(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラムおよび画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250624BHJP
G01N 21/3559 20140101ALI20250624BHJP
G01N 21/3563 20140101ALI20250624BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250624BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
H04N1/00 567H
G01N21/3559
G01N21/3563
G03G21/00 386
B41J29/38 204
(21)【出願番号】P 2020217051
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 久美子
(72)【発明者】
【氏名】大森 雅夫
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044929(JP,A)
【文献】特開2015-025756(JP,A)
【文献】特開2018-180230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G01N 21/3559
G01N 21/3563
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の用紙の性質を検出するセンサと、
前記センサに検出された前記性質との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、当該センサに検出された当該性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力するプロセッサと、
を備え、
前記センサには、少なくとも、用紙に赤外線を照射することに基づき前記性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき前記性質を検出する電気センサが含まれ、
前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報である
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記処理において生じた不具合について定められた条件を満たさない場合、前記情報を出力しないことを特徴とする
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータに、
用紙に赤外線を照射することに基づき当該用紙の性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき当該用紙の性質を検出する電気センサに検出された結果を取得する機能と、
取得された前記結果との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、
前記赤外線センサまたは前記電気センサに検出された前記性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力する機能と、
を実現させ
、
前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報であるプログラム。
【請求項4】
用紙の性質を検出するセンサと、
前記センサに検出された前記性質との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、当該センサに検出された当該性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力するプロセッサと、
前記センサに前記性質が検出された用紙に画像を形成する画像形成部と、
を備え、
前記センサには、少なくとも、用紙に赤外線を照射することに基づき前記性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき前記性質を検出する電気センサが含まれ
、
前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラムおよび画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置に備えられた特性検出手段により、用紙の特性が検出されると、検出された用紙の特性が記憶手段に記憶された用紙情報における特性と一致する一個または複数個の用紙銘柄が抽出されることが記載されている。
特許文献2には、複数種類の登録帳票の特徴量を格納する記録部と、入力された帳票から特徴量を抽出し登録帳票との照合を行う一次照合部と、一次照合で認識できなかった帳票について特徴量を用いて登録帳票との照合を行う二次照合部とを有する帳票識別装置が記載されている。
特許文献3には、画像形成装置は、画像が形成されるメディアの物性を計測する計測部と、メディア上に画像を形成する画像形成動作部と、形成された画像を読み取る読取部と、計測部による計測結果、及び読取部による読み取り結果に基づいて、メディア種別を特定するメディア特定部と、を備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-101739号公報
【文献】特許第5110793号公報
【文献】特開2020-6628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の用紙に形成されている画像を検出し、検出した画像に基づき、特定の用紙と同一の種類であると判定された用紙の情報等、特定の用紙との関係について定められた条件を満たす用紙の情報をユーザに知らせる技術が存在する。しかしながら、この場合、特定の用紙に画像が形成されていないと、特定の用紙との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報をユーザに知らせることができなかった。
本発明の目的は、特定の用紙に画像が形成されていない場合であっても、特定の用紙との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報をユーザに知らせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、特定の用紙の性質を検出するセンサと、前記センサに検出された前記性質との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、当該センサに検出された当該性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力するプロセッサと、を備え、前記センサには、少なくとも、用紙に赤外線を照射することに基づき前記性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき前記性質を検出する電気センサが含まれ、前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報であることを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理において生じた不具合について定められた条件を満たさない場合、前記情報を出力しないことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、コンピュータに、用紙に赤外線を照射することに基づき当該用紙の性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき当該用紙の性質を検出する電気センサに検出された結果を取得する機能と、取得された前記結果との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、前記赤外線センサまたは前記電気センサに検出された前記性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力する機能と、を実現させ、前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報であるプログラムである。
