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▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】接続方法および接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20250624BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20250624BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20250624BHJP
   G02B 6/024 20060101ALI20250624BHJP
   G02B 6/06 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
G01M11/00 G
G02B6/26
G02B6/02 461
G02B6/024
G02B6/06 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2025522057
(86)(22)【出願日】2025-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2025004453
【審査請求日】2025-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2024032323
(32)【優先日】2024-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100224546
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 龍
(72)【発明者】
【氏名】小林 優斗
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-29758(JP,A)
【文献】特開2000-187131(JP,A)
【文献】特開平11-230865(JP,A)
【文献】国際公開第2023/157564(WO,A1)
【文献】米国特許第6480651(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
G02B 6/00 - G02B 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素を含む第一光ファイバ部材と、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素をそれぞれが含む複数の第二光ファイバ部材を準備するステップと、
並んで配列された前記複数の第二光ファイバ部材のうちの一つの第二光ファイバ部材に含まれる前記対象要素に対する、前記第一光ファイバ部材に含まれる前記対象要素のずれ量が減少するように、前記第一光ファイバ部材を前記第一光ファイバ部材の前記中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させて回転調心を行うステップと、
前記第一光ファイバ部材の前記端面を前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面に接続するステップと、を備え、
前記回転調心を行うステップにおいて、前記一つの第二光ファイバ部材は回転されない、
接続方法。
【請求項2】
前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面を撮像するステップと、
前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面の画像を用いて、前記一つの第二光ファイバ部材に含まれる前記対象要素の回転位置を検出するステップと、
前記一つの第二光ファイバ部材に含まれる前記対象要素の回転位置に対する、前記第一光ファイバ部材に含まれる前記対象要素の回転位置のずれを、前記所定の回転角度として算出するステップと、
を更に備える、
請求項1に記載の接続方法。
【請求項3】
前記回転調心を行うステップでは、
前記第一光ファイバ部材を保持するホルダが、モータによって前記所定の回転角度だけ回転される、
請求項1に記載の接続方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接続方法を実施するための接続装置であって、
並んで配列された前記複数の第二光ファイバ部材を支持する支持機構と、
前記一つの第二光ファイバ部材に対面するように配置された前記第一光ファイバ部材を支持し、前記第一光ファイバ部材の前記中心軸の周りに前記第一光ファイバ部材を回転可能に保持する回転調心機構と、
を備え、
前記第一光ファイバ部材は前記所定の回転角度だけ回転した状態で前記回転調心機構に保持され、前記第一光ファイバ部材の前記端面は前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面に接続されている、
接続装置。
【請求項5】
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前記前方部分を除く後方部分を含み、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記前方部分は、前記支持機構に支持され、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記前方部分は、樹脂材によって束ねられている、
請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前記前方部分を除く後方部分を含み、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記前方部分は、前記支持機構に支持され、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記後方部分は、樹脂材によって束ねられている、
請求項4に記載の接続装置。
【請求項7】
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前記前方部分を除く後方部分を含み、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記前方部分は、前記支持機構に支持され、
前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前記前方部分および前記後方部分は、樹脂材によって束ねられている、
請求項4に記載の接続装置。
【請求項8】
前記回転調心機構は、
前記第一光ファイバ部材を保持するホルダと、
前記ホルダに連結されたモータと、
前記モータと通信可能に接続され、前記ホルダが前記所定の回転角度だけ回転するように、前記モータの回転角度を制御する制御器と、を含む、
請求項4に記載の接続装置。
【請求項9】
前記回転調心機構は、
前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面を撮像する撮像部を更に含み、
前記制御器は、
前記一つの第二光ファイバ部材の前記端面の画像を用いて、前記第二光ファイバ部材の前記対象要素の回転位置を検出する検出部と、
前記一つの第二光ファイバ部材に含まれる前記対象要素の回転位置に対する、前記第一光ファイバ部材に含まれる前記対象要素の回転位置のずれを、前記所定の回転角度として算出する演算部と、
前記所定の回転角度だけ前記ホルダを回転させる制御信号を、前記モータに出力する出力部と、を含む、
請求項8に記載の接続装置。
【請求項10】
前記ホルダは、
前記第一光ファイバ部材を保持するホルダ部と、
前記ホルダ部に連結され、前記モータの回転に応じて前記第一光ファイバ部材の前記中心軸の周りに回転可能な回転部と、
前記モータの回転駆動力を前記回転部に伝達する駆動力伝達部と、
前記回転部を回転可能に支持する回転支持部と、を含む、
請求項8に記載の接続装置。
【請求項11】
前記ホルダ部は、
前記第一光ファイバ部材を支持するV溝が形成された支持台と、
前記第一光ファイバ部材を覆うように前記支持台に乗せられる蓋と、を含む、
請求項10に記載の接続装置。
【請求項12】
前記駆動力伝達部は、前記回転部の外周面に形成された複数のギア溝である、
請求項10に記載の接続装置。
【請求項13】
前記回転支持部は、
前記回転部に連結され、前記回転部とともに前記中心軸の周りに回転可能な円柱状の第一回転ガイド部と、
前記第一回転ガイド部が挿入されるガイド穴を含む第二回転ガイド部と、を含み、
