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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】音像制御装置および音像制御方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20250617BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20250617BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
G10K15/04 302J
H04S7/00 300
B60R11/02 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021076305
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170271
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】平出 誠治
(72)【発明者】
【氏名】舩石 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】菅野 才文
【審査官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308797(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174840(WO,A1)
【文献】特開2005-099559(JP,A)
【文献】特開2017-181920(JP,A)
【文献】特開2007-010810(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195280(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168602(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
H04S 1/00- 7/00
B60R 9/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、
記憶装置に記憶された音情報と、前記車両情報とに基づいて、前記車両の加速に応じた音を示す音信号を生成する生成部と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動する音像制御部と、
を含み、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記音信号によって示される前記車両の加速に応じた音であり、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、
前記音像制御部は、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の前後方向において移動する、
音像制御装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つのスピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカより後方に位置する第2スピーカと、を含み、
前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧とを制御することによって、前記音像定位を前記車両の前後方向に移動する、
請求項1に記載の音像制御装置。
【請求項3】
前記音像制御部は、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧との大小関係を変更することによって、前記音像定位を前記車両の前後方向において移動する、
請求項2に記載の音像制御装置。
【請求項4】
前記音像制御部は、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示すときの前記音像定位を、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示さないときの前記音像定位よりも前記車両の前方向に移動した位置に設定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の音像制御装置。
【請求項5】
車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、
記憶装置に記憶された音情報と、前記車両情報とに基づいて、前記車両の加速に応じた音を示す音信号を生成する生成部と、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動する音像制御部と、
を含み、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記音信号によって示される前記車両の加速に応じた音であり、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、
前記音像制御部は、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の左右方向において移動する、
音像制御装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つのスピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカよりも左に位置する第2スピーカと、を含み、
前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧とを制御することによって、前記音像定位を前記車両の左右方向に移動する、
請求項に記載の音像制御装置。
【請求項7】
コンピュータにより実現される音像制御方法であって、
車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得し、
記憶装置に記憶された音情報と、前記車両情報とに基づいて、前記車両の加速に応じた音を示す音信号を生成し、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動し、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記音信号によって示される前記車両の加速に応じた音であり、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の左右方向において移動する、
音像制御方法。
【請求項8】
コンピュータにより実現される音像制御方法であって、
車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得し、
記憶装置に記憶された音情報と、前記車両情報とに基づいて、前記車両の加速に応じた音を示す音信号を生成し、
前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動し、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記音信号によって示される前記車両の加速に応じた音であり、
前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、
前記音像制御部は、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の左右方向において移動する、
音像制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音像制御装置および音像制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の速度またはアクセルに対する踏み込み量に応じて、特定の音源の位置を変化させる手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-10810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法とは異なる手法によって、車両の搭乗者に走行に対する没入感を与えられる技術が望まれる。本開示は、車両の搭乗者に走行に対する没入感を与えられる新たな技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る音像制御装置は、車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動する音像制御部と、を含む。
【0006】
本開示の他の態様に係る音像制御装置は、車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動する音像制御部と、を含む。
【0007】
本開示のさらに他の態様に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得し、前記取得した車両情報に基づいて、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動する。
【0008】
本開示のさらに他の態様に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得し、前記取得した車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る音像制御装置1の一例を示す図である。
図2】車両100の一例を示す図である。
図3】参照情報eが示す対応関係の一例を表す図である。
図4】第1参照情報e1が示す対応関係の一例を表す図である。
図5】第2参照情報e2が示す対応関係の一例を表す図である。
