(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-17
(45)【発行日】2025-06-25
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250618BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20250618BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20250618BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/12 Z
B65H7/12
(21)【出願番号】P 2023567502
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2021046857
(87)【国際公開番号】W WO2023112334
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222451(JP,A)
【文献】特開2016-135705(JP,A)
【文献】特開2015-078039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
B65H 7/06- 7/12
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
搬送される媒体を撮像する撮像部と、
搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記判定部は、搬送される媒体を透過する超音波の透過情報又は当該媒体の厚さ情報に基づいて
媒体の重なりサイズを検出し、
検出された重なりサイズの大きさに応じて、当該媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記判定部は、搬送される媒体を撮像した画像に基づいて、当該媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する、請求項
1に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
利用者から媒体の搬送の再停止の指示を受け付ける受付部をさらに有し、
前記制御部は、前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから、利用者から媒体の搬送の再停止の指示を受け付けた場合に限り、媒体の搬送を再停止する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて媒体の搬送を停止してから最初に搬送された媒体の搬送が完了したときに、当該最初に搬送された媒体において貼付物が貼付されていない場合、又は、貼付物が貼付されている位置がずらされている場合に限り、媒体の搬送を再停止する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、当該媒体を撮像した画像を、当該媒体の搬送を停止してから最初に搬送された媒体を撮像した画像に置換する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、当該貼付物が貼付されていると判定された媒体の搬送を停止させることにより、次の媒体の搬送を停止する、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体搬送装置の制御方法であって、
搬送部により、媒体を搬送し、
撮像部により、搬送される媒体を撮像し、
搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、
媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止し、
媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
媒体を搬送する搬送部と、搬送される媒体を撮像する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、
媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止することを前記媒体搬送装置に実行させ、
媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体搬送装置は、複数の媒体を搬送させながら撮像する媒体読取処理を実行する。しかしながら、付箋紙又はラベル(シール)等の貼付物が貼付されたまま媒体が搬送された場合、媒体に印刷された文字又は図等が、貼付物によって覆われて撮像されない可能性がある。連続して搬送された複数の媒体に貼付物が貼付された媒体が含まれていた場合、利用者は媒体読取処理が完了した複数の媒体の中から貼付物が貼付された媒体を抜き出して貼付物を取り外し又はずらし、媒体搬送装置に媒体読取処理を再実行させる必要がある。その場合、利用者は媒体読取処理の再実行後に、その媒体に貼付物を再貼付する又は貼付物の位置を戻す必要がある。
【0003】
原稿の重送を検知したとき、後続原稿の読取処理を停止させ、かつ重送を検知した原稿に対する画像の読取処理が完了した後、選択された重送検知後の処理を実行するように制御する画像読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。この画像読取装置は、重送を検知した原稿に対する画像の再読み取りを含む連続読取動作を再開する処理、及び、重送を検知した原稿の次の原稿に対する画像の読み取りから連続読取動作を再開する処理から重送検知後の処理を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
媒体搬送装置では、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが望まれている。
【0006】
実施形態に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムの目的は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることにある。
【0007】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送される媒体を撮像する撮像部と、搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する判定部と、判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止する制御部と、を有し、制御部は、判定部により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する。
【0008】
実施形態の一側面に係る制御方法は、媒体搬送装置の制御方法であって、搬送部により、媒体を搬送し、撮像部により、搬送される媒体を撮像し、搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止し、媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する。
【0009】
実施形態の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部と、搬送される媒体を撮像する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、次の媒体の搬送を停止することを媒体搬送装置に実行させ、媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止する。
【0010】
本実施形態によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0011】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図5】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】重なり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】他の重なり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図10】他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】他の媒体搬送装置200内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図12】他の媒体搬送装置における処理回路350の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。また、媒体は、付箋紙又はラベル(シール)等の貼付物が貼付された媒体を含む。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
