(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-20
(45)【発行日】2025-06-30
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20250623BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20250623BHJP
F15B 11/042 20060101ALI20250623BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20250623BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20250623BHJP
【FI】
E02F9/22 K
E02F9/22 E
F15B11/16 Z
F15B11/042
F15B11/08 A
F15B11/00 M
(21)【出願番号】P 2021215364
(22)【出願日】2021-12-29
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2021011438
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀井 啓司
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110721(JP,A)
【文献】特開2015-110981(JP,A)
【文献】特開2014-020395(JP,A)
【文献】特開2004-324208(JP,A)
【文献】特開2012-067459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0034748(US,A1)
【文献】特開2014-142032(JP,A)
【文献】特開平11-336135(JP,A)
【文献】特開平08-232301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に上下揺動可能に支持されたブームと、
前記ブームを上下揺動させるブームシリンダと、
前記ブームシリンダを操作する操作部材と、
前記ブームシリンダに供給する作動油の流量を変化させるブーム制御バルブと、
前記操作部材の操作量に応じて前記ブーム制御バルブの動作を制御する制御装置と、
前記ブームの先端側に、前記ブームに近づく方向であるアームクラウド方向と、前記ブームから遠ざかる方向であるアームダンプ方向とに揺動可能に連結されたアームと、
前記アームを揺動させるアームシリンダと、
前記アームの先端側に揺動可能に連結されたバケットと、
を備え、
前記制御装置は、
前記
アームシリンダを駆動せずに前記ブームシリンダを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記ブーム制御バルブの動作を比例制御することで前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給される作動油の流量を制御し、
さらに、前記バケットを水平に移動させて地面を均すべく、前記アームを前記アームクラウド方向に揺動させながら前記ブームを上げ操作して複合操作した場合、または、前記アームを前記アームダンプ方向に揺動させながら前記ブームを下げ操作して複合操作した場合に、該複合操作した場合における前記ブームシリンダに対する前記操作部材の操作量と同じ操作量で前記ブームシリンダを単独で操作した場合よりも前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給される作動油の流量を低下させるブーム流量抑制部を有している作業機。
【請求項2】
前記ブーム制御バルブは、前記制御装置から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、
前記ブーム流量抑制部は、前記
アームシリンダを操作しているときに前記ブームシリンダを操作して複合操作した場合に、該複合操作した場合における前記ブームシリンダに対する前記操作部材の操作量と同じ操作量で前記ブームシリンダを単独で操作した場合よりも前記パイロット制御圧を低下させる請求項
1に記載の作業機。
【請求項3】
前記ブーム制御バルブは、前記制御装置が供給する電流値に応じて制御され、
前記ブーム流量抑制部は、前記
アームシリンダを操作しているときに前記ブームシリンダを操作して複合操作した場合に、該複合操作した場合における前記ブームシリンダに対する前記操作部材の操作量と同じ操作量で前記ブームシリンダを単独で操作した場合よりも前記ブーム制御バルブに供給する電流値を低下させる請求項
1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ブームシリンダを単独操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給される作動油の流量を制御する制御部を有し、
前記ブーム流量抑制部は、前記操作部材の操作量に対して、該操作量に応じて前記制御部が制御する作動油の流量よりも少ない流量の作動油を前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給させる請求項
1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記ブームシリンダ及び前記
アームシリンダを含む複数の油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する可変容量型のポンプと、
前記ポンプの吐出圧から前記複数の油圧アクチュエータのうちの最高負荷圧を引いた差圧を一定圧にするように前記ポンプを制御するロードセンシングシステムとを備えている請求項1~
4のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、機体に上下揺動可能に支持されたブームを有している。ブームはブームシリンダによって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブームシリンダとブームシリンダとは異なる他の油圧アクチュエータとを複合操作した場合に、ブームと他の油圧アクチュエータで駆動される部材との動きが調和しない場合がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、ブームと他の油圧アクチュエータで駆動される部材との動きを調和させることのできる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体に上下揺動可能に支持されたブームと、前記ブームを上下揺動させるブームシリンダと、前記ブームシリンダを操作する操作部材と、前記ブームシリンダに供給する作動油の流量を変化させるブーム制御バルブと、前記操作部材の操作量に応じて前記ブーム制御バルブの動作を制御する制御装置と、前記ブームの先端側に、前記ブームに近づく方向であるアームクラウド方向と、前記ブームから遠ざかる方向であるアームダンプ方向とに揺動可能に連結されたアームと、前記アームを揺動させるアームシリンダと、前記アームの先端側に揺動可能に連結されたバケットと、を備え、前記制御装置は、前記アームシリンダを駆動せずに前記ブームシリンダを単独で操作した場合に、前記操作部材の操作量に応じて前記ブーム制御バルブの動作を比例制御することで前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給される作動油の流量を制御し、さらに、前記バケットを水平に移動させて地面を均すべく、前記アームを前記アームクラウド方向に揺動させながら前記ブームを上げ操作して複合操作した場合、または、前記アームを前記アームダンプ方向に揺動させながら前記ブームを下げ操作して複合操作した場合に、該複合操作した場合における前記ブームシリンダに対する前記操作部材の操作量と同じ操作量で前記ブームシリンダを単独で操作した場合よりも前記ブーム制御バルブから前記ブームシリンダに供給される作動油の流量を低下させるブーム流量抑制部を有している。
【発明の効果】
【0006】
上記の作業機によれば、他の油圧アクチュエータとブームシリンダとを複合操作した場合に、ブームと他の油圧アクチュエータで駆動される部材との動きを調和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】コントロールバルブの他の一部の回路図である。
【
図7】コントロールバルブの別の一部の回路図である。
【
図9】第1実施形態に係る操作部材の操作量と作動油の流量との関係を示す図である。
【
図10】制御バルブ等の他の形態を示す構成図である。
【
図11】制御バルブ等のさらに他の形態を示す構成図である。
【
図12】第2実施形態に係る制御系の簡略図である。
【
図13】第2実施形態に係る操作部材の操作量と作動油の流量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。
図2は、作業機1の概略平面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図1、
図2に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6が設けられている。
【0009】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(
図1、
図2の矢印A1方向)を前方(機体前方)といい、オペレータの後側に向かう方向(
図1、
図2の矢印A2方向)を後方(機体後方)という。また、
図1、
図2の矢印K1方向を前後方向(機体前後方向)という。また、オペレータの左側に向かう方向(
図1の手前側、
図2の矢印A3方向)を左方といい、オペレータの右側に向かう方向(
図1の奥側、
図2の矢印A4方向)を右方という。また、前後方向(機体前後方向)K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2(
図2参照)という。
【0010】
図1、
図2に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持する装置である。この走行装置3は、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、クローラ式の走行装置である。走行装置3は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。詳しくは、第1走行装置3Lは、第1走行モータMLによって駆動され、第2走行装置3Rは、第2走行モータMRによって駆動される。
【0011】
走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダC1によって駆動される。詳しくは、ドーザシリンダC1は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成され、ドーザシリンダC1を伸縮することによりドーザ装置7のブレード7Aが上げ下げされる。
