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特許7701246液含有物の製造方法及び配管内異常検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-23
(45)【発行日】2025-07-01
(54)【発明の名称】液含有物の製造方法及び配管内異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 51/00 20060101AFI20250624BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20250624BHJP
【FI】
F04B51/00
F04B49/10 311
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021183362
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070907
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2024-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉腰 正人
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-324359(JP,A)
【文献】特開2019-158681(JP,A)
【文献】特開2013-121563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 51/00
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体添加装置を用いて、被添加物に液体を間欠的に添加する液含有物の製造方法であって、
前記液体添加装置が、前記液体を間欠的に供給するポンプと、前記液体を前記被添加物に吐出するノズルと、該ポンプ及び該ノズル間を接続する配管と、該配管内の流量を検出する流量センサーとを備えており、
前記ポンプから前記ノズルに前記液体を間欠的に供給する周期を、吐出区間と非吐出区間とに区分したとき、
前記流量センサーの検出値に基づいて、前記吐出区間において前記配管内を流れる前記液体の積算流量を算出する吐出時流量積算工程と、
前記流量センサーの検出値に基づいて、前記非吐出区間において前記配管内を流れる前記液体の積算流量を算出する非吐出時流量積算工程と、
吐出時流量積算工程及び非吐出時流量積算工程それぞれの積算流量に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出量の適否を判定する判定工程とを具備する、液含有物の製造方法。
【請求項2】
前記判定工程において、予め求めた、前記ノズルから吐出される前記液体の吐出量と、前記配管内を流れる前記液体の積算流量との関係式に基づき、前記吐出区間及び前記非吐出区間の何れか一方又は双方における前記積算流量について、前記判定を行う、請求項1に記載の液含有物の製造方法。
【請求項3】
前記関係式に基づき、前記吐出区間における前記ポンプからの前記液体の供給量を調整する、請求項2に記載の液含有物の製造方法。
【請求項4】
前記ポンプの制御に関連する設定値に基づき、前記周期を前記吐出区間と前記非吐出区間とに区分する、請求項1~3の何れか1項に記載の液含有物の製造方法。
【請求項5】
前記判定工程において、吐出時流量積算工程の積算流量に基づく前記液体の吐出量が適正ではないと判定された場合に、該判定に対応する前記液含有物を製造ラインから排除する、請求項1~4の何れか1項に記載の液含有物の製造方法。
【請求項6】
前記判定工程において、非吐出時流量積算工程の積算流量に基づく前記液体の吐出量が適正ではないと判定された場合に、前記配管内の異常として警報を発する、請求項1~5の何れか1項に記載の液含有物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液含有物の製造方法及び配管内異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を間欠的に供給することで、給水や該液体を用いた製品を製造する装置及び方法が知られている。例えば特許文献1には、給水配管に設けた流量計からのパルス信号に基づいて流量の検出を行うとともに、給水中のパルス信号が出力されない時間が所定時間よりも長かった場合に、異常発生と判定するようになされている、給水装置が記載されている。当該給水装置は、経過時間のカウント途中で給水の停止を行い、給水停止後に給水を再開した場合に該カウントを停止する一方、給水再開後の場合に前記所定時間を遅延時間分延長させる。
【0003】
また本出願人は、先に、液体を被添加物に対して添加する液体添加部と、該液体を該液体添加部に一定量ずつ送液するプランジャー型ポンプとを備え、プランジャー型ポンプの吐出側の配管に、該配管内の圧力を連続的に検知可能な圧力センサーを配置して、該圧力センサーから得られる圧力値を監視しつつ液体の間欠添加を行う、液体の間欠添加方法を開示した(特許文献2)。
【0004】
また、特許文献3には、流体を間欠吐出するポンプと、該流体の供給路の計測流量に基づいて生成した該ポンプの駆動信号によって、該ポンプの駆動を制御する駆動制御装置とを備え、前記駆動信号を出力する際にI2Cバスの所定コマンドを流量センサーに送信し、該コマンド受信を契機に流量センサーが所定時間に亘り前記供給路における流体の流量を計測してメモリに計測流量を記憶する、流体供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-047119号公報
【文献】特開2013-121563号公報
