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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-24
(45)【発行日】2025-07-02
(54)【発明の名称】印字検査装置、印字検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250625BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
G06T7/00 610C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022519944
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021017037
(87)【国際公開番号】W WO2021225108
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2020082856
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(73)【特許権者】
【識別番号】593205831
【氏名又は名称】東邦商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】李 勝蘭
(72)【発明者】
【氏名】坂野 和見
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 正樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】豊島 邦光
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036937(JP,A)
【文献】特開2015-087889(JP,A)
【文献】特開2011-112398(JP,A)
【文献】特開2003-187187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に印字された文字を検査する印字検査装置であって、
検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する形状マッチング処理を行う形状マッチング処理部と、
前記形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成部と、
前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理部と
を備えることを特徴とする印字検査装置。
【請求項2】
前記形状マッチング処理部は、前記基準文字パターンを所定の分割数で分割した分割基準文字パターンと、前記撮像文字パターンを前記分割数で分割した分割文字パターンとを、当該分割基準文字パターンの変形度合を変化させながら形状について照合して前記分割文字パターンと前記分割基準文字パターンとの形状の類似度が閾値以上になるマッチした分割基準文字パターンを探索する形状マッチング処理を分割領域ごとに行い、
前記変形パターン生成部は、前記分割領域ごとの前記変形度合と前記分割基準文字パターンとに基づいて当該分割領域ごとの複数の分割変形文字パターンを生成し、当該複数の分割変形文字パターンを1つの文字に合成して前記変形文字パターンを生成することを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置。
【請求項3】
前記分割基準文字パターンの前記分割数は、文字ごとに個別に設定されることを特徴とする請求項2に記載の印字検査装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記分割基準文字パターンは、前記分割基準文字パターンを含む矩形領域を分割する区画線が、前記矩形領域の辺と鋭角な角度をなして交差する斜めの区画線を含み、当該斜めの区画線を2つ以上含む複数の区画線により3分割以上の分割数で分割されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の印字検査装置。
【請求項5】
前記形状マッチング処理部は、前記基準文字パターンのサイズと回転角度とのうち少なくとも一方を変化させることで、前記変形度合を変化させることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の印字検査装置。
【請求項6】
前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対して前記変形文字パターンをマッチした位置に重ねた検査領域特定画像を生成し、当該検査領域特定画像のうち前記変形文字パターン以外の背景画像について濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の印字検査装置。
【請求項7】
前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対して前記変形文字パターンをマッチした位置に重ねた検査領域特定画像を生成し、当該検査領域特定画像のうち前記変形文字パターンの領域に対して濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の印字検査装置。
【請求項8】
前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対してマッチした位置に重ねた前記変形文字パターンの領域と前記撮像文字パターンの領域とを結合させた結合文字領域に対して濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の印字検査装置。
【請求項9】
検査対象に印字された文字を検査する印字検査方法であって、
検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する形状マッチング処理を行う形状マッチング処理ステップと、
前記形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成ステップと、
前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理ステップと
を備えることを特徴とする印字検査方法。
【請求項10】
対象画像に含まれる文字を検査する文字検査処理を行うコンピュータにより実行されるプログラムであって、
コンピュータに、
前記対象画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度を算出する形状マッチング処理ステップと、
前記類似度が閾値以上になるときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成ステップと、
前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理ステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に印字された文字を検査するための印字検査装置、印字検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば飲料容器(対象物)などに印字された賞味期限などを示す文字の印字状態を検査する印字検査装置としてパターンマッチングを利用したものが知られている(例えば、特許文献1~3)。この種の印字検査装置では、検査対象に印字された文字をカメラで撮影し、撮影した文字の撮像文字パターンと予め登録された基準文字パターンを含むテンプレートとでパターンマッチングを行うことでこれらの類似度を算出し、その類似度が予め設定した閾値に達しているか否かによって印字状態の合否の判定をしている。
【0003】
特許文献1に記載の印字検査装置では、1文字分の画像領域を分割した領域ごとに、分割テンプレートを照合させながらマッチング処理を行う。また、特許文献2に記載された印字検査装置では、ドットパターンを登録して、一致度が高い登録パターンと各ドットの相対位置関係を数値化して検査する。さらに、特許文献3に記載された印字検査装置では、減点を設定した複数のエリアを有する標準文字マスクと照合して、算出されたスコアに基づいて検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-112398号公報
【文献】特開2015-87889号公報
【文献】特開2015-36937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、検査対象の印字面が曲面等であったり、カメラと印字面とのなす角度が傾いていたりすると、印字面に正しく印字されていても文字が変形して撮像される場合がある。特許文献1~3に記載の印字検査装置では、この種の文字の変形に対応できないか、文字の変形に対応できたとしても、文字の変形度合に応じた多数のテンプレートを登録してマッチング処理を行う必要があるので、検査処理に長時間を要する。例えば、工場のラインで搬送される容器等の検査対象に印字された文字を検査する場合、文字の検査精度と検査速度との両立が必要になる。しかし、従来の印字検査装置では、文字の検査精度と検査速度との両立が困難であった、よって、撮像された文字が変形していても、文字の検査精度と検査速度との両立が可能な印字検査装置が要望されている。
