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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-19
(45)【発行日】2025-06-27
(54)【発明の名称】蒸留装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/14 20060101AFI20250620BHJP
   B01D 3/42 20060101ALI20250620BHJP
   B01D 3/32 20060101ALI20250620BHJP
   C07C 29/80 20060101ALI20250620BHJP
   C07C 31/08 20060101ALI20250620BHJP
【FI】
B01D3/14 A
B01D3/42
B01D3/32 Z
C07C29/80
C07C31/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024146294
(22)【出願日】2024-08-28
【審査請求日】2024-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390036663
【氏名又は名称】木村化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】重 洋一
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特許第6612936(JP,B2)
【文献】特開2020-121239(JP,A)
【文献】特開2020-099856(JP,A)
【文献】特開2022-056759(JP,A)
【文献】特開2022-122348(JP,A)
【文献】特開2022-178805(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第118459318(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/00 - 3/42
C02F 1/04
C07B 63/00
C07C 29/80 - 29/84
C07C 31/00 - 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い成分であって前記水以外の高沸点成分と、を含有する原料液の蒸留を行う第1蒸留塔と、
前記第1蒸留塔からサイドカットされる液の蒸留を行う第2蒸留塔と、
前記第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、第2凝縮液と第2ベーパとに分離する第2コンデンサと、
前記第2コンデンサにおいて前記第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、前記第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行第2ヒートポンプと、
前記第2コンデンサにおける前記第2ベーパ蒸留する第3蒸留塔と、
前記第3蒸留塔の塔頂から取り出される第3塔頂ベーパを、第3コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールを主成分とする3凝縮液を回収する第3コンデンサと、
記第2蒸留塔の塔底液を再加熱する第2リボイラと、
前記第2コンデンサにおける前記第2凝縮液の一部を前記第2蒸留塔に還流させる第2還流路と、
前記第3コンデンサにおける前記第3凝縮液の一部を前記第3蒸留塔に還流させる第3還流路と、
前記第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、エタノールを主成分とする第1凝縮液と、前記第1凝縮液よりも前記低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離して、前記第1凝縮液を回収する第1コンデンサと、
前記第1コンデンサにおいて前記第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、前記第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行第1ヒートポンプと、
前記第1コンデンサにおける前記第1ベーパ蒸留する第4蒸留塔と、
前記第4蒸留塔の塔頂から取り出される第4塔頂ベーパを、第4コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールと前記低沸点成分を含む4凝縮液を排出する第4コンデンサと、
記第1蒸留塔の塔底液を再加熱する第1リボイラと、
前記第1コンデンサにおける前記第1凝縮液の一部を前記第1蒸留塔に還流させる第1還流路と、
前記第4コンデンサにおける前記第4凝縮液の一部を前記第4蒸留塔に還流させる第4還流路と、
前記第1蒸留塔と前記第2蒸留塔の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、系内の圧力を制御する圧力制御機構と、
を備え