請求項4に記載の発明は、用紙の性質を検出するセンサと、前記センサに検出された前記性質との関係について定められた条件を満たす用紙に関する情報として、当該センサに検出された当該性質と、当該条件を満たす用紙の当該性質との違いに基づく情報を表示装置に出力するプロセッサと、前記センサに前記性質が検出された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備え、前記センサには、少なくとも、用紙に赤外線を照射することに基づき前記性質を検出する赤外線センサ、または、電気抵抗に基づき前記性質を検出する電気センサが含まれ、前記情報は、前記条件を満たす前記用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報であることを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、特定の用紙の性質と関連する性質を有する用紙に画像が形成される処理において生じた不具合をユーザに知らせることができる。
請求項2の発明によれば、不具合について定められた条件を満たすか否かに関わらず不具合の情報が出力される場合に比べて、特定の用紙の性質と関連する性質を有する用紙についての不具合の情報としてユーザに知らせることに適していない情報がユーザに知らされることを抑制できる。
請求項3の発明によれば、特定の用紙の性質と関連する性質を有する用紙に画像が形成される処理において生じた不具合をユーザに知らせることができる。
請求項4の発明によれば、特定の用紙の性質と関連する性質を有する用紙に画像が形成される処理において生じた不具合をユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態による関係特定システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成を示した図である。
【
図3】画像形成装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図5】関係特定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図6】設定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図7】不具合通知処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態による関係特定システム1の全体構成例を示す図である。本実施形態の関係特定システム1は、一の用紙と、この一の用紙とは異なる他の用紙との関係を特定するシステムである。一の用紙と他の用紙との関係としては、例えば、一の用紙と他の用紙とが同一の銘柄である関係、一の用紙の性質と他の用紙の性質とが類似する関係、一の用紙の性質と他の用紙の性質とが類似しない関係等が挙げられる。また、一の用紙と他の用紙とが同一の銘柄である関係は、言い換えると、一の用紙の性質と他の用紙の性質とが同一である関係である。
画像形成システムの一例としての関係特定システム1は、画像形成装置10と、センサ20とを備える。画像形成装置10とセンサ20とは、ネットワークを介して接続されている。
【0009】
画像形成装置10は、用紙に対して画像を形成する。画像形成装置10は、トナーを用紙に転写することで画像を形成する所謂電子写真方式のものであってもよいし、インクを用紙に吐出することで画像を形成する所謂インクジェット方式のものであってもよい。また、画像形成装置10により画像が形成される対象の用紙は、各ページが用紙の搬送方向に連続して形成される連続紙であってもよいし、カット紙であってもよい。
また、画像形成装置10には、用紙を収容する収容部10Tが設けられている。
【0010】
センサ20は、用紙の性質を検出する。本実施形態の関係特定システム1には、4つのセンサ20が設けられている。より具体的には、関係特定システム1には、赤外線センサ20aと、電気センサ20bと、色センサ20cと、構成センサ20dとが設けられている。本実施形態では、赤外線センサ20a、電気センサ20b、色センサ20c、および構成センサ20dは、何れも、画像形成装置10の収容部10Tの内部に取り付けられている。
なお、赤外線センサ20a、電気センサ20b、色センサ20c、および構成センサ20dを、特に区別することなく説明する場合、単にセンサ20と称することがある。
【0011】
赤外線センサ20aは、用紙に赤外線を照射することに基づいてこの用紙の性質を検出するセンサである。赤外線センサ20aは、用紙に赤外線を照射した場合にこの用紙を介して出射された赤外線を受光し、受光した赤外線から、用紙の性質を検出する。用紙を介して出射された赤外線としては、例えば、用紙に反射された赤外線、用紙を透過した赤外線、用紙が赤外線を吸収したことにより放射した赤外線等が挙げられる。
【0012】
赤外線センサ20aは、用紙に赤外線を照射することに基づき、主に用紙の化学的な性質を検出する。用紙の化学的な性質としては、例えば、用紙の含水率、用紙に配合されている材料等が挙げられる。用紙に配合されている材料は、用紙に添加される添加剤であってもよい。添加剤としては、例えば、サイズ剤、填料、染料、増強剤等が挙げられる。サイズ剤は、用紙に付着するインクのにじみを抑制するために用いられる添加剤である。また、填料は、用紙における繊維と繊維との間を埋めるために用いられる添加剤である。また、増強剤は、紙の強度を高めるために用いられる添加剤である。
用紙に水分や添加剤が含まれていると、この水分や添加剤が赤外線を吸収する場合に、この吸収の分だけ、用紙から赤外線が反射されにくくなる。そこで、本実施形態の赤外線センサ20aは、用紙から反射される赤外線から、用紙の含水率や、用紙に配合されている材料等を検出する。
【0013】
赤外線センサ20aとしては、近赤外線センサが用いられてもよいし、中赤外線センサが用いられてもよいし、遠赤外線センサが用いられてもよい。近赤外線センサとしては、例えば、780nm以上2500nm未満の範囲の波長からなる電磁波を受光するものが挙げられる。また、中赤外線センサとしては、例えば、2500nm(2.5μm)以上25000nm(25μm)未満の範囲の波長からなる電磁波を受光するものが挙げられる。また、遠赤外線センサとしては、例えば、25μm以上1000μm以下の範囲の波長からなる電磁波を受光するものが挙げられる。