【0015】
媒体搬送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
第1筐体101は、媒体搬送装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2筐体102に係合している。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第2筐体102に係合している。載置台103は、第2筐体102の媒体供給側の側面に、不図示のモータによって略鉛直方向(高さ方向)A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。排出台104は、排出された媒体を保持可能に第1筐体101上に形成され、排出された媒体を積載する。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図1において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0020】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第2媒体センサ115、超音波発信器116a、超音波受信器116b、第1~第8搬送ローラ117a~h、第1~第8従動ローラ118a~h、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119b等を有している。
【0022】
ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hは、媒体を搬送する搬送部の一例である。なお、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ117a~h及び/又は第1~第8従動ローラ118a~hのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ117a~h及び/又は第1~第8従動ローラ118a~hは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bをまとめて撮像装置119と称する場合がある。
【0023】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0024】
第1媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0025】
ピックローラ112は、第1筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0026】
給送ローラ113は、第1筐体101内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ114は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、第2筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及び分離ローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、分離ローラ114に対して上側に配置されており、媒体搬送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。なお、給送ローラ113が第2筐体102に、分離ローラ114が第1筐体101に設けられ、給送ローラ113は、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送してもよい。
【0027】
第2媒体センサ115は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側且つ超音波発信器116a及び超音波受信器116bより上流側に配置される。第2媒体センサ115は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ115は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光部材とを含む。導光部材は、U字型のプリズム等の導光管である。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第2媒体センサ115は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ115の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0028】
なお、導光部材の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられてもよい。また、第2媒体センサ115は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0029】
超音波発信器116a及び超音波受信器116bは、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側且つ第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hより上流側に配置される。超音波発信器116a及び超音波受信器116bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器116aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器116bは、超音波発信器116aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。超音波信号は、搬送部により搬送される媒体内の複数の位置においてその媒体を透過する超音波の透過情報を示す。透過情報は、超音波受信器116bが受信した超音波の大きさを示す。以下では、超音波発信器116a及び超音波受信器116bを総じて超音波センサ116と称する場合がある。なお、超音波センサ116の数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の超音波センサ116は、幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0030】
第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hは、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に設けられ、給送ローラ113及び分離ローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hは、それぞれ媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。
【0031】
第1撮像装置119aは、撮像部の一例であり、媒体搬送方向A2において第1搬送ローラ117a及び第1従動ローラ118aより下流側、即ち超音波センサ116より下流側に設けられる。第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0032】
同様に、第2撮像装置119bは、撮像部の一例であり、媒体搬送方向A2において第1搬送ローラ117a及び第1従動ローラ118aより下流側に設けられる。第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0033】
媒体搬送装置100は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0034】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。一方、分離ローラ114が媒体給送方向の反対方向A7に回転することによって、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。
【0035】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ117a~bが矢印A8~A9の方向に回転することによって、撮像装置119の撮像位置に送り込まれ、撮像装置119によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第8搬送ローラ117c~hがそれぞれ矢印A10~A15の方向に回転することによって排出台104上に排出される。排出台104は、第8搬送ローラ117hによって排出された媒体を積載する。
【0036】
図3は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0038】
