(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】支持部品及びこれを用いた筐体構造、備品
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20250624BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250624BHJP
B41J 29/06 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
H05K5/02 B
G03G15/00 550
B41J29/06
(21)【出願番号】P 2021055146
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】駿河 美咲
(72)【発明者】
【氏名】千葉 直人
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-109213(JP,U)
【文献】米国特許第04202083(US,A)
【文献】実開昭52-120458(JP,U)
【文献】登録実用新案第3041854(JP,U)
【文献】実開平01-019504(JP,U)
【文献】米国特許第02828578(US,A)
【文献】特開2019-216842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G03G 15/00
B41J 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に延びるロッドの少なくとも上部側に雄ねじ部を有し、前記ロッドの下端部に当該ロッドよりも外径の大きい回転操作可能な台座部を有する脚部品と、
備品の筐体底部を構成する上下に離間した二枚の板材を含むフレーム枠材に一体的に設けられ、
前記脚部品を受け止めて支持する受け部品と、を備え、
前記受け部品は、前記フレーム枠材の上側に位置する前記板材に設けられ且つ前記ロッドの雄ねじ部がねじ込まれるバーリング加工部、及び、前記フレーム枠材の下側に位置する板材に設けられ且つ前記ロッドが通過可能な通孔を
有し、
前記脚部品のロッドが前記受け部品のバーリング加工部及び通孔を挿通した状態で高さ調整可能とすることを特徴とする支持部品。
【請求項2】
請求項1に記載の支持部品において、
前記フレーム枠材は、断面矩形状の閉断面構造を有することを特徴とする支持部品。
【請求項3】
請求項2に記載の支持部品において、
前記フレーム枠材は、平板状の板材と、断面U字状のフレーム材とを接合して断面矩形状の閉断面構造としたものであることを特徴とする支持部品。
【請求項4】
請求項1に記載の支持部品において、
前記バーリング加工部と前記通孔との間の上下方向の距離は、前記脚部品が接地位置まで下がった状態で前記ロッドが前記バーリング加工部及び前記通孔を挿通した状態を保つように選定されることを特徴とする支持部品。
【請求項5】
請求項4に記載の支持部品において、
前記バーリング加工部は前記上側に位置する板材を下向きに突出させて形成されていることを特徴とする支持部品。
【請求項6】
請求項1に記載の支持部品において、
前記通孔は、前記バーリング加工部の雌ねじ部の谷の径よりも大きく選定されていることを特徴とする支持部品。
【請求項7】
請求項6に記載の支持部品において、
前記通孔は、前記脚部品が前記備品の荷重を受けた際の前記ロッドの弾性変形域内に収まるように選定されていることを特徴とする支持部品。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の支持部品において、
前記通孔は、前記バーリング加工部の孔径の公差に対し同等以上の公差で形成されていることを特徴とする支持部品。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の支持部品と、
前記支持部品の受け部品が形成されるフレーム枠材と、
前記フレーム枠材を筐体底部の一部とし、他のフレーム枠材と共に枠組みされる筐体と、
を備えたことを特徴とする筐体構造。
【請求項10】
請求項9に記載の筐体構造において、
前記受け部品のうち前記バーリング加工部が形成された前記フレーム枠材は、その上部に他のフレーム枠材が連結して固定されていることを特徴とする筐体構造。
【請求項11】
請求項10に記載の筐体構造において、
前記他のフレーム枠材は、断面矩形状の閉断面構造又は高さ方向に延びる柱状部材であることを特徴とする筐体構造。
【請求項12】
請求項10に記載の筐体構造において、
前記支持部品の前記脚部品が未使用位置に待避したときに、
前記他のフレーム枠材には前記脚部品のロッドが挿通可能な逃げ孔が形成されていることを特徴とする筐体構造。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかに記載の筐体構造と、
前記筐体構造に搭載される各種の備品要素と、
を備えた備品。
【請求項14】
請求項13に記載の備品において、
前記筐体の下部に移動可能な複数のキャスタを備えており、
前記支持部品は、前記複数のキャスタの支持点から離れた側の筐体の下部の隅部に設けられていることを特徴とする備品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、備品を設置する上で使用される支持部品及びこれを用いた筐体構造、備品に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、家電、家具等の備品を設置する上で、備品の高さ調整や水平を保持する脚としての支持部品が使用されることがある。
この種の支持部品としては、例えば特許文献1,2に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、板状体を貫通して摺動するシャフトをガイドするガイド機構として、板状体に穿設された貫通穴と、貫通穴の周囲を囲むようにシャフトの軸線方向に一体的に突出する筒部とから成り、筒部の内径をシャフトの外径より若干大きく形成する態様が開示されている。
