(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-11
(45)【発行日】2025-06-19
(54)【発明の名称】配置設計自動化システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20250612BHJP
G06F 111/04 20200101ALN20250612BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20250612BHJP
G06F 113/16 20200101ALN20250612BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F111:04
G06F113:14
G06F113:16
(21)【出願番号】P 2024035988
(22)【出願日】2024-03-08
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 壯太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 裕基
(72)【発明者】
【氏名】後藤 伸隆
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 壮
(72)【発明者】
【氏名】広石 和憲
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-086310(JP,A)
【文献】特開平07-073224(JP,A)
【文献】特開平07-244686(JP,A)
【文献】特開平04-260175(JP,A)
【文献】特開2013-250617(JP,A)
【文献】特開2010-044707(JP,A)
【文献】特開2015-109006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/18
G06F 111/04
G06F 113/14
G06F 113/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始点と終点との間を接続するルートを生成する配置設計自動化システムであって、
配置空間情報、配置専用スペース情報、既設構造物情報、および、ケーブルラック配置設計条件を示す設計情報を記憶する記憶部と、
前記配置空間情報、前記配置専用スペース情報、前記既設構造物情報、および、前記ケーブルラック配置設計条件を示す設計情報に基づいて、ケーブルラックのルートを生成するルート生成部と、
を有し、
前記ケーブルラックは上方が開口した箱形状の構造物であり、
前記ルート生成部は、
ルートを生成する際に配置空間に複数個のノード点を一定間隔で配置する処理を行い、
これらの各ノード点を3次元座標軸の水平方向であるx軸およびy軸、鉛直方向であるz軸に対応するxz平面に存在するノード点とyz平面に存在するノード点に分割し、
前記xz平面に存在するノード点それぞれのx軸、z軸方向を接続したxzネットワークを生成するとともに、前記yz平面に存在するノード点それぞれのy軸、z軸方向を接続したyzネットワークを生成する処理を行い、
前記ノードを結んでルートを生成する際に、異なるネットワークの鉛直方向であるz軸方向のルートと水平方向であるx軸もしくはy軸方向のルートとが連続することを禁止する処理を行って、水平方向に配置される前記ケーブルラックの上方が鉛直方向の上方向を向くルートを作成する、
配置設計自動化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置設計自動化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等の配管ルートの設計作業を自動化する技術がある。プラント等における配管ルートの配置設計においては、計画段階から詳細設計段階に至るまで、要求仕様や安全基準等に示された数多くの制約条件を満たしながら配管ルートの配置設計を進める必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、配置空間情報において、配管の始点と終点の間を接続する配管ルートを、数多くの制約条件を満たして自動で生成する技術が記載されている。また、特許文献1のシステムでは、数多くの制約条件を満たし配管配置計画を進めることが記載されている。また、配管ルートだけでなく、配管ルートを支持するサポートの生成、内部流体を制御するバルブの生成、生成された構造物の集計等の技術についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プラント等における配置計画としては、流体(気体、液体等)を通す配管だけでなく、計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなど、数多くの設備の配置を総合的に勘案しながら配置計画を行う必要がある。そのため、特許文献1に記載されたシステムを使用しても、計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなど配置設計については、設計者は従来通り人手で設計を行う必要がある。したがって、特許文献1に記載された配置設計自動化システムが有する機能だけでは十分とは言えず、設計者の作業負担はまだまだ大きい。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、設計者の作業負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための実施形態に係る配置設計自動化システムは、始点と終点との間を接続するルートを生成する配置設計自動化システムである。配置設計自動化システムは、記憶部とルート生成部とを有する。記憶部は、配置空間情報、配置専用スペース情報、既設構造物情報、および、ケーブルラック配置設計条件を示す設計情報を記憶する。ルート生成部は、配置空間情報、配置専用スペース情報、既設構造物情報、および、ケーブルラック配置設計条件を示す設計情報に基づいて、ケーブルラックのルートを生成する。ケーブルラックは上方が開口した箱形状の構造物である。ルート生成部は、ルートを生成する際に配置空間に複数個のノード点を一定間隔で配置する処理を行い、これらの各ノード点を3次元座標軸の水平方向であるx軸およびy軸、鉛直方向であるz軸に対応するxz平面に存在するノード点とyz平面に存在するノード点に分割し、xz平面に存在するノード点それぞれのx軸、z軸方向を接続したxzネットワークを生成するとともに、yz平面に存在するノード点それぞれのy軸、z軸方向を接続したyzネットワークを生成する処理を行う。ルート生成部は、ノードを結んでルートを生成する際に、異なるネットワークの鉛直方向であるz軸方向のルートと水平方向であるx軸もしくはy軸方向のルートとが連続することを禁止する処理を行って、水平方向に配置されるケーブルラックの上方が鉛直方向の上方向を向くルートを作成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る配置設計自動化システムの構成図である。