モータ131は、一又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第8搬送ローラ117a~hを回転させて媒体を給送及び搬送させる。なお、第1~第8従動ローラ118a~hは、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。
【0039】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0040】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0041】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0042】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ115、超音波センサ116、撮像装置119、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131を制御して媒体を搬送し、撮像装置119を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、超音波センサ116から受信する超音波信号に基づいて媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、その判定結果に基づいて媒体の搬送を制御する。
【0043】
図4は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0044】
図4に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、判定プログラム142及び受付プログラム143等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151、判定部152及び受付部153として機能する。
【0045】
図5は、媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0046】
以下、
図5に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0047】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0048】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105又はインタフェース装置132から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0049】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、載置台103を移動させるためのモータを駆動し、媒体を給送可能な位置に載置台103を移動させる。制御部151は、モータ131を駆動し、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第8搬送ローラ117a~hを回転させ、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。
【0050】
次に、制御部151は、媒体読取処理と並列に実行される重なり判定処理において、媒体の重送が発生したと判定されたか否かと、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定されたか否かと、を判定する(ステップS104)。重なり判定処理において、判定部152は、超音波信号に示される透過情報に基づいて、媒体の重送が発生したか否かと、搬送される媒体に貼付物が貼付されているか否かと、を判定する。重なり判定処理の詳細については後述する。
【0051】
重なり判定処理において媒体の重送が発生したと判定された場合、又は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、制御部151は、モータ131を停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を停止する(ステップS105)。搬送される媒体に貼付物が貼付されている場合、制御部151は、貼付物が貼付されていると判定された媒体の搬送を停止させることにより、次の媒体の搬送を停止する。即ち、制御部151は、貼付物が貼付されていると判定された媒体の次に搬送されるように載置台103に載置されている媒体の給送及び搬送を停止する。媒体の給送及び搬送の停止は、異常処理の一例である。
【0052】
媒体搬送装置100は、媒体の重送が発生した場合、又は、媒体に貼付物が貼付されている場合、即時に媒体の搬送を停止することにより、媒体のジャム等が発生して媒体の損傷が発生することを抑制できる。また、利用者は、載置台103にまとめて載置され且つ連続して搬送される全ての媒体の搬送が完了した後に、排出台104に積載された媒体の中から、重送が発生した媒体、又は、貼付物が貼付されていた媒体を探し出して再搬送させる必要がなくなる。これにより、媒体搬送装置100は、利用者の手間を軽減させて、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、制御部151は、現在搬送中の媒体、即ち貼付物が貼付されていると判定された媒体を排出してから、次の媒体の搬送を停止してもよい。これにより、利用者は、第1筐体101を開いて媒体搬送路で停止していた媒体を取り出す必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者の手間を軽減させて、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0054】
次に、制御部151は、異常が発生したことを示す情報を表示装置106に表示し又はインタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する(ステップS106)。制御部151は、媒体の重送が発生した場合、媒体の重送が発生したことを利用者に通知し、媒体に貼付物が貼付されていた場合、媒体に貼付物が貼付されていたことを利用者に通知する。媒体の重送が発生したこと又は媒体に貼付物が貼付されていたことの利用者への通知は、異常処理の一例である。
【0055】
図6は、媒体に貼付物が貼付されていたことを利用者に通知するための通知画面600の一例を示す模式図である。
【0056】
図6に示すように、通知画面600には、テキスト601、選択ボタン602、再開ボタン603及び中止ボタン604等が表示される。テキスト601は、媒体に貼付物が貼付されていたことを示す文字列である。選択ボタン602は、媒体の搬送を再開してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止するか否かを指定するためのボタンである。再開ボタン603は、媒体の搬送の再開を指示するためのボタンである。中止ボタン604は、媒体の搬送の中止を指示するためのボタンである。
【0057】
媒体の重送が発生した場合、利用者は、第1筐体101を開いて媒体搬送路で停止していた媒体を取り出し、載置台103に媒体を再セットする。一方、媒体に貼付物が貼付されていた場合、利用者は、第1筐体101を開いて媒体搬送路で停止していた媒体を取り出した後、媒体から貼付物を取り外し又は貼付物の貼付位置を媒体の端部にずらした上で、載置台103に媒体を再セットする。その後、利用者は、選択ボタン602を操作して媒体の搬送を再停止するか否かを指定するとともに、再開ボタン603又は中止ボタン604を押下して、以後の処理を指定する。
【0058】
なお、媒体の重送が発生したことを利用者に通知するための通知画面には、媒体の重送が発生したことを利用者に通知するためのテキストと、媒体の搬送の再開を指示するための再開ボタンと、媒体の搬送の中止を指示するための中止ボタンとが表示される。この通知画面には、媒体の搬送を再開してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止するか否かを指定するための選択ボタンは表示されない。
【0059】
次に、受付部153は、利用者から、媒体の搬送の再開、又は、媒体の搬送の中止の指示を操作装置105又はインタフェース装置132から受け付けるまで待機する(ステップS107)。通知画面600において、利用者により再開ボタン603が押下された場合、受付部153は、媒体の搬送の再開の指示を受け付ける。一方、通知画面600において、利用者により中止ボタン604が押下された場合、受付部153は、媒体の搬送の中止の指示を受け付ける。
【0060】
