(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-12
(45)【発行日】2025-06-20
(54)【発明の名称】バルブユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20250613BHJP
【FI】
F16K27/00 B
(21)【出願番号】P 2023204448
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2025-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 亮
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-72101(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に開口し、アクチュエータに接続される第1アクチュエータポートと、
前記ハウジングの外面に開口し、前記アクチュエータに接続される第2アクチュエータポートと、
前記ハウジングの外面に開口し、タンクに接続されるタンクポートと、
前記ハウジングの内部に組み込まれ、前記アクチュエータの作動を制御する制御バルブと、
前記ハウジングの内部に組み込まれ、前記第2アクチュエータポートからの作動流体を、前記制御バルブを介さずに前記タンクポートを通じて前記タンクに戻すクイックリターンバルブと、を備え、
前記タンクポートは、前記制御バルブが設けられている前記ハウジングの第1セクションと、前記クイックリターンバルブが設けられている前記ハウジングの第2セクションとに跨って、前記ハウジングの外面に開口する、
ことを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブユニットであって、
前記第1アクチュエータポート、前記第2アクチュエータポート、及び前記タンクポートは、前記ハウジングの共通の面に形成され、
前記第1アクチュエータポートは、前記第1セクションに設けられ、
前記第2アクチュエータポートは、前記第2セクションに設けられ、
前記第1アクチュエータポート及び前記第2アクチュエータポートの少なくとも一方は、前記ハウジングの長手方向における一方の側に設けられ、前記タンクポートは、前記ハウジングの長手方向における他方の側に設けられる、
ことを特徴とするバルブユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブユニットであって、
前記第1アクチュエータポート及び前記第2アクチュエータポートは、前記タンクポートより前記長手方向における一方の側に設けられ、
前記ハウジングに形成され、前記タンクポートに連通するタンク通路をさらに備え、
前記制御バルブは、
制御スプールと、
作動流体の供給ポートと、
前記長手方向における他方の側に設けられ、前記制御スプールにより、前記供給ポートと連通した状態で前記タンク通路と遮断され、前記タンク通路と連通した状態で前記供給ポートと遮断される第1ポートと、を有し、
前記クイックリターンバルブは、
クイックリターンスプールと、
前記長手方向における他方の側に設けられ、前記クイックリターンスプールによって前記タンク通路と連通、遮断される第2ポートと、を有し、
前記ハウジングは、前記タンクポートより前記長手方向における一方の側に設けられた前記第2アクチュエータポートと、前記長手方向における他方の側に設けられた前記第1ポートとを、前記第2ポートを通じて接続する内部流路を有する、
ことを特徴とするバルブユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブユニットであって、
前記ハウジングに形成され、前記クイックリターンバルブのクイックリターンスプールを横切って設けられるとともに、前記制御バルブの切り換え位置に応じて、前記制御バルブの制御スプールにより連通、遮断される信号圧通路をさらに備え、
前記クイックリターンスプールは、前記クイックリターンバルブの切り換え位置に関わらず、前記信号圧通路と連通する信号圧環状溝を備える、
ことを特徴とするバルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧アクチュエータからの戻り油をコントロールバルブ内に戻す第1位置と、戻り油をタンクに直接戻す第2位置との間で切換可能な切換弁を備える建設機械が開示されている。特許文献2には、アーム押し操作時にボトム側油室からの戻り油を直接タンクに戻す分岐管路に、アーム押し操作時のみに油の流れを許容するクイックリターンバルブを設けた建設機械の油圧シリンダ回路が開示されている。
【0003】
特許文献3には、ブレーカーからの戻り油が切換弁から直接作動油タンクに還流可能に構成されたバックホーの油圧回路の切換装置が開示されている。特許文献4には、油圧アクチュエータの復路側に油圧切換弁を連通連結し、切換弁からの分岐した一方を大内径の戻り油管を介して直接作動油タンクに連通連結したバックホーの油圧回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-9572号公報
【文献】特開2013-137062号公報
【文献】実開昭62-169053号公報
【文献】実開昭61-84754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクチュエータと制御バルブとの間に配管接続によってクイックリターンバルブを設けると、各構成間で配管が必要になるほか、クイックリターンバルブ及びタンク間でも配管が必要になる。一方、クイックリターンバルブには作動流体の素早い排出が求められる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、配管を削減しつつ、タンクに排出される作動流体の圧力損失を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハウジングと、ハウジングの外面に開口し、アクチュエータに接続される第1アクチュエータポートと、ハウジングの外面に開口し、アクチュエータに接続される第2アクチュエータポートと、ハウジングの外面に開口し、タンクに接続されるタンクポートと、ハウジングの内部に組み込まれ、アクチュエータの作動を制御する制御バルブと、ハウジングの内部に組み込まれ、第2アクチュエータポートからの作動流体を、制御バルブを介さずにタンクポートを通じてタンクに戻すクイックリターンバルブと、を備え、タンクポートは、制御バルブが設けられているハウジングの第1セクションと、クイックリターンバルブが設けられているハウジングの第2セクションとに跨って、ハウジングの外面に開口する、ことを特徴とするバルブユニットである。
