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特許7696546インク供給装置、画像形成装置、および画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-13
(45)【発行日】2025-06-23
(54)【発明の名称】インク供給装置、画像形成装置、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20250616BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 123
B41J2/01 213
B41J2/01 303
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021116838
(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公開番号】P2023012997
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓也
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132152(JP,A)
【文献】特開2019-147307(JP,A)
【文献】特開2021-054014(JP,A)
【文献】国際公開第2022/114018(WO,A1)
【文献】特開2019-001974(JP,A)
【文献】特開2017-043004(JP,A)
【文献】特開2019-166760(JP,A)
【文献】特開2020-104387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0029259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって一方向に搬送される記録媒体に、インク供給によって画像形成するためのインク供給装置であって、
前記記録媒体の搬送方向に沿って配列された複数のノズル開口を有し各ノズル開口からインクを噴出するインクヘッドと、
前記記録媒体の搬送方向に沿って配列された複数のノズル開口を有し各ノズル開口から処理液を噴出する処理ヘッドと、
前記インクヘッドと前記処理ヘッドとを一体に保持し、前記記録媒体の表面に沿って前記搬送方向に対して垂直な搬送幅方向に往復で移動するキャリッジとを備え、
前記キャリッジは、
前記処理ヘッドとして、前記インクヘッドから供給されるインクの前処理液を供給する前処理ヘッドと、前記インクヘッドから供給されるインクの後処理液を供給する後処理ヘッドとを保持し、
前記インクヘッドに対して前記搬送方向の上流側に前記前処理ヘッドをずらして保持し
前記インクヘッドに対して前記搬送方向の下流側に前記後処理ヘッドをずらして保持し、
前記インクヘッドと前記前処理ヘッドとの前記搬送方向に対するずれ幅と、前記インクヘッドと前記後処理ヘッドとの前記搬送方向に対するずれ幅とは同一である
インク供給装置。
【請求項2】
前記キャリッジは、前記搬送幅方向に配列された複数のインクヘッドを保持し、前記複数のインクヘッドの配列の外側に前記処理ヘッドを保持する
請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項3】
前記前処理液は、少なくとも凝集剤を含む
請求項に記載のインク供給装置。
【請求項4】
前記後処理液は、少なくとも樹脂分散剤を含む
請求項に記載のインク供給装置。
【請求項5】
前記インクヘッドと前記処理ヘッドは、前記搬送方向における前記ノズル開口の配置周期が同一である
請求項1~のうちの何れか1項に記載のインク供給装置。
【請求項6】
前記キャリッジは、前記搬送方向に対して前記ノズル開口の配置周期をずらして前記インクヘッドと前記処理ヘッドとを保持する
請求項に記載のインク供給装置。
【請求項7】
前記インクは、少なくとも顔料を含む
請求項1~のうちの何れか1項に記載のインク供給装置。
【請求項8】
前記記録媒体は布帛である
請求項1~のうちの何れか1項に記載のインク供給装置。
【請求項9】
請求項1~のうちの何れか1項に記載のインク供給装置と、
前記インク供給装置によるインク供給によって画像を形成する記録媒体を、前記搬送方向に搬送するための搬送装置とを備えた
画像形成装置。
【請求項10】
前記搬送装置は、所定の搬送ピッチで前記記録媒体を前記搬送方向に間欠搬送する
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記インク供給装置は、前記搬送装置による前記記録媒体の間欠搬送の間に、前記搬送幅方向に前記キャリッジを移動させ、前記インクヘッドからインクを供給するとともに、前記処理ヘッドから処理液を供給する
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記インク供給装置は、前記インクヘッドと前記処理ヘッドにおける前記ノズル開口の配列が、前記搬送ピッチに対応して前記搬送方向に複数の分割領域に分割され、前記分割領域毎に前記インクおよび前記処理液の供給を制御する
