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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】車台のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20250617BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
B62D25/08 C
F16F7/00 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022574001
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021047911
(87)【国際公開番号】W WO2022149481
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/037404
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021002080
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】秋本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】末廣 渉
(72)【発明者】
【氏名】荒木 謙志
(72)【発明者】
【氏名】門脇 駿輝
(72)【発明者】
【氏名】片村 弘基
【審査官】小林 瑛佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036697(JP,A)
【文献】米国特許第09266485(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0133177(US,A1)
【文献】特開2016-002964(JP,A)
【文献】特開2017-109706(JP,A)
【文献】特開2019-064516(JP,A)
【文献】米国特許第10737645(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
F16F 7/00
B60R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボデーを支持する車台のフレーム構造であって、
車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバと、
前記サイドメンバの車両前後方向外側の端部に車幅方向に延びて設けられ、前記サイドメンバより車幅方向外側に延長された延長部を有するバンパフレームと、
前記左右一対のサイドメンバ間に設けられ、車幅方向に延びる第1クロスメンバと、
前記サイドメンバの下方であって前記第1クロスメンバと前記バンパフレームとの間に位置し、車幅方向に延びる第2クロスメンバと、
前記サイドメンバから下方に延び、前記第2クロスメンバの左右端部を支持する柱部材と、
前記第2クロスメンバの左右端部の前記柱部材から車幅方向外方に向かって、且つ、前記第2クロスメンバの延びる方向と略同一方向に沿って延び、前記バンパフレームの前記延長部の車両前後方向内側で対向する位置まで延設される延設部材と、を備え、
前記延設部材は、前記第2クロスメンバの車両前後方向内側の内側端部より車両前後方向内側に突出する内側突出部を有し、
前記内側突出部は、左右の前記サイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間の箇所のうちいずれか一方がつぶれる際、前記第1クロスメンバに接触する位置に設けられてなる
車台のフレーム構造。
【請求項2】
前記サイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間には、車両前後方向に所定以上の荷重が加わると座屈して衝撃を吸収する緩衝部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車台のフレーム構造。
【請求項3】
前記サイドメンバの前記柱部材が設けられる箇所に設けられ、前記ボデーを支持するマウントブラケットを備え、
前記マウントブラケットは、前記ボデーに連結されるマウント部材が取り付けられるマウント支持部と、同マウント支持部の前後から互いに間隔を開けて下方に延び、前記サイドメンバの車幅方向外側の側面に接合される前壁部と後壁部とを有し、
前記柱部材は、前記マウントブラケットの前記前壁部と前記後壁部の間で前記サイドメンバの側面に接合される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車台のフレーム構造。
【請求項4】
端が前記延設部材の車幅方向外側の端部に固定され、他端が前記バンパフレームの前記延長部に固定されてなる固定部が設けられる
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の車台のフレーム構造。
【請求項5】
前記延設部材は、車両前後方向内側に開放する開口を有する第一部材と、前記第一部材の前記開口の少なくとも一部を閉塞する第二部材と、を有する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車台のフレーム構造。
【請求項6】
前記第2クロスメンバには、車幅方向中央に、車両前後方向に屈曲する力に対する剛性を低下させる剛性低下部が形成されてなる
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の車台のフレーム構造。
【請求項7】
前記延設部材は、
前記柱部材に接続され、車両前後方向に延びる接続部と、