【0008】
この発明によれば、制御バルブとクイックリターンバルブとを単一のハウジング(モノブロック)に設けたので、制御バルブ及びクイックリターンバルブ間の配管等を不要にすることができる。また、制御バルブ及びクイックリターンバルブの両セクションに跨るタンクポートを設けたので、ハウジングの小型化との両立を図りながら、タンクポートを大きくすることができ、タンクに排出される作動流体の圧力損失を低減できる。
【0009】
また、本発明は、第1アクチュエータポート、第2アクチュエータポート、及びタンクポートは、ハウジングの共通の面に形成され、第1アクチュエータポートは、第1セクションに設けられ、第2アクチュエータポートは、第2セクションに設けられ、第1アクチュエータポート及び第2アクチュエータポートの少なくとも一方は、ハウジングの長手方向における一方の側に設けられ、タンクポートは、ハウジングの長手方向における他方の側に設けられる、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ハウジングの長手方向における他方の側にスペースを確保してタンクポートを設けることができるので、ハウジングのサイズ拡大を抑制しつつ、タンクポートを大きくすることができる。
【0011】
また、本発明は、第1アクチュエータポート及び第2アクチュエータポートは、タンクポートより長手方向における一方の側に設けられ、ハウジングに形成され、タンクポートに連通するタンク通路をさらに備え、制御バルブは、制御スプールと、作動流体の供給ポートと、長手方向における他方の側に設けられ、制御スプールにより、供給ポートと連通した状態でタンク通路と遮断され、タンク通路と連通した状態で供給ポートと遮断される第1ポートと、を有し、クイックリターンバルブは、クイックリターンスプールと、長手方向における他方の側に設けられクイックリターンスプールによってタンク通路と連通、遮断される第2ポートと、を有し、ハウジングは、タンクポートより長手方向における一方の側に設けられた第2アクチュエータポートと、長手方向における他方の側に設けられた第1ポートとを、第2ポートを通じて接続する内部流路と、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、タンクポートを長手方向における他方の側に設けた場合において、第1アクチュエータポート及び第2アクチュエータポートをタンクポートより長手方向における一方の側に設けても、上記のように、タンクポートより長手方向における一方の側から、長手方向における他方の側に亘る内部流路を設けることで、クイックリターンバルブ及び制御バルブを通じて、第2アクチュエータポートをタンクポートに接続することができる。また、第1ポートは供給ポートと連通、遮断されるので、適用されるアクチュエータによっては、第2アクチュエータポートを作動流体の給排ポートとして用いることもできる。
【0013】
また、本発明は、ハウジングに形成され、クイックリターンバルブのクイックリターンスプールを横切って設けられるとともに、制御バルブの切り換え位置に応じて、制御バルブの制御スプールにより連通、遮断される信号圧通路をさらに備え、クイックリターンスプールは、クイックリターンバルブの切り換え位置に関わらず、信号圧通路と連通する信号圧環状溝を備える、ことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、信号圧通路を横切るようにクイックリターンスプールを設けても、クイックリターンスプールの信号圧環状溝が信号圧通路を遮らないので、制御バルブの切り換え位置を検出できる。従って、信号圧通路を避けてクイックリターンスプールを設けずに済み、クイックリターンスプール及び信号圧通路のレイアウト性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
これらの発明によれば、配管を削減しつつ、タンクに排出される作動流体の圧力損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の概略構成図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿うバルブユニットの断面図である。
【
図3】
図1のB-B線に沿うバルブユニットの断面図である。
【
図4】
図3のC-C線に沿うバルブユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は流体圧制御装置100の概略構成図である。
図2は
図1のA-A断面、
図3は
図1のB-B断面、
図4は
図3のC-C断面で、バルブユニット1をそれぞれ示す図である。
【0019】
図1に示す流体圧制御装置100は、バルブユニット1と、バルブユニット1に作動油を供給する流体圧供給源であるポンプ3と、作動油が貯留されるタンクTと、を備える。バルブユニット1は、油圧ショベル(例えばバックホー)に搭載され、油圧ショベルにアタッチメントとして取り付けられたブレーカー(図示省略)を駆動する油圧モータ4の作動を制御する。作動油は作動流体であり、作動油のほか水等の非圧縮性流体を作動流体として用いることができる。バルブユニット1は、油圧モータ4以外の油圧シリンダ等のアクチュエータの作動の制御に用いることもでき、その他の建設機械で用いられてもよい。
【0020】
バルブユニット1はハウジング11を有する。ハウジング11には、油圧ショベルのブーム、アーム、バケット等を駆動する油圧シリンダの作動を制御するバルブのハウジング2が連結される。これら複数のハウジング2,11により、一体のバルブブロックが構成される。
