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特許7698510窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20250618BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20250618BHJP
   H10D 30/01 20250101ALI20250618BHJP
   H10D 30/47 20250101ALI20250618BHJP
   H10D 30/60 20250101ALI20250618BHJP
   H10D 30/87 20250101ALI20250618BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/20
H10D30/01 401
H10D30/47 201
H10D30/60 B
H10D30/60 G
H10D30/60 V
H10D30/87 F
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021132235
(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公開番号】P2023026838
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2024-03-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 年輝
(72)【発明者】
【氏名】名古 肇
(72)【発明者】
【氏名】田島 純平
(72)【発明者】
【氏名】布上 真也
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027296(JP,A)
【文献】特開2019-057588(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050250(WO,A1)
【文献】特開2017-208438(JP,A)
【文献】特開2009-231302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H10D 30/47
H10D 30/60
H10D 30/87
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含み、前記x1は1である、第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、AlNを含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄い、窒化物半導体。
【請求項2】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分におけるAl組成比は、前記第2部分におけるAl組成比と同じであり、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄い、窒化物半導体。
【請求項3】
前記第1厚さは、前記第2厚さの0.8倍以下である、請求項1または2に記載の窒化物半導体。
【請求項4】
前記第1厚さは、5nm以上150nm以下であり、
前記第2厚さは、50nm以上300nm以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項5】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含み、前記x1は1である、第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、AlNを含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分における前記酸素濃度の、前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向に対する変化率は、前記第2部分における前記酸素濃度の前記第1方向に対する変化率よりも高い、窒化物半導体。
【請求項6】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分におけるAl組成比は、前記第2部分におけるAl組成比と同じであり、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分における前記酸素濃度の、前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向に対する変化率は、前記第2部分における前記酸素濃度の前記第1方向に対する変化率よりも高い、窒化物半導体。
【請求項7】
前記第2部分における前記酸素濃度は、3×1016/cm以上である、請求項1~6のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項8】
前記第1部分における前記酸素濃度は、1×1018/cmを超え、3.6×1020/cm以下である、請求項1~7のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項9】
前記第1部分における前記酸素濃度は、2.5×1019/cm以上である、請求項8に記載の窒化物半導体。
【請求項10】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Al x1 Ga 1-x1 N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、
Al x2 Ga 1-x2 N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、AlNを含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×10 18 /cm 以下であり、
前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄く、
前記第2窒化物領域における酸素濃度は、前記第2部分における前記酸素濃度よりも低い、窒化物半導体。
