(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-24
(45)【発行日】2025-07-02
(54)【発明の名称】帯域幅ブースト双方向シリアルバスバッファ回路
(51)【国際特許分類】
G06F 3/00 20060101AFI20250625BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
G06F3/00 W
G06F13/38 350
(21)【出願番号】P 2022535801
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020064760
(87)【国際公開番号】W WO2021119574
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-16
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ケイル エドワード アディントン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン リー ヴァルデス
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-134457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0304442(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0247184(US,A1)
【文献】米国特許第06130488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルバスバッファ回路であって、
マスター入出力
データ端子
と、
スレーブ入出力
データ端子
と、
前記マスター入出力データ端子と前記スレーブ入出力データ端子との間に低インピーダンス接続を提供するように構成されるスイッチド抵抗器回路であって、
前記マスター入出力
データ端子に結合される第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを
有する第1のスイッチ
と、
前記第1のスイッチの第2の端子に結合される第1の端子と、第2の端子とを
有する第1の抵抗器
と、
前記
第1の抵抗器の第2の端子に結合される第1の端子と、前記スレーブ入出力
データ端子に結合される第2の端子と、制御端子とを
有する第2のスイッチ
と、
を含む、前記スイッチド抵抗器回路と、
前記マスター入出力
データ端子と前記スレーブ入出力
データ端子と前記第1のスイッチの制御端子と前記第2のスイッチの制御端子とに結合されるスイッチ制御回路
と、
を含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記第1のスイッチの第1の端子に結合される非反転入力端子と、前記第2のスイッチの第
2の端子に結合される反転入力端子と、出力端子とを有する増幅器を更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項3】
請求項2に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記マスター入出力
データ端子に結合される第1の端子と、接地端子に結合される第2の端子と、前記増幅器の出力端子に結合される第3の端子とを
有するトランジスタを更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項4】
請求項1に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記第2のスイッチの第
2の端子に結合される非反転入力端子と、前記第1のスイッチの第1の端子に結合される反転入力端子と、出力端子とを有する増幅器を更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項5】
請求項4に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スレーブ入出力
データ端子に結合される第1の端子と、接地端子に結合される第2の端子と、前記増幅器の出力端子に結合される第3の端子とを
有するトランジスタを更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項6】
請求項1に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
電源端子に結合される第1の端子と、第2の端子とを
有する第2の抵抗器
と、
前記第2の抵抗器の第2の端子に結合される第1の端子と、前記マスター入出力
データ端子に結合される第2の端子と、前記スイッチ制御回路に結合される制御端子とを
有する第3のスイッチ
と、
を
更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項7】
請求項1に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
電源端子に結合される第1の端子と、第2の端子とを
有する第2の抵抗器
と、
前記第2の抵抗器の第2の端子に結合される第1の端子と、前記スレーブ入出力
データ端子に結合される第2の端子と、前記スイッチ制御回路に結合される制御端子とを
有する第3のスイッチ
と、
を
更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項8】
シリアルバスバッファ回路であって、
マスター入出力
データ端子と、
スレーブ入出力
データ端子と、
前記マスター入出力
データ端子と前記スレーブ入出力
データ端子との間に低インピーダンス接続を提供するように構成されるスイッチド抵抗器回路と、
前記スイッチド抵抗器回路に結合され
るスイッチ制御回路であって、前記マスター入出力
データ端子の電圧と前記スレーブ入出力
データ端子の電圧とに基づいて前記低インピーダンス接続をイネーブルするように構成される
、前記スイッチ制御回路と、
