(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-24
(45)【発行日】2025-07-02
(54)【発明の名称】キーボード
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20250625BHJP
H01H 13/02 20060101ALI20250625BHJP
【FI】
G06F3/02 400
H01H13/02 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022149833
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2021094451の分割
【原出願日】2014-08-29
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2013-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ シー リョン
(72)【発明者】
【氏名】デリック ティー ジュエ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルバート ティー クワン
(72)【発明者】
【氏名】キース ジェイ ヘンドレン
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特許第5172782(JP,B2)
【文献】特開平9-147658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202907(US,A1)
【文献】特開2006-60334(JP,A)
【文献】特許第5241812(JP,B2)
【文献】特開2002-352657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012448(US,A1)
【文献】特開平5-260146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298716(US,A1)
【文献】特許第4708488(JP,B2)
【文献】特開2004-87203(JP,A)
【文献】特許第2627692(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3167038(JP,U)
【文献】特開2002-260478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0121017(US,A1)
【文献】特開2010-129318(JP,A)
【文献】実公平6-48692(JP,Y2)
【文献】特開2009-123183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0205161(US,A1)
【文献】特許第4491033(JP,B2)
【文献】米国特許第5397867(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0006385(KR,U)
【文献】特開2011-253696(JP,A)
【文献】特開2011-119099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0252407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02 - 3/027
H01H 13/00 - 13/88
H01H 9/18
H01H 19/00 - 19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置のキーボードであって、
キーアパーチャーを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に位置する光源と、
前記キーアパーチャー内に位置するキーキャップと、を備え、
前記キーキャップは、
上面及び底面を有する透明なボディと、
前記透明なボディの前記底面に形成され、バックグランドエリア部分を画定するバックグランド層と、
前記バックグランド層を通って光を分散するように構成された拡散層であって、前記拡散層が前記バックグランド層の幅と同じ幅を有する、拡散層と、を含み、
前記拡散層は前記ハウジングと接触しておらず、前記拡散層と前記キーアパーチャーとの間にギャップが形成され、
前記キーキャップは、前記光源を使用して少なくとも2つの状態に選択的に照明可能であり、
前記少なくとも2つの状態は、
前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明され、前記ギャップが前記光源によって照明されていない第1の状態と、
前記ギャップが前記光源によって照明され、前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明されていない第2の状態と、を含む、キーボード。
【請求項2】
前記バックグラン
ド層は、グリフエリア部分を画定する、請求項1に記載のキーボード。
【請求項3】
前記バックグラン
ド層及び前記グリフエリア部分は、前記バックグランド層及び前記グリフエリア部分が照明されていないとき、視覚的に区別がつかない、請求項2に記載のキーボード。
【請求項4】
前記キーキャップは、前記ギャップが照明されている間、前記グリフエリア部分を選択的に照明可能である、請求項2に記載のキーボード。
【請求項5】
前記キーキャップは、前記バックグランドエリア部分が照明されている間、前記グリフエリア部分を選択的に照明可能である、請求項2に記載のキーボード。
【請求項6】
前記キーキャップは、前記バックグランドエリア部分が照明され、かつ前記ギャップが照明されている間、前記グリフエリア部分を選択的に照明可能である、請求項2に記載のキーボード。
【請求項7】
前記バックグランドエリア部分及び前記ギャップは、同時に照明可能である、請求項1に記載のキーボード。
