(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-13
(45)【発行日】2025-06-23
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20250616BHJP
H02P 6/15 20160101ALI20250616BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20250616BHJP
【FI】
H02P27/08
H02P6/15
B25F5/00 C
(21)【出願番号】P 2021137224
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2024-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸市
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078230(JP,A)
【文献】特開2000-245188(JP,A)
【文献】特開2018-058143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
H02P6/00-6/34
21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象物が取り付けられるように構成された出力軸と、
複数の端子を備え、前記駆動対象物を回転させるように構成されたブラシレスモータと、
前記複数の端子と直流電源の正極とを接続するように構成された複数の正極側通電経路と、
前記複数の端子と前記直流電源の負極とを接続するように構成された複数の負極側通電経路と、
前記複数の正極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のハイサイドスイッチと、
前記複数の負極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のローサイドスイッチと、
ユーザに操作されるように構成されたユーザインタフェースと、
前記ユーザインタフェースの被操作量、又は、前記ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値、が大きくなるに従い、前記ブラシレスモータの目標回転数が大きくなるよう、前記目標回転数を設定するように構成された目標回転数設定部と、
前記被操作量又は前記回転指令値が閾値未満であるとき、前記被操作量又は前記回転指令値が大きくなるに従って目標デューティ比が大きくなるよう、前記目標デューティ比を設定し、かつ、前記被操作量又は前記回転指令値が前記閾値以上であるとき前記目標デューティ比を100%に設定するように構成された目標デューティ比設定部と、
前記ブラシレスモータの回転角度を検出するように構成された回転角度検出部と、
前記ブラシレスモータの回転数を検出するように構成された回転数検出部と、
前記ブラシレスモータを制御するように構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、前記ブラシレスモータが所定の回転角度回転したことを前記回転角度検出部が検出する毎に、前記複数のハイサイドスイッチの1つと、前記複数のローサイドスイッチの1つとを一対の被駆動スイッチとして選択するように構成され、
前記制御部は、前記一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を、前記目標デューティ比に基づき、所定周波数でオン・オフさせるPWM制御と、前記回転数検出部にて検出される前記ブラシレスモータの前記回転数が前記目標回転数となるよう、前記PWM制御を実施させる通電角を制御する通電角制御とを、同時に実行するように構成されており、
しかも、前記ブラシレスモータは、3相ブラシレスモータであり、
前記制御部は、前記所定の回転角度として、前記3相ブラシレスモータが60度回転したことを前記回転角度検出部が検出する毎に、前記PWM制御を行う前記一対の被駆動スイッチを切り替え、前記通電角制御では、前記3相ブラシレスモータが60度回転する間に前記PWM制御を実施させる回転角度を制御するように構成されている、電動作業機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記PWM制御において、前記ブラシレスモータの駆動開始後、前記一対の被駆動スイッチの前記少なくとも一方を駆動する駆動デューティ比が、前記目標デューティ比に到達するまで、前記駆動デューティ比を所定の変化量にて漸増させるように構成されている、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
駆動対象物が取り付けられるように構成された出力軸と、
複数の端子を備え、前記駆動対象物を回転させるように構成されたブラシレスモータと、
前記複数の端子と直流電源の正極とを接続するように構成された複数の正極側通電経路と、
前記複数の端子と前記直流電源の負極とを接続するように構成された複数の負極側通電経路と、
前記複数の正極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のハイサイドスイッチと、
前記複数の負極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のローサイドスイッチと、
ユーザに操作されるように構成されたユーザインタフェースと、
前記ユーザインタフェースの被操作量、又は、前記ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値、が大きくなるに従い、前記ブラシレスモータの目標回転数が大きくなるよう、前記目標回転数を設定するように構成された目標回転数設定部と、
前記被操作量又は前記回転指令値が閾値未満であるとき、前記被操作量又は前記回転指令値が大きくなるに従って目標デューティ比が大きくなるよう、前記目標デューティ比を設定し、かつ、前記被操作量又は前記回転指令値が前記閾値以上であるとき前記目標デューティ比を100%に設定するように構成された目標デューティ比設定部と、
前記ブラシレスモータの回転角度を検出するように構成された回転角度検出部と、
前記ブラシレスモータの回転数を検出するように構成された回転数検出部と、
前記ブラシレスモータを制御するように構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ブラシレスモータが所定の回転角度回転したことを前記回転角度検出部が検出する毎に、前記複数のハイサイドスイッチの1つと、前記複数のローサイドスイッチの1つとを一対の被駆動スイッチとして選択するように構成されると共に、
前記一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を、前記目標デューティ比に基づき、所定周波数でオン・オフさせるPWM制御と、前記回転数検出部にて検出される前記ブラシレスモータの前記回転数が前記目標回転数となるよう、前記PWM制御を実施させる通電角を制御する通電角制御とを、同時に実行するように構成され、
しかも、前記PWM制御において、前記ブラシレスモータの駆動開始後、前記一対の被駆動スイッチの前記少なくとも一方を駆動する駆動デューティ比が、前記目標デューティ比に到達するまで、前記駆動デューティ比を所定の変化量にて漸増させ、
前記通電角制御において、前記ブラシレスモータの駆動開始後、前記ブラシレスモータの前記回転数が前記目標回転数に達するまでは前記通電角が予め設定された最大角度となるよう前記通電角を制御し、前記ブラシレスモータの前記回転数が前記目標回転数に達すると、前記通電角を前記最大角度から減少させて、前記ブラシレスモータの前記回転数を前記目標回転数に保持する、
