(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
B60L 5/00 20060101AFI20250617BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20250617BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20250617BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20250617BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250617BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
B60L5/00 B
B60L53/12
B60M7/00 X
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H01F38/14
(21)【出願番号】P 2022124365
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2024-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 耕太郎
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-042314(JP,A)
【文献】特開2016-010171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 58/40
B60M 7/00
H02J 7/00
H02J 50/10
H01F 38/14
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上側給電ユニットと、前記地上側給電ユニットから供給される電力を非接触で受電する車両側受電ユニットと、を備えた非接触給電装置であって、
前記車両側受電ユニットは、
車両の床下に設けられ、受電コイルと、前記受電コイルを収容する筐体と、を有したユニット本体と、
前記ユニット本体の前壁または後壁を車両前後方向に隙間をあけた状態で覆い、かつ前記車両前後方向から見た場合に車両下方を頂点とした三角形状の肉抜き部が設けられた路面干渉ガードと、
を有した、非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地上側給電ユニットと、地上側給電ユニットから供給される電力を非接触で受電する車両側受電ユニットと、を備えた非接触給電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の非接触給電装置では、例えば、車両側受電ユニットの路面干渉を抑制する点等について更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両側受電ユニットの路面干渉を抑制できるより改善された非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる非接触給電装置は、地上側給電ユニットと、前記地上側給電ユニットから供給される電力を非接触で受電する車両側受電ユニットと、を備えた非接触給電装置であって、前記車両側受電ユニットは、車両の床下に設けられ、受電コイルと、前記受電コイルを収容する筐体と、を有したユニット本体と、前記ユニット本体の前壁または後壁を車両前後方向に隙間をあけた状態で覆い、かつ前記車両前後方向から見た場合に車両下方を頂点とした三角形状の肉抜き部が設けられた路面干渉ガードと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、車両側受電ユニットに路面干渉による衝撃が入力された場合に、当該衝撃が路面干渉ガードを介してユニット本体に入力されるため、路面干渉によるユニット本体への影響(摩耗や変形等)を抑制することができる。また、路面干渉ガードには、逆三角形状の肉抜き部が設けられているため、例えば、肉抜き部内への縁石角部の侵入による引っ掛かり等を抑制しつつ路面干渉ガードの軽量化を図ることができる。その結果、車両側受電ユニットの路面干渉を抑制できるより改善された非接触給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の非接触給電装置の例示的かつ模式的な側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の路面干渉ガードの例示的かつ模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態の非接触給電装置1の模式的な側面図である。なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。L方向は、車両前後方向に沿い、W方向は、車幅方向に沿い、H方向は、車両上下方向に沿う。
【0011】
図1に示されるように、非接触給電装置1は、地上側給電ユニット10と、車両側受電ユニット20と、を備えている。非接触給電装置1は、例えば、給電スタンド等の地上2に設置される地上側給電ユニット10から、電気自動車等の車両3に搭載される車両側受電ユニット20に非接触で電力を供給し、車両3のバッテリを充電するものである。
【0012】
地上側給電ユニット10は、電力伝送用の電磁波を送電する送電コイル11等を有し、車両側受電ユニット20は、電力伝送用の電磁波を受電する受電コイル21等を有する。車両側受電ユニット20は、車両3の床下に設けられており、地上側給電ユニット10と対向するように駐車した状態で、送電コイル11と受電コイル21との間の電磁誘導作用により、送電コイル11から受電コイル21へ非接触で電力が供給される。
【0013】
ここで、車両側受電ユニット20は、ユニット本体23と、路面干渉ガード25と、を有している。本実施形態では、例えば、車両前後方向(L方向)に互いに間隔をあけて一対の路面干渉ガード25が設けられており、この一対の路面干渉ガード25によってユニット本体23の前壁22aおよび後壁22bが覆われている。
【0014】
なお、路面干渉ガード25は、この例には限定されず、例えば、ユニット本体23の前壁22a、後壁22b、および車幅方向(W方向)の両側の側壁を覆う矩形の枠状に構成されてもよい。路面干渉ガード25は、ユニット本体23の周囲を保護する機能を有している。
【0015】
また、路面干渉ガード25は、傾斜面25bを有している。傾斜面25bは、路面干渉ガード25の車両前方または車両後方を向いた側面に設けられ、車両前後方向(L方向)の中央側に向かうにつれて車両下方に向かうように傾斜している。傾斜面25bは、飛び石や、縁石、スピードブレーカ、ハンプ等の干渉物を地上2側に向けて滑らせたり、ガイドしたりする機能を有している。傾斜面25bは、滑り台部等とも称される。
