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▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-19
(45)【発行日】2025-06-27
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20250620BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20250620BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20250620BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250620BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20250620BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250620BHJP
【FI】
A61K8/92
A61Q5/00
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022552704
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021024133
(87)【国際公開番号】W WO2021195367
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】63/000,016
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー メアリー マーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェームズ フェルツ
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-249525(JP,A)
【文献】特開2015-140303(JP,A)
【文献】特開2004-026781(JP,A)
【文献】特開昭61-183206(JP,A)
【文献】特開昭63-264513(JP,A)
【文献】特開2018-104371(JP,A)
【文献】特表2011-513291(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008762(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0203003(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331675(US,A1)
【文献】特開2008-289370(JP,A)
【文献】特表2011-525540(JP,A)
【文献】特開平06-312917(JP,A)
【文献】特開2011-006368(JP,A)
【文献】特開2017-081898(JP,A)
【文献】特表2000-502366(JP,A)
【文献】特開2017-165683(JP,A)
【文献】特表2017-510601(JP,A)
【文献】Styling Creme, MINTEL GNPD [ONLINE], 2013.05,[検索日 2023.10.27],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.2073268)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアケア組成物であって、
a.1重量%~3重量%のベニバナ種子油と、
b.0.5重量%~5重量のシトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックス、シトラス・リモン(レモン)ピールワックスから選択される低融点ワックスと、
c.カチオン性界面活性剤と、
を含み、
前記ベニバナ種子油:前記低融点ワックスの比が、85:15~60:40である、ヘアケア組成物。
【請求項2】
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される高融点脂肪族化合物をさらに含む、請求項1に一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記高融点脂肪族化合物が、0.1重量%~20重量%のレベルで前記ヘアケア組成物中に含まれ得る、請求項2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
リンスオフコンディショナーであるヘアコンディショナーである、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
0.1重量%~10重量%の前記カチオン性界面活性剤を含み、前記カチオン性界面活性剤は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミンドアミン塩、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩の組み合わせ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
ゲルマトリックスを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記ゲルマトリックスが、カチオン性界面活性剤と、高融点脂肪族化合物と、水性キャリアとを含む、請求項6に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然な毛髪コンディショニング用の油及びワックスブレンドを含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の健康を改善するために、様々なアプローチが開発されてきた。ヘアヘルス効果をもたらす一般的な方法は、カチオン性界面活性剤及びポリマー、高融点脂肪族化合物、低融点油、シリコーン化合物、並びにこれらの混合物などのコンディショニング剤の使用によるものである。これらのコンディショニング剤のほとんどは、様々なヘアヘルス効果をもたらすことが知られている。しかしながら、一部の消費者は、シリコーン化合物を有するヘアコンディショナーを使用することを好まない。これは、より天然のコンディショニング活性物質を有するのを望んでいること、又はシリコーンが毛髪に与える感触を好まないことのいずれかの理由からである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、消費者に顕著な利益を与えることができる天然のコンディショニング活性物質を含有するヘアコンディショナーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも約30%のC18:1を有するトリグリセリド油と、低融点ワックスと、を含む、ヘアケア組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0006】
本明細書で、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響しない他のステップ及び他の成分も加えられる場合があることを意味する。この用語には、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語が包含される。
