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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-12
(45)【発行日】2025-06-20
(54)【発明の名称】半導体スイッチング素子の駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20250613BHJP
【FI】
H02M1/08 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2025512690
(86)(22)【出願日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2023038039
【審査請求日】2025-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】網本 健志
(72)【発明者】
【氏名】諸熊 健一
(72)【発明者】
【氏名】山岡 祐太
(72)【発明者】
【氏名】恩田 航平
(72)【発明者】
【氏名】酒井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田中 章斗
(72)【発明者】
【氏名】長原 輝明
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0062190(US,A1)
【文献】特開2006-067795(JP,A)
【文献】特開2020-124092(JP,A)
【文献】特開2022-053526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御電極を有する半導体スイッチング素子の駆動装置であって、
前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整可能に構成され、前記半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御するための駆動信号に従って前記半導体スイッチング素子を駆動する駆動部と、
前記半導体スイッチング素子のスイッチング速度が変化するように、前記駆動部による前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整する調整部とを備え、
前記調整部は、トリガ信号が変化した場合に、前記駆動部による前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整するための駆動能力信号を前記駆動信号とは異なる調整信号に基づいて生成し、生成された駆動能力信号を前記駆動部に出力し、
前記駆動部は、前記駆動能力信号に応じて前記駆動信号を調整し、調整された駆動信号を前記制御電極に出力する、半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記トリガ信号の立ち上がりおよび立ち下がりのうちの少なくとも一方に前記駆動能力信号を前記駆動部に出力する、請求項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項3】
制御電極を有する半導体スイッチング素子の駆動装置であって、
前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整可能に構成され、前記半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御するための駆動信号に従って前記半導体スイッチング素子を駆動する駆動部と、
前記半導体スイッチング素子のスイッチング速度が変化するように、前記駆動部による前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整する調整部とを備え、
前記調整部は、トリガ信号が変化してから遅延時間が経過したタイミングで、前記駆動部による前記半導体スイッチング素子の駆動能力を調整するための駆動能力信号を前記駆動信号とは異なる調整信号に基づいて生成し、生成された駆動能力信号を前記駆動部に出力し、
前記駆動部は、前記駆動能力信号に応じて前記駆動信号を調整し、調整された駆動信号を前記制御電極に出力する、半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項4】
前記トリガ信号を前記遅延時間だけ遅延させる遅延回路をさらに備える、請求項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項5】
前記遅延時間は、前記調整部により設定される、請求項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項6】
前記遅延時間は、1桁ナノ秒オーダーから2桁ナノ秒オーダーまでの時間長である、請求項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、タイマー信号を出力するタイマーをさらに備え、
前記トリガ信号は、前記タイマー信号である、請求項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項8】
前記トリガ信号は、前記駆動信号である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項9】
前記駆動装置の外部からの周期信号を受ける外部端子をさらに備え、
前記トリガ信号は、前記周期信号である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項10】
前記駆動装置のイネーブルとディスエーブルとを切り替えるイネーブル信号を受けるイネーブル端子をさらに備え、
前記トリガ信号は、前記イネーブル信号である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項11】
前記トリガ信号は、前記駆動装置の電源電圧である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項12】
前記調整信号は、電圧値によって表される電圧信号であり、
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が入力電圧範囲外である場合には、あらかじめ定められた値を示す前記駆動能力信号を生成する、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項13】
前記入力電圧範囲は、第1電圧範囲と、前記第1電圧範囲よりも高い第2電圧範囲と、前記第2電圧範囲よりもさらに高い第3電圧範囲とを含み、
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記あらかじめ定められた値を前記第1電圧範囲内に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項14】
前記入力電圧範囲は、第1電圧範囲と、前記第1電圧範囲よりも高い第2電圧範囲と、前記第2電圧範囲よりもさらに高い第3電圧範囲とを含み、
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記あらかじめ定められた値を前記第2電圧範囲内に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項15】