を含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項9】
請求項8に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スイッチ制御回路が、前記マスター入出力
データ端子における低論理電圧レベルの検出又は前記スレーブ入出力
データ端子における低論理電圧レベルの検出に基づいて前記低インピーダンス接続をイネーブルするように
更に構成される、シリアルバスバッファ回路。
【請求項10】
請求項8に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スイッチ制御回路が、前記マスター入出力
データ端子における閾値を超える第1の電圧
と前記スレーブ入出力
データ端子における前記閾値を超える第2の電圧
との検出に基づいて前記低インピーダンス接続をディセーブルするように
更に構成される、シリアルバスバッファ回路。
【請求項11】
請求項10に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スイッチ制御回路が、前記マスター入出力
データ端子における第1の電圧のスルーレートが所定のスルーレートを超えること
と前記スレーブ入出力
データ端子における第2の電圧のスルーレートが前記所定のスルーレートを超えること
とに基づいて前記低インピーダンス接続をディセーブルするように
更に構成される、シリアルバスバッファ回路。
【請求項12】
請求項8に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スイッチド抵抗器
回路が、第1のスイッチと、前記第1のスイッチに結合される抵抗器と、前記抵抗器に結合される第2のスイッチとを含み、
前記スイッチ制御回路が、前記低インピーダンス接続をイネーブルするために前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとを閉じるように更に構成される、シリアルバスバッファ回路。
【請求項13】
請求項12に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記スイッチ制御回路が、前記低インピーダンス接続をディセーブルするために前記第1のスイッチ
と前記第2のスイッチ
とを開くように
更に構成される、シリアルバスバッファ回路。
【請求項14】
請求項8に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記マスター入出力
データ端子における電圧
と前記スレーブ入出力
データ端子における電圧
とに基づいて前記マスター入出力
データ端子を駆動するように構成される駆動回路を更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項15】
請求項8に記載のシリアルバスバッファ回路であって、
前記マスター入出力
データ端子における電圧
と前記スレーブ入出力
データ端子における電圧
とに基づいて前記スレーブ入出力
データ端子を駆動するように構成される駆動回路を更に含む、シリアルバスバッファ回路。
【請求項16】
方法であって、
シリアルバスバッファ回路のマスター入出力端子における第1の電圧を監視することと、
前記シリアルバスバッファ回路のスレーブ入出力端子における第2の電圧を監視することと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧とを低論理レベル閾値と比較することと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧とが前記低論理
レベル閾値を下回ることに応答して前記マスター入出力端子と前記スレーブ入出力端子との間の低インピーダンス接続をイネーブルすることと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧とをディセーブル閾値と比較することと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧とが前記ディセーブル閾値を超えることに応答して前記マスター入出力端子と前記スレーブ入出力端子との間の低インピーダンス接続をディセーブルすることと、
前記第1の電圧のスルーレートを監視することと、
前記第2の電圧のスルーレートを監視することと、
前記第1の電圧のスルーレートと前記第2の電圧のスルーレートとを閾値スルーレートと比較することと、
前記第1の電圧のスルーレートと前記第2の電圧のスルーレートとが前記閾値スルーレートを超えることに応答して前記マスター入出力端子と前記スレーブ入出力端子との間の低インピーダンス接続をディセーブルすることと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記イネーブルすることが、
前記マスター入出力端子に抵抗器を接続するために第1のスイッチを閉じることと、
前記スレーブ入出力端子に前記抵抗器を接続するために第2のスイッチを閉じることと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項
16に記載の方法であって、
前記ディセーブルすることが、
前記マスター入出力端子から抵抗器を切り離すために第1のスイッチを開くことと、
前記スレーブ入出力端子から前記抵抗器を切り離すために第2のスイッチを開くことと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
集積回路間(I2C)バスなどのユニバーサルシリアルバスは、デバイスのシステムを接続するために広く用いられている。例えば、I2Cバスは、マスターデバイスと1つ又はそれ以上のスレーブデバイスとの間の通信を提供するために用いられる。そのような応用例では、スレーブデバイスによってシリアルバスに追加されるキャパシタンスが、信号遷移時間を著しく劣化させ、シリアルバスタイミング仕様の違反を引き起こすほど十分に大きいことがある。
【発明の概要】
【0002】