ように構成されている、電動作業機。
【請求項4】
前記目標デューティ比設定部は、前記ユーザインタフェースが操作されると、前記被操作量又は前記回転指令値にかかわらず、前記目標デューティ比を100%に設定するように構成されている、請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
駆動対象物が取り付けられるように構成された出力軸と、
複数の端子を備え、前記駆動対象物を回転させるように構成されたブラシレスモータと、
前記複数の端子と直流電源の正極とを接続するように構成された複数の正極側通電経路と、
前記複数の端子と前記直流電源の負極とを接続するように構成された複数の負極側通電経路と、
前記複数の正極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のハイサイドスイッチと、
前記複数の負極側通電経路上にそれぞれ設けられた複数のローサイドスイッチと、
ユーザに操作されるように構成されたユーザインタフェースと、
前記ユーザインタフェースの被操作量、又は、前記ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値、が大きくなるに従い、前記ブラシレスモータの目標回転数が大きくなるよう、前記目標回転数を設定するように構成された目標回転数設定部と、
前記被操作量又は前記回転指令値が閾値未満であるとき、前記被操作量又は前記回転指令値が大きくなるに従って目標デューティ比が大きくなるよう、前記目標デューティ比を設定し、かつ、前記被操作量又は前記回転指令値が前記閾値以上であるとき前記目標デューティ比を100%に設定するように構成された目標デューティ比設定部と、
前記ブラシレスモータの回転角度を検出するように構成された回転角度検出部と、
前記ブラシレスモータの回転数を検出するように構成された回転数検出部と、
前記ブラシレスモータを制御するように構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ブラシレスモータが所定の回転角度回転したことを前記回転角度検出部が検出する毎に、前記複数のハイサイドスイッチの1つと、前記複数のローサイドスイッチの1つとを一対の被駆動スイッチとして選択するように構成され、
前記一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を、前記目標デューティ比に基づき、所定周波数でオン・オフさせるPWM制御と、前記回転数検出部にて検出される前記ブラシレスモータの前記回転数が前記目標回転数となるよう、前記PWM制御を実施させる通電角を制御する通電角制御とを、同時に実行するように構成され、
前記PWM制御において、前記ブラシレスモータの駆動開始後、前記一対の被駆動スイッチの前記少なくとも一方を駆動する駆動デューティ比が、前記目標デューティ比に到達するまで、前記駆動デューティ比を所定の変化量にて漸増させるように構成されており、 前記目標デューティ比設定部は、前記ユーザインタフェースが操作されると、前記被操作量又は前記回転指令値にかかわらず、前記目標デューティ比を100%に設定するように構成されている、電動作業機。
【請求項6】
前記ブラシレスモータは、3相ブラシレスモータであり、
前記制御部は、前記所定の回転角度として、前記3相ブラシレスモータが60度回転したことを前記回転角度検出部が検出する毎に、前記PWM制御を行う前記一対の被駆動スイッチを切り替え、前記通電角制御では、前記3相ブラシレスモータが60度回転する間に前記PWM制御を実施させる回転角度を制御するように構成されている、請求項3~5の何れか1項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記ユーザインタフェースは、
ユーザにより引かれるように構成されたトリガと、
ユーザにより回動されるように構成された回転ダイヤルと、
を備え、
前記目標回転数設定部は、前記トリガの引き量と前記回転ダイヤルの回転位置とに基づき前記目標回転数を設定するように構成されている、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記目標デューティ比設定部は、前記トリガの引き量と前記回転ダイヤルの回転位置とに基づき前記目標デューティ比を設定するように構成されている、
請求項1~請求項3の何れか1項を引用する
請求項7に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラシレスモータを備えた電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背負い式ブロワにおいて、動力源となるブラシレスモータの回転数が目標回転数となるように、モータへの供給電力を、パルス幅変調(PWM)を用いて制御すること(以下、PWM制御と称する)が記載されている。
【0003】
PWM制御では、直流電源の正極側及び負極側とブラシレスモータの複数の端子との間に設けられた複数のスイッチを、所定デューティ比の駆動信号にてオン・オフさせることで、ブラシレスモータへの供給電力を制御する。そして、通電角は一定角度に設定される。例えば、3相ブラシレスモータの場合、通電角は120度に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動作業機において、ブラシレスモータの回転数を、PWM制御にて目標回転数に制御すると、モータ電流が大きくなる高負荷作業時に、スイッチング損失が大きくなり、モータ駆動系が発熱し易くなるという問題が生じる。
【0006】
本開示の1つの局面は、ブラシレスモータを備えた電動作業機において、モータ駆動系が発熱するのを抑制しつつ、ブラシレスモータの回転数を目標回転数に制御できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの局面における電動作業機は、出力軸、ブラシレスモータ、複数の正極側通電経路、複数の負極側通電経路、複数のハイサイドスイッチ、複数のローサイドスイッチ、及び、ユーザインタフェースを備える。
【0008】
出力軸は、駆動対象物が取り付けられるように構成される。ブラシレスモータは、複数の端子を備え、出力軸に取り付けられた駆動対象物を回転させるように構成される。複数の正極側通電経路は、ブラシレスモータの複数の端子と直流電源の正極とを接続し、複数の負極側通電経路は、ブラシレスモータの複数の端子と直流電源の負極とを接続するように構成される。
【0009】
複数のハイサイドスイッチは、複数の正極側通電経路上にそれぞれ設けられ、複数のローサイドスイッチは、複数の負極側通電経路上にそれぞれ設けられる。そして、ユーザインタフェースは、ユーザに操作されるように構成される。
【0010】
上述の電動作業機は、更に、目標回転数設定部、目標デューティ比設定部、回転角度検出部、回転数検出部、及び、制御部を備える。
【0011】
目標回転数設定部は、ユーザインタフェースの被操作量、又は、ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値、が大きくなるに従い、ブラシレスモータの目標回転数が大きくなるよう、目標回転数を設定するように構成される。
【0012】
目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースの被操作量、又は、ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値に基づき、ブラシレスモータをPWM制御する際の目標デューティ比を設定するよう構成される。
【0013】