【請求項8】
前記バックグランドエリア部分及び前記ギャップの同時の照明に応じて、前記バックグランドエリア部分及び前記ギャップは、単一照明エリアに見える、請求項6に記載のキーボード。
【請求項9】
前記ギャップは、前記キーキャップの周囲を囲んでいる、請求項1に記載のキーボード。
【請求項10】
電子装置のキーボードであって、
キーアパーチャーを画定するハウジングと、
前記ハウジング内の前記キーアパーチャーの下に位置する光源と、
前記キーアパーチャー内に位置するキーキャップと、を備え、
前記キーキャップは、
底面を有する透明なボディと、
前記透明なボディの前記底面に形成され、バックグランドエリア部分及びグリフエリア部分を画定するバックグランド層と、
前記バックグランド層を通って光を分散するように構成された拡散層であって、前記拡散層が前記バックグランド層の幅と同じ幅を有する、拡散層と、を含み、
前記拡散層は前記ハウジングと接触しておらず、前記拡散層と前記キーアパーチャーとの間にギャップが形成され、
前記キーキャップは、前記光源を使用して少なくとも4つの状態に選択的に照明可能であり、
前記少なくとも4つの状態は、
前記グリフエリア部分が前記光源によって照明され、前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明されていない第1の状態と、
前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明され、前記グリフエリア部分が前記光源によって照明されていない第2の状態と、
前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明され、前記ギャップが前記光源によって照明されていない第3の状態と、
前記ギャップが前記光源によって照明され、前記バックグランドエリア部分が前記光源によって照明されていない第4の状態と、を含む、キーボード。
【請求項11】
前記キーキャップは、前記グリフエリア部分が照明されている間、前記ギャップを選択的に照明可能である、請求項10に記載のキーボード。
【請求項12】
前記キーキャップは、前記バックグランドエリア部分が照明されている間、前記ギャップを選択的に照明可能である、請求項10に記載のキーボード。
【請求項13】
前記キーキャップは、前記バックグランドエリア部分が照明され、かつ前記グリフエリア部分が照明されている間、前記ギャップを選択的に照明可能である、請求項10に記載のキーボード。
【請求項14】
前記少なくとも4つの状態は、前記グリフエリア部分及び前記バックグランドエリア部分がともに前記光源によって照明されている第5の状態をさらに有する、請求項10に記載のキーボード。
【請求項15】
前記少なくとも4つの状態は、前記グリフエリア部分及び前記バックグランドエリア部分の照明を含む第5の状態をさらに有する、請求項10に記載のキーボード。
【請求項16】
前記キーキャップは、前記グリフエリア部分及び前記バックグランドエリア部分が単一照明エリアに見える状態に選択的に照明可能である、請求項10に記載のキーボード。
【請求項17】
前記ギャップは、前記キーキャップの周囲を囲んでいる、請求項10に記載のキーボード。
【請求項18】
前記グリフエリア部分と前記バックグランドエリア部分との間の境界は、前記グリフエリア部分が照明されず、かつ前記バックグランドエリア部分が照明されていないときは見えない、請求項10に記載のキーボード。
【請求項19】
前記拡散層は、前記バックグランドエリア部分と等しい幅を有する、請求項10に記載のキーボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、コンピューティング装置又は他の同様の情報処理装置の入力装置に関するもので、より詳細には、薄型キーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の心地よい外観と、機能の進歩、耐久性の改善、厚み及び重量の減少といった市場の需要を一対にすることはしばしば困難である。審美的に心地よいある材料は、装置ハウジングに含ませるに充分な耐久性がなく、又、審美的に心地よい他の材料は、電子装置の機能進歩を妨げることがある。更に、ボタン及びキーのようなある入力コンポーネントについては、ユーザは、装置の寿命にわたって、数百万回ではなくても、数十万回は、選択された材料に物理的に係合し得る。
【0003】
視覚的に心地よい多数の解決策は、そのような意図された機能に対し耐久性に欠ける。これは、電子装置及び/又は関連入力装置が、小さく、薄く、さもなければ、寸法減少で作られたときに、特に言えることである。例えば、キーキャップの寸法減少の場合には、キーキャップは、構造上あまり頑健でなく、従って、その使用サイクル中に、同じ材料で作られた厚みのあるキーキャップより早期に破壊又は欠陥を招き得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、入力装置の耐久性のある且つ審美的に快適な外面が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電子コンピューティング装置の入力装置としてのキー又はキーボードに使用するための照明型ガラスキーキャップを形成及び製造する技術を提供する。ある実施形態においては、入力装置は、複数のキーを含み、それら複数のキーの各キーは、頂面を有する透明ガラスキーキャップ、グリフウインドウを含むバックグランド層、グリフ拡散層、電気スイッチ回路をアクチベートするように構成された圧縮可能なハサミメカニズム、並びにオン状態及びオフ状態をもつ光源を備えている。光源は、透明なガラスキーキャップを通して光を伝送するように配向にされる。ある実施形態では、透明ガラスキーキャップは、ガラスより成る。あるケースでは、ガラスは、サファイアガラス又は他の耐スクラッチ性ガラス材料のような弾力性ガラスである。ガラスキーキャップの周囲は、傾斜されるか、さもなければ、研磨される。
【0006】