また、受付部153は、媒体の搬送の再開の指示を受け付けた場合、さらに、媒体の搬送の再停止の指示又は媒体の搬送の非停止の指示を受け付ける。媒体の搬送の再停止の指示は、媒体の搬送を再開してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を再停止させるための指示である。媒体の搬送の非停止の指示は、媒体の搬送を再開してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の搬送を停止させずに継続させるための指示である。通知画面600の選択ボタン602において、媒体の搬送を再停止することが指定されている場合、受付部153は、媒体の搬送の再停止の指示を受け付ける。一方、通知画面600の選択ボタン602において、媒体の搬送を再停止しないこと(継続すること)が指定されている場合、受付部153は、媒体の搬送の非停止の指示を受け付ける。
【0061】
受付部153が指示を受け付けた場合、制御部151は、受付部153が媒体の搬送の再開の指示を受け付けたか媒体の搬送の中止の指示を受け付けたかを判定する(ステップS108)。受付部153が媒体の搬送の再開の指示を受け付けた場合、制御部151は、ステップS103へ処理を戻し、利用者により載置台103に再載置された媒体を再給送及び再搬送させる。即ち、制御部151は、重送が発生したと判定され且つ利用者により載置台103に再セットされた媒体を再搬送させる。または、制御部151は、貼付物が貼付されていると判定され且つ利用者によりその貼付物が取り外され又はずらされて載置台103に再セットされた媒体を再搬送させる。一方、受付部153が媒体の搬送の中止の指示を受け付けた場合、制御部151は、媒体の搬送を再開させることなく、一連のステップを終了する。
【0062】
一方、ステップS104で、重なり判定処理において媒体の重送が発生していないと判定され、且つ、搬送される媒体に貼付物が貼付されていないと判定された場合、制御部151は、媒体全体が撮像されたか否かを判定する(ステップS109)。制御部151は、例えば、第2媒体センサ115から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2媒体センサ115から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過してから第1所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置119の撮像位置を通過し、媒体全体が撮像されたと判定する。第1所定時間は、媒体が第2媒体センサ115の位置から撮像装置119の撮像位置まで移動するのに要する時間に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。
【0063】
まだ搬送された媒体の全体が撮像されていない場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S109の処理を繰り返す。
【0064】
一方、搬送された媒体の全体が撮像された場合、制御部151は、撮像装置119から入力画像を取得し、取得した入力画像を記憶装置140に記憶する。制御部151は、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS110)。
【0065】
次に、制御部151は、直前に搬送された媒体について、利用者から媒体の搬送の再開の指示及び媒体の搬送の再停止の指示を受け付けていたか否かを判定する(ステップS111)。直前に搬送された媒体について、利用者から媒体の搬送の再開の指示及び媒体の搬送の再停止の指示を受け付けていた場合、直前に搬送された媒体は、貼付物が貼付されていた媒体である。一方、現在搬送されている媒体は、利用者によりその貼付物が取り外され又はずらされて再搬送された媒体である。直前に搬送された媒体について、利用者から媒体の搬送の再開の指示又は媒体の搬送の再停止の指示を受け付けていなかった場合、制御部151は、特に処理を実行することなく、ステップS113へ処理を移行する。
【0066】
一方、直前に搬送された媒体について、利用者から媒体の搬送の再開の指示又は媒体の搬送の再停止の指示を受け付けていた場合、制御部151は、現在搬送されている媒体の搬送が完了するまで待機する。制御部151は、媒体の搬送が完了したときに、モータ131を停止し、媒体の給送及び搬送を再停止する(ステップS112)。制御部151は、例えば、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過してから第2所定時間が経過した時に媒体の後端が第8搬送ローラ117hの位置を通過し、媒体の搬送が完了したと判定する。第2所定時間は、媒体が第2媒体センサ115の位置から第8搬送ローラ117hの位置まで移動するのに要する時間に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の搬送が完了したと判定してもよい。
【0067】
このように、制御部151は、判定部152により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、媒体の給送及び搬送を再停止する。
【0068】
上記したように、媒体に貼付物が貼付されていた場合、利用者は、媒体搬送路で停止していた媒体を取り出した後、媒体から貼付物を取り外し又は貼付物の貼付位置を媒体の端部にずらした上で、載置台103に媒体を再セットする。即ち、媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初に搬送される媒体は、判定部152により媒体に貼付物が貼付されていると判定され且つ利用者により貼付物が取り外され又はずらされた媒体である。制御部151は、利用者により貼付物が取り外され又はずらされた媒体の搬送が完了したときに、利用者に媒体の状態を戻させるために、媒体の搬送を再停止させる。これにより、利用者は、排出台104で一番上に載置されている、貼付物が取り外され又はずらされた媒体に、貼付物を再貼付し又は貼付物の貼付位置を戻すことができる。
【0069】
また、利用者は、貼付物を再貼付し又は貼付物の貼付位置を戻した媒体を排出台104上で一番上に載置された媒体の上に戻すことにより、載置台103にまとめて載置され且つ連続して搬送された媒体を、その順序通りに排出台104上に積載させることができる。利用者は、貼付物が貼付された媒体とともに載置台103にまとめて載置され且つ連続して搬送される全ての媒体の搬送が完了した後に、排出台104に積載された媒体の中から、貼付物が貼付されていた媒体を探し出して、媒体の状態を戻す必要がなくなる。これにより、媒体搬送装置100は、利用者の手間を軽減させて、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0070】
特に、制御部151は、判定部152により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから、利用者から媒体の搬送の再停止の指示を受け付けた場合に限り、媒体の搬送を再停止する。これにより、媒体搬送装置100は、重送が発生して媒体の搬送を停止させた場合のように、利用者が媒体の状態を戻す必要がない場合に、媒体の搬送を停止させて、媒体読取処理の処理時間を増大させることを抑制できる。
【0071】
制御部151は、その後、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの再開の指示が入力されて、媒体の読み取りの再開を指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する。利用者は、媒体に貼付物を再貼付し又は貼付物の貼付位置を戻した上で、その媒体を排出台104上で一番上に載置された媒体の上に戻した後、操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの再開の指示を入力する。
【0072】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS113)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S113の処理を繰り返す。
【0073】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、モータ131を停止し、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第8搬送ローラ117a~hを停止させ(ステップS114)、一連のステップを終了する。
【0074】
なお、ステップS104において、制御部151は、媒体の重送が発生したと判定されたか否かを判定せずに、媒体に貼付物が貼付されていると判定されたか否かのみを判定してもよい。または、ステップS104において、制御部151は、媒体の重送が発生したと判定された場合、ステップS109へ処理を移行し、媒体の搬送を停止させずに継続させてもよい。
【0075】
また、ステップS107において、受付部153は、利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けた場合に、さらに媒体の搬送の再停止又は非停止の指示を受け付けなくてもよい。その場合、ステップS112において、制御部151は、判定部152により媒体に貼付物が貼付されていると判定されて次の媒体の搬送を停止してから最初の媒体の搬送が完了したときに、利用者からの指示に関わらず、媒体の搬送を再停止する。