図1に示すように、機体2は、走行装置3(走行フレーム3A)上に旋回ベアリング8を介して旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。旋回軸心X1は、旋回ベアリング8の中心を通る上下方向に延伸する軸心(縦軸)である。
【0012】
図2に示すように、キャビン5は、機体2の幅方向K2の一側部(左側部)に搭載されている。このキャビン5は、旋回軸心X1を通り且つ前後方向K1に延伸する中央線Y1より機体幅方向K2の一側部(左側部)寄りに配置されている。
図2に示すように、機体2の幅方向K2の他側部(右側部)には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、機体2に縦置きに搭載されている。縦置きとは、原動機E1のクランク軸の軸心が前後方向K1に延伸する状態に配置されることである。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、ガソリンエンジン、電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0013】
原動機E1の後部には、圧油供給ユニット18が設けられている。圧油供給ユニット18は、原動機E1の動力によって駆動されて油圧駆動部に使用される作動油を加圧して吐出する。油圧駆動部は、例えば、作業機1に装備された油圧アクチュエータ等である。原動機E1の前方には、ラジエータR1、オイルクーラO1及びコンデンサCDが配置されて機体2に搭載されている。ラジエータR1は、原動機E1の冷却水(流体)を冷却する冷却機器であり、オイルクーラO1は、作動油(流体)を冷却する冷却機器である。また、コンデンサCDは、作業機1に装備された空調装置(エアコンディショナ)の冷媒(流体)を冷却する冷却機器(凝縮器)である。
【0014】
ラジエータR1と原動機E1との間には、原動機E1を冷却する冷却風を発生させる冷却ファンF1が設けられている。冷却ファンF1は、原動機E1の動力によって駆動されて前方から後方に流れる冷却風を発生させる。
図1に示すように、機体2は、旋回軸心X1回りに旋回する基板(以下、旋回基板という)9を有する。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、機体2の底部を構成する。旋回基板9の上面には、補強部材である縦リブ9Aが前部から後部にわたって設けられている。また、旋回基板9に、縦リブ9Aの他、機体2に搭載される機器等の搭載物を支持する部材等が設けられることにより、機体2の骨格となる旋回フレームが構成される。旋回フレームの水平方向の周囲は、旋回カバーによって覆われる。
【0015】
機体2の後部には、ウエイト10が設けられている。ウエイト10は、機体2の後部に配置されて下部が旋回基板9に取り付けられている。
図2に示すように、機体2の後部には、機体幅方向K2に沿って並べて配置された燃料タンクT1及び作動油タンクT2が搭載されている。燃料タンクT1は、原動機E1の燃料を貯留するタンクである。作動油タンクT2は、作動油を貯留するタンクである。
【0016】
図2に示すように、旋回基板9(機体2)の前部且つ機体幅方向K2の中央部には、旋回モータMTが配置されている。この旋回モータMTによって旋回基板9が旋回軸心X1回りに旋回駆動される。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)である。旋回軸心X1位置には、スイベルジョイントS1が設けられている。スイベルジョイントS1は、作動油を流通させる油圧機器であって、機体2側の油圧機器と走行装置3側の油圧機器との間で作動油を流通させる回転継手(ロータリジョイント)である。スイベルジョイントS1の後方にコントロールバルブ(油圧機器)CVが配置されている。コントロールバルブCVは、上下方向に積み重ねて結合された複数の制御バルブを有するセクショナルタイプの複合制御弁(油圧機器)である。キャビン5の下方には、制御装置U1が設けられている。
【0017】
キャビン5内には、作業機1を操縦する操縦装置1Bが設けられている。操縦装置1Bは、運転席6の前方に設置されている。運転席6と操縦装置1Bとで運転部1Cが構成されている。
図2に示すように、機体2は、機体幅方向K2の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13は、縦リブ9Aの前部に固定され、機体2から前方に突出状に設けられている。
図1、
図2に示すように、支持ブラケット13の前部(機体2から突出した部分)には、スイング軸14Aを介してスイングブラケット14が上下方向に延伸する軸心であるスイング軸心X2回りに揺動可能に取り付けられている。したがって、スイングブラケット14は、機体幅方向K2に(スイング軸14Aを中心として水平方向に)回動可能である。
図1に示すように、スイングブラケット14(機体2)には、作業装置4が支持されている。
【0018】
作業装置4は、機体2に上下揺動可能(上下方向に揺動可能)に支持されたブーム15と、ブーム15に揺動可能に枢支連結されたアーム16と、アーム16に揺動可能に枢支連結された作業具(バケット)17とを有している。
ブーム15の基部は、枢軸を介してスイングブラケット14の上部に枢支されている。詳しくは、ブーム15の基部は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、スイングブラケット14の上部に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。これによって、ブーム15が上下方向に揺動可能とされている。
アーム16は、ブーム15の先端側に枢軸を介して枢支されている。詳しくは、アーム16は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、該ブーム15に横軸回りに回動可能に枢着されている。これによって、アーム16は、前後方向K1或いは上下方向に揺動可能とされている。また、アーム16は、ブーム15に近づく方向であるアームクラウド方向D1及びブーム15から遠ざかる方向であるアームダンプ方向D2に揺動可能である。
【0019】
作業具17は、アーム16の先端側に枢軸を介して枢支されている。詳しくは、作業具17は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、アーム16に横軸回りに回動可能に枢着されている。これによって、作業具17は、アーム16に対して近接する方向(バケットクラウド方向)及び離反する方向(バケットダンプ方向)に揺動可能である。また、作業具17としてのバケットは、アーム16に、スクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。スクイ動作とは、作業具17をブーム15に近づける方向に揺動させる動作であり、例えば、土砂等を掬う場合の動作である。また、ダンプ動作とは、作業具17をブーム15から遠ざける方向に揺動させる動作であり、例えば、掬った土砂等を落下(排出)させる場合の動作である。
【0020】
なお、作業具17として、バケットの代わりに、パレットフォーク、マニアフォーク等の作業具(アタッチメント)や、グラップル、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、スノウブロア、スイーパー、モアー、油圧ブレーカ等の油圧アクチュエータを有する作業具(油圧アタッチメント)を取り付け可能である。
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダC2の伸縮によって揺動可能である。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって上下揺動可能である。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によってアームクラウド方向D1及びアームダンプ方向D2に揺動可能である。作業具17は、作業具シリンダ(バケットシリンダ)C5の伸縮によってバケットクラウド方向及びバケットダンプ方向に揺動可能である。スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、作業具シリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0021】
次に、
図3~
図7を参照して作業機1に装備された各種油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を作動させるための油圧システムについて説明する。
図3に示すように、油圧システムは、コントロールバルブCVと、圧油供給ユニット18と、流量制御部19とを有する。コントロールバルブCVは、各種油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を制御する制御バルブV1~V10、圧油取入れ用のインレットブロックB2、圧油排出用の一対のアウトレットブロックB1,B3を一方向に配置して集約して構成されている。
【0022】
図3に示すように、コントロールバルブCVは、本実施形態では、第1アウトレットブロックB1、作業具シリンダC5を制御する作業具制御バルブV1、ブームシリンダC3を制御するブーム制御バルブV2、ドーザシリンダC1を制御するドーザ用第1制御バルブV3、第2走行装置3Rの走行モータMRを制御する第2走行制御バルブV4、インレットブロックB2、第1走行装置3Lの走行モータMLを制御する第1走行制御バルブV5、ドーザシリンダC1を制御するドーザ用第2制御バルブV6、アームシリンダC4を制御するアーム制御バルブV7、旋回モータMTを制御する旋回制御バルブV8、スイングシリンダC2を制御するスイング制御バルブV9、作業具17として油圧アタッチメントが取り付けられた場合に該油圧アタッチメントに装備されたアタッチメントアクチュエータ(油圧アクチュエータ)C6を制御するSP制御バルブV10、第2アウトレットブロックB3を、順に配置(
図3においては右から順に配置)すると共にこれらを相互に連結してなる。
【0023】
図4~
図7に示すように、各制御バルブV1~V10は、バルブボディ内に方向切換弁DV1~DV10と圧力補償弁(コンペンセータバルブ)V11とを組み込んで構成されている。方向切換弁DV1~DV10は、制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して作動油の方向を切り換える弁である。圧力補償弁V11は、方向切換弁DV1~DV10に対する圧油供給下手側で且つ制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対する圧油供給上手側に配備されている。圧力補償弁V11は、制御バルブV1~V10のうちの複数を使用したときに、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6間の負荷の調整として機能する。
