(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】説明資料提示補助システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/16 20060101AFI20250618BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20250618BHJP
G10L 15/00 20130101ALN20250618BHJP
【FI】
G06F3/16 650
G06F3/16 630
G06F3/16 620
G06F3/0484
G10L15/00 200U
G10L15/00 200G
(21)【出願番号】P 2024221215
(22)【出願日】2024-12-17
【審査請求日】2024-12-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511113970
【氏名又は名称】株式会社インタラクティブソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(74)【代理人】
【識別番号】100219933
【氏名又は名称】元川 信輔
(72)【発明者】
【氏名】関根 潔
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-268667(JP,A)
【文献】特開2020-102231(JP,A)
【文献】特開2008-158630(JP,A)
【文献】特開2006-208696(JP,A)
【文献】特開2005-331960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00-3/18
G10L 15/00-15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
説明資料を記憶する資料記憶部(3)と、
前記説明資料の各ページと関連して、1又は複数の関連語を記憶する関連語記憶部(5)と、
前記説明資料と関連した複数の話題の流れを、前記関連語と関連して記憶する話題記憶部(7)
であって、前記話題の流れは、関連語の登場順に関するものと、
入力される用語を解析する入力用語解析部(11)と、
前記入力される用語に基づいて、前記複数の話題の流れにおける現時点での話題を解析し、当該現時点の次の話題と関連する前記説明資料のページを出力する次ページ出力部(13)と、
前記現時点での話題の次の話題と関連する前記説明資料のページが複数存在する場合、入力される選択指示に基づいた前記説明資料のページを出力する選択ページ出力部(15)と、
を有する、説明資料提示補助システム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の説明資料提示補助システムであって、
前記選択ページ出力部(15)は、
前記現時点での話題の次の話題が複数存在する場合、それぞれの次の話題に関連した前記関連語を
表示部に表示し、前記関連語に関連して入力される選択指示に基づいた前記説明資料のページを出力する説明資料提示補助システム。
【請求項3】
請求項1に記載の説明資料提示補助システムであって、
前記選択ページ出力部(15)は、
前記現時点での話題の次の話題が複数存在し、複数の次の話題のそれぞれに対応する前記説明資料のページが存在する場合、それぞれのページのサムネイルを出力し、それぞれのページのうちの特定のページに関連して入力される選択指示に基づいた前記説明資料のページを出力する説明資料提示補助システム。
【請求項4】
請求項1に記載の説明資料提示補助システムであって、
前記入力される選択指示は、あらかじめ登録された
、選択に関する音声による入力である、説明資料提示補助システム。
【請求項5】
請求項1に記載の説明資料提示補助システムであって、
ユーザの選択指示情報を学習するユーザ学習部
であって、前記ユーザ学習部は、前記ユーザの選択指示情報が入力されると、前記入力される選択指示に基づいた前記説明資料のページを出力するものを更に有する、説明資料提示補助システム。
【請求項6】
請求項1に記載の説明資料提示補助システムであって、
音声出力部を更に有し、前記複数の話題のそれぞれに対応した音声情報を出力する、説明資料提示補助システム。
【請求項7】
コンピュータを、説明資料を記憶する資料記憶部(3)と、
前記説明資料の各ページと関連して、1又は複数の関連語を記憶する関連語記憶部(5)と、
前記説明資料と関連した複数の話題の流れを、前記関連語と関連して記憶する話題記憶部(7)
であって、前記話題の流れは、関連語の登場順に関するものと、
入力される用語を解析する入力用語解析部(11)と、
前記入力される用語に基づいて、前記複数の話題の流れにおける現時点での話題を解析し、当該現時点の次の話題と関連する前記説明資料のページを出力する次ページ出力部(13)と、
