(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-16
(45)【発行日】2025-06-24
(54)【発明の名称】転写フィルム、部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20250617BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20250617BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20250617BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20250617BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20250617BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20250617BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20250617BHJP
【FI】
B32B27/00 L
B32B7/06
B32B27/00 E
B32B7/12
B32B27/30 A
B44C1/17
B32B27/16 101
B32B27/26
(21)【出願番号】P 2022522597
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020078202
(87)【国際公開番号】W WO2021073991
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】102019127734.5
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユングマン ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ハリー
(72)【発明者】
【氏名】イーベックウェー ゴッドノウズ
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/176742(WO,A1)
【文献】特開2008-255142(JP,A)
【文献】特表2009-509813(JP,A)
【文献】特開2019-155869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0213451(US,A1)
【文献】特開2009-145901(JP,A)
【文献】特開2013-151121(JP,A)
【文献】特開2016-203628(JP,A)
【文献】特開2004-130639(JP,A)
【文献】特表2020-506087(JP,A)
【文献】特表2020-531311(JP,A)
【文献】特表2019-521888(JP,A)
【文献】特許第5116900(JP,B1)
【文献】特開2008-162106(JP,A)
【文献】特開2011-206952(JP,A)
【文献】特表2018-530452(JP,A)
【文献】特表2008-518804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C45/00-45/24
45/46-45/63
45/70-45/72
45/74-45/84
B32B1/00-43/00
B41M5/00
5/50-5/52
B44C1/16-1/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IMD転写フィルム(1)であって、
前記転写フィルム(1)は、少なくとも1つのキャリア層(31)を有するキャリアプライ(3)と、前記キャリアプライ(3)に配置された転写プライ(2)とを備え、
前記転写プライ(2)は、保護層複合体(21)を有し、前記保護層複合体(21)は、第1の保護層(5)と、少なくとも1つのコーティング(6)によってコーティング可能領域(41)において前記転写プライ(2)をコーティングするための少なくとも1つの受容層(4)とを備え、
前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記第1の保護層(5)に配置され、
前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記キャリアプライ(3)に対向する前記転写プライ(2)の第1の表面に対して配置されることを特徴とする、IMD転写フィルム(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの受容層(4)
、および/または前記第1の保護層(5)は、少なくとも領域におい
て予備硬化されていないか、また
は完全に硬化されていない
、および/または、
前記少なくとも1つの受容層(4)は、少なくとも1つの水分散性ポリマーを有し、水分散性ポリマーは、それぞれの場合において互いに独立して、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、それらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択さ
れることを特徴とする、請求項1に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項3】
前記第1の保護層(5)は、少なくとも1つのUV架橋性および/または化学的に架橋可能なポリマー
を含み、および/または、
前記第1の保護層(5)は、さらに、少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマーを有し、および/または、
前記第1の保護層(5)は、少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマーの組み合わせを有し、前記組み合わせは、少なくとも1つのイソシアネート基を有するポリマーおよび/またはコポリマー、および少なくとも1つのヒドロキシル基および/または少なくとも1つのメラミン樹脂を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマー、および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーを含むか、またはそれであることを特徴とする、請求項1または2に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項4】
前記第1の保護層(5
)の前記少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、それぞれの場合において互いに独立して、少なくとも1つの化学的に架橋可能な官能基をさらに有し、および/または、
少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、さらに、少なくとも1つのヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項5】
前記第1の保護層(5)は、1μm~15μmの範囲の層厚を有し、および/または、
前記少なくとも1つの受容層(4)は、0.01μm~1μmの範囲の層厚を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項6】
前記転写プライ(2)は、前記キャリアプライ(3)から剥離可能であること、および/または前記キャリアプライ(3)は、少なくとも1つの剥離層(32)を有し、前記キャリア層(31)と前記保護層複合体(21)との間に配置され、および/または、
前記キャリアプライ(3)は、2cN~50cNの範囲の接着力で、前記保護層複合体(21
)に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの受容層(4)は、1nm~250nmの範囲の粗さRaを有
することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項8】
前記転写プライ(2)は、前記キャリアプライ(3)と反対側の前記保護層複合体(21)の側面に少なくとも1つの装飾要素を含む1つ以上の装飾層(22)を有し
、および/または、
前記少なくとも1つの装飾要素を含む前記1つ以上の装飾層(22)の1つ以上の装飾層は、透明および/または着色ワニス層、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層
、光学可変層
、干渉多層系、体積ホログラム層、液晶層
、導電層、アンテナ層、電極層、磁気層、磁気記憶層、障壁層、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され
ることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項9】
前記転写プライ(2)は、前記キャリアプライ(3)と反対側の前記保護層複合体(21)の側面に少なくとも1つの機能要素を含む1つ以上の機能層を有し
、機能要素は、1つ以上の電子要素
、センサ
、アンテナ
、メモリ、プロセッサ、コンデンサ、レジスタ、マイクロ流体要素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの装飾要素は、1つ以上の装飾層(22)に配置され、および/または前記少なくとも1つの機能要素は、1つ以上の機能層に配置され、それぞれの場合において互いに独立して、UV架橋性ワニスまたは熱可塑的に変性可能な層を備え、それぞれの場合において互いに独立して、着色されていないか、着色されているか、または染色されている、および/または、
前記転写プライ(2)は、少なくとも1つのワニス層(23)を有し、前記ワニス層(23)は、前記キャリアプライ(3)と反対側の前記転写プライ(2)の表面を形
成する、請求項8または9に記載のIMD転写フィルム(1)。
【請求項11】
部品(10
)であって、
前記部品(10)は、プラスチック射出成形材料を備える、または、からなる基体(11)と、少なくとも領域において、前記基体(11)の少なくとも1つの表面に対して配置され
たIMD転写フィルム(1)の少なくとも1つの転写プライ(2)とを備え、
前記転写プライ(2)は、保護層複合体(21)を有し、前記保護層複合体(21)は、第1の保護層(5)および少なくとも1つの受容層(4)を備え、前記少なくとも1つの受容層(4)は、コーティング可能領域(41)において、前記第1の保護層(5)に配置され、前記基体(11)と反対側の前記転写プライ(2)の側面に配置されることを特徴とする、部品(10)。
【請求項12】
少なくとも1つのコーティング(6)は、前記コーティング可能領域(41)のコーティング領域(42)に塗布され
、前記コーティング領域(42)は、少なくとも領域または表面全体にわたって、前記コーティング可能領域(41)と重なり
、および/または、
前記1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクを含
むことを特徴とする、請求項11に記載の部品(10)。
【請求項13】
接着強度のテスト中、前記少なくとも1つのコーティングによ
る少なくとも前記コーティング可能領域(41)において、テスト領域の表
面で測定された前記接着強度は、DIN EN ISO 2409:2013-06にしたがって、GT0~GT1の範囲内にあり、および/またはASTM D3359-09、5B~4Bの範囲内にあり、および/または、
70℃および5時間の持続時間で
、少なくとも前記コーティング可能領域(41)において、テスト領域の表面、前記基体(11)と反対側の前記部品(10)の側面で測定された洗剤テスト中に、前記テスト領域において表面変化が検出されず、および/または、
ASTM D4060にしたがって
、CS-10キャリブレース(Calibrase)タイプの研磨媒体を用いて
、少なくとも前記コーティング可能領域(41)において、テスト領域の表面、前記基体(11)と反対側の前記部品(10)の側面で測定された摩耗テスト中に、前記少なくとも1つの受容層を有する前記第1の保護層の変化が前記テスト領域において検出されず、および/または
、
少なくとも前記コーティング可能領域(41)において、テスト領域の表面、前記基体(11)と反対側の前記部品(10)の側面で測定されたテス
トにおいて、前記テスト領域の前記表面で引っ掻ききは検出されず、前記テストは
、テストロッ
ドを用いて行われ
、テストチップは、前記テスト領域の前記表面に
、10Nの力で押し付けられ、前記テスト領域の前記表面上に引きずられ、前記テストチップは、直径0.75mmの円形領域を有し、および/または
、
ASTM D4752にしたがって、耐化学薬品性は測定され、4以上のISO105-A02に従ったグレースケールを基準にして測定された定着レベルに対応する光学的変化は、検出され
、少なくとも1つのコーティング(6)によ
る少なくとも前記コーティング可能領域(41)におけるテスト領域の表面で測定されることを特徴とする、請求項11または12に記載の部品(10)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのコーティング(6)および/または前記保護層複合体(21
)は、少なくとも領域におい
て完全に硬化していない、および/または少なくとも部分的に硬化可能であることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の部品(10)。
【請求項15】
IMD転写フィルム(1)の製造方法であって、以下のステップ、
I)キャリアプライ(3)の少なくとも1つのキャリア層(31)を設けるステップ;
III)転写プライ(2)を前記キャリアプライ(3)に塗布するステップ、
が実施され、
前記転写プライ(2)は保護層複合体(21)を備え、前記保護層複合体(21)は、第1の保護層(5)と、、少なくとも1つのコーティング(6)によってコーティング可能領域(41)において前記転写プライ(2)をコーティングするための少なくとも1つの受容層(4)とを有し、前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記第1の保護層(5)に配置され、前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記キャリアプライ(3)に対する前記転写プライ(2)の第1の表面に対して配置されることを特徴とする、製造方法。
【請求項16】
ステップIII)において、前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記コーティング可能領域(41)において前記キャリアプライ(3)に塗布され、前記第1の保護層(5)は、少なくとも前記コーティング可能領域(41)において前記少なくとも1つの受容層(4)、任意に前記コーティング可能領域の外側で前記キャリアプライ(3)に塗布されることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
IMD転写フィルム(1)を使用し
た部品(10)のIMD製造方法であって、前記方法は、
a)IMD転写フィルム(1)を設けるステップであって、前記転写フィルム(1)は、キャリアプライ(3)と、前記キャリアプライ(3)に配置された転写プライ(2)とを備え、前記キャリアプライ(3)は、少なくとも1つのキャリア層(31)を有し、前記転写プライ(2)は、保護層複合体(21)を有し、前記保護層複合体(21)は、第1の保護層(5)と、少なくとも1つのコーティング(6)によってコーティング可能領域(41)において前記転写プライ(2)をコーティングするための少なくとも1つの受容層(4)とを備え、前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記第1の保護層(5)に配置され、前記少なくとも1つの受容層(4)は、前記キャリアプライ(3)に対向する前記転写プライ(2)の第1の表面に対して配置されるステップと、
b)基体(11)を前記キャリアプライ(3)と反対側の前記転写プライ(2)の少なくとも1つの表面に接合するステップと、
c)前記基体(11)に接合された前記転写プライ(2)から前記キャリアプライ(3)を剥離するステップと、
d)少なくとも1つのコーティング(6)を、前記基体(11)と反対側の前記転写プライ(2)の表面に塗布するステップであって、前記少なくとも1つのコーティング(6)は、前記コーティング可能領域(41)の少なくとも領域または表面全体に配置されたコーティング領域(42)に塗布されるステップと、を備えることを特徴とする、IMD製造方法。
【請求項18】
前記基体(11)を前記転写プライ(2)に接合するためのステップb)を実施するために、以下のステップ、
b1)前記転写フィルム(1)を射出成形金型に配置するステップ;
b2)プラスチック射出成形材料を用いて前記射出成形金型に配置された前記転写フィルム(1)をバック射出成形するステップ、
が実施され、
前記転写プライ(2)への前記プラスチック射出成形材料の接合は、前記バック射出成形によって行われ
、前記基体(11)は、前記プラスチック射出成形材料によって形成されることを特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
ステップd)の
後に実施されるステップであって、
f)前記保護層複合体(21)
、および/または前記少なくとも1つのコーティング(6)を完全に硬化させるステップをさらに備
えることを特徴とする、請求項17または18に記載の製造方法。
【請求項20】
ステップd)において、前記少なくとも1つのコーティング(6)は、1つ以上の印刷層の形態で
、デジタル印刷によって塗布され
、前記1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクを含み、および/または、
ステップd)において、第1の領域における前記少なくとも1つの受容層(4)への前記少なくとも1つのコーティング(6)の1つ以上の層の塗布が実施され
、前記少なくとも1つのコーティング(6)は、前記保護層複合体(21)の第2領域に塗布されず、および/または、
前記少なくとも1つのコーティング(6)は、ステップd)における前記少なくとも1つのコーティング(6)の塗布