前記接続部の車両前後方向外側の端部から車幅方向外側に延びる左右延設部と、
を有し、
前記固定部は、前記左右延設部の車幅方向外側の端部に、車両上下方向に延びる固定部材によって固定される請求項に記載のフレーム構造。
【請求項8】
車両のボデーを支持する車台のフレーム構造であって、
車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバと、
前記サイドメンバの車両前後方向外側の端部に車幅方向に延びて設けられ、前記サイドメンバより車幅方向外側に延長された延長部を有するバンパフレームと、
前記左右一対のサイドメンバ間に設けられ、車幅方向に延びる第1クロスメンバと、
前記サイドメンバの下方であって前記第1クロスメンバと前記バンパフレームとの間に位置し、車幅方向に延びる第2クロスメンバと、
前記サイドメンバから下方に延び、前記第2クロスメンバの左右端部を支持する柱部材と、
前記第2クロスメンバの左右端部の前記柱部材から車幅方向外方に向かって延び、前記バンパフレームの前記延長部の車両前後方向内側で対向する位置まで延設される延設部材と、を備え、
前記延設部材は、前記第2クロスメンバの車両前後方向内側の内側端部より車両前後方向内側に突出する内側突出部を有し、
前記内側突出部は、左右の前記サイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間の箇所のうちいずれか一方がつぶれる際、前記第1クロスメンバに接触する位置に設けられてなり、
端が前記延設部材の車幅方向外側の端部に固定され、他端が前記バンパフレームの前記延長部に固定されてなる固定部が設けられる
車台のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車台のフレーム構造に係り、特に衝突安全性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部には、前突時における衝撃を吸収する、車幅方向に延びるバンパフレームが配設されている。また、バンパフレームを支持するサイドメンバの緩衝部は、前突時に変形することで衝撃を吸収し、車室等への衝撃を緩和することが可能である。
そして、車両の前突には、車両同士が互いに正対し、全面で衝突する所謂フルオーバーラップや、左右一方側にのみ衝突するような所謂オフセット衝突等の複数の場合がある。特に、オフセット衝突の場合、バンパフレームの左右一端に局所的な荷重が生じるため、バンパフレーム及びサイドメンバの緩衝部は、想定以上に変形して充分に衝撃を吸収することができないことが考えられる。
【0003】
そこで、サイドメンバに配設されるクロスメンバから延び、バンパフレームの左右端部を支持するサイドステイを配設することで、バンパフレームの左右一端に局所的な荷重が生じる場合であっても、バンパフレーム及びサイドメンバの緩衝部が想定以上に変形することを抑制する技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開平10-203411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、オフセット衝突をしたときの相手方の車両に与える荷重について鑑みると、サイドメンバやサイドステイに対応する位置の荷重が局所的に高くなる可能性があり、好ましいことではない。
一方、サイドメンバの緩衝部やサイドステイの剛性を低下させると、衝撃吸収性能を低下させる虞があるため、更なる改善の余地があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の衝突時における衝撃吸収性能を維持しつつ、相手方車両(被衝突体)に加わる局所的な荷重の発生を軽減させることができる車台のフレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の車台のフレーム構造は、車両のボデーを支持する車台のフレーム構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバと、前記サイドメンバの車両前後方向外側の端部に車幅方向に延びて設けられ、前記サイドメンバより車幅方向外側に延長された延長部を有するバンパフレームと、前記左右一対のサイドメンバ間に設けられ、車幅方向に延びる第1クロスメンバと、前記サイドメンバの下方であって前記第1クロスメンバと前記バンパフレームとの間に位置し、車幅方向に延びる第2クロスメンバと、前記サイドメンバから下方に延び、前記第2クロスメンバの左右端部を支持する柱部材と、前記第2クロスメンバの左右端部の前記柱部材から車幅方向外方に向かって延び、前記バンパフレームの前記延長部の車両前後方向内側で対向する位置まで延設される延設部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、サイドメンバにおける下方であって第1クロスメンバとバンパフレームとの間に、車幅方向に延びる第2クロスメンバを位置させ、サイドメンバの緩衝部から下方に延びる柱部材によって第2クロスメンバの左右端部を支持し、第2クロスメンバの左右端部に、車幅方向外側に延び、バンパフレームのサイドメンバより車幅方向外側の車両前後方向内側に位置する延設部材を配設し、柱部材によって第2クロスメンバの左右端部を支持することで、柱部材の上端を軸にして第2クロスメンバを車両外側に揺動させて押圧して早期に被衝突体に接触させることが可能とされる。
【0009】
その他の態様として、前記サイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間には、車両前後方向に所定以上の荷重が加わると座屈して衝撃を吸収する緩衝部を有するのが好ましい。