【0024】
第1アウトレットブロックB1には、第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とが組み込まれ、インレットブロックB2には走行独立弁V14が組み込まれている。第1リリーフ弁V12は、後述する第1圧油吐出ポートP1から吐出される作動油の圧力を規定するメインリリーフ弁である。
走行独立弁V14は、直動スプール形切換弁から構成されていると共にパイロット制御圧によって切換操作されるパイロット操作切換弁によって構成されている。
第2アウトレットブロックB3には、第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とが組み込まれている。第2リリーフ弁V15は、後述する第2圧油吐出ポートP2から吐出される作動油の圧力を規定するメインリリーフ弁である。
【0025】
各方向切換弁DV1~DV10は、直動スプール形切換弁によって構成されている。また、各方向切換弁DV1~DV10は、制御装置U1によって電気的に制御される制御弁である。詳しくは、各方向切換弁DV1~DV10は、例えば、パイロット式の比例電磁弁が採用される。パイロット式の比例電磁弁は、比例ソレノイドによって制御されるパイロット制御圧によりスプールを動かして作動油の流れの方向及び流量を制御する弁である。詳しくは、パイロット式の比例電磁弁は、2個の比例ソレノイドを有する比例電磁式減圧弁をパイロット部に採用した二段形の方向・流量制御弁で、流量は比例ソレノイドへの入力電流を変えることにより、また、方向は2個のうちのどちらかの比例ソレノイドに電流を加えるかにより制御する。
【0026】
この油圧システムにおける圧油供給源としての油圧ポンプは、
図4に示すように、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を作動させる作動油の供給用の第1ポンプ21と、パイロット制御圧や検出信号等の信号圧油の供給用の第2ポンプ22とが装備されている。これら第1ポンプ21と第2ポンプ22とは、前記圧油供給ユニット18に備えられ、原動機E1によって駆動される。
【0027】
前記第1ポンプ21は、可変容量型のポンプであって、本実施形態では、独立した2つの圧油吐出ポートP1,P2から等しい量の作動油を吐出する等流量ダブルポンプの機能を有する斜板形可変容量アキシャルポンプで構成されている。詳しくは、第1ポンプ21は、1つのピストン・シリンダバレルキットからバルブプレートの内外に形成した吐出溝へ交互に作動油を吐き出す機構をもったスプリットフロー式の油圧ポンプが採用されている。
【0028】
この第1ポンプ21から吐出される一方の圧油吐出ポートを第1圧油吐出ポートP1といい、他方の圧油吐出ポートを第2圧油吐出ポートP2という。
なお、本実施形態では、2つのポンプ機能を有する油圧ポンプから吐出される圧油吐出ポートを第1・2圧油吐出ポートP1,P2としているが、別個に形成された2つの油圧ポンプの一方の油圧ポンプの圧油吐出ポートを第1圧油吐出ポートとし、他方の油圧ポンプの圧油吐出ポートを第2圧油吐出ポートとしてもよい。
また、圧油供給ユニット18には、第1ポンプ21の斜板を押圧する押圧ピストン23と、第1ポンプ21の斜板を制御する流量補償用ピストン24とが装備されている。
【0029】
第1ポンプ21は、該第1ポンプ21の自己圧によって押圧ピストン23を介して斜板がポンプ流量を増加する方向に押圧されるよう構成されていると共に、この押圧ピストン23の押圧力に対抗する力を前記流量補償用ピストン24によって斜板に作用させるように構成され、流量補償用ピストン24に作用する圧力を制御することにより、該第1ポンプ21の吐出流量が制御される。
したがって、流量補償用ピストン24に作用する圧力が抜けると、第1ポンプ21は、斜板角がMAXとなって最大流量を吐出する。
【0030】
図4に示すように、流量制御部19は第1ポンプ21の斜板制御を行うものであり、該第1ポンプ21の斜板制御は、前記流量補償用ピストン24に作用する圧力を、流量制御部19に装備された流量補償用バルブV17を制御することにより行われる。
また、圧油供給ユニット18には、第1ポンプ21のポンプ馬力(トルク)制御用のバネ25とスプール26とが設けられており、第1ポンプ21の吐出圧が、予め設定していた圧力になると、第1ポンプ21が原動機E1から吸収する馬力(トルク)を制限するよう構成されている。
前記第2ポンプ22は定容量形のギヤポンプによって構成されており、該第2ポンプ22の吐出油は第3圧油吐出ポートP3から吐出される。
【0031】
第1圧油吐出ポートP1は第1吐出路aを介してインレットブロックB2に接続され、第2圧油吐出ポートP2は第2吐出路bを介してインレットブロックB2に接続されている。
第1吐出路aは第1圧油供給路dに接続され、該第1圧油供給路dは、インレットブロックB2から第2走行制御バルブV4のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→作業具制御バルブV1のバルブボディを経て第1アウトレットブロックB1に至るように形成され、該第1アウトレットブロックB1にて(流路終端側にて)分岐されて第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とに接続されている。
前記第1圧油供給路dから第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の各方向切換弁DV4,DV3,DV2,DV1に圧油分岐路fを介して作動油が供給可能とされている。
【0032】
第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とはドレン油路gに接続されている。ドレン油路gは、第1アウトレットブロックB1から作業具制御バルブV1のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→第2走行制御バルブV4のバルブボディ→インレットブロックB2→第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディを経て第2アウトレットブロックB3に至るように形成されている。ドレン油路gを流れる作動油は、第2アウトレットブロックB3から作動油タンクT2へ排出される。
【0033】
第2吐出路bは第2圧油供給路eに接続されている。第2圧油供給路eはインレットブロックB2から第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディを経て第2アウトレットブロックB3に至るように形成されると共に、第2アウトレットブロックB3にて(流路終端側にて)分岐されて第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とに接続されている。
【0034】
前記第2圧油供給路eから第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6、アーム制御バルブV7、旋回制御バルブV8、スイング制御バルブV9、SP制御バルブV10の各方向切換弁DV5,DV6,DV7,DV8,DV9,DV10に圧油分岐路hを介して作動油が供給可能とされている。
各制御バルブV1~V10に供給された作動油は、各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して給排される。つまり、油圧システムは、各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作動油を給排する油圧回路を有している。
【0035】
第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とはドレン油路gに接続されている。
第1圧油供給路dと第2圧油供給路eとは、インレットブロックB2内において、走行独立弁V14を横切る連通路jを介して相互に接続されている。
走行独立弁V14は、連通路jの圧油流通を遮断する独立位置27と、連通路jの圧油流通を許容する合流位置28とに切換自在とされている。
【0036】
走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられていると、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DV4,DV3に供給可能とされると共に、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6の各方向切換弁DV5,DV6に供給可能とされ、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6には供給されず、また、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3には供給されない。
【0037】
また、走行独立弁V14が合流位置28に切り換えられると、第1圧油吐出ポートP1からの作動油と第2圧油吐出ポートP2からの作動油とが合流されて各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10に供給可能とされる。
第3圧油吐出ポートP3は第3吐出路mを介してインレットブロックB2に接続され、該第3吐出路mは、途中で第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに分岐されてインレットブロックB2に接続されている。
【0038】
第1分岐油路m1は第1信号油路n1を介して走行独立弁V14の一側の受圧部14aに接続され、第2分岐油路m2は第2信号油路n2を介して走行独立弁V14の他側の受圧部14bに接続されている。
前記第1信号油路n1には第1検出油路r1が接続され、前記第2信号油路n2には第2検出油路r2が接続されている。
【0039】
前記第1検出油路r1は、第1信号油路n1からドーザ用第2制御バルブV6の方向切換弁DV6→第1走行制御バルブV5の方向切換弁DV5→第2走行制御バルブV4の方向切換弁DV4→ドーザ用第1制御バルブV3の方向切換弁DV3を経てドレン油路gに接続されている。
前記第2検出油路r2は、第2信号油路n2からSP制御バルブV10の方向切換弁DV10→スイング制御バルブV9の方向切換弁DV9→旋回制御バルブV8の方向切換弁DV8→アーム制御バルブV7の方向切換弁DV7→ドーザ用第2制御バルブV6の方向切換弁DV6→第1走行制御バルブV5の方向切換弁DV5→第2走行制御バルブV4の方向切換弁DV4→ドーザ用第1制御バルブV3の方向切換弁DV3→ブーム制御バルブV2の方向切換弁DV2→作業具制御バルブV1の方向切換弁DV1を経てドレン油路gに接続されている。
【0040】
前記走行独立弁V14は、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立である場合は、バネの力によって合流位置28に保持されている。