前または塗布
中または塗布後に、変
性または構造化されることを特徴とする、請求項17~19のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項21】
前記受容層(4)は、物理的に乾燥するシステムであるか、またはそれを用いて製造され、
前記ステップIII)における前記転写フィルムの製造方法における前記受容層の塗布は、IIIa)少なくとも1つの第1のコーティング成分を、前記キャリアプライの第1の側面の表面の少なくとも一部の領域に塗布するステップであって、前記少なくとも1つの第1のコーティング成分は、少なくとも1つの溶媒および少なくとも1つの水分散性ポリマーを有し、これは、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、それらのコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるステップ、を備え、前記ステップIIIa)は、少なくとも1つの受容層を得るために、前記少なくとも1つの第1のコーティング成分の少なくとも部分的硬化を備え、前記ステップIIIa)における前記少なくとも部分的な硬化は、物理的な乾燥であることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写フィルム、転写フィルムの製造方法、ならびに部品および転写フィルムを用いた部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形金型におけるプラスチック材料によるバック射出成形IMD転写フィルム(IMD=In-Mold Decoration)が知られている。このような方法で製造された製品の耐久性を保証するために、IMD転写フィルムは、保護層を有することが多い。保護層は、IMD転写フィルムのキャリア層の剥離後に製品の外側を形成する。良好な耐久性を保証するために、保護層は異物に対する低接着性を有する。しかしながら、結果として、保護層は、例えば印刷インクのような保護層に塗布される材料に対しても低接着性を有し、その結果、保護層のオーバープリント性が悪くなる。したがって、印刷インクは、保護層の内側、したがって保護された側に配置される。
【0003】
他方、印刷インクに対する高接着性を有するフィルムは、例えば包装のような短寿命の物品についてのみ知られており、保護ワニスを有さないか、または耐久性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、耐久性が良好であり、同時に、費用効果が高く簡単な方法によってオーバープリント性を有する部品を製造することを可能にする転写フィルム、部品、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、特に、自動車または家庭用電化製品のケーシング部品を装飾するための転写フィルムを提供することによって達成される。転写フィルムは、少なくとも1つのキャリア層を有するキャリアプライと、キャリアプライに配置された転写プライとを備える。転写フィルムは、転写プライが保護層複合体を有する。保護層複合体は、第1の保護層と、少なくとも1つのコーティングによってコーティング可能な領域において転写プライをコーティングするための少なくとも1つの受容層とを備える。少なくとも1つの受容層は、第1の保護層に配置され、少なくとも1つの受容層は、キャリアプライに対向する転写プライの第1の表面に対して配置される。
【0006】
この目的は、さらに、特に請求項1~23のうちの1つに記載の転写フィルムの製造方法を提供することによって達成される。以下のステップは、特に特定の順序で実施される。I)キャリアプライの少なくとも1つのキャリア層を提供するステップ、III)転写プライをキャリアプライに塗布するステップであって、転写プライは、第1の保護層と、少なくとも1つのコーティングによってコーティング可能領域において転写プライをコーティングするための少なくとも1つの受容層とを備える保護層複合体を有し、少なくとも1つの受容層は、第1の保護層に配置され、少なくとも1つの受容層は、キャリアプライに対向する転写プライの第1の表面に対して配置されるステップ。
【0007】
この目的は、同様に、部品、特に自動車または家庭用電化製品のケーシング部品を提供することによって達成される。この部品は、基体と、少なくとも領域において基体の少なくとも1つの表面に対して配置された少なくとも1つの転写プライ、特に請求項1~23のうちの1つに記載の転写フィルムとを備える。転写プライは、第1の保護層および少なくとも1つの受容層を備える保護層複合体を有し、少なくとも1つの受容層は、コーティング可能領域において第1の保護層に配置され、基体と反対側の転写プライの側面に配置される。
【0008】
この目的は、さらに、特に請求項1~23のうちの1つに記載の、および/または請求項41~54に記載の方法にしたがって製造された転写フィルムを使用して、部品、特に請求項24~40の1つに記載の部品の製造方法を提供することによって達成される。この方法は、特に特定の順序で以下のステップを備える。ステップとして、a)少なくとも1つのキャリアプライと、キャリアプライに配置された転写プライとを備える転写フィルムを提供するステップであって、転写プライは、第1の保護層と、少なくとも1つのコーティングによってコーティング可能領域において転写プライをコーティングするための少なくとも1つの受容層とを備える保護層複合体を有し、少なくとも1つの受容層は、第1の保護層に配置され、少なくとも1つの受容層は、キャリアプライに対向する転写プライの第1の表面に対して配置されるステップ、b)基体をキャリアプライと反対側の転写プライの少なくとも1つの表面に接合するステップ、c)キャリアプライを基体に接合した転写プライから剥離するステップ、d)少なくとも1つのコーティングを基体と反対側の転写プライの表面に塗布するステップであって、少なくとも1つのコーティングは、コーティング可能領域内の少なくとも領域または表面全体に配置されたコーティング領域内に塗布されるステップ、が挙げられる。
【0009】
これによって、特に、第1の保護層によって達成され得る部品の保護効果が、少なくとも1つの受容層および少なくとも1つのコーティングによって悪影響を受けず、部品における少なくとも1つのコーティングの接着性が大幅に改善される。例えば、さらに、特に最終製品を形成するために部品が完成する直前まで、部品が良好なオーバープリント性を有益に有することが達成される。さらに、良好なオーバープリント性にもかかわらず、保護層複合体および特に少なくとも1つのコーティングも保護機能を発揮するので、部品は特に良好な耐久性を有することが保証される。したがって、少なくとも1つのコーティングは、好ましくは、保護層として、および装飾または情報キャリアとして二重の機能を有し、それによって、部品の個別化可能性が有益に改善される。特に、これにより、転写フィルムの標準的な変形を提供することが可能であり、この転写フィルムは、少なくとも1つのコーティングによってフィルム本体の製造中に容易に変形または適合させることができる。驚くべきことに、特に、コーティング可能領域における部品の表面は、少なくとも1つの受容層が塗布された領域において良好な耐久性を有することも可能であるが、少なくとも1つのコーティングは少なくとも領域において塗布されていないことが示された。このようにして、保護機能が保持された状態で、コーティング性が改善される。保護層複合体および転写フィルムのキャリア層のオーバープリント性および保護機能のために、特に、転写フィルムおよび部品の製造中に、簡易、柔軟、かつ信頼性のある方法も保証される。
【0010】
第1の保護層は、特にステップIII)において、有利には、少なくとも1つの受容層と第1の保護層との間に、または少なくとも1つの受容層と第1の保護層とから混合層が形成されるように、少なくとも1つの受容層を少なくとも部分的に溶解し始める。したがって、少なくとも1つの受容層および/または混合層は、好ましくは、少なくとも1つのコーティングによって、例えばUV印刷インクおよび/またはUVインクの形態でより容易に溶解可能な表面を形成する。これにより、少なくとも1つのコーティングへの接着性を改善することができ、特に耐久性のある複合体を製造することもできる。
【0011】
本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0012】
転写フィルムは、好ましくはIMD転写フィルムである。したがって、転写フィルムは、好ましくはIMD方法で使用される。部品は、好ましくはIMD方法で製造される。部品の製造方法は、好ましくはIMD方法である。ステップd)における少なくとも1つのコーティングは、好ましくは少なくとも領域において少なくとも1つの受容層に塗布される。
【0013】
部品は、好ましくは少なくとも1つのコーティングを有し、領域において、特にキャリアプライが剥離されるとき、任意に第1の保護層および/または少なくとも1つの受容層を最外面として有する。好ましくは、特に、キャリアプライが剥離され、少なくとも1つのコーティングが塗布された後、さらなる層は、少なくとも1つのコーティングに塗布されない。したがって、特に、さらなる保護層は、好ましくは、少なくとも1つのコーティングおよび/または保護層複合体に塗布されないことから、最外面の良好な耐久性が保証されることが有利である。
【0014】
転写フィルムおよび/または部品のコーティング可能領域は、第1の保護層および/または少なくとも1つの受容層によって広がる平面に垂直な観察の場合、好ましくは少なくとも1つの受容層によって広がりおよび/または第1の保護層によって完全に含まれる。第1の保護層は、好ましくは少なくとも表面の領域または全面にわたってコーティング可能領域を有する。
【0015】
コーティング可能領域は、好ましくは連続しているおよび/または互いに分離されている1つ以上の領域からなり、および/または、特に、少なくとも1つの受容層が広がる平面に垂直な観察の場合、好ましくはパターン化される。パターン化されるとは、好ましくは1つ以上のパターンを有することを意味する。パターンは、特に、グラフィック的に設計されたアウトライン、図形表現、画像、シンボル、ロゴ、無限パターン、ポートレート、英数字、テキスト、グリッドおよび/または上記パターンの1つ以上の組み合わせである。
【0016】
コーティング可能領域は、好ましくは、特に、保護層複合体を有する部品を製造するための少なくとも中間ステップにおいて、好ましくは少なくとも1つのコーティングの信頼性のある接着がコーティング可能領域における部品上および/または部品内で可能であるように、コーティング可能である。
【0017】
有益には、少なくとも1つのコーティングは、コーティング可能領域において、少なくとも領域においてまたは表面全体にわたって塗布される。コーティング領域は、好ましくは、少なくとも領域においてまたは表面全体にわたってコーティング可能領域と重なり合う。さらに、特に少なくとも1つの受容層が広がる平面に垂直な観察の場合、特に少なくとも1つの受容層を用いて、コーティング領域をパターン化することが可能である。
【0018】
転写フィルムおよび/または部品の保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、好ましくは少なくとも領域において未だ完全に硬化されていない。好ましくは、少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、化学的に、および/または照射、好ましくはUV照射によって、少なくとも領域において予備硬化され、および/または照射、好ましくはUV照射によって、少なくとも領域において未だ完全に硬化可能である。この目的のために、少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーを有する。本発明の意味の範囲内のUV架橋性ポリマーは、好ましくは少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する。
【0019】
好ましくは、特に転写フィルムを製造するためにUV硬化は起こらない。特に、UV硬化は、好ましくは非常に遅く、ステップb)における転写プライへの基体の接合後にのみ、好ましくはIMDプロセスにおいて、特にステップd)における転写プライへの少なくとも1つのコーティングの塗布後にのみ行われる。特に、UV硬化は、好ましくは転写フィルムの製造方法の間、または塗布の間に起こらない。特に、好ましくはデジタルプリンタのUVインクは、好ましくは少なくとも1つのUV LEDからの照射によって部分的に硬化される。
【0020】
用語「エチレン性不飽和二重結合」は、好ましくは、芳香族電子系に組み込まれていないモノ、ジまたはトリ置換C=C二重結合を意味する。エチレン性不飽和二重結合は、好ましくは他の二重結合と共役していない。
【0021】
さらに好ましくは、好ましくは転写フィルムおよび/または部品の第1の保護層は、化学的に硬化および/または化学的に予備硬化され、転写フィルムおよび/または部品の第1の保護層ならびに少なくとも1つの受容層は、未だ完全に硬化されておらず、したがって特にUV照射によって完全に硬化可能である。好ましくは転写フィルムの少なくとも1つの受容層は、好ましくは、コーティング可能領域において、少なくとも領域において未だ完全に硬化されていない。特にステップd)の直後の部品の少なくとも1つのコーティングは、好ましくは未だ完全に硬化しておらず、UV照射によって完全に硬化可能である。
【0022】
特に、部品における保護層複合体、好ましくは少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、少なくとも部分的に未だ完全に硬化されていないことも可能である。特に、部品は、転写フィルムのキャリアプライによって未だ保護されていない。キャリアプライは、PETを含むか、または好ましくはPETからなる。
【0023】
部品は、好ましくは、少なくとも領域において基体の少なくとも1つの表面に対して配置され、特にキャリアプライおよび転写プライを有する少なくとも1つの転写フィルムを備える。特に、少なくとも1つのコーティングおよび/または保護層複合体は、未だ完全に硬化しておらず、および/または少なくとも部分的に硬化可能である。さらに好ましくは、部品は、好ましくは、有利にはさらにコーティング可能であり、例えばオーバープリント可能であり、したがって、好ましくは、キャリアプライが剥離されたか、または剥離されるとすぐに個別化可能である中間製品を表す。
【0024】
さらに、好ましくは転写フィルムのキャリアプライは、部品において分離されおよび/または存在しないことが可能である。少なくとも1つのコーティングは、直後のステップで少なくとも1つの受容層に塗布されるか、または直前に塗布されている。
【0025】
「未だ完全に硬化していない」とは、好ましくは、その硬度および/または耐久性が未だ固定された最小値を有していない場合、層、特に第1の保護層、少なくとも1つの受容層および/または少なくとも1つのコーティングを表す。硬度および/または耐久性の固定された最小値は、好ましくは、例えば保護層として、および/または光学効果を形成するための中間層として、層の最終的な意図された用途の関数である。したがって、本発明の意味の範囲内で「完全に硬化した」とは、重合および/または架橋および/またはその硬度および/または耐久性が固定された最小値を有する場合の層を意味する。
【0026】
架橋可能な層のポリマー成分の95%以下が架橋を有する場合、層が本発明の意味の範囲内で「未だ完全に硬化していない」と表されるように、上記の最小値を固定することが可能である。したがって、層は、好ましくは、架橋可能な層のポリマー成分の95%超が架橋を有する場合、本発明の意味の範囲内で「完全に硬化した」と表される。完全に硬化した層は、特に、そのポリマー成分の完全な(>95%)架橋が達成された場合に存在する。さらに、特に、未だ完全に硬化していない層を物理的に乾燥させることが可能である。したがって、特に、物理的に乾燥によって予備硬化および/または硬化を実施することができ、および/または未だ完全に硬化していない層を好ましくは物理的に乾燥させることができる。
【0027】
有益には、少なくとも1つの受容層は、好ましくは少なくともコーティング可能領域において、少なくとも1つの水分散性ポリマーを有する。これは、それぞれの場合において互いに独立して、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、そのコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはポリウレタン、ポリウレタン/ポリアクリレートコポリマー、ポリアクリレート、および/またはポリメタクリレート、ポリエステル、およびそれらの混合物から選択される。ここでは、好ましくは、少なくとも1つの水分散性ポリマーは、好ましくはポリウレタン、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリウレタン含有ポリマーである。
【0028】
第1の保護層は、好ましくは、少なくとも1つのUV架橋性および/または化学的に架橋可能なポリマーに基づいて製造される。
【0029】
さらに、第1の保護層は、少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマーを有することが可能であり、このポリマーは、さらに好ましくは、イソシアネート基含有ポリマー、メラミン含有ポリマー、ヒドロキシル基含有ポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
第1の保護層は、好ましくは、少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマーの組み合わせを有する。これは、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のイソシアネート基および少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のヒドロキシル基および/または少なくとも1つのメラミン樹脂を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーおよび少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーを含むか、またはそれらである。