図6】走行情報g1が示す対応関係の一例を示す図である。
図7】音情報h1が示す対応関係の一例を示す図である。
図8】音像制御装置1の動作の一例を示す図である。
図9】前方向の加速度とx軸8a方向の音像定位との関係の一例を示す図である。
図10】スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
図11】スピーカ5aおよび5bの各々が出力する音の音圧を示す図である。
図12】前方向の加速度とx軸8a方向の音像定位との関係の一例を示す図である。
図13】スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
図14】前方向の加速度とx軸8a方向の音像定位との関係の一例を示す図である。
図15】スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
図16】加速度センサ91をさらに含む車両100の一例を示す図である。
図17】加速度センサ92をさらに含む車両100の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A:第1実施形態
A1:音像制御装置1
図1は、第1実施形態に係る音像制御装置1の一例を示す図である。音像制御装置1は、車両100に搭載される。車両100は、エンジンを有さない電気自動車である。車両100は、車両100のドライバによって操作される。車両100は、自動運転を実行してもよい。車両100は、音像制御装置1と、車輪2a~2dと、車輪制御部3と、車速計測器3Aと、操作部4と、スピーカ5aおよび5bと、を含む。
【0011】
図2は、車両100の一例を示す図である。図2は、車両100に加えて、車両100の前後方向に沿うx軸8aと、車両100の左右方向に沿うy軸8bと、第1位置i1と、第2位置i2と、第3位置i3と、を示す。第1位置i1と第2位置i2と第3位置i3は、車両100の前後方向(x軸8aに沿う方向)に並んでいる。第2位置i2は、車両100の前後方向において、第1位置i1よりも前方に存在する。第3位置i3は、車両100の前後方向において、第1位置i1と第2位置i2との間に存在する。
【0012】
車両100は、車室100aと、フロント左ドア7aと、フロント右ドア7bと、リア左ドア7cと、リア右ドア7dと、を含む。車室100aは、スピーカ5aおよび5bと、シート(座席)6と、フロント左ドア7aの一部と、フロント右ドア7bの一部と、リア左ドア7cの一部と、リア右ドア7dの一部と、を有する。
【0013】
スピーカ5aおよび5bの各々は、複数のスピーカを有するスピーカセットである。スピーカ5aおよび5bの各々は、単一のスピーカでもよい。スピーカ5aおよび5bは、車両100の備える少なくとも2つのスピーカの一例である。スピーカ5aおよび5bは、種々の音を放音する。例えば、スピーカ5aおよび5bは、仮想のエンジン音を放音する。
【0014】
エンジン音は、エンジン自体が発する音と、エンジンによる吸気に起因する吸気音と、エンジンによる排気に起因する排気音と、を含む音である。エンジン音は、エンジン自体が発する音のみでもよいし、エンジン自体が発する音と吸気音との組合せでもよいし、エンジン自体が発する音と排気音との組合せでもよい。エンジン音は、さらに、ノイズを示す音を含んでもよい。
【0015】
スピーカ5aは、スピーカ5a1~5a3を有する。スピーカ5a1は、フロント左ドア7aに位置する。スピーカ5a2は、フロント右ドア7bに位置する。スピーカ5a3は、車室100aにおける前部に位置する。スピーカ5a、5a1、5a2および5a3の各々は、第1スピーカの一例である。
【0016】
スピーカ5bは、車両100の前後方向において、スピーカ5aよりも後方に位置する。スピーカ5bは、スピーカ5b1~5b3を有する。スピーカ5b1は、リア左ドア7cに位置する。スピーカ5b2は、リア右ドア7dに位置する。スピーカ5b3は、車室100aにおける後部に位置する。スピーカ5b、5b1、5b2および5b3の各々は、第2スピーカの一例である。
【0017】
図1に示される音像制御装置1は、スピーカ5aおよび5bに、仮想のエンジン音を放音させる。音像制御装置1は、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を、車両100の前後方向に移動する。音像は、スピーカ5aおよび5bから出力される音を聞く人の感覚上の音源である。音像定位は、音像の位置を意味する。本実施形態では、スピーカ5aおよび5bに放音させることで、シート6に着座する搭乗者のいずれかまたは全員を対象として音像定位が行われる。なお、運転席に着座する運転者(搭乗者)のみが音像定位の対象でもよい。
【0018】
車輪2aおよび2bの各々は、車両100の前輪である。車輪2cおよび2dの各々は、車両100の後輪である。車両100は、車輪2a~2dに加えて、追加の車輪を有してもよい。
【0019】
車輪制御部3は、車輪2aおよび2bの各々の回転を制御する。車輪制御部3は、車輪2aおよび2bの各々の回転の代わりに、車輪2cおよび2dの各々の回転を制御してもよい。車輪制御部3は、車輪2a~2dの各々の回転を制御してもよい。車輪制御部3は、モータ31と、アクセルペダル32と、シフトレバー33と、モータ制御部34と、動力伝達部35と、を含む。
【0020】
モータ31は、電力に基づいて動力を生成する。アクセルペダル32およびシフトレバー33は、それぞれ、車両100のドライバによって操作される。アクセルペダル32およびシフトレバー33は、それぞれ、自動的に操作されてもよい。
【0021】
アクセルペダル32の位置は、車両100のドライバによって調節される。アクセルペダル32の位置は、「アクセルの開度」に対応する。アクセルの開度は、アクセルペダル32の位置とアクセルペダル32の基準位置との差異の増加に応じて増加する。アクセルの開度は、アクセルペダル32の位置とアクセルペダル32の基準位置との差異の減少に応じて減少する。アクセルペダル32の基準位置は、アクセルペダル32が操作されていない状況におけるアクセルペダル32の位置である。アクセルペダル32の位置が、アクセルペダル32の基準位置と一致する場合、アクセルの開度は「0」である。
【0022】
アクセルペダル32の位置とアクセルペダル32の基準位置との差異は、「アクセルペダル32の変位量」と称することができる。アクセルペダル32の変位量が、アクセルの開度として用いられてもよい。
【0023】
アクセルペダル32は、アクセルの一例である。車両100がアクセルペダル32の代わりにアクセルレバーを有する場合、アクセルレバーがアクセルの一例である。
【0024】
シフトレバー33は、車両100のドライバによって、ドライブレンジと、パーキングレンジと、リバースレンジと、ニュートラルレンジと、のいずれの位置に択一的に設定される。
【0025】
モータ制御部34は、アクセルペダル32の位置と、シフトレバー33の位置と、を検出する。アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とを検出する手法は、公知であるため、詳細な説明を割愛する。
【0026】
モータ制御部34は、アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいて、モータ31を制御する。例えば、モータ制御部34は、アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいて、回転方向情報と回転速度情報とを生成する。回転方向情報は、モータ31の回転方向を定める情報である。回転速度情報は、モータ31の回転速度を定める情報である。モータ制御部34は、モータ31の回転方向を、回転方向情報が定める回転方向に設定する。モータ制御部34は、モータ31の回転速度を、回転速度情報が定める回転速度に設定する。アクセルペダル32の位置とシフトレバー33の位置とに基づいてモータ31の回転(回転方向および回転速度)を制御する手法は、公知であるため、詳細な説明を割愛する。
【0027】
動力伝達部35は、1セットのリダクションギア(reduction gear)である。動力伝達部35は、モータ31によって生成される動力を車輪2aおよび2bに伝達する。動力伝達部35は、モータ31によって生成される動力を、車輪2aおよび2bの代わりに、車輪2cおよび2dに伝達してもよい。動力伝達部35は、モータ31によって生成される動力を、車輪2a~2dに伝達してもよい。
【0028】
車速計測器3Aは、車両100の速度を計測する。車速計測器3Aは、車両100の速度の計測結果に基づいて、速度情報a1を生成する。速度情報a1は、車両100の速度を示す情報である。速度情報a1の変化は、車両100の前後方向における加速の程度を示す。このため、速度情報a1は、車両100の前後方向における加速の程度を定める情報の一例である。
【0029】
車両100の前後方向における加速の程度を定める情報は、車両100の前後方向における加速の程度を指定する情報を包含してもよい。車両100の前後方向における加速の程度を定める情報は、車両100の前後方向における加速に関する車両情報の一例である。車両100の前後方向における加速に関する車両情報は、車両100の前後方向における加速の程度を定める情報に限らない。車両100の前後方向における加速に関する車両情報は、車両100の前後方向における加速の程度を示す情報(例えば、車両100の前後方向における加速度を示す情報)でもよい。加速に関する車両情報は、加速の程度を定める情報と、加速の程度を示す情報と、を包含する概念である。
【0030】
モータ制御部34は、アクセルペダル32の位置に基づいて、アクセル情報b1を生成する。アクセル情報b1は、アクセルの開度を示す情報である。
【0031】
