(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】印刷ジョブ管理方法、印刷方法、印刷ジョブ管理装置、印刷装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20250618BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250618BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20250618BHJP
【FI】
G06F3/12 351
G06F3/12 303
G06F3/12 341
B41J29/38 204
B41J29/38 201
B41J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2021162449
(22)【出願日】2021-10-01
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】西出 浩
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-064053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00-29/70
B41J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機において長尺帯状の連続基材に対して印刷される印刷内容が規定された印刷ジョブを
コンピュータが管理する印刷ジョブ管理方法であって、
a)
コンピュータが複数の連続基材のリストであって、各前記連続基材の残りの長さを示す残量情報を含む連続基材属性情報が登録された連続基材リストを準備する工程と、
b)
前記コンピュータが、複数の前記印刷ジョブのリストであって、各前記印刷ジョブの印刷に必要な前記連続基材の長さを示す印刷長情報を含むジョブ属性情報が登録されたジョブリストを準備する工程と、
c)
前記コンピュータが、前記連続基材属性情報と前記ジョブ属性情報とに基づいて、前記連続基材リストの中から選択される前記連続基材と、当該選択される連続基材に対して印刷可能であって前記ジョブリストの中から抽出される前記印刷ジョブとを規定したジョブバッチを生成する工程と、
を含
み、
前記印刷ジョブの前記ジョブ属性情報は、分割条件を含み、
前記分割条件は、前記複数の印刷ジョブを複数の前記ジョブバッチに分割するための条件を定義しており、
前記工程c)は、前記コンピュータが、前記分割条件に基づいて前記複数の印刷ジョブを前記複数のジョブバッチに分割する工程を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記工程c)は、
前記コンピュータが、前記連続基材リストから、残量が少ない連続基材を優先して選択する工程、を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記工程c)は、
前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブの印刷を実行するために使用される前記連続基材の数が最小となるように、前記連続基材リストから前記連続基材を選択する工程、を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記工程c)は、
前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブを、前記ジョブリストに規定されている順序を維持しつつ、複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記工程c)は、
前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブを、順序不同で複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項6】
請求項
1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記連続基材属性情報は、連続基材の種類を示す種類情報をさらに含み、
前記ジョブ属性情報は、印刷に使用すべき連続基材の種類を示す基材情報を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法であって、
前記工程c)は、前記複数の印刷ジョブの中に同じ印刷物を複数部印刷する印刷ジョブが含まれている場合、前記コンピュータが、当該印刷ジョブを部数単位で複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む、印刷ジョブ管理方法。
【請求項8】
印刷方法であって、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法と、
前記ジョブバッチに規定された前記連続基材に対して、前記ジョブバッチに規定された前記印刷ジョブに基づいて印刷を行う工程と、
を含む、印刷方法。
【請求項9】
印刷機において長尺帯状の連続基材に対して印刷される印刷内容が規定された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理装置であって、
複数の前記連続基材のリストであって、各前記連続基材の残りの長さを示す残量情報を含む連続基材属性情報が登録された連続基材リストを管理する連続基材リスト管理部と、
複数の前記印刷ジョブのリストであって、各前記印刷ジョブの印刷に必要な前記連続基材の長さを示す印刷長情報を含むジョブ属性情報が登録されたジョブリストを管理するジョブリスト管理部と、
