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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/12 20060101AFI20250617BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
B65G21/12 Z
B65G43/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021170927
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023061122
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2024-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000150291
【氏名又は名称】株式会社中山ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘志
(72)【発明者】
【氏名】立石 房雄
(72)【発明者】
【氏名】團 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 忠
(72)【発明者】
【氏名】副島 達也
(72)【発明者】
【氏名】一丸 知浩
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214468(JP,A)
【文献】特開2004-292146(JP,A)
【文献】特開平6-293438(JP,A)
【文献】特開2016-216221(JP,A)
【文献】特開2016-216218(JP,A)
【文献】特開平7-165392(JP,A)
【文献】特開2009-137736(JP,A)
【文献】特開平7-125987(JP,A)
【文献】実開昭60-114200(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/12
B65G 43/02
B65G 63/00
B65G 65/28
B66C 23/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送するベルトコンベヤ本体と、当該ベルトコンベヤ本体を保持し、移動可能な基台部とを備えるベルトコンベヤであって、
前記基台部の傾斜を検出する傾斜センサと、
前記ベルトコンベヤ本体の変位を検出する変位センサと、
前記変位センサから送信される測定信号に基づいて、前記ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御手段とを備えることを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトコンベヤにおいて、
前記変位センサが、前記基台部に軸支され、前記ベルトコンベヤ本体を支持する伸縮可能なサポートアームに取り付けられた距離センサであることを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベルトコンベヤにおいて、
前記ベルトコンベヤ本体上の前記被搬送物の重量を検出する重量センサを備え、
前記制御手段が、前記重量センサから送信される測定信号に基づいて前記被搬送物の搬送状況を推測し、当該推測される搬送状況を組み合わせて前記ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出することを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のベルトコンベヤにおいて、
前記被搬送物の搬送速度を検出する速度センサと、
前記ベルトコンベヤ本体に供給される被搬送物の重量を検出する搬入量センサとを備え、
前記制御手段が、前記速度センサ及び前記搬入量センサから送信される測定信号に基づいて前記被搬送物の搬送状況を予測し、当該予測される搬送状況に基づいて前記ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出することを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のベルトコンベヤにおいて、
前記基台部が、自走式であることを特徴とするベルトコンベヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動・運搬時や稼働状況に応じて、転倒を防止することができるベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート廃材やアスファルト廃材などをインパクトクラッシャのような破砕装置で破砕した後の砕石は、ベルトコンベヤなどの搬送装置によって搬出される。
【0003】
例えば、特許文献1には、折畳み式の搬送部と、搬送部を支持する走行体とを備えた自走式搬送装置が開示されている。この自走式搬送装置は、ホッパを介してベルトコンベヤの一端側から投入された被搬送物を搬送し、ベルトコンベヤの他端側で排出することで、被搬送物が地面上に山積みされた堆積物を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-216218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で示されるような従来の自走式搬送装置は、被搬送物の重量やコンベヤベルト上における被搬送物の偏在などの搬送状況などによって、走行体自身の水平状態からの傾き、搬送部(ベルトコンベヤ本体)における重心位置の前後・左右・上方向への大きなずれを引き起こしてしまうことがある。
また、ベルトコンベヤ本体の非使用状態から使用状態への移行時、使用状態から非使用状態への移行時、あるいは、搬送装置の移動・運搬時においても重心位置のずれを引き起こす場合がある。