【請求項11】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む、第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、AlNを含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分における前記酸素濃度の、前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向に対する変化率は、前記第2部分における前記酸素濃度の前記第1方向に対する変化率よりも高く、
前記第2窒化物領域における酸素濃度は、前記第2部分における前記酸素濃度よりも低い、窒化物半導体。
【請求項12】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄く、
前記第2窒化物領域における酸素濃度は、前記第2部分における前記酸素濃度よりも低い、窒化物半導体。
【請求項13】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、
Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、
を含み、
前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分における前記酸素濃度の、前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向に対する変化率は、前記第2部分における前記酸素濃度の前記第1方向に対する変化率よりも高く、
前記第2窒化物領域における酸素濃度は、前記第2部分における前記酸素濃度よりも低い、窒化物半導体。
【請求項14】
前記第2窒化物領域における前記酸素濃度は、1×1017/cm以下である、請求項10~1のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項15】
前記第1窒化物領域は、AlNを含む、請求項2または6または1または1に記載の窒化物半導体。
【請求項16】
前記基体は、シリコンを含む、請求項1~1のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項17】
前記窒化物部材は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3≦1)を含む第3窒化物領域をさらに含み、
前記第2窒化物領域は、前記第1窒化物領域と前記第3窒化物領域との間にある、請求項1~1のいずれか1つに記載の窒化物半導体。
【請求項18】
前記第3窒化物領域は、複数の第1領域と、複数の第2領域と、を含み、
前記第1方向において、前記複数の第1領域の1つは、前記複数の第2領域の1つと前記複数の第2領域の別の1つとの間にあり、前記複数の第2領域の前記1つは、前記複数の第1領域の前記1つと、前記複数の第1領域の別の1つとの間にあり、
前記第1領域は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含み、
前記第2領域は、Aly2Ga1-y2N(0≦y2<y1)を含む、請求項1に記載の窒化物半導体。
【請求項19】
前記窒化物部材は、
Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1)を含む第4窒化物領域と、
Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x4<x5)を含む第5窒化物領域と、
をさらに含み、
前記第3窒化物領域は、前記第1窒化物領域と前記第5窒化物領域との間にあり、
前記第4窒化物領域は、前記第3窒化物領域と前記第5窒化物領域との間にある、
請求項1に記載の窒化物半導体。
【請求項20】
請求項1に記載の窒化物半導体と、
第1電極と、
第2電極と、
第3電極と、
絶縁部材と、
を備え、
前記第1電極から前記第2電極への方向は、前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への方向と交差する第2方向に沿い、
前記第3電極の前記第2方向における位置は、前記第1電極の前記第2方向における位置と、前記第2電極の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第4窒化物領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、及び、第5部分領域を含み、
前記第1部分領域から前記第1電極への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第3部分領域は、前記第2方向において前記第1部分領域と前記第2部分領域との間にあり、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第4部分領域は、前記第2方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、
前記第5部分領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にあり、
前記第5窒化物領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含み、
前記第4部分領域から前記第6部分領域への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第5部分領域から前記第7部分領域への方向は、前記第1方向に沿い、
前記絶縁部材は、前記窒化物部材と前記第3電極との間にある、半導体装置。
【請求項21】
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域の第1部分を第1温度で形成し、
前記第1部分の前記形成の後に、前記第1窒化物領域の第2部分を前記第1温度よりも高い第2温度で形成し、
前記第2部分の前記形成の後に、Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域を形成し、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分の第1厚さは、前記第2部分の第2厚さよりも薄く、
前記第2窒化物領域の前記形成における第3温度は、前記第1温度よりも高い、窒化物半導体の製造方法。
【請求項22】
前記第1温度は、550℃以上800℃以下であり、