前記連続基材属性情報と前記ジョブ属性情報とに基づいて、前記連続基材リストの中から選択される前記連続基材と、当該選択される連続基材に対して印刷可能であって前記ジョブリストの中から抽出される前記印刷ジョブとを規定したジョブバッチを生成するジョブバッチ生成部と、
を備え
、
前記印刷ジョブの前記ジョブ属性情報は、分割条件を含み、
前記分割条件は、前記複数の印刷ジョブを複数の前記ジョブバッチに分割するための条件を定義しており、
前記ジョブバッチ生成部は、前記分割条件に基づいて前記複数の印刷ジョブを前記複数のジョブバッチに分割する工程を含む、印刷ジョブ管理装置。
【請求項10】
印刷装置であって、
請求項9に記載の印刷ジョブ管理装置と、
前記印刷ジョブ管理装置によって生成された前記ジョブバッチに規定されている前記連続基材に対して、前記ジョブバッチが有する前記印刷ジョブに基づいて印刷を行う印刷機と、
を備える、印刷装置。
【請求項11】
コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷ジョブ管理方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、印刷ジョブ管理方法、印刷方法、印刷ジョブ管理装置、印刷装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙などの連続基材に印刷を行う印刷装置においては、連続基材に対して、複数の印刷ジョブが割り当てられる場合がある。例えば、特許文献1では、1本のロール紙に複数の印刷ジョブが割り当てられる場合において、印刷ジョブの組合せに応じて、印刷に要する時間の見積もりを動的に変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記印刷装置においては、まず、新品の連続基材を使用して印刷が行われ、その印刷量に応じて、一部使用済みの連続基材が生じる場合がある。この一部使用済の連続基材を別の印刷ジョブで使用する場合、まず、ユーザが、前回の使用量に基づいて当該連続基材の残量を計算し、その連続基材の残量に印刷可能な印刷ジョブを設定する。そして、設定された印刷ジョブに基づいて印刷が行われることによって、一部使用済の連続基材が消費される。
【0005】
しかしながら、残量が異なる複数の連続紙がある場合、どの連続紙に対してどの印刷ジョブを割り当てるべきかを決定する作業は、極めて煩雑であり、ユーザにとって負担が大きい。このため、残量が異なる複数の連続基材を有効に消費する技術が求められている。
【0006】
本発明の目的は、残量が異なる複数の連続基材を有効に消費できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1態様は、印刷機において長尺帯状の連続基材に対して印刷される印刷内容が規定された印刷ジョブをコンピュータが管理する印刷ジョブ管理方法であって、a)コンピュータが複数の連続基材のリストであって、各前記連続基材の残りの長さを示す残量情報を含む連続基材属性情報が登録された連続基材リストを準備する工程と、b)前記コンピュータが、複数の前記印刷ジョブのリストであって、各前記印刷ジョブの印刷に必要な前記連続基材の長さを示す印刷長情報を含むジョブ属性情報が登録されたジョブリストを準備する工程と、c)前記コンピュータが、前記連続基材属性情報と前記ジョブ属性情報とに基づいて、前記連続基材リストの中から選択される前記連続基材と、当該選択される連続基材に対して印刷可能であって前記ジョブリストの中から抽出される前記印刷ジョブとを規定したジョブバッチを生成する工程と、を含み、前記印刷ジョブの前記ジョブ属性情報は、分割条件を含み、前記分割条件は、前記複数の印刷ジョブを複数の前記ジョブバッチに分割するための条件を定義しており、前記工程c)は、前記コンピュータが、前記分割条件に基づいて前記複数の印刷ジョブを前記複数のジョブバッチに分割する工程を含む。
【0008】
第2態様は、第1態様の印刷ジョブ管理方法であって、前記コンピュータが、前記連続基材リストから、残量が少ない連続基材を優先して選択する工程、を含む。
【0009】
第3態様は、第1態様の印刷ジョブ管理方法であって、前記工程c)は、前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブの印刷を実行するために使用される前記連続基材の数が最小となるように、前記連続基材リストから前記連続基材を選択する工程を含む。
【0010】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法であって、前記工程c)は、前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブを、前記ジョブリストに規定されている順序を維持しつつ、複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む。
【0011】
第5態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法であって、前記工程c)は、前記コンピュータが、前記ジョブリストの前記複数の印刷ジョブを、順序不同で複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む。
【0013】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法であって、前記連続基材属性情報は、連続基材の種類を示す種類情報をさらに含み、前記ジョブ属性情報は、印刷に使用すべき連続基材の種類を示す基材情報を含む。
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法であって、前記工程c)は、前記複数の印刷ジョブの中に同じ印刷物を複数部印刷する印刷ジョブが含まれている場合、前記コンピュータが、当該印刷ジョブを部数単位で複数の前記ジョブバッチに分割する工程を含む。