【文献】特開2019-113470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体を被添加物に間欠的に添加する液体添加装置は、通常、液体の流路を形成する配管と、液体を被添加物に添加するノズルと、該配管を介して液体をノズルに間欠供給するポンプとを備えている。斯かる装置において、ポンプが液体を吐出する吐出時間に、配管内の液体流量の適否を監視することは、該液体の安定供給の点で有効である。しかしながら、配管内に気泡が溜まる等の異常が発生した場合、吐出時間において当該異常を把握することは困難であり、ノズルから被添加物に間欠吐出される液体の吐出量が不安定となることがある。特許文献1~3は、液体が間欠供給される配管内の異常を検知するための技術を開示するものではない。
【0007】
したがって本発明の課題は、液体が間欠供給される配管内の異常を検知することで、該配管に設けられたノズルから液体を安定して間欠吐出できる、液含有物の製造方法及び配管内異常検知方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体添加装置を用いて、被添加物に液体を間欠的に添加する液含有物の製造方法に関する。
前記液体添加装置が、前記液体を間欠的に供給するポンプと、前記液体を前記被添加物に吐出するノズルと、該ポンプ及び該ノズル間を接続する配管と、該配管内の流量を検出する流量センサーとを備えていることが好ましい。
前記ポンプから前記ノズルに前記液体を間欠的に供給する周期を、吐出区間と非吐出区間とに区分したとき、
前記製造方法は、前記流量センサーの検出値に基づいて、前記吐出区間において前記配管内を流れる前記液体の積算流量を算出する吐出時流量積算工程と、
前記流量センサーの検出値に基づいて、前記非吐出区間において前記配管内を流れる前記液体の積算流量を算出する非吐出時流量積算工程と、
吐出時流量積算工程及び非吐出時流量積算工程それぞれの積算流量に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出量の適否を判定する判定工程とを具備することが好ましい。
【0009】
また、本発明は、ポンプとノズルとの間を接続し、且つ前記ノズルに液体が間欠的に供給される配管において、異常を検知する配管内異常検知方法に関する。
前記配管には、該配管内の流量を検出する流量センサーが設けられていることが好ましい。
前記ポンプから前記ノズルに前記液体を間欠的に供給する周期を、吐出区間と非吐出区間とに区分したとき、
前記配管内異常検知方法は、前記流量センサーの検出値に基づいて、前記非吐出区間における前記配管内の積算流量を算出する流量積算工程と、
前記積算流量が所定の範囲内か否かを判定する判定工程とを具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液含有物の製造方法及び配管内異常検知方法によれば、液体が間欠供給される配管内の異常を検知することで、該配管に設けられたノズルから液体を安定して間欠吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る液体添加装置の一実施形態を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施に好適に用い得るプランジャー型ポンプの説明図である。
図3図3は、図1に示す液体添加装置が行う制御のタイミングチャートである。
図4図4(a)は、正常時の配管内の瞬時流量の変化を示すグラフであり、図4(b)は、異常時の配管内の瞬時流量の変化を示すグラフである。図4(c)は、1回当たりの間欠供給における配管内の瞬時流量を示すグラフであって、正常時及び異常時の双方を重ねて示すグラフである。
図5図5は、図1に示す液体添加装置を用いた液含有物の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の液含有物の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明に係る液体添加装置の一実施形態が示されている。図1に示す液体添加装置1(以下、単に「装置1」という)は、被添加物11に液体10を間欠的に添加して、該液体10を含有した液含有物12を製造する装置である。
【0013】
本実施形態の装置1は、液体10を間欠的に供給(間欠供給)するポンプ6と、液体10を被添加物11に吐出するノズル4と、該ポンプ6及び該ノズル4間を接続する配管3と、該配管3内の流量を検出する流量センサー2とを備えている(図1参照)。また、本実施形態の装置1は、装置1全体の制御を行う制御手段5を備えている。図1は、装置1の要部のみを示すものであり、該装置1のすべての構成を示すものではない。
【0014】
本実施形態の配管3は、ポンプ6及びノズル4間の流路を形成しており、該配管3を介してポンプ6からノズル4に液体10が間欠供給される。
本実施形態の装置1では、配管3内を流れる液体10の流量を検出する流量センサー2を備えている。流量センサー2としては、差圧式、電磁式、面積式、超音波式、羽車式、熱式、コリオリ式、容積式、渦式等の各種方式のものを用いることができる。メンテナンス性や耐食性・耐摩耗性の観点から、超音波式や電磁式等の非接液型の流量センサーを用いることが好ましい。
流量センサー2によって測定された配管3内を流れる液体10の流量値(検出値)は、後述する制御手段5に送信される。
【0015】
本実施形態の装置1では、ポンプ6と液体10の貯留槽(図示せず)とが配管3aによって接続されており、該配管3aを介して貯留槽からポンプ6へ液体10が供給される(図1)。本実施形態のポンプ6は、図2に示すように、プランジャー62と、該プランジャー62が挿入されたシリンダ61とを具備するロータリー式プランジャー型ポンプである。当該ポンプ6は、プランジャー62の回転角度に応じて、該シリンダ61の周面に設けられた吸入口及び吐出口から液体10の吸入及び吐出を行うようになされている。プランジャー62が連続回転することで、ポンプ6が液体10の吸入と吐出とを周期的に行う。これにより、装置1では、ポンプ6から配管3を介してノズル4に液体10を間欠的に供給する。