詳しくは、目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースの被操作量又は回転指令値が閾値未満であるとき、被操作量又は回転指令値が大きくなるに従って目標デューティ比が大きくなるよう、目標デューティ比を設定する。また、目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースの被操作量又は回転指令値が閾値以上であるときには、目標デューティ比を100%に設定する。
【0014】
回転角度検出部は、ブラシレスモータの回転角度を検出するように構成され、回転数検出部は、ブラシレスモータの回転数を検出するように構成される。そして、制御部は、ブラシレスモータを制御する。
【0015】
つまり、制御部は、ブラシレスモータが所定の回転角度回転したことを回転角度検出部が検出する毎に、複数のハイサイドスイッチの1つと、複数のローサイドスイッチの1つとを一対の被駆動スイッチとして選択するように構成される。
【0016】
また、制御部は、一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を、目標デューティ比に基づき、所定周波数でオン・オフさせるPWM制御と、回転数検出部にて検出されるブラシレスモータの回転数が目標回転数となるよう、PWM制御を実施させる通電角を制御する通電角制御とを、同時に実行するように構成される。
【0017】
従って、上述の電動作業機によれば、ブラシレスモータの回転数は、通電角制御によって目標回転数に制御され、PWM制御は、通電角制御によってブラシレスモータへの通電が許可された期間だけ実施されることになる。
【0018】
よって、上述の電動作業機によれば、特許文献1に記載の装置に比べて、PWM制御の実施期間を短くすることができ、PWM制御により被駆動スイッチがオン・オフされることによって生じるスイッチング損失を低減することができる。
【0019】
このため、上述の電動作業機によれば、ブラシレスモータの駆動系が発熱するのを抑制しつつ、ブラシレスモータの回転数を、目標回転数に制御することができる。
【0020】
なお、PWM制御において、被駆動スイッチを実際にオン・オフさせる際の駆動デューティ比が100%となる場合、被駆動スイッチはオン状態に保持される。従って、目標デューティ比が100%で、被駆動スイッチを実際にオン・オフさせる駆動デューティ比も100%になった場合には、PWM制御によるスイッチング損失がより低減されて、駆動系の発熱がより良好に抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の背負い式ブロワ全体の構成を表す構成図である。
【
図2】背負い式ブロワの回路構成を表すブロック図である。
【
図3】制御回路にて実行される制御処理を表すフローチャートである。
【
図4】制御回路にて実行されるPWM制御を説明する説明図である。
【
図5】制御回路にて実行される通電角制御を説明する説明図である。
【
図6】
図3に示すモータ制御処理の詳細を表すフローチャートである。
【
図7】
図6に示すモータ制御処理によるDUTY、通電角、及び、実回転数の変化を表すタイムチャートである。
【
図8】特許文献1に記載のPWM制御によるDUTY、及び、実回転数の変化を表すタイムチャートである。
【
図9】第2実施形態のモータ制御処理の詳細を表すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態の制御処理を表すフローチャートである。
【
図11】
図10に示すモータ制御処理の詳細を表すフローチャートである。
【
図12】
図11に示すモータ制御処理によるDUTY、通電角、及び、実回転数の変化を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態の総括]
ある実施形態における電動作業機は、複数の端子を備えたブラシレスモータを備えてもよい。ブラシレスモータは、駆動対象物を回転させるように構成されてもよい。駆動対象物は、出力軸に取り付けられるように構成されてもよい。
【0023】
加えて/あるいは、電動作業機は、ブラシレスモータの複数の端子と直流電源の正極とを接続するように構成された複数の正極側通電経路を備えてもよい。この複数の正極側通電経路上には、それぞれ、複数のハイサイドスイッチが設けられてもよい。
【0024】
加えて/あるいは、電動作業機は、ブラシレスモータの複数の端子と直流電源の負極とを接続するように構成された複数の負極側通電経路を備えてもよい。この複数の負極側通電経路上には、それぞれ、複数のローサイドスイッチが設けられてもよい。
【0025】
加えて/あるいは、電動作業機は、ユーザインタフェースを備えてもよい。ユーザインタフェースは、ユーザに操作されるように構成されてもよい。
【0026】
加えて/あるいは、電動作業機は、目標回転数設定部を備えてもよい。目標回転数設定部は、ユーザインタフェースの被操作量、又は、ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値、が大きくなるに従い、ブラシレスモータの目標回転数が大きくなるよう、目標回転数を設定するように構成されてもよい。
【0027】
加えて/あるいは、電動作業機は、目標デューティ比設定部を備えてもよい。目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースの被操作量又は回転指令値が閾値未満であるとき、被操作量又は回転指令値が大きくなるに従って目標デューティ比が大きくなるよう、目標デューティ比を設定するように構成されてもよい。また、目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースの被操作量又は回転指令値が閾値以上であるとき、目標デューティ比を100%に設定するように構成されてもよい。
【0028】
加えて/あるいは、電動作業機は、回転角度検出部を備えてもよい。回転角度検出部は、ブラシレスモータの回転角度を検出するように構成されてもよい。
【0029】
加えて/あるいは、電動作業機は、回転数検出部を備えてもよい。回転数検出部は、ブラシレスモータの回転数を検出するように構成されてもよい。
【0030】
加えて/あるいは、電動作業機は、ブラシレスモータを制御するように構成された制御部を備えてもよい。
【0031】
制御部は、ブラシレスモータが所定の回転角度回転したことを回転角度検出部が検出する毎に、複数のハイサイドスイッチの1つと、複数のローサイドスイッチの1つとを一対の被駆動スイッチとして選択するように構成されてもよい。
【0032】
また、制御部は、一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を、目標デューティ比に基づき、所定周波数でオン・オフさせるPWM制御と、回転数検出部にて検出されるブラシレスモータの回転数が目標回転数となるよう、PWM制御を実施させる通電角を制御する通電角制御とを、同時に実行するように構成されてもよい。
【0033】
ある実施形態における電動作業機が、上記のブラシレスモータ、出力軸、複数の正極側通電経路、複数の負極側通電経路、複数のハイサイドスイッチ、複数のローサイドスイッチ、ユーザインタフェース、目標回転数設定部、目標デューティ比設定部、回転角度検出部、回転数検出部、及び、制御部を含んでいるのであれば、このような電動作業機は、ブラシレスモータの駆動系が発熱するのを抑制しつつ、ブラシレスモータの回転数を目標回転数に制御することができる。
【0034】
加えて/あるいは、電動作業機は、3相ブラシレスモータを備え、制御部は、所定の回転角度として、3相ブラシレスモータが60度回転したことを回転角度検出部が検出する毎に、PWM制御を行う一対の被駆動スイッチを切り替え、通電角制御では、3相ブラシレスモータが60度回転する間にPWM制御を実施させる回転角度を制御するように構成されてもよい。
【0035】