【0021】
バルブブロック内には、ポンプ3から作動油が供給される。供給された作動油は、バルブブロック内に形成された油路を通じて各ハウジング2,11に供給される。ハウジング2,11内に組み込まれた各制御バルブにより、対応する油圧シリンダや油圧モータ4等に対する作動油の給排が制御される。
【0022】
ハウジング11は、単一のハウジング(モノブロック)であり、ハウジング11の外面に開口する開口部としての第1アクチュエータポート11a、第2アクチュエータポート11b、及びタンクポート11cを有する。第1アクチュエータポート11aは、配管を通じて油圧モータ4の圧油供給口4aに接続され、第2アクチュエータポート11bは、配管を通じて油圧モータ4の圧油排出口4bに接続される。
【0023】
油圧モータ4から第2アクチュエータポート11bを通じてバルブユニット1内に導かれた作動油は、タンクポート11cを通じてバルブユニット1外に排出される。タンクポート11cは配管を介してタンクTに接続され、作動油はタンクポート11cを通じてタンクTに戻される。なお、バルブユニット1を含むバルブブロックからタンクTには、タンクポート11c以外からも作動油を戻すことができる。
【0024】
ハウジング11は、第1セクションS1及び第2セクションS2を有する。第1セクションS1は、後述する制御バルブ5(
図2及び
図4参照)が設けられるセクションであり、第1セクションS1には、第1アクチュエータポート11aが配置される。第2セクションS2は、後述するクイックリターンバルブ7(
図3及び
図4参照)が設けられるセクションであり、第2セクションS2には、第2アクチュエータポート11bが配置される。このように、バルブユニット1では、単一のハウジング11内に、制御バルブ5及びクイックリターンバルブ7の2つのバルブが組み込まれる。
【0025】
第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bは、ハウジング11の幅方向に並んで配置され、第1セクションS1及び第2セクションS2は、ハウジング11を幅方向に二分するように規定される。第1、第2セクションS1,S2の幅は、第1、第2アクチュエータポート11a,11bの外径に合わせて設定され、第1、第2アクチュエータポート11a,11bの外径より若干大きい。第1セクションS1及び第2セクションS2の境界は、後述する制御バルブ5のスプール弁51(
図4参照)と、後述するクイックリターンバルブ7のスプール弁71(
図4参照)との間において、中央(幅方向中央)に位置する。第1アクチュエータポート11a、第2アクチュエータポート11b、及びタンクポート11cはともに、ハウジング11の外面である上面11u(縦方向における一方の側の面。
図2参照)に開口する。つまり、第1アクチュエータポート11a、第2アクチュエータポート11b、及びタンクポート11cは、ハウジング11の共通の面に形成される。
【0026】
図示しないブレーカーでは、油圧モータ4の回転が舗装路面等の破砕を行うビット(図示省略)の往復運動に変換される。ビットは破砕時に反動で押し戻され、この際に油圧モータ4から排出されタンクTへ戻る流量が大きくなる。このため、ブレーカーのスムーズな動作を実現するためには、バルブユニット1では、大きな戻り流量に対処するため、油圧モータ4から素早く作動油を排出することが望まれる。
【0027】
バルブユニット1では、タンクポート11cは、第1セクションS1と第2セクションS2とに跨ってハウジング11の上面11uに開口する。第1セクションS1及び第2セクションS2の両セクションに跨るタンクポート11cを設けることで、ハウジング11の小型化との両立を図りながら、タンクポート11cを大きくすることができ、タンクTに排出される作動油の圧力損失を低減できる。タンクポート11cは、第2アクチュエータポート11bよりも大きく設定され、第1アクチュエータポート11aと第2アクチュエータポート11bとは、互いに同等の大きさに設定される。
【0028】
タンクポート11cは、ハウジング11の幅方向において第2セクションS2寄りに配置されるとともに、第2セクションS2から第1セクションS1にはみ出すように設けられる。第2セクションS2寄りにタンクポート11cを配置することで、第1セクションS1寄りにタンクポート11cを配置した場合と比べ、タンクポート11cを第2アクチュエータポート11bに近づけて配置することができる。従って、第2アクチュエータポート11bとタンクポート11cとの距離を短くすることができ、第2アクチュエータポート11bからタンクポート11cに導かれる作動油の圧力損失を低減できる。
【0029】
第1アクチュエータポート11aと第2アクチュエータポート11bとは、座ぐり部と雌ねじ部とを備え図示しない継手が組付けられる設置部A1を有し、設置部A1によってハウジング11の上面11uに開口する。タンクポート11cは、座ぐり部と雌ねじ部とを備え図示しない継手が組付けられる設置部A2を有し、設置部A2によってハウジング11の上面11uに開口する。
【0030】
共通の面であるハウジング11の上面11uにおいて、第1アクチュエータポート11aと第2アクチュエータポート11bとは、タンクポート11cより長手方向における一方の側に設けられる。タンクポート11cは、ハウジング11の長手方向における他方の側(
図1中下側)に設けられる。一方、第1アクチュエータポート11aと第2アクチュエータポート11bとは、ハウジング11の長手方向(縦方向に対する横方向)における一方の側(
図1中上側)に設けられる。ハウジング11の上面11uにおいて、第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bを長手方向の一方寄りに設けることで、例えば第1アクチュエータポート11aと長手方向に沿って並ぶとともに、タンクポート11cと幅方向に沿って並ぶ第2アクチュエータポート11bを設けた場合と比べ、長手方向の他方の側にタンクポート11cの設置スペースを確保できる。従って、ハウジング11のサイズ拡大を抑制しつつ、長手方向の他方寄りに設けられたタンクポート11cを大きくすることができる。