【0007】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性成分濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0008】
本明細書で、「混合物」は、材料の単純な組み合わせと、このような組み合わせから得られる場合がある任意のコンパウンドと、を含むことを意味する。
【0009】
用語「分子量」又は「M.Wt.」は、本明細書で使用するとき、特に記載のない限り、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0010】
「QS」は、100%とするために十分な量を意味する。
【0011】
ヘア製品
一部の消費者は、シリコーンを含有しないヘアケア組成物に関心があるので、代替のコンディショニング活性物質が必要とされている。本発明のヘアケア組成物は、コンディショニング性能を与えるためのトリグリセリド天然油を含む。これらの油は、室温で液体であり、潤滑性である。しかしながら、リンスアウトコンディショナーからコンディショニングを与えるためには、油を毛髪に送達する必要がある。油の毛髪への付着を制御する2つの重要なパラメータ、i)毛髪表面に対する油の界面特性及びii)油の粘度が存在する。
【0012】
油の粘度により、付着の動態及び湿潤の速度を制御する。粘度の上昇によって広がる速度が減少するが、「ロールアップ」速度も減少し、すすぎ中の持続性が助長される。したがって、粘度が低すぎると、油が容易に除去されすぎるようになるが、粘度が高すぎることは、材料が表面から跳ね返り、広がらなくなることを意味する。したがって、解決すべき課題は、リンスオフ製品から毛髪に付着することを可能にするが、依然としてコンディショニング潤滑性及びコンディショニング効果を保持するように、トリグリセリド油の粘度を上昇させる方法である。
【0013】
本発明者らは、トリグリセリド油を低融点ワックスと混合することが解決策であることを見出した。これにより粘度は上昇するが、依然としてトリグリセリドのコンディショニング効果はある。低融点ワックスも、いくらかの潤滑性及びコンディショニングを提供する。しかしながら、油/ワックスブレンドが均質かつ安定である要件もあり、これは、2つを一緒に溶融させたとき、冷却時に分離して個々の成分に戻ることがないことを意味する。
【0014】
驚くべきことに、低融点ワックス及び特定の種類のトリグリセリド油は、冷却時に均質なブレンドのままでありつつ、元のトリグリセリド油よりも粘度の高いブレンドを形成し得ることが見出された。このより高粘度のブレンドは、毛髪へのトリグリセリドの付着を著しく増加させ、湿潤及び乾燥時の梳毛データによって測定したときに増強されたコンディショニング性能を与える。例えば、シトラス・オーランティアム・ダルシス(citrus aurantium dulcis)(オレンジ)ピールワックス及び特定のトリグリセリド油は、均質なままである、より高粘度のブレンドを形成する。全てのトリグリセリド油が、シトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックスとブレンドされたときに粘度を上昇させる能力を有するわけではない。油ブレンド中のC18:1(オレイン酸)及びC18:0(ステアリン酸)の百分率が重要である。本発明者らは、トリグリセリドのオレイン酸の割合が少なくとも約30%である場合に最も有効であることを見出した。いくつかの実施形態では、トリグリセリドのオレイン酸の割合は少なくとも約50%である、すなわち、トリグリセリド油は少なくとも約50%のC18:1を含む。トリグリセリドのC18:1鎖は、シトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックスに存在するエステル側鎖との正の疎水性-疎水性相互作用を最大化するだけでなく、トリグリセリド流体も保持すると考えられる。C18:0側鎖の百分率が高くなるとより高い相互作用が存在する可能性が高くなるが、これにより、トリグリセリドはより密で潤滑性が低くなる。
【0015】
A.カチオン性界面活性剤系
本明細書に記載のヘアケア組成物は、カチオン性界面活性剤系を含む。カチオン性界面活性剤系は、1種のカチオン性界面活性剤、又は2種以上のカチオン性界面活性剤の混合物とすることができる。カチオン性界面活性剤系は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩とモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせから選択することができる。
【0016】
カチオン性界面活性剤系は、ヘアケア組成物の約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.5重量%~約8重量%、あるいは約0.8重量%~約5重量%、あるいは約1.0重量%~約4重量%の濃度でヘアケア組成物中に含まれ得る。
【0017】
モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
本明細書で有用なモノアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤は、12~30個の炭素原子、16~24個の炭素原子を有する1つのアルキル長鎖を有するものであり、一実施形態ではC18~22アルキル基でのものである。窒素に結合している残りの基は、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択される。
【0018】
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(I):
【0019】
【化1】
(式中、R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R75、R76、R77、及びR78のうちの残りは、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、サルフェート、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネート基から選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子、16~24個の炭素原子、18~22個の炭素原子、及び/又は22個の炭素原子のアルキル基から選択され得、R75、R76、R77、及びR78の残りは、CH、C、COH、及びこれらの混合物から独立して選択され、Xは、Cl、Br、CHOSO、COSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
かかるモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、及び水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0021】
モノ長鎖アルキルアミドアミン塩
モノ長鎖アルキルアミンも、カチオン性界面活性剤として好適である。一級、二級、及び三級脂肪族アミンが有用である。約12~約22個の炭素のアルキル基を有する三級アミドアミンが特に有用である。例示的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明で有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。これらのアミンは、L-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物などの酸と組み合わせて使用することもでき、一実施形態では、L-グルタミン酸、乳酸、及び/又はクエン酸と組み合わせて使用することもできる。本明細書におけるアミンは、いずれかの酸によって、アミンの酸に対するモル比が約1:0.3~約1:2及び/又は約1:0.4~約1:1で部分的に中和され得る。