【0076】
図7は、媒体搬送装置100の重なり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0077】
以下、
図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の重なり判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図7に示す動作のフローは、媒体が搬送されるたびに実行される。
【0078】
最初に、判定部152は、超音波センサ116から超音波信号を受信する。判定部152は、受信した超音波信号に示される透過情報を、搬送部により搬送される媒体の複数の位置において、その媒体を透過する超音波の透過情報として検出し、現在時刻と関連付けて記憶装置140に記憶する(ステップS201)。
【0079】
次に、判定部152は、媒体の後端が超音波センサ116の位置を通過したか否かを判定する(ステップS202)。制御部151は、例えば、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過してから第3所定時間が経過した時に媒体の後端が超音波センサ116の位置を通過したと判定する。第3所定時間は、媒体が第2媒体センサ115の位置から超音波センサ116の位置まで移動するのに要する時間に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が超音波センサ116の位置を通過したと判定してもよい。まだ媒体の後端が超音波センサ116の位置を通過していない場合、判定部152は、ステップS201へ処理を戻し、ステップS201~S202の処理を繰り返す。
【0080】
一方、媒体の後端が超音波センサ116の位置を通過した場合、判定部152は、搬送される媒体内において、超音波センサ116が検出した透過情報が所定範囲内である領域のサイズを、媒体の重なりが発生している重なりサイズとして算出する(ステップS203)。媒体の重なりが発生している位置では、超音波センサ116により発信された超音波が複数の媒体の間の空気層で減衰するため、透過情報が低下する。判定部152は、透過情報に基づく算出値が重送閾値未満である位置で媒体の重なりが発生しているとみなす。判定部152は、各透過情報が検出された前後の所定期間内に検出された透過情報の統計値(平均値、中央値、最大値又は最小値)を算出値として算出する。なお、判定部152は、各透過情報自体を算出値として使用してもよい。重送閾値は、例えば一枚のPPC(Plain Paper Copier)用紙が搬送された場合に検出される透過情報と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される透過情報との間の値に設定される。判定部152は、記憶装置140に記憶された透過情報を参照し、算出値が重送閾値未満である状態が連続している最大連続時間に媒体の搬送速度を乗算した値を重なりサイズとして算出する。
【0081】
なお、超音波センサ116の数が複数である場合、判定部152は、超音波センサ116毎に、媒体搬送方向A2における重なりサイズを算出する。また、判定部152は、重なりサイズとして、媒体搬送方向A2において媒体の重なりが発生しているサイズに加えて又は代えて、幅方向A4において媒体の重なりが発生しているサイズを算出してもよい。その場合、判定部152は、重送閾値未満である透過情報を出力した超音波センサ116の配置位置から幅方向A4における重なりサイズを算出する。
【0082】
また、判定部152は、算出値が重送閾値未満である状態が連続していた二つの連続時間の間隔が所定間隔以下である場合、二つの連続時間が連続しているとみなしてもよい。これらにより、判定部152は、ノイズの影響を低減させて、重なりサイズをより精度良く算出することができる。
【0083】
次に、判定部152は、算出した重なりサイズが第1閾値より大きいか否かを判定する(ステップS204)。第1閾値は、例えば一般的な付箋紙の最大サイズにマージンを加えた値(例えば80mm)に設定される。
【0084】
重なりサイズが第1閾値より大きい場合、判定部152は、媒体の重送が発生していると判定し(ステップS205)、一連のステップを終了する。
【0085】
一方、重なりサイズが第1閾値以下である場合、判定部152は、判定部152により算出された重なりサイズが第2閾値より小さいか否かを判定する(ステップS206)。第2閾値は、第1閾値より小さい値に設定され、例えば一般的な付箋紙の最小サイズからマージンを減じた値(例えば5mm)に設定される。
【0086】
重なりサイズが第2閾値以上である場合、即ち、重なりサイズが第1閾値以下且つ第2閾値以上である場合、判定部152は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定し(ステップS207)、一連のステップを終了する。
【0087】
一方、重なりサイズが第2閾値より小さい場合、判定部152は、媒体の重送が発生しておらず、且つ、搬送される媒体に貼付物が貼付されていないと判定し(ステップS208)、一連のステップを終了する。
【0088】
このように、判定部152は、搬送される媒体を透過する超音波の透過情報に基づいて、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する。これにより、判定部152は、媒体に貼付物が貼付されているか否かを精度良く判定することができる。特に、判定部152は、算出値が重送閾値未満であっても、重なりサイズが第1閾値以下である場合、搬送される媒体に貼付物が貼付されているとみなして媒体の重送が発生していないと判定する。これにより、判定部152は、小型サイズの媒体が貼付された媒体が搬送された場合に、媒体の重送が発生したと誤って判定することを抑制できる。
【0089】
なお、透過情報は、超音波受信器116bが受信した超音波の大きさでなく、超音波発信器116aが発信した超音波の位相に対する、超音波受信器116bが受信した超音波の位相のずれの大きさを示してもよい。媒体が重なっている場合は、媒体が重なっていない場合より、媒体を通過する超音波の位相のずれが大きくなる。そのため、判定部152は、透過情報に基づく算出値が重送閾値より大きい位置で媒体の重なりが発生しているとみなす。
【0090】
また、判定部152は、重なりサイズを利用せずに、透過情報の大きさのみに基づいて、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、媒体内に、透過情報に基づく算出値が重送閾値未満である位置が存在する場合、媒体の重送が発生していると判定し、且つ、媒体に貼付物が貼付されていると判定する。判定部152は、透過情報の大きさのみを利用することにより、媒体の重送が発生しているか否かと、媒体に貼付物が貼付されているか否かと、をより低負荷に判定することができる。一方、判定部152は、重なりサイズを利用することにより、媒体の重送が発生しているか否かと、媒体に貼付物が貼付されているか否かと、をより精度良く判定することができる。
【0091】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、搬送される媒体に貼付物が貼付されている場合に媒体の搬送を停止する。媒体搬送装置100は、その後、貼付物が取り外された又はずらされた媒体が再搬送されたときに、利用者が貼付物を再貼付できるように又は貼付物の位置を戻せるように、媒体の搬送を再停止(一時停止)する。これにより、利用者は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、貼付物を容易に取り外し又はずらしつつ、その媒体を再搬送させた後に、貼付物の状態を容易に戻すことが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0092】
図8は、他の実施形態に係る媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0093】
図8に示すフローチャートは、
図5に示したフローチャートの代わりに実行される。
図8のステップS301~S303、S304、S306~S310、S314~S317の処理は、
図5のステップS101~S103、S109、S104~S108、S111~S114の処理と同様である。但し、S306~S310の処理は、ステップS304で媒体全体が撮像されたと判定された後に実行される。
【0094】
ステップS304で媒体全体が撮像されたと判定された場合、制御部151は、撮像装置119から入力画像を取得し、取得した入力画像を記憶装置140に記憶する(ステップS305)。
【0095】