【0031】
さらに、第1の保護層および/または少なくとも1つの受容層の少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、それぞれの場合において互いに独立して、少なくとも1つの化学的に架橋可能な官能基を有することが可能である。化学的に架橋可能な官能基は、好ましくは、ヒドロキシル基、イソシアネート基、メラミン基、エポキシド基およびそれらの組み合わせから選択される。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、さらに、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。
【0033】
適切なUV架橋性ヒドロキシル基含有ポリマーは、最新技術から知られており、例えば、少なくとも1つのジアクリレートモノマー、脂肪族ポリエーテルウレタンジアクリレート、脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート、芳香族ポリエーテルウレタンジアクリレート、芳香族ポリエステルウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエーテルジアクリレート、エポキシアクリレート、アクリル化アクリルジアクリレート、ポリアクリレートモノマー、脂肪族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、脂肪族ポリエステルウレタンポリアクリレート、芳香族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、芳香族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、ポリエーテルポリアクリレート、エポキシアクリレート、アクリル化アクリルポリアクリレートまたはそれらの混合物、および/または少なくとも1つのヒドロキシモノアクリレート、ヒドロキシジアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルジアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルジアクリレート、ヒドロキシ官能化エポキシジアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリルジアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルポリアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルポリアクリレート、ヒドロキシ官能化エポキシポリアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリレートまたはそれらの混合物を含む。
【0034】
メラミン樹脂としては、特に、メラミンとアルデヒドとを反応させることによって得ることができ、場合によっては部分的または完全に変性させることができるものが適している。
【0035】
特に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒドおよびグリオキサールは、アルデヒドとして好適である。
【0036】
メラミンホルムアルデヒド樹脂は、好ましくは、メラミンとアルデヒド、上記アルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応の反応生成物である。得られるメチロール基は、好ましくは、一価または多価アルコールによるエーテル化によって変性される。
【0037】
さらに、第1の保護層は、予備硬化系および/またはハイブリッド系を有することが可能である。特に、第1の保護層は、UV硬化性モノマーおよび/またはUV硬化性オリゴマーまたはそれらの混合物からなる少なくとも1つのUV硬化性成分を有し、さらに、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ尿素、メラミン樹脂、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのバインダーを有することが可能である。
【0038】
さらに、第1の保護層は、好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートを含むことが可能である。「ポリイソシアネート」という用語は、好ましくは、トリイソシアネートおよび高官能性イソシアネートを含む2つ以上のイソシアネート基を有する有機化合物を表す。特定の実施形態では、少なくとも1つのポリイソシアネートは、ジイソシアネートモノマー、ジイソシアネートオリゴマー、ジイソシアネート末端プレポリマー、ジイソシアネート末端ポリマー、ポリイソシアネートモノマー、ポリイソシアネートオリゴマー、ポリイソシアネート末端プレポリマー、ポリイソシアネート末端ポリマー、ポリイソシアネート末端ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
さらに好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートは、少なくとも1つのジイソシアネート含有成分を含むか、またはそれである。ジイソシアネート含有成分は、好ましくは、少なくとも1つのジイソシアネート含有ポリウレタンオリゴマー、ジイソシアネート含有ポリユリアオリゴマー、そのプレポリマー、またはその混合物を含む。
【0040】
特定の実施形態において、少なくとも1つのポリイソシアネートは、少なくとも1つのジイソシアネート含有成分を含むか、またはそれである。少なくとも1つのジイソシアネート含有成分は、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、これらのジイソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(高分子MDI)およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
ステップd)において、少なくとも1つのコーティングは、好ましくは1つ以上の印刷層の形態で、特にデジタル印刷によって、好ましくは、インクジェット印刷、および/またはパッド印刷、および/またはスクリーン印刷によって塗布される。好ましくは部品の1つ以上の印刷層は、および/またはステップd)における少なくとも1つのコーティングの塗布において、それぞれの場合において互いに独立して、インクジェット印刷インクおよび/またはパッド印刷インクおよび/またはスクリーン印刷インクを含むか、またはそれからなり、および/または、UV印刷インク、UVインク、溶媒印刷インク、および/または水性印刷インクを含むか、またはそれからなることが可能である。
【0042】
UV印刷インクおよび/またはUVインクは、特にUV照射によって硬化可能なものであり、好ましくは対応する光開始剤を含む。特に少なくとも1つのコーティング、特に1つ以上の印刷層のUV照射による硬化の可能性によって、それらが好ましくは完全な硬化後に少なくとも1つの受容層への特に良好な接着性を形成するという利点が達成される。
【0043】
特に、好ましくは部品のおよび/または部品の製造方法において、好ましくはステップd)における少なくとも1つのコーティングの塗布において、1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクを含む。これらは、好ましくは、モノマー、特に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合、またはオリゴマー、特に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合、またはそれらの混合物を含むか、またはそれからなる。
【0044】
さらに、特に部品の製造方法において、好ましくは少なくともステップd)における少なくとも1つのコーティングの塗布において、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクは、以下の組成を含むこと、および/または部品の少なくとも1つのUV印刷インクおよび/またはUVインクは、以下の組成によって製造されることが可能である。
特に少なくとも50重量%~100重量%未満(重量%=重量パーセント)の範囲の濃度を有する2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート;
特に少なくとも10重量%~20重量%未満の範囲の濃度を有するオキシビス(メチル-2,1-エタンジイル)ジアクリレート;
特に少なくとも3重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
特に少なくとも1重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
特に、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクの総重量に対して、少なくとも0.1重量%~0.25重量%未満の範囲の濃度を有する2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール。
【0045】
UV印刷インクは、好ましくはパッド印刷および/またはスクリーン印刷に使用される。UVインクは、好ましくはインクジェット印刷に使用される。特にUV印刷インクの粘度、好ましくは、動的粘度は、UVインクの粘度、好ましくは動的粘度よりも高いことが可能である。
【0046】
以下のテストのための少なくとも1つのコーティングは、好ましくは、UV印刷インクおよび/またはUVインキの上記組成を有する印刷層を備え、および/またはそのような組成で製造され、特に完全に硬化される。
【0047】
特に、好ましくはステップIII)における転写フィルムの製造方法のためには、以下の特性および成分が有利である。
【0048】
ステップIII)における転写フィルムの製造方法における受容層の塗布は、好ましくは以下のステップを備える。
IIIa)少なくとも1つの、好ましくは流動性の第1のコーティング成分を、キャリアプライの第1の側面の表面の少なくとも一部の領域に塗布するステップであって、少なくとも1つの第1のコーティング成分は、少なくとも1つの溶媒および少なくとも1つの水分散性ポリマーを有し、これは、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、それらのコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるステップ。さらに、ステップIIIa)は、特に少なくとも1つの受容層を得るために、少なくとも1つの第1のコーティング成分の少なくとも部分的硬化を備える。
【0049】
ステップIIIa)における少なくとも部分的な硬化は、好ましくは物理的な乾燥である。
【0050】
第1のコーティング成分は、好ましくは少なくとも1つの水分散性ポリマーを含む。水分解性ポリマーは、水性ポリウレタン分散液、ポリウレタン/ポリアクリレートコポリマーの水性分散液、水性ポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート分散液、水性ポリエステル分散液およびそれらの混合物からなる群から選択される。さらに、第1のコーティング成分は、好ましくは少なくとも1つのポリウレタン含有ポリマーを含むことが可能である。ポリウレタン含有ポリマーは、ポリウレタン、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレートコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
第1のコーティング成分は、好ましくは、水、有機溶媒、好ましくは脂肪族アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはそれらの混合物からなる少なくとも1つの溶媒を含む。
【0052】
第1のコーティング成分の動的粘度は、好ましくは印刷方法に応じて、例えばグラビア印刷方法の場合、グラビア印刷シリンダーの速度およびグリッドに応じて選択されている、または選択される。第1のコーティング成分は、好ましくは10mPas~1000mPasの範囲、好ましくは50mPas~500mPasの範囲、特にステップIIIa)の直前の状態で測定される動的粘度を有する。
【0053】
例えば、水は1mPasの動的粘度を有する。非常に薄い第1のコーティング成分は、好ましくは50mPasの動的粘度を有する。厚い第1のコーティング成分は、特に500mPasの動的粘度を有する。
【0054】
ステップIII)における第1の保護層の塗布は、以下のステップを備えることがさらに有益である。
IIIb)少なくとも1つの、好ましくは流動性の第2のコーティング成分を、キャリアプライと反対の少なくとも1つの受容層の側面の表面の少なくとも一部の領域に塗布するステップであって、少なくとも1つの第2のコーティング成分は、少なくとも1つのUV架橋性および/または化学的に架橋可能なポリマーを含む。
【0055】
さらに、ステップIIIb)は、特に、少なくとも1つの第1の保護層を得るために、少なくとも1つの第2のコーティング成分の少なくとも部分的硬化を備える。
【0056】
ステップIIIb)における少なくとも部分的な硬化は、好ましくは物理的な乾燥である。特に、第1の保護層は、部分硬化の前に少なくとも1つの受容層を溶解し始めることが考えられ、その結果、好ましくは混合層が形成される。特に少なくとも混合層は、好ましくは物理的な乾燥によって少なくとも部分的に硬化される。
【0057】
少なくとも1つの第2のコーティング成分は、少なくとも1つのUV架橋性ポリマー、および好ましくはさらに少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマーを有することが有益である。ポリマーは、さらに好ましくは、イソシアネート基含有ポリマー、メラミン含有ポリマー、ヒドロキシル基含有ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。ここでは、少なくとも1つの第2のコーティング成分は、少なくとも1つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基および/または少なくとも1つのメラミン樹脂を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーとを有することが可能である。特に、化学的な架橋は、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応によって提供され、および/またはメラミン樹脂とヒドロキシル基との反応によって達成される。
【0058】
特に、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、さらに、少なくとも1つの化学的に架橋可能な官能基を有する。これは、好ましくは、それぞれの場合において互いに独立して、ヒドロキシル基、イソシアネート基、メラミン基、エポキシド基から選択される。
【0059】
少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有することも可能である。
【0060】
好適なヒドロキシル基含有ポリマー、メラミン樹脂、アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、予備硬化および/またはハイブリッド系、ならびにポリイソシアネートに関しては、特に上記記載を参照されたい。
【0061】
少なくとも1つの受容層は、好ましくは、以下の組成のうちの1つ以上を、特に重量パーセントで、好ましくは少なくとも1つの受容層の液体状態に基づいて、それぞれの場合に指定される範囲の濃度で有する。
【0062】
【0063】
少なくとも1つの受容層の液体状態とは、特に、溶媒が少なくとも1つの受容層から未だ漏出していないことを意味する。特に、これはまた、ステップIII)において少なくとも1つの受容層をキャリアプライに塗布する直前または直後の少なくとも1つの受容層の状態を意味する。以下のテストのための少なくとも1つの受容層は、好ましくは、上記成分の組成を含み、および/またはそのような成分で製造され、特に完全に硬化される。
【0064】
特に保護ワニス層の形態の第1の保護層は、好ましくは、以下の組成のうちの1つ以上を、特に重量パーセントで、好ましくは第1の保護層の液体状態に基づいて、それぞれの場合に指定される範囲の濃度で有する。
【0065】
【0066】
第1の保護層の液体状態とは、特に、溶媒が第1の保護層から未だ漏出していないことを意味する。特に、これは、ステップIII)における少なくとも1つの受容層および/またはキャリアプライへの第1の保護層の塗布の直前または直後の第1の保護層の状態も意味する。以下のテストのための第1の保護層は、好ましくは上記成分の組成を含み、および/またはそのような成分で製造され、特に完全に硬化される。
【0067】
第1の保護層および/または第2のコーティング成分は、好ましくは、例えば、メラミン樹脂で架橋されたヒドロキシル含有ポリアクリルアクリレートに基づく二重硬化系であるか、またはそれを含む。
【0068】
二重硬化系は、特に、化学的な架橋とUV架橋性ポリマーの硬化との組み合わせに基づく2つの硬化工程で硬化することができる。
【0069】
特に、少なくとも1つの受容層は、物理的な乾燥システムであるか、または物理的な乾燥システムであるか、またはそれによって製造されるか、特に単に物理的な乾燥システムであるか、または物理的な乾燥システムであるか、またはそれによって製造されることが可能であり、および/または第1保護層は、物理的に乾燥し、化学的におよび/またはUV照射によって架橋可能なシステムであることが可能であり、またはシステムであり、またはそれによって製造されることが可能である。特に、第1および第2のコーティング成分は、それぞれの場合において、少なくとも物理的に乾燥するシステムであるか、またはそれに基づく。少なくとも1つの受容層および/または第1のコーティング成分は、特に、好ましくは熱可塑性樹脂から配合された物理的な乾燥システムである。特に、第1のコーティング成分および/または少なくとも1つの受容層の硬化は、物理的な乾燥によって、好ましくは単に物理的な乾燥によって、したがって好ましくは単に第1のコーティング成分および/または少なくとも1つの受容層に含まれる溶媒の放出、特に蒸発によって行われる。