これにより、サイドメンバのバンパフレームと第1クロスメンバとの間に、車両前後方向に所定以上の荷重が加わると座屈して衝撃を吸収する緩衝部を設けることで、例えばフルオーバーラップ衝突のようなバンパフレーム全体で衝撃を受ける際には、緩衝部がつぶれることを延設部材や第2クロスメンバが阻害せず、オフセット衝突のようなバンパフレームの車幅方向一方で偏って衝撃を受ける際には、延設部材や第2クロスメンバがバンパフレームを支持するようにして、緩衝部に相当する位置における局所的な剛性の上昇を低下させることが可能とされる。
【0010】
その他の態様として、前記サイドメンバの前記柱部材が設けられる箇所に設けられ、前記ボデーを支持するマウントブラケットを備え、前記マウントブラケットは、前記ボデーに連結されるマウント部材が取り付けられるマウント支持部と、同マウント支持部の前後から互いに間隔を開けて下方に延び、前記サイドメンバの車幅方向外側の側面に接合される前壁部と後壁部とを有し、前記柱部材は、前記マウントブラケットの前記前壁部と前記後壁部の間で前記サイドメンバの側面に接合されるのが好ましい。
【0011】
これにより、ボデーを支持するマウントブラケットを、サイドメンバの柱部材が設けられる箇所に設け、サイドメンバの車幅方向外側の側面に接合される前壁部と後壁部との間から下方に延びるよう柱部材を設けることで、サイドメンバにおける柱部材が取り付く部分の強度を高めることが可能とされる。
その他の態様として、前記延設部材は、前記第2クロスメンバの車両前後方向内側の内側端部より中央側に突出する内側突出部を有し、前記内側突出部は、左右の前記サイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間の箇所のうちいずれか一方がつぶれる際、前記第1クロスメンバに接触する位置に設けられてなるのが好ましい。
【0012】
これにより、第2クロスメンバの車両前後方向内側の内側端部より中央側に突出する内側突出部が、左右のサイドメンバの前記バンパフレームと前記第1クロスメンバとの間の箇所のうちいずれか一方がつぶれる際に第1クロスメンバに接触することで、オフセット衝突時に内側突出部が第1クロスメンバに接触し、内側突出部を軸にして第2クロスメンバの車幅方向内側を車両前後方向中央側に揺動させ、内側突出部より車幅方向外側に位置する延設部材を車両前後方向外方、すなわち相手方車両側に押圧させることが可能とされる。
【0013】
その他の態様として、前記延設部材は、一端が前記延設部材の車幅方向外側の端部に固定され、他端が前記バンパフレームの前記延長部に固定されてなる固定部を有するのが好ましい。
これにより、延設部材の車幅方向外側の端部からバンパフレームのサイドメンバより車幅方向外側の端部に延びてなる固定部を設けることで、車両の衝突時にバンパフレームが車両前後方向に揺動することを抑制することが可能とされる。
【0014】
その他の態様として、前記延設部材は、車両前後方向中央側に開放する開口を有する第一部材と、前記第一部材の前記開口の少なくとも一部を閉塞する第二部材と、を有するのが好ましい。
これにより、延設部材の剛性を確保することが可能とされる。
【0015】
その他の態様として、前記第2クロスメンバには、車幅方向中央に、車両前後方向に屈曲する力に対する剛性を低下させる剛性低下部が形成されてなるのが好ましい。
これにより、第2クロスメンバの車幅方向中央に、車両前後方向に屈曲する力に対する剛性を低下させる剛性低下部を形成することで、衝突時に第2クロスメンバの剛性低下部が車両前後方向中央側に押圧される力を利用して、補強部によってバンパフレームを外方に押圧することが可能とされる。
【0016】
その他の態様として、前記延設部材は、前記柱部材に接続され、車両前後方向に延びる接続部と、前記接続部の車両前後方向外側の端部から車幅方向外側に延びる左右延設部と、前記左右延設部の車幅方向外側の端部に、車両上下方向に延びる固定部材によって固定される前記固定部と、を有する。
これにより、フルオーバーラップ衝突時に、車両上下方向に延びる固定部材を軸に固定部が回転するので、延設部材及び固定部によって緩衝部の剛性が高められることを軽減しつつ、衝撃を吸収することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車台のフレーム構造によれば、サイドメンバの下方であって、第1クロスメンバとバンパフレームとの間に、車幅方向に延びる第2クロスメンバを位置させ、サイドメンバの緩衝部から下方に延びる柱部材によって第2クロスメンバの左右端部を支持し、第2クロスメンバの左右端部に、車幅方向外側に延び、バンパフレームのサイドメンバより車幅方向外側の車両前後方向内側に位置する延設部材を配設し、柱部材によって第2クロスメンバの左右端部を支持したので、柱部材の上端を軸にして第2クロスメンバを車両外側に揺動させて押圧して早期に被衝突体に接触させることができる。これにより、車両の衝突時における衝撃吸収性能を維持しつつ、被衝突体に加わる局所的な荷重の発生を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両の車台の前部の後方斜視図である。
図2】車台の前部の側視図である。
図3】車台の前部の下視図である。
図4図1中の範囲Aの拡大図である。
図5】延設部材の上視図である。
図6】車両の前方から他車両がフルオーバーラップ衝突した場合の車台の前部の変形を説明する説明図である。
図7】車両の前方から他車両がオフセット衝突した場合の車台の前部の変形を説明する説明図である。
図8】車両の前方から他車両がオフセット衝突した場合の車台の前部の変形を説明する説明図である。
図9】車両の前方から他車両がオフセット衝突した場合の車台の前部の変形を説明する説明図である。
図10】変形例における、車台の前部の上視図である。
図11】変形例における、延設部材の周辺を示す斜視図である。