ある実施形態は、グリフウインドウを通る光を拡散するグリフ拡散層をもつ照明型入力装置に関し、又はその形態をとる。これらの実施形態では、バックグランド層は、不透明であり、そしてグリフウインドウは、透明である。他の実施形態では、バックグランド層は、半透明であり、そしてグリフウインドウは、透明である。更に別の実施形態では、光源は、発光ダイオード、発光ポリマー、或いは透明なガラスキャップを通して光を指向する配向にされた光パイプ又は他の可視光導波器である。
【0007】
ここに述べる他の実施形態は、少なくともオン状態及びオフ状態を含む光源を有する照明型入力装置に関し、又はその形態をとる。あるケースでは、オン状態は、光源がキーキャップ周囲の付近又はその隣接部に可視光線を放射するキーキャップ周囲照明モードを含む。更に別の実施形態では、オン状態は、光源がバックグランド層を通して光を伝送するバックグランド照明モードを含む。このケースでは、バックグランド層は、伝送光を、それが透明なガラスキーキャップの頂面に出る前に、拡散させる。更に別の実施形態では、オン状態は、光源がグリフ拡散層を通して及び更にグリフウインドウを通して光を伝送するグリフ照明モードを含む。
【0008】
他の実施形態では、グリフ拡散層は、グリフ拡散層の少なくとも一部分がバックグランド層と同一平面になるようにグリフウインドウ内に部分的に配置される。そのような実施形態又はそれと同様の実施形態では、グリフウインドウは、バックグランド層からエッチングされる。
【0009】
ここに述べる他の実施形態は、キーボードを照明するための光透過キーキャップを製造する方法において、透明なガラスキーキャップを選択し、透明なガラスキーキャップの底面にバックグランドインク層を堆積し、バックグランドインク層に記号アパーチャーをエッチングし、バックグランドインク層において少なくとも記号アパーチャーの上に半透明のグリフ拡散層を堆積し、そして垂直軸に沿って透明なガラスキーキャップを、電気スイッチ回路の上に配置された圧縮可能なハサミ機構と整列させる、という段階を含む方法に関し、又はその形態をとる。又、この方法は、透明なガラスキーキャップの周縁を傾斜させることも含む。
【0010】
更に別の実施形態は、発光素子を透明なガラスキーキャップの下に配置して、発光素子から放射された光が半透明のグリフ拡散層及び記号アパーチャーを透過するようにすることも含む。あるケースでは、記号アパーチャーは、レーザエッチングプロセスにおいてエッチングされ、又は他の実施形態では、記号アパーチャーは、化学プロセスでエッチングすることにより形成される。
【0011】
ここに述べる他の実施形態は、キーキャップを各々有する複数のキーを伴うキーボードに関し、又はその形態をとる。各キーキャップは、キーキャップの頂面の周囲に沿って少なくとも4つの傾斜縁を有するガラス頂部層、そのガラス頂部層の底面に沿って配置されたインク層、そのインク層内にあるグリフウインドウ、及びそのグリフウインドウ内の拡散充填部を備えている。又、キーボードは、キーの下に配置された発光ダイオードの層のような発光層も備えている。又、キーボードは、個々のキーに各々関連した多数の電気スイッチを有する電気スイッチ層も備えている。
【0012】
添付図面に示された代表的な実施形態を以下に説明する。以下の説明は、実施形態を、1つの好ましい実施形態に制限するものではないことを理解されたい。逆に、特許請求の範囲に既定された本発明の精神及び範囲内で代替物、変更、及び等効物も網羅するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】電子装置に使用するための規範的なキーボードの規範的な実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の2-2線に沿った、
図1の規範的なキーボードのキーキャップ及び支持構造体の部分分解側面断面図である。
【
図3A】
図1の実施形態の一部分として記号を示すキーキャップの上面図である。
【
図3B】
図3Aの実施形態の、3B-3B線に沿った側面図である。
【
図3C】
図3Aの実施形態の、3C-3C線に沿った側面図である。
【
図3D】
図3Aの実施形態の、3D-3D線に沿った側面図である。
【
図3E】
図3Aの実施形態の、3E-3E線に沿った側面図である。
【
図4A】バックグランド層を施した後のキーキャップの規範的断面を示す一実施形態の逆側面図である。
【
図4B】バックグランド層をエッチングしてグリフウインドウの部分を露出させた後のキーキャップの規範的断面を示す、
図4Aの実施形態の逆側面図である。
【
図4C】バックグランド層及びグリフウインドウの露出部分にグリフ拡散層を付着した後のキーキャップの規範的断面を示す、
図4Bの実施形態の逆側面図である。
【
図4D】グリフウインドウのエリアを占有するようにグリフ拡散層を引き出した後のキーキャップの規範的断面を示す、
図4Cの実施形態の逆側面図である。
【
図4E】キーキャップ及びバックグランド層の平面と平行な滑らかな平面に仕上げられたグリフ拡散層を伴うキーキャップの規範的断面を示す、
図4Dの実施形態の逆側面図である。
【
図4F】バックグランド層の表面と同一平面の滑らかな平面に仕上げられたグリフ拡散層を伴うキーキャップの規範的断面を示す、
図4Dの実施形態の逆側面図である。
【
図5A】周囲部分、グリフ部分及びバックグランド部分の照明をオフ状態で示すキーキャップの上面図である。
【
図5B】周囲部分及びバックグランド部分の照明がオフ状態であり且つグリフ部分の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【
図5C】バックグランド部分の照明がオフ状態であり且つ周囲部分及びグリフ部分の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【
図5D】周囲部分、グリフ部分及びバックグランド部分の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【
