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特許7700815医用画像出力装置、プログラム、医用画像出力方法及び医用画像出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】医用画像出力装置、プログラム、医用画像出力方法及び医用画像出力システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20250624BHJP
【FI】
A61B6/00 550A
A61B6/00 560
【請求項の数】 48
(21)【出願番号】P 2023074433
(22)【出願日】2023-04-28
(65)【公開番号】P2024158858
(43)【公開日】2024-11-08
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良平
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135832(JP,A)
【文献】特開2001-351092(JP,A)
【文献】特開2015-188691(JP,A)
【文献】特開2004-174217(JP,A)
【文献】特開2012-110688(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104083170(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部と、
前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部と、
前記調整された医用画像を出力する出力部と、
を有する医用画像出力装置。
【請求項2】
前記調整の情報を記憶する記憶部を有し、
前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である、請求項1に記載の医用画像出力装置。
【請求項3】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、前記医用画像の回転中心の位置調整、前記医用画像のトリミングの調整、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の医用画像出力装置。
【請求項4】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、又は前記医用画像の回転中心の位置調整である、請求項1に記載の医用画像出力装置。
【請求項5】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像のトリミングの調整、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整である、請求項1に記載の医用画像出力装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられた回転中心の位置を中心として、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられたトリミングの中心の位置を中心として、前記医用画像のトリミングの調整を行う、請求項1、2又は5に記載の医用画像出力装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記撮影部位に対応して予め記憶された回転角度の調整の基準の情報に基づき、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置。
【請求項9】
前記調整部は、前記撮影部位を構成する特定の構造物が、所定の方向となるように、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置。
【請求項10】
前記調整部は、前記撮影部位における関節の位置を回転中心の位置として、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置。
【請求項11】
前記被写体の前記撮影部位は、肘関節又は膝関節のいずれかである、請求項1から5のいずれか一項に記載の医用画像出力装置。
【請求項12】
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準を決定する、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置。
【請求項13】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、前記医用画像の回転中心の位置調整の基準、前記医用画像のトリミングの調整の基準、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準のうち少なくとも一つを含む、請求項12に記載の医用画像出力装置。
【請求項14】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、又は前記医用画像の回転中心の位置調整の基準である、請求項12に記載の医用画像出力装置。
【請求項15】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像のトリミングの調整の基準、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準である、請求項12に記載の医用画像出力装置。
【請求項16】
前記自動調整基準は、撮影対象の撮影部位の形状又は前記撮影部位の解剖学的部位を示す情報である、請求項12に記載の医用画像出力装置。
【請求項17】
撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するか否かとを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整するか否かを決定する、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置。
【請求項18】
前記自動調整は複数の項目を有し、
撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整をするか否かとを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整をするか否かを決定する、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置。
【請求項19】
撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整基準を決定する、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置。
【請求項20】
前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準は複数の項目を有し、
撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整基準を決定する、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置。
【請求項21】
前記医用画像は、放射線画像である、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置。
【請求項22】
前記認識部は、機械学習によって得られた学習済みモデルである、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置。
【請求項23】
コンピューターを、
医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部、
前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部、
前記調整された医用画像を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
前記コンピューターを、前記調整の情報を記憶する記憶部として機能させ、
前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である、請求項23に記載のプログラム。
【請求項25】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、前記医用画像の回転中心の位置調整、前記医用画像のトリミングの調整、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整のうち少なくとも一つを含む、請求項23に記載のプログラム。
【請求項26】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、又は前記医用画像の回転中心の位置調整である、請求項23に記載のプログラム。
【請求項27】
前記医用画像の自動調整は、前記医用画像のトリミングの調整、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整である、請求項23に記載のプログラム。
【請求項28】
前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられた回転中心の位置を中心として、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項23、24又は26に記載のプログラム。
【請求項29】
前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられたトリミングの中心の位置を中心として、前記医用画像のトリミングの調整を行う、請求項23、24又は27に記載のプログラム。