図12】変形例における、延設部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、車両1の車台3の前部の後方斜視図が示されている。車両1は、フレーム構造の車台3を有する自動車である。すなわち、車両1は車台3に、キャビン2を含むボデー、図示しないアッパボディやエンジン等を搭載することで構成される。
【0020】
車台3は、複数のフレーム部材を組み合わせることで形成される、車両1の骨格である。具体的には、車台3は、サイドメンバ11、サスペンションフレーム13、マウントブラケット15、バンパフレーム17及びロアクロスメンバ(第2クロスメンバ)19を備えている。
【0021】
サイドメンバ11は、左右一対に配設される、車両前後方向に延びる例えば鉄製の角柱部材である。このサイドメンバ11は、車両1の上下方向中央より下側に位置してなる。また、左右一対のサイドメンバ11は、サスペンションフレーム13やロアクロスメンバ19等の車幅方向に延びてなる複数のクロスメンバ部材によって互いに固定され、相対的な揺動が抑制されてなる。
【0022】
サスペンションフレーム13は、左右一対のサイドメンバ11間に設けられ、車幅方向に延びる前側クロスメンバ部材(第1クロスメンバ)13a及び後側クロスメンバ部材13bを含むフレームである。このサスペンションフレーム13は、図示しないロアアームが設けられることで、駆動軸を支持しつつ地面から車両1に伝達する振動や衝撃を緩和することができる。
【0023】
図2を参照すると、車台3の前部の側視図が示されている。また、図3を参照すると、車台3の前部の下視図が示されている。サイドメンバ11の前部には、エクステンション(緩衝部)12が形成されている。このエクステンション12は、サイドメンバ11における前端(端部)11aからサスペンションフレーム13の前側クロスメンバ部材13aの前端までの範囲に形成されており、車両前後方向に所定以上の荷重が加わると座屈して衝撃を吸収するよう形成されてなる。
【0024】
図4を参照すると、図1中の範囲Aの拡大図が示されている。マウントブラケット15は、上側に車両1のキャビン(ボデー)2がマウント部材16を介して載置されるフレームである。また、マウントブラケット15は、左右一対のサイドメンバ11の車幅方向外側であって、サイドメンバ11の前端11aから前側クロスメンバ部材13aの前端までの間、すなわちエクステンション12に配設されてなる。
【0025】
このマウントブラケット15には、平板部材を折り曲げることで、キャビン2に連結されるマウント部材16が取り付けられるマウント支持部15aと、マウント支持部15aの前端部及び後端部から互いに間隔を開けて下方に延び、サイドメンバ11の車幅方向外側の側面に接合される前壁部15b及び後壁部15cと、が形成されている。これにより、マウントブラケット15は、車幅方向外側及び下側に開放する箱状に形成されてなる。
【0026】
バンパフレーム17は、下側緩衝部材21、上側緩衝部材23及び固定ブラケット25を有し、車台3の前端に位置してなる。このバンパフレーム17は、車両1の前端に設けられる図示しない樹脂バンパによって前側が覆われる。
下側緩衝部材21は、車幅方向に延び、サイドメンバ11の前端11aに例えばボルトによって固定される緩衝部材である。この下側緩衝部材21は、サイドメンバ11の前端11aに固定された位置から車幅方向外側に延長されてなる端部(延長部)21aが後方に向かって傾斜するよう屈曲してなる。上側緩衝部材23は、車幅方向に延び、下側緩衝部材21の上側に位置する緩衝部材である。この上側緩衝部材23は、車幅方向外側の端部が後方に向かって傾斜するよう屈曲してなる。また、上側緩衝部材23は、車両上下方向に延びてなる複数の固定ブラケット35によって下側緩衝部材21に固定されてなる。
【0027】
したがって、バンパフレーム17は、例えば車両1の前突事故のように車両前方から後方に向かって荷重が加わる場合、サイドメンバ11の前方及びその上方から後方に加わる荷重をバンパフレーム17全体で受けることができる。
ロアクロスメンバ19は、サイドメンバ11の下方であってサスペンションフレーム13とバンパフレーム17との間に位置し、車幅方向に延びてなるフレーム部材である。このロアクロスメンバ19が設けられることで、車台3は、サイドメンバ11に設けられる図示しない複数のクロスメンバ部材と同様に、左右一対のサイドメンバ11の相対的な揺動を抑制して車台剛性を高めることができる。このロアクロスメンバ19には、車幅方向中央に、上下方向に延びてなる変形孔(剛性低下部)19aが設けられてなる。また、ロアクロスメンバ19の左右端部には、柱部材31及び延設部材33が設けられており、柱部材31によってサイドメンバ11に固定されている。
【0028】
柱部材31は、左右それぞれのサイドメンバ11における、マウントブラケット15の前壁部15bと後壁部15cとの間の位置車両前後方向内側から下方に延びてなる骨格部材である。この柱部材31は、下端がロアクロスメンバ19の左右両端に例えば溶接されている。したがって、ロアクロスメンバ19は、柱部材31によって左右両端で吊り下げられるよう、マウントブラケット15の下方に支持されてなる。
【0029】
これにより、マウントブラケット15は、柱部材31を強固に支持しつつ、柱部材31がマウントブラケット15に設けられることによりマウントブラケット15もまた剛性を高めることができる。また、マウントブラケット15は、エクステンション12に配設されているため、エクステンション12の変形による延設部材33の移動を適度に許容することができる。
【0030】
図5を参照すると、延設部材33の上視図が示されている。図4、5によると、延設部材33は、柱部材31の下端を介してロアクロスメンバ19の左右両端に接合され、左右方向外方に延びてなる、左右一対の部材である。また、延設部材33は、車両上下方向から視て円弧状に形成されており、車両前後方向後側(一端)が車両前後方向に延びてロアクロスメンバ19の車幅方向外側の端部に溶接され、前側(他端)が車幅方向に延びてなる。