【
図2】実施形態に係る記憶部について説明するための図である。
【
図3】実施形態に係る配置設計自動化システムによるドレンライン、ベントラインの生成について説明するための図である。
【
図4】実施形態に係る配置設計自動化システムにおける構造解析システムへのデータの出力および解析結果のフィードバックの手法について説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る配置設計自動化システムによる計装配管ルートの生成について説明するためのフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る配置設計自動化システムによる電線管ルートの生成について説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するためのフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートを生成する手法について説明するための図である。
【
図9】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するための図である。
【
図10】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するための図である。
【
図11】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するための図である。
【
図12】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するための図である。
【
図13】実施形態に係る配置設計自動化システムによるケーブルラックルートの生成について説明するための図である。
【
図14】実施形態に係る配置設計自動化システムによる空調ダクトルートの生成について説明するためのフローチャートでである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
実施形態に係る配置設計自動化システムは、プラント設備やビルなどの流体(気体、液体等)を通す配管、計装配管、電線管、ケーブルラック、空調ダクトなどのルートの自動設計に使用することができる。ここでは、配置設計自動化システムをプラント設備の配置設計に使用した場合について、図を参照して説明する。配置設計自動化システムは、流体(気体、液体等)の配管、計装配管、電線管、ケーブルラック、空調ダクトの配置設計において、始点と終点を指定することで、その間を接続するルートを生成する設計システムである。ここで、計装配管とは、温度・圧力・流量などの計測結果の情報を伝達するためのケーブル、および、システムを制御するための信号を伝達するためのケーブル等を収容するための配管、もしくは、計測対象である流体(気体、液体等)を計器に導くための配管をいう。電線管とは、電力を伝達するケーブルを収容する配管をいう。
【0010】
配置設計自動化システムは、物理的には、CPU、メモリ等を備えるコンピュータである。配置設計自動化システムは、メモリに記憶された配置設計アプリケーションソフトウエアに基づいて動作する。
【0011】
図1は、配置設計自動化システム1の機能的な構成図である。配置設計自動化システム1は入力部10、自動化処理部20、出力部30、外部出力部40を備える。
【0012】
入力部10は、タッチパネル、キーボード等で構成される。設計者は、入力部10から配管、計装配管、電線管、ケーブルラック、空調ダクトの何れの設計を実行するかを選択することができる。入力部10は、タッチパネルの画面上に建屋の3次元CAD情報を表示し、設計者の指定により、始点および終点の座標情報を取得する。なお、座標情報は、設計者が座標値を入力することで取得することもできる。
【0013】
また、入力部10は、タッチパネルの画面上に流体の種類および重量、配管の材質、配管の口径、および、ケーブルラックや空調ダクトのサイズ等のリストなどを表示し、設計者の指定により、これらの情報を取得する。入力部10は、複数のルートがある場合、設計者の指定により、どのルートを優先して配置するかを定める優先順位を取得する。入力部10は、指定された優先順位を記憶部21に記憶されている各設計条件に追加条件として記憶する。また、入力部10は、汎用CAD等の出力フォーマットのデータを入力することで、ルート、サポート構造、部品の3次元CAD情報を配置空間情報21aとして取り込むことができる。また、入力部10は、構造解析システム100が出力するデータを入力することで、記憶部21に記憶されている各設計条件として取り込むことができる。
【0014】
自動化処理部20は、記憶部21、ルート生成部22、部品生成部23、サポート位置生成部24、サポート構造生成部25、物量集計部26を備える。
【0015】
図2は、実施形態に係る記憶部について説明するための図である。
図2に示すように、記憶部21には、配置空間情報21a、配置専用スペース情報21b、既設構造物情報21c、運転・保守情報21d、および、配管配置設計条件21e、計装配管配置設計条件21f、電線管配置設計条件21g、ケーブルラック配置設計条件21h、空調ダクト配置設計条件21iを示す設計情報が記憶されている。
【0016】
配置空間情報21aは、設備を含む建屋の構造を示す3次元CAD情報である。配置専用スペース情報21bは、建屋内における配管などを配置する領域を示す3次元CAD情報である。既設構造物情報21cは、既設の室内構造物の位置を示す3次元CAD情報である。なお、以下の記載において、天井・床・壁などの建屋の構造物を躯体といい、配管・装置など建屋以外の構造物を室内構造物という。躯体と室内構造物を合わせて、構造物ということもある。