前記現時点での話題の次の話題と関連する前記説明資料のページが複数存在する場合、入力される選択指示に基づいた前記説明資料のページを出力する選択ページ出力部(15)と、
を有する、説明資料提示補助システム(1)として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、説明資料提示補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第7102035号公報には、説明支援システムが記載されている。このシステムは、説明資料と説明資料に関する複数の関連語とを記憶する資料記憶部と、関連語の組み合わせに基づいて表示部に表示される表示情報を記憶するとともに、説明資料に関する音声情報に含まれる用語である音声用語と音声用語の主体を解析して、特定の主体の音声用語が複数の関連語のいずれであるか特定し、特定した関連語に関する情報を用いて、表示情報記憶部から、表示情報を読み出し、表示部に表示させる。このシステムによれば、音声に基づいて、特定の主体を分析したうえで、特定の主体に適した表示情報を表示できる。
【0003】
この説明支援システムは、複数の音声が入力される状況においては、特定の主体を分析できるため、好ましい。しかし、特定の主体の感心事に基づいて、望ましい情報を表示することや、望ましい情報に基づいたプレゼンテーションを行わせることは、必ずしも意図されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの感心事に基づいて、望ましい情報を表示し、望ましい情報に基づいたプレゼンテーションを行わせることができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する説明資料提示補助システム1は、説明資料を記憶する資料記憶部3と、説明資料の各ページと関連して、1又は複数の関連語を記憶する関連語記憶部5と、説明資料と関連した複数の話題の流れを、関連語と関連して記憶する話題記憶部7と、入力される用語を解析する入力用語解析部11と、入力される用語に基づいて、複数の話題の流れにおける現時点での話題を解析し、当該現時点の次の話題と関連する説明資料のページを出力する次ページ出力部13と、現時点での話題の次の話題が複数存在する場合、入力される選択指示に基づいた説明資料のページを出力する選択ページ出力部15と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、資料のページに基づく話題に分岐がある場合には、分岐を選択させるようにすることで、ユーザの感心事に基づいて、望ましい情報を表示し、望ましい情報に基づいたプレゼンテーションを行わせることができるシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、説明資料提示補助システムの例を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、説明資料提示補助システムの想定されるある利用例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、説明資料のあるページに関する話題の流れを説明するための概念図である。
【
図4】
図4は、サムネイル表示がなされている例を示す概念図である。
【
図5】
図5は、ユーザ学習部を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、説明資料提示補助システムの例を説明するためのブロック図である。
図1に示されるように、説明資料提示補助システム1は、資料記憶部3と、関連語記憶部5と、話題記憶部7と、入力用語解析部11と、次ページ出力部13と、選択ページ出力部15と、 を有する。
図1に示す例では、システム1は、ユーザ学習部17をさらに有する。このシステムは、話者側の感心に基づいて選択したページを出力させることができる。このシステムは、通常、サーバと複数の端末とを含む。つまり、このシステムは、1又は複数の情報処理端末(コンピュータ)により実装されてもよい。想定されるこのシステムの利用例は、話者の端末が、1又は複数の聴衆者の端末と情報の授受を行うことができるように接続されている。話者の端末は、このシステム1に基づいて、説明資料を提示するための補助を受ける。話者の端末は、このシステム1に登録されており、後述する学習済みモデルにより、話者に応じて補助される情報がカスタマイズされることが好ましい。
【0010】