【0031】
詳しくは、延設部材33には、接続部33a、左右延設部33b、後方突出部(内側突出部)33c及び固定部33dが形成されている。接続部33aは、車両前後方向に延びて形成され、ロアクロスメンバ19の左右端部に接続される柱部材31の外側面に接続されてなる。左右延設部33bは、接続部33aの車両前後方向前側の端部から車幅方向外方に向かって円弧状に延びてなる。後方突出部33cは、接続部33aの車両前後方向後側の端部から後方に延びるとともに車幅方向内側に延びてロアクロスメンバ19の後端19bより後側に突出し、サスペンションフレーム13の車幅方向外側の端部より外方に位置するよう形成されてなる。
【0032】
固定部33dは、平板部材を折り曲げて形成されてなる部材である。この固定部33dは、延設部材33の左右延設部33bの左端(車幅方向外側端)の上面に溶接され、下側緩衝部材21の端部21aの後側面に向かって延びてなる。したがって、固定部33dは、車両前後方向の荷重が下側緩衝部材21の端部21aに加わるとき、該荷重を延設部材33の左右延設部33bの左端(車幅方向外側端)に伝達させることができる。また、固定部33dは、後述するオフセット衝突が発生した場合のように車両前後方向前方の荷重がロアクロスメンバ19から延設部材33に加わると、該荷重を下側緩衝部材21の左端(車幅方向外側端)に伝達させることができる。
【0033】
そして、延設部材33は、後方(車両前後方向中央側)に開放する開口を有する第一部材41(外側部材)と、第一部材41の開口の少なくとも一部を閉塞する第二部材43(内側部材)と、を有する。なお、本実施形態の第二部材43は第一部材41の内側に配置されるので、便宜上、第一部材41を外側部材41とも呼び、第二部材43を内側部材43とも呼ぶ。外側部材41は、ロアクロスメンバ19の車幅方向外側の端部から前方及び左方(車幅方向外側)に延びるよう、平板部材を折り曲げて円弧状に形成されてなる部材である。また、外側部材41は、ロアクロスメンバ19側の後端が該ロアクロスメンバ19の後端面より後方に延びて後方突出部33cの一部を形成してなる。この外側部材41は、上端及び下端を後方及び左方に折り曲げることで、上端面及び下端面が形成されてなる、換言すると、後方及び左方(車幅方向外方)に開放する開口が形成されてなる。
【0034】
内側部材43は、外側部材41に沿うよう円弧状に平板部材を折り曲げて形成されてなる。この内側部材43は、外側部材41の上端面の端部41aから下端面の端部41bに向かって延びてなる。また、内側部材43は、外側部材41の下端面の端部41bより下方に延びる突出部43aが形成されてなる。そして、内側部材43は、外側部材41の内側に位置し、前方(車両前後方向外方)に開放する形状を有する。これにより、内側部材43は、外側部材41の開口の少なくとも一部を閉塞する。
【0035】
これにより、延設部材33は、車両前後方向の荷重が左端部(車幅方向外側端部)に加わる場合であっても変形することなく、荷重をロアクロスメンバ19に伝達させることができる。一方、延設部材33は、ロアクロスメンバ19よりも細く、剛性が低いため、後述する車両1の前方から他車両100が衝突した場合においては、ロアクロスメンバ19よりも延設部材33が比較的大きく変形する。
【0036】
次に、車両1の前方から他車両(被衝突体)100が衝突した場合の車台3の前部の変形及び作用効果について説明する。以降、図6に示すようにバンパフレーム17の左右方向全体に他車両100が衝突するような場合を「フルオーバーラップ衝突」といい、図7~9のようにバンパフレーム17の左右方向中央から左側にかけて他車両100が衝突するような場合を「オフセット衝突」という。
【0037】
図6を参照すると、車両1の前方から他車両100がフルオーバーラップ衝突した場合の車台3の前部の変形を説明する説明図が示されている。車両1の前方に他車両100がフルオーバーラップ衝突し、バンパフレーム17の車幅方向に均一に荷重が加わる場合、緩衝部Cは、車両前後方向に縮むように潰れる。ここで、緩衝部Cは、車台3におけるサイドメンバ11の前端11aからサスペンションフレーム13の前側クロスメンバ部材13aまでの部分に該当する。すなわち、緩衝部Cには、エクステンション12が含まれてなる。
【0038】
バンパフレーム17の前部に他車両100が衝突し、所定の荷重が左右のエクステンション12に加わると、左右のエクステンション12が後方に向かってつぶれる。このとき、延設部材33の後方突出部33cは、前側クロスメンバ部材13aの左右外側の端部より外側に位置するため、後側収縮部12aがつぶれてロアクロスメンバ19と前側クロスメンバ部材13aとが近接しても、前側クロスメンバ部材13aに接触しない。ゆえに、他車両100が車両1にフルオーバーラップ衝突するような場合においては、延設部材33の後方突出部33cが前側クロスメンバ部材13aに接触しないため、後側収縮部12aのつぶれ代を維持することができる。
【0039】
また、フルオーバーラップ衝突では、車両1は、バンパフレーム17によって車幅方向全面で他車両100と衝突するため、車両1側の剛性が局所的に高くなることを抑制し、ひいては他車両100に局所的に高い荷重が加わることを抑制することができる。
特に、ロアクロスメンバ19は、柱部材31によって支持されているため、柱部材31の上端を軸にして後方に移動するよう揺動することが可能なので、延設部材33及び固定部33dによって緩衝部Cの剛性が高められることを軽減しつつ、衝撃を吸収することができる。
【0040】
さらに、固定部33dは、ロアクロスメンバ19に直接取り付けられるのではなく、ロアクロスメンバ19より剛性の低い延設部材33に取り付けられるため、前側クロスメンバ部材13aがつぶれる際に延設部材33及び固定部33dによって緩衝部Cの剛性が高められることを良好に軽減しつつ、衝撃を吸収することができる。