前記第2温度は、1000℃以上である、請求項2に記載の窒化物半導体の製造方法。
【請求項23】
Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域の第1部分を第1温度で形成し、
前記第1部分の前記形成の後に、前記第1窒化物領域の第2部分を前記第1温度よりも高い第2温度で形成し、
前記第2部分の前記形成の後に、Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域を形成し、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記第1部分の第1厚さは、前記第2部分の第2厚さよりも薄く、
前記第1温度は、550℃以上800℃以下であり、
前記第2温度は、1000℃以上である、窒化物半導体の製造方法。
【請求項24】
前記第2部分における前記酸素濃度は、3×1016/cm以上である、請求項2~2のいずれか1つに記載の窒化物半導体の製造方法。
【請求項25】
前記第1部分における前記酸素濃度は、1×1018/cmを超え、3.6×1020/cm以下である、請求項2~2のいずれか1つに記載の窒化物半導体の製造方法。
【請求項26】
基体と、
窒化物部材と、
を備え、
前記窒化物部材は、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域を含み、
前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分におけるAl組成比は、前記第2部分におけるAl組成比と同じであり、
前記第1部分は、前記基体と前記第2部分との間にあり、
前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高く、
前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり、
前記基体から前記第1窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄い、窒化物半導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、窒化物半導体を含むウェーハを用いて半導体装置が製造される。窒化物半導体において品質の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-103472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、品質を向上できる窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、窒化物半導体は、基体及び窒化物部材を含む。前記窒化物部材は、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域と、Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域と、を含む。前記第1窒化物領域は、前記基体と前記第2窒化物領域との間にある。前記第1窒化物領域は、第1部分及び第2部分を含む。前記第2部分は、前記第1部分と前記第2窒化物領域との間にある。前記第1部分における酸素濃度は、前記第2部分における酸素濃度よりも高い。前記第2部分における前記酸素濃度は、1×1018/cm以下である。前記第1窒化物領域から前記第2窒化物領域への第1方向における前記第1部分の第1厚さは、前記第1方向における前記第2部分の第2厚さよりも薄い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図3図3は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図5図5は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図6図6は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示する模式的断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る窒化物半導体の製造方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る窒化物半導体110は、基体18s及び窒化物部材10Mを含む。ウェーハ210は、窒化物半導体110を含む。
【0009】
基体18sは、例えば、シリコンを含む。基体18sは、例えば、シリコン基板である。
【0010】
窒化物部材10Mは、第1窒化物領域11及び第2窒化物領域12を含む。
【0011】
窒化物部材10Mは、第3窒化物領域13、第4窒化物領域14及び第5窒化物領域15などを含んでも良い。第4窒化物領域14及び第5窒化物領域15は、機能層に対応する。第3窒化物領域13、第4窒化物領域14及び第5窒化物領域15は必要に応じて設けられ、省略されても良い。第3窒化物領域13、第4窒化物領域14及び第5窒化物領域15の少なくもいずれかが第2窒化物領域12に含まれるとみなされても良い。
【0012】
第1窒化物領域11は、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む。第1窒化物領域11におけるAlの組成比x1は、例えば、0.35以上1以下である。1つの例において、第1窒化物領域11は、AlNを含む。
【0013】
第2窒化物領域12は、Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む。第2窒化物領域12は、AlGaNまたはGaNを含む。第1窒化物領域11は、基体18sと第2窒化物領域12との間にある。
【0014】
第1窒化物領域11から第2窒化物領域12への方向を第1方向とする。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0015】
基体18s、第1窒化物領域11及び第2窒化物領域12は、X-Y平面に沿う層状である。
【0016】
第1窒化物領域11は、第1部分11a及び第2部分11bを含む。第2部分11bは、第1部分11aと第2窒化物領域12との間にある。例えば、第1部分11aは、基体18sと接して良い。例えば、第2部分11bは、第2窒化物領域12と接して良い。第1部分11aと第2部分11bとの間の境界は、不明確でも明確でも良い。