前記入力電圧範囲は、第1電圧範囲と、前記第1電圧範囲よりも高い第2電圧範囲と、前記第2電圧範囲よりもさらに高い第3電圧範囲とを含み、
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記あらかじめ定められた値を前記第3電圧範囲内に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項16】
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記調整信号が前記入力電圧範囲内である場合と比べて、前記あらかじめ定められた値を低い電圧値に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項17】
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記調整信号が前記入力電圧範囲内である場合と比べて、前記あらかじめ定められた値を高い電圧値に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【請求項18】
前記調整部は、前記調整信号が前記入力電圧範囲内である場合に、前記調整信号の電圧値を前回値として記憶し、
前記調整部は、前記調整信号を受けていない場合または前記調整信号が前記入力電圧範囲外である場合には、前記あらかじめ定められた値を前記前回値に設定する、請求項12に記載の半導体スイッチング素子の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体スイッチング素子の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子が広く普及している。これら半導体スイッチング素子は、たとえばパワー半導体素子として電力変換装置に使用される。
【0003】
特開2019-22253号公報(特許文献1)は半導体駆動装置を開示する。特許文献1の図10および図11に示されるように、半導体駆動装置の短絡保護基板は、過電流検知回路と、短絡検知回路とを含む。IGBTを流れる過電流が過電流検知回路により検出されると、短絡検知回路はIGBTが短絡したと判定する。そうすると、短絡検知回路は、IGBTのゲート電圧を低下させてIGBTを遮断する([0055]~[0058]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-22253号公報
【文献】特開2012-129973号公報
【文献】特開2022-46153号公報
【文献】特開2017-212870号公報
【文献】特開2022-48884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された半導体駆動装置は、IGBTが短絡した場合にIGBTを遮断するに留まる。これは、IGBTの破壊を防止するためにはIGBTの動作を停止せざるを得ない条件下でIGBTの駆動能力を制御しているにすぎない。
【0006】
半導体スイッチング素子(または当該素子が組み込まれた電力変換装置など)が使用される条件に応じて、半導体素子に要求される動作は異なり得る。半導体スイッチング素子が使用される条件に適した動作を半導体スイッチング素子に実行させることが望ましい。
【0007】
本開示は上記課題を考慮してなされたものであり、本開示の目的の1つは、半導体スイッチング素子が使用される条件に適した動作を半導体スイッチング素子に実行させることが可能な、半導体スイッチング素子の駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある態様に係る、制御電極を有する半導体スイッチング素子の駆動装置は、駆動部と、調整部とを備える。駆動部は、半導体スイッチング素子の駆動能力を調整可能に構成され、半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御するための駆動信号に従って半導体スイッチング素子を駆動する。調整部は、半導体スイッチング素子のスイッチング速度が変化するように、駆動部による半導体スイッチング素子の駆動能力を調整する。調整部は、駆動部による半導体スイッチング素子の駆動能力を調整するための駆動能力信号を駆動信号とは異なる調整信号に基づいて生成し、生成された駆動能力信号を駆動部に出力する。駆動部は、駆動能力信号に応じて駆動信号を調整し、調整された駆動信号を制御電極に出力する。
【発明の効果】
【0009】
半導体スイッチング素子のスイッチング速度に応じて、半導体スイッチング素子のスイッチング波形(スイッチング時における電圧および/または電流の波形)が変化する。後に詳細に説明するとおり、スイッチング波形の変化が急峻か緩やかかに関して、スイッチング素子のスイッチング動作に伴い発生する損失(スイッチング損失)とノイズ(スイッチングノイズ)との間にはトレードオフの関係が存在する。本開示によれば、調整信号に応じてスイッチング速度が調整されるので、半導体スイッチング素子が使用される条件に応じてスイッチング損失を低減したりスイッチングノイズを低減したりすることができる。よって、半導体スイッチング素子が使用される条件に適した動作を半導体スイッチング素子に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る電力変換システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】電力変換装置の構成の一例を示す図である。
図3】制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】駆動装置および制御装置の構成の第1例を示す図である。
図5】駆動部の構成の第1例を示す図である。
図6図5に示す抵抗調整回路の構成例を示す図である。
図7】駆動部の構成の第2例を示す図である。
図8図7に示す電流調整回路の構成例を示す図である。
図9】駆動部の構成の第3例を示す図である。
図10】調整信号と駆動能力信号との関係の一例を示す図である。
図11】調整信号と駆動能力信号との関係の他の一例を示す図である。
図12】駆動回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
図13】実施の形態1における駆動能力信号の生成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2における駆動装置の構成の第1例を示す図である。
図15】実施の形態2における駆動装置の構成の第2例を示す図である。
図16】実施の形態2における駆動装置の構成の第3例を示す図である。
図17】実施の形態2における駆動装置の構成の第4例を示す図である。
図18】実施の形態2における駆動装置の構成の第5例を示す図である。
図19】実施の形態2における駆動装置の構成の第6例を示す図である。
図20】駆動能力信号の生成タイミングの第2例を説明するためのタイムチャートである。
図21】駆動能力信号の生成タイミングの第3例を説明するためのタイムチャートである。
図22】駆動能力信号の生成タイミングの第4例を説明するためのタイムチャートである。
図23】実施の形態3における駆動能力信号の生成処理の処理手順の第2例を示すフローチャートである。