【請求項30】
前記調整部は、前記撮影部位に対応して予め記憶された回転角度の調整の基準の情報に基づき、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項23、24又は26に記載のプログラム。
【請求項31】
前記調整部は、前記撮影部位を構成する特定の構造物が、所定の方向となるように、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項23、24又は26に記載のプログラム。
【請求項32】
前記調整部は、前記撮影部位における関節の位置を回転中心の位置として、前記医用画像の回転角度の調整を行う、請求項23、24又は26に記載のプログラム。
【請求項33】
前記被写体の前記撮影部位は、肘関節又は膝関節のいずれかである、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項34】
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準を決定する、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項35】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、前記医用画像の回転中心の位置調整の基準、前記医用画像のトリミングの調整の基準、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準のうち少なくとも一つを含む、請求項34に記載のプログラム。
【請求項36】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、又は前記医用画像の回転中心の位置調整の基準である、請求項34に記載のプログラム。
【請求項37】
前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像のトリミングの調整の基準、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準である、請求項34に記載のプログラム。
【請求項38】
前記自動調整基準は、撮影対象の撮影部位の形状又は前記撮影部位の解剖学的部位を示す情報である、請求項34に記載のプログラム。
【請求項39】
前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するか否かとを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整するか否かを決定する、請求項23、25、26又は27に記載のプログラム。
【請求項40】
前記自動調整は複数の項目を有し、
前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整をするか否かとを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整をするか否かを決定する、請求項23、25、26又は27に記載のプログラム。
【請求項41】
前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整基準を決定する、請求項23、25、26又は27に記載のプログラム。
【請求項42】
前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準は複数の項目を有し、
前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、
前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整基準を決定する、請求項23、25、26又は27に記載のプログラム。
【請求項43】
前記医用画像は、放射線画像である、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項44】
前記認識部は、機械学習によって得られた学習済みモデルである、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項45】
医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識工程と、
前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整工程と、
前記調整された医用画像を出力する出力工程と、
を含む医用画像出力方法。
【請求項46】
前記調整の情報を記憶部に記憶させる記憶工程を含み、
前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である、請求項45に記載の医用画像出力方法。
【請求項47】
医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部と、
前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部と、
前記調整された医用画像を出力する出力部と、
を有する医用画像出力システム。
【請求項48】
前記調整の情報を記憶する記憶部を有し、
前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である、請求項47に記載の医用画像出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像出力装置、プログラム、医用画像出力方法及び医用画像出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影では、医師が読影しやすいように、放射線技師が画像の調整(回転、トリミング、センタリング)を行う。この調整操作では、院内での取り決めや各医師の指定した向きに従って画像を揃える必要があるが、画像ごとに毎回調整する必要があるため、放射線技師の負荷が非常に高い。また、撮影時に患者の痛みや待ち時間に気を配る必要があり、照射野やパネルの位置調整だけでは限界がある。
【0003】
特許文献1では、画像の切り出し位置を固定パターンから選択できる。しかし、特許文献1では、各被写体が同様の位置に写っていることを前提としており、撮影ごとに変わる被写体位置や傾き等、様々な条件に必ずしも適しているとは言えない。
【0004】
特許文献2でも、過去の撮影と切り出し位置を揃えることができるが、こちらも撮影ごとに変わる被写体位置や傾き等については対応できていない。
【0005】
一方で、各施設のルールによって、画像に写された被写体の位置や角度を微妙に調整したいというニーズがあることが分かった。現状、放射線技師は、画像に映し出された対象物を認識し位置決めした上で画像の調整(回転、トリミング、センタリング)を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-55491号公報
【文献】特開2015-150072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、画像に映し出された対象物を認識せずにトリミングするものであり、撮影ごとに異なる適切な切り出し位置や回転角度等には対応することができていなかった。
また、施設(読影者)によって最も適切な基準に合わせる必要があるが、画像に映し出された対象物を認識しなければ対応することはできず、人が対応するしかなかった。
【0008】
画像に対して自動で回転やトリミング等をすることが考えられるが、従来、どう回転させたりトリミングさせたりすればよいかについては、人間が画像内の対象物を認識し位置決めした上で判断していた。自動で画像を回転させるには、どこが肘か、どういう形か等、部位、位置、形状を特定しなければいけない。すなわち、自動で回転やトリミング等をしようとしても、どう回転させたりトリミングさせたりすればよいかは分からない。
【0009】
そこで、本発明は、自動的に画像の調整を行うことで撮影者の業務負荷を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ところで、近年、画像認識技術が発展してきており、例えば、画像内の対象物を自動で認識したり、対象部位を自動で特定したりすることができるようになってきている。
本発明者は、対象物の自動認識をすれば、画像の調整を自動で行うことができることに思い至り、本発明に至った。
【0011】
請求項1に記載の発明は、医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部と、前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部と、前記調整された医用画像を出力する出力部と、を有する医用画像出力装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像出力装置において、前記調整の情報を記憶する記憶部を有し、前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、前記医用画像の回転中心の位置調整、前記医用画像のトリミングの調整、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整のうち少なくとも一つを含む。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、又は前記医用画像の回転中心の位置調整である。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像のトリミングの調整、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整である。