請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記インク供給装置は、前記搬送装置によって搬送する記録媒体上の同一領域に対して、前記インクヘッドおよび前記処理ヘッドの前記複数の分割領域のうちの異なる分割領域から複数回にわたって前記インクおよび前記処理液を供給する
請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記インクヘッドと前記処理ヘッドとの前記搬送方向に対するずれ幅は、前記ノズル開口の配置周期と、前記記録媒体上の同一領域に対する前記インクおよび前記処理液の供給回数とを考慮した大きさである
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ずれ幅と前記搬送ピッチとは同じ大きさである
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
請求項9~15のうちの何れか1項に記載の画像形成装置を用いた画像形成方法であって、
前記搬送装置が、前記インクヘッドと前記処理ヘッドとの前記搬送方向に対するずれ幅に一致する搬送ピッチで、前記記録媒体を前記搬送方向に間欠搬送し、
前記インク供給装置が、前記搬送装置による前記記録媒体の間欠搬送の間に、前記搬送幅方向に前記キャリッジを移動させ、前記インクヘッドからインクを供給するとともに、前記処理ヘッドから処理液を供給する
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク供給装置、画像形成装置、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクの供給によって記録媒体に画像形成を行う画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送装置と、記録媒体にインクを供給するためのインク供給装置を備える。インク供給装置の中には、インクに含まれる色材の凝集や固定のための前処理液や後処理液を記録媒体に対して供給するための処理液用ヘッドを有するものがある。このような処理液用ヘッドを有するインク供給装置に関する技術として、下記特許文献1には、それぞれY、M、C、Kのインクのヘッドがヘッドの走査方向に並んでおり、保護インク(後処理液)を吐出するための保護インクヘッドは、記録媒体の搬送方向にずれた位置に配置されている構成が記載されている。また特許文献2には、前処理液が供給される記録ヘッドを有する第1のヘッド列と、第1のヘッド列に対して記録媒体の搬送方向の下流側に、水性インクが供給される記録ヘッドを有する第2のヘッド列とを備える構成が記載されている。以上のような構成のインク供給装置では、記録媒体に対する前処理液とインク、またはインクと後処理液の供給順を確保できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-212644号公報
【文献】特開2020-138456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなインク供給装置は、インク用のヘッドに対して、後処理液用のヘッドや前処理用のヘッドが、記録媒体の搬送方向に対して重なりを持たずに設けられるため、インク供給装置の大型化、およびインク供給装置を備えた画像形成装置の大型化の要因となっている。
【0005】
そこで本発明は、インクに重ねて供給される処理液用ヘッドを有しながらも小型化が可能なインク供給装置、およびこのインク供給装置を備えることで小型化が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、搬送装置によって一方向に搬送される記録媒体に、インク供給によって画像形成するためのインク供給装置であって、前記記録媒体の搬送方向に沿って配列された複数のノズル開口を有し各ノズル開口からインクを噴出するインクヘッドと、前記記録媒体の搬送方向に沿って配列された複数のノズル開口を有し各ノズル開口から処理液を噴出する処理ヘッドと、前記インクヘッドと前記処理ヘッドとを一体に保持し、前記記録媒体の表面に沿って前記搬送方向に対して垂直な搬送幅方向に往復で移動するキャリッジとを備え、前記キャリッジは、前記インクヘッドと前記処理ヘッドとを前記搬送方向に対して重なりをもってずらした状態で保持するインク供給装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インクに重ねて供給される処理液用ヘッドを有しながらも小型化が可能なインク供給装置、およびこのインク供給装置を備えることで小型化が可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の画像形成装置の構成図である。
図2】第1実施形態のインク供給装置が備える各ヘッドの構成図である。
図3】第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その1)を説明するための工程図である。
図4】第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その2)を説明するための工程図である。