【0006】
走行体の傾斜やベルトコンベヤ本体における重心位置の大きなずれは、ベルトコンベヤ本体あるいは搬送装置そのものを転倒させてしまうおそれがあり、多大な事故につながる危険性があるが、従来の搬送装置では何ら対策がとられていないのが現状である。さらに、被搬送物を搬送している使用状態においては、搬送装置などの転倒により被搬送物を周囲に散乱させることになり、より広範囲にわたる事故を起こしかねない。
【0007】
本発明は上記課題を解消するためになされたものであり、移動・運搬時や、稼働状況に応じて、転倒を防止することができるベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベルトコンベヤは、被搬送物を搬送するベルトコンベヤ本体と、ベルトコンベヤ本体を保持し、移動可能な基台部とを備え、基台部の傾斜を検出する傾斜センサと、ベルトコンベヤ本体の変位を検出する変位センサと、変位センサから送信される測定信号に基づいて、ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御手段とを備えるものである。
【0009】
このように本発明においては、傾斜センサと、変位センサと、ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御手段とを備えることから、基台部の傾斜度及びベルトコンベヤ本体の重心位置に応じてベルトコンベヤの転倒危険性を判定できることとなり、ベルトコンベヤの転倒を事前に防止することができるという効果を有する。
【0010】
本発明に係るベルトコンベヤは、必要に応じて、変位センサが、基台部に軸支され、ベルトコンベヤ本体を支持する伸縮可能なサポートアームに取り付けられた距離センサとされるものである。
【0011】
このように本発明においては、距離センサがベルトコンベヤ本体を支持する伸縮可能なサポートアームに取り付けられていることから、固定アーム及び伸縮アーム間の距離を測定し、この距離の変化量に応じてサポートアームの状態を常に監視できることとなり、より簡易にベルトコンベヤの転倒を事前に防止することができるという効果を有する。
【0012】
本発明に係るベルトコンベヤは、必要に応じて、ベルトコンベヤ本体上の被搬送物の重量を測定する重量センサを備え、制御手段が、重量センサから送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を推測し、推測される搬送状況を組み合わせてベルトコンベヤ本体の重心位置を算出するものである。
【0013】
このように本発明においては、重量センサ及び速度センサから送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を推測し、推測される搬送状況を組み合わせてベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御手段を備えることから、所定の領域上における被搬送物の重量を参照してベルトコンベヤ本体の全体における搬送状況を予測して、ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出することとなり、より高精度にベルトコンベヤの転倒を事前に防止することができるという効果を有する。
【0014】
本発明に係るベルトコンベヤは、必要に応じて、被搬送物の搬送速度を測定する速度センサと、ベルトコンベヤ本体に供給される被搬送物の重量を測定する搬入量センサとを備え、制御手段が、速度センサ及び搬入量センサから送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を予測し、予測される搬送状況に基づいてベルトコンベヤ本体の重心位置を算出するものである。
【0015】
このように本発明においては、速度センサ及び搬入量センサから送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を予測し、予測される搬送状況に基づいてベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御手段を備えることから、ベルトコンベヤの転倒危険性を事前に検出できることとなり、時間的猶予をもって操作者に転倒危険性を報知できるという効果を有する。
【0016】
本発明に係るベルトコンベヤは、必要に応じて、基台部が、自走式である。
【0017】
このように本発明においては、自走式である基台部を採用することによって、ベルトコンベヤの解体やベルトコンベヤのための運搬車両を必要とせずにベルトコンベヤを移動させることができることとなり、作業効率を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤの稼働状態における斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤの折畳み状態における斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤにおけるヘッド側サポートアームの要部斜視部である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤにおけるテール側サポートアームの要部斜視部である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤにおけるヘッド側のリンク機構の要部斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るベルトコンベヤの稼働状態における転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施形態に係るベルトコンベヤにおける中間モジュールの要部斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るベルトコンベヤにおける転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の第3の実施形態に係るベルトコンベヤにおけるテールモジュールの要部斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係るベルトコンベヤにおける転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0020】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態に係るベルトコンベヤについて、図1ないし図5を用いて説明する。