請求項6に記載の発明は、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられた回転中心の位置を中心として、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項7に記載の発明は、請求項1、2又は5に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられたトリミングの中心の位置を中心として、前記医用画像のトリミングの調整を行う。
請求項8に記載の発明は、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記撮影部位に対応して予め記憶された回転角度の調整の基準の情報に基づき、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項9に記載の発明は、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記撮影部位を構成する特定の構造物が、所定の方向となるように、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項10に記載の発明は、請求項1、2又は4に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記撮影部位における関節の位置を回転中心の位置として、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項11に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の医用画像出力装置において、前記被写体の前記撮影部位は、肘関節又は膝関節のいずれかである。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置において、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準を決定する。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、前記医用画像の回転中心の位置調整の基準、前記医用画像のトリミングの調整の基準、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準のうち少なくとも一つを含む。
【0016】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、又は前記医用画像の回転中心の位置調整の基準である。
請求項15に記載の発明は、請求項12に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像のトリミングの調整の基準、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準である。
【0017】
請求項16に記載の発明は、請求項12に記載の医用画像出力装置において、前記自動調整基準は、撮影対象の撮影部位の形状又は前記撮影部位の解剖学的部位を示す情報である。
【0018】
請求項17に記載の発明は、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置において、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するか否かとを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整するか否かを決定する。
【0019】
請求項18に記載の発明は、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置において、前記自動調整は複数の項目を有し、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整をするか否かとを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整をするか否かを決定する。
【0020】
請求項19に記載の発明は、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置において、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整基準を決定する。
【0021】
請求項20に記載の発明は、請求項1、3、4又は5に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準は複数の項目を有し、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整基準を決定する。
【0022】
請求項21に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置において、前記医用画像は、放射線画像である。
【0023】
請求項22に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の医用画像出力装置において、前記認識部は、機械学習によって得られた学習済みモデルである。
【0024】
請求項23に記載の発明は、コンピューターを、医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部、前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部、前記調整された医用画像を出力する出力部、として機能させるためのプログラムである。
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載のプログラムにおいて、前記コンピューターを、前記調整の情報を記憶する記憶部として機能させ、前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である。
【0025】
請求項25に記載の発明は、請求項23に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、前記医用画像の回転中心の位置調整、前記医用画像のトリミングの調整、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整のうち少なくとも一つを含む。
【0026】
請求項26に記載の発明は、請求項23に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像の回転角度の調整、又は前記医用画像の回転中心の位置調整である。
請求項27に記載の発明は、請求項23に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整は、前記医用画像のトリミングの調整、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整である。
請求項28に記載の発明は、請求項23、24又は26に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられた回転中心の位置を中心として、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項29に記載の発明は、請求項23、24又は27に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記医用画像の前記撮影部位上に設けられたトリミングの中心の位置を中心として、前記医用画像のトリミングの調整を行う。
請求項30に記載の発明は、請求項23、24又は26に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記撮影部位に対応して予め記憶された回転角度の調整の基準の情報に基づき、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項31に記載の発明は、請求項23、24又は26に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記撮影部位を構成する特定の構造物が、所定の方向となるように、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項32に記載の発明は、請求項23、24又は26に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記撮影部位における関節の位置を回転中心の位置として、前記医用画像の回転角度の調整を行う。
請求項33に記載の発明は、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記被写体の前記撮影部位は、肘関節又は膝関節のいずれかである。
【0027】
請求項34に記載の発明は、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準を決定する。
【0028】
請求項35に記載の発明は、請求項34に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、前記医用画像の回転中心の位置調整の基準、前記医用画像のトリミングの調整の基準、及び前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準のうち少なくとも一つを含む。
【0029】
請求項36に記載の発明は、請求項34に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像の回転角度の調整の基準、又は前記医用画像の回転中心の位置調整の基準である。
請求項37に記載の発明は、請求項34に記載のプログラムにおいて、前記医用画像の自動調整基準は、前記医用画像のトリミングの調整の基準、又は前記医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準である。