特許文献2には、金属板に絞り加工により突出されたガイド部と、ガイド部の先端部から絞り加工若しくはバーリング加工により形成され、少なくとも一部がガイド部の外径よりも小さい外径部を備えた係止部とを備え、係止部よりも少なくとも一部が大きい抜止部を形成した部品取付装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-172218号公報(発明の実施の形態、
図1)
【文献】特開平7-275959号公報(実施例、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
備品を設置する上で使用される従前の支持部品については、高さ調整用の脚部品を受け止める受け部品としてナットを溶接する事による部品費や作業工数が大きい事が挙げられる。また溶接ナットを使用せずに脚部品に対する支持強度を維持することが困難であった。
本発明が解決しようとする技術的課題は、備品を設置する上で使用される支持部品につき、高さ調整用の脚部品を受け止める受け部品として溶接ナットを使用せずに、受け部品がない場合と比較して脚部品に対する支持強度を維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、高さ方向に延びるロッドの少なくとも上部側に雄ねじ部を有し、前記ロッドの下端部に当該ロッドよりも外径の大きい回転操作可能な台座部を有する脚部品と、備品の筐体底部を構成する上下に離間した二枚の板材を含むフレーム枠材に一体的に設けられ、前記脚部品を受け止めて支持する受け部品と、を備え、前記受け部品は、前記フレーム枠材の上側に位置する前記板材に設けられ且つ前記ロッドの雄ねじ部がねじ込まれるバーリング加工部、及び、前記フレーム枠材の下側に位置する板材に設けられ且つ前記ロッドが通過可能な通孔を有し、前記脚部品のロッドが前記受け部品のバーリング加工部及び通孔を挿通した状態で高さ調整可能とすることを特徴とする支持部品である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る支持部品において、前記フレーム枠材は、断面矩形状の閉断面構造を有することを特徴とする支持部品である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る支持部品において、前記フレーム枠材は、平板状の板材と、断面U字状のフレーム材とを接合して断面矩形状の閉断面構造としたものであることを特徴とする支持部品である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る支持部品において、前記バーリング加工部と前記通孔との間の上下方向の距離は、前記脚部品が接地位置まで下がった状態で前記ロッドが前記バーリング加工部及び前記通孔を挿通した状態を保つように選定されることを特徴とする支持部品である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る支持部品において、前記バーリング加工部は前記上側に位置する板材を下向きに突出させて形成されていることを特徴とする支持部品である。
請求項6に係る発明は、請求項1に係る支持部品において、前記通孔は、前記バーリング加工部の雌ねじ部の谷の径よりも大きく選定されていることを特徴とする支持部品である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る支持部品において、前記通孔は、前記脚部品が前記備品の荷重を受けた際の前記ロッドの弾性変形域内に収まるように選定されていることを特徴とする支持部品である。
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に係る支持部品において、前記通孔は、前記バーリング加工部の孔径の公差に対し同等以上の公差で形成されていることを特徴とする支持部品である。
【0007】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに係る支持部品と、前記支持部品の受け部品が形成されるフレーム枠材と、前記フレーム枠材を筐体底部の一部とし、他のフレーム枠材と共に枠組みされる筐体と、を備えたことを特徴とする筐体構造である。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る筐体構造において、前記受け部品のうち前記バーリング加工部が形成された前記フレーム枠材は、その上部に他のフレーム枠材が連結して固定されていることを特徴とする筐体構造である。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る筐体構造において、前記他のフレーム枠材は、断面矩形状の閉断面構造又は高さ方向に延びる柱状部材であることを特徴とする筐体構造である。
請求項12に係る発明は、請求項10に係る筐体構造において、前記支持部品の前記脚部品が未使用位置に待避したときに、前記他のフレーム枠材には前記脚部品のロッドが挿通可能な逃げ孔が形成されていることを特徴とする筐体構造である。
【0008】
請求項13に係る発明は、請求項9乃至12のいずれかに係る筐体構造と、前記筐体構造に搭載される各種の備品要素と、を備えた備品である。
請求項14に係る発明は、請求項13に係る備品において、前記筐体の下部に移動可能な複数のキャスタを備えており、前記支持部品は、前記複数のキャスタの支持点から離れた側の筐体の下部の隅部に設けられていることを特徴とする備品である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、備品を設置する上で使用される支持部品につき、高さ調整用の脚部品を受け止める受け部品として溶接ナットを使用せずに、受け部品のない場合に比較して脚部品に対する支持強度を維持することができる。