図5】第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その3)を説明するための工程図-1である。
図6】第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その3)を説明するための工程図-2である。
図7】第2実施形態の画像形成装置の構成図である。
図8】第3実施形態の画像形成装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した各実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施の形態において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
先ず、第1実施形態を、インク供給装置を有する画像形成装置、画像形成方法の順に説明する。
【0011】
<画像形成装置>
図1は、第1実施形態の画像形成装置1の構成図である。この図に示す画像形成装置1は、記録媒体[M]の主面上にインク画像を形成するための装置である。記録媒体[M]は、シート状のものであって、枚葉シートであっても連続シートであってもよい。また記録媒体[M]は、布帛のような布材、普通紙、厚紙、薄紙、和紙、特殊紙、段ボール紙、樹脂フィルム、建材等の様々な材質のものが用いられる。このような画像形成装置1は、記録媒体[M]の搬送装置10と、インク供給装置20と、制御装置30とを備えている。以下、画像形成装置1が有するこれらの構成要素の詳細を説明する。
【0012】
[搬送装置10]
搬送装置10は、記録媒体[M]を搬送する装置であって、例えば図示したようなベルト搬送方式のものである。ベルト搬送方式の搬送装置10は、ここでの図示を省略した複数のローラーに無端状のベルトを掛け回して構成されている。このような搬送装置10は、無端状のベルトの外周面を記録媒体[M]の載置面10aとし、ローラーの回転によって無端状のベルトを回動させることにより、載置面10aに吸着によって固定させたシート状の記録媒体[M]を、ベルトの回動方向に搬送する。図示した例においては、無端状のベルトの外周面のうちの上方に向く面を記録媒体[M]の載置面10aとしている。
【0013】
またこの搬送装置10は、以降に説明する制御装置30からの指示により、記録媒体[M]を、所定の搬送ピッチ[p]で搬送方向[x]に間欠搬送する。ここで、この画像形成装置1は、マルチパス方式での画像形成を行う。マルチパス方式での画像形成は、画像形領域内の同一領域に対して複数回のインク供給を実施する画像形成方法であり、高精細な画像の形成を可能とする。そこで、この搬送装置10は、マルチパス方式での画像形成を実施するための条件下において設定した搬送ピッチ[p]で、記録媒体[M]を搬送する。なお、搬送装置10による記録媒体[M]の搬送ピッチ[p]は、以降の画像形成方法において詳細に説明する。
【0014】
[インク供給装置20]
インク供給装置20は、インクジェット方式のものであって、搬送装置10によって所定の搬送方向[x]に搬送される記録媒体[M]に対してインクを噴射することで、非接触でインクを供給する装置である。またこのインク供給装置20は、搬送幅方向[y]にわたって往復で移動し、搬送幅方向[y]の各位置において記録媒体[M]に対してインクを噴射するスキャン方式のものである。これにより、インク供給装置20によるインクの供給は、搬送装置10における載置面10aの搬送幅方向[y]にわたって実施可能である。ここで搬送幅方向[y]は、載置面10aと平行な面内であって、搬送装置10による記録媒体[M]の搬送方向[x]に対して垂直な方向である。この搬送幅方向[y]は、主走査方向とも称する。
【0015】
このようなインク供給装置20は、搬送幅方向[y]に往復で移動するキャリッジ20aによって、インクヘッド21および前処理ヘッド22を所定状態で保持する構成である。
【0016】
このうちインクヘッド21は、各インク色に対応して設けられており、例えばシアンインク用のインクヘッド21c、マゼンタインク用のインクヘッド21m、イエローインク用のインクヘッド21y、およびブラックインク用のインクヘッド21kである。これらの各色のインクヘッド21は、搬送幅方向[y]に沿って、任意に設定された配色順序で配列される。このような各インクヘッド21から供給される各色インクは、例えば少なくとも顔料を含むインクであるが、これに限定されることはなく例えば染料を含むインクであってもよい。
【0017】
また前処理ヘッド22は、インクヘッド21の配列の外側に配置される。前処理ヘッド22は、インクヘッド21に対して搬送方向[x]に重なりを有し、インクヘッド21に対して搬送方向[x]の上流側に所定のずれ幅[d]だけずらして配置されている。このずれ幅[d]は、マルチパス方式での画像形成におけるパス数を考慮して設定される。ここでパス数とは、画像形領域内の同一領域に対するインクの供給回数である。一例として、ずれ幅[d]は、図示したようにずれ幅[d]搬送装置10による記録媒体[M]の搬送ピッチ[p]に対応し、搬送ピッチ[p]に一致している場合もある。なお、図面上においては、インクヘッド21の右側に前処理ヘッド22を配置した構成としたが、インクヘッド21の左側に前処理ヘッド22を配置した構成であってもよい。