【0022】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩と組み合わせることができる。このような組み合わせは、モノアルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩の単一使用と比べて、すすぎが容易であるという感触をもたらすことができると考えられる。モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩とのこのような組み合わせでは、ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、カチオン性界面活性剤系中のジアルキル四級化アンモニウム塩の重量%が、約10%~約50%及び/又は約30%~約45%の範囲となるような濃度で使用される。
【0023】
本明細書で有用なジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤は、12~30個の炭素原子、及び/又は16~24個の炭素原子、及び/又は18~22個の炭素原子を有する2つのアルキル長鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択される。
【0024】
本明細書で有用なジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(II):
【0025】
【化2】
(式中、R75、R76、R77及びR78のうちの2つは、12~30個の炭素原子のアルキル基、又は、最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R75、R76、R77、及びR78のうちの残りは、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、サルフェート、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネート基から選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子、16~24個の炭素原子、18~22個の炭素原子、及び/又は22個の炭素原子のアルキル基から選択され得、R75、R76、R77、及びR78の残りは、CH、C、COH、及びこれらの混合物から独立して選択され、Xは、Cl、Br、CHOSO、COSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0026】
このようなジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ水素添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。また、このようなジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤としては、例えば、不斉ジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤も挙げられる。
【0027】
B.高融点脂肪族化合物
ヘアケア組成物は、1種以上の高融点脂肪族化合物を含む。本明細書で有用な1種以上の高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有することができ、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということが当業者には理解される。しかしながら、所与の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の炭素原子を有する特定の化合物が、25℃未満の融点を有し得ることが当業者によって理解される。低融点のこのような化合物は、この項に含まれることが意図されない。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0028】
様々な高融点脂肪族化合物の中でも、脂肪族アルコールがヘアケア組成物において使用するのに好適である。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、約16~約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖であっても分枝アルコールであってもよい。好適な脂肪族アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
高純度の単一化合物の高融点脂肪族化合物が使用され得る。純粋なセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールの群から選択される、純粋な脂肪族アルコールの単一化合物も使用され得る。本明細書で、「純粋な」とは、化合物が、少なくとも約90%及び/又は少なくとも約95%の純度を有することを意味する。これらの高純度の単一化合物は、消費者が組成物を洗い流すときに、毛髪からの良好な洗い流し易さをもたらす。
【0030】
1種以上の高融点脂肪族化合物は、ヘアケアの約0.1重量%~約20重量%、あるいは約1重量%~約15重量%、更にあるいは約1.5重量%~約8重量%の濃度でヘアケア組成物中に含まれ得る。1種以上の高融点脂肪族化合物は、ヘアケア組成物を湿潤な毛髪に適用している際のツルツルとした感触、乾いた毛髪における上の毛髪の柔らかさ、及び乾いた毛髪におけるしっとりとした感触などの改善されたコンディショニング効果をもたらし得る。
【0031】
C.水性キャリア
ヘアケア組成物は、ヘアケア組成物の約75重量%~約98重量%、あるいは約80重量%~約95重量%の濃度で水性キャリアを含む。したがって、ヘアケア組成物は、(周囲条件下で)注ぐことが可能な液体の形態であってもよい。この水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよく、一態様では、特に他の構成成分の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意な濃度の有機溶媒を有していない水を含んでもよい。
【0032】
水性キャリアは、低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液を含み得る。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0033】
ヘアケア組成物は、25℃で約2~約10、あるいは約3~約8の範囲のpHを有し得る。ヘアケア組成物はまた、存在する鉱物及びレドックス金属付着物を洗い落とすのにも有効であり得、これにより、キューティクルの変形を低減して、キューティクルの欠け落ち(chipping)及びダメージを低減することができる。
【0034】
D.ゲルマトリックス
ヘアケア組成物は、ゲルマトリックスを更に含み得る。ゲルマトリックスは、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含む。
【0035】