前記第2ヒートポンプと前記第2リボイラとの間の循環流路を循環する温水に対して、前記第2ヒートポンプは、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記温水を加熱し、前記第2リボイラは、前記第2ヒートポンプによって加熱された前記温水を用いて前記第2蒸留塔の塔底液を再加熱し、
前記第1ヒートポンプと前記第1リボイラとの間の循環流路を循環する温水に対して、前記第1ヒートポンプは、回収した熱を電力により温度レベルを上げて前記温水を加熱し、前記第1リボイラは、前記第1ヒートポンプによって加熱された前記温水を用いて前記第1蒸留塔の塔底液を再加熱し、
前記第3蒸留塔は前記第2ベーパを蒸留する際に前記第3凝縮液と気液接触させて蒸留するものであり、
前記第4蒸留塔は前記第1ベーパを蒸留する際に前記第4凝縮液と気液接触させて蒸留するものである、蒸留装置。
【請求項2】
前記第1蒸留塔、前記第1コンデンサ、前記第4蒸留塔、および前記第4コンデンサは、供給液として前記原料液に対する蒸留処理を行う第1蒸留系統を構成し、
前記第2蒸留塔、前記第2コンデンサ、前記第3蒸留塔、および前記第3コンデンサは、前記第1蒸留塔からサイドカットされる液に対する蒸留処理を行う第2蒸留系統を構成し、
前記第1蒸留系統における中間留出液がエタノールを主成分とする前記第1凝縮液であって、塔頂留出液が前記低沸点成分を含む液であり、
前記第2蒸留系統における中間留出液が前記高沸点成分を含む液であって、塔頂留出液がエタノールを主成分とする前記第3凝縮液である、請求項1に記載の蒸留装置。
【請求項3】
前記第2蒸留塔において、前記第1蒸留塔からサイドカットされる液に対する蒸留が行われ、前記サイドカットされる液の量は、前記第1蒸留塔に供給される前記原料液の量に対して、50%以上98%以下の範囲に設定されている、請求項2に記載の蒸留装置。
【請求項4】
前記第2ヒートポンプのCOPは、前記第1ヒートポンプのCOPよりも高い、請求項1から3のいずれか1つに記載の蒸留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプを用いた蒸留装置に関し、詳しくは、エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分とを含有する原料液を蒸留して、原料液から低沸点成分および高沸点成分を分離して、エタノールを主成分とする留出液を回収する蒸留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外の脱炭素化の流れの中で、航空業界でもSAFを導入する機運が高まっている。SAFとは「Sustainable Aviation Fuel」の略で、バイオマスや廃棄物を原料とするカーボンニュートラルとなる持続可能な航空燃料のことである。ICAO(国際民間航空機関)やIATA(国際航空運送協会)では、2050年までに2005年比で二酸化炭素の排出量の半減を目指している。世界中の航空会社がSAFを導入することで、CO2の排出を大幅に削減することが期待されている。
【0003】
現在の世界のSAF生産量は需要の0.03%未満に留まっており、2050年の環境目標を実現させるには、関連する産業が横断的に協力してSAFの製造技術開発、生産および利用を進め、2030年には使用燃料の10%をSAFへ移行することが必要とされている。国土交通省もSAF導入・普及を推進しており、2030年には「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」という目標を定めている。
【0004】
バイオエタノールを原料としてSAFを生産する製法の1つに、糖化発酵させてアルコールを経由する製法(ATJ法:Alcohol to Jet)がある。ATJ法は大規模な生産も可能で、SAF製造の有力技術として期待されている。
【0005】
しかしながら、発酵直後のバイオエタノールのアルコール濃度は低く、高濃度に濃縮する蒸留プロセスが必要となる。従来、この蒸留プロセスにはボイラ蒸気が使われている。ところが、CO2の排出削減を目指すSAFの製造過程で、ボイラにより多量のCO2が排出されることが課題となっていた。
【0006】
このように蒸留装置における省エネルギー化の必要性は益々増大しており、種々の提案が行われている。そのような省エネルギー技術の1つとして、蒸留装置にヒートポンプを組み込んで、熱効率を向上させるようにした蒸留装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の蒸留装置では、蒸留塔の塔頂ベーパを冷却する塔頂コンデンサで塔頂ベーパを冷却するのに用いた冷却水が有する熱を、ヒートポンプを利用して汲み上げている。ヒートポンプで汲み上げられた熱は、蒸留塔の塔底液を再加熱するリボイラの熱源として使用されて省エネルギーが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6612936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の蒸留装置は、バイオエタノールの蒸留に適化されたものではなく、省エネルギー化およびCO2排出削減を実現できるバイオエタノールからSAF製造を行うための蒸留プロセスが求められている。
【0009】