操作部4は、例えば、タッチパネルである。操作部4は、タッチパネルに限らず、種々の操作ボタンを有する操作盤でもよい。操作部4は、車両100の搭乗者が行う操作を受け取る。以下「車両100の搭乗者」を、単に「搭乗者」と称する。
【0032】
音像制御装置1は、記憶装置11と、処理装置12と、を含む。記憶装置11は、音像制御装置1の外部要素でもよい。
【0033】
記憶装置11は、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体(例えば、コンピュータによって読み取り可能なnon transitoryな記録媒体)である。記憶装置11は、不揮発性メモリーと、揮発性メモリーと、を含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0034】
記憶装置11は、プログラムp1と、種々の情報と、を記憶する。プログラムp1は、音像制御装置1の動作を規定する。記憶装置11は、不図示のサーバにおける記憶装置から読み取られたプログラムp1を記憶してもよい。この場合、サーバにおける記憶装置は、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0035】
処理装置12は、1または複数のCPU(Central Processing Unit)を含む。1または複数のCPUは、1または複数のプロセッサの一例である。処理装置、プロセッサおよびCPUの各々は、コンピュータの一例である。
【0036】
処理装置12は、記憶装置11からプログラムp1を読み取る。処理装置12は、プログラムp1を実行することによって、取得部13、生成部14および音像制御部15として機能する。取得部13、生成部14および音像制御部15の少なくとも1つは、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路で実現されてもよい。
【0037】
取得部13は、車速計測器3Aから速度情報a1を取得する。例えば、取得部13は、まず、車速計測器3Aに速度情報a1の要求を送信する。取得部13は、速度情報a1の要求に応じて車速計測器3Aから送信される速度情報a1を取得する。車速計測器3Aが、速度情報a1を取得部13に能動的に送信する場合、取得部13は、車速計測器3Aから能動的に送信される速度情報a1を取得してもよい。取得部13は、モータ制御部34からアクセル情報b1を取得する。例えば、取得部13は、まず、モータ制御部34にアクセル情報b1の要求を送信する。取得部13は、アクセル情報b1の要求に応じてモータ制御部34から送信されるアクセル情報b1を取得する。モータ制御部34が、アクセル情報b1を取得部13に能動的に送信する場合、取得部13は、モータ制御部34から能動的に送信されるアクセル情報b1を取得してもよい。速度情報a1とアクセル情報b1は、CAN(Controller Area Network)にて通信される。速度情報a1とアクセル情報b1は、CANとは異なる通信プロトコルにて通信されてもよい。
【0038】
生成部14は、取得部13が取得した速度情報a1およびアクセル情報b1に基づいて、音信号c1を生成する。音信号c1は、仮想のエンジン音を示すサラウンド信号である。生成部14は、決定部141と、信号生成部142と、を含む。
【0039】
決定部141は、速度情報a1に基づいて、仮想エンジンの回転数を決定する。仮想エンジンは、車両100に仮想的に搭載される仮想のエンジンである。決定部141は、参照情報eを用いることによって、仮想エンジンの回転数を決定する。
【0040】
参照情報eは、車両100の速度と、仮想エンジンの回転数と、の対応関係を示す情報である。参照情報eは、記憶装置11に記憶されている。
【0041】
決定部141は、参照情報eを用いて、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を決定する。決定部141は、仮想エンジンの回転数を決定すると、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報f1を生成する。
【0042】
参照情報eは、第1参照情報e1と第2参照情報e2を含んでもよい。第1参照情報e1は、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。第2参照情報e2は、車両100の減速時および車両100の定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。
【0043】
参照情報eが、第1参照情報e1と第2参照情報e2とを含む場合も、決定部141は、速度情報a1に基づいて、仮想エンジンの回転数を決定する。
【0044】
例えば、決定部141は、まず、速度情報a1の変化に基づいて、車両100が加速時であるか否かを判断する。
【0045】
決定部141は、車両100が加速時であると判断する場合、第1参照情報e1を用いることによって、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を決定する。
【0046】
決定部141は、車両100が加速時でないと判断する場合、車両100が減速時または定速時であると判断する。
【0047】
決定部141は、車両100が減速時または定速時であると判断する場合、第2参照情報e2を用いて、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想的なエンジンの回転数を決定する。
【0048】
参照情報eが第1参照情報e1と第2参照情報e2とを含む場合も、決定部141は、仮想エンジンの回転数を決定すると、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報f1を生成する。
【0049】
信号生成部142は、回転数情報f1とアクセル情報b1とに基づいて、音信号c1を生成する。
【0050】
信号生成部142は、まず、回転数情報f1とアクセル情報b1とに基づいて、車両100の走行状態を決定する。例えば、信号生成部142は、走行情報g1を用いることによって、車両100の走行状態を決定する。
【0051】
走行情報g1は、仮想エンジンの回転数と、アクセルの開度と、車両100の走行状態と、の対応関係を示す情報である。走行情報g1は、記憶装置11に記憶されている。
【0052】
信号生成部142は、走行情報g1を用いて、回転数情報f1が示す仮想エンジンの回転数と、アクセル情報b1が示すアクセルの開度と、の両方に対応する車両100の走行状態を決定する。
【0053】
続いて、信号生成部142は、車両100の走行状態に基づいて、音信号c1を生成する。例えば、信号生成部142は、音情報h1を用いることによって、音信号c1を生成する。
【0054】
音情報h1は、車両100の走行状態と、仮想のエンジン音を示す音データと、の対応関係を示す情報である。音データは、車両100の走行状態に応じた仮想のエンジン音を示す。音情報h1は、記憶装置11に記憶されている。
【0055】
信号生成部142は、音情報h1を用いて、車両100の走行状態に対応する音信号c1を生成する。
【0056】
音信号c1は、マルチチャネルの音信号である。音信号c1は、スピーカ5a用の音信号c1aと、スピーカ5b用の音信号c1bと、を含む。音信号c1aおよびc1bの各々は、マルチチャネルの音信号である。スピーカ5aが1つのスピーカである場合、音信号c1aは、シングルチャネルの音信号である。スピーカ5bが1つのスピーカである場合、音信号c1bは、シングルチャネルの音信号である。
【0057】
音像制御部15は、取得部13が取得した速度情報a1に基づいて、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を、車両100の前後方向に移動する。例えば、音像制御部15は、速度情報a1に基づいて加速度情報を生成する。加速度情報は、車両100の加速度を示す。音像制御部15は、加速度情報に基づいて、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を、車両100の前後方向に移動する。
【0058】
音像制御部15は、加速度情報に基づいて音信号c1aの振幅を調整することによって、スピーカ5a用の音信号c2aを生成する。音像制御部15は、加速度情報に基づいて音信号c1bの振幅を調整することによって、スピーカ5b用の音信号c2bを生成する。
【0059】
音信号c2aおよびc2bの各々は、マルチチャネルの音信号である。スピーカ5aが1つのスピーカである場合、音信号c2aは、シングルチャネルの音信号である。スピーカ5bが1つのスピーカである場合、音信号c2bは、シングルチャネルの音信号である。
【0060】
音像制御部15は、音信号c2aをスピーカ5aに提供する。音像制御部15は、音信号c2bをスピーカ5bに提供する。音信号c2aおよびc2bは、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位に影響する。
【0061】
A2:参照情報e
参照情報eは、車両100の速度と、仮想エンジンの回転数と、の対応関係を示す。仮想エンジンの回転数は、車両100の速度と、仮想の変速機と、に依存する。
【0062】
仮想の変速機は、車両100に仮想的に搭載される変速機である。仮想の変速機は、ギアJ1~J3という3つのギアを有する。ギアJ1は、仮想の変速機における1速に対応する。ギアJ2は、仮想の変速機における2速に対応する。ギアJ3は、仮想の変速機における3速に対応する。ギアJ1、J2およびJ3の各々は、変速ギアとも称され得る。仮想の変速機は、1つ以上のギアを有していればよい。
【0063】
図3は、参照情報eが示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図3において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想エンジンの回転数を示す。