そして、第2走行制御バルブV4、第1走行制御バルブV5、ドーザ用第1制御バルブV3、ドーザ用第2制御バルブV6の各方向切換弁DVのいずれかが中立位置から操作されたときに、第1検出油路r1及び第1信号油路n1に圧が立って、走行独立弁V14が合流位置28から独立位置27に切り換えられる。
【0041】
したがって、走行のみする場合、走行しながらドーザ装置7を使用する場合、又は、ドーザ装置7のみ使用する場合には、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DVに供給され、且つ、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DVに供給される。
【0042】
このとき、SP制御バルブV10、スイング制御バルブV9、旋回制御バルブV8、アーム制御バルブV7、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の方向切換弁DV10,DV9,DV8,DV7,DV2,DV1のいずれかが中立位置から操作されたときには、第2検出油路r2及び第2信号油路n2に圧が立って、走行独立弁V14が独立位置27から合流位置28に切り換えられる。
【0043】
また、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立である場合において、SP制御バルブV10、スイング制御バルブV9、旋回制御バルブV8、アーム制御バルブV7、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の方向切換弁DV10,DV9,DV8,DV7,DV2,DV1のいずれかが中立位置から操作されたときにも、走行独立弁V14は合流位置28である。
【0044】
したがって、非走行時又は走行時において、ブーム15、アーム16、作業具17、スイングブラケット14、機体2、ドーザ装置7の同時操作が可能とされている。
また、この油圧システムにあっては、原動機E1のアクセル装置を自動的に操作するオートアイドリング制御システム(AIシステム)が備えられている。
このAIシステムは、第3吐出路mの第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに感知油路s及びシャトル弁V18を介して接続されたAIスイッチ(圧力スイッチ)29と、原動機E1のガバナを制御する電気アクチュエータと、この電気アクチュエータを制御する制御装置とを備え、前記AIスイッチ29は制御装置に接続されている。
【0045】
このAIシステムにあっては、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立であるときには、第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに圧が立たないので、AIスイッチ29が感圧作動することがなく、この状態では、ガバナが、予め設定されているアイドリング位置にまでアクセルダウンするよう電気アクチュエータ等によって自動制御される。
【0046】
また、制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10のうちのいずれか一つでも操作されると、第1分岐油路m1又は第2分岐油路m2に圧が立ち、この圧がAIスイッチ29によって感知されて該AIスイッチ29が感圧作動する。すると、制御装置から電気アクチュエータ等に指令信号が出され、該電気アクチュエータ等によってガバナが設定されたアクセル位置までアクセルアップするよう自動制御される。
【0047】
また、この油圧システムにあってはロードセンシングシステムが採用されている。
本実施形態のロードセンシングシステムは、各制御バルブV1~V10に設けられた圧力補償弁V11、第1ポンプ21の斜板を制御する流量補償用ピストン24、前記流量制御部19に装備された流量補償用バルブV17、前記第1・2リリーフ弁V12,V15、前記第1・2アンロード弁V13,V16を有する。また、本実施形態のロードセンシングシステムは、圧力補償弁V11が方向切換弁DV1~DV10に対する圧油供給下手側に配備されたアフターオリフィス型のロードセンシングシステムが採用されている。
【0048】
このロードセンシングシステムにあっては、作業機1に装備された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の複数を同時操作したとき、該油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6間の負荷の調整として圧力補償弁V11が機能し、低負荷圧側の制御バルブV1~V10に最高負荷圧との差圧分の圧力損失を発生させ、負荷の大きさによらず、方向切換弁DV1~DV10のスプールの操作量に応じた流量を流す(配分する)ことができる。つまり、ロードセンシングシステムは、第1ポンプ21の吐出圧から複数の油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6のうちの最高負荷圧を引いた差圧を一定圧にするように第1ポンプ21を制御する。
【0049】
また、ロードセンシングシステムは、作業機1に装備された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の負荷圧に応じて第1ポンプ21の吐出量を制御して、負荷に必要とされる油圧動力を第1ポンプ21から吐出させることにより、動力の節約と操作性を向上することができる。
本実施形態のロードセンシングシステムをさらに詳しく説明する。
ロードセンシングシステムは、各制御バルブV1~V10の負荷圧のうちの最高の負荷圧をPLS信号圧として流量補償用バルブV17に伝達するPLS信号油路wと、第1ポンプ21の吐出圧をPPS信号圧として流量補償用バルブV17に伝達するPPS信号油路xとを有する。
【0050】
PLS信号油路wは、第1アウトレットブロックB1から作業具制御バルブV1のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→第2走行制御バルブV4のバルブボディにわたって設けられると共に、走行独立弁V14を横切って第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディ→第2アウトレットブロックB3にわたって設けられており、該PLS信号油路wは各制御バルブにおいて、圧力補償弁V11に負荷伝達ラインyを介して接続されている。
【0051】
また、このPLS信号油路wは、第2アウトレットブロックB3から流量補償用バルブV17のスプールの一側に接続され、PPS信号圧が流量補償用バルブV17のスプールの一側に作用する。
さらに、PLS信号油路wは、第1アウトレットブロックB1において第1アンロード弁V13とドレン油路gに接続され、第2アウトレットブロックB3において第2アンロード弁V16とドレン油路gに接続されている。
【0052】
前記走行独立弁V14が合流位置28にあるときには、PLS信号油路wの、走行独立弁V14から第1アウトレットブロックB1に至るラインw1と、走行独立弁V14から第2アウトレットブロックB3に至るラインw2とが連通しており、走行独立弁V14が合流位置28から独立位置27に切り換えられると、該走行独立弁V14にてPLS信号油路wが遮断される。
これによって、PLS信号油路wが、走行独立弁V14を独立位置27にしたときに、第1圧油吐出ポートP1から作動油が供給される側のラインw1と、第2圧油吐出ポートP2から圧油が供給される側のラインw2とに分断される。
【0053】
PPS信号油路xは、走行独立弁V14から流量補償用バルブV17のスプールの他側にわたって設けられており、該PPS信号油路xは、走行独立弁V14が合流位置28にあるときには第2圧油供給路eに接続油路zを介して連通されていてPPS信号圧(第1ポンプ21の吐出圧)が流量補償用バルブV17のスプールの他側に作用し、走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられると、該PPS信号油路xは逃し油路qを介してドレン油路gに連通し、PPS信号圧が零となるよう構成されている。
また、流量補償用バルブV17のスプールの一側には、該流量補償用バルブV17に制御差圧を与えるバネ30と差圧ピストン31とが設けられている。
【0054】
前記構成の油圧システムにあっては、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立位置にあるときには走行独立弁V14が合流位置28であり、このとき、第1圧油供給路dの流路終端側が第1アンロード弁V13によってブロックされ且つ第2圧油供給路eの流路終端側が第2アンロード弁V16によってブロックされるようになっている。したがって、第1ポンプ21の吐出圧(PPS信号圧)が上昇し、このPPS信号圧とPLS信号圧(この時は零である)との差が制御差圧よりも大きくなると、第1ポンプ21が吐出量を減少させる方向に流量制御されると共に第1・第2アンロード弁V16が開いて第1ポンプ21からの吐出油を作動油タンクT2に落とす。
【0055】
したがって、この状態では、第1ポンプ21の吐出圧は第1・第2アンロード弁V13,V16で設定される圧となり、第1ポンプ21の吐出流量は最小吐出量となる。
次に、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、作業具シリンダC5、スイングシリンダC2、旋回モータMT、油圧アタッチメントのうちのいずれか二つ以上を同時操作する場合、又は、これらの一つ以上と、左右走行モータML,MR、ドーザシリンダC1のうちのいずれか一つ以上とを同時操作する場合について説明する。
【0056】
この場合にあっては、走行独立弁V14は合流位置28であり、操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作用する最高負荷圧がPLS信号圧となり、PPS信号圧-PLS信号圧が制御差圧となるように(PPS信号圧とPLS信号圧との差を設定値に維持するように)第1ポンプ21の吐出圧(吐出流量)が自動制御される。
すなわち、第1・第2アンロード弁V13,V16を介してのアンロード流量が零になると、第1ポンプ21の吐出流量が増加し始め、操作された制御バルブの操作量に応じて第1ポンプ21の吐出油の全量が操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に流れる。
【0057】
また、圧力補償弁V11によって、操作された制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10のスプールの前後差圧が一定となり、操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作用する負荷の大きさの違いにかかわらず、第1ポンプ21の吐出流量が、操作された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して操作量に応じた量、分流される。