【0070】
第1の保護層および/または第2のコーティング成分は、好ましくは転写フィルムおよび/または成分中で化学的に架橋され、および/または好ましくは成分の製造方法において化学的に架橋される。
【0071】
特に、第1の保護層および/または第2のコーティング成分は、第1の保護層および/または第2のコーティング組成物が化学的に架橋可能であり、および/またはUV放射線によって硬化可能であるという点で、少なくとも1つの受容層および/または第1のコーティング成分と異なることが可能である。
【0072】
第1の保護層は、好ましくは、特に第1の保護層が少なくとも1つの化学的に架橋可能なポリマー、特にイソシアネート基含有ポリマーまたはメラミン含有ポリマーまたはヒドロキシル基含有ポリマー、またはそれらの混合物からなり、少なくとも1つの受容層が熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性樹脂に基づいているという点で、少なくとも1つの受容層と異なる。
【0073】
したがって、好ましくは、特に少なくとも1つの受容層および/または第1のコーティング組成物、特に転写フィルムおよび/または成分の製造方法において、好ましくは化学的に架橋性または架橋性ではなく、および/またはUV放射線によって架橋性または架橋性ではないことが可能である。
【0074】
ステップIII)において、特にステップIIIa)において、少なくとも1つの受容層は、好ましくはコーティング可能領域においてキャリアプライに塗布される。さらに、ステップIII)において、特にステップIIIb)において、第1の保護層は、好ましくは、少なくともコーティング可能領域において少なくとも1つの受容層に塗布され、任意に、コーティング可能領域の外側のキャリアプライに塗布される。
【0075】
好ましくは、ステップIII)、好ましくはステップIIIb)における第1の保護層、および/またはステップIII)における少なくとも1つの受容層は、印刷、特にグラビア印刷、および/またはフレキソ印刷、および/またはスクリーン印刷、および/またはインクジェット印刷によって、キャリアプライに塗布され、および/またはキャリアプライに接合される。
【0076】
部品の製造方法は、さらにステップd)の後、特にステップe)の前または後に実施される以下のステップを備えることが有益である。
f)保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層、および/または第1の保護層、および/または少なくとも1つのコーティングを完全に硬化させるステップ。
【0077】
ステップf)において、部品、特に保護層複合体および少なくとも1つのコーティングの硬化性構造は、好ましくは完全に硬化される。
【0078】
第1の保護層の硬化は、少なくとも部分的にワニス装置および/または印刷装置において、特にステップd)における少なくとも1つのコーティングの塗布後にUV照射によって行われることも考えられる。
【0079】
いくつかのサブステップにおいて行われる硬化、例えば、UV印刷インクおよび/またはUVインクの予備硬化および/または完全硬化を、ワニス装置および/または印刷装置において実施することも可能である。保護層複合体を少なくとも領域で硬化させることも可能である。さらに、部品全体の完全な硬化は、表面全体にわたってUV照射によって、特に、部品または部品の少なくともすべてのUV硬化性領域を照射することによって実施されることが可能である。
【0080】
特に、ステップf)において、保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層、および/または少なくとも1つのコーティングの完全硬化は、高エネルギー電磁放射線、特にUV照射によって、および/または高エネルギー粒子放射線、特に電子ビーム放射線によって、および/または好ましくは25℃~180℃の範囲の温度での少なくとも1つの受容層、第1の保護層、および/または少なくとも1つのコーティングの硬化によって実施される。
【0081】
照射は、好ましくは高エネルギー電磁放射線および/または高エネルギー粒子放射線によって行われる。電磁放射線は、好ましくはUV放射線であり、特に100nm~390nm、好ましくは200nm~380nm、特に好ましくは200nm~300nmの波長範囲である。粒子放射線は、好ましくは電子ビーム放射線である。ステップf)における完全硬化のために、好ましくは、印刷装置の後に配置される1つ以上の照射ユニットが使用される。ステップf)は、特にステップd)の後に相応して実施される。
【0082】
ステップf)における完全硬化のために、部品、特に少なくとも1つのコーティングおよび/または保護層複合体、好ましくは第1の保護層、および/または少なくとも1つの受容層は、500mW/cm2~700mW/cm2の範囲の放射照度で照射される。UV線量は、好ましくは2000mJ/cm2~3500mJ/cm2の範囲にある。
【0083】
ステップf)の実施の可能性、および/または未だ完全に硬化していない保護層複合体、特に未だ完全に硬化していない少なくとも1つの受容層、および/または第1の保護層、および/または未だ完全に硬化していない少なくとも1つのコーティングのために、一連の利点が生じる。これにより、転写フィルムおよび/または部品は、転写フィルムまたは完全に硬化した層を有する部品よりも特に容易に変性可能である。それにより、曲率発生の場合、特に、亀裂および他の悪影響を生じることなく対応する層が延伸することができることも保証される。例えば射出成形においてまたは深絞り成形中、特に転写フィルムの変性が行われると、保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層、および/または第1の保護層、および/または少なくとも1つのコーティングは、その最終的な硬度および耐久性を達成するために後硬化されることができる。
【0084】
さらに、特に好ましくは完全な硬化の前、第1の保護層、少なくとも1つの受容層、および/または少なくとも1つのコーティングの相互の少なくとも部分的な透過が有利に可能になり、これは、好ましくは硬化状態における特に良好な接着性および耐久性を可能にする。ステップf)における硬化後、特に、製造された部品について以下の有利なテスト結果を達成することが可能になる。
【0085】
第1の保護層は、好ましくは1μm~15μmの範囲、好ましくは2μm~8μmの範囲、好ましくは2μm~5μmの範囲の層厚を有する。少なくとも1つの受容層は、有利には、0.01μm~1μmの範囲、好ましくは0.05μm~0.5μmの範囲の層厚を有する。少なくとも1つの受容層のこのような比較的薄い層厚によって、例えば、特に、保持されるべき第1の保護層による保護層複合体の必要な耐久性および保護層複合体のコーティング性がプロセスにおいて改善されることが可能である。
【0086】
少なくとも1つのコーティングは、好ましくは、パターンの形態で塗布されるか、または塗布されている。少なくとも1つのコーティングは、好ましくは、以下の層のうちの1つ以上を備える。層として、1つ以上の印刷層、1つ以上のさらなる転写プライおよび/または1つ以上のさらなる転写フィルムが挙げられる。
【0087】
さらに、1つ以上のさらなる保護層および/または第1の保護層のうちの少なくとも1つは、保護ワニス層であることが可能である。
【0088】
転写層は、好ましくはキャリアプライから剥離可能である。キャリアプライは、キャリア層と保護層複合体との間に配置される少なくとも1つの剥離層を有することが可能である。剥離層の厚さは、特に0.1nm~100nmの範囲にある。剥離層は、好ましくは少なくとも1つのワックス、例えばポリエチレンワックスを含むか、またはそれからなる。剥離層は、好ましくは80℃~100℃の範囲の溶融温度を有する。転写プライ、特に少なくとも1つの受容層は、好ましくは少なくとも1つのキャリア層と反対側の分離層の側面の領域にあるか、または配置される。キャリア層は、好ましくは2cN~50cNの範囲、好ましくは5cN~35cNの範囲の接着力で保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層に配置される。
【0089】
この方法は、有益には、特にステップII)の前に以下のステップを有する。
II) 剥離層が、好ましくはステップIII)において保護層複合体が少なくとも領域に塗布されるキャリアプライの表面を形成するように、キャリアプライのキャリア層に剥離層を塗布するステップ。ステップII)におけるキャリアプライのキャリア層への剥離層の塗布は、好ましくはグラビア印刷、および/またはフレキソ印刷、および/またはインクジェット印刷によって行われる。
【0090】
転写プライは、好ましくはキャリアプライと反対側の保護層複合体の側面に少なくとも1つの装飾要素を含む1つ以上の装飾層を有する。
【0091】
さらに、少なくとも1つの装飾要素を含む1つ以上の装飾層は、好ましくは、それぞれの場合において互いに独立して、透明および/または着色ワニス層からなる群から選択される。その群は、特に、1つ以上の染料および/または顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に不透明反射層、透明反射層、金属反射層または誘電反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層系、体積ホログラム層、液晶層、特にコレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁気記憶層、障壁層、およびそれらの組み合わせからなる群である。
【0092】
これに代えて、またはこれに加えて、転写プライは、キャリアプライと反対側の保護層複合体の側面に少なくとも1つの機能要素を含む1つ以上の機能層を有することが可能である。ここでは、1つ以上の機能層のうちの1つ以上は、1つ以上の装飾層のうちの1つ以上と重なり合って、および/または隣接して配置されることが可能である。また、1つ以上の装飾層のうちの1つ以上の間に、または保護層複合体に対向する、および/または保護層複合体と反対側の1つ以上の機能層の側面に、1つ以上の機能層のうちの1つ以上を配置することも可能である。
【0093】
機能要素は、特に、1つ以上の電子要素、特に1つ以上の導電性トラック、接触要素、LED、センサ、特にタッチセンサ、温度センサ、圧力センサ、アンテナ、特にRFID要素、メモリ、プロセッサ、コンデンサ、抵抗器、マイクロ流体要素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0094】
部品は、好ましくは、少なくとも1つの装飾要素、特に転写フィルムの転写プライを含む1つ以上の装飾層、および/または少なくとも1つの機能要素、特に転写フィルムの転写プライを含む1つ以上の機能層を備える。特に、ステップa)において、転写プライは、好ましくはその基体に対向する側面に、好ましくは転写フィルムの転写プライの少なくとも1つの装飾要素を含む1つ以上の装飾層、および/または特に転写フィルムの転写プライの少なくとも1つの機能要素を含む1つ以上の機能層を備える。
【0095】
好ましくは、少なくとも1つの装飾要素は、1つ以上の装飾層に配置され、および/または少なくとも1つの機能要素は、1つ以上の機能層に配置され、それぞれの場合において互いに独立して、UV架橋性ワニスまたは熱可塑的に変性可能な層を備え、それぞれの場合において互いに独立して、着色されていないか、または着色されている、または染められている。
【0096】
接着促進層は、好ましくは保護層複合体、特に第1の保護層と、少なくとも1つの装飾要素および/または少なくとも1つの機能要素との間に配置される。ここでは、接着促進剤層は、少なくとも1つのアクリル樹脂を含むか、またはそれからなることが可能である。さらに、接着促進層は、好ましくは0.1μm~10μmの範囲の層厚を有することが可能である。
【0097】
特に、保護層複合体は、好ましくは、少なくとも部分的に装飾要素および/または機能要素を有するか、または、例えば、これらのいずれも有しないことも考えられる。
【0098】
転写プライは、好ましくは0.5μm~10μmの範囲の層厚を有する少なくとも1つのワニス層を有することも可能である。ワニス層は、キャリアプライと反対側の転写プライの表面を形成する。このワニス層は、好ましくは基体に接合するために使用される。少なくとも1つのワニス層は、好ましくは、物理的に硬化する接着剤、化学的に硬化する接着剤、感圧接着剤、またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの接着剤を含むか、またはそれからなる。さらに、少なくとも1つのワニス層はプライマー層であること、および/またはプライマー層は少なくとも1つのワニス層の代わりに配置されること、および/またはプライマー層は保護層複合体と反対側の少なくとも1つのワニス層の側面に配置されることが可能である。特に、プライマー層は、PVCコポリマーおよびPMMA(PVC=ポリ塩化ビニル、PMMA=ポリメチルメタクリレート)を含むか、またはそれからなる。
【0099】
さらに、少なくとも1つの受容層は、1nm~250nmの範囲、好ましくは5nm~100nmの範囲の粗さRaを有することが有益である。この粗さは、特に、キャリアプライが転写プライおよび/または第1の保護層から剥離されたとき、および/または少なくとも1つの受容層が完全に硬化されていないときに測定される。この結果、特に、少なくとも1つの受容層に対する少なくとも1つのコーティングの接着性が改善され、少なくとも1つのコーティングを有する保護層複合体の耐久性が改善される。
【0100】
特に、完全に硬化された第1の保護層、少なくとも1つの受容層、および/または少なくとも1つのコーティングの場合、好ましくは以下に記載されたテスト結果が達成される。
【0101】
以下に記載されたテストは、好ましくは部品のテスト領域において実施される。テスト領域は、好ましくは少なくともコーティング可能領域、特に少なくとも1つのコーティングを有するコーティング領域、および好ましくはコーティング領域の外側のコーティング可能領域において、基体と反対側の部品の表面を備える。さらに、テスト領域は、好ましくは第1の保護層の表面を有することも可能である。
【0102】
テスト領域は、テストコーティングを有する少なくとも1つの受容層の側面に転写フィルムの転写プライの少なくともコーティング可能領域の表面を備えることも可能である。テストを実施するために、転写フィルムが基体に塗布され、キャリアプライが転写プライから剥離され、テストコーティングがテスト領域において少なくとも1つの受容層に塗布される。テストコーティングは、部品の少なくとも1つのコーティングに対応して設計され、テストコーティングおよび保護層複合体は、完全に硬化される。
【0103】
驚くべきことに、洗剤テスト中にテスト領域において表面変化が検出されないことが示された。
【0104】
洗剤テスト中、好ましくは70℃の温度でテスト領域内の表面を洗剤と接触させ、好ましくは5時間接触させる。洗剤は、特に1%の洗剤溶液である。この例では、好ましくはPersil(登録商標)である。
【0105】
特に表面変化は、ここでは、少なくとも1つのコーティングまたは少なくとも1つの受容層または第1の保護層で検出されない。特に、保護層複合体の代わりに少なくとも1つの受容層を有さない第1の保護層のみ、および/または従来の保護層のみを有する表面の場合、このような洗剤テスト中、表面変化は同様に測定されない。特に、好ましくはIMD方法で製造される部品の通常の使用における保護層の要件を満たす耐薬品性は、このようにして達成される。
【0106】
例えば、少なくとも1つの受容層を有する第1の保護層の変化は、ASTM D4060による摩耗テスト中、好ましくはテイバー研磨機を用いて、好ましくは少なくとも300サイクル後にテスト領域において検出されないことがさらに示されている。摩耗テストは、特に、CS-10キャリブレース(Calibrase)タイプの研磨媒体および/または1000gの荷重を用いて実施される。ここでは、好ましくは同じタイプの2つの研磨媒体が使用され、これらの研磨媒体は、好ましくは各サイクルにおいてテスト領域の表面上で転がされる。荷重は、特に、2つの研磨媒体によってそれぞれの場合にテスト領域内の表面に作用する力を決定し、荷重アームの研磨媒体の質量および適当な場合には追加の重量の質量から結果として生じる荷重である。この場合、研磨媒体当たり1000gの総重量が得られる。
【0107】
ASTM D4060による摩耗テスト中、テストされる表面は、好ましくは50サイクル毎の変化およびエラーパターンが決定されるまでのサイクル数についてチェックされる。ここでは、エラーパターンとは、特に、表面のあらゆる変化が識別可能であることを意味する。特に、エラーパターンは、少なくとも300サイクルが経過した場合にのみ発生する。
【0108】
特に、IMD方法で製造される部品の通常の使用における保護層の要件を満たす耐摩耗性は、このようにして達成される。
【0109】
引っ掻きに対する耐性は、好ましくは少なくとも1つの受容層、特にそれに塗布される少なくとも1つのコーティングによって改善されることがさらに示されている。これは、特にErichsen製の、好ましくはモデル318タイプのテストロッド/テスト装置を用いたテスト、特に引っ掻き硬度テストによって特にテストすることができる。テストロッドのテストチップは、好ましくはテスト領域の表面に引っ張られる。
【0110】
テストチップは、好ましくは10Nの力でテスト領域の表面を押圧する。テストチップは、好ましくは少なくとも1つのコーティングに力をおよぼす特に直径0.75mmの円形表面を有する。テストチップは、好ましくは約1cm~10cm、好ましくは5cmの長さにわたって約1.5cm/sの速度でテスト領域に引っ張られる。
【0111】
驚くべきことに、ここでは、テスト領域の表面、特に、保護層複合体の少なくとも1つのコーティング、および/または少なくとも1つのコーティングのない領域の少なくとも1つの受容層に引っ掻き傷が検出されないことが示されている。
【0112】
これにより、特に、少なくとも1つのコーティングが従来の層よりも受容層により良好に接着することを示すことができる。
【0113】