【0014】
第8態様は、印刷方法であって、第1態様から第7態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法と、前記ジョブバッチに規定された前記連続基材に対して、前記ジョブバッチに規定された前記印刷ジョブに基づいて印刷を行う工程とを含む。
【0015】
第9態様は、印刷機において長尺帯状の連続基材に対して印刷される印刷内容が規定された印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理装置であって、複数の前記連続基材のリストであって、各前記連続基材の残りの長さを示す残量情報を含む連続基材属性情報が登録された連続基材リストを管理する連続基材リスト管理部と、複数の前記印刷ジョブのリストであって、各前記印刷ジョブの印刷に必要な前記連続基材の長さを示す印刷長情報を含むジョブ属性情報が登録されたジョブリストを管理するジョブリスト管理部と、前記連続基材属性情報と前記ジョブ属性情報とに基づいて、前記連続基材リストの中から選択される前記連続基材と、当該選択される連続基材に対して印刷可能であって前記ジョブリストの中から抽出される前記印刷ジョブとを規定したジョブバッチを生成するジョブバッチ生成部とを備え、前記印刷ジョブの前記ジョブ属性情報は、分割条件を含み、前記分割条件は、前記複数の印刷ジョブを複数の前記ジョブバッチに分割するための条件を定義しており、前記ジョブバッチ生成部は、前記分割条件に基づいて前記複数の印刷ジョブを前記複数のジョブバッチに分割する工程を含む。
【0016】
第10態様は、印刷装置であって、第9態様の印刷ジョブ管理装置と、前記印刷ジョブ管理装置によって生成された前記ジョブバッチに規定されている前記連続基材に対して、前記ジョブバッチが有する前記印刷ジョブに基づいて印刷を行う印刷機とを備える。
【0017】
第11態様は、コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピュータに、第1態様から第7態様のいずれか1つの印刷ジョブ管理方法を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
第1態様から第7態様の印刷ジョブ管理方法によれば、残量が異なる複数の連続基材がある場合でも、各連続基材の残量と、各印刷ジョブの印刷長とに応じて、連続基材と印刷ジョブとの適切な組合せを規定したジョブバッチが生成される。このジョブバッチに基づいて印刷が行われることにより、残量が異なる複数の連続基材を有効に消費できる。
また、1つの印刷ジョブを複数のジョブバッチに分けることにより、連続基材を効率良く消費できる。
【0019】
第2態様の印刷ジョブ管理方法によれば、残量が少ない連続基材が優先して使用される。これにより、複数の連続基材を効率良く消費できる。
【0020】
第3態様の印刷ジョブ管理方法によれば、連続基材の交換回数を最小にできるため、効率良く印刷を行うことができる。
【0021】
第4態様の印刷ジョブ管理方法によれば、ジョブリストに規定された順序で印刷できる。
【0022】
第5態様の印刷ジョブ管理方法によれば、ジョブリストに規定された順序に関わらず、連続基材の残量に合わせて、連続基材に印刷ジョブを割り当てることができる。このため、連続基材を効率よく消費できる。
【0024】
第7態様の印刷ジョブ管理方法によれば、複数の種類の連続基材がある場合でも、連続基材と印刷ジョブとの適切な組合せを規定したジョブバッチを生成できる。
【0025】
第8態様の印刷方法によれば、ジョブバッチに規定されている印刷ジョブに基づいて印刷を行うことができる。
【0026】
第9態様の印刷ジョブ管理装置によれば、残量が異なる複数の連続基材がある場合でも、連続基材と印刷ジョブとの適切な組合せを規定するジョブバッチが生成される。このジョブバッチに基づいて印刷が行われることにより、残量が異なる複数の連続基材を有効に消費できる。
また、1つの印刷ジョブを複数のジョブバッチに分けることにより、連続基材を効率良く消費できる。
【0027】
第10態様の印刷装置によれば、ジョブバッチに規定されている連続基材に対して、印刷ジョブに基づいて印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】印刷ジョブ管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】印刷システムが実行する処理の流れを示す図である。
【
図6】連続紙選択条件が「消費優先」である場合の、ジョブバッチ生成部の動作の流れを示す図である。
【
図7】連続紙選択条件が「効率優先」である場合の、ジョブバッチ生成部の動作の流れを示す図である。
【
図8】「消費優先」で生成される3つのジョブバッチを示す図である。
【
図9】「効率優先」で生成される2つのジョブバッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0030】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る印刷システム1の構成を概略的に示す図である。印刷システム1(印刷装置)は、連続紙CPに印刷を行う印刷機10と、印刷機10による印刷を制御するための印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理装置30とを備えている。連続紙CPは、ロール状に巻かれた帯状の用紙により構成されている。
【0031】
<印刷機10>
図1に示すように、印刷機10は、供給ローラ11と、巻取ローラ13と、印刷部15と、印刷制御部20とを有している。
【0032】