ゲルマトリックスは、濡れた毛髪に適用している際のツルツルとした感触、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとりとした感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。上述のゲルマトリックスの提供を考慮して、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が約1:1~約1:10、及び/又は約1:1~約1:6の範囲になるような濃度で含有される。
【0036】
E.追加成分
1.天然コンディショニング剤
本明細書におけるヘアケア組成物は、ワックスとブレンドされたトリグリセリド油を含み得る。上述のように、トリグリセリド油は、コンディショニング効果を提供するが、単独では有効であり得ない。1 1/sの剪断速度で1.0~5.0Paなど、毛髪にコンディショナーをより良好に付着させることができる特定の粘度がある。典型的なトリグリセリド油は、1 1/sの剪断速度で0.25~0.04Paの粘度を有し、これは、すすぎ中に容易に除去できることを意味する。
【0037】
ただし、トリグリセリド油をワックスとブレンドしてもよい。低融点ワックスと混合されたトリグリセリド油は、上昇した粘度を有することができるが、依然としてコンディショニング効果を保持している。低融点ワックスも、いくらかの潤滑性及びコンディショニングを提供することができる。しかし、一部のトリグリセリド油とワックスとの組み合わせが他の組み合わせよりも良好に機能することがさらに見出された。例えば、特定のトリグリセリド油は、均質かつ元のトリグリセリド油よりも高粘度であるシトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックスとのブレンドを形成する。このより高粘度のブレンドは、トリグリセリドの毛髪への付着を著しく増加させ、増強されたコンディショニング性能を与える。油ブレンド中のC18:1(オレイン酸)及びC18:0(ステアリン酸)の百分率が重要である。トリグリセリドのオレイン酸の割合は、少なくとも約30%、いくつかの実施形態では少なくとも約50%である必要がある。トリグリセリドのC18:1鎖は、シトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックスに存在するエステル側鎖との正の疎水性-疎水性相互作用を最大化するだけでなく、依然としてトリグリセリド流体も保持すると考えられる。C18:0側鎖の百分率が高くなるとより高い相互作用が存在する可能性が高くなるが、これにより、トリグリセリドはより密で潤滑性が低くなる。
【0038】
いくつかの実施形態では、トリグリセリド油は、ベニバナ種子油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、茶種子油、チュールル(野生のアプリコット)種子油、ピーナッツ油、マルーラ油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。これらのトリグリセリド油は、少なくとも30%がC18:1、いくつかの実施形態では、少なくとも50%がC18:1である。ベニバナ種子油(高オレイン酸(OA)バージョン)は、73%のC18:1を有し、アボカド油は、55%~75%、アーモンド油は60%~70%、オリーブ油は65%~80%のC18:1を有する。
【0039】
トリグリセリド油の低融点ワックスに対する比は、約90:10~約50:50、いくつかの実施形態では、約85:15~約60:40であり得る。組成物の重量によるヘアケア組成物中のトリグリセリドの量は、約0.5重量%~約5重量%、いくつかの実施形態では約1重量%~約3重量%であり得る。
【0040】
シトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックスが良好に機能するが、他の低融点ワックスを使用してもよい。低融点ワックスは、シトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックス、シトラス・リモン(citrus limon)(レモン)ピールワックス、ベーベリワックス、ラノリンワックス、植物由来ラノリンワックス、オーランティアム・アマーラ(aurantium amara)(ダイダイ)花ワックス、アカシア・ファルネシアナ(acacia farnesiana)(キンゴウカン)ワックス、ナッルキッスス・ポエティクス(narcissus poeticus)(スイセン花)ワックス、ロサ・ケンティフォリア(rosa centifolia)(バラ花)ワックス、ジャスミニウム・サムバク(jasminium sambac)(ジャスミン)花ワックス、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。この場合、低融点は、最高約45℃の融点とみなされる。
【0041】
いくつかの実施形態では、低レベル(ワックスの約10重量%未満)のより高融点のワックスを低融点ワックスに添加して、追加の粘度を加えることが選択肢となり得る。ワックスブレンド中の高融点ワックスの最終レベルは、約5%未満であり得る。高融点ワックスの可能な選択肢としては、米ぬかワックス、ヒマワリワックス、カルナウバろう、カンデリラろう、蜜ろう、水素化ヒマワリ、ダイズ、及びオリーブ油などの水素化トリグリセリド油、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ワックスブレンドは、ヒマワリワックス及び米ぬかワックスであり得る。
【0042】
以下の表1は、2つの異なる速度で測定された、75:25の比でシトラス・オーランティアム・ダルシス(オレンジ)ピールワックス(OPW)と合わせた様々なトリグリセリド油、当該トリグリセリド油の脂肪酸含有量C18:1、及びブレンドの粘度を示す。これは、少なくとも30%又は少なくとも50%のC18:1を含むトリグリセリド油が、オレンジピールワックスとブレンドされたときにより高粘度を有することを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
以下の表2は、3つのヘアコンディショニング組成物について、未染色の及び染色された毛髪で測定された付着データを示す。第1のヘアケア組成物は、ワックスを含有せず、当該組成物の3重量%のベニバナ油のみを含有し、第2のヘアケア組成物は、当該組成物の3重量%の、ベニバナ油とオレンジピールワックスとの4:1ブレンドを含有し、第3のヘアケア組成物は、同様に当該組成物の3重量%のオレンジピールワックスのみを含有し、トリグリセリドを含有しない。3%のワックス及び/又は油以外の組成は、以下の実施例13と同じであった。以下に記載する試験方法を使用して、毛髪に付着したベニバナ油の量を測定した。データは、ベニバナ油とオレンジピールワックスとのブレンドによって最も多く付着したことを示す。これは、ベニバナ油を単独で使用した場合よりも多かった。オレンジピールワックスのみを含むヘアケア組成物は、自然には、ベニバナ油付着を全く示さなかったが、ブレンド中にオレンジピールワックスが存在すると、より多くのベニバナ油が付着できるようになった。予想通り、概して、染色された毛髪と比べて未染色の毛髪に対してより多く付着したが、トリグリセリド又はワックスのいずれかのみに対するブレンドの付着優位性は、両タイプの毛髪に対して明らかである。
【0045】
【表2】
【0046】
以下の表3及び表4は、それぞれ、表2で使用したのと同じ3つのヘアケア組成物の湿潤及び乾燥時の梳毛データを示す。湿潤時梳毛と乾燥時梳毛の両方について、ベニバナ油とオレンジピールワックスとのブレンドでは、摩擦が最小になる。これは、ベニバナ油とオレンジピールワックスとの天然ブレンドが、消費者が望むヘアコンディショナーの効果を提供できることを実証している。