前記ガイド穴の内周面と前記第一回転ガイド部の外周面との間には、隙間が設けられている、
請求項12に記載の接続装置。
【請求項14】
前記ホルダは、前記回転部および前記回転支持部にわたって形成され、前記第一光ファイバ部材が延びる方向に交差する方向に沿って延びるスリットを含み、
前記スリットには、前記第一光ファイバ部材のうち前記ホルダ部から前記回転支持部まで延びる部分が配置されている、
請求項13に記載の接続装置。
【請求項15】
前記支持機構は、
前記複数の第二光ファイバ部材をそれぞれ支持する複数のV溝が形成された支持台部と、
前記支持台部を収容する収容凹部が形成された支持台収容部と、を含む、
請求項4に記載の接続装置。
【請求項16】
前記第一光ファイバ部材および前記複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、マルチコア光ファイバ、偏波保持ファイバ、およびバンドルファイバのいずれかである、
請求項4に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続方法および接続装置に関する。本出願は、2024年3月4日出願の日本出願第2024-032323号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、多心マルチコア光ファイバ(以下、マルチコア光ファイバを「MCF」と記す)を備える多心コネクタを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-052704号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態に係る接続方法は、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素を含む第一光ファイバ部材と、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素をそれぞれが含む複数の第二光ファイバ部材を準備するステップと、並んで配列された複数の第二光ファイバ部材のうちの一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素に対する、第一光ファイバ部材に含まれる対象要素のずれ量が減少するように、第一光ファイバ部材を第一光ファイバ部材の中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させて回転調心を行うステップと、第一光ファイバ部材の端面を一つの第二光ファイバ部材の端面に接続するステップと、を備え、回転調心を行うステップにおいて、一つの第二光ファイバ部材は回転されない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、一実施形態に係る接続装置を備える測定システムの概略構成を示す平面図である。
図2A図2Aは、図1のIIa-IIa線に沿った測定対象ファイバの断面図である。
図2B図2Bは、図1のIIb-IIb線に沿った入射用ファイバの断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿ったホルダの断面図である。
図4図4は、図1の制御器の機能的構成要素を示す図である。
図5A図5Aは、入射用ファイバの端面を示す図である。
図5B図5Bは、測定対象ファイバの端面を示す図である。
図5C図5Cは、回転調心に必要な入射用ファイバの回転角度を説明するための図である。
図6図6は、一実施形態の接続方法を実施するための各ステップを示すフローチャートである。
図7図7は、図6の一つのステップを実施する接続装置を示す平面図である。
図8図8は、図6の別のステップを実施する接続装置を示す平面図である。
図9図9は、測定対象ファイバを支持する支持機構の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
従来、ケーブルに実装された多心シングルコア光ファイバ(以下、シングルコア光ファイバを「SCF」と記す)を検査する場合に、測定器からの測定光を多心SCFに入力するために、測定器に接続された単心SCFに多心SCFを接続する作業が行われていた。この作業では、単心SCFに多心SCFを接続する前に、単心SCFのコアの位置に多心SCFのコアの位置が一致するように、単心SCFに対する多心SCFの3次元位置の調整が行われる。
【0007】
多心SCFに代えて、上述したような多心MCFを検査する場合、測定器に接続された単心MCFに多心MCFを接続する作業が行われることが想定される。この作業では、単心MCFのコアの位置に多心MCFのコアの位置を一致させるために、単心MCFに対する多心MCFの3次元位置の調整に加えて、単心MCFと多心MCFとの回転位置を調整する回転調心が必要とされる。この場合、多心MCFの回転位置を調整するために、多心MCFを複数の単心MCFに分ける作業が発生することが想定される。このような作業の発生は、単心MCFと多心MCFとを接続させる作業の効率を低下させ得る。また、分けられた複数の単心MCFそれぞれを回転させる作業が発生することも想定される。この作業も単心MCFと多心MCFとを接続させる作業の効率を低下させ得る。
【0008】
本開示は、作業の効率を向上できる接続方法および接続装置を提供する。
【0009】
[本開示の効果]
本開示による接続方法および接続装置によれば、作業の効率を向上できる。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一実施形態に係る接続方法は、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素を含む第一光ファイバ部材と、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素をそれぞれが含む複数の第二光ファイバ部材を準備するステップと、並んで配列された複数の第二光ファイバ部材のうちの一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素に対する、第一光ファイバ部材に含まれる対象要素のずれ量が減少するように、第一光ファイバ部材を第一光ファイバ部材の中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させて回転調心を行うステップと、第一光ファイバ部材の端面を一つの第二光ファイバ部材の端面に接続するステップと、を備え、回転調心を行うステップにおいて、一つの第二光ファイバ部材は回転されない。
【0012】
例えば、互いに束ねられた複数の第二光ファイバ部材を検査する場合に、複数の第二光ファイバ部材のうちの一つの第二光ファイバ部材に測定光を入力するために、測定器に接続され得る第一光ファイバ部材を第二光ファイバ部材に接続する作業が発生する。第一光ファイバ部材と第二光ファイバ部材とを接続するためには、第一光ファイバ部材と第二光ファイバ部材との回転位置の調整を行う回転調心作業が発生する。上記の接続方法では、第二光ファイバ部材を回転させずに第一光ファイバ部材のみを所定の回転角度だけ回転することによって、第二光ファイバ部材に対する第一光ファイバ部材の回転位置が調整される。このように第一光ファイバ部材のみを回転調心する場合、複数の第二光ファイバ部材が束ねられていた場合であっても、複数の第二光ファイバ部材を一つずつ分けなくて済むので、複数の第二光ファイバ部材を回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。また、このように第一光ファイバ部材のみを回転調心する場合、複数の第二光ファイバ部材それぞれを回転させなくて済むので、複数の第二光ファイバ部材を回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。これらにより、第一光ファイバ部材を第二光ファイバ部材に接続する際の作業の効率を向上することが可能となる。
【0013】