加えて/あるいは、制御部は、PWM制御において、ブラシレスモータの駆動開始後、一対の被駆動スイッチの少なくとも一方を駆動する駆動デューティ比が、目標デューティ比に到達するまで、駆動デューティ比を所定の変化量にて漸増させるように構成されてもよい。
【0036】
制御部がこのように構成された電動作業機によれば、ブラシレスモータの駆動を開始してから、ブラシレスモータへの供給電力を徐々に増加させる、所謂ソフトスタートを実現できることから、起動時の突入電流を抑制することができる。
【0037】
加えて/あるいは、制御部は、通電角制御において、ブラシレスモータの駆動開始後、ブラシレスモータの回転数が目標回転数に達するまでは通電角が予め設定された最大角度となるよう通電角を制御し、ブラシレスモータの回転数が目標回転数に達すると、通電角を最大角度から減少させて、ブラシレスモータの回転数を目標回転数に保持する、ように構成されてもよい。
【0038】
制御部がこのように構成された電動作業機によれば、上述したソフトスタート等でブラシレスモータの回転数が目標回転数に到達するまでの間、通電角制御によってブラシレスモータの回転上昇が抑えられるのを抑制できる。つまり、ブラシレスモータの回転数をより速やかに目標回転数に到達させることができる。
【0039】
加えて/あるいは、目標デューティ比設定部は、ユーザインタフェースが操作されると、被操作量又は回転指令値にかかわらず、目標デューティ比を100%に設定するように構成されてもよい。
【0040】
目標デューティ比設定部がこのように構成された電動作業機によれば、PWM制御による被駆動スイッチの周期的なスイッチング動作を抑制して、モータ駆動系の発熱をより良好に抑制することができる。
【0041】
加えて/あるいは、ユーザインタフェースは、ユーザにより引かれるように構成されたトリガと、ユーザにより回動されるように構成された回転ダイヤルと、を備えてもよい。
【0042】
加えて/あるいは、目標回転数設定部は、トリガの引き量と回転ダイヤルの回転位置とに基づき目標回転数を設定するように構成されてもよい。
【0043】
加えて/あるいは、目標デューティ比設定部は、トリガの引き量と回転ダイヤルの回転位置とに基づき目標デューティ比を設定するように構成されてもよい。
【0044】
ある実施形態では、上述の特徴はどのように組み合わされてもよい。ある実施形態では、上述の特徴のいずれかは、除外されてもよい。
[特定の例示的な実施形態]
以下に、本開示の例示的な実施形態を図面と共に説明する。
【0045】
[第1実施形態]
本実施形態では、電動作業機として、背負い式ブロワを例に採り説明する。
【0046】
図1に示すように、本実施形態の背負い式ブロワ2は、背負子4に搭載されたブロワ本体6と、ブロワ本体6から吐出される空気を先端の吐出口9まで導き、吐出口9から排出するパイプ8と、を備える。
【0047】
ブロワ本体6には、
図2に示す送風用のファン10と、ファン10を回転させるブラシレスモータ(以下、単にモータともいう)30が収納されている。なお、ファン10は、出力軸12に取り付けられており、モータ30は、出力軸12を直接或いはギヤ機構を介して間接的に回転させることで、ファン10を回転させる。モータ30は、
図2に示すように、3相ブラシレスモータであり、U相端子,V相端子,W相端子を備える。
【0048】
ブロワ本体6には、ファン10から供給される空気を集合させてパイプ8に吐出するためのパイプ取付部7が設けられている。ブロワ本体6は、背負子4に対し、振動吸収用のバネを介して固定されており、背負子4には、ユーザが肩にかけるための肩パッド4a及びベルト4bが取り付けられている。パイプ取付部7は、ユーザが背負子4を介してブロワ本体6を背負った際に、ユーザの右側に位置するように、ブロワ本体6に設けられている。
【0049】
パイプ8は、パイプ8の中心軸に沿って分割された第1部分パイプ8a~第5部分パイプ8eを備える。第1部分パイプ8aは、パイプ取付部7に着脱自在に装着可能であり、ブロワ本体6からの空気の吐出方向をユーザの横方向から前方向に変更できるよう、L型に形成されている。
【0050】
また、第2部分パイプ8bは、パイプ8aに連結され、吐出口9の向きを任意に変更できるように蛇腹状に形成されている。また、第3部分パイプ8cは、第2部分パイプ8bに連結されている。第3部分パイプ8cは、直線型のパイプであり、その外周には、ユーザが把持して吐出口9の向きを調整できるように、ハンドル部20が設けられている。なお、ハンドル部20は、第3部分パイプ8cの中心軸方向にスライド可能であり、任意の位置に固定して使用できる。
【0051】
また、第3部分パイプ8cは、直線型の第4部分パイプ8dと、先端が吐出口9として小径に形成された第5部分パイプ8eとの何れかに連結できるように構成されている。第3部分パイプ8cに第4部分パイプ8dが連結された際には、第4部分パイプ8dの先端は、第5部分パイプ8eに連結可能である。
【0052】
次に、ハンドル部20には、ユーザがハンドル部20を把持した状態で、指先で操作できるように、トリガ22、回転ダイヤル24、及び、ロックボタン26が設けられている。なお、トリガ22及び回転ダイヤル24は、本開示のユーザインタフェースの一例に相当する。
【0053】
トリガ22は、ユーザが引き操作することにより、吐出口9からの空気の吐出量を調整するためのものである。ハンドル部20内には、トリガ22が引き操作されるとオン状態となるトリガスイッチ22A、及び、トリガ22の引き量を検出する引き量検出部22Bが設けられている(
図2参照)。引き量検出部22Bは、例えば、トリガ22の引き量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器を備える。
【0054】
回転ダイヤル24は、ユーザにより回転操作され、その回転位置に応じた検出信号を出力する。回転ダイヤル24は、例えば、ダイヤルの回転位置に応じて抵抗値が変化する可変抵抗を備えており、トリガ22の操作によって調整可能な最大吐出量を設定するのに用いられる。
【0055】
ロックボタン26は、トリガ22を、引き量が最大となる最大操作位置に保持するためのボタンである。ロックボタン26は、トリガ22が最大操作位置にあるときにロック側に操作することができ、ロック側に操作されると、トリガ22に係合されて最大操作位置に保持する。また、ロックボタン26は、非ロック側に操作されると、トリガ22との係合が解除され、ユーザは、引き量0の非操作位置から最大操作位置の間で、トリガ22を引き操作することができるようになる。
【0056】
ハンドル部20には、
図2に示す主電源スイッチ28も設けられている。主電源スイッチ28は、例えば、モメンタリ型のスイッチ(ノーマリオフ)であり、ユーザの操作によりオンされることで、
図2に示すコントローラ40のオン・オフ状態(換言すればコントローラ40の動作・停止)を切り替える。
【0057】
トリガスイッチ22A、引き量検出部22B、回転ダイヤル24、及び、主電源スイッチ28は、ケーブル29を介して、コントローラ40に接続されている。コントローラ40は、ブロワ本体6及びバッテリパック60と共に、背負子4に固定されている。バッテリパック60は、バッテリを内蔵しており、コントローラ40に直流電力を供給するのに用いられる。つまり、バッテリパック60は、本開示の直流電源として機能する。
【0058】
コントローラ40は、バッテリパック60から電力供給を受けて、モータ30を駆動制御するように構成されている。すなわち、コントローラ40は、
図2に示すように、ブリッジ回路42、ゲート回路44、レギュレータ48、及び、制御回路50を備える。
【0059】
ブリッジ回路42は、バッテリパック60から電力供給を受けて、モータ30の各相巻線に電流を供給する。本実施形態では、ブリッジ回路42は、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6を備えた3相フルブリッジ回路の形態である。
