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特許7698700通信システム、端末装置および端末プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】通信システム、端末装置および端末プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/5069 20220101AFI20250618BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20250618BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20250618BHJP
【FI】
H04L61/5069
H04W4/06
H04W88/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023213240
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢明
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0240097(US,A1)
【文献】特表2014-527761(JP,A)
【文献】特表2023-550280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0164548(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0219849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0034129(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0337326(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0189296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 61/5069
H04W 4/06
H04W 88/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションを介して提供されるコンテンツデータが、ユニキャスト通信のウェブコンテンツ配信装置から入稿されるデータ入稿装置と、モバイルネットワークを実現するための機能を提供するネットワーク装置と、前記アプリケーションのうちのいずれかが導入される端末装置とを含む通信システムであって、
前記データ入稿装置は、
入稿された前記コンテンツデータを用いて、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の配信形態に応じたMBSデータを生成するデータ制御部と、
前記MBSデータの配信制御を行う配信制御部と、
を備え、
前記MBSデータは、当該MBSデータに基づくデータを提供するアプリケーションの識別情報を紐付けられた状態で、前記配信制御によって前記モバイルネットワーク内で保持され、
前記ネットワーク装置は、
前記前記MBSデータのうち、リクエストを行った前記アプリケーションに応じたMBSデータを前記端末装置が取得できるよう自装置に割り当てられる地域内の端末装置に対して、マルチキャストまたはブロードキャストで前記MBSデータを繰り返し配信する、
通信システム。
【請求項2】
前記コンテンツデータは、
記アプリケーションの管理者によって、前記アプリケーションを介して提供されるデータであるアプリデータとして前記データ入稿装置に入稿される、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記データ入稿装置は、
前記ネットワーク装置として、前記モバイルネットワークに組み込まれる、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記配信制御部は、
前記モバイルネットワーク内の基地局に前記MBSデータを送信し、
前記基地局は、
前記データ入稿装置から受信した前記MBSデータをマルチキャストまたはブロードキャストで繰り返し配信する、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記データ制御部は、
前記コンテンツデータを所定の単位で複数のデータに分割し、
前記配信制御部は、
前記分割で得られたセグメントデータで構成される前記MBSデータを前記基地局に送信する、
請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記データ制御部は、
前記MBSデータを構成する前記セグメントデータのそれぞれに、前記MBSデータ内での並び順の情報、前記アプリケーションのうち当該セグメントデータに対応するアプリケーションを識別する識別情報、当該セグメントデータのバージョン情報、当該セグメントデータを符号化処理した符号情報を付与する、
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記配信制御部は、
前記ネットワーク装置に対して前記MBSデータの配信を担当させる地域を割り当てる処理を実行し、前記ネットワーク装置が前記地域を担当地域として登録した場合には、前記MBSデータの配信準備が完了したことを前記管理者に通知する、
請求項4に記載の通信システム。
【請求項8】
記端末装置は、
前記基地局から配信された前記セグメントデータを取得する取得部と、
前記符号情報に基づいて、取得された前記セグメントデータから前記MBSデータを復元する復元部と、
を備える、
請求項6に記載の通信システム。
【請求項9】
前記取得部は、
前記並び順の情報に基づいて、前記端末装置に導入されている前記アプリケーションのうち、リクエストを行ったアプリケーションに対応する前記セグメントデータの全てを取得する、
請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記復元部は、
リクエストを行ったアプリケーションに対応する前記セグメントデータからエラーが検出された場合には、当該セグメントデータに付与される前記符号情報に基づいて、当該アプリケーションのアプリデータに対応する前記MBSデータを復元し、
前記取得部は、
前記MBSデータの復元が不可能な場合には、前記セグメントデータのうちエラーが検出された対象のセグメントデータを再度取得する、