具体的には、バイオマスから製造されたエタノールには、微量のメタノールなどの副産物が含まれているが、精製された高濃度エタノールに副産物が含まれないように複数回の蒸留操作が必要になる。そのため、純度の高いエタノールを精製するためには大量のエネルギーを必要とするが、エネルギーとして使用されるエタノールを製造するために、エタノールの燃焼熱以上のエネルギーを使用する設備は適切ではない。
【0010】
本開示は、省エネルギー効果が向上されてCO2排出削減を実現できるバイオエタノールの蒸留プロセスに適した蒸留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本開示の蒸留装置は以下のように構成する。
【0012】
本開示の蒸留装置は、第1蒸留塔と、第2蒸留塔と、第2コンデンサと、第2ヒートポンプと、第3蒸留塔と、第3コンデンサと、第2リボイラと、第2還流路と、第3還流路と、第1コンデンサと、第1ヒートポンプと、第4蒸留塔と、第4コンデンサと、第1リボイラと、第1還流路と、第4還流路と、圧力制御機構と、を備える。
第1蒸留塔は、エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分と、を含有する原料液の蒸留を行う。第2蒸留塔は、第1蒸留塔からサイドカットされる液の蒸留を行う。
第2コンデンサは、第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、第2凝縮液と第2ベーパとに分離する。第2ヒートポンプは、第2コンデンサにおいて第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。第3蒸留塔は、第2コンデンサにおける第2ベーパを第3凝縮液と気液接触させて蒸留する。第3コンデンサは、第3蒸留塔の塔頂から取り出される第3塔頂ベーパを、第3コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールを主成分とする第3凝縮液を回収する。第2リボイラは、第2ヒートポンプによって加熱される温水により第2蒸留塔の塔底液を再加熱する。第2還流路は、第2コンデンサにおける第2凝縮液の一部を第2蒸留塔に還流させる。第3還流路は、第3コンデンサにおける第3凝縮液の一部を第3蒸留塔に還流させる。
第1コンデンサは、第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、エタノールを主成分とする第1凝縮液と、第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離して、第1凝縮液を回収する。第1ヒートポンプは、第1コンデンサにおいて第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うととも、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。第4蒸留塔は、第1コンデンサにおける第1ベーパを第4凝縮液と気液接触させて蒸留する。第4コンデンサは、第4蒸留塔の塔頂から取り出される第4塔頂ベーパを、第4コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールと低沸点成分を含む微量の第4凝縮液を排出する。第1リボイラは、第1ヒートポンプによって加熱される温水により第1蒸留塔の塔底液を再加熱する。第1還流路は、第1コンデンサにおける第1凝縮液の一部を第1蒸留塔に還流させる。第4還流路は、第4コンデンサにおける第4凝縮液の一部を第4蒸留塔に還流させる。
圧力制御機構は、第1蒸留塔と第2蒸留塔の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、系内の圧力を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の蒸留装置によれば、省エネルギー効果が向上されてCO2排出削減を実現できるバイオエタノールの蒸留プロセスに適した蒸留装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一の実施の形態にかかる蒸留装置の構成を示すフローシート
図2図1の蒸留装置において原料液に対する蒸留を行った場合の各ポイントにおけるマテリアルバランスを示す表
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本開示の蒸留装置の態様)
本開示の実施の形態を説明するにあたり、本開示の蒸留装置の態様について説明する。
【0016】
本開示の第1態様にかかる蒸留装置は、第1蒸留塔と、第2蒸留塔と、第2コンデンサと、第2ヒートポンプと、第3蒸留塔と、第3コンデンサと、第2リボイラと、第2還流路と、第3還流路と、第1コンデンサと、第1ヒートポンプと、第4蒸留塔と、第4コンデンサと、第1リボイラと、第1還流路と、第4還流路と、圧力制御機構と、を備える。
第1蒸留塔は、エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分と、を含有する原料液の蒸留を行う。第2蒸留塔は、第1蒸留塔からサイドカットされる液の蒸留を行う。