供給ローラ11および巻取ローラ13は、不図示のフレーム部材に回転可能にそれぞれ支持されている。供給ローラ11は、ロール状の連続紙CPがセットされる。巻取ローラ13には、供給ローラ11にセットされた連続紙CPの先端部が固定される。巻取ローラ13は、不図示のモータによって回転駆動される。巻取ローラ13が回転することにより、連続紙CPは、供給ローラ11から引き出され、所定の搬送経路に沿って巻取ローラ13へ搬送される。
【0033】
印刷部15は、搬送経路に沿って搬送される連続紙CPの表面にインク滴を吐出して画像を形成する。印刷部15は、搬送方向の下流側(巻取ローラ13側)に向かって順に、黒色のインクを吐出する吐出ヘッド15Kと、シアン色のインクを吐出する吐出ヘッド15Cと、マゼンタのインクを吐出する吐出ヘッド15Mと、イエローインクを吐出する吐出ヘッド15Yとを有している。吐出ヘッド15K,15C,15M,15Yは、搬送経路に沿って搬送される連続紙CPの表面と対向する位置に配置されている。なお、吐出ヘッド15K、15C、15M、15Yの配置順はこの順番に限られない。例えば、吐出ヘッド15Y、15M、15C、15Kの順番で配置してもよい。
【0034】
印刷制御部20は、印刷機10の各部の動作を制御する。印刷制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、およびハードディスクなどの補助記憶装置等を備えたコンピュータにより構成され得る。印刷制御部20は、印刷ジョブ管理装置30から送信されるジョブバッチJBに基づいて、巻取ローラ13を回転させるモータ、および、印刷部15を制御することにより、印刷機10において印刷を実行させる。ジョブバッチJBの内容については、後述する。
【0035】
図1に示すように、印刷システム1は、連続紙載置部22を有する。連続紙載置部22は、複数の連続紙CPを収容しておくことのできる載置スペースである。連続紙ストッカー22には、新品の連続紙CPだけでなく、印刷機10等において完全に使用されずに一部が残った中古の連続紙CPも収容されてもよい。このように、連続紙ストッカー22には、印刷可能な残りの長さが異なる複数の連続紙CPが収容される。なお、印刷機10は、連続紙ストッカー22から目的の連続紙CPを取り出す装置、および、連続紙CPを印刷機10の供給ローラ11および巻取ローラ13にセットする装置を備えていてもよい。
【0036】
<印刷ジョブ管理装置>
印刷ジョブ管理装置30は、プロセッサ31と、記憶装置32と、入力部33と、ディスプレイ34と、通信部35とを備えている。記憶装置32、入力部33、ディスプレイ34および通信部35は、バス36を介してプロセッサ31と電気的に接続されている。
【0037】
プロセッサ31は、演算を行うCPU等の処理装置で構成される。記憶装置32は、RAMなどの主記憶装置を含む。記憶装置32は、ハードディスクなどの非一過性の補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶装置32は、各種情報、および、プログラムPを記憶している。
【0038】
入力部33は、ユーザが印刷ジョブ管理装置30に対して入力するための操作を受け付ける。入力部33は、キーボード、マウス、ボタン、またはスイッチ等で構成され得る。ディスプレイ34は、各種情報を表示する。ディスプレイ34は、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどで構成され得る。通信部35は、印刷ジョブ管理装置30と印刷機10の印刷制御部20との間で通信を実現するための装置である。
【0039】
なお、入力部33とディスプレイ34とは、別々の部材である必要はない。例えば、入力部33とディスプレイ34とは、ユーザからの入力を受け付ける機能と各種情報をユーザに表示する機能とを兼ね備えたタブレット端末のようなデバイスであってもよい。
【0040】
印刷ジョブ管理装置30は、光ディスクなどの非一過性の記録媒体(不図示)に記録された情報を読み取る読取装置を備えていてもよい。また、記録媒体に記録されたプログラムPを読取装置で読み取ることによって、プログラムPが印刷ジョブ管理装置30に提供されてもよい。また、プログラムPが、インターネットなどの通信ネットワークを介して、印刷ジョブ管理装置30に提供されてもよい。
【0041】
図2は、印刷ジョブ管理装置30の機能構成を示すブロック図である。
図2に示す、ジョブリスト管理部311と、連続紙リスト管理部313と、ジョブバッチ生成部315とは、プロセッサ31がプログラムPにしたがって動作することにより実現される印刷ジョブ管理装置30の機能である。また、ジョブリスト記憶部321、連続紙リスト記憶部323、および、ジョブバッチ記憶部325は、記憶装置32によって実現される機能である。
【0042】
ジョブリスト管理部311は、印刷機10において実行されるべき印刷の内容を規定した印刷ジョブを管理する。具体的には、ジョブリスト管理部311は、ジョブリスト記憶部321に記憶させたジョブリストL1に基づいて、複数の印刷ジョブを管理する。
【0043】
図3は、ジョブリストL1を示す図である。
図3に示すように、ジョブリストL1には、各印刷ジョブの識別名(印刷ジョブID)と、各印刷ジョブの属性を示すジョブ属性情報とが、一対一対応で登録される。ジョブ属性情報は、例えば、用紙情報と、印刷長情報とを含む。用紙情報は、印刷ジョブの印刷に使用すべき連続紙CPの種類を示す情報である。印刷長情報は、印刷ジョブの印刷に必要な連続紙CPの長さを示す情報である。
【0044】
図3に示すジョブリストL1の例では、100個の印刷ジョブJ001~J100が登録されている。また、ジョブ属性情報として、「用紙R1」という用紙情報と、「100m」という印刷長情報とが登録されている。
【0045】