【0017】
運転・保守情報21dは、視認を要する計器の保守点検に適した配置の条件、操作を必要とする部品の操作に適した配置の条件等を示す情報である。視認を要する計器とは、流量計、圧力計等である。操作を必要とする部品とは、手動弁などのバルブ等である。運転・保守情報21dには、保守員が視認しやすい計器の高さ、保守員が操作しやすいバルブのハンドル高さおよび向き、計器およびバルブ等と壁との距離等の条件が含まれる。運転・保守情報21dには、配置禁止領域の情報が含まれる。配置禁止領域とは、通路や危険物の貯蔵場所付近等の配管などの配置が禁止されている領域、バルブ等のメンテナンス作業に必要な領域等である。
【0018】
配管配置設計条件21eは、配管配置設計における設計条件を示す情報である。具体的には、配管配置設計条件21eには、配管属性定義、天井・床・壁と配管との距離、並走する配管との距離、躯体(天井・床・壁)通過時に貫通孔を設ける場合の貫通孔の口径、貫通孔タイプ、原子力プラントの場合では放射線線量が高い区域における貫通孔の位置等を規定する条件、配管の曲げ管選定、計器・オリフィス前後における直管(配管の直線部分)の長さ、施工誤差、配管の勾配、他設備との距離等の条件、複数の配管がある場合の集中配置条件などが含まれる。曲げ管とは、直管に曲げ加工を施した部材である。また、配管配置設計条件21eには、安全系統の分離条件が含まれる。安全系統の分離条件とは、例えば、第1系統の配管ルートで事故が発生した場合に、第1系統の配管ルートから第2系統の配管ルートに切り替える構成になっている場合、第1系統の配管ルートと第2系統の配管ルートは、壁等を隔てて配置するなどの条件である。これらの情報は、配管内に通す流体の種類等に応じて設定されている。また、配管配置設計条件21eには、熟練設計者の経験や知見に基づく設計条件が含まれる。
【0019】
計装配管配置設計条件21fは、計装配管配置設計における設計条件を示す情報である。具体的には、計装配管配置設計条件21fには、計装配管属性定義、天井・床・壁と計装配管との距離、並走する計装配管との距離、計装配管の曲げ管選定、躯体通過時に貫通孔を設ける場合の貫通孔の口径、貫通孔タイプ、施工誤差、計装配管の勾配、他設備との距離、アップダウン生成位置等の条件が含まれる。アップダウンとは、所定の勾配角度でダウンするルートと、低い位置から所定の高さまでアップするルートを組み合わせたものをいう。アップダウン生成位置の条件とは、アップダウンの箇所数を最小限とするために、ルートをアップさせる位置と立ち上がり方向を規定する条件などである。さらに、計装配管配置設計条件21fには、熟練設計者の経験や知見に基づく設計条件が含まれる。
【0020】
電線管配置設計条件21gは、電線管配置設計における設計条件を示す情報である。具体的には、電線管配置設計条件21gには、電線管属性定義、プルボックス配置定義、天井・床・壁と電線管との距離、並走する電線管との距離、電線管の曲げ管選定、躯体通過時に貫通孔を設ける場合の貫通孔の口径、貫通孔タイプ、施工誤差、他設備との距離等の条件が含まれる。また、電線管配置設計条件21gには、熟練設計者の経験や知見に基づく設計条件が含まれる。
【0021】
ケーブルラック配置設計条件21hは、ケーブルラック配置設計における設計条件を示す情報である。具体的には、ケーブルラック配置設計条件21hには、ケーブルラック属性定義、天井・床・壁とケーブルラックとの距離、躯体通過時に貫通孔を設ける場合の貫通孔の口径、貫通孔タイプ、施工誤差、他設備との距離等の条件が含まれる。また、ケーブルラック配置設計条件21hには、熟練設計者の経験や知見に基づく設計条件が含まれる。
【0022】
空調ダクト配置設計条件21iは、空調ダクト配置設計における設計条件を示す情報である。具体的には、空調ダクト配置設計条件21iには、空調ダクト属性定義、ダクトサイズ選定条件、天井・床・壁と空調ダクトとの距離、並列ダクトとの距離、躯体通過時に貫通孔を設ける場合の貫通孔の口径、貫通孔タイプ、施工誤差、他設備との距離、ダンパや給排気口の配置等の条件が含まれる。また、空調ダクト配置設計条件21iには、熟練設計者の経験や知見に基づく設計条件が含まれる。
【0023】
図1に戻り、ルート生成部22は、配置空間情報21a、配置専用スペース情報21b、既設構造物情報21c、運転・保守情報21d、および、配管配置設計条件21e、計装配管配置設計条件21f、電線管配置設計条件21g、ケーブルラック配置設計条件21h、空調ダクト配置設計条件21iを示す設計情報に基づいて、配管、計装配管、電線管、ケーブルラック、空調ダクトのルートを生成する。例えば、ルート生成部22は、入力部10から1つの始点に対して複数の終点が指定されている場合、記憶部21の情報に基づいて、ルート途中に最適な分岐位置を生成し、各終点に接続するルートを生成する。また、ルート生成部22は、入力部10からの指示に基づいて、壁などの建屋の躯体内部を通るルートを生成することができる。この場合、ルート生成部22は、建屋の躯体を示す3次元情報の内部情報として、躯体内部を通るルートを示す3次元情報を生成する。また、ルート生成部22は、入力部10から指定された条件に基づいて、指定された構造物を通過するルートを生成する。また、ルート生成部22は、配置空間情報21aに、座標軸に対して角度がついた躯体がある場合、角度がついた躯体に沿ったルートを生成する。角度がついた躯体とは、湾曲した天井・壁および階段等である。また、ルート生成部22は、座標軸に対し角度がついたルートとすることで、ルートの長さや曲がり数を低減できる場合、座標軸に対して角度がついたルートを生成する。
【0024】
部品生成部23は、ルート生成部22が生成したルートに対し、入力部10より指定した範囲に、計器、バルブ、スペシャリティ、フランジ、カップリング、電気関連のプルボックスや空調ダクトのダンパなどのルートに含まれる部品等を、指定した部品の視認性、操作性、配置性の条件を満足する位置を自動で認識し生成する。
【0025】
部品生成部23は、ルート生成部22が生成したルート上に生成した部品を配置する機能を有する。部品生成部23は、生成した部品を設計条件を満たした位置に配置する。例えば、部品生成部23は、フランジを生成した場合、フランジの型式、配管の内部流体、圧力、温度の条件を満たすフランジに取り付けるガスケットを選定し、フランジの配置位置に選択したガスケットを配置する。
【0026】