【0021】
本実施形態に係るベルトコンベヤは、被搬送物を搬送するベルトコンベヤ本体と、ベルトコンベヤ本体を保持する基台部とを備え、基台部が、基台部の傾斜を測定する傾斜センサを備えるとともに、ベルトコンベヤ本体が、ベルトコンベヤ本体の変位を測定する変位センサを備えることを特徴とする。
【0022】
以下、具体例を挙げて詳細に説明する。
【0023】
ベルトコンベヤ1は、被搬送物を搬送するベルトコンベヤ本体10と、ベルトコンベヤ本体10を保持する基台部として走行体20とを備える。
【0024】
このように、自走式である走行体20を採用することによって、ベルトコンベヤ1の解体やベルトコンベヤ1のための運搬車両を必要とせずにベルトコンベヤ1を移動させることができることとなり、作業効率を向上させることができる。
【0025】
ベルトコンベヤ本体10は、長尺なフレーム11と、フレーム11のヘッド側(被搬送物の搬出側)に設けられた駆動ローラ12と、テール側(被搬送物の搬入側)に設けられた従動ローラ13と、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に設けられた複数の案内ローラ14と、駆動ローラ12を回転駆動する駆動モータ15と、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に架け渡された無端状のコンベヤベルト16とを含んで構成される。
【0026】
本実施形態において、被搬送物は、ウッドチップ、コンクリート廃材やアスファルト廃材などの破砕片、石炭、鉄鉱石などの鉱物、埋め立て用の土砂、生コンクリートなどベルトコンベヤ1で搬送可能な様々なものを含む。
【0027】
フレーム11は、フレーム11の一端部をなすヘッドモジュール11Aと、当該ヘッドモジュール11Aに連結される中間モジュール11Bと、中間モジュール11Bに連結され、フレーム11の他端部をなすテールモジュール11Cとに分割されて構成される。
フレーム11は、中間モジュール11Bのヘッド側及びテール側の下部にて、走行体20の前後に設けられたヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31を介して軸支される。
【0028】
走行体20は、ベルトコンベヤ本体10を保持する車両21と、車両21の下部両側方に取り付けられて地面上を走行するクローラ走行帯22とを備える。
車両21には、制御盤23、傾斜センサ24、24、不図示の油圧源、通信部などが設けられる。
制御盤(制御部)23は、CPUと、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAMなどの記憶手段、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。制御盤23は、クローラ走行帯22やベルトコンベヤ本体10などの駆動制御を行う。
傾斜センサ24、24は、それぞれ走行体20における前後及び左右の傾斜をそれぞれ測定する。
油圧源は、後述する油圧シリンダを駆動(伸縮)させるものである。
通信部は、遠隔制御装置から無線回線を介して送信された信号を受信するとともに、制御盤から供給される管理情報を無線回線を介して管理端末に送信するものである。
【0029】
フレーム11は、図1に示すように、ヘッドモジュール11A、中間モジュール11B及びテールモジュール11Cが直線状に延在した伸長状態(稼働状態)と、図2に示すように、ヘッドモジュール11A及びテールモジュール11Cが中間モジュール11B上方に折り畳まれた折畳み状態との二つの態様をとるように構成される。
【0030】
ヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31は、フレーム11の伸長状態、折畳み状態に応じて、伸縮可能となっている。
【0031】
ヘッド側サポートアーム30は、走行体20の前方下部に軸支された固定アーム30Aと、固定アーム30A内に摺動可能に収納され、フレーム11の中間モジュール11Bのヘッド側下部に軸支された伸縮アーム30Bとを備える。伸縮アーム30Bには、変位センサとしての超音波式の距離センサ32が設けられている。
距離センサ32は、当該距離センサ32に対向配置される固定アーム30Aの枠部材との間の距離d1を測定する。
【0032】
テール側サポートアーム31は、フレーム11の中間モジュール11Bのテール側下部に軸支された固定アーム31Aと、固定アーム31A内に摺動可能に収納され、走行体20の後方下部に軸支された伸縮アーム31Bとを備える。固定アーム31Aには、変位センサとしての超音波式の距離センサ33が設けられている。
距離センサ33は、当該距離センサ33に対向配置される伸縮アーム31Bの枠部材との間の距離d2を測定する。
【0033】
以上のように、距離センサ32、33がベルトコンベヤ本体10を支持する伸縮可能なサポートアーム30、31に取り付けられていることから、固定アーム30A、31A及び伸縮アーム30B、31B間の距離を測定し、この距離の変化量に応じてサポートアーム30、31の状態を常に監視できることとなり、より簡易にベルトコンベヤ1の転倒を事前に防止することができる。