請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
請求項1に記載の通信システムに含まれる端末装置であって、
繰り返し配信される前記MBSデータのうち、自装置に導入される前記アプリケーションのリクエストに応じたMBSデータを取得する取得部と、
取得された前記MBSデータを、自装置に導入される前記アプリケーションを介して提供されるデータであるアプリデータとして出力させる出力制御部と、
を備える端末装置。
【請求項12】
請求項1に記載の通信システムに含まれる端末装置によって実行される端末プログラムであって、
繰り返し配信される前記MBSデータのうち、自装置に導入される前記アプリケーションのリクエストに応じたMBSデータを取得する取得手順と、
取得された前記MBSデータを、自装置に導入される前記アプリケーションを介して提供されるデータであるアプリデータとして出力させる出力制御手順と、
を前記端末装置に実行させる端末プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、端末装置および端末プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局からユーザ装置に対してマルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-120319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、ネットワークへのアクセスがひっ迫することで、コンテンツデータの取得が滞る状況を回避することができるとは限らない。
【0005】
例えば、上記の従来技術には、第1基地局が、第2基地局を識別する第1識別子と、第2基地局がマルチキャストまたはブロードキャストで提供するMBSセッションを識別する第2識別子とを含む通知をコアネットワーク装置から受信する点が開示されている。
【0006】
すなわち、上記の従来技術で提案される構成は、第5世代(5G)システムにマルチキャストブロードキャストサービスを導入するうえで、LTE(Long Term Evolution)のマルチキャストブロードキャストサービスよりも改善されたサービスを提供するための構成であるといえる。このようなことから、上記の従来技術では、例えば、ネットワークへのアクセス集中により、ユーザ装置に導入されているアプリケーションによるコンテンツデータの出力に遅延が発生してしまうという状況を回避する点については考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明では、ネットワークへのアクセスがひっ迫することで、コンテンツデータの取得が滞る状況を回避することが可能な通信システム、端末装置および端末プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る一形態の通信システムは、コンテンツデータが入稿されるデータ入稿装置と、モバイルネットワークを実現するための機能を提供するネットワーク装置とを含む通信システムであって、前記データ入稿装置は、入稿された前記コンテンツデータを用いて、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の配信形態に応じたMBSデータを生成するデータ制御部と、制御後の前記コンテンツデータであるMBSデータの配信制御を行う配信制御部と、を備え、前記ネットワーク装置は、前記配信制御に応じて、マルチキャストまたはブロードキャストで前記MBSデータをユーザに配信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワークへのアクセスがひっ迫することで、コンテンツデータの取得が滞る状況を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る通信システムの構成の具体例を説明する図である。
図3図3は、実施形態に係るデータ入稿装置の構成例を示す図である。
図4図4は、データ生成処理の具体例を示す図である。
図5図5は、MBSデータの配信態様を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図7図7は、通信システムにおいてMBSデータの配信準備を完了させるまでの流れの一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、通信システムにおいてMBSデータが配信される配信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、実施形態に係る装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
以下に説明される1または複数の実施形態(実施例、変形例、適用例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0013】
(実施形態)
〔1.はじめに〕
近年、ユーザの端末装置(例えば、スマートフォン)用の様々なアプリケーションが存在するが、係るアプリケーションを介してデータを出力する場合、データの配信システムへと端末装置がアクセスしそしてデータを取得することになる。
【0014】
しかしながら、例えば、災害時等には、不特定多数のユーザが、同じようなタイミングでアプリケーションを利用することがあり、端末装置がデータ配信システムにアクセスするまでの様々なポイントにおいてアクセスが集中する(すなわち混雑する)という状況が発生し得る。
【0015】
例えば、端末装置は、ユーザによってアプリケーションが起動されると、モバイルネットワーク(セルラーネットワーク)を通じてインターネット回線に接続され、インターネット回線を介してデータ配信システムアクセスし、そして起動されたアプリケーションに対応するデータを取得する。係る例では、モバイルネットワーク、インターネット、データ配信システムのいずれもが混雑のポイントとなり得る。
【0016】
災害時を例に挙げると、帰宅支援情報、危険エリア情報、避難所情報等の情報提供において即時性が求められるが、上記のような様々なポイントにおいてアクセスが集中すると、ユーザは、アプリを起動しても、遅延により情報表示までに時間を要する、あるいは、そもそも情報が表示されず、リアルタイムに情報を確認できないという状況に巻き込まれてしまう場合がある。
【0017】