本実施形態では、赤外線センサ20aとして、近赤外線センサが用いられる。
【0014】
電気センサ20bは、電気抵抗に基づいて用紙の性質を検出するセンサである。より具体的には、電気センサ20bには変形可能な変形部材が設けられており、電気センサ20bは、この変形部材に接続された用紙の変位に伴って変形部材が変位した場合における変形部材の電気抵抗の変化から、用紙の性質を検出する。電気センサ20bとしては、例えば、ひずみを検出するひずみセンサ、圧力を検出する圧力センサ等が挙げられる。また、変形部材としては、例えば、金属、半導体等が挙げられる。
【0015】
電気センサ20bは、電気抵抗に基づき、主に用紙の物理的な性質を検出する。用紙の物理的な性質としては、用紙の剛性、用紙における塗料等が挙げられる。用紙における塗料としては、用紙に塗料が塗布されているか否かや、用紙に塗料が塗られた量等が挙げられる。
用紙の剛性や、用紙における塗料によって、用紙の変位のしやすさが異なる。そこで、本実施形態の電気センサ20bは、電気抵抗に基づいて、用紙の剛性や、用紙における塗料を検出する。
【0016】
色センサ20cは、用紙の色に関する性質を検出するセンサである。用紙の色に関する性質としては、例えば、用紙の色、用紙の明度等が挙げられる。
色センサ20cとしては、例えば、イメージセンサや、光を受光すると電流を発生させる素子等が挙げられる。光を受光すると電流を発生させる素子としては、例えば、ダイオード、トランジスタ等が挙げられる。本実施形態では、色センサ20cとして、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0017】
構成センサ20dは、用紙の構成を検出するセンサである。用紙の構成としては、例えば、用紙の表面の平滑度、用紙における繊維と繊維との間に含まれる空隙の量、用紙の坪量、用紙の厚さ、用紙の表面の粗さ等が挙げられる。
構成センサ20dとしては、例えば、イメージセンサが挙げられる。本実施形態では、構成センサ20dとして、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0018】
なお、関係特定システム1に用いられるセンサ20は、上記の4つのセンサ20に限られない。
例えば、電気センサ20bに代えて、超音波センサが用いられてもよい。超音波センサは、用紙に超音波を発信することに基づいてこの用紙の性質を検出するセンサである。超音波センサは、用紙に超音波を発信した場合にこの用紙から反射される音波を受信し、受信した音波から、用紙の性質を検出する。
超音波センサは、用紙に超音波を発信することに基づき、主に用紙の物理的な性質を検出する。用紙の物理的な性質としては、用紙の剛性、用紙における塗料等が挙げられる。用紙の剛性や、用紙における塗料によって、超音波が用紙を伝播する速度が異なる。そこで、本実施形態の超音波センサは、用紙に超音波を発信してから用紙から反射される音波を受信するまでの時間に基づいて、用紙の剛性や、用紙における塗料を検出する。
また、関係特定システム1には、電気センサ20bおよび超音波センサが何れも設けられてもよい。
【0019】
本実施形態では、画像形成装置10に、用紙の銘柄ごとに用紙の性質の情報が記憶されている。なお、画像形成装置10に情報が記憶されている用紙を、以下では、記憶用紙と称することがある。また、センサ20は、特定の用紙の性質を検出すると、検出の結果を、画像形成装置10に送信する。この場合に、関係特定システム1に設けられているセンサ20の各々が、特定の用紙の性質を検出し、検出の結果を画像形成装置10に送信する。そして、画像形成装置10は、送信された検出の結果と、記憶用紙の性質とを比較することにより、性質がセンサ20に検出された特定の用紙と、記憶用紙との関係を特定する。さらに、画像形成装置10は、特定した関係を示す情報を出力する。
なお、記憶用紙との関係を特定する対象の用紙を、以下では、対象用紙と称することがある。
【0020】
<画像形成装置の構成>
次に、画像形成装置10のハードウェア構成について説明する。
図2は、画像形成装置10のハードウェア構成を示した図である。
画像形成装置10は、プログラムの実行を通じて画像形成装置10の動作を制御するプロセッサ11と、プロセッサ11が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶装置12と、ユーザの操作を受け付ける操作受付装置13とを有する。また、画像形成装置10は、画像を表示する表示装置14と、画像を読み取る画像読取部15と、画像を形成する画像形成部16と、画像形成装置10とセンサ20との通信を実現するネットワークIF(=InterFace)17とを有する。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等の信号線18で接続されている。
【0021】
プロセッサ11は、例えばCPUで構成される。プロセッサ11が記憶装置12に記憶されているプログラムに基づく処理を実行することで、各種の機能が実現される。ここで、プロセッサ11およびセンサ20は、情報処理装置として捉えられる。
記憶装置12は、例えばBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROMと、ワークエリアとして用いられるRAMと、基本プログラムやアプリケーションプログラム等が記憶されたハードディスク装置で構成される。もっとも、ROMやRAMがプロセッサ11の一部に含まれることを妨げない。
【0022】
操作受付装置13は、例えば、キーボード、マウス、機械式のボタン、スイッチ等である。また、操作受付装置13として、表示装置14と一体的にタッチパネルを構成するタッチセンサが用いられてもよい。
表示装置14は、情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。
【0023】
画像読取部15は、用紙に記録された画像を読み取る。画像読取部15としては、例えばスキャナが用いられる。スキャナとしては、例えば、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式のものが用いられる。また、スキャナとしては、例えば、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものが用いられてもよい。
画像形成部16は、用紙に画像を形成する。画像形成部16としては、例えば、プリンタが用いられる。
【0024】
<画像形成装置の機能構成>
次に、画像形成装置10の機能構成について説明する。
図3は、画像形成装置10の機能構成例を示したブロック図である。
図3においては、プロセッサ11がアプリケーションプログラムの実行を通じて実現する機能の一部が示されている。
画像形成装置10は、受付部101と、指示部102と、取得部103と、記憶部104と、算出部105と、特定部106と、設定部107と、不具合通知決定部108と、出力部109とを備える。
【0025】
受付部101は、ユーザからの依頼を受け付ける。ユーザからの依頼としては、例えば、対象用紙と記憶用紙との関係を特定することの依頼、対象用紙を用いた印刷の条件を設定することの依頼、対象用紙に関連する記憶用紙を用いた印刷における不具合を通知することの依頼等が挙げられる。受付部101は、ユーザからの依頼を受け付けると、依頼があったことを、指示部102に通知する。