第2コンデンサは、第2蒸留塔の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、第2凝縮液と第2ベーパとに分離する。第2ヒートポンプは、第2コンデンサにおいて第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うとともに、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。第3蒸留塔は、第2コンデンサにおける第2ベーパを第3凝縮液と気液接触させて蒸留する。第3コンデンサは、第3蒸留塔の塔頂から取り出される第3塔頂ベーパを、第3コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールを主成分とする第3凝縮液を回収する。第2リボイラは、第2ヒートポンプによって加熱される温水により第2蒸留塔の塔底液を再加熱する。第2還流路は、第2コンデンサにおける第2凝縮液の一部を第2蒸留塔に還流させる。第3還流路は、第3コンデンサにおける第3凝縮液の一部を第3蒸留塔に還流させる。
第1コンデンサは、第1蒸留塔の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、エタノールを主成分とする第1凝縮液と、第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離して、第1凝縮液を回収する。第1ヒートポンプは、第1コンデンサにおいて第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うととも、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。第4蒸留塔は、第1コンデンサにおける第1ベーパを第4凝縮液と気液接触させて蒸留する。第4コンデンサは、第4蒸留塔の塔頂から取り出される第4塔頂ベーパを、第4コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールと低沸点成分を含む微量の第4凝縮液を排出する。第1リボイラは、第1ヒートポンプによって加熱される温水により第1蒸留塔の塔底液を再加熱する。第1還流路は、第1コンデンサにおける第1凝縮液の一部を第1蒸留塔に還流させる。第4還流路は、第4コンデンサにおける第4凝縮液の一部を第4蒸留塔に還流させる。
圧力制御機構は、第1蒸留塔と第2蒸留塔の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、系内の圧力を制御する。
【0017】
本開示の第2態様にかかる蒸留装置は、第1態様の蒸留装置において、第1蒸留塔、第1コンデンサ、第4蒸留塔、および第4コンデンサは、供給液として前記原料液に対する蒸留処理を行う第1蒸留系統を構成し、第2蒸留塔、第2コンデンサ、第3蒸留塔、および第3コンデンサは、第1蒸留塔からサイドカットされる液に対する蒸留処理を行う第2蒸留系統を構成する。第1蒸留系統における中間留出液がエタノールを主成分とする第1凝縮液であって、塔頂留出液が低沸点成分を含む液である。第2蒸留系統における中間留出液がエタノールと高沸点成分を含む液であって、塔頂留出液がエタノールを主成分とする第3凝縮液である。
【0018】
本開示の第3態様にかかる蒸留装置は、第2態様の蒸留装置において、第2蒸留塔において、第1蒸留塔からサイドカットされる液に対する蒸留が行われ、サイドカットされる液の量は、第1蒸留塔に供給される原料液の量に対して、50%以上98%以下の範囲に設定されている。
【0019】
本開示の第4態様にかかる蒸留装置は、第1態様から第3態様のいずれかの態様の蒸留装置において、第2ヒートポンプのCOPは、第1ヒートポンプのCOPよりも高く設定されている。
【0020】
(実施の形態)
以下に本開示の実施の形態を示して、本開示の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0021】
本実施の形態では、エタノール5wt%と、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分とを含有する原料液(処理対象液:バイオエタノール)を蒸留して、原料液から低沸点成分および高沸点成分を分離して、エタノールを主成分とする留出液を回収する蒸留装置を例にとって説明する。本実施の形態にかかる蒸留装置100は、ヒートポンプを用いて省エネルギー性の向上を図った蒸留装置である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態にかかる蒸留装置100は、第1蒸留系統101と第2蒸留系統102との2つの蒸留系統を含んでいる。
【0023】
第1蒸留系統101は、第1蒸留塔1、第1コンデンサ2、第4蒸留塔3、および第4コンデンサ4を含み、原料液を供給液として蒸留処理を行う系統である。第2蒸留系統102は、第2蒸留塔21、第2コンデンサ22、第3蒸留塔23、および第3コンデンサ24を含み、第1蒸留系統101における第1蒸留塔1からサイドカットされる液に対する蒸留処理を行う系統である。
【0024】
第1蒸留系統101における中間留出液がエタノールを主成分とする液であって、塔頂留出液が低沸点成分を含む液となる。第2蒸留系統102における中間留出液が高沸点成分を含む液であって、塔頂留出液がエタノールを主成分とする液となる。