【0006】
本発明の目的は、検査対象に印字された文字の検査精度と検査速度とを両立できる印字検査装置、印字検査方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する印字検査装置は、検査対象に印字された文字を検査する印字検査装置であって、検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する形状マッチング処理を行う形状マッチング処理部と、前記形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成部と、前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理部とを備える。
【0008】
この構成によれば、撮像文字パターンと基準文字パターンとを、基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合する形状マッチング処理が行われる。基準文字パターンに対する撮像文字パターンの類似度が閾値以上となるマッチする文字が探索される。文字がマッチしたときの変形度合で基準文字パターンを変形させた変形文字パターンが生成される。変形文字パターンと撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否が検査される。よって、検査対象に印字された文字が、許容範囲内で、変形していても、その変形に合わせて基準文字パターンを変形させた変形文字パターンと撮像文字パターンとの比較結果から文字の良否が検査される。よって、検査対象に印字された文字の検査精度と検査速度とを両立できる。
【0009】
上記印字検査装置において、前記形状マッチング処理部は、前記基準文字パターンを所定の分割数で分割した分割基準文字パターンと、前記撮像文字パターンを前記分割数で分割した分割文字パターンとを、当該分割基準文字パターンの変形度合を変化させながら形状について照合して前記分割文字パターンと前記分割基準文字パターンとの形状の類似度が閾値以上になるマッチした分割基準文字パターンを探索する形状マッチング処理を分割領域ごとに行い、前記変形パターン生成部は、前記分割領域ごとの前記変形度合と前記分割基準文字パターンとに基づいて当該分割領域ごとの複数の分割変形文字パターンを生成し、当該複数の分割変形文字パターンを1つの文字に合成して前記変形文字パターンを生成してもよい。
【0010】
この構成によれば、分割領域ごとに行った形状マッチング処理でマッチした分割基準文字パターンを、それぞれの変形度合で1つの文字に合成することで、変形文字パターンが生成される。よって、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0011】
上記印字検査装置において、前記分割基準文字パターンの前記分割数は、文字ごとに個別に設定されてもよい。
【0012】
この構成によれば、分割基準文字パターンの分割数は、文字ごとに個別に設定されるので、印字された文字の検査速度の低速化を抑制しつつ文字の検査精度を高めることができる。
【0013】
上記印字検査装置において、少なくとも1つの前記分割基準文字パターンは、前記分割基準文字パターンを含む矩形領域を分割する区画線が、前記矩形領域の辺と鋭角な角度をなして交差する斜めの区画線を含み、当該斜めの区画線を2つ以上含む複数の区画線により3分割以上の分割数で分割されてもよい。
【0014】
この構成によれば、矩形領域の辺と平行な線よりなる区画線のみで分割した場合に比べ、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0015】
上記印字検査装置において、前記形状マッチング処理部は、前記基準文字パターンのサイズと回転角度とのうち少なくとも一方を変化させることで、前記変形度合を変化させてもよい。
【0016】
この構成によれば、形状マッチング処理において、基準文字パターンのサイズと回転角度とのうち少なくとも一方を変化させながら文字の形状について照合されるので、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0017】
上記印字検査装置において、前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対して前記変形文字パターンをマッチした位置に重ねた検査領域特定画像を生成し、当該検査領域特定画像のうち前記変形文字パターン以外の背景画像について濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査してもよい。
【0018】
この構成によれば、印字された文字について、印字ずれ、汚れ、滲みなどの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査できる。
【0019】
上記印字検査装置において、前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対して前記変形文字パターンをマッチした位置に重ねた検査領域特定画像を生成し、当該検査領域特定画像のうち前記変形文字パターンの領域に対して濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査してもよい。
【0020】
この構成によれば、印字された文字について、印字ずれ、滲み及びドット欠損などの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査できる。
【0021】
上記印字検査装置において、前記検査処理部は、前記撮像画像のうち前記撮像文字パターンを含む文字領域に対してマッチした位置に重ねた前記変形文字パターンの領域と前記撮像文字パターンの領域とを結合させた結合文字領域に対して濃淡検査を行うことで文字の印字状態の良否を検査してもよい。
【0022】
この構成によれば、変形し易い印字面に印字された文字について、印字ずれ、滲み及びドット欠損などの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査でき、かつ検査結果が安定する。
【0023】
上記課題を解決する印字検査方法は、検査対象に印字された文字を検査する印字検査方法であって、検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップで取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する形状マッチング処理を行う形状マッチング処理ステップと、前記形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成ステップと、前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理ステップとを備える。この印字検査方法によれば、上記印字検査装置と同様の効果が得られる。
【0024】
上記課題を解決するプログラムは、対象画像に含まれる文字を検査する文字検査処理を行うコンピュータにより実行されるプログラムであって、コンピュータに、前記対象画像に含まれる撮像文字パターンと、予め設定された基準文字パターンとを、当該基準文字パターンの形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、前記基準文字パターンに対する前記撮像文字パターンの形状の類似度を算出する形状マッチング処理ステップと、前記類似度が閾値以上になるときの変形度合で前記基準文字パターンを変形させた変形文字パターンを生成する変形パターン生成ステップと、前記変形文字パターンと前記撮像文字パターンとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する検査処理ステップとを実行させる。このプログラムをコンピュータに実行させることで、上記印字検査装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検査対象に印字された文字の検査精度と検査速度とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態の印字検査装置の全体構成を示すブロック図。
図2】文字列が印字された飲料容器とカメラとを示す側面図。
図3】飲料容器に印字された文字列を示す側面図。
図4】印字検査装置の制御部内を示すブロック図。
図5】(a)は形状マッチング処理で使用されるテンプレートを示し、(b)は分割テンプレートを示す模式図。
図6】(a),(b)は分割テンプレートを示す模式図。
図7】撮像された文字列を示す模式図。
図8】撮像文字パターンに対する輪郭抽出処理を説明する模式図。
図9】(a)~(e)は基準文字パターンの変形度合を変化させながら行われる形状マッチング処理を説明する模式図。
図10】(a)~(g)はピラミッド探索を説明する模式図。
図11】(a)~(c)は分割テンプレートを用いた形状マッチング処理を説明する模式図。
図12】検査領域特定画像の生成手順を説明する模式図。
図13】(a)は背景画像を用いた第1検査を説明する模式図、(b)は変形文字領域画像を用いた第2検査を説明する模式図。
図14】印字検査処理ルーチンを示すフローチャート。
図15】結合文字領域の生成手順を説明する模式図。