指示部102は、対象用紙の性質を検出することを、関係特定システム1に設けられているセンサ20の各々に指示する。指示部102は、ユーザからの依頼があったことを受付部101から通知されると、各センサ20に対して、指示を行う。
【0026】
取得部103は、対象用紙の性質のセンサ20による検出の結果を、関係特定システム1に設けられている各センサ20から取得する。また、一のセンサ20が対象用紙の複数の性質を検出する場合、取得部103は、検出の対象である性質ごとに、検出の結果を取得する。
記憶部104は、記憶用紙の性質等、記憶用紙に関する情報を記憶する。記憶部104に記憶されている内容については、後に詳述する。
【0027】
算出部105は、対象用紙の性質と、記憶用紙の性質との関係についての指標を算出する。
算出部105は、対象用紙の性質のセンサ20による検出の結果と、記憶部104に記憶されている記憶用紙の性質との差を算出する。本実施形態では、センサ20により検出された対象用紙の性質や、記憶部104に記憶されている記憶用紙の性質が、数値として特定される。用紙の性質について特定される値は、センサ20が検出した値であってもよし、センサ20が検出した値に基づいて算出部105に加工された値であってもよい。算出部105は、対象用紙の性質のセンサ20による検出の結果と、記憶部104に記憶されている記憶用紙の性質との差として、ユークリッド距離を算出する。ユークリッド距離nは、下記式(1)により算出される。
【式1】
【0028】
【0029】
上式(1)において、pは、対象用紙の性質について特定された値であり、qは、記憶用紙の性質について特定された値である。また、aは、用紙の性質の種類ごとに定められる係数であり、iは、用紙の性質の種類を識別する番号である。すなわち、算出部105は、用紙の性質の種類ごとに、対象用紙の性質と記憶用紙の性質との差を算出し、性質の種類ごとの差に基づいてユークリッド距離nを算出する。特に、本実施形態では、関係特定システム1に設けられているセンサ20に検出された性質ごとに、対象用紙の性質と記憶用紙の性質との差を算出し、性質ごとの差に基づいてユークリッド距離nを算出する。
【0030】
また、算出部105は、ユークリッド距離nを算出すると、算出したユークリッド距離nの長さであるノルム値を算出する。算出部105は、記憶部104に用紙の性質が記憶されている記憶用紙ごとに、対象用紙と記憶用紙との関係についてのユークリッド距離nおよびノルム値を算出する。
ここで、上式(1)から、対象用紙の性質について特定された値と、記憶用紙の性質について特定された値との差が大きいほど、ユークリッド距離nおよびノルム値が大きくなる。言い換えると、対象用紙の性質と記憶用紙の性質との違いが大きいほど、ユークリッド距離nおよびノルム値が大きくなる。
算出部105は、算出したノルム値を、このノルム値の対象である対象用紙および記憶用紙に関連付けて、記憶部104に記憶させる。
【0031】
特定部106は、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する。より具体的には、特定部106は、算出部105に算出されたノルム値から、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する。
本実施形態の特定部106は、同一閾値および類似閾値を用いて、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する。
【0032】
同一閾値は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが同一であると特定するために用いられる閾値である。同一閾値は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが同一であると判断される閾値として定められる。本実施形態では、算出部105に算出されたノルム値が同一閾値以下である場合、特定部106は、このノルム値が関連付けられた対象用紙と記憶用紙とは性質が同一であると特定する。
類似閾値は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似すると特定するために用いられる閾値である。類似閾値は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似すると判断される閾値として定められる。また、類似閾値は、同一閾値よりも大きい値である。本実施形態では、算出部105に算出されたノルム値が同一閾値よりも大きい値であって類似閾値以下である場合、特定部106は、このノルム値が関連付けられた対象用紙と記憶用紙とは性質が類似すると特定する。また、ノルム値が類似閾値よりも大きい場合、特定部106は、このノルム値が関連付けられた対象用紙と記憶用紙とは性質が類似しないと特定する。
【0033】
特定部106は、記憶用紙ごとに、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する。そして、特定した関係を、この関係の対象である対象用紙および記憶用紙に関連付けて、記憶部104に記憶させる。
【0034】
設定部107は、対象用紙を用いた印刷の条件を設定する。印刷の条件としては、例えば、対象用紙に形成される画像の濃度等が挙げられる。
設定部107は、対象用紙を用いた印刷の条件を設定することの依頼があったことを受付部101から通知されると、印刷の条件を設定する。より具体的には、設定部107は、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙のうちの、最も小さいノルム値が関連付けられた記憶用紙に設定されていた印刷の条件を、対象用紙を用いた印刷の条件に設定する。
【0035】
不具合通知決定部108は、記憶用紙を用いた印刷が行われたときに発生した不具合の通知を決定する。
不具合通知決定部108は、対象用紙に関連する記憶用紙を用いた印刷における不具合を通知することの依頼があったことを受付部101から通知されると、不具合の通知を決定する。より具体的には、不具合通知決定部108は、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙のうちの、最も小さいノルム値が関連付けられた記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合の通知を決定する。
出力部109は、情報を出力する。より具体的には、出力部109は、特定部106に特定された結果、設定部107に設定された内容、不具合通知決定部108に決定された通知の内容等の情報を、画像形成装置10の表示装置14に出力する。
【0036】
<記憶部の記憶内容>
次に、記憶部104に記憶されている情報の内容について説明する。
図4は、用紙管理テーブルを示した図である。用紙管理テーブルは、記憶用紙を管理するためのテーブルである。用紙管理テーブルは、記憶部104に記憶されている。
用紙管理テーブルでは、「銘柄」に、記憶用紙の銘柄が示されている。
また、用紙管理テーブルでは、「メーカ名」に、記憶用紙のメーカの名称が示されている。
【0037】
また、用紙管理テーブルでは、「種類」に、記憶用紙の種類が示されている。
また、用紙管理テーブルでは、「項目」に、記憶用紙の「種類」について区分けされた項目が示されている。