サポート位置生成部24は、定ピッチスパン法(標準支持間隔法ともいう)に基づいて、配管を支持するサポート部材を配置するサポート位置を決定する。サポート位置生成部24は、配管の重量、配管に通す流体等の重量に基づいて、配管を支持するサポート部材を配置するサポート位置を決定する。例えば、サポート位置生成部24は、配管の始点、終点、曲がり部、分岐部等の荷重が集中する部分近くを支持するようにサポート位置を決定し、直管部分および曲げ管部分について予め設定された標準スパン(サポート位置と隣接するサポート位置との間隔)に基づいて定ピッチスパン法によりサポート位置を決定する。また、サポート位置生成部24は、ルート生成部22が生成した複数の配管ルートが隣接している場合や配管が並走している場合、複数の配管の内の2つ以上の配管を一つのサポート位置で支持可能な位置をサポート位置として決定する。サポート位置生成部24により生成されたサポート位置は、入力部10から指定することで、サポート位置の移動、削除、拘束条件の変更をすることができる。
【0027】
サポート位置生成部24は、入力部10から、ルート生成部22が生成したルート上の2か所を指定することで、その間のルートをサポート設置不可範囲とすることができる。サポート位置生成部24は、サポート設置不可範囲が設定されている場合、定ピッチスパン法に基づいてサポート位置を生成する際、サポート設置不可範囲を除いた範囲においてサポート位置を生成する。
【0028】
また、サポート構造生成部25は、サポート位置生成部24が決定したサポート部材を固定する場所に基づいて、サポート部材を決定する。サポート構造生成部25は、固定場所(天井・床・壁等)、サポートする配管の数、配管および配管を通す流体の重量等によって、サポート部材を決定する。また、サポート構造生成部25は、サポート構造を生成後、それぞれのサポート位置で異なるサポート部材が生成されている場合、入力部10から指定することで、サポート部材を統一することができる。具体的には、例えば、大きさの異なる等辺山形鋼が配置された場合、同じ大きさの等辺山形鋼に統一することができる。また、溝形鋼もしくは角形鋼が混在している場合、鋼材種類を変更し、同じ鋼材種類に統一することもできる。
【0029】
物量集計部26は、ルート生成部22、部品生成部23およびサポート構造生成部25が決定した部材ごとの数を集計する。また、物量集計部26は、配置されたルート、サポート構造、計器、バルブ、フランジ、カップリングなどを種類ごとに数を集計し、物量表を作成する。
【0030】
出力部30は、ディスプレイもしくは印刷装置で構成される。出力部30は、ルート生成部22およびサポート位置生成部24が生成したルートおよびサポート部材の3次元CAD画像を表示する。また、出力部30は、部品生成部23およびサポート構造生成部25が生成した構造物を3次元CAD画像として表示する。また、出力部30は、物量集計部26が集計した物量表を出力する。
【0031】
外部出力部40は、ルート生成部22が生成したルートおよびサポート構造生成部25が生成したサポート構造、部品生成部23が生成した部品を汎用CAD等で使用可能なフォーマットに変換して出力できる。外部出力部40は、汎用CAD等のフォーマットとして、3DCAD形状、3DCAD属性、3DCADライブラリなど多くの情報を含んだCADデータや、3DCAD形状、3DCAD属性のみの軽量なCADデータなどを出力できる。
【0032】
構造解析システム100は、熱応力に対する耐久解析、流体の通過に伴う配管の振動解析、耐震解析等の強度評価などを行うシステムである。例えば、構造解析システム100による熱応力に対する耐久解析では、環境温度および配管内に通す流体の温度を仕様が定める最高温度から最低温度まで変化させ、配管の熱膨張もしくは熱収縮により、配管に基準値以上の負荷が生じないかを解析することができる。配管ルートの直管長さ、曲がり位置、サポート位置の生成状況によっては、流体の熱による配管の熱膨張により配管内部応力が基準値より高くなる場合があり、この場合、配管ルートやサポート位置を見直す必要がある。
【0033】
配置設計自動化システム1は、外部出力部40を介して、配置設計自動化システム1が生成したデータを、構造解析システム100へ出力することができる。また、配置設計自動化システム1は、構造解析システム100が解析した解析結果を入力部10から取り込み、記憶部21に設計条件として取り込むことができる。
【0034】
以上に説明したように、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、記憶部21に複数の設計条件を備えることで、流体(気体、液体等)を通す配管だけでなく、計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなどの配置設計を行うことができる。これにより、設計者の作業負担を軽減することができる。
【0035】
また、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、流体(気体、液体等)を通す配管だけでなく、計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなど配置設計を行うことができるので、設計者が人手で計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなど配置設計を行う必要がない。したがって、計装配管や電線管、ケーブルラック、空調ダクトなどを含めた配置設計の品質が設計者の技術レベルによって左右されないので、設計品質の向上を図ることができる。
【0036】
(実施形態2)
実施形態2では、配置設計自動化システム1が流体(気体、液体等)を通す配管の配置設計を実行する場合について説明する。
【0037】
ルート生成部22は、入力部10から配管の配置設計を指定することで、直線部には直管を選択し、曲がり部にはエルボ部材を選択することを前提として、配管配置設計条件21eに基づいて、配管ルートを生成する。エルボ部材とは、配管の曲がり部分を構成する部材である。エルボ部材は、直管と直管とを接続する部材であり、配管の角度や勾配を変えるために使用される。ルート生成部22は、エルボ部材や配管の溶接個所の数を減らすために曲げ管を採用した配管ルートを生成することもできる。
【0038】