またステップS306で、重なり判定処理において媒体の重送が発生していないと判定され、且つ、搬送される媒体に貼付物が貼付されていないと判定された場合、制御部151は、媒体の搬送の再開の指示を受け付けていたか否かを判定する(ステップS311)。制御部151は、現在搬送中の媒体の直前に搬送された媒体について、媒体の重送が発生して又は貼付物が貼付されていて媒体の搬送が停止され、受付部153が利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていたか否かを判定する。
【0096】
媒体の搬送の再開の指示を受け付けていた場合、制御部151は、直前に搬送された媒体を撮像した入力画像を、現在搬送されている媒体を撮像した入力画像に置換する(ステップS312)。制御部151は、記憶装置140において、直前に搬送された媒体を撮像した入力画像を削除し、現在搬送されている媒体を撮像した入力画像に書き換える。即ち、制御部151は、判定部152により媒体に貼付物が貼付されていると判定された場合、その媒体を撮像した画像を、その媒体の搬送を停止してから最初に搬送された媒体を撮像した画像に置換する。これにより、制御部151は、媒体に印刷された文字又は図等が、貼付物によって覆われて撮像された入力画像を、貼付物が取り外されて又はずらされることによってそれらの文字又は図等が撮像された入力画像に置換することができる。したがって、媒体搬送装置100は、適切な入力画像を利用者に提供することができる。
【0097】
次に、制御部151は、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS313)。
【0098】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体全体が撮像された後に、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する場合も、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0099】
図9は、他の実施形態に係る重なり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0100】
図9に示すフローチャートは、
図7に示したフローチャートの代わりに実行される。
図9に示すフローチャートは、
図8に示す媒体読取処理が実行される場合に実行される。なお、
図8に示す媒体読取処理が実行される場合に実行される重なり判定処理は、
図9に示す重なり判定処理に限定されず、
図7に示す重なり判定処理でもよい。
図9のステップS401~S404の処理は、
図7のステップS201~S204の処理と同様であるため、以下では、ステップS405~S410の処理についてのみ説明する。
【0101】
ステップS404において、重なりサイズが第1閾値より大きい場合、判定部152は、媒体の重送が発生したと判定する(ステップS405)。
【0102】
一方、重なりサイズが第1閾値以下である場合、判定部152は、媒体の重送が発生しなかったと判定する(ステップS406)。
【0103】
次に、判定部152は、制御部151が撮像装置119から入力画像を取得するまで待機する(ステップS407
)。
【0104】
次に、判定部152は、取得された入力画像が貼付物の特徴を有するか否かを判定する(ステップS408)。媒体搬送装置100は、例えば、様々な種類の貼付物の画像パターンを記憶装置140に予め記憶しておく。判定部152は、入力画像から、記憶装置140に予め記憶された各画像パターンと同一の大きさを有する領域を、その位置をずらしながら切り出した切り出し画像と、各画像パターンとの類似の程度を算出する。類似の程度は、例えば正規化相互相関値である。なお、類似の程度は、SSD(Sum of Squared Difference)の逆数又はSAD(Sum of Absolute Difference)の逆数でもよい。判定部152は、各切り出し画像と各画像パターンとの類似の程度の最大値が類似度閾値以上である場合、入力画像が貼付物の特徴を有すると判定する。一方、判定部152は、各切り出し画像と各画像パターンとの類似の程度の最大値が類似度閾値未満である場合、入力画像が貼付物の特徴を有さないと判定する。
【0105】
なお、媒体搬送装置100は、貼付物の特徴として、一般的な貼付物が有する一又は複数のサイズ、形状及び色を記憶装置140に予め記憶しておいてもよい。その場合、判定部152は、入力画像から、記憶装置140に予め記憶された各サイズ及び形状と同一のサイズ及び形状を有する領域を、その位置をずらしながら切り出した切り出し画像を生成する。判定部152は、生成した各切り出し画像について、切り出し画像内の各画素の階調値(輝度値又は色値)と、記憶装置140に予め記憶された各色の階調値との差を算出する。判定部152は、算出した差が階調閾値以下である画素の数、又は、切り出し画像内の総画素数に対する、算出した差が階調閾値以下である画素の数の割合を評価値として算出する。判定部152は、算出した評価値の最大値が所定閾値以上である場合、入力画像が貼付物の特徴を有すると判定し、算出した評価値の最大値が所定閾値未満である場合、入力画像が貼付物の特徴を有さないと判定する。
【0106】
入力画像が貼付物の特徴を有する場合、判定部152は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定し(ステップS409)、一連のステップを終了する。
【0107】
一方、入力画像が貼付物の特徴を有さない場合、判定部152は、搬送される媒体に貼付物が貼付されていないと判定し(ステップS410)、一連のステップを終了する。
【0108】
このように、判定部152は、搬送される媒体を撮像した画像に基づいて、その媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する。判定部152は、搬送される媒体を撮像した画像を利用することにより、媒体に貼付物が貼付されているか否かをより精度良く判定することができる。
【0109】
なお、判定部152は、透過情報及び入力画像の両方に基づいて、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、透過情報に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定し且つ入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合に限り、媒体に貼付物が貼付されていると判定する。なお、判定部152は、透過情報に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、及び、入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合の何れの場合も、媒体に貼付物が貼付されていると判定してもよい。判定部152は、透過情報及び入力画像の両方を利用することにより、媒体に貼付物が貼付されているか否かをより精度良く判定することができる。
【0110】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する場合も、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0111】
図10は、他の実施形態に係る媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0112】
図10に示すフローチャートは、
図8に示したフローチャートの代わりに実行される。
図10のステップS501~S505、S507~S513、S516~S517の処理は、
図8のステップS301~S305、S307~~S313、S316~S317の処理と同様であるため、以下では、ステップS506、S514~S515の処理についてのみ説明する。
【0113】
ステップS506において、制御部151は、まず、直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていたか否かを判定する。直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていない場合、制御部151は、媒体の重送が発生したと判定されたか否かと、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定されたか否かと、を判定する。一方、直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていた場合、制御部151は、媒体の重送が発生したと判定されたか否かと、搬送される媒体に貼付物が貼付されていると判定されたか否かと、を判定せずに処理をステップS507へ移行する。
【0114】