図7~9を参照すると、車両1の前方から他車両100がオフセット衝突した場合の車台3の前部の変形を説明する説明図が示されている。車両1の前方から他車両100がオフセット衝突し、バンパフレーム17の車幅方向中央から左側に、荷重を後方に加える場合、緩衝部Cのうちの左右方向中央より左側は、図7~9の順に示すよう車両前後方向に縮むようにして潰れる。
【0041】
具体的には、まず、後側収縮部12aがつぶれる(図7参照)。これにより、エクステンション12による衝撃の吸収のみならず、ロアクロスメンバ19を湾曲させる際に衝撃を吸収することによっても衝撃を吸収することができる。
また、車両1の前方から他車両100がオフセット衝突した場合には、ロアクロスメンバ19が変形孔19a近傍で湾曲することで、ロアクロスメンバ19は、例えば変形孔19aが設けられていないロアクロスメンバが用いられている場合と比較して早期に他車両100に接触することができる。またさらに、ロアクロスメンバ19は、変形孔19aが形成されているため、変形孔19a近傍で湾曲することができるので、延設部材33は、変形孔19aを軸にして揺動し、後方突出部33cを前側クロスメンバ部材13aの左端前側に当接させることができる。特に、延設部材33が柱部材31の上端を軸にして車両後側に向かうよう揺動するので、早期に後方突出部33cを他車両100に接触させることができる。
【0042】
その後も他車両100が車両1に向かって進行すると、ロアクロスメンバ19が変形孔19aで湾曲する(図8、9参照)。このように変形孔19aで湾曲したロアクロスメンバ19は、変形孔19a近傍部分が他車両100によって後方に押圧される。このとき、延設部材33には、柱部材31を軸にして左端を前方に押圧する回転方向の力が生じる。
これにより、左側のロアクロスメンバ19は、変形孔19a近傍部分が他車両100によって後方に押圧されるにしたがい、てこの原理のように延設部材33の左右延設部33bを車両前方に向けて押圧することができ、固定部33dを介してバンパフレーム17の左側を他車両100に押圧することができる。特に、延設部材33が固定部33dを介して後方に押圧されることで、ロアクロスメンバ19は、柱部材31を上下方向で軸にして変形孔19a近傍を車両前側(車両外側)に向かうよう揺動させることができ、早期にロアクロスメンバ19を他車両100に接触させることができる。故に、早期にロアクロスメンバ19を他車両100に接触させることで、バンパフレーム17の左側を、固定部33dを介して他車両100に、早期に押圧することができる。
【0043】
したがって、オフセット衝突によって、右側のエクステンション12がつぶれず、左側のエクステンション12だけでは衝撃の吸収が足りず、緩衝性がフルオーバーラップ衝突と比較して低くなるような場合であっても、ロアクロスメンバ19が湾曲するように変形することや、延設部材33が固定部33dを介してバンパフレーム17の左側を他車両100に押圧することで、緩衝部Cの左側の剛性を高めて、フルオーバーラップ衝突と同等の緩衝性を確保することができる(図9参照)。
【0044】
また、上記したように、バンパフレーム17は、サイドメンバ11の前端11aに取り付けられる下側緩衝部材21の上側に、上側緩衝部材23を固定ブラケット25で固定してなる。ここで、仮に固定部33dが設けられていない場合について鑑みると、積極的に上側緩衝部材23が車両前後方向後方に押圧されるような衝突をするとき、バンパフレーム17は、上端がサイドメンバ11の前端11aを軸にして後方に傾くように揺動する。
【0045】
したがって、固定部33dが設けられ、下側緩衝部材21の下端を下方後側に牽引することで、バンパフレーム17が上述したように揺動することを抑制しつつ、エクステンション12によって的確に衝撃を吸収することができる。
【0046】
次に、図10~12を参照して、本発明の変形例について説明する。図10は、変形例における、車台3の前部の上視図である。図11は、変形例における、延設部材33の周辺を示す斜視図である。図12は、変形例における、延設部材33の斜視図である。なお、図12において、延設部材33のうち固定部33dは不図示である。
【0047】
本変形例の延設部材33は、上述の実施形態と比べてその形状が異なる。より具体的には、上述の実施形態の延設部材33の左右延設部33bは、車両上下方向から視て円弧状に形成されていたが(図5参照)、本変形例の延設部材33の左右延設部33bは、車両上下方向から視て略直線状に形成されている。
【0048】
本変形例の延設部材33は、上述の実施形態と同様、接続部33aと、左右延設部33bと、後方突出部(内側突出部)33cと、固定部33dと、を含む。
【0049】
接続部33aは、車両前後方向に延びて形成され、ロアクロスメンバ19の左右端部に接続される柱部材31の外側面に接続されてなる。左右延設部33bは、接続部33aの車両前後方向前側の端部から車幅方向外方に向かって略直線状に延びてなる。後方突出部33cは、接続部33aの車両前後方向後側の端部から後方に延びるとともに車幅方向内側に延びてロアクロスメンバ19の後端19bより後側に突出する。
【0050】
固定部33dの後端部は、左右延設部33bの左端(車幅方向外側端)の上面に固定部材としてのボルト40によって固定され、バンパフレーム17の下側緩衝部材21の端部21a(図1参照)の後側面に向かって延びてなる。固定部33d及び左右延設部33bには、ボルト40を固定するための貫通孔(不図示)が車両上下方向に向かって形成されている。したがって、貫通孔に螺合固定されたボルト40は、車両上下方向に延びるように配置される。
【0051】