【0030】
請求項38に記載の発明は、請求項34に記載のプログラムにおいて、前記自動調整基準は、撮影対象の撮影部位の形状又は前記撮影部位の解剖学的部位を示す情報である。
【0031】
請求項39に記載の発明は、請求項23、25、26又は27に記載のプログラムにおいて、前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するか否かとを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整するか否かを決定する。
【0032】
請求項40に記載の発明は、請求項23、25、26又は27に記載のプログラムにおいて、前記自動調整は複数の項目を有し、前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整をするか否かとを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整をするか否かを決定する。
【0033】
請求項41に記載の発明は、請求項23、25、26又は27に記載のプログラムにおいて、前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記自動調整基準を決定する。
【0034】
請求項42に記載の発明は、請求項23、25、26又は27に記載のプログラムにおいて、前記医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準は複数の項目を有し、前記コンピューターを、撮影対象の撮影部位ごとに、前記撮影対象の撮影部位と、前記複数の項目の各項目の自動調整基準とを対応付けて記憶する記憶部として機能させ、前記調整部は、前記認識された撮影部位又は前記医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、前記各項目の自動調整基準を決定する。
【0035】
請求項43に記載の発明は、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記医用画像は、放射線画像である。
【0036】
請求項44に記載の発明は、請求項23から27のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記認識部は、機械学習によって得られた学習済みモデルである。
【0037】
請求項45に記載の発明は、医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識工程と、前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整工程と、前記調整された医用画像を出力する出力工程と、を含む医用画像出力方法である。
請求項46に記載の発明は、請求項45に記載の医用画像出力方法において、前記調整の情報を記憶部に記憶させる記憶工程を含み、前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である。
【0038】
請求項47に記載の発明は、医用画像における被写体の撮影部位を自動認識する認識部と、前記認識された撮影部位に対応して予め記憶された調整の情報に基づき、前記医用画像を自動調整する調整部と、前記調整された医用画像を出力する出力部と、を有する医用画像出力システムである。
請求項48に記載の発明は、請求項47に記載の医用画像出力システムにおいて、前記調整の情報を記憶する記憶部を有し、前記調整の情報は、施設又はユーザーごとに設定可能である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、自動的に画像の調整を行うことで撮影者の業務負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施形態における放射線撮影システムのシステム構成図である。
図2】コンソールの機能的構成を示すブロック図である。
図3】設定テーブルのデータ構成の例を示す図である。
図4】画像上の角度の記載方法を説明するための図である。
図5】(a)は、肘関節側面画像の例である。(b)は、自動回転基準(パターンA1)を示す図である。(c)は、自動回転基準(パターンA2)を示す図である。
図6】(a)は、胸部正面画像の例である。(b)は、自動トリミング基準(パターンB1)を示す図である。(c)は、自動トリミング基準(パターンB2)を示す図である。
図7】(a)は、膝関節側面画像の例である。(b)は、自動回転基準(パターンC1)を示す図である。(c)は、自動回転基準(パターンC2)を示す図である。
図8】出力サイズの自動調整を説明するための図である。
図9】コンソールにおいて実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。
図10】検査画面の例である。
図11】自動調整処理を示すフローチャートである。
図12】肘関節側面画像の例である。
図13】肘関節側面画像を自動回転させた後の画像の例である。
図14】回転後画像に対してトリミング枠を移動させた後の画像の例である。
図15】自動調整された肘関節側面画像を含むプレビュー表示画面の例である。
図16】自動調整された胸部正面画像を含むプレビュー表示画面の例である。
図17】パターンA1に基づいて自動調整された肘関節側面画像を含む検査画面の例である。
図18】パターンA2に基づいて自動調整された肘関節側面画像を含む検査画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。
【0042】
<放射線撮影システムの構成>
まず、本実施形態に係る医用画像出力システムとしての放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1は、システム100のシステム構成図である。
図1に示すように、システム100は、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置1)と、コンソール2と、放射線発生装置(以下、発生装置3)と、画像管理装置4と、を備えている。各装置1~4は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークNを介して互いに通信可能となっている。
【0043】
なお、システム100は、撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、移動可能に構成されたもの(例えば、回診車)でもよい。
また、システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)等と通信可能となっていてもよい。
【0044】
発生装置3は、ジェネレーター31と、照射指示スイッチ32と、放射線源33と、を備えている。
ジェネレーター31は、照射指示スイッチ32が操作されたことに基づいて、予め設定された撮影条件に応じた電圧を放射線源33(管球)に印加する。
放射線源33は、ジェネレーター31から電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線R(例えば、X線等)を発生させる。
【0045】
また、発生装置3は、生成しようとする放射線画像の形態に応じた態様で、放射線Rを発生させる。放射線画像の形態には、静止画、複数のフレームを有する動態画像等がある。
静止画の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線Rの照射を1回だけ行う。
動態画像の場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につきパルス状の放射線Rの照射を所定時間当たり複数回(例えば、1秒間に15回)繰り返すか、又は、放射線Rの照射を所定時間継続する。
【0046】
撮影装置1は、被写体の撮影部位が写った放射線画像のデジタルデータを生成する。
撮影装置1は、可搬型のFPD(Flat Panel Detector)である。
具体的には、撮影装置1は、図示を省略するが、センサー基板、走査部、読み出し部、制御部、通信部等を備える。センサー基板は、放射線Rを受けることで線量に応じた電荷を発生させる撮像素子、及び、電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子が二次元状(マトリクス状)に配列されている。走査部は、各スイッチ素子のON/OFFを切り替える。読み出し部は、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す。制御部は、各部を制御し、読み出し部が読み出した複数の信号値から放射線画像を生成する。通信部は、放射線画像のデータや各種信号等を他の装置(コンソール2、発生装置3、画像管理装置4等)へ送信したり、他の装置から各種情報や各種信号を受信したりする。
【0047】
撮影装置1は、発生装置3から放射線Rが照射されるタイミングと同期して、電荷の蓄積・放出、信号値の読み出しを行う。こうして、撮影装置1は、静止画の画像データ(以下、静止画データ)、又は動態画像の画像データ(以下、動態画像データ)を生成する。
静止画データを生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき放射線画像の生成を1回だけ行う。
動態画像データを生成する場合には、1回の照射指示スイッチ32の押下につき動態画像を構成するフレームの生成を所定時間当たり複数回(例えば、1秒間に15回)繰り返す。
【0048】
なお、撮影装置1は、発生装置3と一体になったものであってもよい。
【0049】
コンソール2は、撮影装置1及び発生装置3の少なくとも一方の装置に各種撮影条件を設定する。コンソール2は、PC、専用の装置等で構成されている。