【0058】
なお、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の要求流量が第1ポンプ21の最大吐出流量を超える場合は、第1ポンプ21の吐出油は操作された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に比例配分される。
前記場合にあっては、効率的なシステムで同時操作(複合操作)が可能となる。
走行しながらドーザ装置7によって土工作業をする場合にあっては、走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられ、該走行独立弁V14によって、連通路j及びPLS信号油路wが遮断され、また、PPS信号油路xは逃し油路qを介してドレン油路gに連通し、PPS信号圧が零となる。
【0059】
したがって、第1圧油吐出ポートP1からの作動油は第2走行制御バルブV4及びドーザ用第1制御バルブV3に流れ、第1走行制御バルブV5及びドーザ用第2制御バルブV6には流れない。また、第2圧油吐出ポートP2からの作動油は第1走行制御バルブV5及びドーザ用第2制御バルブV6に流れ、第2走行制御バルブV4及びドーザ用第1制御バルブV3には流れない。さらに、PPS信号圧が零であるので、第1ポンプ21は斜板角がMAXとなって最大流量を吐出する。
【0060】
図8に示すように、各方向切換弁DV1~DV10の比例ソレノイドso1~so10は、制御装置U1に接続されている。各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)は、制御装置U1から比例ソレノイドso1~so10に送信される制御信号(比例ソレノイドso1~so10に供給される電流値)に応じたパイロット制御圧により、制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対する作動油の流れの方向及び流量が制御されるようにパイロット操作される。つまり、各制御バルブV1~V10は、制御装置U1から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作される。言い換えると、各制御バルブV1~V10は、制御装置U1が供給する電流値に応じて制御される。
【0061】
制御装置U1には、各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)を操作する操作部材41(第1操作具41A~第7操作具41G)が接続されている。制御装置U1は、操作部材41の操作量に応じた電流値(制御信号)を操作対象の方向切換弁DV1~DV10の比例ソレノイドso1~so10に供給(送信)する。
第1操作具41A、第2操作具41Bは、操縦装置1Bに設けられ、例えば、運転席6に着座したオペレータが把持して操作するハンドルによって構成される。
【0062】
第1操作具41Aは、作業機1に装備された2つの操作対象を操作可能である。例えば、第1操作具41Aは、方向切換弁DV8(旋回モータMT)を操作可能(機体2を旋回操作可能)であり且つ方向切換弁DV7(アームシリンダC4)を操作可能(アーム16を揺動操作可能)である。また、第1操作具41Aは、操作方向及び操作量を検出するセンサ(操作検出部)42(第1センサ42A)を有している。第1センサ42Aは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第1センサ42Aからの検出信号に基づいて、旋回制御バルブV8(機体2)及びアーム制御バルブV7(アーム16)を制御する。
【0063】
第2操作具41Bも、作業機1に装備された2つの操作対象を操作可能である。例えば、第2操作具41Bは、方向切換弁DV2(ブームシリンダC3)を操作可能(ブーム15を揺動操作可能)であり且つ方向切換弁DV1(作業具シリンダC5)を操作可能(作業具17を揺動操作可能)である。また、第2操作具41Bは、操作方向及び操作量を検出するセンサ(操作検出部)42(第2センサ42B)を有している。第2センサ42Bは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第2センサ42Bからの検出信号に基づいて、ブーム制御バルブV2(ブーム15)及び作業具制御バルブV1(作業具17)を制御する。
【0064】
第3操作具41Cは、操縦装置1Bに設けられ、例えば、レバーによって構成される。第3操作具41Cは、方向切換弁DV3及び方向切換弁DV6(ドーザシリンダC1)を操作可能(ドーザ装置7を操作可能)である。また、第3操作具41Cは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第3センサ42C)を有している。第3センサ42Cは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第3センサ42Cからの検出信号に基づいて、ドーザ用第1制御バルブV3及びドーザ用第2制御バルブV6(ドーザ装置7)を制御する。
【0065】
第4操作具41D及び第5操作具41Eは、例えば、運転席6の前方の床部に設けられ、オペレータの踏み操作によって操作されるペダルによって構成される。
第4操作具41Dは、方向切換弁DV5(第1走行モータML)を操作可能(第1走行装置3Lを操作可能)である。また、第4操作具41Dは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第4センサ42D)を有している。第4センサ42Dは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第4センサ42Dからの検出信号に基づいて、第1走行制御バルブV5(第1走行装置3L)を制御する。
【0066】
第5操作具41Eは、方向切換弁DV4(第2走行モータMR)を操作可能(第2走行装置3Rを操作可能)である。また、第5操作具41Eは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第5センサ42E)を有している。第5センサ42Eは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第5センサ42Eからの検出信号に基づいて、第2走行制御バルブV4(第2走行装置3R)を制御する。
【0067】
第6操作具41Fは、例えば、第1操作具41Aまたは第2操作具41Bに設けられるスイッチ(シーソースイッチ、スライドスイッチ等)によって構成される。第6操作具41Fは、方向切換弁DV9(スイングシリンダC2)を操作可能(スイングブラケット14を操作可能)である。また、第6操作具41Fは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第6センサ42F)を有している。第6センサ42Fは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第6センサ42Fからの検出信号に基づいて、スイング制御バルブV9(スイングブラケット14)を制御する。
【0068】
第7操作具41Gは、例えば、第1操作具41Aまたは第2操作具41Bに設けられるスイッチ(シーソースイッチ、スライドスイッチ等)によって構成される。第7操作具41Gは、方向切換弁DV10(油圧アタッチメントの油圧アクチュエータ)を操作可能(作業具としての油圧アタッチメントを操作可能)である。また、第7操作具41Gは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第7センサ42G)を有している。第7センサ42Gは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第7センサ42Gからの検出信号に基づいて、SP制御バルブV10(油圧アタッチメント)を制御する。
【0069】
センサ42(第1センサ42A~第7センサ42G)の構成は特に限定されるものではないが、例えば、ポテンショメータ等を用いることができる。
各方向切換弁DV1~DV10のスプールは、該各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)を操作する各操作部材41の操作量に比例して動かされ、各方向切換弁DV1~DV10が動かされた量に比例する量の作動油を制御対象の油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に供給するように構成されている。つまり、各操作部材41の操作量に比例して操作対象(制御対象)の作動速度が変速可能とされている。
【0070】
以上のように、操作部材41の操作によって各制御バルブV1~V10が操作され、それによって、対応する油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6が操作される。そして、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6によって駆動部位(機体2、走行装置3、ドーザ装置7、ブーム15、アーム16、作業具17、油圧アタッチメント)が駆動される。
図8は、制御系の第1実施形態を示している。
図8に示すように、制御装置U1は、制御部Uaと、ブーム流量抑制部Ubとを有している。
【0071】
制御部Uaは、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作(単独操作)する場合に、ブーム制御バルブV2を制御する。
ブーム流量抑制部Ubは、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)と、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とを同時操作(複合操作)する場合に、ブーム制御バルブV2を制御する。詳しくは、ブーム流量抑制部Ubは、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)を操作しているときにブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量(作動油流量)を制御する。
【0072】
図9は、横軸を操作部材41(第2操作具41B)の操作量とし、縦軸をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量とした場合の、操作部材41の操作量と作動油の流量との関係を示すグラフである。
図9中の第1ライン50は、制御部Uaが、操作部材41の操作量に対してブーム制御バルブV2からブームシリンダC3へ供給される作動油の流量を制御する場合を示している。つまり、ブームシリンダC3を単独操作する場合における、ブームシリンダC3の操作量に応じた作動油流量の変化を示している。
【0073】
図9中の第2ライン51は、ブーム流量抑制部Ubが、操作部材41の操作量に対してブーム制御バルブV2からブームシリンダC3へ供給される作動油の流量を制御する場合を示している。つまり、ブームシリンダC3とアームシリンダC4とを複合操作する場合における、ブームシリンダC3の操作量に応じた作動油流量の変化を示している。