固定部33dの前端部は、バンパフレーム17の下側緩衝部材21の端部21a(図1参照)の後側面に、車両前後方向に延びるボルト42によって固定されている。なお、固定部33dは、前方に向かうにしたがって車幅方向外側に延在するように、傾斜して配置されている。すなわち、固定部33dの後端部と左右延設部33bとのボルト40による接続部と、固定部33dの前端部とバンパフレーム17とのボルト42による接続部と、を結んだ線は、前方に向かうにしたがって車幅方向外側に延在する。
【0052】
そして、延設部材33は、後方(車両前後方向中央側)に開放する開口を有する第一部材41と、第一部材41の開口の少なくとも一部を閉塞する第二部材43と、を有する。第一部材41は、ロアクロスメンバ19の車幅方向外側の端部から前方及び左方(車幅方向外側)に延びる、車両上下方向から視て略L字状の部材である。また、外側部材41は、ロアクロスメンバ19側の後端が該ロアクロスメンバ19の後端面より後方に延びて後方突出部33cの一部を形成してなる。この外側部材41は、上端及び下端を後方及び左方に折り曲げることで、上端面及び下端面が形成されてなる、換言すると、後方及び左方(車幅方向外方)に開放する開口41cが形成されてなる。
【0053】
内側部材43は、外側部材41に沿うよう、平板部材を折り曲げて形成されてなる。すなわち、内側部材43は、前後方向に延びて接続部33aを構成する第一部分43cと、第一部分43cの前端から車幅方向外側に延びて左右延設部33bを構成する第二部分43dと、第一部分43cの後端から車幅方向内側に延びて後方突出部33cを構成する第三部分43eと、を有する。
【0054】
内側部材43は、外側部材41の上端面の端部41aから下端面の端部41bに向かって延びてなる。また、内側部材43は、外側部材41の下端面の端部41bより下方に延びる突出部43aと、外側部材41の上端面の端部41aより上方に延びる他の突出部43bと、が形成されてなる。これにより、内側部材43は、外側部材41の開口41cの少なくとも一部を閉塞する。
【0055】
本変形例においては、固定部33dと左右延設部33bとが、車両上下方向に延びる固定部材としてのボルト40によって固定されているため、後述するように、フルオーバーラップ衝突(図6参照)が生じた際の衝撃吸収効果を向上することができる。
【0056】
図6を参照して上述した通り、車両1の前方に他車両100がフルオーバーラップ衝突し、所定の荷重が左右のエクステンション12に加わると、図10に示すように、固定部33dの前端部とバンパフレーム17とのボルト42による接続部には、後方に向かって荷重Faが負荷される。ここで、固定部33dの後端部と左右延設部33bとのボルト40による接続部は、固定部33dの前端部とバンパフレーム17とのボルト42による接続部よりも車幅方向内側に位置しているので、ボルト40を中心軸として固定部33dを回転させようとするモーメント荷重Fbが生じる。このモーメント荷重Fbが、ボルト40による固定部33dと左右延設部33bとの締結力を上回ったとき、固定部33dがモーメント荷重Fbの方向に回転する。したがって、延設部材33及び固定部33dによって緩衝部Cの剛性が高められることを軽減しつつ、衝撃を吸収することができる。なお、左右延設部33bと固定部33dとを固定する固定部材は、ボルト40に限定されず、例えばピン等を採用しても構わない。
【0057】
以上説明したように、本発明に係る車台のフレーム構造では、車両1のボデーの一部であるキャビン2を支持する車台のフレーム構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ11と、サイドメンバ11の車両前後方向外側、すなわちサイドメンバ11の前側の前端11aに車幅方向に延びて設けられ、サイドメンバ11より車幅方向外側に延長された端部21aを有するバンパフレーム17と、サイドメンバ11間に設けられ、車幅方向に延びる、サスペンションフレーム13の前側クロスメンバ部材13aと、を備える。
【0058】
また、本発明に係る車両1の端部構造では、サイドメンバ11の下方であって、前側クロスメンバ部材13aとバンパフレーム17との間に位置し、車幅方向に延びるロアクロスメンバ19と、サイドメンバ11から下方に延び、ロアクロスメンバ19の左右端部を支持する柱部材31と、ロアクロスメンバ19の左右端部に柱部材31を介して配設されて車幅方向外方に向かって延び、バンパフレーム17の端部21aの車両前後方向内側で対向する位置まで延設される延設部材33と、を備える。
【0059】
従って、サイドメンバ11の下方であって、前側クロスメンバ部材13aとバンパフレーム17との間に、車幅方向に延びるロアクロスメンバ19を位置させ、サイドメンバ11のエクステンション12から下方に延びる柱部材31によってロアクロスメンバ19の左右端部を支持し、ロアクロスメンバ19の左右端部に、車幅方向外側に延び、バンパフレーム17のサイドメンバ11より車幅方向外側の車両前後方向後側に位置する延設部材33を配設し、延設部材33がバンパフレーム17を支持するようにし、ロアクロスメンバ19が、サイドメンバ11の下方に位置してなるので、サイドメンバ11に取り付けられている場合と比較して、衝突時にロアクロスメンバ19及び延設部材33の揺動を促すことができる。すなわち、柱部材31によってロアクロスメンバ19の左右端部を支持したので、柱部材31の上端を軸にしてロアクロスメンバ19を車両前側に揺動させて押圧して早期に他車両100に接触させることができる。
【0060】
そして、サイドメンバ11のバンパフレーム17とサスペンションフレーム13の前側クロスメンバ部材13aとの間には、車両前後方向に所定以上の荷重が加わると座屈して衝撃を吸収するエクステンション12を有するようにしたので、例えばフルオーバーラップ衝突のようなバンパフレーム17全体で衝撃を受ける際には、バンパフレーム17を支持して左右のエクステンション12に均等に荷重が加わるようにし、エクステンション12を左右で同等につぶすことができ、オフセット衝突のようなバンパフレーム17の車幅方向一方で偏って衝撃を受ける際には、延設部材33がバンパフレーム17を支持するようにして、エクステンション12に相当する位置における局所的な剛性の上昇を低下させることができる。