そこで、本発明の提案技術は、アクセスの混雑を抑制し、例えば、災害発生時等の緊急時においてもユーザが迅速に情報取得することができるよう、アクセスが混雑するポイントを無くしたいという発明者らの思想から生まれたものである。
【0018】
例えば、本発明の提案技術は、通常、ユニキャストで提供されるようなアプリデータをマルチキャストブロードキャストサービス(MBS)に適した状態に加工・生成し、これによって得られたMBSデータをマルチキャストまたはブロードキャストでユーザに配信させるというものである。また、本開示の提案技術では、事前にアプリデータが取得され、アクセスが混雑する場合でも混雑に影響なくアプリデータを更新し表示することができる機能がMBSの一機能として提供される。このような本発明の提案技術によれば、アクセス集中に依存しない情報配信を実現することが可能となる。
【0019】
以下では、本発明の提案技術に係る一実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、アプリケーションを「アプリAP」と略表記する場合がある。また、実施形態に係る情報処理においてアプリAPの種別は限定されないが、一例として、災害時等に主に利用される傾向にある地図アプリが挙げられる。また、アプリデータとは、アプリAPを介して提供されるデータを指し示し、地図アプリを例に挙げると、地図の画像情報、帰宅支援情報、危険エリア情報、避難所情報等のリアルタイム提供を求められる情報がこれに相当する。
【0020】
また、コンテンツデータとは、アプリデータとして提供される大元のデータを指し示し、アプリ管理者Tによって、データ入稿装置に入稿される。一方、MBSデータとは、MBSの配信形態に合わせてコンテンツデータから生成されたデータを指し示す。例えば、MBSデータとは、コンテンツデータを用いてMBSで提供可能に生成されたデータを指し示す。
【0021】
〔2.システム構成の概要〕
図1は、実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。図1には、実施形態に係る通信システムの一例として、通信システム1が示される。実施形態に係る情報処理(すなわち、本発明の提案技術)は、通信システム1において実現される。
【0022】
図1に示すように、通信システム1は、管理者装置10、データ配信装置20、端末装置30およびデータ入稿装置100の他に、モバイルネットワークMNを実現するための機能を提供するネットワーク装置を含む。係る構成により、通信システム1は、MBSを提供する。
【0023】
管理者装置10は、アプリ管理者Tによって利用される情報処理端末であり、エッジコンピュータであってもよいし、クラウドコンピュータであってもよい。エッジコンピュータとしての管理者装置10は、例えば、スマートフォンや、ウェアラブルデバイスや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等であってよい。
【0024】
また、アプリ管理者Tは、アプリAPの提供者(アプリケーションサービスプロバイダ)であってよく、自身のアプリAPを介して提供されるアプリデータの大元のデータ(すなわちコンテンツデータ)の入稿操作を、管理者装置10を用いて行う場合がある。
【0025】
データ配信装置20は、管理者装置10からコンテンツデータを取得する。例えば、管理者装置10は、アプリ管理者Tの入稿操作に応じてコンテンツデータを送信してもよいし、自動でコンテンツデータを送信してもよいが、いずれの場合であっても、データ配信装置20は、管理者装置10が送信したコンテンツデータを取得する。また、データ配信装置20は、取得したコンテンツデータをデータ入稿装置100に入稿する。
【0026】
なお、データ配信装置20は、管理者装置10からのアクセスに応じて、入稿操作を受け付けるためのウェブサイトを提供してもよい。また、データ配信装置20は、単一装置ではなく、機能が分散されたシステム装置として実装されてもよい。
【0027】
端末装置30は、アプリAPのサービスを受けるエンドユーザUによって利用される情報処理端末であり、例えば、スマートフォンや、ウェアラブルデバイスや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等であってよい。
【0028】
端末装置30には、帰宅支援情報、危険エリア情報、避難所情報等の各種サービスを提供する様々なアプリAPがユーザUの操作によってインストールされるだけでなく、インストールされたアプリAPに対応するプログラムモジュールMもインストールされてよい。
【0029】
プログラムモジュールMは、通信システム1を管理・運営する事業者によって生成され、アプリ管理者Tに対して提供されてよい。この結果、アプリ管理者Tは、プログラムモジュールMが組み込まれたアプリAPを生成することができる。プログラムモジュールMが組み込まれたアプリAPが、上記のようにユーザUの操作によって端末装置30にインストールされた場合、端末装置30は、プログラムモジュールMに従って、以下のような機能を有することができるようになる。
【0030】
例えば、端末装置30は、プログラムモジュールMが内部で実行されることに応じて、MBSデータの受信、アプリAPを介して実際に提供されるアプリデータをMBSデータから再構成、といった機能を有することができるようになる。なお、MBSデータを用いたアプリデータの再構成処理では、MBSデータの破損チェック・復元、復元後のMBSデータをアプリAPで出力可能なアプリデータとしてローカルに保存等の処理が含まれる。
【0031】
データ入稿装置100は、実施形態に係る情報処理を行う中心的な装置である。例えば、データ入稿装置100は、コンテンツデータの入稿を受け付ける。一例として、データ入稿装置100は、入稿のためデータ配信装置20が配信したコンテンツデータを受け付けてもよいし、データ配信装置20によるコンテンツデータの配信に拘わらず、コンテンツデータの入稿を受け付けるべく、データ配信装置20に対して動的にアクセスしてもよい。
【0032】
また、データ入稿装置100は、コンテンツデータを用いて、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の配信形態に適したデータであるMBSデータを生成するデータ生成処理を行う。データ生成処理では、例えば、コンテンツデータがMBSで提供可能な状態へと加工あるいは成形される。また、データ生成処理によって、コンテンツデータが加工あるいは成形された後のデータがMBSデータである。
【0033】