(2)上記(1)に記載の接続方法は、一つの第二光ファイバ部材の端面を撮像するステップと、一つの第二光ファイバ部材の端面の画像を用いて、一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素の回転位置を検出するステップと、一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素の回転位置に対する、第一光ファイバ部材に含まれる対象要素の回転位置のずれを、所定の回転角度として算出するステップと、を更に備えてもよい。この場合、第一光ファイバ部材の回転角度を算出する作業を自動化できるので、第一光ファイバ部材を回転調心する作業の効率を向上できる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に記載の接続方法における、回転調心を行うステップでは、第一光ファイバ部材を保持するホルダが、モータによって所定の回転角度だけ回転されてもよい。この場合、第一光ファイバ部材を所定の回転角度だけ回転させる作業を自動化できるので、第一光ファイバ部材を回転調心する作業の効率を更に向上できる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の接続方法を実施するための接続装置であって、並んで配列された複数の第二光ファイバ部材を支持する支持機構と、一つの第二光ファイバ部材に対面するように配置された第一光ファイバ部材を支持し、第一光ファイバ部材の中心軸の周りに第一光ファイバ部材を回転可能に保持する回転調心機構と、を備え、第一光ファイバ部材は所定の回転角度だけ回転した状態で回転調心機構に保持され、第一光ファイバ部材の端面は一つの第二光ファイバ部材の端面に接続されている。この接続装置によれば、第二光ファイバ部材を回転させずに第一光ファイバ部材のみを回転することによって、第二光ファイバ部材に対する第一光ファイバ部材の回転調心を行うことができる。このように第一光ファイバ部材のみを回転調心する場合、複数の第二光ファイバ部材が束ねられていた場合であっても、複数の第二光ファイバ部材を一つずつ分けなくて済むので、複数の第二光ファイバ部材を回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。また、このように第一光ファイバ部材のみを回転調心する場合、複数の第二光ファイバ部材それぞれを回転させなくて済むので、複数の第二光ファイバ部材を回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。これらにより、第一光ファイバ部材を第二光ファイバ部材に接続する際の作業の効率を向上することが可能となる。
【0016】
(5)上記(4)に記載の接続装置において、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前方部分を除く後方部分を含み、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前方部分は、支持機構に支持され、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前方部分は、樹脂材によって束ねられていてもよい。この構成では、第二光ファイバ部材を回転調心する場合に、複数の第二光ファイバ部材を一つずつ分ける手間が発生するので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0017】
(6)上記(4)に記載の接続装置において、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前方部分を除く後方部分を含み、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前方部分は、支持機構に支持され、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの後方部分は、樹脂材によって束ねられていてもよい。この構成では、第二光ファイバ部材を回転調心する場合に、複数の第二光ファイバ部材を一つずつ分ける手間が発生するので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0018】
(7)上記(4)に記載の接続装置において、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、端面を含む前方部分、および前方部分を除く後方部分を含み、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前方部分は、支持機構に支持され、複数の第二光ファイバ部材のそれぞれの前方部分および後方部分は、樹脂材によって束ねられていてもよい。この構成では、第二光ファイバ部材を回転調心する場合に、複数の第二光ファイバ部材を一つずつ分ける手間が発生するので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0019】
(8)上記(4)から(7)のいずれかに記載の接続装置において、回転調心機構は、第一光ファイバ部材を保持するホルダと、ホルダに連結されたモータと、モータと通信可能に接続され、ホルダが所定の回転角度だけ回転するように、モータの回転角度を制御する制御器と、を含んでもよい。この場合、第一光ファイバ部材を所定の回転角度だけ回転させる作業を自動化できるので、第一光ファイバ部材を回転調心する作業の効率を向上できる。
【0020】
(9)上記(8)に記載の接続装置において、回転調心機構は、一つの第二光ファイバ部材の端面を撮像する撮像部を更に含み、制御器は、一つの第二光ファイバ部材の端面の画像を用いて、第二光ファイバ部材の対象要素の回転位置を検出する検出部と、一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素の回転位置に対する、第一光ファイバ部材に含まれる対象要素の回転位置のずれを、所定の回転角度として算出する演算部と、所定の回転角度だけホルダを回転させる制御信号を、モータに出力する出力部と、を含んでもよい。この場合、第一光ファイバ部材の回転角度を算出する作業を自動化できるので、第一光ファイバ部材を回転調心する作業の効率を更に向上できる。
【0021】
(10)上記(8)または(9)に記載の接続装置において、ホルダは、第一光ファイバ部材を保持するホルダ部と、ホルダ部に連結され、モータの回転に応じて第一光ファイバ部材の中心軸の周りに回転可能な回転部と、モータの回転駆動力を回転部に伝達する駆動力伝達部と、回転部を回転可能に支持する回転支持部と、を含んでもよい。この場合、第一光ファイバ部材を中心軸の周りに所定の回転角度だけ自動的に回転させる構成を容易に実施できる。
【0022】
(11)上記(10)に記載の接続装置において、ホルダ部は、第一光ファイバ部材を支持するV溝が形成された支持台と、第一光ファイバ部材を覆うように支持台に乗せられる蓋と、を含んでもよい。この場合、第一光ファイバ部材をホルダ部に容易にセットできる。
【0023】
(12)上記(10)または(11)に記載の接続装置において、駆動力伝達部は、回転部の外周面に形成された複数のギア溝であってもよい。この場合、モータを用いて第一光ファイバ部材を中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させる構成をより確実に実施できる。
【0024】
(13)上記(12)に記載の接続装置において、回転支持部は、回転部に連結され、回転部とともに中心軸の周りに回転可能な円柱状の第一回転ガイド部と、第一回転ガイド部が挿入されるガイド穴を含む第二回転ガイド部と、を含み、ガイド穴の内周面と第一回転ガイド部の外周面との間には、隙間が設けられていてもよい。この場合、第二回転ガイド部に対する第一回転ガイド部の回転を許容しつつ、第一回転ガイド部の回転中心が第一光ファイバ部材の中心軸から大きくずれるリスクを低減できる。その結果、モータを用いて第一光ファイバ部材を中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させる構成をより確実に実施できる。
【0025】
(14)上記(13)に記載の接続装置において、ホルダは、回転部および回転支持部にわたって形成され、第一光ファイバ部材が延びる方向に交差する方向に沿って延びるスリットを含み、スリットには、第一光ファイバ部材のうちホルダ部から回転支持部まで延びる部分が配置されていてもよい。この場合、スリットに沿って第一光ファイバ部材を移動させることによって、第一光ファイバ部材をホルダに容易にセットできる。
【0026】
(15)上記(4)から(14)のいずれかに記載の接続装置において、前記支持機構は、前記複数の第二光ファイバ部材をそれぞれ支持する複数のV溝が形成された支持台部と、前記支持台部を収容する収容凹部が形成された支持台収容部と、を含んでもよい。この場合、支持台収容部から支持台部を取り外すことによって、複数のV溝とは異なる配列ピッチおよび大きさを有する別の複数のV溝が形成された別の支持台部に付け替えることができる。このように、支持台部を別の支持台部に付け替えることによって、複数のV溝の配列ピッチおよび大きさを自在に調整できる。従って、複数種類の第二光ファイバ部材の配列ピッチおよび外径に合わせたV溝が形成された複数種類の支持台部を用意すれば、支持台部を付け替えるだけで、複数種類の第二光ファイバ部材に対応できる。
