(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】釣りリールの釣糸クリップ器具
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20250617BHJP
A01K 97/00 20060101ALI20250617BHJP
A01K 89/01 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
A01K89/015 N
A01K97/00 Z
A01K89/01 H
(21)【出願番号】P 2024126204
(22)【出願日】2024-08-01
【審査請求日】2024-08-01
(31)【優先権主張番号】10-2024-0071441
(32)【優先日】2024-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522120428
【氏名又は名称】モネックスコーリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ヨン クン
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171796(JP,A)
【文献】特開2001ー037383(JP,A)
【文献】特開平11-206298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
A01K 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣りリールの釣糸の末端部を固定するクリップ器具であって、
支持台(21)とバイト台(24)を結合し、上面が開放した箱状構造をなす本体部材(20)と、
前記本体部材(20)に上下動可能に収容され、前面に釣糸を噛み合うように構成される可動部材(30)と、
前記本体部材(20)と可動部材(30)の間に挟まれる弾性部材(40)とを含むことを特徴とする釣りリールの釣糸クリップ器具。
【請求項2】
前記本体部材(20)は、樹脂材からなり、前面のバイト部(25)を備え、超音波融着で結合されることを特徴とする請求項1に記載の釣りリールの釣糸クリップ器具。
【請求項3】
前記可動部材(30)は、前面のバイト部(34)を備え、バイト部(34)上にパッド材(35)を支持することを特徴とする請求項1に記載の釣りリールの釣糸クリップ器具。
【請求項4】
前記本体部材(20)と可動部材(30)は、バイト部(25、34)上に雄雌で対向する段差部(27、37)を備えることを特徴とする請求項1に記載の釣りリールの釣糸クリップ器具。
【請求項5】
前記本体部材(20)は、釣りリールに着脱するための掛け部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の釣りリールの釣糸クリップ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りリールの釣糸クリップ器具に関し、より詳しくは、釣りリールに巻き付けられた釣糸の末端部を固定するための釣りリールの釣糸クリップ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、釣りリールは、淡水釣り、海釣り、投げ釣りなど、多くの釣りで使用されている。使用者が釣りリールのハンドルを回して、ライン(釣糸)をスプールにムラなく整列されるように巻き取ることができる。ところが、釣糸の末端部を別の器具で位置を固定して保管しなければ、釣糸がスプールに巻き込まれるか、スプールから解けて整列されないところ、釣糸の末端部がラインの最上、最端に位置しなければ、ラインが円滑に繰り出されず、釣る操作において非常に不便である。通常、クリップを用いて固定すると、このような不便を防止することができる。
【0003】
これに関する先行技術文献として、韓国登録実用新案公報第0194980号(先行文献1)、韓国登録特許公報第0361073号(先行文献2)などがある。
【0004】
先行文献1は、釣り針を挿入できる輪と、この輪の一端部に連結され、バンド本体の一端部に付着されて、輪とバンド本体を連結する伸縮性補助バンドと、マジックテープ(登録商標)接着面が上面全体に付着されているバンド体体などを含む。これにより、釣糸を張りつめる状態で維持して、リール使用において、解け、もつれ、及び撚れを防止する効果を期待する。
【0005】
先行文献2は、リールが設置されるリール釣り竿の一側に釣糸を固定する釣糸固定具を締結し、釣糸固定具の半円形本体の下端に釣糸が通過する貫通孔を備えた突出部を形成し、突出部の底面にばねと圧着ボタンを締結して固定板で固定する。これに、釣糸を押しボタンにより固定するので、別の技術なく、簡単に使用することができる。
【0006】
しかし、前記先行文献によると、釣りリールを分離して保管する場合、釣糸末端部とレベルワインダーの損傷を防止するに足りない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録実用新案第0194980号公報 「リール釣解け防止用バンド」(公開日:2000.09.01.)