【0018】
このような前処理ヘッド22から供給される前処理液は、例えば各インクヘッド21から供給される各色インクが顔料を含むものである場合には、少なくとも凝集剤を含むこととする。ここで、凝集剤とは、布帛などの記録媒体[M]の表面においてインク中の色材を凝集させ、定着性を高めるような成分を含むものであればよく、特に制限されない。
【0019】
図2は、第1実施形態のインク供給装置が備える各ヘッドの構成図である。各ヘッドは、インクヘッド21および前処理ヘッド22である。この図に示すように、インクヘッド21および前処理ヘッド22は、それぞれが1つまたは複数のヘッド部材200(ここでは3つのヘッド部材200)を保持したヘッドセットとして構成されている。各ヘッド部材200は、1つのノズル面200aに複数列のノズル開口201を有する。ノズル開口201は、インクまたは前処理液の噴射開口であり、各ノズル開口201から、それぞれのタイミングでインクまたは前処理液を噴射する。各ノズル開口201からのインクまたは前処理液の突出のタイミングは、次に説明する制御装置30によって制御される。
【0020】
インクヘッド21および前処理ヘッド22は、各ヘッド部材200のノズル面200aが同一面上に配置されるように、複数のヘッド部材200を保持する。またインクヘッド21および前処理ヘッド22は、保持したヘッド部材200のノズル面200aに設けた複数のノズル開口201が、搬送方向[x]に所定の周期(間隔)で配置されるように、複数のヘッド部材200を互い違いに並べた状態で保持する。なお、インクヘッド21および前処理ヘッド22は、同一のものであってよい。
【0021】
ここで図1および図2を参照すると、インクヘッド21と前処理ヘッド22のずれ幅[d]は、マルチパス方式で実施される画像形成において、画像形領域内の同一領域に対するインクの供給数(以降パス数と称する)を考慮して設定されていることとする。
【0022】
さらにずれ幅[d]は、パス数の他、インクヘッド21および前処理ヘッド22の搬送方向[x]の長さ、および搬送方向[x]におけるノズル開口201の配置周期を考慮して設定されていることとする。
【0023】
[制御装置30]
図1に戻り、制御装置30は、搬送装置10およびインク供給装置20の駆動を制御する。制御装置30による搬送装置10の制御は、記録媒体[M]の搬送ピッチ[p]と搬送のタイミングである。また制御装置30によるインク供給装置20の制御は、インク供給装置20の搬送幅方向[y]の往復移動(スキャニング)のタイミングと、インクヘッド21および前処理ヘッド22の各ノズル開口201(図2参照)からのインクおよび前処理液の吐出のタイミングである。
【0024】
このような制御装置30は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性の記憶部を備え、記憶部に保存されたプログラムに基づいて、搬送装置10およびインク供給装置20の駆動を制御し、記録媒体[M]に画像を形成する。
【0025】
特にこの制御装置30は、搬送装置10およびインク供給装置20の駆動制御により、マルチパス方式での画像形成を実施する。この場合、制御装置30は、記録媒体[M]の搬送ピッチ[p]に対応する大きさの各領域に、複数回の前処理液およびインクの供給を行う。このような制御装置30による搬送装置10およびインク供給装置20の駆動制御は、次の画像形成方法において詳細に説明する。
【0026】
<画像形成方法(その1)>
図3は、第1実施形態の画像形成装置1による画像形成方法(その1)を説明するための工程図であり、一例として同一領域に2回のインク供給を実施する2パスのマルチパス方式での画像形成方法を示す。なお、説明を簡単にするため、インクヘッド21は1つのみ図示し、インクヘッド21および前処理ヘッド22は1列のノズル開口201のみを図示して簡略化している。この図を用いて説明する画像形成方法は、上述した制御装置30(図1参照)が有する画像形成プログラムによって実施される画像形成方法である。以下、先の図1を参照し、図3に基づいて画像形成装置1による画像形成方法の一例を説明する。
【0027】
図3の工程(1)~工程(4)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を所定の搬送ピッチ[p]で搬送方向[x]に間欠搬送する。搬送ピッチ[p]は、インクヘッド21と前処理ヘッド22との搬送方向[x]のずれ幅[d]に一致する。この場合のずれ幅[d]および搬送ピッチ[p]は、インクヘッド21および前処理ヘッド22の搬送方向[x]の長さから、ノズル開口201の配置周期の1/2をさし引いた値の1/2に対し、ノズル開口201の配置周期の1/2を加算した大きさである。
【0028】