【0016】
より詳細には、本実施形態のポンプ6は、先端部の片面に断面欠円状の切欠部62aを有する円柱状のプランジャー62と、周面の一部に吸入口6aと吐出口6bとを有するシリンダ61とを備え、該プランジャー62がシリンダ61に内挿されている(図2参照)。また、ポンプ6は、プランジャー62の後端部に、回転軸C1,C2どうしが角度θを有するように連結された駆動継ぎ手63、及び駆動継ぎ手63を回転駆動するサーボモータ等の駆動源64(図1参照)を備えている。本実施形態のプランジャー62は、その後端部の外周面にピン62bが突設されており、該ピン62bと駆動継ぎ手63の円筒部の周方向の一部に設けられた特殊軸受け(ボール継ぎ手)63bとにより、プランジャー62の後端部と駆動継ぎ手63とが連結されている。
駆動源64としては、各種のモータを用いることができる。制御の精度をより向上させる観点から、駆動源64には、サーボモータを用いることが好ましく、ACサーボモータを用いることがより好ましい。
本実施形態の駆動源64には、エンコーダとドライバーとが設けられている(図示せず)。エンコーダは、モータの回転角度のモニターに用いられる。ドライバーは、後述する制御手段5の動作指令に基づき、モータの回転数や回転角度をフィードバック制御する。
【0017】
プランジャー型ポンプ6は、軸部63aに接続したサーボモータ64により駆動継ぎ手63を一方向に回転させることにより、図2(a)~(d)に示すように、シリンダ61内をプランジャー62が回転しながら進退し、それによって吸入口6aからの液体10の吸入と、該吸入した液体10の吐出口6bからの吐出とが行われる。
図2(a)はプランジャー62を後退させながら液体を吸入している状態、図2(b)は吸入が完了した状態、図2(c)はプランジャー62を前進させながら液体を吐出している状態、図2(d)は吐出が完了した状態が示されている。図2(e)~(h)は、図2(a)~(d)のそれぞれに対応する断面図であり、吸入口6a及び吐出口6bを通り且つプランジャーの回転軸に直交する断面を示す図である。
【0018】
図2に示すプランジャー型ポンプ6は、プランジャー62の回転軸C1と駆動継ぎ手63の回転軸C2の間の角度θを変化させることにより、プランジャー62のストローク長を変化させて、一回のストローク当たりの吐出量を増減調整可能である。より具体的には、前記角度θが0°の場合は吐出量はゼロであるが、該角度θが0°より大きい場合、その角度の大きさに応じて一回のストローク当たりの吐出量も増加する。プランジャー62の後端部と駆動継ぎ手63とは、プランジャー62の後端部の外周面に突設されたピン62bと、駆動継ぎ手63の円筒部の周方向の一部に設けられた特殊軸受け(ボール継ぎ手)63bとにより連結されている。プランジャー62は、特殊軸受け(ボール継ぎ手)63bを介して連結された駆動継ぎ手63を、サーボモータ等の駆動源64によって回転させることにより回転しながら進退させる。
このようなポンプは公知であり、市販のもの等を用いることができる。例えば、株式会社イワキから「ハイセラポンプ(登録商標) Vシリーズ」として提供されている定量ポンプを用いることができ、例えばハイセラポンプV-15型等を好ましく用いることができる。
【0019】
本実施形態の装置1は、プランジャー型ポンプ6の吐出量の調節機構を備えている(図示せず)。当該調節機構は、図2に示すプランジャー型ポンプ6における、プランジャー62の回転軸C1及び駆動継ぎ手63の回転軸C2の何れかを一方を、他方に対して、前記角度θが増減するように回動させる機構を有している。斯かる機構としては、シリンダ61を固定している支持部(図示せず)を、駆動継ぎ手63を回転可能に支持している固定台(図示せず)に対して回動させるアクチュエーターを用いることができる。斯かるアクチュエーターにより、プランジャー62の回転軸C1と駆動継ぎ手63の回転軸C2との角度θを増減させて、プランジャー62のストローク長及びその一ストローク当たりの吐出量を増減させ得る。アクチュエーターとしては、ボールねじを用いたもの、リニアモータを用いたもの、油圧や空気圧を用いたもの等、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。ボールねじを用いたものが、吐出量を高精度に制御する観点から好ましい。
前記のアクチュエーターは、シリンダ61を固定している支持部を、駆動継ぎ手を支持している固定台に対して回動するのに代えて、駆動継ぎ手63を支持している支持部を、シリンダ61を固定している固定台に対して回動させるものであってもよい。
【0020】
ポンプ6としては、ロータリー式プランジャー型ポンプ以外の間欠供給が可能に構成された任意のポンプを用いることができる。例えば、間欠駆動する駆動源64と組み合わされて使用される連続吐出型のポンプや、連続駆動する駆動源64と組み合わされて使用され且つ吐出口にバルブが設けられたバルブ開閉型ポンプ等を用いることができる。
連続吐出型のポンプとしては、モーノポンプ(登録商標)等が挙げられる。
【0021】
本実施形態においてポンプ6は、図3に示すように、プランジャー62の連続回転により、吐出口6bからの液体10の吐出と、吸入口6aからの該液体10の吸入とを周期的に繰り返す。これにより、ポンプ6からノズル4に液体10を間欠的に供給する。すなわち動作中のポンプ6は、液体10の吐出と、液体10を吐出しない非吐出とを周期的に繰り返す。図3に示すタイミングチャートでは、斯かる間欠供給によって、ポンプ6とノズル4との間の配管3内を流れる液体10の瞬時流量が0超となる区間P(以下、「液体通過区間P」ともいう。)と、該瞬時流量が0となる区間とが交互に出現する。配管3内を流れる液体10の瞬時流量は、流量センサー2によって検知される。
【0022】