【0027】
(16)上記(4)から(15)のいずれかに記載の接続装置において、第一光ファイバ部材および複数の第二光ファイバ部材のそれぞれは、マルチコア光ファイバ、偏波保持ファイバ、およびバンドルファイバのいずれかであってもよい。この場合、第一光ファイバ部材の端面を第二光ファイバ部材の端面に接続する際に、第二光ファイバ部材に対する第一光ファイバ部材の回転調心が必要とされるので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る接続方法および接続装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る接続装置を備える測定システム1の概略構成を示す平面図である。図1に示されるように、測定システム1は、測定装置3と、接続装置5と、を備える。
【0030】
測定装置3は、測定対象の多心光ファイバ12の光学特性を測定する装置である。測定装置3は、例えば、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)法を用いて、多心光ファイバ12の光学特性を測定する。この場合、測定装置3は、多心光ファイバ12に含まれる複数の単心光ファイバF2のうちの1つの単心光ファイバF2の端面2aに測定光Lmを入射し、端面2aに戻る光を受光する。そして、測定装置3は、受光した光の強度に基づいて、例えば、単心光ファイバF2において発生した光の損失またはクロストークといった光学特性を測定する。測定装置3は、端面2aから単心光ファイバF2に測定光Lmを入射し、端面2aとは反対側に位置する単心光ファイバF2の別の端面(不図示)から出射された光の強度に基づいて、単心光ファイバF2の光学特性を測定してもよい。端面2aは、単心光ファイバF2の長手方向であるX方向に沿った単心光ファイバF2の端面である。以下、測定対象の1つの単心光ファイバF2を「測定対象ファイバF2」(第二光ファイバ部材)と称して説明する。
【0031】
図2Aは、図1のIIa-IIa線に沿った複数の測定対象ファイバF2の断面図である。図2Aに示されるように、複数の測定対象ファイバF2のそれぞれは、X方向に沿って延びており、X方向に直交するY方向に沿って並んでいる。各測定対象ファイバF2は、回転調心が必要な光ファイバ部材である。本実施形態では、回転調心が必要な光ファイバ部材として、測定対象ファイバF2がMCFである場合を例示する。測定対象ファイバF2は、ガラスファイバ21と、ガラスファイバ21の外周面を被覆する被覆樹脂22と、を含む。ガラスファイバ21は、複数のコア21aと、クラッド21bと、を含む。クラッド21bは、複数のコア21aを取り囲む共通クラッドである。
【0032】
複数のコア21aは、測定対象ファイバF2の中心軸C2に垂直な断面において、中心軸C2からずれた位置に配置されている。図2Aには、4つのコア21aが示されており、その全てのコア21aが中心軸C2からずれた位置に配置された場合が例示されている。測定対象ファイバF2に含まれるコアの数および配置は、図2Aに示される例に限られず、適宜変更可能である。測定対象ファイバF2は、例えば、中心軸C2の周辺に配置された周辺コアに加えて、中心軸C2に配置された中心コアを含んでもよい。測定対象ファイバF2に含まれるコアの数は、2でもよいし、5以上であってもよい。
【0033】
複数のコア21aは、クラッド21bとは異なる屈折率を有する屈折率変化部である。
測定対象ファイバF2が中心軸C2からずれた位置に配置された屈折率変化部を有する場合に、測定対象ファイバF2は中心軸C2周りに回転調心される必要がある。回転調心が必要な光ファイバ部材としては、MCFのほかに、例えば、バンドルファイバおよび偏波保持ファイバが挙げられる。偏波保持ファイバは、偏波保持ファイバの中心軸に配置されたコアと、中心軸からずれた位置に配置された応力付与部と、を含む。バンドルファイバでは、複数のSMFが束ねられ、少なくとも一つのSMFのコアが、バンドルファイバの中心軸からずれた位置に配置される。バンドルファイバのコアおよび偏波保持ファイバの応力付与部はそれぞれ、クラッドとは異なる屈折率を有する屈折率変化部である。従って、コアおよび応力付与部を屈折率変化部とすると、回転調心が必要な光ファイバ部材は、その中心軸からずれた位置に屈折率変化部を含む。
【0034】
図1に示されるように、測定装置3は、測定器33と、ファンイン/ファンアウト(FIFO)デバイス35と、を含む。測定器33は、FIFOデバイス35を用いて測定対象ファイバF2の端面2aに測定光Lmを入射し、端面2aに戻る光を測定する。FIFOデバイス35には、測定対象ファイバF2に接続された単心光ファイバF1と、測定器33に接続された単心光ファイバF3と、が接続されている。単心光ファイバF1は、例えば、測定対象ファイバF2に測定光Lmを入射するための入射用のMCFである。以下、単心光ファイバF1を「入射用ファイバF1」(第一光ファイバ部材)と称して説明する。
【0035】
入射用ファイバF1の端面1aは、測定対象ファイバF2の端面2aに対してX方向に沿って対向している。入射用ファイバF1は、測定対象ファイバF2の外径と同一の外径を有する。入射用ファイバF1の端面1aは、測定対象ファイバF2の端面2aに対面し、接続されている。端面1aが端面2aに接続されているとは、端面1aが端面2aに直接接続されている場合と、端面1aが端面2aに他の部材を挟んで間接的に接続されている場合と、の両方を含む。
【0036】
図2Bは、図1のIIb-IIb線に沿った入射用ファイバF1の断面図である。図2Bに示されるように、入射用ファイバF1は、測定対象ファイバF2と同様、回転調心が必要なMCFである。入射用ファイバF1は、ガラスファイバ31と、ガラスファイバ31の外周面を被覆する被覆樹脂32と、を含む。ガラスファイバ31は、複数のコア31aと、クラッド31bと、を含む。クラッド31bは、複数のコア31aを取り囲む共通クラッドである。複数のコア31aは、入射用ファイバF1の中心軸C1に垂直な断面において、中心軸C1からずれた位置に配置されている。各コア31aは、測定対象ファイバF2の各コア21a(図2A参照)に対応する位置に配置され、各コア21aと光学的に接続されている。
【0037】
入射用ファイバF1は、例えば、測定対象ファイバF2の4つのコア21aに対応する4個のコア31aを含む。そして、その全てのコア31aは、中心軸C1からずれた位置に配置されている。入射用ファイバF1に含まれるコアの数および配置は、図2Bに示される例に限られず、適宜変更可能である。入射用ファイバF1は、例えば、中心軸C1の周辺に配置された周辺コアに加えて、中心軸C1に配置された中心コアを含んでもよい。入射用ファイバF1に含まれるコアの数は、2でもよいし、5以上であってもよい。入射用ファイバF1は、測定対象ファイバF2と同様、中心軸からずれた位置に屈折率変化部を含む光ファイバ部材であればよく、例えばバンドルファイバまたは偏波保持ファイバであってもよい。
【0038】
図1に示されるように、測定器33に接続された単心光ファイバF3は、例えば、SCFである。単心光ファイバF3は、入射用ファイバF1の複数のコア31aのうち、測定対象ファイバF2の測定対象のコア21a(図2A参照)に対応するコア31a(図2B参照)に光学的に接続されている。測定器33から出射され単心光ファイバF3に受光された測定光Lmは、入射用ファイバF1を通って、測定対象ファイバF2の端面2aに入射する。そして、測定対象ファイバF2を通って、測定対象ファイバF2から端面2aに戻った光は、入射用ファイバF1及び単心光ファイバF3を通って、測定器33に受光される。測定器33は、受光した光に基づいて、測定対象ファイバF2の光学特性を測定する。
【0039】
接続装置5は、入射用ファイバF1を測定対象ファイバF2に接続させる装置である。接続装置5は、入射用ファイバF1の端面1aが測定対象ファイバF2の端面2aに対向した状態で、入射用ファイバF1の端面1aを測定対象ファイバF2の端面2aに接続させる。端面1aが端面2aに接続された状態において、入射用ファイバF1の中心軸C1は測定対象ファイバF2の中心軸C2に一致しており、入射用ファイバF1の各コア21aは測定対象ファイバF2の各コア31aに光学的に接続されている(図2Aおよび図2B参照)。接続装置5は、単に入射用ファイバF1の端面1aを測定対象ファイバF2の端面2aに突き合わせることによって、端面1aを端面2aに接続させてもよい。