図3においては、工程(1)の開始状態から、記録媒体[M]を3回搬送した各工程(2)~工程(4)を示している。また制御装置30は、搬送装置10による記録媒体[M]の間欠搬送において、搬送が終了してから次の搬送が開始されるまでの間に、インク供給装置20を、搬送幅方向[y]の一方に移動させる。そしてこの移動の際に、制御装置30は、インクヘッド21と前処理ヘッド22におけるノズル開口201の配列を、2パスであれば少なくとも2つの領域に分割し、分割した領域毎にインク[In]および前処理液[L1]の供給を制御する。以上のような工程(1)~(4)において、制御装置30は、次のように搬送装置10およびインク供給装置20の駆動を制御する。
【0029】
先ず工程(1)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、少なくとも前処理ヘッド22における搬送方向[x]の上流側に重なる位置に、記録媒体[M]を搬送して停止させる。この状態において、制御装置30は、図面上において記録媒体[M]の右側に配置されていたインク供給装置20を、搬送幅方向[y]の一方方向[-y]に移動させる。
【0030】
そしてこの移動の際に、制御装置30は、前処理ヘッド22において、搬送方向[x]の上流側の記録媒体[M]と重なる領域に設けられたノズル開口201から前処理液[L1]を供給し、記録媒体[M]に前処理液[L1]を着弾させる。前処理液[L1]の供給は、連続的であっても間欠的であってもよく、またこの記録媒体[M]に形成する画像データに基づいて間欠的に実施してもよい。前処理ヘッド22による前処理液[L1]の供給は、以降において同様である。
【0031】
次いで工程(2)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を搬送方向[x]に搬送ピッチ[p]だけ搬送して停止させる。この際、制御装置30は、例えばインクヘッド21と前処理ヘッド22とのずれ幅[d]と一致する搬送ピッチ[p]だけ、記録媒体[M]を移動させる。
【0032】
この状態において、制御装置30は、インク供給装置20を、搬送幅方向[y]の他方向[+y]に移動させる。その際、制御装置30は、前処理ヘッド22において、記録媒体[M]と重なる領域に設けられたノズル開口201から前処理液[L1]を供給し、記録媒体[M]に前処理液[L1]を着弾させる。これにより、先の工程(1)での搬送方向[x]においての前処理液[L1]の着弾周期間に、前処理液[L1]が着弾し、さらに先の工程(1)で前処理液[L1]が着弾した領域よりも搬送方向[x]の上流の領域にも、前処理液[L1]が着弾する。
【0033】
また、制御装置30は、インクヘッド21において、記録媒体[M]と重なる領域に設けられたノズル開口201からインク[In]を供給し、記録媒体[M]にインク[In]を着弾させる。インク[In]の供給は、この記録媒体[M]に形成する画像データに基づいて間欠的に実施し、以降において同様である。これにより、先の工程(1)で前処理液[L1]が着弾した位置に重ねて、インク[In]が着弾する。
【0034】
以降、工程(3)および工程(4)に示すように、制御装置30による搬送装置10の駆動と、インク供給装置20の駆動を繰り返すことにより、前処理液[L1]が着弾した位置に重ねて、インク[In]を着弾させた2パスのマルチパス方式での画像形成が実施される。
【0035】
<画像形成方法(その2)>
図4は、第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その2)を説明するための工程図であり、図3を用いて説明した画像形成方法(その1)の変形例である。図4は、一例として同一領域に4回のインク供給を実施する4パスのマルチパス方式での画像形成方法を示している。なお、説明を簡単にするため、インクヘッド21は1つのみ図示し、インクヘッド21および前処理ヘッド22は1列のノズル開口201のみを図示して簡略化している。この図を用いて説明する画像形成方法は、上述した制御装置30(図1参照)が有する画像形成プログラムによって実施される画像形成方法である。以下、先の図1を参照し、図4に基づいて画像形成装置1による画像形成方法の一例を説明する。
【0036】
図4の工程(1)~工程(4)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を搬送方向[x]に搬送ピッチ[p]で間欠搬送する。搬送ピッチ[p]は、インクヘッド21と前処理ヘッド22との搬送方向[x]のずれ幅[d]に一致する。この場合のずれ幅[d]および搬送ピッチ[p]は、インクヘッド21および前処理ヘッド22の搬送方向[x]の長さから、ノズル開口201の配置周期の1/4をさし引いた値の1/4に対し、ノズル開口201の配置周期の1/4を加算した大きさである。
【0037】
図4においては、工程(1)の開始状態から、記録媒体[M]を3回搬送した各工程(2)~工程(4)を示している。また制御装置30は、搬送装置10による記録媒体[M]の間欠搬送において、搬送が終了してから次の搬送が開始されるまでの間に、インク供給装置20を、搬送幅方向[y]の一方に移動させる。そしてこの移動の際に、制御装置30は、インクヘッド21と前処理ヘッド22におけるノズル開口201の配列を、4パスであれば少なくとも4つの領域に分割し、分割した領域毎にインク[In]および前処理液[L1]の供給を制御する。