図24】実施の形態3における駆動能力信号の生成処理の処理手順の第3例を示すフローチャートである。
図25】実施の形態3における駆動能力信号の生成処理の処理手順の第4例を示すフローチャートである。
図26】実施の形態3における駆動能力信号の生成処理の処理手順の第5例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
以下の実施の形態では、本開示に係るスイッチング素子の駆動装置が電力変換装置に適用される構成を例に説明する。しかし、本開示に係るスイッチング素子の駆動装置の用途は電力変換用途に限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
<システム構成>
図1は、実施の形態1に係る電力変換システムの構成の一例を示すブロック図である。電力変換システム100は、電力変換装置1と、電源8と、負荷9とを備える。
【0014】
電源8は、電力変換装置1に電力を供給する。電源8は、たとえば交流電源(交流系統)であって、典型的には商用電源である。電源8は、蓄電池または太陽電池などの直流電源(直流系統)であってもよい。電源8は、交流電源に接続されたAC/DCコンバータを含んでもよい。電源8は、直流電源から出力される直流電力を昇圧または降圧するDC/DCコンバータを含んでもよい。
【0015】
負荷9は、電力変換装置1から供給される電力によって駆動される機器である。負荷9は、たとえば交流負荷である。具体的には、負荷9は、ハイブリッド車、電気自動車、鉄道車両、エレベータまたは空調機器向けの三相の電動機であってもよい。負荷9は、たとえば、放電加工機、レーザ加工機、誘導加熱調理器、非接触器給電システムであってもよい。負荷9は、直流負荷(たとえば蓄電池)であってもよい。
【0016】
電力変換装置1は、電源8と負荷9の間に電気的に接続されている。電力変換装置1は、電源8から供給された電力を、負荷9による使用に適した電力に変換し、変換された電力を負荷9に供給する。電力変換装置1は、主変換装置2と、主駆動装置3と、制御装置4とを含む。
【0017】
主変換装置2は、前述の電力変換動作を行うための半導体モジュール201を含む。半導体モジュール201は、たとえばスイッチング素子Q1~Q6(図2参照)を含む。各スイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET、IGBT、MESFET(Metal-Semiconductor Field-Effect Transistor)、バイポーラトランジスタなどである。スイッチング素子Q1~Q6の材料は、典型的にはSiであるが、他の材料(SiC、GaN、G2O、ダイヤモンドなど)であってもよい。
【0018】
主駆動装置3は、主変換装置2内の半導体モジュール201を駆動する。制御装置4は、主駆動装置3を制御する。
【0019】
図2は、電力変換装置1の構成の一例を示す図である。この例では、電源8は、三相の交流電源81であって、3つの交流入力端子Ta,Tb,Tcを介して交流電力を主変換装置2に供給する。負荷9は、三相の電動機91であって、3つの交流出力端子Tu,Tv,Twを介して主変換装置2からの交流電力の供給を受ける。主変換装置2は、整流回路21と、インバータ回路22とを含む。
【0020】
整流回路21は、たとえば全波整流回路であって、6つのダイオード211~216を含む。ダイオード211は、高電位の直流電力線PLに接続されたカソードと、交流入力端子Taに接続されたアノードとを有する。ダイオード212は、交流入力端子Taに接続されたカソードと、低電位の直流電力線NLに接続されたアノードとを有する。ダイオード213は、高電位の直流電力線PLに接続されたカソードと、交流入力端子Tbに接続されたアノードとを有する。ダイオード214は、交流入力端子Tbに接続されたカソードと、低電位の直流電力線NLに接続されたアノードとを有する。ダイオード215は、高電位の直流電力線PLに接続されたカソードと、交流入力端子Tcに接続されたアノードとを有する。ダイオード216は、交流入力端子Tcに接続されたカソードと、低電位の直流電力線NLに接続されたアノードとを有する。
【0021】
インバータ回路22は、たとえば2レベルの三相フルブリッジ回路であって、6つのスイッチング素子Q1~Q6と、6つのフリーホイールダイオードD1~D6とを含む。フリーホイールダイオードD1~D6は、スイッチング素子Q1~Q6にそれぞれ逆並列に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2は、互いに直列に接続されてフルブリッジ回路のU相アーム22Uを構成する。スイッチング素子Q3,Q4は、互いに直列に接続されてフルブリッジ回路のV相アーム22Vを構成する。スイッチング素子Q5,Q6は、互いに直列に接続されてフルブリッジ回路のW相アーム22Wを構成する。各相アームは、高電位の直流電力線PLと低電位の直流電力線NLとの間に接続されている。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、交流出力端子Tu,Tv,Twにそれぞれ接続されている。
【0022】
主駆動装置3は、6つの駆動装置31~36を含む。駆動装置31~36は、スイッチング素子Q1~Q6をそれぞれ駆動する。各駆動装置31~36の構成については図4以降にて説明する。
【0023】
制御装置4は、6つの駆動装置31~36の各々に駆動信号Vinj(j=1~6)を出力する。
【0024】
図3は、制御装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置4は、たとえば、プロセッサ41と、メモリ42と、受信装置(receiver)43と、ディスプレイ44とを含む。
【0025】
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ42は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置とを含む。メモリ42には、OS(Operating System)を含むシステムプログラムと、コンピュータ読み取り可能なコードを含む制御プログラムと、電力変換動作を制御するための各種のパラメータとが格納されている。プロセッサ41は、システムプログラム、制御プログラムおよびパラメータを読み出してメモリ42に展開して実行することによって様々な演算処理を実現する。
【0026】
制御装置4は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの処理回路(processing circuitry)(図示せず)により実現されてもよい。その場合、制御装置4は、プロセッサ41およびメモリ42に代えてまたは加えて処理回路を含んでもよい。
【0027】
受信装置43は、タッチパネル、操作ボタン等であって、ユーザによる操作を受け付ける。ディスプレイ44は、モニタ等であって、プロセッサ41による演算処理の途中経過および結果をユーザに向けて表示する。制御装置4は、ディスプレイ44に代えてまたは加えて、プロセッサ41による演算処理の途中経過および結果を外部に送信するための通信モジュール(図示せず)を含んでもよい。
【0028】
制御装置4の構成要素同士は典型的には有線接続される。しかし、構成要素のうちの一部が無線接続されていてもよい。また、プロセッサ41内に配置された電気回路の一部は他の一部に信号を有線で伝送するが、一部の信号(たとえば後述する調整信号Vref)が無線で駆動装置31~36に伝送されてもよい。