また、データ入稿装置100は、MBSデータが端末装置30に配信されるよう配信制御する。
【0034】
ネットワーク装置は、基地局(BS:Base Station)であってもよいし、コアネットワーク(CN:Core Network)を構成する装置であってもよい。また、図1では不図示すであるが、ネットワーク装置は、アプリケーションファンクションと呼ばれるエンティティであってもよい。
【0035】
コアネットワークCNは、5Gのコアネットワークでもよいし、EPC(Evolved Packet Core)または第6世代以降のコアネットワークであってもよい。また、図1に示す1つのコアネットワークCNは、複数の装置で構成されてもよい。また、コアネットワークCNは、MBSセッションを管理する。例えば、コアネットワークCNは、MBSセッションの確立、更新および解放等を制御する。
【0036】
基地局BSは、セル(在圏セル)を形成し、このセルを用いて端末装置30と無線通信する。また、基地局BSは、MBSをサポートする。例えば、端末装置30は、在圏セルを形成する基地局BSがMBSをサポートする場合に、MBSデータを受信することができる。
【0037】
なお、コアネットワークCNと基地局BSとの間では、MBS接続が確立され、この結果、基地局BSは、MBS接続を介して、コアネットワークCNからMBSデータを受信することができる。
【0038】
ここで、図1に示すように、データ入稿装置100は、モバイルネットワークMNに組み込まれてよい。例えば、データ入稿装置100は、ネットワーク装置として、モバイルネットワークMNに組み込まれてよい。データ入稿装置100は、データ生成処理で生成したMBSデータを基地局BSに送信する。例えば、データ入稿装置100は、データ生成処理で生成したMBSデータをコアネットワークCNに送信することで、コアネットワークCNから基地局BSへとMBSデータを送信させてもよい。
【0039】
引き続き図1を用いて、実施形態に係る情報処理の概要を説明する。例えば、アプリ管理者Tは、コンテンツデータの入稿操作を行う場合がある。そうすると、管理者装置10は、入稿操作に応じて、コンテンツデータの登録依頼をデータ配信装置20に対して行う。なお、コンテンツデータは、災害等の発生に備えて事前に用意された新規なデータであってもよいし、災害発生時において随時更新させるための更新用のデータであってもよい。
【0040】
そして、図1の例によれば、データ配信装置20は、管理者装置10から登録依頼とともに送信されたコンテンツデータを取得する(ステップS11)。さらに、データ配信装置20は、インターネットINを介して、コンテンツデータをデータ入稿装置100に入稿する(ステップS12)。
【0041】
データ入稿装置100は、コンテンツデータの入稿を受け付けると、受け付けたコンテンツデータからMBSデータを生成するデータ生成処理を実行する(ステップS13)。データ生成処理の詳細については後述する。
【0042】
MBSデータは、例えば、コアネットワークCNを経由して基地局BSへと送信される。基地局BSは、マルチキャストまたはブロードキャストでMBSデータを端末装置30に配信する(ステップS14)。
【0043】
例えば、基地局BSは、MBSセッションへの参加リクエストを行った端末装置30がMBSデータを取得することができるよう、MBSの仕様に則りMBSデータを配信する。
【0044】
端末装置30は、MBSデータを用いたアプリデータの再構成処理を実行し、再構築されたアプリデータを出力部から出力させる(ステップS15)。例えば、端末装置30は、アプリデータを表示画面に表示させてもよいし、スピーカーから出力させてもよい。
【0045】
ここで、図1の例では、モバイルネットワークMN、インターネットIN、データ配信装置20がアクセス集中による混雑ポイントとなり得る。しかしながら、図1で説明したように、実施形態に係る通信システム1では、一般に動画配信に使用されるMBSを用いて、アプリAP用のコンテンツデータが配信される。このため、アプリ管理者Tは、インターネットINを介して1度だけコンテンツデータを入稿するだけでよく、インターネットINやデータ配信装置20にアプリ管理者Tのアクセスが集中するという状況は起こりにくいと考えられる。
【0046】
また、実施形態に係る通信システム1では、モバイルネットワークMN内にデータ入稿装置100が設置されるため、データ入稿装置100によって生成されたMBSデータは、モバイルネットワークMN内に保持されることになる。このため、端末装置30は、データ取得のため、モバイルネットワークMNおよびインターネットINを経由して、データ配信装置20にアクセスする必要が無くなる。よって、モバイルネットワークMN、インターネットINおよびデータ配信装置20に不特定多数のユーザUのアクセスが集中するという状況は起こりにくいと考えられる。
【0047】
さらに、実施形態に係る通信システム1では、端末装置30からのアクセス数に依らず、MBSデータはアプリAPの種類ごとに1対1で紐づいているため、モバイルネットワークMN内に保持されるMBSデータは、アプリAPの種類ごとに1個だけである。このようなことも、アクセスの集中を抑えることができる要因と考えられる。
【0048】
以上のことから、実施形態に係る通信システム1では、アクセス集中に依存しない情報配信を実現することが可能となる。
【0049】
〔3.システム構成の具体例〕
図1では通信システム1の概要を説明した。次に、図2を用いて、通信システム1の構成の具体例を説明する。図2は、実施形態に係る通信システム1の構成の具体例を説明する図である。
【0050】
実施形態に係る通信システム1は、データ配信装置20と、端末装置30とを含む。通信システム1は、これらの装置に加えて、データ入稿装置100と、基地局BSを備える。なお、図2では、管理者装置10の図示については省略されている。
【0051】
通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置(例えば、データ入稿装置100および基地局BS)が連携して動作することにより、ユーザUに対して通信(例えば、移動通信)が可能な無線ネットワーク(モバイルネットワーク)を提供する。無線ネットワークは、例えば、無線アクセスネットワークRANとコアネットワークCNとから構成されているセルラーネットワークと言い換えることができる。
【0052】
