(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】ガードル
(51)【国際特許分類】
A41C 1/00 20060101AFI20250618BHJP
【FI】
A41C1/00 D
A41C1/00 F
(21)【出願番号】P 2021116460
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2024-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年2月9日にhttp://zyva.jp/product/index.htmlに掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】512325989
【氏名又は名称】株式会社ジヴァスタジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 久美子
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155352(JP,A)
【文献】特開2007-197897(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129943(JP,U)
【文献】特許第7433680(JP,B1)
【文献】特開2021-059810(JP,A)
【文献】特開2013-151765(JP,A)
【文献】特開2012-062590(JP,A)
【文献】特開平10-212606(JP,A)
【文献】中国実用新案第203841132(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の臍から股を通って延在する帯状のたて廻し部と、
該たて廻し部の左右の両側に設けられて、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う一対の覆い部と
、
前記たて廻し部を跨いで前記各覆い部と前記たて廻し部との境界同士を引き寄せる引寄せ部
と、を備え、
前記各覆い部は、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う覆い部本体と、該覆い部本体に重なって設けられた第1サポート部及び第2サポート部と、を有し、
前記第1サポート部は、着用者の脇腹を覆う第1サポート本体と、該第1サポート本体から延出し、着用者の臀部の下縁に沿って延びて形成された臀部サポート部と、を備え、
前記第2サポート部は、基端が前記各覆い部本体と前記たて廻し部との境界に接続され、先端が着用者の内股に沿って延びて形成され、
前記第1サポート部には、前記第1サポート本体から延出し、着用者の脇線から大腿四頭筋を横切って、前記第2サポート部の先端に到達する大腿筋サポート部が設けられており、
前記引寄せ部は、
前記臀部サポート部の先端と隣接して並ぶ位置に設けられており、着用状態で着用者の尾骨より下方かつ肛門近傍に位置する
ことを特徴とするガードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒップアップ、腹部、太もも、腰回りの体型補正をするためのガードルが特許文献1に開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のガードルは、股を中心として、鼠径部に沿って脇側に向けて延びて形成された一対の骨盤サポートパネルと、各骨盤サポートパネルに近接する位置にあり、大転子を押圧可能な一対の大転子ポイントパネルと、を備える。各骨盤サポートパネルは、表生地と裏生地とを重ね合わせた2重構造とされ、各大転子ポイントパネルは、表生地に別の裏生地を2枚重ね合わせた3重構造とされて、所望の領域に、適度な押圧力が作用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のガードルでは、骨盤底筋(骨盤の底にあって膀胱や直腸などを支えている筋肉の総称)の引き締めが十分ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、骨盤底筋を引き締めることで、美しいヒップラインの形成を図ったスガードルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の本発明によって解決される。