【0060】
ブリッジ回路42において、第1~第3スイッチング素子Q1~Q3は、モータ30の第1端子U,第2端子V,第3端子Wと、バッテリパック60の正極側に接続された電源ラインとの間の正極側通電経路L1,L2,L3上に、いわゆるハイサイドスイッチとして設けられている。第1端子U,第2端子V,第3端子Wは、モータ30のU相、V相、W相にそれぞれ対応している。
【0061】
また、第4~第6スイッチング素子Q4~Q6は、モータ30の第1端子U,第2端子V,第3端子Wと、バッテリパック60の負極側に接続されたグラウンドラインとの間の負極側通電経路L4,L5,L4上に、いわゆるローサイドスイッチとして設けられている。
【0062】
第1~第6スイッチング素子Q1~Q6は、本実施形態では、nチャネル型の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の形態である。このため、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6のそれぞれのドレイン-ソース間には、ソースからドレインに向けて順方向となる第1~第6ダイオードD1~D6(所謂、寄生ダイオード)がそれぞれ並列に接続されることになる。
【0063】
従って、第1~第6ダイオードD1~D6の各々は、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6のうちの対応する1つがオフ状態であるとき、バッテリパック60の正極側から負極側に至る正方向とは逆方向に電流を流すことができる。
【0064】
ゲート回路44は、制御回路50から出力された制御信号に従い、ブリッジ回路42内の第1~第6スイッチング素子Q1~Q6を個別にオン/オフさせることで、モータ30の各相巻線に電流を流し、モータ30を回転させるものである。
【0065】
レギュレータ48は、バッテリパック60から電源供給を受けて、コントローラ40内の各部の動作用電源電圧(直流定電圧)を生成する。制御回路50をはじめ、コントローラ40内の各部は、レギュレータ48からの動作用電源電圧を電源として動作する。
【0066】
制御回路50は、ゲート回路44を介してモータ30を駆動制御する。本実施形態における制御回路50は、CPU、ROM、RAMを含むMCU(Micro Control Unit)の形態である。本実施形態の制御回路50には、制御対象となるモータ30やコントローラ40の状態(異常等)を記憶するための不揮発性のメモリ51が設けられている。他の実施形態では、制御回路50は、MCUに代えて、またはMCUに加えて、例えばディスクリート素子などのような電子部品の組み合わせを備えてもよいし、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよいし、特定用途向け汎用品(ASSP)を備えてもよいし、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのプログラマブル・ロジック・デバイスを備えてもよいし、あるいはこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0067】
制御回路50には、ハンドル部20に設けられたトリガスイッチ22A、引き量検出部22B、回転ダイヤル24、及び、主電源スイッチ28から、トリガスイッチ信号、引き量検出信号、ダイヤル位置信号、及び、主電源スイッチ信号が入力される。
【0068】
また、制御回路50には、電圧検出部52、電流検出部46、モータ温度検出部34、回転角度検出部36、FET温度検出部54、及び、バッテリ通信部58が接続されている。
【0069】
電圧検出部52は、バッテリパック60からコントローラ40に入力されるバッテリ電圧を検出する回路である。また、電流検出部46は、ブリッジ回路42からグラウンドラインに至るモータ30への通電経路上に設けられて、モータ30に流れる電流を検出する回路である。また、モータ温度検出部34は、モータ30に設けられて、モータ30の温度を検出する温度センサであり、例えば、サーミスタの形態である。
【0070】
次に、回転角度検出部36は、モータ30に設けられた回転センサ32からの検出信号に基づき、モータの回転位置を検出する回路である。つまり、回転センサ32は、モータ30のロータの周囲に配置された、図示しない3つのホールセンサを備える。この3つのホールセンサからは、ロータが電気角180度回転する度に増減方向が反転する、モータ30のU相,V相,W相に対応したホール信号が出力される。
【0071】
回転角度検出部36は、これら各相U、V、Wのホール信号を波形整形することで、ロータの電気角180度毎に正負が反転するパルス状のホール信号(
図4,
図5参照)を生成する波形整形回路を備える。
【0072】
そして、回転角度検出部36は、各ホール信号のエッジから、電気角60度間隔でモータ30のロータの回転位置(換言すればモータ30の回転角度)を表す検出信号を,制御回路50に出力する。
【0073】
このため、制御回路50は、回転角度検出部36から入力される検出信号に基づき、モータ30の回転角度を検知することができる。また、制御回路50は、回転角度検出部36から入力される検出信号に基づき、モータ30の単位時間あたりの回転数(換言すれば回転速度)を検出することができる。
【0074】
FET温度検出部54は、ブリッジ回路42に設けられて、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の温度(換言すればブリッジ回路42の温度)を検出する温度センサであり、例えば、サーミスタの形態である。
【0075】
バッテリ通信部58は、バッテリパック60に設けられた通信部との間で通信することで、バッテリパック60内のバッテリに蓄積された電力量(以下、残容量という)やバッテリの劣化状態等の情報を取得する。そして、制御回路50は、バッテリ通信部58を介して取得した情報に基づき、バッテリパック60からの供給電力にてモータ30を駆動できるかどうかを判断する。
【0076】
次に、制御回路50にて、モータ30を駆動制御するために実行される制御処理について説明する。なお、この制御処理は、バッテリパック60が正常で、バッテリパック60からの供給電力にてモータ30を駆動できると判断されているときに、制御回路50においてメインルーチンとして実行される。
【0077】
図3に示すように、制御回路50は、まずS110(Sはステップを表す)にて、引き量検出部22Bからトリガ22の引き量を取得し、続くS120にて、回転ダイヤル24からダイヤル位置を取得する。
【0078】
S130では、S110及びS120にて取得したトリガ22の引き量及び回転ダイヤル24のダイヤル位置に基づき、モータ30の目標回転数を設定する。なお、S130の処理は、本開示の目標回転数設定部の一例に相当する。
【0079】
S130においては、例えば、トリガ22の引き量Ptgrを最大引き量に対する操作割合で規定し、回転ダイヤル24のダイヤル位置Pdialを最大操作位置に対する操作割合で規定することで、目標回転数Rtgtを次式に基づき算出する。
【0080】
Rtgt=Rmax×Ptgr×Pdial
ただし、Rmaxは、モータ30の許容最大回転数である。
【0081】
従って、目標回転数Rtgtは、トリガ22の引き量(換言すれば被操作量)が大きく、かつ、回転ダイヤル24のダイヤル位置(換言すれば被操作量)が大きいほど、許容最大回転数Rmaxに近づくように設定される。
【0082】
次に、S140では、S110及びS120にて取得したトリガ22の引き量及び回転ダイヤル24のダイヤル位置に基づき、モータ30への供給電力をPWM制御するときの目標デューティ比(以下、デューティ比をDUTYと記載する)を設定する。なお、このS140の処理は、本開示の目標デューティ比設定部の一例に相当する。