図9中の符号52は、ブームシリンダC3を単独操作した場合の、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量を示している。
図9中の符号53は、アームシリンダC4とブームシリンダC3とを複合操作した場合の、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量を示している。
【0074】
図9からわかるように、第2ライン51は第1ライン50よりも傾きが小さく、変化量53は変化量52よりも小さい。つまり、制御装置U1は、アームシリンダC4とブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量53を小さくする。
また、
図9に示すように、第1実施形態では、ブーム流量抑制部Ubによって、アームシリンダC4とブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させることで変化量53を変化量52よりも小さくしている。
【0075】
詳しくは、
図9中の第1ライン50と第2ライン51とからわかるように、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作する場合と、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する場合とで、操作部材41(第2操作具41B)の操作量が同じ操作量である場合に、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作する場合に比べて、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する場合の方が、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量が少ない。つまり、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する際には、操作部材41(第2操作具41B)の操作量に対するブームシリンダC3への作動油の供給流量が減少する。
【0076】
即ち、ブーム流量抑制部Ubは、操作部材41の同じ操作量に対して、制御部Uaが制御する作動油の流量よりも少ない流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。したがって、ブーム流量抑制部Ubは、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)を操作しているときにブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させる。言い換えると、ブーム流量抑制部Ubは、操作部材41(第2操作具41B)の操作量に対して、該操作量に応じて制御部Uaが制御する作動油の流量よりも少ない流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。
【0077】
本実施形態では、制御装置U1からブーム制御バルブV2に送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧を低下させることによってブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させる。言い換えると、制御装置U1がブーム制御バルブV2に供給する電流値を低下させることで、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させる。
【0078】
ところで、ブーム15(ブームシリンダC3)とアーム16(アームシリンダC4)とを複合操作(同時操作)する場合として、所謂、水平引き操作(水平引き作業)がある。水平引き作業は、バケット17の先端の爪部17a(
図1参照)を地面に接触させた状態で、アーム16をアームクラウド方向D1に揺動させながらブーム15を上げ操作することにより、バケット17を水平に移動させて地面を均す作業である。この水平引き作業では、ブーム15を微操作するため熟練を要する。即ち、一般的にアーム16を動かすと機体2のバランスが大きく変化し、それによりブーム15を操作する操作部材41(第2操作具41B)の操作量が変動するので熟練を要する。また、バケット17の先端爪部17aを地面に接触させた状態で、アーム16をアームダンプ方向D2に揺動させながらブーム15を下げ操作する場合についても、同様のことが言える。
【0079】
第1実施形態にあっては、アーム16を操作しながらブーム15を操作する場合に、ブーム15を単独で操作する場合よりもパイロット制御圧を落として、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給する作動油の流量を低下させることで、ブーム15の上げ速度が抑えられ、ブーム15の操作が安定的に行えると共にバケット17の先端爪部17aが水平に動きやすくなる。これにより、アーム16をアームクラウド方向D1に揺動させながらブーム15を上げ操作する場合、または、アーム16をアームダンプ方向D2に揺動させながらブーム15を下げ操作する場合に、ブーム15の操作を容易に行うことができる。
第1実施形態では、例えば、ブームシリンダC3に対する操作量とアームシリンダC4に対する操作量とが同じ操作量で且つブーム15の速度に対してアーム16の速度が遅い場合であって、水平引き作業をする場合に、ブーム15の速度を低下させることでブーム15とアーム16との動きの調和が図れ、良好に水平引き作業をすることができる。
【0080】
また、ブーム15が大きく揺動するのを抑制することができるので、機体2を揺らすのを抑制することができる。また、アーム16を操作しながらブーム15を操作する場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給する作動油の流量を低下させることで、その分、作動油の流量がアームシリンダC4へ分流され、バケット17の移動速度が確保されると共に、ブーム特性が穏やかになり、機体2が安定する。また、ロードセンシングシステムを備えていることから、中間流量特性が安定しているので、パイロット制御圧を落とすことで作動油の流量を低下させてブーム15の速度を落としても安定した動きをさせることができる。
【0081】
なお、本実施形態にあっては、アームシリンダC4を操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム流量抑制部Ubがブーム制御バルブV2を制御して、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させるように構成したが、これに限定されることはなく、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させるように構成してもよい。つまり、ブーム流量抑制部Ubは、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合(ブームシリンダC3とブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACとを複合操作した場合)に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を制御する。
【0082】
ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACは、アームシリンダC4のほかに、走行モータM1、旋回モータMT、ドーザシリンダC1、スイングシリンダC2、作業具シリンダC5及びアタッチメントアクチュエータC6であってもよい。また、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACが、アームシリンダC4以外の油圧アクチュエータ、つまり、走行モータM1、旋回モータMT、ドーザシリンダC1、スイングシリンダC2、作業具シリンダC5及びアタッチメントアクチュエータC6である場合であっても、ブーム特性が穏やかになり、機体2が安定するという効果が期待できる。
【0083】
また、ブームシリンダC3と、アームシリンダC4以外の他の油圧アクチュエータACとを複合操作した場合でも、ブーム15と他の油圧アクチュエータACによって駆動される部材との動きの調和を図ることが可能である。
上記油圧システムでは、各制御バルブV1~V10(各方向切換弁DV1~DV10)をパイロット式の比例電磁弁で構成し、制御装置U1が各制御バルブV1~V10に供給する電流値を制御することでパイロット制御圧を制御して、各制御バルブV1~V10を制御する構成としたが、これに限定されることはない。
【0084】
例えば、
図10に示すように、各制御バルブV1~V10を、一対のパイロット受圧部Va1,Va2に作用するパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット操作切換弁によって構成すると共に、制御装置U1によって制御される一対の比例電磁弁V21,V22を設け、一方の比例電磁弁V21から一方のパイロット受圧部Va1にパイロット制御圧が供給されると共に、他方の比例電磁弁V22から他方のパイロット受圧部Va2にパイロット制御圧が供給される構成とすることで、油圧アクチュエータMT,ML,MR,C1~C6に対する作動油の流れの方向及び流量を制御するように構成してもよい。
【0085】
また、
図11に示すように、各制御バルブV1~V10を、制御装置U1から電流が供給される比例ソレノイドso11でスプールを直接駆動する比例電磁式の方向・流量制御バルブによって構成してもよい。
図12は、制御系の第2実施形態を示している。
図12に示すように、制御装置U1には、切換えスイッチSWが接続されている。切換えスイッチSWは、バケット17に装備されたフックで吊荷を吊り上げるクレーンモードに切り換えるスイッチである。
【0086】
制御装置U1は、制御部Uaと、ブーム流量増量部Ucと、機能遮断部Udとを有している。
制御部Uaは、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作する場合に、ブーム制御バルブV2を制御する。
ブーム流量増量部Ucは、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)と、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とを同時操作(複合操作)する場合に、ブーム制御バルブV2を制御する。詳しくは、ブーム流量増量部Ucは、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増量するように制御する。
【0087】
