内管11は、プレートパック内部の流路への流路を形成する開口部13、13’、13’’を備える。
図1
図2
図3
図4