【0017】
第1部分11aにおける酸素濃度は、第2部分11bにおける酸素濃度よりも高い。第2部分11bにおける酸素濃度は、1×1018/cm以下である。
【0018】
図1に示すように、第1窒化物領域11から第2窒化物領域12への第1方向(Z軸方向)における第1部分11aの第1厚さtaは、第1方向における第2部分11bの第2厚さtbよりも薄い。このような構成により、窒化物部材10Mにおける欠陥が抑制できることが分かった。例えば、欠陥に起因したリーク電流を抑制できる。実施形態によれば、品質を向上できる窒化物半導体及び半導体装置が提供できる。
【0019】
例えば、欠陥は、基体18sの上に形成された窒化物部材10Mにおける転位に起因して形成されると考えられる。欠陥は、例えば、ピットである。酸素濃度が高い第1部分11aを設けられることで、例えば、転位の伝搬を抑制できると考えられる。例えば、第1部分11aがAlNを含む場合、酸素がAlを酸化させる。酸化されたAlは、例えば、転位の伝搬を抑制する。酸化されたAlは、例えば、転位を止めるマスクとして機能する。酸素濃度が高い第1部分11aを設けることで、欠陥が低減される。
【0020】
第1窒化物領域11の全体において、酸素濃度を高くすると、高い密度の酸素がAlNの成長を阻害すると考えられる。これにより、例えば、平坦性が低くなり易い。酸素濃度が高い第1部分11aに加えて、酸素濃度が低い第2部分11bが設けられることで、AlNの成長の阻害が抑制できる。例えば、高い平坦性が得やすい。
【0021】
第1窒化物領域11から第2窒化物領域12への第1方向(Z軸方向)における第1窒化物領域11の厚さtr1(図1参照)は、第1部分11aの第1厚さtaと、第2部分11bの第2厚さtbと、の和で良い。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図2は、窒化物半導体110のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析結果を例示している。図2において、横軸は、Z軸方向における位置pZである。図2の左の縦軸は、酸素濃度C(O)である。図2の右の縦軸は、Alの2次イオン強度Int_Alである。
【0023】
図2に示すように、基体18sと第2窒化物領域12との間に第1窒化物領域11が設けられる。第1窒化物領域11は、第1部分11a及び第2部分11bを含む。基体18sと第2部分11bの間に第1部分11aがある。第1部分11aにおける酸素濃度C(O)は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)よりも高い。
【0024】
後述するように、酸素濃度C(O)が異なるこのような複数の部分は、第1窒化物領域11となる層の形成時に、温度を変更することにより、形成できる。この他、第1窒化物領域11となる層の形成時の、成長速度、または、アンモニアガスの分圧などによっても、酸素濃度の差が形成できる。例えば、温度が低いと、酸素濃度C(O)が高くなる。例えば、成長速度が速いと、酸素濃度C(O)が高くなる。例えば、アンモニアガスの分圧が高いと、酸素濃度C(O)が高くなる。
【0025】
以下、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)を変えたときの欠陥密度についての実験結果の例について説明する。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図3の横軸は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)1である。図3の縦軸は、リークの原因となる欠陥密度DD1である。欠陥密度DD1は、例えば、光学顕微鏡を用いて窒化物部材10Mの表面を観察することにより検出できる。例えば、光学顕微鏡を用いた観察において、1cmあたりのピットの数が算出され、算出から欠陥密度DD1が得られる。
【0027】
図3に示すように、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)1が3×1016/cm以上、1×1018/cm以下のときに、欠陥密度DD1が低い。酸素濃度C(O)1が3×1016/cm未満のときは、欠陥密度DD1が高い。酸素濃度C(O)1が1×1018/cmを超えると、欠陥密度DD1が高い。
【0028】
図3に示すように、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)1と、欠陥密度DD1と、の特性は臨界的である。酸素濃度C(O)1が約3×1013/cmの近傍で、欠陥密度DD1が急激に変化する。酸素濃度C(O)1が約1×1018/cmの近傍で、欠陥密度DD1が急激に変化する。
【0029】
以下、第1部分11aの第1厚さtaと、第2部分11bの第2厚さtbと、の大小関係と、欠陥密度との関係についての実験例について説明する。
【0030】
図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
これらの図において、横軸は、Z軸方向における位置pZである。縦軸は、酸素濃度C(O)である。図4(a)は第1試料SPL1に対応する。図4(b)は、第2試料SPL2に対応する。第1試料SPL1においては、第1厚さtaは、第2部分11bよりも薄い。第2試料SPL2においては、第1厚さtaは、第2部分11bよりも厚い。以下に説明するように、第1厚さtaが第2部分11bよりも薄いときに、より低い欠陥密度が得られることが分かった。
【0031】
図5は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示するグラフである。
図5の横軸は、厚さ比Ct1である。厚さ比Ct1は、第1部分11aの第1厚さtaの、第2部分11bの第2厚さtbに対する比である。図5の縦軸は、形状欠陥密度DD2である。形状欠陥の一部が、リークの原因となる欠陥となる。図5の実験例では、第1厚さta及び第2厚さtbの和は、200nmであり、一定である。
【0032】
図5に示すように、厚さ比Ct1が低いと、形状欠陥密度DD2が低い。厚さ比Ct1は、例えば、0.8以下であることが好ましい。厚さ比Ct1は、例えば、0.5以下でも良い。厚さ比Ct1は、例えば、0.3以下でも良い。低い厚さ比Ct1により、低い形状欠陥密度DD2が得られる。低い形状欠陥密度DD2により、低い欠陥密度DD1が得られる。低い形状欠陥密度DD2により、リークの原因となる欠陥の密度が低減される。