図5E】グリフ部分の照明がオフ状態であり且つ周囲部分及びバックグランド部分の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【
図5F】グリフ部分及び周囲部分の照明がオフ状態であり且つバックグランド部分がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【
図6】照明型入力装置を製造する規範的な方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
異なる図面に同じ参照番号を使用して、同様の、対応する又は同じ品目を示す。
【0015】
ここに述べる実施形態は、低背型、耐久性外面を伴う光透過性且つ電力効率の良い入力装置に関し、又はその形態をとる。特に、ある実施形態は、ガラスキーキャップを有する完全又は部分的照明型キーボード又はキーパッド或いは個々のキーの形態をとる。そのような入力装置は、一体型又は周辺装置としてラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、又はデスクトップコンピュータのようなパーソナルコンピューティング装置に関連して使用される。他の幾つかの実施形態は、テレビジョン、ポータブルメディアプレーヤ、セルラー電話、タブレットコンピュータ、等の他の電子装置に使用するためのガラス外面を伴う完全又は部分的照明型ボタンの形態をとる。
【0016】
1つの実施形態は、キーボードに関連したバック照明型キーである。この実施形態は、ガラスキーキャップを含む。ガラスキーキャップは、傾斜又は研磨された縁を上面に沿って有する。ガラスキーキャップの真下に配置されているのは、インク又は他の顔料で形成されたバックグランド層であり、これは、半透明又は不透明である。ある実施形態では、バックグランド層は、印刷プロセス、スクリーニングプロセス、浸漬プロセス、又は他の適当なプロセスにおいて、ガラスキーキャップに施される。
【0017】
バックグランド層にエッチングされるのは、グリフ、記号、ウインドウ又はアパーチャー(集合的に「グリフウインドウ」という)である。グリフウインドウは、任意の言語の数字、記号又は文字、或いは使用する入力装置に適切に適合された情報保持記号の形態をとる。例えば、グリフウインドウは、一実施形態では、英語の文字又は記号(1つ又は複数)の形態をとる。別の実施形態では、グリフウインドウは、簡単化された中国文字(1つ又は複数)の形態をとる。グリフウインドウは、例えば、レーザ罫書きプロセスによりバックグランド層を通してエッチングされる。他の実施形態では、グリフウインドウは、マスク及び浸漬化学エッチングプロセスを経てエッチングされる。更に別の実施形態では、グリフウインドウは、全くエッチングされず、バックグランド層を選択的に施すことにより設けられる。例えば、バックグランド層は、グリフウインドウに指定された以外の全てのエリアにおいてガラスキーキャップの頂面又は底面のような表面に印刷される。更に別の実施形態では、グリフウインドウは、ガラスキーキャップにバックグランド層を施す前にバックグランド層内に形成される。
【0018】
バックグランド層の下にグリフ拡散層が配置される。グリフ拡散層は、ガラスビード又は別の拡散ドーパントがドープされた半透明の材料で形成される。例えば、ある実施形態では、グリフ拡散層を光が透過したときに白色を与えるために酸化チタンが使用される。更に別の実施形態では、スクリーニング、印刷、浸漬又は他の適当なプロセスにおいて、グリフウインドウと共に、及び/又はグリフウインドウ内で、バックグランド層の上に、グリフ拡散層が配置される。バックグランド層にグリフ拡散層を施している間に、グリフ拡散層を施すことで捕らえられた望ましからぬエアポケットがグリフウインドウ内に形成される。この望ましからぬエアポケットを除去するために、キーキャップ(バックグランド層及びグリフ拡散層が形成された)を真空チャンバーに入れて、ポケットと真空との間の差圧力でグリフ拡散層がエアポケットを除去するようにさせる。別の実施形態では、バックグランド層及びグリフ拡散層をもつキーキャップを圧力釜又は他の高圧チャンバー内に入れて、圧力差でエアポケットを除去するように促進させる。
【0019】
グリフ拡散層は、その後のプロセスにおいて平面へと平滑化又は研磨され、グリフ拡散層の底面がガラスキーキャップの頂面に実質的に平行になるようにされる。平滑化されると、キーキャップは、キーのハサミメカニズム及び他の要素に取り付けられ、キーをアッセンブルする。ある実施形態では、グリフ拡散層は、層の底面がバックグランド層の底面と同一平面になるように研磨される。他の実施形態では、グリフ拡散層は、層の底面がバックグランド層の底面と平行であるが、指定の深さで分離されるように、研磨される。
【0020】
ハサミメカニズム内、その下又はその付近に含まれるのは、キーキャップを通して光を放射するように配置された1つ以上の光源である。ある実施形態では、光源は、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、又は他の適当な光源のような光源を含むか又はそれに結合される。第1の実施形態では、光源は、グリフ拡散層及びグリフウインドウを通して光を透過するように配置される。そのような実施形態では、バックグランド層は、光源により放射された光を透過しない。このように、上からキーキャップを見ると、グリフが照明される。
【0021】
更に別の実施形態では、光源は、キーキャップの周囲付近で光を透過するように配置される。このように、上からキーキャップを見たときに、キーの周囲(又はキーの周囲をめぐるエリア)が照明される。換言すれば、キーキャップは、その周囲を光輪が取り巻くように見える。
【0022】
更に別の実施形態では、光源は、バックグランド層に光を透過させるように配置される。そのような実施形態では、必ずしも光がグリフウインドウを通過しなくてもよい。このように、上からキーキャップを見ると、グリフのバックグランドが照明されているように見えるが、グリフ自体は暗いままである。
【0023】