請求項2に係る発明によれば、受け部品を形成するフレーム枠材として開断面構造のものを使用する場合に比べて、脚部品に対する支持強度を高めることができる。
請求項3に係る発明によれば、二つのパーツを接合してなる閉断面構造のフレーム枠材に対し、受け部品としてのバーリング加工部を形成することができる。
請求項4に係る発明によれば、バーリング加工部と通孔との配置関係を適切に選定することができる。
請求項5に係る発明によれば、バーリング加工部を上向きに突出させて形成する場合に比べて、バーリング加工部と通孔との間の距離を狭めることができる。
請求項6に係る発明によれば、フレーム枠材の受け部品に対して脚部品をセット(組立)し易くすることができる。
請求項7に係る発明によれば、脚部品が備品の荷重を受けたときに、脚部品が弾性変形したとしても、受け部品の上下二点で脚部品の位置補正を行うことができる。
請求項8に係る発明によれば、位置補正の効果を高めるために、バーリング加工部と通孔との孔径差を小さくしても問題なく組立することができる。
請求項9に係る発明によれば、高さ調整用の脚部品を受け止める受け部品として溶接ナットを使用せずに、受け部品のない場合に比較して脚部品に対する支持強度を維持することが可能な支持部品を含む筐体構造を提供することができる。
請求項10に係る発明によれば、フレーム枠材で受け止めた支持部品の上下方向の荷重を他のフレーム枠材に分散することができる。
請求項11に係る発明によれば、フレーム枠材で受け止めた支持部品の上下方向の荷重をより適切に分散させる上で有効である。
請求項12に係る発明によれば、支持部品が未使用位置に待機するときに、脚部品のロッドと他のフレーム枠材との干渉を回避することができる。
請求項13に係る発明によれば、高さ調整用の脚部品を受け止める受け部品として溶接ナットを使用せずに、受け部品のない場合に比較して脚部品に対する支持強度を維持することが可能な支持部品を含む筐体構造の備品を提供することができる。
請求項14に係る発明によれば、備品に外力が加わった際に備品が倒れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は本発明が適用された支持部品を含む筐体構造を持つ備品の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)
中Bに示す支持部品の構成例を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る備品としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像形成装置の筐体構造を示す説明図である。
【
図4】
図3中IV方向(斜め下方向に相当)から見た矢視図である。
【
図5】
図3中V方向(図中右方向に相当)から見た矢視図で、特に、本例の支持部品のレイアウトを示す説明図である。
【
図6】
図3中VI方向(手前方向に相当)から見た筐体底部の支持部品(アジャスタ)の周辺構造の要部を示す説明図である。
【
図7】実施の形態1に係る筐体構造の手前左側に設けられた支持部品の詳細を示す説明図である。
【
図9】
図8中、支持部品の脚部品を受け部品から取り外した状態を示す説明図である。
【
図10】(a)~(c)は支持部品の受け部品の製造例を示す説明図である。
【
図11】実施の形態1に係る支持部品の使用態様を示す説明図である。
【
図12】(a)は支持部品の受け部品としてナットを使用する比較例を示す説明図、(b)は支持部品の受け部品としてのバーリング加工部の構成例を示す説明図、(c)は実施の形態
1で使用される支持部品の受け部品の作用を示す説明図である。
【
図13】(a)は実施の形態1に係る支持部品の脚部品の許容調整範囲を示す説明図、(b)は変形の形態1に係る支持部品の脚部品の許容調整範囲を示す説明図である。
【
図14】実施の形態1に係る筐体構造の手前右側に設けられた支持部品の高さ調整使用時の状態を示す説明図である。
【
図15】
図14に示す支持部品の待避時の状態を示す説明図である。
【
図16】(a)は比較の形態1に係る支持部品の概要を示す説明図、(b)は比較の形態2に係る支持部品の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された支持部品を含む筐体構造を持つ備品の実施の形態の概要を示す。
同図において、備品10は、設置時の位置調整用の支持部品1と、支持部品1の構成要素である受け部品6(
図1(b)参照)が形成されるフレーム枠材12と、フレーム枠材12を筐体底部の一部とし、他のフレーム枠材13と共に枠組みされる筐体11と、を含む筐体構造と、この種の筐体構造に搭載される各種の備品要素14と、を備えたものである。
【0012】
ここでいう備品10とは、複写機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の各機能を複合させた複合機や、大型家電、大型家具などの重量製品を指す。この種の重量製品を設置する場合には、安全性の観点から、重量製品を安定的に支持することが必要であり、そのために、筐体構造の一要素として支持部品1が用いられている。本例の支持部品1は、備品10を設置する上で、備品10の高さ調整、水平保持、あるいは倒れ防止のいずれか又は全てを目的とする脚として機能するものである。
また、備品10は、設置時に移動可能とするために、筐体11の下部に移動可能な複数のキャスタ15を備えたものがある。この種の備品10にあっては、支持部品1は、複数のキャスタ15の支持点から離れた側の筐体11の下部の隅部に設けられる。
【0013】
更に、本例において、支持部品1は、