【0031】
第1アクチュエータポート11a、第2アクチュエータポート11b、及びタンクポート11cは、ハウジング11の上面11u以外の外面に開口されてもよく、また、互いに異なる面に開口されてもよい。この場合でも、第1セクションS1と第2セクションS2とに跨ってハウジング11の外面に開口するタンクポート11cを設けることで、タンクポート11cを大きくすることができる。
【0032】
共通の面であるハウジング11の上面11uにおいて、第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bのうちの一方のみが、ハウジング11の長手方向における一方の側(
図1中上側)に設けられてもよい。
【0033】
第1アクチュエータポート11aを長手方向における一方の側に設けた場合は、長手方向における一方の側(
図1中上側)からタンクポート11cに隣接する第2アクチュエータポート11bを長手方向における他方の側(
図1中下側)に設けたり、第2アクチュエータポート11bを長手方向における中央付近に設けたりすれば、ハウジング11のサイズ拡大を抑制できる。また、第2アクチュエータポート11bを長手方向における一方の側に設けた場合は、ハウジング11の上面11uにおいて、タンクポート11cに斜め(
図1中左上)から隣接する第1アクチュエータポート11aを長手方向における他方の側(
図1中下側)に設けたり、第1アクチュエータポート11aを長手方向における中央付近に設けたりすれば、第1アクチュエータポート11aと長手方向に沿って並ぶとともに、タンクポート11cと幅方向に沿って並ぶ第2アクチュエータポート11bを設けた場合と比べ、ハウジング11のサイズ拡大を極力抑制できる。第1アクチュエータポート11aは、後述するコンペンセータバルブ61(
図2参照)をずらすことで、第1セクションS1において、長手方向における中央付近に設けることができる。
【0034】
バルブユニット1には、アクチュエータとして、油圧モータ4に代えて、例えば油圧シリンダが接続されてもよい。この場合、第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bはともに油圧シリンダに作動油を給排する給排ポートを構成し、一方が油圧シリンダに作動油を供給する場合に、他方が油圧シリンダから作動油を排出する。
【0035】
図2に示すように、バルブユニット1は、ハウジング11の内部に組み込まれた制御バルブ5を有する。制御バルブ5は、流体圧制御装置100の一体のバルブブロックにおける予備バルブであり、アタッチメントとして油圧ショベルに取り付けられるブレーカーを駆動する油圧モータ4(
図1参照)の作動を制御する。
【0036】
制御バルブ5は、複数の切り換え位置の間で位置が切り換えられる制御スプールとしてのスプール弁51と、スプール弁51を摺動自在に収容する収容孔52と、を有する。制御バルブ5は、複数の切り換え位置として、スプール弁51が中立状態になる中立位置(
図2示す状態)と、中立位置と比べて長手方向における他方の側(
図2中右側)にスプール弁51が位置する第1位置と、中立位置と比べて長手方向における一方の側(
図2中左側)にスプール弁51が位置する第2位置と、の3つの切り換え位置を有する。第1位置は、油圧モータ4へ作動油を供給する供給位置である。
【0037】
スプール弁51は、ハウジング11の長手方向に沿って延びる。従って、ハウジング11の長手方向は、スプール弁51が延びる方向といえる。収容孔52には、中央に設けられる環状凹部53と、環状凹部53に隣接して設けられるポンプポート54と、環状凹部53及びポンプポート54の外側に設けられる供給ポート55,56と、供給ポート55,56の外側に設けられる作動ポート57,58と、作動ポート57,58の外側に設けられる排出ポート81a,81bと、排出ポート81a,81bに連通する第1タンク通路81と、が形成される。本実施形態では、排出ポート81a,81bは、第1タンク通路81によって形成される。
【0038】
ポンプポート54は、ハウジング11の幅方向(
図1中左右方向)に延びるポンプ通路80を通じてポンプ3(
図1参照)に接続される。ポンプポート54には、ポンプ3から吐出される作動油が常時導かれる。
【0039】
第1タンク通路81は、ハウジング11の第1セクションS1(
図1、
図4参照)に形成される。排出ポート81aは、作動ポート57に隣接して長手方向における一方の側(
図2中左側)に設けられ、排出ポート81bは、作動ポート58に隣接して長手方向における他方の側(
図2中右側)に設けられる。
【0040】
第1タンク通路81は、排出ポート81a,81bからスプール弁51から離れる方向(
図2中下側)に延びた後に、スプール弁51と略平行にハウジング11の内側に向かって延びて互いに接続する。第1タンク通路81には、幅方向(
図1参照)に延びる第4タンク通路84及び第5タンク通路85が連通し、第1タンク通路81は、第4タンク通路84及び第5タンク通路85を通じてタンクT(
図1参照)に接続される。第4タンク通路84及び第5タンク通路85は、流体圧制御装置100(
図1参照)の一体のバルブブロックにおいて幅方向に並ぶ複数の制御バルブ等に共通のタンク通路の一部として、ハウジング11に形成される。ハウジング11にはこのほか、後述する第2タンク通路82(
図3参照)、第3タンク通路83(
図4参照)も形成される。第1から第5タンク通路81から85はタンク通路に相当する。
【0041】
ハウジング11には、作動ポート57と第1アクチュエータポート11aとを連通する第1内部流路91が形成される。第1内部流路91は、第1アクチュエータポート11a、作動ポート57とともに長手方向における一方の側に配置される。第1アクチュエータポート11aと作動ポート57とは、縦方向視(
図2中上下方向視)で重なり合い、第1内部流路91は、作動ポート57から略垂直(
図2中上側)に延びて第1アクチュエータポート11aに接続する。従って、作動ポート57は、第1内部流路91及び第1アクチュエータポート11aを通じて油圧モータ4の圧油供給口4a(
