(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】トロッカーニードル研磨機
(51)【国際特許分類】
B24B 19/16 20060101AFI20250624BHJP
B24B 27/00 20060101ALI20250624BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20250624BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20250624BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20250624BHJP
【FI】
B24B19/16 Z
B24B27/00 A
B25J15/00 Z
A61B17/34
B24B41/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021017561
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2024-01-15
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521057198
【氏名又は名称】ロイヤル・マスター・グラインダーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Royal Master Grinders, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・メメラール・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】トッド・アール・モリス
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109048569(CN,A)
【文献】米国特許第05575708(US,A)
【文献】特開2010-099811(JP,A)
【文献】特開昭63-318253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 19/16
B24B 41/06
B24B 27/00
B25J 15/00
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工品を保持するための固定具であって、
フレームと、
複数のホルダーであって、各ホルダーが1つの加工品を受入れて固定するように構成され、前記フレームに回転可能に連結されている、複数のホルダーと、
前記フレームに対する前記複数のホルダーの回転を駆動するために、前記複数のホルダーに動作可能に連結されたアクチュエータと、
前記固定具を移動させるように構成されたマニピュレータに前記フレームを取り付けるためのブラケットと、
を備え
、
前記各ホルダーは、ホルダー歯車に連結され、前記アクチュエータは、シャフト歯車を有するシャフトを備え、前記シャフト歯車は、前記フレームに対する前記各ホルダーの回転を駆動するために、前記ホルダー歯車に動作可能に連結され、
前記シャフト歯車は、第1の螺旋歯車によって前記ホルダー歯車に動作可能に連結されている、固定具。
【請求項2】
前記各ホルダーは、前記加工品を取外し可能に固定するように構成されたコレットである、請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記シャフト歯車は、直動アクチュエータによって前記ホルダー歯車に動作可能に連結される、請求項1に記載の固定具。
【請求項4】
前記直動アクチュエータは、前記シャフト歯車から構成されるピニオンによって駆動されるラック歯車を備える、請求項3に記載の固定具。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記シャフトの回転を駆動するための電動モータから構成されている、請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
前記第1の螺旋歯車は、前記シャフトと平行である、請求項1に記載の固定具。
【請求項7】
前記第1の螺旋歯車は、プーリ駆動体によって前記シャフト歯車に動作可能に連結されている、請求項6に記載の固定具。
【請求項8】
前記プーリ駆動体は、前記シャフト歯車を前記第1の螺旋歯車に連結する連続ループを備える、請求項7に記載の固定具。
【請求項9】
前記固定具は、機械加工操作中に前記加工品の撓みを最小にするか又はなくすために、前記ホルダーから離れて配置された支持構造を備える、請求項1に記載の固定具。
【請求項10】
前記マニピュレータは、ロボットである、請求項1に記載の固定具。
【請求項11】
前記ロボットは、回転アクチュエータを備える遠位端を有するアームを備え、前記固定具は、前記固定具の前記アクチュエータが前記ロボットの前記回転アクチュエータに動作可能に連結されるように、前記アームの前記遠位端に連結されるように構成される、請求項10に記載の固定具。
【請求項12】
複数の加工品を保持するためのロボット用エンドエフェクタであって、
複数のホルダーであって、各ホルダーが1つの加工品を受入れて固定するように構成され、ホルダー歯車に連結されている、複数のホルダーと、
シャフト歯車を備えるシャフトであって、前記シャフトを回転させると共に前記ロボット用エンドエフェクタを研磨砥石に対して移動させ且つ位置決めするように構成された、ロボットに取り付けられている、シャフトと、
前記シャフト歯車に連結された第1の連結歯車と、
前記第1の連結歯車及び前記ホルダー歯車に連結された第2の連結歯車と、
を備え、
前記ロボットによる前記シャフトの回転が、前記各ホルダー歯車、前記第1の連結歯車、及び前記第2の連結歯車を介して、前記複数の加工品の各々を各加工品軸を中心として同時に回転させるようになっている、ロボット用エンドエフェクタ。