【0034】
次に、ベルトコンベヤ本体10の折畳み状態から伸長状態への移行方法、及び伸長状態から折畳み状態への移行方法について説明する。
【0035】
まず、ベルトコンベヤ本体10を折畳み状態から伸長状態とするには、ヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31の両側面にそれぞれ取り付けられた油圧シリンダ40、41を伸長させてヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31を伸長させながら起立させるとともに、ヘッドモジュール11A及びテールモジュール11Cが上方に積み重ねられた状態の中間モジュール11Bを走行体20上方に上昇させる。図1に示す例においては、中間モジュール11Bのヘッド側をテール側よりも上昇するように油圧シリンダ40、41の伸長状態を制御し、中間モジュール11Bがヘッド側からテール側へと向かって下り勾配となるようにしている。
なお、ベルトコンベヤ本体10は、移行終了後(ベルトコンベヤ1の稼働中)においても、上下位置及び傾斜角度を自在に変更可能となっている。
【0036】
次に、中間モジュール11Bのヘッド側の両側面に取り付けられた油圧シリンダ42を収縮させることにより、ヘッドモジュール11A及び中間モジュール11Bの連結部分に設けられたリンク機構44を介して、ヘッドモジュール11Aと中間モジュール11Bとの連結部分を起点としてヘッドモジュール11Aを回転させて、中間モジュール11Bに対して起立させた状態を経て、中間モジュール11Bのヘッド側の延長線上に配する。
これと同時に、中間モジュール11Bのテール側の両側面にそれぞれ取り付けられた油圧シリンダ43を収縮させることにより、中間モジュール11B及びテールモジュール11Cの連結部分に設けられたリンク機構45を介して、中間モジュール11Bとテールモジュール11Cとの連結部分を起点としてテールモジュール11Cを回転させて、中間モジュール11Bに対して起立させた状態を経て、中間モジュール11Bのテール側の延長線上に配することで、ヘッドモジュール11A、中間モジュール11B及びテールモジュール11Cを直線状に延在させた状態、すなわち、稼働状態とする。
【0037】
反対に、ベルトコンベヤ本体10を伸長状態から折畳み状態とするには、油圧シリンダ42、43を伸長させることにより、リンク機構44、45を介して、ヘッドモジュール11A及びテールモジュール11Cと中間モジュール11Bとの連結部分を起点としてヘッドモジュール11A及びテールモジュール11Cを回転させて、中間モジュール11Bに対して起立させた状態を経て、ヘッドモジュール11A及びテールモジュール11Cを中間モジュール11B上方に積み重ねた状態とする。
【0038】
次に、油圧シリンダ40、41を収縮させてヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31を収縮させながら走行面側へ倒し、中間モジュール11Bをほぼ水平となるように走行体20上面に向かって下降させて、ベルトコンベヤ本体10を折畳み状態とする。
【0039】
このように、ベルトコンベヤ本体10を折畳み状態とすることで、ベルトコンベヤ1をコンパクト化できることとなり、ベルトコンベヤ1の移動やトレーラーなどでの輸送に対し利便性が図られている。
【0040】
次に、本実施形態に係るベルトコンベヤ1の転倒防止処理動作について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図であり、図7は、本実施形態に係るベルトコンベヤの稼働状態における転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
転倒防止処理動作は、折畳み状態、稼働状態のみならず、これら状態間の移行中においても実施される。
【0041】
まず、傾斜センサ24、24は、走行体20の傾斜を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS100)。
【0042】
制御部23は、傾斜センサ24、24から送られた測定信号に基づいて、走行体20の傾斜度を算出する(ステップS110)。
【0043】
また、ヘッド側サポートアーム30に取り付けられた距離センサ32は、ヘッド側サポートアーム30の固定アーム30A及び伸縮アーム30B間の距離を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS120)。
【0044】
同様に、テール側サポートアーム31に取り付けられた距離センサ33は、テール側サポートアーム31の固定アーム31A及び伸縮アーム31B間の距離を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS120)。
【0045】
制御部23は、距離センサ32、33から送られた測定信号から固定アーム30A及び伸縮アーム30B間の距離の変化量、並びに固定アーム31A及び伸縮アーム31B間の距離の変化量、すなわち、ヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31の伸縮率を算出し(ステップS130)、この伸縮率とあらかじめ入力されたベルトコンベヤ本体10を構成する各部材の長さ及び重量からベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する(ステップS140)。
【0046】
例えば、折畳み状態から稼働状態へと移行中においては、ベッドモジュール11A及びテールモジュール11Cが起立した状態となるので、ベルトコンベヤ本体10の重心位置は高くなる。稼働状態においては、折畳み状態から稼働状態へと移行中よりも重心位置は低くなるが、走行体20よりも前方に重心位置が存在するようになる(ヘッドモジュール11Aよりもテールモジュール11Cが長くなるように設計されている場合には、走行体20後方に重心位置が存在する。)。折畳み状態では、折畳み状態から稼働状態へと移行中よりも重心位置が低く、ほぼ走行体20の位置が重心位置となり、もっとも安定した状態となる。