図1参照)に接続される。
【0042】
スプール弁51は、
図2に示す中立位置にある状態で、ポンプポート54に向かい合う位置に形成される第1環状溝51aと、環状凹部53に向かい合う位置に形成される第2環状溝51bと、作動ポート57に向かい合う位置に形成される第3環状溝51cと、作動ポート58に向かい合う位置に形成される第4環状溝51dと、後述する信号圧通路Pに向かい合う位置に形成される第5環状溝51eと、を有する。スプール弁51の一端には、第1パイロット室21及びセンタリングスプリング22が設けられ、スプール弁51の他端には、第2パイロット室23及びセンタリングスプリング24が設けられる。第1パイロット室21には、第1ソレノイド62を通じてパイロット圧が供給され、第2パイロット室23には、第2ソレノイド63を通じてパイロット圧が供給される。中立位置では、作動ポート57,58は、スプール弁51により、供給ポート55,56及び排出ポート81a,81bと遮断される。
【0043】
制御バルブ5は、収容孔52に直交して形成されたバルブ収容孔60と、バルブ収容孔60に摺動自在に収容されたコンペンセータバルブ61と、をさらに有する。環状凹部53と供給ポート55,56とは、コンペンセータバルブ61を通じて連通しており、これらを連通する開度は、コンペンセータバルブ61に作用する作動油の圧力に応じて変化する。
【0044】
第1パイロット室21にパイロット圧が導かれ、スプール弁51が長手方向における他方の側(
図2中右側)に移動して第1位置になると、第1環状溝51aと第1環状溝51aに連通する図示しないノッチとを通じてポンプポート54と環状凹部53とが連通し、供給ポート55,56に作動油が導かれる。供給ポート55に導かれた作動油は、第3環状溝51cを通じて供給ポート55と連通する作動ポート57を通り、第1内部流路91及び第1アクチュエータポート11aを通じて油圧モータ4(
図1参照)の圧油供給口4aに供給される。油圧モータ4に供給された作動油はその後、油圧モータ4の圧油排出口4bから第2アクチュエータポート11b(
図1、
図3参照)に導かれる。
【0045】
図3に示すように、バルブユニット1はクイックリターンバルブ7を有する。クイックリターンバルブ7は、ハウジング11の内部に組み込まれ、ハウジング11の幅方向に制御バルブ5と並んで配置される(
図4参照)。従って、幅方向は換言すれば、制御バルブ5とクイックリターンバルブ7が並ぶ方向といえる。
【0046】
クイックリターンバルブ7は、複数の切り換え位置の間で位置が切り換えられるクイックリターンスプールとしてのスプール弁71と、スプール弁71を摺動自在に収容する収容孔72と、を有する。クイックリターンバルブ7は、複数の切り換え位置として、スプール弁71が中立状態にある中立位置(
図3に示す状態)と、中立位置と比べて長手方向における一方の側(
図3中左側)にスプール弁71が位置する排出位置と、の2つの切り換え位置を有する。スプール弁71は、スプール弁51と同様、ハウジング11の長手方向に沿って延びる。
【0047】
収容孔72には、第1接続ポート73と、長手方向における一方の側(
図3中左側)から第1接続ポート73に隣接する第2接続ポート74と、長手方向における他方の側(
図3中右側)から第1接続ポート73に隣接する排出ポート82aと、排出ポート82aに連通する第2タンク通路82と、が形成される。本実施形態では、排出ポート82aは、第2タンク通路82によって形成される。第1接続ポート73、第2接続ポート74、及び排出ポート82aはともに、長手方向における他方の側(
図3中右側)に設けられる。
【0048】
第2タンク通路82は、ハウジング11の第2セクションS2(
図1、
図4参照)に形成される。排出ポート82aは、縦方向視(
図3中上下方向視)でタンクポート11cと重なり合い、第2タンク通路82は、排出ポート82aから略垂直(
図3中上側)に延びてタンクポート11cに連通する。
【0049】
第2タンク通路82は、排出ポート82aからスプール弁71から離れる方向(
図3中下側)に延びた後に、スプール弁71と略平行に長手方向における一方の側(
図3中左側)に向かって延び、さらにスプール弁71に対して略垂直にスプール弁71に向かって延びて(
図3中上側)スプール弁71の周囲を通過した後に、ハウジング11の一方の側面(
図3中左側の側面)に開口するタンクポート11dに接続する。タンクポート11dについては後述する。
【0050】
第2タンク通路82には、第4タンク通路84及び第5タンク通路85が連通し、第2タンク通路82は、第4タンク通路84及び第5タンク通路85を通じてタンクT(
図1参照)に接続される。つまり、クイックリターンバルブ7も制御バルブ5と同様、流体圧制御装置100(
図1参照)に形成される共通のタンク通路に接続される。このため、第2タンク通路82は、第4タンク通路84及び第5タンク通路85を通じて第1タンク通路81とも連通する。
【0051】
ハウジング11には、第2アクチュエータポート11bと、制御バルブ5の作動ポート58(
図2参照)とを連通する第2内部流路92(
図3、
図4参照)が形成される。第2内部流路92は、第2アクチュエータポート11bと、制御バルブ5の作動ポート58とを、クイックリターンバルブ7の第1接続ポート73を通じて接続する。
【0052】
スプール弁71は、
図3に示す中立位置にある状態で、排出ポート82aに向かい合う位置に形成される第1環状溝71aと、第1接続ポート73と第2接続ポート74とを連通する第2環状溝71bと、信号圧通路Pに向かい合う位置に形成される第3環状溝71cと、を有する。スプール弁71の一端(
図3中左側)には、センタリングスプリング25が設けられ、スプール弁71の他端(
図3中右側)には、パイロット室26が設けられる。パイロット室26には、ソレノイド64を通じてパイロット圧が供給される。
【0053】
パイロット室26にパイロット圧が導かれ、スプール弁71が長手方向における一方の側(