即ち、本発明は、着用者の臍から股を通って延在する帯状のたて廻し部と、該たて廻し部の左右の両側に設けられて、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う一対の覆い部と、を備え、前記たて廻し部を跨いで前記各覆い部と前記たて廻し部との境界同士を引き寄せる引寄せ部を有し、 前記引寄せ部は、着用状態で、着用者の尾骨より下方、かつ肛門近傍に位置することを特徴とするガードルである。
【0007】
以上のような本発明によれば、着用者の臍から股を通って延在する帯状のたて廻し部と、該たて廻し部の左右の両側に設けられて、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う一対の覆い部と、を備え、たて廻し部を跨いで各覆い部とたて廻し部との境界同士を引き寄せる引寄せ部を有し、引寄せ部は、着用状態で、着用者の尾骨より下方、かつ肛門より上方にあるように構成されている。このような引寄せ部が設けられていることにより、骨盤底筋が引き締められ、下垂気味のお尻が引き上げられることで、お尻に丸みを出すことができる。これにより、美しいヒップラインの形成を図ることができる。
【0008】
また、各覆い部は、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う覆い部本体と、該覆い部本体に重なって設けられた第1サポート部と、を有し、第1サポート部は、着用者の脇腹を覆う第1サポート本体と、該第1サポート本体から延出し、着用者の臀部の下縁に沿って延びて形成された臀部サポート部と、を備え、引寄せ部は、臀部サポート部の先端と隣接して並ぶ位置に設けられていることが好ましい。このような臀部サポート部が設けられていることで、お尻がより一層引き上げられ、より一層、お尻に丸みを出すことができる。
【0009】
また、覆い部本体に重なって設けられた第2サポート部を有し、第2サポート部は、基端が各覆い部本体とたて廻し部との境界に接続され、先端が着用者の内股に沿って延びて形成され、第1サポート部には、第1サポート本体から延出し、着用者の脇線から大腿四頭筋を横切って、第2サポート部の先端に到達する大腿筋サポート部が設けられていることが好ましい。このような大腿筋サポート部が設けられたガードルを着用し例えば歩行することで、大腿筋の筋活動量がアップして、太もも全体を引き締めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下垂気味のお尻が引き上げられることで、お尻に丸みを出すことができ、美しいヒップラインの形成を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるガードルを背面から見た平面図である。
【
図5】前記ガードルを構成する各部材を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかるガードルを、
図1~5を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるガードル1を背面から見た平面図である。
図2は、ガードル1を正面から見た平面図である。
図3、4は、ガードル1を側方から見た平面図である。
図5は、ガードル1を構成する各部材を説明する図である。
【0013】
ガードル1は、
図1、2に示すように、たて廻し部2と、該たて廻し部2の左右の両側に設けられて、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う左右の覆い部3R、3Lと、たて廻し部2を跨いで各覆い部3R、3Lとたて廻し部2との境界a、b同士を引き寄せる引寄せ部4(
図1に示す)と、を備える。
【0014】
たて廻し部2は、
図1、2に示すように、着用者の臍から股を通って臀部を覆うことが可能な帯板状に形成されている。このたて廻し部2は、着用者の股を覆う略長方形状のたて廻し部本体20と、該たて廻し部本体20の前方に連続して、着用者の腹部を覆う前側廻し部20F(
図2に示す)と、該たて廻し部本体20の後方に連続して、着用者の臀部を覆う後側廻し部20B(
図1に示す)と、を備える。前側廻し部20Fおよび後側廻し部20Bは、たて廻し部本体20から離れるにしたがって幅広になるように形成されている。後側廻し部20Bにおける端部(着用者のウエストに対応する部分)の幅寸法L1(端部as、bs間の寸法、
図1に示す)は、前側廻し部20Fにおける端部(着用者のウエストに対応する部分)の幅寸法L2(
図2に示す)より小さくなるように形成されている。
【0015】