【請求項13】
研磨システムであって、
研磨面と、
複数のホルダーを有するフレームを備えるエンドエフェクタであって、各ホルダーは、加工品を受入れて固定するように構成され、各ホルダーは、前記フレームに回転可能に連結され、前記フレームに対する前記複数のホルダーの回転を駆動するために、アクチュエータが前記複数のホルダーに動作可能に連結されている、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの前記アクチュエータに連結されたロボットであって、前記アクチュエータを回転させるように構成され、前記加工品を前記エンドエフェクタの第1の位置において研磨するために、前記加工品が前記エンドエフェクタの前記第1の位置において前記研磨面に接触し、前記エンドエフェクタの第2の位置において前記研磨面に接触しないように、前記エンドエフェクタを前記研磨面に対して移動させ、且つ位置決めするように構成される、ロボットと、
を備え、
前記アクチュエータの回転が、前記複数の加工品を各加工品軸を中心として同時に回転させるようになっている、研磨システム。
【請求項14】
前記各ホルダーは、ホルダー歯車に連結され、前記アクチュエータは、シャフト歯車を有するシャフトを備え、前記シャフト歯車は、前記フレームに対する前記各ホルダーの回転を駆動するために、前記ホルダー歯車に動作可能に連結されている、請求項13に記載の研磨システム。
【請求項15】
前記シャフト歯車は、連結歯車を介して前記ホルダー歯車に連結されている、請求項14に記載の研磨システム。
【請求項16】
前記シャフト歯車は、第1の連結歯車及び第2の連結歯車に連結され、前記第2の連結歯車は、前記ホルダー歯車に連結されている、請求項15に記載の研磨システム。
【請求項17】
前記ロボットによる前記アクチュエータの回転は、前記第2の位置において前記研磨面に接触しない部分を研磨するために行われる、請求項13に記載の研磨システム。
【請求項18】
前記各ホルダーは、トロッカーニードルを受入れて固定するように構成されている、請求項13に記載の研磨システム。
【請求項19】
前記研磨システムは、電解研磨システムである、請求項13に記載の研磨システム。
【請求項20】
加工品を研磨するための方法であって、
(i)ホルダーを複数有するエンドエフェクタの前記ホルダーの開口に前記加工品を装填するステップであって、前記開口は、前記加工品を受け入れて固定するために拡縮可能に構成された可変直径を画定し、前記ホルダーはフレームに回転可能に連結され、前記ホルダーに備えられたホルダー歯車には、前記フレームに対する前記ホルダーの回転を駆動するために、アクチュエータから回転を出力するシャフトに備えられたシャフト歯車が動作可能に連結されている、ステップと、
(ii)前記加工品への1つ又は複数の補助操作を行うために、前記アクチュエータによって前記加工品の移動及び回転の少なくとも一方を行うステップと、
(iii)前記加工品を研磨面で研磨するために、前記アクチュエータによって前記加工品の移動及び回転の少なくとも一方を行うステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記補助操作は、研磨前操作及び研磨後操作のいずれかを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記研磨前操作は、素材の取込み及び素材の切断のいずれかを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記研磨後操作は、前記加工品のバリ取り、グリットブラスト、検査、及び電解研磨のいずれかを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記加工品は、トロッカーニードルである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記アクチュエータは、ロボットである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ロボットを前記エンドエフェクタに取り付けるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(i)-(iii)を行う指令は、ヒューマン-マシン・インタフェースを介して伝達される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、加工品のための固定具及び機械加工操作を行うためのシステムに関し、特に、加工品を保持して操作するための固定具及び該固定具を用いて機械加工操作を行うためのシステムに関する。
【0002】
なお、本願は、2020年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/970,888号の出願日の利得を主張するものであり、その開示内容は、参照することによって本明細書に含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
ニードルは、とりわけ、ニードル先端を研磨面に対して研磨することによって製造される。ニードルは、カートリッジ又は固定具内に装填され、研磨面に対して位置決めされる。ニードルは、所望のニードル先端型式を達成するために研磨プロセス中1回又は複数回回転されねばならない。例えば、トロッカーニードルは、ニードルを少なくとも2回回転させ、トロッカーニードルに必要な3つの平坦ベベルを生成することによって作製される。研磨は、電解研磨を含む種々の研磨方法を用いて行うことができる。
【0004】