設計条件として配管の勾配角度の条件が規定されることがある。ルート生成部22は、始点と終点との間を接続する配管の直線ルートの勾配角度が設計条件で規定される勾配角度を満たさない場合、アップダウンを形成することで設計条件を満たすルートを生成する。アップダウンとは、所定の勾配角度でダウンするルートと、低い位置から所定の高さまでアップするルートを組み合わせたものをいう。ルート生成部22は、勾配角度の規定に基づいてアップダウンを有するルートを生成する際に、生成されたルートのアップダウンの数が最小となるようにルートを生成する。
【0039】
配管ルートにアップダウンが含まれる場合、配管ルートが上下方向に凹凸を有することになる。この凹部に流体が滞留する場合、滞留する流体を排出するための配管ルートが必要となる。
図3は、凹部に滞留する流体を排出するためのルートの生成例である。
図3において、主配管P1は、太線で記載されている。ここでは、主配管P1は、水を通す配管であるとする。主配管P1は、
図3に示すように、-Z軸方向に窪んだ凹部を有している。ドレンラインP3は、凹部に滞留した水の排水ルートである。ベントラインP2は、流体の排水に必要な空気を取り込むためのルートである。また、ファンネルP5は、発電所内の配管や機器の排水を収集する装置である。
図3では、手動弁をP4で示している。
【0040】
部品生成部23は、
図3に示す主配管P1のようにアップダウンにより凹部が発生している場合、配管ルートの最も高い位置の直管上に近傍のファンネルP5に接続するベントラインP2、最も低い位置の直管上に近傍のファンネルP5へ接続するドレンラインP3を生成し、ベントライン、ドレンラインのルートの途中に手動弁P4を配置する。
【0041】
ルート生成部22は、配管の口径条件が入力されていない場合、同一口径でルートを生成する。ルート生成部22は配管ルートの運搬および施工条件に基づいて配管の長さを所定の長さに設定するので、配管と配管を接続する箇所が発生する。ルート生成部22は、配管ルートの運搬および施工条件を記憶部21もしくは入力部10から入力することで、配管と配管を接続する位置を決定する。
【0042】
部品生成部23は、配管の接続条件に基づいて、配管の接続位置に径違いTもしくはレジューサを生成する。もしくは、部品生成部23は、配管の接続位置に口径に応じた配管と配管を接続する溶接継手であるカップリングを生成する。
【0043】
配置設計自動化システム1は、ルート生成部22で配管ルートを生成し、部品生成部23でルート上にバルブなどを含めた必要部品を生成し、サポート位置生成部24で配管を支持するサポート部材を配置するサポート位置を決定し、解析用データとして3次元CAD情報を外部出力部40から構造解析システム100に出力する。構造解析システム100は、配置設計自動化システム1が生成した配管ルートおよびサポート条件について、配管の強度評価(材料力学上の確認)を行う。例えば、構造解析システム100は、熱応力に対する耐久解析、流体の通過に伴う配管の振動解析、耐震解析等の解析を行うことができる。
【0044】
配置設計自動化システム1は、入力部10を介して構造解析システム100による熱応力に対する耐久解析、流体の通過に伴う配管の振動解析、耐震解析等の解析結果を取り込み、配管ルートの設計条件の追加情報として記憶部21に記憶する。これにより、配管配置設計条件21eなどが示す条件は、修正もしくは追加される。そして、配置設計自動化システム1は、構造解析システム100による解析結果の情報を加えた記憶部21の情報に基づいて、新たな配管ルートを生成する。
【0045】
また、サポート位置生成部24は、構造解析システム100による解析結果のフィードバックを受けた記憶部21の情報に基づいて、新たなサポート位置を生成する。
【0046】
図4に、配置設計自動化システム1から構造解析システム100への解析データの出力、および、構造解析システム100から配置設計自動化システム1への解析結果のフィードバックのフローチャートを示す。まず、ルート生成部22にてルートを生成し、部品生成部23にて部品を生成する(ステップA01)。次に、サポート位置生成部24にてサポート設置不可範囲を設定する(ステップA02)。次に、サポート位置生成部24にて標準スパンによるサポート位置を生成する(ステップA03)。次に、ランダム配置でサポート位置を追加する(ステップA04)。
【0047】
次に、配置設計自動化システム1は、解析用データとして3次元CAD情報を外部出力部40から構造解析システム100に出力する(ステップA05)。構造解析システム100は、この解析用データをで読み込み、解析を実行する(ステップA06)。
【0048】
配置設計自動化システム1は、入力部10を介して解析結果を抽出する(ステップA07)。配置設計自動化システム1は、抽出した解析結果を追加情報として記憶部21に記憶する。
【0049】
構造解析システム100は、このステップA03からステップA07までのステップを、サポート位置およびサポート構造を変えて、指定回数(N回)繰り返し、N個の解析結果を抽出し、その結果の一覧を作成する(ステップA08)。配置設計自動化システム1は、配管ルートやサポート構造の製造コスト、施工コスト、施工時間、安全性などに基づいて、その結果一覧から設計結果となる最終的なルートを選択する(ステップA09)。配置設計自動化システム1は、選択したルートおよびそのルートに使用する部品の集計表などを出力部30に出力する(ステップA10)。
【0050】
サポート構造生成部25も構造解析システム100の解析結果が追加・修正された配管配置基準情報、詳細設計情報等に基づいて、サポート構造を生成する。
【0051】
構造解析システム100による解析結果の情報を設計条件として蓄積することで、配置設計自動化システム1の設計品質は向上していく。配置設計自動化システム1の設計品質が向上していくほど、技術レベルの高い設計者が見直すべき作業範囲が削減される。したがって、設計者の作業負担を軽減することができる。
【0052】
なお、上記の説明では、ステップA03からステップA07までのステップをN回繰り返す場合について説明した。他の実施形態としては、ルート、サポート位置、サポート構造などを変えて、ステップA01からステップA07までのステップをN回繰り返えしてもよい。
【0053】
(実施形態3)
実施形態3では、配置設計自動化システム1が計装配管の配置設計を実施する場合について説明する。ここでは、計装配管が計測対象である流体(気体、液体等)を主配管から計器に導くための配管である場合について説明する。
【0054】
ルート生成部22は、設計者が入力部10から計装配管の配置設計を指定した場合、直線部には直管を選択し、曲がり部には曲げ菅を選択することを前提として、計装配管配置設計条件21fに基づいて、計装配管ルートを生成する。