印刷すべき新たな印刷ジョブが発生した場合、ジョブリスト管理部311は、その新たな印刷ジョブをジョブリストL1に追加する。すなわち、ジョブリスト管理部311は、新たな印刷ジョブの識別名と、その印刷ジョブのジョブ属性情報とをジョブリストL1に登録する。また、ジョブリスト管理部311は、印刷機10に対して印刷の指示が出された印刷ジョブ、または、印刷機10において印刷が完了した印刷ジョブを、ジョブリストL1から削除する。このように、ジョブリストL1は、ジョブリスト管理部311によって適宜更新される。
【0046】
図2に戻って、連続紙リスト管理部313は、印刷機10において使用される連続紙CPを管理する。具体的には、連続紙リスト管理部313は、連続紙ストッカー22に収容されている複数の連続紙CPを、連続紙リスト記憶部323に記憶させた連続紙リストL2に基づいて管理する。
【0047】
図4は、連続紙リストL2を示す図である。
図4に示すように、連続紙リストL2には、各連続紙CPの識別名(連続紙ID)と、各連続紙CPの属性を示す連続紙属性情報とが一対一対応で登録される。連続紙属性情報は、例えば、種類情報と、残量情報とを含む。種類情報は、連続紙の種類を示す情報である。残量情報は、印刷に使用することが可能な残りの長さを示す情報である。
【0048】
図4に示す連続紙リストL2の例では、4個の連続紙CP01~CP04が登録されている。また、連続紙属性情報として、「用紙R1」という種類情報と、「2000m」、「3000m」、「5000m」、「8000m」という残量情報とが登録されている。
【0049】
新たな連続紙CPが連続紙ストッカー22に追加される場合、ジョブリスト管理部311は、ユーザの操作入力に基づいて、新たな連続紙CPを連続紙リストL2に追加する。すなわち、ジョブリスト管理部311は、新たな連続紙CPの識別名と、その連続紙CPの連続紙属性情報とを連続紙リストL2に登録する。また、連続紙リストL2に登録されている連続紙CPが印刷機10において使用される場合、ジョブリスト管理部311は、使用される連続紙CPの連続紙属性情報を、使用量に応じて適宜更新する。また、連続紙CPは、使用等によって連続紙CPが廃棄される場合、ユーザの操作入力に基づいて、その廃棄される連続紙CPの情報を連続紙リストL2から削除する処理を行う。このように、連続紙リストL2は、連続紙リスト管理部313によって適宜更新される。
【0050】
図2に戻って、ジョブバッチ生成部315は、ジョブバッチJBを生成する。ジョブバッチJBは、所定の条件に基づいて選択される1つの連続紙CPと、その選択された連続紙CPに対して印刷可能であって、ジョブリストL1の中から選択される印刷ジョブとを規定するデータである。ジョブバッチ生成部315が生成したジョブバッチJBは、ジョブバッチ記憶部325に記憶される。
【0051】
図3に示す例では、100個の印刷ジョブJ001~J100から、3つのジョブバッチJB01,JB02,JB03が生成されている。ジョブバッチJB01,JB02,JB03には、対応する連続紙CPの識別名(CP01,CP02,CP03)とともに、各連続紙CPに割り当てられる印刷ジョブJ001~J020,J021~J050,J051~J100がそれぞれ登録されている。
【0052】
印刷ジョブ管理装置30は、生成したジョブバッチJBを、印刷機10の印刷制御部20に送信する(
図1参照)。印刷機10は、各ジョブバッチJBに登録されている印刷ジョブに基づいて印刷を実行する。
【0053】
図5は、印刷システム1が実行する処理の流れを示す図である。
図5に示すステップS11~ステップS16およびステップS18は、印刷ジョブ管理装置30において実行される処理である。また、
図5に示すステップS17は、印刷機10において実行される処理である。
【0054】
まず、印刷ジョブ管理装置30において、ジョブリストL1および連続紙リストL2が準備される(ステップS11)。ジョブリストL1および連続紙リストL2は、ジョブリスト記憶部321および連続紙リスト記憶部323にそれぞれ保存される。
【0055】
ジョブリストL1および連続紙リストL2が準備されると、ユーザにより、印刷を行う連続紙CPの種類が選択される(ステップS12)。この種類選択は、入力部33を介して行われる。
【0056】
ジョブバッチ生成部315は、ジョブリストL1から、ステップS12において選択された種類に一致する用紙情報の印刷ジョブを取得する(ステップS13)。このステップS13で取得される印刷ジョブの一群を、「対象印刷ジョブ群」と称する。
【0057】
ステップS13の印刷ジョブの取得が完了すると、ユーザにより、連続紙選択条件が設定される(ステップS14)。連続紙選択条件は、印刷に使用する連続紙CPを、連続紙リストL2から選択するときに適用されるルールである。連続紙選択条件として、例えば、「消費優先」と、「効率優先」が想定される。
【0058】
「消費優先」では、残量が少ない連続紙CPをできるだけ優先して使用する設定である。例えば、
図4に示す連続紙リストL2の場合、残量が最も少ない連続紙CP01が優先的に使用される。連続紙CP01のみでは足りない場合、連続紙CP02、CP03、CP04の順で使用される。「消費優先」が設定された場合、残量が少ない連続紙CPが優先して選択されるため、ストックされている複数の連続紙CPを無駄なく使用することができる。
【0059】
「効率優先」では、印刷に使用される連続紙CPの数をできる限り最小とする設定である。「効率優先」が設定された場合、対象印刷ジョブ群を印刷するために必要な連続紙CPの交換回数をできる限り小さくすることができる。したがって、印刷を効率良く行うことができる。なお、「効率優先」の場合においても、できるだけ残量の少ない連続紙CPが優先的に選択される。こうすることによって、ストックされている連続紙CPを効率良く消費できる。
【0060】