また、用紙管理テーブルでは、「坪量」に、記憶用紙の坪量が示されている。
また、用紙管理テーブルでは、「濃度」に、記憶用紙に形成された画像の濃度が示されている。この「濃度」は、記憶用紙を用いた印刷において設定されていた印刷の条件としての画像の濃度である。
【0038】
また、用紙管理テーブルでは、「裏抜け」に、記憶用紙に画像が形成された場合において、記憶用紙のうちの画像が形成された面とは反対側の面に浸透した画像の濃度が示されている。この「裏抜け」は、「濃度」が設定された条件による印刷において発生した結果である。
【0039】
また、用紙管理テーブルでは、「不具合」に、記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合の情報が示されている。
「不具合」の一例を説明する。「A」の記憶用紙には、「不具合」として「2020年3月15日紙しわ」が示されている。これは、2020年3月15日に「A」の記憶用紙を用いた印刷が行われたときに、この「A」の記憶用紙にしわが生じる不具合が発生したことを意味する。
【0040】
関係特定システム1の管理者は、記憶用紙ごとに、用紙管理テーブルに、「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」、「不具合」を入力する。また、一の記憶用紙について、印刷の際の不具合が複数回発生した場合には、各不具合の情報を、対象の「不具合」に入力する。
なお、図示を省略するが、用紙管理テーブルには、用紙の性質として、「種類」、「項目」、「坪量」とは異なる他の性質の情報も記憶されている。特に、本実施形態では、用紙管理テーブルには、記憶用紙ごとに、関係特定システム1に設けられている各センサ20に検出される性質の情報が記憶されている。
【0041】
<関係特定処理>
次に、関係特定処理について説明する。関係特定処理は、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する処理である。関係特定処理は、関係特定システム1により行われる。
図5は、関係特定処理の流れを示したフローチャートである。
受付部101は、対象用紙と記憶用紙との関係を特定することのユーザによる依頼があったか否かを判定する(ステップ(以下、単に「S」と称することがある)101)。一例を挙げると、受付部101は、操作受付装置13を介して、対象用紙と記憶用紙との関係を特定することを依頼するための操作が行われたか否かにより、上記の判定を行う。否定結果が継続する間、受付部101は、ステップ101の判定を繰り返す。
【0042】
一方、関係を特定することの依頼があった場合(S101にてYES)、次のステップに進む。
関係特定システム1に設けられている各センサ20は、指示部102による指示を受けて、対象用紙の性質を検出する(S102)。本実施形態では、センサ20は、画像形成装置10の収容部10Tに収容されている用紙の性質を、対象用紙の性質として検出する。センサ20は、対象用紙の性質を検出すると、検出の結果を、取得部103に送信する。
取得部103は、センサ20から送信された検出の結果を取得する(S103)。
【0043】
算出部105は、センサ20に検出された対象用紙の性質と、記憶部104に記憶されている記憶用紙の性質とから、対象用紙と記憶用紙とについてのユークリッド距離nおよびノルム値を算出する(S104)。算出部105は、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙ごとに、ユークリッド距離nおよびノルム値を算出する。
特定部106は、算出部105に算出された結果から、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する(S105)。より具体的には、特定部106は、対象用紙と記憶用紙との関係として、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが同一であるか、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似するか、および、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似しないかの何れかの関係を特定する。また、特定部106は、記憶用紙ごとに、対象用紙と記憶用紙との関係を特定する。
【0044】
出力部109は、特定部106に特定された結果等の情報を、画像形成装置10の表示装置14に出力する。より具体的には、出力部109は、特定部106に特定された関係を示す情報、および、対象用紙との関係が特定された記憶用紙について記憶部104に記憶されている情報を、表示装置14に出力する。
【0045】
なお、本実施形態の関係特定システム1は、対象用紙の性質について複数のセンサ20により検出された結果から、対象用紙と記憶用紙との関係を特定しているが、これに限定されない。
関係特定システム1には、上述したセンサ20のうちの少なくとも一つのセンサ20が設けられればよい。そして、関係特定システム1は、関係特定システム1に設けられている少なくとも一つのセンサ20により検出された対象用紙の性質と、記憶用紙の性質とから、対象用紙と記憶用紙との関係を特定すればよい。
また、関係特定システム1には、色センサ20cと構成センサ20dとがそれぞれ設けられているが、これに限定されない。一つのセンサ20が、用紙の色を検出するとともに、用紙の構成を検出してもよい。
【0046】
<設定処理>
次に、設定処理について説明する。設定処理は、対象用紙を用いた印刷の条件を設定する処理である。設定処理は、関係特定システム1により行われる。
図6は、設定処理の流れを示したフローチャートである。
受付部101は、対象用紙を用いた印刷の条件を設定することのユーザによる依頼があったか否かを判定する(S201)。一例を挙げると、受付部101は、操作受付装置13を介して、印刷の条件を設定することを依頼するための操作が行われたか否かにより、上記の判定を行う。否定結果が継続する間、受付部101は、ステップ201の判定を繰り返す。
【0047】
一方、条件を設定することの依頼があった場合(S201にてYES)、次のステップに進む。
ステップ202乃至ステップ204では、関係特定処理(
図5参照)のステップ102乃至ステップ104と同じ処理が行われる。なお、設定処理が行われる前に関係特定処理が行われている場合、記憶用紙ごとのノルム値が既に算出部105に算出されている。この場合、ステップ202乃至ステップ204の処理が省略されてもよい。
【0048】
設定部107は、記憶用紙ごとのノルム値のうちの、類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在するか否かを判定する(S205)。類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在しない場合(S205にてNO)、設定処理が終了する。
【0049】
一方、類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在する場合(S205にてYES)、設定部107は、最も小さいノルム値が関連付けられた記憶用紙を抽出する。なお、最も小さいノルム値が関連付けられた記憶用紙を、以下では、関連用紙と称することがある。さらに、設定部107は、関連用紙に設定されていた印刷の条件を、対象用紙を用いた印刷の条件に設定する(S206)。より具体的には、設定部107は、関連用紙を用いた印刷の条件として記憶部104に記憶されていた内容を、対象用紙を用いた印刷の条件に設定する。