【0055】
ルート生成部22は、設計者が入力部10から計装配管の配置設計を指定した場合、設計条件を満たす下り勾配(傾斜角度)となるよう計装配管のルートを生成する。また、ルート生成部22は、複数のルートが上下左右に並列に配置される計装配管ルートを生成する場合、それぞれのルートの勾配角度が同一となるように計装配管ルートを生成する。
【0056】
また、ルート生成部22は、始点と終点との間を接続する直線ルートが設計条件で規定される勾配角度を満たさない場合、アップダウンを形成することで設計条件を満たす計装配管ルートを生成する。アップダウンとは、所定の勾配角度でダウンするルートと、低い位置から所定の高さまでアップするルートを組み合わせたものをいう。ルート生成部22は、勾配角度の規定に基づいてアップダウンを有する計装配管ルートを生成する際に、生成されたルートのアップダウンの数が最小となるように計装配管ルートを生成する。また、ルート生成部22は、配置空間情報21aに、計装配管集約エリアが設定されている場合、計装配管集約エリアを通過する計装配管ルートを生成する。
【0057】
部品生成部23は、ルート生成部22がアップダウンを含む計装配管ルートを生成した場合、内部流体、圧力条件に基づいて、アップ部にベント弁、ダウン部にドレン弁を生成する。また、部品生成部23は、計装取り合い部の口径、材質、流体温度に基づき、接続継手を選定し生成する。計装取り合い部とは、計器と接続する配管もしくは計器と主配管との接続部のことである。また、部品生成部23は計装配管ルートの直管部が一定長さを超える場合、一定間隔でカップリングを生成する。また、部品生成部23は計装配管ルートにおいて、曲がり部が一定数以上続く場合、一定間隔の曲がり部に、溶接継手を生成する。
【0058】
サポート構造生成部25は、設計者が入力部10から計装配管ルートの設計を指定した場合、計装配管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係によりサポート構造を生成する。
【0059】
図5は、計装配管のルート生成についてのフローチャートの例である。最初に、設計者が入力部10から、計装配管ルートの設計を指定する(ステップI01)。ルート生成部22は、記憶部21より計装配管配置設計条件21fを取得する(ステップI02)。続いて、ルート生成部22は、入力部10から指定された条件、および、計装配管配置設計条件21fにより、ルーティング条件を設定する(ステップI03)。その後、ルート生成部22は、設計条件を満たす計装配管ルートを生成する(ステップI04)。
【0060】
次に、ルート生成部22は、生成された計装配管ルートが計装配管配置設計条件21fを満たしているか否かを判断する(ステップI05)。例えば、設計者が入力部10から指定したルートに伴う計装配管の勾配が計装配管配置設計条件21fを満たしていない場合があるからである。また、指定された始点から終点までを直線ルートとした場合、計装配管配置設計条件21fで規定される勾配角度の条件を満たさない場合もあるからである。勾配が計装配管配置設計条件21fを満たしていない場合(ステップI05:No)、ルート生成部22は、計装配管配置設計条件21fに基づき、アップダウンを生成する(ステップI06)。
【0061】
次に、部品生成部23は、計装配管に必要とされる部品を生成する(ステップI07)。部品生成部23は、視認性、操作性、配置性の条件を満足する位置に生成した部品を配置する。部品生成部23は、入力部10から指定された範囲に、入力部10から指定された部品を配置することもできる。
【0062】
次に、サポート位置生成部24は、標準スパンに基づき、サポート位置を生成する(ステップI08)。この標準スパンは、計装配管の重量、耐震クラス等に応じて、予め計装配管配置設計条件21fに記憶されている。また、入力部10から標準スパンを指定することもできる。
【0063】
次に、サポート構造生成部25は、計装配管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係等により、サポート構造を生成する(ステップI09)。このサポート構造は、計装配管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係等に応じて、予め計装配管配置設計条件21fに記憶されている。
【0064】
以上に説明したように、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、計装配管配置設計条件21fを満たす計装配管ルートおよびサポートを生成することができるので、計装配管ルートの配置設計を設計者が人手で行う必要がない。したがって、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、設計者の作業負担を軽減することができる。また、計装配管ルートの配置設計の品質が設計者の技術レベルによって左右されないので、設計品質の向上を図ることができる。
【0065】
(実施形態4)
実施形態4では、配置設計自動化システム1が電線管の配置設計を実施する場合について説明する。
【0066】
ルート生成部22は、設計者が入力部10から電線管の配管設計を指定した場合、直線部には直管を選択し、曲がり部には曲げ菅を選択することを前提として、電線管配置設計条件21gに基づいて、電線管ルートを生成する。また、部品生成部23は、電線管配置設計条件21gに基づいて、ルート生成部22が生成したルートの分岐や貫通部などにプルボックスを生成する。
【0067】
また、サポート構造生成部25は、設計者が入力部10から電線管の配置設計を指定した場合、電線管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係によりサポート構造を生成する。
【0068】
図6は、電線管のルート生成についてのフローチャートの例である。最初に、設計者は、入力部10から、電線管ルートの設計を指定する(ステップE01)。ルート生成部22は、記憶部21より電線管配置設計条件21gを取得する(ステップE02)。続いて、ルート生成部22は、入力部10から指定された条件および電線管配置設計条件21gより、ルーティング条件を設定する(ステップE03)。そして、ルート生成部22は、設計条件を満たす電線管ルートを生成する(ステップE04)。
【0069】