【0083】
S140においては、例えば、トリガ22の引き量Ptgrを最大引き量に対する操作割合で規定し、回転ダイヤル24のダイヤル位置Pdialを最大操作位置に対する操作割合で規定することで、目標DUTYを、次式に基づき算出する。
【0084】
目標DUTY=100%×Ptgr×Pdial×K
ただし、Kは、トリガ22及び回転ダイヤル24の被操作量である「Ptgr×Pdial」が予め設定された閾値以上であるとき、目標DUTYが100%となるように、目標DUTYを補正する係数である。
【0085】
従って、目標DUTYは、トリガ22及び回転ダイヤル24の被操作量「Ptgr×Pdial」が閾値未満であるときに、トリガ22の引き量が大きく、かつ、回転ダイヤル24のダイヤル位置が大きいほど、100%に近づくように設定される。また、トリガ22及び回転ダイヤル24の被操作量「Ptgr×Pdial」が閾値以上であるときには、目標DUTYは、100%に設定される。
【0086】
S130及びS140にて、モータ30の目標回転数及び目標DUTYが設定されると、制御回路50は、S150に移行し、目標回転数及び目標DUTYに基づき、モータ30を駆動制御する。
【0087】
S150においては、
図4に示すPWM制御と、
図5に示す通電角制御とを、同時に実行することで、モータ30の回転を制御する、モータ制御処理を実行する。なお、このモータ制御処理は、本開示の制御部の一例に相当する。
【0088】
図4に示すPWM制御では、ホール信号に基づき、モータ30が電気角60度回転する度に、モータ30への通電経路を切り替え、その通電経路を流れる電流を、一定周波数で所定デューティ比に設定されたPWM信号により制御する。
【0089】
つまり、PWM制御では、モータ30の電気角60度回転毎に、ブリッジ回路42においてモータ30への通電経路を形成する一対の被駆動スイッチとして、第6スイッチング素子Q6と第1スイッチング素子Q1、第1スイッチング素子Q1と第5スイッチング素子Q5、第5スイッチング素子Q5と第3スイッチング素子Q3、第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4、第4スイッチング素子Q4と第2スイッチング素子Q2、第2スイッチング素子Q2と第6スイッチング素子Q6、が順次選択される。
【0090】
そして、その選択された第1~第3スイッチング素子Q1~Q3(ハイサイドスイッチ)と第4~第6スイッチング素子Q4~Q6(ローサイドスイッチ)との組み合わせのうち、一方をオン状態にし、他方を所定デューティ比のPWM信号にて周期的にオン・オフさせることで、モータ30への通電電流を制御する。
【0091】
S140にて設定される目標DUTYは、PWM信号を生成するのに利用される。そして、制御回路50は、ゲート回路44に対し、選択された一対のスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子をオン状態とし、他方のスイッチング素子をPWM信号にてオン・オフさせるための制御信号を出力する。
【0092】
上述した特許文献1では、このようなPWM制御にて、モータ30の回転数を目標回転数に制御するようにされており、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の各々が通電経路を形成するのに選択される期間は、所謂通電角として、最大の電気角120度に固定されている。
【0093】
このため、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6は、モータ30が電気角で360度回転する間、順次連続的にオン・オフされることになり、スイッチング損失が大きくなって、ブリッジ回路42が発熱する。
【0094】
そこで、本実施形態では、
図5に例示する通電角制御によって、モータ30の電気角60度回転毎に、PWM制御によって第1~第6スイッチング素子Q1~Q6がオン・オフされる期間を短くし、ブリッジ回路42が発熱するのを抑制する。
【0095】
すなわち、通電角制御では、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の各々が通電経路を形成するのに選択される期間が、最大角度である電気角120度よりも短くなるように、通電角を設定する。そして、その設定した通電角が経過したOFFタイミングで、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6を強制的にオフさせる。
【0096】
そこで、本実施形態では、この通電角制御とPWM制御とを組み合わせ、同時に実施することにより、PWM制御による第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の発熱を抑制しつつ、通電角制御にてモータ30の回転数を目標回転数に制御する。
【0097】
また、PWM制御では、モータ30の駆動開始後、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6を実際にオンさせる駆動DUTYを、目標DUTYまで徐々に増加させることで、モータ30をソフトスタートさせて、突入電流を抑制する。
【0098】
つまり、S150のモータ制御処理においては、
図6に示すように、S200にて、通電角制御のために、モータ30の回転数が目標回転数となるよう、通電角を更新する通電角設定処理を行う。
【0099】
また、S300では、PWM制御のために、上記のように選択された第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の駆動DUTYが、目標DUTYとなるように、駆動DUTYを更新する、DUTY設定処理を行う。
【0100】
なお、S200の通電角設定処理とS300のDUTY設定処理は、ほぼ同時に実施できればよいため、これら各処理の実施順序は変更されてもよい。つまり、
図6に示すように、S300のDUTY設定処理は、S200の通電角設定処理の後に実施されてもよいし、或いは、S200の通電角設定処理の前に実施されてもよい。
【0101】
図6に示すように、S200の通電角設定処理においては、S210にて、回転角度検出部36から入力される検出信号に基づき、現在のモータ回転数Rnowを取得する。なお、S210の処理は、本開示の回転数検出部の一例に相当する。
【0102】
次に、S220では、S210にて取得した現在のモータ回転数Rnowと、S130にて設定された目標回転数Rtgtとを比較する。そして、モータ回転数Rnowが目標回転数Rtgtよりも低い場合には、S230に移行し、現在設定されている通電角に一定の更新値を加算することで、通電角を更新し、S300のDUTY設定処理に移行する。
【0103】
なお、通電角の最大角度は電気角120度であるため、S230では、電気角120度を上限値として、通電角を更新する。また、モータ30の駆動を開始するときの通電角の初期値は、最大角度に設定されている。このため、
図7に示すように、モータ30の駆動開始後、モータ回転数Rnowが目標回転数Rtgtに達するまでの間は、通電角は電気角120度に保持される。
【0104】
一方、S220にて、モータ回転数Rnowが目標回転数Rtgt以上であると判断された場合には、S240に移行し、現在設定されている通電角から一定の更新値を減算することで、通電角を更新し、S300のDUTY設定処理に移行する。なお、本実施形態では、通電角の最小値が、電気角70度に設定されており、S240では、電気角70度を下限値として、通電角を更新する。ただし、通電角の最小値は、適宜設定すればよく、70度以上であってもよいし、70度以下であってもよい。