【0029】
<装置構成>
≪基本構成≫
図4は、主駆動装置3および制御装置4の基本構成を示す図である。図3に示した駆動装置31~36の各々は、スイッチング素子Q1~Q6のうちの対応するスイッチング素子に対して同様の処理を実行する。したがって、紙面が煩雑になるのを避けるため、これ以降の各図では、6つのスイッチング素子Q1~Q6のうちの1つであるスイッチング素子Qと、スイッチング素子Qを駆動する駆動装置30(駆動装置31~36のうちスイッチング素子Qに対応する駆動装置)とのみが代表的に図示されている。
【0030】
スイッチング素子Qはパワー半導体素子である。スイッチング素子Qは、この例ではパワーMOSFETであって、ドレインDと、ソースSと、ゲートG(制御電極)とを含む。スイッチング素子Qは、前述のとおり、IGBTであってもよいし、MESFETであってもよいし、バイポーラパワートランジスタであってもよい。
【0031】
制御装置4は、スイッチング素子Qのスイッチング動作を制御するための駆動信号Vinを生成する。制御装置4は、たとえば、三角波キャリア信号と電圧指令値との比較に基づくPWM(Pulse Width Modulation)制御によって駆動信号Vinを生成する。制御装置4は、三角波キャリア信号に代えて、空間ベクトル法などの他の方式を用いて駆動信号Vinを生成してもよい。制御装置4は、生成された駆動信号Vinを駆動装置30に出力する。
【0032】
駆動装置30は、電源電圧Vccと、基準電位(図4ではグランドGND)とに接続されている。ただし、上アームを駆動する駆動装置31,33,35と、下アームを駆動する駆動装置32,34,36との間では電源電圧Vccおよび基準電位が異なる。駆動装置30は、駆動部301と、調整部302と、端子T1~T3とを含む。端子T1は、制御装置4に電気的に接続されている。上アームを駆動する駆動装置31,33,35と制御装置4との間では基準電位が異なり得るため、駆動装置31,33,35の各端子T1と制御装置4との間には図示しないインターフェイス(レベルシフト回路、アイソレータなど)が設けられている。端子T2は、制御装置4(または図示しない外部装置)に接続されている。端子T3は、スイッチング素子Qに電気的に接続されている。
【0033】
調整部302は、駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力を調整する。駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力は、スイッチング素子Qのスイッチング速度を決定付ける。駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力が高いほど、スイッチング素子Qのスイッチング速度が速い。
【0034】
より詳細には、調整部302は、制御装置4(または外部装置)から端子T2を介して調整信号Vrefを受ける。調整部302は、調整信号Vrefに基づいて、駆動部301の駆動能力の調整に関する目標である目標駆動能力を決定する。そして、調整部302は、目標駆動能力に基づいて、駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力を調整するための駆動能力信号Vcapを生成し、生成された駆動能力信号Vcapを駆動部301に出力する。
【0035】
駆動部301は、制御装置4から端子T1を介して駆動信号Vinを受けるとともに、調整部302から駆動能力信号Vcapを受ける。駆動部301は、駆動信号Vinおよび駆動能力信号Vcapに基づいてゲート信号Sgを生成する。より詳細には、駆動部301は、駆動能力信号Vcapに応じてスイッチング素子Qの駆動能力が調整されるように構成され、調整された駆動能力に従って駆動信号Vinからゲート信号Sgを生成する。駆動部301は、生成されたゲート信号Sgを端子T3を介してスイッチング素子QのゲートGに出力する。これにより、スイッチング素子QのゲートGに与えられるゲート信号Sgの波形(ゲート波形)を駆動能力信号Vcapに応じて変化させることができる。なお、ゲート信号Sgは、本開示に係る「調整された駆動信号」に相当する。
【0036】
≪駆動部の構成≫
駆動部301の代表的な3つの構成例について説明する。ただし、駆動部301の構成は、スイッチング素子Qの駆動能力(スイッチング速度)を調整可能であれば、これらに限定されるものではない。
【0037】
図5は、駆動部の構成の第1例を示す図である。駆動部301Aは、駆動部301に含まれるゲート抵抗を可変に構成されている。駆動部301Aは、制御回路51と、抵抗調整回路52とを含む。
【0038】
制御回路51は、駆動信号Vinおよび駆動能力信号Vcapに基づいて抵抗調整回路52を駆動することによってゲート信号Sgを生成する。抵抗調整回路52は、たとえば複数の直列回路を含む。複数の直列回路の各々は、互いに直列に接続された抵抗素子521とスイッチ522とを含む。各スイッチ522は、制御回路51からの制御信号に応答してオンオフ制御される。制御回路51は、抵抗調整回路52に含まれる複数の抵抗素子521のうちの制御対象とする抵抗素子(どの抵抗素子を接続し、どの抵抗素子を遮断するか)を駆動能力信号Vcapに基づいて選択し、選択された抵抗素子に対応するスイッチのオンオフを切り替える。これにより、スイッチング素子Qのゲート抵抗を所望の値に調整できる。
【0039】
図6は、図5に示す抵抗調整回路52の構成例を示す図である。抵抗調整回路52は、互いに並列に接続された複数(この例では8個)のPチャネルMOSFET610~617と、互いに並列に接続された複数(この例では8個)のNチャネルMOSFET620~627とを含む。
【0040】
8個のPチャネルMOSFET610~617は、互いに異なるゲート幅(より詳細には、Wpから128Wpまでの間で2倍ずつ増加するようなゲート幅)を有する。8個のNチャネルMOSFET620~627も同様である。PチャネルMOSFET610~617およびNチャネルMOSFET620~627の各々は制御回路51からの信号(Hp[0]~Hp[7],Hn[0]~Hn[7])に応じてオンオフ制御される。PチャネルMOSFET610~617の共通のドレインとNチャネルMOSFET620~627の共通のドレインとはスイッチング素子Qのゲートに接続されている。このような回路構成を採用することにより、スイッチング素子Qのゲート抵抗を段階的(この例では256段階)に調整できる。
【0041】
図7は、駆動部の構成の第2例を示す図である。駆動部301Bは、スイッチング素子Qのゲート電流を可変に構成されている。駆動部301Bは、制御回路53と、電流調整回路54とを含む。
【0042】
電流調整回路54は、たとえば、スイッチング素子Qのゲートに接続されたスイッチ541と、オペアンプ542とを含む。オペアンプ542は、調整部302から与えられる駆動能力信号Vcapに追従するように、スイッチ541を流れる電流(ゲート電流)を変化させる。制御回路53は、駆動信号Vinに応じてスイッチ541をスイッチングすることによって、スイッチ541を流れる電流をオンオフ制御する。
【0043】
図8は、図7に示す電流調整回路54の構成例を示す図である。電流調整回路54は、カレントミラー回路63と、誤差増幅回路64と、スイッチ65とを含む。
【0044】