したがって、保護層複合体、特に保護層複合体に塗布された少なくとも1つのコーティングは、特に機械的に耐性のある表面を可能にする。
【0114】
特にASTM D4752にしたがって、好ましくは二重摩擦溶媒硬化試験(Double Rub Solvent Cure Test)を用いて測定される耐薬品性として、4以上の定着レベルに対応する光学変化を検出することも可能である。定着レベルは、好ましくは、ISO 105-A02に準拠したグレースケールを参照して決定される。耐薬品性は、特に、少なくともコーティング可能領域におけるテスト領域の表面で、特に、少なくとも1つのコーティングを有するコーティング領域と共に、基体と反対側の部品の側面で測定される。特に、テスト領域は、第1の保護層の表面を備えることも可能である。
【0115】
ASTM D4752にしたがって、二重摩擦溶媒硬化試験(Double Rub Solvent Cure Test)を用いて耐薬品性(DELL)を測定するために、MEKによって浸漬した布を好ましくはテスト領域の表面で手で前後に擦る。布は、好ましくは前後に50回擦られ、したがって、好ましくは表面に100回擦られる。次に、テスト領域の表面は、水またはIPAで洗い流される。ここでは、MEKは、好ましくはメチルエチルケトンを表す。ここでは、IPAは、特にイソプロピルアルコールを表す。テスト領域の表面の色の変化は、好ましくは、特に、布が表面でそれぞれ擦られた前および後の状態によって測定される。次に、特に、光学変化を決定するために、特にISO 105-A02にしたがったグレースケールを参照して、4以上が検出、特に決定される。グレースケールは、好ましくは色の変化を評価するために使用される。好ましくは、グレースケールに異なるコントラストレベルを有する9対のグレーマットチップが存在する。チップ対の色差に関して、特に、1(=強い色変化)~5(=色変化なし)までの定着レベルを、好ましくはより正確な評価のために4つの半ステップで決定することができる。評価のために、特に、好ましくは布が表面で擦られる前の状態における未処理の表面は、好ましくは布が表面で擦られた後の状態における処理された表面と比較され、色の変化は、好ましくはグレースケールのチップ対を用いて視覚的に評価される。定着レベルは、特に、洗濯、光、水、または汗などの好ましくは日常的なストレスに曝された場合に、カラーサンプルがどの程度耐久性があるか、または変色しないかについての結論を引き出すことを可能にする。したがって、保護層複合体、特にそれに塗布された少なくとも1つのコーティングは、特に耐薬品性があり、耐色性のある部品の表面を可能にする。
【0116】
特に、接着強度のテスト中、DIN EN ISO 2409:2013-06にしたがってテスト領域の表面で測定された接着強度は、GT0~GT1の範囲、および/またはASTM D3359-09、好ましくはテスト方法Bにしたがって5B~4Bの範囲にあり、好ましくは、保護層複合体、特に第1の保護層および/または少なくとも1つの受容層(4)、ならびに少なくとも1つのコーティングが完全に硬化されることが有利に示された。特に、少なくとも1つのコーティングおよび少なくとも1つの受容層は、好ましくは、最小接着力がその間で優勢であり、および/または接着強度のテスト中に最初に互いに剥離する層であることが考えられる。ここでは、特に、テスト領域がコーティング領域によって完全に構成されることが可能である。この場合、特にそのような接着強度を、コーティング可能領域の外側の領域において、および/またはコーティング可能領域の外側の第1の保護層を有する領域において、決定することも可能である。
【0117】
接着強度は、特に、DIN EN ISO 2409:2013-06にしたがって、好ましくはDIN EN ISO 2409:2013-0のドイツ版(Beschichtungsstoffe-Gitterschnittprufung [Paints and varnishes Cross-cut test]、発行日2013年06月)にしたがって、クロスカットテストで測定される。特に、それぞれの場合において、6つの切れ目が垂直に作られ、6つの切れ目が水平に作られ、および/または90°で平行に続く6つの切れ目から少なくとも1つのコーティングにおいて平行に続く6つのさらなる切れ目が作られる。ここでは、好ましくはナイフが使用され、好ましくはステンシルが使用される。切れ目は、特に、少なくとも1つの受容層および/または保護層複合体を好ましくはアンダーコートまでの深さで貫通し、および/または基体まで切る。切断幅は、特に、少なくとも1つのコーティングの層厚、および/または保護層複合体、特に受容層、および/または第1の保護層の層厚に応じて選択される。
【0118】
保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層の少なくとも1つのコーティングの層厚および/または層厚が60μm未満である場合、切れ目間の距離は、好ましくは約1mmである。
【0119】
特に、少なくとも1つのコーティングを有する保護層複合体の上面図において、切れ目は、好ましくは、テスト領域の表面を完全に含む正方形の測定領域に導入される。ここでは、測定領域は、好ましくは表面の少なくとも一部を覆う少なくとも1つのコーティングを備える。特に、6N/25mm~10N/25mmの範囲の接着性を有する透明な接着テープまたは接着クレープテープは、好ましくはテスト領域の表面に貼り付けられる。透明な接着テープまたは接着クレープテープは、特に粘着後0.5秒~1秒の周期で、好ましくは60°の角度で表面から剥離される。
【0120】
評価は、特にテスト領域の表面の視覚的評価、および好ましくはGT0~GT5と略される0(非常に良好な接着強度)~5(非常に不良な接着強度)のクロスカット特性値への分類によって行われる。
【0121】
代わりにまたは加えて、ASTM D 3359-09、テスト方法Bにしたがって接着強度を決定することが可能である。
【0122】
対応する特性値の分類のための基準は、好ましくは以下の表に示される。特に、テスト領域の可能な表面は、
図8a)、
図8b)、
図8c)および
図8d)と共に概略的に示される。
【0123】
【0124】
したがって、GT0~GT1および/または5B~4Bの範囲では、好ましくは最大で5%の領域がフレーク化したことを意味する。
【0125】
特に、受容層が存在しない場合、すなわち、第1の保護層および少なくとも1つのコーティングのみが存在し、および/または少なくとも1つのコーティングが第1の保護層に直接塗布される場合、例えば、表面からの少なくとも1つのコーティングの剥離は、DIN EN ISO 2409:2013-06にしたがったクロスカットテスト後にテスト領域において部分的に生じ、特に、GT4~GT5の結果を伴い、好ましくは少なくとも1つのコーティングは、表面全体にわたってテスト領域と重なる。
【0126】
テスト中、驚くべきことに、保護層複合体と少なくとも1つのコーティングとの間の接着性が、従来の保護層と比較して保護層複合体の耐久性が変化しない少なくとも1つの受容層によって改善されることが示された。特に、少なくとも1つのコーティングのない領域においてさえ従来の保護層と比較して、耐久性は、変化せず、少なくとも1つのコーティングを有するコーティング領域においてさえ改善されることが示された。驚くべきことに、少なくとも1つのコーティングによっておそらくコーティングされないコーティング可能領域において、保護層複合体は、したがって、好ましくは、従来のコーティングされたまたはコーティングされていない保護層よりも耐久性が低くない。
【0127】
したがって、保護層複合体のコーティング性は、受容層によって有利に改善され、保護層複合体の保護機能は、特に少なくとも1つのコーティングでコーティング領域の設計とは無関係に従来の保護層と比較して保持される。
【0128】
転写フィルム、特に保護層複合体、好ましくは少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、有利には、部品の上記接着強度および抵抗を達成することができるように設計される。
【0129】
上記テスト中、少なくとも1つのコーティングは、好ましくは少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクの形態で塗布され、特に少なくとも1つの受容層および好ましくは第1の保護層で好ましくはUV照射によって完全に硬化される。
【0130】
さらに、ステップb)において、基体を、キャリアプライと反対側の転写フィルムの転写プライの少なくとも1つの表面に接合することが可能である。これは、紙、プラスチック、木材、複合材、ガラス、金属、およびこれらの組み合わせの群から選択される基体の少なくとも1つの表面で接着剤結合、ホットスタンピング、ラミネーション、またはこれらの組み合わせによって行われる。これにより、部品の基体を、紙、プラスチック、木材、複合材、ガラス、金属、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することが可能である。また、基体は、プラスチック射出成形材料を含むか、またはそれからなることも可能である。プラスチック射出成形材料は、好ましくは、熱可塑性、熱硬化性、またはそれらの混合物を含むか、またはそれからなる。基体は、好ましくは、特にPMMAからなるプラスチック射出成形材料を含む。
【0131】
特に、基体を転写プライに接合するためのステップb)を実行するために、以下のステップを特に特定の順序で実施することが可能である。
b1)転写フィルムを射出成形金型に配置するステップ。
b2)プラスチック射出成形材料を用いて射出成形金型に配置された転写フィルムをバック射出成形するステップであって、特に、プラスチック射出成形材料の転写プライへの接合は、バック射出成形によって行われ、および/または基体はプラスチック射出成形材料によって形成されるステップ。
【0132】
特に、部品を剛体とすることが可能である。好ましくは、部品の表面、特に保護層複合体および少なくとも1つのコーティングが湾曲および/または曲げられることが可能である。射出成形金型は、部品10の表面の形状を有し、および/またはそれを事前に規定する。
【0133】
ステップb)において、特にステップb2)において、基体を転写プライに接合中、キャリアプライと反対側の転写フィルムの転写プライの少なくとも1つの表面を有する基体は、好ましくは、少なくとも領域においてプラスチック射出成形材料で覆われ、転写フィルムは、射出成形金型に配置され、射出成形金型は、少なくともプラスチック射出成形材料で充填される。さらに、射出成形金型は、特にステップb1)の前に開放され、ステップb2)の前に閉鎖される2つの半型によって形成されることが可能であり、好ましくは射出成形金型が形成される。
【0134】
さらに、転写フィルムがステップb1)の前に予め変性および/または深絞りされていることが考えられる。ここでは、特に上記ストレッチ性のために、例えば、保護層複合体、特に少なくとも1つの受容層および/または第1の保護層は、少なくとも領域において未だ硬化されていないことが有利である。
【0135】
さらに、ステップb)における少なくとも1つの転写プライへの基体の接合、およびステップc)におけるキャリアプライの剥離を空間的剥離を用いて実施することが可能である。したがって、好ましくは、ステップb)における少なくとも1つの転写プライへの基体の接合と、ステップc)におけるキャリアプライの剥離との間に空間的剥離が存在する。ここでは、部品を一時的に保管および/または搬送することが可能である。特に、別の製造場所では、少なくとも1つのコーティングを施すことによって部品を個別化することが可能である。
【0136】
以下のステップは、有益には、ステップb)の後、特にステップc)の前、ステップc)の後、および特にステップd)の前、および/またはステップd)の後に実施される。
e) 転写プライを有する基体を射出成形金型から取り外すステップ。
【0137】
特に、ステップd)を実施するために、転写プライを有する基体を、印刷装置、特にデジタルプリンタ、好ましくはインクジェットプリンタに配置することが可能である。ここでは、基体に接合された転写プライからのキャリアプライの剥離は、例えば、最初に印刷装置で実施されること、および/または特に印刷装置に配置される前、特に直前に実施されることが可能である。さらに、ステップb)における基体への転写プライの接合の直後、および/またはステップe)における射出成形金型からの転写プライを有する基体の剥離前に、キャリアプライを剥離することが可能である。したがって、好ましくは、キャリアプライは、特に方法がIMD方法である場合には、射出成形金型を用いて射出成形ツールで依然として剥離される。
【0138】
これにより、柔軟で信頼性のある方法が有利に保証され、部品の個別化が改善される。
【0139】
ステップd)において、少なくとも1つの受容層への第1の領域における少なくとも1つのコーティングの1つ以上の層の塗布が実施され、任意に少なくとも1つのコーティングは、保護層複合体の第2の領域において塗布されないことも可能である。
【0140】
第2の転写プライを有する第2の転写フィルムは、好ましくは、少なくとも第1の領域において、および任意に第2の領域において保護層複合体に塗布される。次に、第2の転写フィルムは、特に、第2の転写プライが少なくとも第1の領域における少なくとも1つの受容層の領域に残るように、少なくとも1つのコーティングを有する保護層複合体から剥離され、好ましくは第2の領域において、特に第2の転写フィルムの少なくとも1つのキャリア層とともに、少なくとも1つの受容層から剥離される。第1の領域は、好ましくはコーティング可能領域によって完全に包含される。
【0141】
少なくとも1つのコーティングの塗布は、好ましくはコールドスタンピングによって実施することが特に可能であり、少なくとも1つのコーティングは、特に、好ましくは少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクからなる少なくとも1つのUV印刷層と、それに塗布されるさらなる転写プライとを備える。
【0142】
さらに、第1の領域の部分領域のみが、コーティング可能領域によって完全に構成され、特に、少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つの受容層への適用中の少なくとも領域において第1の保護層にも適用され、次に、第2の転写フィルムが、コーティング可能領域によって構成される第1の領域の部分領域のみに第2の転写プライが残るように、少なくとも1つのコーティングを有する保護層複合体から剥離されることが考えられる。
【0143】
さらに、少なくとも1つのコーティングは、ステップd)における少なくとも1つのコーティングの塗布前および/または塗布中および/または塗布後に、好ましくは、ステップc)後に少なくとも1つの受容層内に/上に粒子を配置することによって、および/またはステップd)における塗布中にツール構造を使用することによって、および/または少なくとも1つのコーティングのその後のレーザー加工、オーバープリントおよび/またはオーバースタンピングによって、変性および/または構造化されることが可能である。
【0144】
以下のステップが以下の順序で実施されると特に有利である。a)、b)、e)、c)、d)、f)。
【0145】
特に、車両部品、特に車両内トリムおよび/または車両外トリム、特に白色品および/または家庭用電化製品のハウジング部品および/または外部部品として、および/または電子デバイスのディスプレイウィンドウとして、部品を使用することが考えられる。
【0146】
以下に、添付図面を用いていくつかの実施例を参照しながら、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【
図6】
図6は転写フィルムの製造方法の概略図である。
【
図8】
図8はクロスカットテストにおけるテスト領域の表面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0148】
図1aは、転写フィルム1の分解図における断面を概略的に示しており、転写フィルム1は、特に、自動車または家電電化製品のケーシング部品を装飾するためのものである。転写フィルム1は、好ましくはIMD転写フィルムである。転写フィルム1はキャリアプライ3を備える。キャリアプライ3は、少なくとも1つのキャリア層31を備える。
【0149】
キャリアプライ3は、転写プライ2に配置されている。転写プライ2は保護層複合体21を有する。保護層複合体21は、第1の保護層5および少なくとも1つの受容層4を備える。少なくとも1つの受容層4は、コーティング可能領域41において転写プライ2をコーティングするための少なくとも1つのコーティングを備える。少なくとも1つの受容層4は、特に第1の保護層5に配置されている。少なくとも1つの受容層4は、キャリアプライ3に対向する転写プライ2の第1の表面に対してさらに配置されている。少なくとも1つの受容層4を有する転写プライ2の表面は、好ましくは、キャリアプライ3の表面に直接隣接する。
【0150】
好ましくは、少なくとも1つの受容層4によって広がる平面に垂直な観察の場合、コーティング可能領域41は、特に、少なくとも1つの受容層4によって広がる。コーティング可能領域41は、少なくとも領域においてまたは表面全体にわたって、キャリアプライ3および/または第1の保護層5と重なり合うことが可能である。特に、第1の保護層5は、少なくともコーティング可能領域41において少なくとも1つの受容層4に塗布され、任意に、外側のキャリアプライ3に塗布され、および/または少なくとも1つの受容層4は、コーティング可能領域41においてキャリアプライ3に塗布される。
【0151】
コーティング可能領域41は、好ましくは、1つ以上の連続領域からなり、および/または特にパターン化されている。コーティング可能領域41は、互いに分離された1つ以上の領域からなることも考えられる。コーティング可能領域は、第1の保護層5および/または少なくとも1つの受容層4によって広がる平面に垂直な観察の場合、好ましくは、第1の保護層5によって完全に構成される。
【0152】
コーティング可能領域41は、好ましくは、特に、少なくとも保護層複合体21を有する部品を製造するための中間工程において、好ましくは、コーティング可能領域における少なくとも1つのコーティングの確実な接着が保証されるような方法で、コーティング可能である。したがって、特に、転写フィルム1は、好ましくは、コーティング可能な中間製品であり、および/またはコーティング可能領域41におけるさらなる処理において、少なくとも1つのコーティング6によってコーティングされる。