【0047】
制御部23は、走行体20の傾斜度、及び算出されたベルトコンベヤ本体10の重心位置から、ベルトコンベヤ1の転倒危険性を判定する(ステップS150)。
具体的には、制御部23は、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超え、かつ、ベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域外にある場合(重心位置が走行体20から大きくずれているような場合)には、ベルトコンベヤ1の転倒危険性が高いと判定し(ステップS150:YES)、これを警告音などにより操作者や周辺の作業員に対して報知するとともに転倒危険性が高いことを管理端末に送信する。
【0048】
ベルトコンベヤ1が稼働状態である場合には、駆動モータ15を停止させて、コンベヤベルト16による被搬送物の搬送を中止し(ステップS160)、転倒防止処理動作を終了する。
【0049】
なお、制御部23は、ベルトコンベヤ1が移動中である場合には、走行体20を停止させ、ベルトコンベヤ本体10が他の状態へ移行中の場合には、移行動作を中止させる。
【0050】
制御部23は、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超えておらず、ベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域内にある場合には、転倒危険性が低い又はなしと判定し(ステップS150:NO)、引き続きステップS100ないしステップS150までを繰り返し実行し、ベルトコンベヤ1を監視する。
【0051】
なお、制御部23は、ステップS150において、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超えた場合、又はベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域外にある場合にベルトコンベヤ1の転倒危険性が高いと判定し、駆動モータ15を停止させるようにしてもよい。
また、制御部23は、ステップS160において、操作者や周辺の作業員に対して報知のみを実施し、操作者などが駆動モータ15を停止するようにしてもよいし、操作者や周辺の作業員に対して報知を行わずに駆動モータ15を停止するようにしてもよい。
【0052】
このように、傾斜センサ24、24と、変位センサ(距離センサ)32、33と、ベルトコンベヤ本体の重心位置を算出する制御部23とを備えることから、基台部(走行体)20の傾斜度及びベルトコンベヤ本体10の重心位置に応じてベルトコンベヤの転倒危険性を判定できることとなり、ベルトコンベヤの転倒を事前に防止することができる。
【0053】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るベルトコンベヤについて、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態に係るベルトコンベヤにおける中間モジュールの要部斜視図である。
なお、本実施形態において上記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、中間モジュール11Bに位置に、中間モジュール11Bの所定の領域上の被搬送物の重量を測定する重量センサ34を備える。
【0055】
次に、本実施形態に係るベルトコンベヤ1の転倒防止処理動作について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、本実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図であり、図10は、本実施形態に係るベルトコンベヤにおける転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、上記第1の実施形態と同様に、傾斜センサ24、24は、走行体20の傾斜を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS200)。
制御部23は、傾斜センサ24、24から送られた測定信号に基づいて、走行体20の傾斜度を算出する(ステップS210)。
【0057】
次に、ヘッド側サポートアーム30に取り付けられた距離センサ32は、ヘッド側サポートアーム30の固定アーム30A及び伸縮アーム30B間の距離を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信し、同様に、テール側サポートアーム31に取り付けられた距離センサ33は、テール側サポートアーム31の固定アーム31A及び伸縮アーム31B間の距離を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS220)。
【0058】
制御部23は、距離センサ32、33から送られた測定信号から固定アーム30A及び伸縮アーム30B間の距離の変化量、並びに固定アーム31A及び伸縮アーム31B間の距離の変化量、すなわち、ヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31の伸縮率を算出する(ステップS230)。
【0059】
一方で、重量センサ34は、所定の領域上の被搬送物の重量を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS240)。
【0060】
制御部23は、重量センサ34から送信された測定信号に基づいて、コンベヤベルト16上の被搬送物の搬送状況を推測する(ステップS250)。