機能遮断部Udは、ブーム15を上げる方向にブームシリンダC3を単独操作しているときに、アームシリンダC4(ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータAC)を操作した場合に、ブーム流量増量部Ucを機能させない。本実施形態では、機能遮断部Udは、切換えスイッチSWによってクレーンモードに切り換えられているときに機能する。ブーム流量増量部Ucは、ブームシリンダC3とアームシリンダC4とを複合操作する場合に、ブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増量し、ブーム15の速度を上げるものであるが、クレーン作業をしているときに、例えば、アーム16を動作させた場合に、ブーム15の速度が上がると、安定したクレーン作業を行うのが難しい場合がある。そこで、クレーンモードを選択しているときには、ブーム流量増量部Ucを機能させないようにしている。これにより、クレーン作業をしているときに、アームシリンダC4(ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータAC)を操作しても、ブーム15の上げ速度が変化せず、安定した吊り作業が行える。
【0088】
なお、後述するように、操作部材41(第2操作具41B)をフル操作(操作部材41をストロークエンドまで操作すること)してブームシリンダC3を操作しているときは、ブームシリンダC3を単独操作しているときも、ブームシリンダC3とアームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とを複合操作しているときも、ブームシリンダC3に供給される作動油の流量は同じであるので、機能遮断部Udの機能は、操作部材41のフル操作以外で行われるようにすることができる。
【0089】
図13は、横軸を操作部材41(第2操作具41B)の操作量とし、縦軸をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量(比例ソレノイドso2に供給される電流値=ブーム制御バルブV2をパイロット操作するパイロット制御圧)とした場合の、操作部材41の操作量と作動油の流量との関係を示すグラフである。
図13中の第3ライン55は、制御部Uaが、操作部材41の操作量に対してブーム制御バルブV2からブームシリンダC3へ供給される作動油の流量を制御する場合を示している。つまり、ブームシリンダC3を単独操作する場合における、ブームシリンダC3の操作量に応じた作動油流量の変化を示している。
【0090】
図13中の第4ライン56は、ブーム流量増量部Ucが、操作部材41の操作量に対してブーム制御バルブV2からブームシリンダC3へ供給される作動油の流量を制御する場合を示している。つまり、ブームシリンダC3とアームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とを複合操作する場合における、ブームシリンダC3の操作量に応じた作動油流量の変化を示している。
図13において、作動油の流量はグラフの原点から離れるにつれて流量が大となる。また、操作部材41の操作量は、グラフの原点で0(操作されていない状態)であり、原点から離れるにつれて操作量が大となる。したがって、グラフの原点側が、ブーム制御バルブV2の起動側57である。
【0091】
操作量が0である操作量G0から操作量G1までは、作動油流量は、0であり、操作部材41を操作してもブーム15が動作しない不感領域である。操作量G1では、作動油流量は、H1またはH2に一気に上がる。第3ライン55においては、操作量G1における作動油流量はH1であり、第4ライン56においては、操作量G1における作動油流量はH1よりも高いH2である。つまり、アームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量に対する作動油流量のブーム制御バルブの起動側57における設定が高く設定されている。
【0092】
また、第3ライン55及び第4ライン56は、操作量G1からフル操作の手前の操作量G2に向かうにつれて右肩上がりに傾斜しており、且つ操作量G2で作動油流量はH3に収束している。つまり、第4ライン56の起動側57の流量H2は、第3ライン55の起動側の流量H1よりも高く、且つ第4ライン56は第3ライン55よりも傾きが小さいので、ブームシリンダC3の操作量を増加するにつれて、複合操作する場合と単独操作する場合とのブームシリンダC3の操作量に対する作動油流量の差58(第3ライン55と第4ライン56との間の間隔)は小さくなる。
【0093】
なお、操作量G2では、作動油流量がH3から最大流量のH4に一気に増加し、操作量G2から操作量G3(操作部材41をフル操作したときの操作量)まで操作する間、作動油流量は最大流量H4である。
第2実施形態では、第3ライン55及び第4ライン56は、操作量G1から操作量G2までの中間操作域の特性線である。第3ライン55及び第4ライン56は、操作量G1から操作量G3までの特性線であってもよい。この場合、第3ライン55及び第4ライン56の終端の位置は、最大流量H4の位置になる。
【0094】
図13中の61は、ブームシリンダC3を単独操作した場合の、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量を示している。
図13中の62は、アームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とブームシリンダC3とを複合操作した場合の、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量を示している。
【0095】
図13からわかるように、変化量62は変化量61よりも小さい。つまり、制御装置U1は、アームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量62を小さくする。
【0096】
第2実施形態にあっては、ブーム流量増量部Ucは、アームシリンダC4(他の油圧アクチュエータAC)とブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量に対する作動油流量のブーム制御バルブV2の起動側57における設定を高く設定し、且つブームシリンダC3の操作量を増加するにつれて、複合操作する場合と単独操作する場合とのブームシリンダC3の操作量の変化に対する作動油流量の差58を小さくすることで変化量62を変化量61よりも小さくする。
【0097】
図13中の第3ライン55と第4ライン56とからわかるように、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作する場合と、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する場合とで、操作部材41(第2操作具41B)の操作量が同じ操作量である場合に、ブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を単独で操作する場合に比べて、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する場合の方が、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量が多い。つまり、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)とブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)とを複合操作する際には、操作部材41(第2操作具41B)の操作量に対するブームシリンダC3への作動油の供給流量が増量する。
【0098】
即ち、ブーム流量増量部Ucは、操作部材41の同じ操作量に対して、制御部Uaが制御する作動油の流量よりも多い流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。したがって、ブーム流量増量部Ucは、アームシリンダC4(アーム制御バルブV7)を操作しながらブームシリンダC3(ブーム制御バルブV2)を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増加させる。言い換えると、ブーム流量増量部Ucは、操作部材41(第2操作具41B)の操作量に対して、該操作量に応じて制御部Uaが制御する作動油の流量よりも多い流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。
【0099】
第2実施形態にあっては、制御装置U1からブーム制御バルブV2に送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧を増加させることによってブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増加させる。言い換えると、制御装置U1がブーム制御バルブV2に供給する電流値を上げることで、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増加させる。
【0100】
第2実施形態にあっては、アーム16を操作しながらブーム15を操作する場合に、ブーム15を単独で操作する場合よりもパイロット制御圧を上げて、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給する作動油の流量を増加させることで、ブーム15の上げ速度が上昇し、ブーム15の操作が安定的に行えると共にバケット17の先端爪部17aが水平に動きやすくなる。これにより、アーム16をアームクラウド方向D1に揺動させながらブーム15を上げ操作する場合、または、アーム16をアームダンプ方向D2に揺動させながらブーム15を下げ操作する場合に、ブーム15の操作を容易に行うことができる。
【0101】
第2実施形態では、例えば、ブームシリンダC3に対する操作量とアームシリンダC4に対する操作量とが同じ操作量で且つブーム15の速度に対してアーム16の速度が速い場合であって、水平引き作業をする場合に、ブーム15の速度を上げることでブーム15とアーム16との動きの調和が図れ、良好に水平引き作業をすることができる。詳しくは、作業能力を上げるためにアーム16の速度を速くなるように設定した場合は、水平引き作業を行うと、ブーム15及びアーム16の起動時にバケット17の先端の爪部17aが土に食い込む(爪部17aが落ちる)可能性がある。このような場合に、ブーム15の速度を上げることでブーム15とアーム16との動きの調和が図れ、良好に水平引き作業をすることができる。
【0102】
上記した第1実施形態にあっては、例えば、ブームシリンダC3に対する操作量とアームシリンダC4に対する操作量とが同じ操作量で且つブーム15の速度に対してアーム16の速度が遅い場合であって、水平引き作業をする場合に有効であり、第2実施形態では、例えば、ブームシリンダC3に対する操作量とアームシリンダC4に対する操作量とが同じ操作量で且つブーム15の速度に対してアームの速度が速い場合であって、水平引き作業をする場合に有効である。
【0103】