図1(a)(b)に示すように、高さ方向に延びるロッド3の少なくとも上部側に雄ねじ部4を有し、ロッド3の下端部に当該ロッド3よりも外径の大きい回転操作可能な台座部5を有する脚部品2と、備品10の筐体11底部を構成する上下に離間した二枚の板材を含むフレーム枠材12に一体的に設けられ、
脚部品2を受け止めて支持する受け部品6と、を備え、受け部品6は、フレーム枠材12の上側に位置する板材12aに設けられ且つロッド3の雄ねじ部4がねじ込まれるバーリング加工部7、及び、フレーム枠材12の下側に位置する板材12bに設けられ且つロッド3が通過可能な通孔8を
有し、脚部品2のロッド3が受け部品6のバーリング加工部7及び通孔8を挿通した状態で高さ調整可能とするものである。
【0014】
このような技術的手段において、脚部品2は高さ方向に延びるロッド3を有し、ロッド3の少なくとも上部側に雄ねじ部4を有していればよいが、高さ調整前に受け部品6側に押し込んだ未使用状態で保持可能にするにはロッド3の略全域、あるいは、少なくとも上部側及び台座部5寄りに雄ねじ部4を形成しておけばよい。但し、雄ねじ部4を上下に分離して設ける態様では、ロッド3の上部及び台座部5寄りの間の径を細くする必要があり、その細い箇所が通孔8に来ると、通孔8との間の隙間が広がり、二点支持としての効果が薄れることに留意する必要がある。また、台座部5は脚部品2を安定的に接地するにはロッド3よりも広い面積で接地することが好ましい。
【0015】
また、受け部品6については、筐体11底部を構成するフレーム枠材12が上下に離間した二枚の板材12a,12bを含むことを必須とし、上側の板材12aにバーリング加工部7を、下側の板材12bに通孔8を有していればよい。ここで、バーリング加工部7は上向きでも、下向きでも差し支えなく、通常上側の板材12aの厚みに依存した突出量に構成される。
更に、受け部品6が形成されるフレーム枠材12は閉断面構造である場合に限らず、例えばU字状のチャンネル材の対向壁を上下の板材として利用するようにしてもよい。この場合、フレーム枠材12の上下の板材の支持剛性を高める上で、U字状のチャンネル材の開口を一若しくは複数の連結材で連結するようにすることが好ましい。
【0016】
次に、本実施の形態に係る支持部品の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、フレーム枠材12としては支持剛性を高めるという観点からは断面矩形状の閉断面構造を有することが好ましい。ここで、受け部品6の形成作業を容易にするという観点からは、平板状の板材と、断面U字状のフレーム材とを接合して断面矩形状の閉断面構造としたものが挙げられる。
また、バーリング加工部7と通孔8との間の上下方向の距離は、脚部品2が接地位置まで下がった状態でロッド3がバーリング加工部7及び通孔8を挿通した状態を保つように選定されていればよい。
更に、バーリング加工部7は、上側に位置する板材12aを下向きに突出させて形成されているものが好ましい。本例は、バーリング加工部7が上向きに突出させて形成されている場合に比べて、接地位置への脚部品2のロッド3の高さ調整をする際にバーリング加工部7からロッド3の先端部が外れ難い。
【0017】
また、通孔8は基本的に脚部品2のロッド3が挿通するものであればよいが、受け部品6に対して脚部品2をセット(組立)し易くするという観点から、バーリング加工部7の雌ねじ部の谷の径(脚部品2のロッド3の雄ねじ部4の外径に相当)よりも大きく選定されていることが好ましい。
更に、通孔8は、脚部品2が備品10の荷重を受けた際のロッド3の弾性変形域内に収まるように選定されていることが好ましい。
更にまた、通孔8は、バーリング加工部7の孔径の公差に対し同等以上の公差で形成されていることが好ましい。
【0018】
また、筐体構造として好ましい態様としては、
図1(a)(b)に示すように、受け部品6のうちバーリング加工部7が形成されたフレーム枠材12は、その上部に他のフレーム枠材13が連結して固定されている態様が挙げられる。本例は、他のフレーム枠材13で支持強度を負担することができ、その分、受け部品6に対する支持強度を低減させることが可能になる。
ここで、他のフレーム枠材13としては、矩形状の閉断面構造又は高さ方向に延びる柱状部材であることが好ましい。更に、支持部品1の脚部品2が未使用位置に待避したときに、脚部品2の待避動作をスムーズにするという観点からすれば、他のフレーム枠材13には脚部品2のロッド3が挿通可能な逃げ孔が形成されていることが好ましい。
【0019】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-画像形成装置の全体構成-
図2は実施の形態1に係る備品としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
尚、
図2に示す画像形成装置は、一構成例を模式的に示すものであり、
図3乃至
図6に示す装置筐体に直接組み込まれるものではないことを念のため申し添えておく。
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に複数の色(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの四色)の画像を形成する作像エンジン30を搭載し、この作像エンジン30の下方には用紙等の記録材が収容される記録材供給装置50を配設すると共に、この記録材供給装置50からの記録材搬送路55を略鉛直方向に配置したものである。
本例において、作像エンジン30は、複数の色の画像を形成する画像形成部31(具体的には31a~31d)を略水平方向に配列し、その上方には画像形成部31の配列方向に沿って循環移動する例えばベルト状の中間転写体45が含まれる転写モジュール40を配設し、各画像形成部31で形成した各色の画像を転写モジュール40を介して記録材に転写するものである。
【0020】