撮影条件は、例えば、被写体Sに関する条件と、放射線Rの照射に関する条件と、撮影装置1の画像読取に関する条件とを含む。被写体Sに関する条件には、撮影部位、撮影方向、体格等が含まれる。放射線Rの照射に関する条件には、管電圧、管電流、照射時間、電流時間積(mAs値)等が含まれる。撮影装置1の画像読取に関する条件には、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等が含まれる。
【0050】
コンソール2は、他のシステム(HIS、RIS等)から取得した撮影オーダー情報に基づいて、自動で撮影条件を設定してもよい。また、コンソール2は、ユーザー(例えば放射線技師等の撮影者)によって操作部25(図2参照)になされた操作に基づいて、手動で撮影条件を設定してもよい。
【0051】
画像管理装置4は、撮影装置1が生成した画像データを管理する。
画像管理装置4は、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)、画像診断ワークステーション(IWS)等である。
【0052】
<コンソールの詳細構成>
次に、コンソール2の構成について詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係る医用画像出力装置の機能がコンソール2に搭載されている。医用画像出力装置には、放射線画像表示装置、MRI画像表示装置、超音波画像表示装置が含まれる。放射線画像表示装置には、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影装置のコンソール、放射線画像管理装置(PACS)が含まれる。
【0053】
図2は、コンソール2の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コンソール2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25と、を備える。各部21~25は、バス等で電気的に接続されている。
【0054】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成されている。
ROMは、CPUが実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、コンソール2の各部の動作を集中制御する。
【0055】
記憶部22は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。
また、記憶部22は、他の装置(撮影装置1、画像管理装置4等)から取得した放射線画像の画像データを記憶する。
【0056】
また、記憶部22は、学習済みモデルMを記憶している。
学習済みモデルMは、医用画像における被写体の構造物を自動認識する処理を機械学習(例えば、ディープラーニング等)させたものである。学習済みモデルMは、放射線画像の画像データ及び当該放射線画像における被写体の構造物(正解ラベル)を用いて、機械学習させることにより、生成される。
学習済みモデルMは、放射線画像の画像データが入力されると、推論を行い、出力データとして構造物の情報を出力する。
【0057】
また、記憶部22は、RIS等から送信された撮影オーダー情報を記憶する。
【0058】
通信部23は、通信モジュール等で構成されている。
通信部23は、通信ネットワークNを介して有線又は無線で接続された他の装置(撮影装置1、発生装置3、画像管理装置4等)との間で各種信号や各種データを送受信する。
【0059】
表示部24は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ等で構成されている。表示部24は、制御部21から受信した画像信号に応じた放射線画像等を表示する。
【0060】
操作部25は、キーボード、ポインティングデバイス、表示部24の表面に積層されたタッチパネル等を含む。キーボードには、カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等が含まれる。ポインティングデバイスは、例えば、マウス等である。操作部25は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を制御部21に出力する。
【0061】
なお、コンソール2は、表示部24及び操作部25を備えず、例えば通信部23等を介して、コンソール2とは別に設けられた入力装置から制御信号を受信してもよい。また、コンソール2は、コンソール2とは別に設けられた表示装置(モニター)に画像信号を出力してもよい。
また、他の装置(画像管理装置4等)が表示部及び操作部を備える場合、この表示部及び操作部がコンソール2と共用になっていてもよい。すなわち、コンソール2は、他の装置の操作部から制御信号を受信し、他の装置の表示部に画像信号を出力してもよい。
【0062】
制御部21は、医用画像における被写体の構造物を自動認識する。すなわち、制御部21は、認識部として機能する。具体的には、例えば、制御部21は、医用画像を解析して写っている物を認識する。制御部21(認識部)は、エッジの抽出やヒストグラム解析などの画像処理により、医用画像における被写体の構造物を自動認識してもよい。
【0063】
医用画像には、放射線画像、MRI画像、超音波画像が含まれる。本実施形態では、医用画像が放射線画像である場合について説明する。
被写体の構造物には、被写体の対象部位・撮影部位が含まれてもよく、位置決めするための治具やマーカーが含まれてもよい。被写体の構造物は、被写体の対象部位・撮影部位が好ましい。
【0064】
制御部21は、機械学習によって得られた学習済みモデルMを利用して、医用画像における被写体の構造物を自動認識してもよい。学習済みモデルMには、例えば、アルゴリズム(プログラム)と、学習済みパラメーターと、が含まれる。
学習済みモデルMによれば、例えば、関節が人工関節であったり、骨折などにより骨が欠損したりしていたとしても、医用画像における被写体の構造物を自動認識することが容易である。認識の精度が向上するため、調整された医用画像が正しく出力される精度も向上する。
【0065】
制御部21は、認識された構造物に基づき、医用画像を自動調整する。すなわち、調整部として機能する。
医用画像の自動調整には、医用画像の回転や表示範囲の調整が含まれる。表示範囲の調整には、トリミングが含まれる。
【0066】
医用画像の自動調整は、医用画像の回転角度の調整、医用画像の回転中心の位置調整、医用画像のトリミングの調整、及び医用画像のトリミングの中心の位置調整のうち少なくとも一つを含む。
トリミングの調整は、トリミングサイズの調整や、トリミング位置の調整である。
トリミングの中心の位置調整は、医用画像をトリミングする際のX軸方向(例えば、左右方向。水平方向)において中心となる位置の位置調整か、Y軸方向(例えば、上下方向。垂直方向)において中心となる位置の位置調整である。
医用画像の回転角度の調整には、医用画像の傾きを修正することが含まれる。
【0067】
制御部21(調整部)は、認識された構造物又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準を決定する。
【0068】
医用画像の自動調整基準は、医用画像の回転角度の調整の基準、医用画像の回転中心の位置調整の基準、医用画像のトリミングの調整の基準、及び医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準のうち少なくとも一つを含む。
回転角度の調整の基準には、例えば、医用画像を回転させた際の、撮影対象の撮影部位の表示態様や形状が含まれる。また、回転角度の調整の基準には、回転角度の調整の見本となる表示態様や形状が含まれる。
【0069】
自動調整基準は、撮影対象の撮影部位の形状又は撮影部位の解剖学的部位を示す情報である。また、自動調整基準は、医用画像を回転又はトリミングする際の基準となる最終的な表示態様を示す情報を含み得る。
例えば、医用画像の回転の基準の項目において所定の回転角度パターン(後述するパターンA1,A2等)を選択すると、当該回転角度パターンの状態で表示されるように医用画像が回転されることで表示画像が決定される。また、例えば、医用画像のトリミングの基準(X軸方向)の項目において椎体中心を選択すると、医用画像において椎体が中心に位置するようにトリミングされ、表示画像が決定される。
【0070】
記憶部22は、撮影対象の撮影部位ごとに、撮影対象の撮影部位と、医用画像を自動調整するか否かとを対応付けて記憶する。つまり、記憶部22には、医用画像の撮影部位と対応付けられて、医用画像を自動調整するか否かが設定されている。例えば、自動調整する設定の場合には、さらに回転の調整をするか否かや、トリミングの調整をするか否かを設定できる。撮影部位ごとに自動調整するか否かを対応付けて記憶する場合もあれば、撮影部位と撮影方向の情報ごとに自動調整するか否かを対応付けて記憶する場合もある。
【0071】
医用画像の自動調整は、複数の項目を有していてもよい。その場合、記憶部22は、撮影対象の撮影部位ごとに、撮影対象の撮影部位と、複数の項目の各項目の自動調整をするか否かとを対応付けて記憶する。
【0072】
制御部21(調整部)は、記憶部22に記憶された対応関係(撮影部位-自動調整するか否か)を参照して、認識された構造物である撮影対象の撮影部位又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、自動調整するか否かを決定する。
【0073】
医用画像の自動調整が複数の項目を有する場合、制御部21(調整部)は、記憶部22に記憶された対応関係を参照して、認識された構造物である撮影対象の撮影部位又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、各項目の自動調整をするか否かを決定する。