研磨操作に加えて、ニードルの製造を完了するために種々の他の操作が必要である。例えば、ニードルの研磨準備をするために種々の前加工操作が必要であり、研磨後のニードルの使用準備をするために種々の後加工操作が必要である。これらの種々の操作中、1つ又は複数のニードルは、1つのワークステーシンから他のワークステーションに移動され、適所に確実に保持され、各ワークステーションにおける加工ステップを完了するために各ワークステーションにおいて移動及び回転されなばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニードル製造に含まれる種々のステップは、ニードルをワークステーションの各々を通して移動させ、各製造ステップで該ニードルを操作するために、著しい時間及び努力を必要とする。従って、改良されたニードル製造システム及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、概して、加工品のための固定具に関する。他の実施形態では、本開示は、固定具を用いて機械加工操作を行うためのシステムに関する。更に他の実施形態では、本開示は、固定具を用いて機械加工操作を行うための方法に関する。
【0007】
本開示の一態様では、複数の加工品を保持するための固定具が提示される。この態様によれば、固定具は、フレームと、複数のホルダーと、アクチュエータと、ブラケットと、を備える。各ホルダーは、加工品を受入れて固定するように構成される。各ホルダーは、フレームに回転可能に連結される。アクチュエータは、フレームに対する複数のホルダーの回転を駆動するために、複数のホルダーに動作可能に連結される。ブラケットは、固定具を移動させるように構成されたマニピュレータにフレームを取り付けることを可能にする。
【0008】
この態様によれば、各ホルダーは、加工品を取外し可能に固定するように構成されたコレットとしてもよい。
【0009】
この態様によれば、各ホルダーは、ホルダー歯車に連結されてもよい。アクチュエータは、シャフト歯車を有するシャフトを備えてもよい。シャフト歯車は、フレームに対するホルダーの回転を駆動するために、ホルダー歯車に動作可能に連結されてもよい。
【0010】
この態様によれば、固定具は、機械加工操作中に加工品の撓みを最小にするか又はなくすために、ホルダーから離れて配置された支持構造を備えてもよい。シャフト歯車は、連結歯車によってホルダー歯車に動作可能に連結されてもよい。一態様では、連結歯車は、直動アクチュエータであってもよい。直動アクチュエータは、シャフト歯車から構成されるピニオンによって駆動されるラック歯車を備えてもよい。アクチュエータは、シャフトの回転を駆動するための電動モータから構成されてもよい。他の態様では、連結歯車は、第1の螺旋歯車であってもよい。第1の螺旋歯車は、シャフトに沿って延在していてもよい。第1の螺旋歯車は、シャフトと実質的に平行であってもよい。第1の螺旋歯車の回転軸は、シャフトと平行であってもよい。第1の螺旋歯車は、プーリ駆動体によってシャフト歯車に動作可能に連結されていてもよい。プーリ駆動体は、シャフト歯車を第1の螺旋歯車に連結するベルトを備えていてもよい。
【0011】
この態様によれば、固定具は、機械加工操作中に加工品の撓みを最小にするか又はなくすために、ホルダーから離れて配置された支持構造を備えてもよい。
【0012】
この態様によれば、マニピュレータは、ロボットであってもよい。このロボットは、回転アクチュエータを備える遠位端を有するアームを備えてもよい。固定具は、固定具のアクチュエータがロボットの回転アクチュエータに動作可能に連結されるように、アームの遠位端に連結されるように構成されてもよい。
【0013】
本開示の更なる態様では、複数の加工品を保持するためのロボット用エンドエフェクタが提示される。この態様によるロボット用エンドエフェクタは、複数のホルダーと、シャフトと、第1の連結歯車と、第2の連結歯車と、を備える。各ホルダーは、加工品を受入れて固定するように構成される。各ホルダーは、各ホルダー歯車に連結される。シャフトは、シャフト歯車を備える。シャフトは、シャフトを回転させ、ロボット用エンドエフェクタを研磨砥石に対して移動させ且つ位置決めするように構成される。第1の連結歯車は、シャフト歯車に連結される。第2の連結歯車は、第1の連結歯車及びホルダー歯車に連結される。ロボットによるシャフトの回転は、各ホルダー歯車、第1の連結歯車、及び第2の連結歯車を介して、複数の加工品の各々を各加工品軸を中心として同時に回転させるようになっている。
【0014】
本開示の更なる態様では、研磨システムが提示される。この実施形態による研磨システムは、研磨面と、エンドエフェクタと、ロボットと、を備える。エンドエフェクタは、複数のホルダーを有するフレームを備える。各ホルダーは、1つの加工品を受入れて固定するように構成される。各ホルダーは、フレームに回転可能に連結される。アクチュエータは、フレームに対する複数のホルダーの回転を駆動するために、複数のホルダーに動作可能に連結される。ロボットは、エンドエフェクタのアクチュエータに連結される。このロボットは、アクチュエータを回転させるように構成され、加工品をエンドエフェクタの第1の位置において研磨するために、加工品がエンドエフェクタの第1の位置において研磨面に接触し、エンドエフェクタの第2の位置において研磨面に接触しないように、エンドエフェクタを研磨面に対して移動させ、且つ位置決めするように構成される。アクチュエータの回転は、複数の加工品の各々を各加工品軸を中心として同時に回転させるようになっている。
【0015】
この態様によれば、ホルダーの各々は、各ホルダー歯車に連結されてもよい。アクチュエータは、シャフト歯車を有するシャフトを備えてもよい。シャフト歯車は、フレームに対するホルダーの回転を駆動するために、ホルダー歯車に動作可能に連結されてもよい。シャフト歯車は、連結歯車を介してホルダー歯車に連結されてもよい。シャフト歯車は、第1の連結歯車及び第2の連結歯車に連結されてもよい。第2の連結歯車は、ホルダー歯車に連結されてもよい。
【0016】