【0047】
【表3】
【0048】
いくつかの実施形態では、ヘアケア組成物は、シリコーンを実質的に含んでいなくてもよく、完全に含んでいなくてもよい。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の天然コンディショニング剤のブレンドは、シリコーン又はシリコーンコンディショニング剤と組み合わせてもよい。
【0049】
ヘアケア組成物は、シリコーン化合物を含むシリコーンコンディショニング剤を含んでもよい。シリコーン化合物は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。揮発性シリコーンが存在する場合、それは、典型的には、シリコーンガム及び樹脂等の市販の形態の不揮発性シリコーン材料成分用の溶媒又はキャリアとしての使用に付随するものである。シリコーン化合物は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでもよく、またシリコーン流体の付着効率を改善するか又は毛髪のツヤを増強するために、シリコーン樹脂等の他の成分を含んでもよい。ヘアケア組成物中のシリコーン化合物の濃度は、典型的には、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約5重量%、又は更には約0.2重量%~約3重量%の範囲である。本明細書で使用するのに好適なシリコーンとしては、PDMS(ジメチコン)シリコーン、PQAS(シリコーンクオタニウム-26);PDMS、末端アミノシリコーン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。天然コンディショニング剤及びシリコーンコンディショニング剤の両方を含む実施形態では、天然コンディショニング剤のシリコーンコンディショニング剤に対する比は、約25:75~約75:25であってよい。
【0050】
追加の好適なシリコーン化合物としては、(a)不揮発性であり、実質的にアミノ基を含まず、約100,000mm-1~約30,000,000mm-1の粘度を有する第1のポリシロキサン、(b)不揮発性であり、実質的にアミノ基を含まず、約5mm-1~約10,000mm-1の粘度を有する第2のポリシロキサン、(c)アミノシリコーンの重量の約0.5重量%未満の窒素を有するアミノシリコーン、(d)25℃で測定したときに約100x10mm-1超の内相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルジョン、(e)四級基を含有するシリコーンポリマー、又は(f)グラフト化シリコーンコポリオールが挙げられ、シリコーン化合物(a)~(f)は、米国特許出願公開第2008/0292574号、同第2007/0041929号、同第2008/0292575号、及び同第2007/0286837号に開示されており、これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。好適なシリコーンコンディショニング剤のさらなる説明は、米国特許出願第62/945,959号、代理人整理番号15687Pに見出すことができる。
【0051】
2.その他のコンディショニング剤
また、Procter&Gamble Companyにより米国特許第5,674,478号及び同第5,750,122号に記載されているコンディショニング剤も、本明細書のヘアケア組成物において用いるのに好適である。同様に、米国特許第4,529,586号、同第4,507,280号、同第4,663,158号、同第4,197,865号、同第4,217、914号、同第4,381,919号及び同第4,422、853号に記載されているコンディショニング剤も本明細書で用いるのに好適である。
【0052】
a.有機コンディショニング油
ヘアケア組成物はまた、有機コンディショニング油を更に含んでもよい。実施形態によれば、ヘアケア組成物は、本明細書に記載の他のコンディショニング剤と組み合わせて、約0.05重量%~約3重量%、約0.08重量%~約1.5重量%、又は更には約0.1重量%~約1重量%の少なくとも1つの有機コンディショニング油を、コンディショニング剤として含んでいてよい。好適なコンディショニング油としては、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステルが挙げられる。好適な炭化水素油としては、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環式炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、並びに分岐鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)(これらのポリマー及び混合物を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖炭化水素油は、典型的には、約C12~約C19である。分岐鎖炭化水素油(炭化水素ポリマーを含む)は、典型的には、19個超の炭素原子を含有する。好適なポリオレフィンとしては、液体ポリオレフィン、液体ポリ-α-オレフィン、又は更には水素添加液体ポリ-α-オレフィンが挙げられる。本明細書で使用するためのポリオレフィンは、C4~約C14又は更にはC6~約C12の重合によって調製することができる。好適な脂肪酸エステルとしては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられるが、これに限定されない。これらの脂肪酸エステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えばモノエステル、多価アルコールエステル、並びにジ-及びトリ-カルボン酸エステル)が挙げられる。本明細書における脂肪酸エステルのヒドロカルビル基は、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合等)等、他の適合性官能基を含んでいてもよく、それに共有結合していてもよい。
【0053】
3.非イオン性ポリマー
ヘアケア組成物は、非イオン性ポリマーを更に含み得る。一実施形態によれば、本発明のヘアケア組成物で使用するためのコンディショニング剤は、ポリアルキレングリコールポリマーを含み得る。例えば、約1000超の分子量を有するポリアルキレングリコールが、本明細書で有用である。次の一般式(VIII):
【0054】
【化3】
(式中、R11は、H、メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、vは、エトキシ単位の数である)を有するものが有用である。ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールは、本発明のヘアケア組成物に約0.001重量%~約10重量%の濃度で含まれ得る。一実施形態では、ポリエチレングリコールは、組成物の重量に基づいて最大約5重量%の量で存在する。本明細書で有用なポリエチレングリコールポリマーは、PEG-2M(Polyox WSR(登録商標)N-10としても既知であり、Union CarbideからPEG-2,000として入手可能である);PEG-5M(Polyox WSR(登録商標)N-35及びPolyox WSR(登録商標)N-80としても既知であり、Union CarbideからPEG-5,000及びPolyethylene Glycol300,000として入手可能である);PEG-7M(Polyox WSR(登録商標)N-750としても既知であり、Union Carbideから入手可能である);PEG-9M(Polyox WSR(登録商標)N-3333としても既知であり、Union Carbideから入手可能である);及びPEG-14M(Polyox WSR(登録商標)N-3000としても既知であり、Union Carbideから入手可能である)である。