配管3を介したポンプ6からノズル4への間欠供給の周期(以下、単に「ポンプ6の間欠供給の周期」ともいう。)は、ポンプ6からノズル4に液体10が供給される吐出区間と、該ポンプ6からノズル4に液体10が供給されない非吐出区間とに区分される。吐出区間は、ポンプ6の間欠供給の周期のタイミングチャートにおいて液体通過区間Pを含むように設定される。斯かるタイミングチャートは、異常のない配管3を介してポンプ6からノズル4に液体10を供給した場合の計測値に基づき予め作成したものである。前記「異常のない配管3」は、気泡溜まり等の異常が生じていない配管である。非吐出区間は、前記タイミングチャートにおいて液体通過区間Pを含まないように予め設定される。
吐出区間及び非吐出区間それぞれは、配管3内を流れる液体10の瞬時流量を積分して、後述する積算流量を算出する対象区間となる。
【0023】
ノズル4への液体10の流量をより高精度に制御する観点から、ポンプ6の制御に関連する設定値に基づき、ポンプ6の間欠供給の周期を、吐出区間及び非吐出区間に区分することが好ましい。斯かる場合、吐出区間の開始及び終了、並びに非吐出区間の開始及び終了を当該設定値によって示される。このように、配管3内を流れる液体10の流量ではなく、ポンプ6の挙動(吐出・非吐出)のタイミングで吐出区間と非吐出区間とを設定することで、後述する配管3内の異常をより高精度に把握することができる。また、サーボモータ64の回転速度が変更されても、積算流量の計測ミスが生じ難い。
ポンプ6の制御に関連する設定値としては、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すパラメータを採用できる。
【0024】
ポンプ6の吐出及び非吐出を示すパラメータとしては、プランジャー62の回転角度等が挙げられる。例えば、プランジャー62の回転角度を前記パラメータとする場合、プランジャー62の軸方向における1回転(0~360°、図3参照)のうちの所定の角度範囲によって、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すことができる。斯かるプランジャー62の回転角度は、該プランジャーの回転に連動する角度センサー等により把握することができる。
【0025】
プランジャーの回転に連動する角度センサーの検出角度の他、前記パラメータとしては、駆動源64(サーボモータ64)の回転角度等を用いることができる。例えば、サーボモータ64の回転1回分によって、プランジャー62が軸方向に1回転される場合、サーボモータ64の1回転が、ポンプ6の間欠供給の1周期に対応するので、サーボモータ64の1回転のうちの所定の角度範囲によって、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すことができる。
【0026】
また、減速機等を用いて、サーボモータ64の複数回転分によって、プランジャー62が軸方向に1回転される場合、サーボモータ64の該複数回の回転が、ポンプ6の間欠供給の1周期に対応する。その場合、サーボモータ64の複数回分の角度範囲を、プランジャー62の1回転分の角度範囲(0~360°)に換算することで、該サーボモータ64の1回転のうちの所定の角度範囲によって、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すことができる。例えば、サーボモータ64の5回転分(0~1800°)によって、プランジャー62が軸方向に1回転される場合、5回転分のサーボモータ64の全角度範囲(0~1800°)を1回転分の角度範囲(0~360°)に換算する。これにより、該サーボモータ64の1回転のうちの所定の角度範囲によって、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すことができる。サーボモータ64の回転角度は、上述したエンコーダを用いることにより把握できる。
【0027】
ポンプ6が、間欠駆動する駆動源64と組み合わされて使用される連続吐出型のポンプである場合、該駆動源64の稼働又は非稼動の動作指令をする電気信号を、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すパラメータとして用いることができる。すなわち、当該電気信号に基づき、ポンプ6の間欠供給の周期を吐出区間と非吐出区間とに区分できる。
ポンプ6が、連続駆動する駆動源64と組み合わされて使用され且つ吐出口にバルブが設けられたバルブ開閉型ポンプである場合、該バルブ開閉の動作指令を行う電気信号を、ポンプ6の吐出及び非吐出を示すパラメータとして用いることができる。すなわち、当該電気信号に基づき、ポンプ6の間欠供給の周期を吐出区間と非吐出区間とに区分できる。
【0028】
本実施形態では、サーボモータ64の回転角度(0~360°)の角度範囲を用いて、ポンプ6の間欠供給の周期を吐出区間及び非吐出区間に区分する。例えば、サーボモータ64の回転角度210°~90°の範囲を吐出区間とし、サーボモータ64の回転角度90°~210°の範囲を非吐出区間と設定する。この場合、吐出区間を表すサーボモータ64の角度範囲(210°~90°)は液体通過区間Pを含み、非吐出区間を表すサーボモータ64の角度範囲(90°~210°)は、液体通過区間Pを含まない。
【0029】
ノズル4からの液体10の吐出量をより高精度に把握する観点から、吐出区間は、液体通過区間Pを含み、該区間Pよりも広い範囲で設定することが好ましい。例えば、サーボモータ64の回転角度又はポンプ6の回転角度によって吐出区間及び非吐出区間を表す場合、吐出区間は、液体通過区間Pに対応する角度範囲を含むことを前提に、該対応する角度範囲に対して、好ましくは+0°超+50°以下、より好ましくは+10°以上+40°以下、さらに好ましくは+20°以上+30°以下の範囲で液体通過区間Pよりも広く設定する。