【0064】
参照情報eは、ギアJ1~J3の各々について、車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。仮想エンジンの回転数MAX1は、仮想エンジンの最高回転数を示す。仮想エンジンの最高回転数は、例えば、9000rpm(revolutions per minute)である。仮想エンジンの最高回転数は9000rpmに限らない。
【0065】
参照情報eは、第1参照情報e1と第2参照情報e2とを含む。第1参照情報e1は、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。第2参照情報e2は、車両100の減速時および定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す情報である。
【0066】
図4は、第1参照情報e1が示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の加速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図4において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想エンジンの回転数を示す。
【0067】
第1参照情報e1は、車両100の速度が速度V1未満である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0068】
速度V1は、ギアJ1を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度である。速度V1は、ギアJ1を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度より小さくてもよい。
【0069】
第1参照情報e1は、車両100の速度が速度V1以上速度V2未満である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ2についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0070】
速度V2は、ギアJ2を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度である。速度V2は、ギアJ2を用いる仮想エンジンの回転数が回転数MAX1に到達するときの車両100の速度よりも小さくかつ速度V1よりも大きい速度でもよい。
【0071】
第1参照情報e1は、車両100の速度が速度V2以上である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ3についての車両100の速度と仮想のエンジンの回転数との対応関係を示す。
【0072】
図5は、第2参照情報e2が示す対応関係の一例を表す図、すなわち、車両100の減速時および定速時における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係の一例を表す図である。図5において、横軸は車両100の速度を示し、縦軸は仮想のエンジンの回転数を示す。
【0073】
第2参照情報e2は、車両100の速度が速度V4よりも大きい場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ3についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。速度V4は、速度V1よりも大きく速度V2未満である。
【0074】
第2参照情報e2は、車両100の速度が速度V3よりも大きく速度V4以下である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ2についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。速度V3は、0以上速度V1未満である。
【0075】
第2参照情報e2は、車両100の速度が速度V3以下である場合における車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係として、ギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す。
【0076】
A3:走行情報g1
走行情報g1は、仮想エンジンの回転数と、アクセルの開度と、車両100の走行状態と、の対応関係を示す。
【0077】
図6は、走行情報g1が示す対応関係の一例を示す図である。図6において、横軸は仮想エンジンの回転数を示し、縦軸はアクセルの開度を示す。車両100の走行状態は、仮想エンジンの回転数とアクセルの開度とによって、領域K1~K25に分けられている。以下、領域K1~K25を相互に区別する必要がない場合、領域K1~K25の各々を「領域K」と称する。領域Kの数は、25に限らず、25よりも小さい数でもよいし、25よりも大きい数でもよい。
【0078】
A4:音情報h1
音情報h1は、車両100の走行状態と、車両100の走行状態に応じた仮想のエンジン音を示す音データと、の対応関係を示す情報である。
【0079】
図7は、音情報h1が示す対応関係の一例を示す図である。音情報h1は、車両100の走行状態を示す領域K1~K25と、音信号を定める音データM1~M25と、の対応関係を示す。
【0080】
音データM1~M25は、領域K1~K25と1対1に対応する。例えば、音データM1は領域K1と対応し、音データM25は領域K25と対応する。音データM1~M25は、相互に相違する。以下、音データM1~M25を相互に区別する必要がない場合、音データM1~M25の各々を「音データM」と称する。
【0081】
音データMは、対応する領域K(対応する車両100の走行状態)に応じた仮想のエンジン音を示す。音データMは、現実に存在するエンジンのエンジン音を模した音を示す。音データMは、架空のエンジンのエンジン音を示してもよい。
【0082】
A5:動作の説明
図8は、音像制御装置1の動作の一例を示す図である。以下では、車速計測器3Aが、車両100の速度を示す速度情報a1を生成しているとする。モータ制御部34が、アクセルの開度を示すアクセル情報b1を生成しているとする。車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を示す参照情報eは、図4に示される第1参照情報e1と、図5に示される第2参照情報e2と、を含むとする。
【0083】
操作部4が、音信号c1の生成を指示する操作である生成操作を搭乗者から受け取ると、図8に示される動作がスタートする。図8に示される動作は、操作部4が音信号c1の生成の終了を指示する操作である終了操作を搭乗者から受け取るまで繰り返す。
【0084】
ステップS101において取得部13は、車速計測器3Aから速度情報a1を取得し、かつ、モータ制御部34からアクセル情報b1を取得する。
【0085】
続いて、ステップS102において取得部13は、速度情報a1を記憶装置11に記憶する。このため、記憶装置11には、速度情報a1の履歴が記憶される。
【0086】
速度情報a1の履歴は、操作部4が終了操作を搭乗者から受け取るまで記憶装置11に残される。取得部13は、操作部4が終了操作を搭乗者から受け取ると、速度情報a1の履歴を記憶装置11から削除する。このため、速度情報a1の履歴は、操作部4が生成操作を搭乗者から受け取る時点では記憶装置11に記憶されていない。
【0087】
取得部13は、速度情報a1を記憶装置11に記憶すると、速度情報a1を決定部141に提供する。また、取得部13は、アクセル情報b1を信号生成部142に提供する。
【0088】
続いて、ステップS103において決定部141は、速度情報a1の変化に基づいて、車両100が加速時であるか否かを判断する。
【0089】
ステップS103では決定部141は、速度情報a1の履歴を参照することによって、車両100の速度が増大しているか否か(加速時か否か)を判断する。
【0090】
例えば、決定部141は、まず、速度情報a1の履歴から、今回のステップS102で記憶された速度情報a1と、前回のステップS102で記憶された速度情報a1と、を特定する。なお、前回のステップS102で記憶された速度情報a1が記憶装置11に存在しない場合、決定部141は、前回のステップS102で記憶された速度情報a1が示す車両100の速度として、「0」を用いる。
【0091】
続いて、決定部141は、今回のステップS102で記憶された速度情報a1が示す車両100の速度が、前回のステップS102で記憶された速度情報a1が示す車両100の速度よりも増大しているか否かを判断する。車両100の速度の増大は、車両100が加速時であることを意味する。このため、車両100の速度が増大しているか否かの判断は、車両100が加速時であるか否かの判断を意味する。
【0092】
決定部141は、今回のステップS102で記憶された速度情報a1が示す車両100の速度が、前回のステップS102で記憶された速度情報a1が示す車両100の速度よりも増大している場合、車両100が加速時であると判断する。
【0093】
決定部141は、ステップS103において車両100が加速時であると判断すると、ステップS104において第1参照情報e1を用いることによって仮想エンジンの回転数を決定する。
【0094】
ステップS104では決定部141は、まず、第1参照情報e1に示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、加速時における回転数として決定する。続いて、決定部141は、加速時における回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0095】