【0038】
このような工程(1)~(4)において、制御装置30は、先に図3を用いて説明した工程と同様の工程で、インク供給装置20の駆動を制御する。そして、制御装置30による搬送装置10の駆動と、インク供給装置20の駆動を繰り返すことにより、前処理液[L1]が着弾した位置に重ねて、インク[In]を着弾させた4パスのマルチパス方式での画像形成が実施される。
【0039】
<画像形成方法(その3)>
図5および図6は、第1実施形態の画像形成装置による画像形成方法(その3)を説明するための工程図1,2であり、図4を用いて説明した画像形成方法(その2)の変形例である。図5および図6は、は、一例として同一領域に4回のインク供給を実施する4パスのマルチパス方式での画像形成方法を示している。なお、説明を簡単にするため、インクヘッド21は1つのみ図示し、インクヘッド21および前処理ヘッド22は1列のノズル開口201のみを図示して簡略化している。この図を用いて説明する画像形成方法は、上述した制御装置30(図1参照)が有する画像形成プログラムによって実施される画像形成方法である。以下、先の図1を参照し、図5および図6は、に基づいて画像形成装置1による画像形成方法の一例を説明する。
【0040】
図5および図6の工程(1)~工程(7)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を所定の搬送ピッチ[p]で搬送方向[x]に間欠搬送する。搬送ピッチ[p]は、図4を用いて説明した画像形成方法(その2)と同様である。一方、ずれ幅[d]は、搬送ピッチ[p]に対して、ノズル開口201の配置周期を加算した大きさである。
【0041】
図5および図6においては、工程(1)の開始状態から、記録媒体[M]を6回搬送した各工程(2)~工程(7)を示している。また制御装置30は、搬送装置10による記録媒体[M]の間欠搬送において、搬送が終了してから次の搬送が開始されるまでの間に、インク供給装置20を、搬送幅方向[y]の一方に移動させる。そしてこの移動の際に、制御装置30は、インクヘッド21と前処理ヘッド22におけるノズル開口201の配列を、4パスであれば少なくとも4つの領域に分割し、分割した領域毎にインク[In]および前処理液[L1]の供給を制御する。
【0042】
このような工程(1)~(7)において、制御装置30は、先に図3を用いて説明した工程と同様の工程で、インク供給装置20の駆動を制御する。そして、制御装置30による搬送装置10の駆動と、インク供給装置20の駆動を繰り返すことにより、前処理液[L1]が着弾した位置に重ねて、インク[In]を着弾させた4パスのマルチパス方式での画像形成が実施される。
【0043】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、インク供給装置20が、インクヘッド21と前処理ヘッド22とを、記録媒体[M]の搬送方向[x]に対して重なりを有してずらした構成である。これにより、インクヘッド21と前処理ヘッド22とを記録媒体[M]の搬送方向[x]に対して完全にずらした構成と比較して、インク供給装置20および画像形成装置1の小型化を図ることが可能となる。またこの構成により、記録媒体[M]に対する前処理液[L1]とインク[In]の着弾の時間間隔を小さできる。これにより、例えば着弾した前処理液[L1]が環境温湿度の影響を受け難くなり、画像品質の均一化を図ることが可能である。
【0044】
≪第2実施形態≫
図7は、第2実施形態の画像形成装置2の構成図である。この図に示す画像形成装置2が、第1実施形態の画像形成装置1(図1参照)と異なるところは、インク供給装置20’の構成にあり、他の構成は同様である。このため、以下においてはインク供給装置20’の構成を説明する。
【0045】
[インク供給装置20’]
インク供給装置20’が、第1実施形態のインク供給装置20(図1参照)と異なるところは、前処理ヘッド22に替えて後処理ヘッド23を有するところにある。
【0046】
後処理ヘッド23は、図2を用いて説明したインクヘッド21と同様の構成のものである。この後処理ヘッド23はインクヘッド21の配列の外側に配置されている。後処理ヘッド23は、インクヘッド21に対して搬送方向[x]に重なりを有し、インクヘッド21に対して搬送方向[x]の下流側に所定のずれ幅[d’]だけずらして配置されている。このずれ幅[d’]は、一例として図示したように搬送装置10による記録媒体[M]の搬送ピッチ[p]に対応し、搬送ピッチ[p]に一致している場合もある。なお、図面上においては、インクヘッド21の左側に後処理ヘッド23を配置した構成としたが、インクヘッド21の右側に後処理ヘッド23を配置した構成であってもよい。
【0047】
このような各後処理ヘッド23から供給される後処理液は、例えば各インクヘッド21から供給される各色インクが顔料を含むものである場合には、少なくとも樹脂分散剤を含むこととする。
【0048】