出力部109は、設定部107に設定された内容を示す情報を、画像形成装置10の表示装置14に出力する(S207)。
【0050】
<不具合通知処理>
次に、不具合通知処理について説明する。不具合通知処理は、記憶用紙を用いた印刷が行われたときに発生した不具合を通知する処理である。不具合通知処理は、関係特定システム1により行われる。
図7は、不具合通知処理の流れを示したフローチャートである。
受付部101は、対象用紙に関連する記憶用紙の印刷において発生した不具合を通知することのユーザによる依頼があったか否かを判定する(S301)。一例を挙げると、受付部101は、操作受付装置13を介して、不具合を通知することを依頼するための操作が行われたか否かにより、上記の判定を行う。否定結果が継続する間、受付部101は、ステップ301の判定を繰り返す。
【0051】
一方、不具合を通知することの依頼があった場合(S301にてYES)、次のステップに進む。
ステップ302乃至ステップ304では、関係特定処理(
図5参照)のステップ102乃至ステップ104と同じ処理が行われる。なお、不具合通知処理が行われる前に関係特定処理が行われている場合、記憶用紙ごとのノルム値が既に算出部105に算出されている。この場合、ステップ302乃至ステップ304の処理が省略されてもよい。
【0052】
不具合通知決定部108は、記憶用紙ごとのノルム値のうちの、類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在するか否かを判定する(S305)。類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在しない場合(S305にてNO)、不具合通知処理が終了する。
一方、類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙が存在する場合(S305にてYES)、不具合通知決定部108は、関連用紙を抽出する。さらに、不具合通知決定部108は、関連用紙が通知条件を満たすか否かを判定する(S306)。通知条件は、印刷において発生した不具合を通知するか否かを判定するために定められた条件である。通知条件は、不具合が発生した原因が記憶用紙に起因するか否かを判定する観点から定められている。また、本実施形態では、通知条件は、直近一年間における印刷において不具合が予め定められた回数以上発生していることが定められている。予め定められた回数は、何れの回数であってもよいが、例えば、3回である。不具合通知決定部108は、用紙管理テーブル(
図4参照)における関連用紙の「不具合」を参照することで、関連用紙が通知条件を満たすか否かを判定する。
【0053】
関連用紙が通知条件を満たさない場合(S306にてNO)、不具合通知処理が終了する。この場合、印刷において発生した不具合の通知は行われない。
また、関連用紙が通知条件を満たす場合(S306にてYES)、不具合通知決定部108は、関連用紙の印刷において発生した不具合を通知することを決定する。この場合、出力部109は、関連用紙の印刷において発生した不具合を示す情報を、画像形成装置10の表示装置14に出力する(S307)。
【0054】
<情報の出力例>
次に、画像形成装置10の表示装置14に出力される情報の例について説明する。
図8は、特定画面40の一例を示した図である。特定画面40は、対象用紙と記憶用紙との関係について特定部106に特定された結果を示す画面である。本実施形態では、関係特定処理(
図5参照)が行われると、特定画面40が表示装置14に表示される。
特定画面40には、特定画面説明部41と、情報表示部42と、設定依頼部43と、通知依頼部44とが示されている。
【0055】
特定画面説明部41には、特定画面40を説明する情報が示されている。図示の例では、特定画面説明部41には、対象用紙と記憶用紙との関係が特定画面40に表示されていることを説明する「対象用紙と記憶用紙との関係は、以下の通りです。」のテキストが示されている。
【0056】
情報表示部42には、記憶用紙に関する情報が示されている。本実施形態の情報表示部42には、記憶用紙ごとに、「順位」、「関係」、「ノルム値」、「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」が示されている。
「順位」には、「ノルム値」が小さい順に定められた順番が示されている。
「関係」には、特定部106に特定された対象用紙と記憶用紙との関係が示されている。「関係」に示された「同一」は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが同一であると特定部106に特定されたことを意味する。また、「関係」に示された「類似」は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似すると特定部106に特定されたことを意味する。また、「関係」に示された「非類似」は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが類似しないと特定部106に特定されたことを意味する。
【0057】
また、「ノルム値」には、対象用紙と記憶用紙との関係について算出部105に算出されたノルム値が示されている。
また、「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」には、用紙管理テーブル(
図4参照)に記憶されている「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」が示されている。
なお、情報表示部42に表示される情報は、図示の例に限定されない。情報表示部42には、関係特定システム1に検出される対象の性質について記憶部104に記憶されている情報が、記憶用紙ごとに示されてもよい。
【0058】
また、ユーザが、設定依頼部43を選択すると、関係特定システム1による設定処理(
図6参照)が行われる。そして、設定処理が行われると、画像形成装置10の表示装置14には、
図9に示すように、設定画面50が表示される。設定画面50は、対象用紙に設定される印刷の条件を示す画面である。
設定画面50には、設定画面説明部51と、条件表示部52と、採用用紙表示部53と、決定部54と、否定部55と、変更部56とが示されている。
【0059】
設定画面説明部51には、設定画面50を説明する情報が示されている。図示の例では、設定画面説明部51には、対象用紙の印刷の条件が設定画面50に示された内容に設定されることを説明する「対象用紙の印刷条件を以下の通りに設定します。よろしいですか?」のテキストが示されている。
条件表示部52には、対象用紙について設定される印刷の条件が示されている。条件表示部52に示された内容は、設定処理(
図6参照)において設定部107に設定された内容である。図示の例では、条件表示部52には、「印刷条件:印字濃度「0.98」」のテキストが示されている。
【0060】
採用用紙表示部53には、記憶用紙に関する情報が示されている。採用用紙表示部53に情報が表示される対象の記憶用紙は、対象用紙を用いた印刷の条件として採用された条件が設定されていた記憶用紙である。本実施形態では、採用用紙表示部53には、関連用紙に関する情報が示される。また、採用用紙表示部53には、特定画面40(