左右の覆い部3R、3Lは、
図1、2に示すように、たて廻し部2の左右の両側に縫合接続されて、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆うことが可能に構成されている。各覆い部3R、3Lは、着用者の脇腹、臀部および脚部を覆う覆い部本体30(
図1に示す)と、該覆い部本体30に重なって設けられる脇腹サポート部31と、該覆い部本体30および脇腹サポート部31に重なって設けられる骨盤サポート部32と、該覆い部本体30に重なって設けられる内側サポート部33と、を備えて構成されている。
【0016】
覆い部本体30は、
図1に示すように、着用者の脚部を覆う筒状の脚覆い部301と、該脚覆い部301の上方に連続して、着用者の脇腹から背中を覆う脇腹覆い部302と、を備える。脚覆い部301および脇腹覆い部302は連続する布材14R、14L(後述する第4部材14R、14L、
図5参照)から構成されている。
【0017】
脇腹サポート部31は、
図1、2に示すように、三角形状に形成されて、着用者の脇腹から背中の一部を覆うことが可能に形成されている。この脇腹サポート部31は、
図1、2に示すように、脚覆い部301および脇腹覆い部302の境界c(鼠径部に対応する位置)と、脇腹覆い部302およびたて廻し部2の前側廻し部20Fとの境界d(
図2に示す)と、脇腹覆い部302およびたて廻し部2の後側廻し部20Bとの境界e(
図1に示す)と、によって囲まれた領域に重なって設けられている。この境界eは、
図1に示すように、各覆い部3R、3Lとたて廻し部2との境界a、bの端部as、bsから離間した位置esから、境界cに連続して境界a、bに交差する交差部emまで縫合接続されている。
【0018】
骨盤サポート部32は、
図1~4に示すように、脇腹サポート部31に重なって設けられるサポート本体321(第1サポート本体、
図1に示す)と、該サポート本体321から延出して着用者の臀部の下縁に沿って延びる臀部サポート部322(
図1に示す)と、該サポート本体321から延出して着用者の脇線に沿って延びる脇線サポート部323(
図3、4に示す)と、該サポート本体321から延出して大腿四頭筋を横切って延びる大腿筋サポート部324(
図2に示す)と、を備える。
【0019】
臀部サポート部322は、
図1に示すように、帯状に形成され、後述する引寄せ部4に向けて延びて形成されている。
【0020】
脇線サポート部323は、
図3、4に示すように、帯状に形成され、着用状態で、下方に向けて延びて形成されている。この脇線サポート部323の先端323Sは、覆い部本体30における脚覆い部301の下縁301bに到達して設けられている。
【0021】
大腿筋サポート部324は、
図2に示すように、帯状に形成されている。この大腿筋サポート部324の先端324Sは、後述する内側サポート部33の先端33Sに到達して設けられている。
【0022】
内側サポート部33は、
図1に示すように、帯状に形成され、基端が各覆い部本体30とたて廻し部2と境界a、bに接続され、先端33Sが着用者の内腿に沿って延びて形成されている。この内側サポート部33の先端33Sは、覆い部本体30における脚覆い部301の下縁301bに到達して設けられている。
【0023】
引寄せ部4は、
図1に示すように、長方形状の布材(後述する第8布材18)が、たて廻し部2を跨いで各覆い部3R、3Lとたて廻し部2との境界a、b同士を引き寄せるように、該境界a、bに縫合接続されることで形成されている。この引寄せ部4は、着用状態で、着用者の尾骨より下方、かつ肛門より上方となる位置(肛門近傍)に設けられている。また、引寄せ部4は、骨盤サポート部32における臀部サポート部322の先端322Sと隣接して並ぶ位置に設けられている。この引寄せ部4は、力がかかっていない自然状態で、幅寸法が、たて廻し部2の幅寸法より短くなるように形成されて、着用状態では、各覆い部3R、3Lとたて廻し部2との境界a、b同士を引き寄せるように構成されている。
【0024】
次に、ガードル1の製造手順について、
図5を参照して説明する。このガードル1は、
図5に示すように、たて廻し部2を構成する一対の第1部材11、11、第2部材12および第3部材13と、各覆い部3R、3Lを構成する第4部材14R、14L、第5部材15R、15L、第6部材16R、16Lおよび第7部材17R、17Lと、引寄せ部4を構成する第8部材18と、を有し、これらの各部材11~18が、所定位置にて、互いに縫合接続されることで、たて廻し部2、左右の覆い部3R、3L、引寄せ部4が構成される。