ノイズをより抑制して、ノズル4からの液体10による液だれをより高精度に把握する観点から、非吐出区間は、液体通過区間Pを含まず、該区間Pよりも狭い範囲で設定することが好ましい。すなわち、非吐出区間は、液体通過区間Pに対応する角度範囲を含まないことが好ましい。
【0030】
吐出区間と非吐出区間とは、これらの一部が重複して設定されてもよい。また、吐出区間と非吐出区間との間に、特段の制御や監視を行わない空白区間を設定してもよい。
【0031】
ポンプ6の間欠供給の周期では、吐出区間と非吐出区間とが交互に繰り返されている(図3参照)。本実施形態においては、プランジャー62の回転の1サイクル内で、吐出区間、非吐出区間、及び吐出区間の順で切り替わっている。図3におけるタイミングチャートでは、液体通過区間Pが周期的に出現している。液体通過区間Pにおける瞬時流量のピーク面積が、後述する積算流量となる。ポンプ6の吐出開始時点と、液体通過区間Pの開始時点とにタイムラグtがあるが、これは流量センサー2の応答時間によるものである。そのため、ポンプ6の吐出終了時点から遅れて、液体通過区間Pが終了する。
【0032】
本実施形態のノズル4は、ポンプ6に接続された配管3の下流側端部に設けられており、液体10を吐出する吐出口を備えている。ノズル4は、被添加物11と接触せずに、被添加物11に対し液体10を吐出させるものであってもよく、被添加物11と接触して、該被添加物11に液体10を吐出させるものであってもよい。ノズル4が被添加物11と接触した状態で液体10を吐出する場合、該ノズル4は、被添加物11に対して接触した状態と非接触の状態とを採り得るように昇降機構を備えている。斯かる昇降機構としては、例えば、エアシリンダーやカム機構を備えたもの、リニアスライダーを備えたもの等が挙げられる。
ポンプ6による液体10の間欠供給に伴い、ノズル4は、被添加物11に液体10を間欠的に吐出(間欠吐出)する。
【0033】
本実施形態の装置1は、搬送経路に沿って間欠的に配置された被添加物11を、ベルトコンベア等の公知の搬送手段により、搬送方向に連続的に搬送しつつ、個々の被添加物11に対して、前述のノズル4から液体10をそれぞれ一回ずつ添加する。
【0034】
図1には本実施形態の制御手段5の構成が示されている。本実施形態の制御手段5は、流量積算部51、判定部52、異常時制御部53、ポンプ制御部54及びノズル制御部55を備えている。制御手段5は、ポンプ6、駆動源64、流量センサー2、及びノズル4と電気的に接続されており、これらの動作制御を行う。また、本実施形態の制御手段5は、ポンプ6の吐出量の調節機構であるアクチュエーター(図示せず)とも電気的に接続されている。
【0035】
制御手段5は、PLC(Programmable Logic Controller)を含んで構成されており、該制御手段5における各部の制御が該PLCにより実行される。これに代えて、制御手段5は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成されていてもよい。この場合、例えばCPUがROMやディスクなどに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより、制御手段5の各部の制御が実現される。また前記制御は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよく、あるいはASICとFPGAとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0036】
流量積算部51は、流量センサー2により測定された検出値に基づいて、吐出区間において配管3内を流れる液体10の積算流量(以下、「吐出積算流量」ともいう。)を算出する。吐出積算流量は、吐出区間中の配管3内を流れる液体10の瞬時流量を積分することにより算出できる。
また、流量積算部51は、流量センサー2により測定された検出値に基づいて、非吐出区間において配管3内を流れる液体10の積算流量(以下、「非吐出積算流量」ともいう。)を算出する。非吐出積算流量は、非吐出区間中の配管3内を流れる液体10の瞬時流量を積分することにより算出できる。
【0037】
流量積算部51は、算出した吐出積算流量及び非吐出積算流量のデータを時系列で記憶する。これら積算流量は時系列で記憶されるとともに、装置1の稼働時間における対応する吐出区間又は非吐出区間の時間と関連付けられて記憶される。そして、流量積算部51は、積算流量及びこれと対応する吐出区間又は非吐出区間の時間(タイムスタンプ)を記憶したデータを、制御手段5が備える保存部(図示せず)に保存する。流量積算部51は、前記データの保存部への書き込み及び該保存部からの読み出しの制御等、吐出積算流量及び非吐出積算流量の各データに関する制御を行う。
【0038】
判定部52は、吐出積算流量に基づいて、ノズル4からの液体10の吐出量の適否を判定する。吐出積算流量は、吐出区間におけるポンプ6からノズル4への液体10の供給量を反映する。そのため、吐出積算流量を、ノズル4から被添加物11に添加される液体10の吐出量が適正であるか否かを判定するための指標にできる。斯かる液体10の吐出量は、液含有物12の製品設計値、すなわち液含有物12における液体10の含有量に基づき、設定することができる。判定部52は、吐出積算流量が設定範囲内であるか否かを判定することで、ノズル4からの液体10の吐出量をモニターする。
【0039】
判定部52は、非吐出積算流量に基づいて、ノズル4からの液体10の吐出量の適否を判定する。非吐出積算流量は、非吐出区間におけるポンプ6からノズル4への液体10の供給量を反映する。非吐出区間は、ポンプ6の間欠供給の周期のうち、ノズル4に液体10が供給されない区間であるため、通常であれば、非吐出積算流量は0か0に近い微量の数値で算出される。例えば装置1稼動時において、図4(a)に示すように、配管3内の液体10の瞬時流量が周期的に変化する。図4(a)に示す各瞬時流量のピークは、吐出区間で観察される〔図4(c)参照〕。