連続紙選択条件の設定が完了すると、ユーザにより、印刷ジョブの分割条件が設定される(ステップS15)。印刷ジョブの分割条件は、対象印刷ジョブ群を複数のグループに分割する際に適用されるルールである。分割条件としては、具体的には、「分割不可」と、「分割可・順序維持」と、「分割可・順序不同」とが想定される。
【0061】
「分割不可」は、対象印刷ジョブ群の分割が許されない設定である。例えば、対象印刷ジョブ群のすべてを同じ連続紙CPに印刷する必要がある場合、分割条件が「分割不可」に設定される。「分割不可」の場合、1つの連続紙CPに対して、全ての対象印刷ジョブ群が割り当てられたジョブバッチJBが生成される。
【0062】
「分割可・順序維持」は、対象印刷ジョブ群を複数のグループに分割する際に、ジョブリストL1おいて規定されている順序を維持する設定である。例えば、ジョブリストL1に対してユーザが意図した順序で各印刷ジョブが登録されていた場合、印刷の順序が変更されると、印刷後の印刷物について、入れ替えや並べ替えなどの作業が必要となる。このような場合には、分割条件が「順序維持」に設定されることにより、印刷の順序が維持されるため、並べ替えや入れ替えなどの作業の発生を抑制できる。
【0063】
「分割可・順序不同」は、対象印刷ジョブ群を複数のグループに分割する際に、ジョブリストL1において規定されている順序を維持しない設定である。ジョブリストL1の順序を維持する必要が無い場合には、分割条件が「順序不同」に設定される。
【0064】
ステップS14において連続紙選択条件が設定され、かつ、ステップS15において分割条件が設定されると、ジョブバッチ生成部315がジョブバッチJBを生成する(ステップS16)。ジョブバッチ生成部315は、ジョブリストL1に登録されたジョブ属性情報と、連続紙リストL2に登録された連続紙属性情報と、連続紙選択条件と、分割条件とに基づいて、ジョブバッチJBを生成する。
【0065】
ジョブバッチ生成部315は、ジョブバッチJBを生成する場合、まず、1つの連続紙CPを選択する。この連続紙CPの選択は、ステップS14で設定される連続紙選択条件(「消費優先」または「効率優先」)に応じて行われる。そして、ジョブバッチ生成部315は、選択された連続紙CPに対して、対象印刷ジョブ群から抽出した1つ以上の印刷ジョブを割り当てる。
【0066】
<分割不可の場合>
分割条件が「分割不可」の場合、対象印刷ジョブ群のすべてを一度に印刷する必要がある。このため、ジョブバッチ生成部315は、対象印刷ジョブ群を一度に印刷することが可能な長さ、すなわち、対象印刷ジョブ群の総印刷長以上の長さを有する連続紙CPを選択する。そして、ジョブバッチ生成部315は、選択した連続紙CPと、対象印刷ジョブ群とを登録した、1つのジョブバッチJBを生成する。なお、一度に印刷することが可能な連続紙CPが連続紙リストL2に存在しない場合、ジョブバッチ生成部315は、印刷不可能であることを示すエラーをディスプレイ34に表示させてもよい。
【0067】
<分割可の場合>
分割条件が「分割可・順序維持」または「分割可・順序不同」の場合、ジョブバッチ生成部315は、連続紙選択条件に従って1つの連続紙CPを選択し、その連続紙CPに対して印刷することが可能な1つ以上の印刷ジョブを対象印刷ジョブ群から抽出する。その際、分割条件が「分割可・順序維持」の場合は、ジョブバッチ生成部315は、ジョブリストL1に規定された順序で、印刷ジョブを順に抽出する。一方、分割条件が「分割可・順序不同」の場合、ジョブバッチ生成部315は、ジョブリストL1から順序不同で印刷ジョブを抽出する。ジョブバッチ生成部315は、抽出する印刷ジョブの印刷長の総和が、選択中の連続紙CPの残量を越えないように、1つ以上の印刷ジョブを抽出する。そして、ジョブバッチ生成部315は、選択中の連続紙CPと、抽出した印刷ジョブとがペアで登録されたジョブバッチJBを生成する。
【0068】
次に、
図5に示すステップS16(ジョブバッチの生成処理)の詳細について、連続紙選択条件が「消費優先」の場合と「効率優先」の場合とに場合分けて説明する。
【0069】
図6は、連続紙選択条件が「消費優先」である場合の、ジョブバッチ生成部315の動作の流れを示す図である。連続紙選択条件が「消費優先」である場合、ジョブバッチ生成部315は、まず、連続紙リストL2に登録された連続紙CPであってステップS12で選択された用紙種類に合致する1以上の連続紙CPの中から、残量が最も少ない連続紙CPを選択する(ステップS21)。そして、ジョブバッチ生成部315は、対象印刷ジョブ群の中に、ステップS21で選択した連続紙CPに割り当て可能な印刷ジョブが存在するか否かを判定する(ステップS22)。このときジョブバッチ生成部315は、ステップS21で選択された連続紙CPの残量と、未登録の印刷ジョブの印刷長と、分割条件とに応じて、割り当て可能な印刷ジョブの有無を判定する。
【0070】
ステップS22において、対象印刷ジョブ群の中に割り当て可能な印刷ジョブが存在すると判定された場合(Yesの場合)、ジョブバッチ生成部315は、ステップS21で選択された連続紙CP(選択中の連続紙CP)に対して、1つ以上の印刷ジョブを割り当てる(ステップS23)。すなわち、ジョブバッチ生成部315は、選択中の連続紙CPと、1つ以上の印刷ジョブとを登録したジョブバッチJBを生成する。
【0071】
分割条件が「順序維持」の場合、ステップS22において、対象印刷ジョブ群の中でジョブバッチJBに登録されていない未登録の印刷ジョブのうち、ジョブリストL1内で最もジョブIDの順序が若い印刷ジョブが抽出される。そして、その印刷ジョブが、選択中の連続紙CPに対して印刷可能か判定される。印刷可能であると判定された場合、ステップS23において、印刷長の和が選択中の連続紙CPの残量を越えない範囲で、ジョブリストL1内のジョブIDの順序に従って、印刷ジョブが順に抽出される。
【0072】