コンピュータは、入力部、出力部、制御部、演算部及び記憶部を有しており、各要素は、バスなどによって接続され、情報の授受を行うことができるようにされている。例えば、記憶部には、制御プログラムが記憶されていてもよいし、各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合、制御部は、記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして、制御部は、適宜記憶部に記憶された情報を読み出し、演算部へ伝える。また、制御部は、適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は、受け取った各種情報を用いて演算処理を行い、記憶部に記憶する。制御部は、記憶部に記憶された演算結果を読み出して、出力部から出力する。このようにして、各種処理や各工程が実行される。この各種処理を実行するものが、各部や各手段である。コンピュータは、プロセッサを有し、プロセッサが各種機能や各種工程を実現するものであってもよい。コンピュータは、スタンドアロンであってもよい。コンピュータは、機能の一部がサーバと端末に分散されていてもよい。その場合サーバと端末とは、インターネットやイントラネットなどのネットワークにより、情報の授受を行うことができるようにされていることが好ましい。コンピュータは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリと、を備えていてもよい。そして、メモリが、命令を格納しており、命令は、プロセッサによって実行されると、コンピュータに、各種工程を行わせたり、コンピュータを各種要素として機能させるものであってもよい。コンピュータは、各種教師データを与えて学習モデルを構築し、機械学習により各種演算を実現するようにしてもよい。この場合、コンピュータは、AI(人工知能)の機械学習・深層学習により作成された学習モデルを用いて各種解析や分析を実行してもよい。
【0011】
システムは、通常、図示しない表示部を有する。 表示部は、コンピュータに基づいて、各種情報を表示するための要素である。コンピュータの出力部の一種であるモニタ又はディスプレイや、スマートフォンのタッチパネルが表示部として機能する。表示部は、プロジェクタであっても構わない。プレゼンテーションを行う場合は、コンピュータやタブレットのモニタが表示部として機能する他、プレゼンテーション資料がプロジェクタにより放映されてもよい。この場合、後述するように、モニタには、プレゼンテーション資料のみならず、関連語の語順に関する情報及び説明分のいずれか又は両方が合わせて表示されてもよい。
【0012】
図2は、説明資料提示補助システムの想定されるある利用例を示す概念図である。この例では、話者の端末21が、インターネットを介して、聴衆の端末23と接続されている。個の利用例は、ウェブ会議であってもよいし、ユーザである聴衆からの質問に回答するものであってもよいし、聴衆である医者に対してMRが資料に基づいて説明する例であってもよい。話者の端末21には、カメラにより撮影された話者の顔が表示されてもよいし、資料のあるページが表示されてもよい。これらは聴衆の端末23にも表示されてもよい。一方、話者の端末21には、後述するように、次のページを選択させるための各種情報が表示されてもよい。
図2の例では、プレンテーション資料のあるページを示すサムネイル25が話者の端末21の表示部に表示されている他、そのページに関する関連語表示欄27に関連語も表示されている。話者が、その関連語を発生したり、サムネイル表示されているページを出力するための処理をした場合、聴衆の端末23にもそのページが出力され、聴衆の端末23の表示部にそのページが表示されるようにしてもよい。
【0013】
資料記憶部3
資料記憶部3は、説明資料を記憶するための要素である。資料記憶部3は、例えば、システム1により事前に用意された資料を格納するデータベースとして機能する。資料記憶部3は、プレゼンテーション資料の全体とプレゼンテーション資料のそれぞれのページとを記憶する。コンピュータの記憶部が、資料記憶部3として機能する。プレゼンテーション資料の例は、パワーポイント(登録商標)、又はpdf(登録商標)で作成された資料である。プレゼンテーション資料とは、例えばパワーポイント(登録商標)といったソフトウェアで作成された一連の資料の全体(あるファイル)を意味したり、ある特定のページを意味する。例えば、プレゼンテーション資料ごとに識別番号やIDが割り当てられている。そして、資料記憶部3では、割り当てられた情報(識別番号やID)、又は識別番号及びページ番号(スライド番号)と関連して、複数の関連語が記憶されている。このようにして、それぞれのプレゼンテーション資料又は各資料の各ページ(各スライド)と、それぞれのプレゼンテーション資料に関連する複数の関連語が関連づけられて記憶される。
【0014】
プレゼンテーション資料の例は、糖尿病に関する新薬Xに関するパワーポイント資料である。そして、そのプレゼンテーション資料に関する複数の関連語の例は、そのパワーポイント資料に関する関連語である「糖尿病」、「X」、「投与量」、「副作用」、「めまい」、「眠気」、(投与してはならない対象である)「妊婦」、及び(投与してはならない対象である)「19歳以下」である。これらは、例えば、プレゼンテーション資料の識別番号(及び各ページ番号)に関連して、資料記憶部3に記憶される。