【0025】
(第1蒸留系統101)
第1蒸留塔1は、原料液として、例えばエタノールを5wt%の割合で含むバイオエタノール(エタノール水溶液(水95wt%))の蒸留を行う蒸留塔である。本実施の形態では、第1蒸留塔1として濃縮部に充填塔を用いて、回収部に棚段塔を用いている。なお、第1蒸留塔1の形式としては、充填塔または棚段塔のいずれか、もしくは両方で構成されたものであってもよい。
【0026】
第1蒸留塔1では、原料液の成分を含むベーパと、第1コンデンサ2で凝縮した凝縮液である還流液とが気液接触することで、エタノールの蒸留が行われる。エタノールと低沸点成分とが分離(除去)された塔底液(缶出液:高沸点成分を多く含む)が第1蒸留塔1から第1缶出液ポンプ11により系外に排出される。一方、原料液よりも高い割合でエタノールおよび低沸点成分を含む、第1塔頂ベーパが第1コンデンサ2に供給される。
【0027】
第1蒸留塔1ではサイドカットが行われ、サイドカットされた液がサイドカットポンプ30により第2蒸留系統102の第2蒸留塔21に送られる。
【0028】
第1コンデンサ2は、管路を通じて第1蒸留塔1の塔頂と接続されている。第1コンデンサ2は、第1蒸留塔1の塔頂から取り出される第1塔頂ベーパを、第1コンデンサ用循環冷却水により冷却して、エタノールを主成分とする第1凝縮液と、第1凝縮液よりも低沸点成分を高い割合で含む第1ベーパとに分離する。分離された第1凝縮液を製品として回収するために送り出す第1ポンプ12が設けられている。第1ポンプ12は、第1凝縮液を製品として送り出すとともに、第1凝縮液の一部を第1蒸留塔1に還流液として第1還流路15を通じて還流させる。
【0029】
第4蒸留塔3は、第1コンデンサ2と接続されており、第1コンデンサ2にて分離された第1ベーパに対して、第4凝縮液(第4コンデンサ4の凝縮液)と気液接触させて蒸留を行う。凝縮した液は第1コンデンサ2に戻されるとともに、第4蒸留塔3の塔頂からは第4塔頂ベーパが取り出される。なお、第1コンデンサ2における分縮後のベーパである第1ベーパが第4蒸留塔3の塔底に供給されるように構成されていればよく、第1コンデンサ2と第4蒸留塔3とが分離した構造としてもよい。
【0030】
第4コンデンサ4は、管路を通じて第4蒸留塔3の塔頂に接続されている。第4コンデンサ4は、第4蒸留塔3の塔頂から取り出される第4塔頂ベーパを、第4コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールと低沸点成分を含む第4凝縮液を排出する。排出された第4凝縮液を排液として送り出す第2ポンプ13が設けられている。第2ポンプ13は、第4凝縮液を排液として送り出すとともに、第4凝縮液の一部を第4蒸留塔3に還流液として第4還流路16を通じて還流させる。
【0031】
第1蒸留系統101では、さらに第1ヒートポンプHP1と、第1リボイラ5とが設けられている。
【0032】
第1ヒートポンプHP1は、第1コンデンサ2において第1塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第1コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うととも、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。
【0033】
第1コンデンサ用循環冷却水は、第1コンデンサ2と第1ヒートポンプHP1との間で図示しないポンプにより循環される。第1ヒートポンプHP1は、例えば、第1コンデンサ2で用いられた第1コンデンサ用循環冷却水から熱を回収し、回収した熱の温度レベルを電力により上昇させて温水を加熱することで熱エネルギーを循環利用する。
【0034】
具体的には、9.6℃の第1コンデンサ用循環冷却水が第1コンデンサ2に供給され、第1塔頂ベーパの冷却に用いられて14.6℃に昇温する。14.6℃の第1コンデンサ用循環冷却水が第1ヒートポンプHP1において熱回収され、温度が9.6℃に低下した第1コンデンサ用循環冷却水が第1コンデンサ2に循環供給される。
【0035】
一方、第1ヒートポンプHP1において、第1コンデンサ用循環冷却水から回収された熱と電力とにより温度レベルが57.4℃に上げられた温水は、第1リボイラ5に供給される。第1リボイラ5にて温度が52.4℃に低下した温水は第1ヒートポンプHP1に戻されて、第1ヒートポンプHP1にて温度レベルが57.4℃に上げられた後、再び第1リボイラ5に供給される。
【0036】
第1リボイラ5は、第1蒸留塔1の塔底と接続されており、第1缶出液ポンプ11により塔底液(缶出液)の一部が第1リボイラ5に供給され、第1リボイラ5にて温水を用いて塔底液が加熱され、加熱された塔底液が第1蒸留塔1に供給される。
【0037】
(第2蒸留系統102)
第2蒸留塔21は、第1蒸留塔1からサイドカットされた液の蒸留を行う蒸留塔である。このようにサイドカットされた液は、原料液よりも低い割合でエタノールを含む液である。本実施の形態では、第2蒸留塔21として棚段塔を用いている。なお、第2蒸留塔21としては、棚段塔以外にも、例えば充填塔など種々の構成のものを用いてもよい。