具体的には、制御部23は、重量センサ34から送信された測定信号から所定領域上の被搬送物の重量を算出する。次に、所定領域における被搬送物と同等の重量を有する被搬送物がベルトコンベヤ本体10の全体にわたって搬送されているものと仮定して、所定の領域における搬送方向長さとベルトコンベヤ本体10の機長との比から、ベルトコンベヤ本体10全体上の被搬送物の重量を算出する。
【0061】
制御部23は、上記のようにして算出されたベルトコンベヤ本体10上の被搬送物の推測重量、ヘッド側サポートアーム30及びテール側サポートアーム31の伸縮率、並びにあらかじめ入力されたベルトコンベヤ本体10を構成する各部材の長さ及び重量からベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する(ステップS260)。
【0062】
制御部23は、走行体20の傾斜度及び算出されたベルトコンベヤ本体10の重心位置から、ベルトコンベヤ本体10の転倒危険性を判定する(ステップS270)。
具体的には、制御部23は、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超え、かつ、ベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域外にある場合(重心位置が走行体20から大きくずれているような場合)には、転倒危険性が高いと判定し(ステップS270:YES)、これを警告音などにより操作者や周辺の作業員に対して報知するとともに転倒危険性が高いことを管理端末に送信する。
【0063】
ベルトコンベヤ1が稼働状態である場合には、駆動モータ15を停止させて、コンベヤベルト16による被搬送物の搬送を中止し(ステップS280)、転倒防止処理動作を終了する。
【0064】
なお、制御部23は、ベルトコンベヤ1が移動中である場合には、走行体20を停止させ、ベルトコンベヤ本体10が他の状態へ移行中の場合には、移行動作を中止させる。
【0065】
制御部23は、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超えておらず、ベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域内にある場合には、転倒危険性が低い又はなしと判定し(ステップS270:NO)、引き続きステップS200ないしステップS270までを繰り返し実行し、ベルトコンベヤ1の監視を続ける。
【0066】
このように、重量センサ34から送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を推測し、推測される搬送状況に基づいてベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する制御部23を備えることから、所定の領域上における被搬送物の重量を参照してベルトコンベヤ本体10の全体における搬送状況を予測して、ベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出することとなり、より高精度にベルトコンベヤ1の転倒を事前に防止することができる。
【0067】
なお、重量センサ34は、中間モジュール11Bのみに設けられている必要はなく、例えば、ベルトコンベヤ本体10を構成する各モジュールにそれぞれ重量センサ34が設けられていてもよい。この場合、制御部23は、モジュールごとに被搬送物の搬送状況を推測して、ベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する。
これにより、制御部23は、より精確なベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出することができる。
【0068】
また、制御部23は、ステップS270において、走行体20の傾斜度があらかじめ設定された閾値を超えた場合、又はベルトコンベヤ本体10の重心位置が所定の領域外にある場合にベルトコンベヤ1の転倒危険性が高いと判定し、駆動モータ15を停止させるようにしてもよい。
さらに、制御部23は、ステップS280において、操作者や周辺の作業員に対して報知のみを実施し、操作者などが駆動モータ15を停止するようにしてもよいし、操作者や周辺の作業員に対して報知を行わずに駆動モータ15を停止するようにしてもよい。
【0069】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係るベルトコンベヤについて、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態に係るベルトコンベヤにおけるテールモジュールの要部斜視図である。
なお、本実施形態において上記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0070】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、テールモジュール11Cに設けられた、被搬送物を搬送するコンベヤベルト16の搬送速度を測定する速度センサ35と、供給される被搬送物の搬入量を測定する搬入量センサ36とを備えるものとしてシステムを構築することも可能である。
【0071】
以下に、本実施形態に係るベルトコンベヤ1の転倒予告処理動作について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、本実施形態に係るベルトコンベヤの装置ブロック図であり、図13は、本実施形態に係るベルトコンベヤにおける転倒防止処理動作を示すフローチャートである。
【0072】
まず、速度センサ35は、被搬送物を搬送するコンベヤベルト16の搬送速度を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS300)。
【0073】