無線ネットワークを構成する装置は、ネットワーク装置と呼ばれる。例えば、ネットワーク装置は、無線アクセスネットワーク(例えば、5GのRAN及び/又は4GのRAN)を構成する装置であってもよいし、コアネットワーク(5Gのコアネットワーク及び/又は4Gのコアネットワーク)を構成する装置であってもよい。図2の例であれば、例えば、データ入稿装置100及び/又は基地局BSがネットワーク装置である。
【0053】
通信システム1は、図2に示すように、データ配信装置20、端末装置30、データ入稿装置100および基地局BSをそれぞれ複数備えてもよい。図2の例では、通信システム1は、データ配信装置20としてデータ配信装置20およびデータ配信装置20を備えており、端末装置30として端末装置30および端末装置30を備えている。
【0054】
また、通信システムは、データ入稿装置100としてデータ入稿装置100およびデータ入稿装置100を備えており、基地局BSとして基地局BSおよび基地局BSを備えている。
【0055】
端末装置30は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、6G、Wi-Fi、又はBluetooth(登録商標)等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使ってネットワークに接続するよう構成されていてもよい。このとき、端末装置30は、異なる無線アクセス技術(無線通信方式)を使用可能に構成されていてもよい。例えば、端末装置30は、NRとWi-Fiを使用可能に構成されていてもよい。また、端末装置30は、異なるセルラー通信技術(例えば、LTE、NR、又は6G)を使用可能に構成されていてもよい。
【0056】
なお、無線ネットワークは、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、6G等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)のうち少なくとも1つに対応してもよい。LTE、NRおよび6Gは、セルラー通信技術の一種であり、基地局BSがカバーする地域をセル状に複数配置することで端末装置30の通信を可能にする。なお、通信システム1が使用する無線アクセス方式は、LTE、NR、6Gに限定されず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等の他の無線アクセス方式であってもよい。
【0057】
また、基地局BSは、地上局であってもよいし、非地上局であってもよい。非地上局は、衛星局であってもよいし、航空機局であってもよい。非地上局が衛星局なのであれば、無線ネットワークは、Bent-pipe(Transparent)型の移動衛星通信システムであってもよい。
【0058】
〔4.データ入稿装置の構成〕
図3を用いて、実施形態に係るデータ入稿装置100について説明する。図3は、実施形態に係るデータ入稿装置100の構成例を示す図である。図3の例によれば、データ入稿装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0059】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。例えば、通信部110は、インターネットINと無線で接続され、データ配信装置20との間で情報の送受信を行う。
【0060】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部120は、例えば、実施形態に係る情報処理をデータ入稿装置100に実行させるプログラムを記憶してよい。また、記憶部120は、入稿されたコンテンツデータや、コンテンツデータを基に生成したMBSデータも記憶してよい。
【0061】
(制御部130について)
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等によって、データ入稿装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。
【0062】
また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてよい。
【0063】
制御部130は、受付部131と、データ制御部132と、配信制御部133とを有してよい。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0064】
(受付部131)
受付部131は、コンテンツデータの入稿を受け付ける。例えば、受付部131は、ユーザUの入稿操作に応じてデータ配信装置20が配信したコンテンツデータを受け付けてよい。また、受付部131は、データ配信装置20に対して動的にアクセスし、コンテンツデータを取得してもよい。
【0065】
(データ制御部132)
データ制御部132は、MBSデータを生成するデータ生成処理を行う。具体的には、データ制御部132は、コンテンツデータを用いて、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の配信形態に応じたMBSデータを生成する。例えば、データ制御部132は、コンテンツデータに対して所定の制御を施すことにより、コンテンツデータから、MBSで提供可能なMBSデータを生成する。
【0066】
例えば、データ制御部132は、コンテンツデータを所定の単位で複数のデータに分割する。この結果、データ制御部132は、分割で得たれた各データすなわちセグメントデータで構成されるデータをMBSデータとして配信制御部133に出力する。
【0067】
また、データ制御部132は、MBSデータを構成するセグメントデータのそれぞれに、MBSデータ内での並び順の情報、アプリケーションのうち当該セグメントデータに対応するアプリケーションを識別する識別情報、当該セグメントデータのバージョン情報、当該セグメントデータを符号化処理した符号情報を付与する。
【0068】
図4は、データ生成処理の具体例を示す図である。図4には、アプリAP1のアプリデータ(アプリAPを介して提供されるデータであるアプリデータの一例)の元となるコンテンツデータから、アプリAP1に対応するMBSデータが生成される場面が示される。
【0069】
図4に示すように、データ制御部132は、コンテンツデータをn個のセグメントデータSEに分割する。データ制御部132は、コンテンツデータが時系列の情報を有している場合には、コンテンツデータを時系列に応じてn個のセグメントデータSEに分割してよい。
【0070】