【0033】
図2に示すように、酸素濃度C(O)が高い第1部分11aにおいて、酸素濃度C(O)が急激に変化する。酸素濃度C(O)が低い第2部分11bおいて、酸素濃度C(O)は急激に変化しない。例えば、第1部分11aにおいて、酸素濃度C(O)が急激に低下することで、AlNの成長の阻害が効果的に抑制できると考えられる。これにより、例えば、高い平坦性が効果的に得られる。
【0034】
例えば、第1部分11aにおける酸素濃度C(O)の、第1方向(Z軸方向)に対する変化率は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)の第1方向に対する変化率よりも高い。このようなプロファイルにより、欠陥が抑制でき、高い平坦性が得られる。例えば、品質を向上できる窒化物半導体及び半導体装置が提供できる。
【0035】
第1部分11aにおける酸素濃度C(O)は、例えば、1×1018/cmを超え、3.6×1020/cm以下であることが好ましい。第1部分11aにおける酸素濃度C(O)が過度に高いと、AlNの成長が阻害されると考えられる。これにより、例えば、平坦性が低くなり易い。
【0036】
第1部分11aにおける酸素濃度C(O)は、例えば、2.5×1019/cm以上であることが好ましい。これにより、転位の伝搬を効果的に抑制できる。
【0037】
図2に示すように、第2窒化物領域12における酸素濃度C(O)は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)よりも低い。これにより、第2窒化物領域12において高い平坦性が得られる。高い品質の第2窒化物領域12が得やすい。第2窒化物領域12における酸素濃度C(O)は、例えば、1×1017/cm以下であることが好ましい。高い品質の第2窒化物領域12が得やすい。
【0038】
実施形態において、第1厚さtaは、5nm以上150nm以下であることが好ましい。第1厚さtaが5nm以上であることで、例えば、低い欠陥密度が得易い。第1厚さtaが150nm以下であることで、均質な第1部分11aが得易い。
【0039】
実施形態において、第2厚さtbは、50nm以上300nm以下であることが好ましい。上記のように、第2厚さtbは、第1厚さtaよりも厚い。第2厚さtbが50nm以上であることで、例えば、均質な第2部分11bが得易い。第2厚さtbが300nm以下であることで、例えば、低い欠陥密度が得やすい。
【0040】
第1窒化物領域11は、例えば、AlNを含む。第2窒化物領域12は、例えば、AlGaNを含む。基体18sは、例えば、シリコンを含む。
【0041】
図1に示すように、窒化物部材10Mは、第3窒化物領域13を含んでも良い。第3窒化物領域13は、例えば、Alx3Ga1-x3N(0≦x3≦1)を含む。第3窒化物領域13は、例えば、AlGaNまたはGaNを含む。後述するように、第3窒化物領域13は、例えば、積層構造を有して良い。第3窒化物領域13の厚さ(第3窒化物領域厚さtr3:図1参照))は、例えば、1000nm以上8000nm以下である。
【0042】
図1に示すように、既に説明したように、窒化物部材10Mは、第4窒化物領域14及び第5窒化物領域15を含んでも良い。第4窒化物領域14は、Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1)を含む。第4窒化物領域14におけるAlの組成比x4は、例えば、0以上0.5以下である。第4窒化物領域14は、例えば、GaNを含む。第4窒化物領域14におけるAlの組成比x4は、第3窒化物領域13におけるAlの組成比よりも低い。第4窒化物領域14の厚さ(第4窒化物領域厚さtr4(図1参照))は、例えば、50nm以上5000nm以下である。
【0043】
図1に示すように、第4窒化物領域14は、第1膜領域14a及び第2膜領域14bを含んでも良い。第1膜領域14aは、第3窒化物領域13と第2膜領域14bとの間にある。第1膜領域14aは、炭素を含む。第2膜領域14bは、炭素を含まない。または、第2膜領域14bにおける炭素濃度は、第1膜領域14aにおける炭素濃度よりも低い。炭素を含む第1膜領域14aが設けられることにより、例えば、低い転位密度が得易くなる。炭素濃度が低い第2膜領域14bにより、例えば、高い電子移動度が得易い。第1膜領域14aの厚さ(第1膜領域厚さtr4a(図1参照))は、例えば、100nm以上3000nm以下である。第2膜領域14bの厚さ(第2膜領域厚さtr4b(図1参照))は、例えば、50nm以上2000nm以下である。
【0044】
第5窒化物領域15は、Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x4<x5)を含む。第5窒化物領域15におけるAlの組成比x5は、例えば、0.05以上0.35以下である。第5窒化物領域15は、例えば、AlGaNである。第5窒化物領域15の厚さ(第5窒化物領域厚さtr5(図1参照))は、例えば、15nm以上50nm以下である。第2窒化物領域12は、第1窒化物領域11と第5窒化物領域15との間にある。第3窒化物領域13は、第2窒化物領域12と第5窒化物領域15との間にある。第4窒化物領域14は、第3窒化物領域13と第5窒化物領域15との間にある。
【0045】
例えば、第4窒化物領域14の第5窒化物領域15に対向する部分にキャリア領域が形成される。キャリア領域は、例えば、2次元電子ガスである。窒化物半導体110に基づく半導体装置において、キャリア領域が半導体装置の動作に用いられる。
【0046】
窒化物部材10Mは、例えば、III族元素(AlまたはGa)を含む原料ガスと、V族元素(N)を含む原料ガスと、を用いて、例えば、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法などにより形成される。
【0047】
実施形態に係る半導体装置110は、例えば、基体18s及び窒化物部材10Mを含む。窒化物部材10Mは、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域11を含む。第1窒化物領域11は、第1部分11a及び第2部分11bを含む。第1部分11aは、基体18sと第2部分11bとの間にある。第1部分11aにおける酸素濃度は、第2部分11bにおける酸素濃度よりも高い。第2部分11bにおける前記酸素濃度は、1×1018/cm以下であり。基体18sから第1窒化物領域11への第1方向における第1部分11aの第1厚さtaは、第1方向における第2部分11bの第2厚さtbよりも薄い。欠陥に起因したリーク電流を抑制できる。品質を向上できる窒化物半導体及び半導体装置が提供できる。