図1は、電子装置(図示せず)に使用するための照明型キーボード100の規範的実施形態を示す斜視図である。この照明型キーボード100は、コンピューティングシステムの周辺コンポーネントであり、或いは他の実施形態では、コンピューティングシステムの一体的部分である。更に別の実施形態では、照明型キーボード100は、多数のキー又は少数のキーを有してもよい。キーは、種々の順序又は構成で配列される。又、照明型キーボード100は、1つ以上のキー110と、キーボードの内部コンポーネントを完全に又は部分的に包囲するハウジング120とを有する。1つ以上のキー110の各々は、それに関連したグリフウインドウ130を有する(例えば、キーキャップ上に見える)。図示されたように、1つ以上のキー110は、異なるサイズのものであり、及び/又は照明型キーボード100の頂面に沿って異なる位置に配置される。
【0024】
図2は、
図1の2-2線に沿った照明型キーボード100の実施形態のキー200を示す拡大分解側面断面図である。キー200は、照明型キーボード100のハウジング220内に少なくとも部分的に配置される。ハウジング220を貫通してキーアパーチャー225が画成される。キーアパーチャー225は、キー200とハウジング220との間に周囲ギャップ230が存在するサイズとされる。周囲ギャップ230は、キー200のサイズに基づいて選択的にサイズが決められる。ある実施形態では、キーアパーチャー225は、存在しなくてもよい。むしろ、各キーの周囲ギャップ230がその隣接キーにより画成されるように、1つ以上のキー110(
図2は示さず)が互いに実質的に配列されてもよい。
【0025】
ここで使用する「水平」という語は、特に指示のない限り、照明型キーボード100のハウジング220の上面に平行な平面として定義される。ここで使用する「垂直」という語は、特に指示のない限り、水平面に対して垂直な方向として定義される。ここで使用する方向に関する同様の用語(例えば、「上」又は「下」或いは「頂部」又は「底部」)は、
図1に示すキーボードの向きに関して定義される。
【0026】
キー200は、キーキャップ240を有する。ある実施形態では、キーキャップ240は、(化学的に処理される)シリカガラス、サファイア、又は他の同様の実質的に透明な耐スクラッチ性材料で構成される。キーキャップ240は、実質的にフラットな頂面を有する。ある実施形態では、キーキャップ240は、ユーザが押したときにキーの感触を向上させるために若干凹面形状を有する。キーキャップ240の頂面は、1つ以上の傾斜縁242を有する。傾斜縁242は、図示されたように45°の角度であるか、又はある実施形態では、傾斜縁242は、キーキャップ240の上壁及び側壁によりその周囲に沿って形成される角度を減少又は増加する別の形状を取るように加工されてもよい。
【0027】
キーキャップ240の下面には、実質的に不透明のバックグランド層250が形成される。このバックグランド層250は、これを貫通して延びるグリフウインドウ260を画成する。断面で示されているが、グリフウインドウ260は、上から見ると、照明型キーボード100(
図2には示さず)に適切に適合された言語の数字、記号又は文字、或いは記号セットの形態をとることが明らかである。本質的に、バックグランド層で被覆、処理又は覆われていないキーキャップ240の下面部分が、グリフウインドウ260を形成する。グリフウインドウは、文字、記号、キャラクタ、数字、等に対応するので、キーキャップごとに、サイズ、形状及び断面が変化する。更に、あるキーキャップは、グリフウインドウが全くなく、スペースバーは、その一例である。
【0028】
バックグランド層250の下面には、グリフ拡散層270が形成され、これは、グリフウインドウ260を(部分的に又は完全に)充填する。グリフ拡散層270は、拡散ドーパントがドープされた半透明(semi-transparent or translucent)材料で構成される。ある実施形態では、グリフ拡散層270は、層を着色するために着色顔料がドープされてもよい。1つの例として、グリフ拡散層に白い見掛けを与えるために酸化チタンを与えてもよい。又、グリフ拡散層270は、グリフウインドウ260とは相補的な形状を含んでもよい。このように、グリフ拡散層270は、バックグランド層250内のグリフウインドウ260の容積を占有する。
【0029】
機械的な支持体がキーキャップの下に位置されて取り付けられる。例えば、ハサミメカニズム284又はバタフライメカニズムがキーキャップ受け入れパッド280に取り付けられる。この受け入れパッド280は、グリフ拡散層270に付着されるか、さもなければ、接合される。キーキャップ受け入れパッド280は、ハサミメカニズム284の一部分を形成する1つ以上の頂部クロスバーを受け入れるために止め具、棚又はアパーチャーのような構造体を含む。
【0030】
より詳細には、キーキャップ受け入れパッド280は、実質的にフラットな頂面を有し、そしてグリフ拡散層270の底面に接着され又は取り付けられる。
【0031】
キーキャップ受け入れパッド280の下には、ドームスイッチのメンブレーン282が位置される。ある実施形態では、メンブレーン282は、キーが中性(例えば、非押圧)状態にあるときにキーキャップ受け入れパッド280の底面に接触するが、他の実施形態では、メンブレーン282及びキーキャップ受け入れパッド280は、キーが中性位置にあるときに、エアギャップにより分離される。メンブレーン282は、ゴム、シリコーン又は適当なポリマーのような変形可能な材料で構成され、そして1つ以上の電気的接触部(
図2の断面図には示されず)を含む。ある実施形態では、メンブレーン282は、実質的に透明であるが、他の実施形態では、メンブレーンは、半透明又は不透明である。ある実施形態では、光は、キーの側に配置された光源、例えば、LED又はLEDに接続された光パイプから、キーキャップへ又はキーキャップを通して伝送される。
【0032】
メンブレーン282の付近には圧縮可能なハサミメカニズム284がある。メンブレーン282の下には、第1の接触配線層286がある。電気的接触部(