ルート生成が完了後、部品生成部23は、プルボックスを生成する(ステップE05)。プルボックスの配置条件は、予め電線管配置設計条件21gに記憶されている。
【0070】
次に、サポート位置生成部24は、標準スパンに基づき、サポート位置を生成する(ステップE06)。この標準スパンは、電線管の重量、耐震クラス等に応じて、予め電線管配置設計条件21gに記憶されている。また、入力部10から標準スパンを指定することもできる。
【0071】
次に、サポート構造生成部25は、電線管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係等に基づいてサポート構造を生成する(ステップE07)。このサポート構造は、電線管の重量、耐震クラス、躯体との位置関係等に応じて、予め電線管配置設計条件21gに記憶されている。
【0072】
以上に説明したように、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、電線管配置設計条件21gを満たす電線管ルートおよびサポートを生成することができるので、電線管ルートの配置設計を設計者が人手で行う必要がない。したがって、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、設計者の作業負担を軽減することができる。また、電線管ルートの配置設計の品質が設計者の技術レベルによって左右されないので、設計品質の向上を図ることができる。
【0073】
(実施形態5)
実施形態5では、配置設計自動化システム1がケーブルラックの配置設計を実施する場合について説明する。
【0074】
ルート生成部22は、設計者が入力部10からケーブルラックの配置設計を指定した場合、ケーブルラックとして矩形の箱形状の構造物を使用することを前提として、ケーブルラック配置設計条件21hに基づいて、ケーブルラックルートを生成する。
【0075】
ルート生成部22は、入力部10から積載するケーブル容量を入力することで、ケーブルラック1段におけるケーブルの占積率の条件を満たすことができるかを確認する。ルート生成部22は、占有率の規定値を超過する場合、多段のケーブルラックでルートを生成する。
【0076】
ルート生成部22は、生成したケーブルのルートに基づいてケーブルラックの配置位置を決定する。ルート生成部22は、ケーブルラックを配置する空間に、すでにケーブルラックが配置されている場合、既存のケーブルラックの上部もしくは下部にルートを生成する。
【0077】
ルート生成部22は、設計者が入力部10からケーブルラックの配置設計を指定した場合、ルートが水平方向に配置される部分においては、ケーブルラックの上方の面が必ず上方向を向くようにルートを生成する。これは、上方が開口しているケーブルラック内にケーブルを積載して収容するためである。
【0078】
サポート構造生成部25は、ケーブルラックの重量、耐震クラス、ケーブルラックの形状、躯体との位置関係に基づいて、サポート構造を生成する。
【0079】
図7は、ケーブルラックのルート生成についてのフローチャートの例である。最初に、設計者は、入力部10から、ケーブルラックルートの設計を指定する(ステップK01)。続いて、ルート生成部22は、記憶部21よりケーブルラック配置設計条件21hを取得する(ステップK02)。続いて、ルート生成部22は、入力部10から指定された条件、ケーブルラック配置設計条件21hより、ルーティング条件を設定する(ステップK03)。そして、ルート生成部22は、設計条件を満たすケーブルラックルートを生成する(ステップK04)。
【0080】
ステップK04では、ケーブルラックの上方の面が必ず上方向になるようルートを生成する。ステップK04の詳細について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。まず、ルート生成部22は、ケーブルラックのルート生成をする際にノード点を一定間隔で配置する(ステップK41)。そして、ルート生成部22は、ノード点同士を接続したネットワークを生成する(ステップK42)。
図9を参照して、ノード点とネットワークについて説明する。
図9では、ノード点を〇印で示している。ノード点を接続する線がネットワークである。例えば、始点K23と終点K24を指定した場合、ルート生成部22は、ノード点K23、K25、K26、K27、K24を結ぶルートL1を生成する。
【0081】
しかし、ケーブルラックのルート生成において、
図9に示すネットワークをたどるルートL1を生成すると、
図9のノード点K27とK24間において、
図10に示すように矩形のケーブルラックの上方の面がX軸方向を向くように配置されることがある。ケーブルラック内にケーブルを収容するためには、矩形のケーブルラックの上方の面を上方向(+Z方向)になるように配置する必要がある。
【0082】
そこで、
図11に示すように、各ノード点Kをxzノード点Ka、yzノード点Kbに分割する(ステップK43)。例えば、ノード点K22の場合、xzノード点K22aとyzノード点K22bに分割する。次に、各xzノード点Kaのx方向およびz方向を接続し、xzネットワークKxzを生成する(ステップK44)。次に、各yzノード点Kbのy方向およびz方向を接続し、yzネットワークKyzを生成する(ステップK45)。このネットワークにおいて、異なるネットワークの鉛直(Z軸)方向のルートと水平(X軸もしくはY軸)方向のルートが連続することを禁止する条件を追加する(ステップK46)。
【0083】
例えば、
図12に示すノード点およびネットワークにおいて、ステップK42までの処理では、始点を(1)、終点を(12)とした場合、ノード点を(1)、(3)、(5)、(6)、(12)の順番で通過するルートを、ルート生成部22が形成する場合がある。(3)、(5)、(6)のルートは、xzネットワークを通ることとなり、(6)から(12)のルートは、yzネットワークを通ることとなる。この場合、鉛直方向のルート((5)→(6))から水平方向のルート((6)→(12))を通過することは、異なるネットワークの鉛直方向のルートと水平方向のルートが連続することに該当する。したがって、ステップK46の処理を行うことで、このルートはルート候補から除外されることとなる。
【0084】
次に、ルート生成部22は、
図12においてノード点を(1)、(3)、(4)、(6)、(12)の順番で通過するルートを生成したとする。この場合、鉛直方向のルート((3)→(4))から水平方向のルート((4)→(6))を通過することは、異なるネットワークの鉛直方向のルートと水平方向のルートが連続することに該当しない。したがって、ステップK46の処理を行うことで、このルートはルート候補から除外されない。