【0040】
一方、非吐出積算流量が所定値超であると、ノズル4に液体10が意図せず供給されていると判断できる。例えば図4(c)に示す異常時のグラフ(灰色線)では、非吐出区間であるにも拘わらず、該非吐出区間で配管3内の液体10の瞬時流量の変化が観察される。これは、配管3内に気泡溜まり等の異常が発生して、配管3内を流れる液体10の流量が不安定になっているためと考えられる。より詳細には、配管3内を通る液体10の流量が少なくなると、配管3内の一部の箇所が負圧(水柱分離)となる。この負圧となった箇所に慣性力によって周囲の液体10が集まって、該液体10どうしが衝突するウォーターハンマー現象が生じる。ウォーターハンマー現象は、配管3を介して液体10を間欠供給する際に生じ易い。配管3内にこのような異常が生じると、ノズル4から液だれが発生する場合がある。斯かる液だれは、非吐出区間における前記瞬時流量の変化としても現れる。非吐出区間において液だれが発生すると、被添加物11の搬送経路が液体10で汚染されたり、被添加物11に対する液体10の吐出量が過少となって不良品が発生したりする虞がある。すなわち、非吐出積算量が所定値超であるか否かをモニターすることにより、配管3内の異常を検知することができる。配管3内の異常が継続した場合、図4(b)に示すように、吐出区間における前記瞬時流量のピークの他に、非吐出区間における前記瞬時流量のピーク〔図4(b)に示す矢印のピーク〕も、周期的に観察される。このように、非吐出積算流量は、配管3内の異常を判定するための指標にできる。
【0041】
判定部52は、吐出積算流量及び非吐出積算流量それぞれに基づいて、装置1の稼働中における各吐出区間又は各非吐出区間それぞれについて、ノズル4からの液体10の吐出量の適否を判定する。判定部52は、その判定結果と、該判定の対象となった吐出区間又は非吐出区間とを関連付けて、これらのデータを制御手段5が備える保存部(図示せず)に保存する。
【0042】
本実施形態の判定部52が行う判定は、予め求めた、ノズル4から吐出される液体10の吐出量と、配管3内の積算流量との関係式(以下、「積算流量-吐出量関係式」ともいう。)に基づき行われる。当該関係式では、配管3内を流れる液体10の積算流量(mL)に比例して、ノズル4から吐出される液体10の吐出量(g)が増加する比例関係となり、液体10の比重が該関係式の比例係数となる。以下、「配管3内を流れる液体10の積算流量」を単に「積算流量」ともいい、「ノズル4から吐出される液体10の吐出量」を、単に「ノズル吐出量」ともいう。
積算流量-吐出量関係式は、積算流量を変化させて装置1を稼働したときのノズル4の吐出量を測定することにより作成される。
【0043】
本実施形態の判定部52は、積算流量-吐出量関係式に基づき、吐出区間及び非吐出区間の何れか一方又は双方におけるノズル吐出量の適否を判定する。液含有物12中の液体10の含有量をより高精度に制御する観点から、判定部52は、積算流量-吐出量関係式に基づき、少なくとも吐出区間におけるノズル吐出量の適否を判定することが好ましい。
例えば、積算流量-吐出量関係式によって求められる吐出区間のノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲外であった場合、判定部52は、該吐出区間におけるノズル吐出量が適正ではないと判定する。一方、積算流量-吐出量関係式によって求められる吐出区間のノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲内であった場合、判定部52は、該吐出区間におけるノズル吐出量が適正であると判定する。
【0044】
異常時制御部53は、判定部52が導出した判定結果に基づいて、警報信号や、不良品を製造ラインから排除する動作指令、装置1の運転を停止する停止指令を発する。
より詳細には、判定部52が、非吐出積算流量に基づいて非吐出区間の液体10の吐出量が適正ではないと判定した場合、異常時制御部53は、当該判定結果に基づき配管3内の異常を知らせる警報信号を発する。これにより、例えば制御手段5に備えられたスピーカーを介して警報を発する。あるいは制御手段5に備えられたディスプレイ等の表示手段に、警報情報を表示し、警報を発する。警報信号により発生される警報は、視覚的な情報であってもよく、聴覚的な情報であってもよい。
【0045】
また、異常時制御部53は、非吐出積算流量が過剰である場合に、装置1の運転を停止する停止指令を発する。非吐出区間における液だれを示す非吐出積算流量が過剰であると、不良品が発生する。これを防ぐために異常時制御部53は、非吐出積算流量が過剰であるか否かを判定し、過剰であった場合に装置1の運転を停止させる。斯かる判定は、予め設定された非吐出積算流量の過剰値に基づき行われる。
【0046】
また、判定部52が、吐出積算流量に基づいて吐出区間の液体10の吐出量が適正ではないと判定した場合、異常時制御部53は、当該判定結果に対応する液含有物12を製造ラインから排除する動作指令を発する。斯かる動作指令は、不良品を排除する排除機構(図示せず)に送信される。排除機構は、ノズル4よりも液含有物12の搬送方向の下流に設置されており、液体10の吐出量が適正でないと判定された吐出区間で製造された液含有物12を、不良品として製造ライン外へ排除する機構を有している。
さらに異常時制御部53は、前記不良品を製造ライン外へ排除した回数(以下、「排除回数」ともいう。)をカウントする。斯かる回数が連続して所定回数以上になった場合、装置1の運転を停止する停止指令を発する。
【0047】