図2の断面図には示さず)が第1の接触配線層286の頂面に配置されて、メンブレーン282及び圧縮可能なハサミメカニズム284が選択されたスレッシュホールドを越えて圧縮されたときに、メンブレーン282の電気的接触部及び第1の接触配線層286の電気的接触部が電気回路を完成し、それにより、キー200が押圧されたことを信号するようにする。
【0033】
第1の接触配線層286は、キー200に対する構造的支持を与えるために第1の基板層288に配置される。この基板層288は、透明又は実質的に透明な材料で構成される。基板層288の下には、キーキャップ240の下に中心を置く発光素子292を含む照明層290がある。発光素子292は、LED、OLED、又は他の適当な光源である。単一の光源として示されているが、複数の光源が使用されてもよいことが明らかであろう。例えば、発光素子292は、周辺ギャップ230を通して光を指向するか又は伝送するために照明層290に配置される。このように、発光素子292は、キー200の周囲を照明し、上から見たときにキー200に関する光輪効果を生成する。
【0034】
別の実施形態では、発光素子292は、グリフウインドウ260のみを通して光を指向するように配置される。このように、発光素子292は、グリフウインドウ260を照明し、上から見たときにキー200の表面に照明グリフ効果を生成する。
【0035】
別の実施形態では、発光素子は、バックグランド層250のみを通して光を指向するように配置される。このように、発光素子292は、グリフウインドウの周りのバックグランドエリアを照明し、グリフウインドウのエリアは非照明のままにする。このような実施形態では、バックグランド層250は、半透明材料で構成されることが明らかであろう。例えば、この実施形態では、バックグランド層250は、ガラスビード又は他の拡散ドーパントがドープされた半透明材料で構成される。
【0036】
更に、発光層290上又は内には複数の発光素子292が配置されることが明らかである。このように、キー200の複数の部分が選択的に又は一緒に照明される。発光層290の下には、第2の基板層294が配置され、キー200の構造上の支持体をなす。
【0037】
図2は、必ずしも正確な縮尺で描かれていないことが明らかである。明瞭化のために、図示された各品目の相対的な高さは、あるケースでは、キー200を形成する多数の各層間の関係を示すために誇張されている。例えば、バックグランド層250及びグリフ拡散層270は、高さが数ミクロンしかない。更に、キーキャップ240は、高さが1mm未満であることが明らかである。
【0038】
図3Aは、
図1に示す実施形態の一部分としてグリフを示すキーキャップ300の上面図である。このキーキャップは、少なくとも、バックグランドエリア310と、図示されたように英語の文字“A”を示すグリフエリア315とを含む。キーキャップ300は、照明型キーボード100(図示せず、
図1を参照)のハウジング320内に位置される。キーキャップ300は、キーアパーチャー325内に位置される。キーアパーチャー325の水平面エリアは、キーキャップ300の水平面エリアより若干大きく、キーキャップ周囲ギャップ380が露出される。
【0039】
図3B-3Eは、各々、
図3Aに示す実施形態の拡大側面図で、断面3B-3Eに沿ったものである。
図3B-3Eに示す4つの全ての断面に見えるのは、キーキャップ340である。このキーキャップ340は、キーボードハウジング320に形成されたキーアパーチャー(表示なし)内に入れられる。キーアパーチャー及びキーキャップの縁間に周囲ギャップ330が形成される。
図2に示す実施形態に関して述べたように、キーキャップ340は、ガラスで構成され、傾斜又は研磨された縁を有する。
【0040】
図3B-3Eに示す4つの全断面に見えるのは、バックグランド層350である。これも、
図2に示す実施形態に関して述べたように、バックグランド層350は、ガラスキーキャップ340の真下に配置される。バックグランド層350の下に配置されるのは、グリフ拡散層370である。
【0041】
図3Aの線3B-3Bは、
図3Aのグリフエリア315のどの部分にも交差しないことが明らかである。従って、
図3Bに示す断面図では、グリフウインドウの部分は、存在せず、又は図示されない。しかしながら、
図3Aの線3C-3Cは、
図3Aのグリフエリア315の一部分に交差する。より詳細には、線3C-3Cは、
図3Aに示す“A”グリフの頂上に交差する。従って、
図3Cに示す断面図内では、グリフウインドウ360の一部分が示されている。線3C-3Cは、グリフウインドウに一回しか交差しないので、
図3Cは、グリフウインドウ360の単一部分しか示していない。
【0042】
図3Dは、
図3Aにグリフエリア315として示された文字“A”の両脚に交差する線3D-3Dに沿った、
図3Aに示す実施形態の拡大側面図である。従って、
図3Dの断面図は、バックグランド層350の一部分により分離されたグリフウインドウ360の2つの部分を示す。
【0043】
図3Bと同様に、
図3Eは、
図3Aのグリフエリア315のどの部分にも交差せず、従って、グリフウインドウの部分は、存在せず又は図示されない。
【0044】
図4A-4Dに関して、「水平」という語は、ガラスキーキャップの表面に平行な平面として定義される。
図4A-4Dに関する「垂直」という語は、水平面に対して垂直な方向として定義される。ここで使用する方向に関する同様の用語(例えば、「上(above)」又は「下(below)」或いは「上(on)」又は「下(under)」)は、水平面に関して定義される。
【0045】
図4Aは、バックグランド層450を施した後のキーキャップ440の規範的断面を示す一実施形態の逆拡大側面図である。バックグランド層450は、インク又は顔料で構成され、半透明又は不透明である。ある実施形態では、バックグランド層450は、印刷プロセス、スクリーニングプロセス、浸漬プロセス、又は他の適当なプロセスにおいてガラスキーキャップ440に施される。
【0046】
図4Bは、