例えば、車両100が加速時であり車両100の速度が速度V1未満である場合、決定部141は、まず、第1参照情報e1に示されるギアJ1についての車両100の速度と仮想エンジンの回転数との対応関係を選択する。続いて、決定部141は、ギアJ1について示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、加速時における回転数として決定する。続いて、決定部141は、加速時における回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0096】
決定部141は、ステップS103において車両100が加速時でないと判断すると、車両100が減速時または定速時であると判断する。続いて、決定部141は、ステップS105において第2参照情報e2を用いて仮想エンジンの回転数を決定する。
【0097】
ステップS105では決定部141は、まず、第2参照情報e2に示される仮想エンジンの回転数の中から、速度情報a1が示す車両100の速度に対応する仮想エンジンの回転数を、該当回転数として特定する。続いて、決定部141は、該当回転数を、仮想エンジンの回転数として決定する。
【0098】
ステップS104またはステップS105において仮想エンジンの回転数が決定すると、ステップS106において決定部141は、仮想エンジンの回転数を示す回転数情報f1を生成する。決定部141は、回転数情報f1を信号生成部142に提供する。
【0099】
続いて、ステップS107において信号生成部142は、回転数情報f1とアクセル情報b1とに基づいて、車両100の走行状態を決定する。
【0100】
ステップS107では信号生成部142は、回転数情報f1とアクセル情報b1と走行情報g1とを用いて、車両100の走行状態を決定する。走行情報g1に示される領域K1~K25は、車両100の走行状態を示す。信号生成部142は、走行情報g1に示される領域K1~K25の中から、回転数情報f1が示す仮想エンジンの回転数と、アクセル情報b1が示すアクセルの開度と、の両方に対応する領域Kを、車両100の走行状態として決定する。
【0101】
続いて、ステップS108において信号生成部142は、車両100の走行状態に基づいて、音信号c1を生成する。
【0102】
ステップS108では信号生成部142は、車両100の走行状態と音情報h1とを用いて、音信号c1を生成する。信号生成部142は、まず、音情報h1に示される音データM1~M25の中から、車両100の走行状態として決定された領域Kに対応する音データMを、該当の音データとして読み出す。信号生成部142は、続いて、該当の音データが示す音をマルチチャネルで示す音信号c1を生成する。音信号c1は、スピーカ5a用の音信号c1aと、スピーカ5b用の音信号c1bと、を含む。続いて、信号生成部142は、音信号c1(音信号c1aおよびc1b)を音像制御部15に提供する。
【0103】
続いて、ステップS109において音像制御部15は、加速度情報に基づいて、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を制御する。
【0104】
ステップS109では音像制御部15は、まず、速度情報a1に基づいて、車両100の前方向における加速度を決定する。以下、車両100の前方向における加速度を「前方向の加速度」と称する。音像制御部15は、記憶装置11に記憶されている速度情報a1の履歴を用いて、前方向の加速度を示す加速度情報を決定する。
【0105】
例えば、音像制御部15は、まず、今回のステップS102で記憶された速度情報a1を、速度情報a1Aとして特定する。続いて、音像制御部15は、前回のステップS102で記憶された速度情報a1を、速度情報a1Bとして特定する。続いて、音像制御部15は、速度情報a1Aが示す車両100の速度から、速度情報a1Bが示す車両100の速度を差し引くことによって速度差を特定する。続いて、音像制御部15は、速度差を、今回のステップS102の実行時と前回のステップS102の実行時との間の時間で割ることによって、前方向の加速度を示す加速度情報を生成する。前回のステップS102で記憶された速度情報a1が記憶装置11に存在しない場合、音像制御部15は、速度情報a1Bが示す車両100の速度として、「0」を用いる。
【0106】
速度情報a1Aが示す車両100の速度が、速度情報a1Bが示す車両100の速度よりも大きい場合、速度情報a1Aは、前方への加速を示す。速度情報a1Aが示す車両100の速度が、速度情報a1Bが示す車両100の速度よりも大きくない場合、速度情報a1Aは、車両100の前方への加速を示さない。
【0107】
音像制御部15は、前方向の加速度が正の値である場合、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を、前方向の加速度に基づいて設定する。例えば、音像制御部15は、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示すときの音像定位を、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示さないときの音像定位よりも車両100の前方向に移動した位置に設定する。
【0108】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、音像定位を第1位置i1に近づける。前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、音像定位を第2位置i2に近づける。
【0109】
図9は、前方向の加速度と、x軸8a方向における音像定位(音像の位置)と、の関係の一例を示す図である。前方向の加速度とx軸8a方向における音像定位との関係は、図9に示される関係に限らない。例えば、前方向の加速度が小さいほど、音像定位が段階的に第1位置i1に近づいてもよい。前方向の加速度が大きいほど、音像定位が段階的に第2位置i2に近づいてもよい。
【0110】
音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて音信号c2aの振幅と音信号c2bの振幅とを制御することによって、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を、車両100の前後方向に移動する。前方向の加速度に基づいて、音信号c2aの振幅と音信号c2bの振幅とを制御することは、車両情報に基づいて、第1スピーカが出力する音の音圧と第2スピーカが出力する音の音圧とを制御することの一例である。
【0111】
音像制御部15は、例えば、スピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧との大小関係を変更することによって、音像定位を車両100の前後方向において移動する。
【0112】
図10は、スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
【0113】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、音信号c2aの振幅を小さくする。このため、前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aが出力する音の音圧を小さくする。
【0114】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、音信号c2bの振幅を大きくする。このため、前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bが出力する音の音圧を大きくする。
【0115】
前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、音信号c2aの振幅を大きくする。このため、前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aが出力する音の音圧を大きくする。
【0116】
前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、音信号c2bの振幅を小さくする。このため、前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bが出力する音の音圧を小さくする。
【0117】
スピーカ5aは、音信号c2aが示す仮想のエンジン音を、音信号c2aの振幅に応じた音圧で出力する。スピーカ5bは、音信号c2bが示す仮想のエンジン音を、音信号c2bの振幅に応じた音圧で出力する。このため、搭乗者は、車両100の加速の程度に応じて前後に動く音像を認識できる。
【0118】
以下、操作部4が終了操作を搭乗者から受け取るまで、図8に示される動作が繰り返される。
【0119】
A6:第1実施形態のまとめ
音像制御部15は、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示すときの音像定位を、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示さないときの音像定位よりも車両100の前方向に移動した位置に設定する。車両100が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両100の後方に向かう力を受ける。このため、車両100が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両100の後方に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の前方に移動する感覚を得る。したがって、音像が車両100の前方に移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の前方への加速に伴って車両100の後方に押し付けられる感覚を得やすい。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0120】