この態様によれば、ロボットによるアクチュエータの回転は、第2の位置において研磨面に接触しない部分を研磨するために行われてもよい。
【0017】
この態様によれば、ホルダーは、トロッカーニードルを受入れて固定するように構成されてもよい。
【0018】
この態様によれば、研磨システムは、電解研磨システムであってもよい。
【0019】
本開示の更なる態様では、加工品を研磨するための方法が提示される。この実施形態による方法は、(i)加工品をエンドエフェクタのホルダーに装填するステップと、(ii)加工品への1つ又は複数の補助操作を行うために、アクチュエータによって加工品の移動及び回転の少なくとも一方を行うステップと、(iii)加工品を研磨面で研磨するために、アクチュエータによって加工品の移動及び回転の少なくとも一方を行うステップと、を含む。ホルダーは、フレームに回転可能に連結される。ホルダーには、フレームに対するホルダーの回転を駆動するために、アクチュエータが動作可能に連結される。
【0020】
この態様によれば、補助操作は、研磨前操作及び研磨前操作のいずれかを含んでもよい。研磨前操作は、素材の取込み及び素材の切断のいずれかを含んでもよい。研磨後操作は、加工品のバリ取り、グリットブラスト、検査、及び電解研磨のいずれかを含んでもよい。
【0021】
この態様によれば、加工品は、トロッカーニードルであってもよい。
【0022】
この態様によれば、アクチュエータは、ロボットであってもよい。この方法は、ロボットをエンドエフェクタに取り付けるステップを更に含んでいてもよい。
【0023】
この態様によれば、ステップ(i)-(iii)を行う指令は、ヒューマン-マシン・インタフェースを介して伝達されてもよい。
【0024】
本開示の主題及びその種々の利点は、以下の添付の図面に基づく以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の一実施形態による固定具の前方斜視図である。
【
図3】
図1の固定具のアクチュエータ機構の前方斜視図である。
【
図5B】
図5Aのホルダーのためのアクチュエータ機構の部分斜視図である。
【
図5C】線A-Aに沿って切断された
図5Bのアクチュエータ機構の部分断面図である。
【
図6】本開示の他の実施形態による研磨システムの斜視図である。
【
図7】
図6の研磨システムの固定具に取り付けられたロボットの斜視図である。
【
図9】
図7のロボット及び固定具の拡大側面図である。
【
図10】
図6の研磨システムの研磨加工の斜視図である。
【
図11】
図6の研磨システムのロボットの斜視図である。
【
図12】本開示の他の実施形態による機械加工システムの概略図である。
【
図13】本開示の他の実施形態による固定具の前方斜視図である。
【
図14】アクチュエータ機構を示すために部分的に分解された
図13の固定具の前方斜視図である。
【
図15】
図13の部分的に分解された固定具の後方斜視図である。
【
図16】
図13の固定具のアクチュエータ機構の前方斜視図である。
【
図17】構成要素を示すために部分的に分解された
図16のアクチュエータ機構の前方斜視図である。
【
図18】本開示の他の実施形態による固定具の前方斜視図である。
【
図19】
図18の固定具のツールチャンジャーの前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面に示される本開示の種々の実施形態について詳細に説明する。同一又は同様の特徴部を説明するために、可能な限り、同一又は同様の参照番号が図面の全体を通して用いられる。図面は、簡素化されており、正確な尺度で描かれていないことに留意されたい。加えて、本明細書において用いられる冠詞「a」は、「少なくとも1つ(at least one)」を意味している。
【0027】
本明細書に用いられる用語「ニードル(needle)」及び「加工品(workpiece)」は、交換可能に用いられ、特に明記しない限り、いずれかの用語が明示的に使用されていれば、他の用語も明示的に使用されているものとする。同様に、用語「固定具(fixture)」、「エンドエフェクタ(end effector)」及び「ロボット用エンドエフェクタ(robotic end effector)」という用語も交換可能に用いられ、特に明記しない限り、これらの用語のいずれかが明示的に使用されていれば、他の用語も明示的に使用されているものとする。
【0028】
図1,2は、本開示の一実施形態による固定具100の前方及び後方斜視図を示している。固定具100は、1つ又は複数の加工品200を受け入れて固定するための複数のコレット102を保持するフレームを備えている。コレット102は、以下に更に十分に述べるように、異なる厚み及び長さの加工品を受け入れることができる。各加工品200は、コレット102に装填され、コレット102に堅く固定される。シャフト110が、連結構造144及び一組の取付アーム112を介して、コレット102を(図示されない)ロボットのようなマニピュレータに接続する。シャフト110は、ロボットへの取付のための取付端118を備えるブラケット104によって取り囲まれている。
図1に最もよく示されるように、固定具に制御及び/又は電力をもたらすための1つ又は複数の接続部130が、シャフト110上に設けられている。例えば、接続部130は、シャフト110の回転を駆動するためのモータ156を制御するようになっている。モータ156は、ブラケット104内に配置された状態で示され、ステッピングモータ又はサーボモータのような電動モータとすることができる。
【0029】
固定具100は、研磨のような機械加工プロセス中に加工品200の撓みを最小にするか又はなくすための支持構造116を備える。加工品200は、加工品200が(図示されない)研磨面に接触することを可能にするために、支持構造116を超えて延びている。加工品が研磨のために研磨面に押圧される時、支持構造116は、研磨中の加工品の撓みを最小にするか又はなくす裏面支持体として作用する。