図16】結合文字領域画像を用いた第3検査を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をビールやジュースなどの飲料が収容される飲料容器に印字された製造年月日等を表す文字の印字状態を検査する印字検査装置及び同装置を用いた印字検査方法に具体化した一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1に示すように、印字検査装置11は、検査対象の一例としての複数の飲料容器12を図1に矢印で示す搬送方向に上流側から下流側へ向かって順次搬送するベルトコンベヤ13の近傍に配置されている。各飲料容器12はベルトコンベヤ13によって搬送される。図2図3に示すように、各飲料容器12の外周面12a上の所定領域にはインクジェットプリンタ(図示略)によって製造年月を含む複数の文字21よりなる文字列20が印字されている。
【0029】
図2図3に示すように、本実施形態では、印字される文字列20は、ロット番号及び製造年月を含む。図3に示す例では、飲料容器12には、文字列20として、例えば、ロット番号「ABC123」と、製造年月「2020年02月」とが上下二段で印字されている。ロッド番号は、アルファベット、数字及び記号よりなる文字21によって表され、製造年月は、数字と「年」、「月」の漢字よりなる文字21によって表されている。なお、文字列20は、製造年月に替え、製造年月日でもよい。また、製造時期を表す製造年月等に替え、賞味期限または消費期限などでもよい。さらに、文字列20はロッド番号のみでもよい。
【0030】
図1に示すように、印字検査装置11は、印字検査装置11の稼働状態を制御する制御部15を備える。制御部15は、ベルトコンベヤ13によって搬送される各飲料容器12を検知する光センサ16と、光センサ16によって検知された飲料容器12の所定領域に印字された文字21(図2参照)を撮像する撮像部の一例としてのカメラ17と電気的に接続されている。また、制御部15は、文字21が印字不良と判定された飲料容器12をベルトコンベヤ13上から排除する排除機構18と電気的に接続されている。制御部15は、光センサ16から飲料容器12を検知した検知信号を入力するとともにカメラ17及び排除機構18を駆動制御する。制御部15は、光センサ16から検知信号を入力すると、カメラ17に撮像指示信号を出力することで、カメラ17に飲料容器12に印字された文字列20を撮像させる。
【0031】
図2に示すように、カメラ17は、飲料容器12に印字された文字列20を含む所定領域を撮像する。カメラ17が撮像した画像データは、制御部15に送信される。なお、搬送中の飲料容器12の向きは、予め印字された文字列20がカメラ17の正面を向く向きに調整される。
【0032】
図3に示すように、飲料容器12の外周面12aなどの曲面に印字される場合、カメラ17から文字21までの距離が文字21の位置によって異なる。この距離の違いによってカメラ17に撮像された文字51(図7参照)にサイズの大小が生じる。また、飲料容器12の外周面12aなどの曲面に印字される場合、文字21が印字された印字面とカメラ17の光軸とのなす角度が文字21の位置によって異なる。この角度の違いによってカメラ17に撮像された文字51に変形度合に応じた違いが生じる。また、図3に示す例では、飲料容器12の印字面に交差するように周溝状の凹部12bが形成されており、この種の凹部12bによっても文字51は変形する。
【0033】
図4に示すように、制御部15はコンピュータ30を備えており、コンピュータ30はCPUと、ROM及びRAMにより構成される記憶部31とを備える。そして、コンピュータ30は、記憶部31に記憶された印字検査用プログラムを実行することで起動されるソフトウェアよりなる構成部分として、OCR(Optical Character Recognition)検査部32、形状マッチング処理部33、変形パターン生成部34、検査処理部35、排除処理部36及び表示処理部37を備える。
【0034】
OCR検査部32は、印字された文字をカメラ17で撮像することで画像として読み取り、データと照らし合わせ文字を認識して電子テキスト化し、その文字のテキストデータに基づいて文字を検査する。記憶部31には、予めOCR検査部32が認識できる文字のデータが記憶されている。OCR検査部32は、文字21を認識する。OCR検査部32は、文字列20の中に認識不能な文字が1つでもあれば、印字不良と判定する。OCR検査部32により文字21が認識されることで、その認識された文字21の位置が特定される。
【0035】
形状マッチング処理部33は、カメラ17が取得した撮像画像に含まれる1文字ごとの撮像文字パターン53(図8参照)と、予め設定された1文字ごとの基準の文字パターンである基準文字パターン41(図5参照)とを、基準文字パターン41の形状の変形度合を変化させながら形状について照合する。形状マッチング処理部33は、この照合によって、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン53の形状の類似度を算出する。形状マッチング処理部33は、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン53の形状の類似度が閾値以上となるマッチした文字を探索する。
【0036】
形状マッチング処理部33は、変形処理部38を備える。変形処理部38は、テンプレート40の基準文字パターン41及び分割用テンプレート42の分割基準文字パターン41a,41b等を、所定の変形度合で変形させる変形処理を行う。本実施形態では、変形処理部38は、文字のサイズと文字の回転角度とのうち少なくとも一方を変化させることで基準文字パターン41又は分割基準文字パターン41a,41b等を所定の変形度合で変化させる。
【0037】
変形パターン生成部34は、形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で基準文字パターン41を変形させることにより、変形文字パターン46(図10(g)、図11(c))を生成する。変形文字パターン46は、撮像文字パターン51P(図8参照)に重ねると、撮像文字パターン51Pのうち正しく印字された部分は変形文字パターン46とかなりの部分で重なる。
【0038】
検査処理部35は、撮像文字パターン51Pと変形文字パターン46との比較結果に基づいて文字21の印字状態の良否を検査する。検査処理部35は、撮像画像のうち撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に変形文字パターン46をマッチした位置で重ねた検査領域特定画像60(図12参照)を生成し、この検査領域特定画像60の検査特定領域に対して濃淡(濃度)に基づいて印字不良を検出する濃淡検査を行う。この濃淡検査の詳細については後述する。
【0039】
図4に示す排除処理部36は、検査処理部35による印字検査の結果、印字不良である旨の検査結果が得られた場合、排除機構18を駆動制御して印字不良のある飲料容器12をベルトコンベヤ13上から排除する。
【0040】
表示処理部37は、検査処理部35による検査結果をモニタ19に表示させる表示処理を行う。表示処理部37は、検査の結果、飲料容器12に印字された文字列20の印字状態が良好であれば、その旨を示す「GOOD」の文字をモニタ19に表示させる。また、表示処理部37は、検査の結果、飲料容器12に印字された文字21の印字状態が不良状態である印字不良であれば、その旨を示す「NG」の文字をモニタ19に表示させる。
【0041】
記憶部31には、形状マッチング処理で使用される図5(a)に示されるテンプレート40(マスタ)と、基準文字パターン41を複数に分割した図5(b)に示される分割用テンプレート42(分割マスタ)とが記憶されている。テンプレート40は、基準の文字パターンである基準文字パターン41を含む。また、分割用テンプレート42は、基準文字パターン41を分割した分割基準文字パターン41a、41b等を含む。
【0042】
本実施形態では、図5(a)に示すテンプレート40に含まれる基準文字パターン41には、「A」~「Z」までの大文字と小文字(図示略)のアルファベット、「/」等の記号、「0」~「9」までの数字がそれぞれ用意されている。また、分割用テンプレート42は、テンプレート40に含まれる基準文字パターン41のうち少なくとも一部の文字が必要に応じて複数に分割されたテンプレートである。なお、図5に示す例では、テンプレート40を文字ごとに1つ示すが、文字ごとに複数用意されてもよい。また、テンプレート40は、文字の輪郭を表す基準文字パターン41を含むが、例えば、印字状態が合格である良品の撮像文字パターンを記憶部31に記憶(登録)し、制御部15が良品の撮像文字パターンにエッジ検出処理等の輪郭抽出処理を施して、形状マッチングに使用するテンプレート40,42を検査開始前に生成する構成でもよい。
【0043】
図6(a),(b)は、分割用テンプレート42の一例を示す。図6(a)は「2」を上下に2分割した例、図6(b)は「月」を3分割した例である。分割用テンプレート42は、矩形領域であるテンプレート40を1本又は複数本の区画線で複数の領域に分割した複数の分割テンプレート42a,42b等から構成される。複数に分割された各分割テンプレートの境界部分は一部重複している。基準文字パターン41の形状に応じて分割数が決められている。
【0044】
例えば、図6(a)に示す「2」の分割用テンプレート42は、「2」を含む矩形領域のテンプレート40を上下にほぼ半分ずつに2分割された2つの分割テンプレート42a,42bからなる。上側の分割テンプレート42aは水平な区画線43aで区画され、下側の分割テンプレート42bは水平な区画線43bで区画されている。