B:変形例
第1実施形態における変形の態様を以下に示す。以下の態様から任意に選択された2個以上の態様が、相互に矛盾しない範囲において適宜に併合されてもよい。
【0121】
B1:第1変形例
第1実施形態において、音像制御部15は、スピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧との大小関係を変更することなく、音像定位を車両100の前後方向において移動してもよい。
【0122】
例えば、音像制御部15は、スピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧とを、図11に示されるように制御する。音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて音信号c2aの振幅と音信号c2bの振幅とを制御することによって、図11に示される関係Daおよび関係Dbを実現する。なお、第1変形例における第2位置i2は、第1実施形態における第2位置i2よりも後方に位置する。
【0123】
第1変形例によれば、音像制御部15は、例えばスピーカ5bが出力する音の音圧を調整することなく、音像を車両100の前方に移動できる。
【0124】
B2:第2変形例
第1実施形態および第1変形例において、音像制御部15は、前方向の加速度が負の値である場合(車両100が減速時である場合)にも、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を、前方向の加速度に基づいて設定してもよい。
【0125】
図12は、前方向の加速度と、x軸8a方向における音像定位(音像の位置)と、の関係の一例を示す図である。前方向の加速度が「0」である場合、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を第3位置i3に設定する。前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を第1位置i1に近づける。前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を第2位置i2に近づける。
【0126】
前方向の加速度とx軸8a方向における音像定位(音像の位置)との関係は、図12に示される関係に限らない。例えば、前方向の加速度が小さいほど、音像定位が段階的に第1位置i1に近づいてもよい。前方向の加速度が大きいほど、音像定位が段階的に第2位置i2に近づいてもよい。
【0127】
例えば、音像制御部15は、スピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧との大小関係を変更することによって、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を車両100の前後方向において移動する。
【0128】
図13は、スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。音像制御部15は、前方向の加速度に基づいて音信号c2aの振幅と音信号c2bの振幅とを制御することによって、図13に示される関係Daおよび関係Dbを実現する。
【0129】
第2変形例によれば、車両100が減速時である場合に、搭乗者は、音像が移動する感覚を得られる。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0130】
B3:第3変形例
第1実施形態において、音像制御部15は、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示すときの音像定位を、速度情報a1Aが車両100の前方への加速を示さないときの音像定位よりも車両100の後ろ方向に移動した位置に設定してもよい。
【0131】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を第2位置i2に近づける。前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を第1位置i1に近づける。
【0132】
図14は、前方向の加速度と、x軸8a方向における音像定位(音像の位置)と、の関係の一例を示す図である。前方向の加速度とx軸8a方向における音像定位との関係は、図14に示される関係に限らない。前方向の加速度が小さいほど、音像定位が段階的に第2位置i2に近づいてもよい。前方向の加速度が大きいほど、音像定位が段階的に第1位置i1に近づいてもよい。
【0133】
図15は、スピーカ5aが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Daと、スピーカ5bが出力する音の音圧と前方向の加速度との関係Dbと、を示す図である。
【0134】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aに提供される音信号c2aの振幅を大きくする。このため、前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aが出力する音の音圧を大きくする。
【0135】
前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bに提供される音信号c2bの振幅を小さくする。このため、前方向の加速度が小さいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bが出力する音の音圧を小さくする。
【0136】
前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aに提供される音信号c2aの振幅を小さくする。このため、前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の前部に位置するスピーカ5aが出力する音の音圧を小さくする。
【0137】
前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bに提供される音信号c2bの振幅を大きくする。このため、前方向の加速度が大きいほど、音像制御部15は、車両100の後部に位置するスピーカ5bが出力する音の音圧を大きくする。
【0138】
第3変形例においても、音像制御部15は、スピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧との大小関係を変更することなく、音像定位を車両100の前後方向において移動してもよい。
【0139】
第3変形例によれば、搭乗者は、車両100の加速の増加に応じて後ろ方向に動く音像を認識できる。車両100が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両100の後方に向かう力を受ける。このため、車両100が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両100の後方に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の後方に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の前方への加速に伴って、音像と一緒に車両100の後方に移動するような感覚を得やすい場合もある。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0140】
B4:第4変形例
第1実施形態および第1変形例~第3変形例において、音像制御部15は、上述の特許文献1に示されるような音像定位処理を実行することによって、音像の位置を変更してもよい。
【0141】
音像制御部15は、音像定位処理において、例えば以下のように動作する。音像制御部15は、目標とする音像の位置に配置された音源から搭乗者の耳までの空間における音の伝達関数(頭部伝達関数:HRTF)を使用する。音像制御部15は、音の伝達関数に基づく畳み込み処理を音信号c1に対して実行することによって、音信号c2aおよびと音信号c2bを生成する。
【0142】
音像制御部15は、音像定位処理によって音像の位置を変更する場合、スピーカ5aとスピーカ5bの位置関係に関係なく、音像の定位を車両100の前後方向において移動できる。このため、音像制御部15が音像定位処理によって音像の位置を変更する場合、スピーカ5bは、スピーカ5aより後方に位置しなくてもよい。例えば、スピーカ5bは、スピーカ5aより右あるいは左に位置してもよい。また、スピーカ5aとスピーカ5bが第1実施形態および第1変形例~第3変形例に示された位置と同じ位置であっても、例えば第2位置i2よりさらに前方に音像を定位させることもできる。
【0143】
第4変形例によれば、スピーカ5aとスピーカ5bの位置関係に関係なく、音像の定位を車両100の前後方向において移動することができる。
【0144】
B5:第5変形例
第1実施形態および第1変形例~第4変形例において、車両100は、前方向における加速度を検出する加速度センサ91を有してもよい。
【0145】
図16は、加速度センサ91をさらに含む車両100の一例を示す図である。取得部13は、加速度センサ91の出力、すなわち、前方向における加速度を示す情報を取得する。音像制御部15は、速度情報a1の代わりに、取得部13が取得した加速度センサ91の出力を用いて、前方向の加速度を決定してもよい。加速度センサ91の出力は、車両100の前後方向における加速に関する車両情報の他の例である。加速度センサ91の出力は、車両100の前後方向における加速の程度を示す情報の一例でもある。
【0146】