第2実施形態にあっても、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACであってアームシリンダC4以外の他の油圧アクチュエータACと、ブームシリンダC3とを複合操作しているときに、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増加させるように構成してもよい。つまり、ブーム流量増量部Ucは、ブームシリンダC3とブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACとを複合操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を制御する。
【0104】
また、ブームシリンダC3と、アームシリンダC4以外の他の油圧アクチュエータACとを複合操作した場合でも、ブーム15と他の油圧アクチュエータACによって駆動される部材との動きの調和を図ることが可能である。
なお、制御装置U1に、ブーム流量抑制部Ubとブーム流量増量部Ucとを設け、搭載される作業機1に応じてブーム流量増量部Ucを機能させないでブーム流量抑制部Ubを機能させる場合と、ブーム流量抑制部Ubを機能させないでブーム流量増量部Ucを機能させる場合とに切り換えるようにすることができる。
【0105】
また、第2実施形態にあっても、
図10に示すように、各制御バルブV1~V10をパイロット操作切換弁によって構成すると共に、制御装置U1によって制御される一対の比例電磁弁V21,V22を設け、一方の比例電磁弁V21から一方のパイロット受圧部Va1にパイロット制御圧が供給されると共に、他方の比例電磁弁V22から他方のパイロット受圧部Va2にパイロット制御圧が供給される構成としてもよく、また、
図11に示すように、各制御バルブV1~V10を、制御装置U1から電流が供給される比例ソレノイドso11でスプールを直接駆動する比例電磁式の方向・流量制御バルブによって構成してもよい。
【0106】
上記の作業機1は、機体2と、機体2に上下揺動可能に支持されたブーム15と、ブーム15を上下揺動させるブームシリンダC3と、ブームシリンダC3を制御するブーム制御バルブV2と、ブーム制御バルブV2を制御する制御装置U1と、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACと、を備え、制御装置U1は、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量の変化に対する、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量の変化量53、62を小さくする。
【0107】
この構成によれば、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブーム15と他の油圧アクチュエータACで駆動される部材との動きを調和させることができる。
また、制御装置U1は、他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させることで変化量53、62を小さくするブーム流量抑制部Ubを有している。
【0108】
この構成によれば、ブームシリンダC3とは異なる他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させることにより、ブーム特性が穏やかになり、機体2を安定させることができる。
また、ブーム制御バルブV2は、制御装置U1から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、ブーム流量抑制部Ubは、他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、パイロット制御圧を低下させる。
【0109】
この構成によれば、ブーム制御バルブV2の流量制御を容易に行える。
また、ブーム制御バルブV2は、制御装置U1が供給する電流値に応じて制御され、ブーム流量抑制部Ubは、他の油圧アクチュエータACを操作しているときにブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2に供給する電流値を低下させる。
この構成によっても、ブーム制御バルブV2の流量制御を容易に行える。
【0110】
また、ブーム15の先端側に、ブーム15に近づく方向であるアームクラウド方向D1と、ブーム15から遠ざかる方向であるアームダンプ方向D2とに揺動可能に連結されたアーム16と、アーム16を揺動させるアームシリンダC4と、を備え、他の油圧アクチュエータACは、アームシリンダC4であり、ブーム流量抑制部Ubは、アームシリンダC4を操作しながらブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させる。
【0111】
この構成によれば、ブーム15とアーム16とを複合操作した際に、ブーム特性が穏やかになり、機体2を安定させることができると共に、アーム16の速度を確保することができる。
また、ブーム流量抑制部Ubは、アーム16をアームクラウド方向D1に揺動させながらブーム15を上げ操作した場合、または、アーム16をアームダンプ方向D2に揺動させながらブーム15を下げ操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を低下させる。
【0112】
この構成によっても、ブーム15とアーム16とを複合操作した際に、ブーム特性が穏やかになり、機体2を安定させることができると共に、アーム16の速度を確保することができる。
また、ブームシリンダC3を操作する操作部材41を備え、制御装置U1は、ブームシリンダC3を単独で操作した場合に、操作部材41の操作量に応じてブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を制御する制御部Uaを有し、ブーム流量抑制部Ubは、操作部材41の操作量に対して、該操作量に応じて制御部Uaが制御する作動油の流量よりも少ない流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。
【0113】
この構成によっても、ブーム特性が穏やかになり、機体2を安定させることができる。
また、制御装置U1は、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブームシリンダC3を単独操作するときに比べて、ブームシリンダC3の操作量に対する作動油流量のブーム制御バルブV2の起動側57における設定を高く設定し、且つブームシリンダC3の操作量を増加するにつれて、複合操作する場合と単独操作する場合とのブームシリンダC3の操作量に対する作動油流量の差58を小さくすることで変化量53、62を小さくするブーム流量増量部Ucを有している。
【0114】
この構成によれば、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブーム15と他の油圧アクチュエータACで駆動される部材との動きを調和させることができる。
また、ブーム制御バルブV2は、制御装置U1から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、ブーム流量増量部Ucは、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、パイロット制御圧を上昇させる。
【0115】
この構成によれば、ブーム制御バルブV2の流量制御を容易に行える。
また、ブーム制御バルブV2は、制御装置U1が供給する電流値に応じて制御され、ブーム流量増量部Ucは、他の油圧アクチュエータACとブームシリンダC3とを複合操作した場合に、ブーム制御バルブV2に供給する電流値を高くする。
この構成によっても、ブーム制御バルブV2の流量制御を容易に行える。
【0116】
また、ブーム15の先端側に、ブーム15に近づく方向であるアームクラウド方向D1と、ブーム15から遠ざかる方向であるアームダンプ方向D2とに揺動可能に連結されたアーム16と、アーム16を揺動させるアームシリンダC4と、を備え、他の油圧アクチュエータACは、アームシリンダC4であり、ブーム流量増量部Ucは、アームシリンダC4を操作しながらブームシリンダC3を操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増量する。
【0117】
この構成によれば、ブーム15とアーム16とを複合操作した際に、ブーム15とアーム16との動きを調和させることができる。
また、ブーム流量増量部Ucは、アーム16をアームクラウド方向D1に揺動させながらブーム15を上げ操作した場合、または、アーム16をアームダンプ方向D2に揺動させながらブーム15を下げ操作した場合に、ブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を増量する。
この構成によれば、例えば、ブーム15とアーム16とを複合操作して水平引き作業を行うときに、ブーム15とアーム16との動きを調和させることができる。
【0118】
また、ブームシリンダC3を操作する操作部材41を備え、制御装置U1は、ブームシリンダC3を単独操作した場合に、操作部材41の操作量に応じてブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給される作動油の流量を制御する制御部Uaを有し、ブーム流量増量部Ucは、操作部材41の操作量に対して、該操作量に応じて制御部Uaが制御する作動油の流量よりも多い流量の作動油をブーム制御バルブV2からブームシリンダC3に供給させる。
【0119】
この構成によっても、ブーム15とアーム16との動きを調和させることができる。
また、制御装置U1は、ブーム15を上げる方向にブームシリンダC3を単独操作しているときに、他の油圧アクチュエータACを操作した場合は、ブーム流量増量部Ucを機能させない。
この構成によれば、例えば、安定した吊り作業を行うことができる。
【0120】
また、ブームシリンダC3及び他の油圧アクチュエータACを含む複数の油圧アクチュエータMT,ML,MR,C1~C6を作動させる作動油を吐出する可変容量型のポンプ21と、ポンプ21の吐出圧から複数の油圧アクチュエータMT,ML,MR,C1~C6のうちの最高負荷圧を引いた差圧を一定圧にするようにポンプ21を制御するロードセンシングシステムとを備えている。
【0121】
この構成によれば、ロードセンシングシステムを備えていることから、中間流量特性が安定しているので、作動油の流量を低下又は増加させても安定した動きをさせることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0122】
2 機体
15 ブーム
16 アーム
21 ポンプ
41 操作部材
57 起動側
58 差
53 変化量
62 変化量
AC 他の油圧アクチュエータ
C3 ブームシリンダ
C4 アームシリンダ
D1 アームクラウド方向
D2 アームダンプ方向
U1 制御装置
Ua 制御部
Ub ブーム流量抑制部
Uc ブーム流量増量部
V2 ブーム制御バルブ