【0055】
4.懸濁剤
ヘアケア組成物は、水不溶性材料を組成物中に分散した形態で懸濁するために又は組成物の粘度を改変するために有効な濃度で懸濁剤を更に含んでもよい。そのような濃度は、約0.1重量%~約10重量%、又は更には約0.3重量%~約5.0重量%の範囲である。
【0056】
本明細書で有用な懸濁剤としては、アニオン性ポリマー及び非イオン性ポリマーが挙げられる。架橋アクリル酸ポリマー(CTFA名称カルボマー)等のビニルポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース、セルロース粉末等のセルロース誘導体及び変性セルロースポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーゴム、ヒドロキシプロピルグアーゴム、キサンタンゴム、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、イナゴマメゴム、グアーゴム、カラヤゴム、カラギーナン、ペクチン、寒天、マルメロ種子(シドニア・オブロンガ・ミル(Cydonia oblonga Mill))、デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦)、藻類コロイド(藻類抽出物)、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物学的ポリマー、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系ポリマー、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート等のアクリレートポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、並びにベントナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ラポナイト、ヘクトナイト、及び無水ケイ酸等の無機水溶性材料が、本明細書で有用である。
【0057】
本明細書で非常に有用な市販の粘度調整剤としては、全てB.F.Goodrich Companyから入手可能な商品名Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)950、Carbopol(登録商標)980、及びCarbopol(登録商標)981のカルボマー、Rohm and Hassから入手可能な商品名ACRYSOL(商標)22のアクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、Amercholから入手可能な商品名Amercell(商標)POLYMER HM-1500のノノキシニルヒドロキシエチルセルロース、全てHerculesから供給されている商品名BENECEL(登録商標)のメチルセルロース、商品名NATROSOL(登録商標)のヒドロキシエチルセルロース、商品名KLUCEL(登録商標)のヒドロキシプロピルセルロース、商品名POLYSURF(登録商標)67のセチルヒドロキシエチルセルロース、全てAmercholから供給されている商品名CARBOWAX(登録商標)PEGs、POLYOX WASRs、及びUCON(登録商標)FLUIDSのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド系ポリマーが挙げられる。
【0058】
他の任意による懸濁剤としては、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの混合物として分類することができる、結晶性懸濁剤が挙げられる。これらの懸濁剤は、米国特許第4,741,855号に記載されている。
【0059】
これらの懸濁剤としては、一態様では、約16~約22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステルが挙げられる。一態様では、有用な懸濁剤としては、エチレングリコールステアレート(モノ及びジステアレートの両方)が挙げられるが、一態様では、約7%未満のモノステアレートを含有するジステアレートが挙げられる。他の好適な懸濁剤としては、約16~約22個の炭素原子、又は更には約16~18個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドが挙げられ、その例としては、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、及びステアリン酸モノエタノールアミドステアレートが挙げられる。他の長鎖アシル誘導体としては、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリルステアレート、セチルパルミテートなど)、長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアラミドジエタノールアミドジステアレート、ステアラミドモノエタノールアミドステアレート)、及びグリセリルエステル(例えば、グリセリルジステアレート、トリヒドロキシステアリン、トリベヘニン)(その市販例がThixin(登録商標)Rであり、Rheox,Inc.から入手可能である)が挙げられる。上述で列挙された材料に加えて、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、及び長鎖カルボン酸のアルカノールアミドが懸濁剤として使用され得る。
【0060】
懸濁剤として用いるのに好適な他の長鎖アシル誘導体としては、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸及びその可溶性塩(例えば、Na、K)、特に、この分類のN,N-ジ(水素添加)C16、C18及びタローアミド安息香酸種が挙げられ、これらはStepan Company(Northfield,Ill.,USA)から市販されている。
【0061】
懸濁剤として使用するのに好適な長鎖アミンオキシドの例としては、アルキルジメチルアミンオキシド、例えば、ステアリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
【0062】
他の好適な懸濁剤としては、少なくとも約16個の炭素原子を有する脂肪酸アルキル部分を有する一級アミン(その例としては、パルミタミン又はステアラミンが挙げられる)、及びそれぞれ少なくとも約12個の炭素原子を有する2つの脂肪酸アルキル部分を有する二級アミン(その例としては、ジパルミトイルアミン又はジ(水素添加タロー)アミンが挙げられる)が挙げられる。更に他の好適な懸濁剤としては、ジ(水素添加タロー)フタル酸アミド、及び架橋無水マレイン酸-メチルビニルエーテルコポリマーが挙げられる。
【0063】
H.有益剤
ヘアケア組成物は、1種以上の追加の有益剤を更に含み得る。有益剤は、抗ふけ剤、ビタミン、脂溶性ビタミン、キレート剤、香料、増白剤、酵素、感覚剤、誘引剤、抗菌剤、染料、顔料、ブリーチ剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0064】