【0085】
図8に示す一連の処理(ステップK04の処理)を行うことで、ルート生成部22は、
図13に示すルートL2(
図9に示すノード点K23、K25、K28、K27、K24を通過するルート)を生成する(ステップK47)。ルート生成部22は、ステップK04の処理を行うことで、
図13に示すように、矩形のケーブルラックの上方の面が上方向(+Z軸方向)になるルートを生成する。
【0086】
図7に戻り、サポート位置生成部24は、標準スパンに基づき、サポート位置を生成する(ステップK05)。この標準スパンは、ケーブルラックの重量、耐震クラス等に応じて、予めケーブルラック配置設計条件21hに記憶されている。また、入力部10から標準スパンを指定することもできる。
【0087】
次に、サポート構造生成部25は、ケーブルラックの重量、耐震クラス、ケーブルラックの形状、躯体との位置関係等により、サポート構造を生成する(ステップK06)。このサポート構造は、ケーブルラックの重量、耐震クラス、ケーブルラックの形状、躯体との位置関係等に応じて、予めケーブルラック配置設計条件21hに記憶されている。
【0088】
以上に説明したように、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、ケーブルラックの設計条件を満たすルートおよびサポートを生成することができるので、ケーブルラックルートの配置設計を設計者が人手で行う必要がない。したがって、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、設計者の作業負担を軽減することができる。また、ケーブルラックルートの配置設計の品質が設計者の技術レベルによって左右されないので、設計品質の向上を図ることができる。
【0089】
(実施形態6)
実施形態6では、配置設計自動化システム1が空調ダクトの配置設計を実施する場合について説明する。
【0090】
ルート生成部22は、設計者が入力部10から空調ダクトの配置設計を指定した場合、空調ダクトとして矩形の箱形状の構造物を使用することを前提として、空調ダクト配置設計条件21iに基づいて、空調ダクトのルートを生成する。ルート生成部22は、入力部10から風量が入力された場合、空調ダクト配置設計条件21iに基づいて、ダクトサイズを選定する。また、ルート生成部22は、入力部10から放射能の遮蔽要求条件が入力された場合、放射能遮蔽用ダクトタイプを選定する。また、ルート生成部22は、入力部10から負圧管理要求が入力された場合、負圧管理用ダクトタイプを選定する。
【0091】
部品生成部23は、入力部10から指定された位置にレジューサを生成する。また、ルート生成部22は、レジューサが生成されている場合、生成位置の下流側に異なるダクトサイズのルートを生成する。
【0092】
図14は、空調ダクトのルート生成についてのフローチャートの例である。最初に、設計者は、入力部10から空調ダクトルートの設計を指定する(ステップD01)。ルート生成部22は、記憶部21より空調ダクト配置設計条件21iを取得する(ステップD02)。そして、ルート生成部22は、入力部10から指定された条件および空調ダクト配置設計条件21iに基づいて、ルーティング条件を設定する(ステップD03)。そして、ルート生成部22は、設計条件を満たす空調ダクトルートを生成する(ステップD04)。
【0093】
次に、部品生成部23は、空調ダクトに必要とされる部品(吹出口、吸込口、ダンパ、ダクト直付け計器など)を生成する(ステップD05)。部品生成部23は、視認性、操作性、配置性の条件を満足する位置に生成した部品を配置する。部品生成部23は、入力部10から指定された範囲に、入力部10から指定された部品を配置することもできる。
【0094】
次に、サポート位置生成部24は、標準スパンに基づき、サポート位置を生成する(ステップD06)。この標準スパンは、空調ダクトの重量、耐震クラス等に応じて、予め空調ダクト配置設計条件21iに記憶されている。また、入力部10から標準スパンを指定することもできる。
【0095】
次に、サポート構造生成部25は、空調ダクトの重量、耐震クラス、躯体との位置関係等に基づいて、サポート構造を生成する(ステップD07)。このサポート構造は、空調ダクトの重量、耐震クラス、躯体との位置関係等に応じて、予め空調ダクト配置設計条件21iに記憶されている。
【0096】
以上に説明したように、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、空調ダクトの設計条件を満たす空調ダクトルートおよびサポートを生成することができるので、空調ダクトルートの配置設計を設計者が人手で行う必要がない。したがって、実施形態に係る配置設計自動化システム1は、設計者の作業負担を軽減することができる。また、空調ダクトの配置設計の品質が設計者の技術レベルによって左右されないので、設計品質の向上を図ることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…配置設計自動化システム
10…入力部
20…自動化処理部
21…記憶部
21a…配置空間情報
21b…配置専用スペース情報
21c…既設構造物情報
21d…運転・保守情報
21e…配管配置設計条件
21f…計装配管配置設計条件
21g…電線管配置設計条件
21h…ケーブルラック配置設計条件
21i…空調ダクト配置設計条件
22…ルート生成部
23…部品生成部
24…サポート位置生成部
25…サポート構造生成部
26…物量集計部
30…出力部
40…外部出力部
100…構造解析システム
P1…主配管
P2…ベントライン
P3…ドレンライン
P4…手動弁
P5…ファンネル
【要約】
【課題】設計者の作業負担を軽減する。
【解決手段】実施形態に係る配置設計自動化システムは、始点と終点との間を接続するルートを生成する配置設計自動化システムである。配置設計自動化システムは、記憶部とルート生成部とを有する。ルート生成部は、記憶部に記憶された配置空間情報、配置専用スペース情報、既設構造物情報、運転・保守情報、および、配管配置設計条件、計装配管配置設計条件、電線管配置設計条件、ケーブルラック配置設計条件、空調ダクト配置設計条件を示す設計情報に基づいて、配管、計装配管、電線管、ケーブルラック、空調ダクトのルートを生成する。
【選択図】
図1