【0045】
また、図6(b)に示す「月」などの漢字を含む矩形領域の分割用テンプレート42は、「月」のテンプレート40をY字状の区画線43a,43b,43cにより3分割された3つの分割テンプレート42a,42b,42cからなる。一番上の分割テンプレート42aは、矩形領域の辺と平行な縦線と横線に対して鋭角をなす斜めの線よりなる区画線43aで区画される。左側の分割テンプレート42bは、矩形領域の辺と平行な縦線と斜線よりなる区画線43bで区画され、右側の分割テンプレート42cは、縦線と斜線よりなる区画線43cで区画されている。
【0046】
ここで、「月」のテンプレート40を上下半分ずつや左右半分ずつに分割した場合、2つの分割テンプレートが対象の文字「月」を2分割した一方のみにどちらもマッチする可能性がある。「月」のテンプレート40を縦方向に水平な区画線で3分割した場合も、分割した3つの分割テンプレートのうち2つがよく似た形状であり、対象の文字を3分割した3つのうち1つの部分に2つがマッチする可能性がある。
【0047】
そのため、本実施形態では、図6(b)に示すように、分割用テンプレート42は、「月」のテンプレート40を、Y字状の区画線43a,43b,43cで3分割している。このように、本実施形態では、区画線43a,43b,43cのうち少なくとも1本が斜めの線よりなる。なお、分割用テンプレート42の境界部分は、数画素分(例えば、3~5画素分)だけ重複している。
【0048】
図7は、カメラ17が撮像した画像を示す。図7に示すように、撮像画像では、所定の印字領域50A内に文字列50は位置する。文字列50のうち、カメラ17の正面付近で撮像された中央付近に位置する文字51は、相対的に大きなサイズでかつ変形度合が小さい。また、水平方向において文字列50の中央部から両端部へ向かうに連れて、文字51のサイズが小さくかつ文字51の変形度合が大きくなる。また、文字51が変形(回転)する方向は、カメラ17の光軸と印字面とのなす角度に応じて変化する。文字51は、それぞれの印字面の違いによって、図7における時計回り方向に変形(回転)する場合と、反時計回り方向に変形(回転)する場合とがある。
【0049】
なお、本実施形態では、印字領域50Aは、飲料容器12の所定位置及び所定サイズの領域から規定される。また、文字領域52は、OCR検査により認識された文字51の位置及びサイズに応じて文字51を囲む範囲に設定される。この文字領域52は、テンプレート40の領域よりも大きい。このため、形状マッチング処理では、文字51ごとの文字領域52内でテンプレート40により類似度の高いマッチする文字の探索が行われる。
【0050】
ところで、テンプレートマッチングには、本例で採用する文字の輪郭を照合する形状マッチング処理(輪郭マッチング処理)と、文字の濃度を照合する濃度マッチング処理とがある。例えば、文字が変形して印字されたり、文字が印字面の面形状により変形して撮像されたりする場合がある。文字を閾値以上の類似度でマッチさせたい場合、濃度マッチングでは、変形度合の異なる文字ごとにテンプレートを用意する必要がある。また、印字面が曲面でありカメラ17と印字面との距離の違いによって文字のサイズが異なる場合、濃度マッチングでは、文字サイズごとにテンプレートを用意する必要がある。さらに、明るさが異なる場合、異なる明るさごとにテンプレートを用意する必要がある。このように濃度マッチングでは、文字の変形度合、文字サイズ、明るさなどに応じて多数のテンプレートを用意する必要がある。
【0051】
撮像画像の文字51が変形すると、類似度が閾値以上となる頻度(マッチする頻度)が低下し、文字の変形が許容範囲内であっても、検査結果が不良となる場合がある。例えば、1文字に対して基準文字パターン41を複数種用意すれば、類似度が閾値以上となる頻度は高まる。しかし、撮像文字パターン53とマッチングする基準文字パターン41の数が非常に多くなり、マッチング処理に長時間を要する。例えば、ベルトコンベヤ13を搬送される飲料容器12の搬送速度に、文字の検査が追従できなくなる。
【0052】
これに対して、本実施形態の形状マッチング(輪郭マッチング)は、パターンの形状について基準文字パターン41の変形度合を変化させながら照合するので、文字の明るさ、文字の濃度、文字の変形度合(サイズ・回転角度)が異なっても、1つの基準文字パターン41で対応できる。このため、1文字当たりの検査に必要なマッチング回数が少なく済むので、高速な搬送速度で搬送中の飲料容器12に印字された文字の検査にも対応できる。また、テンプレート40及び分割用テンプレート42は、文字パターンの輪郭のみの情報なので、記憶部31に記憶する記憶容量が少なく済む。このように本実施形態では、形状マッチング処理を採用することが、検査速度を高速化できる第1の理由である。
【0053】
図8に示すように、形状マッチングを行う前に、制御部15は、事前に文字領域52の撮像文字パターン51Pに対してエッジ検出処理を施すことにより、撮像文字パターン51Pを文字パターンの形状(輪郭)が抽出された撮像文字パターン53に変換する。本例では、この撮像文字パターン53を含む文字領域54に対して、テンプレート40を用いた形状マッチング処理が行われる。
【0054】
ここで、図9を参照して、形状マッチング処理について説明する。図9(a)に示すように、形状マッチング処理部33は、「A」のテンプレート40を、文字領域54内で、左側から右側へ向かって所定画素分の微小距離Δx(例えば1~3画素分)ずつ順次移動させながら、各位置において類似度を逐次算出する。このとき、形状マッチング処理部33は、各位置で基準文字パターン41の変形度合を変化させながら形状マッチングを行う。X方向に1行の移動を終えると、上側から下側へ向かって所定画素分の微小距離Δyだけ次行へ移動し、次行において同様に左側から右側へ向かって微小距離Δxずつ順次移動させながら、各位置において類似度を逐次算出する。こうして文字領域54内の全域を対象として形状マッチング処理を行う。形状マッチング処理部33は、類似度が閾値以上になると、テンプレート40中の基準文字パターン41と文字領域54内の撮像文字パターン53とがマッチしたとする。
【0055】
本例では、変形処理部38が基準文字パターン41の変形度合を変化させる。変形度合の変化は、文字サイズの変化と回転角度の変化とを含む。図9(b)に示すように、基準文字パターン41の文字サイズを小さく変更した基準文字パターン41Aを含むテンプレート40Aを用いて形状マッチング処理を行う。また、図9(c)に示すように、基準文字パターン41の文字サイズを大きく変更した基準文字パターン41Bを含むテンプレート40Bを用いて形状マッチング処理を行う。また、図9(d)に示すように、基準文字パターン41を反時計回り方向の回転角度で回転させた基準文字パターン41Cを含むテンプレート40Cを用いて形状マッチング処理を行う。さらに、図9(e)に示すように、基準文字パターン41を時計回り方向の回転角度で回転させた基準文字パターン41Dを含むテンプレート40Dを用いて形状マッチング処理を行う。文字サイズは印字の許容範囲内(例えば±10%)で複数段階変化し、回転角度は印字の許容範囲(例えば±10度)内で複数段階変化する。
【0056】
また、本実施形態の記憶部31には、テンプレート40及び分割用テンプレート42が解像度の異なる複数種ずつ記憶されてもよい。そして、形状マッチング処理部33は、低解像度から高解像度に向かって順番に形状マッチング処理を行うピラミッド探索を行ってもよい。
【0057】
本実施形態では、低解像度から高解像度に向かって順番に形状マッチング処理を行う。最も解像度の低い第1解像度D1、第2解像度D2、…、第n解像度Dn(但し、nは2以上の自然数)のn段階の解像度が設定されている。本実施形態は、形状マッチング処理を行う解像度の段階を何段階にするかを、作業者はモニタ19の設定画面(図示略)を見ながら入力部14の入力操作により制御部15に対して選択設定できる。
【0058】
図10(a),(b),(d),(f)に示すように、撮影画像が第n解像度Dnであるとすると、この第n解像度の画像を、解像度D1,D2,…,Dn-1の低解像度に変換するとともに、エッジ検出処理を行って、文字パターンの輪郭よりなる撮像文字パターン531を含む文字領域54を取得する。図10(a)~(f)では、解像度D1,D2,…,Dnごとに、文字領域54を、文字領域541、542,…54nと表記し、撮像文字パターン53を、撮像文字パターン531,532,…,53nと表記する。また、解像度D1,D2,…,Dnごとに、テンプレート40を、テンプレート401,402,…,40nと表記し、基準文字パターン41を、基準文字パターン411,412,…41nと表記する。
【0059】
形状マッチング処理部33は、まず第1解像度D1の撮像文字パターン531を含む文字領域541(図10(a))に対して同じ解像度のテンプレート401を用いて形状マッチング処理を行う(図10(c))。形状マッチングの結果、類似度が閾値以上になるマッチした文字が探索されると、その時点でその解像度D1での形状マッチング処理を終了し、次に高い解像度である第2解像度D2の撮像文字パターン532を含む文字領域542に対して同じ解像度の基準文字パターン412を含むテンプレート402を用いて形状マッチング処理を行う。このとき、1つ前の解像度でマッチしたテンプレート401の位置座標から文字がマッチする範囲55が絞り込まれているので、その絞り込まれた範囲55内で次の第2解像度D2での形状マッチング処理を行う(図10(d),(e))。この処理を各解像度D2~Dnで同様に行い、1つ前の解像度でマッチしたテンプレートの位置座標から文字がマッチする範囲55が絞り込まれているので、その絞り込まれた範囲55内で次の解像度での形状マッチング処理を行う(図10(f),(g))。このようなピラミッド探索を行うことにより、形状マッチング処理部33は、第n解像度の画像中の文字パターンを高速に探索する。