【0074】
記憶部22は、撮影対象の撮影部位ごとに、撮影対象の撮影部位と、医用画像を自動調整するための基準である自動調整基準とを対応付けて記憶する。つまり、記憶部22には、医用画像の撮影部位と対応付けられて、医用画像の自動調整基準が設定されている。
【0075】
自動調整基準は、複数の項目を有していてもよい。その場合、記憶部22は、撮影対象の撮影部位ごとに、撮影対象の撮影部位と、複数の項目の各項目の自動調整基準とを対応付けて記憶する。
【0076】
制御部21(調整部)は、記憶部22に記憶された対応関係(撮影部位-自動調整基準)を参照して、認識された構造物である撮影対象の撮影部位又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、自動調整基準を決定する。
【0077】
自動調整基準が複数の項目を有する場合、制御部21(調整部)は、記憶部22に記憶された対応関係を参照して、認識された構造物である撮影対象の撮影部位又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、各項目の自動調整基準を決定する。
【0078】
一実施態様において、医用画像出力装置は、自動調整された医用画像を表示する表示部を備える。コンソール2の表示部24は、調整された医用画像を出力する出力部の一実施態様である。
また、別の実施態様において、医用画像出力装置が、自動調整された医用画像を記憶する記憶部を備え、記憶された医用画像を表示する表示部を備えていてもよい。この実施態様は、先に調整後の画像を保存しておき、調整後の画像を表示するパターンである。
また、別の実施態様において、医用画像出力装置が、自動調整の角度、位置の情報を記憶する記憶部を備え、自動調整の角度、位置の情報に基づき表示画像を表示する表示部を備えていてもよい。この実施態様は、調整の角度、位置の情報を保存しておき、表示のタイミングで調整するパターンである。
また、別の実施態様において、医用画像出力装置が、自動調整された医用画像、自動調整され記憶された医用画像、及び自動調整の角度、位置の情報の少なくとも一つを他の装置に出力する出力部を備えていてもよい。
【0079】
記憶部22には、設定テーブル221が記憶されている。設定テーブル221には、撮影部位ごとに、医用画像を自動調整するか否かと、医用画像の自動調整基準と、が設定されている。設定テーブル221は、例えば、システム100を利用する医療施設ごとに設定可能となっている。また、設定テーブル221は、ユーザー(医師等の医療従事者)ごと、又は、ユーザーが所属するグループごとに設定可能としてもよい。
【0080】
図3に、設定テーブル221のデータ構成の例を示す。
図3に示す設定テーブル221には、撮影部位ごとに、自動トリミング機能のON/OFF、自動トリミング基準、自動回転機能のON/OFF、自動回転基準が対応付けられている。ここで、撮影部位には、撮影方向も含まれている。
【0081】
自動トリミング機能のON/OFFは、医用画像のトリミングに関する自動調整をするか否かを示す情報である。トリミングに関する自動調整をする場合には「ON」、トリミングに関する自動調整をしない場合には「OFF」が設定されている。なお、トリミング調整は、医用画像の所定範囲外を取り除くことに限定されず、医用画像の表示範囲や表示位置の調整を含む。
【0082】
自動トリミング基準は、医用画像のトリミングに関する自動調整基準である。自動トリミング基準には、例えば、トリミングの中心位置(X軸方向、Y軸方向)が含まれる。トリミングの中心位置として、2方向(X軸方向、Y軸方向)のうち、いずれか一方のみが指定されていてもよい。また、自動トリミング基準として、医用画像内に所定の構造物が入るような位置関係が指定されていてもよい。例えば、撮影部位「腹部正面」に対して、Y軸方向における自動トリミング基準として、「上部に横隔膜が入ればOK」等の位置関係が指定されることもある。
【0083】
自動回転機能のON/OFFは、医用画像の回転に関する自動調整をするか否かを示す情報である。回転に関する自動調整をする場合には「ON」、回転に関する自動調整をしない場合には「OFF」が設定されている。
【0084】
自動回転基準は、医用画像の回転に関する自動調整基準である。自動回転基準には、例えば、回転の中心位置(X軸方向、Y軸方向)、回転角度パターンが含まれる。回転の中心位置は、医用画像を回転させる際の回転軸の位置である。回転角度パターンは、例えば、画像をどのような位置関係で表示させたいか(目標とする回転状態)を示す情報である。
【0085】
例えば、図3に示す設定テーブル221では、撮影部位「胸部正面」に対して、X軸方向(左右方向)のトリミング中心が「椎体(背骨)の中心」に、Y軸方向(上下方向)の中心が「第6胸椎と第7胸椎の間」に設定されている。
ただし、Y軸方向については、写っている被写体を全て確認可能とするために、位置調整しないという方針もある。そのため、Y軸方向のトリミング(センタリング)について、別途ON/OFFの設定を可能としてもよい。
また、撮影部位「胸部正面」に対しては、背骨の曲がり具合等が分からなくなってしまうという理由から、回転機能を使わないことが一般的である。
【0086】
なお、自動調整基準について、同一の撮影部位に対して一般的に複数のパターン(基準)が存在する場合には、ユーザーが設定する際にパターンの選択肢(候補)を提示し、選択肢の中から選択できるようにする。
【0087】
<自動調整の例>
自動調整の例として、「肘関節側面画像」に対する自動回転及び自動トリミングについて説明する。
以下、画像上の角度の説明では、図4に示すように、XY平面の原点を中心としてX軸の正の向きを0度とし、反時計回りに角度を取ることとする。
【0088】
図5(a)に、肘関節側面画像50の例を示す。
肘関節側面画像50には、上腕骨51、前腕骨52(尺骨・橈骨)、上腕骨側の関節可動部(上腕骨滑車53)が写っている。肘関節側面画像50は、上腕骨滑車53を中心として、上腕骨51及び前腕骨52が所定の角度になるように調整される。回転角度については、少なくとも2パターンが存在する。
右腕の場合、図5(b)に示すように、肘関節を略90度曲げた状態で上腕骨方向D1を45度方向、前腕骨方向D2を315度方向に向けた回転角度を「パターンA1」とする。左腕の場合、「パターンA1」は、上腕骨方向D1を135度方向、前腕骨方向D2を225度方向に向けた状態となる。
また、右腕の場合、図5(c)に示すように、肘関節を略90度曲げた状態で上腕骨方向D1を90度方向、前腕骨方向D2を0度方向に向けた回転角度を「パターンA2」とする。左腕の場合、「パターンA2」は、上腕骨方向D1を90度方向、前腕骨方向D2を180度方向に向けた状態となる。
どちらの基準で回転させるかは、予め設定で変更可能とする。
また、上腕骨滑車53が画像の中心となるように、画像位置が調整される。
【0089】
「肘関節側面画像」に対する自動調整方法について説明する。
(1)肘関節側面画像50において、認識された上腕骨滑車53の中心(画像の回転中心)の位置を計算する。
(2)この回転中心を原点とした上腕骨51と前腕骨52の角度方向を計算する。
(3)上腕骨方向D1と前腕骨方向D2とのなす角度の二等分線L1を求める(図5(b)、図5(c)参照)。
(4)自動回転基準として「パターンA1」が設定されている場合、図5(b)に示すように、右腕の「肘関節側面画像」に対して、二等分線L1が0度方向を向くように、画像を回転させる。自動回転基準として「パターンA2」が設定されている場合、図5(c)に示すように、右腕の「肘関節側面画像」に対して、二等分線L1が45度方向を向くように、画像を回転させる。
なお、「肘関節側面画像」において、肘関節を曲げた角度が略90度でない場合には、上腕骨方向D1のみが90度方向になるように、画像を回転させる。
【0090】
次に、「胸部正面画像」に対する自動トリミングについて説明する。
図6(a)に、胸部正面画像60の例を示す。
胸部正面画像60には、肺野、椎体等が写っている。胸部正面画像60は、肺野の左右方向の中心(椎体)が画像の左右方向(X軸方向)の中心になるように、位置が調整される。
胸部正面画像60の画像の上下方向(Y軸方向)については、調整しない場合、肺尖(肺野の上端)の位置を合わせる場合、所定の構造物の位置を画像中心とする場合等が存在する。
図6(b)に示すように、肺野の左右方向の中心L2が画像の左右方向の中心になるように、トリミングした状態を「パターンB1」とする。
図6(c)に示すように、肺野の左右方向の中心L2が画像の左右方向の中心になるように、また、肺尖が画像領域の上端から所定値L3(何cm等)となるように、トリミングした状態を「パターンB2」とする。
また、図示は省略するが、所定の構造物の位置として、例えば、第6胸椎と第7胸椎との間が画像の上下方向の中心になるように調整してもよい。
画像の左右方向と上下方向について、それぞれ、設定された基準に基づいて、位置が調整される。
【0091】
「胸部正面画像」に対する自動調整方法について説明する。
(1)図6(a)に示すように、胸部正面画像60において、認識された肺野を取り囲む矩形領域61を、関心領域(ROI:Region of Interest)として検出する。
(2)矩形領域61の左右方向の中心L2が画像の左右方向の中心になるように、画像の位置を調整する(図6(b)、図6(c)参照)。
(3)上下方向において肺尖の位置が指定されている場合には、図6(c)に示すように、矩形領域61の上端が画像領域の上端から所定値L3の位置になるように調整する。
【0092】
なお、ここでは、肺野の左右方向の中心L2(矩形領域61の中心)が椎体の中心と一致することを前提としている。胸部正面画像60から椎体を自動認識することで、椎体の中心位置を求めてもよい。
【0093】
次に、「膝関節側面画像」に対する自動回転及び自動トリミングについて説明する。