ステップS514において、制御部151は、直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていたか否かと、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化しているか否かを判定する(ステップS514)。直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていた場合、直前に搬送された媒体は、重送が発生した媒体、又は、貼付物が貼付されていた媒体である。直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化している場合、現在搬送されている媒体は、利用者によりその貼付物が取り外され又はずらされて再搬送された媒体である。
【0115】
制御部151は、
図7のステップS201~S207の処理、又は、
図9のステップS408~S410の処理と同様にして、現在搬送されている媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する。制御部151は、現在搬送されている媒体に貼付物が貼付されていない場合、現在搬送されている媒体において貼付物が取り外されており、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化していると判定する。
【0116】
また、判定部152は、
図7のステップS207で媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、媒体内で透過情報が所定範囲内である領域(媒体の重なりが発生している領域)の位置を重なり位置として記憶装置140に記憶しておく。同様に、制御部151は、現在搬送されている媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、媒体内で透過情報が所定範囲内である領域(媒体の重なりが発生している領域)の位置を重なり位置として検出する。制御部151は、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で重なり位置が異なる場合、現在搬送されている媒体において貼付物の位置がずらされており、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化していると判定する。一方、制御部151は、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で重なり位置が一致する場合、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で貼付物の状態が変化していないと判定する。
【0117】
一方、判定部152は、
図9のステップS409で媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、入力画像内で、画像パターンとの類似の程度又は評価値が最大である切り出し画像が切り出された領域の位置を重なり位置として記憶装置140に記憶しておく。同様に、制御部151は、現在搬送されている媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、入力画像内で、画像パターンとの類似の程度又は評価値が最大である切り出し画像が切り出された領域の位置を重なり位置として検出する。制御部151は、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で重なり位置が異なる場合、現在搬送されている媒体において貼付物の位置がずらされており、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化していると判定する。一方、制御部151は、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で重なり位置が一致する場合、直前に搬送された媒体及び現在搬送されている媒体で貼付物の状態が変化していないと判定する。
【0118】
なお、制御部151は、現在搬送されている媒体において、貼付物が取り外されているか否か、又は、貼付物が貼付されている位置がずらされているか否かのうちの何れか一方のみを判定することにより、貼付物の状態が変化しているか否かを判定してもよい。
【0119】
制御部151は、直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けていなかった場合、又は、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化していない場合、特に処理を実行せず、ステップS516へ処理を移行する。
【0120】
一方、直前に搬送された媒体について利用者から媒体の搬送の再開の指示を受け付けており、且つ、直前に搬送された媒体及び現在搬送中の媒体で貼付物の状態が変化している場合、制御部151は、現在搬送されている媒体の搬送が完了するまで待機する。制御部151は、媒体の搬送が完了したときに、モータ131を停止し、媒体の給送及び搬送を再停止する(ステップS515)。
【0121】
このように、制御部151は、媒体に貼付物が貼付されていると判定されて媒体の搬送を停止してから最初に搬送された媒体の搬送が完了したときに、その最初に搬送された媒体において貼付物が貼付されていない場合に限り媒体の搬送を再停止する。または、制御部151は、媒体に貼付物が貼付されていると判定されて媒体の搬送を停止してから最初に搬送された媒体の搬送が完了したときに、その最初に搬送された媒体において貼付物が貼付されている位置がずらされている場合に限り媒体の搬送を再停止する。これらにより、媒体搬送装置100は、利用者が媒体に貼付物を再貼付する必要がない場合、又は、貼付物の位置を戻す必要がない場合に、媒体の搬送を停止しないため、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0122】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、再搬送された媒体において貼付物の状態が変化している場合に限り媒体の搬送を再停止する場合も、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0123】
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置200内部の搬送経路を説明するための図である。
【0124】
図11に示すように、媒体搬送装置200は、媒体搬送装置100が有する各部を有する。但し、媒体搬送装置200は、超音波センサ116の代わりに、厚さセンサ216を有する。
【0125】
厚さセンサ216は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側且つ第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hより上流側に配置される。厚さセンサ216は、発光器216a及び受光器216bを含む。発光器216a及び受光器216bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。発光器216aは、受光器216bに向けて光(赤外光又は可視光)を照射する。一方、受光器216bは、発光器216aにより照射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である厚さ信号を生成して出力する。厚さセンサ216の位置に媒体が存在する場合、発光器216aにより照射された光はその媒体により減衰し、媒体の厚さが大きい程、その減衰量は大きくなる。例えば、厚さセンサ216は、媒体の厚さが大きい程、信号値が大きくなるように厚さ信号を生成する。厚さ信号は、搬送部により搬送される媒体内の複数の位置におけるその媒体の厚さ情報を示す。なお、厚さセンサ216の数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の厚さセンサ216は、幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0126】
なお、厚さセンサ216として、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサが用いられてもよい。反射光センサは、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む。反射光センサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。反射光センサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を厚さ情報として示す厚さ信号を生成する。圧力センサは、媒体の厚さに応じて変化する圧力を検出し、検出した圧力を厚さ情報として示す厚さ信号を生成する。機械式センサは、媒体に接するローラの移動量を検出し、検出した移動量を厚さ情報として示す厚さ信号を生成する。
【0127】
媒体搬送装置200は、媒体搬送装置100と同様に、
図5、
図8又は
図10に示した媒体読取処理、及び、
図7又は
図9に示した重なり判定処理を実行する。