本明細書において、バス信号上の過渡現象(グリッチ)を低減するために、切替可能な低インピーダンス経路を含むシリアルバスバッファ回路について記載する。一例において、シリアルバスバッファ回路が、マスター入出力端子と、スレーブ入出力端子と、第1のスイッチと、第2のスイッチと、抵抗器と、スイッチ制御回路とを含む。第1のスイッチは、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを含む。第1の端子はマスター入出力端子に結合される。抵抗器は、第1の端子と第2の端子とを含む。抵抗器の第1の端子は、第1のスイッチの第2の端子に結合される。第2のスイッチは、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを含む。第2のスイッチの第1の端子は、抵抗器の第2の端子に結合される。第2のスイッチの第2の端子は、スレーブ入出力端子に結合される。スイッチ制御回路は、マスター入出力端子と、スレーブ入出力端子と、第1のスイッチの制御端子と、第2のスイッチの制御端子とに結合される。
【0003】
別の例において、シリアルバスバッファ回路が、マスター入出力端子と、スレーブ入出力端子と、スイッチド抵抗器回路と、スイッチ制御回路とを含む。スイッチド抵抗器回路は、マスター入出力端子とスレーブ入出力端子との間に低インピーダンス接続を提供するように構成される。スイッチ制御回路は、スイッチド抵抗器回路に結合され、マスター入出力端子の電圧及びスレーブ入出力端子の電圧に基づいて、低インピーダンス接続をイネーブルするように構成される。
【0004】
さらなる例において、或る方法が、シリアルバスバッファ回路のマスター入出力端子における第1の電圧を監視することと、シリアルバスバッファ回路のスレーブ入出力端子における第2の電圧を監視することとを含む。第1の電圧及び第2の電圧は、低論理レベル閾値と比較される。マスター入出力端子とスレーブ入出力端子間の低インピーダンス接続は、第1電圧又は第2の電圧が低論理閾値を下回ったことに応答してイネーブルされる。
【0005】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】シリアルバスバッファ回路を含む例示のシリアルバスシステムのためのブロック図を示す。
【0007】
【
図2】過渡現象低減回路要素を含む例示のシリアルバスバッファ回路のためのブロック図を示す。
【0008】
【
図3】過渡現象低減回路要素のないシリアルバスバッファ回路におけるハンドオフにおいて生成されるグリッチを示す。
【0009】
【
図4】過渡現象低減回路要素を含むシリアルバスバッファ回路におけるハンドオフにおいて生成されるグリッチを示す。
【0010】
【
図5】シリアルバスバッファ回路における過渡現象を低減するための例示の方法のためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
シリアルバスバッファ回路は、シリアルバスシステム(I2Cバスシステムなど)の容量性負荷を低減し、シグナルインテグリティを向上させるために用いられる。帯域幅がさほど広くないシリアルバスバッファは、ハンドオフ遷移の間、グリッチ(例えば、肯定応答、クロックストレッチ等)を生成する。幾つかのシリアルバスバッファ回路の実装は、良好なグリッチ排除を提供するが、シリアルバスデバイス間の隔離が不十分である。他のシリアルバス回路実装は、シリアルバスデバイス間の良好な隔離を提供するが、良好なグリッチ排除を提供するには遅すぎる。
【0012】
本記載のシリアルバスバッファ回路は、ハンドオフ条件が検出されたときに、シリアルバスバッファ回路のマスター端子とスレーブ端子との間で低インピーダンス補償経路を動的に切り替える補償回路を含む。低インピーダンス補償経路は、シリアルバスバッファ回路の帯域幅を増加させて、ハンドオフグリッチの振幅及び持続時間を減少させる。シリアルバスバッファ回路はまた、低インピーダンス補償経路がディセーブルされているときに良好なマスタスレーブ隔離を提供する。
【0013】
図1は、シリアルバスバッファ回路を含む例示のシリアルバスシステム100のためのブロック図を示す。シリアルバスシステム100は、マスターデバイス102、シリアルバスバッファ回路104、及びスレーブデバイス106を含む。シリアルバスシステム100の幾つかの実装において、マスターデバイス102はI
2Cマスターであり、スレーブデバイス106はI
2Cスレーブであり、シリアルバスバッファ回路104はI
2Cシリアルバスバッファ回路である。マスターデバイス102は、シリアルバスバッファ回路104のマスター入出力端子104Aに結合され、スレーブデバイス106は、シリアルバスバッファ回路104のスレーブ入出力端子104Bに結合される。シリアルバスバッファ回路104は、マスターデバイス102とスレーブデバイス106との間で隔離及び増大した駆動を提供する。シリアルバスバッファ回路104は、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間に低インピーダンス補償経路を含む。シリアルバスバッファ回路104は、電位ハンドオフが検出されたときに、電位ハンドオフを検出し、低インピーダンス補償経路を可能にして、グリッチ振幅及び持続時間を減少させる。ハンドオフ条件が存在しない場合、シリアルバスバッファ回路104は、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間に増大した隔離を提供するために、低インピーダンス補償経路をディセーブルする。
【0014】
図2は、過渡現象低減回路要素を含む、例示のシリアルバスバッファ回路200のためのブロック図を示す。シリアルバスバッファ回路200は、シリアルバスバッファ回路104の一実装である。シリアルバスバッファ回路200は、スイッチド抵抗器回路202と、駆動回路204と、駆動回路206と、スイッチ制御回路208と、抵抗器210と、スイッチ212と、抵抗器214と、スイッチ216とを含む。スイッチド抵抗器回路202は、シリアルバスバッファ回路104の低インピーダンス補償経路の一実装である。スイッチド抵抗器回路202は、抵抗器218と、スイッチ220と、スイッチ222とを含む。スイッチ220及びスイッチ222は、抵抗器218をマスター入出力端子104A及びスレーブ入出力端子104Bに接続し、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間の低インピーダンス接続をイネーブルするために閉じられる。スイッチ220及びスイッチ222は、マスター入出力端子104Aをスレーブ入出力端子104Bから隔離するために開かれる。