本実施の形態において、各画像形成部31(31a~31b)は、中間転写体45の循環方向上流側から順に、例えばイエロ用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、感光体32と、この感光体32を予め帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)33と、この帯電装置33にて帯電された各感光体32に静電潜像を書き込む露光装置(本例ではLED書込ヘッド)34と、感光体32上に形成された静電潜像を対応する色成分トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置35と、感光体32上の残留物を清掃する清掃装置36と、を備えている。
尚、符号37(具体的には37a~37d)は各現像装置35に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである。
【0021】
また、本実施の形態において、転写モジュール40は、複数の張架ロール41~44にベルト状の中間転写体45を架け渡したものであり、例えば張架ロール41を駆動ロールとして中間転写体45を循環移動するようにしたものである。そして、各画像形成部31の感光体32に対応した中間転写体45の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)46が配設され、この一次転写装置46にトナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧を印加することで、感光体32上のトナー像を中間転写体45側に静電転写するようになっている。
更に、中間転写体45の最上流画像形成部31aの上流側にはベルト清掃装置47が配設されており、中間転写体45上の残留トナーを除去するようになっている。
【0022】
また、本実施の形態では、中間転写体45の最下流画像形成部31dの下流側の張架ロール42に対応した部位には二次転写装置60が配設されており、中間転写体45上の一次転写像を記録材に二次転写(一括転写)するようになっている。
本例では、二次転写装置60は、中間転写体45のトナー像保持面側に圧接して配置される二次転写ロール61と、中間転写体45の裏面側に配置されて二次転写ロール61の対向電極をなすバックアップロール(本例では張架ロール42を兼用)とを備えている。そして、例えば二次転写ロール61が接地されており、また、バックアップロール(張架ロール42)にはトナーの帯電極性と同極性の二次転写電圧が印加されている。
【0023】
また、記録材供給装置50には記録材を供給する供給ロール51が設けられ、記録材搬送路55には図示外の搬送ロールが配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録材搬送路55には記録材を所定のタイミングで二次転写部位へ供給する位置合せロール(レジストレーションロール)56が配設されている。
更に、二次転写部位の下流側に位置する記録材搬送路55には定着装置70が設けられ、この定着装置70は、例えば図示外の加熱ヒータが内蔵された加熱定着ロール71と、これに圧接して配置されて追従回転する加圧定着ロール72とを備えている。また、定着装置70の下流側には装置筐体21内の記録材を排出する排出ロール57が設けられ、記録材を挟持搬送して排出し、装置筐体21の上部に形成された記録材収容受け58に記録材を収容するようになっている。
尚、本例では、図示を省略しているが、記録材の手差し供給装置や、記録材の両面記録を可能とする両面記録モジュールを別途付設してもよいことは勿論である。
【0024】
-装置筐体構造-
本実施の形態において、装置筐体21
は、例えば
図3及び
図4に示すように、略矩形状の筐体底部81を有し、この筐体底部81の手前側(フロント側)の両隅部には
図3中z方向(上下方向に相当)に沿って柱状に立ち上がる筐体柱枠82(具体的には82a,82b)を設けると共に、筐体底部81の奥側(リア側)には背面側を区画する筐体背部83を設け、筐体柱枠82及び筐体背部83の上部には筐体背部83以外の三面において夫々架け渡される筐体連結枠84(具体的には84a~84c)を連結したものである。
そして、本例では、装置筐体21は、筐体底部81の上方には筐体仕切枠85が設けられ、この筐体仕切枠85の上側に設けられ、作像エンジン30及びトナーカートリッジ37が収容される上側筐体部21aと、筐体仕切枠85の下側に設けられ、記録材供給装置50が収容される下側筐体部21bとを備えている。尚、本例では、筐体柱枠82は上側筐体部21aと下側筐体部21bとで上下
一体に構成されている。
本例において、筐体柱枠82、筐体連結枠84については、断面矩形状の閉断面構造を有する角パイプを使用してもよいし、閉断面構造ではないU字状断面、あるいは、L字状断面等のチャネル材を用いるようにすればよい。また、筐体背部83や筐体仕切枠85については平板の一部にエンボス加工を施したり、あるいは、周縁に
補強用のフランジを設ける等してもよい。
尚、装置筐体21のうち筐体柱枠82と筐体背部83の両側方との間には、装置筐体21の軽量化を図りながら装置筐体21の剛性を確保するために、筐体補強枠86が適宜架け渡されている。ここで、筐体補強枠86については断面構造は特には問わず、長尺な平板を用いてもよい。
【0025】
<筐体底部の構成例>
本例において、筐体底部81は、
図3及び
図4に示すように、略矩形状の金属製(例えばSUS製)の底板91を有し、この底板91の手前側(フロント側)及び
奥側(
リア側)の下面には、装置筐体21の
図3中x方向(装置筐体21の左右方向に相当)に延びる金属製(例えばSUS製)のフレーム枠材92、93(以下必要に応じて左右フレーム枠材という)を溶接等で固着すると共に、底板91の左右方向両側の上面には、装置筐体21の
図3中y方向(装置筐体21の前後方向に相当)に延びる金属製(例えばSUS製)のフレーム枠材94、95(以下必要に応じて前後フレーム枠材という)を溶接等で固着したものである。