カレントミラー回路63は、トランジスタサイズが1:x(たとえばx=100)の一対のトランジスタ(この例ではPチャネルMOSFET)631,632を含む。トランジスタ631,632のゲートは互いに接続されている。トランジスタ631,632のソースは電源電圧Vccに並列に接続されている。トランジスタ631のドレインは、トランジスタ631,632の共通のゲートに接続されている。カレントミラー回路63は、入力側のトランジスタ631を流れる電流Iaに比例する電流Ibを出力側のトランジスタ632に流す。
【0045】
誤差増幅回路64は、入力側のトランジスタ631を流れる電流Iaの大きさを変化させるためのトランジスタ(この例ではNチャネルMOSFET)641と、電流Iaに対応する電圧Vaを生成する抵抗642と、オペアンプ643とを含む。トランジスタ641(ドレインおよびソース)と抵抗642とは、カレントミラー回路63のトランジスタ631のドレインとグランドGNDとの間に直列に接続されている。オペアンプ643の非反転入力端子は、調整部302から駆動能力信号Vcapを受けるノードに接続されている。オペアンプ643の反転入力端子は、トランジスタ641のソースに接続されている。誤差増幅回路64は、カレントミラー回路63の入力側に流れる電流Iaを検出し、電流Iaに対応する電圧Vaを生成する。誤差増幅回路64は、電圧Vaが駆動能力信号Vcapに追従するように電流Iaを変化させる。
【0046】
スイッチ65は、スイッチング素子Qのゲート電流をオンオフ制御するためのトランジスタ(この例ではNチャネルMOSFET)である。スイッチ65のゲートは、制御装置4から駆動信号Vinを受けるノードに接続されている。スイッチ65のドレインは、カレントミラー回路63の出力側のトランジスタ632のドレインに接続されている。スイッチ65のソースは、スイッチング素子Qのゲートに接続されている。このような回路構成を採用することにより、スイッチング素子Qのゲート電流(カレントミラー回路63の出力側の電流Ib)を駆動能力信号Vcapに応じて調整できる。
【0047】
図9は、駆動部の構成の第3例を示す図である。駆動部301Cは、スイッチング素子Qのゲート電圧を可変に構成されている。駆動部301Cは、電圧調整回路55と、駆動回路56とを含む。駆動回路56は、たとえば、電源電圧VccとグランドGNDとの間に直列に接続されたNPN型のバイポーラトランジスタ561とPNP型のバイポーラトランジスタ562とを含む。電圧調整回路55は、電圧増幅器551(たとえばオペアンプ回路)を含む。電圧増幅器551の増幅率は駆動能力信号Vcapによって調整される。バイポーラトランジスタ561,562の共通のゲートは、電圧増幅器551によって増幅された駆動信号Vinを受ける。バイポーラトランジスタ561,562の共通の出力ノードは、スイッチング素子Qのゲートに接続されている。これにより、スイッチング素子Qのゲート電圧を駆動能力信号Vcapに応じて調整できる。
【0048】
<駆動能力信号>
図10は、調整信号Vrefと駆動能力信号Vcapとの関係の一例を示す図である。図11は、調整信号Vrefと駆動能力信号Vcapとの関係の他の一例を示す図である。横軸は調整信号Vref(の電圧値)を表す。縦軸は駆動能力信号Vcap(の電圧値)を表す。
【0049】
調整信号Vrefが高いほど駆動能力信号Vcapが高い。駆動能力信号Vcapは、調整信号Vrefの上昇に伴い、図10に示すように線形に上昇してもよいし、図11に示すようにステップ的に上昇してもよい。図示しないが、駆動能力信号Vcapは、調整信号Vrefの上昇に伴い非線形(曲線的)に上昇してもよい。
【0050】
<駆動装置の動作>
図12は、駆動装置30の動作を説明するためのタイムチャートである。横軸は経過時間を表す。縦軸は、上から順に、調整信号Vref、駆動能力信号Vcap、駆動信号Vinおよびゲート信号Sgを表す。後述する他の例(図20および図21参照)でも同様である。
【0051】
初期時刻t10における調整信号Vrefは0Vである。調整信号Vrefは、時刻t11にて上昇し、時刻t14にてさらに上昇する。駆動信号Vinは、ハイレベル(H)とローレベル(L)との間で定期的(周期的)な変化(立ち上がりおよび立ち下がり)を繰り返す。
【0052】
図12に示す例では、駆動信号Vinの立ち上がりが駆動能力信号Vcapの生成(更新)タイミングである。そのため、駆動信号Vinが立ち上がる時刻t12、時刻t15および時刻17において、調整信号Vrefに基づき駆動能力信号Vcapが生成(更新)される。
【0053】
スイッチング素子Qのターンオンスイッチング時には、スイッチング素子QのドレインD(正極)とソースS(負極)との間に印加される電圧が低下し、かつ、ドレインDとソースSとの間を流れる電流が増大する。スイッチング素子Qのターンオフスイッチング時には、ドレインDとソースSとの間に印加される電圧が増大し、かつ、ドレインDとソースSとの間を流れる電流が減少する。これらスイッチング時における電圧(ドレインDとソースSとの間の電圧)および電流(ドレインDとソースSとの間を流れる電流)のうちの少なくとも1つの変化を示す波形を「スイッチング波形」という。
【0054】
一般に、スイッチング素子のスイッチング動作に伴い、スイッチング損失と導通損失とが発生する。スイッチング損失は、電圧波形と電流波形とが重なり合う領域の面積に依存する。したがって、スイッチング損失は、スイッチング波形が急峻な変化を示す場合に低減する一方で、スイッチング波形が緩やかな変化を示す場合に増大する。また、スイッチング素子のスイッチング動作に伴い、高周波のスイッチングノイズが発生してスイッチング波形に重畳する。スイッチングノイズは、スイッチング波形が急峻な変化を示す場合に増大する一方で、スイッチング波形が緩やかな変化を示す場合には低減される。このように、スイッチング波形の変化が急峻か緩やかかに関して、スイッチング損失とスイッチングノイズとはトレードオフの関係にある。
【0055】
駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力が上昇するように駆動能力信号Vcapを設定した場合、スイッチング素子Qのスイッチング速度が上昇してスイッチング波形が急峻な変化を示すようになる。そのため、スイッチングノイズが増大する一方でスイッチング損失が低減する(損失低減モード)。これにより、電力変換装置1の省エネ性能を向上させ、エネルギー消費量を低減できる。
【0056】
反対に、駆動部301によるスイッチング素子Qの駆動能力が低下するように駆動能力信号Vcapを設定した場合、スイッチング素子Qのスイッチング速度が低下してスイッチング波形が緩やかな変化を示すようになる。そのため、スイッチング損失が増大する一方でスイッチングノイズが低減する(ノイズ低減モード)。これにより、電力変換装置1をEMC(Electromagnetic Compatibility)規格に適合させることが容易になる。また、EMC対策部品が不要になり得るため、部材コストを低減できる可能性がある。
【0057】
<処理フロー>
図13は、実施の形態1における駆動能力信号Vcapの生成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば、あらかじめ定められた制御周期ごとに実行される。各ステップは、駆動装置30(および制御装置4)に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよいし、駆動装置30(および制御装置4)によるソフトウェア処理により実現されてもよい。後述する他のフローチャートに示される処理についても同様である。以下、ステップをSと略す。