【0153】
キャリアプライ3および/または少なくとも1つのキャリア層31は、好ましくは、PET(=ポリエチレンテレフタレート)を含むか、またはそれからなる。ここでは、キャリアプライ3は特に50μmの層厚を有する。キャリアプライ3は、1μm~100μmの範囲の層厚を有することも可能である。
【0154】
第1の保護層は、保護ワニス層であることが可能である。好ましくは、転写フィルム1の第1の保護層5は、未だ完全に硬化されておらず、および/または化学的に架橋可能であり、好ましくは、特に少なくとも領域において物理的な乾燥によって予備硬化されている。第1の保護層5は、好ましくは、照射、特にUV照射によって完全に硬化可能である。ここでは、第1の保護層5は、好ましくは、メラミン樹脂で架橋されたヒドロキシル含有ポリアクリル酸エステルに基づく二重硬化系であるか、または例えばそれを含む。
【0155】
二重硬化系は、特に、化学的架橋とUV架橋性ポリマーの硬化との組み合わせに基づく2つの硬化工程で硬化されることができる。特に、UV硬化は、好ましくは非常に遅く、ステップb)において基体を転写プライ2に接合した後にのみ、好ましくはIMDプロセスにおいて、特にステップd)において少なくとも1つのコーティング6を転写プライ2に塗布した後にのみ、行われる。特に、UV硬化は、好ましくは、転写フィルム1の製造方法の間、または塗布の間に起こらない。特に、好ましくはデジタルプリンタのUVインクは、好ましくは少なくとも1つのUV LEDからの照射によって部分的に硬化される。
【0156】
少なくとも1つの受容層4は、特に、物理的な乾燥および/または物理的な乾燥によって予備硬化または硬化される。少なくとも1つの受容層4は、好ましくは、コーティング可能領域41において、少なくとも領域において完全に硬化されない。
【0157】
したがって、保護層複合体21は、少なくとも領域において、未だ完全に硬化されない。特に保護層複合体21は、化学的におよび/または照射、好ましくはUV照射によって、少なくとも領域において、予備硬化され、および/または照射、好ましくはUV照射によって、少なくとも領域において完全に硬化可能である。
【0158】
第1の保護層5は、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーを有することが好ましい。本発明の意味の範囲内のUV架橋性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する。
【0159】
さらに、少なくとも1つの受容層4、好ましくは少なくともコーティング可能領域41において、少なくとも1つの水分散性ポリマーを有することが可能である。水分散性ポリマーは、それぞれの場合において互いに独立して、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはポリウレタン、ポリウレタン/ポリアクリレートコポリマー、ポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート、ポリエステルおよびそれらの混合物から選択される。少なくとも1つの水分散性ポリマーは、好ましくは、ポリウレタン、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレートコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリウレタン含有ポリマーである。
【0160】
第1の保護層5は、好ましくは、少なくとも1つのUV架橋性および/または化学的架橋性ポリマーに基づいて製造される。
【0161】
さらに、第1の保護層5は、少なくとも1つの化学的架橋性ポリマーを有することが可能である。化学的架橋性ポリマーは、さらに好ましくは、イソシアネート基含有ポリマー、メラミン含有ポリマー、ヒドロキシル基含有ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0162】
第1の保護層5は、好ましくは、少なくとも1つの化学的架橋可能なポリマーの組み合わせを有し、これは、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のイソシアネート基、および少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のヒドロキシル基および/または少なくとも1つのメラミン樹脂を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマー、および少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーを含むか、またはそれである。
【0163】
さらに、第1の保護層5および/または少なくとも1つの受容層4の少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、それぞれの場合において互いに独立して、少なくとも1つの化学架橋性官能基を有することが可能である。化学架橋性官能基は、好ましくは、ヒドロキシル基、イソシアネート基、メラミン基、エポキシド基およびそれらの組み合わせから選択される。
【0164】
好ましくは、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、さらに、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。
【0165】
適切なUV架橋性ヒドロキシル基含有ポリマーは、最新技術から知られており、例えば、少なくとも1つのジアクリレートモノマー、脂肪族ポリエーテルウレタンジアクリレート、脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート、芳香族ポリエーテルウレタンジアクリレート、芳香族ポリエステルウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエーテルジアクリレート、エポキシアクリレート、アクリル化アクリルジアクリレート、脂肪族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、脂肪族ポリエステルウレタンポリアクリレート、芳香族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、芳香族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、ポリエーテルポリアクリレート、エポキシポリアクリレート、アクリル化アクリルポリアクリレート、またはそれらの混合物、および/または少なくとも1つのヒドロキシモノアクリレート、ヒドロキシジアクリレート、ヒドロキシポリアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンモノアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化エポキシモノアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリルモノアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンジアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルジアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルジアクリレート、ヒドロキシ官能化エポキシジアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリルジアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化脂肪族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエーテルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化芳香族ポリエステルウレタンポリアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエステルポリアクリレート、ヒドロキシ官能化ポリエーテルポリアクリレート、ヒドロキシ官能化エポキシポリアクリレート、ヒドロキシ官能化アクリル化アクリレート、またはそれらの混合物、を含む。
【0166】
メラミン樹脂としては、特に、メラミンとアルデヒドとを反応させることによって得ることができ、任意に、部分的または完全に変性させることができるものが適している。
【0167】
アルデヒドとして、特に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒドおよびグリオキサールが好適である。
【0168】
メラミンホルムアルデヒド樹脂は、好ましくは、メラミンとアルデヒドとの反応の反応生成物、例えば、上記アルデヒド、特にホルムアルデヒドである。得られるメチロール基は、好ましくは、一価または多価アルコールによるエーテル化によって変性される。
【0169】
さらに、第1の保護層5は、予備硬化系および/またはハイブリッド系を有することが可能である。特に、第1の保護層5は、UV硬化性モノマーおよび/またはUV硬化性オリゴマー、またはそれらの混合物から選択されることが可能である。混合物は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリ尿素、メラミン樹脂、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)およびそれらの混合物からなる群から少なくとも1つのバインダーを含む。
【0170】
さらに、第1の保護層は、上記ポリイソシアネートの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0171】
特に、第1の保護層5および少なくとも1つの受容層4および/または第1および第2のコーティング組成物は、いずれの場合も少なくとも物理的に乾燥するシステムである。少なくとも1つの受容層4および/または第1のコーティング組成物は、特に、好ましくは熱可塑性プラスチックから配合される少なくとも物理的に乾燥する層である。特に、第1の保護層5および/または第2のコーティング組成物は、第1の保護層5および/または第2のコーティング組成物が化学的に架橋可能であり、および/またはUV放射線によって硬化可能であるという点で、少なくとも1つの受容層4および/または第1のコーティング組成物と異なることが可能である。
【0172】
第1の保護層5は、好ましくは、第1の保護層5が少なくとも1つの化学架橋性ポリマー、特にイソシアネート基含有ポリマーまたはメラミン含有ポリマーまたはヒドロキシル基含有ポリマーまたはそれらの混合物からなり、少なくとも1つの受容層4が熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性樹脂に基づくという点で、少なくとも1つの受容層4と異なる。
【0173】
したがって、好ましくは、特に、少なくとも1つの受容層4および/または第1のコーティング組成物は、好ましくは化学的に架橋可能ではなくまたは架橋されず、および/またはUV放射線によって架橋可能ではなくまたは架橋されないことが可能である。特に、第1のコーティング組成物および/または少なくとも1つの受容層4の硬化は、通常の乾燥によって、好ましくは単に通常の乾燥によって、したがって好ましくは単に第1のコーティング組成物および/または少なくとも1つの受容層4に含まれる溶媒の放出によって行われる。したがって、少なくとも1つの受容層4は、好ましくは、転写フィルムおよび/または部品の単に物理的に乾燥または乾燥されたシステムである。第1の保護層5および/または第2のコーティング組成物は、好ましくは、物理的に乾燥するシステムであり、これは、好ましくは、転写フィルム1においてなお化学的に架橋可能であり、および/または好ましくはなお化学的に架橋可能であるか、または部品10において化学的に架橋される。
【0174】
さらに、少なくとも1つの受容層4は、好ましくは、1nm~250nmの範囲、好ましくは5nm~100nmの範囲の粗さRaを有する。粗さは、特に、キャリアプライ3が転写プライ2から剥離されたとき、および/または第1の保護層5および/または少なくとも1つの受容層4が未だ完全に硬化されていないときに測定される。この結果、特に、少なくとも1つの受容層に対する少なくとも1つのコーティングの接着性が改善され、少なくとも1つのコーティングを有する保護層複合体21の耐久性が改善される。
【0175】
第1の保護層5は、例えば3μmの層厚を有する。特に、第1の保護層5は、1μm~15μmの範囲、好ましくは2μm~8μmの範囲、好ましくは2μm~5μmの範囲の層厚を有することが有益である。
【0176】
ここでは、少なくとも1つの受容層4は、例えば0.5μmの層厚を有する。特に、少なくとも1つの受容層4は、0.01μm~1μmの範囲、好ましくは0.05μm~0.5μmの範囲の層厚を有することが有益である。
【0177】
少なくとも1つの受容層4のこのような比較的薄い層厚によって、例えば、特に、第1の保護層5による保護層複合体21の必要な耐久性が保持され、保護層複合体21の被覆性が改善されることが可能である。
【0178】
特に、転写プライ2は、キャリアプライ3から剥離可能である。さらに、キャリアプライ3は、2cN~50cNの範囲、好ましくは5cN~35cNの範囲の接着力で保護層複合体21、特に少なくとも1つの受容層4および/または第1の保護層5に配置されることが有益である。
【0179】
図1bに示されるように、キャリアプライ3は、好ましくは、キャリア層31と保護層複合体21との間に配置され、好ましくは、少なくとも1つのワックスを含むか、またはそれからなる少なくとも1つの剥離層32を有する。
【0180】
剥離層32は、好ましくは、ポリエチレンワックスを含むか、またはポリエチレンワックスからなり、特に、80℃~100℃の範囲の溶融温度を有する。転写プライ2、特に少なくとも1つの受容層4は、好ましくは、少なくとも1つのキャリア層31と反対側の剥離層32の側面の領域に配置されているか、または配置される。剥離層32は、好ましくは、0.1nm~50nmの範囲の層厚を有する。
【0181】
図2は、
図1aに示す転写フィルム1を示すが、転写プライ2は、キャリアプライ3と反対側の保護層複合体21の側面に装飾層22を有する。ここでは、特に、
図1bに示されるような剥離層32が存在することも可能である。装飾層22は、好ましくは、少なくとも1つの装飾要素を含む。例えば、転写プライ2は、1つの装飾層22の代わりに、少なくとも1つの装飾要素を有するいくつかの装飾層を有することも可能である。
図2にさらに概略的に示すされるように、示された層が表面全体にわたって重なることも可能である。
【0182】
装飾層22、特にいくつかの装飾層は、好ましくは、それぞれの場合において互いに独立して、特に1つ以上の染料および/または顔料を含む透明および/または着色ワニス層、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に不透明反射層、透明反射層、金属反射層または誘電反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層系、体積ホログラム層、液晶層、特にコレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁気層、磁気記憶層、障壁層、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0183】
さらに、接着促進層(より詳細には図示せず)は、保護層複合体21、特に第1の保護層5と少なくとも1つの装飾要素との間に配置されることが可能である。接着促進剤層は、好ましくは、少なくとも1つのアクリル樹脂を含むか、またはそれからなり、好ましくは、最大10μm、特に0.1μm~10μmの範囲の層厚を有する。
【0184】
さらに、転写プライ2は、キャリアプライ3と反対側の保護層複合体21の側面に、少なくとも1つの機能要素を含む1つ以上の機能層を有することが可能である。したがって、機能要素は、少なくとも1つの装飾要素の代わりとして、またはそれに加えて、特に存在することができる。したがって、1つ以上の機能層のうちの1つ以上は、1つ以上の装飾層22のうちの1つ以上と重なり合って、および/または隣接して配置されることも可能である。また、1つ以上の機能層のうちの1つ以上は、1つ以上の装飾層22の1つ以上の間に、または保護層複合体21に対向するおよび/または反対側の1つまたは複数の装飾層22の側面に配置されることも可能である。
【0185】
機能要素は、好ましくは、1つ以上の電子要素、特に1つ以上の導電性トラック、接触要素、LED、センサ、特にタッチセンサ、温度センサ、圧力センサ、アンテナ、特にRFID要素、メモリ、プロセッサ、コンデンサ、抵抗器、マイクロ流体要素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0186】
図3は、
図2に示された転写フィルム1を示すが、キャリアプライ3は、例えば
図1bに示されるように、剥離層32をさらに有し、転写フィルム1は、いくつかの装飾層22と、任意のワニス層23とを有する。ワニス層23は、キャリアプライ3と反対側の転写プライ2の表面に配置される。
【0187】
これにより、転写プライ2は、キャリアプライ3と反対側の転写プライ2の表面を形成する少なくとも1つのワニス層23を有することが可能である。少なくとも1つのワニス層23は、好ましくは、最大10μm、特に0.5μm~10μmの範囲の層厚を有する。好ましくは、少なくとも1つのワニス層は、物理的に硬化する接着剤、化学的に硬化する接着剤、感圧接着剤、またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの接着剤を含むか、またはそれらからなる。少なくとも1つのワニス層23は、プライマー層であることが可能である、プライマー層は、少なくとも1つのワニス層23の代わりに配置されること、または保護層複合体21と反対側の少なくとも1つのワニス層23の側面に配置されることが可能である。特に、プライマー層は、PVCコポリマーおよびPMMA(PVC=ポリ塩化ビニル、PMMA=ポリメチルメタクリレート)を含むか、またはそれらからなる。