【0105】
次に、S300のDUTY設定処理においては、S310にて、PWM制御における現在の駆動DUTY(Dnow)を取得する。S320では、S310にて取得した現在の駆動DUTY(Dnow)と、S140にて設定された目標DUTY(Dtgt)とを比較する。
【0106】
そして、現在の駆動DUTY(Dnow)が目標DUTY(Dtgt)よりも低い場合には、S330に移行し、現在設定されている駆動DUTY(Dnow)に一定の更新値を加算することで、駆動DUTYを更新し、S150のモータ制御処理を終了する。
【0107】
なお、駆動DUTYの最大値は100%であり、S330では、100%を上限値として、駆動DUTYを更新する。また、モータ30の駆動を開始するときの駆動DUTYの初期値は、最小値である0%に設定されている。
【0108】
このため、
図7に示すように、駆動DUTYは、モータ30の駆動開始後、0%から徐々に増加(漸増)され、駆動DUTYが目標DUTYに達すると、その目標DUTYに保持される。
【0109】
また、S150のモータ制御処理終了後は、S110に移行し、制御回路50は、S110以降の処理を再度実行する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の背負い式ブロワ2においては、トリガ22及び回転ダイヤル24の被操作量に応じて、モータ30の目標回転数及びPWM制御の目標DUTYを設定し、通電角制御及びPWM制御を実行することで、モータ30を駆動する。
【0111】
そして、モータ30の駆動開始後は、PWM制御による第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の駆動DUTYを、0%から目標DUTYに向けて漸増させる。また、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6をオンする通電角は、モータ回転数が目標回転数に到達するまでは最大角度である電気角120度に設定する。
【0112】
このため、
図7に示すように、モータの駆動開始後、モータ回転数は、駆動DUTYの上昇に伴い、略一定の傾きで上昇する。そして、モータ回転数が目標回転数に到達すると、モータ回転数を目標回転数に保持するために、通電角制御により通電角が制御される。
【0113】
また、
図7に示すように、目標DUTYが100%で、モータ回転数が目標回転数に到達しても駆動DUTYが目標DUTYに到達しない場合、駆動DUTYは継続して上昇し、PWM制御によってモータ30の駆動電力が上昇することになる。これに対し、通電角制御では、通電角を減少させることで、モータ30の駆動電力の上昇を抑制するようになる。
【0114】
従って、モータ回転数が目標回転数に到達した後は、通電角制御によってモータ回転数が目標回転数に制御され、PWM制御にて第1~第6スイッチング素子Q1~Q6をオン・オフさせる期間は、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6毎に、電気角60度の最大期間よりも短くなる。
【0115】
特に、トリガ22の引き量と回転ダイヤル24のダイヤル位置とで決まる被操作量が閾値以上で、モータ30が高負荷運転されるときには、目標DUTYは100%に設定される。このため、モータ30の高負荷運転時に、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6がPWM制御によってオン・オフされるのを抑制することができる。
【0116】
よって、本実施形態の背負い式ブロワ2によれば、特許文献1に記載のものに比べて、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6で生じるスイッチング損失を抑制することができ、そのスイッチング損失によりブリッジ回路42が発熱するのを抑制できる。
【0117】
つまり、特許文献1に記載のものでは、
図8に示すように、PWM制御にてモータ回転数を目標回転数に制御し、通電角は最大角度である120度に固定されることから、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の各々は、順次連続的にオン・オフされる。従って、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6で生じるスイッチング損失が大きく、ブリッジ回路42が発熱し易くなるが、本実施形態によれば、こうした問題を抑制することができる。
【0118】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、トリガ22の引き量と回転ダイヤル24のダイヤル位置とで決まるユーザインタフェースの被操作量が閾値未満であるときには、被操作量に応じて目標DUTYを100%未満の値に設定するものとして説明した。
【0119】
これに対し、本実施形態では、目標DUTYは、ユーザインタフェースの被操作量にかかわらず、100%に設定する。
【0120】
そして、S150のモータ制御処理においては、
図6に示すS300のDUTY設定処理に代えて、
図9に示すS400のDUTY設定処理を実行する。
【0121】
すなわち、S400のDUTY設定処理においては、まずS410にて、モータ30の目標回転数Rtgtが0よりも大きいか否か、換言すれば、モータ30の駆動条件が成立しているか否か、を判断する。
【0122】
そして、モータ30の目標回転数Rtgtが0よりも大きく、モータ30の駆動条件が成立していれば、S420に移行し、モータ30の駆動条件が成立していなければ、S450に移行する。
【0123】
S420では、PWM制御における現在の駆動DUTY(Dnow)を取得し、続くS430にて、S420で取得した現在の駆動DUTY(Dnow)が目標DUTY(100%)よりも小さいか否かを判断する。
【0124】
そして、現在の駆動DUTY(Dnow)が目標DUTY(100%)よりも小さい場合には、S440に移行して、現在設定されている駆動DUTY(Dnow)に一定の更新値を加算することで、駆動DUTYを更新し、DUTY設定処理を終了する。
【0125】
一方、S430にて、現在の駆動DUTY(Dnow)は目標DUTY(100%)に達していると判断された場合には、DUTY設定処理を終了する。
【0126】
また、S450では、モータ30の駆動条件が成立していないので、駆動DUTY(Dnow)を0%に設定し、DUTY設定処理を終了する。
【0127】
このように、本実施形態では、目標DUTYが、ユーザインタフェースの被操作量にかかわらず、100%に設定されるが、PWM制御を実行する際の駆動DUTYは、モータ30の駆動開始後、100%に達する迄、一定の更新値にて漸増される。
【0128】
従って、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、モータ30の駆動開始後は、モータ30をソフトスタートさせて、突入電流を抑制することができる。また、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6は、モータ30の駆動開始後、駆動DUTYが100%に達するまでは、PWM制御によってオン・オフされるが、駆動DUTYが100%に達した後は、PWM制御によってオン・オフされることはない。
【0129】
よって、本実施形態によれば、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6がオン・オフされることによって生じるスイッチング損失をより良好に抑制して、ブリッジ回路42が発熱するのを抑制できる。
【0130】
[第3実施形態]
第2実施形態では、ユーザインタフェースの被操作量にかかわらず、目標DUTYを100%に設定することにより、スイッチング損失をより良好に抑制できるようにした。