一態様では、上記有益剤は、抗ふけ剤を含んでいてもよい。このような抗ふけ微粒子は、組成物の構成成分と物理的及び化学的に適合している必要があり、過度に製品の安定性、審美性又は性能を過度に損なわないものである必要がある。
【0065】
一実施形態によると、ヘアケア組成物は抗ふけ活性物質を含み、その抗ふけ活性物質は抗ふけ活性の微粒子であってもよい。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、ピリジンチオン塩;ケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオールなどのアゾール;硫化セレン;粒子状硫黄;サリチル酸などの角質溶解剤;及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、抗ふけ微粒子はピリジンチオン塩である。
【0066】
ピリジンチオン微粒子は、好適な微粒子抗ふけ活性成分である。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩であり、微粒子形態である。一実施形態では、ピリジンチオン抗ふけ粒子の濃度は、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の範囲である。一実施形態では、ピリジンチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウム等の重金属、一般的には亜鉛から形成されるもの、典型的には1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオンの亜鉛塩(「亜鉛ピリジンチオン」又は「ZPT」として知られている)、通常、血小板粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩である。一実施形態では、プレートレット状粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩は、約20μm以下、又は約5μm以下、又は約2.5μm以下の平均粒径を有する。他のカチオン(例えば、ナトリウム)から形成される塩もまた好適であり得る。ピリジンチオン抗ふけ活性成分は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0067】
一実施形態では、組成物は、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗ふけ活性物質に加えて、1種又は2種以上の抗真菌及び/又は抗細菌活性物質を更に含む。一実施形態では、抗細菌活性物質は、コールタール、硫黄、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィン等)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノン等のイソチアザリノン、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、抗細菌剤は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン、コールタール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0068】
一実施形態では、アゾール抗細菌剤は、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリンバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるイミダゾールである。あるいは、アゾール抗細菌剤は、テルコナゾール、イトラコナゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるトリアゾールである。アゾール抗細菌活性成分は、ヘアケア組成物中に存在する場合、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.3重量%~約2重量%の量で含まれ得る。一実施形態では、アゾール抗細菌活性物質は、ケトコナゾールである。一実施形態では、唯一の抗細菌活性物質がケトコナゾールである。
【0069】
ヘアケア組成物の実施形態はまた、抗菌活性成分の組み合わせも含んでもよい。一実施形態では、抗細菌活性物質の組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオン、パインタールと硫黄、サリチル酸とジンクピリチオン、サリチル酸とエルビオール、ジンクピリチオンとエルビオール、ジンクピリチオンとクリンバゾール(climbasole)、オクトピロックスとクリンバゾール、サリチル酸とオクトピロックス、及びこれらの混合物からなる組み合わせの群から選択される。
【0070】
一実施形態では、ヘアケア組成物は、有効な量の亜鉛含有層状材料を含む。一実施形態では、ヘアケア組成物は、ヘアケア組成物の総重量で、約0.001重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の亜鉛含有層状材料を含む。
【0071】
亜鉛含有層状材料は、結晶の成長が主に二次元で生じたものであってもよい。層構造は、全ての原子が十分画定された層に組み込まれているものとしてだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層間にイオン又は分子があるものとしても説明することが慣例的である(A.F.Wells「Structural Inorganic Chemistry」Clarendon Press,1975)。亜鉛含有層状材料(zinc-containing layered material、ZLM)は、亜鉛を層に組み込んでいてもよく、及び/又はギャラリーイオンの構成成分であってもよい。以下のZLMの部類は、全般的カテゴリの比較的一般的な例を代表するものであり、この定義に適合する、より広範囲の材料に関して限定することを意図するものではない。
【0072】
多くのZLMが鉱物として天然に存在する。一実施形態では、ZLMは、水亜鉛土(炭酸水酸化亜鉛)、水亜鉛銅鉱(炭酸水酸化亜鉛銅)、亜鉛孔雀石(炭酸水酸化銅亜鉛)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。亜鉛を含有する関連鉱物もまた、組成物中に含まれていてもよい。粘土性鉱物(例えば、フィロシリケート)等のアニオン性層の種がイオン交換された亜鉛ギャラリーイオンを含有する、天然のZLMもまた存在し得る。これら天然材料は全て、合成によって得ることもでき、又は組成物中においてその場で、若しくは製造プロセス中に形成することもできる。
【0073】
常にではないが、多くの場合合成である、ZLMの別の一般的な部類は、層状複水酸化物である。一実施形態では、ZLMは、式[M2+ 1-x3+ (OH)x+m- x/m・nHO(式中、二価イオン(M2+)の一部又は全ては、亜鉛イオンである)に一致する層状複水酸化物である(Crepaldi,EL,Pava,PC,Tronto,J,Valim,JB J.Colloid Interfac.Sci.2002,248,429-42)。