【0030】
固定具100は、固定具100が機械加工ベッド又は他の工具のような他の構造に係留されるか又は取り付けられることを可能にする複数の取付構造132を備える。以下に更に詳細に述べるように、コレット102が開閉するようにピストン150を作動させるために、複数のポート134が基部152に設けられている。取付端118は、ロボットの(図示されない)対応するヘッドを受け入れる凹部136を備える。取付端118は、固定具100をロボットに確実に取り付けるためにロボットの遠位端に係合するように構成された複数の固定具138及びドエルピン122を備える。固定具の操作温度を所望レベルに維持するために、冷媒が固定具を横断して流れることを可能にする(図示されない)冷媒ポートが、固定具100に設けられてもよい。
【0031】
ここで
図3を参照すると、固定具100のアクチュエータ機構の前方斜視図が示されている。シャフト110は、上側歯車ラック106に連結されたシャフト歯車128を備える。シャフト歯車128及び上側歯車ラック106は、シャフト歯車128の回転R2がラック106の直線移動L1を生じさせるラック・ピニオン機構を形成する。シャフト歯車128の回転は、
図3に示されるように、シャフト110をシャフト中心軸A2を中心として回転させることによって行われる。
【0032】
上側歯車ラック106は、下側歯車ラック108に対してこれらの上下歯車ラックが一緒に移動するように取り付けられる。
図3に示されるように、上側歯車ラック106の直線移動L1が、下側歯車ラック108の同様の直線移動L2を生じさせる。各コレット102は、コレット歯車126に連結される。コレット歯車126は、下側歯車ラック108に連結され、これによって、下側歯車ラックの直線移動L2が加工品の中心軸A1を中心とする回転R1を生じさせる第2のラック・ピニオン機構を形成する。従って、シャフト110の回転が、各加工品200の回転を生じさせる。シャフト110の回転に対する各加工品の回転は、歯車比を調整することによって所望の制御が可能である。例えば、ラックピニオンの歯車比の増大は、加工品の回転をより正確にする一方、ラックピニオンの歯車比の減少は、加工品の回転をより高速にする。この実施形態には2組の歯車ラックで2つのラック・ピニオン機構が示されているが、他の実施形態では、シャフト110の回転R2を各加工品の回転R1に変換する1つのラック・ピニオン機構しか設けられていなくてもよい。この実施形態では、シャフト110の回転R2を各加工品200の回転R1に変換するためにラック・ピニオン機構による回転-直動変換が用いられているが、他の実施形態では、シャフト110の回転R2を各加工品200の回転R1に変換するためにへリングボーン歯車、ベベル歯車、ウオーム歯車、内歯車、等の他の歯車機構が用いられてもよい。例えば、シャフト110及びコレット102を互いに接続するために、チェーン又はベルト駆動体が用いられてもよく、この場合、シャフト歯車128及びコレット歯車126の各々は、例えば、ローラチェーンのループに接続されたスプロケットの形態にすることができる。他の実施形態では、各加工品200を回転させるために、シャフト110の回転-直動変換が用いられてもよい。
【0033】
図4は、固定具100のアクチュエータ機構の上面図を示している。加工品200の遠位端202と支持体116との間の距離D1が、支持体116を超える加工品200の突出量を規定する。加工品200におけるコレット102の遠位面と支持体116との間の距離D2が、固定端(コレット102)と自由端(支持体116の上方の加工品200)との間の距離を規定する。従って、距離D2によって規定される加工品200の部分は、加工品200が支持体116に接触しない時、片持ち梁として機能する。距離D1,D2は、支持体116を移動させることによって、調整可能である。例えば、直線状スロット158及び1つ又は複数の係止ボルト160を用いることで、支持体116を異なる位置へスライドさせて、その位置に係止することができる。このような調整機能は、脆い材料及び/又は薄い材料で作製された加工品200を研磨する時に利用されるとよく、例えば、研磨中にこのような加工品200の湾曲を低減させるために、距離D1が最小限に抑えられるとよい。距離D1,D2を変化させるための支持体116の調整をロボットのようなマニピュレータによって行うことで、所望の調整を自動化することができる。これによって、ロボットがオペレータからの入力に基づきこれらの距離を調整することができる。
図2に示されるような空圧又は流体圧ポート166によって、支持体116の空圧又は流体圧制御が可能になる。例えば、空圧又は流体圧制御によって支持体116を降下させることによって、コレット102への加工品200の装填が可能になり、研磨中に空圧又は流体圧制御によって支持体116を持ち上げることによって、加工品に対する撓み支持をもたらすことができる。
【0034】
図4に最もよく示されるように、直線状レール140が、コレット102に接続され、取付部を介してシャフト110に取り付けられる。
図2に最もよく示されるように、基部152は、Uアーム148に接続されたピストン150を備える。
図1に示されるように、エンドキャップ114が、ピストン150を基部152に固定する。
【0035】
図5Aは、加工品200、コレット102、及び、コレット歯車126の分解図を示している。加工品200は、遠位端202及び近位端204を備える。この実施形態では、加工品200は、遠位端202が3つのベベル面を有するトロッカーニードルである。他の実施形態では、他のニードル先端型式、例えば、限定するものではないが、ダイヤモンド先端、冠状鋸、バックベベル、メンギーニ、カミソリ刃、等も可能である。本開示の固定具100は、例えば電解研磨システム等、いかなる研磨システムと共に利用されてもよい。コレット開口154の直径は、加工品200の近位端204を受入れて固定するために拡縮可能となっている。具体的には、軸A1に沿ったブッシュ146とコレット102との間の相対的な平行移動によって、コレット102のテーパ端162がブッシュ146内で徐々に締め付けられ、これによって、開口154の大きさを縮小し、加工品200を把持するようになっている。また、加工品200をコレット102の(図示されない)後側開口を通して装填することもできる。