また、搬入量センサ36は、ベルトコンベヤ本体10のコンベヤベルト16上に供給される被搬送物の重量を検出し、その測定結果(信号)を制御部23に送信する(ステップS310)。
【0074】
制御部23は、速度センサ35及び搬入量センサ36から送られる測定信号に基づいて、ベルトコンベヤ1を継続的に稼働した際のコンベヤベルト16上における被搬送物の搬送状況を予測する(ステップS320)。
具体的には、制御部23は、コンベヤベルト16上に続けて搬入される被搬送物の重量を搬入量センサ36にて検出された被搬送物の重量と同一であると仮定し、コンベヤベルト16上における被搬送物の搬送状況を予測する。コンベヤベルト16上に続けて搬入される被搬送物の重量は、搬入量センサ36から送信される測定信号に基づいて、随時更新される。
例えば、搬入量センサ36にて被搬送物の重量としてA(kg)を検出した場合には、コンベヤベルト16の全体にわたって「AAAAA」とする搬送状況で被搬送物が搬送されると予測する。任意の時間経過後、搬入量センサ36にて被搬送物の新たな重量としてB(kg)を検出した場合には、「AAAAB」→「AAABB」→「AABBB」→「ABBBB」→「BBBBB」とする搬送状況で被搬送物が搬送されると予測する。さらに、任意の時間経過後、例えば、「AABBB」の段階で搬入量センサ36にて被搬送物の重量としてC(kg)を検出した場合には、「ABBBC」→「BBBCC」→「BBCCC」→「BCCCC」→「CCCCC」とする搬送状況で被搬送物が搬送されると予測する。
【0075】
制御部23は、予測される被搬送物の搬送状況に基づいて、ベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する(ステップS330)。
具体的には、制御部23は、予測される搬送状況、あらかじめ入力されたベルトコンベヤ本体10を構成する各部材の長さ及び重量からベルトコンベヤ本体10の重心位置を予測、算出する。
【0076】
制御部23は、今後予測される被搬送物の搬送状況から、ベルトコンベヤ1の転倒危険性を判定する(ステップS340)。
【0077】
例えば、ベルトコンベヤ本体10への供給途中において、被搬送物の供給量の偏りや詰まりが生じた場合、ヘッドモジュール11A上の被搬送物量が多く、テールモジュール11C上の被搬送物量が少ない状況となることが予測される。この場合、ベルトコンベヤ本体10の重心位置が高くなり、また、走行体20よりも大きく前方にずれる可能性が高くなる。
制御部23は、被搬送物の搬入量を搬入量センサ36によって常にモニタリングすることにより、このまま稼働状態を続ければいずれ重心位置が所定の領域外となると判定した場合(ステップS340:YES)には、これを警告音などにより操作者や周辺の作業員に対して予告報知するとともに、管理端末に送信する(ステップS350)。一方で、このまま稼働状態を続けても重心位置が所定の領域内にあると判定した場合(ステップS340:NO)には、引き続きステップS300ないしステップS340までを繰り返し実行し、ベルトコンベヤ1の監視を続ける。
【0078】
操作者は、制御部23からの警告を管理端末において受信した場合、ベルトコンベヤ1の搬送状況を目視にて確認後、状況に応じて手動で駆動モータ15を停止することができる。
また、制御部23は、報知後、操作者による駆動モータ15の停止が行われなかった場合、コンベヤベルト16の搬送速度に応じて所定時間経過後に駆動モータ15を停止するようにしてもよい。この際、コンベヤベルト16上への被搬送物の供給も停止するようにしてもよい。
【0079】
ここで、上記第1及び第2の実施形態における転倒防止処理動作は、本実施形態における転倒予告処理動作と並行して実施されていてもよい。
【0080】
このように、速度センサ35及び搬入量センサ36から送信される測定信号に基づいて被搬送物の搬送状況を予測し、予測される搬送状況に基づいてベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出する制御部23を備えることから、ベルトコンベヤ1の転倒危険性を事前に検出できることとなり、時間的猶予をもって操作者に転倒危険性を報知できる。
【0081】
なお、上記各実施形態において、ベルトコンベヤ本体10を折畳み式として説明したが、伸縮式のベルトコンベヤであってもよい。伸縮式である場合、ベッドモジュール11A及びテールモジュール11Cは、それぞれ中間モジュール11Bの上下に互い違いとなるように積層されて収納される。
【0082】
また、変位センサとして、距離センサである場合を説明したがこれに制限されず、ベルトコンベヤ本体10の重心位置を算出することができればよく、例えば、ひずみゲージ、傾斜センサ、加速度センサなど公知のセンサを用いることができる。
【0083】
また、基台部として、自走式の走行体20としたが、駆動源を有しない牽引式のものとしてもよい。
【0084】
さらに、上記各実施形態は、適宜組み合わせて実施可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 ベルトコンベヤ
10 ベルトコンベヤ本体
11 フレーム
11A ヘッドモジュール
11B 中間モジュール
11C テールモジュール
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
14 案内ローラ
15 駆動モータ
16 コンベヤベルト
20 走行体
21 車両
22 クローラ走行帯
23 制御盤(制御部)
24 傾斜センサ
30 ヘッド側サポートアーム
30A 固定アーム
30B 伸縮アーム
31 テール側サポートアーム
31A 固定アーム
31B 伸縮アーム
32、33 距離センサ
34 重量センサ
35 速度センサ
36 搬入量センサ
40~43 油圧シリンダ
44、45 リンク機構

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13