【0038】
第2蒸留塔21では、サイドカットされた液の成分を含むベーパと、第2コンデンサ22で凝縮した凝縮液である還流液とが気液接触することで、エタノールの蒸留が行われる。エタノールと一部の高沸点成分とが分離(除去)された塔底液が第2蒸留塔21から第2缶出液ポンプ31により系外に排出される。一方、サイドカットされた液よりも高い割合でエタノールおよび高沸点成分を含む、第2塔頂ベーパが第2コンデンサ22に供給される。
【0039】
第2コンデンサ22は、管路を通じて第2蒸留塔21の塔頂と接続されている。第2コンデンサ22は、第2蒸留塔21の塔頂から取り出される第2塔頂ベーパを、第2コンデンサ用循環冷却水により冷却して、高沸点成分を含む第2凝縮液と、第2ベーパとに分離する。分離された第2凝縮液を排液として排出するために送り出す第3ポンプ32が設けられている。第3ポンプ32は、第2凝縮液を排液として送り出すとともに、第2凝縮液の一部を第2蒸留塔21に還流液として第2還流路35を通じて還流させる。
【0040】
第3蒸留塔23は、第2コンデンサ22と接続されており、第2コンデンサ22にて分離された第2ベーパに対して、第3凝縮液(第3コンデンサ24の凝縮液)と気液接触させて蒸留を行う。凝縮した液は第2コンデンサ22に戻されるとともに、第3蒸留塔23の塔頂からは第3塔頂ベーパが取り出される。なお、第2コンデンサ22における分縮後のベーパである第2ベーパが第3蒸留塔23の塔底に供給されるように構成されていればよく、第2コンデンサ22と第3蒸留塔23とが分離した構造としてもよい。
【0041】
第3コンデンサ24は、管路を通じて第3蒸留塔23の塔頂に接続されている。第3コンデンサ24は、第3蒸留塔23の塔頂から取り出される第3塔頂ベーパを、第3コンデンサ用循環冷却水により冷却して凝縮させ、エタノールを主成分とする第3凝縮液を回収する。回収された第3凝縮液を製品として送り出す第4ポンプ33が設けられている。第4ポンプ33は、第3凝縮液を製品として送り出すとともに、第3凝縮液の一部を第3蒸留塔23に還流液として第3還流路36を通じて還流させる。
【0042】
第2蒸留系統102では、さらに第2ヒートポンプHP2と、第2リボイラ25とが設けられている。
【0043】
第2ヒートポンプHP2は、第2コンデンサ22において第2塔頂ベーパの冷却に用いられて昇温した、第2コンデンサ用循環冷却水から熱回収を行うととも、回収した熱を電力により温度レベルを上げて、温水を加熱する。
【0044】
第2コンデンサ用循環冷却水は、第2コンデンサ22と第2ヒートポンプHP2との間で図示しないポンプにより循環される。第2ヒートポンプHP2は、例えば、第2コンデンサ22で用いられた第2コンデンサ用循環冷却水から熱を回収し、回収した熱の温度レベルを電力により上昇させて温水を加熱することで熱エネルギーを循環利用する。
【0045】
具体的には、21.8℃の第2コンデンサ用循環冷却水が第2コンデンサ22に供給され、第2塔頂ベーパの冷却に用いられて26.8℃に昇温する。26.8℃の第2コンデンサ用循環冷却水が第2ヒートポンプHP2において熱回収され、温度が21.8℃に低下した第2コンデンサ用循環冷却水が第2コンデンサ22に循環供給される。
【0046】
一方、第2ヒートポンプHP2において、第2コンデンサ用循環冷却水から回収された熱と電力とにより温度レベルが57.1℃に上げられた温水は、第2リボイラ25に供給される。第2リボイラ25にて温度が52.1℃に低下した温水は第2ヒートポンプHP2に戻されて、第2ヒートポンプHP2にて温度レベルが57.1℃に上げられた後、再び第2リボイラ25に供給される。
【0047】
第2リボイラ25は、第2蒸留塔21の塔底と接続されており、第2缶出液ポンプ31により塔底液(缶出液)の一部が第2リボイラ25に供給され、第2リボイラ25にて温水を用いて塔底液が加熱され、加熱された塔底液が第2蒸留塔21に供給される。
【0048】
蒸留装置100には、第4コンデンサ用循環冷却水および第3コンデンサ用循環冷却水を、それぞれ循環供給するチラーユニット19が設けられている。チラーユニット19は、例えば、12℃の冷却水を5℃の冷却水として供給する。
【0049】
蒸留装置100は、第1蒸留塔1および第2蒸留塔21の塔底液の温度が所定の温度に保たれるように、第1蒸留系統101および第2蒸留系統102の系内の圧力を制御する圧力制御機構を備える。
【0050】
圧力制御機構は、系内が所定の真空度となるように、第4コンデンサ4を経て系内の真空吸引を行う真空ポンプ17と、第3コンデンサ24を経て系内の真空吸引を行う真空ポンプ37とを備える。また、圧力制御機構は、系内の圧力を検出する圧力センサと、圧力センサからの圧力情報に基づいて真空ポンプ17、37の真空吸引を制御する制御システムとを備えている。
【0051】
蒸留装置100では、圧力制御機構により系内の圧力を制御して、第1蒸留塔1および第2蒸留塔21の塔底液の温度が所定の温度に保たれる。このような所定の温度としては、例えば50℃以下に保たれ、本実施形態では49℃程度に保たれる。
【0052】