【0060】
例えば、ピラミッド探索を行わずに、第n解像度の文字領域54内で形状マッチング処理を行う場合、テンプレート40を微小距離Δx(例えば1画素分の距離)ずつX方向に移動させながらマッチング処理を行う。次にY方向に微小距離Δyだけ1つずらし、その1つずらしたY方向の位置で同様にX方向に微小距離Δxずつずらしながらマッチング処理を行う。そして、これをマッチした文字が探索し終わるまで継続する。この場合、第n解像度では文字領域54の全域で形状マッチング処理をするためにずらす位置が膨大になり、形状マッチング処理に長時間を要する。これに対して、ピラミッド探索では、低解像度の形状マッチング処理で高速に撮像文字パターン53の位置を絞り込み、その絞り込んだ範囲55内で高解像度の形状マッチング処理を行うことで、総マッチング処理回数を少なく抑え、より高速に第n解像度Dnでの文字パターンを探索することが可能である。このように本実施形態では、ピラミッド探索を行うことが、検査速度を高速化できる第2の理由である。
【0061】
そして、最高解像度である第n解像度Dnでの形状マッチング処理でマッチすると、そのマッチしたときの変形度合で変形した図10(g)に示すテンプレート40が、マッチしたときの変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46を含む変形テンプレート45に相当する。
【0062】
また、第n解像度Dnでの形状マッチング処理においては、必要に応じて分割テンプレートを用いる。すなわち、検査対象である飲料容器12の印字面の面形状に応じて、検査作業者は、印字検査装置11に接続されたキーボード等の不図示の入力操作部を操作して検査精度を高めるために分割テンプレートを使用する分割マッチングを設定する。例えば、図2に示すように、曲面に印字される文字列20は、幅方向中央領域の文字サイズが大きくかつ幅方向両端領域の文字サイズが小さく撮像される(図7参照)。また、文字列のうち幅方向両端領域と、高さ方向上下端領域で文字が変形して撮像される場合がある。そして、変形度合の大きい領域では1文字においても、上側半分と下側半分、あるいは、左側半分と右側半分で異なる変形度合で撮像される場合がある。
【0063】
そこで、1つの文字領域54を分割した分割領域ごとに分割テンプレート42a,42bを用いて分割文字パターンを探索する形状マッチング処理を行う。これは、撮像画像上で文字が変形していても、印字面の面形状、カメラ17から印字面までの距離差、許容範囲内の印字のずれ等に起因する文字の変形によるものである場合は、不良品とするのではなく合格品とする方が適切である。そのため、本実施形態では、撮像画像上の文字が変形していても許容範囲内の変形であれば、合格品とする検査が可能である。
【0064】
また、図11(a),(b)に示すように、分割マッチングが指定された文字(例えば「2」)については、分割テンプレート42a,42bを用いて形状マッチング処理を行う。図11(a)に示すように、文字領域54内の撮像文字パターン53に対して、上側半分の分割基準文字パターン41aを含む第1分割テンプレート42aを微小距離Δxずつ移動させながら照合する形状マッチング処理を行う。第1分割テンプレート42aが第1変形度合にあるとき、類似度が閾値以上になったとする。次に、図11(b)に示すように、文字領域54内の撮像文字パターン53に対して、下側半分の分割基準文字パターン41bを含む第2分割テンプレート42bを微小距離Δxずつ移動させながら照合する形状マッチング処理を行う。第2分割テンプレート42bが第2変形度合にあるとき、類似度が閾値以上になったとする。変形パターン生成部34は、図11(c)に示すように、第1変形度合で変形した分割基準文字パターン41aを含む第1分割テンプレート42aと、第2変形度合で変形した分割基準文字パターン41bを含む第2分割テンプレート42bとを合成することで、変形文字パターン46を含む変形テンプレート45を生成する。なお、変形文字パターン46を文字の領域として復元するために、必要に応じて領域モフォロジーの処理を適用する。
【0065】
次に、図12図13を参照して検査処理について説明する。なお、図12図13(b)では、ドット領域46aとドット51aとを判別し易いように、ドット領域46aを少し誇張して大きく描いている。また、変形文字パターン46のドット領域46aは、変形度合に応じてその形状が実際には歪んでいるが、図12図13では、ドット領域46aを模式的に円で描いている。
【0066】
検査処理部35は、図12に示すように、撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に対して、変形テンプレート45に含まれる変形文字パターン46をマッチした位置に重ねることで、検査領域特定画像60を生成する。図12の左下に示される変形文字パターン46は、マッチしたときの変形テンプレート45の変形文字パターンに相当する。撮像された文字領域52の画像にこの変形文字パターン46を重ねることで、文字領域52の画像において検査領域が特定するための検査領域特定画像60が生成される。
【0067】
図13(a)は、図12に示す検査領域特定画像60のうち、ドット領域46aを除く背景領域62の画像を抽出した背景画像61である。検査処理部35は、図12に示す検査領域特定画像60からドット領域46aの部分の画像を除くことで、図13(a)に示す背景画像61を生成する。この背景画像61では、ドット領域46a内の濃度値を、白色を表す値(例えば「255」)に変換することで、ドット領域46aの画像を削除する。そして、検査処理部35は、背景画像61に対して濃淡検査を行う。濃淡検査では、濃度値が閾値以下になる部分(図13(a)における黒色の部分)を検出する。この結果、ドット51aのずれ、汚れ57及び滲み58が検出される。ドット51aのずれ、汚れ57及び滲み58が、それぞれに応じて設定された所定面積及び所定数以上存在すると、文字は印字不良と判定される。なお、背景画像61を生成する場合、検査領域特定画像60におけるドット領域46aは、例えば1.2倍のサイズに拡大調整される。そして、背景画像61において拡大後のドット領域46aをはみ出すドット51aの部分は、許容範囲を超えてずれた部分となる。
【0068】
図13(b)は、図12に示す検査領域特定画像60のうち、ドット領域46aの内部の画像を抽出した変形文字領域画像63である。検査処理部35は、図12に示す検査領域特定画像60からドット領域46a以外の部分の画像を除くことで、図13(b)に示す変形文字領域画像63を生成する。この変形文字領域画像63では、背景領域62の濃度値を、白色を表す値に変換することで、背景領域62の画像を削除する。変形文字領域画像63では、ドット領域46aのサイズを例えば1.2倍に拡大する拡大調整は行われない。変形文字領域画像63において、ドット領域46aの内部にドット51aが占める占有率が閾値未満と小さい場合、ドット51aのずれ又は欠損と判定される。検査処理部35は、その占有率の値からドット51aのずれであるかドット51aの欠損であるかを判別する。また、検査処理部35は、ドット51aのずれである場合、その占有率の値からドット51aのずれ量を求める。なお、変形文字領域画像63では、変形文字パターン46のドット領域46aを1.2倍に拡大する拡大調整は行っていない。また、ドット領域46aのサイズを例えば0.8倍に縮小する縮小調整を行い、縮小後のドット領域46a内に少しでも白の画素が存在すればドットずれ又はドット欠損の印字不良と判定してもよい。
【0069】
検査処理部35は、記憶部31に予め記憶された所定の検査ルールに従って、ドットずれ、汚れ57及び滲み58の程度及び数、並びにドット欠損の数から、文字の印字状態の良否を判定する。
【0070】
次に、本実施形態の印字検査装置11の作用について図14等を参照して説明する。
【0071】
さて、制御部15は、ベルトコンベヤ13が駆動された場合に図14に示す印字検査処理ルーチンを実行する。詳しくは、制御部15内のコンピュータ30が、図14のフローチャートで示される印字検査処理用のプログラムを実行する。
【0072】
まずステップS11では、制御部15は、撮像する。制御部15は、光センサ16から飲料容器12を検知した検知信号を入力すると、カメラ17に対して撮像指示信号を送信する。すると、光センサ16によって検知された飲料容器12の例えば外周面12aに印字されたロット番号及び製造年月を示す文字列20がカメラ17によって撮像され、その撮像された画像データがカメラ17から制御部15に送信される。なお、本実施形態では、ステップS11の処理が、撮像ステップの一例に相当する。
【0073】
ステップS12では、制御部15は、画像を取り込む。制御部15は、カメラ17から受信した画像データを記憶部31の所定記憶領域に記憶する。
【0074】
ステップS13では、制御部15は、印字領域を検出する。制御部15は記憶部31から読み出した画像データに基づく撮像画像から飲料容器12の画像領域を抽出し、画像領域中の飲料容器12のうち所定の高さ範囲及び所定の幅範囲の領域を印字領域50A(図7参照)として抽出する。