【0040】
接続装置5は、入射用ファイバF1を支持する回転調心機構51と、複数の測定対象ファイバF2を支持する支持機構52と、を含む。回転調心機構51は、入射用ファイバF1が回転調心可能となるように入射用ファイバF1を保持する。すなわち、回転調心機構51は、入射用ファイバF1を中心軸C1の周りに回転可能に保持する。支持機構52は、例えば、複数の測定対象ファイバF2が載置される樹脂製の支持台である。支持機構52は、複数の測定対象ファイバF2を支持する機能を少なくとも有していればよく、各測定対象ファイバF2を中心軸C2の周りに回転可能に保持する必要はない。例えば、各測定対象ファイバF2が中心軸C2の周りに回転しないように、各測定対象ファイバF2が支持機構52に配置されてもよい。例えば、各測定対象ファイバF2は接着剤によって支持機構52に固定されてもよいし、上蓋を用いて各測定対象ファイバF2を支持機構52に押さえつけることによって、各測定対象ファイバF2が支持機構52に固定されてもよい。このように、接続装置5は、入射用ファイバF1および測定対象ファイバF2のうちの入射用ファイバF1のみを回転調心するように構成されてもよい。
【0041】
支持機構52は、例えば、X方向、Y方向、およびZ方向に移動しないように固定されている。支持機構52は、X方向、Y方向、およびZ方向に沿って移動可能なステージに載置されてもよく、その場合、測定対象ファイバF2の3次元位置を調整可能である。支持機構52は、Y方向に沿って配列された各測定対象ファイバF2の前方部分P21を支持する。支持機構52に支持されない各測定対象ファイバF2の後方部分P22は、テープ化された樹脂材13によって他の測定対象ファイバF2の後方部分と束ねられている。前方部分P21は、測定対象ファイバF2のうち端面2aを含む部分である。後方部分P22は、測定対象ファイバF2のうち前方部分P21を除く部分である。各測定対象ファイバF2の後方部分P22に代えて前方部分P21が樹脂材13によって他の測定対象ファイバF2の前方部分と束ねられてもよいし、前方部分P21および後方部分P22の両方が樹脂材13によって他の測定対象ファイバF2と束ねられてもよい。
【0042】
図2Aに示されるように、支持機構52は、例えば、複数のV溝521が形成された支持面522を含む。支持面522は、例えば、X方向およびY方向に沿って延びる平面である。複数のV溝521は、複数の測定対象ファイバF2に対応して、X方向に延びるとともにY方向に沿って並んでいる。複数のV溝521には、複数の測定対象ファイバF2がそれぞれ載置されている。
【0043】
図1に示されるように、回転調心機構51は、ホルダ53と、モータ55と、制御器57と、撮像部59と、を含む。ホルダ53は、入射用ファイバF1を保持する。ホルダ53は、X方向、Y方向、およびZ方向に沿って移動可能なステージに載置されている。従って、入射用ファイバF1の3次元位置は調整可能である。ホルダ53は、モータ55に連結されており、モータ55の回転駆動力を受けて中心軸C1の周りに回転する。ホルダ53は、入射用ファイバF1を保持した状態で、中心軸C1の周りに回転する。これにより、中心軸C1の周りの入射用ファイバF1の回転角度が調整される。すなわち、入射用ファイバF1の回転調心が行われる。
【0044】
ホルダ53は、ホルダ部531と、回転部532と、回転支持部533と、を含む。ホルダ部531は、入射用ファイバF1を保持する。回転部532は、ホルダ部531に対してX方向に連結されている。回転部532は、例えば、ホルダ部531と一体として形成されている。回転部532は、モータ55の回転に応じて、ホルダ部531と一体となって中心軸C1の周りに回転する。回転部532は、ホルダ部531とは別体に形成されていてもよい。回転支持部533は、回転部532およびホルダ部531とは別体に形成されている。回転支持部533は、回転部532を中心軸C1の周りに回転可能に支持する。
【0045】
図2Bに示されるように、ホルダ部531は、入射用ファイバF1を支持する支持台534と、入射用ファイバF1を覆うように支持台534に載せられる蓋535と、を含む。支持台534は、1つのV溝536が形成された支持面534aを含む。支持面534aは、例えば、X方向およびY方向に沿って延びる平面である。V溝536は、支持面534aにおいてX方向に沿って延びている。V溝536には、入射用ファイバF1が載置されている。入射用ファイバF1がV溝536に載置された状態において、入射用ファイバF1の中心軸C1が測定対象ファイバF2の中心軸C2に一致するように、支持機構52に対するホルダ53の3次元位置が調整されている。
【0046】
蓋535は、支持面534aに対向する蓋内面535aを含む。入射用ファイバF1がV溝536に載置された状態において、入射用ファイバF1は、蓋内面535aと、V溝536の内面536aと、に接触している。入射用ファイバF1は、蓋535と支持台534とに挟まれることによって、ホルダ部531に対して位置ずれしないようにホルダ部531に保持されている。図1に示されるように、入射用ファイバF1がホルダ部531に保持された状態において、入射用ファイバF1の端面1aは、ホルダ53からX方向に突出している。ホルダ53から突出する入射用ファイバF1の端面1aは、測定対象ファイバF2の端面2aに対してX方向に沿って対向している。
【0047】
図3は、図1のIII-III線に沿ったホルダ53の断面図である。図3は、ホルダ53の回転部532が断面として示されている。図3に示されるように、回転部532は、例えば、中心軸C1を中心とする円板状である。回転部532の外周面532aには、中心軸C1を中心とする周方向d1に沿って並ぶ複数のギア溝532b(回転伝達部)が形成されている。複数のギア溝532bは、例えば、外周面532aにおいて周方向d1の全周にわたって等間隔に配置されている。各ギア溝532bは、中心軸C1に垂直な断面において、例えば矩形状である。各ギア溝532bの断面形状は、矩形状に限らず、他の形状であってもよい。
【0048】
各ギア溝532bは、モータ55に接続された各ギアと噛み合っており、モータ55の回転駆動力を回転部532に伝達する。モータ55の回転駆動力の伝達方法は、ギアを用いた方法に限られない。例えば、ゴムバンドを用いてモータ55の回転駆動力が回転部532に伝達されてもよい。モータ55の回転駆動力が回転部532に伝達可能な方法であれば、他の伝達方法が用いられてもよい。回転部532は、複数のギア溝532bによってモータ55から伝達された回転駆動力を受けて、ホルダ部531と一体となって中心軸C1の周りに回転する。この回転に応じて、ホルダ部531に保持される入射用ファイバF1の回転角度が調整される。本開示の「回転伝達部」は、必ずしもギア溝532bに限られない。例えば、ゴムバンドを用いてモータの回転駆動力を回転部に伝達する場合には、「回転伝達部」は、単なる平面であってもよいし、ゴムバンドの太さに合わせた溝であってもよい。
【0049】
回転支持部533は、第1回転ガイド部541と、第2回転ガイド部542と、を含む。第1回転ガイド部541は、例えば、回転部532を挟んでホルダ部531とは反対側に配置され、回転部532に対してX方向に連結されている。第1回転ガイド部541は、例えば、回転部532よりも大きな外径を有する円筒状である。モータから回転駆動力が回転部532に伝達されると、回転支持部533は、回転部532と一体となって中心軸C1の周りに回転する。本実施形態では、X方向に沿って、ホルダ部531、回転部532、および回転支持部533がこの順に並ぶ場合を例示するが、ホルダ部531、回転部532、および回転支持部533の並び順は、必要に応じて適宜変更可能であり、他の並び順であってもよい。
【0050】
第2回転ガイド部542は、第1回転ガイド部541が挿入されるガイド穴542aを含む。ガイド穴542aは、第1回転ガイド部541の外周面541aを取り囲む内周面542bを含む。内周面542bは、第1回転ガイド部541の外周面541aに対して隙間を空けて対向している。第1回転ガイド部541がガイド穴542aに挿入された状態において、第1回転ガイド部541の回転が許容されるように、かつ、入射用ファイバF1の中心軸C1が測定対象ファイバF2の中心軸C2に対して大きくずれないように、隙間が設けられている。隙間には、内周面542bと外周面541aとの摩擦抵抗を低減するためのグリスが設けられてもよい。内周面542bと外周面541aとの滑りを向上させる観点から、例えば、隙間に複数のボールを配列することによってベアリングを形成してもよい。
【0051】