また、データ制御部132は、分割により得られたセグメントデータSEそれぞれにヘッダ情報を付与する。例えば、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれにMBSデータ内での並び順の情報を付与してよい。例えば、データ制御部132は、コンテンツデータが有する時系列情報に基づき、セグメントデータSEそれぞれにMBSデータ内での並び順の情報を付与してよい。図4には、データ制御部132が、セグメントデータSEそれぞれに、並び順「1」,並び順「2」,...,並び順「n」等を付与した例が示される。
【0071】
このように並び順の情報が付与されることで、端末装置30は、アプリAP1のアプリデータを再構成するために必要なセグメントデータSEの全てを取得することができるようになる。また、端末装置30は、マルチキャストまたはブロードキャストでは、データの再送を依頼することができないが、並び順の情報が付与されることで、例えば、セグメントデータSEの配信途中からアクセスしたとしても、データの取り逃しなく全てのセグメントデータSEを取得することができるようになる。
【0072】
また、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれにセグメントデータSEに対応するアプリケーションを識別する識別情報を付与する。図4の例では、セグメントデータSEはアプリAP1のアプリデータとして出力されることになる。このため、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれにアプリAP1を識別する識別情報を付与する。
【0073】
このようにアプリAPの識別情報が付与されることで、端末装置30は、例えば、間違ったアプリデータを取得してしまうことが無くなる。
【0074】
また、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれにセグメントデータSEのバージョンを示すバージョン情報を付与する。
【0075】
このようにバージョン情報が付与されることで、端末装置30は、例えば、セグメントデータSEが最新のデータであるか否かを判定し、最新のデータでない場合には、最新のセグメントデータSEを取得し直すことができるようになる。
【0076】
また、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれに、セグメントデータSEを符号化処理した符号情報を付与する。
【0077】
例えば、データ制御部132は、セグメントデータSEの本体から誤り訂正符号を算出し、算出した訂正符号をセグメントデータSEに付与してよい。例えば、データ制御部132は、誤り訂正符号として、セグメントデータSEのハッシュ値を算出し、算出したハッシュ値をセグメントデータSEに付与してよい。この結果、端末装置30は、セグメントデータSEが破損・変質している場合にはその元のセグメントデータSEを復元することができるし、セグメントデータSEが脱落している場合には、そのセグメントデータを取得し直すことができるようになる。
【0078】
他の例として、データ制御部132は、セグメントデータで構成されるMBSデータの本体から誤り訂正符号を算出し、算出した訂正符号をセグメントデータSEに付与してよい。例えば、データ制御部132は、誤り訂正符号として、MBSデータのハッシュ値を算出し、算出したMBSデータを最後のセグメントデータSEのみに付与してよい。最後のセグメントデータSEとは、例えば、並び順が最後のセグメントデータSEである。この結果、端末装置30は、例えば、並び順の情報でセグメントデータSEを並べて再構成されたMBSデータ(アプリデータ)が誤っている場合には、元のMBSデータを復元することができるようになる。
【0079】
なお、データ制御部132がヘッダ情報として付与する情報は上記例に限定されない。例えば、データ制御部132は、セグメントデータSEそれぞれにセグメントデータSEのサイズ情報を付与する。
【0080】
(配信制御部133)
図3に戻り、配信制御部133は、MBSデータの配信制御を行う。例えば、配信制御部133は、データ制御部132の分割で得られたセグメントデータSEで構成されるMBSデータを基準局BSに送信する。なお、配信制御部133は、セグメントデータSEEで構成されるMBSデータを、コアネットワークCNを経由して基地局BSへ送信してもよい。基地局BSは、マルチキャストまたはブロードキャストでMBSデータを端末装置30に配信する。
【0081】
また、配信制御部133は、コアネットワークCNに対してMBSデータの送信を担当させる地域を割り当てる処理を実行し、コアネットワークCN(例えば、基準局BS)がこの地域を担当地域として登録した場合には、MBSデータの配信準備が完了したことをアプリ管理者Tに通知してよい。
【0082】
ここで、基地局BSによるマルチキャストまたはブロードキャストでのMBSデータの配信態様について説明する。図5は、MBSデータの配信態様を示す図である。図5には、図4で生成されたセグメントデータSEで構成されるMBSデータが、マルチキャストまたはブロードキャストで配信される場面を示す。
【0083】
図5の例によれば、基地局BSは、セグメントデータSEを並び順に応じて順番に配信し続ける。具体的には、基地局BSは、セグメントデータSEを並び順に応じて順番に配信する動作を繰り返すことで、セグメントデータSEで構成されるMBSデータの繰り返し配信を実行する。
【0084】
このような配信態様により、端末装置30は、例えば、n個のセグメントデータSEのうち、どのセグメントデータSEから受信を開始しても一定の期間受信を継続すれば、n個のセグメントデータSEの全てを取得することができるようになる。例えば、端末装置30は、5番目のセグメントデータSEから受信を開始した場合には、その後4番目のセグメントデータSEを受信できるまで受信を継続すれば、n個のセグメントデータSEの全てを取得することができる。
【0085】
〔5.端末装置の構成〕
図6を用いて、実施形態に係る端末装置30について説明する。図6は、実施形態に係る端末装置30の構成例を示す図である。図6の例によれば、端末装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。
【0086】
(通信部31について)
通信部31は、例えば、NIC等によって実現される。例えば、通信部31は、ネットワークと無線で接続され、基地局BSとの間で情報の送受信を行う。
【0087】
(記憶部32について)