生成部14は、加速度センサ91の出力を、速度情報a1の代わりに用いてもよい。例えば、生成部14は、加速度センサ91の出力に基づいて、車両100が加速時であるか否かを判断する。また、走行情報g1は、仮想エンジンの回転数と、アクセルの開度と、車両100の走行状態と、の対応関係を示す代わりに、仮想エンジンの回転数と、加速度センサ91の出力と、車両100の走行状態と、の対応関係を示す。生成部14は、走行情報g1と回転数情報f1と加速度センサ91の出力とを用いて、車両100の走行状態を決定する。
【0147】
生成部14は、加速度センサ91の出力と音信号c1との対応関係を示す情報を用いることによって、加速度センサ91の出力に対応する音信号c1を生成してもよい。
【0148】
第5変形例によれば、音像制御部15は、加速度センサ91の出力に基づいて、音像の位置を変更できる。
【0149】
B6:第6変形例
第1実施形態および第1変形例~第5変形例において、車両100は、車両100の左右方向における加速度を検出する加速度センサ92を有してもよい。
【0150】
図17は、加速度センサ92をさらに含む車両100の一例を示す図である。加速度センサ92は、車両100が右に曲がるときに右方向の加速度を検出する。加速度センサ92は、車両100が左に曲がるときに左方向の加速度を検出する。取得部13は、加速度センサ92の出力、すなわち、車両100の左右方向における加速度を示す情報を取得してもよい。音像制御部15は、取得部13が取得した加速度センサ92の出力を用いて、車両100の左右方向における加速度を決定してもよい。
【0151】
音像制御部15は、加速度センサ92の出力に基づいて、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を車両100の左右方向に移動してもよい。音像制御部15は、例えば、音像定位処理を実行することによって、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を車両100の左右方向に移動する。
【0152】
例えば、音像制御部15は、右方向の加速度が大きいほど、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を車両100の右端100Rに近づける。音像制御部15は、左方向の加速度が大きいほど、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を車両100の左端100Lに近づける。
【0153】
車両100が右方向に加速する場合、搭乗者は、車両100の左方向に向かう力を受ける。このため、車両100が右方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の左方向に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の右方向に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の右方向への加速に伴って車両100の左方向に押し付けられる感覚を得やすい。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0154】
車両100が左方向に加速する場合、搭乗者は、車両100の右方向に向かう力を受ける。このため、車両100が左方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の右方向に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の左方向に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の左方向への加速に伴って車両100の右方向に押し付けられる感覚を得やすい。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0155】
音像制御部15は、右方向の加速度が大きいほど、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を車両100の左端100Lに近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、左方向の加速度が大きいほど、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を車両100の右端100Rに近づける。
【0156】
この構成では、車両100が右方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の左方向に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の左方向に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の右方向への加速に伴って、音像と一緒に車両100の左方向に移動するような感覚を得やすい場合がある。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0157】
また、車両100が左方向へ加速する場合、搭乗者は、車両100の右方向に向かう力を受ける状態において、音像が車両100の右方向に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両100の左方向への加速に伴って、音像と一緒に車両100の右方向に移動するような感覚を得やすい場合がある。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0158】
第6変形例において、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を前後方向へ移動する処理を省略する。
【0159】
第6変形例において、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を車両100の前後方向へ移動する処理を省略しない場合、例えば、音像定位処理を実行することによって、音像定位を前後方向に移動する。
【0160】
第6変形例において、生成部14は、加速度センサ92の出力と音信号c1との対応関係を示す情報を用いることによって、加速度センサ92の出力に対応する音信号c1を生成してもよい。
【0161】
B7:第7変形例
第6変形例において、音像制御部15は、加速度センサ92の出力に基づいてスピーカ5aが出力する音の音圧とスピーカ5bが出力する音の音圧とを制御することによって、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を左右方向に移動してもよい。この場合、スピーカ5bは、スピーカ5aよりも左に配置される。例えば、スピーカ5aがフロント右ドア7bに配置され、スピーカ5bがフロント左ドア7aに配置される。スピーカ5aがリア右ドア7dに配置され、スピーカ5bがリア左ドア7cに配置されてもよい。
【0162】
音像制御部15は、音像の位置を右に移動させる場合、スピーカ5aが出力する音の音圧を増加し、かつ、スピーカ5bが出力する音の音圧を減少する。音像制御部15は、音像の位置を左に移動させる場合、スピーカ5aが出力する音の音圧を減少し、かつ、スピーカ5bが出力する音の音圧を増加する。音像制御部15は、音信号c2aの振幅と音信号c2bの振幅との両方を制御することによって、スピーカ5aが出力する音の音圧と、スピーカ5bが出力する音の音圧と、の両方を変更する。
【0163】
第7変形例によれば、音像制御部15は、音像定位を左右方向の移動する音像定位処理を実行せずに、スピーカ5aおよび5bが出力する音の音像定位を左右方向に移動できる。第7変形例では、音像制御部15は、スピーカ5aおよび5bから出力される音の音像定位を前後方向へ移動する処理を省略する。
【0164】
B8:第8変形例
第1実施形態および第1変形例~第7変形例において、音像制御部15は、生成部14を含んでもよい。この場合、音像制御部15は、車両情報(例えば、速度情報a1、加速度情報、加速度センサ91の出力、または加速度センサ92の出力)に基づいて、音信号c1を生成してもよい。例えば、図7に示される音データM1~M25が、車両情報にて特定され得る加速度と予め対応づけられ、音像制御部15は、車両情報にて特定される加速度と対応する音データMに基づいて、音信号c1を生成する。音データM1~M25が、音の波形と、音のピッチと、音のレベルとを示してもよい。音データM1~M25は、波形の形状、ピッチおよびレベルの少なくとも1つにおいて互いに異なる。
【0165】
また、音像制御部15は、車両情報から直接的に音像定位を制御せずに、車両情報から間接的に音像定位を制御してもよい。例えば、音像制御部15は、音像制御部15が生成する音信号c1が示す音の特性(例えば、ピッチまたはレベル)に基づいて、音像定位を車両100の前後方向または車両100の左右方向に移動してもよい。
【0166】
一例を挙げると、音信号c1が示す音のピッチが大きいほど、音像制御部15は、音像定位を第1位置i1に近づける。音信号c1が示す音のピッチが小さいほど、音像制御部15は、音像定位を第2位置i2に近づける。音像制御部15は、音信号c1が示す音のピッチが大きいほど、音像定位を第2位置i2に近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音信号c1が示す音のピッチが小さいほど、音像定位を第1位置i1に近づける。
【0167】
音像制御部15は、音信号c1が示す音のレベルが大きいほど、音像制御部15は、音像定位を第1位置i1に近づけてもよい。この場合、音信号c1が示す音のレベルが小さいほど、音像制御部15は、音像定位を第2位置i2に近づける。音像制御部15は、音信号c1が示す音のレベルが大きいほど、音像定位を第2位置i2に近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音信号c1が示す音のレベルが小さいほど、音像定位を第1位置i1に近づける。