【0188】
さらに、少なくとも1つの装飾要素は、装飾層22の1つ以上の装飾層に配置されることが可能であり、装飾層は、それぞれの場合において互いに独立して、UV架橋性ワニスまたは熱可塑的に変性可能な層を含み、それぞれの場合において互いに独立して、着色されていないか、着色されているか、または染色されている。それぞれの場合において、装飾要素が装飾層22の各層に配置されることも考えられる。
【0189】
図4は、分解図において、部品10、特に自動車または家庭用電化製品のケーシング部品を示す。部品10は、基体11と、少なくとも領域において基体11の少なくとも1つの表面に対して配置された転写フィルム1の少なくとも1つの転写プライ2とを備える。転写フィルム1の設計に関しては、特に上記説明を参照されたい。転写フィルム1は、例えば、
図1a、
図1b、
図2、
図3または
図4に関連して説明したように設計され、および/または
図6に関連して説明したように製造される。転写プライ2は、第1の保護層5と少なくとも1つの受容層4とを有する保護層複合体21を備える。少なくとも1つの受容層4は、コーティング可能領域41において第1の保護層5に配置され、基体11と反対側の転写プライ2の側面に配置される。
【0190】
特に、基体11は、紙、プラスチック、木材、複合材、ガラス、金属およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることが可能である。例えば、基体11は、特にPMMAを含むか、またはPMMAからなるプラスチック射出成形材料である。
【0191】
図4に概略的に示されるように、部品10は、特に、少なくとも領域において基体11の少なくとも1つの表面に対して配置され、特に転写フィルム1のキャリアプライ3を有する少なくとも1つの転写フィルム1を備えることも可能である。保護層複合体21は、未だ完全に硬化していない、および/または少なくとも部分的に硬化可能である。したがって、好ましくは中間製品としての部品10は、依然としてキャリアプライ3によって保護され、キャリアプライ3は、少なくとも1つのコーティングの塗布の直前にのみ、または好ましくは少なくとも転写プライ2を基体11に接合した後にのみ剥離すことができる。特に、少なくとも1つのコーティングの塗布後の少なくとも1つのコーティングおよび保護層複合体21の硬化のために、保護機能は、保護層複合体21および少なくとも1つのコーティングによって引き継がれる。
【0192】
図5aは、
図4に示された部品10を示すが、転写フィルム1のキャリアプライ3が存在しない。ここでは、特に
図4に示されたキャリアプライ3を剥離すことが可能である。したがって、部品10は、好ましくは、例えば
図1a、
図1b、
図2または
図3の1つに示されるように、少なくとも転写フィルム1の転写プライ2を有する。
【0193】
したがって、部品10は、少なくとも1つの装飾要素を含む上記の1つ以上の装飾層22、および/または少なくとも1つの機能要素を含む上記の1つ以上の機能層を備えることが可能である。
【0194】
さらに、部品10は、例えば、基体11を少なくとも1つの転写プライ2に接合する前、接合中、または接合後に導入される、装飾要素または機能要素を備えることが考えられる。少なくとも1つの機能要素は、好ましくは、それぞれの場合において互いに独立して、UV架橋性ワニスまたは熱可塑的に変性可能な層を備え、それぞれの場合において互いに独立して、着色されていないか、着色されているか、または染色されている1つ以上の機能層に配置される。
【0195】
特に、ここでは、コーティング可能領域41は、少なくとも領域において部品10の外側を形成することが可能である。したがって、
図5aは、特に、コーティング可能領域41が次にコーティングされる状態の部品10を示す。
【0196】
図5bは、特に
図5aに示された部品10を示すが、少なくとも1つのコーティング6が、コーティング可能領域41のコーティング領域42において、少なくとも領域において、ここでは特に表面全体にわたって塗布され、コーティング領域42が領域においてコーティング可能領域41と重なる。ここでは、コーティング領域42は、パターン化されることが可能である。また、コーティング領域
42は、表面全体にわたってコーティング可能領域
41と重なっていることも考えられる。
【0197】
ここでは、少なくとも1つのコーティング6および/または保護層複合体21は、未だ完全に硬化していない、および/または硬化可能である。少なくとも1つのコーティング6および/または保護層複合体21、特に少なくとも1つの受容層4および/または第1の保護層5を完全に硬化することも可能である。したがって、部品10を保護層複合体21および少なくとも1つのコーティング6によって保護し、例えば少なくとも1つのコーティング6によって個別化することが可能である。
【0198】
図5bに示された少なくとも1つのコーティング6は、特に、UV印刷インクまたはUVインクの印刷層である。
【0199】
特に、少なくとも1つのコーティング6は、以下の層の1つ以上を備えることが可能である。層として、1つ以上の印刷層、1つ以上のさらなる保護層、1つ以上のさらなる転写プライおよび/または1つ以上のさらなる転写フィルムが挙げられる。特に、少なくとも1つのコーティング6が1つ以上のさらなる保護層を含む場合、1つ以上のさらなる保護層は、好ましくは、コーティング可能領域41の領域のみに配置され、その結果、特に、コーティング可能領域41の保護層複合体は、保護機能を有する部品10の最外面をさらに形成する。特に、少なくとも1つのコーティング6が1つ以上の印刷層を含む場合、これらは、好ましくは、少なくとも領域において保護機能を有する部品10の最外面を形成する。
【0200】
1つ以上の印刷層は、好ましくは、それぞれ互いに独立して、特に、インクジェット印刷インクおよび/またはパッド印刷インクおよび/またはスクリーン印刷インクを含み、またはそれからなり、および/または好ましくはUV印刷インク、UVインク、溶媒印刷インクおよび/または水性印刷インクを含み、またはそれらからなる。UV印刷インクは、好ましくは、パッド印刷および/またはスクリーン印刷に使用される。UVインクは、好ましくは、インクジェット印刷に使用される。特に、UV印刷インクの粘度、好ましくは動的粘度は、UVインクの粘度、好ましくは動的粘度よりも高いことが可能である。UV印刷インクおよび/またはUVインクは、特に、UV照射によって硬化可能であり、好ましくは対応する光開始剤を含む。
【0201】
特に、1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクを含み、これらは、好ましくは、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーまたは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーまたはそれらの混合物を含むか、またはそれからなる。
【0202】
さらに、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクは、以下の成分のうちの1つ以上を有することが可能である。
特に少なくとも50重量%~100重量%未満の範囲の濃度を有する2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート;
特に少なくとも10重量%~20重量%未満の範囲の濃度を有するオキシビス(メチル-2,1-エタンジイル)ジアクリレート;
特に少なくとも3重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
特に少なくとも1重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
好ましくは、それぞれの場合において、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクの総重量に対して、特に、少なくとも0.1重量%~0.25重量%未満の範囲の濃度を有する2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール。
【0203】
さらに、1つ以上のさらなる保護層の少なくとも1つは、保護ワニス層であることが可能である。
【0204】
好ましくは、1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、最大で5mm、特に0.2mm~5mmの範囲の層厚を有する。1つ以上のさらなる保護層の1つ以上の層が、最大で5mm、特に0.2mm~5mmの範囲の層厚を有することも可能である。特に、少なくとも1つのコーティング6は、そのような層厚を有することが可能である。
【0205】
上記テストは、好ましくは、部品10のテスト領域で実施される。少なくとも1つのコーティング6および/または保護層複合体21は、好ましくは、完全に硬化され、対応するテスト結果は、好ましくは、特に、少なくとも1つのコーティング6および保護層複合体21の完全に硬化された状態において達成される。テスト領域は、好ましくは、特に少なくとも1つのコーティング6を有するコーティング領域42、および好ましくはコーティング領域42の外側のコーティング可能領域41を有する少なくともコーティング可能領域41において、基体11と反対側の部品10の表面を備える。さらに、テスト領域は、好ましくは、第1の保護層5の表面を有することが可能である。
【0206】
テスト領域は、テストコーティングを有する受容層4の側面に転写フィルム1の転写プライ2のコーティング可能領域41の表面を備えることも可能である。テストを実施するために、転写フィルム1は、ベースに塗布され、キャリアプライ3は、転写プライ2から剥離され、テストコーティングは、テスト領域において少なくとも1つの受容層4に塗布され、テストコーティングは、部品10の少なくとも1つのコーティングに対応して設計され、テストコーティングおよび保護層複合体21は、完全に硬化される。
【0207】
少なくとも1つのコーティング6および保護層複合体21は、有利には、機械的および化学的耐久性製品を可能にする。この製品は、特に良好に接着するコーティングを有し、特に、ほぼ完成した状態でこのコーティングでさらにコーティングすることができる。この結果、耐久性に加えて、好ましくは、例えば、部品の製造における柔軟性や個別性が高められる。したがって、特に、少なくとも1つのコーティング6は、例えば、観察者のための情報担持体として、および保護層として、2つの機能を有する。有利なテスト結果に関しては、特に上記記載を参照されたい。
【0208】
クロスカットテストの対応する特性値の分類のための基準は、好ましくは、以下の表に示される。特に、テスト領域の可能な表面は、
図8a)、
図8b)、
図8c)および
図8d)と共に概略的に示される。
【0209】
【0210】
したがって、GT0~GT1および/または5B~4Bの範囲では、好ましくは、最大で5%および/または0%~5%の領域がフレーク化されたことを意味する。
【0211】
図5cは、分解図において、特に
図5bに示されたような、好ましくは
図3に示されたような転写プライ2を有する部品10を概略的に示す。
【0212】
特に
図5bおよび/または
図5cに関連して記載したような部品10は、例えば、車両部品、特に車両内トリムおよび/または車両外トリム、特に白色品なおよび/または家庭用電化製品のハウジング部品または外部部品として、および/または電子デバイス用のディスプレイウィンドウとして使用される。
【0213】
図1a、
図1b、
図2、
図3、
図4、
図5a、
図5bおよび
図5cは、特に分解図であり、それぞれ転写フィルム1および/または部品10の断面を示す。ここでは、転写フィルム1および/または部品10の層、ならびに基体11、特に少なくとも1つのコーティング6は、表面を有することが可能である。表面は、部品10または転写フィルム1の少なくとも領域において互いに隣接して直接隣接して描写され、または好ましくは、隣接して描写された表面を有する層の間に遷移層および/または混合層を有する遷移領域を形成することが可能である。さらに、例えば、転写フィルム1および/または部品10の表面、ならびに基体11の表面、特に少なくとも1つのコーティング6の表面は、少なくとも領域において湾曲または曲げられることが可能である。これらの表面は、断面における分解図の上面図において、特に平面に広がる。
【0214】
図6は、特に
図1a、
図1b、
図2、
図3および/または
図4に示されたような転写フィルム1の製造方法を示す。この方法では、以下のステップが特に指定された順序で実施される。
I) キャリアプライ3の少なくとも1つのキャリア層31を設けるステップ;
III) 転写プライ2をキャリアプライ3に塗布するステップであって、転写プライ2は、保護層複合体21を有し、保護層複合体21は、第1の保護層5と、少なくとも1つのコーティング6を有するコーティング可能領域41において転写プライ2をコーティングするための少なくとも1つの受容層4とを備え、少なくとも1つの受容層4は、第1の保護層5に配置され、少なくとも1つの受容層4は、キャリアプライ3に対向する転写プライ2の第1の表面に対して配置される、ステップ。
【0215】
特に、ステップI)とステップIII)との間で、および/またはステップIII)を実施するために、さらなるステップを実施することが可能である。
【0216】
特に、ステップIII)において、少なくとも1つの受容層4は、コーティング可能領域41においてキャリアプライ3に塗布され、第1の保護層5は、少なくともコーティング可能領域41において少なくとも1つの受容層4に塗布され、任意に、コーティング可能領域41の外側においてキャリアプライ3に塗布される。
【0217】
第1の保護層5は、好ましくは、特に、混合層が少なくとも1つの受容層4と第1の保護層5との間に、または少なくとも1つの受容層4と第1の保護層5とから形成されるように、少なくとも1つの受容層4を溶解し始める。したがって、少なくとも1つの受容層4および/または混合層は、好ましくは、少なくとも1つのコーティング6によって、好ましくはUV印刷インクの形態でより容易に溶解する表面を形成する。これにより、少なくとも1つのコーティング6への接着性を改善することができる。
【0218】
さらに、第1の保護層5および/または少なくとも1つの受容層4を、ステップIII)において、印刷、特にグラビア印刷および/またはフレキソ印刷および/またはインクジェット印刷によってキャリアプライ3に塗布することが可能である。
【0219】
例えば、以下のステップを、好ましくはステップIII)の前に実施することも可能である。
II)剥離層32が、好ましくは、保護層複合体21が少なくともステップIII)の領域で塗布されるキャリアプライ3の表面を形成するように、剥離層32をキャリアプライ3のキャリア層31に塗布するステップ。ステップII)におけるキャリア層31へのキャリアプライ3の剥離層32の塗布は、好ましくは、グラビア印刷および/またはフレキソ印刷および/またはインクジェット印刷によって行われる。
【0220】
ステップIII)における少なくとも1つの受容層4の塗布は、好ましくは、以下のステップを備える。
IIIa)少なくとも1つの、好ましくは流動性の第1のコーティング組成物を、キャリアプライ3の第1の側面の表面の少なくとも一部の領域に塗布し、少なくとも1つの第1のコーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて、少なくとも1つの受容層4を得るステップであって、少なくとも1つの第1のコーティング組成物は、少なくとも1つの溶媒および少なくとも1つの水分散性ポリマーを有し、これは、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、それらのコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される、ステップ。ステップIIIa)における少なくとも部分的な硬化は、好ましくは、物理的な乾燥である。したがって、第1のコーティング組成物は、特に物理的に乾燥している。ここでは、特に、化学的な架橋および/またはUV照射によって行われる硬化を行わないことが可能である。
【0221】
第1のコーティング組成物は、好ましくは、水性ポリウレタン分散液、ポリウレタン/ポリアクリレートコポリマーの水性分散液、水性ポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレート分散液、水性ポリエステル分散液およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの水分散性ポリマーを含む。さらに、第1のコーティング組成物は、好ましくはポリウレタン、ポリウレタン/ポリ(メタ)アクリレートコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリウレタン含有ポリマーを含むことが可能である。
【0222】
第1のコーティング組成物は、好ましくは、水、有機溶媒、好ましくは脂肪族アルコール、例えばエタノール、イソプロパノールおよびブタノールまたはそれらの混合物からなる少なくとも1つの溶媒を含む。
【0223】
第1のコーティング組成物の動的粘度は、好ましくは、印刷方法に応じて、例えばグラビア印刷方法の場合にはグラビア印刷シリンダーの速度およびグリッドに応じて選択されている、または選択される。第1のコーティング組成物は、好ましくは、10mPas~1000mPasの範囲、好ましくは50mPas~500mPasの範囲、特にステップIIIa)の直前の状態で測定される動的粘度を有する。
【0224】
例えば、水は1mPasの動的粘度を有する。非常に薄い第1のコーティング組成物は、好ましくは50mPasの動的粘度を有する。厚い第1のコーティング組成物は、特に500mPasの動的粘度を有する。
【0225】
ステップIII)における第1の保護層5の塗布は、以下のステップを備えることがさらに有益である。
【0226】
IIIb)少なくとも1つの、好ましくは流動性の第2のコーティング組成物を、キャリアプライ3と反対側の少なくとも1つの受容層4の側面の表面の少なくとも一部の領域に塗布し、少なくとも1つの第2のコーティング組成物を少なくとも部分的に硬化して、少なくとも1つの第1の保護層5を得るステップであって、少なくとも1つの第2のコーティング組成物は、少なくとも1つのUV架橋性および/または化学架橋性ポリマーを含むステップ。