ポンプ制御部54は、積算流量-吐出量関係式に基づき、吐出積算流量を調整する動作指令を発する。例えば、判定部52が、吐出区間のノズル吐出量について適正ではないと判定した場合、ポンプ制御部54は、ポンプ6に動作指令を発し、吐出区間のノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲内となるように、ポンプ6からノズル4への液体10の供給量を調整する。斯かる動作指令を受けたポンプ6は、例えばプランジャー62の回転軸C1と駆動継ぎ手63の回転軸C2の間の角度θを変化させて、プランジャー62のストローク長を変化させることにより、一回のストローク当たりの吐出量(ポンプ6における液体10の吐出量)を調整する。ポンプ制御部54は、前記ノズル吐出量について判定部52が適正であると判定するまで、すなわち吐出区間のノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲内となるまで、ポンプ6における液体10の吐出量の調整を繰り返す。
【0048】
ノズル制御部55は、ノズル4による液体10の吐出を制御して、被添加物11に液体10を添加する。例えば、ノズル制御部55は、ノズル4が具備する吐出口の開閉を制御して、ノズル21から吐出される液体10の吐出を制御する。
【0049】
次に、本実施形態の装置1を用いた液含有物の製造方法(以下、単に「製造方法」という)について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態の製造方法は、流量センサー2の検出値に基づいて、吐出積算流量を算出する吐出時流量積算工程と、該流量センサー2の検出値に基づいて、非吐出積算流量を算出する非吐出時流量積算工程と、吐出積算流量に基づいて、吐出区間におけるノズル吐出量の適否を判定する吐出判定工程と、非吐出積算流量に基づいて、非吐出区間におけるノズル吐出量の適否を判定する非吐出判定工程とを具備する。
【0050】
さらに本実施形態の製造方法は、非吐出判定工程の判定結果に基づき配管3内の異常を知らせる警報信号を発する警報発令工程と、吐出判定工程の判定結果に基づき前記不良品を製造ラインから排除する排除工程と、吐出判定工程の判定結果と積算流量-吐出量関係式とに基づき、吐出積算流量を調整する流量調整工程とを具備する。
【0051】
本実施形態の製造装置は、装置1の稼働に先立ち、貯留槽(図示せず)から、少なくともポンプ6の内部までの間の配管3a内を液体10で満たした上で、図5に示すフローを実行する。
【0052】
先ず、ステップS1では、制御手段5が駆動源64によって、ポンプ6を稼働させる。ステップS1は、最初の被添加物11が製造ラインにおいて所定の位置に配置されると、光電センサーが該被添加物11を検知し、その信号を制御手段5が受信することで実行される。次のステップS2では、流量積算部51が、サーボモータ64の回転角度に基づき、現時点の装置1の状態が吐出区間であるか否かを判定する。ステップS2において、吐出区間ではないと判定された場合、ステップS6に進む。ステップS2において吐出区間であると判定された場合、ステップS3に進む。
【0053】
ステップS3では、配管3内を流れる液体10の積算流量を算出する。斯かる算出には、配管3内を流れる液体10の瞬時流量が用いられる。続くステップS4では、流量積算部51が、サーボモータ64の回転角度に基づき、吐出区間が終了となったか否かを判定する。吐出区間が終了となっていないと判定された場合、ステップS3に戻り、吐出区間が終了するまで、ステップS3及びステップS4を繰り返す。これにより、吐出区間が終了するまで、配管3内を流れる液体10の積算流量の算出を継続し、吐出積算流量を算出する。ステップS3及びステップS4は、1秒間に1000~100000回実行される。
ステップS4において、サーボモータ64の回転角度に基づき、吐出区間が終了したと判定された場合、流量積算部51は、算出対象となった吐出区間の吐出積算流量を制御手段5の保存部に記憶し、ステップS5に進む。このようにステップS2~S5において、流量積算部51が吐出時流量積算工程を行う。
【0054】
ステップS5では、吐出積算流量に基づいて、吐出区間におけるノズル吐出量の適否を判定する。すなわち、判定部52が吐出判定工程を実行する。本実施形態の判定部52は、積算流量-吐出量関係式によって、算出した吐出積算流量から算出対象となった吐出区間におけるノズル吐出量を求め、該ノズル吐出量の適否を判定する。具体的には、吐出区間におけるノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲内であるか否かを判定する。
ステップS5において、吐出区間のノズル吐出量が適正であると判定された場合は、ステップS6に進み、該ノズル吐出量が適正ではないと判定された場合は、ステップS10に進む。
【0055】
ステップS10では、ポンプ制御部54が、積算流量-吐出量関係式に基づいて、吐出積算流量を調整する。本実施形態のポンプ制御部54は、吐出区間におけるノズル吐出量が、液含有物12の製品設計値の範囲内となるように、プランジャー62のストローク長を調整して、ポンプ6における液体10の吐出量(ポンプ6の液体10の吐出量)を調整する。すなわち、ステップS10においてポンプ制御部54が流量調整工程を行う。
【0056】
続くステップS11では、ステップS5の判定結果に基づき、異常時制御部53が、不良品を製造ラインから排除する動作指令を発する。これにより、不良品が製造ラインから排除される。斯かる不良品は、ステップS5においてノズル吐出量が製品設計値の範囲内ではないと判定された液含有物12を指す。すなわちステップS11では、異常時制御部53が排除工程を行う。ステップS11の実行後、ステップS12に進む。
【0057】
ステップS12では、異常時制御部53が、装置1の稼働開始からの不良品の排除回数をカウントし、該排除回数が所定回数以上であるか否かを判定する。当該排除回数が所定回数以上であると判定された場合、異常時制御部53は、装置1の運転を停止させる停止指令を発する。この不良品の継続発生による装置1の運転停止を、配管3のメンテナンスを行う契機とすることができる。
ステップS12において、排除回数が所定回数以上ではないと判定された場合、ステップS6に進む。
【0058】