【0128】
但し、
図7のステップS201又は
図9のステップS401において、判定部152は、厚さセンサ216から厚さ信号を受信する。判定部152は、受信した厚さ信号に示される厚さ情報を、搬送部により搬送される媒体の複数の位置における、その媒体の厚さ情報として検出し、現在時刻と関連付けて記憶装置140に記憶する。
【0129】
また、
図7のステップS202又は
図9のステップS402において、判定部152は、媒体の後端が厚さセンサ216の位置を通過したか否かを判定する。まだ媒体の後端が厚さセンサ216の位置を通過していない場合、判定部152は、ステップS201又はS401へ処理を戻し、ステップS201~S202又はS401~S402の処理を繰り返す。
【0130】
また、
図7のステップS203又は
図9のステップS403において、判定部152は、搬送される媒体内において、検出した厚さ情報が所定範囲内である領域のサイズを重なりサイズとして算出する。判定部152は、厚さ情報が重送閾値より大きい位置で媒体の重なりが発生しているとみなす。判定部152は、各厚さ情報が検出された前後の所定期間内に検出された
厚さ情報の統計値(平均値、中央値、最大値又は最小値)を算出値として算出する。なお、判定部152は、各厚さ情報自体を算出値として使用してもよい。重送閾値は、例えば一枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される厚さ情報と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される厚さ情報との間の値に設定される。判定部152は、記憶装置140に記憶された厚さ情報を参照し、算出値が重送閾値より大きい状態が連続している最大連続時間に媒体の搬送速度を乗算した値を重なりサイズとして算出する。
【0131】
なお、厚さセンサ216の数が複数である場合、判定部152は、厚さセンサ216毎に、媒体搬送方向A2における重なりサイズを算出する。また、判定部152は、重なりサイズとして、媒体搬送方向A2において媒体の重なりが発生しているサイズに加えて又は代えて、幅方向A4においてサイズ媒体の重なりが発生しているサイズを算出してもよい。その場合、判定部152は、重送閾値より大きい厚さ情報を出力した厚さセンサ216の配置位置から幅方向A4における重なりサイズを算出する。
【0132】
このように、判定部152は、搬送される媒体の厚さ情報に基づいて、その媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する。これにより、判定部152は、媒体に貼付物が貼付されているか否かを精度良く判定することができる。特に、判定部152は、算出値が重送閾値より大きくても、重なりサイズが第1閾値以下である場合、搬送される媒体に貼付物が貼付されているとみなして媒体の重送が発生していないと判定する。これにより、判定部152は、小型サイズの媒体が貼付された媒体が搬送された場合に、媒体の重送が発生したと誤って判定することを抑制できる。
【0133】
また、判定部152は、重なりサイズを利用せずに、厚さ情報の大きさのみに基づいて、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、媒体内に、厚さ情報に基づく算出値が重送閾値より大きい位置が存在する場合、媒体の重送が発生していると判定し、且つ、媒体に貼付物が貼付されていると判定する。判定部152は、厚さ情報の大きさのみを利用することにより、媒体に貼付物が貼付されているか否かをより低負荷に判定することができる。一方、判定部152は、重なりサイズを利用することにより、媒体に貼付物が貼付されているか否かをより精度良く判定することができる。
【0134】
また、判定部152は、厚さ情報及び入力画像の両方に基づいて、媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、厚さ情報に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定し且つ入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合に限り、媒体に貼付物が貼付されていると判定する。なお、判定部152は、厚さ情報に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、及び、入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合の何れの場合も、媒体に貼付物が貼付されていると判定してもよい。判定部152は、厚さ情報及び入力画像の両方を利用することにより、媒体に貼付物が貼付されているか否かをより精度良く判定することができる。
【0135】
以上詳述したように、媒体搬送装置200は、搬送される媒体の厚さ情報に基づいて媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定する場合も、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0136】
図12は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の処理回路350の概略構成を示す図である。
【0137】
処理回路350は、処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理、重なり判定処理等を実行する。処理回路350は、制御回路351、判定回路352及び受付回路353等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0138】
制御回路351は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路351は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を受信し、受信した各信号に基づいて、モータ131を制御して媒体を搬送する。制御回路351は、撮像装置119から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。また、制御回路351は、記憶装置140から媒体に貼付物が貼付されているか否かの判定結果、又は、媒体の搬送の再停止の指示を読み出し、読み出した各情報に基づいて、媒体の搬送を停止又は再停止する。
【0139】
判定回路352は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路352は、超音波センサ116から超音波信号を、もしくは、厚さセンサ216から厚さ信号を受信し、又は、記憶装置140から入力画像を読み出す。判定回路352は、受信した信号又は読み出した入力画像に基づいて媒体に貼付物が貼付されているか否かを判定し、判定結果を記憶装置140に記憶する。
【0140】
受付回路353は、受付部の一例であり、受付部153と同様の機能を有する。受付回路353は、操作装置105又はインタフェース装置132から媒体の搬送の再停止の指示を受信し、記憶装置140に記憶する。
【0141】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路350によって媒体読取処理及び重なり判定処理を実行する場合も、搬送される媒体に貼付物が貼付されていた場合に、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0142】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、
図8のステップS312又は
図10のステップS512において、制御部151は、入力画像全体を置換することに代えて、入力画像内で貼付物が貼付された領域のみを置換してもよい。その場合、判定部152は、
図9のステップS409で媒体に貼付物が貼付されていると判定した場合、入力画像内で、画像パターンとの類似の程度又は評価値が閾値以上である切り出し画像が切り出された領域の位置を重なり位置として記憶装置140に記憶しておく。制御部151は、直前に搬送された媒体を撮像した入力画像内の重なり位置の領域内の各画素の階調値を、現在搬送されている媒体を撮像した入力画像内の対応する画素の階調値に変換することにより、入力画像内で貼付物が貼付された領域を置換する。この場合も、制御部151は、媒体に印刷された文字又は図等が、貼付物によって覆われて撮像された入力画像を、貼付物が取り外されて又はずらされることによってそれらの文字又は図等が撮像された入力画像に置換することができる。したがって、媒体搬送装置は、適切な入力画像を利用者に提供することができる。
【符号の説明】
【0143】
100、200 媒体搬送装置、112 ピックローラ、113 給送ローラ、114 分離ローラ、117a~h 第1~第8搬送ローラ、118a~h 第1~第8従動ローラ、119 撮像装置、151 制御部、152 判定部、153 受付部