【0015】
関連語記憶部5
関連語記憶部5は、説明資料の各ページと関連して、1又は複数の関連語を記憶するための要素である。関連語記憶部5では、各ページに対応する関連語が登録されており、これにより、資料の各ページと話題の関連付けができるようになる。各ページについては、関連語の登場順も併せて記憶されていてもよい。関連語は、キーワードやトピックであってもよいし、キーワードの類義語であってもよい。
【0016】
話題記憶部7
話題記憶部7は、説明資料と関連した複数の話題の流れを、関連語と関連して記憶するための要素である。話題記憶部7は、例えば、複数の話題の流れを構造的に記録する。話題間の遷移は関連語に基づいて、順序や分岐が明確に定義されていることが好ましい。そして、話題の流れに含まれる各話題については、関連語や各ページと関連付けて、記憶されていることが好ましい。換言すれば、関連語に基づいて、対応するページや話題が読み出されるようにされていることが好ましい。
【0017】
図3は、説明資料のあるページに関する話題の流れを説明するための概念図である。例えば、話題記憶部7は、説明資料全体と関連して複数の話題の流れを記憶してもよい。また、例えば、話題記憶部7は、説明資料のそれぞれのページと関連して複数の話題の流れを記憶してもよい。話題の流れは、例えば、話題を構成する話ごとに、関連語が存在してもよい。そして、関連語の登録順に基づいて、話題の流れが形成されてもよい。
図3の例では、ある関連語と関連してよび出されるあるページについて、4つの大きな話題の流れと、それぞれについて分岐が存在する例を示す。例えば、このページに基づいて、入力された音声に基づく用語が、A4の関連語であり、その後の入力音声に基づいて解析された用語もA4の後の関連語である場合、話題の流れは一様であり、このページの次のページも決まっている。このため、例えば、このページに基づいて説明がなされている場合であって、入力音声がA4の流れに基づいているときは、最後の関連語と関連する用語が入力された後に、所定のタイミングで、次のページが読み出されて、出力されるようにしてもよい。一方、例えば、入力音声に基づく用語の最初の関連語がA1のような場合は、選択肢が示されて、示された選択肢の選択情報に基づいて、次のページが表示されるようにしてもよい。
【0018】
入力用語解析部11
入力用語解析部11は、システムに入力される音声を解析し、音声に含まれる用語を得るための要素である。入力用語解析部11は、例えば、記憶部に記憶された制御プログラムにより実装される。入力用語解析部11は、公知の音声認識装置を用いて実装できる。システムに入力される音声は通常アナログ情報である。入力用語解析部11は、アナログ情報をデジタル情報に変換し、用語としてコンピュータが処理できる形で記憶すればよい。例えば、システム1に入力された音声情報を読み取る。そして、コンピュータの制御部は、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して、読み出した音声情報を演算部に解析させる。この際、記憶部に記憶された複数の用語及びその用語の音声情報を読み出し、用語を解析すればよい。そして、解析された用語を適宜記憶部に記憶させればよい。このようにして、入力用語解析部11は、システムに入力される音に含まれる用語を解析できる。
【0019】
次ページ出力部13
次ページ出力部13は、入力される用語に基づいて、複数の話題の流れにおける現時点での話題を解析し、当該現時点の次の話題と関連する説明資料のページを出力するための要素である。例えば、次ページ出力部13は、入力用語に基づいて、現時点での話題について、どの部分まで話が進んでいるか把握する。そのうえで、次ページ出力部13は、次の話題に関する説明資料のページが決まっている場合は、現在のページに関する現在の話題に関する説明が終わったタイミングで、次のページを出力する。現在のページがA1ページで、そのページに関する話題に含まれる関連語の流れが、A1A、A1B、A1C及びA1Dである場合、次ページ出力部13は、入力用語解析部11は解析した用語が、いずれかの関連語と関連するか検討し、現時点の話題のどの部分まで話が進んでいるか把握してもよい。そして、次ページ出力部13が、システムに入力された用語が、A1A、A1B、A1C及びA1Dの順に関連したと判断した場合、話が現在の話題が、想定される話の流れに沿って、話されているので、説明資料のうちA1ページの次のページであるA2ページを表示するとともに、A2ページと関連して記憶されている話の流れに沿った関連語を読み出してもよい。また、音声が話題が自動で出力されている場合も、現在の話題が終わったタイミングであらかじめ決まっている次のページが自動的に表示され、次のページに関する音声が自動的に出力されてもよい。
【0020】
選択ページ出力部15