【0074】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、更に別の部類のZLMを調製することもできる(Morioka,H.,Tagaya,H.,Karasu,M,Kadokawa,J,Chiba,KInorg.Chem.1999,38,4211-6)。一実施形態では、ZLMは、式[M2+ 1-x2+ 1+x(OH)3(1-y)n- (1=3y)/n・nHOに一致するヒドロキシ複塩であり、2つの金属イオン(M2+)は同一であっても異なっていてもよい。金属イオンが同一であり亜鉛で表される場合、式は簡素化され、[Zn1+x(OH)2x+2xA・nHOとなる。この後者の式は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛等の材料を表す(x=0.4である場合)。一実施形態では、ZLMは、ヒドロキシ塩化亜鉛及び/又はヒドロキシ硝酸亜鉛である。これらはまた、二価のアニオンで一価のアニオンを置き換えた、水亜鉛土にも関連する。また、これらの材料は、組成物中においてその場で、又は製造プロセス中に形成することができる。
【0075】
亜鉛含有層状材料及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を有する実施形態では、亜鉛含有層状材料のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩に対する比は、約5:100~約10:1、又は約2:10~約5:1、又は約1:2~約3:1である。
【0076】
抗ふけ活性成分の頭皮への付着量は、少なくとも約1マイクログラム/cmである。抗ふけ活性成分が頭皮に到達し、そこで確実にその作用を発揮できるようにすることを考慮すれば、抗ふけ活性成分の頭皮上への付着量は重要である。一実施形態では、頭皮上への抗ふけ活性物質の付着は、少なくとも約1.5マイクログラム/cm、又は少なくとも約2.5マイクログラム/cm、又は少なくとも約3マイクログラム/cm、又は少なくとも約4マイクログラム/cm、又は少なくとも約6マイクログラム/cm、又は少なくとも約7マイクログラム/cm、又は少なくとも約8マイクログラム/cm、又は少なくとも約8マイクログラム/cm、又は少なくとも約10マイクログラム/cmである。頭皮上への抗ふけ活性成分の付着量は、訓練された美容師が従来の洗浄プロトコルに従い、個人の毛髪を抗ふけ活性成分含有の組成物、例えば、本発明による組成物で洗浄することによって測定される。次いで、頭皮の領域上で毛髪を分けて、表面に開放端ガラスシリンダを保持すると同時に、抽出溶液のアリコートを添加し撹拌した後、回収し、HPLCなどの従来の方法に基づいて抗ふけ活性成分の含有量について分析測定を行う。
【0077】
製品形態
本発明の組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であってもよく、クリーム、ジェル、エマルジョン、ムース、及びスプレーなどであるがこれらに制限されない、多種多様な製品形態で配合されてもよい。本発明の組成物は、コンディショニング組成物、特にリーブオン、リーブイン、及び/又はノーリンス組成物に特に好適である。リーブオン及びリーブインコンディショニング組成物は、概して、組成物を洗い流すことなく、乾いた毛髪、半分濡れた毛髪、及び/又は濡れた毛髪に使用される。ノーリンス組成物により本明細書で意味するものは、シャンプー後に半分濡れた毛髪から濡れた毛髪に使用され、(ノーリンスヘアコンディショナーなどの)ノーライズ(no-rise)ヘアケア組成物を洗い流さない、ヘアケア組成物である。
【0078】
試験方法
レオロジー法
TA instrumentsレオメーターを使用して(Discovery HR-3)、剪断速度対粘度掃引を実行した。40mmの平行鋼板を25℃の温度で使用した。剪断速度掃引は、1桁あたり10点及び10秒のサンプル期間で0.01~1000 1/sであった。データレポートは、製品の適用及びすすぎについての関連する剪断速度である1 1/s及び10 1/sにおいてであった。
【0079】
付着方法
各サンプルについて、およそ0.5gの毛髪を40mm超の切片に切断し、バイアルに入れた。最初に、毛髪をヘキサンで穏やかに抽出した。ヘキサン抽出は、毛髪をヘキサンで2回抽出し、次いで、乾燥残渣を2:1のクロロホルム:メタノールで濃縮し、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析することからなる。次に、2:1、次いで、1:1のクロロホルム:メタノールを使用する、より強引な抽出を使用した。クロロホルムは、10mMのジメチルヘキシルアミン(DMHA)及びメタノール1%ギ酸を含有していた。各抽出物を、毛髪と共に65℃で30分間加熱し、次いで、合わせ、乾燥残渣を2:1のクロロホルム:メタノールに再溶解させ、次いで、GCによって分析した。
【0080】
水素移動相を有するポリジメチルシロキサンキャピラリーカラムを使用して、炎イオン化検出を用いるGCによって、ベニバナ種子油を定量化した。トリノナデカノインを、検量線を有する内部標準として使用した。
【0081】
毛髪の処理及び梳毛方法
長さ8インチ及び重量4gの毛束;処理レッグあたり3束を、付着及び梳毛試験に使用した。非コンディショニングシャンプーを、0.1g/g(毛髪)の用量で適用し、30秒間泡立て、続いて、30秒間すすいだ。過剰な水を毛束から絞り出し、次いで、油ブレンドを含む又は含まないコンディショナーを、0.1g/g(毛髪)の用量で適用し、30秒間乳化させ、続いて、30秒間すすいだ。次いで、毛髪を、約65℃のホットボックス内で30分間乾燥させた。このプロトコルを合計6サイクル繰り返した。
【0082】
この毛束を、50Nのリードセルを用いて、Instron(モデル5564)において各毛束を梳くのにかかる力について試験する。毛束を、測定前に予め梳毛し、次いで、7.2cm離れた2つの平行な櫛(細い歯)と共にする設定で位置決めする。次いで、毛髪を、2つの櫛を通して引っ張り、ロードセルに及ぼされた力を測定する。これを5回繰り返す。この測定を、湿潤時及び毛髪を50%RH及び22℃の制御された湿度の室内で24時間放置した乾燥時に行う。力Mid1は、毛髪の大部分を通る両方の櫛の摩擦であり、Mid2は、毛髪の大部分を通る上の櫛の摩擦である。
【実施例
【0083】
以下の実施例では、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0084】
【表4】
1.末端アモジメチコンは、25℃で10,000cPの粘度を有し、Momentive Performance Materialsから入手可能である。
2.Dowから入手可能なKathon CG(活性成分1.5重量%)。
【0085】
【表5】
1.Jaguar HP-105、供給元:Rhodia。
2.ジタロウジメチルアンモニウムクロリド。
3.末端アモジメチコンは、25℃で10,000cPの粘度を有し、Momentive Performance Materialsから入手可能である。
4.Dowから入手可能なKathon CG(活性成分1.5重量%)。
【0086】
【表6】
1.Momentive Performance Materialsから入手可能なシリコーンゴム及びシリコーン油の混合物XF49-B1747。
2.Dowから入手可能なKathon CG(活性成分1.5重量%)。
【0087】
【表7】
【0088】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0089】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0090】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。