図7(a)に、膝関節側面画像70の例を示す。
膝関節側面画像70には、大腿骨71、下腿骨72(脛骨・腓骨)、大腿骨顆部が写っている。膝関節側面画像70は、大腿骨顆部中心73を中心として、大腿骨71及び下腿骨72が所定の角度になるように調整される。ここでは、回転中心の「膝関節の中心」として、大腿骨顆部中心73を用いる。回転角度については、少なくとも2パターンが存在する。
図7(b)に示すように、下腿骨方向D4を270度方向(下方向)に向けた回転角度を「パターンC1」とする。
また、右膝の場合、図7(c)に示すように、大腿骨方向D3と下腿骨方向D4とのなす角度の二等分線L4を0度方向に向けた回転角度を「パターンC2」とする。左膝の場合、「パターンC2」は、大腿骨方向D3と下腿骨方向D4とのなす角度の二等分線L4を180度方向に向けた状態となる。
どちらの基準で回転させるかは、予め設定で変更可能とする。
また、大腿骨顆部中心73が画像の中心となるように、画像位置が調整される。
【0094】
「膝関節側面画像」に対する自動調整方法について説明する。
(1)膝関節側面画像70において、認識された大腿骨顆部中心73(画像の回転中心)の位置を計算する。
(2)この回転中心を原点とした大腿骨71と下腿骨72の角度方向を計算する。
(3)自動回転基準として「パターンC2」が設定されている場合、大腿骨方向D3と下腿骨方向D4とのなす角度の二等分線L4を求める。
(4)自動回転基準として「パターンC1」が設定されている場合、図7(b)に示すように、「膝関節側面画像」に対して、下腿骨方向D4が270度方向を向くように、画像を回転させる。自動回転基準として「パターンC2」が設定されている場合、図7(c)に示すように、右膝の「膝関節側面画像」に対して、二等分線L4が0度方向を向くように、画像を回転させる。自動回転基準として「パターンC2」が設定されている場合、左膝の「膝関節側面画像」に対して、二等分線L4が180度方向を向くように、画像を回転させる。
【0095】
また、自動トリミング調整において、医用画像から認識したROIが、画像の出力サイズより大きい場合に、自動的に出力サイズを変更してもよい。
例えば、図8(a)に示すように、医用画像全体80からROI81が認識されたこととする。出力サイズ82が大角(14×14inch)であるのに対し、ROI81の高さが15inchであった。この場合、図8(b)に示すように、出力サイズ82の高さを15inch以上になるように自動的に変更する。
【0096】
<コンソールの動作>
次に、コンソール2の動作について説明する。
図9は、コンソール2において実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。撮影制御処理は、制御部21のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0097】
まず、制御部21は、操作部25からの操作により、実施する撮影(撮影部位、撮影方向)の撮影オーダー情報の選択を受け付ける(ステップS1)。
【0098】
図10に、表示部24に表示される検査画面241の例を示す。検査画面241には、撮影選択領域241A、設定領域241B、画像表示領域241C、出力ボタン241D等が設けられている。
撮影選択領域241Aには、各撮影オーダー情報に対応する各撮影の内容(撮影部位、撮影方向等)が表示されている。
設定領域241Bは、撮影の画像読取条件や画像処理条件を設定するための領域である。
画像表示領域241Cには、撮影された放射線画像が表示される。なお、ステップS1の段階では、画像表示領域241Cには、まだ放射線画像は表示されていない。
出力ボタン241Dには、放射線画像の出力を指示するためのボタンである。
【0099】
ユーザー(放射線技師等の撮影者)は、操作部25を操作して、検査画面241の撮影選択領域241Aにおいて、いずれかの撮影オーダー情報を選択する。
【0100】
次に、制御部21は、撮影装置1や発生装置3に撮影条件を設定する(ステップS2)。
例えば、制御部21は、選択された撮影オーダー情報に基づいて、自動的に撮影装置1及び発生装置3に撮影条件を設定する。
あるいは、制御部21は、検査画面241におけるユーザーの操作部25からの操作に応じて、実施する撮影の撮影条件を撮影装置1及び発生装置3に設定してもよい。
【0101】
次に、ユーザーは、発生装置3の放射線源33と撮影装置1との間に被写体Sを配置し、ポジショニングを行う。
そして、ユーザーが照射指示スイッチ32を操作すると、発生装置3は、被写体Sの撮影部位に、放射線Rを照射する。
撮影装置1は、発生装置3から放射線Rを受けるタイミングで撮影部位が写った放射線画像(静止画、動態画像)を生成する。撮影装置1は、放射線画像の画像データ(静止画データ、動態画像データ)をコンソール2に送信する。
【0102】
コンソール2の制御部21は、撮影により生成された放射線画像の画像データを、通信部23を介して取得する(ステップS3)。
【0103】
次に、制御部21は、放射線画像の画像データを解析し、放射線画像における被写体の構造物を自動認識する(ステップS4)。例えば、制御部21は、学習済みモデルMを読み出して、放射線画像における構造物を自動認識する。制御部21は、学習済みモデルMに、受信した放射線画像の画像データを入力し、推論させることにより、構造物の認識結果を出力させる。
学習済みモデルMは、構造物の認識結果として、例えば、撮影部位、撮影方向、骨の名称及び位置、臓器の名称及び位置等を出力する。
【0104】
次に、制御部21は、認識された構造物に基づいて、放射線画像に対して自動調整処理を行う(ステップS5)。
ここで、図11を参照して、自動調整処理について説明する。
【0105】
制御部21は、記憶部22に記憶されている設定テーブル221を参照して、放射線画像の撮影部位に対応する自動回転機能がONであるか否かを判断する(ステップS11)。
放射線画像の撮影部位は、ステップS4で放射線画像から自動認識された情報であってもよいし、ステップS1で選択された撮影オーダー情報に含まれる情報であってもよい。
【0106】
放射線画像の撮影部位に対応する自動回転機能がONである場合には(ステップS11;YES)、制御部21は、設定テーブル221から、放射線画像の撮影部位に対応する自動回転基準を取得する(ステップS12)。自動回転基準には、画像の回転中心、回転角度パターンが含まれる。
【0107】
次に、制御部21は、自動回転基準に含まれる回転中心と、放射線画像内から認識された構造物と、に基づいて、放射線画像内のどの位置を中心に回転させるか(回転中心位置)を算出する(ステップS13)。
【0108】
次に、制御部21は、放射線画像が自動回転基準に合うように、画像の回転量を算出する(ステップS14)。例えば、制御部21は、自動回転基準に含まれる回転角度パターンと、放射線画像内から認識された構造物と、に基づいて、放射線画像を回転角度パターンに沿った配置とするための回転量を算出する。
【0109】
次に、制御部21は、放射線画像を、回転中心位置を中心として、算出された回転量だけ回転させる(ステップS15)。
【0110】
ステップS15の後、又は、ステップS11において、放射線画像の撮影部位に対応する自動回転機能がONでない場合には(ステップS11;NO)、処理はステップS16に進む。
【0111】
ステップS16では、制御部21は、放射線画像の撮影部位に対応する自動トリミング機能がONであるか否かを判断する。
【0112】
放射線画像の撮影部位に対応する自動トリミング機能がONである場合には(ステップS16;YES)、制御部21は、設定テーブル221から、放射線画像の撮影部位に対応する自動トリミング基準を取得する(ステップS17)。
【0113】
次に、制御部21は、自動トリミング基準に含まれるトリミング中心と、放射線画像内から認識された構造物と、に基づいて、放射線画像内のどの位置を中心にトリミングするか(トリミング中心位置)を算出する(ステップS18)。
【0114】
次に、制御部21は、放射線画像が自動トリミング基準に合うように、画像のシフト量、トリミングサイズを算出する(ステップS19)。例えば、制御部21は、自動トリミング基準と、放射線画像内から認識された構造物と、に基づいて、放射線画像を自動トリミング基準に沿った配置とするためのシフト量、トリミングサイズを算出する。
【0115】
次に、制御部21は、放射線画像のトリミング位置を調整する(ステップS20)。制御部21は、トリミング中心位置、シフト量、トリミングサイズに従って、トリミング位置を調整する。
【0116】
ステップS20の後、又は、ステップS16において、放射線画像の撮影部位に対応する自動トリミング機能がONでない場合には(ステップS16;NO)、自動調整処理が終了する。
【0117】
ここで、図12図14を参照して、構造物の自動認識及び自動調整の具体例について説明する。
図12に示す肘関節側面画像50を処理対象とする場合、制御部21は、ステップS4において、肘関節側面画像50から上腕骨51、前腕骨52、上腕骨滑車53等を認識する。また、制御部21は、画像内から認識された上腕骨51、前腕骨52、上腕骨滑車53等に基づいて、肘関節側面画像50の撮影部位が「右腕」の「肘関節側面」であることを認識する。
【0118】
ここでは、設定テーブル221において、撮影部位「肘関節側面」に対して、自動回転機能が「ON」、X軸方向及びY軸方向の回転中心が「上腕骨滑車中心」、回転角度パターンが「パターンA1(図5(b)参照)」に設定されていることとする。
また、設定テーブル221において、撮影部位「肘関節側面」に対して、自動トリミング機能が「ON」、X軸方向及びY軸方向のトリミング中心が「上腕骨滑車中心」に設定されていることとする。
【0119】
ステップS15では、制御部21は、図13に示すように、上腕骨滑車53を中心として、上腕骨方向と前腕骨方向とのなす角度の二等分線L1が0度方向を向くように、肘関節側面画像50を回転させ、回転後画像50Aとする。