【0048】
図6は、第1実施形態に係る窒化物半導体を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る窒化物半導体111及びウェーハ211において、第3窒化物領域13は、積層構造を有する。
【0049】
例えば、第3窒化物領域13は、複数の第1領域13aと、複数の第2領域13bと、含む。第1窒化物領域11から第2窒化物領域12への第1方向(Z軸方向)において、複数の第1領域13aの1つは、複数の第2領域13bの1つと、複数の第2領域13bの別の1つとの間にある。複数の第2領域13bの上記の1つは、複数の第1領域13aの上記の1つと、複数の第1領域13aの別の1つとの間にある。例えば、第1領域13aと第2領域13bとが、Z軸方向に沿って、交互に設けられる。
【0050】
第1領域13aは、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含む。第2領域13bは、Aly2Ga1-y2N(0≦y2<y1)を含む。
【0051】
第1領域13aにおけるAl組成比(組成比y1)は、例えば、0.75以上1以下である。1つの例において、第1領域13aは、AlNである。
【0052】
第2領域13bにおけるAl組成比(組成比y2)は、例えば、0.06以上0.3以下である。1つの例において、第2領域13bは、Al0.13Ga0.87Nである。
【0053】
1つの例において、組成比y1は、組成比x1以下である。1つの例において、組成比y2は、組成比x2よりも高い。
【0054】
例えば、複数の第1領域13aの1つが第2窒化物領域12と接しても良い。例えば、複数の第2領域13bの1つが第2窒化物領域12と接しても良い。例えば、複数の第1領域13aの1つが第4窒化物領域14と接しても良い。例えば、複数の第2領域13bの1つが第4窒化物領域14と接しても良い。複数の第1領域13aと、複数の第2領域13bと、は、例えば、超格子構造を形成しても良い。複数の第1領域13aの数と、複数の第2領域13bの数と、の差の絶対値は、0でも良く1でも良い。複数の第1領域13aの数は、例えば、10以上200以下である。複数の第1領域13aの1つが第2窒化物領域12と見なされても良い。
【0055】
複数の第1領域13aのそれぞれは、第1方向(Z軸方向)に沿う第1領域厚さt1を有する。例えば、第1領域厚さt1は、第2窒化物領域12の第1方向に沿う第2窒化物領域厚さtr2よりも薄い。複数の第2領域13bのそれぞれは、第1方向に沿う第2領域厚さt2を有する。例えば、第2領域厚さt2は、第2窒化物領域厚さtr2よりも薄い。例えば、第1領域厚さt1は、第2領域厚さt2よりも薄い。
【0056】
例えば、複数の第1領域13aのそれぞれの第1方向に沿う第1領域厚さt1は、第1窒化物領域11の第1方向に沿う第1窒化物領域厚さtr1よりも薄い。複数の第2領域13bのそれぞれの第1方向に沿う第2領域厚さt2は、第1窒化物領域厚さtr1よりも薄い。
【0057】
第1領域厚さt1は、例えば、3nm以上10nm以下である。1つの例において、第1領域厚さt1は、5nmである。第2領域厚さt2は、例えば、15nm以上40nm以下である。1つの例において、第2領域厚さt2は、25nmである。
【0058】
このような構造を有する第3窒化物領域13において、例えば、第1領域13aと第2領域13bとの間の界面において、転位が曲がりやすくなる。より低い転位密度が得易い。Alの組成比が異なる複数の領域が設けられることで、例えば、高い耐圧が得易くなる。
【0059】
以下、窒化物半導体111(ウェーハ211)の作製方法の例について、説明する。
【0060】
基体18sを有機洗浄及び酸洗浄により処理する。基体18sをMOCVD装置に導入する。水素雰囲気中で、1000℃で、基体18sの表面を熱処理する。熱処理により、例えば、基体18sの表面の酸化膜が除去される。
【0061】
その後、第1窒化物領域11を形成する。例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)及びアンモニア(NH)を用い、780℃で、第1部分11aとなるAlN層を形成する。第1部分11aの第1厚さtaは、例えば、80nm(例えば、5nm以上150nm以下)である。第1部分11aを形成する際の成長温度は、例えば、550℃以上800℃以下である。
【0062】
その後、基板温度を1020℃とし、TMAl及びNHを用い、第2部分11bとなるAlN層を形成する。第2部分11bの第2厚さtbは、例えば、250nm(例えば、90nm以上300nm以下)である。第2部分11bを形成する際の成長温度は、例えば、1000℃以上1100℃以下である。
【0063】
第1部分11a及び第2部分11bにおける酸素濃度C(O)は、例えば、温度(基体18sの温度)またはアンモニア分圧で変化させることができる。温度を低くすることで、酸素濃度C(O)が上昇する。アンモニア分圧を高くすることで、酸素濃度C(O)が上昇する。例えば、第1部分11aを形成する際のアンモニア分圧は73Paであり、第2部分11bを形成する際のアンモニア分圧は6Paである。例えば、第2部分11bを形成する際のアンモニア分圧は、第1部分11aを形成する際のアンモニア分圧に対し、1/10以下である。
【0064】
例えば、第2部分11bは、炭素を実質的に含まない。または、第2部分11bにおける炭素の濃度は、例えば、第1部分11aにおける炭素の濃度よりも低い。例えば、第1部分11aにおける炭素の濃度に対する、第2部分11bにおける炭素の濃度の比は、0.05以下である。第1部分11aが炭素を含むことで、例えば、窒化物部材10Mにおいて、低い転位密度が得られやすい。例えば、炭素を含む第1部分11aにおいて、転位の方向が曲がりやすい。これにより、第2部分11bに伝搬する転位が減少する。例えば、第1部分11aにおける炭素の濃度に対する、第2部分11bにおける炭素の濃度の比は、0.0001以上でもよい。
【0065】