選択ページ出力部15は、現時点での話題(現在表示部に表示されているページ)の次の話題と関連する説明資料のページが複数存在する場合、入力される選択指示に基づいた説明資料のページを出力するための要素である。話題が複数分岐する場合に、選択指示に基づいて次のページを出力する。選択ページ出力部15は、現時点での話題の次の話題が複数存在する場合、それぞれの次の話題に関連した関連語を出力し、関連語に関連して入力される選択指示に基づいた説明資料のページを出力するものであってもよい。例えば、関連語表示欄27に複数の関連語が表示されてもよい。現在のページについての話題の後に、例えば、B1、B2、B3という関連語と関連する話題(次のページ)が存在する場合、話者の端末21及び聴衆の端末23には、そのページが表示されている間に、話者の端末21の関連語表示欄27には、それらの関連語が表示されてもよい。そして、話者が、「B1」のように発言すると、現在のページについての話題が終わった後に、速やかにB1と関連するページが表示されるようにしてもよい。また、システム1は、音声「ビーワン」などを記憶しておき、表示部に表示された関連語が話者の端末21から入力された場合、その関連語に関する音声が、聴衆者の端末23に出力されないように音声処理するものであってもよい。このようにすれば、音声により次のページを指示したことを聴衆に悟られることなく、適切なページを選択できることとなる。
【0021】
選択ページ出力部15は、
現時点での話題の次の話題が複数存在し、複数の次の話題のそれぞれに対応する説明資料のページが存在する場合、それぞれのページのサムネイルを出力し、それぞれのページのうちの特定のページに関連して入力される選択指示に基づいた説明資料のページを出力するものであってもよい。
【0022】
図4は、サムネイル表示がなされている例を示す概念図である。この例では、話者の端末21の表示部に、複数のサムネイル25が表示されている。この例では、サムネイルは、次のページを表示するものである。そして、この例では、サムネイル上に、これらのサムネイルと関連したページを読み出すための表示がなされている。例えば、「あっとまーく1」という音声入力がなされた場合、左上のスライドが、聴衆の端末(及び話者の端末)に出力されることとなる。サムネイルは、例えば、各スライドに含まれる写真情報については、写真の解像度を低下させるとともに、所定の縮小サイズになるように縮小させればよい。また、例えば、所定の文字サイズ以下の文字を削除し、所定の文字サイズ以上の文字については、所定の倍率をかけた大きさとなるようにして縮小したうえで、表示部に表示するようにすればよい。このようにして、各スライドのデフォルメ画像を得ることができる。そして、得られたデフォルメ画像を複数画面に表示できるようにすれば、サムネイル表示を行うことができるようになる。このように、スライド画像が画面に表示する複数のスライドに関する画像は、それぞれのスライドを縮小した画像の集合であってもよい。
【0023】
入力される選択指示は、あらかじめ登録された選択に関する音声による入力であってもよい。選択の例は、前に表示されたページに戻る、次のページに進む、プレゼンテーションを終える、及び最初のページに戻るといったものである。話者側の入力部に入力された音声、聴衆側には聞こえないようにキャンセルされるものが好ましい。例えば、話者が、表示部に表示されたページではなく、次のページに進めたいときは、「アットマーク、アットマーク」のように、音声を発し、その音声がシステムに入力されると、入力用語解析部11は、「アットマーク、プラス」という用語を解析すればよい。そして、説明資料提示補助システム1は、指示記憶部から、「アットマーク、プラス」と関連して記憶されている指示を読み出して、所定の制御を行えばよい。例えば、この場合では、現在のページの次のページが表示されることとなる。また、この「アットマーク、プラス」という選択指示については、聴衆側に聞こえないように、音声出力がキャンセルアウトされてもよい。記憶部が、「アットマーク、プラス」という音声と関連して、「次のページに進む」という選択指令を記憶し、音声によりアットマーク、プラスが入力されると、その音声と関連して記憶された選択指令を読み出して、選択指令に対応した処理を行うようにすればよい。この音声指令は、通常の説明に含まれないものが好ましい。
【0024】
以下、音声入力によるコマンド(ボイスコマンド)の例について説明する。ボイスコマンドを音声認識中に用いると、日本語の切れ目がないため、ボイスコマンドのトリガーは日本語にない用語であることが好ましい。このような事情を考慮したボイスコマンドの例は、アットマークである。アットマークは、適宜変更しても構わない。もっとも、資料に関する説明に出てくる用語や、関連語、キーワードなどは、トリガーとして相応しくない。ボイスコマンドのトリガーに続く用語を含めて、適宜選択指令を構成できるようにすることが好ましい。
【0025】
ボイスコマンドの例は、以下の通りである。
アットマーク~(~は音声入力がないことを意味する。)