【0036】
図5B,5Cは、コレット102を開閉する作動機構の斜視図を示している。各ピストン150は、ポート134に接続される。
図5Cに最もよく示されるように、ポート134を流体圧又は空圧ポートとして、これにより、流体圧又は空圧手段によってピストン150に直線移動L3を行わせることができる。エンドキャップ114から離れる方へのピストン150の伸長は、U-アーム148を押して、U-アーム148を枢軸164を中心として枢動させ、これによって、コレット歯車126がコレット102をブッシュ146内に引き入れ、その結果、開口154が閉じる。ピストン150がエンドキャップ114の方に移動すると、コレット歯車126がコレット102をブッシュ146外に押し出し、その結果、コレット102が開く。他の実施形態では、ピストンに接続された剛性リンクを用いて、コレット102を直接ブッシュ内外に移動させることもできる。このようにして、ピストンの直線移動L3によって、Uアーム148がコレット102とブッシュ146との間で相対的に移動し、加工品200を固定又は解放する。直線移動L3は、ロボットのようなマニピュレータによって行われてもよく、これによって、コレット102に対する加工品の装填/取出し及び調整を完全に自動化することが可能になる。
【0037】
固定具100は、本明細書では研磨加工に関連して一般的に記載されているが、固定具100は、他のいかなる機械加工操作において、加工品を受入れ、固定し、操作し、取外すために用いられてもよい。固定具100は、本明細書ではロボットと共に用いられるものとして一般的に記載されているが、他の実施形態では、手動手段から全自動化手段までのいかなる操作手段が用いられてもよい。シャフト110の回転は、ロボットのようなマニピュレータによって行われると一般的に記載されているが、他の実施形態では、モータ156は、マニピュレータを必要とすることなく単独でシャフト110を回転させるようになっていてもよい。他の実施形態では、モータ156は、シャフトの回転を行うロボットのようなマニピュレータと連携して用いられてもよい。
【0038】
図6を参照すると、本開示の他の実施形態による機械加工システムの斜視図が示されている。この実施形態では、研磨システム300が一例として示されているが、他の実施形態では、切削システム、溶接システム、穿孔システム等の他の機械加工システムが用いられてもよい。研磨システム300は、ロボット400に連結された固定具100を備える。研磨システムは、加工品を研磨するための研磨砥石302及び研磨加工に対して冷媒を供給する冷媒タンク304を備える。
図6に示されているように、機械ベッド308を有する機械基部306も設けられる。制御パネル310は、オペレータ制御のための入力に用いられ、研磨プロセスを監視するディスプレイを備える。オペレータは、制御パネル310を介して研磨加工を監視し、且つ制御することができる。
【0039】
図7は、研磨システム300の研磨砥石302の詳細を示している。研磨砥石302は、研磨面320を備える。研磨砥石ガード312は、研磨加工中、オペレータ及び周囲のものを保護する。モータ314及び種々の他の付属品は、研磨面320の上方に配置される。研磨ベッド318は研磨面320の下方に配置される。加工品が予め装填された第2の固定具100’は、研磨面320及びロボット400に近接する棚316の上に配置される。
【0040】
図8-10を参照すると、本開示の他の実施形態による研磨システム300を用いて研磨加工を行う方法の種々の図が示されている。加工品200は、固定具100のコレット102内に装填されている。
図9に示されるように、固定具100に連結されたロボット400は、加工品200の遠位端202が研磨面320に接触するように、固定具100を位置決めを行う。冷媒は複数の注入ホース322を介して研磨面320の幅にわたって供給され、熱損傷を低減し、加工品から研磨屑を除去するようになっている。加工品200の遠位端202の第1のベベル面を研磨した後、ロボット400は、固定具100を研磨面320から離れる方に移動させ、以下に更に十分に述べるように、固定具100のシャフト110を回転させることによって、加工品を回転させる。このプロセスは、加工品の型式、すなわち、トロッカー、ダイヤモンド先端等に応じて、加工品の研磨が完了して所望の形状が達成されるまで繰り返される。次いで、ロボット400は、研磨加工された加工品を有する固定具100との係合が解除され、加工品が事前装填された固定具100’を取り上げ、新しい加工品への研磨加工を行うことになる。
【0041】
図11を参照すると、研磨システム300において固定具100と共に用いられるロボット400の一例が示されている。ロボット400は、固定具100の凹部136内に受け入れられるように構成されたヘッド402を備える。固定具138及びドエルピン122を用いて、ロボット400をヘッド402を介して固定具100に固定するようになっている。ヘッド402は、シャフト110の軸A2を中心として回転するように構成されたアクチュエータを備えることができる。ロボット400は、関節404,406,408を備えている。これらの関節の各々は、それぞれの軸を中心として回転するように構成されている。関節404は、軸A3を中心として回転し、回転R3を生じさせる。同様に、