記憶部32は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現されてよい。記憶部32は、例えば、アプリデータの再構成処理を端末装置30に実行させるプログラムを記憶してよい。また、記憶部120は、セグメントデータで構成されるMBSデータや、MBSデータを用いて再構成されたアプリデータも記憶してよい。
【0088】
(制御部33について)
制御部33は、CPU、GPU、MPU等によって、端末装置30内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現されてよい。例えば、制御部33は、プログラムモジュールM実行されることにより実現されてよい。
【0089】
また、制御部33は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてよい。
【0090】
制御部33は、取得(受信)部33aと、再構成部33bと、出力制御部33cとを有してよい。なお、制御部33の内部構成は、図6に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部33が有する各処理部の接続関係は、図6に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0091】
(取得部33a)
取得部33aは、基準局BSから配信されたセグメントデータSEを取得(受信)する。例えば、取得部33aは、セグメントデータSEに付与される並び順の情報に基づいて、端末装置30にインストールされているアプリAPのうち、リクエストを行ったアプリAPに対応するセグメントデータSEの全てを取得する。図5で説明したように、取得部33aは、例えば、5番目のセグメントデータSEから受信を開始した場合には、その後4番目のセグメントデータSEを受信できるまで受信を継続することにより、n個のセグメントデータSEの全てを取得する。
【0092】
(再構成部33b)
再構成部33bは、MBSデータを用いたアプリデータの再構成処理を行う。再構成部33bは、リクエストを行ったアプリAPに対応するセグメントデータSEの全てを取得された場合には、セグメントデータSEそれぞれに付与されるハッシュ値に基づいて、セグメントデータSEごとにエラー(例えば、破損、変質、脱落)を検出する。そして、再構成部33bは、エラーを検出できた場合には、エラー検出対象のセグメントデータSEに対応する誤り訂正符号に基づいて、このセグメントデータSEを復元する。
【0093】
また、再構成部33bは、エラーを検出できた場合にはセグメントデータSEを復元し、正常なセグメントデータSEの全てが揃った場合には、並び順の情報でセグメントデータSEを並べることでMBSデータを再構成する。再構成されたMBSデータは、アプリデータとしてローカルに保存される。このようなことから、MBSデータの再構成は、正常なセグメントデータSEを用いた、アプリデータの再構成(復元)に相当する。
【0094】
なお、再構成部33bは、MBSデータを再構成できた場合には、MBSデータのハッシュ値に基づいて、再構成されたMBSデータの正当性を判定してよい。例えば、再構成部33bは、再構成されたMBSデータが元のMBCと比較して誤っている場合には、MBSデータに対応する誤り訂正符号に基づいて、MBSデータを復元する。
【0095】
また、取得部33aは、MBSデータが正しく復元されなかった場合には、復元が不可能なであった部分のセグメントデータSE(すなわち、エラー検出対象のセグメントデータSE)を再度取得する。そして、取得部33aは、再度取得したセグメントデータSEを用いた、MBSデータの再構成を再構成部33bに対して実行させる。
【0096】
(出力制御部33c)
出力制御部33cは、再構築されたMBSデータをアプリデータとして出力部から出力させる。例えば、出力制御部33cは、アプリデータを表示画面に表示させてもよいし、スピーカーから出力させてもよい。
【0097】
〔6.通信システムにおける動作手順〕
次に、図7および図8を用いて、実施形態に係る通信システム1における動作手順を説明する。なお、図7および図8では、アプリAP1のアプリデータ(アプリAPを介して提供されるデータであるアプリデータの一例)の元となるコンテンツデータの入稿に伴う情報処理の流れを示す。
【0098】
図7は、通信システム1においてMBSデータの配信準備を完了させるまでの流れの一例を示すシーケンス図である。まず、管理者装置10は、アプリ管理者Tの入稿操作に従ってコンテンツデータをデータ配信装置20に送信する(ステップS701)。
【0099】
データ配信装置20は、管理者装置10が送信したコンテンツデータを受信すると(ステップS702)、受信したコンテンツデータをデータ入稿装置100に入稿する(ステップS703)。
【0100】
データ入稿装置100の受付部131は、データ配信装置20が入稿したコンテンツデータを受け付ける(ステップS704)。また、データ制御部132は、受け付けられたコンテンツデータを用いて、MBSデータを生成するデータ生成処理を行う(ステップS705)。図4で説明したように、データ制御部132は、データ生成処理では、コンテンツデータの分割や、分割で得られたセグメントデータに対するヘッダ情報の付与を行うことでMBSデータを生成する。
【0101】
配信制御部133は、MBSデータが基地局BSから配信されるよう配信制御する。具体的には、配信制御部133は、セグメントデータで構成されるMBSデータをコアネットワークCNに送信する(ステップS706)。
【0102】
コアネットワークCNは、MBSデータを受信すると、受信したMBSデータのコピーを生成する(ステップS707)。
【0103】
また、配信制御部133は、コアネットワークCNに対してMBSデータの配信を担当させる地域を割り当てる処理を実行する(ステップS708)。コアネットワークCNは、割り当てられた地域を担当地域として登録すると(ステップS709)、MBSデータの配信準備が完了したことをデータ入稿装置100に通知する(ステップS710)。
【0104】
配信制御部133は、コアネットワークCNが送信した配信準備完了の通知を受信する(ステップS711)。続いて、配信制御部133は、MBSデータの配信準備が完了したことをデータ配信装置20に通知する(ステップS712)。
【0105】
データ配信装置20は、配信制御部133が送信した配信準備完了の通知を受信する(ステップS713)。ここで、データ配信装置20は、配信準備が完了したことを管理者装置10を介してアプリ管理者Tに通知してよい。