アットマークという音声から所定時間後(例えば3秒後)に、RAG引きを行い、結果を表示する。
アットマーク+数字(例えば、いち)
数字指定でサムネイルのプレビューを表示する。また、次のページとしてサムネイルに表示されていたページを表示する。この機能を実装する場合、関連語に数字を含めないようにし、「数字~~~」といった発話はRAG引きできないようにすることが好ましい。
アットマークプラス
プレビューの次ページを表示する。
アットマークマイナス
プレビューの前ページを表示する。
アットマークアットマーク
プレビューを閉じる。
上記は、ボイスコマンドの例である。このようなボイスコマンドを用いることで、ユーザの感情に基づいて、ページを表示できることとなる。また、この際、後述するユーザ学習部17により、話題の流れに基づいて、次のページの候補を提案できるので、よりユーザの感情を反映した資料を出力できることとなる。
【0026】
ユーザ学習部17
ユーザの選択指示情報を学習するユーザ学習部17を更に有するものが好ましい。次ページ出力部13、選択ページ出力部15の処理に関係する。
図5は、ユーザ学習部を説明するための概念図である。システム1のユーザの選択指示情報を含む情報を学習データとして用いて、人工知能モデルに入力し、次のページの候補を推定できる学習済みモデルを構築する。学習済みモデルの学習データは、話題の流れ(関連語の登場番)と、各分岐における選択指示情報とを含んでもよい。また、学習データは、話者の情報及び聴衆の情報のいずれか又は両方がさらに入力されてもよい。様々なデータを学習データとして人工知能モデルに入力すると、システム1のユーザの感情(次のページとしてどのページを表示させたいといった感情)に基づいた資料を効果的に出力できるようになる。その際に、選択指示情報が入力される前後の話題の流れ(関連語の登場順)も学習データとして含まれることで、話題の流れと分岐における選択との関係を効果的に学習できることとなる。例えば、
図3に示される話題の流れは、ユーザ学習部17により適宜変更されてもよい。そして、このようにして構築されたユーザ学習部17に、学習データに対応したデータ(例えば、分岐前の話題の流れに関する情報)が入力されると、効果的に、次のページに関する出力を行うことができることとなる。このように、複数のページと関連した、関連語の登場順による話題の流れを学習データとして用いて、学習済みモデルを構築することで、ユーザの思想または感情を的確に把握し、話題の流れに沿って、次のページを提案(出力)できるユーザ学習部17を構築できることとなる。
【0027】
話者の情報及び聴衆の情報のいずれか又は両方は、システム1の記憶部に記憶されてもよい。そのような情報の例は、社員番号、氏名、性別、年齢、営業成績、役職、出身地、プレゼンテーションの評価、勤続年数、及び担当年数である。プレゼンテーション相手に関する情報の例は、病院の規模、病院の地方、講演か一人の医者向けか、及び(医者向けの場合)医者に関する情報である。プレゼンテーション相手に関する情報の別の例は、講義の地域、受講者のレベル、受講者の学年、受講人数、受講者の職業、受講者の業務内容、受講者の勤務年数、及び受講者の役職である。
【0028】
人工知能モデルを構築する際には、RAG(検索拡張生成)を用いることが好ましい。検索拡張生成を用いて、以下の様にして、人工知能モデルを構築できる。
ステップ1:データの準備
ドキュメントコーパスの収集
まず、検索に利用する知識ベース(ドキュメントコーパス)を収集する。知識ベースの例は、過去の話題の流れ、分岐における分岐選択情報である。収集した情報を必要に応じて分割してもよい。
ステップ2: 検索モデル(Retriever)の準備
例えば、Dense Retrieverを使用して、学習データと出力間の埋め込みベクトルを計算するようにしてもよい。具体的には、学習データと出力データのペアを使い、質問埋め込みと正解埋め込みの類似度を最大化するように学習してもよい。もっとも、ベクトル計算を行わなくても構わない。システム1による次のページまたは次のページの候補の提案が正しかった場合と、誤っていた場合について、それらを解答としてフィードバックし、モデルを訓練してもよい。
ステップ 3: 生成モデル(Generator)の準備
事前学習済み生成モデルの選択
検索結果を入力として受け取り、質問に対応する回答を生成するようにモデルを学習しり。
ステップ4: RAGモデルの統合
検索モデルと生成モデルの統合
【0029】
この明細書に記載されるある発明は、コンピュータプログラム及びそのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的情報記録媒体(CD-ROMなど)に関する。このプログラムは、基本的には、コンピュータを上記したいずれかの説明資料提示補助システムとして機能させるためのコンピュータが読み取ることができるプログラムである。例えば、このプログラムは、コンピュータにインストールされると、コンピュータを、資料記憶部3と、関連語記憶部5と、話題記憶部7と、入力用語解析部11と、次ページ出力部13と、選択ページ出力部15と、を有する、説明資料提示補助システム1として機能させることができる。