【0075】
ステップS14では、制御部15は、OCR検査を行う。詳しくは、OCR検査部32が、印字領域50A内の文字列50を構成する文字51を認識して、認識した文字が予め設定された印字用の文字列に登録されていれば、文字が印字できたと判定する。記憶部31には、予めOCR検査部32が認識できる文字のデータが記憶されている。OCR検査部32は、1文字ずつ文字51の認識処理を行い、文字列50中に認識不能な文字が1つでも存在すれば、印字不良と判定する。OCR検査部32により文字21が認識されることで、その認識された文字21の位置が特定される。そして、印字領域50A内で文字51を含む矩形領域よりなる文字領域52が特定される。
【0076】
ステップS15では、制御部15は、撮像文字パターン51Pを取得する。すなわち、制御部15は、OCR検査部32により認識された文字21の位置からその文字51のパターンである撮像文字パターン51Pを含む矩形領域である文字領域52を取得する。
【0077】
ステップS16では、制御部15は、輪郭抽出処理を行う。詳しくは、制御部15は、図8に示す文字領域52の撮像文字パターン51Pに対してエッジ検出処理を行い、エッジから輪郭を抽出する。その結果、図8に示す輪郭で表された撮像文字パターン53を含む文字領域54を生成する。
【0078】
ステップS17では、制御部15は、撮像文字パターン53と基準文字パターン41とを、基準文字パターン41の変形度合を変化させながら照合する形状マッチング処理を行って類似度を算出する。詳しくは、図9(a)~(e)に示すように、基準文字パターン41の変形度合を変化させながら照合することで、文字領域54中の撮像文字パターン53を探索する。形状マッチング処理部33は、基準文字パターン41のサイズ及び回転角度を所定の順番に変化させながら形状マッチング処理を行う。形状マッチング処理部33は、所定の変形度合で変形させた基準文字パターン41を微小距離Δxずつ移動させながら各位置で、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン53の類似度を算出する。
【0079】
ステップS18では、制御部15は、マッチしたか否かを判定する。つまり、制御部15は、類似度が閾値以上であるか否かを判定する。類似度が閾値以上であれば、基準文字パターン41に対して撮像文字パターン53がマッチしたと判定される。一方、類似度が閾値未満であれば、基準文字パターン41に対して撮像文字パターン53がマッチしていないと判定される。マッチすれば、ステップS19に進み、マッチしなければステップS17に戻って形状マッチング処理を繰り返す。
【0080】
ここで、分割マッチングが設定されている場合、ステップS17における形状マッチング処理は、テンプレート40に替え、分割用テンプレート42を用いて分割領域ごとに行われる。すなわち、形状マッチング処理部33は、図11(a)に示すように、第1分割テンプレート42aを用いて分割基準文字パターン41aの変形度合を変化させながら形状マッチング処理を行った後、図11(b)に示すように、第2分割テンプレート42bを用いて分割基準文字パターン41bの変形度合を変化させながら形状マッチング処理を行う。そして、分割領域ごとに類似度が閾値以上であると判定される(ステップS18)まで形状マッチング処理(ステップS17)を繰り返す。
【0081】
また、ステップS17においては、図10に示すピラミッド探索を行うことも可能である。形状マッチング処理部33は、ピラミッド探索を行う場合、低解像度から高解像度に向かって順番に形状マッチング処理を行う。これにより、前の階層の解像度で行った形状マッチング処理で絞り込んだ範囲55内で次の階層の解像度で形状マッチング処理を行えばよいので、形状マッチング処理の高速化が可能である。このピラミッド探索は、分割マッチングでも適用できる。なお、本実施形態では、ステップS17,S18の処理が、形状マッチング処理ステップの一例に相当する。
【0082】
図14に示すステップS19では、制御部15は、マッチした変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46を生成する。制御部15は、基準文字パターン41を変形させる際に領域モフォロジーを利用して変形文字パターンを生成する。ここで、基準文字パターン41は、パーソナルコンピュータで画像作成ソフトウェアを使って人工的な文字パターンとして作成することもできるが、飲料容器12の良品の印字領域を撮像した撮像画像から作成する方が実際の条件に合っており検査精度を確保する点から好ましい場合がある。本例では後者の方法で作成した基準文字パターン41を採用しているため、基準文字パターン41には、小さな汚れや文字パターンの輪郭線に切断箇所がある。変形文字パターン46を領域にするためには、線の切断箇所を接続する必要があるが、小さな汚れがあると、汚れを接続する線を描いてしまう可能性がある。そのため、汚れ等のノイズを除去するノイズ除去処理を行った後、領域モフォロジーを利用して線を接続することで変形文字パターン46を生成する。領域モフォロジーでは、結合、交差、差分、補集合、平行移動、穴埋め、収縮及び膨張等が用いられる。こうして、基準文字パターン41を含むテンプレート40を利用してカメラ17から印字面までの距離の違いや印字面の面状態に応じた変形度合が考慮された文字の領域が変形文字パターン46として復元される。
【0083】
なお、分割マッチングが設定されている場合、制御部15は、マッチした変形度合で分割基準文字パターン41a,41bを変形させ、それらの変形させた分割基準文字パターン41a,41bを1つの文字に合成することで、変形文字パターン46を生成する(図11(c)参照)。そして、この場合も、飲料容器12の良品の印字領域を撮像した撮像画像から作成された分割基準文字パターン41a,41bである場合、ノイズ除去処理及び領域モフォロジーを利用して変形文字パターン46を生成する。
【0084】
図14に示すステップS20では、制御部15は、検査領域特定画像60を生成する。詳しくは、検査処理部35が、図12に示すように、撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に対して、変形文字パターン46をマッチした位置に重ねることで、検査領域特定画像60を生成する。検査領域特定画像60は、撮像された文字領域52の画像であるが、検査の対象とされる検査領域が特定された画像である。
【0085】
ステップS21では、制御部15は、背景画像61に対して濃淡検査を行う。詳しくは、検査処理部35が、図12に示す検査領域特定画像60のうち変形文字パターン46以外の背景領域62の画像を抽出した図13(a)に示す背景画像61を生成し、この背景画像61に対して濃淡検査を行う。この第1検査では、検査処理部35は、背景画像61において、濃度値(画素値)が第1閾値以下となる画素の分布及び数から、図13(a)に示すドット51aのずれ、汚れ57及び滲み58を検出する。また、検査処理部35は、画素の分布する位置から印字ずれのドットの特定や汚れ57及び滲み58の位置を特定できる。なお、第1閾値は、例えば、検査領域特定画像60の平均濃度に所定値(例えば0.8)を乗じた値が採用される。
【0086】
ステップS22では、制御部15は、変形文字領域画像63に対して濃淡検査を行う。詳しくは、検査処理部35が、図12に示す検査領域特定画像60のうち変形文字パターン46の領域の画像のみ抽出した図13(b)に示す変形文字領域画像63を生成し、この変形文字領域画像63に対して濃淡検査を行う。この第2検査では、検査処理部35は、ドット領域46a内において濃度値が第2閾値以上となる画素の分布及び数から、当該画素のドット領域46a内に占める占有率(例えば白占有率)を求める。検査処理部35は、その占有率が占有率閾値以上であると、ドット51aのずれ又は欠損であると判定する。また、検査処理部35は、占有率の値からドットずれであるかドット欠損であるかを判別する。なお、第2閾値は、例えば、検査領域特定画像60の平均濃度に所定値(例えば1.2)を乗じた値が採用される。なお、本実施形態では、ステップS20~S22の処理が、検査処理ステップの一例に相当する。
【0087】
ステップS23では、制御部15は、全文字検査終了したか否かを判定する。文字列50のうち全文字の検査が終了していなければ、ステップS24で次の文字へ移行し、ステップS15~ステップS22の処理を繰り返す。こうして1文字ずつ検査が行われ、全ての文字について検査が終了すると(ステップS23で肯定判定)、ステップS25に進む。
【0088】
ステップS25では、制御部15は、検査結果を出力する。詳しくは、検査処理部35は、全文字の検査結果を基に文字列50の印字状態の良否を判定する。制御部15は、文字列50の印字状態の良否を示す検査結果をモニタ19に表示させる表示指令を表示処理部37に送る。表示処理部37は印字状態の良否を示す検査結果をモニタ19に表示する。また、制御部15は、検査結果が印字不良である場合、排除処理部36に排除指令を送る。排除処理部36は、排除機構18を駆動させ、印字不良の飲料容器12をベルトコンベヤ13上から排除する。
【0089】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が得られる。
【0090】