ここで、インクヘッド21と後処理ヘッド23のずれ幅[d’]は、マルチパス方式で実施される画像形成において、画像形領域内の同一領域に対するインクの供給数(以降パス数と称する)、および搬送方向[x]におけるノズル開口201(図2参照)の配置周期を考慮して設定されていることとする。このずれ幅[d’]の大きさは、第1実施形態において説明したインクヘッド21に対する前処理ヘッド22のずれ幅[d](図1参照)の大きさと同様である。
【0049】
<画像形成方法>
第2実施形態の画像形成装置2による画像形成方法は、第1実施形態の画像形成装置1による画像形成方法と同様である。ここで、先の第1実施形態の説明で用いた図3は、第2実施形態の画像形成装置2による画像形成方法(その1)を説明するための工程図でもある。この図3においては、図面内のかっこ書きが、第2実施形態の構成要素の符号を示す。以下、先の図7を参照し、図3に基づいて画像形成装置2による2パスのマルチパス方式での画像形成方法の一例を説明する。
【0050】
図3の工程(1)~工程(4)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を搬送方向[x]に搬送ピッチ[p]で間欠搬送する。この搬送ピッチ[p]の大きさは、前述の通りである。また、制御装置30は、搬送装置10による記録媒体[M]の間欠搬送の間に、インク供給装置20’を、搬送幅方向[y]の一方に移動させる。そしてこの移動の際に、制御装置30は、インクヘッド21と後処理ヘッド23におけるノズル開口201の配列を、2パスであれば少なくとも2つの領域に分割し、分割した領域毎にインク[In]および後処理液([L12])の供給を制御する。以上のような工程(1)~(4)において、制御装置30は、次のように搬送装置10およびインク供給装置20’の駆動を制御する。
【0051】
図3においては、工程(1)の開始状態から、記録媒体[M]を3回搬送した各工程(2)~工程(4)を示している。このような工程(1)~(4)において、制御装置30は、次のようにインク供給装置20’の駆動を制御する。
【0052】
先ず工程(1)に示すように制御装置30は、搬送装置10の駆動により、少なくともインクヘッド(21)における搬送方向[x]の上流側に重なる位置に記録媒体[M]を搬送して停止させる。この状態において、制御装置30は、図面上において記録媒体[M]の右側に配置されていたインク供給装置20’を、搬送幅方向[y]の一方方向[-y]に移動させる。その際、制御装置30は、インクヘッド(21)において、搬送方向[x]の上流側の記録媒体[M]に重なる領域に設けられたノズル開口201からインク([In])を供給し、記録媒体[M]にインク([In])を着弾させる。インク([In])の供給は、画像データに基づいて間欠的に実施されることとする。ただし、図3において、インク([In])は、連続供給の状態を示している。
【0053】
次いで工程(2)に示すように、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を搬送方向[x]に搬送ピッチ[p]だけ搬送して停止させる。この際、制御装置30は、インクヘッド(21)と後処理ヘッド(23)とのずれ幅([d’])と一致する搬送ピッチ[p]だけ、記録媒体[M]を移動させる。
【0054】
この状態において、制御装置30は、インク供給装置20’を、搬送幅方向[y]の他方向[+y]に移動させる。その際、制御装置30は、インクヘッド(21)において、記録媒体[M]と重なる領域に設けられたノズル開口201からインク([In])を供給し、記録媒体[M]にインク([In])を着弾させる。これにより、先の工程(1)での搬送方向[x]においてのインク([In])の着弾周期間に、インク([In])が着弾し、さらに先の工程(1)でインク([In])が着弾した領域よりも搬送方向[x]の上流の領域にも、インク([In])が着弾する。
【0055】
また、制御装置30は、後処理ヘッド23において、記録媒体[M]と重なる領域に設けられたノズル開口201から後処理液([L2])を供給し、記録媒体[M]に後処理液([L2])を着弾させる。後処理液([L2])の供給は、連続的であっても間欠的であってもよく、またこの記録媒体[M]に形成する画像データに基づいて間欠的に実施してもよい。後処理ヘッド(23)による後処理液([L2])の供給は、以降において同様である。これにより、先の工程(1)でインク([In])が着弾した位置に重ねて、後処理液([L2])が着弾する。ただし、図3において、後処理液([L2])は、間欠供給の状態を示している。
【0056】
以降、工程(3)および工程(4)に示すように、制御装置30による搬送装置10の駆動と、インク供給装置20’の駆動を繰り返すことにより、インク([In])が着弾した位置に重ねて、後処理液([L2])を着弾させた2パスのマルチパス方式での画像形成が実施される。以上は、例えば4パスのマルチパス方式での画像形成においても同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態によれば、インク供給装置20’が、インクヘッド21と後処理ヘッド23とを、記録媒体[M]の搬送方向[x]に対して重なりを有してずらした構成である。これにより、インクヘッド21と後処理ヘッド23とを記録媒体[M]の搬送方向[x]に対して完全にずらした構成と比較して、インク供給装置20’および画像形成装置2の小型化を図ることが可能となる。またこの構成により、記録媒体[M]に対するインク[In]と後処理液[L2]との着弾の時間間隔を小さできる。これにより、例えば着弾したインク[In]が環境温湿度の影響を受け難くなり、画像品質の均一化を図ることが可能である。