そして、本例では、各フレーム枠材92~95はいずれも断面矩形状の閉断面構造を有する角パイプからなるものであるが、左右フレーム枠材92、93は、前後フレーム枠材94、95に比べて、上下方向の厚さが偏平な角パイプが使用されている。
更に、本例では、前後フレーム枠材94、95のうち左右フレーム枠材92、93との交差部に対応して筐体柱枠82(82a、82b)及び筐体背部83が設けられている。
尚、筐体底部81の底板91の上面には記録材供給装置50を前後方向に沿って引出可能に支持する案内レール96が適宜数設けられている。
【0026】
<装置筐体の支持構造>
本実施の形態において、装置筐体21の支持構造は、
図3乃至
図5に示すように、装置筐体21を移動可能に支持する複数のキャスタ100と、装置筐体21を高さ調整するための支持部品としてのアジャスタ110とを備えたものである。
本例において、キャスタ100は、筐体底部81の底板91の左右方向両側の下面のうち、前後フレーム枠材94,95に対応した部位に、前後方向に適宜間隔sを置いて複数(本例では三個ずつ)対称的に設けられている。
ここで、
図5に示すように、装置筐体21に搭載される作像エンジン30等の重量重心位置Pは装置筐体21の筐体底部81の略中央付近と想定されるが、前後方向三列のキャスタ100(具体的には100a~100c)のうち、二列のキャスタ100(本例では100b、100c)は、重量重心位置Pよりも奥側(リア側)に配置され、一列目のキャスタ100(本例では100a)は、重量重心位置Pよりも手前側(フロント側)に配置されている。
【0027】
そして、本例では、アジャスタ110(具体的には110a、110b)は、
図3乃至
図6に示すように、筐体底部81の手前側に位置する左右フレーム枠材92の長手方向両側の下部に設けられている。
本例においては、装置筐体21の前後方向の寸法に着目したところ、装置筐体21の重量重心位置Pと一列目の前側のキャスタ100(100a)の設置位置Oとの間の前後方向の距離をd1、一列目の前側のキャスタ100(100a)の設置位置Qと、アジャスタ110の設置位置との間の前後方向の距離をd2とすると、画像形成装置のリア側からの転倒荷重(装置重量)に耐える際、アジャスタ110には前側のキャスタ100(100a)を支点として上下方向に装置重量のd1/d2の比率及び作用する外力に応じた荷重がかかる。このため、アジャスタ110には上下方向にかかる荷重に対して充分な支持強度を持つように設計されることが必要である。
<キャスタの構成例>
本実施の形態において、キャスタ100は、
図4及び図8に示すように、筐体底部81の底板91の左右方向両側の底部に取付板101を有し、この取付板101にベアリングを介して車輪ホルダ102を回転可能に設けると共に、車輪ホルダ102に車輪103の車軸を回転可能に保持させるようにしたものである。
【0028】
-アジャスタ(支持部品)の構成例-
本実施の形態において、左右に位置するアジャスタ110(110a、110b)の基本的構成は、
図6に示すように、アジャスタ110(110a、110b)と取付部の構成が一部相違、具体的には筐体底部81を構成する前後フレーム枠材94、95の手前側に設けられた筐体柱枠82(82a、82b)の構成が若干相違するものの、略同様に構成されている。
そこで、本例においては、
図6中の左側に位置するアジャスタ110(110a)を例に挙げて詳述し、
図6中の右側に位置するアジャスタ110(110b)については簡単に補足説明することとする。
【0029】
<一方のアジャスタ110aについて>
本例において、アジャスタ110(110a)は、
図6乃至
図13に示すように、高さ調整用の脚部品としてのアジャスタフット111と、これを受け止めて支持する受け部品120とを備えている。
ここで、アジャスタフット111は、高さ方向に延びるロッド112の略全域に雄ねじ部113を形成し、ロッド112の下端部に当該ロッド112の雄ねじ部113よりも外径の大きい台座部115を設けるようにしたものである。
本例において、ロッド112は曲げ強度の高い金属でねじ加工性の優れた材料であれば適宜選定して差し支えなく、例えば鉄鋼材料よりもねじ加工性に優れたSUM材が用いられる。
また、台座部115は例えばPC樹脂やABS樹脂を用いて例えば円板状の台座本体を形成し、この台座本体の中央にはロッド112の下端部を収容する凹部を形成し、この凹部内にロッド112の下端部を挿入して接着剤等で固着するようにしたものである。また、台座部115の外周部には回転操作時のときの滑り止め用の凹凸部116が形成されており、更に、台座部115の凹部の周囲には段付部117が形成されており、台座部115の凹部とロッド112の下端部との間の連結部面積を増大することで両者の連結強度を確保するようにしたものである。
尚、本例では、台座部115に段付部117を形成したものが示されているが、この段付部117は必ずしも必要ではなく、適宜選定して差し支えない。
【0030】
また、受け部品120は、筐体底部81の構成要素である左右フレーム枠材92のうち、上側に位置する板材92aに設けられ且つロッド112の雄ねじ部113がねじ込まれるバーリング加工部121と、左右フレーム枠材92の下側に位置する板材92bに設けられ
且つロッド112が通過可能な通孔125と、を備えたものである。
本例において、左右フレーム枠材92は、例えば
図10(a)に示すように、平板状の第1のフレーム枠材921と、U字状断面の第2のフレーム枠材922とを用意し、
図10(b)に示すように、第1のフレーム枠材921の所定位置にバーリング加工を施してバーリング加工部121を形成し、一方、第2のフレーム枠材922の所定位置に孔加工を施して通孔125を形成し、
図10(c)に示すように、第1のフレーム枠材921と第2のフレーム枠材922とを溶接等の固定手段925で接合し、断面矩形状の偏平な閉断面構造の角パイプとし、上側に位置する板材92aにバーリング加工部121を配置すると共に、下側に位置する板材92bのうちバーリング加工部121の直下に通孔125を配置するようにしたものである。