ホルダ53には、入射用ファイバF1をセットするためのスリット53aが形成されている。スリット53aは、周方向d1に沿ったホルダ53の一箇所に形成されており、回転支持部533から回転部532にわたって延びている。スリット53aは、ホルダ部531には形成されておらず、回転部532および回転支持部533のみに形成されている。スリット53aは、回転部532および回転支持部533を通り、かつ中心軸C1に垂直な断面において、第2回転ガイド部542の外面542cから入射用ファイバF1が通る位置まで、中心軸C1に直交する径方向d2に沿って直線状に延びている。例えば、中心軸C1が延びるX方向に沿ってホルダ53を見たときに、スリット53aは、第2回転ガイド部542の外面542cから、第2回転ガイド部542、第1回転ガイド部541、および、複数のギア溝532bが形成された回転部532を順に通って入射用ファイバF1に至る位置まで延びている。図3に示される例では、径方向d2は、Z方向に一致する。
【0052】
スリット53aは、第2回転ガイド部542に形成されたスリット部542dと、第1回転ガイド部541に形成されたスリット部541bと、回転部532に形成されたスリット部532cと、を含む。スリット部542dは、第2回転ガイド部542の外面542cから内周面542bまで径方向d2に沿って延びている。スリット部541bは、第1回転ガイド部541においてスリット部542dの延長線上に形成されている。スリット部541bは、第1回転ガイド部541の外周面541aから中心部まで径方向d2に沿って延びている。
【0053】
スリット部532cは、第1回転ガイド部541に形成されたスリット部541bとX方向に重なる位置に形成されている。スリット部532cは、回転部532の外周面532aから回転部532の中心部まで径方向d2に沿って延びている。回転部532の中心部および第1回転ガイド部541の中心部には、ホルダ部531から延びる入射用ファイバF1が配置される。スリット53aの周方向d1の幅は、入射用ファイバF1の外径よりも大きい。スリット53aの周方向d1の幅は、スリット53aが延びる径方向d2に沿った各位置において、例えば一定である。スリット部532cには、ホルダ部531から延びる入射用ファイバF1が通っている。入射用ファイバF1は、スリット部532cの内面に対して接触せずに離れている。
【0054】
入射用ファイバF1をホルダ53にセットする際には、ホルダ部531の蓋535が外された状態で、スリット53aに沿って回転部532の中心部まで入射用ファイバF1を移動させ、支持台534に形成されたV溝536に入射用ファイバF1を載置する。入射用ファイバF1がV溝536に載置された状態において、入射用ファイバF1は、回転部532の中心部に配置される。この状態において、入射用ファイバF1の中心軸C1は、回転部532の中心に一致する。その後、蓋535によって入射用ファイバF1を支持台534に押し付けることで、入射用ファイバF1がホルダ部531に対して回転ずれしないように、ホルダ部531に保持される。ホルダ部531に連結される回転部532は、モータ55の回転駆動力を受けて回転する。これにより、入射用ファイバF1は、回転部532、第1回転ガイド部541、およびホルダ部531とともに、中心軸C1の周りに回転する。
【0055】
図1に示される制御器57は、モータ55および撮像部59と通信可能に接続されている。撮像部59は、測定対象ファイバF2の端面2aを撮像可能なカメラである。撮像部59は、測定対象ファイバF2に対して相対的に移動可能である。撮像部59の移動動作は、例えば、制御器57によって制御される。撮像部59は、測定対象ファイバF2の端面2aに対してX方向に沿って対向する位置に移動する。そして、測定対象ファイバF2に観察光が照射された状態で、撮像部59は、測定対象ファイバF2の端面2aを撮像する。撮像部59は、端面2aの画像を示す撮像信号S2を制御器57に出力する。
【0056】
撮像部59は、測定対象ファイバF2の端面2aを撮像した後、次の測定対象ファイバF2の端面2aに対向する位置に移動し、端面2aの画像を示す撮像信号S2を制御器57に出力する。撮像部59は、この動作を繰り返すことによって、多心光ファイバ12に含まれる全ての測定対象ファイバF2の端面2aの画像を示す撮像信号S2を制御器57に出力する。撮像部59は、端面2aに対して、X方向から傾斜した斜め方向に対向する位置に配置されてもよく、当該位置から端面2aを撮像してもよい。撮像部59は、入射用ファイバF1の端面1aに対向する位置に移動されてもよく、端面1aを撮像してもよい。
【0057】
制御器57は、撮像部59からの撮像信号S2を受けて、モータ55の回転角度を制御する制御信号S3を生成する。制御器57は、物理的には、一つまたは複数のプロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置、および通信装置等のハードウェアを含む。制御器57は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとを含む一つまたは複数のコンピュータである。制御器57は、支持機構52が載置されるステージ、およびホルダ53が載置されるステージの少なくとも一方と通信可能に接続されてもよく、測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の3次元位置を制御してもよい。
【0058】
図4は、制御器57の機能的構成要素を示す図である。制御器57は、機能的構成要素として、検出部571と、演算部572と、記憶部573と、出力部574と、を含む。制御器57の各機能的構成要素は、上述したコンピュータのハードウェア上でプログラムが実行されることによって実施される。
【0059】
検出部571は、撮像部59からの撮像信号S2を取得する。検出部571は、撮像部59が測定対象ファイバF2を撮像する度に、撮像部59から撮像信号S2を取得する。検出部571は、撮像信号S2が示す測定対象ファイバF2の端面2aの画像から、撮像された測定対象ファイバF2の回転位置を検出する。例えば、検出部571は、測定対象ファイバF2のコア21aを回転調心の対象となる対象要素として検出し、測定対象ファイバF2のコア21aの回転位置を取得する。検出部571は、測定対象ファイバF2のコア21a以外の要素を、回転調心の対象となる対象要素として検出してもよい。検出部571は、測定対象ファイバF2のコア21aの位置を示す検出データD2を演算部572に渡す。検出部571は、検出データD2を記憶部573に保存してもよい。
【0060】
記憶部573は、入射用ファイバF1の回転調心の対象となる対象要素として、例えば、コア31aの位置を示す位置データD1を記憶する。位置データD1は、例えば撮像部59または別の撮像部を用いて撮像された入射用ファイバF1の端面1aの画像から取得可能である。記憶部573は、位置データD1を演算部572に渡す。演算部572は、位置データD1および検出データD2を用いて、入射用ファイバF1のコア31aの位置を、測定対象ファイバF2のコア21aの位置に合わせるために必要な入射用ファイバF1の回転角度(回転量)を演算する。
【0061】
図5Aは、入射用ファイバF1の端面1aを示す図である。図5Bは、測定対象ファイバF2の端面2aを示す図である。図5Cは、回転調心に必要な入射用ファイバF1の回転角度を説明するための図である。図5Aは、入射用ファイバF1の端面1aから露出する4つのコア31a(図2B参照)をそれぞれコアN1からコアN4と称して区別する。図5Bでは、測定対象ファイバF2の端面2aから露出する4つのコア21a(図2A参照)をそれぞれコアn1からコアn4と称して区別する。
【0062】
図5Aでは、中心軸C1とコアN1の中心とを通過する直線を基準線L1として、基準線L1から第1の向きへのずれ量が「+θ」で表され、第1の向きとは逆向きである、基準線L1から第2の向きへのずれ量が「-θ」で表されている。この場合、基準線L1からのコアN1の中心位置のずれ量はゼロ(θ=0)となる。図5Bには、中心軸C2とコアn1の中心とを通過する直線を基準線L2として示されている。図5Bには、上述した基準線L1が併せて示されている。測定対象ファイバF2のコアn1の位置は、基準線L1に対する基準線L2のずれ量であるθt(θ=θt)によって表すことができる。
【0063】
従って、図5Cに示されるように、測定対象ファイバF2に対して入射用ファイバF1を回転角度θtだけ「+θ」の方向に回転させることによって、入射用ファイバF1のコアN1からコアN4の位置を、測定対象ファイバF2のコアn1からコアn4に一致させることができる。この場合、図1に示される演算部572は、測定対象ファイバF2のコア21aの位置を入射用ファイバF1のコア31aの位置に一致させるために必要な入射用ファイバF1の回転角度をθtと算出する。演算部572は、回転角度θtを示す回転角度データD3を出力部574に渡す。