【0030】
以下、説明資料提示補助システムを用いた説明資料提示補助の工程例を説明する。先に説明した通り、説明資料提示補助システム1は、資料記憶部3と、関連語記憶部5と、話題記憶部7と、入力用語解析部11と、次ページ出力部13と、選択ページ出力部15と、 を有する。また、システム1は、ユーザ学習部17をさらに有することが好ましい。ユーザ学習部17は、先に説明した方法により構築されればよい。
【0031】
ある話者が、話者の端末21を用いて、ページAについて説明していたとする。ユーザ学習部17は、ページAの話題Aの流れを学習しており、ある話者による発音が、システム1に入力され、それをシステム1が解析し、システム1が、ページAについて関連語を含む話の流れを分析する。システム1は、話の流れに関する情報を、ユーザ学習部17に入力する。すると、ユーザ学習部17は、次のページの候補をひとつだけ出力する。おそらく、過去に同様の話の流れをした場合、特定の次のページが用いられることが多かったと考えられる。この場合、システム1の次ページ出力部13は、話題Aの次の話題である話題Bに関する次のページを出力する。この次のページ(ページB)は、聴衆者の端末にも出力される。そして、聴衆者の端末のモニタには、ページBが表示される。そして、この選択が正しい場合、話者は、例えば、選択が正しい旨の入力をする。すると、ユーザ学習部17の精度がさらに高まる。一方、ページBが話者の表示部にサムネイル表示され、ページBが誤りであった場合は、話者は、例えば、「アットマークマイナス」といった発音を行う。すると、システム1は、選択指示である「アットマークマイナス」に関連した処理を行う。ここでは、サムネイル表示された次のページの候補が誤りであったので、次のページに関する複数の関連語を表示するか、次のページに関する複数の候補についてサムネイル表示するようにしてもよい。
【0032】
また、ある話者が、話者の端末21を用いて、ページCについて説明していたとする。ページCは、話題Cに関するものであったとする。この例では、簡単のため、各ページは一つの話題のみに関するものとする。そして、話の流れには、話題Cの後には、話題Dと話題Eに分岐するとする。すると、ページCの次のページは、ページD及びページEが候補とされる。選択ページ出力部15は、ページCが表示されている話者の端末21の表示部に、ページD及びページEのサムネイル25をさらに表示されるようにしてもよいし、関連語表示欄27にページD及びページEと関連した関連語を表示するようにしてもよい。このようにすれば、話者に、次のページを効果的に選択させることができるようになる。先に説明した通り、ページD及びページEに関する候補も、ある話者の話の流れ(従って、選択情報)を入力データとして、ユーザ学習部17に入力することで、出力されるデータであってもよい。
【0033】
さらに、各ページに関連した説明音を記憶部に記憶させておけば、ユーザのページ選択指令に基づいて、適切な音声による解説を行わせることができることとなる。このため、例えば、資料に基づいて(一人で)何かを理解しようとした場合、分岐において表示される選択情報(例えば、サムネイル、関連語)に基づいた選択指令を発言等することで、適切なページを選択でき、話の流れに沿って、ユーザの感情(こういう情報が欲しいという感情)に対応した、適切な解説を受けることができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明は、過去の資料の利用の流れを学習し、現実の資料の利用の流れに基づいて定説な資料を提案できるので、情報関連産業において利用されうる。
【符号の説明】
【0035】
1 説明資料提示補助システム
3 資料記憶部
5 関連語記憶部
7 話題記憶部
11 入力用語解析部
13 次ページ出力部
15 選択ページ出力部
17 ユーザ学習部
21 話者の端末
23 聴衆の端末
25 サムネイル
27 関連語表示欄
【要約】
【課題】ユーザの感心事に基づいて、望ましい情報を表示し、望ましい情報に基づいたプレゼンテーションを行わせることができるシステムを提供する。
【解決手段】説明資料を記憶する資料記憶部3と、説明資料の各ページと関連して、1又は複数の関連語を記憶する関連語記憶部5と、説明資料と関連した複数の話題の流れを、関連語と関連して記憶する話題記憶部7と、入力される用語を解析する入力用語解析部11と、入力される用語に基づいて、複数の話題の流れにおける現時点での話題を解析し、当該現時点の次の話題と関連する説明資料のページを出力する次ページ出力部13と、現時点での話題の次の話題が複数存在する場合、入力される選択指示に基づいた説明資料のページを出力する選択ページ出力部15と、を有する説明資料提示補助システム1。
【選択図】
図1