【0031】
本例において、バーリング加工部121は、第1のフレーム枠材921に孔加工を施した後に、当該孔の周囲にフランジ加工を施して立ち上がりフランジ122を下向きに突出させて形成し、更に、立ち上がりフランジ122の内周には、アジャスタフット111のロッド112の雄ねじ部113がねじ込み可能な雌ねじ部123を形成するものである。尚、雌ねじ部123の形成に当たっては、フランジ加工と同時に行ってもよいし、あるいは、フランジ加工の後に行うようにしてもよい。
また、本例において、通孔125の孔径D2は、バーリング加工部121の雌ねじ部123の谷の径D1よりも大きく形成されることが必要であり、アジャスタフット111のロッド112の雄ねじ部113の外径D3よりも大きく設定されている。
尚、本例では、通孔125は、アジャスタフット111の段付部117は通過不可の大きさに選定されている。
【0032】
また、本例では、バーリング加工部121と通孔125との間の上下方向の距離gは、アジャスタフット111が接地位置まで下がった状態(高さ調整実施時)で、ロッド112がバーリング加工部121及び通孔125を挿通した状態を保つように選定されている。
ここで、アジャスタフット111が画像形成装置の倒れ時の荷重を受けたときに、アジャスタフット111のロッド112は弾性変形することになるが、通孔125の孔径D2は、ロッド112の弾性変形域内に収まるように選定されていることが好ましい。
また、通孔125は、バーリング加工部121の孔径の公差に対し同等以上の公差で形成されていることが好ましい。
【0033】
-アジャスタの使用方法-
<高さ調整時>
画像形成装置を設置するに当たって、
図7及び
図11に示すように、アジャスタフット111の台座部115を回転させると、アジャスタフット111のロッド112の雄ねじ部113がバーリング加工部121の雌ねじ部
123に沿って接地方向に移動し、例えば
図11に二点鎖線で示すように、待避位置Bに待避していたアジャスタフット111を実線で示す接地位置Aまで引き下げることが可能である。
そして、アジャスタフット111が接地位置Aに達した段階では、アジャスタフット111は、ロッド112が受け部品120であるバーリング加工部121と通孔125とを挿通した状態を保つようになっている。
このとき、アジャスタフット111は、バーリング加工部121にねじ込まれた状態で支持されているが、例えば
図12(a)に示すように、バーリング加工部121(
図12(b)参照)に代えて、支持用の板材131に孔部132を設けると共に、支持用の板材131の下面には孔部132の位置に合わせてナット部材130を固着し、このナット部材130をアジャスタフット111の支持部とする態様では、ナット部材130の厚みhnがバーリング加工部121よりも通常大きいことから、アジャスタフット111の支持強度は充分に確保されるものの、本例のように、バーリング加工部121を使用する態様では、立ち上がりフランジ122の高さhbが低いことから、雌ねじ部123領域が少なく、その分、アジャスタフット111の支持強度は低減する。
しかしながら、本例では、アジャスタフット111の受け部品120は、
図12(c)に示すように、左右フレーム枠材92の上下に位置する距離gの板材92a、92b間にバーリング加工部121及び通孔125を有しているため、例えばアジャスタフット111に画像形成装置の大きな重量荷重がかかると、バーリング加工部121による支持強度が弱い分、アジャスタフット111のロッド112は弾性変形することになるが、ロッド112の傾きは通孔125の内縁でせき止められ、この段階で、左右フレーム枠材92のバーリング加工部121及び通孔125の二箇所で支持される。このため、ロッド112の弾性変形は抑制されることになり、アジャスタフット111の支持強度は保たれる。
この場合、バーリング加工部121の孔径D1と通孔125の孔径D2との差分をΔDとすると、アジャスタフット111のロッド112は、最大で弾性変形によってθd=ΔD/g傾斜することになる。
このように、アジャスタフット111のロッド112が最大で弾性変形したとしても、バーリング加工部121と共に通孔125で支えることで、画像形成装置の倒れが抑制される。このとき、θdは最大5°として、gは6mm以上とすることが好ましい。
【0034】
<待避時>
画像形成装置を設置するに当たって、画像形成装置をキャスタ100で移動させ、所望の設置場所を選定する場合には、画像形成装置の移動操作にアジャスタ110が邪魔にならないように、アジャスタフット111を
図11の二点鎖線で示す待避位置Bに保持するようにすればよい。
本例では、アジャスタフット111が待避位置Bに位置するとき、アジャスタフット111の台座部115及び段付部117が通孔125を挿通しない位置に配置されることになり、アジャスタフット111のロッド112は、通孔125及びバーリング加工部121を挿通し、更に、左右フレーム枠材92の上側に位置する板材92aを突き抜けて配置される。
この状態において、本例では、アジャスタ110は、左右フレーム枠材92の長手方向端部で、前後フレーム枠材94との交差部分に配置されていることから、前後フレーム枠材94の上側に位置する板材94a、更には、下側に位置する板材94bのうち、バーリング加工部121に対応した箇所には、ロッド112が挿通可能な逃げ孔141、142が形成されている。これらの逃げ孔141、142は少なくともロッド112の雄ねじ部113の外径よりも大きい孔径を有していればよい。
このため、本例では、アジャスタフット111は、待避時において、前後フレーム枠材94の存在に邪魔されることなく、待避位置Bに保持される。