【0061】
そして、車両前後方向におけるサイドメンバ11のエクステンション12、すなわちマウントブラケット15が設けられる位置に設けられ、車両1のボデーの一部であるキャビン2を支持するマウントブラケット15を備え、マウントブラケット15は、キャビン2に連結されるマウント部材16が取り付けられるマウント支持部15aと、同マウント支持部15aの前後から互いに間隔を開けて下方に延び、サイドメンバ11の車幅方向外側の側面に接合される前壁部15bと後壁部15cとを有し、延設部材33は、前壁部15bと後壁部15cとの間でサイドメンバ11から延びるようにしたので、サイドメンバ11における柱部材31が取り付く部分の強度を高めることができる。
【0062】
そして、延設部材33は、ロアクロスメンバ19の後端(内側端部)19bより中央側に突出する後方突出部33cを有し、後方突出部33cは、サイドメンバ11のバンパフレーム17と前側クロスメンバ部材13aとの間の箇所のうちいずれか一方がつぶれる際、前側クロスメンバ部材13aに接触する位置に設けられてなる。これにより、オフセット衝突時に後方突出部33cが前側クロスメンバ部材13aに接触し、後方突出部33cを軸にしてロアクロスメンバ19の車幅方向内側を車両前後方向中央側に揺動させ、後方突出部33cより車幅方向外側に位置する延設部材33を車両前後方向外方、すなわち相手方車両側に押圧させることができる。
【0063】
特に、後方突出部33cは、前側クロスメンバ部材13aの車幅方向外側の端部より外方に位置してなるので、オフセット衝突時に後方突出部33cが前側クロスメンバ部材13aに接触するようにしつつ、フルオーバーラップ衝突時に後方突出部33cが前側クロスメンバ部材13aに接触することを抑制することができる。
【0064】
そして、一端が延設部材33の車幅方向外側の端部に固定され、他端がバンパフレーム17の端部21aに固定されてなる固定部33dを有するので、車両1の衝突時にバンパフレーム17が車両前後方向に揺動することを抑制することができる。
【0065】
そして、ロアクロスメンバ19には、車幅方向中央に、車両前後方向に屈曲する力に対する剛性を低下させる変形孔19aが形成されたので、衝突時にロアクロスメンバ19の変形孔19aが車両前後方向中央側に押圧される力を利用して、補強部によってバンパフレーム17を外方に押圧することができる。
【0066】
そして、延設部材33の左右延設部33bは、車両前後方向中央側に開放する開口を有する第一部材41と、第一部材41の開口の少なくとも一部を閉塞する第二部材43と、を有するので、延設部材33の剛性を確保することができる。
【0067】
そして、変形例における延設部材33は、柱部材31に接続され、車両前後方向に延びる接続部33aと、接続部33aの車両前後方向外側の端部から車幅方向外側に延びる左右延設部33bと、左右延設部33bの車幅方向外側の端部に、固定部材としてのボルト40によって固定される固定部33dと、を有する。したがって、フルオーバーラップ衝突時に、ボルト40による締結部を軸に固定部33dが回転するので、延設部材33及び固定部33dによって緩衝部Cの剛性が高められることを軽減しつつ、衝撃を吸収することができる。
【0068】
以上で本発明に係る車台のフレーム構造の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0069】
例えば、本実施形態では、車両1の前部にエクステンション12、バンパフレーム17、ロアクロスメンバ19等を配設するようにし、他車両100が車両1の前方から衝突する場合について説明したが、車両1の後部を同様の構成とし、他車両100が車両1の後方から衝突する場合に備えるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、延設部材33に後方突出部33cを形成するようにしたが、ロアクロスメンバ19に形成してもよく、サスペンションフレーム13の前側クロスメンバ部材13aから後方突出部33cに対応する位置に前方に突出する部分を形成するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、固定部33dを用いるようにしたが、バンパフレーム17の下側緩衝部材21の下端を延設して、車両1と他車両100との衝突時に延設部材33がバンパフレーム17に直接接触するようにしてもよい。
【0072】
本出願は、2021年1月8日出願の日本特許出願2021-002080及び2021年10月8日出願のPCT国際出願PCT/JP2021/037404に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 車両
2 キャビン(ボデー)
3 車台
11 サイドメンバ
11a 前端(端部)
12 エクステンション(緩衝部)
13a 前側クロスメンバ部材(第1クロスメンバ)
15 マウントブラケット
15a マウント支持部
15b 前壁部
15c 後壁部
16 マウント部材
17 バンパフレーム
19 ロアクロスメンバ(第2クロスメンバ)
19a 変形孔(剛性低下部)
19b 後端(内側端部)
21a 端部(延長部)
31 柱部材
33 延設部材
33a 接続部
33b 左右延設部
33c 後方突出部(内側突出部)
33d 固定部
40 ボルト(固定部材)
41 外側部材(第一部材)
43 内側部材(第二部材)
100 他車両(被衝突体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12