図11に最もよく示されるように、関節406,408は、それぞれ、軸A4,A5を中心として回転し、回転R4,R5を生じさせる。更に、研磨システム300に取り付けられるロボット400の基部410は、軸A6を中心として回転し、回転R6を生じさせる。従って、シャフト軸A2を中心とするシャフト110の回転に加えて、ロボット400は、ヘッド402を関節によって与えられる種々の自由度で位置決めし、固定具100の360°の配置を可能にする。研磨加工を行うために、本開示の固定具100は、2自由度,3自由度,又は4自由度のロボットと共に用いられることが可能であることに留意されたい。
【0042】
図12は、本開示の他の実施形態による固定具100及びロボット400を用いる機械加工システム500の概略図を示している。機械加工システム500は、全自動化されたニードル製造システムを示しているが、本明細書に開示される機械加工システムは、他のいかなる製品の機械加工に用いられてもよい。ニードル製造システム500は、全自動化又は半自動化されたニードル製造システムであり、製造ステップの全て又は殆どは、固定具100に装填された加工品をロボットによって操作することによって行われる。ニードル製造システム500は、研磨前操作502、研磨加工504、及び研磨後操作506を含んでいる。固定具100がロボット400に連結されている間に加工品200が手動によって固定具100に事前装填されてもよいし、あるいは、固定具100がロボット400に接続されていない間に加工品200が手動によって固定具100に事前装填され、その後、固定具100がロボット400に連結されてもよい。他の代替例として、固定具100がロボット400に取り付けられている間に、ロボット400が加工品200を固定具100に自動的に装填することもできる。
【0043】
加工品200を含む固定具100がロボット400に連結されると、ロボット400は、種々の研磨前操作502のために加工品を移動させることができる。また、ロボット400は、いかなる研磨前操作502においても、例えば、固定具100をその位置及び方位を変化させるように移動させること、及び、シャフト110を介して加工品を回転させることの少なくとも一方により、加工品を操作することができる。研磨前操作の例には、限定するものではないが、電解法又は砥粒切断法によって加工品を所望の長さに切断する操作、研磨前洗浄、研磨前試験等が含まれる。ロボット400は、コレットを開き、加工品を背部ストッパに押し付けて所望の長さを達成することによって、コレット102を貫通する加工品の長さを調整するように構成されている。
【0044】
以下に更に詳細に述べるように、研磨前操作502を完了した後、ロボット400は、加工品200が研磨面に対向して配置されてニードル遠位端が所望の形状となるように、固定具100を位置決めし、且つ操作する。
【0045】
いったんニードルが所望の形状に研磨されたなら、ロボット400は、固定具100を1つ又は複数の研磨後操作504のために移動させる。研磨前操作と同じように、ロボット400は、例えば、固定具100をその位置及び方位を変化させるように移動させること、及び、加工品をシャフト110を介して回転させること、の少なくとも一方により、研磨後操作504の各々において加工品を操作することができる。研磨後操作の例には、限定するものではないが、グリットブラスト、検査(及び必要に応じて研磨不足を補うための追加的な研磨)、電解研磨、包装等が含まれる。
【0046】
機械加工システム500によって、オペレータは、
図6に示される制御パネル310のようなヒューマン-マシン・インタフェース(HMI)を用いてシステムの操作を制御することが可能である。しかし、HMIは、ロボット用の制御装置に接続される別の「ティーチボックス」又は「ティーチペンダント」を用いるよりもむしろ、HMI自体がロボット400をプログラム化及び再プログラム化できるように構成されていることが好ましい。更に、本開示の固定具のデザインは、加工品の十分な操作性、すなわち加工品の全ての回転及び配置、を可能にするため、固定具、オペレータは、多数の異なる機械加工操作を行えるように(例えば、HMIを介して)ロボット400を簡便にプログラム化することができる。その結果、本開示の機械加工システムは、トロッカー又はカニューレのための種々のニードル型式等、種々の異なる構成要素を(例えば、研磨及び研磨前/研磨後プロセスを介して)製造するように容易にプログラム可能な全自動化されたロボット式機械加工プロセスを提供できる。対照的に、従来の自動化されたマシンテンディング・プロセスは、特定の構成部品を製造するように設定された機械加工操作において、主に1つ又は複数の特定の作業(例えば、荷積み機能及び荷下ろし機能)を行うためにロボットを利用するようになっているので、異なる構成部品を製造するのに必要な加工操作の異なるシーケンスを設計及び実施するのに多大な努力が必要である。
【0047】
図13を参照すると、本開示の他の実施形態による固定具600の前方斜視図が示されている。固定具600は、固定具100と同様であり、同様の要素は、600番台の同様の番号によって示されるものとする。例えば、固定具600は、加工品200を固定するコレット602と、研磨のような機械加工プロセス中の加工品200の撓みを最小にするか又はなくすための支持構造616と、固定具に制御及び電力の少なくとも一方をもたらす1つ又は複数のコネクタ630と、を備える。しかし、
図14に最もよく示されるように、固定具600のシャフト610及びモータ656は、
図1に示される方位と直交する方向において固定具600に沿って配向される。すなわち、シャフト610及びモータ656は、好ましくは、ロボットヘッド402と加工品200の端との間に規定される方向に対して直角に配向される。
図14に示されるように、この配向によって、固定具600の凹部636に連結されるように構成された(
図11に示される)ロボットヘッド402と加工品200を保持するコレット602との間の距離が短縮される。その結果、固定具600を利用する機械加工操作中にロボット400に加えられるモーメント負荷が低減される。