【0015】
スイッチ220の端子220Aが、マスター入出力端子104Aに結合される。スイッチ220の端子220Bが、抵抗器218の端子218Aに結合される。抵抗器218の端子218Bが、スイッチ222の端子222Bに結合される。スイッチ222の端子222Aが、スレーブ入出力端子104Bに結合される。
【0016】
スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104A及びスレーブ入出力端子104Bの電圧を監視し、それらの電圧に基づいてスイッチド抵抗器回路202を制御する。スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aに結合される端子208Aと、スレーブ入出力端子104Bに結合される端子208Bとを含む。また、スイッチ制御回路208は、スイッチ220の制御端子220Cに結合される端子208Dと、スイッチ222の制御端子222Cに結合される端子208Eとを含む。スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104A及びスレーブ入出力端子104B上の電圧をシリアルバスバッファ回路200の論理低電圧(例えば、電源端子232における電源電圧の30%)と比較する、アナログコンパレータなどのアナログ回路を含む。スイッチ制御回路208がマスター入出力端子104A又はスレーブ入出力端子104Bにおいて論理低電圧を検出した場合、スイッチ制御回路208は、スイッチ220及びスイッチ222を閉じて、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間の低インピーダンス接続をイネーブルする。
【0017】
また、スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104A及びスレーブ入出力端子104B上の電圧を所定の電圧(例えば、700ミリボルト(mv))と比較する、アナログコンパレータなどのアナログ回路を含み、マスター入出力端子104A及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧のスルーレートを測定するスルーレート検出回路を含む。マスター入出力端子104Aにおける電圧及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧が所定の電圧を超え、マスター入出力端子104Aにおける電圧及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧のスルーレートが所定のスルーレート(例えば、マイクロ秒当たり1.2ボルト)を超える場合、スイッチ制御回路208は、スイッチ220及びスイッチ222を開いて、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間の低インピーダンス接続をディセーブルする。
【0018】
また、スイッチ制御回路208は、アナログ回路要素の出力及びスイッチ220及び222の現在の状態に基づいてスイッチ220及びスイッチ222を制御(上述したように開閉)する、状態機械回路などのデジタル回路を含む。
【0019】
駆動回路204は、増幅器224及びトランジスタ226を含む。トランジスタ226は、駆動回路204の幾つかの実装においてNチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタである。増幅器224の非反転入力端子224Aがマスター入出力端子104Aに結合され、増幅器224の反転入力端子224Bがスレーブ入出力端子104Bに結合される。増幅器224の出力端子224Cが、トランジスタ226のゲート端子226Gに結合される。トランジスタ226のソース端子226Sが、接地端子234に結合される。トランジスタ226のドレイン端子226Dが、マスター入出力端子104Aに結合される。増幅器224は、マスター入出力端子104Aにおける電圧がスレーブ入出力端子104Bにおける電圧より大きいとき、トランジスタ226をオンにしてマスター入出力端子104Aをプルダウンする。
【0020】
駆動回路206は、増幅器228及びトランジスタ230を含む。トランジスタ230は、駆動回路206の幾つかの実装においてNチャネルMOSFETである。増幅器228の非反転入力端子228Aがスレーブ入出力端子104Bに結合され、増幅器228の反転入力端子228Bがマスター入出力端子104Aに結合される。増幅器228の出力端子228Cが、トランジスタ230のゲート端子230Gに結合されている。トランジスタ230のソース端子230Sが、接地端子234に結合されている。トランジスタ230のドレイン端子230Dが、スレーブ入出力端子104Bに結合されている。増幅器228は、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧がマスター入出力端子104Aにおける電圧より高いとき、トランジスタ230をオンにしてスレーブ入出力端子104Bをプルダウンする。
【0021】
スイッチ212は、抵抗器210をマスター入出力端子104Aに結合して、スイッチ制御回路208の制御下でマスター入出力端子104Aをプルアップする。抵抗器210は、電源端子232に結合される端子210Aと、スイッチ212の端子212Aに結合される端子210Bとを含む。スイッチ212の端子212Bがマスター入出力端子104Aに結合され、スイッチ212の制御端子212Cがスイッチ制御回路208の端子208Cに結合される。スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aの電圧が閾値(例えば、電源端子232の電圧の30%)を超えたことに基づいてスイッチ212を閉じ、マスター入出力端子104Aの電圧の立ち上がり時間を減少する。
【0022】