本実施の形態の蒸留装置100を適用することにより、第1蒸留系統101と第2蒸留系統102とを用いて効率のよい蒸留を行って熱回収を行うことにより省エネルギーを図りつつ、原料液からエタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分とを分離してエタノールを高濃度のエタノール水溶液として確実に分離、回収することが可能になる。
【0053】
本実施の形態の蒸留装置100の特徴について以下に説明する。
【0054】
供給液(原料液)が送られる第1蒸留塔1は、高沸点成分の蓄積を防ぎ、第1コンデンサ2から抜き出される高濃度エタノールの純度が下がらないように第1蒸留塔1の回収部の液を抜き出している(サイドカットの実施)。蒸留操作で留出液および缶出液の組成を安定させるためにサイドカットを行うことは一般的ではあるが、抜き出した液を廃棄する場合、留出液および缶出液の収率を悪化させる結果となる。そのため、通常のサイドカットは、蒸留塔内で蓄積する副産物の濃度が最も高い段を狙って、廃棄量を少量にするのが一般的である。本実施の形態の蒸留装置100では、第1蒸留系統101において第1蒸留塔1からサイドカットで抜き出された液を、第2蒸留系統102において蒸留するように構成されているため、多量の液を抜いても収率が低下しないあるいは向上する。
【0055】
バイオエタノールを原料液とする蒸留装置100の水および副産物液抜出し口は4か所設けられており、主な抜出物質は、次の通りとなっている。
第1蒸留塔1の缶出:水、酢酸(微量のエタノールを含む)
第2蒸留塔21の缶出:水、酢酸(微量のエタノールを含む)
第2コンデンサ22の留出:水、酢酸、イソブタノール、(低濃度エタノールおよび微量のメタノールを含む)
第4コンデンサ4の留出:メタノール、アセトアルデヒド、(高濃度エタノールを含む)
【0056】
また、これらに近い沸点の微量副産物も同伴される。すなわち、エタノール以外の副産物はこの4か所の出口から抜き出される結果となり、エタノールの収率を高くすることができる。
【0057】
蒸留装置100の第1蒸留系統101における中間留出液がエタノールを主成分とする第1凝縮液であって、塔頂留出液が低沸点成分を含む液である。第2蒸留系統102における中間留出液が高沸点成分を含む液であって、塔頂留出液がエタノールを主成分とする第3凝縮液である
【0058】
第1蒸留系統101は、留出液が高濃度エタノールで缶出液が水となるため、それぞれの沸点差と圧損により塔頂と塔底の温度差が大きくなる。一方、第2蒸留系統102は、留出液が主に低濃度エタノールおよび副産物で缶出液が酢酸と水であるため、沸点差が小さく段数も少ないため、圧損も小さく、温度差が小さくなる。
【0059】
ここでヒートポンプを使用する場合の特性について説明すると、ヒートポンプは、コンデンサの冷却水から熱を回収し、リボイラに加熱源として温水を供給するが、冷却水と温水との温度差が小さいほどCOPが大きくなる。つまり、第1蒸留系統101の第1ヒートポンプHP1のCOPより第2蒸留系統102の第2ヒートポンプHP2のCOP方が大きくなる。COPは、加熱量当たりの電力であることから、大きいほど省エネルギー性が高くなる。すなわち本実施の形態の蒸留装置100においては、より省エネルギー性が高くなるように第1ヒートポンプHP1および第2ヒートポンプHP2が配置されている。
【0060】
さらに、第2ヒートポンプHP2に比べてCOPが小さい第1ヒートポンプHP1の負荷をできるだけ下げるために、第1蒸留塔1からのサイドカット量ができるだけ多くなるように設定している。このように設定することで、蒸留装置100全体としての省エネルギー性を向上させることができる。例えば、第2蒸留塔21には、第1蒸留塔1に供給される原料液の量に対して50%以上の液量をサイドカットして供給することが好ましい。サイドカットされる液量は、第1蒸留塔1に供給される原料液の量に対して、50%以上98%以下の範囲に設定されてもよい。
【0061】
第4蒸留塔3は、第1蒸留塔1の余剰熱を利用して加熱源としている。第1コンデンサ2の冷却水から回収された熱が、第1ヒートポンプHP1による第1リボイラ5の加熱源とされている。第1ヒートポンプHP1の電力は加熱エネルギーに変換され第1リボイラ5に供給されるため、加熱過多となり第1コンデンサ2は分縮操作となり余剰熱によりベーパが第4蒸留塔3に供給される。
【0062】
なお、本実施の形態の蒸留装置100ではこのようにリボイラを用いた構成を採用しているが、その他の構成を採用してもよい。例えば、ヒートポンプに軟水を供給し、ヒートポンプによって加熱される軟水を直接フラッシュさせて、フラッシュされた蒸気を蒸留塔の塔底液に吹き込むような蒸発缶を備えるような構成としてもよい。
【0063】
第2蒸留系統102においても、上述の第1蒸留系統101と同じ原理となり、第2ヒートポンプHP2の電力が余剰熱となり、この余剰熱により第3蒸留塔24にベーパが供給される。
【0064】
ヒートポンプは、冷却と対となる加熱が同時に行えることができるが、必要な温度で操作できるヒートポンプを選定することと、操作真空を変えることにより幅広い温度帯での蒸留が可能となる。例えば、供給液(原料液)に酵素が含まれていて回収を目的に加えた場合、より低温での蒸留が望ましくなる。一方、塔径を小さくし、設備費を下げるためには、真空度を下げて大気圧付近での蒸留が望ましくなる。
【0065】
(実施例)