図3中左側)に移動して排出位置になると、第1環状溝71aを通じて第1接続ポート73と排出ポート82aとが連通し、第1接続ポート73と第2接続ポート74とは遮断される。従って、クイックリターンバルブ7が排出位置にある場合に、油圧モータ4(
図1参照)から第2アクチュエータポート11bを通じて第2内部流路92に導かれた作動油は、第1接続ポート73及び第2タンク通路82を通じてタンクポート11cから排出される。
【0054】
このように、クイックリターンバルブ7は、第2アクチュエータポート11bからの作動油を、制御バルブ5を介さずにタンクポート11cを通じてタンクT(
図1参照)に戻すことができ、これにより圧力損失を低減できる。第1接続ポート73は第2ポートに相当し、スプール弁71によって排出ポート82aと連通、遮断される。
【0055】
クイックリターンバルブ7の切り換え位置は、スイッチ等の操作部を用いたユーザによる切り換え操作によって、切り換えることができる。クイックリターンバルブ7の切り換えは例えば、制御バルブ5の切り換え動作に連動させてもよい。中立位置から第1位置への制御バルブ5の切り換えに応じて、クイックリターンバルブ7を中立位置から排出位置に切り換えることで、制御バルブ5が第1アクチュエータポート11aを通じて油圧モータ4に作動油を供給する際に、クイックリターンバルブ7を通じてタンクポート11cから作動油を排出できる。また、第1位置から中立位置への制御バルブ5の切り換えに応じて、クイックリターンバルブ7を排出位置から中立位置に切り換えることで、制御バルブ5が作動油の供給を停止する際に、クイックリターンバルブ7を中立位置に戻すことができる。
【0056】
第2内部流路92は、第2アクチュエータポート11bと第1接続ポート73とを接続する第1部分流路92aと、クイックリターンバルブ7の第2接続ポート74と制御バルブ5の作動ポート58とを接続する第2部分流路92b(
図4参照)と、を有する。
【0057】
第1部分流路92aは、第2アクチュエータポート11bからスプール弁71に向かって延びた後、スプール弁71と略平行に延び、さらにスプール弁71に向かって延びて第1接続ポート73に接続する。第1部分流路92aは、縦方向視(
図3中上下方向視)でスプール弁71と重なり合う。
【0058】
第2部分流路92bは、
図4に示すように、第2接続ポート74から作動ポート58に向かって、スプール弁71に対して傾斜して(
図4中右下)延びて作動ポート58に接続する。第2部分流路92bは、幅方向視(
図4中上下方向視)で、制御バルブ5のスプール弁51及びクイックリターンバルブ7のスプール弁71と重なり合う。
【0059】
クイックリターンバルブ7が
図3に示す中立位置の場合は、スプール弁71によって、第1接続ポート73と第2接続ポート74とが第2環状溝71bを通じて連通し、第1接続ポート73と排出ポート82aとは遮断される。従って、クイックリターンバルブ7の切り換え位置が中立位置の場合は、第2アクチュエータポート11bからの作動油が第2内部流路92を通じて制御バルブ5の作動ポート58に導かれる。また、
図2に示す制御バルブ5が、長手方向における他方の側(
図2中右側)にスプール弁51が移動した第1位置にある場合は、作動ポート58と排出ポート81bとが第4環状溝51dを通じて連通する。
【0060】
このため、クイックリターンバルブ7の切り換え位置が中立位置の場合は、第2アクチュエータポート11bからの作動油を、制御バルブ5を通じてタンクT(
図1参照)に戻すこともできる。これにより、クイックリターンバルブ7を利用しないという選択肢も提供することができる。
【0061】
作動ポート58は、スプール弁51によって、第1タンク通路81の排出ポート81bと連通、遮断され、第1タンク通路81の排出ポート81bと連通した状態で作動油の供給ポート56と遮断され、供給ポート56と連通した状態で第1タンク通路81の排出ポート81bと遮断される。従って、第2内部流路92を通じて作動ポート58に連通する第2アクチュエータポート11bは、給排ポートとして機能させることもできる。作動ポート58は、第1ポートに相当する。
【0062】
図4に示すように、第1タンク通路81の排出ポート81bと第2タンク通路82の排出ポート82aとは、第3タンク通路83を通じて互いに連通する。このため、第1タンク通路81の排出ポート81bを通じて制御バルブ5から作動油を排出する場合には、第3タンク通路83を通じてタンクポート11cから容易に作動油を排出することもできる。これにより、制御バルブ5でもタンクポート11cを利用して圧力損失を低減できる。
【0063】
第2タンク通路82の排出ポート82aは、第1タンク通路81の排出ポート81bよりも、長手方向に沿った寸法(
図4の左右方向の寸法)が大きく設定される。これにより、第1タンク通路81の排出ポート81bを通じて作動油を排出する場合と比べ、第2タンク通路82の排出ポート82aを通じて作動油を排出する場合の圧力損失を低減できる。
【0064】
図3に示すタンクポート11dは、長手方向における一方の側に設けられているので、長手方向における他方の側に設けられたタンクポート11cと比べ、タンクポート11dに近い作動油を素早く排出することができる。一方、クイックリターンバルブ7には、油圧モータ4から戻される大きな流量に対処すべく、作動油の素早い排出が求められるところ、第2タンク通路82の排出ポート82aを通じて排出される作動油は主に、排出ポート82aとともに長手方向における他方の側に設けられたタンクポート11cから排出される。タンクポート11cはタンクポート11dよりも断面積が大きく設定されているため、タンクポート11dを通じて作動油が排出される場合や、タンクポート11cに代えて、タンクポート11dと同じ大きさのタンクポートを設けた場合と比べ、タンクポート11cを通じて排出される作動油の圧力損失が低減される。
【0065】
油圧モータ4(
図1参照)に代えて、アクチュエータとして例えば油圧シリンダを適用した場合は、クイックリターンバルブ7が中立位置になっている状態で、制御バルブ5を第1位置にすると、第1アクチュエータポート11aが油圧シリンダへの作動油の供給ポートとして機能し、第2アクチュエータポート11bが油圧シリンダからの作動油の排出ポートとして機能する。従ってこの場合にも、第2アクチュエータポート11bからの作動油が第1タンク通路81の排出ポート81bを通じて排出される。またこの場合は、クイックリターンバルブ7を排出位置に切り換えれば、油圧シリンダから排出される作動油を、クイックリターンバルブ7を通じてタンクポート11cから排出することもできる。