【文献】韓国登録特許第0361073号公報 「リール釣り竿の釣糸固定装置」(公開日:2001.05.07.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような従来の問題点を改善するための本発明の目的は、釣り竿から釣りリールを分離して保管する過程において、巻き付けられた釣糸の末端部をレベルワインダーに密着した状態で安定的に固定して、釣糸がスプールに巻き込まれるか、解けてもつれることを防止するための釣りリールの釣糸クリップ器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、釣りリールの釣糸の末端部を固定するクリップ器具であって、支持台とバイト台を結合し、上面が開放した箱状構造をなす本体部材と、前記本体部材に上下動可能に収容され、前面に釣糸を噛み合うように構成される可動部材と、前記本体部材と可動部材の間に挟まれる弾性部材とを含むことを特徴とする。
【0010】
前記本体部材は、樹脂材で形成され、前面のバイト部を備え、超音波融着で結合される。
【0011】
前記可動部材は、前面のバイト部を備え、バイト部上にパッド材を支持する。
【0012】
前記本体部材と可動部材は、バイト部上に雄雌で対向する段差部を備える。
【0013】
前記本体部材は、釣りリールに着脱するための掛け部を更に備える。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によると、釣り竿から釣りリールを分離して保管する過程において、巻き付けられた釣糸の末端部をレベルワインダーに密着した状態で安定的に固定して損傷を防止するので、便利性と耐久性を同時に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるクリップ器具が適用された状態の模式図である。
【
図2】本発明によるクリップ器具を分解して示す構成図である。
【
図3】本発明によるクリップ器具の作動状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、釣りリールの釣糸の末端部を固定するクリップ器具について提案する。釣りリールを釣り竿から分離して保管する過程にかかる釣糸クリップ器具を対象とするが、これに限るものではない。釣りリールには、ベイトキャスティングリール、スピニンリール、両軸リール、フライリールなど、種々のリールがある。本発明は、このような釣りリールに巻き付けられた釣糸の末端部をスプールの最上に位置したまま固定することを要旨とする。
【0018】
図1に、ベイトキャスティングリール10を構成するスプール、レベルワインダー11、孔13、釣糸15などを示す。本発明において、上下、前後などの方向は、
図1のように釣糸15を噛み合った状態を基準に称する。
【0019】
本発明による本体部材20は、支持台21とバイト台24を結合し、上面が開放した箱状構造をなしている。
【0020】
図1及び
図2に、本体部材20を構成する支持台21、凹溝部22、バイト台24などを示す。本体部材20は、後方の支持台21と前方のバイト台24を結合した構造である。支持台21とバイト台24を結合すると、少なくとも上面が開放した装着溝が形成される。凹溝部22は、支持台21の内部で装着溝に連通し、略半分の高さで形成される。
【0021】
本発明の構成によると、前記本体部材20は、樹脂材で形成され、前面のバイト部25を備え、超音波融着で結合されることを特徴とする。
【0022】
図1及び
図2において、本体部材20の支持台21とバイト台24は、装着溝に他の構成品を収容した状態で結合される。バイト部25は、バイト台24の前面に一体に突出した形状をなす。バイト台24の前面からバイト部25の下側に開口が形成される。支持台21とバイト台24は、人体無害性と生分解性を持つ樹脂材で形成するのが望ましい。支持台21とバイト台24の結合は、ねじなどの別の部品を使用することより、超音波融着で行うのが望ましい。もちろん、支持台21とバイト台24の結合部に凹凸を形成すると、結合力の増大を向上させる。
【0023】
また、本発明によると、前記本体部材20に上下動可能に収容される可動部材30が前面で釣糸を噛み合うように構成される構造である。
【0024】
図1において、可動部材30が本体部材20の装着溝に収容される状態を示す。可動部材30も、本体部材20と同一の樹脂材で形成されるが、少なくとも一部に相対的に軟質素材を適用することもできる。可動部材30は、支持台21とバイト台24により上下動可能に支持される。可動部材30は、本体部材20のバイト部25と連携して、釣糸15を噛合い可能である。