【0058】
≪第3実施形態≫
図8は、第3実施形態の画像形成装置3の構成図である。この図に示す画像形成装置3は、第1実施形態の画像形成装置1(図1参照)と、第2実施形態の画像形成装置2(図7参照)とを組み合わせた構成のものであり、インク供給装置20”の構成のみが他の実施形態とは異なり、他の構成は同様である。このため、以下においてはインク供給装置20”の構成を説明する。
【0059】
[インク供給装置20”]
インク供給装置20”は、第1実施形態のインク供給装置20(図1参照)と第2実施形態のインク供給装置20’とを組み合わせた構成であって、インクヘッド21と、前処理ヘッド22と、および後処理ヘッド23とを備える。これらのインクヘッド21、前処理ヘッド22、および後処理ヘッド23は、第1実施形態および第2実施形態で説明した構成および配置状態で配置されている。
【0060】
すなわち、前処理ヘッド22は、インクヘッド21の配列の外側に配置され、インクヘッド21に対して搬送方向[x]に重なりを有し、搬送方向[x]の上流側に所定のずれ幅[d]だけずらして配置されている。また後処理ヘッド23は、インクヘッド21の配列の外側に配置され、インクヘッド21に対して搬送方向[x]に重なりを有し、搬送方向[x]の下流側に所定のずれ幅[d’]だけずらして配置されている。
【0061】
これらのずれ幅[d],[d’]は、先の第1実施形態および第2実施形態で説明した通りである。また、ずれ幅[d]=[d’]である。図面上においては、インクヘッド21の右側に前処理ヘッド22、左側に後処理ヘッド23を配置した構成としたが、逆であってもよい。またインクヘッド21の左側または右側に、前処理ヘッド22および後処理ヘッド23の両方ともを配置してもよい。この場合、前処理ヘッド22および後処理ヘッド23は、搬送方向[x]に沿って一列で配置してもよい。
【0062】
<画像形成方法>
第3実施形態の画像形成装置3による画像形成方法は、第1実施形態および第2実施形態の画像形成装置1,2による画像形成方法と同様である。すなわち、制御装置30は、搬送装置10の駆動により、記録媒体[M]を搬送方向[x]に搬送ピッチ[p]で間欠搬送する。この搬送ピッチ[p]は、一例としてずれ幅[d]=[d’]に一致する。
【0063】
また、制御装置30は、搬送装置10による記録媒体[M]の間欠搬送の間に、記録媒体[M]の搬送が停止した状態において、インク供給装置20”からのインク、前処理液、および後処理液の供給を実施する。この際、搬送幅方向[y]の何れかの方向にインク供給装置20”を移動させながら、先ずは前処理ヘッド22から前処理液を供給する。次いで2度目のインク供給装置20”の移動後には、前処理ヘッド22から前処理液を供給し、インクヘッド21からインクを供給する。さらに3度目以降のインク供給装置20”の移動においては、前処理ヘッド22から前処理液を供給し、インクヘッド21からインクを供給し、後処理ヘッド23から後処理液を供給する。
【0064】
以上により、前処理液が着弾した位置に重ねてインクを着弾させ、インクの着弾位置に重ねて後処理液を着弾させたマルチパス方式での画像形成が実施される。
【0065】
<第3実施形態の効果>
以上のような第3実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態の効果を得ることが可能である。
【0066】
なお、以上の各実施形態においては、インク供給装置20,20’,20”を、搬送幅方向[y]に往復で移動させる場合の往路と復路との両方において、前処理液、インク、後処理液を供給する構成としたが、往路または復路のみであってもよい。これにより、各色のインクヘッド21の配列順にしたがった一定の順序で、各色のインクが記録媒体[M]に供給されるため、形成画像の均一性を高めることができる。
【0067】
また、以上の各実施形態においては、2パスおよび4パスのマルチパス描画を例示したが、マルチパス方式におけるパス数が限定されることはない。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3…画像形成装置
10…搬送装置
10a…載置面
20,20’,20”…インク供給装置
20a…キャリッジ
21…インクヘッド
21c…インクヘッド
21k…インクヘッド
21m…インクヘッド
21y…インクヘッド
22…前処理ヘッド
23…後処理ヘッド
30…制御装置
200…ヘッド
200a…ノズル面
201…ノズル開口
[d],[d’]…ずれ幅
[In]…インク
[L1]…前処理液
[L2]…後処理液
[M]…記録媒体
[p]…搬送ピッチ
[x]…搬送方向
[y]…搬送幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8