【0064】
出力部574は、入射用ファイバF1を回転角度θtだけ回転させる制御信号S3をモータ55に出力する。モータ55は、制御信号S3を受けて、入射用ファイバF1が回転角度θtだけ回転するために必要な角度回転だけ回転する。このモータ55の回転に応じて、ホルダ53に保持される入射用ファイバF1が回転角度θtだけ中心軸C1の周りに回転する。これにより、測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の回転調心が行われる。その後、回転調心された入射用ファイバF1の端面1aが、測定対象ファイバF2の端面2aに接続される。
【0065】
図6から図8を参照して、上述した接続装置5を用いて実施される接続方法を説明する。図6は、本実施形態の接続方法を実施するための各ステップを示すフローチャートである。図7は、図6のステップS11を実施する接続装置5を示す平面図である。図8は、図6のステップS14を実施する接続装置5を示す平面図である。
【0066】
まず、上述した入射用ファイバF1および複数の測定対象ファイバF2を準備する(図6のステップS10)。複数の測定対象ファイバF2は、支持機構52に支持され、入射用ファイバF1は、回転調心機構51に支持される(図1参照)。そして、入射用ファイバF1の端面1aが複数の測定対象ファイバF2のうちの1つの測定対象ファイバF2の端面2aに対向するように、支持機構52に対するホルダ53の3次元位置が調整される。
【0067】
次に、撮像部59は、第1の測定対象ファイバF2の端面2aを撮像する(図6のステップS11)。このとき、例えば、図7に示されるように、撮像部59は、第1の測定対象ファイバF2の端面2aを撮像した後、第2の測定対象ファイバF2の端面2aに対向する位置に移動し、第2の測定対象ファイバF2の端面2aを撮像する。この動作を繰り返すことによって、撮像部59は、各測定対象ファイバF2の端面2aを順に撮像する。撮像部59は、端面2aの画像を示す撮像信号S2を制御器57に出力する。撮像部59が第1の測定対象ファイバF2の端面2aを撮像した後、撮像部59が残りの測定対象ファイバF2の端面2aを撮像する動作は、次のステップS12からステップS15が第1の測定対象ファイバF2に対して実施されるのと同時に並行して実施されてもよい。撮像部59は、各測定対象ファイバF2の端面2aを順に撮像しなくてもよく、全ての測定対象ファイバF2の端面2aを同時に撮像してもよい。
【0068】
次に、制御器57は、撮像された第1の測定対象ファイバF2の回転位置を検出する(図6のステップS12)。例えば、制御器57の検出部571が、撮像信号S2が示す測定対象ファイバF2の端面2aから、測定対象ファイバF2のコア21aの回転位置を検出する。
【0069】
次に、制御器57は、検出した第1の測定対象ファイバF2の回転位置に入射用ファイバF1の回転位置を合わせるために必要な入射用ファイバF1の回転角度を算出する(図6のステップS13)。例えば、制御器57の演算部572が、入射用ファイバF1のコアN1の位置を示す基準線L1に対する、測定対象ファイバF2のコアn1の位置を示す基準線L2のずれ量であるθtを、回転調心に必要な入射用ファイバF1の回転角度として算出する(図5C参照)。
【0070】
次に、制御器57は、入射用ファイバF1を回転調心させる(図6のステップS14)。例えば、図8に示されるように、制御器57の出力部574が、入射用ファイバF1を回転角度θtだけ回転させる制御信号S3をモータ55に出力する。モータ55は、制御信号S3を受けて、入射用ファイバF1が回転角度θtだけ回転するために必要な角度回転だけ回転する。このモータ55の回転に応じて、入射用ファイバF1が中心軸C1の周りに回転角度θtだけ回転する。その結果、入射用ファイバF1のコア31aの位置が第1の測定対象ファイバF2のコア21aの位置に一致し、第1の測定対象ファイバF2のコア21aに対して入射用ファイバF1が回転調心される。第1の測定対象ファイバF2を含む複数の測定対象ファイバF2は、回転調心されずに静止した状態を維持する。従って、本実施形態では、入射用ファイバF1および測定対象ファイバF2のうち入射用ファイバF1のみが回転調心される。
【0071】
次に、接続装置5は、回転調心された入射用ファイバF1を第1の測定対象ファイバF2に接続させる(図6のステップS15)。例えば、接続装置5は、入射用ファイバF1の回転位置を維持した状態で、入射用ファイバF1の端面1aが第1の測定対象ファイバF2の端面2aに突き合わせられるように、第1の測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の3次元位置を調整する。これにより、入射用ファイバF1の端面1aが第1の測定対象ファイバF2の端面2aに接続され、入射用ファイバF1のコア31aが、第1の測定対象ファイバF2のコア21aに光学的に接続される。そして、ステップS12からステップS15が残りの測定対象ファイバF2に対して繰り返し実施されることによって、残りの測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の接続が順次行われる。
【0072】
測定対象ファイバF2を検査する場合には、ステップ15の後に、測定装置3が、入射用ファイバF1から測定対象ファイバF2へ測定光Lmを入射させることによって、測定対象ファイバF2の光学特性を測定する。測定装置3は、ステップS12からステップS15が繰り返される度に上記測定を行うことによって、複数の測定対象ファイバF2の光学特性を測定する。
【0073】
以上に説明した、本実施形態に係る接続方法および接続装置5によって得られる効果を説明する。
【0074】
本実施形態では、測定対象ファイバF2を回転させずに入射用ファイバF1のみを回転することによって、測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の回転調心が行われる。この場合、複数の測定対象ファイバF2が樹脂材13によって束ねられていた場合であっても、複数の測定対象ファイバF2を回転調心のために1つずつ分けなくて済むので、複数の測定対象ファイバF2を1つずつ回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。また、このように入射用ファイバF1のみを回転調心する場合、複数の測定対象ファイバF2それぞれを回転させなくて済むので、複数の測定対象ファイバF2を回転調心する場合と比べて、回転調心作業に要する手間を軽減できる。これらにより、入射用ファイバF1を測定対象ファイバF2に接続する際の作業の効率を向上することが可能となる。
【0075】
本実施形態のように、複数の測定対象ファイバF2の後方部分P22は、樹脂材13によって束ねられていてもよい。この構成では、複数の測定対象ファイバF2を回転調心する場合に、複数の測定対象ファイバF2を1つずつ分ける手間が発生するので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0076】
本実施形態のように、回転調心機構51は、入射用ファイバF1を保持するホルダ53と、ホルダ53に連結されたモータ55と、モータ55と通信可能に接続され、ホルダ53が所定の回転角度θtだけ回転するように、モータ55の回転角度を制御する制御器57と、を含んでもよい。この場合、入射用ファイバF1を所定の回転角度θtだけ回転させる作業を自動化できるので、入射用ファイバF1を回転調心する作業の効率を向上できる。
【0077】
本実施形態のように、制御器57は、測定対象ファイバF2の端面2aの画像を用いて、測定対象ファイバF2の端面2aのコア21aの回転位置を検出する検出部571と、測定対象ファイバF2の端面2aのコア21aの回転位置に対する、入射用ファイバF1の端面1aのコア31aの回転位置のずれを、所定の回転角度θtとして算出する演算部572と、所定の回転角度θtだけホルダ53を回転させる制御信号S3を、モータ55に出力する出力部574と、を含んでもよい。この場合、入射用ファイバF1の回転角度θtを算出する作業を自動化できるので、入射用ファイバF1を回転調心する作業の効率を更に向上できる。
【0078】