次に、本実施の形態にかかる蒸留装置100を用いて、バイオエタノールを原料液として蒸留を行った場合の運転結果の一例について実施例として示す。
【0066】
本実施例では、第1蒸留塔1および第2蒸留塔21の缶出液を、蒸留装置100の前段の反応工程に返送するため、第1蒸留塔1および第2蒸留塔21の塔底液温が50℃以下となるように系内を設計している。
【0067】
蒸留装置100に供給される原料液の仕様は以下の通りである。
供給液量 5,000kg/hr
供給液温度 35℃
供給エタノール濃度 5wt%
供給液副産物濃度
メタノール 10ppm
アセトアルデヒド 20ppm
イソブタノール 100ppm
酢酸 1000ppm
【0068】
蒸留装置100から製品として取り出される製品液の仕様は以下の通りである。
濃縮エタノール濃度 92.6wt%(水との共沸点以下としている。)
エタノール回収率 98.15%
【0069】
蒸留装置100における機器仕様は以下の通りである。
ヒートポンプ仕様
第1ヒートポンプHP1 加熱量363.9kW 電力量92.6kW COP3.93
第2ヒートポンプHP2 加熱量549.5kW 電力量99.9kW COP5.5
合計 加熱量913.4kW 電力量192.5kW
チラーユニット19 冷却量157.3kW 電力量28.5kW COP5.52
ポンプ類 合計電力量44.0kW
【0070】
ここで、本実施例にかかる蒸留装置100において原料液に対する蒸留を行った場合の各ポイントにおけるマテリアルバランスを図2の表に示す。図2の表におけるそれぞれのポイント1~15は図1のフローシートのライン中に示している(四角マークで囲った数字)。
【0071】
蒸留装置100による蒸留で得られた92.6wt%エタノールの発熱量は約2,00OkWであるのに対して、蒸留に要したエネルギーは電力量合計265kWである。これを1次エネルギー換算で比較しても、蒸留に要したエネルギーは蒸留で得られたエタノールの発熱量を大きく下回ることが分かる。したがって、蒸留装置100が省エネルギー性に優れた蒸留装置であることが分かる。
供給液100%換算エタノール量:250kg/hr
製品回収率 :98.15%
エタノール燃焼熱 :8.256kWh/kg
(※250×0.9815×8.256=2,025.8kW)
【0072】
したがって、本実施例の蒸留装置100によれば、省エネルギー効果が向上されてCO2排出削減を実現できるバイオエタノールの蒸留プロセスに適した蒸留装置を提供することができる。
【0073】
なお、上述の実施の形態で説明し、あるいは、図1および図2に示した、原料液、塔底液、凝縮液、ベーパなどに関する各種の量や、温度、濃度、消費エネルギー(kW)、圧力などの値は、あくまでも例示である。本開示は、それらの値が上述の実施の形態の値とは異なる値となる場合を排除するものではない。
【0074】
また、原料液が含有するエタノールよりも沸点の低い低沸点成分、およびエタノールよりも沸点の高い高沸点成分についても、上述の実施の形態では例示的に示したものであり、それらとは異なる成分を含んでもよい。
【0075】
本開示は、さらにその他の点においても上述の実施の形態に限定されるものではなく、開示の範囲内において、応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示の蒸留装置は、ヒートポンプを用いた蒸留装置に関し、詳しくは、エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分とを含有する原料液を蒸留して、原料液から低沸点成分および高沸点成分を分離して、エタノールを主成分とする留出液を回収する蒸留装置への適用が有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 第1蒸留塔
2 第1コンデンサ
3 第4蒸留塔
4 第4コンデンサ
5 第1リボイラ
11 第1缶出液ポンプ
12 第1ポンプ
13 第2ポンプ
15 第1還流路
16 第4還流路
17 真空ポンプ
19 チラーユニット
21 第2蒸留塔
22 第2コンデンサ
23 第3蒸留塔
24 第3コンデンサ
25 第2リボイラ
30 サイドカットポンプ
31 第2缶出液ポンプ
32 第3ポンプ
33 第4ポンプ
35 第2還流路
36 第3還流路
37 真空ポンプ
100 蒸留装置
101 第1蒸留系統
102 第2蒸留系統
HP1 第1ヒートポンプ
HP2 第2ヒートポンプ
【要約】
【課題】省エネルギー効果が向上されてCO2排出削減を実現できるバイオエタノールの蒸留プロセスに適した蒸留装置を提供する。
【解決手段】エタノールと、水と、エタノールよりも沸点の低い低沸点成分と、エタノールよりも沸点の高い高沸点成分と、を含有する原料液の蒸留を行う第1蒸留系統と、第1蒸留系統からサイドカットされた液に対する蒸留を行う第2蒸留系統とを有し、第1蒸留系統および第2蒸留系統はともに、塔頂ベーパの冷却に用いられる冷却水の熱エネルギーを回収して塔底液の加熱を行うヒートポンプを有し、第1蒸留系統における中間留出液がエタノールを主成分とする凝縮液であって、塔頂留出液が低沸点成分を含む液であり、第2蒸留系統における中間留出液が高沸点成分を含む液であって、塔頂留出液がエタノールを主成分とする凝縮液である。
【選択図】図1
図1
図2