図4Aに示した実施形態の逆拡大側面図で、バックグランド層450をエッチングしてグリフウインドウ460の部分を露出させた後の規範的断面を示す。グリフウインドウ460は、レーザ罫書きプロセスにおいてバックグランド層を通してエッチングされる。例えば、レーザは、バックグランド層450を切除して、グリフウインドウ460を露出させる。あるケースでは、レーザは、バックグランド層450の材料を切除又は除去するに充分なほど強力であるが、キーキャップ440に対して選択された材料を切除又はエッチングし或いはそれにダメージを及ぼすほど強力ではない。
【0047】
他の実施形態では、グリフウインドウ460は、化学的エッチングプロセスでエッチングされる。例えば、バックグランド層450の上にマスクが施される。マスクは、エッチングの後に残るバックグランド層450の部分を覆うが、グリフウインドウ460を露出させるために除去されねばならないバックグランド層450の全ての部分を露出させる。マスクが施された後に、キーキャップ440及びバックグランド層450は、エッチング溶液に浸漬又は露出され、エッチング溶液は、バックグランド層450として選択された材料を分解し又はそれと反応するが、マスクとして選択された材料もキーキャップ440として選択された材料も分解しない。既定の期間の後に、キーキャップ440は、エッチング溶液から取り出され、そしてマスクは、バックグランド層450から除去される。
【0048】
更に別の実施形態では、グリフウインドウ460は、全くエッチングされず、むしろ、バックグランド層450を選択的に施すことにより形成される。例えば、バックグランド層450は、グリフウインドウ460として指定されたところを除く全てのエリアにおいてガラスキーキャップ440の表面に沿って印刷される。
【0049】
図4Cは、
図4Bに示す実施形態の逆拡大側面図で、バックグランド層460の上及びグリフウインドウ460の露出部分の上にグリフ拡散層470が施された後のキーキャップ40の規範的断面を示す。ある実施形態では、グリフ拡散層470をバックグランド層450に施す間に、グリフウインドウ460内に望ましからぬエアポケット490が残る。この望ましからぬエアポケット490は、キーキャップ440に望ましからぬ視覚的アーティファクトを引き起こす。
【0050】
望ましからぬエアポケット490を除去するために、キーキャップ440(バックグランド層450及びグリフ拡散層470が既に形成された)を真空チャンバー(図示せず)に入れて、エアポケット490を排除するための負の圧力差を形成する。一般的に、エアポケット490は、大気圧又はその付近で形成される。従って、真空環境に入れられたとき、エアポケット490の圧力は真空と等化され、
図4Dに示すように、グリフウインドウ460の全容積を充填するように拡散層470を引っ張る。
【0051】
別の実施形態では、キーキャップ440を、バックグランド層450及びグリフ拡散層470と共に、圧力釜又は他の高圧チャンバーに入れて、エアポケット490を除去するための正の圧力差を促進させる。上述したように、エアポケット490は、大気圧又はその付近で生成される。高圧環境に入れたときに、
図4Dに示すように、圧力差が拡散層470を押して、グリフウインドウ460の全容積を充填させる。
【0052】
図4Eは、
図4Dに示す実施形態の逆拡大側面図で、キーキャップ440及びバックグランド層450の平面と平行な滑らかな平面へと仕上げられたグリフ拡散層470をもつキーキャップ440の規範的断面を示す。研磨又は平滑化されると、グリフ拡散層470は、押圧時に電気的スイッチ回路をアクチベートするように配置されたハサミメカニズム(図示せず)又は他のボタンメカニズムに取り付けられる。グリフ拡散層470は、ハサミメカニズムとキーキャップ440の頂面との間に実質的に平行な関係を与えるように平滑化される。
【0053】
図4Fは、
図4Dに示す実施形態の逆拡大側面図で、バックグランド層450の表面と同一平面である滑らかな平面へと仕上げられたグリフ拡散層470をもつキーキャップ440の規範的な断面を示す。ある実施形態では、このようにグリフ拡散層を平滑化することで、非常に薄い全体的キー厚みが与えられる。
【0054】
図3A-4Fは、正確な縮尺で描かれていないことが明らかである。明瞭化のために、図示された各品目の相対的な高さは、あるケースでは、図示されたキーを形成する多数の各層間の関係を示すために実質的に誇張されている。例えば、バックグランド層350、450及びグリフ拡散層370、470は、高さが数ミクロンしかないことが明らかである。更に、キーキャップ340、440は、高さが1mm未満であることが明らかである。
【0055】
図5A-5Fは、本発明の1つの実施形態によりキーの個々の部分を選択的に一緒に照明する種々の構成を示す。
【0056】
図5Aは、周囲ギャップ部分580、グリフエリア部分515(図示せず)及びバックグランドエリア部分510の選択的照明をオフ状態で示すキーキャップの上面図である。図示された実施形態では、グリフ部分515は、見えないことに注意されたい。ある実施形態では、バックグランド部分510とグリフエリア部分515との間の境界は、区別できない。従って、
図5Aは、グリフエリアが見えない状態で示されている。
【0057】
図5Bは、周囲ギャップ部分580及びバックグランドエリア部分510の照明がオフ状態であり且つグリフエリア部分515の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【0058】
図5Cは、バックグランドエリア部分510の照明がオフ状態であり且つ周囲ギャップ部分580及びグリフエリア部分515の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
【0059】
図5Dは、周囲ギャップ部分580、グリフエリア部分515(図示せず)及びバックグランドエリア部分510の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。