【0066】
油圧シリンダをアクチュエータとして適用した場合は、クイックリターンバルブ7が中立位置になっている状態で、制御バルブ5を第2位置にすると、第1アクチュエータポート11aが排出ポートとして機能し、第2アクチュエータポート11bが供給ポートとして機能する。第2位置では次のように作動油が制御される。
【0067】
すなわち、第2パイロット室23にパイロット圧が導かれ、スプール弁51が長手方向における一方の側(
図2中左側)の第2位置に移動すると、第2環状溝51bと第2環状溝51bに連通する図示しないノッチとを通じてポンプポート54と環状凹部53とが連通し、供給ポート55,56に作動油が導かれる。供給ポート56に導かれた作動油は、第4環状溝51dを通じて供給ポート56と連通する作動ポート58を通り、第2部分流路92b、第2接続ポート74、第1接続ポート73、第1部分流路92a及び第2アクチュエータポート11bを通じて(
図3、
図4参照)油圧シリンダに供給される。また、油圧シリンダからは、第1アクチュエータポート11aに作動油が導かれ、第1内部流路91、作動ポート57及び第3環状溝51cを通じて第1タンク通路81に導かれる。
【0068】
なお、ハウジング11の両側面(
図2中左右の側面)には、リリーフ弁(図示省略)を設けることができ、
図2中左側の側面に設けられるリリーフ弁は、第1内部流路91の油圧が設定圧以上の場合に開弁して、第1内部流路91と、排出ポート81aからスプール弁51から離れる方向(
図2中上側)に延びる第1タンク通路81と、を連通することができる。また、
図2中右側の側面に設けられるリリーフ弁は、作動ポート58から略垂直(
図2中上側)に延びる第3内部流路93の油圧が設定圧以上の場合に開弁して、第3内部流路93と、排出ポート81bからスプール弁51から離れる方向(
図2中上側)に延びる第1タンク通路81と、を連通することができる。
【0069】
図4に示すように、バルブユニット1は、ハウジング11に形成され、クイックリターンバルブ7のスプール弁71を横切って設けられるとともに、制御バルブ5の切り換え位置に応じて、制御バルブ5のスプール弁51により連通、遮断される信号圧通路Pをさらに備える。信号圧通路Pは、幅方向に沿って延びてハウジング11の一端面(
図4中下側の面)と他端面(
図4中上側の面)とに開口する。信号圧通路Pは、制御バルブ5の中立位置を検出するために設けられ、制御バルブ5及びクイックリターンバルブ7が
図4に示す中立位置にある場合に、制御バルブ5の第5環状溝51e、及びクイックリターンバルブ7の第3環状溝71cを通じて連通状態になり、制御バルブ5が中立位置から第1位置や第2位置に切り換えられると、スプール弁51によって遮断状態になる。
【0070】
信号圧通路Pは、スプール弁71を横切らずに第5環状溝51eに連通する第1部分通路P1と、スプール弁71を横切って第5環状溝51eに連通する第2部分通路P2と、を有する。第1部分通路P1は、クイックリターンバルブ7側とは反対側(
図4中下側)から第5環状溝51eに連通し、第2部分通路P2は、クイックリターンバルブ7側(
図4中上側)から第5環状溝51eに連通する。
【0071】
第1部分通路P1と第2部分通路P2とは、制御バルブ5が中立位置にある場合に、長手方向において第5環状溝51eの中心から互いに反対側にオフセットした状態で、第5環状溝51eに連通する。第1部分通路P1は、第5環状溝51eの中心から
図4中左側にオフセットし、第2部分通路P2は、第5環状溝51eの中心から
図4中右側にオフセットする。第1部分通路P1は、長手方向において環状凹部53と供給ポート56の間に設けられ、第2部分通路P2は、長手方向における一方の側から第2接続ポート74に隣接して設けられる。
【0072】
スプール弁51が
図4中左側に移動する場合は、
図4中上側の第2部分通路P2が、
図4中下側の第1部分通路P1よりも先に、スプール弁71によって第5環状溝51eと遮断される。また、スプール弁51が
図4中右側に移動する場合は、
図4中下側の第1部分通路P1が、
図4中上側の第2部分通路P2よりも先に、スプール弁71によって第5環状溝51eと遮断される。従って、中立位置から長手方向における一方側に移動する場合と他方側に移動する場合とで、信号圧通路Pを遮断するスプール弁51の移動量を揃えることができる。
【0073】
スプール弁71の第3環状溝71cは信号圧環状溝であり、第3環状溝71cの溝幅(
図4中左右方向の幅)は、スプール弁71が中立位置にある場合と排出位置にある場合とでともに、第2部分通路P2を連通状態に維持する大きさに設定される。つまり、第3環状溝71cは、クイックリターンバルブ7の切り換え位置に関わらず、信号圧通路Pに連通する。これにより、信号圧通路Pを横切るようにスプール弁71を設けても、制御バルブ5の切り換え位置を検出できるので、信号圧通路Pを避けてスプール弁71を設けずに済み、スプール弁71及び信号圧通路Pのレイアウト性が向上する。
【0074】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0075】
バルブユニット1は、ハウジング11と、ハウジング11の外面に開口し、アクチュエータの一例である油圧モータ4に接続される第1アクチュエータポート11aと、ハウジング11の外面に開口し、油圧モータ4に接続される第2アクチュエータポート11bと、ハウジング11の外面に開口し、タンクTに接続されるタンクポート11cと、ハウジング11の内部に組み込まれ、油圧モータ4の作動を制御する制御バルブ5と、ハウジング11の内部に組み込まれ、第2アクチュエータポート11bからの作動油を、制御バルブ5を介さずにタンクポート11cを通じてタンクTに戻すクイックリターンバルブ7と、を備える。タンクポート11cは、制御バルブ5が設けられているハウジング11の第1セクションS1と、クイックリターンバルブ7が設けられているハウジング11の第2セクションS2とに跨って、ハウジング11の外面に開口する。