(1)印字検査装置11は、検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像部の一例としてのカメラ17と、形状マッチング処理部33と、変形パターン生成部34と、検査処理部35とを備える。形状マッチング処理部33は、カメラ17が取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターン51P(53)と、予め設定された基準文字パターン41とを、基準文字パターン41の形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン51P(53)の形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する。変形パターン生成部34は、形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46を生成する。検査処理部35は、変形文字パターン46と撮像文字パターン51Pとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する。
【0091】
この構成によれば、撮像文字パターン51P(53)と基準文字パターン41とを、基準文字パターン41の形状の変形度合を変化させながら形状について照合する形状マッチング処理によって、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン51P(53)の形状の類似度が閾値以上となるマッチする文字が探索される。そして、文字がマッチしたときの変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46が生成される。印字された文字が、許容範囲内で変形していても、その同じ変形度合で変形させた変形文字パターン46と撮像文字パターン51Pとの比較結果から文字の印字状態の良否を適切に検査できる。例えば、文字が印字された印字面が曲面であったりカメラ17の光軸と印字面となす角度が90度から外れていたりすることが原因で、撮像画像の文字51が許容範囲内で変形していても、良好な印字状態と判定できる。また、形状マッチング処理では、印字ずれ、ドット欠損、汚れ57及び滲み58などの局所的な印字不良が混在していても、類似度が閾値以上となって印字不良が見逃される場合がある。しかし、本実施形態では、撮像文字パターン51Pと変形文字パターン46とを比較することで、印字ずれ、ドット欠損、汚れ57及び滲み58などの局所的な印字不良の有無を検査できる。したがって、印字された文字の印字状態の良否を精度よく検査できる。また、形状マッチング処理は、文字のサイズ、回転角度、明るさなどの因子ごとに多数のテンプレートを必要とする濃淡マッチング処理に比べ、少ないテンプレート40,42で形状のみ照合すれば足りるので、処理時間を短縮できる。よって、検査対象に印字された文字の検査精度と検査速度とを両立できる。
【0092】
(2)形状マッチング処理部33は、基準文字パターン41を所定の分割数で分割した分割基準文字パターン41a,41b等と、撮像文字パターン53を同じ分割数で分割した分割文字パターンとを、分割基準文字パターン41a,41b等の変形度合を変化させながら形状について照合して分割基準文字パターン41a,41b等に対する撮像文字パターン53の分割した部分の形状の類似度が閾値以上になるマッチした分割文字パターンを探索する形状マッチング処理を分割領域ごとに行い、変形パターン生成部34は、分割領域ごとの変形度合と分割基準文字パターン41a,41b等とに基づいて分割領域ごとの複数の分割変形文字パターンを生成し、複数の分割変形文字パターンを1つの文字に合成して変形文字パターン46を生成する。このため、分割領域ごとに行った形状マッチング処理でマッチした分割基準文字パターン41a,41b等を、それぞれの変形度合で1つの文字に合成することで、変形文字パターン46が生成される。よって、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0093】
(3)分割基準文字パターン41a,41b等の分割数は、文字ごとに個別に設定される。よって、分割基準文字パターン41a,41b等の分割数は、文字ごとに個別に設定されるので、印字された文字の検査速度の低速化を抑制しつつ文字の検査精度を高めることができる。
【0094】
(4)少なくとも1つの分割基準文字パターン41a~41c(図6(b))は、分割基準文字パターン41a~41cを含む矩形領域を分割する区画線43a~43cが、矩形領域の辺と鋭角な角度をなして交差する斜めの区画線43aを含み、斜めの区画線43aを2つ以上含む複数の区画線43a~43cにより3分割以上の分割数で分割される。よって、矩形領域の辺と平行な線よりなる区画線のみで分割した場合に比べ、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0095】
(5)形状マッチング処理部33は、基準文字パターン41のサイズと回転角度とのうち少なくとも一方を変化させることで、変形度合を変化させる。よって、形状マッチング処理において、基準文字パターン41のサイズと回転角度とのうち少なくとも一方を変化させながら文字の形状について照合されるので、印字された文字の検査精度を高めることができる。特に、本実施形態では、基準文字パターン41のサイズと回転角度との両方を変化させるので、印字された文字の検査精度を一層高めることができる。
【0096】
(6)検査処理部35は、撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に対して変形文字パターン46をマッチした位置に重ねた検査領域特定画像60を生成し、検査領域特定画像60のうち変形文字パターン46の領域を除く背景画像61について濃淡検査を行うことで、文字の印字状態の良否を検査する。よって、印字された文字の印字ずれ、汚れ57及び滲み58などの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査できる。
【0097】
(7)検査処理部35は、撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に対して変形文字パターン46をマッチした位置に重ねた検査領域特定画像60を生成し、検査領域特定画像60のうち変形文字パターン46の領域である変形文字領域画像63に対して濃淡検査を行うことで、文字の印字状態の良否を検査する。よって、印字された文字の印字ずれ及びドット欠損などの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査できる。
【0098】
(8)印字検査方法は、検査対象の文字が印字された部分を含む領域を撮像する撮像ステップ(ステップS11)と、形状マッチング処理ステップ(ステップS17,S18)と、変形パターン生成ステップ(ステップS19)と、検査処理ステップ(ステップS20~S22)とを備える。形状マッチング処理ステップでは、撮像ステップで取得した撮像画像に含まれる撮像文字パターン51Pと、予め設定された基準文字パターン41とを、当該基準文字パターン41の形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン51Pの形状の類似度が閾値以上になるマッチした文字を探索する。変形パターン生成ステップでは、形状マッチング処理で文字がマッチしたときの変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46を生成する。検査処理ステップでは、変形文字パターン46と撮像文字パターン51Pとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する。よって、この印字検査方法によれば、上記(1)に記載の印字検査装置11と同様の効果が得られる。
【0099】
(9)対象画像に含まれる文字を検査する文字検査処理を行うコンピュータ30により実行されるプログラムは、コンピュータ30に、形状マッチング処理ステップ(ステップS17,S18)と、変形パターン生成ステップ(ステップS19)と、検査処理ステップ(ステップS20~S22)とを実行させる。形状マッチング処理ステップでは、対象画像に含まれる撮像文字パターン51P(53)と、予め設定された基準文字パターン41とを、基準文字パターン41の形状の変形度合を変化させながら形状について照合し、基準文字パターン41に対する撮像文字パターン51P(53)の形状の類似度を算出する。変形パターン生成ステップでは、類似度が閾値以上になるときの変形度合で基準文字パターン41を変形させた変形文字パターン46を生成する。検査処理ステップでは、変形文字パターン46と撮像文字パターン51Pとの比較結果に基づいて文字の印字状態の良否を検査する。よって、このプログラムをコンピュータ30に実行させることで、上記(1)に記載の印字検査装置11と同様の効果が得られる。
【0100】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化してもよい。
【0101】