本実施形態のように、ホルダ53は、入射用ファイバF1を保持するホルダ部531と、ホルダ部531に連結され、モータ55の回転に応じて入射用ファイバF1の中心軸C1の周りに回転可能な回転部532と、モータ55の回転駆動力を回転部532に伝達する複数のギア溝532bと、回転部532を回転可能に支持する回転支持部533と、を含んでもよい。この場合、入射用ファイバF1を中心軸C1の周りに所定の回転角度θtだけ自動的に回転させる構成を容易に実施できる。
【0079】
本実施形態のように、ホルダ部531は、入射用ファイバF1を支持するV溝536が形成された支持台534と、入射用ファイバF1を覆うように支持台534に乗せられる蓋535と、を含んでもよい。この場合、入射用ファイバF1をホルダ部531に容易にセットできる。
【0080】
本実施形態のように、回転部532の外周面532aに複数のギア溝532bが形成されていてもよい。この場合、モータ55を用いて入射用ファイバF1を中心軸C1の周りに所定の回転角度θtだけ回転させる構成をより確実に実施できる。
【0081】
本実施形態のように、第1回転ガイド部541の外周面541aとガイド穴542aの内周面542bとの間には、隙間が形成されていてもよい。この場合、第2回転ガイド部542に対する第1回転ガイド部541の回転を許容しつつ、第1回転ガイド部541の回転中心が入射用ファイバF1の中心軸C1から大きくずれるリスクを低減できる。その結果、モータ55を用いて入射用ファイバF1を中心軸C1の周りに所定の回転角度θtだけ回転させる構成をより確実に実施できる。
【0082】
本実施形態のように、ホルダ53は、回転部532、第1回転ガイド部541および第2回転ガイド部542にわたって形成され、入射用ファイバF1に交差する径方向d2に沿って延びるスリット53aを含み、スリット53aには、入射用ファイバF1のうちホルダ部531から回転支持部533まで延びる部分が配置されてもよい。この場合、スリット53aに沿って入射用ファイバF1を移動させることによって、入射用ファイバF1をホルダ53に容易にセットできる。
【0083】
本実施形態のように、入射用ファイバF1および測定対象ファイバF2のそれぞれは、MCFであってよい。この場合、入射用ファイバF1の端面1aを測定対象ファイバF2の端面2aに接続する際に、測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の回転調心が必要とされるので、上述した効果を十分に発揮できる。
【0084】
本開示の接続方法および接続装置5は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲において変更され得る。
【0085】
図9は、測定対象ファイバF2を支持する支持機構52の変形例を示す断面図である。図9に示される支持機構52Aは、支持台部52aと、支持台部52aを収容する支持台収容部52bと、を含む。支持台部52aは、上述した複数のV溝521が形成された台部材である。支持台収容部52bは、支持台部52aとは別体に形成された収容部材である。支持台収容部52bは、支持台部52aを収容可能な収容凹部52dを含む。収容凹部52dは、支持台収容部52bの上面52cからZ方向に窪んでいる。収容凹部52dには、支持台部52aの底面52eが載置される。支持台部52aは、支持台収容部52bから取り外し可能である。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
更に、図9に示される支持機構52Aを用いれば、支持台収容部52bから支持台部52aを取り外すことができる。この場合、支持台収容部52bから取り外した支持台部52aを、上述した複数のV溝521とは異なる配列ピッチおよび大きさを有する別の複数のV溝が形成された別の支持台部に付け替えることができる。このように、支持台部52aを別の支持台部に付け替えることによって、複数のV溝の配列ピッチおよび大きさを自在に調整できる。従って、複数種類の測定対象ファイバの配列ピッチおよび外径に合わせたV溝が形成された複数種類の支持台部を用意すれば、支持台部を付け替えるだけで、複数種類の測定対象ファイバF2に対応できる。
【0087】
本開示は、上述した実施形態および変形例に限られず、他に様々な変形が可能である。上述した実施形態および変形例では、入射用ファイバF1および測定対象ファイバF2がそれぞれ「MCF」である場合を説明した。しかし、本開示の「第一光ファイバ部材」および「第二光ファイバ部材」は、「偏波保持ファイバ」または「バンドルファイバ」といった、回転調心が必要な他の光ファイバ部材であってもよい。「第一光ファイバ部材」および「第二光ファイバ部材」の少なくとも一方の光ファイバ部材を「バンドルファイバ」とした場合、「バンドルファイバ」に含まれる複数のSCFのそれぞれが「光ファイバ部材」に相当するのではなく、複数のSCFが束ねられることによって形成された「バンドルファイバ」が「光ファイバ部材」に相当する。
【0088】
上述した実施形態および変形例では、入射用ファイバF1の「コア31a」および測定対象ファイバF2の「コア21a」が、本開示の「回転調心の対象となる対象要素」である場合を説明した。しかし、本開示の「回転調心の対象となる対象要素」は、光ファイバ部材の「コア」である必要はなく、例えば、光ファイバ部材の端面に形成された「マーカー」であってもよいし、光ファイバ部材が偏波保持ファイバである場合には「応力付与部」であってもよい。上述した実施形態および変形例では、測定システム1に適用された接続装置5を説明した。しかし、本開示の「接続装置」は、測定システム1に限られず、他のシステムに適用されてもよい。
【0089】
上述した実施形態および変形例では、図6のステップS11からステップS15が接続装置5によって自動的に実施される場合を説明した。しかし、例えば、ステップS10、ステップS14、およびステップS15が手動で行われてもよい。この場合、ステップS11からステップS13は省略されてもよい。例えば、入射用ファイバF1の端面1aを測定対象ファイバF2の端面2aに対面させた状態で、入射用ファイバF1から測定対象ファイバF2に測定光を入射しながら、入射用ファイバF1と測定対象ファイバF2との間の光結合効率が最大となるように、入射用ファイバF1のみを回転させることによって、測定対象ファイバF2に対する入射用ファイバF1の回転調心を行ってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…測定システム
1a,2a…端面
3…測定装置
5…接続装置
12…多心光ファイバ
13…樹脂材
21,31…ガラスファイバ
21a,31a,N1,N2,N3,N4,n1,n2,n3,n4…コア(対象要素)21b,31b…クラッド
22,32…被覆樹脂
33…測定器
35…FIFOデバイス
51…回転調心機構
52,52A…支持機構
52a…支持台部
52b…支持台収容部
52c…上面
52d…収容凹部
52e…底面
522…支持面
53…ホルダ
53a…スリット
55…モータ
57…制御器
59…撮像部
521,536…V溝
531…ホルダ部
532…回転部
532a,541a…外周面
532b…ギア溝(回転伝達部)
532c,541b,542d…スリット部
533…回転支持部
534…支持台
534a…支持面
535…蓋
535a…蓋内面
536a…内面
541…第1回転ガイド部
542b…内周面
542…第2回転ガイド部
542a…ガイド穴
542c…外面
571…検出部
572…演算部
573…記憶部
574…出力部
C1,C2…中心軸
d1…周方向
d2…径方向
D1…位置データ
D2…検出データ
D3…回転角度データ
F1…入射用ファイバ(第一光ファイバ部材)
F2…測定対象ファイバ(第二光ファイバ部材)
F3…単心光ファイバ
Lm…測定光
L1,L2…基準線
P21…前方部分
P22…後方部分
S2…撮像信号
S3…制御信号
θt…回転角度
【要約】
本開示の接続方法は、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素を含む第一光ファイバ部材と、端面において中心軸からずれた位置に回転調心の対象となる対象要素をそれぞれが含む複数の第二光ファイバ部材を準備するステップと、並んで配列された複数の第二光ファイバ部材のうちの一つの第二光ファイバ部材に含まれる対象要素に対する、第一光ファイバ部材に含まれる対象要素のずれ量が減少するように、第一光ファイバ部材を第一光ファイバ部材の中心軸の周りに所定の回転角度だけ回転させて回転調心を行うステップと、第一光ファイバ部材の端面を一つの第二光ファイバ部材の端面に接続するステップと、を備え、回転調心を行うステップにおいて、一つの第二光ファイバ部材は回転されない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9