スイッチ216は、抵抗器214をスレーブ入出力端子104Bに結合して、スイッチ制御回路208の制御下でマスター入出力端子104Aをプルアップする。抵抗器214は、電源端子232に結合される端子214Aと、スイッチ216の端子216Aに結合される端子214Bとを含む。スイッチ216の端子216Bがスレーブ入出力端子104Bに結合され、スイッチ216の制御端子216Cがスイッチ制御回路208の端子208Fに結合される。スイッチ制御回路208は、スレーブ入出力端子104Bの電圧が閾値(例えば、電源端子232の電圧の30%)を超えたことに基づいてスイッチ216を閉じ、スレーブ入出力端子104Bの電圧の立ち上がり時間を減少する。
【0023】
図3は、過渡現象低減回路要素のないシリアルバスバッファ回路において、ハンドオフで生じるグリッチを示す。グリッチ300は、約965mVの最大振幅を有し、約350ナノ秒(ns)の間、振幅が約300mVよりも大きい。
【0024】
図4は、シリアルバスバッファ回路104の実装によってハンドオフで生成されるグリッチを示す。グリッチ400は、830mV未満の最大振幅を有し、約140ナノ秒(ns)未満の間、振幅が約300mVを超える。このように、シリアルバスバッファ回路104は、過渡現象低減回路要素のないシリアルバスバッファ回路に対して、シリアルバス上の過渡現象グリッチの振幅及び持続時間を実質的に減少させる。
【0025】
図5は、シリアルバスバッファ回路における過渡現象を低減するための例示の方法500のためのフローチャートを示す。便宜上、順次示されているが、示されている行為の少なくとも幾つかが、異なる順で実施され得及び/又は並列に実施され得る。また、幾つかの実装が、示された行為のうちの幾つかのみを行い得る。方法500の動作は、シリアルバスバッファ回路200の実装によって行われる。
【0026】
ブロック502において、スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aにおける電圧及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧を監視する。
【0027】
ブロック504において、スイッチ制御回路208がマスター入出力端子104Aにおける電圧を低論理レベル閾値(例えば、電源端子232における電圧の30%)と比較し、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧を低論理レベル閾値と比較する。
【0028】
ブロック506において、マスター入出力端子104Aにおける電圧が低論理レベル閾値より小さい場合、又はスレーブ入出力端子104Bにおける電圧が低論理レベル閾値より小さい場合、方法はブロック508において継続する。マスター入出力端子104Aにおける電圧が低論理レベル閾値を下回らず、かつスレーブ入出力端子104Bにおける電圧が低論理レベル閾値を下回らない場合、この方法はブロック502において継続する。
【0029】
ブロック508において、スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間の低インピーダンス経路を可能にする。低インピーダンス経路をイネーブルすることは、スイッチ220及びスイッチ222を閉じることを含む。低インピーダンスパスがイネーブルされる一方で、ハンドオフ過渡電流が減少する。
【0030】
ブロック510において、スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aにおける電圧及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧を監視し、マスター入出力端子104Aにおける電圧のスルーレート及びスレーブ入出力端子104Bにおける電圧のスルーレートを監視する。
【0031】
ブロック512において、スイッチ制御回路208がマスター入出力端子104Aにおける電圧を所定の閾値(ディセーブル閾値、例えば、700mv)と比較し、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧を所定の閾値と比較し、マスター入出力端子104Aにおける電圧のスルーレートを閾値スルーレート(例えば、1.2v/us)と比較し、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧のスルーレートを閾値スルーレートと比較する。
【0032】
ブロック514において、マスター入出力端子104Aにおける電圧が所定の閾値より大きく、マスター入出力端子104Aにおける電圧のスルーレートが閾値スルーレートより大きく、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧が所定の閾値より大きく、スレーブ入出力端子104Bにおける電圧のスルーレートが、閾値スルーレートより大きい場合、方法500はブロック516において継続する。マスター入出力端子104Aの電圧が所定の閾値より大きくない場合、マスター入出力端子104Aの電圧のスルーレートが閾値スルーレート以下である場合、スレーブ入出力端子104Bの電圧が所定の閾値より大きくない場合、又はスレーブ入出力端子104Bの電圧のスルーレートが閾値スルーレートより大きくない場合、方法500はブロック510に続く。
【0033】
ブロック516において、スイッチ制御回路208は、マスター入出力端子104Aとスレーブ入出力端子104Bとの間の低インピーダンス経路をディセーブルする。低インピーダンス経路をディセーブルすることは、スイッチ220及びスイッチ222を開くことを含む。
【0034】
「結合する」という用語は、本明細書全体を通じて用いられている。この用語は、本明細書の記載と一貫した機能性関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合されるか、又は第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合、デバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0035】
本発明の特許請求の範囲内で、記載した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。