分割条件が「順序不同」の場合、ステップS22において、選択中の連続紙CPに印刷可能な印刷ジョブがあるか判定される。そして、印刷可能な印刷ジョブがあると判定された場合には、ステップS23において、印刷長の和が選択中の連続紙CPの残量を越えない範囲で、未登録の印刷ジョブ群から印刷ジョブが順序不同で抽出される。順序不同の場合、ジョブリストL1におけるジョブIDの順序に関わらず、複数の印刷ジョブが選択中の連続紙CPに対して割り付けられる。このため、「順序不同」の場合には、連続紙CPの残量を効率よく消費できる。
【0073】
ジョブバッチ生成部315は、ステップS23を完了した場合、または、ステップS22において割り当て不可能と判定した場合、選択中の連続紙CPを、選択候補から除外する処理を行う(ステップS24)。ステップS24は、例えば、連続紙リストL2において、選択中の連続紙CPにフラグを立てる処理である。ステップS24により、同じ連続紙CPが再び選択され、ジョブバッチJBが生成されることを抑制できる。
【0074】
ステップS24の後、ジョブバッチ生成部315は、対象印刷ジョブ群に含まれる全ての印刷ジョブがジョブバッチJBに登録されたかどうかを判定する(ステップS25)。ステップS25により対象印刷ジョブ群の中に未登録の印刷ジョブが存在すると判定された場合(Noの場合)、ジョブバッチ生成部315は、ステップS21以降の処理を再び実行する。一方、ステップS25において対象印刷ジョブ群に含まれる全ての印刷ジョブがジョブバッチJBに登録されたと判定された場合(Yesの場合)、ジョブバッチ生成部315は、ジョブバッチJBの生成処理を終了する。
【0075】
図7は、連続紙選択条件が「効率優先」である場合の、ジョブバッチ生成部315の動作の流れを示す図である。連続紙選択条件が「効率優先」である場合、ジョブバッチ生成部315は、まず、連続紙リストL2に登録された連続紙CPであってステップS12で選択された用紙種類に合致する1以上の連続紙CPの中に未登録の印刷ジョブを全て印刷することが可能な連続紙CPが存在するか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31において、印刷可能な連続紙CPが存在すると判定された場合、ジョブバッチ生成部315は、その連続紙CPを選択する(ステップS32)。ステップS31において、印刷可能な連続紙CPが存在しないと判定された場合、ジョブバッチ生成部315は、残量が最も多い連続紙CPを選択する(ステップS33)。
【0076】
ジョブバッチ生成部315は、ステップS32またはステップS33によって連続紙CPを選択すると、当該連続紙CP(選択中の連続紙CP)に対して印刷ジョブを割り当てたジョブバッチJBを生成する(ステップS34)。具体的に、ジョブバッチ生成部315は、印刷長の和が選択中の連続紙CPの残量を越えない範囲で、かつ、分割条件に従って、対象印刷ジョブ群の中からジョブバッチJBに登録されていない印刷ジョブを抽出する。この印刷ジョブの抽出は、ステップS23と同様に行われる。そして、ジョブバッチ生成部315は、選択中の連続紙CPと、抽出した印刷ジョブとを登録したジョブバッチJBを生成する。
【0077】
ジョブバッチ生成部315は、ステップS34を完了すると、連続紙リストL2において、選択中の連続紙CPについて、ステップS32またはステップS33における選択対象から除外する処理を行う(ステップS35)。ステップS35は、例えば、連続紙リストL2において、選択中の連続紙CPにフラグを立てる処理である。ステップS35により、同じ連続紙CPが再び選択され、ジョブバッチJBが生成されることを抑制できる。
【0078】
ステップS35の後、ジョブバッチ生成部315は、対象印刷ジョブ群に含まれる印刷ジョブの全てがジョブバッチJBに登録されたかを判定する(ステップS36)。ジョブバッチ生成部315は、ステップS36により対象印刷ジョブ群の中に未登録の印刷ジョブが存在すると判定した場合、再びステップS31へ戻り、ステップS31以降の各処理を実行する。一方、ジョブバッチ生成部315は、ステップS36において、対象印刷ジョブ群に含まれる印刷ジョブの全てがジョブバッチJBに登録されたと判定した場合、ジョブバッチJBの生成処理を終了する。
【0079】
図5に戻って、ジョブバッチJBが生成されると、印刷ジョブ管理装置30は、ジョブバッチJBを印刷機10の印刷制御部20に送信する。印刷機10は、受信したジョブバッチJBに基づいて印刷を実行する(ステップS17)。この際、ジョブバッチJBに登録されている連続紙CPが、供給ローラ11及び巻取ローラ13にセットされ、ジョブバッチJBに登録されている印刷ジョブに基づいて、印刷が実行される。
【0080】
ステップS17において、印刷ジョブ管理装置30のディスプレイ34か、もしくは、印刷機10に備え付けられたディスプレイ(不図示)に、印刷機10に取り付けられるべき連続紙CPの情報が表示されてもよい。そして、ユーザが、表示された連続紙CPを印刷機10に取り付けるようにしてもよい。また、印刷機10が連続紙ストッカー22から特定の連続紙CPを取り出す装置を備えている場合、当該装置が、ジョブバッチJBに基づいて、対象の連続紙CPを連続紙ストッカー22から取り出すようにしてもよい。
【0081】
ステップS17の後、ジョブリスト管理部311および連続紙リスト管理部313は、ジョブリストL1および連続紙リストL2をそれぞれ更新する(ステップS18)。例えば、ジョブリスト管理部311は、ステップS18において、印刷が完了した印刷ジョブをジョブリストL1から削除する。なお、ジョブリスト管理部311は、印刷ジョブを削除する代わりに、該当の印刷ジョブの印刷が完了したことを、ジョブリストL1に記録する処理(例えば、フラグ処理)を行ってもよい。また、連続紙リスト管理部313は、印刷に使用された連続紙CPについて、連続紙リストL2に登録されている残量を、使用量に応じて更新する。具体的には、連続紙リスト管理部313は、連続紙リストL2に登録されている残量を、当該残量から使用量を差し引いた値とする。このように、連続紙リストL2に登録されている連続紙CPの残量が更新されるため、次回に印刷ジョブを印刷する際に、適切な連続紙CPを選択することができる。また、連続紙リスト管理部313は、印刷に使用された連続紙CPが使用不能(残量がゼロまたは所定の閾値未満)になった場合、連続紙リストL2から削除する処理、あるいは、使用不能になったことを記録する処理を行ってもよい。