【0048】
固定具600は、
図13に示されるように、コレット602の上方に個々に配置された冷媒ノズル613を備える。加工品の上方に直接配置された冷媒ノズル613は、改良された冷却をもたらし、その結果、機械加工操作を改良する。例えば、研磨中に生じた研磨屑が、それぞれのノズル613によって、各加工品に向けられた個別の冷媒供給によって取り除かれる、すなわち、洗い流される。冷媒を供給する冷媒源をノズル613に容易に接続するために、流体経路が固定具600内を通って設けられている。流体経路が固定具600内に配置されているので、種々の機械加工操作を通して、加工品200への冷媒供給を好適に維持し、且つ制御することができる。
【0049】
図15-17は、固定具600のアクチュエータ機構を示している。このアクチュエータ機構は、固定具600を横切って延在する主螺旋歯車609を備える。各コレット602は、
図16,17に最もよく示されるように、主螺旋歯車609に連結されたコレット螺旋歯車611を有する。
図17に示されるように、回転軸A10を中心とする主螺旋歯車609の回転が、全てのコレット螺旋歯車611を軸A11を中心として同時に回転させる。回転軸A10は、シャフト610と平行又は実質的に平行である。従って、主螺旋歯車609を回転させることによって、全ての加工品200を同時に回転させることができる。主螺旋歯車609の一端に配置された被駆動歯車615は、ベルト、チェーン、中間歯車、又は同種の駆動接続具を介して、シャフト歯車613の形態にある駆動歯車に接続される。歯車609,615は、精細歯研平歯車とすることができる。この精細歯研平歯車は、バックラシを削減して加工品を正確に回転させるのと同時に、加工品の連続的且つ干渉のない回転をもたらす。しかし、他の形式の歯車(例えば、螺旋歯車)が代替的に用いられてもよい。シャフト歯車613は、シャフト610の回転によって制御される。従って、シャフト610の回転が、各加工品200の同時回転を制御する。
図16に示されるように、プーリカバー607は、被駆動歯車615及びシャフト歯車613を収容している。
図3に示されるようなラック・ピニオン機構の代わりに
図16-17に示されるような螺旋歯車機構を利用する利点は、螺旋歯車機構には、コレット602の任意の回転方向における回転量に制限がない、ということにある。螺旋歯車機構は、(前述したような)種々の異なる構成部品を製造するためのシステムのプログラム化の容易さに加えて、製造される構成部品の形式に対してより柔軟に対応できる、という点で有利である。例えば、任意の回転方向において回転量が制限されないことで、加工品200の円錐先端を容易に研磨することができる。
【0050】
図18を参照すると、本開示の他の実施形態によるツールチェンジャー(tool changer)800を有する固定具700が示されている。固定具700は、固定具600と同様であり、同様の要素は、700番台の同様の番号によって示されるものとする。例えば、固定具700は、加工品200を固定するコレット702と、研磨のような機械加工操作中の加工品200の撓みを最小にするか又はなくすための支持構造716と、固定具700に制御及び電力の少なくとも一方をもたらす1つ又は複数のコネクタ730と、を備える。固定具700に連結されたツールチャンジャー800は、ロボット400への迅速且つ容易な接続を可能にする。
【0051】
ツールチャンジャー800は、
図19,20にそれぞれ最もよく示されるように、固定具取付端804及びロボット取付部802を備える。固定具取付端804は、固定具600のブラケット604に取り付けられる(
図15参照)。ロボット取付部802は、ロボットに容易に取付け可能な迅速交換インタフェースを備える。固定具700とロボット400との間にツールチャンジャー800を介して電気インタフェースをもたらすために、雄/雌ピン装置808を有するモジュ―ル806,810のような種々の電気接続具がツールチャンジャー800に連結される。ツールチャンジャー800への多数の貫通ポート812によって、固定具700と外部源との間のツールチャンジャー800を介する流体経路が可能になる。例えば、種々の機械加工操作中に固定具700を介して(例えば、冷媒ノズル713を介して)冷媒を加工品200に供給するために、冷媒容器がツールチャンジャー800に連結されてもよい。ロボット400は、固定具に連結されたツールチェンジャーとインタフェースを介して接続されることで、所望の固定具を自動的に選択するようにプログラムが組まれてもよい。
【0052】
本開示の種々の実施形態におけるニードルの例としてトロッカーニードルについて一般的に記載してきたが、上記の実施形態は、限定するものではないが、例えば、バックベベル先端ニードル、バイアス研磨ニードル、ダイアモンド先端ニードル、メンギーニニードル、プローブ先端ニードル、カミソリ刃ニードル、スタイラー、トリファセットランセット等、いかなるニードル形式に用いられてもよい。
【0053】
更に、本明細書に開示される発明を特定の特徴を参照して説明してきたが、これらの特徴は、本発明の原理及び用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、本明細書に記載される種々の特徴の大きさの変更を含む多くの修正が例示的実施形態に対してなされ得ること、及び本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の構成が考案され得ることを理解されたい。これに関して、本発明は、以下の段落に記載される特定の特徴に加えて多くの追加的な特徴を含んでいる。更に、前述の開示は、本発明を制限するためではなく、むしろ説明するためになされていると見なされるべきである。何故なら、本発明は、以下の請求項に記載される特徴を本発明の種々の実施形態に従って記載する番号付けされた段落の例において定義されるからである。