【0058】
S101において、駆動装置30は、駆動能力信号Vcapを生成(または更新)するトリガとなる条件(以下「トリガ条件」とも記載する。)が満足されたかどうかを判定する。様々なトリガ条件については実施の形態2にて説明する。
【0059】
トリガ条件が満足されていない場合(S101においてNO)、駆動装置30は、以降の処理を実行することなく処理を終了する。トリガ条件が満足されている場合(S101においてYES)、駆動装置30は、調整信号Vrefを受けたかどうかを判定する(S102)。
【0060】
調整信号Vrefを受けていない場合(S102においてNO)、駆動装置30は、以降の処理を実行することなく処理を終了する。調整信号Vrefを受けた場合(S102においてYES)、駆動装置30は、調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VRのうちのどの電圧範囲に属するかを判定する(S103)。入力電圧範囲VRとは、駆動装置30の入出力特性に基づいて定められる電圧範囲であって、典型的には仕様書に記載された使用電圧範囲である。この例では、入力電圧範囲VRは、低電圧範囲、中電圧範囲および高電圧範囲の3つに区分される。
【0061】
調整信号Vrefが低電圧範囲に属する場合、駆動装置30は、駆動能力信号Vcapを第1電圧値V1に設定する(S104)。これにより、ノイズ低減が損失低減よりも優先される「ノイズ低減モード」が実現される。
【0062】
調整信号Vrefが中電圧範囲に属する場合、駆動装置30は、駆動能力信号Vcapを第1電圧値V1よりも高い第2電圧値V2に設定する(S105)。V2は、たとえばV1とV3との中間電圧値である(V2=(V1+V3)/2)。これにより、ノイズ低減と損失低減とが同程度に重み付けられた「バランスモード」が実現される。
【0063】
調整信号Vrefが高電圧範囲に属する場合、駆動装置30は、駆動能力信号Vcapを第2電圧値V2よりもさらに高い第3電圧値V3に設定する(S106)。これにより、損失低減がノイズ低減よりも優先される「損失低減モード」が実現される。
【0064】
図13に示す処理手順によれば、電力変換装置1が使用される条件に応じて選択される適切なモードに従って駆動装置30を動作させることが可能になる。たとえば、電力変換装置1が小電流で駆動される場合、そもそものノイズが小さいので、損失低減モードを選択して省エネ性能を向上できる。逆に、電力変換装置1が大電流で駆動される場合、大きなノイズが発生し得るため、ノイズ低減モードを選択してスイッチングノイズを低減できる。
【0065】
あるいは、周囲が静かな場所に電力変換装置1が設置されている場合、または周囲が静かな時間帯に電力変換装置1が駆動される場合などには、ノイズ低減モードが選択され得る。逆に、周囲が騒々しい場所に電力変換装置1が設置されている場合、または周囲が騒々しい時間帯に電力変換装置1が駆動される場合などには、損失低減モードが選択され得る。適度な騒音環境下ではバランスモードが選択されてもよい。
【0066】
どのモードが選択されるかは電力変換装置1のユーザが手動で設定してもよい。あるいは、遠隔地からの無線指令(たとえば電力変換装置1を管理するサーバからの指令)によりモードが設定されてもよい。各種センサ(たとえば騒音センサ)により検出される、電力変換装置1の使用条件に応じてモードが設定されてもよい。電力変換装置1の使用条件(設置環境)に応じて電力変換装置1の出荷時または設置時にモードがあらかじめ設定されていてもよい。
【0067】
以上のように、スイッチング素子Qのスイッチング波形の変化が急峻か緩やかかに関して、スイッチング損失とスイッチングノイズとの間にトレードオフの関係が存在するところ、実施の形態1においては、駆動装置30によるスイッチング素子Qのスイッチング速度が調整信号Vrefに応じて調整される。これにより、スイッチング損失の低減を重視するか、スイッチングノイズの低減を重視するか、スイッチング損失およびスイッチングノイズの両方を一定程度低減するかなどをスイッチング素子Qの使用条件に応じて切り替えることが可能になる。よって、実施の形態1によれば、スイッチング素子Qが使用される条件に適した動作をスイッチング素子Qに実行させることができる。
【0068】
この例では理解を容易にするため、駆動能力信号Vcapが3段階に設定されると説明した。しかし、駆動能力信号Vcapは、2段階に設定されてもよいし、4段階以上の多段階に設定されてもよい。段階数を十分に増大させる(たとえば図6にて説明したように256段階に設定する)ことにより、駆動能力信号Vcapを実質的に無段階に設定できる。これにより、ノイズ低減および損失低減のうちのどちらをどの程度優先するかを自由に設定可能な「カスタムモード」が実現される。
【0069】
実施の形態2.
実施の形態1の図4では、駆動装置30の基本構成について説明した。実施の形態2においては、駆動装置として採用可能な種々の構成例(変形例)について説明する。
【0070】
<駆動装置の構成>
図14は、実施の形態2における駆動装置の構成の第1例を示す図である。駆動装置30Aは、タイマー部303をさらに含む点において、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。
【0071】
タイマー部303は、タイマー信号TMRを調整部302に出力する。タイマー信号TMRは、事前に設定された時刻が到来すると活性化する信号であってもよいし、前回の活性時から規定時間が経過する度に活性化する信号であってもよい。調整部302は、タイマー信号TMRに応答して、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成(更新)する。これにより、駆動能力信号Vcapがタイマー信号TMRに同期して生成される。その結果、駆動能力信号Vcapを断続的に生成したり、駆動能力信号Vcapを定期的(周期的)に生成したりすることが可能になる。
【0072】
なお、図12に示す構成例では、調整信号Vrefが制御装置4から供給されている。しかし、調整信号Vrefの供給元は特に限定されず、制御装置4以外の外部装置(図示せず)であってもよい。後述する他の例についても同様である。
【0073】
図15は、実施の形態2における駆動装置の構成の第2例を示す図である。駆動装置30Bは、調整部302が制御装置4からの駆動信号Vinを受ける点において、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。
【0074】
調整部302は、駆動信号Vinに応答して、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成(更新)する。これにより、駆動能力信号Vcapが駆動信号Vinに同期して生成される。
【0075】
図16は、実施の形態2における駆動装置の構成の第3例を示す図である。図16に示す電力変換装置1はクロック回路7をさらに備える。駆動装置30Cは、調整部302がクロック回路7からのクロック信号CLKを受ける点において、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。