その後、第2窒化物領域12を形成する。例えば、TMAl、トリメチルガリウム(TMGa)及びアンモニアを用い、960℃で、第2窒化物領域12の少なくとも一部となるAlGaN層を形成する。このAlGaN層は、例えば、炭素ドープAl0.12Ga0.88N層である。第2窒化物領域12の厚さ(第2窒化物領域厚さtr2)は、例えば、250nm(例えば、50nm以上2000nm以下)である。第2窒化物領域12における炭素濃度は、例えば、4.0×1018/cmである。例えば、第2窒化物領域12における炭素の濃度は、第1窒化物領域11における炭素の濃度よりも高い。第2窒化物領域12が炭素を含むことで、例えば、窒化物部材10Mにおいて、低い転位密度が得やすい。例えば、炭素を含む第2窒化物領域12において、転位の方向が曲がりやすい。これにより、第2窒化物領域12よりも上に延びる転位が減少する。第2窒化物領域12における酸素の濃度は、例えば、7.9×1015/cmである。例えば、第2窒化物領域12における酸素の濃度は、第1窒化物領域11における酸素の濃度よりも低い。これにより、第2窒化物領域12において高い平坦性が得られる。高い品質の第2窒化物領域12が得やすい。
【0066】
その後、第3窒化物領域13を形成する。例えば、第3窒化物領域13は、複数の第1領域13a、及び、複数の第2領域13bを含む。例えば、窒素及び水素を含む雰囲気にて、TMAl及びアンモニアを用いて、第1領域13aとなるAlN層を形成する。第1領域13aの形成の温度は、例えば940℃である。第1領域13aの厚さ(第1領域厚さt1)は、例えば、5nm(例えば、2nm以上15nm以下)である。
【0067】
第1領域13aの上に、TMAl、TMGa及びアンモニアを用いて、第2領域13bとなるAl0.13Ga0.87N層を形成する。第2領域13bの形成の温度は、例えば、940℃である。第2領域13bの厚さ(第2領域厚さt2)は、例えば、25nm(例えば、15nm以上40nm以下)である。このような第1領域13aの形成及び第2領域13bの形成を計125回繰り返す。最後の第2領域13bの上に、第1領域13aをさらに形成する。これにより、第3窒化物領域13が形成される。
【0068】
第3窒化物領域13における炭素の濃度は、例えば、1.5×1019/cm(例えば、5×1018/cm以上9×1019/cm以下)である。第3窒化物領域13における酸素の濃度は、例えば、3.9×1016/cm(例えば、5×1015/cm以上1×1017/cm以下)である。例えば、第3窒化物領域13における炭素の濃度は、第2窒化物領域12における炭素の濃度よりも高い。第3窒化物領域13における酸素の濃度は、第2窒化物領域12における酸素の濃度よりも高い。
【0069】
その後、基体18sの温度を、例えば、940℃として、水素雰囲気にて、TMGa及びアンモニアを用い、第1膜領域14aを形成する。第1膜領域14aは、例えば、GaN層である。第1膜領域14aは、炭素を含む。第1膜領域14aの厚さは、例えば、1000nm(例えば、100nm以上3000nm以下)である。第1膜領域14aにおける炭素の濃度は、例えば、3×1019/cm(例えば、5×1018/cm以上9×1019/cm以下)である。
【0070】
その後、基体18sの温度を、例えば、1040℃として、TMGa及びアンモニアを用い、第2膜領域14bを形成する。第2膜領域14bは、例えば、アンドープのGaN層である。第2膜領域14bの厚さは、例えば、500nm(例えば、50nm以上2000nm以下)である。
【0071】
その後、基体18sの温度を、例えば、1020℃として、TMGa、TMAl及びアンモニアを用い、第5窒化物領域15を形成する。第5窒化物領域15は、例えば、アンドープのAl0.2Ga0.8N層である。第5窒化物領域15の厚さは、例えば、30nm(例えば、15nm以上50nm以下)である。
【0072】
第1膜領域14a、第2膜領域14b及び第5窒化物領域15は、機能層の一部となる。
【0073】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置に係る。
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1実施形態に係る窒化物半導体(この例では、窒化物半導体110)と、第1電極51と、第2電極52と、第3電極53と、絶縁部材61と、を含む。
【0074】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する第2方向に沿う。第2方向は、例えば、X軸方向である。第3電極53の第2方向における位置は、第1電極51の第2方向における位置と、第2電極52の第2方向における位置と、の間にある。
【0075】
窒化物部材10Mは、第1~第5窒化物領域11~15を含む。第4窒化物領域14は、第1部分領域10a、第2部分領域10b、第3部分領域10c、第4部分領域10d、及び、第5部分領域10eを含む。第1部分領域10aから第1電極51への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第2部分領域10bから第2電極52への方向は、第1方向に沿う。第3部分領域10cは、第2方向(X軸方向)において第1部分領域10aと第2部分領域10bとの間にある。第3部分領域10cから第3電極53への方向は、第1方向に沿う。第4部分領域10dは、第2方向において第1部分領域10aと第3部分領域10cとの間にある。第5部分領域10eは、第2方向において第3部分領域10cと第2部分領域10bとの間にある。
【0076】
第5窒化物領域15は、第6部分領域15f及び第7部分領域15gを含む。第4部分領域10dから第6部分領域15fへの方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。第5部分領域10eから第7部分領域15gへの方向は、第1方向に沿う。
【0077】
絶縁部材61は、窒化物部材10Mと第3電極53との間にある。例えば、絶縁部材61は、第1絶縁領域61pを含む。第1絶縁領域61pは、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域10cと第3電極53との間に設けられる。
【0078】