【0076】
この構成によれば、制御バルブ5とクイックリターンバルブ7とを単一のハウジング(モノブロック)であるハウジング11に設けたので、制御バルブ5及びクイックリターンバルブ7間の配管等を不要にすることができる。また、制御バルブ5及びクイックリターンバルブ7の両セクションに跨るタンクポート11cを設けたので、ハウジング11の小型化との両立を図りながら、タンクポート11cを大きくすることができ、タンクTに排出される作動流体の圧力損失を低減できる。
【0077】
第1アクチュエータポート11a、第2アクチュエータポート11b、及びタンクポート11cは、ハウジング11の共通の面である上面11uに形成される。第1アクチュエータポート11aは、第1セクションS1に設けられ、第2アクチュエータポート11bは、第2セクションS2に設けられる。第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bは、ハウジング11の長手方向における一方の側に設けられ、タンクポート11cは、ハウジング11の長手方向における他方の側に設けられる。第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bの少なくとも一方が、ハウジング11の長手方向における一方の側に設けられてもよい。
【0078】
この構成によれば、ハウジング11の長手方向における他方の側にスペースを確保してタンクポート11cを設けることができるので、ハウジング11のサイズ拡大を抑制しつつ、タンクポート11cを大きくすることができる。
【0079】
第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bは、タンクポート11cよりハウジング11の長手方向における一方の側に設けられる。バルブユニット1は、ハウジング11に形成され、タンクポート11cに連通するタンク通路である第1から第5タンク通路81から85をさらに備える。制御バルブ5は、制御スプールであるスプール弁51と、作動油の供給ポート56と、長手方向における他方の側に設けられ、スプール弁51により、供給ポート56と連通した状態で第1タンク通路81と遮断され、第1タンク通路81と連通した状態で供給ポート56と遮断される作動ポート58(第1ポート)と、を有する。クイックリターンバルブ7は、クイックリターンスプールであるスプール弁71と、長手方向における他方の側に設けられ、スプール弁71によって第2タンク通路82と連通、遮断される第1接続ポート73(第2ポート)と、を有する。ハウジング11は、タンクポート11cより長手方向における一方の側に設けられた第2アクチュエータポート11bと、他方の側に設けられた作動ポート58とを、第1接続ポート73を通じて接続する第2内部流路92を有する。
【0080】
この構成によれば、タンクポート11cを長手方向における他方の側に設けた場合において、第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bをタンクポート11cより長手方向における一方の側に設けても、上記のように、タンクポート11cより長手方向における一方の側から、長手方向における他方の側に亘る第2内部流路92を設けることで、クイックリターンバルブ7及び制御バルブ5を通じて、第2アクチュエータポート11bをタンクポート11cに接続することができる。また、作動ポート58は供給ポート56と連通、遮断されるので、適用されるアクチュエータによっては、第2アクチュエータポート11bを作動油の給排ポートとして用いることもできる。
【0081】
バルブユニット1は、ハウジング11に形成され、スプール弁71を横切って設けられるとともに、制御バルブ5の切り換え位置に応じて、スプール弁51により連通、遮断される信号圧通路Pをさらに備える。スプール弁71は、クイックリターンバルブ7の切り換え位置に関わらず、信号圧通路Pと連通する信号圧環状溝としての第3環状溝71cを備える。
【0082】
この構成によれば、信号圧通路Pを横切るようにスプール弁71を設けても、スプール弁71の第3環状溝71cが信号圧通路Pを遮らないので、制御バルブ5の切り換え位置を検出できる。従って、信号圧通路Pを避けてスプール弁71を設けずに済み、スプール弁71及び信号圧通路Pのレイアウト性が向上する。
【符号の説明】
【0083】
1・・・バルブユニット、4・・・油圧モータ(アクチュエータ)、5・・・制御バルブ、7・・・クイックリターンバルブ、11・・・ハウジング、11a・・・第1アクチュエータポート、11b・・・第2アクチュエータポート、11c・・タンクポート、51・・・スプール弁(制御スプール)、56・・・供給ポート、58・・・作動ポート(第1ポート)、71・・・スプール弁(クイックリターンスプール)、71c・・・第3環状溝(信号圧環状溝)、73・・・第1接続ポート(第2ポート)、81~85・・・第1~5タンク通路(タンク通路)、92・・・第2内部流路(内部流路)、100・・・流体圧制御装置、P・・・信号圧通路、S1・・・第1セクション、S2・・・第2セクション、T・・・タンク
【要約】
【課題】配管を削減しつつ、タンクに排出される作動流体の圧力損失を低減する。
【解決手段】バルブユニット1は、ハウジング11と、ハウジング11の外面に開口し、油圧モータ4に接続される第1アクチュエータポート11a及び第2アクチュエータポート11bと、ハウジング11の外面に開口し、タンクTに接続されるタンクポート11cと、ハウジング11の内部に組み込まれ、油圧モータ4の作動を制御する制御バルブ5と、ハウジング11の内部に組み込まれ、第2アクチュエータポート11bからの作動油を、制御バルブ5を介さずにタンクポート11cを通じてタンクTに戻すクイックリターンバルブ7と、を備える。タンクポート11cは、制御バルブ5が設けられている第1セクションS1と、クイックリターンバルブ7が設けられている第2セクションS2とに跨って、ハウジング11の外面に開口する。
【選択図】
図1