【0076】
調整部302は、クロック信号CLKに応答して、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成(更新)する。これにより、駆動能力信号Vcapがクロック信号CLKに同期して生成される。
【0077】
なお、クロック信号CLKは、本開示に係る「周期信号」の一例である。クロック信号CLKは制御装置4を介して調整部302に与えられてもよい。本開示に係る「周期信号」は、駆動装置30Cの外部から駆動装置30Cに与えられて周期的に変化する信号であれば特に限定されず、たとえば発振回路により生成された信号であってもよい。
【0078】
図17は、実施の形態2における駆動装置の構成の第4例を示す図である。図17に示す制御装置4は、駆動装置30Dのイネーブル(enable)とディスエーブル(disable)とを切り替えるためのイネーブル信号ENを駆動装置30Dに出力する。駆動装置30Dは、調整部302が制御装置4からのイネーブル信号ENを受ける点において、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。イネーブル信号ENは、制御装置4以外の外部装置(図示せず)から調整部302に与えられてもよい。
【0079】
調整部302は、イネーブル信号ENに応答して、特にディスエーブルからイネーブルへの切替タイミングで、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成(更新)する。これにより、駆動能力信号Vcapがイネーブル信号ENに同期して生成される。
【0080】
図18は、実施の形態2における駆動装置の構成の第5例を示す図である。駆動装置30Eは、電圧検出部304をさらに含む点において、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。電圧検出部304は、たとえばパワーオンリセットIC(Integrated Circuit)であって、電源電圧Vcc(すなわち駆動装置30Eへの電源投入)を検出する。駆動装置30Eに電源が投入された場合に、電圧検出部304は、パワーオンリセット信号PORを調整部302に出力する。
【0081】
調整部302は、パワーオンリセット信号PORに応答して、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成(更新)する。これにより、駆動能力信号Vcapがパワーオンリセット信号PORに同期して生成される。
【0082】
図19は、実施の形態2における駆動装置の構成の第6例を示す図である。駆動装置30Fは、調整部302が制御装置4から駆動信号Vinを受ける点と、調整部302が遅延フィルタ305を含む点とにおいて、基本構成を有する駆動装置30(図4参照)と異なる。
【0083】
調整部302は、駆動信号Vinに応答して、調整信号Vrefに基づいて駆動能力信号Vcapを生成する。この際、駆動信号Vinには遅延フィルタ305により遅延が与えられる。遅延時間td(図21参照)は、遅延フィルタ305の時定数により定められ、1桁ナノ秒オーダーから2桁ナノ秒オーダーまでの範囲内の時間長であることが好ましい。これにより、駆動能力信号Vcapが駆動信号Vinに同期して生成(更新)される。
【0084】
1桁ナノ秒オーダーとは、1ナノ秒以上かつ10ナノ秒未満の時間範囲を意味する。2桁ナノ秒オーダーとは、10ナノ秒以上かつ100ナノ秒未満の時間範囲を意味する。1桁ナノ秒オーダーから2桁ナノ秒オーダーまでとは、典型的には数ナノ秒から数十ナノ秒までの時間長である。遅延フィルタ305は本開示に係る「遅延回路」に相当する。
【0085】
<駆動能力信号の生成タイミング>
実施の形態1の図12では、駆動信号Vinの立ち上がりが駆動能力信号Vcapの生成(更新)タイミングである第1例について説明した。図20図22では、駆動能力信号Vcapの生成タイミングの他の例について説明する。
【0086】
図20は、駆動能力信号Vcapの生成タイミングの第2例を説明するためのタイムチャートである。図12と同様に、初期時刻t10では0Vであった調整信号Vrefが時刻t21にて上昇し、時刻t24にてさらに上昇する状況を想定する。
【0087】
図20では駆動信号Vinの立ち下がりが駆動能力信号Vcapの生成タイミングである。そのため、駆動信号Vinが立ち下がる時刻t23、時刻t26および時刻28において、調整信号Vrefから駆動能力信号Vcapが生成(更新)される。
【0088】
図21は、駆動能力信号Vcapの生成タイミングの第3例を説明するためのタイムチャートである。図21に示すように、駆動信号Vinの立ち上がりから遅延時間tdが経過した時刻が駆動能力信号Vcapの生成(更新)タイミングであってもよい。図示しないが、駆動信号Vinの立ち下がりから遅延時間tdが経過した時刻が駆動能力信号Vcapの生成タイミングであってもよい。図19にて説明したように、遅延時間tdは、たとえば遅延フィルタ305の時定数に基づいて設定される。
【0089】
図22は、駆動能力信号Vcapの生成タイミングの第4例を説明するためのタイムチャートである。横軸は経過時間を表す。縦軸は、上から順に、調整信号Vref、駆動能力信号Vcap、イネーブル信号EN、駆動信号Vinおよびゲート信号Sgを表す。
【0090】
図12図20および図21では、駆動能力信号Vcapの生成タイミングが駆動信号Vinに関連付けられている例について説明した。しかし、図22に示すように、駆動能力信号Vcapの生成タイミングがイネーブル信号ENに関連付けられていてもよい。この例では、イネーブル信号ENの立ち上がり(時刻t402,t409参照)が駆動能力信号Vcapの生成タイミングである。図示しないが、イネーブル信号ENの立ち下がりが駆動能力信号Vcapの生成タイミングであってもよい。また、イネーブル信号ENの立ち上がりまたは立ち下がりから遅延時間tdが経過した時刻が駆動能力信号Vcapの生成タイミングであってもよい。
【0091】
駆動能力信号Vcapの生成タイミングに関連付けられる信号は駆動信号Vinまたはイネーブル信号ENに限定されない。当該関連付けられる信号としては任意の信号を使用可能である。当該関連付けられる信号は、タイマー信号TMR(図14参照)であってもよいし、クロック信号CLK(図16参照)であってもよいし、パワーオンリセット信号POR(図18参照)であってもよい。これらの信号の立ち上がり/立ち下がりのどちらに駆動能力信号Vcapの生成タイミングが関連付けられてもよいし、これらの信号の立ち上がり/立ち下がりに対して遅延時間tdが設けられてもよい。
【0092】
以上のように、実施の形態2においては、実施の形態1と同様に、スイッチング素子Qが使用される条件に適した動作をスイッチング素子Qに実行させることができる。加えて、実施の形態2によれば、駆動信号Vin、クロック信号CLK(周期信号)、イネーブル信号EN、パワーオンリセット信号POR(電源投入)などの「トリガ信号」に同期して駆動能力信号Vcapが生成される。あるいは、駆動能力信号Vcapが生成タイミングが「トリガ信号」の立ち上がりに設定されたり、「トリガ信号」の立ち下がりに設定されたり、遅延された「トリガ信号」の変化タイミングに設定されたりする。これにより、所望のタイミングでスイッチング素子Qのスイッチング速度を切り替えることが可能になる。
【0093】
実施の形態3.