【0025】
本発明の構成によると、前記可動部材30は、前面のバイト部34を備え、バイト部34上にパッド材35を支持することを特徴とする。
【0026】
図2において、可動部材30を構成する突部32、バイト部34、パッド材35などを示す。突部32は、可動部材30の後面に突出し、支持台21の凹溝22に摺動可能に収容される。凹溝部22と突部32は、可動部材30の上下動を案内しつつ、その運動範囲を限定する。バイト部34は、可動部材30の前面に、本体部材20のバイト部25と対向して一体に突出する。パッド材35は、摩擦係数と耐磨耗性の高いゴム材で形成して、バイト台24上にバイト部25と密着可能に結合される。パッド材35は、釣糸15を噛み合う把持力を高めるように曲面で形成してもよく、凹凸をさらに付加することもできる。
【0027】
また、本発明によると、弾性部材40が前記本体部材20と可動部材30の間に挟まれる構造をなしている。
【0028】
図1及び
図2において、弾性部材40が本体部材20と可動部材30に連結された状態を示している。弾性部材40は、圧縮ばねを用いて、可動部材30の収容溝31に収容される。弾性部材40の下端は、本体部材20に密着される。可動部材30を押すと、弾性部材40が弾性的に圧縮され、可動部材30の加圧を解除すると、弾性部材40が元に戻される。
【0029】
本発明の構成によると、前記本体部材20と可動部材30は、バイト部25、34上に雄雌で対向する段差部27、37を備えることを特徴とする。
【0030】
図3に、本体部材20と可動部材30に形成される段差部27、37を示す。本体部材20の段差部27は、凹んで形成され、可動部材30の段差部37は、膨らんで突出する。可動部材30の段差部37の突出高さは、パッド材35よりも高く維持する。これは、バイト部25とパッド材35の間に噛合した釣糸15が外力により前方にずれることを防止する。
【0031】
図3(a)のように、ベイトキャスティングリール10を保管するとき、可動部材30の上面を押すと、上下のバイト部25、34が開けるので、釣糸15の末端部を入れることができ、
図3(b)に示すように、可動部材30の押しを解除すると、弾性部材40により、バイト部25、34が釣糸15を緊密に把持する。
【0032】
従来の場合、金属材からなるクリップを使用することになると、レベルワインダー11の孔13などにスクラッチを生じるので、釣糸のほつれと巻付けが円滑に行われないだけでなく、釣りの途中で切れることが発生する虞が大きい。
【0033】
本発明の変形例として、前記本体部材20は、釣りリールに着脱するための掛け部を更に備えることを特徴とする。
【0034】
図示は省略するが、本体部材20は、釣りリールの複数個所に掛けるための掛け部を備えることができる。
図3(b)の状態でベイトキャスティングリール10を保管するか、移動中に強い外力が作用すると、クリップ器具の揺れ又は釣り糸の解けが発生する。掛け部は、レベルワインダー11などと噛み合う溝の形状からなるか、別の樹脂材輪で構成し、クリップ器具の不要な揺動を防止する。
【0035】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、様々に修正及び変形できることが、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。従って、このような変形例又は修正例は、本発明の技術範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0036】
10 ベイトキャスティングリール
11 レベルワインダー
13 レベルワインダー孔
15 釣糸
20 本体部材
21 支持台
22 凹溝部
24 バイト台
25 バイト部
27 段差部
30 可動部材
31 収容溝
32 突部
34 バイト部
35 パッド材
37 段差部
40 弾性部材
【要約】
【課題】釣り竿から釣りリールを分離して保管する過程において、巻き付けられた釣糸の末端部をレベルワインダーに密着した状態で安定的に固定し、釣糸がスプールに巻き込まれるか、解けてもつれることを防止する。
【解決手段】本発明は、釣りリールの釣糸の末端部を固定するクリップ器具であって、支持台(21)とバイト台(24)を結合し、上面が開放した箱状構造をなす本体部材(20)と、前記本体部材(20)に上下動可能に収容され、前面に釣糸を噛み合うように構成される可動部材(30)と、前記本体部材(20)と可動部材(30)の間に挟まれる弾性部材(40)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1