ステップS20では、制御部21は、図14に示すように、回転後画像50Aについて、トリミング枠50Bの中心が上腕骨滑車53と一致するように、トリミング枠50Bを移動させる。
【0120】
自動調整処理の後、図9に戻り、制御部21は、自動調整された放射線画像を表示部24にプレビュー表示する(ステップS6)。
【0121】
図15に、表示部24に表示されるプレビュー表示画面242の例を示す。プレビュー表示画面242は、検査画面241に重畳して表示される。プレビュー表示画面242には、自動調整された肘関節側面画像が表示されている。具体的には、プレビュー表示画面242には、パターンA1(図5(b)参照)に合うように自動回転され、上腕骨滑車中心が画像中心となるように自動トリミングされた肘関節側面画像が表示されている。
【0122】
図16に、表示部24に表示される別のプレビュー表示画面243の例を示す。プレビュー表示画面243は、検査画面241に重畳して表示される。プレビュー表示画面243には、自動調整された胸部正面画像(胸部立位)が表示されている。
なお、設定テーブル221において、撮影部位「胸部正面」に対して、自動トリミング機能が「ON」、X軸方向のトリミング中心が「椎体の中心」、Y軸方向のトリミング中心が「なし」に設定されていることとする。
また、設定テーブル221において、撮影部位「胸部正面」に対して、自動回転機能が「OFF」に設定されていることとする。
プレビュー表示画面243には、椎体の中心(肺野の左右方向の中心L2)が画像のX軸方向の中心になるように、自動トリミングされた胸部正面画像が表示されている。
【0123】
ここでは、コンソール2に放射線画像が取り込まれた際に、自動調整後の画像を表示しているが(初期表示)、制御部21は、任意のタイミングで画像の自動回転調整及び自動トリミング調整を行ってもよい。例えば、調整前の放射線画像が表示された状態で、ユーザーの所定の操作(自動調整ボタンの押下等)に応じて、自動調整後の画像を表示するようにしてもよい。
また、自動調整後の画像を表示するタイミングについて、「初期表示」、「ボタン押下時」等から予め設定可能としてもよい。この設定についても、施設ごと、ユーザーごとに変更可能とする。
【0124】
ユーザーは、プレビュー表示された自動調整後の放射線画像を確認する。例えば、ユーザーが操作部25からの操作により、プレビュー表示画面242,243の閉じるボタン242A,243A(図15図16参照)を押下する。すると、制御部21は、プレビュー表示されていた自動調整後の放射線画像を、検査画面241の画像表示領域241C(図10参照)に表示させる。
【0125】
図17及び図18に、検査画面241の画像表示領域241Cに自動調整後の放射線画像が表示された場合の表示例を示す。図17及び図18に示す検査画面241の画面構成は、図10と同様である。
図17に示す画像表示領域241Cには、パターンA1(図5(b)参照)に合うように自動回転され、上腕骨滑車中心が画像中心となるように自動トリミングされた肘関節側面画像が表示されている。
【0126】
図18では、設定テーブル221において、撮影部位「肘関節側面」に対して、自動回転機能が「ON」、X軸方向及びY軸方向の回転中心が「上腕骨滑車中心」、回転角度パターンが「パターンA2(図5(c)参照)」に設定されていることとする。
また、設定テーブル221において、撮影部位「肘関節側面」に対して、自動トリミング機能が「ON」、X軸方向及びY軸方向のトリミング中心が「上腕骨滑車中心」に設定されていることとする。
図18に示す画像表示領域241Cには、パターンA2(図5(c)参照)に合うように自動回転され、上腕骨滑車中心が画像中心となるように自動トリミングされた肘関節側面画像が表示されている。
【0127】
ユーザーは、操作部25からの操作により、自動調整された放射線画像に対し、さらに手動で調整を加えてもよい。
【0128】
ユーザーが操作部25からの操作により、検査画面241の出力ボタン241D(図17図18参照)を押下すると、制御部21は、画像表示領域241Cに表示されている放射線画像を出力する(ステップS7)。例えば、制御部21は、自動調整後の放射線画像を記憶部22に保存させる。また、制御部21は、自動調整後の放射線画像を、通信部23により画像管理装置4に送信する。
以上で、撮影制御処理が終了する。
【0129】
以上説明したように、コンソール2の制御部21は、医用画像における被写体の構造物を自動認識し、認識された構造物に基づき、医用画像を自動調整する。これにより、ユーザーが手動で医用画像を調整する必要がなくなる。制御部21は、ユーザー(放射線技師等の撮影者)の技量に関係なく、常に安定したレベルで調整された画像を出力できる。制御部21によれば、自動的に画像の調整を行うことで撮影者の業務負荷を低減させることができる。医療施設等で、被写体の配置が統一された画像を得られるため、その後の読影が容易となる。
【0130】
例えば、制御部21は、医用画像の回転角度の調整、医用画像の回転中心の位置調整、医用画像のトリミングの調整、及び医用画像のトリミングの中心の位置調整等を行うことができる。
【0131】
また、制御部21は、認識された構造物又は医用画像に係る撮影オーダー情報に基づき、自動調整基準を決定できる。
具体的には、制御部21は、医用画像の回転角度の調整の基準、医用画像の回転中心の位置調整の基準、医用画像のトリミングの調整の基準、医用画像のトリミングの中心の位置調整の基準等を決定できる。
【0132】
例えば、自動調整基準として、撮影対象の撮影部位の形状又は撮影部位の解剖学的部位を示す情報を用いることで、調整の見本となる表示態様や目標とする医用画像の配置状態を設定できる。
【0133】
また、記憶部22において、撮影対象の撮影部位と、医用画像を自動調整するか否かとが対応付けられているので、制御部21は、撮影部位に基づいて、自動調整するか否かを決定できる。
ここで、制御部21は、自動調整するか否かを決定する際に用いる撮影部位として、医用画像において認識された構造物を利用する場合には、医用画像から得られた情報に基づいて、自動調整するか否かを決定できる。
制御部21は、自動調整するか否かを決定する際に用いる撮影部位として、撮影オーダー情報に含まれる情報を利用する場合には、撮影時に設定された情報に基づいて、自動調整するか否かを決定できる。
【0134】
また、制御部21は、自動回転機能、自動トリミング機能等の項目ごとに、撮影部位に基づいて、自動調整するか否かを決定できる。
【0135】
また、記憶部22において、撮影対象の撮影部位と、自動調整基準とが対応付けられているので、制御部21は、撮影部位に基づいて、自動調整基準を決定できる。
ここで、制御部21は、自動調整基準を決定する際に用いる撮影部位として、医用画像において認識された構造物を利用する場合には、医用画像から得られた情報に基づいて、自動調整基準を決定できる。
制御部21は、自動調整基準を決定する際に用いる撮影部位として、撮影オーダー情報に含まれる情報を利用する場合には、撮影時に設定された情報に基づいて、自動調整基準を決定できる。
【0136】
また、制御部21は、自動回転基準、自動トリミング基準等の項目ごとに、撮影部位に基づいて、自動調整基準を決定できる。
【0137】
具体的には、医療施設内の取り決めや各医師に合わせて、設定テーブル221に、撮影部位ごとに、自動調整するか否かと、自動調整基準とを予め設定しておくことができる。
【0138】
また、制御部21は、医用画像から認識された構造物に基づいて、自動調整基準に従って、調整量(回転量、シフト量等)を算出するので、画像の実情に即した調整を行うことができる。
【0139】
また、医用画像における被写体の構造物を自動認識する認識部として、機械学習によって得られた学習済みモデルMを利用することにより、精度良く構造物を自動認識することができる。
【0140】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0141】
上記実施形態では、本発明に係る医用画像出力装置の機能がコンソール2に搭載されている場合について説明したが、医用画像出力装置の機能は、コンソール2とは別の装置に搭載されていてもよい。また、医用画像出力装置の機能を備えた専用の装置が設置されていてもよい。
【0142】
上記実施形態では、コンソール2の制御部21は、自動調整された画像を表示部24に表示させることとして説明したが、コンソール2とは別体の表示装置に表示させてもよい。また、本発明の認識部、調整部、出力部が、それぞれ異なる装置に搭載されて医用画像出力システムが構成されてもよい。
【0143】
また、設定テーブル221に、同一の撮影部位に対して複数種類の自動調整基準を用意しておき、医療施設の運用に合わせて、採用する自動調整基準を切り替えるようにしてもよい。
【0144】
また、本発明の調整部が、機械学習によって得られた学習済みモデルであってもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、医用画像の調整として、回転及びトリミングについて説明したが、制御部21は、医用画像の階調、コントラスト等を自動調整してもよい。
【0146】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 放射線画像撮影装置(撮影装置)
2 コンソール
3 放射線発生装置(発生装置)
4 画像管理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 表示部
25 操作部
31 ジェネレーター
32 照射指示スイッチ
33 放射線源
100 放射線撮影システム(システム)
221 設定テーブル
M 学習済みモデル
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18