調整信号Vrefが調整部302に与えられなかったり、調整部302に与えられた調整信号Vrefがあらかじめ定められた入力電圧範囲VRの範囲外であったりする場合がある。実施の形態3においては、このような場合に駆動装置30がどのような駆動能力信号Vcapを生成(更新)し得るかについて説明する。
【0094】
<駆動能力信号の生成処理>
図23は、実施の形態3における駆動能力信号Vcapの生成処理の処理手順の第2例を示すフローチャートである。トリガ条件に関するS201の処理は、実施の形態1におけるS101の処理(図13参照)と同様である。
【0095】
S202において、駆動装置30は、調整信号Vrefを受けたかどうかを判定する。調整信号Vrefを受けた場合(S202においてYES)、駆動装置30は、調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR内であるかどうかを判定する(S203)。調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR内である場合(S203においてYES)、駆動装置30は、駆動能力信号Vcapを調整信号Vrefの電圧値に応じた電圧値に設定する(S204)。この処理は、実施の形態1におけるS103~S106の処理と同様であるため、説明は繰り返さない。
【0096】
S202にて調整信号Vrefを受けていない場合(S202においてNO)またはS203にて調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合(S203においてNO)、駆動装置30は、処理をS205に進め、駆動能力信号VcapをV1~V3のうち最も低いV1に設定する。これにより、ノイズ低減モードが実現される。
【0097】
このように、第2例では、調整信号Vrefを受けていない場合または調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合には、駆動能力信号VcapがV1~V3のうち最も低いV1に設定される。言い換えると、駆動能力信号Vcapのデフォルト値がV1に設定される。これにより、たとえ駆動装置30が適切な調整信号Vrefを受けることができない状況であっても、スイッチング素子Qのスイッチングノイズを確実に低減できる。
【0098】
図24は、実施の形態3における駆動能力信号Vcapの生成処理の処理手順の第3例を示すフローチャートである。S301~S304の処理は、第2例におけるS201~S204の処理と同様であるため、説明は繰り返さない。
【0099】
S302にて調整信号Vrefを受けていない場合(S302においてNO)またはS303にて調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合(S303においてNO)、駆動装置30は、処理をS305に進め、駆動能力信号VcapをV2に設定する。これにより、バランスモードが実現される。
【0100】
このように、第3例では、調整信号Vrefを受けていない場合または調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合には、駆動能力信号VcapがV1~V3のうちの中間値(典型値)であるV2に設定される。言い換えると、駆動能力信号Vcapのデフォルト値がV2に設定される。これにより、たとえ駆動装置30が適切な調整信号Vrefを受けることができない状況であっても、スイッチング素子Qの一定程度のスイッチング損失の低減と一定程度のスイッチングノイズの低減とを両立できる。
【0101】
図25は、実施の形態3における駆動能力信号Vcapの生成処理の処理手順の第4例を示すフローチャートである。S401~S404の処理は、第2例におけるS201~S204の処理と同様であるため、説明は繰り返さない。
【0102】
S402にて調整信号Vrefを受けていない場合(S402においてNO)またはS403にて調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合(S403においてNO)、駆動装置30は、処理をS405に進め、駆動能力信号VcapをV3に設定する。これにより、損失低減モードが実現される。
【0103】
このように、第3例では、調整信号Vrefを受けていない場合または調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合には、駆動能力信号VcapがV1~V3のうち最も高いV3に設定される。言い換えると、駆動能力信号Vcapのデフォルト値がV3に設定される。これにより、たとえ駆動装置30が適切な調整信号Vrefを受けることができない状況であっても、スイッチング素子Qのスイッチング損失を確実に低減できる。
【0104】
図26は、実施の形態3における駆動能力信号Vcapの生成処理の処理手順の第4例を示すフローチャートである。S501~S504の処理は、第2例におけるS201~S204の処理と同様であるため、説明は繰り返さない。
【0105】
S504にて駆動能力信号Vcapを調整信号Vrefに応じた電圧値に設定した後、駆動装置30は、処理をS505に進める。S505において、駆動装置30は、S504にて設定した駆動能力信号Vcapの電圧値を前回値として記憶する。
【0106】
S502にて調整信号Vrefを受けていない場合(S502においてNO)またはS503にて調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合(S503においてNO)、駆動装置30は、処理をS506に進め、駆動能力信号Vcapを記憶された前回値に設定する。
【0107】
このように、第4例では、調整信号Vrefを受けていない場合または調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合には、駆動能力信号Vcapが前回値に設定される。駆動能力信号Vcapの前回値は、スイッチング素子Q(またはスイッチング素子Qが組み込まれた電力変換装置1)の使用条件に適した電圧値に設定されている可能性が高い。したがって、たとえ駆動装置30が適切な調整信号Vrefを受けることができない状況であっても、スイッチング素子Qの使用条件に適した動作をスイッチング素子Qに実行させることができる。
【0108】
以上のように、実施の形態3においては、実施の形態1と同様に、スイッチング素子Qが使用される条件に適した動作をスイッチング素子Qに実行させることができる。加えて、実施の形態3では、駆動装置30が調整信号Vrefを受けていない場合または調整信号Vrefの電圧値が入力電圧範囲VR外である場合にも、駆動装置30は、あらかじめ定められた規則に従って駆動能力信号Vcapを生成する。これにより、たとえ何らかの理由で制御装置4が調整信号Vrefを適切に調整できなくなったとしても、事前設定に従ってノイズ低減を優先したり損失低減を優先したりすることが可能になる。また、駆動装置30が適切な調整信号Vrefを受けることができない状況であっても、スイッチング素子Qが使用される条件に適した可能性が高い動作をスイッチング素子Qに実行させることができる。
【0109】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この出願の範囲は上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 電力変換装置、2 主変換装置、201 半導体モジュール、21 整流回路、211~216 ダイオード、22 インバータ回路、22U,22V,22W アーム、3 主駆動装置、30,30A~30F,31~36 駆動装置、301,301A~301C 駆動部、302 調整部、303 タイマー部、304 電圧検出部、305 遅延フィルタ、4 制御装置、41 プロセッサ、42 メモリ、43 受信装置、44 ディスプレイ、51,53 制御回路、52 抵抗調整回路、521 抵抗素子、522 スイッチ、54 電流調整回路、541 スイッチ、542 オペアンプ、55 電圧調整回路、551 電圧増幅器、56 駆動回路、561,562 バイポーラトランジスタ、610~617,620~627 MOSFET、63 カレントミラー回路、631,632 トランジスタ、64 誤差増幅回路、641 トランジスタ、642 抵抗、643 オペアンプ、65 スイッチ、7 クロック回路、8 電源、81 交流電源、9 負荷、91 電動機、100 電力変換システム、D1~D6 フリーホイールダイオード、EN イネーブル信号、NL,PL 直流電力線、Q,Q1~Q6 スイッチング素子、T1,T2,T3 端子、Ta,Tb,Tc 交流入力端子、Tu,Tv,Tw 交流出力端子。
【要約】
駆動部(301)は、半導体スイッチング素子(Q)の駆動能力を調整可能に構成され、半導体スイッチング素子(Q)のスイッチング動作を制御するための駆動信号(Vin)に従って半導体スイッチング素子(Q)を駆動する。調整部(302)は、半導体スイッチング素子(Q)のスイッチング速度が変化するように、駆動部(301)による半導体スイッチング素子(Q)の駆動能力を調整する。調整部(302)は、駆動部(301)による半導体スイッチング素子(Q)の駆動能力を調整するための駆動能力信号(Vcap)を駆動信号(Vin)とは異なる調整信号(Vin)に基づいて生成し、生成された駆動能力信号(Vcap)を駆動部(301)に出力する。駆動部(301)は、駆動能力信号(Vcap)に応じて駆動信号(Vin)を調整し、調整された駆動信号(Sg)を制御電極(G)に出力する。
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