・検査処理部35が行う検査は、第1検査や第2検査に限定されず、以下に示す第3検査でもよい。検査処理部35は、図15の左側に示すように、撮像文字パターン53の領域と、マッチした位置にある変形文字パターン46の領域とを結合させることで、図15の右側に示す結合文字領域47を生成する。結合文字領域47は、変形文字パターン46のドット領域46aと対応する箇所に位置する複数の結合ドット領域47aにより構成される。図15から分かるように、ドット領域46aとドット53aがずれた箇所では、結合ドット領域47aがドット領域46aよりもドット53aのずれ分だけ広くなっている。また、滲み58があるドット53aでは、結合ドット領域47aがドット領域46aよりも滲み58の分だけ広くなっている。
【0102】
検査処理部35は、図16に示すように、撮像画像のうち撮像文字パターン51Pを含む文字領域52に対して、マッチした位置に重ねた変形文字パターン46(図15参照)の領域と撮像文字パターン53(図15参照)の領域とを結合させた結合文字領域47を重ねた結合文字領域画像64を生成する。そして、検査処理部35は、結合文字領域画像64に対して結合文字領域47の範囲内で濃淡検査を行う。
【0103】
検査処理部35は、結合ドット領域47a内でドット51aが占める占有率が閾値未満と小さい場合、ドット51aのずれ、欠損又は滲み58があると判定する。検査処理部35は、その占有率の値からドット51aのずれであるかドット51aの欠損であるかを判別する。この第3検査によれば、第2検査(図13(b))に比べ、ドット51aや滲み58がドット領域46aからはみ出した部分の面積が同じであっても、算出される占有率がさほど小さな値となりにくい。このため、小さな印字ずれ及び小さな滲み58は、不良印字と判定されない。
【0104】
例えば、印字面がランダムに変形するパウチなどの柔らかい容器に印字する場合、小さな印字ずれは避けられないため、歩留まりの観点から小さな印字ずれを印字不良としたくない要求がある。この第3検査によれば、第2検査では不良と判定される小さな印字ずれや小さな滲み58があっても、良好な印字状態と判定されるので、小さな印字ずれが不良と判定されることを回避できる。また、印字ずれ量が多少変化しても、検査結果がばらつかず安定する。よって、第3検査によれば、変形し易い印字面に印字された文字について、形状マッチング処理による大まかな検査結果に加え、印字ずれ、滲み58及びドット欠損などの印字不良の有無を検査できるので、文字の印字状態の良否を精度よく検査でき、かつ検査結果が安定する。例えば、印字面がランダムに変形するパウチなどの容器の印字検査に有用である。
【0105】
・検査処理部35は、第1検査、第2検査及び第3検査のうち少なくとも1つの検査を行えば足りる。例えば、第1検査のみ、第2検査のみ、第3検査のみを行ってもよいし、これらの1つの検査と他の検査とを組合せてもよい。また、第1検査と第3検査との組合せ、第2検査と第3検査との組合せであってもよいし、第1検査~第3検査の全てを行ってもよい。また、印字検査装置11に上記の複数の検査を用意しておき、検査員がどの検査を適用するかを入力装置の操作で選択設定する構成としてもよい。
【0106】
・形状マッチング処理における基準文字パターン41の変形は、サイズと回転とのうち少なくとも一方であればよい。例えば、サイズのみ又は回転のみでもよい。また、変形は、文字を傾けて斜字にする傾斜でもよいし、曲面に印字された文字を正面から見たときの形状のように、文字のサイズがその一端に向かうほど徐々に小さくなる又は大きくなる変形でもよい。さらに、文字の倍率を一方向のみに変化させてもよい。例えば、文字を、幅方向のみに膨張又は圧縮させたり、高さ方向のみに膨張又は圧縮させたりしてもよい。さらに、文字を、扇状又は逆扇状に変形させてもよい。また、上記の変形を複数組み合わせてもよい。
【0107】
・前記実施形態において、マッチしたときの変形文字パターン46を、領域で表現された変形文字パターン46に復元する方法は領域モフォロジー以外の他の方法でもよい。例えば、画像作成ソフトウェア等を用いて作成した領域で表現された基準文字パターンを記憶部31に記憶しておき、この基準文字パターンをマッチした変形度合の情報(例えばサイズ及び回転角度)を用いて変形させることで、変形文字パターン46を取得してもよい。また、領域モフォロジーを利用した復元に、マッチした変形度合の情報を用いてもよい。
【0108】
・背景画像61を生成する場合、文字領域52の撮像画像に、背景領域を透明化しかつドット領域46a内を白色にした変形テンプレート45の画像を重ねてもよい。また、変形文字領域画像63を生成する場合、文字領域52の撮像画像に、背景領域を白色にしかつドット領域46aを透明化した変形テンプレート45の画像を重ねてもよい。
【0109】
・前記実施形態では、印字されたドットが1つずつ離れたドット文字であったが、ドットが隣のドットと結合した文字であってもよい。5×8や5×9などのドットで文字が形成されるドット文字に替え、ゴシック体や明朝体などの所定の書体で印字された文字でもよい。
【0110】
・前記実施形態において、分割用テンプレート42を用いなくてもよい。つまり、テンプレート40のみを用いて形状マッチング処理を行う構成でもよい。
【0111】
・ピラミッド探索を行わなくてもよい。
【0112】
・OCR検査を廃止してもよい。OCR検査を廃止した場合、記憶部31に、文字列20のテキスト情報を記憶しておいてもよい。テキスト情報を参照することにより、形状マッチング処理でテンプレートに使用する文字を絞り込むことができる。1つの文字に対する形状マッチング処理に複数のテンプレートを使用して複数回のマッチング処理を行う必要がない。
【0113】
・検査処理部35は、図13(a)に示す背景画像61及び図13(b)に示す変形文字領域画像63を二値化し、背景領域62やドット領域46aにおける白領域と黒領域との各面積から占有率を求めてもよい。
【0114】
・各分割テンプレート42a,42b,42cは、これらの境界部分が必ずしも互いに重複している必要はない。
【0115】
・斜めの区画線43aを2本含む複数の区画線で3分割したが、斜めの区画線43aを1本のみ含む複数の区画線で3分割してもよい。また、斜めの区画線43aを3本用いて3分割してもよい。また、斜めの区画線43aを2本含む複数の区画線で4分割以上の複数分割をしてもよい。さらに、斜めの区画線43aを1本又は2本含む複数の区画線で2分割してもよい。
【0116】
・検査対象の文字は、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アルファベット、数字等の文字あるいは記号などであってもよい。
【0117】
・文字列は、製造年月日、賞味期限、消費期限、ロット番号以外の文字の検査に用いてもよい。
【0118】
・検査の対象は、印字された文字に加え、印字されたコードを含んでもよい。この場合、コードは、例えば、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードでもよい。
【0119】
・前記実施形態では、OCR検査部32、形状マッチング処理部33、変形パターン生成部34、検査処理部35、排除処理部36及び表示処理部37をCPUがプログラムを実行して構築されるソフトウェアにより実現したが、これらをICなどのハードウェアにより構成してもよい。さらに、これらをソフトウェアとハードウェアとの協働により実現される構成にしてもよい。
【0120】
・文字の印字面は、平面でもよい。また、印字面は凹曲面や斜面でもよい。
【0121】
・検査対象(対象物)は、飲料用のプラスチック容器、紙容器、瓶、缶等の飲料容器に限定されず、食品用の容器、例えば、缶、瓶、紙容器、プラスチック容器、パウチ容器でもよい。さらに、検査対象は、食品に限定されず、その他の製品又は半製品が収容された容器でもよく、例えば、段ボール箱でもよい。さらに、検査対象は、容器に限定されず、容器に収容される前の製品そのものでもよい。この場合、製品には、電化製品、文房具、食器、建材、部品等でもよい。また、文字が印字されたシールが貼られた製品でもよい。
【0122】
・印字は、インクジェットプリンタによる印字に限定されず、レーザープリンター、ドットインパクトプリンターによる印字でもよい。また、レーザマーカのレーザ光による印字(刻印)でもよい。
【符号の説明】
【0123】
11…印字検査装置、12…検査対象の一例としての飲料容器、15…制御部、17…撮像部の一例としてのカメラ、20…文字列、21…文字、30…コンピュータ、31…記憶部、32…OCR検査部、33…形状マッチング処理部、34…変形パターン生成部、35…検査処理部、36…排除処理部、37…表示処理部、38…変形処理部、40,40A,40B,40C,40D…テンプレート、41…基準文字パターン、41a,41b,41c…分割基準文字パターン、42…分割用テンプレート、42a,42b,42c…分割テンプレート、43a,43b,43c…区画線、45…変形テンプレート、46…変形文字パターン、46a…ドット領域、47…結合文字領域、47a…結合ドット領域、50A…印字領域、50…文字列、51…文字、51P…撮像文字パターン、51a…ドット、52…文字領域、53…撮像文字パターン、54…文字領域、55…範囲、57…汚れ、58…滲み、60…検査領域特定画像、61…背景画像、62…背景領域、63…変形文字領域画像、64…結合文字領域画像。
図1
図2
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図5
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図10
図11
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図16