図8参照)の情報表示部42に表示されていた情報のうちの、関連用紙についての「関係」、「ノルム値」、「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」が示されている。
【0061】
ここで、ユーザが、決定部54を選択すると、条件表示部52に示されている内容が、対象用紙の印刷の条件として決定される。
また、ユーザが、否定部55を選択すると、対象用紙の印刷の条件の設定が取り消される。
また、ユーザが、変更部56を選択すると、対象用紙の印刷の条件として適用する対象の記憶用紙を変更する。図示を省略するが、変更部56が選択された場合、例えば、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙のうちの何れかを選択可能な画面が表示装置14に表示されてもよい。そして、ユーザが、何れかの記憶用紙を選択すると、選択された記憶用紙を用いた印刷において設定されていた条件が、対象用紙の印刷の条件として設定されてもよい。
【0062】
また、特定画面40(
図8参照)において、ユーザが、通知依頼部44を選択すると、関係特定システム1による不具合通知処理が行われる。そして、不具合通知処理が行われると、画像形成装置10の表示装置14には、
図10に示すように、不具合通知画面60が表示される。不具合通知画面60は、対象用紙に関連する記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合をユーザに通知するための画面である。
不具合通知画面60には、不具合説明部61と、不具合表示部62とが示されている。
【0063】
不具合説明部61には、不具合通知画面60を説明する情報が示されている。図示の例では、不具合説明部61には、記憶用紙に関する不具合の情報が不具合通知画面60に表示されることを説明する「対象用紙との類似度が最も高い用紙の不具合履歴は、以下の通りです。」のテキストが示されている。
不具合表示部62には、記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合の内容が示されている。不具合表示部62にて不具合の内容が示される対象の記憶用紙は、不具合通知処理(
図7参照)において不具合の通知が不具合通知決定部108に決定された記憶用紙である。本実施形態では、不具合表示部62には、関連用紙の印刷において発生した不具合の内容が示されている。不具合表示部62の「不具合発生日」には、関連用紙の印刷において不具合が発生した日にちが示されている。また、不具合表示部62の「不具合内容」は、関連用紙の印刷において発生した不具合の内容が示されている。
【0064】
なお、関連用紙が通知条件を満たさない(
図7のS306にてNO)ことにより不具合の通知が行われない場合、出力部109は、不具合の通知をしないことを示す情報を、不具合を通知しない理由を示す情報とともに、表示装置14に出力してもよい。一例を挙げると、出力部109は、表示装置14に、不具合を通知しないことおよび不具合を通知しない理由を含む「類似度が最も高い用紙では不具合の発生頻度が少ないため、不具合を通知しません」等のテキストを表示してもよい。
【0065】
以上の通り、本実施形態では、センサ20は、対象用紙の性質を検出する。また、プロセッサ11は、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙に関する情報を出力する。そして、センサ20には、少なくとも、用紙に赤外線を照射することに基づき性質を検出する赤外線センサ20a、または、電気抵抗に基づき性質を検出する電気センサ20bが含まれる。
ここで、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす用紙としては、例えば、対象用紙との関係についてユークリッド距離nやノルム値が算出された記憶用紙が挙げられる。また、記憶用紙に関する情報としては、例えば、記憶用紙について特定画面40の情報表示部42に示された「順位」、「関係」、「ノルム値」、「銘柄」、「メーカ名」、「種類」、「項目」、「坪量」、「濃度」、「裏抜け」等の情報が挙げられる。また、記憶用紙に関する情報としては、設定画面50の条件表示部52に表示されている、記憶用紙について設定されていた印刷の条件の情報等が挙げられる。また、記憶用紙に関する情報としては、不具合通知画面60の不具合表示部62に表示されている、記憶用紙を用いた印刷において生じた不具合の情報等が挙げられる。すなわち、記憶用紙に関する情報は、記憶用紙に関する情報として記憶部104に記憶されている情報であれば、何れの情報であってもよい。
【0066】
なお、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙は、上記の例に限定されない。
例えば、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙は、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙のうちの、予め定められた値以下であるノルム値が関連付けられた記憶用紙であってもよい。また、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙は、記憶部104に情報が記憶されている記憶用紙のうちの、ノルム値が小さい順から予め定められた順番以内に該当する記憶用紙であってもよい。また、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件は、算出部105に算出されたユークリッド距離nに基づいて定められてもよい。すなわち、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質との関係について算出部105に算出された指標に基づく条件を満たす記憶用紙であればよい。なお、算出部105に算出された指標に基づく条件を満たす記憶用紙は、上述した、対象用紙との関係についてユークリッド距離nやノルム値が算出された記憶用紙も含まれる。
【0067】
また、算出部105は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質との差に基づく指標のみならず、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが一致することに関する指標を算出してもよい。そして、算出されたこの指標に基づく条件を満たす記憶用紙を、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙としてもよい。対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが一致することに関する指標に基づく条件を満たす記憶用紙としては、例えば、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが一致することに関する指標が算出された記憶用紙であってもよい。また、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが一致することに関する指標に基づく条件を満たす記憶用紙としては、例えば、対象用紙の性質と記憶用紙の性質とが一致することに関する指標が予め定められた数値の範囲に該当する記憶用紙であってもよい。