ステップS6では、ステップS3と同様に、配管3内を流れる液体10の積算流量を算出する。斯かる積算流量は、非吐出区間中の積算流量である。続くステップS7では、流量積算部51が、サーボモータ64の回転角度に基づき、非吐出区間が終了となったか否かを判定する。吐出区間が終了となっていないと判定された場合、ステップS6に戻り、非吐出区間が終了するまで、ステップS6及びステップS7を繰り返す。これにより、非吐出区間が終了するまで、配管3内を流れる液体10の積算流量の算出を継続し、非吐出積算流量を算出する。ステップS6及びステップS7は、1秒間に1000~100000回実行される。
ステップS7において、サーボモータ64の回転角度に基づき、非吐出区間が終了したと判定された場合、流量積算部51は、算出対象となった非吐出区間の非吐出積算流量を制御手段5の保存部に記憶し、ステップS8に進む。このように、流量積算部51がステップS6及びS7を実行して、非吐出時流量積算工程を行う。
【0059】
ステップS8では、非吐出積算流量に基づいて、非吐出区間におけるノズル吐出量の適否を判定する。すなわち、判定部52が非吐出判定工程を実行する。本実施形態の判定部52は、積算流量-吐出量関係式によって、算出した非吐出積算流量から算出対象となった非吐出区間におけるノズル吐出量を求め、該ノズル吐出量の適否を判定する。具体的には、非吐出区間におけるノズル吐出量が所定値以下であるか否かを判定する。このノズル吐出量が所定値超である場合、非吐出区間でノズル4からの液だれが生じていると判断できる。ステップS8において、非吐出区間のノズル吐出量が適正であると判定された場合は、ステップS9に進み、該ノズル吐出量が適正ではないと判定された場合は、ステップS13に進む。
【0060】
ステップS13では、異常時制御部53が配管3内の異常を知らせる警報信号を発する。これにより警報が発令される。このステップS13後、ステップS14に進む。
ステップS14では、異常時制御部53が、ステップS8で算出した非吐出積算流量が過剰であるか否かを判定する。非吐出積算流量が、予め設定された過剰値以上であると判定された場合、異常時制御部53は、装置1の運転を停止させる停止指令を発する。これによる装置1の運転停止を、配管3のメンテナンスを行う契機とすることができる。
ステップS14において、非吐出積算流量が前記過剰値未満であると判定された場合、ステップS9に進む。
【0061】
ステップS9では、次の被添加物11が製造ラインにおいて所定の位置に配置されているかいないかを判定する。斯かる判定は、ステップS1と同様に、光電センサーが被添加物11を検知し、その信号を制御手段5が受信することで実行される。次の被添加物11を検知した場合、ステップS2に戻り、ステップS2以降の動作を繰り返す。
ステップS9において、次の被添加物11がないと判定された場合、装置1の運転を停止する。すなわち、装置1による液含有物12の製造が停止される。
【0062】
次に、本発明の製造方法により製造される液含有物12について詳述する。液含有物12としては、液体10を含有する製品を特に制限なく採用できる。例えば、発熱層を含むシート状の発熱具を、液含有物12とすることができる。斯かる発熱具は、繊維材料からなる繊維シートと、被酸化性金属粉末等を含んで構成された発熱層とを積層した複合シートを具備しており、該複合シートの発熱層に電解質を含有した電解質液を添加することで製造される。すなわち、本実施形態において被添加物11は複合シートであり、該被添加物11に添加される液体10は電解質液である。前記発熱具は、空気中の酸素と被酸化性金属粉末との酸化反応に伴う発熱により発熱するものである。この発熱具(製品)を製造する場合、従来使用されている各種公知の材料を特に制限なく用いることができる。
【0063】
液含有物12は、液体10を保持し得る保持部材を備えていることが好ましい。保持部材としては、吸水性ポリマーや、セルロース系繊維等の吸水性繊維を備えた部材が挙げられる。例えば、2枚の透湿性シート間に、吸水性ポリマーからなる層を配して一体化したポリマーシート等を保持部材とすることができる。この場合、被添加物11が保持部材を具備しており、該被添加物11に添加される液体10を保持可能に構成されていることが好ましい。
【0064】
液含有物12の製造に用いられる液体10の粘度は、特に制限されず、一般的なポンプで吐出可能な粘度を有するものとすることができる。
【0065】
次に、本発明に係る配管内異常検知方法を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態の配管内異常検知方法は、前述した液含有物の製造方法における非吐出時流量積算工程と、非吐出判定工程とを少なくとも具備する。斯かる構成により、非吐出区間におけるノズル吐出量をモニターできる。例えば非吐出区間においてノズル吐出量が所定値超であった場合に、非吐出区間でノズル4からの液だれが生じていると判断でき、配管3内のウォーターハンマー現象等の異常発生の有無を検知できる。
本実施形態の配管内異常検知方法は、前述した非吐出時流量積算工程及び非吐出判定工程における説明を適宜適用できる。
【0066】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の制御手段5は、ポンプ制御部54を備えていたが、これを備えていなくともよい。すなわち、本発明の液含有物の製造方法は、流量調整工程を具備していなくともよい。
また、上述した実施形態の制御手段5は、ノズル制御部55を備えていたが、これを備えていなくともよい。
【符号の説明】
【0067】
1 液体添加装置
2 流量センサー
3 配管
4 ノズル
5 制御手段
6 ポンプ
10 液体
11 被添加物
12 液含有物
51 流量積算部
52 判定部
53 異常時制御部
54 ポンプ制御部
55 ノズル制御部
61 シリンダ
62 プランジャー
63 駆動継ぎ手
64 駆動源
図1
図2
図3
図4
図5