【0025】
まず、一対の第1部材11、11を重ねるとともに、さらに第2部材12を重ねて、一対の第1部材11、11とともに第2部材12の周囲を縫合する。第2部材12は台形状に形成されているとともに、伸びにくいパワーネットから構成されて、着用者の腹部を押圧する。また、一対の第1部材11、11に第3部材13を重ねて、一対の第1部材11、11とともに第3部材13の周囲を縫合する。第3部材13は長方状に形成されているとともに、伸びにくいパワーネットから構成されて、着用者の股部を押圧する。これにより、たて廻し部本体20、前側廻し部20F、および後側廻し部20Bを有するたて廻し部2を形成する。
【0026】
次に、第4部材14R、14Lの所定位置に第5部材15R、15Lを重ねて、第4部材14R、14Lとともに第5部材15R、15Lの周囲を縫合する。第5部材15R、15Lは、三角形状に形成されているとともに、伸びにくいパワーネットから構成されて、着用者の脇腹を押圧する。これにより脇腹サポート部31を形成する。次に、第5部材15R、15Lに第6部材16R、16Lを重ねて、その周囲を縫合する。第6部材16R、16Lは、伸びにくいパワーネットから構成されて、着用者の臀部の下縁、脇線、および大腿四頭筋を横切って主に大腿四頭筋を押圧する。
【0027】
また、第4部材14R、14Lにおける一対の下側側縁g、hを近付けて縫合することで、脚覆い部301を形成する。この後、第4部材14R、14Lの所定位置に第7部材17R、17Lを重ねて、第4部材14R、14Lとともに第7部材17R、17Lの周囲を縫合する。また、第7部材17R、17Lは、略長方形状に形成されているとともに、伸びにくいパワーネットから構成されて、着用者の内腿を押圧する。これにより内側サポート部33を形成する。
【0028】
次に、各第4部材14R、14Lにおける上前側縁iに、たて廻し部2の前側廻し部20Fの側縁j、側縁kを縫合接続する。また、各第4部材14R、14Lにおける上後側縁mに、たて廻し部2の後側廻し部20Bの側縁n、側縁pを縫合接続する。これにより脇腹覆い部302を形成する。この際、第8部材18の各側縁qを、たて廻し部2の後側廻し部20Bと各覆い部3R、3Lとの所定位置に挟み込んで縫合する。これにより引寄せ部4を形成する。こうしてガードル1が完成する。
【0029】
このようなガードル1を着用した際には、引寄せ部4は、着用者の尾骨より下方、かつ肛門より上方に設けられている。このようにして形成されたガードル1を着用した際には、たて廻し部2により、着用者の骨盤周りの傾きが補整され、骨盤が立つことで姿勢が整い、体の中心が安定して、体軸のぐらつきが補整される。
【0030】
上述した構成のガードル1を着用した状態では、引寄せ部4は、着用者の尾骨より下方、かつ肛門より上方にある。このような引寄せ部4が設けられていることにより、骨盤底筋が引き締められ、下垂気味のお尻が引き上げられることで、お尻に丸みを出すことができる。これにより、美しいヒップラインの形成を図ることができる。
【0031】
また、引寄せ部4は、臀部サポート部322の先端322Sと隣接して並ぶ位置に設けられている。このような臀部サポート部322が設けられていることにより、お尻がより一層引き上げられ、より一層、お尻に丸みを出すことができる。
【0032】
また、覆い部本体30に重なって設けられた内側サポート部33(第2サポート部)を有し、内側サポート部33は、基端が各覆い部本体30とたて廻し部2と境界a、bに接続され、先端33Sが着用者の内股に沿って延びて形成され、骨盤サポート部32(第1サポート部)には、サポート本体321から延出し、着用者の脇線から大腿四頭筋を横切って、内側サポート部33の先端33Sに到達する大腿筋サポート部324が設けられている。このような大腿筋サポート部324が設けられたガードル1を着用し例えば歩行することで、大腿筋の筋活動量がアップして、太もも全体を引き締めることができる。
【0033】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 ガードル
2 たて廻し部
3R、3L 一対の覆い部
4 引寄せ部
30 覆い部本体
32 骨盤サポート部(第1サポート部)
321 サポート本体(第1サポート本体)
322 臀部サポート部
33 内側サポート部(第2サポート部)
33S 内側サポート部の先端(第2サポート部材の先端)
324 大腿筋サポート部
a、b 各覆い部とたて廻し部との境界