【0068】
また、本実施形態では、センサ20には、用紙に超音波を発信することに基づき性質を検出する超音波センサまたは電気センサ20bと、赤外線センサ20aとが含まれる。そして、プロセッサ11は、超音波センサまたは電気センサ20bに検出された性質および赤外線センサ20aに検出された性質との関係について条件を満たす記憶用紙に関する情報を出力する。
特に、本実施形態では、超音波センサまたは電気センサ20bは、用紙の物理的な性質を検出する。また、赤外線センサ20aは、用紙の化学的な性質を検出する。
【0069】
また、本実施形態では、センサ20には、用紙の色または用紙の明度を検出する色センサ20cがさらに含まれる。そして、プロセッサ11は、赤外線センサ20aまたは電気センサ20bに検出された性質および色センサ20cに検出された色または明度との関係について条件を満たす記憶用紙に関する情報を出力する。
【0070】
また、本実施形態では、算出部105は、対象用紙の性質と記憶用紙の性質と違いに基づいて、ノルム値を算出している。また、本実施形態では、上述の通り、算出されたノルム値について定められた条件を満たす記憶用紙に関する情報が出力される。すなわち、記憶用紙に関する情報として出力部109に出力される情報は、センサ20に検出された性質と、条件を満たす記憶用紙の性質との違いに基づく情報である。
特に、本実施形態では、違いに基づく情報は、センサ20に検出された性質について特定された値と、センサ20に検出された性質との関係を満たす記憶用紙の性質について特定された値との差に基づく情報である。
【0071】
なお、本実施形態では、センサ20に検出された性質について特定された値と、センサ20に検出された性質との関係を満たす記憶用紙の性質について特定された値との差に基づく情報が、ユークリッド距離nやノルム値であることを説明したが、これに限定されない。
算出部105は、対象用紙の性質について特定された値に対して、記憶用紙の性質について特定された値を減算して得られる減算値を算出してもよい。そして、特定部106は、算出部105に算出された減算値と、同一閾値や類似閾値とを比較することにより、対象用紙と記憶用紙との関係を特定してもよい。さらに、出力部109は、減算値を算出した記憶用紙に関する情報を出力してもよい。すなわち、センサ20に検出された性質について特定された値と、センサ20に検出された性質との関係を満たす記憶用紙の性質について特定された値との差に基づく情報は、上記の減算値に基づく情報であってもよい。
【0072】
また、本実施形態では、記憶用紙に関する情報は、センサ20に検出された性質との関係を満たす記憶用紙に画像が形成される処理において生じた不具合の情報である。
また、プロセッサ11は、記憶用紙に画像が形成される処理において生じた不具合について定められた条件を満たさない場合、不具合の情報を出力しない。不具合について定められた条件としては、例えば、上述した通知条件(
図7参照)が挙げられる。
【0073】
なお、本実施形態では、直近一年間における印刷において不具合が予め定められた回数以上発生していることが通知条件であることを説明したが、通知条件は、上記の条件に限定されない。
通知条件は、例えば、不具合が生じた期間に関わらず、印刷において不具合が予め定められた回数以上発生していることであってもよい。また、通知条件は、印刷において予め定められた不具合が発生していることであってもよい。予め定められた不具合は、何れの不具合であってもよいが、例えば、定着不良等である。
すなわち、通知条件は、印刷における不具合に関するものであれば、何れの条件が定められてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、対象用紙を用いた印刷の条件に適用する記憶用紙や、不具合を通知する対象の記憶用紙を、最も小さいノルム値が関連付けられた記憶用紙にしているが、これに限定されない。
プロセッサ11は、対象用紙の印刷の条件に適用する記憶用紙の候補や、不具合を通知する対象の記憶用紙の候補として、複数の記憶用紙を挙げてもよい。一例を挙げると、プロセッサ11は、同一閾値以下であるノルム値が関連付けられた全ての記憶用紙や、類似閾値以下であるノルム値が関連付けられた全て記憶用紙を、対象用紙の印刷の条件に適用する記憶用紙の候補や、不具合を通知する対象の記憶用紙の候補として挙げてもよい。また、プロセッサ11は、予め定められた値以下であるノルム値が関連付けられた全ての記憶用紙や、ノルム値が小さい順から予め定められた順番以内に該当する全ての記憶用紙を、対象用紙の印刷の条件に適用する記憶用紙の候補や、不具合を通知する対象の記憶用紙の候補として挙げてもよい。さらに、プロセッサ11は、候補として挙げた記憶用紙の各々を示す情報を、候補として挙げた記憶用紙の何れかをユーザが選択可能な態様により表示装置14に表示させてもよい。そして、ユーザが何れかの記憶用紙を選択すると、プロセッサ11は、選択された記憶用紙に設定されていた印刷の条件を、対象用紙の印刷の条件に設定してもよい。また、プロセッサ11は、選択された記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合の情報を、対象用紙に関連する記憶用紙を用いた印刷において発生した不具合の情報として、表示装置14に表示させてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、画像形成装置10の収容部10Tにセンサ20が設けられることを説明したが、これに限定されない。
センサ20は、画像形成装置10における用紙の搬送経路に設けられてもよい。一例を挙げると、収容部10Tよりも用紙の搬送方向における下流側であって、画像形成部16により用紙に画像が形成される領域よりも用紙の搬送方向における上流側に、センサ20が設けられてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、画像形成装置10が、対象用紙と記憶用紙との関係を特定しているが、対象用紙と記憶用紙との関係の特定に用いられる装置は、画像形成装置10に限定されない。
画像形成装置10とは異なる装置であって、プロセッサ11を有する装置が、センサ20に検出された結果を用いて、対象用紙と記憶用紙との関係を特定してもよい。そして、この装置が、センサ20に検出された性質との関係について定められた条件を満たす記憶用紙に関する情報を出力してもよい。プロセッサ11を有する装置としては、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット型情報端末等が挙げられる。ここで、プロセッサ11を有する装置およびセンサ20も、情報処理装置として捉えられる。
【0077】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphical Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0079】
1…関係特定システム、10…画像形成装置、11…プロセッサ、14…表示装置、20…センサ、20a…赤外線センサ、20b…電気センサ、20c…色センサ、20d…構成センサ、40…特定画面、50…設定画面、60…不具合通知画面