【0168】
音像制御部15は、音像定位を第1位置i1に近づける代わりに、音像定位を右端100Rに近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音像定位を第2位置i2に近づける代わりに、音像定位を左端100Lに近づける。
【0169】
音像制御部15は、音像定位を第1位置i1に近づける代わりに、音像定位を左端100Lに近づけてもよい。この場合、音像制御部15は、音像定位を第2位置i2に近づける代わりに、音像定位を右端100Rに近づける。
【0170】
第8変形例によれば、音像制御部15は、音信号c1が示す音(スピーカ5aおよび5bから出力される音)の特性(ピッチまたはレベル)に基づいて、音像定位を、車両100の前後方向または車両100の左右方向に移動する。このため、搭乗者は、走行に対する没入感を得ると共に、スピーカ5aおよび5bから出力される音の特性の変化に応じて音像定位が変化する感覚を得ることができる。
【0171】
B9:第9変形例
第1実施形態および第1変形例~第8変形例において、音信号c1が示す音は、仮想のエンジン音に限らず、例えば、動物の鳴き声、または、基準のテンポ以上のテンポを有する楽曲でもよい。基準のテンポは、例えば、人間の平均的な心拍数以上のテンポである。基準のテンポ以上のテンポを有する楽曲は、車両の加速に応じた音の他の例である。第1実施形態および第1変形例~第8変形例において、車両100は、電気自動車に限らず、エンジンを動力源として走行する自動車でもよい。車両100が加速時である状況において音信号c1が示す仮想のエンジン音は、車両の加速に応じた音の一例である。
【0172】
C:上述の形態および変形例から把握される態様
上述の形態および変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
【0173】
C1:第1態様
本開示の態様(第1態様)に係る音像制御装置は、車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動する音像制御部と、を含む。
【0174】
この態様によれば、車両の前後方向における加速に連動して、音像定位を車両の前後方向に移動することが可能である。搭乗者は、音像定位の移動を認識しない場合に比べて、車両の前後方向における加速を認識しやすい。したがって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0175】
C2:第2態様
第1態様の例(第2態様)において、前記少なくとも2つのスピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカより後方に位置する第2スピーカと、を含み、前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧とを制御することによって、前記音像定位を前記車両の前後方向に移動する。この態様によれば、例えば、音の伝達関数を用いることなく、音像定位を車両の前後方向に移動することができる。
【0176】
C3:第3態様
第2態様の例(第3態様)において、前記音像制御部は、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧との大小関係を変更することによって、前記音像定位を前記車両の前後方向において移動する。この態様によれば、第1スピーカが出力する音の音圧と第2スピーカが出力する音の音圧との大小関係を変更しない構成に比べて、車両の前後方向における音像定位の移動量を大きくすることができる。
【0177】
C4:第4態様
第1態様から第3態様のいずれかの例(第4態様)において、前記音像制御部は、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示すときの前記音像定位を、前記車両情報が前記車両の前方への加速を示さないときの前記音像定位よりも前記車両の前方向に移動した位置に設定する。この態様によれば、車両が前方へ加速する場合に、音像定位が前方に移動する。このため、車両が前方へ加速する場合、搭乗者は、車両の後方に向かう力を受ける状態において、音像が車両の前方に移動する感覚を得る。したがって、音像が移動しない場合に比べて、搭乗者は、車両の前方への加速に伴って車両の後方に押し付けられる感覚を得やすい。よって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0178】
C5:第5態様
第1態様から第4態様のいずれかの例(第5態様)において、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両の加速に応じた音である。この態様によれば、搭乗者は、車両の加速時に、車両の加速に応じた音の音像定位が前後方向に移動する感覚を得られる。
【0179】
C6:第6態様
第1態様から第5態様のいずれかの例(第6態様)において、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、前記音像制御部は、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のピッチまたはレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の前後方向において移動する。この態様によれば、搭乗者は、走行に対する没入感を得ると共に、スピーカから出力される音のピッチまたはレベルの変化に応じて音像定位が変化する感覚を得ることができる。
【0180】
C7:第7態様
本開示の態様(第7態様)に係る音像制御装置は、車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動する音像制御部と、を含む。
【0181】
この態様によれば、車両の左右方向における加速に連動して、音像定位を車両の左右方向に移動することが可能である。搭乗者は、音像定位の移動を認識しない場合に比べて、車両の左右方向における加速を認識しやすい。したがって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0182】
C8:第8態様
第7態様の例(第8態様)において、前記少なくとも2つのスピーカは、第1スピーカと、前記第1スピーカよりも左に位置する第2スピーカと、を含み、前記音像制御部は、前記車両情報に基づいて、前記第1スピーカが出力する音の音圧と前記第2スピーカが出力する音の音圧とを制御することによって、前記音像定位を前記車両の左右方向に移動する。この態様によれば、例えば、音の伝達関数を用いることなく、音像定位を車両の左右方向に移動することができる。
【0183】
C9:第9態様
第7態様または第8態様の例(第9態様)において、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両の加速に応じた音である。この態様によれば、搭乗者は、車両の加速時に、車両の加速に応じた音の音像定位が左右方向に移動する感覚を得られる。
【0184】
C10:第10態様
第7態様から第9態様のいずれかの例(第10態様)において、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音は、前記車両情報に基づいて生成される音であり、前記音像制御部は、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音のピッチまたはレベルに基づいて前記音像定位を前記車両の左右方向において移動する。この態様によれば、搭乗者は、走行に対する没入感を得ると共に、スピーカから出力される音のピッチまたはレベルの変化に応じて音像定位が変化する感覚を得ることができる。
【0185】
C11:第11態様
本開示の態様(第11態様)に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の前後方向における加速に関する車両情報を取得し、前記取得した車両情報に基づいて、前記少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の前後方向に移動する。
【0186】
この態様によれば、車両の前後方向における加速に連動して、音像定位を車両の前後方向に移動することが可能である。搭乗者は、音像定位の移動を認識しない場合に比べて、車両の前後方向における加速を認識しやすい。したがって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【0187】
C12:第12態様
本開示の態様(第12態様)に係る音像制御方法は、コンピュータにより実現される音像制御方法であって、車両の左右方向における加速に関する車両情報を取得し、前記取得した車両情報に基づいて、前記車両の備える少なくとも2つのスピーカから出力される音の音像定位を前記車両の左右方向に移動する。
【0188】
この態様によれば、車両の左右方向における加速に連動して、音像定位を車両の左右方向に移動することが可能である。搭乗者は、音像定位の移動を認識しない場合に比べて、車両の左右方向における加速を認識しやすい。したがって、搭乗者は、走行に対する没入感を得ることができる。
【符号の説明】
【0189】
1…音像制御装置、3…車輪制御部、4…操作部、5a…スピーカ、5b…スピーカ、11…記憶装置、12…処理装置、13…取得部、14…生成部、15…音像制御部、31…モータ、32…アクセルペダル、33…シフトレバー、34…モータ制御部、35…動力伝達部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17