【0227】
第2のコーティング組成物を物理的に乾燥させることも可能である。ステップIIIb)における少なくとも部分的な硬化は、好ましくは、物理的な乾燥である。特に、第1の保護層は、部分硬化の前に少なくとも1つの受容層を溶解し始めることが考えられ、その結果、好ましくは混合層が形成される。特に、少なくとも混合層は、好ましくは、物理的な乾燥によって少なくとも部分的に硬化される。
【0228】
少なくとも1つの第2のコーティング組成物は、少なくとも1つのUV架橋性ポリマー、および好ましくはさらに少なくとも1つの化学架橋性ポリマーを有することが有益である。これは、さらに好ましくは、イソシアネート基含有ポリマー、メラミン含有ポリマー、ヒドロキシル基含有ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。ここでは、少なくとも1つの第2のコーティング組成物は、少なくとも1つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基および/または少なくとも1つのメラミン樹脂を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーと、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリマーおよび/またはコポリマーとを有することが可能である。特に、化学的架橋は、ここでは、イソシアネート基と水酸基との反応によって、および/またはメラミン樹脂と水酸基との反応によって提供される。
【0229】
特に、少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、さらに、少なくとも1つの化学架橋性官能基を有し、これは、好ましくは、それぞれの場合において互いに独立して、ヒドロキシル基、イソシアネート基、メラミン基、エポキシド基から選択される。
【0230】
少なくとも1つのUV架橋性ポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有することも可能である。
【0231】
好適なヒドロキシル基含有ポリマー、メラミン樹脂、アルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、予備硬化および/またはハイブリッド系、ならびにポリイソシアネートに関しては、特に上記記載を参照されたい。
【0232】
少なくとも1つの受容層4は、好ましくは、以下の組成のうちの1つ以上を有する。以下の組成は、それぞれの場合において、特に重量パーセントで、好ましくは少なくとも1つの受容層4の液体状態に基づいて指定される範囲の濃度を有する。
【0233】
【0234】
少なくとも1つの受容層4の液体状態とは、特に、溶媒が少なくとも1つの受容層4から未だ漏出していないことを意味する。特に、これは、少なくとも1つの受容層4をキャリアプライ3に塗布する直前または直後の少なくとも1つの受容層4の状態も意味する。
【0235】
特に保護ワニス層の形態の第1の保護層5は、好ましくは、以下の組成のうちの1つ以上を有する。以下の組成は、それぞれの場合において、特に重量パーセントで、好ましくは第1の保護層5の液体状態に基づいて指定される範囲の濃度で有する。
【0236】
【0237】
第1の保護層5の液体状態とは、特に、溶媒が第1の保護層5から未だ漏出していないことを意味する。特に、これは、少なくとも1つの受容層4および/またはキャリアプライ3への第1の保護層5の塗布の直前または直後の第1の保護層5の状態も意味する。
【0238】
図7は、例えば
図1a、
図1b、
図2または
図3の1つに示されるような、および/または例えば
図6に示されるように製造された転写フィルム1を使用して、例えば
図4、
図5aおよび
図5bの1つに示されるような部品10の製造方法を概略的に示す。
【0239】
部品10の製造方法は、以下のステップを特に特定の順序で備える。
a)少なくとも1つのキャリア層31を有するキャリアプライ3と、キャリアプライ3に配置された転写プライ2とを備える転写フィルム1を設けるステップであって、転写プライ2は、保護層複合体21を有し、保護層複合体21は、第1の保護層5と、コーティング可能領域41において転写プライ2を少なくとも1つのコーティング6でコーティングするための少なくとも1つの受容層4とを備え、少なくとも1つの受容層4は、第1の保護層5に配置され、少なくとも1つの受容層4は、キャリアプライ3に対向する転写プライ2の第1の表面に対して配置されるステップ;
b) 基体11をキャリアプライ3と反対側の転写プライ2の少なくとも1つの表面に接合するステップ;
c)基体11に接合された転写プライ2からキャリアプライ3を剥離するステップ;
d)少なくとも1つのコーティング6を、基体11と反対側の転写プライ2の表面に塗布するステップであって、少なくとも1つのコーティング6は、コーティング可能領域41内の少なくとも領域または表面全体に配置されたコーティング領域42に塗布されるステップ。
【0240】
少なくとも1つのコーティング6は、好ましくは、パターン化されて塗布される。
【0241】
特に、ステップa)、b)、c)および/またはd)の間で、および/またはそれらを実施するために、さらなるステップを実施することが可能である。例えば、ステップ間で搬送を行うことが可能である。したがって、ステップを「インライン」または「オフライン」で実施することができる。
【0242】
また、例えば、基体11を転写プライ2に接合するためのステップb)を実施するために、以下のステップを特に特定の順序で実施することも可能である。
b1)転写フィルム(1)を射出成形金型に配置するステップ;
b2)特に、プラスチック射出成形材料を用いて射出成形金型内に配置された転写フィルム1をバック射出成形するステップであって、転写プライ2へのプラスチック射出成形材料の接合はバック射出成形によって行われ、および/または基体11はプラスチック射出成形材料によって形成されるステップ。
【0243】
ステップb)において、特にステップb2)において、基体11を転写プライ2に接合する間、キャリアプライ3の反対側の転写フィルム1の転写プライ2の少なくとも1つの表面を有する基体11は、好ましくは、少なくとも領域においてプラスチック射出成形材料で覆われ、転写フィルム1は、射出成形金型内に配置され、射出成形金型は、少なくともプラスチック射出成形材料で充填される。プラスチック射出成形材料は、好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはそれらの混合物を含む。さらに、射出成形金型は、特にステップb1)の前に開放され、好ましくは射出成形金型が形成されるステップb2)の前に閉鎖される2つの半型によって形成されることが可能である。
【0244】
これにより、特に部品10が剛体であることが可能である。特に保護層複合体21および少なくとも1つのコーティング6を有する部品10の表面を湾曲および/または曲げることも可能である。射出成形金型は、部品10の表面の形状を有し、および/またはそれを事前に規定する。
【0245】
また、基体11の少なくとも1つの表面での接着剤結合、ホットスタンピング、積層、またはこれらの組み合わせによって、ステップb)において、基体11を、キャリアプライ3と反対側の転写フィルム1の転写プライ2の少なくとも1つの表面に接合することも考えられる。基体11は、紙、プラスチック、木材、複合材、ガラス、金属、およびこれらの組み合わせの群から選択される。
【0246】
ステップb)における少なくとも1つの転写プライへの基体11の接合と、ステップc)におけるキャリアプライ3の剥離との間に空間的な分離が存在することが可能である。ここでは、部品10を一時的に保管および/または搬送することが可能である。特に、別の製造場所では、少なくとも1つのコーティングを施すことによって部品10を個別化することが可能である。
【0247】
好ましくは、以下のステップをステップb)の後、特にステップc)の前、ステップc)の後、および特にステップd)の前、および/またはステップd)の後に実施することがさらに可能である。
e)転写プライ2を有する基体11を射出成形金型から取り外すステップ。
【0248】
例えば、ステップe)をステップc)の前に実施することが可能である。したがって、特に、例えば部品を個別化するための少なくとも1つのコーティングは、キャリアプライ3を別の位置で取り外した後に実施されることが可能である。したがって、部品は、例えば、他の場所への搬送中にキャリアプライ3によって保護される。
【0249】
さらに、ステップb)において転写プライ2を基体11に接合した直後、および/またはステップe)において転写プライ2を有する基体11を射出成形金型から取り出す前に、キャリアプライを剥離することが可能である。したがって、キャリアプライ3は、好ましくは、射出成形金型を有する射出成形ツールで依然として剥離されることが好ましい。方法はIMD方法である。
【0250】
この方法は、好ましくは、以下のステップをさらに備える。
f) 保護層複合体21、特に少なくとも1つの受容層4および/または第1の保護層5、および/または少なくとも1つのコーティング6を完全に硬化させるステップ。
【0251】
このような方法は、特に、製造された部品10が完全硬化後に上記の有利なテスト結果を達成することを可能にする。
【0252】
ステップf)において、部品の全ての硬化可能組成物、特に保護層複合体21および少なくとも1つのコーティング6は、好ましくは完全に硬化される。ステップf)は、好ましくはステップd)の後、特にステップe)の前または後に実施される。
【0253】
また、第1の保護層5の硬化は、ワニス装置および/または印刷装置において、特にステップd)における少なくとも1つのコーティング6の塗布後に、UV照射によって行われることも考えられる。硬化は、特に、いくつかのサブステップ、例えば、UV印刷インクおよび/またはUVインクの予備硬化および/または完全硬化をワニス装置および/または印刷装置で行うことが可能であり、保護層複合体は、少なくとも部分的に硬化されることも可能である。さらに、特に部品10または部品の少なくともすべてのUV硬化性領域に、表面全体にわたって、UV照射することによって、次いで、部品10全体の完全な硬化を実施することが可能である。
【0254】
部品10は、少なくとも1つのコーティング6および保護層複合体21の耐久性のために、ステップf)の後に特に耐久性を有することが有利である。したがって、部品10をキャリアプライ3によって保護すること、および/または保護層複合体21および/または少なくとも1つのコーティング6によって保護することが可能である。例えば、特に信頼性があり柔軟な方法もこれにより保証される。
【0255】
特に、少なくとも1つの受容層4、第1の保護層5および/または少なくとも1つのコーティング6の完全な硬化は、ステップf)において、高エネルギー電磁放射線、特にUV照射、および/または高エネルギー粒子放射線、特に電子ビーム放射線によって行われることが可能である。
【0256】
照射は、好ましくは、高エネルギー電磁放射線および/または高エネルギー粒子放射線によって行われる。電磁放射線は、好ましくはUV放射線であり、特に100nm~390nm、好ましくは200nm~380nm、特に好ましくは200nm~300nmの波長範囲を有する。粒子放射線は、好ましくは電子ビーム放射線である。
【0257】
ステップf)における完全硬化のために、好ましくは印刷装置の後に配置される1つ以上の照射ユニットが好ましくは使用される。ステップf)は、特にステップd)の後に相応して実施される。ステップf)における完全硬化のために、部品、特に少なくとも1つのコーティングおよび/または保護層複合体、好ましくは第1の保護層および/または少なくとも1つの受容層は、500mW/cm2~700mW/cm2の範囲の放射照度で照射される。UV線量は、好ましくは、2000mJ/cm2~3500mJ/cm2の範囲にある。
【0258】
さらに、少なくとも1つの受容層4、第1の保護層5および/または少なくとも1つのコーティング6の完全硬化は、ステップf)において、好ましくは25℃~180℃の範囲の温度での少なくとも1つの受容層4、第1の保護層5および/または少なくとも1つのコーティング6の硬化によって、代わりにまたは加えて実施されることが考えられる。
【0259】
ステップd)において、少なくとも1つのコーティング6は、好ましくは、1つ以上の印刷層の形成で、特にデジタル印刷によって、好ましくは、インクジェット印刷および/またはパッド印刷および/またはスクリーン印刷によって塗布される。
【0260】
デジタル印刷は、例えば、UVデジタル印刷である。ここでは、特に、好ましくは京セラ製のKJ4A-RHタイプのプリントヘッドが使用される。プリントヘッドの解像度は、特にRGBカラースペースで1200×600dpi、CMYKカラースペースで600×600dpiである。プリントヘッドは、特に、600mm/sの最大速度で移動される。
【0261】
部品10の製造方法において、特にステップd)において、1つ以上の印刷層の1つ以上の層は、好ましくは少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクを含み、これは、好ましくは、モノマー、特に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合、またはオリゴマー、特に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合、またはそれらの混合物を含むか、またはそれからなることが有益である。
【0262】
さらに、部品の製造方法において、特にステップd)において、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクが、以下の組成のうちの1つ以上を有することが有益である。濃度は、好ましくは重量パーセントで特定される。
特に少なくとも50重量%~100重量%未満の範囲の濃度を有する2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート;
特に少なくとも10重量%~20重量%未満の範囲の濃度を有するオキシビス(メチル-2,1-エタンジイル)ジアクリレート;
特に少なくとも3重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
特に少なくとも1重量%~5重量%未満の範囲の濃度を有するフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;
特に、それぞれの場合において、少なくとも1つのUV印刷インクおよび/または少なくとも1つのUVインクの総重量に対して、少なくとも0.1重量%~0.25重量%未満の範囲の濃度を有する2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール。
【0263】
ステップd)を実施するために、転写プライ2を有する基体11を、印刷装置、特にデジタルプリンタ、好ましくはインクジェットプリンタに配置することも可能である。ここでは、基体11に接合された転写プライ2からのキャリアプライ3の剥離は、印刷装置内で最初に実施されること、および/または印刷装置内に配置される前、特に直前に実施されることが可能である。
【0264】
さらに、少なくとも1つの印刷層および/または少なくとも1つの受容層4の塗布を、コールドスタンピングによって実施することが可能である。ステップd)において、好ましくは、第1の領域における少なくとも1つの受容層4への少なくとも1つのコーティング6の1つ以上の層の塗布が実施され、任意に、少なくとも1つのコーティング6は、保護層複合体21の第2の領域には塗布されない。ここでは、第2の転写プライ2を有する第2の転写フィルムを、少なくとも第1の領域において、および任意に第2の領域において保護層複合体21に塗布することも可能である。次に、第2の転写フィルムは、好ましくは、少なくとも1つのコーティング6を有する保護層複合体21から剥離される。第2の転写プライが少なくとも第1の領域の領域における少なくとも1つの受容層4に残り、好ましくは、特に第2の転写フィルムの少なくとも1つのキャリア層と一緒に第2の領域において少なくとも1つの受容層4から剥離されるように、この剥離は行われる。ここでは、第1の領域は、コーティング可能領域41によって完全に構成されることが可能である。
【0265】
また、第1の領域の部分領域のみがコーティング可能領域41によって完全に構成されることも可能である。特に、少なくとも1つのコーティング6は、少なくとも1つの受容層4への塗布中に少なくとも領域において第1の保護層5にも塗布され、次に、第2の転写フィルム12は、第2の転写プライがコーティング可能領域によって構成される第1の領域の部分領域のみに残るように、少なくとも1つのコーティング6を用いて保護層複合体21から剥離される。
【0266】
さらに、少なくとも1つのコーティング6は、ステップd)における少なくとも1つのコーティング6の塗布前および/または塗布中および/または塗布後に、好ましくは、ステップc)後に少なくとも1つの受容層4内に/上に粒子を配置することによって、および/またはステップd)における塗布中にツール構造を使用することによって、および/または少なくとも1つのコーティング6のその後のレーザー加工、オーバープリントおよび/またはオーバースタンピングによって、変性および/または構造化されることが考えられる。
【0267】
転写プライ2は、好ましくは、ステップa)において、基体11に対向する側に、少なくとも1つの装飾要素を含む1つ以上の装飾層22および/または少なくとも1つの機能要素を含む1つ以上の機能層を備える。装飾層、装飾要素、機能層および機能要素に関しては、上記記載を参照されたい。
【符号の説明】
【0268】
1 転写フィルム
10 部品
11 基体
2 転写プライ
22 装飾層、機能層
21 保護層複合体
3 キャリアプライ
31 キャリア層
4 受容層
41 コーティング可能領域
42 コーティング領域
5 第1の保護層
6 少なくとも1つのコーティング
32 剥離層
23 ワニス層、プライマー層
I)、III)、a)、b) ステップ