【0106】
次に、図8は、通信システム1においてMBSデータが配信される配信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図8示すように、ユーザU1が端末装置30を操作してアプリAP1を起動したとする(ステップS801)。
【0107】
端末装置30は、プログラムモジュールMに従い、アプリAP1が起動されたことを認識すると(ステップS802)、MBSセッションへの参加リクエストを基地局BSに送信する(ステップS803)。
【0108】
基地局BSは、端末装置30が送信した参加リクエストを受け付ける(ステップS804)。基地局BSは、MBSセッションに参加している他のユーザUが存在し、アプリAP1のアプリデータをマルチキャストまたはブロードキャストで配信中である場合には、この配信を継続する。
【0109】
一方、基地局BSは、アプリAP1のアプリデータを配信するための新たなMBSセッションを生成する必要がある。そこで、基地局BSは、アプリAP1に対応するMBSデータの送信リクエストをコアネットワークCNに送信する(ステップS805)。
【0110】
コアネットワークCNは、基地局BSが送信した送信リクエストを受け付ける(ステップS806)。そして、コアネットワークCNは、モバイルネットワークMN内に保持されるMBSデータのうち、アプリAP1に対応するMBSデータを基地局BSに送信する(ステップS807)。例えば、コアネットワークCNは、MBSデータのコピーを基地局BSに送信してよい。
【0111】
基地局BSは、コアネットワークCNが送信したMBSデータを受信すると、受信したMBSデータをマルチキャストまたはブロードキャストで配信する(ステップS808)。図5で説明したように、基地局BSは、セグメントデータSEを並び順に応じて順番に配信する動作を繰り返すことで、セグメントデータSEで構成されるMBSデータの繰り返し配信を実行してよい。
【0112】
端末装置30の取得部33aは、マルチキャストまたはブロードキャストで配信されたMBSデータを受信する(ステップS809)。例えば、取得部33aは、MBSデータを構成するn個のセグメントデータSEの全てを取得できるまで、セグメントデータSEの受信を継続する。
【0113】
再構成部33bは、n個のセグメントデータSEの全てを取得できると、アプリAP1を介して実際に提供されるアプリデータをMBSデータから再構成(復元)する再構成処理を実行する(ステップS810)。例えば、再構成部33bは、セグメントデータSEごとにエラー(例えば、破損、変質、脱落)の検出を行い、エラーが検出されたセグメントデータSEについては当該セグメントデータSEに付与される符号化情報に基づき、セグメントエータSEを復元する。また、取得部33aは、再構成部33bが復元できないセグメントデータSEが存在する場合には、復元できなかったセグメントデータを再度受信する。再構成部33bは、エラーが検出されない正当なセグメントデータSEが揃った場合には、セグメントデータSEを並び順の情報で並べたMBSデータを、アプリAP1のアプリデータとしてローカルに保存する。
【0114】
そして、出力制御部33cは、アプリAP1を介して、ローカルに保存されたアプリデータを表示させる(ステップS811)。
【0115】
〔7.ハードウェア構成〕
実施形態に係る装置(例えば、データ入稿装置100、端末装置30、データ配信装置20、管理者装置10)は、例えば、図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現されてよい。図9は、実施形態に係る装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0116】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0117】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0118】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイ等の出力装置、及び、キーボード等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0119】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0120】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係るデータ入稿装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0121】
〔8.その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0122】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0123】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0124】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 通信システム
10 管理者装置
20 データ配信装置
30 端末装置
33 制御部
33a 取得部
33b 再構成部
33c 出力制御部
100 データ入稿装置
130 制御部
131 受付部
132 データ制御部
133 配信制御部
AP アプリケーション
BS 基地局
CN コアネットワーク
MN モバイルネットワーク
【要約】
【課題】ネットワークへのアクセスがひっ迫することで、コンテンツデータの取得が滞る状況を回避すること。
【解決手段】コンテンツデータが入稿されるデータ入稿装置と、モバイルネットワークを実現するための機能を提供するネットワーク装置とを含む通信システムであって、データ入稿装置は、入稿されたコンテンツデータを用いて、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の配信形態に応じたMBSデータを生成するデータ制御部と、MBSデータの配信制御を行う配信制御部と、を備え、ネットワーク装置は、配信制御に応じて、マルチキャストまたはブロードキャストで前記MBSデータをユーザに配信する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9