【0082】
なお、ステップS18(リスト更新処理)が、ステップS17(印刷処理)の後に行われることは必須ではない。ステップS18は、ステップS16(ジョブバッチJBの生成処理)の後の任意のタイミングで実行されるようにしてもよい。
【0083】
図8は、「消費優先」で生成される3つのジョブバッチJB11,JB12,JB13を示す図である。また、
図9は、「効率優先」で生成される2つのジョブバッチJB21,JB22を示す図である。
【0084】
図8および
図9は、
図4に示す連続紙リストL2に登録された5つの連続紙CP01~CP04を使って、
図3に示すジョブリストL1に登録された100個の印刷ジョブJ001~J100を実行する場合に生成されるジョブバッチを示している。印刷ジョブJ001~J100の印刷長は、いずれも100mとしている。また、連続紙CP01~CP04の残量は、それぞれ2000m、3000m、5000m、8000mとしている。また、ジョブバッチJBを生成する分割条件として、「分割可・順序維持」を適用している。
【0085】
上述したように「消費優先」では、残量が少ない連続紙CPが優先して選択される。このため、
図8に示すように、連続紙リストL2において残量が少ない連続紙CP01(2000m),CP02(3000m),CP03(5000m)について、ジョブバッチJB11~JB13が生成される。そして、ジョブバッチJB11~JB13には、各連続紙CPに印刷可能な量の,J001~J020(全印刷長2000m),J021~J050(全印刷長3000m),J051~J100(全印刷長5000m)がそれぞれ登録される。ジョブバッチJB11~JB13に基づいて印刷が行われることにより、連続紙リストL2に登録された4つの連続紙CP01~04のうち、残量が少ない3つの連続紙CP01~CP03を順に消費できる。
【0086】
一方、「効率優先」では、印刷に使用する連続紙CPの使用数が最少となるように、連続紙CPが選択される。このため、
図9に示すように、連続紙リストL2の中で、残量が最も多い連続紙CP04(8000m)に対応するジョブバッチJB21が生成される。そして当該ジョブバッチJB21には、連続紙CP04に印刷可能な印刷ジョブJ001~J080(全印刷長8000m)が登録される。そして、残りの印刷ジョブJ081~J100について、これらの印刷長を充足する連続紙CP01(残量2000m)が登録された2つ目のジョブバッチJB22が生成される。ジョブバッチJB21,JB22に基づいて印刷が行われた場合、2つの連続紙CPを使用するため、連続紙CPの交換が1回だけで済む。一方、「消費優先」では3つの連続紙CPを使用するため、連続紙CPの交換が2回必要となる。このように、「効率優先」によれば、連続紙CPの数を減らすことにより連続紙CPの交換作業を減らすことができるため、効率良く印刷できる。
【0087】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0088】
例えば、上記実施形態では、複数の印刷ジョブを、複数のジョブバッチJBに分割する際、印刷ジョブ単位で分割が行われている。しかしながら、1つの印刷ジョブを、複数のジョブバッチJBに分割するようにしてもよい。例えば、印刷ジョブの内容が、同じ印刷物を100部印刷するものである場合、当該印刷ジョブを50部ずつなど、部数単位で分割してもよい。このように、1つの印刷ジョブを分割することを許容することによって、連続紙CPの残量に対して、できるだけ多くの印刷ジョブを割り付けることができる。したがって、連続紙CPを効率良く消費できる。
【0089】
また、分割条件は、全印刷ジョブに対して一律に適用されてもよいが、印刷ジョブ毎に適用される分割条件を設定できるようにしてもよい。また、印刷ジョブ毎に、分割条件があらかじめジョブ属性情報として登録されていてもよい。例えば、印刷ジョブJ001~J0050が「印刷順序」、印刷ジョブJ051~J100が「順序不同」にあらかじめ設定されていてもよい。この場合、ジョブバッチ生成部315は、ジョブバッチJBを生成する際に、ジョブ属性情報に基づいて、印刷ジョブJ001~J050については「順序維持」を適用し、印刷ジョブJ051~J100については「順序不同」を適用するとよい。
【0090】
印刷機10は、印刷を終了した後に、印刷に使用した連続紙CPに対して、連続紙CPの識別名、連続紙CPの残量等が記録されたラベル(ラベルテープなど)を付与する機構を備えていてもよい。これにより、複数の連続紙CPとその残量を、付与されたラベルに基づいて管理できる。
【0091】
また、上記実施形態では、ロール状の連続紙CPを連続基材として例示している。しかしながら、連続基材がロール状であることは必須ではない。例えば、連続基材は、連続帳票のように、折り畳まれた形状であってもよい。また、連続基材は、紙に限定されない。連続基材は、例えば樹脂製のフィルムなど、紙以外の素材で構成されていてもよい。
【0092】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 印刷システム(印刷装置)
10 印刷機
15 印刷部
20 印刷制御部
30 印刷ジョブ管理装置
311 ジョブリスト管理部
313 連続紙リスト管理部
315 ジョブバッチ生成部
CP 連続紙
L1 ジョブリスト
L2 連続紙リスト
P プログラム