図5Aを参照して上述したように、グリフ部分515は、見えない。ある実施形態では、バックグランド部分510とグリフエリア部分515との間の境界は、区別できない。従って、
図5Dは、グリフエリアが見えない状態で示されている。このように、
図5Dは、キーキャップの周囲照明モードを示す。
【0060】
図5Eは、グリフエリア部分515の照明がオフ状態であり且つ周囲ギャップ部分580及びバックグランドエリア部分510の照明がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。この実施形態では、グリフエリア515は、影としてユーザに見え、そしてバックグランドエリア部分510及び周囲ギャップ部分580は、単一又は実質的に単一の照明エリアとして見える。
【0061】
図5Fは、グリフエリア部分515及び周囲ギャップ部分580の照明がオフ状態であり且つバックグランドエリア部分510がオン状態であることを示すキーキャップの上面図である。この実施形態では、グリフエリア515は、照明されたバックグランドエリア部分510内に影としてユーザに見える。暗くされた周囲ギャップ部分580は、バックグランドエリア510とのコントラスト向上を与える。このように、
図5Fは、キーキャップのバックグランド照明モードを示す。
【0062】
図5A-5Fは、キーキャップの照明される部分の種々の組み合わせを示すが、付加的な組み合わせ又はより少数の組み合わせも意図されることが明らかである。更に、同じキーボード上の個々のキーが、別々に、順次に、異なる輝度で、変化する期間中、等々で、照明されてもよいことが明らかであろう。
【0063】
図6は、照明型入力装置を製造する規範的方法の動作を示すフローチャートである。610において、ガラスキーキャップが選択される。ある実施形態では、ガラスキーキャップは、大きなシートから単体化され、又は他の実施形態では、複数の個々のガラスキーキャップを含む大きなマザーシートがその後のプロセスで単体化される。
【0064】
620において、ガラスキーキャップにバックグランド層が堆積される。ある実施形態では、バックグランド層は、印刷プロセス、スクリーニングプロセス、浸漬プロセス又は他の適当なプロセスでガラスキーキャップに施される。ある実施形態では、バックグランド層は、他の動作を続ける前に、硬化される。
【0065】
630において、バックグランド層にグリフウインドウがエッチングされる。グリフウインドウは、レーザエッチングプロセスでエッチングされるか、又は他の実施形態では、グリフウインドウは、化学的プロセスのエッチングにより形成される。グリフウインドウは、キーキャップに適切に適合された任意の言語の数字、記号又は文字の形態をとる。更に、ある実施形態では、動作620及び630は、バックグランド層が印刷プロセスにおいて施される場合には同時に遂行されてもよいことが明らかである。
【0066】
640において、バックグランド層に拡散層が施される。拡散層は、ガラスビード又は他の拡散ドーパントがドープされた半透明材料で構成される。拡散層は、スクリーニング、印刷、浸漬又は他の適当なプロセスにおいて、グリフウインドウを伴うバックグランド層の上に配置される。
【0067】
650において、ガラスキーキャップ、バックグランド層及び拡散層が硬化状態に置かれ、それらの層を一緒に凝固させ、さもなければ、接合させる。硬化状態は、紫外線オーブン、加熱オーブン、真空チャンバー、又は圧力釜チャンバーを含むが、これに限定されない。硬化プロセスは、バックグランド層又は拡散層から望ましからぬエアポケットを除去するプロセスを含む。
【0068】
660において、拡散層は、ガラスキーキャップの頂面に実質的に平行な平面へと研磨されるか、さもなければ、仕上げられる。プロセスは、670で終了となる。
【0069】
以上、多数の実施形態について開示したが、
図6に示す動作は、例示に過ぎず、これに尽きるものではないことが明らかである。更に、別のステップ順序、或いは付加的なステップ又はより少数のステップを使用して、ここに意図された方法を遂行できることも明らかである。
【0070】
本発明のコンポーネント又はモジュールは、ソフトウェアを使用して全体的又は一部分具現化できるが、1つの実施形態では、これらのソフトウェア要素は、それに関して説明した機能を実行できるコンピューティング又は処理モジュールで動作するように具現化される。
【0071】
以上の開示は、種々の規範的な実施形態及び具現化に関して述べたが、1つ以上の個々の実施形態で述べた種々の特徴、態様及び機能は、ここに述べた特定の実施形態への適用に限定されるものではなく、むしろ、そのような実施形態が説明されたかどうかに関わらず、又、そのような特徴がここに述べた実施形態の一部分として表現されたかどうかに関わらず、本発明の1つ以上の他の実施形態に対して単独で又は種々の組み合わせで適用できることを理解されたい。従って、本発明の範囲は、上述した規範的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0072】
100:照明型キーボード
110:キー
120:ハウジング
130:グリフウインドウ
200:キー
220:ハウジング
225:キーアパーチャー
230:周囲ギャップ
240:キーキャップ
242:傾斜縁
250:バックグランド層
260:グリフウインドウ
270:グリフ拡散層
280:キーキャップ受け入れパッド
282:メンブレーン
284:ハサミメカニズム
286:第1の接触配線層
288:基板層
290:照明層
292:発光素子
294:第2の基板層
300:キーキャップ
310:バックグランドエリア
315:グリフエリア
320:キーボードハウジング
325:キーアパーチャー
330:周囲ギャップ
340:キーキャップ
350:バックグランド層
370:グリフ拡散層
440:キーキャップ
450:バックグランド層
460:グリフウインドウ
470:グリフ拡散層
490:エアポケット
510:バックグランドエリア部分
515:グリフエリア部分
580:周囲ギャップ部分