【0016】
ユニット本体23は、例えば、上述した受電コイル21や、この受電コイル21を収容する筐体22等を有している。筐体22は、車両前後方向(L方向)に横長の直方体状の箱型に構成されている。筐体22は、前壁22aや、後壁22b、下壁22c、上壁22d、一対の側壁等の複数の壁部を有している。
【0017】
前壁22aおよび後壁22bは、いずれも、車両前後方向(L方向)と直交する方向に沿って延びており、車両前後方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁22aは、ユニット本体23の前端部を構成し、後壁22bは、ユニット本体23の後端部を構成している。
【0018】
下壁22cおよび上壁22dは、いずれも、車両上下方向(H方向)と直交する方向に沿って延びており、車両上下方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。下壁22cは、ユニット本体23の下端部を構成し、上壁22dは、ユニット本体23の上端部を構成している。
【0019】
一対の側壁は、いずれも、車幅方向(W方向)と直交する方向に沿って延びており、車幅方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。側壁の一方は、ユニット本体23の左端部を構成し、他方は、ユニット本体23の右端部を構成している。
【0020】
また、筐体22は、例えば、
図3に示されるケース22Aや、カバー22B等の複数の部材(部品)の組み合わせによって構成されている。ケース22Aは、例えば、前壁22aや、後壁22b、上壁22d、一対の側壁等を含み、金属等の電磁波遮蔽性の材料によって作られている。カバー22Bは、例えば、下壁22c等を含み、合成樹脂等の電磁波透過性の材料によって作られている。
【0021】
図2は、路面干渉ガード25の模式的な正面図である。
図2に示されるように、路面干渉ガード25には、車幅方向(W方向)に互いに間隔をあけて複数の肉抜き部25aが設けられている。肉抜き部25aは、傾斜面25bから車両前後方向(L方向)の中央側に向けて凹み、車両前方または車両後方に向けて開放された溝部である。
【0022】
本実施形態では、肉抜き部25aは、車両前後方向から見た場合、すなわち
図2の視線で、車両下方を頂点とした三角形状に形成されている。すなわち、肉抜き部25aの車幅方向(W方向)の開口幅は、肉抜き部25aの上端部から下端部に向かうにつれて徐々に狭くなっている。これにより、傾斜面25bにおける車両下方側の領域の面積、すなわち車幅方向に隣接した二つの肉抜き部25aの間の面積が確保されている。
【0023】
仮に、肉抜き部25aが車両前後方向から見た場合に四角形状に形成された場合、傾斜面25bにおける車両下方側の領域の面積が狭くなってしまう虞がある。そのため、路面干渉ガード25に縁石角部等が干渉した場合に、当該縁石角部が四角形状の肉抜き部25a内に侵入し、ひいては縁石角部が肉抜き部25aに引っ掛かってしまう虞がある。
【0024】
その点、本実施形態によれば、肉抜き部25aが車両前後方向から見た場合に車両下方を頂点とした三角形状に形成されているため、路面干渉ガード25に縁石角部等が干渉したとしても、当該縁石角部の肉抜き部25a内への侵入を抑制し、ひいては縁石角部を傾斜面25bに沿って滑らせることができる。
【0025】
また、本実施形態では、肉抜き部25aは、路面干渉ガード25のうち傾斜面25bが設けられた車両前後方向(L方向)の領域(
図1参照)のみに設けられ、車両下方に向けて開放されている。すなわち、肉抜き部25aの底部は、傾斜面25bの下端部と車両上下方向(H方向)に並んでいる。これにより、肉抜き部25a内に飛び石や水等が溜まるのが抑制されている。
【0026】
図3は、
図1の路面干渉ガード25の拡大断面図である。
図3に示されるように、路面干渉ガード25は、例えば、ネジやボルト等の結合具26によってユニット本体23とともに車両3の取付部3aに固定されている。
【0027】
具体的には、ユニット本体23には、筐体22から車両前方または車両後方に張り出した突出壁22eが設けられている。路面干渉ガード25は、この突出壁22eおよび車両3の取付部3aと車両上下方向(H方向)に重ねられており、結合具26によって車両上下方向に締結されている。
【0028】
路面干渉ガード25が車両3に取り付けられた状態では、路面干渉ガード25とユニット本体23との間に車両前後方向(L方向)の隙間Gが設けられている。本実施形態では、このような車両前後方向の隙間Gによって路面干渉ガード25に入力された荷重がユニット本体23に直接的に伝達されるのが抑制されている。
【0029】
また、路面干渉ガード25は、例えば、非磁性の金属等の電磁波遮蔽性の材料によって作られている。また、本実施形態では、肉抜き部25aは、路面干渉ガード25を車両前後方向(L方向)に貫通することなく、車両前後方向に凹んだ溝部として構成されている。本実施形態では、このような材質および肉抜き部25aの構成によって路面干渉ガード25の軽量化を図りつつシールド性が確保されている。
【0030】
以上のように、本実施形態では、非接触給電装置1は、地上側給電ユニット10と、地上側給電ユニット10から供給される電力を非接触で受電する車両側受電ユニット20と、を備え、車両側受電ユニット20は、車両3の床下に設けられ、受電コイル21と、受電コイル21を収容する筐体22と、を有したユニット本体23と、ユニット本体23の前壁22aまたは後壁22bを車両前後方向(L方向)に隙間Gをあけた状態で覆い、かつ車両前後方向から見た場合に車両下方を頂点とした三角形状の肉抜き部25aが設けられた路面干渉ガード25と、を有する。
【0031】
このような構成によれば、例えば、車両側受電ユニット20に路面干渉による車両前後方向(L方向)の衝撃が入力された場合に、当該衝撃が路面干渉ガード25を介してユニット本体23に入力されるため、路面干渉によるユニット本体23への影響(摩耗や変形等)を抑制することができる。また、路面干渉ガード25には、逆三角形状の肉抜き部25aが設けられているため、例えば、肉抜き部25a内への縁石角部の侵入による引っ掛かり等を抑制しつつ路面干渉ガード25の軽量化を図ることができる。その結果、車両側受電ユニット20の路面干渉を抑制できるより改善された非接触給電装置1を提供することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…非接触給電装置
3…車両
10…地上側給電ユニット
20…車両側受電ユニット
21…受電コイル
22…筐体
22a…前壁
22b…後壁
23…ユニット本体
25…路面干渉ガード
25a…肉抜き部
G…隙間
H…車両上下方向
L…車両前後方向
W…車幅方向