【0131】
これに対し、本実施形態では、PWM制御において、モータ30の回転数が目標回転数となるように駆動DUTYを制御するようにし、その目標回転数を、通電角制御での目標回転数よりも大きい値に設定することで、目標DUTYが100%となるようにする。
【0132】
すなわち、本実施形態では、制御回路50が、
図3に示す制御処理に代えて、
図10に示す制御処理を実行する。そして、
図10に示す制御処理においては、
図3に示すS130~S150の処理に代えて、S135~S155の処理を実行する。
【0133】
S135では、S130と同様の手順で、ユーザインタフェースの被操作量に応じて、通電角制御の目標回転数RtgtAを設定する。S145では、S135で設定された目標回転数RtgtAに所定のオフセット値(例えば、500rpm)を加算することで、PWM制御の目標回転数RtgtBを設定する。そして、S155では、
図11に示す手順で、モータ制御処理を実行する。
【0134】
図11に示すように、S155のモータ制御処理においては、S200にて、通電角制御のために、モータ30の回転数が目標回転数RtgtAとなるよう、通電角を更新する、通電角設定処理を実行する。なお、S200の処理は、
図6に示した第1実施形態と同様の手順で実行する。
【0135】
また、S155のモータ制御処理においては、
図6のS300或いは
図9のS400に記載のDUTY設定処理に代えて、S500のDUTY設定処理を実行する。
【0136】
このDUTY設定処理においては、S510にて、回転角度検出部36から入力される検出信号に基づき、現在のモータ回転数Rnowを取得する。次に、S520では、S510にて取得した現在のモータ回転数Rnowと、S145にて設定されたPWM制御の目標回転数RtgtBとを比較する。
【0137】
そして、モータ回転数Rnowが目標回転数RtgtBよりも低い場合には、S530に移行し、現在設定されている駆動DUTY(Dnow)に一定の更新値を加算することで、駆動DUTYを更新し、DUTY設定処理を終了する。なお、S530で更新される駆動DUTYの最大値は100%であり、S530では、100%を上限として駆動DUTYを更新する。
【0138】
一方、S520にて、モータ回転数Rnowが目標回転数RtgtB以上であると判断された場合には、S540に移行し、現在設定されている駆動DUTY(Dnow)から一定の更新値を減算することで、駆動DUTYを更新し、DUTY設定処理を終了する。なお、S530で更新される駆動DUTYの最小値は、例えば、1%であり、S530では、その最小値を下限として駆動DUTYを更新する。
【0139】
このように本実施形態では、通電角制御の目標回転数RtgtAと、PWM制御の目標回転数RtgtBとを設定する。そして、通電角制御及びPWM制御において、それぞれ、モータ回転数Rnowが目標回転数RtgtA,RtgtBになるよう、通電角及び駆動DUTYを制御する。
【0140】
そして、
図12に示すように、PWM制御の目標回転数RtgtBは、通電角制御の目標回転数RtgtAよりもオフセット値にて規定される所定回転数だけ大きくなっている。 このため、モータ30の駆動開始後、モータ回転数は目標回転数RtgtAに到達し、通電角制御によって、目標回転数RtgtAに制御される。
【0141】
従って、PWM制御では、モータ回転数が目標回転数RtgtAに到達しても、モータ回転数が更に上昇するように、駆動DUTYを、100%となるまで漸増させることになる。
【0142】
よって、本実施形態によれば、第2実施形態のように、PWM制御の目標DUTYを100%に設定した場合と同様に、PWM制御が実施されることになり、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0143】
なお、本実施形態においては、PWM制御の目標回転数RtgtBを設定するS145の処理、及び、S500のDUTY設定処理が、本開示の目標デューティ比設定部の一例に相当する。
【0144】
[変形例]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0145】
例えば、上記実施形態では、ユーザインタフェースとして、トリガ22と回転ダイヤル24を備え、これら各部の被操作量に基づき、モータ30の目標回転数や目標DUTYを設定するものとして説明した。しかし、ユーザインタフェースとしては、トリガ22又は回転ダイヤル24だけであってもよく、或いは、ユーザにより操作される他の被操作部であってもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、ユーザインタフェースの被操作量に基づき、目標回転数や目標DUTYを設定するものとして説明したが、ユーザインタフェースの操作により入力される回転指令値に基づき、目標回転数や目標DUTYを設定するようにしてもよい。
【0147】
また、上記実施形態では、電動作業機として、背負い式ブロワについて説明したが、本開示の技術は、工具ビットなど、ファン10とは異なる駆動対象物(所謂ツール)が出力軸に装着される電動作業機であっても、上記実施形態と同様に適用することができる。
【0148】
また、上記実施形態では、モータ30は、回転センサ32を備えた3相ブラシレスモータであるものとして説明したが、モータ30は、3相以外のブラシレスモータ、例えば単相のブラシレスモータ、であってもよく、回転センサ32を備えていなくてもよい。
【0149】
なお、ブラシレスモータが回転センサ32を備えていない場合、例えば、回転角度検出部36は、所謂センサレス方式として、モータコイルに発生する誘起電圧からロータ位置(回転角度)を検出するように構成されてもよい。
【0150】
また、上記実施形態において、通電角制御では、
図5に示すように、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6を強制的にオフさせるOFFタイミングを早くすることで、通電角を、最大角度である電気角120度よりも短くするものとして説明した。
【0151】
しかし、通電角制御では、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6の各々が通電経路を形成するのに選択される期間が、最大角度である電気角120度よりも短くなるように、通電角を制御できればよい。
【0152】
このため、例えば、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6をオンさせるONタイミングを遅くすることによって、通電角を制御するようにしてもよい。また、例えば、第1~第6スイッチング素子Q1~Q6のONタイミングとOFFタイミングとの両方を調整することで、通電角を制御するようにしてもよい。また、例えば、最大角度である電気角120度の間に第1~第6スイッチング素子Q1~Q6をオフさせる非通電期間を設けることで、通電角を制御するようにしてもよい。
【0153】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0154】
また本開示は、電動作業機の他、電動作業機を構成要素とするシステム、電動作業機としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、制御方法など、種々の形態で実現することもできる。
【符号の説明】
【0155】
2…背負い式ブロワ、10…ファン、12…出力軸、22…トリガ、24…回転ダイヤル、30…ブラシレスモータ、32…回転センサ、36…回転角度検出部、40…コントローラ、42…ブリッジ回路、50…制御回路、60…バッテリパック、L1~L3…正極側通電経路、L4~L6…負極側通電経路、Q1~Q6…スイッチング素子。