半導体装置120は、窒化物半導体111を含んでも良い。半導体装置120において、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準にした電位である。第1電極51は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極52は、例えば、ドレイン電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。1つの例において、半導体装置120は、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0079】
半導体装置120においては、第3電極53の少なくとも一部は、第2方向(例えば、X軸方向)において、第6部分領域15fと第7部分領域15gとの間にある。第3電極53の少なくとも一部が、第2方向(例えば、X軸方向)において、第4部分領域10dと第5部分領域10eとの間にあっても良い。半導体装置120は、例えば、ノーマリオフ型である。
【0080】
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る半導体装置121は、第1実施形態に係る窒化物半導体(この例では、窒化物半導体110)と、第1電極51と、第2電極52と、第3電極53と、絶縁部材61と、を含む。半導体装置121においては、第3電極53は、第2方向(例えば、X軸方向)において、第6部分領域15f及び第7部分領域15gと重ならない。第3電極53は、第2方向(例えば、X軸方向)において、第4部分領域10d及び第5部分領域10eと重ならない。半導体装置121は、例えば、ノーマリオン型である。
【0081】
(第3実施形態)
第3実施形態は、窒化物半導体の製造方法に係る。第3実施形態に係る窒化物半導体の製造方法は、ウェーハの製造方法、または、半導体装置の製造方法に適用されても良い。
【0082】
図9は、第3実施形態に係る窒化物半導体の製造方法を例示するフローチャート図である。
図9に示すように、実施形態に係る窒化物半導体の製造方法において、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含む第1窒化物領域11の第1部分11aを第1温度で形成する(ステップS120)。第1部分11aの形成の後に、第1窒化物領域11の第2部分11bを第1温度よりも高い第2温度で形成する(ステップS130)。第2部分11bの形成の後に、Alx2Ga1-x2N(0≦x2<1、x2<x1)を含む第2窒化物領域12を形成する(ステップS140)。図9に示すように、ステップS120の前に、基体18sを加熱処理しても良い(ステップS110)。
【0083】
上記のような温度により、第1部分11aにおける酸素濃度C(O)は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)よりも高くなる。
【0084】
第2部分11bにおける酸素濃度C(O)は、1×1018/cm以下である。第1部分11aの第1厚さtaは、第2部分11bの第2厚さtbよりも薄い。
【0085】
このような製造方法により、品質を向上できる窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法が提供できる。
【0086】
実施形態において、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)は、3×1016/cm以上であることが好ましい。1×1018/cmを超え、3.6×1020/cm以下であることが好ましい。
【0087】
上記の第1温度は、例えば、550℃以上800℃以下である。上記の第2温度は、例えば、1000℃以上である。第2温度は、例えば、1100℃以下である。
【0088】
例えば、第2窒化物領域12の形成における第3温度は、上記の第1温度よりも高い。第2窒化物領域12において低い酸素濃度C(O)が得られる。第2窒化物領域12における酸素濃度C(O)は、第2部分11bにおける酸素濃度C(O)よりも低い。
【0089】
実施形態において、窒化物領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。窒化物領域における組成及び元素濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。窒化物領域における組成に関する情報は、例えば、X線逆格子空間マッピングなどにより得られても良い。
【0090】
実施形態によれば、反りを抑制可能な窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法を提供することができる。
【0091】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、窒化物半導体に含まれる、窒化物部材、窒化物領域及び基体などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0092】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0093】
その他、本発明の実施の形態として上述した窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての窒化物半導体、半導体装置及び窒化物半導体の製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0094】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10M…窒化物部材、 10a~10e…第1~第5部分領域、 11~15…第1~第5窒化物領域、 11a、11b…第1、第2部分、 13a、13b…第1、第2領域、 14a、14b…第1、第2膜領域、 15f…第6部分領域、 15g…第7部分領域、 18s…基体、 51~53…第1~第3電極、 61…絶縁部材、 61p…第1絶縁領域、 110、111…窒化物半導体、 120、121…半導体装置、 210、211…ウェーハ、 C(O)、C(O)1…酸素濃度、 Ct1…厚さ比、 DD1…欠陥密度、 DD2…形状欠陥密度、 Int_Al…2次イオン強度、 SPL1、SPL2…第1、第2試料、 pZ…位置、 t1、t2…第1、第2領域厚さ、 ta、tb…第1、第2厚さ、 tr1~tr5…第1~第5窒化物領域厚さ、 tr4a、tr4b…第1、第2膜領域厚さ
図1
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図9