尚、本実施の形態では、アジャスタフット111のロッド112の雄ねじ部113はロッド112の略全域に形成されているが、例えばロッド112の上部側及び台座部115寄りの下部側に雄ねじ部113を形成し、その中間部については雄ねじ部113よりも小径にするようにしてもよい。
【0035】
<バーリング加工部の形成の向きについて>
本実施の形態では、バーリング加工部121は、
図13(a)に示すように、左右フレーム枠材92の上側に位置する板材92aに下向きに突出した態様として構成されているため、アジャスタ110の高さ調整時に、アジャスタフット111のロッド112の上端部がバーリング加工部121にねじ込まれている状態において、バーリング加工部121の下端位置下方に突出して接地位置Aに到達するアジャスタフット111の長さL1が長くなり、その分、アジャスタフット111の接地位置Aに対する調整代を大きくすることができる。
これに対し、
図13(b)に示す変形の形態では、バーリング加工部121は、左右フレーム枠材92の上側に位置する板材92aに上向きに突出した態様として構成されている。この場合、アジャスタフット111のロッド112の長さを
図13(a)の場合と同様に選定すると、アジャスタ110の高さ調整時に、アジャスタフット111のロッド112の上端部がバーリング加工部121にねじ込まれている状態において、バーリング加工部121の下端位置より下方に突出して接地位置Aに到達するアジャスタフット111の長さL2がL1よりも短くなり、その分、アジャスタフット111の接地位置Aに対する調整代が小さくなる。
【0036】
<他方のアジャスタ110bについて>
本例において、アジャスタ110(110b)は、
図6、
図14及び
図15に示すように、高さ調整用の脚部品としてのアジャスタフット111と、これを受け止めて支持する受け部品120とを備えている。
本例において、アジャスタフット111、受け部品120の基本的構成は、一方のアジャスタ110(110a)と略同様である。
図14はアジャスタ110による高さ調整時の
アジャスタフット111及びアジャスタフット111を受け止める受け部品120(バーリング加工部121、通孔125)の状態を示す。
【0037】
同図においては、アジャスタフット111は、ロッド112の雄ねじ部113がバーリング加工部121及び通孔125を挿通した状態で、接地位置Aに接触して高さ調整されている。
図15はアジャスタ110待避時における
アジャスタフット111及びアジャスタフット111を受け止める受け部品120(バーリング加工部121、通孔125)の状態を示す。
ここで、アジャスタフット111が待避位置Bに位置するとき、アジャスタフット111のロッド112は、通孔125及びバーリング加工部121を挿通し、更に、左右フレーム枠材92の上側に位置する板材92aを突き抜けて配置される。
この状態において、本例では、アジャスタ110は、左右フレーム枠材92の長手方向端部で、前後フレーム枠材95との交差部分に配置されていることから、前後フレーム枠材95の上側に位置する板材95a、更には、下側に位置する板材95bのうち、バーリング加工部121に対応した箇所には、ロッド112が挿通可能な逃げ孔143、144が形成されている。これらの逃げ孔143、144は少なくともロッド112の雄ねじ部113の外径よりも大きい孔径
を有していればよい。
【0038】
-アジャスタと筐体構造との関係-
本実施の形態では、アジャスタ110は、アジャスタフット111及び受け部品120(バーリング加工部121、通孔125)を備え、しかも、閉断面構造の左右フレーム枠材92を利用して受け部品120の支持強度を維持するようにしたものである。
ここで、閉断面構造の左右フレーム枠材92は筐体底部81の一部を構成したものであるが、本例では、更に、左右フレーム枠材92の長手方向両端部には前後フレーム枠材94、95が交差して設けられているため、左右フレーム枠材92は筐体底部81の前後フレーム枠材94、95によっても強固に支持される。
更に、本実施の形態では、左右フレーム枠材92の長手方向両端部のうち、アジャスタ110が設けられた部位に対応した箇所には筐体柱枠82(82a、82b)が設けられており、アジャスタ110による高さ調整時に、備品重量の大きい荷重がアジャスタフット111にかかったとしても、更に、支持剛性の大きい筐体柱枠82(82a、82b)によっても分散し、アジャスタフット111の倒れは有効に抑制される。
【0039】
◎比較の形態1
図16(a)は比較の形態1に係るアジャスタ110’を示す。
本例において、アジャスタ110’は、実施の形態1と同様なアジャスタフット111を備え、更に、フレームとしての角パイプ150にアジャスタフット111を挿通させる孔(図示せず)を開設すると共に、角パイプ150の上側に位置する板材の下面に下向きのナット部材151を溶接し、このナット部材151に
アジャスタフット111の
ロッド112の雄ねじ部113をねじ込むものである。
本例にあっては、アジャスタフット111に対するナット部材151による支持強度は充分に確保されるものの、角パイプ150内にナット部材151を溶接する作業が困難である。
【0040】
◎比較の形態2
本例において、アジャスタ110’は、実施の形態1と同様なアジャスタフット111を備え、更に、フレーム枠材として平板160に上向きのバーリング加工部161を設け、このバーリング加工部161にアジャスタフット111のロッドの112の雄ねじ部113をねじ込むものである。
本例においては、画像形成装置等の備品荷重が小さい場合(例えば150kg以下)には、バーリング加工部161によるアジャスタフット111の支持強度は耐えられるが、備品荷重が大きくなると、支持強度が不足する懸念がある。
【符号の説明】
【0041】
1…支持部品,2…脚部品,3…ロッド,4…雄ねじ部,5…台座部,6…受け部品,7…バーリング加工部,8…通孔,10…備品,11…筐体,12…フレーム枠材,12a,12b…板材,13…他のフレーム枠材,14…備品要素,15…キャスタ